JP2004021842A - 回転機の熱解析方法、回転機の熱解析装置、コンピュータプログラム、及び記録媒体 - Google Patents

回転機の熱解析方法、回転機の熱解析装置、コンピュータプログラム、及び記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】固定子及び回転子の形状を表現したメッシュを用いて回転中の回転機の熱解析を行なう方法、回転機の熱解析装置、コンピュータプログラム、及び記録媒体を提供する。
【解決手段】回転機を構成する固定子Sと回転子Rとの間の空間部Gに含まれて回転軸Aを中心とした円上に位置する節点について、同じ円上に位置する節点a0,a1,a2,a3,…での温度Tを、T(a0)=T(a1)=T(a2)=T(a3)=…と均一に拘束する温度の拘束条件を定める。複数の円の夫々について円上の節点での温度を均一に拘束することにより、回転機の回転中に空間部Gの空気が撹拌されて空間部Gの温度が周方向に略均一となる状態が表現され、前記拘束条件の基で熱解析を行うことにより、固定子S及び回転子Rの形状を保ったメッシュを用いて回転中の回転機の熱解析を行うことができる。
【選択図】    図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有限要素法を用いて回転機の熱解析を行う方法、回転機の熱解析装置、コンピュータを該熱解析装置として実現するためのコンピュータプログラム、及び記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
回転機は、様々な機器に組み込まれて使用される重要な部品であり、高性能化のための改良が繰り返されている。回転機は、使用するにつれ、コイルに流れる電流、磁石に発生する渦電流、及び鉄損などの原因により発熱し、内部の温度が上昇するため、設計された回転機の設置場所または冷却条件などの使用条件を知るためには、作動中の回転機内部の熱の発生および伝達を計算する熱解析を行なう必要が有る。
【0003】
回転機の熱解析は従来より有限要素法を用いて行なわれており、有限要素法では、解析対象の形状を表した二次元又は三次元の形状モデルをCADシステム等を用いて作成し、形状モデルを複数の多角形または多面体の要素の組み合わせで表現したメッシュを生成し、メッシュに対して数値計算を行う。図6は、回転機の構造の例を示す断面図、及び熱解析を行うために生成したメッシュの例を示す断面図である。図6(a)は、回転子Rの回転軸に垂直な面で回転機を切断した断面図であり、図中に示すごとく、回転機の固定子Sと回転子Rとの間には空間部Gが存在し、正確な熱解析を行なうためには、空間部Gにおける空気の流れの計算を行なう必要が有る。図6(b)は、熱解析を行うために生成した従来のメッシュである。空気の流れを計算するためには膨大な計算コストが必要であるため、従来は、回転中の回転子R及び空間部Gを併せた部分を同心円状の発熱体と見なし、固定子Sの形状を表現したメッシュを生成し、空気の流れを計算することなく、固定子Sに対して熱解析を行なっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の熱解析法では、回転子Rの凹凸形状を無視して回転中の回転子Rを同心円状にモデル化しているため、回転子Rに対する熱解析を行なうことができないという問題がある。特に、回転子Rに永久磁石を利用する回転機では、永久磁石の性能が温度に依存して変化するため、回転子Rの詳細な熱解析が必要となる。
【0005】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、有限要素法による回転機の熱解析において、空間部中で回転子の回転軸を中心にした円を描くことが可能な部分は円周方向に温度が均一であると仮定することにより回転子の回転を表現して、固定子及び回転子の形状を表現したメッシュを用いて熱解析を行なう方法、熱解析装置、コンピュータを該熱解析装置として実現するためのコンピュータプログラム、及び記録媒体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
第1発明に係る回転機の熱解析方法は、記憶部及び演算部を備えるコンピュータを用いて、回転機を構成する固定子、回転子、及び固定子と回転子との間の空間部の形状を複数の節点から構成される複数の要素の組み合わせで表現したメッシュを記憶部に記憶し、有限要素法による回転機の熱解析を演算部にて行う方法であって、前記空間部に含まれて回転子の回転軸を中心とする複数の円の夫々について、円周上に位置する複数の節点を演算部が抽出し、前記円の夫々について、抽出した複数の節点の夫々における温度を演算部が所定範囲内に拘束することを特徴とする。
【0007】
第2発明に係る回転機の熱解析装置は、回転機を構成する固定子、回転子、及び固定子と回転子との間の空間部の形状を複数の節点から構成される複数の要素の組み合わせで表現したメッシュを用い、有限要素法による回転機の熱解析を行う装置であって、前記空間部に含まれて回転子の回転軸を中心とする複数の円の夫々について、円周上に位置する複数の節点を抽出する手段と、前記円の夫々について、抽出した複数の節点の夫々における温度を所定範囲内に拘束する手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
第3発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、回転機を構成する固定子、回転子、及び固定子と回転子との間の空間部の形状を複数の節点から構成される複数の要素の組み合わせで表現したメッシュを用いて、有限要素法による回転機の熱解析を行わせるコンピュータプログラムであって、コンピュータに、前記空間部に含まれて回転子の回転軸を中心とする複数の円の夫々について、円周上に位置する複数の節点を抽出させる手順と、コンピュータに、前記円の夫々について、抽出した複数の節点の夫々における温度を所定範囲内に拘束させる手順とを含むことを特徴とする。
【0009】
第4発明に係るコンピュータでの読み取りが可能な記録媒体は、コンピュータに、回転機を構成する固定子、回転子、及び固定子と回転子との間の空間部の形状を複数の節点から構成される複数の要素の組み合わせで表現したメッシュを用いて、有限要素法による回転機の熱解析を行わせるコンピュータプログラムを記録してあるコンピュータでの読み取りが可能な記録媒体であって、コンピュータに、前記空間部に含まれて回転子の回転軸を中心とする複数の円の夫々について、円周上に位置する複数の節点を抽出させる手順と、コンピュータに、前記円の夫々について、抽出した複数の節点の夫々における温度を所定範囲内に拘束させる手順とを含むコンピュータプログラムを記録してあることを特徴とする。
【0010】
本発明においては、回転機を構成する固定子、回転子、及び固定子と回転子との間の空間部の形状を複数の要素の組み合わせで表現したメッシュを用い、前記空間部内に含まれて回転子の回転軸を中心とする円上に位置する複数の節点について、同じ円上に位置する節点での温度を略均一に拘束して、有限要素法による熱解析を行う。回転機の回転中は、前記空間部の空気は周方向へ撹拌され、周方向の温度は均一であると考えられるため、節点における温度を周方向に均一に拘束することにより、回転機の回転が表現され、固定子および回転子の形状を保ったままで回転機の回転中の熱解析を行うことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。
図1は、本発明の熱解析装置の構成を示すブロック図である。図中1は、本発明の熱解析装置であり、演算を行うCPU11と、演算に伴って発生する一時的な情報を記憶するRAM12と、CD−ROMドライブ等の外部記憶装置13と、ハードディスク等の内部記憶装置14とを備えており、CD−ROM等の記録媒体2から本発明に係るコンピュータプログラム20を外部記憶装置13にて読み取り、読み取ったコンピュータプログラム20を内部記憶装置14に記憶し、RAM12にコンピュータプログラム20をロードし、CPU11はコンピュータプログラム20に基づいて熱解析装置1に必要な処理を実行する。熱解析装置1は、キーボード又はマウス等の入力装置15と、液晶ディスプレイ又はCRTディスプレイ等の出力装置16とを備えており、データの入力を初めとするオペレータからの操作を受け付ける構成となっている。
【0012】
また、熱解析装置1は、図示しない通信インタフェースを備え、通信インタフェースに接続されている図示しない外部のサーバ装置から本発明に係るコンピュータプログラム20をダウンロードし、CPU11にて処理を実行する形態であってもよい。
【0013】
図2は、熱解析装置1の処理の流れを示すフローチャートである。まず、熱解析装置1は、オペレータによって操作された入力装置15から、熱解析の解析対象である回転機の形状を表現した形状モデルを受け付け(S1)、固定子S、回転子R、及び空間部Gの形状を複数の要素の組み合わせで表現したメッシュを生成する(S2)。図3及び図4は、回転機の形状モデルと生成したメッシュの例とを示す断面図である。図3(a)は、回転機の形状モデルを回転子Rの回転軸Aに垂直に切断した断面図であり、図3(b)は、メッシュを回転子Rの回転軸Aに垂直に切断した断面の1/4を示している。図4(a)は、図3(a)に示したIV−IV線で回転軸Aに平行に形状モデルを切断した断面図であり、図4(b)は、メッシュを回転子Rの回転軸Aを含む平面で切断した断面の1/2を示している。回転機は、固定子鉄心にコイルを巻回させた固定子Sと、鉄心の周囲に磁石を備えた回転子Rと、固定子Sおよび回転子Rの間の空間部Gとから構成されており、生成したメッシュでは、夫々の形状が複数の要素の組み合わせで表現されている。
【0014】
次に、熱解析装置1は、空間部Gに含まれて回転軸Aを中心とする複数の円の夫々について、円上に位置する複数の節点を抽出する(S3)。図5は、抽出した節点の一部を示すメッシュの断面図であり、図5(a)には回転軸Aに垂直な面でメッシュを切断した断面図の一部を示している。図中に示す如く、空間部Gに含まれて回転軸Aを中心にした円上に位置する節点a0,a1,a2,a3,…が抽出され、他の円上に位置する節点b0,b1,b2,b3,…が抽出される。図5(b)には回転軸Aを含む平面でメッシュを切断した断面図の一部を示しており、図中に示す如く、節点c0,d0,e0,f0,…の夫々を含む円の夫々について、各円上に位置する複数の節点が抽出される。
【0015】
次に、熱解析装置1は、夫々の円について、抽出した複数の節点の温度を均一に拘束する拘束条件を定める(S4)。図5(a)に示した例では、節点xにおける温度をT(x)とすると、T(a0)=T(a1)=T(a2)=T(a3)=…及びT(b0)=T(b1)=T(b2)=T(b3)=…と、夫々の円上に位置する節点の温度が円内で一致すべく、温度の拘束条件を定める。なお、該拘束条件においては、温度の値は可変であり、また、回転軸Aに垂直または平行な方向に存在する円の間では、一般に温度の値は異なっている。次に、熱解析装置1は、定められた温度の拘束条件の基で、生成したメッシュを用いた有限要素法により、熱の発生または伝達の方程式を解いて、固定子Sおよび回転子Rに対する熱解析を行い(S5)、処理を終了する。
【0016】
なお、前述の処理では、形状モデルを受け付けてメッシュを生成する処理を示したが、他の装置で生成されたメッシュを受け付けて熱解析を行う処理を用いてもよい。
【0017】
以上詳述した如く、空間部Gに含まれる回転軸Aを中心とした円上の複数の節点の温度を均一に拘束する条件により、空間部Gの空気が周方向に撹拌されて空間部Gの温度が周方向にほぼ均一となる回転機が回転している状態が表現されるため、前記条件の基で固定子Sおよび回転子Rに対する熱解析を行うことにより、固定子Sおよび回転子Rの形状を表現したメッシュを用いて回転中の回転機の熱解析を行うことができる。回転子Rの形状を保ったままで熱解析を行うことができるため、従来の熱解析法では不可能であった回転子Rの詳細な熱解析を行うことが可能となり、より高性能な回転機の設計に応用することができる。また、回転機の回転を表現するために回転子Rのメッシュを回転させる必要がないため、短時間で熱解析の計算を行うことができる。
【0018】
なお、本実施の形態においては、円上の複数の節点の温度を均一に拘束する処理を用いているが、厳密に均一な値に拘束する必要はなく、基準となる節点の温度の値からのずれを値の1%以内とする等の所定の範囲内に温度を拘束する処理を用いてもよい。この場合においても、同様に回転子Rの形状を表現したメッシュを用いて回転中の回転機の熱解析を行うことができる。
【0019】
【発明の効果】
本発明においては、回転機を構成する固定子と回転子との間の空間部の節点における温度を周方向に略均一に拘束することにより、空間部の空気が周方向に撹拌されて空間部の温度が周方向にほぼ均一となる回転機が回転している状態が表現されるため、固定子および回転子の形状を保ったメッシュを用いて有限要素法による回転中の回転機の熱解析を行うことが可能となり、従来では不可能であった回転子の詳細な熱解析を行うことができる。また、回転を表現するために回転子のメッシュを回転させる必要がないため、短時間で熱解析の計算を行うことができる等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱解析装置の構成を示すブロック図である。
【図2】熱解析装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】回転機の形状モデルと生成したメッシュの例とを示す断面図である。
【図4】回転機の形状モデルと生成したメッシュの例とを示す断面図である。
【図5】抽出した節点の一部を示すメッシュの断面図である。
【図6】回転機の構造の例を示す断面図、及び熱解析を行うために生成したメッシュの例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 熱解析装置
11 CPU
2 記録媒体
20 コンピュータプログラム
S 固定子
R 回転子
A 回転軸
G 空間部

Claims (4)

  1. 記憶部及び演算部を備えるコンピュータを用いて、回転機を構成する固定子、回転子、及び固定子と回転子との間の空間部の形状を複数の節点から構成される複数の要素の組み合わせで表現したメッシュを記憶部に記憶し、有限要素法による回転機の熱解析を演算部にて行う方法であって、
    前記空間部に含まれて回転子の回転軸を中心とする複数の円の夫々について、円周上に位置する複数の節点を演算部が抽出し、
    前記円の夫々について、抽出した複数の節点の夫々における温度を演算部が所定範囲内に拘束する
    ことを特徴とする回転機の熱解析方法。
  2. 回転機を構成する固定子、回転子、及び固定子と回転子との間の空間部の形状を複数の節点から構成される複数の要素の組み合わせで表現したメッシュを用い、有限要素法による回転機の熱解析を行う装置であって、
    前記空間部に含まれて回転子の回転軸を中心とする複数の円の夫々について、円周上に位置する複数の節点を抽出する手段と、
    前記円の夫々について、抽出した複数の節点の夫々における温度を所定範囲内に拘束する手段と
    を備えることを特徴とする回転機の熱解析装置。
  3. コンピュータに、回転機を構成する固定子、回転子、及び固定子と回転子との間の空間部の形状を複数の節点から構成される複数の要素の組み合わせで表現したメッシュを用いて、有限要素法による回転機の熱解析を行わせるコンピュータプログラムであって、
    コンピュータに、前記空間部に含まれて回転子の回転軸を中心とする複数の円の夫々について、円周上に位置する複数の節点を抽出させる手順と、
    コンピュータに、前記円の夫々について、抽出した複数の節点の夫々における温度を所定範囲内に拘束させる手順と
    を含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
  4. コンピュータに、回転機を構成する固定子、回転子、及び固定子と回転子との間の空間部の形状を複数の節点から構成される複数の要素の組み合わせで表現したメッシュを用いて、有限要素法による回転機の熱解析を行わせるコンピュータプログラムを記録してあるコンピュータでの読み取りが可能な記録媒体であって、
    コンピュータに、前記空間部に含まれて回転子の回転軸を中心とする複数の円の夫々について、円周上に位置する複数の節点を抽出させる手順と、
    コンピュータに、前記円の夫々について、抽出した複数の節点の夫々における温度を所定範囲内に拘束させる手順と
    を含むコンピュータプログラムを記録してあることを特徴とするコンピュータでの読み取りが可能な記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008015674A (ja) * 2006-07-04 2008-01-24 Japan Research Institute Ltd 電磁界解析方法および電磁界解析用プログラム
JP2011243126A (ja) * 2010-05-21 2011-12-01 Hitachi Ltd 電磁機器の最適設計システム
WO2023005467A1 (zh) * 2021-07-29 2023-02-02 东方电气集团东方电机有限公司 一种定子绕组温度预警方法

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