JP2004018994A - 残留原料液除去方法並びに薄膜製造方法及び薄膜製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】溶液気化型MOCVD等の装置の配管内に原料液の残留を防止し、原料液収容器を安全にかつ短時間で交換可能な残留原料液除去方法等の提供。
【解決手段】原料液移送管内に残留する原料液を原料液収容器内に逆移送させる原料液逆移送工程を含む残留原料液除去方法。該原料液収容器が、第一バルブを備え流体供給器からの流体を移送する流体移送管に接続可能な接続部を有し、該接続部近傍に第二バルブを備え該流体を流入可能な流体流入管と、第五バルブを備え原料液移送管に接続可能な接続部を有し、該接続部近傍に第四バルブを備え該原料液を外部に流出可能な原料液流出管とを有し、前記装置が、第三バルブを備え、流体移送管と原料液移送管とを接続する接続管を更に有し、原料液逆移送工程で、原料液移送管における、接続管との接続部及び原料液流出管との接続部の間に残留する原料液を原料液収容器内に逆移送させる態様が好ましい。
【選択図】 図2
【解決手段】原料液移送管内に残留する原料液を原料液収容器内に逆移送させる原料液逆移送工程を含む残留原料液除去方法。該原料液収容器が、第一バルブを備え流体供給器からの流体を移送する流体移送管に接続可能な接続部を有し、該接続部近傍に第二バルブを備え該流体を流入可能な流体流入管と、第五バルブを備え原料液移送管に接続可能な接続部を有し、該接続部近傍に第四バルブを備え該原料液を外部に流出可能な原料液流出管とを有し、前記装置が、第三バルブを備え、流体移送管と原料液移送管とを接続する接続管を更に有し、原料液逆移送工程で、原料液移送管における、接続管との接続部及び原料液流出管との接続部の間に残留する原料液を原料液収容器内に逆移送させる態様が好ましい。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶液気化型MOCVD等の装置における配管内に原料液の残留を防止可能な残留原料液除去方法、並びに薄膜製造方法及び薄膜製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、いわゆるCVD法による薄膜形成が盛んに行われている。このCVD法の中でも、固体の有機金属を溶媒に溶解させ、これを定量づつ連続的に熱気化させたものを原料ガスとして用いる溶液気化型MOCVDは、蒸気圧の低い材料や熱的に不安定な材料であっても実用的なモル濃度で安定に原料ガスとすることができることから、近年、高・強誘電体薄膜形成プロセス、配線層形成プロセス等において広く利用されてきている。
【0003】
ここで、前記溶液気化型MOCVDにおけるプロセスについて図1を参照しながら説明する。図1に示すように、該溶液気化型MOCVDを行う装置は、原料液収容器1、気化器6、堆積室10及び真空排気系少なくとも構成されている。該溶液気化型MOCVDを行う装置においては、原料液収容器1内に収容された原料液がガスによる圧力により気化器6内に移送される。このとき、該原料液の移送は、液体マスフローコントローラ5により流量制御された状態で行われる。該原料液は、加熱された気化器6内でガス化され、原料ガスが調製される。この原料ガスは、気化器6内で他の材料のガスと混合されて混合ガスとされる。該他の材料のガスは、ガスマスフローコントローラ4により流量制御された状態で気化器6内に移送される。該混合ガスは、シャワーヘッド7を介して堆積室10内に移送される。堆積室10内では、予め基板ヒータ9上に配置され、加熱された基板8上に原料を析出させ、堆積させる。その結果、該基板8上に薄膜が形成される。
【0004】
なお、原料液収容器1の上流側には洗浄液収容器11が備えられ、原料液収容器1の下流側にはドレインポットとしての原料液回収容器3が備えられており、原料液収容器1を交換する際には、配管内に残留する原料液が原料液回収容器3内に移送された後、洗浄液収容器11内に収容された洗浄液により前記配管内が洗浄される。原料液収容器1は、図3に示す通り、流体流入管と原料液流出管とを有している。前記流体流入管は、開閉自在な第一バルブを備えかつ流体供給器から供給される流体を移送する流体移送管に着脱自在に接続可能な接続部を有し、該接続部近傍に開閉自在な第二バルブを備え、内部と流通可能にかつ原料液とは非接触状態で配置され、前記流体を流入可能である。前記原料液流出管は、開閉自在な第五バルブを備えかつ原料液移送管に着脱自在に接続可能な接続部を有し、該接続部近傍に開閉自在な第四バルブを備え、原料液と接触状態で配置され、該原料液を外部に流出可能である。前記流体流入管と前記原料液流出管とは、開閉自在な第三バルブを備えた接続管により互いに接続されている。
【0005】
ここで、従来における原料液収容液1を交換する際の操作について詳述すると、以下の通りである。即ち、図3に示す通り、原料液収容器1の交換前においては、前記第二バルブ及び前記第四バルブが閉鎖され、前記第一バルブ、前記第三バルブ及び前記第六バルブが解放され、ガスにより原料液収容器1内に収容された原料液が配管内にパージされている(ガスパージ工程)。原料液収容器1を交換時においては、前記配管内に洗浄液を流して洗浄した後(溶媒洗浄工程)、不活性ガスを流す。そして、該配管内を前記原料液でパージした後(ガスパージ工程)で、原料液収容器1を交換していた。
【0006】
しかし、この従来の方法の場合、前記第四バルブ内、乃至、前記原料液移送管における該第四バルブとの接続部及び前記接続管との接続部の間の部分には、前記原料液乃至前記洗浄液が残留してしまうという問題がある。前記原料液としては、一般に有機金属を有機溶媒に溶解させたものが用いられ、該有機溶媒としては、前記気化室内で前記有機溶媒だけが先に気化することを防ぐため、比較的沸点の高い酢酸ブチルやエチルシクロヘキサンやオクタン等が使用されている。前記原料液中に含まれる前記有機金属は、原料液収容器1の交換の際に、空気中の水分と反応すると前記有機溶媒に不溶性の物質に変質してしまう。このため、原料液収容器1の交換の際にパーティクルを生じさせてしまう等の問題がある。また、前記配管内に原料液が残っていると安全に交換作業を行うことができないという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、溶液気化型MOCVD等の装置において配管内に原料液を残留させるのを防止し、原料液収容器の交換を安全にかつ短時間で行うことが可能な残留原料液除去方法、並びに、溶液気化型MOCVD等の装置において配管内に原料液を残留させるのを防止し、原料液収容器の交換を安全にかつ短時間で行うことが可能であり、原料液の無駄を防止しつつ薄膜を形成可能な薄膜製造方法及び薄膜製造装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段としては、後述する(付記1)〜(付記30)の通りである。
本発明の残留原料液除去方法は、原料液を収容する原料液収容器と、該原料液を移送するための原料液移送管とを少なくとも有する装置における該原料液移送管内に残留する前記原料液を除去するための残留原料液除去方法であって、
前記原料液移送管内に残留する前記原料液を前記原料液収容器内に逆移送させる原料液逆移送工程を少なくとも含むことを特徴とする。本発明の残留原料液除去方法においては、前記原料液逆移送工程により、前記原料液移送管内の原料液が該原料液収容器に逆移送されるので、原料液収容器の交換時において、該原料液移送管内に残留することがない。
【0009】
本発明の薄膜製造方法は、原料液を収容する原料液収容器と、該原料液を移送するための原料液移送管と、該原料液移送管から移送された原料液を気化させて原料ガスを調製する気化室と、該気化室において調製された原料ガスを被処理対象に向けて供給し該被処理対象上に薄膜を堆積形成する堆積室とを少なくとも有する溶液気化型CVD装置における該原料液移送管内に残留する前記原料液を除去しつつ、前記被処理対象上に薄膜を堆積形成するための薄膜製造方法であって、
前記原料液を気化し、被処理対象上に薄膜を堆積形成する薄膜形成工程を少なくとも含み、
前記原料液を交換する際に、前記原料液移送管内に残留する前記原料液を前記原料液収容器内に逆移送させる原料液逆移送工程を行うことを特徴とする。
本発明の薄膜製造方法においては、前記薄膜形成工程により、薄膜が形成される。また、前記原料液逆移送工程により、前記原料液移送管内の原料液が該原料液収容器に逆移送されるので、原料液収容器の交換時において、該原料液移送管内に残留することがない。
【0010】
本発明の薄膜製造装置は、原料液を収容する原料液収容器と、該原料液を移送するための原料液移送管と、該原料液移送管から移送された原料液を気化させて原料ガスを調製する気化室と、該気化室において調製された原料ガスを被処理対象に向けて供給し該被処理対象上に薄膜を堆積形成する堆積室と、前記原料液を交換する際に、前記原料液移送管内に残留する前記原料液を前記原料液収容器内に逆移送させる原料液逆移送手段とを少なくとも含むことを特徴とする。
本発明の薄膜製造装置においては、前記堆積室において薄膜が形成される。また、前記原料液逆移送手段により、前記原料液移送管内の原料液が該原料液収容器に逆移送されるので、原料液収容器の交換時において、該原料液移送管内に残留することがない。
【0011】
【発明の実施の形態】
(残留原料液除去方法)
本発明の残留原料液除去方法は、原料液を収容する原料液収容器と、該原料液を移送するための原料液移送管とを少なくとも有する装置における該原料液移送管内に残留する前記原料液を除去するための方法である。
本発明の残留原料液除去方法は、前記原料液移送管内に残留する前記原料液を前記原料液収容器内に逆移送させる原料液逆移送工程を少なくとも含む。
【0012】
前記原料液収容器としては、原料液を収容することができる限り特に制限はなく、その形状、構造、材質、大きさ等については目的に応じて適宜選択することができるが、前記装置に対し着脱自在に設計されているのが好ましく、流体流入管と原料液流出管とを有してなるものがより好ましく、前記流体流入管が、開閉自在な第一バルブを備えかつ流体供給器から供給される流体を移送する流体移送管に着脱自在に接続可能な接続部を有し、該接続部近傍に開閉自在な第二バルブを備え、内部と流通可能にかつ原料液とは非接触状態で配置され、前記流体を流入可能であり、かつ前記原料液流出管が、開閉自在な第五バルブを備えかつ原料液移送管に着脱自在に接続可能な接続部を有し、該接続部近傍に開閉自在な第四バルブを備え、原料液と接触状態で配置され、該原料液を外部に流出可能である態様のものが特に好ましい。
【0013】
この態様の原料液収容器の場合、前記流体流入管から流体を内部に導入して該内部を加圧することにより、該内部に収容された原料液を前記原料液流出管から外部に移送させることができる。また、前記第二バルブ及び前記第四バルブを適宜開閉することにより、前記原料液収容器内に収容された前記原料液を該原料液収容器内から外部にあるいはこの逆に自在に移送させることができる。
【0014】
なお、前記流体流入管及び前記原料液流出管としては、特に制限はなく、目的に応じて、その形状、構造、材質、大きさ等については、適宜選択することができる。また、前記第一バルブ、前記第二バルブ、前記第四バルブ及び前記第五バルブとしては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、電磁バルブなどが好適に挙げられる。前記接続部における接続様式としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カプラー式、ヘルール式などが挙げられる。
【0015】
前記装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、溶液気化型CVD装置などが好適に挙げられる。該溶液気化型CVD装置としては、その構造については特に制限はなく、公知のものが好適に挙げられるが、通常、反応器が気化室及び堆積室を備えてなる。
前記装置は、前記流体移送管と前記原料液移送管との間を流通可能に接続する接続管を有しているのが好ましい。
【0016】
前記接続管としては、その形状、構造、材質、大きさ等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、開閉自在な第三バルブを備えているのが好ましい。この場合、該第三バルブの開閉を行うことにより、前記原料液収容器内に収容された前記原料液を該原料液収容器内から外部にあるいはこの逆に自在に移送させることができる。
【0017】
前記接続管が接続される位置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、その一端が、前記流体移送管における、前記第一バルブ及び前記流体流入管との接続部の間の位置に流体流通可能に接続され、その他端が、前記原料液移送管における、前記第五バルブ及び前記原料液流出管との接続部の間の位置に流体流通可能に接続されているのが好ましい。
【0018】
前記原料液移送管は、その一端が前記原料液流出管と接続されるが、他端の接続対象としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記装置における反応器などが好適に挙げられる。
【0019】
前記原料液移送管には、目的に応じて適宜選択した容器、部材等を装着させることができるが、前記原料液流出管との接続部と、前記反応器に接続された端部との間にドレインポットとしての原料液回収容器などが備えられていてもよい。なお、前記ドレインポットには、一定圧力以下になると閉鎖するチェックバルブなどを装着させてもよい。
【0020】
前記流体供給器から供給される流体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ガスなどが好適に挙げられる。該ガスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記原料液中に溶解し難いガスが好ましく、いわゆる不活性ガスなどが好適に挙げられ、具体的には、ヘリウムガス、アルゴンガス、窒素ガスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0021】
前記原料液供給器に収容される原料液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、原料と溶剤とを含有するものなどが挙げられる。
前記原料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、有機金属などが挙げられ、前記装置が溶液気化型CVD装置である場合には、該有機金属としては、トリメチルヘプタンディオネート(THD)、ジメチルヘプタンディオネート(DMHD)及びメトキシエトキシトリメチルヘプタンディオネート(METHD)から選択されるいずれかの配位子を有するものが好適に挙げられる。また、前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0022】
本発明の残留原料液除去方法においては、原料液逆移送工程を少なくとも行うことが必要である。
前記原料液逆移送工程は、流体移送管と流体流入管とが接続され、原料液移送管と原料液流出管とが接続された状態において行われる。該原料液逆移送工程において、少なくとも前記原料液移送管における、前記接続管との接続部及び前記原料液流出管との接続部の間に残留する前記原料液を前記原料液収容器内に逆移送させ、更に、前記原料液流出管における前記接続部及び前記第四バルブの間に残留する前記原料液をも前記原料液収容器内に逆移送させるのが好ましい。
【0023】
前記原料液逆移送工程としては、少なくとも前記原料液移送管における、前記接続管との接続部及び前記原料液流出管との接続部の間に残留する前記原料液を前記原料液収容器内に逆移送させることができる限り特に制限はないが、ガスパージステップとガス圧解放ステップと原料液逆移送ステップとを少なくとも含むのが好ましく、原料液逆移送ステップの後に洗浄ステップを更に含むがより好ましく、該洗浄ステップの後に前記ガスパージステップを含んでいてもよい。
【0024】
前記ガスパージステップとしては、例えば、前記第二バルブ及び前記第四バルブを閉鎖し、前記第一バルブ、前記第三バルブ及び前記第五バルブを開放して、前記流体供給器から前記原料液移送管に向けてガスを供給し流通させる処理などが好適に挙げられる。
【0025】
前記ガス圧解放ステップとしては、例えば、前記第一バルブ及び前記第四バルブを閉鎖し、前記第二バルブ、前記第三バルブ及び前記第五バルブを開放して、加圧状態にある前記原料液収容器内を大気圧にする処理などが好適に挙げられる。
【0026】
前記原料液逆移送ステップとしては、例えば、前記第二バルブ及び前記第五バルブを閉鎖し、前記第一バルブ、前記第三バルブ及び前記第四バルブを開放して、前記流体供給器から前記原料液収容器内に向けてガスを供給し、前記原料液移送管における接続管との接続部及び前記原料液流出管との接続部の間、並びに、前記原料液流出管における接続部及び前記第四バルブの間、に残留する原料液を原料液収容器内に逆移送させる処理、などが好適に挙げられる。
【0027】
前記洗浄ステップとしては、例えば、前記第二バルブ及び前記第四バルブを閉鎖し、前記第一バルブ、前記第三バルブ及び前記第五バルブを開放して、前記流体供給器から前記原料液移送管に向けて前記洗浄液を供給し流通させる処理などが好適に挙げられる。なお、前記洗浄ステップは、複数回行ってもよい。
【0028】
前記洗浄液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、揮発性溶媒などが好適に挙げられる。該揮発性溶媒としては、例えば、100Torr以下の減圧下において室温で沸騰し得るものが好ましく、エーテル系溶媒から選択されるものがより好ましい。なお、前記洗浄液として、前記原料液中の溶媒を用いて洗浄を行ってもよく、この場合、その後で前記揮発性溶媒で洗浄するのが好ましい。
【0029】
前記ガスパージステップと前記ガス圧解放ステップと前記原料液逆移送ステップとは、シークエンス制御された状態で行われるのが好ましく、更に前記洗浄ステップもシークエンス制御された状態で行われるのがより好ましい。
【0030】
本発明の残留原料液除去方法においては、前記原料液逆移送工程により、前記原料液移送管内に残留する前記原料液を前記原料液収容器内に逆移送させる。
具体的には、図2に示すように、まず、ガスパージステップ(ガスパージ工程)において、前記第二バルブ及び前記第四バルブを閉鎖(図中、黒色で表示)し、前記第一バルブ、前記第三バルブ及び前記第五バルブを開放(図中、白色で表示)して、前記流体供給器から前記原料液移送管に向けてガスを供給し流通させる。
次に、ガス圧解放ステップ(ガス圧解放工程)において、前記第一バルブ及び前記第四バルブを閉鎖(図中、黒色で表示)し、前記第二バルブ、前記第三バルブ及び前記第五バルブを開放(図中、白色で表示)して、加圧状態にある前記原料液収容器内を大気圧にする。
【0031】
次に、原料液逆移送ステップ(原料送工程)において、前記第二バルブ及び前記第五バルブを閉鎖(図中、黒色で表示)し、前記第一バルブ、前記第三バルブ及び前記第四バルブを開放(図中、白色で表示)して、前記流体供給器から前記原料液収容器内に向けてガスを供給する。そして、前記原料液移送管における前記接続管との接続部及び前記原料液流出管との接続部の間、並びに、前記原料液流出管における接続部及び前記第四バルブの間、に残留する前記原料液を前記原料液収容器内に逆移送させる。その結果、これらの箇所は、前記第四バルブが閉鎖されている時には袋小路のようになっているため前記原料液とガスとの交換が生じ難くなっているが、該原料液逆移送ステップ(原料送工程)により、残留していた前記原料液が前記原料液収容器内に容易にかつ確実に逆移送される。なお、ここでの「逆移送」とは、前記原料液の通常の移送方向とは逆の方向への移送であることを意味する。
【0032】
次に、洗浄ステップ(溶媒洗浄工程)において、前記第二バルブ及び前記第四バルブを閉鎖(図中、黒色で表示)し、前記第一バルブ、前記第三バルブ及び前記第五バルブを開放(図中、白色で表示)して、前記流体供給器から前記原料液移送管に向けて前記洗浄液を供給し流通させる。
【0033】
次に、再びガスパージステップ(ガスパージ工程)において、前記第二バルブ及び前記第四バルブを閉鎖(図中、黒色で表示)し、前記第一バルブ、前記第三バルブ及び前記第五バルブを開放(図中、白色で表示)して、前記流体供給器から前記原料液移送管に向けてガスを供給し流通させる。
【0034】
そして、以上の原料液逆移送工程を行った後、前記原料液収容器を取り外し、交換する。その結果、前記原料液が空気に触れてパーティクルを生ずる、前記原料液が作業者に触れる等の問題がなく、前記原料液収容器の交換作業を安全に行うことができる。また、前記洗浄ステップにおいて前記洗浄液として前記揮発性溶媒を用いた場合には、前記原料液収容器の交換時に該洗浄液が残留することがない点で好ましい。また、前記原料液逆移送工程は、原料液収容器中の圧力を大気圧以上にして行うと、前記原料液中の有機金属が析出し難く、パーティクルの発生を効果的に抑制することができる点で好ましい。
【0035】
(薄膜製造方法及び薄膜製造装置)
本発明の薄膜製造方法は、原料液を収容する原料液収容器と、該原料液を移送するための原料液移送管と、該原料液移送管から移送された原料液を気化させて原料ガスを調製する気化室と、該気化室において調製された原料ガスを被処理対象に向けて供給し該被処理対象上に薄膜を堆積形成する堆積室とを少なくとも有する溶液気化型CVD装置における該原料液移送管内に残留する前記原料液を除去しつつ、前記被処理対象上に薄膜を堆積形成するための方法である。
【0036】
本発明の薄膜製造方法は、薄膜形成工程と原料液逆移送工程を含み、本発明の薄膜製造装置により好適に実施することができる。
なお、本発明の薄膜製造方法においては、前記残留原料液除去方法における前記装置が溶液気化型CVD装置であり、前記薄膜形成工程を含む点で、該残留原料液除去方法とは異なり、前記原料液逆移送工程については同様である。以下、本発明の薄膜製造方法における前記残留原料液除去方法と異なる点について主に説明し、共通する点については可能な限り説明を省略する。
【0037】
前記溶液気化型CVD装置としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、例えば、原料液を収容する原料液収容器と、該原料液を移送するための原料液移送管と、該原料液移送管から移送された原料液を気化させて原料ガスを調製する気化室と、該気化室において調製された原料ガスを被処理対象に向けて供給し該被処理対象上に薄膜を堆積形成する堆積室とを少なくとも有してなるものなどが好適に挙げられる。
【0038】
前記薄膜形成工程においては、前記原料液が気化され、被処理対象上に薄膜が堆積形成される。該薄膜が堆積形成される条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、以下の表1から3に示す条件などが一例として挙げられる。
【0039】
【表1】
【表2】
【表3】
【0040】
前記原料液逆移送工程は、本発明の薄膜製造装置における原料液逆移送手段により好適に実施することができる。
前記原料液逆移送手段は、前記原料液を交換する際に、前記原料液移送管内に残留する前記原料液を前記原料液収容器内に逆移送させる機能を有している限り特に制限はなく、前記流体移送管と流体流入管とが接続され、原料液移送管と原料液流出管とが接続された状態において、少なくとも前記原料液移送管における、前記接続管との接続部及び前記原料液流出管との接続部の間に残留する前記原料液を前記原料液収容器内に逆移送させる機能を有するものが好ましい。
【0041】
前記原料液移送管における、原料液流出管との接続部とは反対側の端部は、気化室に接続されており、該原料液流出管との接続部と、前記気化室に接続された端部との間には、該気化室内を気化した原料が析出する圧力以上に保持する圧力制御機構が備えられているのが好ましい。
前記圧力制御機構としては、一定圧力以下になると閉鎖するチェックバルブなどが好適に挙げられる。前記原料液移送管における、原料液流出管との接続部と、気化室に接続された端部との間には、ドレインポットが備えられているのが好ましい。
【0042】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0043】
(実施例1)
図1に示すような、溶液気化型CVD装置における薄膜製造装置を用い本発明の薄膜製造方法における前記薄膜製造工程を表1に示す条件にて行い、気化室10内でIr(THD)3を原料として用い、TiN膜上にIr層を堆積形成した後、以下の原料液逆移送工程を行った。なお、該原料液逆移送工程による処理は、本発明の残留原料液除去方法に該当する。堆積形成されたIr薄膜は、厚みが80nmで30μΩcmの抵抗値を有していた。
【0044】
また、同様に前記薄膜製造工程を表2に示す条件にて行い、気化室10内でTHD系原料とDMHD系原料とを用い、TiN膜上にPZT層を堆積形成した。更に、同様に前記薄膜製造工程を表3に示す条件にて行い、気化室10内でMHTHD系原料を用い、TiN膜上にPZT層を堆積形成した。得られたPZT層のスイッチング電荷量Qswは、それぞれ40C/cm2、28C/cm2であった。
【0045】
次に、図2に示すように、ガスパージステップ(ガスパージ工程)において、バルブV2及びバルブV4を閉鎖(図中、黒色で表示)し、バルブV1、バルブV3、バルブV5、及びドレインポットとしての原料液回収容器近傍に設けられたバルブV6を開放(図中、白色で表示)して、前記流体供給器から前記原料液移送管に向けてHe(ヘリウム)ガスを供給し流通させた。このとき、該Heガスは、原料液回収容器に設けられたチェックバルブを介して外部に排出された。
【0046】
次に、ガス圧解放ステップ(ガス圧解放工程)において、バルブV1及びバルブV4を閉鎖(図中、黒色で表示)し、バルブV2、バルブV3、バルブV5及びバルブV6を開放(図中、白色で表示)して、加圧状態にある原料液収容器1内を大気圧にした。
【0047】
次に、原料液逆移送ステップ(原料送工程)において、バルブV2及びバルブV5を閉鎖(図中、黒色で表示)し、バルブV1、バルブV3、バルブV4及びバルブV6を開放(図中、白色で表示)して、前記流体供給器から原料液収容器1内に向けてガスを供給した。そして、前記原料液移送管における前記接続管との接続部及び前記原料液流出管との接続部の間、並びに、前記原料液流出管における接続部及びバルブV4の間、に残留する前記原料液を原料液収容器1内に逆移送させた。その結果、これらの箇所は、バルブV4が閉鎖されている時には袋小路のようになっているため前記原料液とガスとの交換が生じ難くなっているが、該原料液逆移送ステップ(原料送工程)により、残留していた前記原料液が前記原料液収容器内に容易にかつ確実に逆移送された。
【0048】
次に、洗浄ステップ(溶媒洗浄工程)において、バルブV2及びバルブ4を閉鎖(図中、黒色で表示)し、バルブV1、バルブV3、バルブV5及びバルブV6を開放(図中、白色で表示)して、前記流体供給器から前記原料液移送管に向けて洗浄液としてのDME(ジメチルエーテル)を供給し流通させた。
【0049】
次に、再びガスパージステップ(ガスパージ工程)において、バルブV2及びバルブV4を閉鎖(図中、黒色で表示)し、バルブV1、バルブV3、バルブV5及びバルブV6を開放(図中、白色で表示)して、前記流体供給器から前記原料液移送管に向けてHeガスを供給し流通させ、DME(ジメチルエーテル)を揮発させた。
【0050】
以上の原料液逆移送工程を行った後、前記原料液収容器を取り外し、交換したところ、前記原料液が空気に触れてパーティクルを生ずる、前記原料液が作業者に触れる等の問題がなく、前記原料液収容器の交換作業を安全に行うことができた。
【0051】
ここで、本発明の好ましい態様を付記すると、以下の通りである。
(付記1) 原料液を収容する原料液収容器と、該原料液を移送するための原料液移送管とを少なくとも有する装置における該原料液移送管内に残留する前記原料液を除去するための残留原料液除去方法であって、
前記原料液移送管内に残留する前記原料液を前記原料液収容器内に逆移送させる原料液逆移送工程を少なくとも含むことを特徴とする残留原料液除去方法。
(付記2) 原料液収容器が、
開閉自在な第一バルブを備えかつ流体供給器から供給される流体を移送する流体移送管に着脱自在に接続可能な接続部を有し、該接続部近傍に開閉自在な第二バルブを備え、内部と流通可能にかつ原料液とは非接触状態で配置され、前記流体を流入可能な流体流入管と、
開閉自在な第五バルブを備えかつ原料液移送管に着脱自在に接続可能な接続部を有し、該接続部近傍に開閉自在な第四バルブを備え、原料液と接触状態で配置され、該原料液を外部に流出可能な原料液流出管とを有してなり、
装置が、
開閉自在な第三バルブを備え、前記流体移送管における、前記第一バルブ及び前記流体流入管との接続部の間と、前記原料液移送管における、前記第五バルブ及び前記原料液流出管との接続部の間とを流通可能に接続する接続管を更に有してなり、
原料液逆移送工程が、流体移送管と流体流入管とが接続され、原料液移送管と原料液流出管とが接続された状態において行われ、該原料液逆移送工程において、少なくとも前記原料液移送管における、前記接続管との接続部及び前記原料液流出管との接続部の間に残留する前記原料液を前記原料液収容器内に逆移送させる付記1に記載の残留原料液除去方法。
(付記3) 原料液逆移送工程において、前記原料液流出管における前記接続部及び前記第四バルブの間に残留する前記原料液を更に前記原料液収容器内に逆移送させる付記2に記載の残留原料液除去方法。
(付記4) 原料液逆移送工程が、
第二バルブ及び第四バルブを閉鎖し、第一バルブ、第三バルブ及び第五バルブを開放して、流体供給器から原料液移送管に向けてガスを供給し流通させるガスパージステップと、
第一バルブ及び第四バルブを閉鎖し、第二バルブ、第三バルブ及び第五バルブを開放して、加圧状態にある原料液収容器内を大気圧にするガス圧解放ステップと、
第二バルブ及び第五バルブを閉鎖し、第一バルブ、第三バルブ及び第四バルブを開放して、流体供給器から原料液収容器内に向けてガスを供給し、原料液移送管における接続管との接続部及び原料液流出管との接続部の間、並びに、原料液流出管における接続部及び第四バルブの間に残留する原料液を原料液収容器内に逆移送させる原料液逆移送ステップとを少なくとも含む付記2又は3に記載の残留原料液除去方法。
(付記5) 原料液逆移送工程における、ガスパージステップとガス圧解放ステップと原料液逆移送ステップとがシークエンス制御により行われる付記4に記載の残留原料液除去方法。
(付記6) ガスが不活性ガスである付記4又は5に記載の残留原料液除去方法。
(付記7) 原料液逆移送工程が、原料液逆移送ステップの後に、第二バルブ及び第四バルブを閉鎖し、第一バルブ、第三バルブ及び第五バルブを開放して、流体供給器から原料液移送管に向けて洗浄液を供給し流通させる洗浄ステップを更に含む付記4から6のいずれかに記載の残留原料液除去方法。
(付記8) 原料液逆移送工程において、洗浄ステップが複数回行われる付記7に記載の残留原料液除去方法。
(付記9) 原料液逆移送工程において、洗浄ステップの後に、ガスパージステップが行われる付記7又は8に記載の残留原料液除去方法。
(付記10) 原料液移送管における、原料液流出管との接続部とは反対側の端部が、反応器に接続された付記2から9のいずれかに記載の残留原料液除去方法。
(付記11) 原料液移送管が、原料液流出管との接続部と、反応器に接続された端部との間に、ドレインポットが備えられた付記10に記載の残留原料液除去方法。
(付記12) ドレインポットに一定圧力以下になると閉鎖するチェックバルブが備えられた付記11に記載の残留原料液除去方法。
(付記13) 装置が溶液気化型CVD装置であり、反応器が気化室及び堆積室を含む付記10から12のいずれかに記載の残留原料液除去方法。
(付記14) 原料液が有機金属を含有する付記1から13のいずれかに記載の残留原料液除去方法。
(付記15) 原料液を収容する原料液収容器と、該原料液を移送するための原料液移送管と、該原料液移送管から移送された原料液を気化させて原料ガスを調製する気化室と、該気化室において調製された原料ガスを被処理対象に向けて供給し該被処理対象上に薄膜を堆積形成する堆積室とを少なくとも有する溶液気化型CVD装置における該原料液移送管内に残留する前記原料液を除去しつつ、前記被処理対象上に薄膜を堆積形成するための薄膜製造方法であって、
前記原料液を気化し、被処理対象上に薄膜を堆積形成する薄膜形成工程を少なくとも含み、
前記原料液を交換する際に、前記原料液移送管内に残留する前記原料液を前記原料液収容器内に逆移送させる原料液逆移送工程を行うことを特徴とする薄膜製造方法。
(付記16) 原料液収容器が、
開閉自在な第一バルブを備えかつ流体供給器から供給される流体を移送する流体移送管に着脱自在に接続可能な接続部を有し、該接続部近傍に開閉自在な第二バルブを備え、内部と流通可能にかつ原料液とは非接触状態で配置され、前記流体を流入可能な流体流入管と、
開閉自在な第五バルブを備えかつ原料液移送管に着脱自在に接続可能な接続部を有し、該接続部近傍に開閉自在な第四バルブを備え、原料液と接触状態で配置され、該原料液を外部に流出可能な原料液流出管とを有してなり、
装置が、
開閉自在な第三バルブを備え、前記流体移送管における、前記第一バルブ及び前記流体流入管との接続部の間と、前記原料液移送管における、前記第五バルブ及び前記原料液流出管との接続部の間とを流通可能に接続する接続管を更に有してなり、
原料液逆移送工程が、流体移送管と流体流入管とが接続され、原料液移送管と原料液流出管とが接続された状態において行われ、該原料液逆移送工程において、少なくとも前記原料液移送管における、前記接続管との接続部及び前記原料液流出管との接続部の間に残留する前記原料液を前記原料液収容器内に逆移送させる付記15に記載の薄膜製造方法。
(付記17) 原料液逆移送工程において、前記原料液流出管における前記接続部及び前記第四バルブの間に残留する前記原料液を更に前記原料液収容器内に逆移送させる付記16に記載の薄膜製造方法。
(付記18) 原料液逆移送工程が、
第二バルブ及び第四バルブを閉鎖し、第一バルブ、第三バルブ及び第五バルブを開放して、流体供給器から原料液移送管に向けてガスを供給し流通させるガスパージステップと、
第一バルブ及び第四バルブを閉鎖し、第二バルブ、第三バルブ及び第五バルブを開放して、加圧状態にある原料液収容器内を大気圧にするガス圧解放ステップと、
第二バルブ及び第五バルブを閉鎖し、第一バルブ、第三バルブ及び第四バルブを開放して、流体供給器から原料液収容器内に向けてガスを供給し、原料液移送管における接続管との接続部及び原料液流出管との接続部の間、並びに、原料液流出管における接続部及び第四バルブの間に残留する原料液を原料液収容器内に逆移送させる原料液逆移送ステップとを少なくとも含む付記16又は17に記載の薄膜製造方法。
(付記19) 原料液逆移送工程における、ガスパージステップとガス圧解放ステップと原料液逆移送ステップとがシークエンス制御により行われる付記18に記載の薄膜製造方法。
(付記20) ガスが不活性ガスである付記18又は19に記載の薄膜製造方法。
(付記21) 原料液逆移送工程が、原料液逆移送ステップの後に、第二バルブ及び第四バルブを閉鎖し、第一バルブ、第三バルブ及び第五バルブを開放して、流体供給器から原料液移送管に向けて洗浄液を供給し流通させる洗浄ステップを更に含む付記18から20のいずれかに記載の薄膜製造方法。
(付記22) 原料液逆移送工程において、洗浄ステップが複数回行われる付記21に記載の薄膜製造方法。
(付記23) 原料液逆移送工程において、洗浄ステップの後に、ガスパージステップが行われる付記21又は22に記載の薄膜製造方法。
(付記24) 原料液移送管における、原料液流出管との接続部とは反対側の端部が、気化室に接続された付記16から23のいずれかに記載の薄膜製造方法。
(付記25) 原料液移送管における、原料液流出管との接続部と、気化室に接続された端部との間に、該気化室内を気化した原料が析出する圧力以上に保持する圧力制御機構が備えられた付記16から24のいずれかに記載の薄膜製造方法。
(付記26) 原料液移送管における、原料液流出管との接続部と、気化室に接続された端部との間に、ドレインポットが備えられた付記16から25のいずれかに記載の薄膜製造方法。
(付記27) 原料液が有機金属を含有する付記15から26のいずれかに記載の薄膜製造方法。
(付記28) 有機金属が、トリメチルヘプタンディオネート(THD)、ジメチルヘプタンディオネート(DMHD)及びメトキシエトキシトリメチルヘプタンディオネート(METHD)から選択されるいずれかの配位子として有する付記27に記載の薄膜製造方法。
(付記29) 原料液を収容する原料液収容器と、該原料液を移送するための原料液移送管と、該原料液移送管から移送された原料液を気化させて原料ガスを調製する気化室と、該気化室において調製された原料ガスを被処理対象に向けて供給し該被処理対象上に薄膜を堆積形成する堆積室と、前記原料液を交換する際に、前記原料液移送管内に残留する前記原料液を前記原料液収容器内に逆移送させる原料液逆移送手段とを少なくとも含むことを特徴とする薄膜製造装置。
(付記30) 原料液収容器が、
開閉自在な第一バルブを備えかつ流体供給器から供給される流体を移送する流体移送管に着脱自在に接続可能な接続部を有し、該接続部近傍に開閉自在な第二バルブを備え、内部と流通可能にかつ原料液とは非接触状態で配置され、前記流体を流入可能な流体流入管と、
開閉自在な第五バルブを備えかつ原料液移送管に着脱自在に接続可能な接続部を有し、該接続部近傍に開閉自在な第四バルブを備え、原料液と接触状態で配置され、該原料液を外部に流出可能な原料液流出管とを有してなり、
更に、
開閉自在な第三バルブを備え、前記流体移送管における、前記第一バルブ及び前記流体流入管との接続部の間と、前記原料液移送管における、前記第五バルブ及び前記原料液流出管との接続部の間とを流通可能に接続する接続管を有してなり、
原料液逆移送手段が、流体移送管と流体流入管とが接続され、原料液移送管と原料液流出管とが接続された状態において、少なくとも前記原料液移送管における、前記接続管との接続部及び前記原料液流出管との接続部の間に残留する前記原料液を前記原料液収容器内に逆移送させる付記29に記載の薄膜製造装置。
【0052】
【発明の効果】
本発明によると、従来における問題を解決することができ、溶液気化型MOCVD等の装置において配管内に原料液を残留させるのを防止し、原料液収容器の交換を安全にかつ短時間で行うことが可能な残留原料液除去方法、並びに、溶液気化型MOCVD等の装置において配管内に原料液を残留させるのを防止し、原料液収容器の交換を安全にかつ短時間で行うことが可能であり、原料液の無駄を防止しつつ薄膜を形成可能な薄膜製造方法及び薄膜製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、溶液気化型CVD装置による薄膜形成方法のプロセスを説明するための概略説明図である。
【図2】図2は、本発明の残留原料液除去方法を説明するための概略説明図である。
【図3】図3は、従来における残留原料液除去方法を説明するための概略説明図である。
【符号の説明】
1・・・・・・・原料液収容器
3・・・・・・・原料液回収容器
4・・・・・・・ガスマスフローコントローラ
5・・・・・・・液体マスフローコントローラ
6・・・・・・・気化器
7・・・・・・・シャワーヘッド
8・・・・・・・基板
9・・・・・・・基板ヒータ
10・・・・・・堆積室
11・・・・・・洗浄液収容器
V1〜V8・・・バルブ
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶液気化型MOCVD等の装置における配管内に原料液の残留を防止可能な残留原料液除去方法、並びに薄膜製造方法及び薄膜製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、いわゆるCVD法による薄膜形成が盛んに行われている。このCVD法の中でも、固体の有機金属を溶媒に溶解させ、これを定量づつ連続的に熱気化させたものを原料ガスとして用いる溶液気化型MOCVDは、蒸気圧の低い材料や熱的に不安定な材料であっても実用的なモル濃度で安定に原料ガスとすることができることから、近年、高・強誘電体薄膜形成プロセス、配線層形成プロセス等において広く利用されてきている。
【0003】
ここで、前記溶液気化型MOCVDにおけるプロセスについて図1を参照しながら説明する。図1に示すように、該溶液気化型MOCVDを行う装置は、原料液収容器1、気化器6、堆積室10及び真空排気系少なくとも構成されている。該溶液気化型MOCVDを行う装置においては、原料液収容器1内に収容された原料液がガスによる圧力により気化器6内に移送される。このとき、該原料液の移送は、液体マスフローコントローラ5により流量制御された状態で行われる。該原料液は、加熱された気化器6内でガス化され、原料ガスが調製される。この原料ガスは、気化器6内で他の材料のガスと混合されて混合ガスとされる。該他の材料のガスは、ガスマスフローコントローラ4により流量制御された状態で気化器6内に移送される。該混合ガスは、シャワーヘッド7を介して堆積室10内に移送される。堆積室10内では、予め基板ヒータ9上に配置され、加熱された基板8上に原料を析出させ、堆積させる。その結果、該基板8上に薄膜が形成される。
【0004】
なお、原料液収容器1の上流側には洗浄液収容器11が備えられ、原料液収容器1の下流側にはドレインポットとしての原料液回収容器3が備えられており、原料液収容器1を交換する際には、配管内に残留する原料液が原料液回収容器3内に移送された後、洗浄液収容器11内に収容された洗浄液により前記配管内が洗浄される。原料液収容器1は、図3に示す通り、流体流入管と原料液流出管とを有している。前記流体流入管は、開閉自在な第一バルブを備えかつ流体供給器から供給される流体を移送する流体移送管に着脱自在に接続可能な接続部を有し、該接続部近傍に開閉自在な第二バルブを備え、内部と流通可能にかつ原料液とは非接触状態で配置され、前記流体を流入可能である。前記原料液流出管は、開閉自在な第五バルブを備えかつ原料液移送管に着脱自在に接続可能な接続部を有し、該接続部近傍に開閉自在な第四バルブを備え、原料液と接触状態で配置され、該原料液を外部に流出可能である。前記流体流入管と前記原料液流出管とは、開閉自在な第三バルブを備えた接続管により互いに接続されている。
【0005】
ここで、従来における原料液収容液1を交換する際の操作について詳述すると、以下の通りである。即ち、図3に示す通り、原料液収容器1の交換前においては、前記第二バルブ及び前記第四バルブが閉鎖され、前記第一バルブ、前記第三バルブ及び前記第六バルブが解放され、ガスにより原料液収容器1内に収容された原料液が配管内にパージされている(ガスパージ工程)。原料液収容器1を交換時においては、前記配管内に洗浄液を流して洗浄した後(溶媒洗浄工程)、不活性ガスを流す。そして、該配管内を前記原料液でパージした後(ガスパージ工程)で、原料液収容器1を交換していた。
【0006】
しかし、この従来の方法の場合、前記第四バルブ内、乃至、前記原料液移送管における該第四バルブとの接続部及び前記接続管との接続部の間の部分には、前記原料液乃至前記洗浄液が残留してしまうという問題がある。前記原料液としては、一般に有機金属を有機溶媒に溶解させたものが用いられ、該有機溶媒としては、前記気化室内で前記有機溶媒だけが先に気化することを防ぐため、比較的沸点の高い酢酸ブチルやエチルシクロヘキサンやオクタン等が使用されている。前記原料液中に含まれる前記有機金属は、原料液収容器1の交換の際に、空気中の水分と反応すると前記有機溶媒に不溶性の物質に変質してしまう。このため、原料液収容器1の交換の際にパーティクルを生じさせてしまう等の問題がある。また、前記配管内に原料液が残っていると安全に交換作業を行うことができないという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、溶液気化型MOCVD等の装置において配管内に原料液を残留させるのを防止し、原料液収容器の交換を安全にかつ短時間で行うことが可能な残留原料液除去方法、並びに、溶液気化型MOCVD等の装置において配管内に原料液を残留させるのを防止し、原料液収容器の交換を安全にかつ短時間で行うことが可能であり、原料液の無駄を防止しつつ薄膜を形成可能な薄膜製造方法及び薄膜製造装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段としては、後述する(付記1)〜(付記30)の通りである。
本発明の残留原料液除去方法は、原料液を収容する原料液収容器と、該原料液を移送するための原料液移送管とを少なくとも有する装置における該原料液移送管内に残留する前記原料液を除去するための残留原料液除去方法であって、
前記原料液移送管内に残留する前記原料液を前記原料液収容器内に逆移送させる原料液逆移送工程を少なくとも含むことを特徴とする。本発明の残留原料液除去方法においては、前記原料液逆移送工程により、前記原料液移送管内の原料液が該原料液収容器に逆移送されるので、原料液収容器の交換時において、該原料液移送管内に残留することがない。
【0009】
本発明の薄膜製造方法は、原料液を収容する原料液収容器と、該原料液を移送するための原料液移送管と、該原料液移送管から移送された原料液を気化させて原料ガスを調製する気化室と、該気化室において調製された原料ガスを被処理対象に向けて供給し該被処理対象上に薄膜を堆積形成する堆積室とを少なくとも有する溶液気化型CVD装置における該原料液移送管内に残留する前記原料液を除去しつつ、前記被処理対象上に薄膜を堆積形成するための薄膜製造方法であって、
前記原料液を気化し、被処理対象上に薄膜を堆積形成する薄膜形成工程を少なくとも含み、
前記原料液を交換する際に、前記原料液移送管内に残留する前記原料液を前記原料液収容器内に逆移送させる原料液逆移送工程を行うことを特徴とする。
本発明の薄膜製造方法においては、前記薄膜形成工程により、薄膜が形成される。また、前記原料液逆移送工程により、前記原料液移送管内の原料液が該原料液収容器に逆移送されるので、原料液収容器の交換時において、該原料液移送管内に残留することがない。
【0010】
本発明の薄膜製造装置は、原料液を収容する原料液収容器と、該原料液を移送するための原料液移送管と、該原料液移送管から移送された原料液を気化させて原料ガスを調製する気化室と、該気化室において調製された原料ガスを被処理対象に向けて供給し該被処理対象上に薄膜を堆積形成する堆積室と、前記原料液を交換する際に、前記原料液移送管内に残留する前記原料液を前記原料液収容器内に逆移送させる原料液逆移送手段とを少なくとも含むことを特徴とする。
本発明の薄膜製造装置においては、前記堆積室において薄膜が形成される。また、前記原料液逆移送手段により、前記原料液移送管内の原料液が該原料液収容器に逆移送されるので、原料液収容器の交換時において、該原料液移送管内に残留することがない。
【0011】
【発明の実施の形態】
(残留原料液除去方法)
本発明の残留原料液除去方法は、原料液を収容する原料液収容器と、該原料液を移送するための原料液移送管とを少なくとも有する装置における該原料液移送管内に残留する前記原料液を除去するための方法である。
本発明の残留原料液除去方法は、前記原料液移送管内に残留する前記原料液を前記原料液収容器内に逆移送させる原料液逆移送工程を少なくとも含む。
【0012】
前記原料液収容器としては、原料液を収容することができる限り特に制限はなく、その形状、構造、材質、大きさ等については目的に応じて適宜選択することができるが、前記装置に対し着脱自在に設計されているのが好ましく、流体流入管と原料液流出管とを有してなるものがより好ましく、前記流体流入管が、開閉自在な第一バルブを備えかつ流体供給器から供給される流体を移送する流体移送管に着脱自在に接続可能な接続部を有し、該接続部近傍に開閉自在な第二バルブを備え、内部と流通可能にかつ原料液とは非接触状態で配置され、前記流体を流入可能であり、かつ前記原料液流出管が、開閉自在な第五バルブを備えかつ原料液移送管に着脱自在に接続可能な接続部を有し、該接続部近傍に開閉自在な第四バルブを備え、原料液と接触状態で配置され、該原料液を外部に流出可能である態様のものが特に好ましい。
【0013】
この態様の原料液収容器の場合、前記流体流入管から流体を内部に導入して該内部を加圧することにより、該内部に収容された原料液を前記原料液流出管から外部に移送させることができる。また、前記第二バルブ及び前記第四バルブを適宜開閉することにより、前記原料液収容器内に収容された前記原料液を該原料液収容器内から外部にあるいはこの逆に自在に移送させることができる。
【0014】
なお、前記流体流入管及び前記原料液流出管としては、特に制限はなく、目的に応じて、その形状、構造、材質、大きさ等については、適宜選択することができる。また、前記第一バルブ、前記第二バルブ、前記第四バルブ及び前記第五バルブとしては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、電磁バルブなどが好適に挙げられる。前記接続部における接続様式としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カプラー式、ヘルール式などが挙げられる。
【0015】
前記装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、溶液気化型CVD装置などが好適に挙げられる。該溶液気化型CVD装置としては、その構造については特に制限はなく、公知のものが好適に挙げられるが、通常、反応器が気化室及び堆積室を備えてなる。
前記装置は、前記流体移送管と前記原料液移送管との間を流通可能に接続する接続管を有しているのが好ましい。
【0016】
前記接続管としては、その形状、構造、材質、大きさ等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、開閉自在な第三バルブを備えているのが好ましい。この場合、該第三バルブの開閉を行うことにより、前記原料液収容器内に収容された前記原料液を該原料液収容器内から外部にあるいはこの逆に自在に移送させることができる。
【0017】
前記接続管が接続される位置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、その一端が、前記流体移送管における、前記第一バルブ及び前記流体流入管との接続部の間の位置に流体流通可能に接続され、その他端が、前記原料液移送管における、前記第五バルブ及び前記原料液流出管との接続部の間の位置に流体流通可能に接続されているのが好ましい。
【0018】
前記原料液移送管は、その一端が前記原料液流出管と接続されるが、他端の接続対象としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記装置における反応器などが好適に挙げられる。
【0019】
前記原料液移送管には、目的に応じて適宜選択した容器、部材等を装着させることができるが、前記原料液流出管との接続部と、前記反応器に接続された端部との間にドレインポットとしての原料液回収容器などが備えられていてもよい。なお、前記ドレインポットには、一定圧力以下になると閉鎖するチェックバルブなどを装着させてもよい。
【0020】
前記流体供給器から供給される流体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ガスなどが好適に挙げられる。該ガスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記原料液中に溶解し難いガスが好ましく、いわゆる不活性ガスなどが好適に挙げられ、具体的には、ヘリウムガス、アルゴンガス、窒素ガスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0021】
前記原料液供給器に収容される原料液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、原料と溶剤とを含有するものなどが挙げられる。
前記原料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、有機金属などが挙げられ、前記装置が溶液気化型CVD装置である場合には、該有機金属としては、トリメチルヘプタンディオネート(THD)、ジメチルヘプタンディオネート(DMHD)及びメトキシエトキシトリメチルヘプタンディオネート(METHD)から選択されるいずれかの配位子を有するものが好適に挙げられる。また、前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0022】
本発明の残留原料液除去方法においては、原料液逆移送工程を少なくとも行うことが必要である。
前記原料液逆移送工程は、流体移送管と流体流入管とが接続され、原料液移送管と原料液流出管とが接続された状態において行われる。該原料液逆移送工程において、少なくとも前記原料液移送管における、前記接続管との接続部及び前記原料液流出管との接続部の間に残留する前記原料液を前記原料液収容器内に逆移送させ、更に、前記原料液流出管における前記接続部及び前記第四バルブの間に残留する前記原料液をも前記原料液収容器内に逆移送させるのが好ましい。
【0023】
前記原料液逆移送工程としては、少なくとも前記原料液移送管における、前記接続管との接続部及び前記原料液流出管との接続部の間に残留する前記原料液を前記原料液収容器内に逆移送させることができる限り特に制限はないが、ガスパージステップとガス圧解放ステップと原料液逆移送ステップとを少なくとも含むのが好ましく、原料液逆移送ステップの後に洗浄ステップを更に含むがより好ましく、該洗浄ステップの後に前記ガスパージステップを含んでいてもよい。
【0024】
前記ガスパージステップとしては、例えば、前記第二バルブ及び前記第四バルブを閉鎖し、前記第一バルブ、前記第三バルブ及び前記第五バルブを開放して、前記流体供給器から前記原料液移送管に向けてガスを供給し流通させる処理などが好適に挙げられる。
【0025】
前記ガス圧解放ステップとしては、例えば、前記第一バルブ及び前記第四バルブを閉鎖し、前記第二バルブ、前記第三バルブ及び前記第五バルブを開放して、加圧状態にある前記原料液収容器内を大気圧にする処理などが好適に挙げられる。
【0026】
前記原料液逆移送ステップとしては、例えば、前記第二バルブ及び前記第五バルブを閉鎖し、前記第一バルブ、前記第三バルブ及び前記第四バルブを開放して、前記流体供給器から前記原料液収容器内に向けてガスを供給し、前記原料液移送管における接続管との接続部及び前記原料液流出管との接続部の間、並びに、前記原料液流出管における接続部及び前記第四バルブの間、に残留する原料液を原料液収容器内に逆移送させる処理、などが好適に挙げられる。
【0027】
前記洗浄ステップとしては、例えば、前記第二バルブ及び前記第四バルブを閉鎖し、前記第一バルブ、前記第三バルブ及び前記第五バルブを開放して、前記流体供給器から前記原料液移送管に向けて前記洗浄液を供給し流通させる処理などが好適に挙げられる。なお、前記洗浄ステップは、複数回行ってもよい。
【0028】
前記洗浄液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、揮発性溶媒などが好適に挙げられる。該揮発性溶媒としては、例えば、100Torr以下の減圧下において室温で沸騰し得るものが好ましく、エーテル系溶媒から選択されるものがより好ましい。なお、前記洗浄液として、前記原料液中の溶媒を用いて洗浄を行ってもよく、この場合、その後で前記揮発性溶媒で洗浄するのが好ましい。
【0029】
前記ガスパージステップと前記ガス圧解放ステップと前記原料液逆移送ステップとは、シークエンス制御された状態で行われるのが好ましく、更に前記洗浄ステップもシークエンス制御された状態で行われるのがより好ましい。
【0030】
本発明の残留原料液除去方法においては、前記原料液逆移送工程により、前記原料液移送管内に残留する前記原料液を前記原料液収容器内に逆移送させる。
具体的には、図2に示すように、まず、ガスパージステップ(ガスパージ工程)において、前記第二バルブ及び前記第四バルブを閉鎖(図中、黒色で表示)し、前記第一バルブ、前記第三バルブ及び前記第五バルブを開放(図中、白色で表示)して、前記流体供給器から前記原料液移送管に向けてガスを供給し流通させる。
次に、ガス圧解放ステップ(ガス圧解放工程)において、前記第一バルブ及び前記第四バルブを閉鎖(図中、黒色で表示)し、前記第二バルブ、前記第三バルブ及び前記第五バルブを開放(図中、白色で表示)して、加圧状態にある前記原料液収容器内を大気圧にする。
【0031】
次に、原料液逆移送ステップ(原料送工程)において、前記第二バルブ及び前記第五バルブを閉鎖(図中、黒色で表示)し、前記第一バルブ、前記第三バルブ及び前記第四バルブを開放(図中、白色で表示)して、前記流体供給器から前記原料液収容器内に向けてガスを供給する。そして、前記原料液移送管における前記接続管との接続部及び前記原料液流出管との接続部の間、並びに、前記原料液流出管における接続部及び前記第四バルブの間、に残留する前記原料液を前記原料液収容器内に逆移送させる。その結果、これらの箇所は、前記第四バルブが閉鎖されている時には袋小路のようになっているため前記原料液とガスとの交換が生じ難くなっているが、該原料液逆移送ステップ(原料送工程)により、残留していた前記原料液が前記原料液収容器内に容易にかつ確実に逆移送される。なお、ここでの「逆移送」とは、前記原料液の通常の移送方向とは逆の方向への移送であることを意味する。
【0032】
次に、洗浄ステップ(溶媒洗浄工程)において、前記第二バルブ及び前記第四バルブを閉鎖(図中、黒色で表示)し、前記第一バルブ、前記第三バルブ及び前記第五バルブを開放(図中、白色で表示)して、前記流体供給器から前記原料液移送管に向けて前記洗浄液を供給し流通させる。
【0033】
次に、再びガスパージステップ(ガスパージ工程)において、前記第二バルブ及び前記第四バルブを閉鎖(図中、黒色で表示)し、前記第一バルブ、前記第三バルブ及び前記第五バルブを開放(図中、白色で表示)して、前記流体供給器から前記原料液移送管に向けてガスを供給し流通させる。
【0034】
そして、以上の原料液逆移送工程を行った後、前記原料液収容器を取り外し、交換する。その結果、前記原料液が空気に触れてパーティクルを生ずる、前記原料液が作業者に触れる等の問題がなく、前記原料液収容器の交換作業を安全に行うことができる。また、前記洗浄ステップにおいて前記洗浄液として前記揮発性溶媒を用いた場合には、前記原料液収容器の交換時に該洗浄液が残留することがない点で好ましい。また、前記原料液逆移送工程は、原料液収容器中の圧力を大気圧以上にして行うと、前記原料液中の有機金属が析出し難く、パーティクルの発生を効果的に抑制することができる点で好ましい。
【0035】
(薄膜製造方法及び薄膜製造装置)
本発明の薄膜製造方法は、原料液を収容する原料液収容器と、該原料液を移送するための原料液移送管と、該原料液移送管から移送された原料液を気化させて原料ガスを調製する気化室と、該気化室において調製された原料ガスを被処理対象に向けて供給し該被処理対象上に薄膜を堆積形成する堆積室とを少なくとも有する溶液気化型CVD装置における該原料液移送管内に残留する前記原料液を除去しつつ、前記被処理対象上に薄膜を堆積形成するための方法である。
【0036】
本発明の薄膜製造方法は、薄膜形成工程と原料液逆移送工程を含み、本発明の薄膜製造装置により好適に実施することができる。
なお、本発明の薄膜製造方法においては、前記残留原料液除去方法における前記装置が溶液気化型CVD装置であり、前記薄膜形成工程を含む点で、該残留原料液除去方法とは異なり、前記原料液逆移送工程については同様である。以下、本発明の薄膜製造方法における前記残留原料液除去方法と異なる点について主に説明し、共通する点については可能な限り説明を省略する。
【0037】
前記溶液気化型CVD装置としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、例えば、原料液を収容する原料液収容器と、該原料液を移送するための原料液移送管と、該原料液移送管から移送された原料液を気化させて原料ガスを調製する気化室と、該気化室において調製された原料ガスを被処理対象に向けて供給し該被処理対象上に薄膜を堆積形成する堆積室とを少なくとも有してなるものなどが好適に挙げられる。
【0038】
前記薄膜形成工程においては、前記原料液が気化され、被処理対象上に薄膜が堆積形成される。該薄膜が堆積形成される条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、以下の表1から3に示す条件などが一例として挙げられる。
【0039】
【表1】
【表2】
【表3】
【0040】
前記原料液逆移送工程は、本発明の薄膜製造装置における原料液逆移送手段により好適に実施することができる。
前記原料液逆移送手段は、前記原料液を交換する際に、前記原料液移送管内に残留する前記原料液を前記原料液収容器内に逆移送させる機能を有している限り特に制限はなく、前記流体移送管と流体流入管とが接続され、原料液移送管と原料液流出管とが接続された状態において、少なくとも前記原料液移送管における、前記接続管との接続部及び前記原料液流出管との接続部の間に残留する前記原料液を前記原料液収容器内に逆移送させる機能を有するものが好ましい。
【0041】
前記原料液移送管における、原料液流出管との接続部とは反対側の端部は、気化室に接続されており、該原料液流出管との接続部と、前記気化室に接続された端部との間には、該気化室内を気化した原料が析出する圧力以上に保持する圧力制御機構が備えられているのが好ましい。
前記圧力制御機構としては、一定圧力以下になると閉鎖するチェックバルブなどが好適に挙げられる。前記原料液移送管における、原料液流出管との接続部と、気化室に接続された端部との間には、ドレインポットが備えられているのが好ましい。
【0042】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0043】
(実施例1)
図1に示すような、溶液気化型CVD装置における薄膜製造装置を用い本発明の薄膜製造方法における前記薄膜製造工程を表1に示す条件にて行い、気化室10内でIr(THD)3を原料として用い、TiN膜上にIr層を堆積形成した後、以下の原料液逆移送工程を行った。なお、該原料液逆移送工程による処理は、本発明の残留原料液除去方法に該当する。堆積形成されたIr薄膜は、厚みが80nmで30μΩcmの抵抗値を有していた。
【0044】
また、同様に前記薄膜製造工程を表2に示す条件にて行い、気化室10内でTHD系原料とDMHD系原料とを用い、TiN膜上にPZT層を堆積形成した。更に、同様に前記薄膜製造工程を表3に示す条件にて行い、気化室10内でMHTHD系原料を用い、TiN膜上にPZT層を堆積形成した。得られたPZT層のスイッチング電荷量Qswは、それぞれ40C/cm2、28C/cm2であった。
【0045】
次に、図2に示すように、ガスパージステップ(ガスパージ工程)において、バルブV2及びバルブV4を閉鎖(図中、黒色で表示)し、バルブV1、バルブV3、バルブV5、及びドレインポットとしての原料液回収容器近傍に設けられたバルブV6を開放(図中、白色で表示)して、前記流体供給器から前記原料液移送管に向けてHe(ヘリウム)ガスを供給し流通させた。このとき、該Heガスは、原料液回収容器に設けられたチェックバルブを介して外部に排出された。
【0046】
次に、ガス圧解放ステップ(ガス圧解放工程)において、バルブV1及びバルブV4を閉鎖(図中、黒色で表示)し、バルブV2、バルブV3、バルブV5及びバルブV6を開放(図中、白色で表示)して、加圧状態にある原料液収容器1内を大気圧にした。
【0047】
次に、原料液逆移送ステップ(原料送工程)において、バルブV2及びバルブV5を閉鎖(図中、黒色で表示)し、バルブV1、バルブV3、バルブV4及びバルブV6を開放(図中、白色で表示)して、前記流体供給器から原料液収容器1内に向けてガスを供給した。そして、前記原料液移送管における前記接続管との接続部及び前記原料液流出管との接続部の間、並びに、前記原料液流出管における接続部及びバルブV4の間、に残留する前記原料液を原料液収容器1内に逆移送させた。その結果、これらの箇所は、バルブV4が閉鎖されている時には袋小路のようになっているため前記原料液とガスとの交換が生じ難くなっているが、該原料液逆移送ステップ(原料送工程)により、残留していた前記原料液が前記原料液収容器内に容易にかつ確実に逆移送された。
【0048】
次に、洗浄ステップ(溶媒洗浄工程)において、バルブV2及びバルブ4を閉鎖(図中、黒色で表示)し、バルブV1、バルブV3、バルブV5及びバルブV6を開放(図中、白色で表示)して、前記流体供給器から前記原料液移送管に向けて洗浄液としてのDME(ジメチルエーテル)を供給し流通させた。
【0049】
次に、再びガスパージステップ(ガスパージ工程)において、バルブV2及びバルブV4を閉鎖(図中、黒色で表示)し、バルブV1、バルブV3、バルブV5及びバルブV6を開放(図中、白色で表示)して、前記流体供給器から前記原料液移送管に向けてHeガスを供給し流通させ、DME(ジメチルエーテル)を揮発させた。
【0050】
以上の原料液逆移送工程を行った後、前記原料液収容器を取り外し、交換したところ、前記原料液が空気に触れてパーティクルを生ずる、前記原料液が作業者に触れる等の問題がなく、前記原料液収容器の交換作業を安全に行うことができた。
【0051】
ここで、本発明の好ましい態様を付記すると、以下の通りである。
(付記1) 原料液を収容する原料液収容器と、該原料液を移送するための原料液移送管とを少なくとも有する装置における該原料液移送管内に残留する前記原料液を除去するための残留原料液除去方法であって、
前記原料液移送管内に残留する前記原料液を前記原料液収容器内に逆移送させる原料液逆移送工程を少なくとも含むことを特徴とする残留原料液除去方法。
(付記2) 原料液収容器が、
開閉自在な第一バルブを備えかつ流体供給器から供給される流体を移送する流体移送管に着脱自在に接続可能な接続部を有し、該接続部近傍に開閉自在な第二バルブを備え、内部と流通可能にかつ原料液とは非接触状態で配置され、前記流体を流入可能な流体流入管と、
開閉自在な第五バルブを備えかつ原料液移送管に着脱自在に接続可能な接続部を有し、該接続部近傍に開閉自在な第四バルブを備え、原料液と接触状態で配置され、該原料液を外部に流出可能な原料液流出管とを有してなり、
装置が、
開閉自在な第三バルブを備え、前記流体移送管における、前記第一バルブ及び前記流体流入管との接続部の間と、前記原料液移送管における、前記第五バルブ及び前記原料液流出管との接続部の間とを流通可能に接続する接続管を更に有してなり、
原料液逆移送工程が、流体移送管と流体流入管とが接続され、原料液移送管と原料液流出管とが接続された状態において行われ、該原料液逆移送工程において、少なくとも前記原料液移送管における、前記接続管との接続部及び前記原料液流出管との接続部の間に残留する前記原料液を前記原料液収容器内に逆移送させる付記1に記載の残留原料液除去方法。
(付記3) 原料液逆移送工程において、前記原料液流出管における前記接続部及び前記第四バルブの間に残留する前記原料液を更に前記原料液収容器内に逆移送させる付記2に記載の残留原料液除去方法。
(付記4) 原料液逆移送工程が、
第二バルブ及び第四バルブを閉鎖し、第一バルブ、第三バルブ及び第五バルブを開放して、流体供給器から原料液移送管に向けてガスを供給し流通させるガスパージステップと、
第一バルブ及び第四バルブを閉鎖し、第二バルブ、第三バルブ及び第五バルブを開放して、加圧状態にある原料液収容器内を大気圧にするガス圧解放ステップと、
第二バルブ及び第五バルブを閉鎖し、第一バルブ、第三バルブ及び第四バルブを開放して、流体供給器から原料液収容器内に向けてガスを供給し、原料液移送管における接続管との接続部及び原料液流出管との接続部の間、並びに、原料液流出管における接続部及び第四バルブの間に残留する原料液を原料液収容器内に逆移送させる原料液逆移送ステップとを少なくとも含む付記2又は3に記載の残留原料液除去方法。
(付記5) 原料液逆移送工程における、ガスパージステップとガス圧解放ステップと原料液逆移送ステップとがシークエンス制御により行われる付記4に記載の残留原料液除去方法。
(付記6) ガスが不活性ガスである付記4又は5に記載の残留原料液除去方法。
(付記7) 原料液逆移送工程が、原料液逆移送ステップの後に、第二バルブ及び第四バルブを閉鎖し、第一バルブ、第三バルブ及び第五バルブを開放して、流体供給器から原料液移送管に向けて洗浄液を供給し流通させる洗浄ステップを更に含む付記4から6のいずれかに記載の残留原料液除去方法。
(付記8) 原料液逆移送工程において、洗浄ステップが複数回行われる付記7に記載の残留原料液除去方法。
(付記9) 原料液逆移送工程において、洗浄ステップの後に、ガスパージステップが行われる付記7又は8に記載の残留原料液除去方法。
(付記10) 原料液移送管における、原料液流出管との接続部とは反対側の端部が、反応器に接続された付記2から9のいずれかに記載の残留原料液除去方法。
(付記11) 原料液移送管が、原料液流出管との接続部と、反応器に接続された端部との間に、ドレインポットが備えられた付記10に記載の残留原料液除去方法。
(付記12) ドレインポットに一定圧力以下になると閉鎖するチェックバルブが備えられた付記11に記載の残留原料液除去方法。
(付記13) 装置が溶液気化型CVD装置であり、反応器が気化室及び堆積室を含む付記10から12のいずれかに記載の残留原料液除去方法。
(付記14) 原料液が有機金属を含有する付記1から13のいずれかに記載の残留原料液除去方法。
(付記15) 原料液を収容する原料液収容器と、該原料液を移送するための原料液移送管と、該原料液移送管から移送された原料液を気化させて原料ガスを調製する気化室と、該気化室において調製された原料ガスを被処理対象に向けて供給し該被処理対象上に薄膜を堆積形成する堆積室とを少なくとも有する溶液気化型CVD装置における該原料液移送管内に残留する前記原料液を除去しつつ、前記被処理対象上に薄膜を堆積形成するための薄膜製造方法であって、
前記原料液を気化し、被処理対象上に薄膜を堆積形成する薄膜形成工程を少なくとも含み、
前記原料液を交換する際に、前記原料液移送管内に残留する前記原料液を前記原料液収容器内に逆移送させる原料液逆移送工程を行うことを特徴とする薄膜製造方法。
(付記16) 原料液収容器が、
開閉自在な第一バルブを備えかつ流体供給器から供給される流体を移送する流体移送管に着脱自在に接続可能な接続部を有し、該接続部近傍に開閉自在な第二バルブを備え、内部と流通可能にかつ原料液とは非接触状態で配置され、前記流体を流入可能な流体流入管と、
開閉自在な第五バルブを備えかつ原料液移送管に着脱自在に接続可能な接続部を有し、該接続部近傍に開閉自在な第四バルブを備え、原料液と接触状態で配置され、該原料液を外部に流出可能な原料液流出管とを有してなり、
装置が、
開閉自在な第三バルブを備え、前記流体移送管における、前記第一バルブ及び前記流体流入管との接続部の間と、前記原料液移送管における、前記第五バルブ及び前記原料液流出管との接続部の間とを流通可能に接続する接続管を更に有してなり、
原料液逆移送工程が、流体移送管と流体流入管とが接続され、原料液移送管と原料液流出管とが接続された状態において行われ、該原料液逆移送工程において、少なくとも前記原料液移送管における、前記接続管との接続部及び前記原料液流出管との接続部の間に残留する前記原料液を前記原料液収容器内に逆移送させる付記15に記載の薄膜製造方法。
(付記17) 原料液逆移送工程において、前記原料液流出管における前記接続部及び前記第四バルブの間に残留する前記原料液を更に前記原料液収容器内に逆移送させる付記16に記載の薄膜製造方法。
(付記18) 原料液逆移送工程が、
第二バルブ及び第四バルブを閉鎖し、第一バルブ、第三バルブ及び第五バルブを開放して、流体供給器から原料液移送管に向けてガスを供給し流通させるガスパージステップと、
第一バルブ及び第四バルブを閉鎖し、第二バルブ、第三バルブ及び第五バルブを開放して、加圧状態にある原料液収容器内を大気圧にするガス圧解放ステップと、
第二バルブ及び第五バルブを閉鎖し、第一バルブ、第三バルブ及び第四バルブを開放して、流体供給器から原料液収容器内に向けてガスを供給し、原料液移送管における接続管との接続部及び原料液流出管との接続部の間、並びに、原料液流出管における接続部及び第四バルブの間に残留する原料液を原料液収容器内に逆移送させる原料液逆移送ステップとを少なくとも含む付記16又は17に記載の薄膜製造方法。
(付記19) 原料液逆移送工程における、ガスパージステップとガス圧解放ステップと原料液逆移送ステップとがシークエンス制御により行われる付記18に記載の薄膜製造方法。
(付記20) ガスが不活性ガスである付記18又は19に記載の薄膜製造方法。
(付記21) 原料液逆移送工程が、原料液逆移送ステップの後に、第二バルブ及び第四バルブを閉鎖し、第一バルブ、第三バルブ及び第五バルブを開放して、流体供給器から原料液移送管に向けて洗浄液を供給し流通させる洗浄ステップを更に含む付記18から20のいずれかに記載の薄膜製造方法。
(付記22) 原料液逆移送工程において、洗浄ステップが複数回行われる付記21に記載の薄膜製造方法。
(付記23) 原料液逆移送工程において、洗浄ステップの後に、ガスパージステップが行われる付記21又は22に記載の薄膜製造方法。
(付記24) 原料液移送管における、原料液流出管との接続部とは反対側の端部が、気化室に接続された付記16から23のいずれかに記載の薄膜製造方法。
(付記25) 原料液移送管における、原料液流出管との接続部と、気化室に接続された端部との間に、該気化室内を気化した原料が析出する圧力以上に保持する圧力制御機構が備えられた付記16から24のいずれかに記載の薄膜製造方法。
(付記26) 原料液移送管における、原料液流出管との接続部と、気化室に接続された端部との間に、ドレインポットが備えられた付記16から25のいずれかに記載の薄膜製造方法。
(付記27) 原料液が有機金属を含有する付記15から26のいずれかに記載の薄膜製造方法。
(付記28) 有機金属が、トリメチルヘプタンディオネート(THD)、ジメチルヘプタンディオネート(DMHD)及びメトキシエトキシトリメチルヘプタンディオネート(METHD)から選択されるいずれかの配位子として有する付記27に記載の薄膜製造方法。
(付記29) 原料液を収容する原料液収容器と、該原料液を移送するための原料液移送管と、該原料液移送管から移送された原料液を気化させて原料ガスを調製する気化室と、該気化室において調製された原料ガスを被処理対象に向けて供給し該被処理対象上に薄膜を堆積形成する堆積室と、前記原料液を交換する際に、前記原料液移送管内に残留する前記原料液を前記原料液収容器内に逆移送させる原料液逆移送手段とを少なくとも含むことを特徴とする薄膜製造装置。
(付記30) 原料液収容器が、
開閉自在な第一バルブを備えかつ流体供給器から供給される流体を移送する流体移送管に着脱自在に接続可能な接続部を有し、該接続部近傍に開閉自在な第二バルブを備え、内部と流通可能にかつ原料液とは非接触状態で配置され、前記流体を流入可能な流体流入管と、
開閉自在な第五バルブを備えかつ原料液移送管に着脱自在に接続可能な接続部を有し、該接続部近傍に開閉自在な第四バルブを備え、原料液と接触状態で配置され、該原料液を外部に流出可能な原料液流出管とを有してなり、
更に、
開閉自在な第三バルブを備え、前記流体移送管における、前記第一バルブ及び前記流体流入管との接続部の間と、前記原料液移送管における、前記第五バルブ及び前記原料液流出管との接続部の間とを流通可能に接続する接続管を有してなり、
原料液逆移送手段が、流体移送管と流体流入管とが接続され、原料液移送管と原料液流出管とが接続された状態において、少なくとも前記原料液移送管における、前記接続管との接続部及び前記原料液流出管との接続部の間に残留する前記原料液を前記原料液収容器内に逆移送させる付記29に記載の薄膜製造装置。
【0052】
【発明の効果】
本発明によると、従来における問題を解決することができ、溶液気化型MOCVD等の装置において配管内に原料液を残留させるのを防止し、原料液収容器の交換を安全にかつ短時間で行うことが可能な残留原料液除去方法、並びに、溶液気化型MOCVD等の装置において配管内に原料液を残留させるのを防止し、原料液収容器の交換を安全にかつ短時間で行うことが可能であり、原料液の無駄を防止しつつ薄膜を形成可能な薄膜製造方法及び薄膜製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、溶液気化型CVD装置による薄膜形成方法のプロセスを説明するための概略説明図である。
【図2】図2は、本発明の残留原料液除去方法を説明するための概略説明図である。
【図3】図3は、従来における残留原料液除去方法を説明するための概略説明図である。
【符号の説明】
1・・・・・・・原料液収容器
3・・・・・・・原料液回収容器
4・・・・・・・ガスマスフローコントローラ
5・・・・・・・液体マスフローコントローラ
6・・・・・・・気化器
7・・・・・・・シャワーヘッド
8・・・・・・・基板
9・・・・・・・基板ヒータ
10・・・・・・堆積室
11・・・・・・洗浄液収容器
V1〜V8・・・バルブ
Claims (10)
- 原料液を収容する原料液収容器と、該原料液を移送するための原料液移送管とを少なくとも有する装置における該原料液移送管内に残留する前記原料液を除去するための残留原料液除去方法であって、
前記原料液移送管内に残留する前記原料液を前記原料液収容器内に逆移送させる原料液逆移送工程を少なくとも含むことを特徴とする残留原料液除去方法。 - 原料液収容器が、
開閉自在な第一バルブを備えかつ流体供給器から供給される流体を移送する流体移送管に着脱自在に接続可能な接続部を有し、該接続部近傍に開閉自在な第二バルブを備え、内部と流通可能にかつ原料液とは非接触状態で配置され、前記流体を流入可能な流体流入管と、
開閉自在な第五バルブを備えかつ原料液移送管に着脱自在に接続可能な接続部を有し、該接続部近傍に開閉自在な第四バルブを備え、原料液と接触状態で配置され、該原料液を外部に流出可能な原料液流出管とを有してなり、
装置が、
開閉自在な第三バルブを備え、前記流体移送管における、前記第一バルブ及び前記流体流入管との接続部の間と、前記原料液移送管における、前記第五バルブ及び前記原料液流出管との接続部の間とを流通可能に接続する接続管を更に有してなり、
原料液逆移送工程が、流体移送管と流体流入管とが接続され、原料液移送管と原料液流出管とが接続された状態において行われ、該原料液逆移送工程において、少なくとも前記原料液移送管における、前記接続管との接続部及び前記原料液流出管との接続部の間に残留する前記原料液を前記原料液収容器内に逆移送させる請求項1に記載の残留原料液除去方法。 - 原料液逆移送工程において、前記原料液流出管における前記接続部及び前記第四バルブの間に残留する前記原料液を更に前記原料液収容器内に逆移送させる請求項2に記載の残留原料液除去方法。
- 原料液逆移送工程が、
第二バルブ及び第四バルブを閉鎖し、第一バルブ、第三バルブ及び第五バルブを開放して、流体供給器から原料液移送管に向けてガスを供給し流通させるガスパージステップと、
第一バルブ及び第四バルブを閉鎖し、第二バルブ、第三バルブ及び第五バルブを開放して、加圧状態にある原料液収容器内を大気圧にするガス圧解放ステップと、
第二バルブ及び第五バルブを閉鎖し、第一バルブ、第三バルブ及び第四バルブを開放して、流体供給器から原料液収容器内に向けてガスを供給し、原料液移送管における接続管との接続部及び原料液流出管との接続部の間、並びに、原料液流出管における接続部及び第四バルブの間に残留する原料液を原料液収容器内に逆移送させる原料液逆移送ステップとを少なくとも含む請求項2又は3に記載の残留原料液除去方法。 - 原料液逆移送工程が、原料液逆移送ステップの後に、第二バルブ及び第四バルブを閉鎖し、第一バルブ、第三バルブ及び第五バルブを開放して、流体供給器から原料液移送管に向けて洗浄液を供給し流通させる洗浄ステップを更に含む請求項4に記載の残留原料液除去方法。
- 原料液逆移送工程において、洗浄ステップが複数回行われる請求項5に記載の残留原料液除去方法。
- 原料液逆移送工程において、洗浄ステップの後に、ガスパージステップが行われる請求項5又は6に記載の残留原料液除去方法。
- 原料液が有機金属を含有する請求項1から7のいずれかに記載の残留原料液除去方法。
- 原料液を収容する原料液収容器と、該原料液を移送するための原料液移送管と、該原料液移送管から移送された原料液を気化させて原料ガスを調製する気化室と、該気化室において調製された原料ガスを被処理対象に向けて供給し該被処理対象上に薄膜を堆積形成する堆積室とを少なくとも有する溶液気化型CVD装置における該原料液移送管内に残留する前記原料液を除去しつつ、前記被処理対象上に薄膜を堆積形成するための薄膜製造方法であって、
前記原料液を気化し、被処理対象上に薄膜を堆積形成する薄膜形成工程を少なくとも含み、
前記原料液を交換する際に、前記原料液移送管内に残留する前記原料液を前記原料液収容器内に逆移送させる原料液逆移送工程を行うことを特徴とする薄膜製造方法。 - 原料液を収容する原料液収容器と、該原料液を移送するための原料液移送管と、該原料液移送管から移送された原料液を気化させて原料ガスを調製する気化室と、該気化室において調製された原料ガスを被処理対象に向けて供給し該被処理対象上に薄膜を堆積形成する堆積室と、前記原料液を交換する際に、前記原料液移送管内に残留する前記原料液を前記原料液収容器内に逆移送させる原料液逆移送手段とを少なくとも含むことを特徴とする薄膜製造装置。
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