JP2004017455A - 樹脂被覆金属板材、それを用いた電気・電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】導電性、耐溶剤性に優れている樹脂皮膜で被覆され、成形加工性が優れている樹脂被覆金属板材を提供する。
【解決手段】金属板の表面が樹脂皮膜で被覆されている樹脂被覆金属板材において、前記樹脂皮膜が、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、アルキド系樹脂、アクリル系樹脂、およびウレタン系樹脂の群から選ばれる少なくとも1種を樹脂成分とし、水分を1〜50質量%含有し、金属粉を2〜50質量%、および界面活性剤を0.5〜30質量%含有し、かつ、厚みが5μm以下である樹脂被覆金属板材。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は樹脂被覆金属板材とそれを用いた電気・電子機器に関し、更に詳しくは、導電性、成形加工性、耐溶剤性などが良好な樹脂皮膜で金属板の表面が被覆されている金属板材に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種の電気電子機器部品を収容する例えば筐体は、一般に、表面塗装が施されている金属薄板を例えばプレス成形して製造されている。
その場合のプレス成形時には、揮発性プレス油を用いることにより、プレス成形後の洗浄工程を省略することが一般化している。そのため、表面塗装が施された金属薄板に対しては、高い成形加工性が要求されている。また、通常のプレス油を用いたプレス成形を実施する場合もあるが、その場合には、プレス成形後に溶剤脱脂を行うことが必要となる。そのため、金属薄板の表面塗装には耐溶剤性も必要になる。
【0003】
また、パソコンでその筐体内に内蔵型ディスクドライブを本体に取り付けたり取り外したりする場合のように、モジュール化された構成部品を頻繁に着脱するような製品で用いる筐体に関しては、その表面が摺動性に優れていることが要求される。
また、製品機器の組み立て時に、指紋が付着したり、外傷がついたりすることによる外観不良を防ぐために、筐体に対しては、耐指紋性や耐傷つき性などが必要とされる。
【0004】
このような要求を満たすために、金属板の表面を樹脂皮膜で被覆した金属板材が使用されている。しかしながら、樹脂皮膜は一般に電気絶縁性であるため、樹脂皮膜で被覆した金属板材で製造した筐体からアースをとることができず、また筐体内部に収容されている電気電子回路部品から発生する電磁波を充分にシールドすることもできないという問題がある。
【0005】
このような樹脂被覆金属板材に電磁波シールド性やアース性を付与するためには、樹脂皮膜に導電性を付与すればよい。換言すればその電気抵抗を低くすればよい。
このような観点から、上記した問題に対しては、Ni粉末を含む導電助剤を水溶性高分子ワックスに0.1〜1.0質量%添加して成る樹脂皮膜で金属板の表面を被覆した金属板材が提案されている(特開平5−320685号公報を参照)。しかしながら、この金属板材は、その樹脂皮膜における導電助剤の添加量が少ないため、導電性が良好であるとはいえず、例えば電気・電子機器を収容するための筺体用板材としてはその性能が不充分である。
【0006】
また、特開平6−240469号公報には、クロメート処理を施した鋼板の表面に次のような樹脂皮膜を設けた金属板材が開示されている。
その樹脂皮膜は、エポキシ系樹脂、アルキド系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、ポリエステル系樹脂、メラミン、ポリビニルブチラールの1種または2種以上の樹脂に、粉末状潤滑剤と、Cu,Ni,Ag,Zn,Cr,Fe,Coのいずれかの粉末またはこれら合金の粉末、カーボンブラック、黒鉛のような平均粒径0.1〜5μmの導電助剤とを添加したものである。しかしながら、この樹脂皮膜の場合、場所によっては導電性のばらつきが大きく、アース性、電磁波シールド性が不安定であるという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は先行技術における上記した問題を解決し、成形加工性、耐溶剤性も優れていて、また後述する装置で測定したときの接触抵抗が100Ω以下の値を示す樹脂皮膜で被覆されているので、アース性、電磁波シールド性も優れている樹脂被覆金属板材の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明においては、
金属板の表面が樹脂皮膜で被覆されている樹脂被覆金属板材において、前記樹脂皮膜が、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、アルキド系樹脂、アクリル系樹脂、およびウレタン系樹脂の群から選ばれる少なくとも1種を樹脂成分とし、水分を1〜50質量%含有し、金属粉を2〜50質量%、および界面活性剤を0.5〜30質量%含有し、かつ、厚みが5μm以下であることを特徴とする樹脂被覆金属板材が提供される。
また、本発明においては、上記した金属板材を用いた電気・電子機器が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の樹脂被覆金属板材の1例を図1に示す。この金属板材は、基材である金属板1の表面が後述する樹脂皮膜で被覆されている。
ここで、金属板1の材質は格別限定されるものではなく、製造する金属板材の用途に応じて適宜選定される。例えば、亜鉛めっき鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、各種のアルミニウム合金板、銅板、銅合金板などを使用することができる。
【0010】
また、金属板1の形状も格別限定されるものではなく、例えばコイル状、切り板状などをあげることができる。製造時における金属板材の生産性、製造コスト、また樹脂皮膜2の性能の均一性の点からすると、金属板1の形状としてはコイル状であることが好ましい。
更に、金属板1の板厚に関しても格別限定されるものではないが、成形加工性や保形性の問題を考慮すると、通常0.1〜2.5mm程度の厚みのものが好適である。
【0011】
次に、樹脂皮膜について詳細に説明する
この樹脂皮膜は、後述する樹脂成分と水分と金属粉と界面活性剤とを必須成分として含有し、かつ、その厚みは5μm以下に設定される。
まず、樹脂成分としては、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、アルキド系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂のいずれか1種または2種以上の混合樹脂で構成されている。
【0012】
ここで、ポリエステル系樹脂としては、例えば、フェノール変性ポリエステル樹脂、エポキシ変性ポリエステル樹脂などをあげることができる。
またエポキシ系樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、アクリル変性エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂などを使用することができる。
【0013】
フェノール系樹脂としては、例えばフェノール−ホルムアルデヒド樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、油変性フェノール樹脂などを使用することができる。
アルキド樹脂としては、例えば、メラミンアルキド樹脂、アミノアルキド樹脂油変性アルキド樹脂、ロジン変性アルキド樹脂、フェノール変性アルキド樹脂、スチレン化アルキド樹脂、シリコーン変性アルキド樹脂、アクリル変性アルキド樹脂などを使用することができ、アクリル系樹脂としては、例えば、アクリル酸樹脂、メタクリル酸樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、メタクリル酸イソプロピル樹脂などを使用することができる。更にウレタン系樹脂としては、例えば、ポリエーテル系ウレタン樹脂、ポリカーボネート系ウレタン樹脂などを使用することができる。
【0014】
この樹脂皮膜では、水分と金属粉と界面活性剤を含有することが必須要件である。
まず、水分は、樹脂皮膜の導電性を保障する成分であり、その含有量は、1〜50質量%に設定される。
樹脂皮膜における含有量が1質量%より少ない場合は、導電性の低下が認められてアース性や電磁波シールド性が悪くなり、また50質量%より多い場合は、耐溶剤性の低下が引き起こされるからである。耐溶剤性のことを考えると、1〜40質量%であることが好ましい。
【0015】
なお、上記した樹脂皮膜の水分量とは、次にようにして算出された値のことをいう。
まず、樹脂被覆面の一辺が10cmの正方形となるように試料片を切り出し、この試料片の樹脂皮膜量(m)を計量する。
つぎに、同じ面積の試料片の質量(M)を測定し、この試料片を温度120℃のオーブン中で1時間加熱したのちの質量(M’)を測定し、100×(M−M’)/mを計算する。
【0016】
この加熱過程で樹脂皮膜中の水分は逃散すると考えられるので、上記した計算値を、樹脂皮膜中の水分量とする。
樹脂皮膜における他の必須成分である金属粉は、樹脂皮膜2の中で互いに接触し、また樹脂皮膜2と金属板1との界面に表出してこの樹脂皮膜2に導電性を付与する成分であり、その含有量は2〜50質量%に設定される。
【0017】
金属粉の含有量を2質量%より少なくすると、樹脂皮膜2の導電性が低下し、充分なアース性や電磁波シールド性が得られなくなり、また50質量%より多くすると、形成される樹脂皮膜2の脆化が起こりはじめ、成形加工時に、樹脂皮膜の割れや破断が発生しやすくなる。好ましい含有量は4〜40質量%である。
金属粉としては、その種類は格別限定されるものではなく、例えばAl,Zn,Ti,Au,Ag,Cu,Cr,Fe,Co,Niなどの金属または合金、カーボンブラック、グラファイトから選ばれる1種または2種以上の混合物を使用することができるが、樹脂皮膜の導電性を高め、また比較的安価であるということからNi粉が好適である。
【0018】
Ni粉としては、例えば球状、スパイク球状、鱗片形状、または鎖状形状のものが好ましい。樹脂皮膜の導電性は高く、また成形加工性もよくなるからである。
そして、その大きさは、最大長径の平均値が100μm以下であることが好ましい。更に詳しくは、球状、スパイク球状、鎖状の場合は20μm以下が好ましく、鱗片形状の場合は100μm以下が好ましい。この値が100μmより大きい粒子である場合は、樹脂皮膜から脱落しやすくなって、成形加工時に金型の損傷や樹脂皮膜の破断が起こりやすくなる。
【0019】
なお、ここでいう最大長径とは、粒子形状において直線距離で最も長い2点間の距離のことをいう。
樹脂皮膜には、更に界面活性剤が必須成分としてを含有されている。この界面活性剤はやはり、樹脂皮膜の導電性の更なる向上を実現することができるからである。
【0020】
その場合の含有量は0.5〜30質量%であることが好ましい。0.5質量%より少ない場合は上記した効果が不充分であり、30質量%より多い場合は耐溶剤性が低下して、成形加工後に溶剤でプレス油を洗浄するときに、樹脂皮膜の一部溶解が進む。
例えば界面活性剤が30質量%を超えて含有されている樹脂皮膜で被覆されている金属板材を沸騰トリクレン中に5分間浸漬すると、樹脂皮膜が溶出して10質量%以上の重量減が観察される。このような条件下で重量減少が10質量%以上になることは、その樹脂皮膜の耐溶剤性は不充分であるということを意味する。より好ましい含有量は3〜20質量%である。
【0021】
なお、界面活性剤としては、例えば、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、高級アルコールエチレンオキサイド付加物のようなノニオン系、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコールリン酸エステル塩のようなアニオン系、高級アルキルアミン塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、サパミン型第4級アンモニウム塩のようなカチオン系などを使用することができるが、アニオン系、カチオン系を用いることが好ましい。アニオン系、カチオン系の界面活性剤は水中で電離してイオンとなり、導電性を向上させるからである。
【0022】
上記した3成分を必須成分とする樹脂皮膜には、更に、潤滑剤を含有させることが好ましい。製造した金属板材の成形加工性が更に向上するからである。
その場合、潤滑剤の含有量は0.1〜20質量%であることが好ましい。
潤滑剤の含有量を0.1質量%より少なくすると、樹脂皮膜の摩擦係数が大きくなって充分な成形加工性が得られなくなり、20質量%より多くすると、接触抵抗(n=100の平均値)が100Ωを超えて樹脂皮膜の導電性が低下し、充分な電磁波シールド性やアース性が得られなくなるからである。潤滑剤の好ましい含有量は1〜20質量%である。
【0023】
用いる潤滑剤としては、絶縁皮膜の成膜時に用いる後述の水系塗料との関係で、例えば水に溶解するものや、適当な乳化剤を用いることによって、水に分散してエマルジョンを形成するようなものが好ましい。例えば、ポリエチレンワックス、カルナバワックス、ラノリン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニルなどをあげることができる。
【0024】
また、樹脂皮膜の厚みは5μm以下に設定される。膜厚を5μmより厚くすると、樹脂皮膜の接触抵抗(n=100の平均値)が100Ωを超えて導電性が低下し、充分な電磁波シールド性やアース性が得られなくなる。
なお、この膜厚が薄くなりすぎると、樹脂皮膜の摩擦係数が大きくなって、製造した金属板材の表面における摺動性が低下し、成形加工時に樹脂皮膜の破断が起こりやすくなって、金型とのかじりが発生するようになる。このようなことから、樹脂皮膜の厚みは0.05〜5μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜2μmにする。
【0025】
なお、上記した樹脂皮膜の厚みとは、図2で示したように、樹脂成分から成る層の厚みとして定義する。
上記した樹脂皮膜には、更に、アクリルアミド、ポリアクリルアミド、次に述べるようなアクリルアミド化合物のいずれか1種または2種以上が含有されていることが好ましい。樹脂皮膜の導電性が更に向上するからである。
【0026】
なお、ポリアクリルアミドは、前記した樹脂成分としても機能することができる。
これらアクリルアミド系物質の含有量は5質量%以上であることが好ましい。5質量%より少ない場合は上記した効果を充分に得られないからである。より好ましい含有量は30質量%以上である。
【0027】
なお、上記したアクリルアミド化合物としては、例えば、メチレンビスアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、N−メチロールアクリルアミド、N−メチレンスルホン酸アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミドなどの1種または2種以上を用いることができる。
本発明の金属板材では、金属板1の表面に、すでに説明した樹脂皮膜の構成成分から成る塗料を厚み5μm以下となるように塗布して樹脂皮膜が形成される。
【0028】
その場合の塗料は水系塗料であることが好ましい。すなわち、既に説明した樹脂成分、界面活性剤、必要に応じては潤滑剤などの成分と、前記樹脂成分の硬化剤などを含む樹脂組成物を水に溶解または分散せしめた塗料である。そして、その水系塗料としては、水を連続相とし、上記した各成分がエマルジョン粒子として分散するエマルジョン塗料であることが好適である。
【0029】
塗料の塗布方法としては、トップフィードナチュラル方式であることが好ましい。この方式の場合は、塗料をコーターパンに貯めておく必要がないため、塗料中の金属粉の沈澱は起こらないからである。また、この方式によれば、ローピングなどの発生に基づく樹脂皮膜の外観不良も起こらないからである。
なお、金属板の表面に樹脂皮膜を形成するに際しては、脱脂処理などを施して表面を清浄にしておくことが好ましい。また、例えば、クロメート系、ノンクロメート系(ジルコニウム系、チタニウム系、リン酸塩系、シュウ酸塩系)の反応型、または塗布型を適用して化成皮膜を形成しておくと、樹脂皮膜との密着性が向上し、得られた金属板材の耐食性も向上するので好適である。
【0030】
効果の安定性、生産性、コストなどの点からすると、クロメート系や、ジルコニウム系またはチタニウム系を用いた化成皮膜の形成が好適である。
【0031】
【実施例】
実施例1〜34、比較例1〜9
(1)塗料の調整
表1〜5で示した各成分を表示の割合で用いて、樹脂皮膜を形成するために各種の塗料を調製した。
【0032】
なお、表1〜5における各成分の「割合」の数値は、塗料中の固形分の重量比表示になっており、成膜時における質量%としてそのまま換算できる数値の比で記載しているので、後述する表6,7における樹脂皮膜中の水分量の「質量%」として示した数値との合計で、樹脂皮膜の100質量%を成すものである。
【0033】
【表1】
Figure 2004017455
【0034】
【表2】
Figure 2004017455
【0035】
【表3】
Figure 2004017455
【0036】
【表4】
Figure 2004017455
【0037】
【表5】
Figure 2004017455
【0038】
(2)金属板材の製造
Al合金板(5052、板厚1.0mm)の両面に、市販の脱脂液で脱脂処理を行い、水洗後、アルサーフ407/47(日本ペイント社製の商品名)を用いてリン酸クロメート皮膜を形成した。皮膜の厚みは金属Cr換算で15mg/mにした。ついで、表1〜表5で示した塗料を塗布し、焼き付け乾燥し、乾燥状態の樹脂皮膜で被覆された金属板材を製造した。
【0039】
その後、このAl合金板材における樹脂皮膜については、その水分量を測定した。
得られたAl合金板材の樹脂皮膜に関しては、下記の仕様で導電性と耐溶剤性を測定、評価し、またAl合金板材としての成形加工性も下記の仕様で評価した。
【0040】
1.導電性
アース性、電磁波シールド性は樹脂皮膜の導電性に依存するので、その指標として、樹脂皮膜A,Bの100箇所における接触抵抗を、図3で示した装置でそれぞれ測定し、その平均値を求めた。なお、テスターは、ハイテスター3030−10(日置電機製)を用いた。
【0041】
2.耐溶剤性
Al合金板材から100mm角の試験片を切り出し、それを沸騰させた塩化メチレンの中に5分間浸漬した。そのときの樹脂皮膜の溶出に基づく質量減を測定し、溶出率(%)を計算した。溶出率が5%以下である場合を極めて良好(◎)、5%を超え10%以下である場合を良好(○)、10%を超える場合を(×)と評価した。
【0042】
3.成形加工性
成形速度:20mm/sec,ポンチ径:40mm,ダイス径:42.4mm,ブランク径:84mmの条件下で円筒深絞り成形を行い、そのときの破断高さを調べた。
破断高さが6mm以上の場合を優良(◎)、6mm未満5.5mm以上の場合を良好(○)、5.5mm未満の場合を不良(×)と評価した。
以上の結果を一括して表6,表7に示した。
【0043】
【表6】
Figure 2004017455
【0044】
【表7】
Figure 2004017455
【0045】
以上の結果から明らかなように、本発明で規定する条件を満たしていない比較例の金属板材は、なんらかの性能不足があり、電気・電子機器用の材料としては満足すべきものではない。
【0046】
例えば、比較例1はNi粉の平均径が大きすぎるので成形加工性が劣り、比較例2はNi粉の含有量が多すぎるので成形加工性が劣っている。
また、比較例3は界面活性剤が少なすぎるので導電性が劣り、比較例4は逆に界面活性剤が多すぎるので耐溶剤性が劣り、比較例5は潤滑剤の添加量が少なすぎるので成形加工性が劣り、比較例6は逆に多すぎるので導電性が劣っている。
【0047】
そして、比較例7は皮膜中の水分量が少なすぎるので導電性は劣り、比較例8は逆に多すぎるので耐溶剤性が劣り、比較例9は皮膜の厚みが厚すぎるので導電性が劣っている。
【0048】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明の金属板材は、金属板の表面を被覆する樹脂皮膜が導電性、耐溶剤性、成形加工性に優れているので、各種の電気・電子機器部品の誤作動を起こさないケースを製作することに用いて有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属板材の1例を示す断面図である。
【図2】樹脂皮膜の厚みを説明するための説明図である。
【図3】樹脂皮膜の導電性を測定する装置の模式図である。
【符号の説明】
1    金属板
2    樹脂皮膜

Claims (5)

  1. 金属板の表面が樹脂皮膜で被覆されている樹脂被覆金属板材において、前記樹脂皮膜が、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、アルキド系樹脂、アクリル系樹脂、およびウレタン系樹脂の群から選ばれる少なくとも1種を樹脂成分とし、水分を1〜50質量%含有し、金属粉を2〜50質量%、および界面活性剤を0.5〜30質量%含有し、かつ、厚みが5μm以下であることを特徴とする樹脂被覆金属板材。
  2. 前記樹脂皮膜には、更に、潤滑剤が0.1〜20質量%含まれている請求項1の樹脂被覆金属板材。
  3. 前記樹脂皮膜には、更に、アクリルアミド、ポリアクリルアミド、およびアクリルアミド化合物の群から選ばれる少なくとも1種のアクリルアミド系物質が5質量%以上含まれている請求項1または2の樹脂被覆金属板材。
  4. 前記金属粉は、その最大長径の平均値が100μm以下の金属粉である請求項1〜3のいずれかの樹脂被覆金属板材。
  5. 請求項1〜4のいずれかの樹脂被覆金属板材の成形加工品である電気・電子機器。
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