JP2004019401A - 板ガラス取付構造および板ガラス固定施工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】矩形状板ガラス1の上下2辺をそれぞれガラス取付溝内に嵌め込んで支持する一方、左右の2辺を自由辺とした2辺支持の板ガラス取付構造において、前記板ガラス1の支持辺である上辺もしくは下辺のいずれか一辺、または上下両辺を、例えば、石膏系の充填材などの充填材2を用いて、ガラス取付溝内で、板ガラス1の厚さ方向に実質的に変位しないように強固に固定する。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は板ガラスの取付構造および固定施工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
板ガラスの取付構造としては、4辺支持や2辺支持、あるいはDPG構法(ドットポイントグレージング構法)のような点支持などが一般に用いられている。4辺支持、2辺支持は、板ガラス端部をサッシ等のガラス取付溝に嵌め込み、取付溝内で板ガラスの両側に形成される間隙にバックアップ材と弾性シーリング材等で施工するのが通常である。また、2辺支持による板ガラス取付構造を採用すると、板ガラスの主に上下辺をサッシ等のガラス取付溝に嵌め込んで支持する構造となり、縦辺は自由辺となる。したがって、横方向に連ねて配置された板ガラス間には、シーリング材のみを介在させた構成となるため、意匠的に優れた板ガラス取付構造となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、2辺支持による板ガラス取付構造をバックアップ材と弾性シーリング材等で施工すると、フロートガラスを使用した場合、縦辺である自由辺の中央部に最大応力が発生するため、従来はあまり大きな自由辺寸法を確保することができなかった。この点、強化ガラスや倍強度ガラスを使用すると、応力上は有利となるが、変形が大きくなってしまうため、実用上は問題となっていた。
【0004】
本発明の目的は、従来技術が有していた上記の課題を解消し、2辺支持の板ガラス取付構造を適用しうる対象範囲の拡大を図ることにある。すなわち、同一の面積を有する板ガラスであれば、従来より高い風圧に対応でき、また、同一の風圧条件であれば、同じ板厚でより大きな面積の板ガラスを採用できる板ガラス取付構造および板ガラス固定施工方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決すべくなされたものであり、矩形状板ガラスの上下2辺をそれぞれガラス取付溝内に嵌め込んで支持する一方、左右の2辺を自由辺とした2辺支持の板ガラス取付構造において、前記板ガラスの支持辺である上辺もしくは下辺のいずれか一辺、または上下両辺が、ガラス取付溝内で、板ガラスの厚さ方向に実質的に変位しないように強固に固定することを特徴とする板ガラス取付構造を提供する。
【0006】
このような板ガラス取付構造によれば、受風圧時の板ガラス中央部の板ガラス厚さ方向の変位量を低減できる。また、ガラス取付溝に強固に固定された板ガラス端部のガラス取付溝開口部近傍に、板ガラスの最大応力が生ずることとなるため、縦辺である自由辺の中央部に最大応力が発生する従来技術と比較して、強度上非常に有利である。
【0007】
具体的な態様としては、矩形状板ガラスの上下2辺をそれぞれガラス取付溝内に嵌め込んで支持する一方、左右の2辺を自由辺とした2辺支持の板ガラス取付構造において、前記板ガラスの支持辺である上辺もしくは下辺のいずれか一辺、または上下両辺が、ガラス取付溝内で、深さ方向に70mm以上の範囲にわたって、板ガラスの厚さ方向に実質的に変位しないように強固に固定する態様や、矩形状板ガラスの上下2辺をそれぞれガラス取付溝内に嵌め込んで支持する一方、左右の2辺を自由辺とした2辺支持の板ガラス取付構造において、前記板ガラスの支持辺である上辺もしくは下辺のいずれか一辺、または上下両辺が、ガラス取付溝内で、ガラス取付溝壁部と板ガラスとの間隙に、圧縮強度が15N/mm2以上の物質を介在させることによって固定する態様があげられる。更には、前記ガラス取付溝壁部と板ガラスとの間隙に、圧縮強度が15N/mm2以上の物質を介在させて、ガラス取付溝内で、深さ方向に70mm以上の範囲にわたって、板ガラスの厚さ方向に実質的に変位しないように強固に固定する態様が好ましい。
【0008】
図1は、本発明に係る板ガラス取付構造の断面図である。この図では、矩形状板ガラスの下辺を本発明に係る方法で強固に固定し、上辺は従来より慣用されている方法、すなわち、バックアップ材と弾性シーリング材を用いて施工している。この図において、深さ方向に強固に固定される範囲は、Hで示される。Hは70mm以上であることが好ましいが、強度設計に余裕をもたせる上では、Hを100mm以上とするのが更に好ましい。
【0009】
なお、支持辺方向(幅方向)については、必ずしもその全長にわたって強固に固定される必要はなく、間欠的に固定されている場合でも、板ガラスの厚さ方向に実質的に変位しない状態で固定されていればよい。
【0010】
また、耐風圧性能を更に向上させるために、下辺側を本発明に係る強固な固定方法とし、上辺側の取付構造を、例えば、カーテンドアなどの上部の取付構造と同様に、リブガラスを用いた支持構造とすることも有効である。すなわち、図7に示すように、天井24側からフェースガラス21(平板ガラス)の中間部まで、フェースガラス21の室内側の面にリブガラス22を配置してフェースガラス21を支持し、フェースガラス21の上辺部側の変位および発生応力を減少させることにより、床25側の下辺部を本発明に係る強固な固定方法とすることと相俟って、耐風圧性能が更に向上する。なお、この例では、フェースガラス21の横方向の端縁同士を、シーリング材23を介して突き付け接続している。
【0011】
ガラス取付溝内での板ガラスの固定は、ガラス取付溝壁部と板ガラスとの間隙に、圧縮強度が15N/mm2以上の物質を介在させることによる固定であることが好ましいが、このような物質としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、石膏などが好適である。このような物質をガラス取付溝壁部と板ガラスとの間隙に介在させることにより、板ガラス端部が、ガラス取付溝内で、板ガラスの厚さ方向に実質的に変位しないように強固に固定できる。係る物質は、ガラス取付溝内で、板ガラスの両側の間隙に介在させるのが好ましい。
【0012】
また、本発明は、矩形状板ガラスの上下2辺をそれぞれガラス取付溝内に嵌め込んで支持する一方、左右の2辺を自由辺とした2辺支持の板ガラス固定施工方法において、前記板ガラスの支持辺である上辺もしくは下辺のいずれか一辺、または上下両辺の固定方法として、ガラス取付溝壁部と板ガラスとの間隙に、圧縮強度が15N/mm2以上の物質を介在させることにより、ガラス取付溝内で、深さ方向に70mm以上の範囲にわたって、板ガラスの厚さ方向に実質的に変位しないように強固に固定することを特徴とする板ガラス固定施工方法を提供する。
【0013】
このような板ガラス固定施工方法においては、ガラス取付溝壁部と板ガラスとの間隙に、圧縮強度が15N/mm2以上の物質を介在させる方法が、ガラス取付溝壁部と板ガラスの間隙に、スラリー状石膏を内蔵する可撓性袋体を介在させて、該石膏を硬化させる方法であることが好ましい。石膏は水硬性で迅速に硬化するので作業性がよく、更に硬化時の体積膨張により板ガラスを強固に固定できる。スラリー状の石膏を薄いビニール袋のような可撓性の袋体に入れて、板ガラスと取付溝壁部との間隙に介在させることにより石膏が自然硬化し、板ガラスを強固に固定できる。
【0014】
また、ガラス取付溝内で板ガラスの両側に形成される間隙に、板ガラスの幅方向の少なくとも2箇所以上に、スラリー状石膏を内蔵する可撓性袋体を介在させる態様も好ましい。すなわち、板ガラスの幅方向に沿って全幅に対してスラリー状石膏を内蔵する可撓性袋体を介在させなくとも、所定の間隔をおいて配置することによって、板ガラスを強固に固定することが可能であるからである。
【0015】
さらに本発明によれば、支持辺方向に湾曲した曲面形状を有する板ガラスを、その凸側面が主に風圧を受ける面となるように取り付けることも有効である。すなわち、曲面ガラスは、シェル効果による強度向上が認められ、変形量が小さくなるからである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る板ガラスの取付構造の基本的構成を示す断面図である。なお、板ガラス上辺は通常のサッシによる取付構造とした。すなわち、板ガラス1の上辺をサッシ12の溝に嵌め込み、サッシ溝内で板ガラスの両側に形成される間隙にバックアップ材4と弾性シーリング材3を充填して施工している。
【0017】
一方、板ガラス1の下辺は、充填材2を用いて、ガラス取付溝内に固定している。本例では、充填材2として、石膏系の充填材を用いている。板ガラス1は、ガラス取付溝内の左右のブレード5、5の間に形成された間隙に挿入される。その間隙の底部には、例えばクロロプレンゴムなどの硬質ゴムのセッティングブロック6が配置されており、その上に板ガラス1を載置する。板ガラス1は、間隙のほぼ中央に位置するように、取付溝壁部と概ね平行に調整されるが、必要に応じて仮止め等を行う。この状態で、板ガラス1の両側に生ずる間隙に、充填材2を充填する。この際、例えば、薄いビニール袋のような可撓性袋体を、板ガラス1の両側に生ずる間隙に挿入し、この中にスラリー状の石膏を注入して硬化させることにより、板ガラス1の下辺が、板ガラス1の厚さ方向に実質的に変位しないように強固に固定できる。
【0018】
なお、7は充填モルタル、8はリブ補強ブレート、9は壁面仕上げ材、10はアンカー、11は躯体である。
【0019】
充填材2としては、圧縮強度が15N/mm2以上の物質が好ましい。このような物質としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、石膏などが好適である。このような物質をガラス取付溝壁部と板ガラスとの間隙に介在させることにより、板ガラス端部が、ガラス取付溝内で、板ガラスの厚さ方向に実質的に変位しないように強固に固定できる。充填材2は、ガラス取付溝内で、板ガラスの両側の間隙に介在することが好ましい。また、板ガラスの両側の間隙には、異なる物質を介在させてもよい。
【0020】
硬度が約60度のシリコーンゴムは、圧縮しても、通常は、荷重と変位の関係は線形の範囲にあり、その範囲では圧縮限界応力はおよそ1.4N/mm2程度である。また、この条件下での変形率は約23.4%である。例えば、幅3m、高さ4.5mの板ガラスに、風圧約559Paが作用する場合を考えると、上下辺で支持した場合に下辺の固定部に加わる全荷重は、
3×4.5×559÷2≒3773N
である。板ガラスの下辺がガラス取付溝に嵌め込まれ、深さ100mm、幅3mの全幅にわたって、ガラス取付溝壁部と板ガラスとの間隙に上記のシリコーンゴムを介在させた場合、その設置面積から応力を計算すると、
3773÷(3000×100)≒0.0126N/mm2
である。よって、シリコーンゴムの変形率は、
23.4×0.0126/1.4≒0.21%
であるから、実質的にはほとんど変形していないとみなすことができる。仮に、厚さ10mmのシリコーンゴムを用いたとすると、その変形量は、
10×0.21/100=0.021mm
となり、ガラス取付溝内で板ガラスの下辺は、厚さ方向に実質的に変位しないとみなすことができる。
【0021】
したがって、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、EPDM(エチレン・プロピレンゴム)などのゴム弾性体であっても、およそ60度以上の硬度を有するものを、想定される荷重下で変形量が適切な範囲内に納まるように設置面積を考慮して、ガラス取付溝内の間隙に配置することで、板ガラスを強固に固定できる。例えば、板ガラスの両側の間隙のうち、その片側に、硬度が約60度のシリコーンゴムを介在させる。さらに、シリコーンゴムが実質的に変位しない状態まで圧縮させるべく、ガラス取付溝内の間隙内で板ガラスを押し付け、治具などで仮止めする。この状態で、もう一方の間隙に、スラリー状石膏を内蔵する可撓性袋体を介在させて、該石膏を硬化させることで、板ガラスをガラス取付溝内に強固に固定することができる。仮止めの際に用いた治具は、石膏が硬化した後に取り外せばよい。
【0022】
同様に、係るゴム弾性体からなる、例えば、厚さ10mm前後の板状体を板ガラスの両側の間隙に設置し、両側の間隙のうちどちらか一方の間隙内で、取付溝壁部とゴム弾性体の間に、例えば、ボルト孔を有する金属板をボルトが取り付けられた状態で配置し、係るボルトを締緩することによる締め付けトルクで、金属板をゴム弾性体に強く押し付け、ゴム弾性体が実質的に変位しない状態とすれば、板ガラスをガラス取付溝内に強固に固定できる。
【0023】
また、充填材2によって、深さ方向に強固に固定される範囲は、図1のHで示される。Hは70mm以上であることが好ましいが、強度設計に余裕をもたせる上では、Hを100mm以上とするのが更に好ましい。なお、支持辺方向(幅方向)については、必ずしもその全長にわたって強固に固定される必要はなく、間欠的に固定されている場合でも、板ガラスの厚さ方向に実質的に変位しない状態で固定されていればよい。
【0024】
なお、本発明に用いる板ガラスの種類としては、フロートガラス、強化ガラス、倍強度ガラス、網入り線入りガラスなどが挙げられる。また、本発明に用いる板ガラスの形態は、単板状の板ガラスに限定されず、合わせガラス、複層ガラスなどが挙げられる。本発明において固定支持とする辺は、板ガラスの上辺、下辺のいずれでもよく、両辺でもよい。
【0025】
建物の最下部、すなわち、通常1階部分は、広い開放感を要求される部分であり、本発明を適用する部分として好ましい。
【0026】
図2は、従来技術に係る板ガラスの取付構造の基本的構成を示す断面図である。板ガラス上辺、下辺ともに通常のサッシによる取付構造であり、板ガラス1の上辺および下辺をサッシ12の溝に嵌め込み、サッシ溝内で板ガラス1の両側に形成される間隙にバックアップ材4と弾性シーリング材3を充填して施工している。なお、下辺側のサッシ12の溝底部には、硬質ゴムのセッティングブロック6が配置されており、その上に板ガラス1が載置される。
【0027】
図3、図4は、単板状の平板ガラスに風圧が加わった際の変形および応力の発生状態を示す図であり、それぞれ、図1、図2の板ガラス取付構造に対応している。これらは、有限要素法による解析結果である。解析条件は何れも、平板ガラス(フロートガラス)の幅寸法を3m、高さ寸法を4.5m、ガラス厚を12mm、風圧を約559Paとした。なお、応力の発生状態は、表示色が濃いほど応力値が大きく、淡いほど小さくなっている。
【0028】
図4は、従来技術に係る図2の取付構造とした場合の解析結果である。すなわち、矩形の平板ガラス1の上下両辺を、通常のサッシ12の溝にバックアップ材4と弾性シーリング材3を充填して取り付けた場合の、平板ガラスの変形および応力の発生状態を示す。変位および応力は上下両辺に平行な帯状に分布し、自由辺である縦辺中央部で最大となる。最大応力は、縦辺部(支持辺方向の両端部、以下単にエッジ部という。)に現れている。
【0029】
一般的に知られているように2辺支持構造の場合は、自由辺上の高さ方向中央部に最大変位および最大応力が発生する。すなわち、エッジ部に最大応力が発生することとなる。したがって、ガラスのように面内と比べてエッジ部の許容応力値の方が小さい材料の場合は、エッジ部の許容応力値に合わせて自由辺の大きさを設計する必要があり、結果として使用可能な板ガラスの面積が制限されることとなる。
【0030】
図3は、本発明に係る図1の取付構造とした場合の解析結果である。すなわち、矩形の平板ガラス1の上辺を、通常のサッシ12の溝にバックアップ材4と弾性シーリング材3を充填して取り付け、下辺を石膏系の充填材2を用いて、ガラス取付溝内に強固に固定する場合の、板ガラスの変形および応力の発生状態を示す(下辺側固定部のガラス厚さ方向の変位を0として解析した)。本例では、最大応力はガラス取付溝に強固に固定された板ガラス下辺のガラス取付溝開口部近傍のガラス面内に現れている。
【0031】
次に、図3と図4を比較する。従来技術に係る方法で取り付けた図4では、最大応力は板ガラスのエッジ部に発生しており、その値は約14N/mm2、最大変位は3.28cmである。一方、本発明に係る方法で取り付けた図4では、最大応力は板ガラスの面内に発生しており、その値は約13.9N/mm2、最大変位は1.38cmである。最大応力値そのものは、ほぼ同じであっても、その発生部位が強度設計上きわめて重要な意味を持つ。何故なら、フロートガラスの短期許容応力は、エッジ部においては約17.7N/mm2であるのに対して、面内においては、呼び厚さ12〜19mm厚の板ガラスでは約19.6N/mm2、呼び厚さ2〜10mm厚の板ガラスでは約24.5N/mm2であり、エッジ部より面内の方が許容応力値が大きいからである。したがって、最大応力値そのものはほぼ同じであっても、板ガラス面内に最大応力が発生する図4の例の方が、エッジ部に最大応力が発生する図3の例よりも、許容応力に余裕があるので、自由辺である縦辺の長さを大きくして板ガラスの面積をより大きく設計できる。さらに、強化ガラス、倍強度ガラス等を用いることで、エッジ部と面内の許容応力の差が更に顕著となるので、本発明により最大応力をエッジ部でなく面内に発生させ、より大面積の板ガラスが適用可能になる。
【0032】
図5および図6は、支持辺方向(幅方向)に湾曲した矩形状の曲面ガラスについて、曲面ガラスの凸側から風圧が加わった際の変形および応力の発生状態を示す。ここでは、曲率半径が約55mと非常に浅い円弧を持つ曲面ガラスを対象としている。なお、これらは、有限要素法による解析結果である。解析条件は何れも、板ガラス(フロートガラス)の幅寸法を3m、高さ寸法を4.5m、ガラス厚を12mm、風圧を約559Paとした。なお、応力の発生状態は、表示色が濃いほど応力値が大きく、淡いほど小さくなっている。
【0033】
図6は、従来技術に係る図2の取付構造とした場合の解析結果である。すなわち、矩形の曲面ガラスの上下両辺を、通常のサッシ12の溝にバックアップ材4と弾性シーリング材3を充填して取り付けた場合の、曲面ガラスの変形および応力の発生状態を示す。同様に図5は、本発明に係る図1の取付構造とした場合の解析結果である。すなわち、曲面ガラスの上辺を、通常のサッシ12の溝にバックアップ材4と弾性シーリング材3を充填して取り付け、下辺を石膏系の充填材2を用いて、ガラス取付溝内に強固に固定する場合の、曲面ガラスの変形および応力の発生状態を示す(下辺側固定部のガラス厚さ方向の変位を0として解析した)。なお、どちらの場合も、主に風圧を受ける側の面を凸面としている。
【0034】
図5と図6を比較する。従来技術に係る図6では、最大応力は自由辺である縦辺中央部のエッジ部に発生しており、その値は約17.3N/mm2、最大変位は2.3cmである。一方、本発明に係る図5では、最大応力はガラス取付溝に強固に固定された板ガラス下辺の支持辺方向(幅方向)中央部付近のガラス取付溝開口部近傍のガラス面内に現れており、その値は約12.3N/mm2、最大変位は1cmとなり、従来技術に係る図6の場合と比較して、応力および変位ともに大幅に減少する。したがって、曲率半径の大きな浅い曲面を有するガラスに対しても、本発明は有効である。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、受風圧時の板ガラス中央部の板ガラス厚さ方向の変位量を低減できる。
【0036】
また、本発明によれば、ガラス取付溝に強固に固定された板ガラス端部のガラス取付溝開口部近傍に、板ガラスの最大応力が生ずることとなるため、縦辺である自由辺の中央部に最大応力が発生する従来技術と比較して、強度上非常に有利である。
【0037】
したがって、同じ大きさの板ガラスでは、より高い風圧に耐えることができ、同じ風圧条件においては、より自由辺の大きな大面積のガラスが使用でき、設計の自由度が増す。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る板ガラスの取付構造の基本的構成を示す断面図。
【図2】従来技術に係る板ガラスの取付構造の基本的構成を示す断面図。
【図3】本発明に係る板ガラスの取付構造で、平板板ガラスが風圧を受けた際の変形および応力発生状態を示す図。
【図4】従来技術に係る板ガラスの取付構造で、平板板ガラスが風圧を受けた際の変形および応力発生状態を示す図。
【図5】本発明に係る板ガラスの取付構造で、曲面ガラスが風圧を受けた際の変形および応力発生状態を示す図。
【図6】従来技術に係る板ガラスの取付構造で、曲面ガラスが風圧を受けた際の変形および応力発生状態を示す図。
【図7】本発明に係る板ガラスの取付構造で下辺側を強固に固定し、上辺側を、天井側から平板ガラスの中間部まで室内側の面にリブガラスを配置して支持する取付構造とした斜視模式図。
【符号の説明】
1:板ガラス
2:充填材
3:シーリング材
4:バックアップ材
5:ブレード
6:セッティングブロック
7:充填モルタル
8:リブ補強ブレート
9:壁面仕上げ材
10:アンカー
11:躯体
12:サッシ
13:カバー材
21:フェースガラス(平板ガラス)
22:リブガラス
23:シーリング
24:天井
25:床
Claims (7)
- 矩形状板ガラスの上下2辺をそれぞれガラス取付溝内に嵌め込んで支持する一方、左右の2辺を自由辺とした2辺支持の板ガラス取付構造において、前記板ガラスの支持辺である上辺もしくは下辺のいずれか一辺、または上下両辺が、ガラス取付溝内で、板ガラスの厚さ方向に実質的に変位しないように強固に固定されることを特徴とする板ガラス取付構造。
- 固定される辺は、ガラス取付溝内で、深さ方向に70mm以上の範囲にわたって固定されることを特徴とする請求項1に記載の板ガラス取付構造。
- ガラス取付溝内での板ガラスの固定が、ガラス取付溝壁部と板ガラスとの間隙に、圧縮強度が15N/mm2以上の物質を介在させることによる固定であることを特徴とする請求項1または2に記載の板ガラス取付構造。
- 矩形状板ガラスの上下2辺をそれぞれガラス取付溝内に嵌め込んで支持する一方、左右の2辺を自由辺とした2辺支持の板ガラス固定施工方法において、前記板ガラスの支持辺である上辺もしくは下辺のいずれか一辺、または上下両辺の固定方法として、ガラス取付溝壁部と板ガラスとの間隙に、圧縮強度が15N/mm2以上の物質を介在させる方法により、ガラス取付溝内で、深さ方向に70mm以上の範囲にわたって、板ガラスの厚さ方向に実質的に変位しないように強固に固定することを特徴とする板ガラス固定施工方法。
- ガラス取付溝壁部と板ガラスとの間隙に、圧縮強度が15N/mm2以上の物質を介在させる方法が、ガラス取付溝壁部と板ガラスの間隙に、スラリー状石膏を内蔵する可撓性袋体を介在させて、該石膏を硬化させる方法であることを特徴とする請求項4に記載の板ガラス固定施工方法。
- 前記矩形状板ガラスが支持辺方向に湾曲した曲面形状を有し、凸側面が主に風圧を受ける面であることを特徴とする請求項1、2または3に記載の板ガラス取付構造。
- 前記矩形状板ガラスが支持辺方向に湾曲した曲面形状を有し、凸側面が主に風圧を受ける面であることを特徴とする請求項4または5に記載の板ガラス固定施工方法。
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