JP2004017081A - バックアップロール軸用ころ軸受 - Google Patents
バックアップロール軸用ころ軸受 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004017081A JP2004017081A JP2002174408A JP2002174408A JP2004017081A JP 2004017081 A JP2004017081 A JP 2004017081A JP 2002174408 A JP2002174408 A JP 2002174408A JP 2002174408 A JP2002174408 A JP 2002174408A JP 2004017081 A JP2004017081 A JP 2004017081A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- inner ring
- roll shaft
- lubricating oil
- backup roll
- oil supply
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Rolls And Other Rotary Bodies (AREA)
- Rolling Contact Bearings (AREA)
Abstract
【課題】軸受形式を変えても潤滑油の供給を行うことのできるバックアップロール軸用ころ軸受を提供する。
【解決手段】バックアップロール軸12が挿入される内輪112の内輪軌道面と、この内輪112に同軸配置された外輪113の外輪軌道面との間に複数列配置された多数のころ114に潤滑油を供給する給油穴11を設ける際して、内輪112の内周面112aにおけるバックアップロール軸12に設けられている複数本の潤滑油供給穴106のいずれかに対応する位置から、内輪112の外周面112bにおいてころ114が通過する内輪軌道面以外の個所に向けて、内輪112の径方向に対して斜めに形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】バックアップロール軸12が挿入される内輪112の内輪軌道面と、この内輪112に同軸配置された外輪113の外輪軌道面との間に複数列配置された多数のころ114に潤滑油を供給する給油穴11を設ける際して、内輪112の内周面112aにおけるバックアップロール軸12に設けられている複数本の潤滑油供給穴106のいずれかに対応する位置から、内輪112の外周面112bにおいてころ114が通過する内輪軌道面以外の個所に向けて、内輪112の径方向に対して斜めに形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、多段圧延機に用いられ強大な圧延力に耐えうるバックアップロール軸用ころ軸受に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、多段圧延機100としては、図6に示すように、圧延する素材を挟持して押圧し、薄く成形する一対のワークロール101が回転自在に設けられている。また、ワークロール101の後方(図6において上下両側)には、複数個の第1中間ロール102、第2中間ロール103、及びバックアップロール104が回転可能に設けられており、バックアップロール104が強大な圧延力に抵抗するようになっている。
図7に示すように、第1中間ロール102、第2中間ロール103、及びバックアップロール104は、複列円筒ころ軸受105に潤滑油を供給する潤滑油供給穴106が多数設けられた支持軸107に、複列円筒ころ軸受105が回転自在に配設され、前段のロールに外輪を当接させてこの外輪を回転させ、ワークロール101に作用する負荷を受けるようになっている。
【0003】
一般的に、多段圧延機100に使用されるころ軸受105の形式としては、図8から図11に示すように、つばなし3列円筒ころ108、内輪分離つば/外輪外つばつき3列円筒ころ109、内輪つば/外輪中つば付き2列円筒ころ110、内輪分離つば/外輪中つば付き2列円筒ころ111等がある。
【0004】
図8には、つばなし3列円筒ころ108の断面が示されている。すなわち、内輪112と外輪113との間には、長さの等しい3列のころ114aを転動自在に保持するための保持器115a,115bが設けられており、保持器115a,115bと内輪112との間には浮き輪116が周方向(図8において紙面直交方向)に設けられている。
一方、内輪112を幅方向に3等分する位置には、潤滑油を供給する給油穴117が内輪112の半径方向に貫通して設けられており、前述した浮き輪116の下に位置する。
【0005】
図9には、内輪分離つば/外輪外つばつき3列円筒ころ109の断面が示されている。すなわち、内輪112の左右両端部には内輪112から分離した内輪分離つば118が設けられ、外輪113の左右両端部には外輪113と一体的な外輪外つば119が設けられている。内輪分離つば118の厚さと外輪つば119の厚さは同じであり、これらのつば118、119の内側に長さの等しい3列のころ114bを転動自在に保持するための保持器115a,115bが設けられている。
なお、図8において前述したものと共通する部位には同じ符号を付して重複する説明を省略する。
【0006】
図10には、内輪つば/外輪中つば付き2列円筒ころ110の断面が示されている。すなわち、一対の内輪112a,112bの外側端部には内輪112aと一体的な内輪つば120が設けられ、外輪113の中央部には外輪中つば121が設けられている。外輪中つば121の左右両側に配置された2列のころ114cは保持器115により転動自在に保持されている。保持器115と内輪112との間には浮き輪116が周方向(図10において紙面直交方向)に設けられている。
一方、内輪112a,112bの突き合わせ面には、潤滑油を供給する給油穴117が設けられており、前述した浮き輪116の下に位置する。なお、図8または図9において前述したものと共通する部位には同じ符号を付して重複する説明を省略する。
【0007】
図11には、内輪分離つば/外輪中つば付き2列円筒ころ111の断面が示されている。すなわち、内輪112の左右両端部には内輪112から分離した内輪分離つば118が設けられ、外輪113の左右両端部には外輪113と一体的な外輪つば119が設けられるとともに、外輪113の中央部には外輪中つば121が設けられている。外輪中つば121の左右両側には、2列のころ114cを保持するための保持器115が設けられており、保持器115と内輪112との間には浮き輪116が周方向(図10において紙面直交方向)に設けられている。なお、図8から図10において前述したものと共通する部位には同じ符号を付して重複する説明を省略する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、これらの軸受形式は、圧延される鋼板や圧延条件により多段圧延機100を使用するユーザによって使い分けされているので、基本的にどのタイプのころ軸受でも使用できるように各軸受への給油穴117は3箇所設けられている。
すなわち、つばなし3列円筒ころ108の場合には、潤滑油は、図12に示すように、前述した支持軸107に設けられている3本のうち両外側の潤滑油供給穴106a、106cを用いて供給されることになる。なお、図7と共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
【0009】
また、内輪つば/外輪中つば付き2列円筒ころ110および内輪分離つば/外輪中つば付き2列円筒ころ111の場合には、潤滑油は、図13に示すように、前述した支持軸107に設けられている3本のうち中央の潤滑油供給穴106bを用いて供給されることになる。
しかしながら、軸受形式を内輪分離つば/外輪外つばつき3列円筒ころ109に変更する場合、図14および図15に示すように、支持軸107に設けられている潤滑油供給穴116cが軸受内輪112の給油穴117の位置からずれて、潤滑油が供給されないため使用できないという問題がある。
【0010】
この問題に対して、給油穴117位置を合わせてすべての軸受形式間の変更を可能にするためには、支持軸107に潤滑油供給穴106を追加する方法と、軸受の給油穴117位置を潤滑油供給穴106位置に合わせる方法がある。
しかし、支持軸107に潤滑油供給穴106を追加することは非常に困難であり、多くの時間とコストを要する。また、図16に示すように、軸受の給油穴117位置を支持軸107の潤滑油供給穴106に合わせると、ころ114の長さを合わせることができず、組み立て時に間違えたり、ころ114にかかる荷重が均等でなくなるという問題がある。
【0011】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、軸受形式を変えても潤滑油の供給を行うことのできるバックアップロール軸用ころ軸受を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明は、多段圧延機のバックアップロール軸を支持するために、前記バックアップロール軸が挿入される内輪と、この内輪に同軸配置された外輪と、前記内輪の内輪軌道面および前記外輪の外輪軌道面間に複数列配置された多数のころと、前記内輪の内周面から当該内輪の外周面まで貫通する給油穴とを有するバックアップロール軸用ころ軸受であって、前記給油穴の貫通方向が、前記バックアップロールに設けられている潤滑油供給穴に対応する位置から前記内輪の外周面における前記ころが通過する内輪軌道面以外の個所に向けて、前記内輪の径方向に対して斜めに形成されていることを特徴としている。
【0013】
ここで、内輪軌道面以外の箇所とは、内輪が回転した際にローラがまったく接触しない箇所、例えば、ころところとの間やころの両外側がある。また、内輪の径方向に対して斜めとは、給油穴が徒に長くならないように、内輪の中心軸を含む平面内において斜めであることが望ましい。
【0014】
このように構成されたバックアップロール軸用ころ軸受においては、内輪に設ける給油穴の方向を斜めにすることにより、内輪の内周面における給油穴の位置を、常にバックアップロール軸の決められた位置に設けられている潤滑油供給穴に対応する位置に位置決めすることができるので、常にころに潤滑油を供給することができることになり、異なる形式のバックアップロール軸用ころ軸受に変更することが可能になる。
従って、このバックアップロール軸用ころ軸受においては、軸受形式を変えた場合に潤滑油の供給を行うことができない場合があるという従来の問題を解消できることになる。
【0015】
また、前記給油穴が前記内輪の軸方向に沿って二列設けられていると共に、前記各列の前記各給油穴が前記内輪の外周面に向かって互いに近づく方向に斜めに形成されている。
このように構成されたバックアップロール軸用ころ軸受においては、3列のロールのロール間の2箇所に潤滑油を供給するために、バックアップロール軸に設けられた3本の潤滑油供給穴のうち外側の2本を用いるべく、2本の給油穴を互いに接近する方向に斜めに設ける。これにより、両給油穴に作用する油圧を均等になるようにする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態において、既に図6ないし図16において説明した部材等については、図中に同一符号あるいは相当符号を付すことにより説明を簡略化あるいは省略する。
【0017】
図1から図3には、この発明にかかるバックアップロール軸用ころ軸受10の第1実施形態が示されている。このバックアップロール軸用ころ軸受10は内輪分離つば/外輪外つばつき3列円筒ころ(図9参照)であり、給油穴11の貫通方向が、内輪112の内周面112aであってバックアップロール軸12に設けられている潤滑油供給穴106に対応する位置から内輪112の外周面112bにおけるころ114bが通過する内輪軌道面以外の個所に向けて斜めに設けられている。
【0018】
すなわち、2本の給油穴11が、内輪112の径方向(図2において上下方向)に対して斜めに形成されており、2本の給油穴11は内輪112の外周面112b側に向かって互いに接近する方向に設けられている。
これにより、両給油穴11に作用する油圧が均等となるようにして、ころ114bに均等に潤滑油を供給するようにする。
【0019】
なお、内輪軌道面以外の箇所とは、内輪112が回転した際にころ114bがまったく接触しない箇所、例えば、ころ114bところ114bとの間、および内輪112の左右両端部が該当するが、給油穴11が徒に長くならないようにすると共に十分な潤滑油を供給するために、3本の潤滑油供給穴106の両外側の2本106a、106cから潤滑油を供給するようにしている。
なお、給油穴11を徒に長くしない観点から、給油穴11は内輪112の中心軸を含む平面内において斜めであることが望ましい。
【0020】
このように構成することにより、内輪分離つば/外輪外つばつき3列円筒ころに変更する場合に、バックアップロール軸12に設けられている3本の潤滑油供給穴106をもちいて、バックアップロール軸用ころ軸受10に潤滑油を供給することができる。
【0021】
図4には、この発明にかかるバックアップロール軸用ころ軸受30の第2実施形態である内輪分離つば/外輪外つばつき3列円筒ころ(図9参照)の場合が示されている。この場合には、前述した第1実施形態の変形であり、2本の潤滑油供給穴106a、106bが使用されている。
これは、バックアップロール軸12に設けられている2本の潤滑油供給穴106b、106cから、内輪軌道面以外の箇所であるころ114bところ114bとの間までの距離がほぼ等しいような場合であり、2本の給油穴11が同じ方向に斜めとなっている。
【0022】
このように構成することにより、内輪分離つば/外輪外つばつき3列円筒ころに変更する場合に、バックアップロール軸12に設けられている3本の潤滑油供給穴106をもちいて、バックアップロール軸用ころ軸受30に潤滑油を供給することができる。
【0023】
図5には、この発明にかかるバックアップロール軸用ころ軸受40の第3実施形態であるつばなし3列円筒ころ(図10参照)の場合が示されている。
この場合には、前述した第1実施形態におけるバックアップロール軸用ころ軸受10の場合と同様であるが、ころ114a、114aの間隔と、バックアップロール軸12に設けられている3本の潤滑油供給穴106の間隔との関係から、2本の給油穴11を内輪112の外周面112bに向かって互いに離反する方向へ傾けたものである。
【0024】
このように構成することにより、つばなし3列円筒ころのバックアップロール軸用ころ軸受10に変更する場合でも、バックアップロール軸12に設けられている3本の潤滑油供給穴106をもちいて潤滑油を供給することができる。
【0025】
なお、本発明のバックアップロール軸用ころ軸受は、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形、改良等が可能である。
【0026】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明にかかるバックアップロール軸用ころ軸受によれば、内輪に設ける給油穴の方向を斜めにすることにより、内輪の内周面における給油穴の位置を、常にバックアップロール軸の決められた位置に設けられている潤滑油供給穴に対応する位置に位置決めすることができるので、バックアップロール軸用ころ軸受の形式を変更しても常にころに潤滑油を供給することができることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るバックアップロール軸用ころ軸受の第1実施形態を示す要部断面図である。
【図2】本発明に係る第1実施形態である内輪分離つば/外輪外つば付き3列円筒ころの断面図である。
【図3】図1中III部分の拡大断面図である。
【図4】本発明に係る第2実施形態である内輪分離つば/外輪外つば付き3列円筒ころの断面図である。
【図5】本発明に係る第3実施形態であるつばなし3列円筒ころの断面図である。
【図6】従来より一般的な多段圧延機の概略構成図である。
【図7】(A)はバックアップロールの正面図であり、(A)はバックアップロールの一部破断の断面図である。
【図8】従来のつばなし3列円筒ころの断面図である。
【図9】従来の内輪分離つば/外輪外つば付き3列円筒ころの断面図である。
【図10】従来の内輪つば/外輪中つば付き2列円筒ころの断面図である。
【図11】従来の内輪分離つば/外輪中つば付き2列円筒ころの断面図である。
【図12】従来のつばなし3列円筒ころにおける潤滑油供給状態を示す断面図である。
【図13】従来の内輪分離つば/外輪中つば付き2列円筒ころにおける潤滑油供給状態を示す断面図である。
【図14】従来の内輪分離つば/外輪外つば付き3列円筒ころにおける潤滑油供給状態を示す断面図である。
【図15】従来の問題点である図14中XVI部分の拡大断面図である。
【図16】従来の問題点を示す断面図である。
【符号の説明】
10,30,40 バックアップロール軸用ころ軸受
11 給油穴
12 バックアップロール軸
100 多段圧延機
106 潤滑油供給穴
112 内輪
112b 外周面
113 外輪
114 ころ
【発明の属する技術分野】
この発明は、多段圧延機に用いられ強大な圧延力に耐えうるバックアップロール軸用ころ軸受に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、多段圧延機100としては、図6に示すように、圧延する素材を挟持して押圧し、薄く成形する一対のワークロール101が回転自在に設けられている。また、ワークロール101の後方(図6において上下両側)には、複数個の第1中間ロール102、第2中間ロール103、及びバックアップロール104が回転可能に設けられており、バックアップロール104が強大な圧延力に抵抗するようになっている。
図7に示すように、第1中間ロール102、第2中間ロール103、及びバックアップロール104は、複列円筒ころ軸受105に潤滑油を供給する潤滑油供給穴106が多数設けられた支持軸107に、複列円筒ころ軸受105が回転自在に配設され、前段のロールに外輪を当接させてこの外輪を回転させ、ワークロール101に作用する負荷を受けるようになっている。
【0003】
一般的に、多段圧延機100に使用されるころ軸受105の形式としては、図8から図11に示すように、つばなし3列円筒ころ108、内輪分離つば/外輪外つばつき3列円筒ころ109、内輪つば/外輪中つば付き2列円筒ころ110、内輪分離つば/外輪中つば付き2列円筒ころ111等がある。
【0004】
図8には、つばなし3列円筒ころ108の断面が示されている。すなわち、内輪112と外輪113との間には、長さの等しい3列のころ114aを転動自在に保持するための保持器115a,115bが設けられており、保持器115a,115bと内輪112との間には浮き輪116が周方向(図8において紙面直交方向)に設けられている。
一方、内輪112を幅方向に3等分する位置には、潤滑油を供給する給油穴117が内輪112の半径方向に貫通して設けられており、前述した浮き輪116の下に位置する。
【0005】
図9には、内輪分離つば/外輪外つばつき3列円筒ころ109の断面が示されている。すなわち、内輪112の左右両端部には内輪112から分離した内輪分離つば118が設けられ、外輪113の左右両端部には外輪113と一体的な外輪外つば119が設けられている。内輪分離つば118の厚さと外輪つば119の厚さは同じであり、これらのつば118、119の内側に長さの等しい3列のころ114bを転動自在に保持するための保持器115a,115bが設けられている。
なお、図8において前述したものと共通する部位には同じ符号を付して重複する説明を省略する。
【0006】
図10には、内輪つば/外輪中つば付き2列円筒ころ110の断面が示されている。すなわち、一対の内輪112a,112bの外側端部には内輪112aと一体的な内輪つば120が設けられ、外輪113の中央部には外輪中つば121が設けられている。外輪中つば121の左右両側に配置された2列のころ114cは保持器115により転動自在に保持されている。保持器115と内輪112との間には浮き輪116が周方向(図10において紙面直交方向)に設けられている。
一方、内輪112a,112bの突き合わせ面には、潤滑油を供給する給油穴117が設けられており、前述した浮き輪116の下に位置する。なお、図8または図9において前述したものと共通する部位には同じ符号を付して重複する説明を省略する。
【0007】
図11には、内輪分離つば/外輪中つば付き2列円筒ころ111の断面が示されている。すなわち、内輪112の左右両端部には内輪112から分離した内輪分離つば118が設けられ、外輪113の左右両端部には外輪113と一体的な外輪つば119が設けられるとともに、外輪113の中央部には外輪中つば121が設けられている。外輪中つば121の左右両側には、2列のころ114cを保持するための保持器115が設けられており、保持器115と内輪112との間には浮き輪116が周方向(図10において紙面直交方向)に設けられている。なお、図8から図10において前述したものと共通する部位には同じ符号を付して重複する説明を省略する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、これらの軸受形式は、圧延される鋼板や圧延条件により多段圧延機100を使用するユーザによって使い分けされているので、基本的にどのタイプのころ軸受でも使用できるように各軸受への給油穴117は3箇所設けられている。
すなわち、つばなし3列円筒ころ108の場合には、潤滑油は、図12に示すように、前述した支持軸107に設けられている3本のうち両外側の潤滑油供給穴106a、106cを用いて供給されることになる。なお、図7と共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
【0009】
また、内輪つば/外輪中つば付き2列円筒ころ110および内輪分離つば/外輪中つば付き2列円筒ころ111の場合には、潤滑油は、図13に示すように、前述した支持軸107に設けられている3本のうち中央の潤滑油供給穴106bを用いて供給されることになる。
しかしながら、軸受形式を内輪分離つば/外輪外つばつき3列円筒ころ109に変更する場合、図14および図15に示すように、支持軸107に設けられている潤滑油供給穴116cが軸受内輪112の給油穴117の位置からずれて、潤滑油が供給されないため使用できないという問題がある。
【0010】
この問題に対して、給油穴117位置を合わせてすべての軸受形式間の変更を可能にするためには、支持軸107に潤滑油供給穴106を追加する方法と、軸受の給油穴117位置を潤滑油供給穴106位置に合わせる方法がある。
しかし、支持軸107に潤滑油供給穴106を追加することは非常に困難であり、多くの時間とコストを要する。また、図16に示すように、軸受の給油穴117位置を支持軸107の潤滑油供給穴106に合わせると、ころ114の長さを合わせることができず、組み立て時に間違えたり、ころ114にかかる荷重が均等でなくなるという問題がある。
【0011】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、軸受形式を変えても潤滑油の供給を行うことのできるバックアップロール軸用ころ軸受を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明は、多段圧延機のバックアップロール軸を支持するために、前記バックアップロール軸が挿入される内輪と、この内輪に同軸配置された外輪と、前記内輪の内輪軌道面および前記外輪の外輪軌道面間に複数列配置された多数のころと、前記内輪の内周面から当該内輪の外周面まで貫通する給油穴とを有するバックアップロール軸用ころ軸受であって、前記給油穴の貫通方向が、前記バックアップロールに設けられている潤滑油供給穴に対応する位置から前記内輪の外周面における前記ころが通過する内輪軌道面以外の個所に向けて、前記内輪の径方向に対して斜めに形成されていることを特徴としている。
【0013】
ここで、内輪軌道面以外の箇所とは、内輪が回転した際にローラがまったく接触しない箇所、例えば、ころところとの間やころの両外側がある。また、内輪の径方向に対して斜めとは、給油穴が徒に長くならないように、内輪の中心軸を含む平面内において斜めであることが望ましい。
【0014】
このように構成されたバックアップロール軸用ころ軸受においては、内輪に設ける給油穴の方向を斜めにすることにより、内輪の内周面における給油穴の位置を、常にバックアップロール軸の決められた位置に設けられている潤滑油供給穴に対応する位置に位置決めすることができるので、常にころに潤滑油を供給することができることになり、異なる形式のバックアップロール軸用ころ軸受に変更することが可能になる。
従って、このバックアップロール軸用ころ軸受においては、軸受形式を変えた場合に潤滑油の供給を行うことができない場合があるという従来の問題を解消できることになる。
【0015】
また、前記給油穴が前記内輪の軸方向に沿って二列設けられていると共に、前記各列の前記各給油穴が前記内輪の外周面に向かって互いに近づく方向に斜めに形成されている。
このように構成されたバックアップロール軸用ころ軸受においては、3列のロールのロール間の2箇所に潤滑油を供給するために、バックアップロール軸に設けられた3本の潤滑油供給穴のうち外側の2本を用いるべく、2本の給油穴を互いに接近する方向に斜めに設ける。これにより、両給油穴に作用する油圧を均等になるようにする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態において、既に図6ないし図16において説明した部材等については、図中に同一符号あるいは相当符号を付すことにより説明を簡略化あるいは省略する。
【0017】
図1から図3には、この発明にかかるバックアップロール軸用ころ軸受10の第1実施形態が示されている。このバックアップロール軸用ころ軸受10は内輪分離つば/外輪外つばつき3列円筒ころ(図9参照)であり、給油穴11の貫通方向が、内輪112の内周面112aであってバックアップロール軸12に設けられている潤滑油供給穴106に対応する位置から内輪112の外周面112bにおけるころ114bが通過する内輪軌道面以外の個所に向けて斜めに設けられている。
【0018】
すなわち、2本の給油穴11が、内輪112の径方向(図2において上下方向)に対して斜めに形成されており、2本の給油穴11は内輪112の外周面112b側に向かって互いに接近する方向に設けられている。
これにより、両給油穴11に作用する油圧が均等となるようにして、ころ114bに均等に潤滑油を供給するようにする。
【0019】
なお、内輪軌道面以外の箇所とは、内輪112が回転した際にころ114bがまったく接触しない箇所、例えば、ころ114bところ114bとの間、および内輪112の左右両端部が該当するが、給油穴11が徒に長くならないようにすると共に十分な潤滑油を供給するために、3本の潤滑油供給穴106の両外側の2本106a、106cから潤滑油を供給するようにしている。
なお、給油穴11を徒に長くしない観点から、給油穴11は内輪112の中心軸を含む平面内において斜めであることが望ましい。
【0020】
このように構成することにより、内輪分離つば/外輪外つばつき3列円筒ころに変更する場合に、バックアップロール軸12に設けられている3本の潤滑油供給穴106をもちいて、バックアップロール軸用ころ軸受10に潤滑油を供給することができる。
【0021】
図4には、この発明にかかるバックアップロール軸用ころ軸受30の第2実施形態である内輪分離つば/外輪外つばつき3列円筒ころ(図9参照)の場合が示されている。この場合には、前述した第1実施形態の変形であり、2本の潤滑油供給穴106a、106bが使用されている。
これは、バックアップロール軸12に設けられている2本の潤滑油供給穴106b、106cから、内輪軌道面以外の箇所であるころ114bところ114bとの間までの距離がほぼ等しいような場合であり、2本の給油穴11が同じ方向に斜めとなっている。
【0022】
このように構成することにより、内輪分離つば/外輪外つばつき3列円筒ころに変更する場合に、バックアップロール軸12に設けられている3本の潤滑油供給穴106をもちいて、バックアップロール軸用ころ軸受30に潤滑油を供給することができる。
【0023】
図5には、この発明にかかるバックアップロール軸用ころ軸受40の第3実施形態であるつばなし3列円筒ころ(図10参照)の場合が示されている。
この場合には、前述した第1実施形態におけるバックアップロール軸用ころ軸受10の場合と同様であるが、ころ114a、114aの間隔と、バックアップロール軸12に設けられている3本の潤滑油供給穴106の間隔との関係から、2本の給油穴11を内輪112の外周面112bに向かって互いに離反する方向へ傾けたものである。
【0024】
このように構成することにより、つばなし3列円筒ころのバックアップロール軸用ころ軸受10に変更する場合でも、バックアップロール軸12に設けられている3本の潤滑油供給穴106をもちいて潤滑油を供給することができる。
【0025】
なお、本発明のバックアップロール軸用ころ軸受は、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形、改良等が可能である。
【0026】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明にかかるバックアップロール軸用ころ軸受によれば、内輪に設ける給油穴の方向を斜めにすることにより、内輪の内周面における給油穴の位置を、常にバックアップロール軸の決められた位置に設けられている潤滑油供給穴に対応する位置に位置決めすることができるので、バックアップロール軸用ころ軸受の形式を変更しても常にころに潤滑油を供給することができることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るバックアップロール軸用ころ軸受の第1実施形態を示す要部断面図である。
【図2】本発明に係る第1実施形態である内輪分離つば/外輪外つば付き3列円筒ころの断面図である。
【図3】図1中III部分の拡大断面図である。
【図4】本発明に係る第2実施形態である内輪分離つば/外輪外つば付き3列円筒ころの断面図である。
【図5】本発明に係る第3実施形態であるつばなし3列円筒ころの断面図である。
【図6】従来より一般的な多段圧延機の概略構成図である。
【図7】(A)はバックアップロールの正面図であり、(A)はバックアップロールの一部破断の断面図である。
【図8】従来のつばなし3列円筒ころの断面図である。
【図9】従来の内輪分離つば/外輪外つば付き3列円筒ころの断面図である。
【図10】従来の内輪つば/外輪中つば付き2列円筒ころの断面図である。
【図11】従来の内輪分離つば/外輪中つば付き2列円筒ころの断面図である。
【図12】従来のつばなし3列円筒ころにおける潤滑油供給状態を示す断面図である。
【図13】従来の内輪分離つば/外輪中つば付き2列円筒ころにおける潤滑油供給状態を示す断面図である。
【図14】従来の内輪分離つば/外輪外つば付き3列円筒ころにおける潤滑油供給状態を示す断面図である。
【図15】従来の問題点である図14中XVI部分の拡大断面図である。
【図16】従来の問題点を示す断面図である。
【符号の説明】
10,30,40 バックアップロール軸用ころ軸受
11 給油穴
12 バックアップロール軸
100 多段圧延機
106 潤滑油供給穴
112 内輪
112b 外周面
113 外輪
114 ころ
Claims (1)
- 多段圧延機のバックアップロール軸を支持するために、前記バックアップロール軸が挿入される内輪と、この内輪に同軸配置された外輪と、前記内輪の内輪軌道面および前記外輪の外輪軌道面間に複数列配置された多数のころと、前記内輪の内周面から当該内輪の外周面まで貫通する給油穴とを有するバックアップロール軸用ころ軸受であって、
前記給油穴の貫通方向が、前記バックアップロールに設けられている潤滑油供給穴に対応する位置から前記内輪の外周面における前記ころが通過する内輪軌道面以外の個所に向けて、前記内輪の径方向に対して斜めに形成されていることを特徴とするバックアップロール軸用ころ軸受。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002174408A JP2004017081A (ja) | 2002-06-14 | 2002-06-14 | バックアップロール軸用ころ軸受 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002174408A JP2004017081A (ja) | 2002-06-14 | 2002-06-14 | バックアップロール軸用ころ軸受 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004017081A true JP2004017081A (ja) | 2004-01-22 |
Family
ID=31173382
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002174408A Pending JP2004017081A (ja) | 2002-06-14 | 2002-06-14 | バックアップロール軸用ころ軸受 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004017081A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006083973A (ja) * | 2004-09-17 | 2006-03-30 | Jtekt Corp | 圧延機用バックアップロール装置 |
JP2008105080A (ja) * | 2006-10-27 | 2008-05-08 | Mitsubishi-Hitachi Metals Machinery Inc | 回転軸に軸着された外輪回転のバックアップロールベアリング潤滑機構 |
JP2010078115A (ja) * | 2008-09-29 | 2010-04-08 | Jtekt Corp | 円筒ころ軸受装置 |
-
2002
- 2002-06-14 JP JP2002174408A patent/JP2004017081A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006083973A (ja) * | 2004-09-17 | 2006-03-30 | Jtekt Corp | 圧延機用バックアップロール装置 |
JP2008105080A (ja) * | 2006-10-27 | 2008-05-08 | Mitsubishi-Hitachi Metals Machinery Inc | 回転軸に軸着された外輪回転のバックアップロールベアリング潤滑機構 |
JP2010078115A (ja) * | 2008-09-29 | 2010-04-08 | Jtekt Corp | 円筒ころ軸受装置 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5315847B2 (ja) | ころ軸受 | |
JP2010001921A (ja) | 調心輪付き転がり軸受、及びこれを用いた連続鋳造機用のロール装置 | |
JP2004017081A (ja) | バックアップロール軸用ころ軸受 | |
JP2004190765A (ja) | 転がり軸受 | |
JP5651966B2 (ja) | ころ軸受 | |
JPS61171917A (ja) | 圧延機ロールネック用多列ころ軸受 | |
JP2016102525A (ja) | 自動調心ころ軸受 | |
JP2008223965A (ja) | 転がり軸受 | |
JP3901874B2 (ja) | 複列円すいころ軸受装置 | |
JP3919055B2 (ja) | 転がり軸受 | |
JP4222069B2 (ja) | バックアップロールユニット | |
JP2008190598A (ja) | スラストころ軸受 | |
JP2015132320A (ja) | 自動調心ころ軸受 | |
JPH11132229A (ja) | 多列円錐ころ軸受構造 | |
JPH0727134A (ja) | 転がり軸受装置 | |
JP2007247755A (ja) | 複列ころ軸受 | |
JP2006002904A (ja) | 保持器付きころ | |
JP2007225061A (ja) | 複列スラストころ軸受 | |
JP2008223963A (ja) | 転がり軸受 | |
JP2003314543A (ja) | 調心輪付きころ軸受 | |
JP2008223964A (ja) | 転がり軸受 | |
JP2009210078A (ja) | 自動調心ころ軸受 | |
JP2001099168A (ja) | ころ軸受 | |
JP2008232170A (ja) | 複列ころがり軸受 | |
JP2004011661A (ja) | 複列円筒ころ軸受 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Effective date: 20050613 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20051017 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Effective date: 20051026 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20060301 |