JP2004032473A - 画像補正装置および方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】画像の表示状態を、初期調整時の状態に補正し、常に最適な表示状態を維持することができるようにする。
【解決手段】ビーム軌道に関する初期基準データをメモリ部53に保持しておき、その保持された初期基準データと、インデックス電極によって検出されたビーム軌道に関するデータとを比較して、初期調整段階からのビーム軌道の変化量を求める。補正量算出部51は、その求められたビーム軌道の変化量に基づいて、表示画面を初期調整段階の状態に戻すための補正量を算出する。入力信号処理部54および偏向制御部55は、その補正量に基づいて、表示画面が初期調整段階の状態に近づくよう、ビーム軌道や入力信号の制御を行う。これにより、画歪みを、初期調整時の状態に補正し、常に最適な表示状態を維持することができる。
【選択図】 図5
【解決手段】ビーム軌道に関する初期基準データをメモリ部53に保持しておき、その保持された初期基準データと、インデックス電極によって検出されたビーム軌道に関するデータとを比較して、初期調整段階からのビーム軌道の変化量を求める。補正量算出部51は、その求められたビーム軌道の変化量に基づいて、表示画面を初期調整段階の状態に戻すための補正量を算出する。入力信号処理部54および偏向制御部55は、その補正量に基づいて、表示画面が初期調整段階の状態に近づくよう、ビーム軌道や入力信号の制御を行う。これにより、画歪みを、初期調整時の状態に補正し、常に最適な表示状態を維持することができる。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、テレビジョン受像機や各種のモニタ装置などに利用される陰極線管の画像の表示状態を補正するための画像補正装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、テレビジョン受像機や各種のモニタ装置などには、陰極線管(CRT;Cathode Ray Tube)が広く使用されている。陰極線管は、電子銃を備えており、その電子銃から入力信号に対応して電子ビームが放出される。この電子ビームが、パネル側に形成されている蛍光面に対して照射され、走査されることにより、画面が形成される。
【0003】
陰極線管は、単一の電子銃を備えた構成が一般的であるが、近年では、複数の電子銃を備えた構成のものが開発されている。以下、複数の電子銃を用いる方式を“複電子銃方式”、単一の電子銃を用いる方式を“単電子銃方式”と呼ぶ。複電子銃方式の陰極線管(複電子銃陰極線管)は、複数の電子銃により画面を構成するため、1つの電子銃のみを用いた場合に比べて、高輝度化(電子ビーム電流密度の向上)、全体の奥行きの短縮化、および電子ビームのスポット特性改善等の利点がある。
【0004】
複電子銃陰極線管では、画面領域を複数に分割すると共に、その分割された複数の画面領域(以下、「分割画面」ともいう。)を互いに繋ぎ合わせることにより、全体として1つの画面を形成する。電子銃は、通常、画面の分割数に対応した数だけ設けられる。各分割画面は、それぞれ、対応する電子銃から放出された電子ビームによって走査される。複電子銃方式の陰極線管における画面構成としては、単に各分割画面の端部を線状に繋ぎ合わせることにより1つの画面を得るようにしたものと、隣接する分割画面同士を部分的に重複(オーバ・ラップ)させて1つの画面を得るようにしたものとがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来より陰極線管は、その使用条件によって画像の表示状態が様々に変化することが知られている。例えば、電子ビームは、地磁気によりローレンツ力を受けているが、地磁気の方向は陰極線管を利用する環境により異なるため、その電子ビームの受けるローレンツ力が変化する。このため、環境によりビーム軌道が変化し、画像の歪み(画歪み)や、色ずれ等の変化が生じる。現状、色ずれ等は地磁気の方向を検出するセンサを利用し、その検出値を偏向回路等にフィードバックすることで補正する解決方法が存在する。しかしながら、この方法では、一様な地磁気の影響は補正できるが、細かな補正は困難である。また、画像の歪みや色ずれ等は、地磁気の変化のみならず、回路や陰極線管自体の熱等による経時変化によっても生じる。これらに関しても、熱センサ等を利用し、その検出値をフィードバックすることで補正が可能であるが、様々な位置にセンサを用いる必要性が生じるなどの問題点がある。
【0006】
また、特に複電子銃陰極線管においては、繋ぎ合わせ部分が目立たないように各分割画面が適正に繋ぎ合わされている必要があるが、画歪みや色ずれ等は、この繋ぎ合わせの精度にも悪影響を及ぼすので、好ましくない。
【0007】
そこで、電子ビームの軌道を検出する手段として、蛍光体による発光を利用した光インデックスシステム(特開2001−23549号、特開平5−236485号など)や、電気的に軌道を検出する電気インデックスシステム(特願平11−72658号(特開2000−268751号),特願平11−72651号(特許第3068115号)等)が提案されている。
【0008】
これらの方法では、地磁気検出センサや温度センサから間接的に軌道の変化量を検出する方法に比べて、軌道を直接的に検出することができる。このため、種々の要因による様々な軌道変化を、一つのシステムで検出できたり、より細かな補正が可能となるなどの利点がある。また特に、インデックス検出手段を特願平11−72658号および特願平11−72651号等のように有効画面外の過走査領域に配置すれば、陰極線管の実働状態においても常時、ビーム軌道の測定が可能となり、常時補正が可能となる。インデックス検出手段からの検出信号を用いて、画像の表示状態を補正するシステムは、特許第3057230号公報にも記載されている。この公報記載の発明では、画面をあらかじめ撮影するなどして作成された画像補正用のデータを記憶しておき、この画像補正用のデータとインデックス検出手段による検出結果とに基づいて、入力映像信号を制御して画像の表示状態を補正する。
【0009】
しかしながら、上記いずれの提案においても、ビーム軌道の変化に関する分析が不十分なところがある。特に、ビーム軌道の変化から画歪みやランディングずれを算出することに関して、具体性に欠ける部分がある。初期調整時の最適な画像を維持するためにも、ビーム軌道の変化の分析は必要不可欠である。
【0010】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、画像の表示状態を、初期調整時の状態に補正し、常に最適な表示状態を維持することができるようにした画像補正装置および方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明による画像補正装置および方法は、電子ビームを放出する電子銃と、有効画面外において、電子ビームの軌道を検出する検出手段とを備えた陰極線管における画像の表示状態を補正するためのものである。
【0012】
本発明による画像補正装置は、検出手段によって画面表示の初期調整段階に検出された、ビーム軌道に関する初期基準データを保持する記憶手段と、検出手段によって検出されたビーム軌道に関するデータと、記憶手段に記憶された初期基準データとを比較し、初期調整段階からのビーム軌道の変化量を求める第1の演算手段とを備えている。本発明による画像補正装置はさらに、求められたビーム軌道の変化量に基づいて、表示画面の変化を初期調整段階の状態に戻すための補正量を算出する第2の演算手段と、補正量に基づいて、表示画面が初期調整段階の状態に近づくよう、ビーム軌道または入力信号の少なくとも一方の制御を行う制御手段とを備えている。
【0013】
本発明による画像補正方法は、検出手段によって画面表示の初期調整段階に検出された、ビーム軌道に関する初期基準データを保持するステップと、検出手段によって検出されたビーム軌道に関するデータと、初期基準データとを比較し、初期調整段階からのビーム軌道の変化量を求めるステップとを含んでいる。本発明による画像補正方法はさらに、求められたビーム軌道の変化量に基づいて、表示画面の変化を初期調整段階の状態に戻すための補正量を算出するステップと、補正量に基づいて、表示画面が初期調整段階の状態に近づくよう、ビーム軌道または入力信号の少なくとも一方の制御を行うステップとを含んでいる。
【0014】
本発明による画像補正装置および方法では、検出手段によって画面表示の初期調整段階に検出された、ビーム軌道に関する初期基準データが保持される。その保持された初期基準データと、検出手段によって検出されたビーム軌道に関するデータとが比較され、初期調整段階からのビーム軌道の変化量が求められる。そして、求められたビーム軌道の変化量に基づいて、表示画面の変化を初期調整段階の状態に戻すための補正量が算出され、その補正量に基づいて、表示画面が初期調整段階の状態に近づくよう、ビーム軌道または入力信号の少なくとも一方の制御が行われる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
[第1の実施の形態]
図1は、単電子銃方式の陰極線管、図2は、複電子銃方式の陰極線管を示している。本実施の形態に係る画像補正装置および方法は、いずれの方式の陰極線管にも適用可能である。
【0017】
図1に示した単電子銃方式の陰極線管は、内側に蛍光面11Aが形成されたパネル部10と、このパネル部10に一体化されたファンネル部20とを備えている。ファンネル部20の後端部には電子銃31を内蔵したネック部30が形成されている。パネル部10、ファンネル部20およびネック部30よりなる全体形状部分は「外囲器」とも呼ばれる。パネル部10の表面は、蛍光面11Aの発光により画像が表示される画像表示面(管面)11Bとなっている。
【0018】
この陰極線管の内部には、蛍光面11Aに対向するように配置された金属製の薄板よりなる色選別機構(color selection mechanism)12が配置されている。色選別機構12は、その外周がフレーム13によって支持されている。
【0019】
ファンネル部20には、アノード電圧HVを供給するための図示しないアノード端子(アノードボタン)が設けられている。ファンネル部20からネック部30にかけての外周部分には、偏向ヨーク21と、ランディング補正用コイル32とが取り付けられている。偏向ヨーク21は、電子銃31から放出された電子ビーム5を偏向走査するためのものである。
【0020】
ネック部30からパネル部10の蛍光面11Aに至る内周面は、導電性の内部導電膜22によって覆われている。内部導電膜22は、アノード端子に電気的に接続され、アノード電圧(高電圧)HVに保たれている。ファンネル部20の外周面は、導電性の外部導電膜23によって覆われている。
【0021】
電子銃31は、図示しないが、それぞれカソード(熱陰極)を有している。カラー陰極線管の場合、それぞれ、R,G,Bの各色に対応した3本のカソードを有している。電子銃31から放出された電子ビーム5は、色選別機構12を通過して蛍光面11Aの対応する色の蛍光体に照射される。
【0022】
この陰極線管の管内において、有効画面外の過走査(オーバ・スキャン)領域OSには、図1の紙面に垂直な方向に細長い、長方形の平板状のインデックス電極70が、蛍光面11Aに対向するように設けられている。
【0023】
この陰極線管において、過走査領域OSは、画面の上下方向の端部と左右方向の端部とに存在するが、インデックス電極70を設ける位置は、いずれの位置であっても良い。一般には、上下方向の過走査領域OSに1つずつ設けるか、左右方向の過走査領域OSに1つずつ設ければ十分であると考えられる。
【0024】
なお、この陰極線管において、過走査領域とは、電子ビーム5の走査領域において、有効画面を形成する電子ビーム5の走査領域の外側の領域のことをいう。図1においては、領域SWが、有効画面領域であり、その外側が過走査領域である。
【0025】
インデックス電極70は、電子ビーム5の軌道を検出するためのものであり、電子ビーム5の入射に応じて電気的な検出信号を出力する機能を有している。インデックス電極70は、金属などの導電性の物質からなるものであり、例えば、フレーム13を基台にして図示しない絶縁物を介して架設されている。
【0026】
このインデックス電極70において、過走査した電子ビーム5が入射すると、インデックス電極70における電位が、通常より電圧降下する。本陰極線管においては、この電圧降下した信号が、インデックス検出信号としてインデックス信号出力用キャパシタCfを経由して管外に導かれ、主として画像状態の補正に利用されるようになっている。
【0027】
インデックス電極70には、インデックス抵抗R2の一端が電気的に接続されている。インデックス抵抗R2の他端は、アノード電圧HVが保たれている部分(例えばフレーム13)に電気的に接続されている。インデックス電極70には、インデックス抵抗R2を介してアノード電圧HVが供給される。また、インデックス電極70は、信号出力用キャパシタCfの管内側の電極にリード線26を介して電気的に接続されている。
【0028】
信号出力用キャパシタCfは、インデックス電極70によって発生した電気的なインデックス検出信号を管外に出力するためのものである。この信号出力用キャパシタCfは、ファンネル部20などの誘電性を有する構成部分の一部を利用して形成されている。
【0029】
図4は、インデックス電極70の構成例を示している。インデックス電極70には、電極を部分的に切り欠いて形成された複数のスリットが設けられている。図4の例では、2種類のスリット131,132が、交互に複数配置されている。第1のスリット131は、例えば水平方向(電子ビーム5の走査方向に直交する方向)に長い長方形状となっている。第2のスリット132も略長方形状であり、第1のスリット131に対して斜めに配置されている。以下、第1のスリット131を「垂直スリット」、第2のスリット132を「斜めスリット」と呼ぶ。
【0030】
このインデックス電極70が、電子ビーム5によって走査されると、インデックス電極70から、スリット131,132が設けられている位置およびその形状に応じたパルス信号が出力される。このパルス信号を解析することにより、そのビーム軌道を直接的に検出することが可能となる。なお、インデックス電極70の構造については、本願出願人による特開2000−268751号公報および特許第3068115号公報等に詳細に記載されている。
【0031】
次に、図2に示した複電子銃陰極線管の構成について説明する。なお、図1の単電子銃方式の陰極線管と実質的に同一の機能を有する部分については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0032】
この複電子銃陰極線管も、単電子銃方式の陰極線管と同様、パネル部10と、このパネル部10に一体化されたファンネル部20とを備えている。ファンネル部20の後端部の左右にはそれぞれ電子銃31L,31Rを内蔵した2つのネック部30L,30Rが形成されている。2つの電子銃31L,31Rが設けられている点が、単電子銃方式の陰極線管との大きな違いである。
【0033】
ファンネル部20から各ネック部30L,30Rにかけての外周部分には、偏向ヨーク21L,21Rと、ランディング補正用コイル32L,32Rとが取り付けられている。偏向ヨーク21L,21Rは、電子銃31L,31Rから放出された各電子ビーム5L,5Rを偏向走査するためのものである。
【0034】
ここで、図2(B)および図3を参照して、この複電子銃陰極線管の画面構成および電子ビームの走査方式の具体例を説明する。この複電子銃陰極線管では、左側に配置された電子銃31Lからの電子ビーム5Lによって、画面の約左半分が描画されると共に、右側に配置された電子銃31Rからの電子ビーム5Rによって、画面の約右半分が描画される。そして、左右の電子ビーム5L,5Rによって形成された各分割画面6L,6Rの端部を、部分的に重ねて繋ぎ合わせることにより、全体として単一の画面SAを形成して画像表示が行われる。画面SAの中央部分は、左右の分割画面6L,6Rがオーバ・ラップする領域OLとなる。オーバ・ラップ領域OLにおける蛍光面11Aは、各電子ビーム5L,5Rに共有される(共通して走査される)ことになる。
【0035】
この複電子銃陰極線管において、過走査領域とは、電子ビーム5L,5Rの各々の走査領域において、有効画面を形成する電子ビーム5L,5Rの各々の走査領域の外側の領域のことをいう。図2においては、領域SW1が、電子ビーム5Rについての水平方向の有効画面領域であり、領域SW2が、電子ビーム5Lについての水平方向の有効画面領域である。
【0036】
図3(A),(B)に示した走査方式は、いわゆるライン走査(主走査)を画面上の上下方向(縦方向)に行い、いわゆるフィールド(またはフレーム)走査を水平方向(横方向)に行うようにしたものである。この走査方式は、ライン走査を縦方向に行っているので、以下では、“縦走査方式”と呼ぶ。なお、図3(A),(B)に示した走査例において、ライン走査を、画面の下から上(−Y方向)に向けて行うことも可能である。
【0037】
図3(C)に示した走査方式は、一般的な陰極線管と同様に、ライン走査を水平方向に行い、フィールド(またはフレーム)走査を上下方向に行うようにしたものである。この例では、図2(B)に示した走査方式に対して、電子ビーム5L,5Rによるそれぞれのライン走査およびフィールド走査をちょうど逆転させた形となっている。
【0038】
この複電子銃陰極線管の管内において、隣接する左右の分割画面6L,6Rの繋ぎ目側(画面全体のほぼ中央部分)における電子ビーム5L,5Rの過走査(オーバ・スキャン)領域OSには、図2(A)の紙面に垂直な方向に細長い、長方形の平板状のインデックス電極70が、蛍光面11Aに対向する位置に設けられている。インデックス電極70は、管内において、重複領域OLに対応する位置に設けられているともいえる。インデックス電極70は、電子ビーム5L,5Rのそれぞれについて、インデックス検出信号を出力する。
【0039】
この複電子銃陰極線管の管内において、さらに、インデックス電極70と蛍光面11Aとの間には、ビームシールド27が配置されている。ビームシールド27は、過走査領域OSを過走査した電子ビーム5L,5Rが蛍光面11Aに到達して不用意に発光しないように、電子ビーム5L,5Rを遮蔽する機能を有している。このビームシールド27は、断面が例えばV字形状で、インデックス電極70と同様、図2(A)の紙面に垂直な方向に細長い形状となっている。このビームシールド27は、その両端部が、例えばフレーム13に取り付けられている。
【0040】
次に、以上のような陰極線管における画像の表示状態を補正するための画像補正装置の構成について説明する。この画像補正装置は、初期調整された陰極線管において、偏向回路の温度変化や地磁気など外部変化によってビーム軌道が変化し画歪みが変化したときに、その画歪みを初期調整時の状態に戻すためのものである。以下では、図1に示した単電子銃方式の陰極線管を例にして説明するが、複電子銃陰極線管についても実質的に同じである。
【0041】
図5に示したように、この画像補正装置は、検出部41−1,41−2と、演算部50と、入力信号処理部54と、偏向制御部55とを備えている。演算部50は、マイクロ・コンピュータなどを含んで構成されるものであり、補正量算出部51と、インデックス信号処理部52と、メモリ53とを有している。
【0042】
検出部41−1,41−2は、インデックス電極70からのインデックス検出信号S1に対して波形整形および信号増幅処理などを行い、演算部50のインデックス信号処理部52に出力するようになっている。
【0043】
メモリ部53は、インデックス電極70によって画面表示の初期調整段階に検出された、初期のインデックス検出信号(以下、「基準信号」ともいう。)に関するデータ(初期基準データ)を保持している。インデックス信号処理部52は、初期調整後の実働時に検出されたインデックス検出信号(以下、「実働信号」ともいう。)に関するデータと、メモリ部53に記憶された初期基準データとを比較し、初期調整段階からのビーム軌道の変化量を求める機能を有している。
【0044】
補正量算出部51は、インデックス信号処理部52において求められたビーム軌道の変化量に基づいて、表示画面の変化を初期調整段階の状態に戻すための補正量を算出する機能を有している。
【0045】
入力信号処理部54および偏向制御部55は、補正量算出部51によって算出された補正量に基づいて、表示画面が初期調整段階の状態に近づくよう、ビーム軌道または入力信号の制御を行う機能を有している。入力信号処理部54は、例えば、陰極線管に入力される映像信号(入力信号)そのものを信号処理することにより、表示画面の制御を行う。なお、映像信号のかわりに電子銃を駆動する電圧信号を制御するようにしても良い。偏向制御部55は、偏向ヨーク21を制御し、電子ビームの偏向制御を行うことにより、表示画像の制御を行う。
【0046】
なお、本実施の形態において、インデックス電極70が、本発明における「検出手段」の一具体例に対応し、メモリ53が、本発明における「記憶手段」の一具体例に対応する。また、インデックス信号処理部52が、本発明における「第1の演算手段」の一具体例に対応し、補正量算出部51が、本発明における「第2の演算手段」の一具体例に対応する。また、入力信号処理部54および偏向制御部55が、本発明における「制御手段」の一具体例に対応する。
【0047】
次に、以上のような構成の陰極線管および画像補正装置の動作について説明する。
【0048】
図1に示した陰極線管において、電子銃31から放出された電子ビーム5は、偏向ヨーク21の電磁的な作用により偏向走査され、走査画面を形成する。電子ビーム5が、過走査領域OSを走査し、インデックス電極70に入射すると、インデックス電極70において電圧降下が生じる。この電圧降下に応じた信号が、インデックス検出信号として、信号出力用キャパシタCfを経由して管外に出力される。
【0049】
管外に出力されたインデックス検出信号S1は、図5に示したように、検出部41−1,41−2を介して、演算部50に出力される。演算部50において、インデックス信号処理部52は、インデックス検出信号(実働信号)に関するデータと、あらかじめメモリ部53に記憶されている初期基準データとに基づいて、初期調整段階からのビーム軌道の変化量を算出する。
【0050】
ビーム軌道の変化量は、具体的には例えば以下のように算出される。ここでは、インデックス電極70が、図4に示したように、2種類のスリット131,132を交互に複数配置された構造であるものとする。
【0051】
図6は、実働時のビーム軌道B2が、基準となる初期のビーム軌道B1に対しX方向(インデックス電極70の幅方向)にΔXだけ変化した場合を示している。この場合、図示したように、初期の基準信号S11に対し、実働信号S12では、各スリット131,132の間隔に対応してそのパルス間隔が変化する。このため、変化量ΔXは以下の式(1)で表される。
【0052】
【数1】
【0053】
ただし、ta1,ta2は、各ビーム軌道B1,B2が垂直スリット131を通過した時の時刻を示し、tb1,tb2は、各ビーム軌道B1,B2が斜めスリット132を通過した時の時刻を示す。ψは、2つのスリット131,132のなす角度を示している。
【0054】
図7は、ビーム軌道B2が、初期のビーム軌道B1に対しY方向にΔYだけ変化した場合を示している。この場合、図示したように、各ビーム軌道B1,B2で、例えば垂直スリット131を通過するタイミングが変化する。このため、変化量ΔYは以下の式(2)で表される。
【0055】
DY=|ta2−ta1| ……(2)
【0056】
図8は、実働時のビーム軌道B2が、初期のビーム軌道B1に対しY方向にサイズ変化を起こした場合を示している。初期のビーム軌道B1のサイズ(長さ)をl、実働時のビーム軌道B2のサイズをLとすると、その変化の割合αは、以下の式(3)で表される。ここでは、変化の割合αとして、例えば2つの垂直スリット131−1,131−2間での変化を示している。式(3)において、ta1,ta2は、各ビーム軌道B1,B2が1つ目の垂直スリット131−1を通過した時の時刻を示し、tc1,tc2は、各ビーム軌道B1,B2が任意の位置の2つ目の垂直スリット131−2を通過した時の時刻を示す。
【0057】
【数2】
【0058】
図9は、ビーム軌道B2の角度変化を算出する場合について示している。ここでは、ビーム軌道B2の速度が一定であると仮定する。なお、速度が一定であるということは、初期調整時における画面のリニアリティを調整することに一致すると考えられる。図に示したように、2つの垂直スリット131−1,131−2間の距離と、2つの斜めスリット132−1,132−2間の距離とが共にhであるものとする。ビーム軌道B2がスリット131−1,132−1,131−2,132−2を通過した時の時刻を、それぞれt1,t2,t3,t4とする。垂直スリット131−1,131−2と斜めスリット132−1,132−2とがなす角度をψとする。ビーム軌道B2の速度をv、角度をθとする。
【0059】
まず、垂直スリット131−1,131−2と角度θとの関係から、以下の式(A)が成り立つ。
【数3】
【0060】
この式(A)から、
h=(t3−t1)・v・cosθ
が成り立つ。
【0061】
また、斜めスリット132−1,132−2と角度θとの関係から、以下の式(B)が成り立つ。
【数4】
【0062】
以上の2つの式から、hを消去して整理すると、次の式(C)が成り立つ。
【数5】
【0063】
よって、次の式(D)が成り立つ。
【数6】
【0064】
式(D)の両辺をcosψ・cosθで割って整理すると、次の式(4)が得られ、ビーム軌道B2の角度θが導出される。
【数7】
【0065】
補正量算出部51では、以上のような手法で求められたビーム軌道の変化量に基づいて、表示画面の変化を初期調整段階の状態に戻すための補正量を算出する。算出された補正量は、入力信号処理部54および偏向制御部55に送られる。
【0066】
補正量算出部51では、例えば図10,11に示したように、画面周囲4点におけるビーム軌道の変化量を検出・算出して、画面全体の変化パターンの分析を行う。図10では、画面全体がY方向に平行移動した場合を示している。この場合のY方向の移動量は、以下の式(5)で表すことができる。また図11では、画面全体が傾いた場合を示している。この場合の傾き量は、以下の式(6)で表すことができる。なお、有効画面内部については補間を行うことで、変化量を算出する。
【0067】
Y移動量=(ΔY1+ΔY2+ΔY3+ΔY4)/4
……(5)
傾き=(ΔX1−ΔX2+ΔX3−ΔX4)/4
……(6)
【0068】
なお、軌道変化の検出点の数は、画面周囲4点に限るものではない。また、必ずしも、画面全体の変化パターンの分析を行う必要はなく、各検出点の軌道変化量を、入力信号処理部54および偏向制御部55に直接送り、そこで補正を行わせることも可能である。インデックス電極70によって直接移動量を検出できない点や、各検出点の中間部の点などについては、補間演算をするなどして求めれば良い。
【0069】
入力信号処理部54および偏向制御部55は、補正量算出部51からの補正量に基づいて、表示される画面の状態が初期調整段階の状態に近づくよう制御を行う。入力信号処理部54では、補正量に基づいて、例えば、陰極線管に入力される映像信号そのものを信号処理することにより、表示画面の制御を行う。偏向制御部55では、補正量に基づいて、偏向ヨーク21に補正電流を与えて偏向ヨーク21を制御し、電子ビームの偏向制御を行うことにより、表示画面の制御を行う。
【0070】
なお、図2に示した複電子銃陰極線管では、画面中心部にのみインデックス電極70を有しているが、この場合、偏向回路の温度特性や地磁気等の外部変化による走査画面の変化の対称性を考慮し、各走査画面のデータで画面全体を補い、補正を行うシステムにすれば良い。当然図1の単電子銃方式の陰極線管のように、画面の左右(または上下)にもインデックス電極70を配置し、より多くの検出点から補正量を算出するようにしても良い。
【0071】
また、いわゆるコンバーゼンスについては、各色のビーム軌道における基準信号をそれぞれ保持しておき、各色について上記と同様の補正処理を行うことで、コンバーゼンスが変化した場合においてもそれを補正することが可能となる。
【0072】
以上説明したように、本実施の形態によれば、ビーム軌道に関する初期基準データをメモリ部53に保持しておき、その保持された初期基準データと、インデックス電極70によって検出されたビーム軌道に関するデータとを比較して、初期調整段階からのビーム軌道の変化量を求め、その求められたビーム軌道の変化量に基づいて、表示画面の変化を初期調整段階の状態に戻すための補正量を算出し、その補正量に基づいて、表示画面が初期調整段階の状態に近づくよう、ビーム軌道または入力信号の制御を行うようにしたので、特に画歪みを、初期調整時の状態に補正し、常に最適な表示状態を維持することができる。例えば外的環境や温度特性等による変化によって、画歪みが生じた場合に、その画歪みを初期調整状態に補正することが可能となる。また、インデックス電極70は、有効画面外に設けられているため、通常の画像表示に影響を与えることなく、上述した補正をいつでも行うことができる。
【0073】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0074】
上記第1の実施の形態では、主として画歪みを補正する場合について説明したが、本実施の形態では、初期調整された陰極線管(図1または図2)において、地磁気などによってビーム軌道が変化しランディングが変化した(ランディングずれが生じた)ときに、そのずれを補正し初期調整時の状態に戻すシステムについて説明する。ランディングずれとは、例えばカラー陰極線管において、色選別機構を通過した所定の色用の電子ビームの中心が、所定の色の蛍光体の中心位置に照射されずに、ずれてしまう状態のことをいう。ランディングずれは、陰極線管を使用する環境変化(地磁気方向の変化)により、電子ビームが色選別機構に入射する角度や、入射後のビーム軌道が変化を生じさせる。
【0075】
図12は、ランディングずれを補正するための画像補正装置の構成を示している。この画像補正装置の基本構成は、入力信号処理部54および偏向制御部55に代えて、LD(ランディング)補正制御部56が設けられていることを除いて、図5に示した画像補正装置と同様である。LD補正制御部56は、補正量算出部51によって算出されたランディングずれを補正するための補正量に基づいて、ビーム軌道の制御を行う機能を有している。
【0076】
この画像補正装置において、インデックス電極70によるビーム軌道の検出動作や、インデックス信号処理部52におけるビーム軌道の変化量を求める手法については、上記第1の実施の形態と同様である。
【0077】
本実施の形態では、補正量算出部51において、ランディングずれを補正するための補正量を算出する。補正量を算出する方法は、以下のようにして行う。補正量を算出するに当たって、あらかじめ、ビーム軌道の変化量とランディングのずれ量との相関関係を求めておく必要がある。
【0078】
図15は、地磁気によって生ずるランディングずれの概念を示している。蛍光面11Aには、R,G,Bの蛍光体が順番に形成されているものとする。図15では、緑色用のビーム軌道に関するランディングずれを示しており、B1が、ランディングずれのない初期調整時におけるビーム軌道を示し、B2が、ランディングずれのあるビーム軌道を示している。
【0079】
地磁気によるランディングずれを生じさせる要因としては、(1)色選別機構12に入射する際の電子ビームの角度と、(2)色選別機構12を通過した後に曲げられた軌道が考えられる。このランディングずれは、蛍光面11Aと色選別機構12との間隔や、画面位置等のパラメータを決定することで計算可能となる。同様に、インデックス電極70におけるビーム軌道の変化量を算出し、その相関関係を求める。相関関係は、必ずしも軌道シミュレーションのみで行う必要はなく、実際にインデックス電極70の変化とランディングのずれ量を測定して求めても良い。
【0080】
地磁気によりランディングがずれた際、ビーム軌道の変化量とあらかじめ求めておいた相関関係とを用い、ランディングのずれ量を算出する。例えば、トリニトロン管(商品名)を用いた陰極線管においては、ストライプ状の色選別機構12が縦方向に形成されており、ランディングずれに起因するものは横方向の変化のみであるので、横方向のビーム軌道変化を利用し、ランディングずれを補正することができる。逆に横方向のストライプが形成されているのであれば、縦方向の変化量、シャドウマスク陰極線管においては、縦横すべての変化量を用いて補正を行えば良い。
【0081】
ただし、ビーム軌道の変化は、地磁気に起因するものだけでなく、偏向回路の温度特性に起因するものもあり、地磁気によるものと区別をする必要がある。この区別は、以下のようにして行うことができる。
【0082】
図13は、地磁気に起因するビーム軌道変化(画面形状の変化)の例を示している。図13(A)は、地磁気による磁界が管面側から見て右から左に生じている場合、図13(B)は、左から右に生じている場合、図13(C)は、手前から奥に生じている場合、図13(D)は、奥から手前に生じている場合の軌道変化を示している。各図において、破線で示した部分が軌道変化後の画面形状を示す。これらの例から分かるように、地磁気による変化では、画面が台形状に変化したり、画面全体が傾くような変化を生じさせる。
【0083】
一方、図14に、偏向回路の温度特性に起因するビーム軌道変化の例を示す。この場合には、一般に画面サイズに変化を生じさせる。このように、地磁気による軌道変化と偏向回路の温度特性に起因する軌道変化とでは、その変化の特性に違いがある。この変化の違いを利用し、ビーム軌道の変化量の成分分解を補正量算出部51によって行うことで、各特性に応じた補正量を算出することができる。
【0084】
このようにして決定されたランディング補正量が、LD補正制御部56に送られる。LD補正制御部56は、この補正量に基づいて、例えばランディング補正用コイル32に補正電流を与えてコイルを動的に駆動してビーム軌道を制御し、ランディングずれの補正を行う。ランディング補正用コイル32としては、管面の周囲に設けられるLCC(Landing Correcting Coil)と呼ばれるものや、ネック部30に設けられるコイルなどがある。
【0085】
なお、図2に示した複電子銃陰極線管では、画面中心部にのみインデックス電極70を有しているが、この場合、上記第1の実施の形態と同様、各走査画面のデータで画面全体を補い、補正を行うシステムにすれば良い。また、画面の左右(または上下)にもインデックス電極70を配置し、より多くの検出点から補正量を算出するようにしても良い。
【0086】
以上説明したように、本実施の形態によれば、補正量算出部51においてランディング補正量を算出し、それに基づいてLD補正制御部56においてビーム軌道の制御を行うようにしたので、ランディングずれを初期調整時の状態に補正し、常に最適な表示状態を維持することができる。
【0087】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0088】
上記第1および第2の実施の形態では、画歪みとランディングずれとを個々に補正する場合について説明したが、本実施の形態では、画歪みとランディングずれの双方を補正する場合について説明する。
【0089】
図16は、本実施の形態における画像補正装置の構成を示している。この画像補正装置は、ちょうど、図5の画像補正装置と図12の画像補正装置とを組み合わせたような構成となっており、ビーム軌道の制御を行うために、入力信号処理部54、偏向制御部55およびLD補正制御部56を備えている。
【0090】
この画像補正装置において、インデックス電極70によるビーム軌道の検出動作や、インデックス信号処理部52におけるビーム軌道の変化量を求める手法については、上記第1の実施の形態と同様である。また、ビーム軌道の変化量から、画歪みの補正量を算出する方法は、上記第1の実施の形態と同様であり、ビーム軌道の変化量から、ランディングずれの補正量を算出する方法は、上記第2の実施の形態と同様である。
【0091】
ただし、画歪みとランディングずれの双方を補正する場合、ランディング補正を行う際に生じる画歪み変化を考慮する必要がある。ランディング補正は、ランディング補正用コイル32に補正用のコイル電流を流しビームの軌道を変化させることで行うが、このときに、画歪みの変化を伴う。したがって、あらかじめランディング補正を行う量とそれによって生じる画歪み変化量との相関関係を取っておき、実際に補正するときには、それを考慮した値を画歪み補正量とする必要がある。
【0092】
例えば、地磁気や偏向回路の温度特性による画歪み補正量をΔD1、ランディング補正により生じる画歪み補正量をΔD2とすると、実際に用いる画歪み補正量ΔDは、以下の式(7)となる。この補正量ΔDを、入力信号処理部54および偏向制御部55に送り画歪みを補正することになる。
ΔD=ΔD1+ΔD2 ……(7)
【0093】
なお、図2に示した複電子銃陰極線管では、画面中心部にのみインデックス電極70を有しているが、この場合、上記第1の実施の形態と同様、各走査画面のデータで画面全体を補い、補正を行うシステムにすれば良い。また、画面の左右(または上下)にもインデックス電極70を配置し、より多くの検出点から補正量を算出するようにしても良い。
【0094】
また、いわゆるコンバーゼンスについては、上記第1の実施の形態と同様、各色のビーム軌道における基準信号をそれぞれ保持しておき、各色について上記と同様の補正処理を行うことで、コンバーゼンスが変化した場合においてもそれを補正することが可能となる。
【0095】
以上説明したように、本実施の形態によれば、補正量算出部51において、ランディング補正量を算出し、それに基づいてLD補正制御部56においてビーム軌道の制御を行うと共に、ランディング補正により生じる画歪み補正量を考慮して、最終的な画歪み補正量ΔDを算出し、それに基づいて入力信号処理部54および偏向制御部55においてビーム軌道または入力信号の制御を行うようにしたので、画歪みとランディングずれの双方を初期調整時の状態に補正し、常に最適な表示状態を維持することができる。
【0096】
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず種々の変形実施が可能である。例えば、上記各実施の形態では、インデックス検出手段として電極を用い、ビーム軌道を電気的に検出する方法について説明したが、インデックス検出手段として蛍光体を塗布したものを使用するようにしても良い。この場合、インデックス検出手段が電子ビームの入射に応じて発光するので、この発光により、ビーム軌道の検出を行うことができる。
【0097】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の画像補正装置、または請求項7記載の画像補正方法によれば、ビーム軌道に関する初期基準データを保持しておき、その保持された初期基準データと、検出手段によって検出されたビーム軌道に関するデータとを比較して、初期調整段階からのビーム軌道の変化量を求め、その求められたビーム軌道の変化量に基づいて、表示画面の変化を初期調整段階の状態に戻すための補正量を算出し、その補正量に基づいて、表示画面が初期調整段階の状態に近づくよう、ビーム軌道または入力信号の少なくとも一方の制御を行うようにしたので、画像の表示状態を、初期調整時の状態に補正し、常に最適な表示状態を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像補正装置が適用される陰極線管の構成例を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る画像補正装置が適用される陰極線管の他の構成例を示す図であり、(B)は、陰極線管の画面構成を示す正面図、(A)は、(B)におけるIIA−IIA線断面図である。
【図3】図2に示した陰極線管における電子ビームの走査方式および画面構成の例を示す説明図である。
【図4】インデックス電極の構成例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る画像補正装置の構成を示すブロック図である。
【図6】ビーム軌道の水平X方向の位置ずれ量を、インデックス検出信号を用いて算出する方法を示す説明図である。
【図7】ビーム軌道の垂直Y方向の位置ずれ量を、インデックス検出信号を用いて算出する方法を示す説明図である。
【図8】ビーム軌道の垂直Y方向のサイズ変化量を、インデックス検出信号を用いて算出する方法を示す説明図である。
【図9】ビーム軌道の角度変化量を、インデックス検出信号を用いて算出する方法を示す説明図である。
【図10】画面全体が平行移動した場合における補正量の算出に関する説明図である。
【図11】画面全体が傾いた場合における補正量の算出に関する説明図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る画像補正装置の構成を示すブロック図である。
【図13】地磁気によるビーム軌道の変化の例を示す説明図である。
【図14】偏向回路の温度特性に起因するビーム軌道の変化の例を示す説明図である。
【図15】ビーム軌道の変化によるランディングずれの概念を示す説明図である。
【図16】本発明の第3の実施の形態に係る画像補正装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
OL…重複(オーバ・ラップ)領域、OS…過走査(オーバ・スキャン)領域、S1…インデックス検出信号、5,5L,5R…電子ビーム、6L,6R…分割画面、10…パネル部、11A…蛍光面、11B…管面、20…ファンネル部、21,21L,21R…偏向ヨーク、22…内部導電膜、23…外部導電膜、27…ビームシールド、30,30L,30R…ネック部、31,31L,31R…電子銃、32…ランディング補正用コイル、41−1,41−2…検出部、50…演算部、51…補正量算出部、52…インデックス信号処理部、53…メモリ部、54…入力信号処理部、55…偏向制御部、56…LD(ランディング)補正制御部、70…インデックス電極。
【発明の属する技術分野】
本発明は、テレビジョン受像機や各種のモニタ装置などに利用される陰極線管の画像の表示状態を補正するための画像補正装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、テレビジョン受像機や各種のモニタ装置などには、陰極線管(CRT;Cathode Ray Tube)が広く使用されている。陰極線管は、電子銃を備えており、その電子銃から入力信号に対応して電子ビームが放出される。この電子ビームが、パネル側に形成されている蛍光面に対して照射され、走査されることにより、画面が形成される。
【0003】
陰極線管は、単一の電子銃を備えた構成が一般的であるが、近年では、複数の電子銃を備えた構成のものが開発されている。以下、複数の電子銃を用いる方式を“複電子銃方式”、単一の電子銃を用いる方式を“単電子銃方式”と呼ぶ。複電子銃方式の陰極線管(複電子銃陰極線管)は、複数の電子銃により画面を構成するため、1つの電子銃のみを用いた場合に比べて、高輝度化(電子ビーム電流密度の向上)、全体の奥行きの短縮化、および電子ビームのスポット特性改善等の利点がある。
【0004】
複電子銃陰極線管では、画面領域を複数に分割すると共に、その分割された複数の画面領域(以下、「分割画面」ともいう。)を互いに繋ぎ合わせることにより、全体として1つの画面を形成する。電子銃は、通常、画面の分割数に対応した数だけ設けられる。各分割画面は、それぞれ、対応する電子銃から放出された電子ビームによって走査される。複電子銃方式の陰極線管における画面構成としては、単に各分割画面の端部を線状に繋ぎ合わせることにより1つの画面を得るようにしたものと、隣接する分割画面同士を部分的に重複(オーバ・ラップ)させて1つの画面を得るようにしたものとがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来より陰極線管は、その使用条件によって画像の表示状態が様々に変化することが知られている。例えば、電子ビームは、地磁気によりローレンツ力を受けているが、地磁気の方向は陰極線管を利用する環境により異なるため、その電子ビームの受けるローレンツ力が変化する。このため、環境によりビーム軌道が変化し、画像の歪み(画歪み)や、色ずれ等の変化が生じる。現状、色ずれ等は地磁気の方向を検出するセンサを利用し、その検出値を偏向回路等にフィードバックすることで補正する解決方法が存在する。しかしながら、この方法では、一様な地磁気の影響は補正できるが、細かな補正は困難である。また、画像の歪みや色ずれ等は、地磁気の変化のみならず、回路や陰極線管自体の熱等による経時変化によっても生じる。これらに関しても、熱センサ等を利用し、その検出値をフィードバックすることで補正が可能であるが、様々な位置にセンサを用いる必要性が生じるなどの問題点がある。
【0006】
また、特に複電子銃陰極線管においては、繋ぎ合わせ部分が目立たないように各分割画面が適正に繋ぎ合わされている必要があるが、画歪みや色ずれ等は、この繋ぎ合わせの精度にも悪影響を及ぼすので、好ましくない。
【0007】
そこで、電子ビームの軌道を検出する手段として、蛍光体による発光を利用した光インデックスシステム(特開2001−23549号、特開平5−236485号など)や、電気的に軌道を検出する電気インデックスシステム(特願平11−72658号(特開2000−268751号),特願平11−72651号(特許第3068115号)等)が提案されている。
【0008】
これらの方法では、地磁気検出センサや温度センサから間接的に軌道の変化量を検出する方法に比べて、軌道を直接的に検出することができる。このため、種々の要因による様々な軌道変化を、一つのシステムで検出できたり、より細かな補正が可能となるなどの利点がある。また特に、インデックス検出手段を特願平11−72658号および特願平11−72651号等のように有効画面外の過走査領域に配置すれば、陰極線管の実働状態においても常時、ビーム軌道の測定が可能となり、常時補正が可能となる。インデックス検出手段からの検出信号を用いて、画像の表示状態を補正するシステムは、特許第3057230号公報にも記載されている。この公報記載の発明では、画面をあらかじめ撮影するなどして作成された画像補正用のデータを記憶しておき、この画像補正用のデータとインデックス検出手段による検出結果とに基づいて、入力映像信号を制御して画像の表示状態を補正する。
【0009】
しかしながら、上記いずれの提案においても、ビーム軌道の変化に関する分析が不十分なところがある。特に、ビーム軌道の変化から画歪みやランディングずれを算出することに関して、具体性に欠ける部分がある。初期調整時の最適な画像を維持するためにも、ビーム軌道の変化の分析は必要不可欠である。
【0010】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、画像の表示状態を、初期調整時の状態に補正し、常に最適な表示状態を維持することができるようにした画像補正装置および方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明による画像補正装置および方法は、電子ビームを放出する電子銃と、有効画面外において、電子ビームの軌道を検出する検出手段とを備えた陰極線管における画像の表示状態を補正するためのものである。
【0012】
本発明による画像補正装置は、検出手段によって画面表示の初期調整段階に検出された、ビーム軌道に関する初期基準データを保持する記憶手段と、検出手段によって検出されたビーム軌道に関するデータと、記憶手段に記憶された初期基準データとを比較し、初期調整段階からのビーム軌道の変化量を求める第1の演算手段とを備えている。本発明による画像補正装置はさらに、求められたビーム軌道の変化量に基づいて、表示画面の変化を初期調整段階の状態に戻すための補正量を算出する第2の演算手段と、補正量に基づいて、表示画面が初期調整段階の状態に近づくよう、ビーム軌道または入力信号の少なくとも一方の制御を行う制御手段とを備えている。
【0013】
本発明による画像補正方法は、検出手段によって画面表示の初期調整段階に検出された、ビーム軌道に関する初期基準データを保持するステップと、検出手段によって検出されたビーム軌道に関するデータと、初期基準データとを比較し、初期調整段階からのビーム軌道の変化量を求めるステップとを含んでいる。本発明による画像補正方法はさらに、求められたビーム軌道の変化量に基づいて、表示画面の変化を初期調整段階の状態に戻すための補正量を算出するステップと、補正量に基づいて、表示画面が初期調整段階の状態に近づくよう、ビーム軌道または入力信号の少なくとも一方の制御を行うステップとを含んでいる。
【0014】
本発明による画像補正装置および方法では、検出手段によって画面表示の初期調整段階に検出された、ビーム軌道に関する初期基準データが保持される。その保持された初期基準データと、検出手段によって検出されたビーム軌道に関するデータとが比較され、初期調整段階からのビーム軌道の変化量が求められる。そして、求められたビーム軌道の変化量に基づいて、表示画面の変化を初期調整段階の状態に戻すための補正量が算出され、その補正量に基づいて、表示画面が初期調整段階の状態に近づくよう、ビーム軌道または入力信号の少なくとも一方の制御が行われる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
[第1の実施の形態]
図1は、単電子銃方式の陰極線管、図2は、複電子銃方式の陰極線管を示している。本実施の形態に係る画像補正装置および方法は、いずれの方式の陰極線管にも適用可能である。
【0017】
図1に示した単電子銃方式の陰極線管は、内側に蛍光面11Aが形成されたパネル部10と、このパネル部10に一体化されたファンネル部20とを備えている。ファンネル部20の後端部には電子銃31を内蔵したネック部30が形成されている。パネル部10、ファンネル部20およびネック部30よりなる全体形状部分は「外囲器」とも呼ばれる。パネル部10の表面は、蛍光面11Aの発光により画像が表示される画像表示面(管面)11Bとなっている。
【0018】
この陰極線管の内部には、蛍光面11Aに対向するように配置された金属製の薄板よりなる色選別機構(color selection mechanism)12が配置されている。色選別機構12は、その外周がフレーム13によって支持されている。
【0019】
ファンネル部20には、アノード電圧HVを供給するための図示しないアノード端子(アノードボタン)が設けられている。ファンネル部20からネック部30にかけての外周部分には、偏向ヨーク21と、ランディング補正用コイル32とが取り付けられている。偏向ヨーク21は、電子銃31から放出された電子ビーム5を偏向走査するためのものである。
【0020】
ネック部30からパネル部10の蛍光面11Aに至る内周面は、導電性の内部導電膜22によって覆われている。内部導電膜22は、アノード端子に電気的に接続され、アノード電圧(高電圧)HVに保たれている。ファンネル部20の外周面は、導電性の外部導電膜23によって覆われている。
【0021】
電子銃31は、図示しないが、それぞれカソード(熱陰極)を有している。カラー陰極線管の場合、それぞれ、R,G,Bの各色に対応した3本のカソードを有している。電子銃31から放出された電子ビーム5は、色選別機構12を通過して蛍光面11Aの対応する色の蛍光体に照射される。
【0022】
この陰極線管の管内において、有効画面外の過走査(オーバ・スキャン)領域OSには、図1の紙面に垂直な方向に細長い、長方形の平板状のインデックス電極70が、蛍光面11Aに対向するように設けられている。
【0023】
この陰極線管において、過走査領域OSは、画面の上下方向の端部と左右方向の端部とに存在するが、インデックス電極70を設ける位置は、いずれの位置であっても良い。一般には、上下方向の過走査領域OSに1つずつ設けるか、左右方向の過走査領域OSに1つずつ設ければ十分であると考えられる。
【0024】
なお、この陰極線管において、過走査領域とは、電子ビーム5の走査領域において、有効画面を形成する電子ビーム5の走査領域の外側の領域のことをいう。図1においては、領域SWが、有効画面領域であり、その外側が過走査領域である。
【0025】
インデックス電極70は、電子ビーム5の軌道を検出するためのものであり、電子ビーム5の入射に応じて電気的な検出信号を出力する機能を有している。インデックス電極70は、金属などの導電性の物質からなるものであり、例えば、フレーム13を基台にして図示しない絶縁物を介して架設されている。
【0026】
このインデックス電極70において、過走査した電子ビーム5が入射すると、インデックス電極70における電位が、通常より電圧降下する。本陰極線管においては、この電圧降下した信号が、インデックス検出信号としてインデックス信号出力用キャパシタCfを経由して管外に導かれ、主として画像状態の補正に利用されるようになっている。
【0027】
インデックス電極70には、インデックス抵抗R2の一端が電気的に接続されている。インデックス抵抗R2の他端は、アノード電圧HVが保たれている部分(例えばフレーム13)に電気的に接続されている。インデックス電極70には、インデックス抵抗R2を介してアノード電圧HVが供給される。また、インデックス電極70は、信号出力用キャパシタCfの管内側の電極にリード線26を介して電気的に接続されている。
【0028】
信号出力用キャパシタCfは、インデックス電極70によって発生した電気的なインデックス検出信号を管外に出力するためのものである。この信号出力用キャパシタCfは、ファンネル部20などの誘電性を有する構成部分の一部を利用して形成されている。
【0029】
図4は、インデックス電極70の構成例を示している。インデックス電極70には、電極を部分的に切り欠いて形成された複数のスリットが設けられている。図4の例では、2種類のスリット131,132が、交互に複数配置されている。第1のスリット131は、例えば水平方向(電子ビーム5の走査方向に直交する方向)に長い長方形状となっている。第2のスリット132も略長方形状であり、第1のスリット131に対して斜めに配置されている。以下、第1のスリット131を「垂直スリット」、第2のスリット132を「斜めスリット」と呼ぶ。
【0030】
このインデックス電極70が、電子ビーム5によって走査されると、インデックス電極70から、スリット131,132が設けられている位置およびその形状に応じたパルス信号が出力される。このパルス信号を解析することにより、そのビーム軌道を直接的に検出することが可能となる。なお、インデックス電極70の構造については、本願出願人による特開2000−268751号公報および特許第3068115号公報等に詳細に記載されている。
【0031】
次に、図2に示した複電子銃陰極線管の構成について説明する。なお、図1の単電子銃方式の陰極線管と実質的に同一の機能を有する部分については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0032】
この複電子銃陰極線管も、単電子銃方式の陰極線管と同様、パネル部10と、このパネル部10に一体化されたファンネル部20とを備えている。ファンネル部20の後端部の左右にはそれぞれ電子銃31L,31Rを内蔵した2つのネック部30L,30Rが形成されている。2つの電子銃31L,31Rが設けられている点が、単電子銃方式の陰極線管との大きな違いである。
【0033】
ファンネル部20から各ネック部30L,30Rにかけての外周部分には、偏向ヨーク21L,21Rと、ランディング補正用コイル32L,32Rとが取り付けられている。偏向ヨーク21L,21Rは、電子銃31L,31Rから放出された各電子ビーム5L,5Rを偏向走査するためのものである。
【0034】
ここで、図2(B)および図3を参照して、この複電子銃陰極線管の画面構成および電子ビームの走査方式の具体例を説明する。この複電子銃陰極線管では、左側に配置された電子銃31Lからの電子ビーム5Lによって、画面の約左半分が描画されると共に、右側に配置された電子銃31Rからの電子ビーム5Rによって、画面の約右半分が描画される。そして、左右の電子ビーム5L,5Rによって形成された各分割画面6L,6Rの端部を、部分的に重ねて繋ぎ合わせることにより、全体として単一の画面SAを形成して画像表示が行われる。画面SAの中央部分は、左右の分割画面6L,6Rがオーバ・ラップする領域OLとなる。オーバ・ラップ領域OLにおける蛍光面11Aは、各電子ビーム5L,5Rに共有される(共通して走査される)ことになる。
【0035】
この複電子銃陰極線管において、過走査領域とは、電子ビーム5L,5Rの各々の走査領域において、有効画面を形成する電子ビーム5L,5Rの各々の走査領域の外側の領域のことをいう。図2においては、領域SW1が、電子ビーム5Rについての水平方向の有効画面領域であり、領域SW2が、電子ビーム5Lについての水平方向の有効画面領域である。
【0036】
図3(A),(B)に示した走査方式は、いわゆるライン走査(主走査)を画面上の上下方向(縦方向)に行い、いわゆるフィールド(またはフレーム)走査を水平方向(横方向)に行うようにしたものである。この走査方式は、ライン走査を縦方向に行っているので、以下では、“縦走査方式”と呼ぶ。なお、図3(A),(B)に示した走査例において、ライン走査を、画面の下から上(−Y方向)に向けて行うことも可能である。
【0037】
図3(C)に示した走査方式は、一般的な陰極線管と同様に、ライン走査を水平方向に行い、フィールド(またはフレーム)走査を上下方向に行うようにしたものである。この例では、図2(B)に示した走査方式に対して、電子ビーム5L,5Rによるそれぞれのライン走査およびフィールド走査をちょうど逆転させた形となっている。
【0038】
この複電子銃陰極線管の管内において、隣接する左右の分割画面6L,6Rの繋ぎ目側(画面全体のほぼ中央部分)における電子ビーム5L,5Rの過走査(オーバ・スキャン)領域OSには、図2(A)の紙面に垂直な方向に細長い、長方形の平板状のインデックス電極70が、蛍光面11Aに対向する位置に設けられている。インデックス電極70は、管内において、重複領域OLに対応する位置に設けられているともいえる。インデックス電極70は、電子ビーム5L,5Rのそれぞれについて、インデックス検出信号を出力する。
【0039】
この複電子銃陰極線管の管内において、さらに、インデックス電極70と蛍光面11Aとの間には、ビームシールド27が配置されている。ビームシールド27は、過走査領域OSを過走査した電子ビーム5L,5Rが蛍光面11Aに到達して不用意に発光しないように、電子ビーム5L,5Rを遮蔽する機能を有している。このビームシールド27は、断面が例えばV字形状で、インデックス電極70と同様、図2(A)の紙面に垂直な方向に細長い形状となっている。このビームシールド27は、その両端部が、例えばフレーム13に取り付けられている。
【0040】
次に、以上のような陰極線管における画像の表示状態を補正するための画像補正装置の構成について説明する。この画像補正装置は、初期調整された陰極線管において、偏向回路の温度変化や地磁気など外部変化によってビーム軌道が変化し画歪みが変化したときに、その画歪みを初期調整時の状態に戻すためのものである。以下では、図1に示した単電子銃方式の陰極線管を例にして説明するが、複電子銃陰極線管についても実質的に同じである。
【0041】
図5に示したように、この画像補正装置は、検出部41−1,41−2と、演算部50と、入力信号処理部54と、偏向制御部55とを備えている。演算部50は、マイクロ・コンピュータなどを含んで構成されるものであり、補正量算出部51と、インデックス信号処理部52と、メモリ53とを有している。
【0042】
検出部41−1,41−2は、インデックス電極70からのインデックス検出信号S1に対して波形整形および信号増幅処理などを行い、演算部50のインデックス信号処理部52に出力するようになっている。
【0043】
メモリ部53は、インデックス電極70によって画面表示の初期調整段階に検出された、初期のインデックス検出信号(以下、「基準信号」ともいう。)に関するデータ(初期基準データ)を保持している。インデックス信号処理部52は、初期調整後の実働時に検出されたインデックス検出信号(以下、「実働信号」ともいう。)に関するデータと、メモリ部53に記憶された初期基準データとを比較し、初期調整段階からのビーム軌道の変化量を求める機能を有している。
【0044】
補正量算出部51は、インデックス信号処理部52において求められたビーム軌道の変化量に基づいて、表示画面の変化を初期調整段階の状態に戻すための補正量を算出する機能を有している。
【0045】
入力信号処理部54および偏向制御部55は、補正量算出部51によって算出された補正量に基づいて、表示画面が初期調整段階の状態に近づくよう、ビーム軌道または入力信号の制御を行う機能を有している。入力信号処理部54は、例えば、陰極線管に入力される映像信号(入力信号)そのものを信号処理することにより、表示画面の制御を行う。なお、映像信号のかわりに電子銃を駆動する電圧信号を制御するようにしても良い。偏向制御部55は、偏向ヨーク21を制御し、電子ビームの偏向制御を行うことにより、表示画像の制御を行う。
【0046】
なお、本実施の形態において、インデックス電極70が、本発明における「検出手段」の一具体例に対応し、メモリ53が、本発明における「記憶手段」の一具体例に対応する。また、インデックス信号処理部52が、本発明における「第1の演算手段」の一具体例に対応し、補正量算出部51が、本発明における「第2の演算手段」の一具体例に対応する。また、入力信号処理部54および偏向制御部55が、本発明における「制御手段」の一具体例に対応する。
【0047】
次に、以上のような構成の陰極線管および画像補正装置の動作について説明する。
【0048】
図1に示した陰極線管において、電子銃31から放出された電子ビーム5は、偏向ヨーク21の電磁的な作用により偏向走査され、走査画面を形成する。電子ビーム5が、過走査領域OSを走査し、インデックス電極70に入射すると、インデックス電極70において電圧降下が生じる。この電圧降下に応じた信号が、インデックス検出信号として、信号出力用キャパシタCfを経由して管外に出力される。
【0049】
管外に出力されたインデックス検出信号S1は、図5に示したように、検出部41−1,41−2を介して、演算部50に出力される。演算部50において、インデックス信号処理部52は、インデックス検出信号(実働信号)に関するデータと、あらかじめメモリ部53に記憶されている初期基準データとに基づいて、初期調整段階からのビーム軌道の変化量を算出する。
【0050】
ビーム軌道の変化量は、具体的には例えば以下のように算出される。ここでは、インデックス電極70が、図4に示したように、2種類のスリット131,132を交互に複数配置された構造であるものとする。
【0051】
図6は、実働時のビーム軌道B2が、基準となる初期のビーム軌道B1に対しX方向(インデックス電極70の幅方向)にΔXだけ変化した場合を示している。この場合、図示したように、初期の基準信号S11に対し、実働信号S12では、各スリット131,132の間隔に対応してそのパルス間隔が変化する。このため、変化量ΔXは以下の式(1)で表される。
【0052】
【数1】
【0053】
ただし、ta1,ta2は、各ビーム軌道B1,B2が垂直スリット131を通過した時の時刻を示し、tb1,tb2は、各ビーム軌道B1,B2が斜めスリット132を通過した時の時刻を示す。ψは、2つのスリット131,132のなす角度を示している。
【0054】
図7は、ビーム軌道B2が、初期のビーム軌道B1に対しY方向にΔYだけ変化した場合を示している。この場合、図示したように、各ビーム軌道B1,B2で、例えば垂直スリット131を通過するタイミングが変化する。このため、変化量ΔYは以下の式(2)で表される。
【0055】
DY=|ta2−ta1| ……(2)
【0056】
図8は、実働時のビーム軌道B2が、初期のビーム軌道B1に対しY方向にサイズ変化を起こした場合を示している。初期のビーム軌道B1のサイズ(長さ)をl、実働時のビーム軌道B2のサイズをLとすると、その変化の割合αは、以下の式(3)で表される。ここでは、変化の割合αとして、例えば2つの垂直スリット131−1,131−2間での変化を示している。式(3)において、ta1,ta2は、各ビーム軌道B1,B2が1つ目の垂直スリット131−1を通過した時の時刻を示し、tc1,tc2は、各ビーム軌道B1,B2が任意の位置の2つ目の垂直スリット131−2を通過した時の時刻を示す。
【0057】
【数2】
【0058】
図9は、ビーム軌道B2の角度変化を算出する場合について示している。ここでは、ビーム軌道B2の速度が一定であると仮定する。なお、速度が一定であるということは、初期調整時における画面のリニアリティを調整することに一致すると考えられる。図に示したように、2つの垂直スリット131−1,131−2間の距離と、2つの斜めスリット132−1,132−2間の距離とが共にhであるものとする。ビーム軌道B2がスリット131−1,132−1,131−2,132−2を通過した時の時刻を、それぞれt1,t2,t3,t4とする。垂直スリット131−1,131−2と斜めスリット132−1,132−2とがなす角度をψとする。ビーム軌道B2の速度をv、角度をθとする。
【0059】
まず、垂直スリット131−1,131−2と角度θとの関係から、以下の式(A)が成り立つ。
【数3】
【0060】
この式(A)から、
h=(t3−t1)・v・cosθ
が成り立つ。
【0061】
また、斜めスリット132−1,132−2と角度θとの関係から、以下の式(B)が成り立つ。
【数4】
【0062】
以上の2つの式から、hを消去して整理すると、次の式(C)が成り立つ。
【数5】
【0063】
よって、次の式(D)が成り立つ。
【数6】
【0064】
式(D)の両辺をcosψ・cosθで割って整理すると、次の式(4)が得られ、ビーム軌道B2の角度θが導出される。
【数7】
【0065】
補正量算出部51では、以上のような手法で求められたビーム軌道の変化量に基づいて、表示画面の変化を初期調整段階の状態に戻すための補正量を算出する。算出された補正量は、入力信号処理部54および偏向制御部55に送られる。
【0066】
補正量算出部51では、例えば図10,11に示したように、画面周囲4点におけるビーム軌道の変化量を検出・算出して、画面全体の変化パターンの分析を行う。図10では、画面全体がY方向に平行移動した場合を示している。この場合のY方向の移動量は、以下の式(5)で表すことができる。また図11では、画面全体が傾いた場合を示している。この場合の傾き量は、以下の式(6)で表すことができる。なお、有効画面内部については補間を行うことで、変化量を算出する。
【0067】
Y移動量=(ΔY1+ΔY2+ΔY3+ΔY4)/4
……(5)
傾き=(ΔX1−ΔX2+ΔX3−ΔX4)/4
……(6)
【0068】
なお、軌道変化の検出点の数は、画面周囲4点に限るものではない。また、必ずしも、画面全体の変化パターンの分析を行う必要はなく、各検出点の軌道変化量を、入力信号処理部54および偏向制御部55に直接送り、そこで補正を行わせることも可能である。インデックス電極70によって直接移動量を検出できない点や、各検出点の中間部の点などについては、補間演算をするなどして求めれば良い。
【0069】
入力信号処理部54および偏向制御部55は、補正量算出部51からの補正量に基づいて、表示される画面の状態が初期調整段階の状態に近づくよう制御を行う。入力信号処理部54では、補正量に基づいて、例えば、陰極線管に入力される映像信号そのものを信号処理することにより、表示画面の制御を行う。偏向制御部55では、補正量に基づいて、偏向ヨーク21に補正電流を与えて偏向ヨーク21を制御し、電子ビームの偏向制御を行うことにより、表示画面の制御を行う。
【0070】
なお、図2に示した複電子銃陰極線管では、画面中心部にのみインデックス電極70を有しているが、この場合、偏向回路の温度特性や地磁気等の外部変化による走査画面の変化の対称性を考慮し、各走査画面のデータで画面全体を補い、補正を行うシステムにすれば良い。当然図1の単電子銃方式の陰極線管のように、画面の左右(または上下)にもインデックス電極70を配置し、より多くの検出点から補正量を算出するようにしても良い。
【0071】
また、いわゆるコンバーゼンスについては、各色のビーム軌道における基準信号をそれぞれ保持しておき、各色について上記と同様の補正処理を行うことで、コンバーゼンスが変化した場合においてもそれを補正することが可能となる。
【0072】
以上説明したように、本実施の形態によれば、ビーム軌道に関する初期基準データをメモリ部53に保持しておき、その保持された初期基準データと、インデックス電極70によって検出されたビーム軌道に関するデータとを比較して、初期調整段階からのビーム軌道の変化量を求め、その求められたビーム軌道の変化量に基づいて、表示画面の変化を初期調整段階の状態に戻すための補正量を算出し、その補正量に基づいて、表示画面が初期調整段階の状態に近づくよう、ビーム軌道または入力信号の制御を行うようにしたので、特に画歪みを、初期調整時の状態に補正し、常に最適な表示状態を維持することができる。例えば外的環境や温度特性等による変化によって、画歪みが生じた場合に、その画歪みを初期調整状態に補正することが可能となる。また、インデックス電極70は、有効画面外に設けられているため、通常の画像表示に影響を与えることなく、上述した補正をいつでも行うことができる。
【0073】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0074】
上記第1の実施の形態では、主として画歪みを補正する場合について説明したが、本実施の形態では、初期調整された陰極線管(図1または図2)において、地磁気などによってビーム軌道が変化しランディングが変化した(ランディングずれが生じた)ときに、そのずれを補正し初期調整時の状態に戻すシステムについて説明する。ランディングずれとは、例えばカラー陰極線管において、色選別機構を通過した所定の色用の電子ビームの中心が、所定の色の蛍光体の中心位置に照射されずに、ずれてしまう状態のことをいう。ランディングずれは、陰極線管を使用する環境変化(地磁気方向の変化)により、電子ビームが色選別機構に入射する角度や、入射後のビーム軌道が変化を生じさせる。
【0075】
図12は、ランディングずれを補正するための画像補正装置の構成を示している。この画像補正装置の基本構成は、入力信号処理部54および偏向制御部55に代えて、LD(ランディング)補正制御部56が設けられていることを除いて、図5に示した画像補正装置と同様である。LD補正制御部56は、補正量算出部51によって算出されたランディングずれを補正するための補正量に基づいて、ビーム軌道の制御を行う機能を有している。
【0076】
この画像補正装置において、インデックス電極70によるビーム軌道の検出動作や、インデックス信号処理部52におけるビーム軌道の変化量を求める手法については、上記第1の実施の形態と同様である。
【0077】
本実施の形態では、補正量算出部51において、ランディングずれを補正するための補正量を算出する。補正量を算出する方法は、以下のようにして行う。補正量を算出するに当たって、あらかじめ、ビーム軌道の変化量とランディングのずれ量との相関関係を求めておく必要がある。
【0078】
図15は、地磁気によって生ずるランディングずれの概念を示している。蛍光面11Aには、R,G,Bの蛍光体が順番に形成されているものとする。図15では、緑色用のビーム軌道に関するランディングずれを示しており、B1が、ランディングずれのない初期調整時におけるビーム軌道を示し、B2が、ランディングずれのあるビーム軌道を示している。
【0079】
地磁気によるランディングずれを生じさせる要因としては、(1)色選別機構12に入射する際の電子ビームの角度と、(2)色選別機構12を通過した後に曲げられた軌道が考えられる。このランディングずれは、蛍光面11Aと色選別機構12との間隔や、画面位置等のパラメータを決定することで計算可能となる。同様に、インデックス電極70におけるビーム軌道の変化量を算出し、その相関関係を求める。相関関係は、必ずしも軌道シミュレーションのみで行う必要はなく、実際にインデックス電極70の変化とランディングのずれ量を測定して求めても良い。
【0080】
地磁気によりランディングがずれた際、ビーム軌道の変化量とあらかじめ求めておいた相関関係とを用い、ランディングのずれ量を算出する。例えば、トリニトロン管(商品名)を用いた陰極線管においては、ストライプ状の色選別機構12が縦方向に形成されており、ランディングずれに起因するものは横方向の変化のみであるので、横方向のビーム軌道変化を利用し、ランディングずれを補正することができる。逆に横方向のストライプが形成されているのであれば、縦方向の変化量、シャドウマスク陰極線管においては、縦横すべての変化量を用いて補正を行えば良い。
【0081】
ただし、ビーム軌道の変化は、地磁気に起因するものだけでなく、偏向回路の温度特性に起因するものもあり、地磁気によるものと区別をする必要がある。この区別は、以下のようにして行うことができる。
【0082】
図13は、地磁気に起因するビーム軌道変化(画面形状の変化)の例を示している。図13(A)は、地磁気による磁界が管面側から見て右から左に生じている場合、図13(B)は、左から右に生じている場合、図13(C)は、手前から奥に生じている場合、図13(D)は、奥から手前に生じている場合の軌道変化を示している。各図において、破線で示した部分が軌道変化後の画面形状を示す。これらの例から分かるように、地磁気による変化では、画面が台形状に変化したり、画面全体が傾くような変化を生じさせる。
【0083】
一方、図14に、偏向回路の温度特性に起因するビーム軌道変化の例を示す。この場合には、一般に画面サイズに変化を生じさせる。このように、地磁気による軌道変化と偏向回路の温度特性に起因する軌道変化とでは、その変化の特性に違いがある。この変化の違いを利用し、ビーム軌道の変化量の成分分解を補正量算出部51によって行うことで、各特性に応じた補正量を算出することができる。
【0084】
このようにして決定されたランディング補正量が、LD補正制御部56に送られる。LD補正制御部56は、この補正量に基づいて、例えばランディング補正用コイル32に補正電流を与えてコイルを動的に駆動してビーム軌道を制御し、ランディングずれの補正を行う。ランディング補正用コイル32としては、管面の周囲に設けられるLCC(Landing Correcting Coil)と呼ばれるものや、ネック部30に設けられるコイルなどがある。
【0085】
なお、図2に示した複電子銃陰極線管では、画面中心部にのみインデックス電極70を有しているが、この場合、上記第1の実施の形態と同様、各走査画面のデータで画面全体を補い、補正を行うシステムにすれば良い。また、画面の左右(または上下)にもインデックス電極70を配置し、より多くの検出点から補正量を算出するようにしても良い。
【0086】
以上説明したように、本実施の形態によれば、補正量算出部51においてランディング補正量を算出し、それに基づいてLD補正制御部56においてビーム軌道の制御を行うようにしたので、ランディングずれを初期調整時の状態に補正し、常に最適な表示状態を維持することができる。
【0087】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0088】
上記第1および第2の実施の形態では、画歪みとランディングずれとを個々に補正する場合について説明したが、本実施の形態では、画歪みとランディングずれの双方を補正する場合について説明する。
【0089】
図16は、本実施の形態における画像補正装置の構成を示している。この画像補正装置は、ちょうど、図5の画像補正装置と図12の画像補正装置とを組み合わせたような構成となっており、ビーム軌道の制御を行うために、入力信号処理部54、偏向制御部55およびLD補正制御部56を備えている。
【0090】
この画像補正装置において、インデックス電極70によるビーム軌道の検出動作や、インデックス信号処理部52におけるビーム軌道の変化量を求める手法については、上記第1の実施の形態と同様である。また、ビーム軌道の変化量から、画歪みの補正量を算出する方法は、上記第1の実施の形態と同様であり、ビーム軌道の変化量から、ランディングずれの補正量を算出する方法は、上記第2の実施の形態と同様である。
【0091】
ただし、画歪みとランディングずれの双方を補正する場合、ランディング補正を行う際に生じる画歪み変化を考慮する必要がある。ランディング補正は、ランディング補正用コイル32に補正用のコイル電流を流しビームの軌道を変化させることで行うが、このときに、画歪みの変化を伴う。したがって、あらかじめランディング補正を行う量とそれによって生じる画歪み変化量との相関関係を取っておき、実際に補正するときには、それを考慮した値を画歪み補正量とする必要がある。
【0092】
例えば、地磁気や偏向回路の温度特性による画歪み補正量をΔD1、ランディング補正により生じる画歪み補正量をΔD2とすると、実際に用いる画歪み補正量ΔDは、以下の式(7)となる。この補正量ΔDを、入力信号処理部54および偏向制御部55に送り画歪みを補正することになる。
ΔD=ΔD1+ΔD2 ……(7)
【0093】
なお、図2に示した複電子銃陰極線管では、画面中心部にのみインデックス電極70を有しているが、この場合、上記第1の実施の形態と同様、各走査画面のデータで画面全体を補い、補正を行うシステムにすれば良い。また、画面の左右(または上下)にもインデックス電極70を配置し、より多くの検出点から補正量を算出するようにしても良い。
【0094】
また、いわゆるコンバーゼンスについては、上記第1の実施の形態と同様、各色のビーム軌道における基準信号をそれぞれ保持しておき、各色について上記と同様の補正処理を行うことで、コンバーゼンスが変化した場合においてもそれを補正することが可能となる。
【0095】
以上説明したように、本実施の形態によれば、補正量算出部51において、ランディング補正量を算出し、それに基づいてLD補正制御部56においてビーム軌道の制御を行うと共に、ランディング補正により生じる画歪み補正量を考慮して、最終的な画歪み補正量ΔDを算出し、それに基づいて入力信号処理部54および偏向制御部55においてビーム軌道または入力信号の制御を行うようにしたので、画歪みとランディングずれの双方を初期調整時の状態に補正し、常に最適な表示状態を維持することができる。
【0096】
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず種々の変形実施が可能である。例えば、上記各実施の形態では、インデックス検出手段として電極を用い、ビーム軌道を電気的に検出する方法について説明したが、インデックス検出手段として蛍光体を塗布したものを使用するようにしても良い。この場合、インデックス検出手段が電子ビームの入射に応じて発光するので、この発光により、ビーム軌道の検出を行うことができる。
【0097】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の画像補正装置、または請求項7記載の画像補正方法によれば、ビーム軌道に関する初期基準データを保持しておき、その保持された初期基準データと、検出手段によって検出されたビーム軌道に関するデータとを比較して、初期調整段階からのビーム軌道の変化量を求め、その求められたビーム軌道の変化量に基づいて、表示画面の変化を初期調整段階の状態に戻すための補正量を算出し、その補正量に基づいて、表示画面が初期調整段階の状態に近づくよう、ビーム軌道または入力信号の少なくとも一方の制御を行うようにしたので、画像の表示状態を、初期調整時の状態に補正し、常に最適な表示状態を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像補正装置が適用される陰極線管の構成例を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る画像補正装置が適用される陰極線管の他の構成例を示す図であり、(B)は、陰極線管の画面構成を示す正面図、(A)は、(B)におけるIIA−IIA線断面図である。
【図3】図2に示した陰極線管における電子ビームの走査方式および画面構成の例を示す説明図である。
【図4】インデックス電極の構成例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る画像補正装置の構成を示すブロック図である。
【図6】ビーム軌道の水平X方向の位置ずれ量を、インデックス検出信号を用いて算出する方法を示す説明図である。
【図7】ビーム軌道の垂直Y方向の位置ずれ量を、インデックス検出信号を用いて算出する方法を示す説明図である。
【図8】ビーム軌道の垂直Y方向のサイズ変化量を、インデックス検出信号を用いて算出する方法を示す説明図である。
【図9】ビーム軌道の角度変化量を、インデックス検出信号を用いて算出する方法を示す説明図である。
【図10】画面全体が平行移動した場合における補正量の算出に関する説明図である。
【図11】画面全体が傾いた場合における補正量の算出に関する説明図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る画像補正装置の構成を示すブロック図である。
【図13】地磁気によるビーム軌道の変化の例を示す説明図である。
【図14】偏向回路の温度特性に起因するビーム軌道の変化の例を示す説明図である。
【図15】ビーム軌道の変化によるランディングずれの概念を示す説明図である。
【図16】本発明の第3の実施の形態に係る画像補正装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
OL…重複(オーバ・ラップ)領域、OS…過走査(オーバ・スキャン)領域、S1…インデックス検出信号、5,5L,5R…電子ビーム、6L,6R…分割画面、10…パネル部、11A…蛍光面、11B…管面、20…ファンネル部、21,21L,21R…偏向ヨーク、22…内部導電膜、23…外部導電膜、27…ビームシールド、30,30L,30R…ネック部、31,31L,31R…電子銃、32…ランディング補正用コイル、41−1,41−2…検出部、50…演算部、51…補正量算出部、52…インデックス信号処理部、53…メモリ部、54…入力信号処理部、55…偏向制御部、56…LD(ランディング)補正制御部、70…インデックス電極。
Claims (7)
- 電子ビームを放出する電子銃と、有効画面外において、前記電子ビームの軌道を検出する検出手段とを備えた陰極線管における画像の表示状態を補正するための画像補正装置であって、
前記検出手段によって画面表示の初期調整段階に検出された、ビーム軌道に関する初期基準データを保持する記憶手段と、
前記検出手段によって検出されたビーム軌道に関するデータと、前記記憶手段に記憶された前記初期基準データとを比較し、初期調整段階からのビーム軌道の変化量を求める第1の演算手段と、
求められたビーム軌道の変化量に基づいて、表示画面の変化を初期調整段階の状態に戻すための補正量を算出する第2の演算手段と、
前記補正量に基づいて、表示画面が初期調整段階の状態に近づくよう、ビーム軌道または入力信号の少なくとも一方の制御を行う制御手段と
を備えたことを特徴とする画像補正装置。 - 前記電子銃を複数備え、これら複数の電子銃から放出された電子ビームによって複数の分割画面を形成すると共に、それら複数の分割画面を互いに繋ぎ合わせることにより全体として単一の画面を形成するようになされた陰極線管に適用され、
前記検出手段は、前記各分割画面の繋ぎ目部分に対応する位置に設けられ、前記各分割画面を形成するそれぞれの電子ビームの有効画面外における軌道を検出する
ことを特徴とする請求項1記載の画像補正装置。 - 前記第1の演算手段において、少なくとも画歪みに相当するビーム軌道の変化量を求め、
前記第2の演算手段において、少なくとも画歪み補正を行うための補正量を算出し、
前記制御手段において、少なくとも画歪みを補正する制御を行う
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の画像補正装置。 - 前記第1の演算手段において、少なくともコンバーゼンスずれに相当するビーム軌道の変化量を求め、
前記第2の演算手段において、少なくとも画歪みコンバーゼンス補正を行うための補正量を算出し、
前記制御手段において、少なくともコンバーゼンスを補正する制御を行う
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の画像補正装置。 - 前記第1の演算手段において、少なくともランディングずれに相当するビーム軌道の変化量を求め、
前記第2の演算手段において、少なくともランディングずれの補正を行うための補正量を算出し、
前記制御手段において、少なくともランディングずれを補正する制御を行う
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の画像補正装置。 - 前記制御手段は、電子ビームの偏向制御、または前記電子銃に与えられる駆動信号の制御の少なくとも一方により、前記表示画面の制御を行う
ことを特徴とする請求項1記載の画像補正装置。 - 電子ビームを放出する電子銃と、有効画面外において、前記電子ビームの軌道を検出する検出手段とを備えた陰極線管における画像の表示状態を補正するための画像補正方法であって、
前記検出手段によって画面表示の初期調整段階に検出された、ビーム軌道に関する初期基準データを保持するステップと、
前記検出手段によって検出されたビーム軌道に関するデータと、前記初期基準データとを比較し、初期調整段階からのビーム軌道の変化量を求めるステップと、
求められたビーム軌道の変化量に基づいて、表示画面の変化を初期調整段階の状態に戻すための補正量を算出するステップと、
前記補正量に基づいて、表示画面が初期調整段階の状態に近づくよう、ビーム軌道または入力信号の少なくとも一方の制御を行うステップと
を含むことを特徴とする画像補正方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002187265A JP2004032473A (ja) | 2002-06-27 | 2002-06-27 | 画像補正装置および方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002187265A JP2004032473A (ja) | 2002-06-27 | 2002-06-27 | 画像補正装置および方法 |
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ID=31182350
Family Applications (1)
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JP (1) | JP2004032473A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3104334A1 (en) | 2015-06-08 | 2016-12-14 | Hitachi, Ltd. | Analytical mesh generation device and method |
-
2002
- 2002-06-27 JP JP2002187265A patent/JP2004032473A/ja active Pending
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EP3104334A1 (en) | 2015-06-08 | 2016-12-14 | Hitachi, Ltd. | Analytical mesh generation device and method |
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