JP2004022236A - 陰極線管 - Google Patents
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Abstract
【課題】電気インデックス法における検出信号の高周波特性を改善し、高い周波数成分まで信号検出を行うことができるようにする。
【解決手段】従来ではアノードに直接接続されていたビームシールド27を、特性改善用抵抗R1を介してアノードに接続する。これにより、浮遊容量C0,C1によるシャント効果が軽減され、信号振幅(信号レベル)を低下させずに、インデックス検出信号の高域の周波数特性が改善される。このとき、ビームシールド27による電子ビームの遮蔽機能自体はまったく損なわれない。
【選択図】 図3
【解決手段】従来ではアノードに直接接続されていたビームシールド27を、特性改善用抵抗R1を介してアノードに接続する。これにより、浮遊容量C0,C1によるシャント効果が軽減され、信号振幅(信号レベル)を低下させずに、インデックス検出信号の高域の周波数特性が改善される。このとき、ビームシールド27による電子ビームの遮蔽機能自体はまったく損なわれない。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、テレビジョン受像機や各種のモニタ装置などに利用される陰極線管に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、テレビジョン受像機や各種のモニタ装置などには、陰極線管(CRT;Cathode Ray Tube)が広く使用されている。陰極線管は、単一の電子銃を備えた構成が一般的であるが、近年では、複数の電子銃を備えた構成のものが開発されている。陰極線管において複数の電子銃を用いる方式は、“複電子銃方式”などと呼ばれている。
【0003】
複電子銃方式の陰極線管では、画面領域を複数に分割すると共に、その分割された複数の画面領域(以下、「分割画面」ともいう。)を互いに繋ぎ合わせることにより、全体として1つの画面を形成する。電子銃は、画面の分割数に対応した数だけ設けられる。各分割画面は、それぞれ、対応する電子銃から放出された電子ビームによって走査される。複電子銃方式の陰極線管における画面構成としては、単に各分割画面の端部を線状に繋ぎ合わせることにより1つの画面を得るようにしたものと、隣接する分割画面同士を部分的に重複(オーバ・ラップ)させて1つの画面を得るようにしたものとがある。
【0004】
ところで、従来より陰極線管は、その使用条件によって画像の表示状態が変化することが知られている。例えば、陰極線管を利用する環境によっては、地磁気などの外部磁場から受ける影響が異なるため、一般に、「画歪み」と呼ばれる画像の歪みが生じる。このような表示状態の変化は、上述の複電子銃方式の陰極線管においては、繋ぎ目部分の表示状態の精度にも悪影響を及ぼす。
【0005】
そこで、本願出願人は、先に、特許第3068115号公報および特許第3057230号公報等において、電子ビームの走査位置に応じて電気的な検出信号を出力し、その検出信号を画像の表示状態の補正に利用する技術を提案している。この技術では、管内における電子ビームの過走査領域に、インデックス電極と呼ばれる電極を設け、電子ビームの入射に応じてインデックス電極から電気的な信号(インデックス検出信号)を出力する。以下、このインデックス電極を用いた信号検出方法を「電気インデックス法」という。
【0006】
図14に、複電子銃方式の陰極線管において、上記電気インデックス法を適用した構成例を示す。この陰極線管は、内側に蛍光面111Aが形成されたパネル部110と、このパネル部110に一体化されたファンネル部120とを備えている。ファンネル部120の後端部の左右にはそれぞれ電子銃131L,131Rを内蔵した2つのネック部130L,130Rが形成されている。
【0007】
この陰極線管では、左側に配置された電子銃131Lからの電子ビーム105Lによって、画面の約左半分が描画されると共に、右側に配置された電子銃131Rからの電子ビーム105Rによって、画面の約右半分が描画される。そして、左右の電子ビーム105L,105Rによって形成された各分割画面の端部を、部分的に重ねて繋ぎ合わせることにより、全体として単一の画面を形成して画像表示を行う。全体形成された画面の中央部分が、左右の分割画面がオーバ・ラップする(重複する)領域OLとなる。図中、領域SW2,SW1は、それぞれ各電子ビーム105L,105Rについての有効画面領域を示す。
【0008】
この陰極線管の管内において、各分割画面の繋ぎ目側における電子ビーム105L,105Rの過走査(オーバ・スキャン)領域OSには、インデックス電極170が、蛍光面111Aに対向する位置に設けられている。インデックス電極170は、長方形の平板状のものであり、図14の紙面に垂直な方向に細長い形状となっている。このインデックス電極170は、インデックス抵抗R12の一端に電気的に接続されている。インデックス抵抗R12の他端は、アノード電圧が供給される部分(例えばフレーム113など)に電気的に接続されている。従って、インデックス電極170には、インデックス抵抗R12を介してアノード電圧HVが供給される。このインデックス電極170において、過走査した電子ビーム105L,105Rが入射すると、インデックス電極170における電位が、通常より電圧降下する。この電圧降下した信号が、インデックス検出信号としてインデックス信号出力用キャパシタC100を経由して管外に出力され、画像補正に利用される。このインデックス電極170により、電子ビーム105L,105Rの走査の軌跡を直接的に検出することが可能となり、精度良く画像補正を行うことができる。
【0009】
この陰極線管の管内において、さらに、インデックス電極170と蛍光面111Aとの間には、ビームシールド127が配置されている。ビームシールド127は、過走査領域OSを過走査した電子ビーム105L,105Rが蛍光面111Aに到達して不用意に発光しないように、電子ビーム105L,105Rを遮蔽する機能を有している。このビームシールド127は、断面が例えばV字形状で、インデックス電極170と同様、図14の紙面に垂直な方向に細長い形状となっている。ビームシールド127は、例えばフレーム113を基台にして架設されている。このため、ビームシールド127は、フレーム113を介して内部導電膜122に電気的に接続されることになり、アノード電圧HVが供給される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このように、この陰極線管の管内には、インデックス電極170とビームシールド127とが近接して設けられている。そして、ビームシールド127は、電気的には管内のアノードに接続されている。
【0011】
このような構造のため、管内において、インデックス電極170とビームシールド127との間や、インデックス電極170と内部導電膜122との間などには、通常、浮遊静電容量(浮遊容量)が発生している。特に、ビーム軌道の検出精度を高めるために、インデックス電極170は極力蛍光面111Aに接近させることが望ましく、結果的にインデックス電極170とビームシールド127との間隔は極めて接近した状態になる。このため、インデックス電極170とビームシールド127との間には大きな浮遊容量ができてしまう。
【0012】
図15は、インデックス検出信号の検出部分の等価回路を示している。この回路において、抵抗R10および容量C12は、入力抵抗R10および入力容量であり、管外に設けられている。C10は、インデックス電極170とビームシールド127との間にできる浮遊容量、C11は、インデックス電極170と内部導電膜122との間にできる浮遊容量を示している。IBは、インデックス電極170に入射する電子ビーム105L,105Rに相当する電流源である。
【0013】
電気インデックス法を利用する場合においては、上記浮遊容量C10,C11が、定電流ドライブされて発生するインデックス検出信号の並列負荷(シャント)になり、シャント効果により、インデックス検出信号の高周波数特性を劣化させてしまう問題がある。高周波数特性を改善するには、インデックス抵抗R12(例えば1kΩ)を小さくすれば良いが、この場合、インデックス検出信号の振幅が減少し、S/N比が悪化して信号の検出が困難になる問題がある。
【0014】
一方、近年、テレビジョン用の陰極線管などでは、大型化が進み、また高精細化のために偏向周波数が高くなる傾向にある。このような陰極線管においては、電子ビームの走査速度が速くなり、インデックス電極170も高い周波数で走査される。このため、インデックス検出信号も高い周波数成分まで検出できなくてはならない。上記高周波数特性の劣化があると、高い周波数成分まで信号検出を行うことが困難になり、好ましくない。
【0015】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、電気インデックス法における検出信号の高周波特性を改善し、高い周波数成分まで信号検出を行うことができるようにした陰極線管を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明による陰極線管は、複数の分割画面を蛍光面上で互いに繋ぎ合わせることにより、全体として単一の画面を形成するようにした陰極線管であって、複数の分割画面を形成するための複数の電子ビームを放出する複数の電子銃と、管内の過走査領域に設けられ、電子ビームの入射に応じて電気的な検出信号を出力する電子ビーム検出手段と、管内の過走査領域に設けられ、不要な電子ビームが蛍光面に到達しないよう、その電子ビームを遮蔽する遮蔽手段と、一端が遮蔽手段に接続され、他端が管内のアノード電圧が保たれている部分に接続された抵抗素子とを備えたものである。
【0017】
本発明による陰極線管では、複数の電子銃から複数の電子ビームが放出され、複数の分割画面が形成される。これら複数の分割画面を蛍光面上で互いに繋ぎ合わせることにより、全体として単一の画面が形成される。電子ビーム検出手段からは、電子ビームの入射に応じて電気的な検出信号が出力される。遮蔽手段には抵抗素子が接続され、この抵抗素子を介してアノード電圧が供給される。遮蔽手段に抵抗素子が接続されていることにより、電子ビーム検出手段と遮蔽手段との間などに浮遊容量が発生したとしても、そのシャント効果が低減される。これにより、電子ビーム検出手段からの検出信号の高周波特性の劣化が抑制される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1(A),(B)に示したように、本実施の形態に係る陰極線管は、内側に蛍光面11Aが形成されたパネル部10と、このパネル部10に一体化されたファンネル部20とを備えている。ファンネル部20の後端部の左右にはそれぞれ電子銃31L,31Rを内蔵した2つのネック部30L,30Rが形成されている。パネル部10、ファンネル部20およびネック部30L,30Rよりなる全体形状部分は「外囲器」とも呼ばれる。パネル部10の表面は、蛍光面11Aの発光により画像が表示される画像表示面(管面)11Bとなっている。
【0020】
この陰極線管の内部には、蛍光面11Aに対向するように配置された金属製の薄板よりなる色選別機構(color selection mechanism)12が配置されている。色選別機構12は、その外周がフレーム13によって支持されている。
【0021】
ファンネル部20には、アノード電圧HVを供給するための図示しないアノード端子(アノードボタン)が設けられている。ファンネル部20から各ネック部30L,30Rにかけての外周部分には、偏向ヨーク21L,21Rと、コンバーゼンスヨーク32L,32Rとが取り付けられている。偏向ヨーク21L,21Rは、電子銃31L,31Rから放出された各電子ビーム5L,5Rを偏向させるためのものである。コンバーゼンスヨーク32L,32Rは、各電子銃31L,31Rから放出された各色用の電子ビームのコンバーゼンス(集中)を行うためのものである。
【0022】
ネック部30L,30Rからパネル部10の蛍光面11Aに至る内周面は、導電性の内部導電膜22によって覆われている。内部導電膜22は、アノード端子に電気的に接続され、アノード電圧(高電圧)HVに保たれている。ファンネル部20の外周面は、導電性の外部導電膜23によって覆われている。
【0023】
電子銃31L,31Rは、図示しないが、それぞれ、R,G,Bの各色に対応した3本のカソード(熱陰極)を有している。電子銃31L,31Rから放出された電子ビーム5L,5Rは、それぞれ色選別機構12などを通過して蛍光面11Aの対応する色の蛍光体に照射される。
【0024】
ここで、図1(B)および図2を参照して、この陰極線管の画面構成および電子ビームの走査方式の具体例を説明する。この陰極線管は、左側に配置された電子銃31Lからの電子ビーム5Lによって、画面の約左半分を描画すると共に、右側に配置された電子銃31Rからの電子ビーム5Rによって、画面の約右半分を描画するようになっている。そして、左右の電子ビーム5L,5Rによって形成された各分割画面6L,6Rの端部を、部分的に重ねて繋ぎ合わせることにより、全体として単一の画面SAを形成して画像表示を行うようになっている。画面SAの中央部分は、左右の分割画面6L,6Rがオーバ・ラップする(重複する)領域OLとなる。オーバ・ラップ領域OLにおける蛍光面11Aは、各電子ビーム5L,5Rに共有される(共通して走査される)ことになる。
【0025】
なお、本実施の形態において、過走査領域とは、電子ビーム5L,5Rの各々の走査領域において、有効画面を形成する電子ビーム5L,5Rの各々の走査領域の外側の領域のことをいう。図1においては、領域SW1が、電子ビーム5Rについての水平方向の有効画面領域であり、領域SW2が、電子ビーム5Lについての水平方向の有効画面領域である。
【0026】
図2(A),(B)に示した走査方式は、いわゆるライン走査(主走査)を画面上の上下方向(縦方向)に行い、いわゆるフィールド(またはフレーム)走査を水平方向(横方向)に行うようにしたものである。この走査方式は、ライン走査を縦方向に行っているので、以下では、“縦走査方式”と呼ぶ。なお、図2(A),(B)に示した走査例において、ライン走査を、画面の下から上(−Y方向)に向けて行うことも可能である。
【0027】
図2(C)に示した走査方式は、一般的な陰極線管と同様に、ライン走査を水平方向に行い、フィールド(またはフレーム)走査を上下方向に行うようにしたものである。この例では、図2(B)に示した走査方式に対して、電子ビーム5L,5Rによるそれぞれのライン走査およびフィールド走査をちょうど逆転させた形となっている。
【0028】
この陰極線管の管内において、隣接する左右の分割画面6L,6Rの繋ぎ目側(画面全体のほぼ中央部分)における電子ビーム5L,5Rの過走査(オーバ・スキャン)領域OSには、図1(A)の紙面に垂直な方向に細長い、長方形の平板状のインデックス電極70が、蛍光面11Aに対向する位置に設けられている。インデックス電極70は、管内において、重複領域OLに対応する位置に設けられているともいえる。
【0029】
この陰極線管の管内において、さらに、インデックス電極70と蛍光面11Aとの間には、ビームシールド27が配置されている。ビームシールド27は、過走査領域OSを過走査した電子ビーム5L,5Rが蛍光面11Aに到達して不用意に発光しないように、電子ビーム5L,5Rを遮蔽する機能を有している。このビームシールド27は、断面が例えばV字形状で、インデックス電極70と同様、図1(A)の紙面に垂直な方向に細長い形状となっている。
【0030】
ビームシールド27は、その両端部が、絶縁体を介して、例えばフレーム13に取り付けられている。このビームシールド27には、後述するように周波数特性改善用抵抗R1(図3)が接続されている。なお、図1では、周波数特性改善用抵抗R1の図示を省略している。
【0031】
インデックス電極70は、電子ビーム5L,5Rの入射に応じた電気的な検出信号を出力する機能を有している。インデックス電極70は、金属などの導電性の物質からなるものであり、例えば、フレーム13を基台にして図示しない絶縁物を介して架設されている。
【0032】
このインデックス電極70において、過走査した電子ビーム5L,5Rが入射すると、インデックス電極70における電位が、通常より電圧降下する。本陰極線管においては、この電圧降下した信号が、インデックス検出信号としてインデックス信号出力用キャパシタCfを経由して管外に導かれ、主として画像状態の補正に利用されるようになっている。
【0033】
図2(C)の走査方式の場合には、インデックス電極70として、例えば図5に示した構造のものを用いることができる。すなわち、長手方向に例えば逆三角形状の切り欠き孔71を等間隔に複数設けた構造のものを用いることができる。このような切り欠き孔71が設けられていることにより、図5に示したように、走査位置の異なる電子ビームB1,B2によって走査されると、インデックス電極70からは、切り欠き孔71の形状に応じたパルス信号が出力される。このパルス信号を解析することにより、そのビーム軌道を直接的に検出することが可能となる。
【0034】
一方、例えば図2(A),(B)の縦走査方式の場合には、例えば図6に示したような構造のインデックス電極70Aを用いることができる。このインデックス電極70Aには、第1の切り欠き孔131と第2の切り欠き孔132とが、交互に複数配置されている。第1の切り欠き孔131は、例えば水平方向に長い長方形状となっている。第2の切り欠き孔132も略長方形状であり、第1の切り欠き孔131に対して斜めに配置されている。このインデックス電極70Aにおいても、走査位置の異なる電子ビームB1,B2によって走査されると、インデックス電極70から、第1の切り欠き孔131と第2の切り欠き孔132の形状に応じたパルス信号が出力され、このパルス信号を解析することにより、そのビーム軌道を直接的に検出することが可能となる。
【0035】
図3は、インデックス電極70の周辺部の構造を示している。また、図4は、この周辺部の構造によって形成されるインデックス検出信号の検出回路を等価的に示している。
【0036】
インデックス電極70には、インデックス抵抗R2の一端が電気的に接続されている。インデックス抵抗R2の他端は、アノード電圧HVが保たれている部分に電気的に接続されている。図3では、インデックス抵抗R2の他端が内部導電膜22に接続されているが、実際には、例えばフレーム13に接続されている。従って、インデックス電極70には、インデックス抵抗R2を介してアノード電圧HVが供給される。また、インデックス電極70は、信号出力用キャパシタCfの内部電極42にリード線26を介して電気的に接続されている。
【0037】
信号出力用キャパシタCfは、インデックス電極70によって発生した電気的なインデックス検出信号を管外に出力するためのものである。この信号出力用キャパシタCfは、管外側に設けられた外部電極41と、管内側に設けられた内部電極42と、誘電体部43とを有している。誘電体部43は、ファンネル部20などの誘電性を有する構成部分20Aの一部を利用したものである。外部電極41と内部電極42は、誘電体部43を介して互いに対向配置されている。外部電極41は、インデックス検出信号を出力するための出力端子61に電気的に接続されている。
【0038】
ビームシールド27には、周波数特性改善用抵抗R1(以下、単に「特性改善用抵抗R1」と記す。)の一端が接続されている。特性改善用抵抗R1の他端は、アノード電圧HVが保たれている部分に電気的に接続されている。図3では、特性改善用抵抗R1の他端が内部導電膜22に接続されているが、実際には、例えばフレーム13に接続されている。従って、ビームシールド27には、特性改善用抵抗R1を介してアノード電圧HVが供給される。
【0039】
管内において、インデックス電極70とビームシールド27との間や、インデックス電極70と内部導電膜22との間などには、通常、浮遊容量C0,C1が発生している。特性改善用抵抗R1は、これらの浮遊容量C0,C1に起因する、インデックス検出信号の高周波数特性の劣化を改善するために設けられている。
【0040】
特性改善用抵抗R1の抵抗値は、特に精度を要するものではないが、その値が小さいと浮遊容量C0,C1によるシャント効果が現れてくるので、インデックス抵抗R2に比べて数倍以上、望ましくは10倍以上の値であれば良い。
【0041】
図4の等価回路に示したように、信号出力用キャパシタCfの外部電極41は、信号増幅用のアンプAMP1に接続されている。アンプAMP1の出力端子63は、後述のインデックス信号処理部51(図7)に接続されている。信号出力用キャパシタCfとアンプAMP1との間には、アンプAMP1の入力抵抗R0および入力容量C2が接続されている。
【0042】
この等価回路においては、インデックス電極70に入射する電子ビーム5L,5Rを、完全な電流源IBとして表している。電流源IB、インデックス抵抗R2、および浮遊容量C0,C1の一端は、等価的には信号出力用キャパシタCfの内部電極42に接続されている。浮遊容量C0と特性改善用抵抗R1は、等価的には直列接続されている。
【0043】
図7は、この陰極線管の信号処理回路を示している。この陰極線管は、演算部50と、映像信号処理部53L,53Rと、偏向制御部54L,54Rとを備えている。演算部50は、マイクロ・コンピュータなどにより構成され、インデックス信号処理部51と補正量演算部52とを有している。
【0044】
インデックス信号処理部51は、アンプAMP1によって増幅されたインデックス検出信号S1の波形整形などを行い、それを補正量演算部52に出力するようになっている。補正量演算部52は、インデックス信号処理部51からの出力信号に基づいて、画歪み補正など、映像表示を適正化するための補正データを算出し、それを映像信号処理部53L,53Rおよび偏向制御部54L,54Rに出力するようになっている。
【0045】
映像信号処理部53L,53Rは、補正量演算部52からの補正データに基づいて、映像信号を補正し、その補正後の信号に基づいて電子銃31L,31Rを駆動するようになっている。偏向制御部54L,54Rは、同期信号および補正量演算部52からの補正データに基づいて、偏向ヨーク21L,21Rおよびコンバーゼンスヨーク32L,32Rを制御し、電子ビーム5L,5Rの走査制御を行うようになっている。
【0046】
なお、インデックス電極70による信号検出、ならびにそのインデックス検出信号による映像表示の適正化の手法などについては、本願出願人による特許第3068115号公報および特許第3057230号公報等に、より具体的に記載されている。
【0047】
なお、本実施の形態において、インデックス電極70が、本発明における「電子ビーム検出手段」の一具体例に対応し、ビームシールド27が、本発明における「遮蔽手段」の一具体例に対応する。特性改善用抵抗R1が、本発明における「抵抗素子」の一具体例に対応する。
【0048】
次に、この陰極線管の動作について説明する。
【0049】
この陰極線管において、各電子銃31L,31Rは、映像信号に対応するよう与えられたカソード駆動電圧に応じて、電子ビーム5L,5Rを放出する。電子ビーム5L,5Rは、それぞれコンバーゼンスヨーク32L,32Rの電磁的な作用によりコンバーゼンスが行われると共に、偏向ヨーク21L,21Rの電磁的な作用により偏向される。このとき、左側の電子ビーム5Lによって、画面の約左半分が描画され、分割画面6Lが形成されると共に、右側の電子ビーム5Rによって、画面の約右半分が描画され、分割画面6Rが形成される。このように形成された左右の分割画面6L,6Rの端部がオーバ・ラップ領域OLにおいて、部分的に重なるように繋ぎ合わされることにより、全体として単一の画面SAが形成される。
【0050】
電子ビーム5L,5Rが、それぞれ過走査領域OSを走査し、インデックス電極70に入射すると、インデックス電極70において電圧降下が生じる。この電圧降下に応じた信号が、インデックス検出信号として、信号出力用キャパシタCfを経由して管外に出力される。
【0051】
管外に出力されたインデックス検出信号は、図7に示したように、アンプAMP1を介してインデックス信号処理部51に入力され、その後、補正量演算部52に出力される。補正量演算部52は、インデックス信号処理部51からの出力信号に基づいて、画歪み補正など、映像表示を適正化するための補正データを算出し、それを映像信号処理部53L,53Rおよび偏向制御部54L,54Rに出力する。
【0052】
映像信号処理部53L,53Rは、補正量演算部52からの補正データに基づいて、映像信号を補正し、その補正後の信号に基づいて電子銃31L,31Rを駆動する。映像信号を補正することにより、画歪みなどの適正化のほか、左右の分割画面の繋ぎ目部分における輝度分布の適正化を行うことができる。偏向制御部54L,54Rは、同期信号および補正量演算部52からの補正データに基づいて、偏向ヨーク21L,21Rおよびコンバーゼンスヨーク32L,32Rを制御し、電子ビーム5L,5Rの走査制御を行う。これにより、電子ビーム5L,5Rの走査位置の補正が行われ、画歪みなどが補正される。
【0053】
このように、インデックス電極70により、電子ビーム5L,5Rの走査の軌跡を直接的に検出することが可能となり、精度良く画像補正を行うことが可能となる。また、左右の分割画面の繋ぎ目部分における輝度分布の補正を行うことが可能となる。これにより、左右の分割画面が、位置的にも輝度的にも適正に繋ぎ合わされて表示される。
【0054】
この陰極線管では、ビームシールド27に特性改善用抵抗R1(図3)が接続されていることにより、浮遊容量C0,C1によるシャント効果が低減され、インデックス検出信号の高周波特性の改善が図られる。次に、この改善されたインデックス検出信号の周波数特性を具体的にシミュレーションして示す。
【0055】
図8は、シミュレーションに用いた回路の第1の具体例を示している。図のように、信号出力用キャパシタCfの入力側(管内側)と出力側(管外側)とに、それぞれ検出器81,82を配置して周波数特性を測定した。この回路において、各素子の抵抗値および容量値は、以下のとおりである。特性改善用抵抗R1の抵抗値は10kΩであり、インデックス抵抗R2の10倍に設定した。
R0=1MΩ
R1=10kΩ
R2=1kΩ
Cf=5pF
C0=17pF
C1=17pF
C2=10pF
【0056】
図10は、第2の具体例の回路を示している。この回路は、浮遊容量の容量値をC0=27pF,C1=7pFに変えたことを除いて、上記第1の具体例と同様である。なお、2つの浮遊容量C0,C1の容量値の合計は34pFとし、第1および第2の具体例で同一値に設定した。
【0057】
図9および図11に、それぞれ、上記第1および第2の具体例のシミュレーション結果を示す。図9および図11において、縦軸はゲイン(dB)を示し、横軸は周波数(Hz)を示している。図中、△印でプロットした曲線は、管内側で発生するインデックス検出信号の周波数特性を示し、□印でプロットした曲線は、管外側に出力されたインデックス検出信号の周波数特性を示す。
【0058】
図13に、比較例として、特性改善用抵抗R1を設けなかった場合の周波数特性を示す。この比較例の回路は、図12に示したように、特性改善用抵抗R1を設けていないことを除いて、上記第2の具体例(図10)と同様である。図13において、曲線231は、管内側で発生するインデックス検出信号の周波数特性を示し、曲線232は、管外側に出力されたインデックス検出信号の周波数特性を示す。
【0059】
以上の結果から分かるように、特性改善用抵抗R1を設けなかった場合(図13)に比べて、特性改善用抵抗R1を設けた場合(図9および図11)の方が、高周波領域での信号劣化が少なく、周波数特性が改善されている。
【0060】
なお、実際の陰極線管では、インデックス電極70とビームシールド27との間の浮遊容量C0の方が、インデックス電極70と内部導電膜22との間の浮遊容量C1に比べて大きいと考えられる。すなわち、図11に示した第2の具体例の方が、実際の陰極線管の性能に近いと考えられる。周波数特性は、第2の具体例の方が大きく改善されており、実際の陰極線管に適用した場合には特性改善用抵抗R1による大きな効果が期待される。
【0061】
以上説明したように、本実施の形態によれば、従来ではアノードに直接接続されていたビームシールド27を、特性改善用抵抗R1を介してアノードに接続することにより、浮遊容量C0,C1によるシャント効果を軽減させることができる。これにより、信号振幅(信号レベル)を低下させずに、インデックス検出信号の高域の周波数特性を改善することができる。このとき、ビームシールド27による電子ビーム5L,5Rの遮蔽機能自体はまったく損なわれない。
【0062】
このように、本実施の形態によれば、電気インデックス法におけるインデックス検出信号の高周波特性を改善し、高い周波数成分まで信号検出を行うことができる。周波数特性が改善されるので、大型のディスプレイ装置や偏向周波数の高い高精細のディスプレイ装置に適用した場合に特に有効であり、その場合においても電子ビーム5L,5Rの軌道を精度良く検出することができる。
【0063】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず種々の変形実施が可能である。例えば、本発明は、3つ以上の電子銃を備え、1つの画面を3つ以上の走査画面を合成して形成するようにしたものにも適用することが可能である。また、本発明は、カラー表示、およびモノクロ表示のいずれの陰極線管にも適用可能である。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の陰極線管によれば、遮蔽手段に抵抗素子を接続し、電子ビーム検出手段と遮蔽手段との間などに浮遊容量が発生したとしても、そのシャント効果が低減されるようにしたので、電子ビーム検出手段からの検出信号の高周波特性の劣化が抑制される。これにより、電気インデックス法における検出信号の高周波特性が改善され、高い周波数成分まで信号検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る陰極線管の概略を示す図であり、(B)は、陰極線管の画面構成を示す正面図、(A)は、(B)におけるIA−IA線断面図である。
【図2】図1に示した陰極線管における電子ビームの走査方式および画面構成の例を示す説明図である。
【図3】図1に示した陰極線管におけるインデックス検出信号の取り出し部分の構成を示す断面図である。
【図4】図1に示した陰極線管におけるインデックス検出信号の検出部分の等価回路を示す回路図である。
【図5】図1に示した陰極線管におけるインデックス電極の構成例を示す図である。
【図6】図1に示した陰極線管におけるインデックス電極の他の構成例を示す図である。
【図7】図1に示した陰極線管における信号処理回路の構成例を示すブロック図である。
【図8】インデックス信号検出回路の第1の具体例を示す回路図である。
【図9】図8に示した回路例における周波数特性を示す図である。
【図10】インデックス信号検出回路の第2の具体例を示す回路図である。
【図11】図10に示した回路例における周波数特性を示す図である。
【図12】従来のインデックス信号検出回路の具体例を示す回路図である。
【図13】図12に示した回路例における周波数特性を示す図である。
【図14】従来の陰極線管の構成例を示す断面図である。
【図15】従来の陰極線管におけるインデックス検出信号の検出部分の等価回路を示す回路図である。
【符号の説明】
C0,C1…浮遊容量、Cf…信号出力用キャパシタ、OL…重複(オーバ・ラップ)領域、OS…過走査(オーバ・スキャン)領域、R1…周波数特性改善用抵抗、R2…インデックス抵抗、S1…インデックス検出信号、5L,5R…電子ビーム、6L,6R…分割画面、10…パネル部、11A…蛍光面、11B…管面、20…ファンネル部、21L,21R…偏向ヨーク、22…内部導電膜、23…外部導電膜、27…ビームシールド、30L,30R…ネック部、31L,31R…電子銃、50…演算部、51…インデックス信号処理部、52…補正量演算部、53L,53R…映像信号処理部、54L,54R…偏向制御部、70,70A…インデックス電極。
【発明の属する技術分野】
本発明は、テレビジョン受像機や各種のモニタ装置などに利用される陰極線管に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、テレビジョン受像機や各種のモニタ装置などには、陰極線管(CRT;Cathode Ray Tube)が広く使用されている。陰極線管は、単一の電子銃を備えた構成が一般的であるが、近年では、複数の電子銃を備えた構成のものが開発されている。陰極線管において複数の電子銃を用いる方式は、“複電子銃方式”などと呼ばれている。
【0003】
複電子銃方式の陰極線管では、画面領域を複数に分割すると共に、その分割された複数の画面領域(以下、「分割画面」ともいう。)を互いに繋ぎ合わせることにより、全体として1つの画面を形成する。電子銃は、画面の分割数に対応した数だけ設けられる。各分割画面は、それぞれ、対応する電子銃から放出された電子ビームによって走査される。複電子銃方式の陰極線管における画面構成としては、単に各分割画面の端部を線状に繋ぎ合わせることにより1つの画面を得るようにしたものと、隣接する分割画面同士を部分的に重複(オーバ・ラップ)させて1つの画面を得るようにしたものとがある。
【0004】
ところで、従来より陰極線管は、その使用条件によって画像の表示状態が変化することが知られている。例えば、陰極線管を利用する環境によっては、地磁気などの外部磁場から受ける影響が異なるため、一般に、「画歪み」と呼ばれる画像の歪みが生じる。このような表示状態の変化は、上述の複電子銃方式の陰極線管においては、繋ぎ目部分の表示状態の精度にも悪影響を及ぼす。
【0005】
そこで、本願出願人は、先に、特許第3068115号公報および特許第3057230号公報等において、電子ビームの走査位置に応じて電気的な検出信号を出力し、その検出信号を画像の表示状態の補正に利用する技術を提案している。この技術では、管内における電子ビームの過走査領域に、インデックス電極と呼ばれる電極を設け、電子ビームの入射に応じてインデックス電極から電気的な信号(インデックス検出信号)を出力する。以下、このインデックス電極を用いた信号検出方法を「電気インデックス法」という。
【0006】
図14に、複電子銃方式の陰極線管において、上記電気インデックス法を適用した構成例を示す。この陰極線管は、内側に蛍光面111Aが形成されたパネル部110と、このパネル部110に一体化されたファンネル部120とを備えている。ファンネル部120の後端部の左右にはそれぞれ電子銃131L,131Rを内蔵した2つのネック部130L,130Rが形成されている。
【0007】
この陰極線管では、左側に配置された電子銃131Lからの電子ビーム105Lによって、画面の約左半分が描画されると共に、右側に配置された電子銃131Rからの電子ビーム105Rによって、画面の約右半分が描画される。そして、左右の電子ビーム105L,105Rによって形成された各分割画面の端部を、部分的に重ねて繋ぎ合わせることにより、全体として単一の画面を形成して画像表示を行う。全体形成された画面の中央部分が、左右の分割画面がオーバ・ラップする(重複する)領域OLとなる。図中、領域SW2,SW1は、それぞれ各電子ビーム105L,105Rについての有効画面領域を示す。
【0008】
この陰極線管の管内において、各分割画面の繋ぎ目側における電子ビーム105L,105Rの過走査(オーバ・スキャン)領域OSには、インデックス電極170が、蛍光面111Aに対向する位置に設けられている。インデックス電極170は、長方形の平板状のものであり、図14の紙面に垂直な方向に細長い形状となっている。このインデックス電極170は、インデックス抵抗R12の一端に電気的に接続されている。インデックス抵抗R12の他端は、アノード電圧が供給される部分(例えばフレーム113など)に電気的に接続されている。従って、インデックス電極170には、インデックス抵抗R12を介してアノード電圧HVが供給される。このインデックス電極170において、過走査した電子ビーム105L,105Rが入射すると、インデックス電極170における電位が、通常より電圧降下する。この電圧降下した信号が、インデックス検出信号としてインデックス信号出力用キャパシタC100を経由して管外に出力され、画像補正に利用される。このインデックス電極170により、電子ビーム105L,105Rの走査の軌跡を直接的に検出することが可能となり、精度良く画像補正を行うことができる。
【0009】
この陰極線管の管内において、さらに、インデックス電極170と蛍光面111Aとの間には、ビームシールド127が配置されている。ビームシールド127は、過走査領域OSを過走査した電子ビーム105L,105Rが蛍光面111Aに到達して不用意に発光しないように、電子ビーム105L,105Rを遮蔽する機能を有している。このビームシールド127は、断面が例えばV字形状で、インデックス電極170と同様、図14の紙面に垂直な方向に細長い形状となっている。ビームシールド127は、例えばフレーム113を基台にして架設されている。このため、ビームシールド127は、フレーム113を介して内部導電膜122に電気的に接続されることになり、アノード電圧HVが供給される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このように、この陰極線管の管内には、インデックス電極170とビームシールド127とが近接して設けられている。そして、ビームシールド127は、電気的には管内のアノードに接続されている。
【0011】
このような構造のため、管内において、インデックス電極170とビームシールド127との間や、インデックス電極170と内部導電膜122との間などには、通常、浮遊静電容量(浮遊容量)が発生している。特に、ビーム軌道の検出精度を高めるために、インデックス電極170は極力蛍光面111Aに接近させることが望ましく、結果的にインデックス電極170とビームシールド127との間隔は極めて接近した状態になる。このため、インデックス電極170とビームシールド127との間には大きな浮遊容量ができてしまう。
【0012】
図15は、インデックス検出信号の検出部分の等価回路を示している。この回路において、抵抗R10および容量C12は、入力抵抗R10および入力容量であり、管外に設けられている。C10は、インデックス電極170とビームシールド127との間にできる浮遊容量、C11は、インデックス電極170と内部導電膜122との間にできる浮遊容量を示している。IBは、インデックス電極170に入射する電子ビーム105L,105Rに相当する電流源である。
【0013】
電気インデックス法を利用する場合においては、上記浮遊容量C10,C11が、定電流ドライブされて発生するインデックス検出信号の並列負荷(シャント)になり、シャント効果により、インデックス検出信号の高周波数特性を劣化させてしまう問題がある。高周波数特性を改善するには、インデックス抵抗R12(例えば1kΩ)を小さくすれば良いが、この場合、インデックス検出信号の振幅が減少し、S/N比が悪化して信号の検出が困難になる問題がある。
【0014】
一方、近年、テレビジョン用の陰極線管などでは、大型化が進み、また高精細化のために偏向周波数が高くなる傾向にある。このような陰極線管においては、電子ビームの走査速度が速くなり、インデックス電極170も高い周波数で走査される。このため、インデックス検出信号も高い周波数成分まで検出できなくてはならない。上記高周波数特性の劣化があると、高い周波数成分まで信号検出を行うことが困難になり、好ましくない。
【0015】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、電気インデックス法における検出信号の高周波特性を改善し、高い周波数成分まで信号検出を行うことができるようにした陰極線管を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明による陰極線管は、複数の分割画面を蛍光面上で互いに繋ぎ合わせることにより、全体として単一の画面を形成するようにした陰極線管であって、複数の分割画面を形成するための複数の電子ビームを放出する複数の電子銃と、管内の過走査領域に設けられ、電子ビームの入射に応じて電気的な検出信号を出力する電子ビーム検出手段と、管内の過走査領域に設けられ、不要な電子ビームが蛍光面に到達しないよう、その電子ビームを遮蔽する遮蔽手段と、一端が遮蔽手段に接続され、他端が管内のアノード電圧が保たれている部分に接続された抵抗素子とを備えたものである。
【0017】
本発明による陰極線管では、複数の電子銃から複数の電子ビームが放出され、複数の分割画面が形成される。これら複数の分割画面を蛍光面上で互いに繋ぎ合わせることにより、全体として単一の画面が形成される。電子ビーム検出手段からは、電子ビームの入射に応じて電気的な検出信号が出力される。遮蔽手段には抵抗素子が接続され、この抵抗素子を介してアノード電圧が供給される。遮蔽手段に抵抗素子が接続されていることにより、電子ビーム検出手段と遮蔽手段との間などに浮遊容量が発生したとしても、そのシャント効果が低減される。これにより、電子ビーム検出手段からの検出信号の高周波特性の劣化が抑制される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1(A),(B)に示したように、本実施の形態に係る陰極線管は、内側に蛍光面11Aが形成されたパネル部10と、このパネル部10に一体化されたファンネル部20とを備えている。ファンネル部20の後端部の左右にはそれぞれ電子銃31L,31Rを内蔵した2つのネック部30L,30Rが形成されている。パネル部10、ファンネル部20およびネック部30L,30Rよりなる全体形状部分は「外囲器」とも呼ばれる。パネル部10の表面は、蛍光面11Aの発光により画像が表示される画像表示面(管面)11Bとなっている。
【0020】
この陰極線管の内部には、蛍光面11Aに対向するように配置された金属製の薄板よりなる色選別機構(color selection mechanism)12が配置されている。色選別機構12は、その外周がフレーム13によって支持されている。
【0021】
ファンネル部20には、アノード電圧HVを供給するための図示しないアノード端子(アノードボタン)が設けられている。ファンネル部20から各ネック部30L,30Rにかけての外周部分には、偏向ヨーク21L,21Rと、コンバーゼンスヨーク32L,32Rとが取り付けられている。偏向ヨーク21L,21Rは、電子銃31L,31Rから放出された各電子ビーム5L,5Rを偏向させるためのものである。コンバーゼンスヨーク32L,32Rは、各電子銃31L,31Rから放出された各色用の電子ビームのコンバーゼンス(集中)を行うためのものである。
【0022】
ネック部30L,30Rからパネル部10の蛍光面11Aに至る内周面は、導電性の内部導電膜22によって覆われている。内部導電膜22は、アノード端子に電気的に接続され、アノード電圧(高電圧)HVに保たれている。ファンネル部20の外周面は、導電性の外部導電膜23によって覆われている。
【0023】
電子銃31L,31Rは、図示しないが、それぞれ、R,G,Bの各色に対応した3本のカソード(熱陰極)を有している。電子銃31L,31Rから放出された電子ビーム5L,5Rは、それぞれ色選別機構12などを通過して蛍光面11Aの対応する色の蛍光体に照射される。
【0024】
ここで、図1(B)および図2を参照して、この陰極線管の画面構成および電子ビームの走査方式の具体例を説明する。この陰極線管は、左側に配置された電子銃31Lからの電子ビーム5Lによって、画面の約左半分を描画すると共に、右側に配置された電子銃31Rからの電子ビーム5Rによって、画面の約右半分を描画するようになっている。そして、左右の電子ビーム5L,5Rによって形成された各分割画面6L,6Rの端部を、部分的に重ねて繋ぎ合わせることにより、全体として単一の画面SAを形成して画像表示を行うようになっている。画面SAの中央部分は、左右の分割画面6L,6Rがオーバ・ラップする(重複する)領域OLとなる。オーバ・ラップ領域OLにおける蛍光面11Aは、各電子ビーム5L,5Rに共有される(共通して走査される)ことになる。
【0025】
なお、本実施の形態において、過走査領域とは、電子ビーム5L,5Rの各々の走査領域において、有効画面を形成する電子ビーム5L,5Rの各々の走査領域の外側の領域のことをいう。図1においては、領域SW1が、電子ビーム5Rについての水平方向の有効画面領域であり、領域SW2が、電子ビーム5Lについての水平方向の有効画面領域である。
【0026】
図2(A),(B)に示した走査方式は、いわゆるライン走査(主走査)を画面上の上下方向(縦方向)に行い、いわゆるフィールド(またはフレーム)走査を水平方向(横方向)に行うようにしたものである。この走査方式は、ライン走査を縦方向に行っているので、以下では、“縦走査方式”と呼ぶ。なお、図2(A),(B)に示した走査例において、ライン走査を、画面の下から上(−Y方向)に向けて行うことも可能である。
【0027】
図2(C)に示した走査方式は、一般的な陰極線管と同様に、ライン走査を水平方向に行い、フィールド(またはフレーム)走査を上下方向に行うようにしたものである。この例では、図2(B)に示した走査方式に対して、電子ビーム5L,5Rによるそれぞれのライン走査およびフィールド走査をちょうど逆転させた形となっている。
【0028】
この陰極線管の管内において、隣接する左右の分割画面6L,6Rの繋ぎ目側(画面全体のほぼ中央部分)における電子ビーム5L,5Rの過走査(オーバ・スキャン)領域OSには、図1(A)の紙面に垂直な方向に細長い、長方形の平板状のインデックス電極70が、蛍光面11Aに対向する位置に設けられている。インデックス電極70は、管内において、重複領域OLに対応する位置に設けられているともいえる。
【0029】
この陰極線管の管内において、さらに、インデックス電極70と蛍光面11Aとの間には、ビームシールド27が配置されている。ビームシールド27は、過走査領域OSを過走査した電子ビーム5L,5Rが蛍光面11Aに到達して不用意に発光しないように、電子ビーム5L,5Rを遮蔽する機能を有している。このビームシールド27は、断面が例えばV字形状で、インデックス電極70と同様、図1(A)の紙面に垂直な方向に細長い形状となっている。
【0030】
ビームシールド27は、その両端部が、絶縁体を介して、例えばフレーム13に取り付けられている。このビームシールド27には、後述するように周波数特性改善用抵抗R1(図3)が接続されている。なお、図1では、周波数特性改善用抵抗R1の図示を省略している。
【0031】
インデックス電極70は、電子ビーム5L,5Rの入射に応じた電気的な検出信号を出力する機能を有している。インデックス電極70は、金属などの導電性の物質からなるものであり、例えば、フレーム13を基台にして図示しない絶縁物を介して架設されている。
【0032】
このインデックス電極70において、過走査した電子ビーム5L,5Rが入射すると、インデックス電極70における電位が、通常より電圧降下する。本陰極線管においては、この電圧降下した信号が、インデックス検出信号としてインデックス信号出力用キャパシタCfを経由して管外に導かれ、主として画像状態の補正に利用されるようになっている。
【0033】
図2(C)の走査方式の場合には、インデックス電極70として、例えば図5に示した構造のものを用いることができる。すなわち、長手方向に例えば逆三角形状の切り欠き孔71を等間隔に複数設けた構造のものを用いることができる。このような切り欠き孔71が設けられていることにより、図5に示したように、走査位置の異なる電子ビームB1,B2によって走査されると、インデックス電極70からは、切り欠き孔71の形状に応じたパルス信号が出力される。このパルス信号を解析することにより、そのビーム軌道を直接的に検出することが可能となる。
【0034】
一方、例えば図2(A),(B)の縦走査方式の場合には、例えば図6に示したような構造のインデックス電極70Aを用いることができる。このインデックス電極70Aには、第1の切り欠き孔131と第2の切り欠き孔132とが、交互に複数配置されている。第1の切り欠き孔131は、例えば水平方向に長い長方形状となっている。第2の切り欠き孔132も略長方形状であり、第1の切り欠き孔131に対して斜めに配置されている。このインデックス電極70Aにおいても、走査位置の異なる電子ビームB1,B2によって走査されると、インデックス電極70から、第1の切り欠き孔131と第2の切り欠き孔132の形状に応じたパルス信号が出力され、このパルス信号を解析することにより、そのビーム軌道を直接的に検出することが可能となる。
【0035】
図3は、インデックス電極70の周辺部の構造を示している。また、図4は、この周辺部の構造によって形成されるインデックス検出信号の検出回路を等価的に示している。
【0036】
インデックス電極70には、インデックス抵抗R2の一端が電気的に接続されている。インデックス抵抗R2の他端は、アノード電圧HVが保たれている部分に電気的に接続されている。図3では、インデックス抵抗R2の他端が内部導電膜22に接続されているが、実際には、例えばフレーム13に接続されている。従って、インデックス電極70には、インデックス抵抗R2を介してアノード電圧HVが供給される。また、インデックス電極70は、信号出力用キャパシタCfの内部電極42にリード線26を介して電気的に接続されている。
【0037】
信号出力用キャパシタCfは、インデックス電極70によって発生した電気的なインデックス検出信号を管外に出力するためのものである。この信号出力用キャパシタCfは、管外側に設けられた外部電極41と、管内側に設けられた内部電極42と、誘電体部43とを有している。誘電体部43は、ファンネル部20などの誘電性を有する構成部分20Aの一部を利用したものである。外部電極41と内部電極42は、誘電体部43を介して互いに対向配置されている。外部電極41は、インデックス検出信号を出力するための出力端子61に電気的に接続されている。
【0038】
ビームシールド27には、周波数特性改善用抵抗R1(以下、単に「特性改善用抵抗R1」と記す。)の一端が接続されている。特性改善用抵抗R1の他端は、アノード電圧HVが保たれている部分に電気的に接続されている。図3では、特性改善用抵抗R1の他端が内部導電膜22に接続されているが、実際には、例えばフレーム13に接続されている。従って、ビームシールド27には、特性改善用抵抗R1を介してアノード電圧HVが供給される。
【0039】
管内において、インデックス電極70とビームシールド27との間や、インデックス電極70と内部導電膜22との間などには、通常、浮遊容量C0,C1が発生している。特性改善用抵抗R1は、これらの浮遊容量C0,C1に起因する、インデックス検出信号の高周波数特性の劣化を改善するために設けられている。
【0040】
特性改善用抵抗R1の抵抗値は、特に精度を要するものではないが、その値が小さいと浮遊容量C0,C1によるシャント効果が現れてくるので、インデックス抵抗R2に比べて数倍以上、望ましくは10倍以上の値であれば良い。
【0041】
図4の等価回路に示したように、信号出力用キャパシタCfの外部電極41は、信号増幅用のアンプAMP1に接続されている。アンプAMP1の出力端子63は、後述のインデックス信号処理部51(図7)に接続されている。信号出力用キャパシタCfとアンプAMP1との間には、アンプAMP1の入力抵抗R0および入力容量C2が接続されている。
【0042】
この等価回路においては、インデックス電極70に入射する電子ビーム5L,5Rを、完全な電流源IBとして表している。電流源IB、インデックス抵抗R2、および浮遊容量C0,C1の一端は、等価的には信号出力用キャパシタCfの内部電極42に接続されている。浮遊容量C0と特性改善用抵抗R1は、等価的には直列接続されている。
【0043】
図7は、この陰極線管の信号処理回路を示している。この陰極線管は、演算部50と、映像信号処理部53L,53Rと、偏向制御部54L,54Rとを備えている。演算部50は、マイクロ・コンピュータなどにより構成され、インデックス信号処理部51と補正量演算部52とを有している。
【0044】
インデックス信号処理部51は、アンプAMP1によって増幅されたインデックス検出信号S1の波形整形などを行い、それを補正量演算部52に出力するようになっている。補正量演算部52は、インデックス信号処理部51からの出力信号に基づいて、画歪み補正など、映像表示を適正化するための補正データを算出し、それを映像信号処理部53L,53Rおよび偏向制御部54L,54Rに出力するようになっている。
【0045】
映像信号処理部53L,53Rは、補正量演算部52からの補正データに基づいて、映像信号を補正し、その補正後の信号に基づいて電子銃31L,31Rを駆動するようになっている。偏向制御部54L,54Rは、同期信号および補正量演算部52からの補正データに基づいて、偏向ヨーク21L,21Rおよびコンバーゼンスヨーク32L,32Rを制御し、電子ビーム5L,5Rの走査制御を行うようになっている。
【0046】
なお、インデックス電極70による信号検出、ならびにそのインデックス検出信号による映像表示の適正化の手法などについては、本願出願人による特許第3068115号公報および特許第3057230号公報等に、より具体的に記載されている。
【0047】
なお、本実施の形態において、インデックス電極70が、本発明における「電子ビーム検出手段」の一具体例に対応し、ビームシールド27が、本発明における「遮蔽手段」の一具体例に対応する。特性改善用抵抗R1が、本発明における「抵抗素子」の一具体例に対応する。
【0048】
次に、この陰極線管の動作について説明する。
【0049】
この陰極線管において、各電子銃31L,31Rは、映像信号に対応するよう与えられたカソード駆動電圧に応じて、電子ビーム5L,5Rを放出する。電子ビーム5L,5Rは、それぞれコンバーゼンスヨーク32L,32Rの電磁的な作用によりコンバーゼンスが行われると共に、偏向ヨーク21L,21Rの電磁的な作用により偏向される。このとき、左側の電子ビーム5Lによって、画面の約左半分が描画され、分割画面6Lが形成されると共に、右側の電子ビーム5Rによって、画面の約右半分が描画され、分割画面6Rが形成される。このように形成された左右の分割画面6L,6Rの端部がオーバ・ラップ領域OLにおいて、部分的に重なるように繋ぎ合わされることにより、全体として単一の画面SAが形成される。
【0050】
電子ビーム5L,5Rが、それぞれ過走査領域OSを走査し、インデックス電極70に入射すると、インデックス電極70において電圧降下が生じる。この電圧降下に応じた信号が、インデックス検出信号として、信号出力用キャパシタCfを経由して管外に出力される。
【0051】
管外に出力されたインデックス検出信号は、図7に示したように、アンプAMP1を介してインデックス信号処理部51に入力され、その後、補正量演算部52に出力される。補正量演算部52は、インデックス信号処理部51からの出力信号に基づいて、画歪み補正など、映像表示を適正化するための補正データを算出し、それを映像信号処理部53L,53Rおよび偏向制御部54L,54Rに出力する。
【0052】
映像信号処理部53L,53Rは、補正量演算部52からの補正データに基づいて、映像信号を補正し、その補正後の信号に基づいて電子銃31L,31Rを駆動する。映像信号を補正することにより、画歪みなどの適正化のほか、左右の分割画面の繋ぎ目部分における輝度分布の適正化を行うことができる。偏向制御部54L,54Rは、同期信号および補正量演算部52からの補正データに基づいて、偏向ヨーク21L,21Rおよびコンバーゼンスヨーク32L,32Rを制御し、電子ビーム5L,5Rの走査制御を行う。これにより、電子ビーム5L,5Rの走査位置の補正が行われ、画歪みなどが補正される。
【0053】
このように、インデックス電極70により、電子ビーム5L,5Rの走査の軌跡を直接的に検出することが可能となり、精度良く画像補正を行うことが可能となる。また、左右の分割画面の繋ぎ目部分における輝度分布の補正を行うことが可能となる。これにより、左右の分割画面が、位置的にも輝度的にも適正に繋ぎ合わされて表示される。
【0054】
この陰極線管では、ビームシールド27に特性改善用抵抗R1(図3)が接続されていることにより、浮遊容量C0,C1によるシャント効果が低減され、インデックス検出信号の高周波特性の改善が図られる。次に、この改善されたインデックス検出信号の周波数特性を具体的にシミュレーションして示す。
【0055】
図8は、シミュレーションに用いた回路の第1の具体例を示している。図のように、信号出力用キャパシタCfの入力側(管内側)と出力側(管外側)とに、それぞれ検出器81,82を配置して周波数特性を測定した。この回路において、各素子の抵抗値および容量値は、以下のとおりである。特性改善用抵抗R1の抵抗値は10kΩであり、インデックス抵抗R2の10倍に設定した。
R0=1MΩ
R1=10kΩ
R2=1kΩ
Cf=5pF
C0=17pF
C1=17pF
C2=10pF
【0056】
図10は、第2の具体例の回路を示している。この回路は、浮遊容量の容量値をC0=27pF,C1=7pFに変えたことを除いて、上記第1の具体例と同様である。なお、2つの浮遊容量C0,C1の容量値の合計は34pFとし、第1および第2の具体例で同一値に設定した。
【0057】
図9および図11に、それぞれ、上記第1および第2の具体例のシミュレーション結果を示す。図9および図11において、縦軸はゲイン(dB)を示し、横軸は周波数(Hz)を示している。図中、△印でプロットした曲線は、管内側で発生するインデックス検出信号の周波数特性を示し、□印でプロットした曲線は、管外側に出力されたインデックス検出信号の周波数特性を示す。
【0058】
図13に、比較例として、特性改善用抵抗R1を設けなかった場合の周波数特性を示す。この比較例の回路は、図12に示したように、特性改善用抵抗R1を設けていないことを除いて、上記第2の具体例(図10)と同様である。図13において、曲線231は、管内側で発生するインデックス検出信号の周波数特性を示し、曲線232は、管外側に出力されたインデックス検出信号の周波数特性を示す。
【0059】
以上の結果から分かるように、特性改善用抵抗R1を設けなかった場合(図13)に比べて、特性改善用抵抗R1を設けた場合(図9および図11)の方が、高周波領域での信号劣化が少なく、周波数特性が改善されている。
【0060】
なお、実際の陰極線管では、インデックス電極70とビームシールド27との間の浮遊容量C0の方が、インデックス電極70と内部導電膜22との間の浮遊容量C1に比べて大きいと考えられる。すなわち、図11に示した第2の具体例の方が、実際の陰極線管の性能に近いと考えられる。周波数特性は、第2の具体例の方が大きく改善されており、実際の陰極線管に適用した場合には特性改善用抵抗R1による大きな効果が期待される。
【0061】
以上説明したように、本実施の形態によれば、従来ではアノードに直接接続されていたビームシールド27を、特性改善用抵抗R1を介してアノードに接続することにより、浮遊容量C0,C1によるシャント効果を軽減させることができる。これにより、信号振幅(信号レベル)を低下させずに、インデックス検出信号の高域の周波数特性を改善することができる。このとき、ビームシールド27による電子ビーム5L,5Rの遮蔽機能自体はまったく損なわれない。
【0062】
このように、本実施の形態によれば、電気インデックス法におけるインデックス検出信号の高周波特性を改善し、高い周波数成分まで信号検出を行うことができる。周波数特性が改善されるので、大型のディスプレイ装置や偏向周波数の高い高精細のディスプレイ装置に適用した場合に特に有効であり、その場合においても電子ビーム5L,5Rの軌道を精度良く検出することができる。
【0063】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず種々の変形実施が可能である。例えば、本発明は、3つ以上の電子銃を備え、1つの画面を3つ以上の走査画面を合成して形成するようにしたものにも適用することが可能である。また、本発明は、カラー表示、およびモノクロ表示のいずれの陰極線管にも適用可能である。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の陰極線管によれば、遮蔽手段に抵抗素子を接続し、電子ビーム検出手段と遮蔽手段との間などに浮遊容量が発生したとしても、そのシャント効果が低減されるようにしたので、電子ビーム検出手段からの検出信号の高周波特性の劣化が抑制される。これにより、電気インデックス法における検出信号の高周波特性が改善され、高い周波数成分まで信号検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る陰極線管の概略を示す図であり、(B)は、陰極線管の画面構成を示す正面図、(A)は、(B)におけるIA−IA線断面図である。
【図2】図1に示した陰極線管における電子ビームの走査方式および画面構成の例を示す説明図である。
【図3】図1に示した陰極線管におけるインデックス検出信号の取り出し部分の構成を示す断面図である。
【図4】図1に示した陰極線管におけるインデックス検出信号の検出部分の等価回路を示す回路図である。
【図5】図1に示した陰極線管におけるインデックス電極の構成例を示す図である。
【図6】図1に示した陰極線管におけるインデックス電極の他の構成例を示す図である。
【図7】図1に示した陰極線管における信号処理回路の構成例を示すブロック図である。
【図8】インデックス信号検出回路の第1の具体例を示す回路図である。
【図9】図8に示した回路例における周波数特性を示す図である。
【図10】インデックス信号検出回路の第2の具体例を示す回路図である。
【図11】図10に示した回路例における周波数特性を示す図である。
【図12】従来のインデックス信号検出回路の具体例を示す回路図である。
【図13】図12に示した回路例における周波数特性を示す図である。
【図14】従来の陰極線管の構成例を示す断面図である。
【図15】従来の陰極線管におけるインデックス検出信号の検出部分の等価回路を示す回路図である。
【符号の説明】
C0,C1…浮遊容量、Cf…信号出力用キャパシタ、OL…重複(オーバ・ラップ)領域、OS…過走査(オーバ・スキャン)領域、R1…周波数特性改善用抵抗、R2…インデックス抵抗、S1…インデックス検出信号、5L,5R…電子ビーム、6L,6R…分割画面、10…パネル部、11A…蛍光面、11B…管面、20…ファンネル部、21L,21R…偏向ヨーク、22…内部導電膜、23…外部導電膜、27…ビームシールド、30L,30R…ネック部、31L,31R…電子銃、50…演算部、51…インデックス信号処理部、52…補正量演算部、53L,53R…映像信号処理部、54L,54R…偏向制御部、70,70A…インデックス電極。
Claims (3)
- 複数の分割画面を蛍光面上で互いに繋ぎ合わせることにより、全体として単一の画面を形成するようにした陰極線管であって、
前記複数の分割画面を形成するための複数の電子ビームを放出する複数の電子銃と、
管内の過走査領域に設けられ、前記電子ビームの入射に応じて電気的な検出信号を出力する電子ビーム検出手段と、
管内の過走査領域に設けられ、不要な電子ビームが蛍光面に到達しないよう、その電子ビームを遮蔽する遮蔽手段と、
一端が前記遮蔽手段に接続され、他端が管内のアノード電圧が保たれている部分に接続された抵抗素子と
を備えたことを特徴とする陰極線管。 - 前記電子ビーム検出手段および前記遮蔽手段は、前記複数の分割画面の繋ぎ目側の過走査領域に設けられている
ことを特徴とする請求項1記載の陰極線管。 - 前記複数の分割画面は、その一部分が重複するようにして繋ぎ合わせられている
ことを特徴とする請求項1記載の陰極線管。
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- 2002-06-13 JP JP2002172729A patent/JP2004022236A/ja active Pending
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