JP2004018580A - 潤滑油添加剤、その製造方法及び潤滑油組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】高性能の耐荷重添加剤として用いることができる硫黄系潤滑油添加剤、その製造方法及び潤滑油組成物を提供すること。
【解決手段】有機硫黄化合物含有鉱油を酸化して得られた有機硫黄酸化物を含む潤滑油添加剤、有機硫黄化合物含有鉱油を酸化処理し、次いで有機硫黄酸化物を含む画分を取り出す潤滑油添加剤の製造方法、並びに、前記潤滑油添加剤を含む潤滑油組成物である。
【選択図】 なし
【解決手段】有機硫黄化合物含有鉱油を酸化して得られた有機硫黄酸化物を含む潤滑油添加剤、有機硫黄化合物含有鉱油を酸化処理し、次いで有機硫黄酸化物を含む画分を取り出す潤滑油添加剤の製造方法、並びに、前記潤滑油添加剤を含む潤滑油組成物である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、潤滑油添加剤、その製造方法及び潤滑油組成物に関し、さらに詳しくは、極圧剤、耐摩耗剤、摩擦調整剤などの耐荷重添加剤として好適な、有機硫黄化合物含有鉱油を原料とする潤滑油添加剤、このものを効率よく製造する方法及び該潤滑油添加剤を含む潤滑油組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、内燃機関や、自動変速機、パワーステアリングなどの駆動系機器、ギヤなどの機械装置においては、その作動を円滑にするために潤滑油が用いられている。そして、この潤滑油には、摺動若しくは転動接触における金属表面を摩耗から防止する能力や摩擦を抑制する能力などが要求される。これらの能力が不足すると、潤滑面が摩擦・摩耗し、遂には焼付きを起こすことはよく知られている。そのため、摩擦、摩耗を減少させ、潤滑油に良好な潤滑性能を付与する目的で、油性剤や摩擦調整剤、極圧剤、耐摩耗剤などの耐荷重添加剤が添加され、その役割は極めて重要なものとなっている。
【0003】
潤滑油の潤滑性は、液体の粘性による流体力学的効果と、有機極性化合物の金属表面への吸着と金属表面との反応による固体潤滑膜の形成による潤滑効果に大別することができる。
流体力学的効果には、潤滑油分子の分子量、分子構造及び会合性が、粘度−温度、粘度−圧力、金属表面への粘着性に関連して効果を与える。一方、固体潤滑膜を形成し、境界潤滑及び極圧潤滑時の潤滑性、すなわち、潤滑油に耐荷重性能を付与するには、油性剤や摩擦調整剤、極圧剤、耐摩耗剤などの耐荷重添加剤が効果を与える。
【0004】
したがって、これまで耐荷重添加剤として、特に硫黄系、リン系、ハロゲン系、亜鉛系などの添加剤の検討が行われてきた。しかしながら、高負荷の過酷な条件下で優れた性能を示す添加剤は、見出されていないのが現状である。また、環境への負荷低減により、今後、リン系、ハロゲン系、亜鉛系の添加剤の使用は制限される方向にあるため、リン、ハロゲン、亜鉛を含まない添加剤が望まれている。
【0005】
硫黄系の潤滑油添加剤としては、例えばジフェニルスルフィド、ジフェニルジスルフィド、ジ−n−ブチルスルフィド、ジ−n−ブチルジスルフィド、ジ−tert−ドデシルジスルフィド、ジ−tert−ドデシルトリスルフィドなどのスルフィド類、スルファライズドスパームオイル、スルファライズドジオレフィンなどの硫化油脂類が知られている(特開平5−86390号公報、特開平5−78684号公報など)。また、リン系添加剤と硫黄系添加剤を併用する技術が開示されている(特開平9−217075号公報、特開平9−188890号公報、特開平9−188889号公報)。しかしながら、これらの添加剤を用いても、高負荷の過酷な条件下で優れた潤滑性能を得ることは困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下で、特に高負荷の過酷な条件下でも優れた潤滑性能を示す高性能の耐荷重添加剤として好適な硫黄系潤滑油添加剤、その製造方法及び該潤滑油添加剤を含む潤滑油組成物を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、有機硫黄化合物含有鉱油を酸化して得られた有機硫黄酸化物を含むものが、耐荷重添加剤として優れた性能を有すること、そしてこの添加剤は、該鉱油を酸化処理したのち、有機硫黄酸化物を含む画分を取り出すことにより、効率よく製造し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)有機硫黄化合物含有鉱油を酸化して得られたことを特徴とする有機硫黄酸化物を含む潤滑油添加剤、
(2)有機硫黄化合物含有鉱油が灯油、軽油及び重油の中から選ばれる少なくとも一種である上記(1)の潤滑油添加剤、
(3)耐荷重添加剤である上記(1)、(2)の潤滑油添加剤、
(4)有機硫黄酸化物が有機スルホン類及び/又は有機スルホキシド類である上記(1)、(2)、(3)の潤滑油添加剤、
(5)有機硫黄化合物含有鉱油を酸化処理し、次いで有機硫黄酸化物を含む画分を取り出すことを特徴とする潤滑油添加剤の製造方法、
(6)酸化処理に用いる酸化剤が酸化性のガス状、液状又は固形状無機化合物及び有機過酸の中から選ばれる少なくとも一種である上記(5)の潤滑油添加剤の製造方法、
(7)酸化処理後、吸着、溶媒抽出及び蒸留の中から選ばれる少なくとも一種の処理を施し、有機硫黄酸化物を含む画分を取り出す上記(5)、(6)の潤滑油添加剤の製造方法、
(8)吸着処理に多孔質無機吸着剤を用いる上記(7)の潤滑油添加剤の製造方法、
(9)多孔質無機吸着剤がシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、ゼオライト、チタニア、ジルコニア、マグネシア、白土、粘土、ケイソウ土及び活性炭の中から選ばれる少なくとも一種である上記(8)の潤滑油添加剤の製造方法、及び
(10)抽出処理に用いる溶剤が有機溶剤又は有機溶剤と水との混合物である上記(7)の潤滑油添加剤の製造方法、
(11)(A)潤滑油基油と、(B)上記(1)〜(4)の潤滑油添加剤を含むことを特徴とする潤滑油組成物、及び
(12)(B)成分の含有量が0.01〜10質量%である上記(11)の潤滑油組成物、
を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の潤滑油添加剤は、有機硫黄化合物含有鉱油を酸化して得られた有機硫黄酸化物を含むものである。
原料として用いられる鉱油としては、有機硫黄化合物を含む鉱油であればよく、特に制限されず、様々なものを使用することができるが、特に灯油、軽油、重油が好ましい。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの灯油、軽油、重油は、水素化脱硫など、一般的に行われている脱硫処理により、硫黄濃度を低減したものも用いることができる。
【0009】
本発明の潤滑油添加剤に含まれる有機硫黄酸化物としては、有機スルホン類及び/又は有機スルホキシド類が好ましく、また、それらの含有量は、通常20質量%以上、好ましくは30質量%以上である。
このような本発明の潤滑油添加剤は、特に、極圧剤、耐摩耗剤、摩擦調整剤などの耐荷重添加剤として、優れた機能を発揮する。
本発明の潤滑油添加剤は、以下に示す方法により製造することができる。
すなわち、前記の有機硫黄化合物含有鉱油を酸化処理し、次いで有機硫黄酸化物を含む画分を取り出すことにより、本発明の潤滑油添加剤を製造することができる。
【0010】
この酸化処理においては、酸化剤として、例えば酸化性のガス状、液状又は固形状無機化合物及び有機過酸の中から選ばれる少なくとも一種が用いられる。ここで、酸化性のガス状無機化合物としては、例えば酸素、空気、四酸化窒素、オゾン、塩素、臭素などが挙げられる。酸化性の液状無機化合物は、水溶液の状態しか存在しない化合物も含み、例えば過酸化水素、過硫酸、次亜塩素酸などが挙げられる。なお、過硫酸の代わりに、過酸化水素と硫酸との混合物を用いることができる。酸化性の固形状無機化合物としては、ペルオクソ酸塩やペルオクソ化合物、その他化合物、具体的には、過塩素酸塩、過ヨウ素酸塩、重クロム酸塩、過マンガン酸塩、無水クロム酸、次亜塩素酸塩などが挙げられる。
【0011】
一方、有機過酸としては、例えば過酢酸、過ギ酸、メタクロロ過安息香酸、過クロロ酢酸、過ジクロロ酢酸、過トリクロロ酢酸、過トリフルオロ酢酸、過メタンスルホン酸、過サリチル酸などが挙げられる。なお、これらの過有機酸の代わりに、過酸化水素とそれぞれの過有機酸に対応する有機酸との混合物を用いることができる。
これらの酸化剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また酸化条件は、使用する酸化剤の種類に応じて適宜選定されるが、常温での酸化反応が可能な酸化剤を選ぶのが、取扱い性、作業性などの点で有利である。
【0012】
本発明においては、有機硫黄化合物含有鉱油を、前記酸化剤で酸化処理したのち、有機硫黄酸化物を含む画分を取り出すが、該画分を取り出す方法としては特に制限はなく、様々な方法を用いることができるが、例えば吸着処理、溶剤抽出処理、蒸留処理又はそれらを組み合わせた処理方法などが好ましく用いられる。
吸着処理の場合は、吸着剤として、多孔質無機吸着剤、例えばシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、ゼオライト、チタニア、ジルコニア、マグネシア、白土、粘土、ケイソウ土、活性炭などが好ましく用いられる。また、不溶性の合成樹脂も用いることができる。これらの吸着剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0013】
また、抽出処理の場合に用いられる抽出溶剤としては、酸化処理された鉱油の中から、有機硫黄酸化物を含む画分を抽出し得る溶剤であればよく特に制限されず、様々な有機溶剤を使用することができる。この有機溶剤としては、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルなどのニトリル系、ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロプロタン、ニトロベンゼンなどのニトロ化炭化水素系、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのスルホキシド系やアミド系、トリメチルリン酸エステル、トリエチルリン酸エステル、ヘキサメチルリン酸アミド、ホスホランなどのリン系、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール系、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系、さらには各種ハロゲン化炭化水素系やN−メチルピロリジンなどが挙げられる。これらの有機溶剤は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、前記有機溶剤の中で水混和性溶剤の場合は、水と混合して用いることもできる。
【0014】
このようにして取り出された有機硫黄酸化物を含む画分は、そのまま、極圧剤、耐摩耗剤、摩擦調整剤などの耐荷重添加剤として用いてもよく、また、他の各種潤滑油添加剤と組み合わせ、潤滑油添加剤組成物として用いてもよい。
このような本発明の方法によれば、灯油、軽油、重油などの鉱油中の硫黄濃度を同時に低減する、すなわち脱硫を促進することができるので、本発明の方法は、今後の環境問題の観点からも好ましい方法といえる。
【0015】
次に、本発明の潤滑油組成物は、(A)潤滑油基油と、(B)前述の本発明の潤滑油添加剤を含むものである。
前記(A)成分の潤滑油基油としては、通常、鉱油や合成油が用いられる。この鉱油や合成油の種類、その他については特に制限はなく、鉱油としては、例えば、溶剤精製、水添精製などの通常の精製法により得られるパラフィン基鉱油、中間基鉱油又はナフテン系鉱油などが挙げられる。
【0016】
また、合成油としては、例えば、ポリブテン、ポリオレフィン〔α−オレフィン(共)重合体〕、各種のエステル(例えば、ポリオールエステル、二塩基酸エステル)、各種のエーテル(例えば、ポリフェニルエーテル)、アルキルベンゼン、アルキルナフタレンなどが挙げられる。
本発明においては、基油として、上記鉱油を一種用いてもよく、二種以上組み合わせて用いてもよい。また、上記合成油を一種用いてもよく、二種以上組み合わせて用いてもよい。さらには、鉱油一種以上と合成油一種以上とを組み合わせて用いてもよい。
前記基油の粘度としては、潤滑油組成物の用途に応じて適宜選定されるが、通常100℃の動粘度で2〜35mm2/s、好ましくは3〜25mm2/sの範囲である。
【0017】
本発明の潤滑油組成物においては、(B)成分である前述の本発明の潤滑油添加剤の含有量は、通常0.01〜10質量%、好ましくは0.05〜5質量%の範囲で選定される。この含有量が0.01質量%未満では耐荷重添加剤としての機能が充分に発揮されにくいし、10質量%を超えるとその量の割には効果の向上が認められず、むしろ経済的に不利になる場合がある。
本発明の潤滑油組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、従来から潤滑油に慣用されている各種添加剤、例えば金属清浄剤、無灰清浄分散剤、粘度指数向上剤、酸化防止剤、防錆剤、腐食防止剤、消泡剤、他の極圧剤、耐摩耗剤、摩擦調整剤などを適宜添加することができる。
【0018】
金属清浄剤としては、例えば、カルシウムスルホネート、マグネシウムスルホネート、バリウムスルホネート、カルシウムフェネート、バリウムフェネートなどが挙げられ、これらは、通常0.1〜5質量%の割合で使用される。無灰清浄分散剤としては、例えば、コハク酸イミド系、コハク酸アミド系、ベンジルアミン系、エステル系のものなどが挙げられ、これらは、通常0.5〜7質量%の割合で使用される。
粘度指数向上剤としては、例えばポリメタクリレート系、ポリイソブチレン系、エチレン−プロピレン共重合体系、スチレン−ブタジエン水添共重合体系のものなどが挙げられ、これらは、通常0.5〜35質量%の割合で使用される。酸化防止剤としては、例えばアルキル化ジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキル化−α−ナフチルアミンなどのアミン系酸化防止剤、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)などのフェノール系酸化防止剤などが挙げられ、これは、通常0.05〜2質量%の割合で使用される。
【0019】
防錆剤としては、例えばアルケニルコハク酸やその部分エステルなどが、腐食防止剤としては、例えばベンゾトリアゾールやベンゾイミダゾールなどが、消泡剤としては、例えばジメチルポリシロキサンやポリアクリレートなどが挙げられ、これらは適宜添加することができる。
本発明の潤滑油組成物は、極圧性、耐摩耗性、摩擦特性などに優れ、例えば自動車の内燃機関用潤滑油、駆動系潤滑油、ギヤ油などとして好適に用いることができる。
【0020】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、潤滑油の耐荷重試験及び耐摩耗試験は、以下に示す要領に従って行った。
(1)耐荷重試験
ASTM D 2783に準拠して、回転数1,800rpm、室温の条件で行い、最大非焼付荷重(LNL)と融着荷重(WL)から、荷重摩耗指数(LWI)を求めた。この値が大きいほど、耐荷重性が良好である。
(2)耐摩耗試験
ASTM D 2783に準拠して、荷重294N、回転数1,200rpm、油温50℃、試験時間30分の条件で行い、1/2インチ球3個の摩耗痕径を平均して、平均摩耗痕径を算出した。
【0021】
実施例1
(1)潤滑油添加剤の製造
JIS−1号灯油(蒸留性状:初留温度153℃、10%留出温度176℃、30%留出温度194℃、50%留出温度209℃、70%留出温度224℃、90%留出温度249℃、終点267℃、硫黄分:48ppm)18リットルに、30質量%過酸化水素水6g及びギ酸11gを加え、常温(25℃)で8時間撹拌して、酸化処理した。
次に、シリカゲル[和光純薬社製「Wako−gel C200」]50gを充填した内径17mmのステンレス鋼製反応管に、上記の酸化処理灯油を、常圧下に室温(25℃)、液空間速度10h−1の条件で流通させ、硫黄化合物をシリカゲルに吸着させた。その後、ジクロロメタン/メタノール(質量比50/50)混合溶媒500ミリリットルを常圧下に室温(25℃)、液空間速度10h−1の条件で反応管に流通させ硫黄化合物を回収した。そして、50℃で溶媒を除去することにより、硫黄酸化物画分からなる潤滑油添加剤を得た。この硫黄酸化物画分には、有機スルフォン及び有機スルホキシドの混合物が60質量%含まれていた。
(2)潤滑油の調製及び性能試験
パラフィン系鉱油[出光興産(株)製「ダイアナフレシアP150」に、上記(1)で得た潤滑油添加剤を溶解し、該潤滑油添加剤1質量%を含む潤滑油を調製し、耐荷重試験及び耐摩耗試験を行った。結果を第1表に示す。
【0022】
比較例1
パラフィン系鉱油[出光興産(株)製「ダイアナフレシアP150」]について、耐荷重試験を行った。結果を第1表に示す。
比較例2
パラフィン系鉱油[出光興産(株)製「ダイアナフレシアP150」]に、市販のトリクレジルホスフェート(TCP)を溶解し、該TCP1質量%を含む潤滑油を調製し、耐荷重試験及び耐摩耗試験を行った。結果を第1表に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
第1表から、本発明の潤滑油添加剤は、最大非焼付荷重及び荷重摩耗指数が大きく、代表的な耐荷重添加剤であるTCPよりも優れた性能を示すことが分かる。また、耐摩耗性能でも優れていることが分かる。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、灯油、軽油、重油などの有機硫黄化合物含有鉱油を酸化処理し、有機硫黄酸化物画分を取り出すことにより、極圧剤、耐摩耗剤、摩擦調整剤などの耐荷重添加剤として好適な、潤滑油添加剤を提供することができる。
また、本発明の方法は、灯油、軽油、重油などの鉱油中の硫黄濃度を同時に低減させることができるので、今後の環境問題の観点からも好ましい方法である。さらに、前記潤滑油添加剤を含む本発明の潤滑油組成物は、極圧性、耐摩耗性、摩擦特性などに優れており、各種用途に好適に用いられる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、潤滑油添加剤、その製造方法及び潤滑油組成物に関し、さらに詳しくは、極圧剤、耐摩耗剤、摩擦調整剤などの耐荷重添加剤として好適な、有機硫黄化合物含有鉱油を原料とする潤滑油添加剤、このものを効率よく製造する方法及び該潤滑油添加剤を含む潤滑油組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、内燃機関や、自動変速機、パワーステアリングなどの駆動系機器、ギヤなどの機械装置においては、その作動を円滑にするために潤滑油が用いられている。そして、この潤滑油には、摺動若しくは転動接触における金属表面を摩耗から防止する能力や摩擦を抑制する能力などが要求される。これらの能力が不足すると、潤滑面が摩擦・摩耗し、遂には焼付きを起こすことはよく知られている。そのため、摩擦、摩耗を減少させ、潤滑油に良好な潤滑性能を付与する目的で、油性剤や摩擦調整剤、極圧剤、耐摩耗剤などの耐荷重添加剤が添加され、その役割は極めて重要なものとなっている。
【0003】
潤滑油の潤滑性は、液体の粘性による流体力学的効果と、有機極性化合物の金属表面への吸着と金属表面との反応による固体潤滑膜の形成による潤滑効果に大別することができる。
流体力学的効果には、潤滑油分子の分子量、分子構造及び会合性が、粘度−温度、粘度−圧力、金属表面への粘着性に関連して効果を与える。一方、固体潤滑膜を形成し、境界潤滑及び極圧潤滑時の潤滑性、すなわち、潤滑油に耐荷重性能を付与するには、油性剤や摩擦調整剤、極圧剤、耐摩耗剤などの耐荷重添加剤が効果を与える。
【0004】
したがって、これまで耐荷重添加剤として、特に硫黄系、リン系、ハロゲン系、亜鉛系などの添加剤の検討が行われてきた。しかしながら、高負荷の過酷な条件下で優れた性能を示す添加剤は、見出されていないのが現状である。また、環境への負荷低減により、今後、リン系、ハロゲン系、亜鉛系の添加剤の使用は制限される方向にあるため、リン、ハロゲン、亜鉛を含まない添加剤が望まれている。
【0005】
硫黄系の潤滑油添加剤としては、例えばジフェニルスルフィド、ジフェニルジスルフィド、ジ−n−ブチルスルフィド、ジ−n−ブチルジスルフィド、ジ−tert−ドデシルジスルフィド、ジ−tert−ドデシルトリスルフィドなどのスルフィド類、スルファライズドスパームオイル、スルファライズドジオレフィンなどの硫化油脂類が知られている(特開平5−86390号公報、特開平5−78684号公報など)。また、リン系添加剤と硫黄系添加剤を併用する技術が開示されている(特開平9−217075号公報、特開平9−188890号公報、特開平9−188889号公報)。しかしながら、これらの添加剤を用いても、高負荷の過酷な条件下で優れた潤滑性能を得ることは困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下で、特に高負荷の過酷な条件下でも優れた潤滑性能を示す高性能の耐荷重添加剤として好適な硫黄系潤滑油添加剤、その製造方法及び該潤滑油添加剤を含む潤滑油組成物を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、有機硫黄化合物含有鉱油を酸化して得られた有機硫黄酸化物を含むものが、耐荷重添加剤として優れた性能を有すること、そしてこの添加剤は、該鉱油を酸化処理したのち、有機硫黄酸化物を含む画分を取り出すことにより、効率よく製造し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)有機硫黄化合物含有鉱油を酸化して得られたことを特徴とする有機硫黄酸化物を含む潤滑油添加剤、
(2)有機硫黄化合物含有鉱油が灯油、軽油及び重油の中から選ばれる少なくとも一種である上記(1)の潤滑油添加剤、
(3)耐荷重添加剤である上記(1)、(2)の潤滑油添加剤、
(4)有機硫黄酸化物が有機スルホン類及び/又は有機スルホキシド類である上記(1)、(2)、(3)の潤滑油添加剤、
(5)有機硫黄化合物含有鉱油を酸化処理し、次いで有機硫黄酸化物を含む画分を取り出すことを特徴とする潤滑油添加剤の製造方法、
(6)酸化処理に用いる酸化剤が酸化性のガス状、液状又は固形状無機化合物及び有機過酸の中から選ばれる少なくとも一種である上記(5)の潤滑油添加剤の製造方法、
(7)酸化処理後、吸着、溶媒抽出及び蒸留の中から選ばれる少なくとも一種の処理を施し、有機硫黄酸化物を含む画分を取り出す上記(5)、(6)の潤滑油添加剤の製造方法、
(8)吸着処理に多孔質無機吸着剤を用いる上記(7)の潤滑油添加剤の製造方法、
(9)多孔質無機吸着剤がシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、ゼオライト、チタニア、ジルコニア、マグネシア、白土、粘土、ケイソウ土及び活性炭の中から選ばれる少なくとも一種である上記(8)の潤滑油添加剤の製造方法、及び
(10)抽出処理に用いる溶剤が有機溶剤又は有機溶剤と水との混合物である上記(7)の潤滑油添加剤の製造方法、
(11)(A)潤滑油基油と、(B)上記(1)〜(4)の潤滑油添加剤を含むことを特徴とする潤滑油組成物、及び
(12)(B)成分の含有量が0.01〜10質量%である上記(11)の潤滑油組成物、
を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の潤滑油添加剤は、有機硫黄化合物含有鉱油を酸化して得られた有機硫黄酸化物を含むものである。
原料として用いられる鉱油としては、有機硫黄化合物を含む鉱油であればよく、特に制限されず、様々なものを使用することができるが、特に灯油、軽油、重油が好ましい。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの灯油、軽油、重油は、水素化脱硫など、一般的に行われている脱硫処理により、硫黄濃度を低減したものも用いることができる。
【0009】
本発明の潤滑油添加剤に含まれる有機硫黄酸化物としては、有機スルホン類及び/又は有機スルホキシド類が好ましく、また、それらの含有量は、通常20質量%以上、好ましくは30質量%以上である。
このような本発明の潤滑油添加剤は、特に、極圧剤、耐摩耗剤、摩擦調整剤などの耐荷重添加剤として、優れた機能を発揮する。
本発明の潤滑油添加剤は、以下に示す方法により製造することができる。
すなわち、前記の有機硫黄化合物含有鉱油を酸化処理し、次いで有機硫黄酸化物を含む画分を取り出すことにより、本発明の潤滑油添加剤を製造することができる。
【0010】
この酸化処理においては、酸化剤として、例えば酸化性のガス状、液状又は固形状無機化合物及び有機過酸の中から選ばれる少なくとも一種が用いられる。ここで、酸化性のガス状無機化合物としては、例えば酸素、空気、四酸化窒素、オゾン、塩素、臭素などが挙げられる。酸化性の液状無機化合物は、水溶液の状態しか存在しない化合物も含み、例えば過酸化水素、過硫酸、次亜塩素酸などが挙げられる。なお、過硫酸の代わりに、過酸化水素と硫酸との混合物を用いることができる。酸化性の固形状無機化合物としては、ペルオクソ酸塩やペルオクソ化合物、その他化合物、具体的には、過塩素酸塩、過ヨウ素酸塩、重クロム酸塩、過マンガン酸塩、無水クロム酸、次亜塩素酸塩などが挙げられる。
【0011】
一方、有機過酸としては、例えば過酢酸、過ギ酸、メタクロロ過安息香酸、過クロロ酢酸、過ジクロロ酢酸、過トリクロロ酢酸、過トリフルオロ酢酸、過メタンスルホン酸、過サリチル酸などが挙げられる。なお、これらの過有機酸の代わりに、過酸化水素とそれぞれの過有機酸に対応する有機酸との混合物を用いることができる。
これらの酸化剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また酸化条件は、使用する酸化剤の種類に応じて適宜選定されるが、常温での酸化反応が可能な酸化剤を選ぶのが、取扱い性、作業性などの点で有利である。
【0012】
本発明においては、有機硫黄化合物含有鉱油を、前記酸化剤で酸化処理したのち、有機硫黄酸化物を含む画分を取り出すが、該画分を取り出す方法としては特に制限はなく、様々な方法を用いることができるが、例えば吸着処理、溶剤抽出処理、蒸留処理又はそれらを組み合わせた処理方法などが好ましく用いられる。
吸着処理の場合は、吸着剤として、多孔質無機吸着剤、例えばシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、ゼオライト、チタニア、ジルコニア、マグネシア、白土、粘土、ケイソウ土、活性炭などが好ましく用いられる。また、不溶性の合成樹脂も用いることができる。これらの吸着剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0013】
また、抽出処理の場合に用いられる抽出溶剤としては、酸化処理された鉱油の中から、有機硫黄酸化物を含む画分を抽出し得る溶剤であればよく特に制限されず、様々な有機溶剤を使用することができる。この有機溶剤としては、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルなどのニトリル系、ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロプロタン、ニトロベンゼンなどのニトロ化炭化水素系、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのスルホキシド系やアミド系、トリメチルリン酸エステル、トリエチルリン酸エステル、ヘキサメチルリン酸アミド、ホスホランなどのリン系、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール系、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系、さらには各種ハロゲン化炭化水素系やN−メチルピロリジンなどが挙げられる。これらの有機溶剤は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、前記有機溶剤の中で水混和性溶剤の場合は、水と混合して用いることもできる。
【0014】
このようにして取り出された有機硫黄酸化物を含む画分は、そのまま、極圧剤、耐摩耗剤、摩擦調整剤などの耐荷重添加剤として用いてもよく、また、他の各種潤滑油添加剤と組み合わせ、潤滑油添加剤組成物として用いてもよい。
このような本発明の方法によれば、灯油、軽油、重油などの鉱油中の硫黄濃度を同時に低減する、すなわち脱硫を促進することができるので、本発明の方法は、今後の環境問題の観点からも好ましい方法といえる。
【0015】
次に、本発明の潤滑油組成物は、(A)潤滑油基油と、(B)前述の本発明の潤滑油添加剤を含むものである。
前記(A)成分の潤滑油基油としては、通常、鉱油や合成油が用いられる。この鉱油や合成油の種類、その他については特に制限はなく、鉱油としては、例えば、溶剤精製、水添精製などの通常の精製法により得られるパラフィン基鉱油、中間基鉱油又はナフテン系鉱油などが挙げられる。
【0016】
また、合成油としては、例えば、ポリブテン、ポリオレフィン〔α−オレフィン(共)重合体〕、各種のエステル(例えば、ポリオールエステル、二塩基酸エステル)、各種のエーテル(例えば、ポリフェニルエーテル)、アルキルベンゼン、アルキルナフタレンなどが挙げられる。
本発明においては、基油として、上記鉱油を一種用いてもよく、二種以上組み合わせて用いてもよい。また、上記合成油を一種用いてもよく、二種以上組み合わせて用いてもよい。さらには、鉱油一種以上と合成油一種以上とを組み合わせて用いてもよい。
前記基油の粘度としては、潤滑油組成物の用途に応じて適宜選定されるが、通常100℃の動粘度で2〜35mm2/s、好ましくは3〜25mm2/sの範囲である。
【0017】
本発明の潤滑油組成物においては、(B)成分である前述の本発明の潤滑油添加剤の含有量は、通常0.01〜10質量%、好ましくは0.05〜5質量%の範囲で選定される。この含有量が0.01質量%未満では耐荷重添加剤としての機能が充分に発揮されにくいし、10質量%を超えるとその量の割には効果の向上が認められず、むしろ経済的に不利になる場合がある。
本発明の潤滑油組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、従来から潤滑油に慣用されている各種添加剤、例えば金属清浄剤、無灰清浄分散剤、粘度指数向上剤、酸化防止剤、防錆剤、腐食防止剤、消泡剤、他の極圧剤、耐摩耗剤、摩擦調整剤などを適宜添加することができる。
【0018】
金属清浄剤としては、例えば、カルシウムスルホネート、マグネシウムスルホネート、バリウムスルホネート、カルシウムフェネート、バリウムフェネートなどが挙げられ、これらは、通常0.1〜5質量%の割合で使用される。無灰清浄分散剤としては、例えば、コハク酸イミド系、コハク酸アミド系、ベンジルアミン系、エステル系のものなどが挙げられ、これらは、通常0.5〜7質量%の割合で使用される。
粘度指数向上剤としては、例えばポリメタクリレート系、ポリイソブチレン系、エチレン−プロピレン共重合体系、スチレン−ブタジエン水添共重合体系のものなどが挙げられ、これらは、通常0.5〜35質量%の割合で使用される。酸化防止剤としては、例えばアルキル化ジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキル化−α−ナフチルアミンなどのアミン系酸化防止剤、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)などのフェノール系酸化防止剤などが挙げられ、これは、通常0.05〜2質量%の割合で使用される。
【0019】
防錆剤としては、例えばアルケニルコハク酸やその部分エステルなどが、腐食防止剤としては、例えばベンゾトリアゾールやベンゾイミダゾールなどが、消泡剤としては、例えばジメチルポリシロキサンやポリアクリレートなどが挙げられ、これらは適宜添加することができる。
本発明の潤滑油組成物は、極圧性、耐摩耗性、摩擦特性などに優れ、例えば自動車の内燃機関用潤滑油、駆動系潤滑油、ギヤ油などとして好適に用いることができる。
【0020】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、潤滑油の耐荷重試験及び耐摩耗試験は、以下に示す要領に従って行った。
(1)耐荷重試験
ASTM D 2783に準拠して、回転数1,800rpm、室温の条件で行い、最大非焼付荷重(LNL)と融着荷重(WL)から、荷重摩耗指数(LWI)を求めた。この値が大きいほど、耐荷重性が良好である。
(2)耐摩耗試験
ASTM D 2783に準拠して、荷重294N、回転数1,200rpm、油温50℃、試験時間30分の条件で行い、1/2インチ球3個の摩耗痕径を平均して、平均摩耗痕径を算出した。
【0021】
実施例1
(1)潤滑油添加剤の製造
JIS−1号灯油(蒸留性状:初留温度153℃、10%留出温度176℃、30%留出温度194℃、50%留出温度209℃、70%留出温度224℃、90%留出温度249℃、終点267℃、硫黄分:48ppm)18リットルに、30質量%過酸化水素水6g及びギ酸11gを加え、常温(25℃)で8時間撹拌して、酸化処理した。
次に、シリカゲル[和光純薬社製「Wako−gel C200」]50gを充填した内径17mmのステンレス鋼製反応管に、上記の酸化処理灯油を、常圧下に室温(25℃)、液空間速度10h−1の条件で流通させ、硫黄化合物をシリカゲルに吸着させた。その後、ジクロロメタン/メタノール(質量比50/50)混合溶媒500ミリリットルを常圧下に室温(25℃)、液空間速度10h−1の条件で反応管に流通させ硫黄化合物を回収した。そして、50℃で溶媒を除去することにより、硫黄酸化物画分からなる潤滑油添加剤を得た。この硫黄酸化物画分には、有機スルフォン及び有機スルホキシドの混合物が60質量%含まれていた。
(2)潤滑油の調製及び性能試験
パラフィン系鉱油[出光興産(株)製「ダイアナフレシアP150」に、上記(1)で得た潤滑油添加剤を溶解し、該潤滑油添加剤1質量%を含む潤滑油を調製し、耐荷重試験及び耐摩耗試験を行った。結果を第1表に示す。
【0022】
比較例1
パラフィン系鉱油[出光興産(株)製「ダイアナフレシアP150」]について、耐荷重試験を行った。結果を第1表に示す。
比較例2
パラフィン系鉱油[出光興産(株)製「ダイアナフレシアP150」]に、市販のトリクレジルホスフェート(TCP)を溶解し、該TCP1質量%を含む潤滑油を調製し、耐荷重試験及び耐摩耗試験を行った。結果を第1表に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
第1表から、本発明の潤滑油添加剤は、最大非焼付荷重及び荷重摩耗指数が大きく、代表的な耐荷重添加剤であるTCPよりも優れた性能を示すことが分かる。また、耐摩耗性能でも優れていることが分かる。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、灯油、軽油、重油などの有機硫黄化合物含有鉱油を酸化処理し、有機硫黄酸化物画分を取り出すことにより、極圧剤、耐摩耗剤、摩擦調整剤などの耐荷重添加剤として好適な、潤滑油添加剤を提供することができる。
また、本発明の方法は、灯油、軽油、重油などの鉱油中の硫黄濃度を同時に低減させることができるので、今後の環境問題の観点からも好ましい方法である。さらに、前記潤滑油添加剤を含む本発明の潤滑油組成物は、極圧性、耐摩耗性、摩擦特性などに優れており、各種用途に好適に用いられる。
Claims (12)
- 有機硫黄化合物含有鉱油を酸化して得られたことを特徴とする有機硫黄酸化物を含む潤滑油添加剤。
- 有機硫黄化合物含有鉱油が灯油、軽油及び重油の中から選ばれる少なくとも一種である請求項1記載の潤滑油添加剤。
- 耐荷重添加剤である請求項1又は2記載の潤滑油添加剤。
- 有機硫黄酸化物が有機スルホン類及び/又は有機スルホキシド類である請求項1、2又は3記載の潤滑油添加剤。
- 有機硫黄化合物含有鉱油を酸化処理し、次いで有機硫黄酸化物を含む画分を取り出すことを特徴とする潤滑油添加剤の製造方法。
- 酸化処理に用いる酸化剤が酸化性のガス状、液状又は固形状無機化合物及び有機過酸の中から選ばれる少なくとも一種である請求項5記載の潤滑油添加剤の製造方法。
- 酸化処理後、吸着、溶媒抽出及び蒸留の中から選ばれる少なくとも一種の処理を施し、有機硫黄酸化物を含む画分を取り出す請求項5又は6記載の潤滑油添加剤の製造方法。
- 吸着処理に多孔質無機吸着剤を用いる請求項7記載の潤滑油添加剤の製造方法。
- 多孔質無機吸着剤がシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、ゼオライト、チタニア、ジルコニア、マグネシア、白土、粘土、ケイソウ土及び活性炭の中から選ばれる少なくとも一種である請求項8記載の潤滑油添加剤の製造方法。
- 抽出処理に用いる溶剤が有機溶剤又は有機溶剤と水との混合物である請求項7記載の潤滑油添加剤の製造方法。
- (A)潤滑油基油と、(B)請求項1〜4のいずれかに記載の潤滑油添加剤を含むことを特徴とする潤滑油組成物。
- (B)成分の含有量が0.01〜10質量%である請求項11記載の潤滑油組成物。
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