JP4834257B2 - 三次元メッシュ生成方法、回転機の磁界解析方法、三次元メッシュ生成装置、回転機の磁界解析装置、コンピュータプログラム、及び記録媒体 - Google Patents

三次元メッシュ生成方法、回転機の磁界解析方法、三次元メッシュ生成装置、回転機の磁界解析装置、コンピュータプログラム、及び記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有限要素法を用いた電磁界の解析を行うために、空間部を含めた回転機の三次元メッシュを生成する方法、その実施に使用する三次元メッシュ生成装置、コンピュータを該三次元メッシュ生成装置として実現させるためのコンピュータプログラム、及び該コンピュータプログラムを記録してあるコンピュータでの読み取りが可能な記録媒体、並びに前記三次元メッシュを用いて回転機の磁界を解析する方法、その実施に用いる磁界解析装置、コンピュータを該磁界解析装置として実現するためのコンピュータプログラム、及び該コンピュータプログラムを記録してあるコンピュータでの読み取りが可能な記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
立体物の構造解析においては、立体物を複数の多面体要素の組合せにて表現し、要素を構成する有限個の節点にて各要素が結合しているとして数値解析を行う有限要素法が主に用いられている。立体物を複数の要素に分割する操作はメッシュ分割と呼ばれており、メッシュ分割された解析対象の立体モデルは、節点の位置などの情報よりなるメッシュデータにより定義される。
【0003】
モータ等の回転機において、回転運動を考慮した有限要素法による電磁界解析においては、以下の方法にて三次元メッシュを生成していた。固定子と回転子との間に存在する空間部に、前記回転機及び前記空間部を固定子側部分と回転子側部分とに分ける境界面を設定して、回転軸方向に垂直な断面上で固定子側部分及び回転子側部分の二次元メッシュを生成する。生成した二次元メッシュを回転軸方向に拡張して、回転機及び空間部から成る解析領域の三次元メッシュを生成する。境界面を境にして回転子側部分の三次元メッシュを固定子側部分に対して一要素分ずらすことにより回転子の回転運動が可能となり、回転子を回転運動させつつ回転機の磁界解析を行うことができる。
【0004】
また、空間部を含めた回転機全体について、回転子を回転運動させる都度三次元メッシュを生成することにより、回転子を回転運動させながら回転機の磁界解析を行うことも可能である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した二次元メッシュを拡張して三次元メッシュを生成する方法においては、単純な形状を有する回転機についてはその形状を生成される三次元メッシュにおいて表現することが可能であるが、クローポール型の回転機又はコイルエンド部が複雑な形状を有する回転機等については、回転機の形状が回転軸に垂直な断面に対して一様な形状ではないために、二次元メッシュを拡張することによって回転機の構造を表現する三次元メッシュを生成することができない。
【0006】
また、上述した回転機全体の三次元メッシュを、回転子を回転運動させる都度生成する方法においては、複雑な形状を有する回転機についてもその三次元メッシュを生成することが可能であるが、回転運動の都度三次元メッシュを生成し直す必要があるために、解析の計算に多大な時間がかかるという問題がある。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、前記回転機を固定子側部分及び回転子側部分に分ける境界面を分割する四辺形要素データを用いて前記固定子側部分及び前記回転子側部分の三次元メッシュを生成することにより、複雑な形状を有する回転機に対して磁界解析に適切な三次元メッシュを生成することが可能となる三次元メッシュ生成方法、その実施に用いる三次元メッシュ生成装置、コンピュータを該三次元メッシュ生成装置として実現するためのコンピュータプログラム、及び該コンピュータプログラムを記録してあるコンピュータでの読み取りが可能な記録媒体、並びに、前記境界面を境にして回転子側部分の三次元メッシュを回転させることにより、短い計算時間で回転機の磁界を解析する方法、その実施に用いる磁界解析装置、コンピュータを該磁界解析装置として実現するためのコンピュータプログラム、及び該コンピュータプログラムを記録してあるコンピュータでの読み取りが可能な記録媒体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
第1発明に係る三次元メッシュ生成方法は、固定子及び回転子で構成される回転機における前記固定子と前記回転子との間に存在する空間部に、前記回転機及び前記空間部を固定子側部分と回転子側部分とに分ける境界面を設定して、前記固定子側部分及び前記回転子側部分の形状を規定し、前記固定子側部分及び前記回転子側部分を各々多面体要素又は多角形要素に分割して、前記固定子側部分及び前記回転子側部分の三次元メッシュを生成する方法において、前記境界面を四辺形要素に分割して、前記固定子側部分及び前記回転子側部分について各々節点を包含する四面体要素を作成し、前記境界面を構成する個々の四辺形要素に対して該四辺形要素の重心より法線方向に任意の距離の点を各々作成して、前記四面体要素に対して前記任意の距離の点及び前記境界面の節点に基づいてメッシュ分割を行い、更に前記固定子及び前記回転子の節点に基づいてメッシュ分割を行って三次元メッシュを生成することを特徴とする。
【0009】
第2発明に係る三次元メッシュ生成方法は、固定子と回転子との間に存在する空間部を含めた回転機の三次元メッシュを生成する方法において、前記空間部に、前記回転機及び前記空間部を固定子側部分と回転子側部分とに分ける境界面を設定し、前記固定子側部分及び前記回転子側部分の形状を規定し、前記境界面を四辺形要素に分割して、前記境界面を除く前記固定子側部分及び前記回転子側部分を多面体要素又は多角形要素に分割して、前記固定子側部分及び前記回転子側部分について各々節点を包含する四面体要素を作成し、前記境界面を構成する個々の四辺形要素に対して該四辺形要素の重心より法線方向に任意の距離の点を各々作成して、前記四面体要素に対して前記任意の距離の点及び前記境界面の節点に基づいてメッシュ分割を行い、更に前記固定子及び前記回転子の節点に基づいてメッシュ分割を行って三次元メッシュを生成することを特徴とする。
【0010】
第3発明に係る三次元メッシュ生成方法は、第1又第2発明において、前記メッシュ分割は、デラウニ法を用いて行うことを特徴とする。
【0011】
第4発明に係る回転機の磁界解析方法は、固定子と回転子との間に存在する空間部を含めた回転機の三次元メッシュを用いて有限要素法による回転機の磁界解析を行う方法において、第1乃至第3発明のいずれかに係る三次元メッシュ生成方法を用いて、解析対象の回転機の三次元メッシュを生成し、前記境界面を境にして要素をずらして前記回転子側部分の三次元メッシュを回転させ、有限要素法による磁界解析を行うことを特徴とする。
【0012】
第5発明に係る三次元メッシュ生成装置は、固定子及び回転子で構成される回転機における前記固定子と前記回転子との間に存在する空間部に、前記回転機及び前記空間部を固定子側部分と回転子側部分とに分ける境界面を設定して、前記固定子側部分及び前記回転子側部分の形状を規定し、前記境界面を四辺形要素に分割して、前記境界面を除く前記固定子側部分及び前記回転子側部分を各々多面体要素又は多角形要素に分割して、前記要素データに基づいて前記固定子側部分及び前記回転子側部分の三次元メッシュを生成する三次元メッシュ生成装置において、前記固定子側部分及び前記回転子側部分について各々節点を包含する四面体要素を作成する手段と、前記境界面を構成する個々の四辺形要素に対して該四辺形要素の重心より法線方向に任意の距離の点を各々作成する手段と、前記四面体要素に対して前記任意の距離の点及び前記境界面の節点に基づいてメッシュ分割を行う第1分割手段と、更に前記固定子及び前記回転子の節点に基づいてメッシュ分割を行う第2分割手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
第6発明に係る三次元メッシュ生成装置は、第5発明において、前記第1分割手段及び前記第2分割手段は、デラウニ法を用いてメッシュ分割を行うものであることを特徴とする。
【0014】
第7発明に係る回転機の磁界解析装置は、固定子と回転子との間に存在する空間部を含めた回転機の三次元メッシュを用いて有限要素法による回転機の磁界解析を行う装置において、第5又は第6発明に係る三次元メッシュ生成装置を用いて、解析対象の回転機の三次元メッシュを生成する手段と、前記境界面を境にして要素をずらして前記回転子側部分の三次元メッシュを回転させ、有限要素法による磁界解析を行う手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
第8発明に係るコンピュータプログラムは、固定子及び回転子で構成される回転機における前記固定子と前記回転子との間に存在する空間部に、前記回転機及び前記空間部を固定子側部分と回転子側部分とに分ける境界面を設定して、前記固定子側部分及び前記回転子側部分の形状を規定し、前記境界面を四辺形要素に分割して、前記固定子側部分及び前記回転子側部分を各々多面体要素又は多角形要素に分割して生成した要素データを用い、コンピュータに、前記固定子側部分及び前記回転子側部分の三次元メッシュを生成させるコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、前記固定子側部分及び前記回転子側部分について各々節点を包含する四面体要素を作成させるステップと、コンピュータに、前記境界面を構成する個々の四辺形要素に対して該四辺形要素の重心より法線方向に任意の距離の点を各々作成させるステップと、コンピュータに、前記四面体要素に対して前記任意の距離の点及び前記境界面の節点に基づいてメッシュ分割を行わせるステップと、コンピュータに、更に前記固定子及び前記回転子の節点に基づいてメッシュ分割を行って三次元メッシュを生成させるステップとを実行させることを特徴とする。
【0016】
第9発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、固定子と回転子との間に存在する空間部を含めた回転機の三次元メッシュを用いて有限要素法による回転機の磁界解析を行わせるコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、第8発明に係るコンピュータプログラムを用いて、解析対象の回転機の三次元メッシュを生成させるステップと、コンピュータに、前記境界面を境にして要素をずらして前記回転子側部分の三次元メッシュを回転させ、有限要素法による磁界解析を行わせるステップとを実行させることを特徴とする。
【0017】
第10発明に係るコンピュータでの読み取りが可能な記録媒体は、固定子及び回転子で構成される回転機における前記固定子と前記回転子との間に存在する空間部に、前記回転機及び前記空間部を固定子側部分と回転子側部分とに分ける境界面を設定して、前記固定子側部分及び前記回転子側部分の形状を規定し、前記境界面を四辺形要素に分割して、前記固定子側部分及び前記回転子側部分を各々多面体要素又は多角形要素に分割して生成した要素データを用い、コンピュータに、前記固定子側部分及び前記回転子側部分の三次元メッシュを生成させるコンピュータプログラムを記録してあるコンピュータでの読み取りが可能な記録媒体において、コンピュータに、前記固定子側部分及び前記回転子側部分について各々節点を包含する四面体要素を作成させるステップと、コンピュータに、前記境界面を構成する個々の四辺形要素に対して該四辺形要素の重心より法線方向に任意の距離の点を各々作成させるステップと、コンピュータに、前記四面体要素に対して前記任意の距離の点及び前記境界面の節点に基づいてメッシュ分割を行わせるステップと、コンピュータに、更に前記固定子及び前記回転子の節点に基づいてメッシュ分割を行って三次元メッシュを生成させるステップとを実行させるためのコンピュータプログラムを記録してあることを特徴とする。
【0018】
第11発明に係るコンピュータでの読み取りが可能な記録媒体は、コンピュータに、固定子と回転子との間に存在する空間部を含めた回転機の三次元メッシュを用いて有限要素法による回転機の磁界解析を行わせるコンピュータプログラムを記録してあるコンピュータでの読み取りが可能な記録媒体において、コンピュータに、第10発明に係る記録媒体を用いて、解析対象の回転機の三次元メッシュを生成させるステップと、コンピュータに、前記境界面を境にして要素をずらして前記回転子側部分の三次元メッシュを回転させ、有限要素法による磁界解析を行わせるステップとを実行させるためのコンピュータプログラムを記録してあることを特徴とする。
【0019】
第1、第2、第5、第8及び第10発明においては、回転機の電磁界解析のために、回転機の固定子と回転子との間の空間部に境界面を設定して、固定子側部分及び回転子側部分の三次元メッシュを生成するときに、適宜の方法により分割された境界面を構成する四辺形要素データ、並びに境界面を除く固定子側部分及び回転子側部分を構成する多面体要素又は多角形要素データに基づいて、固定子側部分及び回転子側部分について節点を包含する四面体要素を各々作成して、境界面を構成する個々の四辺形要素に対して該四辺形要素の重心より法線方向に任意の距離の点を作成し、前記四面体要素を前記境界面の節点及び前記任意の点に基づいてメッシュ分割を行い、更に固定子及び回転子を構成する節点に基づいてメッシュ分割を行って、固定子側部分及び回転子側部分の三次元メッシュを生成する。これにより、回転機の回転軸に垂直な断面上で二次元メッシュを生成し、生成した二次元メッシュを回転軸方向に拡張して三次元メッシュを生成する従来の三次元メッシュ生成方法では三次元メッシュの生成が不可能であった複雑な形状を有する回転機についても、固定子側部分及び回転子側部分の三次元メッシュを各々生成することができるため、回転機の形状に関わらず電磁界解析を行うための固定子側部分及び回転子側部分の三次元メッシュを生成することができる。
【0020】
第3及び第6発明においては、固定子側部分及び回転子側部分について各々節点を包含する四面体要素に対して前記節点に基づいてデラウニ法を用いてメッシュ分割を行うことにより、固定子側部分及び回転子側部分を全自動で四面体要素にメッシュ分割することができる。
【0021】
第4、第7、第9及び第11発明においては、生成された三次元メッシュを用いて有限要素法による回転機の電磁界解析を行うため、計算時間を短くして精度のよい磁界解析を行うことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る三次元メッシュ生成装置を示すブロック図である。1はコンピュータを用いてなる本発明に係る三次元メッシュ生成装置であり、演算を行うCPU11と、RAM12と、CD−ROMドライブ等の外部記憶装置13と、ハードディスク等の内部記憶装置14とを備えている。本発明に係るCD−ROM等の記録媒体2から本発明に係るコンピュータプログラム20を外部記憶装置13にて読み取り、読み取ったコンピュータプログラム20を内部記憶装置14に記憶し、RAM12にコンピュータプログラム20をロードして、CPU11はコンピュータプログラム20に基づいて三次元メッシュ生成装置1に必要な処理を実行する。三次元メッシュ生成装置1は、キーボード又はマウス等の入力装置15と、CRTディスプレイ又は液晶ディスプレイ等の出力装置16とを備えており、データ入力等のユーザの操作を受け付ける。
【0023】
また、三次元メッシュ生成装置1は、通信インタフェース17を備え、通信インタフェース17に接続しているサーバ装置3から本発明に係るコンピュータプログラム20をダウンロードし、CPU11にて処理を実行する形態であってもよい。
【0024】
次に、本発明に係る三次元メッシュ生成方法について、回転機として、回転子が固定子に包囲されているモータを用いて説明する。固定子と回転子との間に存在する空間部のほぼ中央部に境界面を設定して、前記空間部を含めた前記モータを、境界面より内側の空間部及び前記固定子を含む固定子側部分と、境界面より外側の空間部及び前記回転子を含む回転子側部分とに分けて、固定子側部分及び回転子側部分の三次元メッシュを各々生成する。
【0025】
以下に、回転子側部分の三次元メッシュを生成する方法について説明する。ユーザは、適宜の方法でCAD等によって回転子側部分の初期三次元メッシュを生成する。まず、回転子側部分の形状を規定して、境界面を所定の分割数にて格子状の長方形要素に分割する。次に、境界面を除く回転子側部分を所定の分割数にて多面体要素又は多角形要素に分割する。図2は回転子側部分の初期三次元メッシュを示す斜視図である。図2(a)は回転子のみの斜視図であり、図2(b)は図2(a)を90度回転させた回転子のみの斜視図である。図2(c)は境界面より内側の空間部を含む回転子側部分の斜視図であり、図2(d)は図2(c)を90度回転させた回転子側部分の斜視図である。境界面を除く回転子側部分は三次元的に分割した場合、多面体要素(六面体要素及び五面体要素)に分割される。また、二次元的に表面を分割した場合、多角形要素(四辺形要素及び三角形要素)に分割される。
【0026】
次に、本発明に係る三次元メッシュ生成装置において、回転子側部分の初期三次元メッシュデータに基づいて、まず、初期三次元メッシュの節点を包含する四面体要素(スーパテトラ)が作成される。その後、境界面を構成する個々の長方形要素に対して以下のようにして新たに節点が作成される。図3は、境界面を構成する長方形要素の中の任意の1つの長方形要素に注目して最終三次元メッシュが生成される手順を示す説明図である。図3(a)は長方形要素の斜視図であり、頂点は節点P1、P2、P3、P4である。図3(b)に示した如く、長方形要素の重心が計算されて、この重心から法線方向の回転子側に任意の距離hの点が作成される。該点を節点P5とすると、境界面を構成する全ての長方形要素に対して節点P5が作成される。
【0027】
次に、前記スーパテトラを全ての長方形要素の節点(P1、P2、P3、P4)及び節点P5によりデラウニ法でメッシュ分割が行われる。デラウニ法によって三次元空間は四面体要素に分割されるので、前記スーパテトラに対して四面体要素で構成される三次元メッシュが生成される。これにより、図3(c)に示すように、境界面には節点P1、P2、P4、P5で構成される四面体要素TAと節点P2、P3、P4、P5で構成される四面体要素TBとが(又は、図示しない節点P1、P2、P3、P5で構成される四面体要素TAと節点P1、P3、P4、P5で構成される四面体要素TBとが)生成される。四面体要素TA及び四面体要素TBは、互いに共有する三角形要素1つと共有しない三角形要素6つとによって構成されている。
【0028】
さらに、デラウニ法でメッシュ分割して生成された四面体要素で構成される三次元メッシュに対して、回転子の節点により再びデラウニ法でメッシュ分割が行われる。この際、四面体要素TA及び四面体要素TBを構成する上述した三角形要素を侵食しないようにメッシュ分割が行われる。メッシュ分割によって回転子側部分の形状が再現されているか否かが判断され、再現されていないと判断された場合、新たに適宜な節点が追加されてデラウニ法で再度メッシュ分割が行われて、形状が再現されていると判断されるまで節点の追加及びメッシュ分割が繰り返される。次に、生成された四面体要素のうち、回転子側部分以外の不要な四面体要素が削除される。その後、図3(d)に示すように四面体要素TAと四面体要素TBとを結合させて1つの四角錐要素が生成される。同様にして、空間部の外周(境界面)を構成する全ての四面体要素を2つずつ結合させて四角錐要素が生成される。図4は、完成した回転子側部分の最終三次元メッシュを示す斜視図である。図4(a)は回転子のみの斜視図であり、図4(b)は図4(a)を90度回転させた回転子のみの斜視図である。図4(c)は境界面より内側の空間部を含む回転子側部分の斜視図であり、図4(d)は図4(c)を90度回転させた回転子側部分の斜視図である。最終三次元メッシュの境界面には図2に示す初期三次元メッシュの長方形要素と同一の長方形要素が再現される。境界面以外の回転子側部分は全て四面体要素で構成される三次元メッシュが生成される。
【0029】
図5は、本発明に係る三次元メッシュ生成装置1のCPU11の処理手順を示すフローチャートである。CPU11は、回転子側部分の初期三次元メッシュデータを読み込んで(ステップS1)、回転子側部分の節点を包含する四面体要素(スーパテトラ)を作成する(ステップS2)。境界面を構成する個々の長方形要素に対して、該長方形要素の重心を計算して(ステップS3)、ステップS3において計算された重心より法線方向の回転子側に任意の距離hを有する節点P5を作成する(ステップS4)。ステップS2において作成されたスーパテトラに対して境界面の節点(P1、P2、P3、P4)及び節点P5に基づいて、デラウニ法でメッシュ分割を行う(ステップS5)。ステップS5において生成された四面体要素で構成される三次元メッシュに対して、回転子の節点により再びデラウニ法でメッシュ分割を行う(ステップS6)。そして、回転子側部分の形状が再現されているか否かを判断し(ステップS7)、再現されていないと判断した場合(ステップS7:NO)、新たな節点を追加して(ステップS8)、前記新たな節点により再度デラウニ法でメッシュ分割を行い(ステップS9)、ステップS7に戻る。ステップS7において回転子側部分の形状が再現されていると判断した場合(ステップS7:YES)、回転子側部分以外の不要な四面体要素を削除して(ステップS10)、空間部の外周(境界面)を構成する四面体要素を2つずつ結合して四角錐要素を生成して(ステップS11)、処理を終了する。
【0030】
固定子側部分についても、上述した方法によりメッシュ分割を行うことによって、境界面を構成する長方形要素及び、固定子側部分を構成する四面体要素が生成される。固定子側部分の初期三次元メッシュを生成するときに、境界面を長方形要素に分割する分割数を回転子側部分の境界面と同じ分割数に設定することによって、固定子側部分の境界面には回転子側部分の境界面を構成する四角錐要素と底面が合致する四角錐要素が生成される。
【0031】
本実施の形態においては、境界面を格子状の長方形要素に分割する形態を示したが、この形態に限るものではなく、平行四辺形等の適宜の四辺形要素に分割を行う形態としてもよい。また、四面体要素をデラウニ法を用いてメッシュ分割を行う形態を示したが、アドバンシングフロント法等の他の分割方法を用いてメッシュ分割を行う形態としてもよい。
【0032】
次に、本発明の回転機の磁界解析方法の手順を説明する。
図6は本発明に係る回転機の磁界解析装置を示すブロック図である。4は、コンピュータを用いてなる本発明に係る回転機の磁界解析装置であり、演算を行うCPU41と、RAM42と、CD−ROMドライブ等の外部記憶装置43と、ハードディスク等の内部記憶装置44とを備えている。本発明に係るCD−ROM等の記録媒体5から本発明に係るコンピュータプログラム50を外部記憶装置43にて読み取り、読み取ったコンピュータプログラム50を内部記憶装置44に記憶し、RAM42にコンピュータプログラム50をロードして、CPU41はコンピュータプログラム50に基づいて回転機の磁界解析装置4に必要な処理を実行する。回転機の磁界解析装置4は、キーボード又はマウス等の入力装置45と、CRTディスプレイ又は液晶ディスプレイ等の出力装置46とを備えており、データ入力等のユーザの操作を受け付ける。
【0033】
また、回転機の磁界解析装置4は、通信インタフェース47を備え、通信インタフェース47に接続しているサーバ装置3から本発明に係るコンピュータプログラム50をダウンロードし、CPU41にて処理を実行する形態であってもよい。
【0034】
図7は、本発明に係る回転機の磁界解析装置4のCPU41の処理手順を示すフローチャートである。回転機の磁界解析装置4は、前述の三次元メッシュ生成方法を用いて解析対象の回転機の三次元メッシュを生成し(ステップS12)、生成した三次元メッシュにて、前記境界面を境にして回転子側部分を固定子側部分に対して1要素分ずらすことにより、回転子側部分を1ステップ回転運動させる(ステップS13)。次に、回転子側部分と固定子側部分とを前記境界面にて結合し(ステップS14)、有限要素法を用いて回転機の磁界解析を行う(ステップS15)。次に、ユーザから計算終了の指示を受け付ける等して、計算を続行するか否か判断し(ステップS16)、続行すると判断した場合(ステップS16:YES)、ステップS13に戻り、続行しないと判断した場合(ステップS16:NO)、処理を終了する。
【0035】
本実施の形態においては、回転機の磁界解析装置4は三次元メッシュを生成する手段を備える形態を示したが、この形態に限るものではなく、回転機の磁界解析装置4は三次元メッシュを生成する手段を備えずに、三次元メッシュ生成装置1にて生成された三次元メッシュのデータが回転機の磁界解析装置4へ入力され、回転機の磁界解析装置4は入力された三次元メッシュのデータを用いて回転機の磁界解析を行う形態としてもよい。
【0036】
【発明の効果】
第1、第2、第5、第8及び第10発明によれば、回転機の磁界解析のために、回転機の固定子と回転子との間の空間部に境界面を設定して、固定子側部分及び回転子側部分の三次元メッシュを生成するときに、適宜の方法により分割された境界面を構成する四辺形要素データ、並びに境界面を除く固定子側部分及び回転子側部分を構成する多面体要素又は多角形要素データに基づいて、固定子側部分及び回転子側部分について節点を包含する四面体要素を各々作成して、境界面を構成する個々の四辺形要素に対して該四辺形要素の重心より法線方向に任意の距離の点を作成し、前記四面体要素を前記境界面の節点及び前記任意の点に基づいてメッシュ分割を行い、更に固定子及び回転子を構成する節点に基づいてメッシュ分割を行って、固定子側部分及び回転子側部分の三次元メッシュを生成する。これにより、回転機の回転軸に垂直な断面上で二次元メッシュを生成し、生成した二次元メッシュを回転軸方向に拡張して三次元メッシュを生成する従来の三次元メッシュ生成方法では三次元メッシュの生成が不可能であった複雑な形状を有する回転機についても、固定子側部分及び回転子側部分の三次元メッシュを各々生成することができるため、回転機の形状に関わらず磁界解析を行うための固定子側部分及び回転子側部分の三次元メッシュを生成することができる。
【0037】
第3及び第6発明によれば、固定子側部分及び回転子側部分について各々節点を包含する四面体要素に対して前記節点に基づいてデラウニ法を用いてメッシュ分割を行うことにより、固定子側部分及び回転子側部分を全自動で四面体要素にメッシュ分割することができる。
【0038】
第4、第7、第9及び第11発明によれば、生成された三次元メッシュを用いて有限要素法による回転機の磁界解析を行うため、計算時間を短くして精度のよい磁界解析を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る三次元メッシュ生成装置を示すブロック図である。
【図2】回転子側部分の初期三次元メッシュを示した斜視図である。
【図3】1つの長方形要素に注目した最終三次元メッシュが生成される手順を示す説明図である。
【図4】回転子側部分の最終三次元メッシュを示した斜視図である。
【図5】本発明に係る三次元メッシュ生成装置のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係る回転機の磁界解析装置を示すブロック図である。
【図7】本発明に係る回転機の磁界解析装置のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 三次元メッシュ生成装置
4 回転機の磁界解析装置
2、5 記録媒体
20、50 コンピュータプログラム
P1、P2、P3、P4、P5 節点

Claims (11)

  1. 固定子及び回転子で構成される回転機における前記固定子と前記回転子との間に存在する空間部に、前記回転機及び前記空間部を固定子側部分と回転子側部分とに分ける境界面を設定して、前記固定子側部分及び前記回転子側部分の形状を規定し、前記固定子側部分及び前記回転子側部分を各々多面体要素又は多角形要素に分割して、前記固定子側部分及び前記回転子側部分の三次元メッシュを生成する方法において、
    前記境界面を四辺形要素に分割して、前記固定子側部分及び前記回転子側部分について各々節点を包含する四面体要素を作成し、前記境界面を構成する個々の四辺形要素に対して該四辺形要素の重心より法線方向に任意の距離の点を各々作成して、前記四面体要素に対して前記任意の距離の点及び前記境界面の節点に基づいてメッシュ分割を行い、更に前記固定子及び前記回転子の節点に基づいてメッシュ分割を行って三次元メッシュを生成することを特徴とする三次元メッシュ生成方法。
  2. 固定子と回転子との間に存在する空間部を含めた回転機の三次元メッシュを生成する方法において、
    前記空間部に、前記回転機及び前記空間部を固定子側部分と回転子側部分とに分ける境界面を設定し、前記固定子側部分及び前記回転子側部分の形状を規定し、前記境界面を四辺形要素に分割して、前記境界面を除く前記固定子側部分及び前記回転子側部分を多面体要素又は多角形要素に分割して、前記固定子側部分及び前記回転子側部分について各々節点を包含する四面体要素を作成し、前記境界面を構成する個々の四辺形要素に対して該四辺形要素の重心より法線方向に任意の距離の点を各々作成して、前記四面体要素に対して前記任意の距離の点及び前記境界面の節点に基づいてメッシュ分割を行い、更に前記固定子及び前記回転子の節点に基づいてメッシュ分割を行って三次元メッシュを生成することを特徴とする三次元メッシュ生成方法。
  3. 前記メッシュ分割は、デラウニ法を用いて行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の三次元メッシュ生成方法。
  4. 固定子と回転子との間に存在する空間部を含めた回転機の三次元メッシュを用いて有限要素法による回転機の磁界解析を行う方法において、請求項1乃至3のいずれかに記載の三次元メッシュ生成方法を用いて、解析対象の回転機の三次元メッシュを生成し、前記境界面を境にして要素をずらして前記回転子側部分の三次元メッシュを回転させ、有限要素法による磁界解析を行うことを特徴とする回転機の磁界解析方法。
  5. 固定子及び回転子で構成される回転機における前記固定子と前記回転子との間に存在する空間部に、前記回転機及び前記空間部を固定子側部分と回転子側部分とに分ける境界面を設定して、前記固定子側部分及び前記回転子側部分の形状を規定し、前記境界面を四辺形要素に分割して、前記境界面を除く前記固定子側部分及び前記回転子側部分を各々多面体要素又は多角形要素に分割して、前記要素データに基づいて前記固定子側部分及び前記回転子側部分の三次元メッシュを生成する三次元メッシュ生成装置において、
    前記固定子側部分及び前記回転子側部分について各々節点を包含する四面体要素を作成する手段と、前記境界面を構成する個々の四辺形要素に対して該四辺形要素の重心より法線方向に任意の距離の点を各々作成する手段と、前記四面体要素に対して前記任意の距離の点及び前記境界面の節点に基づいてメッシュ分割を行う第1分割手段と、更に前記固定子及び前記回転子の節点に基づいてメッシュ分割を行う第2分割手段とを備えることを特徴とする三次元メッシュ生成装置。
  6. 前記第1分割手段及び前記第2分割手段は、デラウニ法を用いてメッシュ分割を行うものであることを特徴とする請求項5に記載の三次元メッシュ生成装置。
  7. 固定子と回転子との間に存在する空間部を含めた回転機の三次元メッシュを用いて有限要素法による回転機の磁界解析を行う装置において、請求項5又は6に記載の三次元メッシュ生成装置を用いて、解析対象の回転機の三次元メッシュを生成する手段と、前記境界面を境にして要素をずらして前記回転子側部分の三次元メッシュを回転させ、有限要素法による磁界解析を行う手段とを備えることを特徴とする回転機の磁界解析装置。
  8. 固定子及び回転子で構成される回転機における前記固定子と前記回転子との間に存在する空間部に、前記回転機及び前記空間部を固定子側部分と回転子側部分とに分ける境界面を設定して、前記固定子側部分及び前記回転子側部分の形状を規定し、前記境界面を四辺形要素に分割して、前記固定子側部分及び前記回転子側部分を各々多面体要素又は多角形要素に分割して生成した要素データを用い、コンピュータに、前記固定子側部分及び前記回転子側部分の三次元メッシュを生成させるコンピュータプログラムにおいて、
    コンピュータに、前記固定子側部分及び前記回転子側部分について各々節点を包含する四面体要素を作成させるステップと、コンピュータに、前記境界面を構成する個々の四辺形要素に対して該四辺形要素の重心より法線方向に任意の距離の点を各々作成させるステップと、コンピュータに、前記四面体要素に対して前記任意の距離の点及び前記境界面の節点に基づいてメッシュ分割を行わせるステップと、コンピュータに、更に前記固定子及び前記回転子の節点に基づいてメッシュ分割を行って三次元メッシュを生成させるステップとを実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
  9. コンピュータに、固定子と回転子との間に存在する空間部を含めた回転機の三次元メッシュを用いて有限要素法による回転機の磁界解析を行わせるコンピュータプログラムにおいて、
    コンピュータに、請求項8に記載のコンピュータプログラムを用いて、解析対象の回転機の三次元メッシュを生成させるステップと、コンピュータに、前記境界面を境にして要素をずらして前記回転子側部分の三次元メッシュを回転させ、有限要素法による磁界解析を行わせるステップとを実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
  10. 固定子及び回転子で構成される回転機における前記固定子と前記回転子との間に存在する空間部に、前記回転機及び前記空間部を固定子側部分と回転子側部分とに分ける境界面を設定して、前記固定子側部分及び前記回転子側部分の形状を規定し、前記境界面を四辺形要素に分割して、前記固定子側部分及び前記回転子側部分を各々多面体要素又は多角形要素に分割して生成した要素データを用い、コンピュータに、前記固定子側部分及び前記回転子側部分の三次元メッシュを生成させるコンピュータプログラムを記録してあるコンピュータでの読み取りが可能な記録媒体において、
    コンピュータに、前記固定子側部分及び前記回転子側部分について各々節点を包含する四面体要素を作成させるステップと、コンピュータに、前記境界面を構成する個々の四辺形要素に対して該四辺形要素の重心より法線方向に任意の距離の点を各々作成させるステップと、コンピュータに、前記四面体要素に対して前記任意の距離の点及び前記境界面の節点に基づいてメッシュ分割を行わせるステップと、コンピュータに、更に前記固定子及び前記回転子の節点に基づいてメッシュ分割を行って三次元メッシュを生成させるステップとを実行させるためのコンピュータプログラムを記録してあることを特徴とするコンピュータでの読み取りが可能な記録媒体。
  11. コンピュータに、固定子と回転子との間に存在する空間部を含めた回転機の三次元メッシュを用いて有限要素法による回転機の磁界解析を行わせるコンピュータプログラムを記録してあるコンピュータでの読み取りが可能な記録媒体において、
    コンピュータに、請求項10に記載の記録媒体を用いて、解析対象の回転機の三次元メッシュを生成させるステップと、コンピュータに、前記境界面を境にして要素をずらして前記回転子側部分の三次元メッシュを回転させ、有限要素法による磁界解析を行わせるステップとを実行させるためのコンピュータプログラムを記録してあることを特徴とするコンピュータでの読み取りが可能な記録媒体。
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