JP2004015583A - スイッチ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】周波信号の通過時の伝送損失がなく、かつ、遮断時の反射を抑制することが可能なスイッチ装置を提供する。
【解決手段】スイッチ装置10は、伝送線路16上の接地点P1を接地可能なスイッチ11と、終端点P2を終端可能なスイッチ12とを備えている。接地点P1と終端点P2との間隔は、伝送線路上で伝送される周波信号の1/4波長の奇数倍とする。スイッチ11によって接地点P1が接地されたとき、終端点P2は周波信号の周波数で開放状態にある。この終端点P2を終端することによって、伝送線路16端を終端したときと同様の効果を得ることができる。これにより、周波信号の遮断時の反射を抑制することができる。また、スイッチ11,12は、いずれも伝送線路16に挿入されるものではないため、周波信号の通過時の伝送損失が生じない。
【選択図】 図1
【解決手段】スイッチ装置10は、伝送線路16上の接地点P1を接地可能なスイッチ11と、終端点P2を終端可能なスイッチ12とを備えている。接地点P1と終端点P2との間隔は、伝送線路上で伝送される周波信号の1/4波長の奇数倍とする。スイッチ11によって接地点P1が接地されたとき、終端点P2は周波信号の周波数で開放状態にある。この終端点P2を終端することによって、伝送線路16端を終端したときと同様の効果を得ることができる。これにより、周波信号の遮断時の反射を抑制することができる。また、スイッチ11,12は、いずれも伝送線路16に挿入されるものではないため、周波信号の通過時の伝送損失が生じない。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スイッチ装置に関するものであり、特に、伝送線路上で伝送される周波信号のスイッチングを行うのに好適なスイッチ装置の技術に属する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報通信分野における技術の進展は著しく、通信機器が扱う周波数帯域もマイクロ波帯域からミリ波帯域へと、より高い周波数帯域への展開が図られている。このようなマイクロ波帯からミリ波帯までの高周波帯を扱う通信用回路などでは、伝送線路上において、周波信号を通過させる(オン)、または遮断する(オフ)というオン・オフ型のスイッチが多く用いられている。一般に、オン・オフ型スイッチは、機械的に接続を開閉する機械式スイッチや、半導体のP/I/N接合を用いたPINダイオードスイッチや、FET(電界効果トランジスタ)のスイッチング機能を用いたFETスイッチなどで構成される。
【0003】
FETスイッチは、ゲート電極に制御電圧を印加してチャネルの導電率を変化させ、これによるソース・ドレイン間の導電率変化に応じて、ソース・ドレイン間の周波信号の伝達量を変化させる。つまり、FETスイッチは、チャネル層が電気的に導通状態のとき、オンであり、周波信号はドレインまたはソース端子より入力され、チャネルを伝達し、他のソースまたはドレイン端子から出力される。一方、チャネル層がピンチオフ状態のとき、オフであり、ソース・ドレイン間は電気的に開放状態となる。
【0004】
一方、高周波回路に対する小型化の要求は、他の電子回路にも増して強くなりつつある。一般に、高周波回路は、高周波トランジスタなどの半導体素子と整合回路やバイアス回路などをひとつの半導体基板上に集積化したMMIC(Monolithic Microwave IC)として構成されることが多い。MMICの場合、スイッチ回路自体も半導体素子で構成されることが好ましい。このため、通常、MMICでは、PINダイオードや、FETスイッチなどが利用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
FETスイッチはチャネル抵抗を有している。このため、FETスイッチを伝送線路に挿入すると、チャネル抵抗による伝送損失が生じてしまう。また、FETスイッチによって周波信号が遮断されたとき、この遮断された箇所でインピーダンスの不整合が生じてしまう。このため、反射が生じて回路特性が悪化し、回路動作が不安定になる。この問題は、周波信号の周波数が高くなればなるほど顕著に現れる。
【0006】
さらに、よく用いられるデプリーション型のnチャネルFETでは、チャネルをピンチオフするために、ソース電位に対してゲート電極に負の電圧を与える必要がある。しかし、通常、ソース電極は接地電位にされる場合が多いため、このようなデプリーション型のnチャネルFETをスイッチ素子として用いた場合、正電源のドレインバイアス電源とは別個に、ゲート電極用の負電源を設けなければならない。
【0007】
一方、PIN接合を作るプロセスは、FETを形成するプロセスとは別の工程を含んでいる。このため、MMICにPINダイオードスイッチを集積化する場合には、製造方法がFETプロセスに比べて複雑になる。
【0008】
上記諸問題に鑑み、本発明は、周波信号の通過時の伝送損失がなく、かつ、遮断時の反射を抑制することが可能なスイッチ装置を提供することを課題とする。さらに、MMICプロセスに好適であり、また、正電源のみで動作可能なスイッチ装置を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の発明が講じた手段は、伝送線路上で伝送される周波信号のスイッチングを行うスイッチ装置として、前記伝送線路上の第1の点とグランドとの間に設けられ、前記第1の点を接地可能な第1のスイッチと、前記伝送線路において、前記第1の点から、前記周波信号の1/4波長の奇数倍に相当する長さだけ、前記周波信号の入力側に離れた第2の点とグランドとの間に設けられ、前記第2の点を終端可能な第2のスイッチとを備え、前記周波信号を遮断するとき、前記第1のスイッチによって前記第1の点を接地するとともに、前記第2のスイッチによって前記第2の点を終端することを特徴とする。
【0010】
請求項1の発明によると、第1のスイッチによって第1の点が接地され、伝送線路上の周波信号が出力側に出力されないようにするとともに、第2のスイッチによって第2の点が終端され、周波信号が入力側に反射しないようにして、周波信号が遮断される。第1の点と第2の点との間隔は、周波信号の1/4波長の奇数倍に相当する長さであり、第1の点が接地されているとき、第2の点では、周波信号の周波数で伝送線路が開放されている状態と等しくなる。つまり、第2のスイッチによって第2の点を終端することは、開放状態の伝送線路端を終端することに等しい。また、第1および第2のスイッチは、いずれも伝送線路に挿入されるものでない。これにより、周波信号通過時の伝送損失をなくし、かつ、遮断時の反射を抑制することができる。
【0011】
請求項2の発明では、請求項1のスイッチ装置において、前記第1および第2のスイッチは、それぞれ、電界効果トランジスタによって構成され、接地電位以上の制御電圧に応じて、スイッチング動作をすることを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明によると、電界効果トランジスタによってそれぞれ構成された第1および第2のスイッチのスイッチング動作が、接地電位以上の制御電圧によって制御される。これにより、スイッチ装置が正電源のみでスイッチング動作可能になる。
【0013】
請求項3の発明では、請求項2のスイッチ装置において、前記電界効果トランジスタは、ゲートに、第1の電圧として、接地電位以上かつゲートの閾値電圧以上のバイアス電圧および前記制御電圧のいずれか一方が与えられるとともに、ソースおよびドレインに、第2の電圧として、他方が与えられるものであり、かつ、前記第1の電圧が前記第2の電圧以上のとき、ソース・ドレイン間を閉じる一方、前記第1の電圧が前記第2の電圧よりも小さいとき、ソース・ドレイン間を開くことを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明では、請求項3のスイッチ装置において、前記制御電圧は、2値であり、その一方は接地電位であり、他方は前記バイアス電圧であることを特徴とする。
【0015】
請求項4の発明によると、制御電圧が取りうる値を接地電位およびバイアス電圧電位の2値にすることによって、スイッチ装置の制御が容易になり、また、構成を簡略化することができる。
【0016】
請求項5の発明では、請求項3のスイッチ装置において、前記第1および第2のスイッチは、互いに共通の前記第1の電圧と、互いに共通の前記第2の電圧とが与えられることを特徴とする。
【0017】
請求項5の発明によると、第1および第2のスイッチに、互いに共通の第1および第2の電圧が与えられるようにすることによって、一の制御電圧および一のバイアス電圧で、第1および第2のスイッチの双方のスイッチング動作を制御することができる。これにより、スイッチ装置の制御が容易になり、また、装置の構成を簡略化することができる。
【0018】
請求項6の発明では、請求項2のスイッチ装置において、前記電界効果トランジスタは、Ga,In,As,P,N,Alのうち少なくとも1つの元素を含む化合物半導体で構成されていることを特徴とする。
【0019】
請求項6の発明によると、電界効果トランジスタを化合物半導体で構成することによって、より高周波の周波信号のスイッチングが可能となる。
【0020】
請求項7の発明では、請求項1のスイッチ装置において、前記伝送線路上において、前記第1の点から、前記周波信号の1/4波長の奇数倍に相当する長さだけ、前記周波信号の出力側に離れた第3の点とグランドとの間に設けられ、前記第3の点を終端可能な第3のスイッチを備え、出力側から入力側へ伝送される周波信号を遮断するとき、前記第1のスイッチによって前記第1の点を接地するとともに、前記第3のスイッチによって前記第3の点を終端することを特徴とする。
【0021】
請求項7の発明によると、スイッチ装置の出力側から入力側へ伝送される周波信号に対しても、通過時の伝送損失をなくし、かつ、遮断時の反射を抑制することができる。これにより、伝送線路上で双方向に伝送される周波信号に対応可能なスイッチ装置となる。
【0022】
請求項8の発明では、伝送線路上で伝送される周波信号のスイッチングを行うスイッチ装置として、前記伝送線路上の第1の点とグランドとの間に設けられ、前記第1の点を接地可能な第1のスイッチと、前記伝送線路において、前記第1の点が接地されたとき、前記伝送線路が前記周波信号の周波数で開放状態になるところに位置する第2の点とグランドとの間に設けられ、前記第2の点を終端可能な第2のスイッチとを備え、前記周波信号を遮断するとき、前記第1のスイッチによって前記第1の点を接地するとともに、前記第2のスイッチによって前記第2の点を終端することを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施形態であるスイッチ装置の構成を示す。スイッチ装置10は、スイッチ11、スイッチ12、スイッチ13、抵抗素子14、および抵抗素子15から構成される。
【0025】
スイッチ11は、伝送線路16上の接地点P1とグランドとの間に設けられ、接地点P1を接地可能である。なお、スイッチ11は、本発明の第1のスイッチに相当し、接地点P1は、本発明の第1の点に相当する。
【0026】
スイッチ12は、伝送線路16上の、接地点P1よりも周波信号の入力側に位置する終端点P2とグランドとの間に設けられ、終端点P2を終端可能である。なお、スイッチ12および抵抗素子14は、本発明の第2のスイッチに相当し、終端点P2は、本発明の第2の点に相当する。
【0027】
スイッチ13は、伝送線路16上の、接地点P1よりも周波信号の出力側に位置する終端点P3とグランドとの間に設けられ、終端点P3を終端可能である。なお、スイッチ13および抵抗素子15は、本発明の第3のスイッチに相当し、終端点P3は、本発明の第3の点に相当する。
【0028】
接地点P1と終端点P2との間隔、および接地点P1と終端点P3との間隔は、いずれも周波信号の波長λの1/4の奇数倍に相当する長さである。終端点P2,P3、つまり、接地点P1からλ/4の奇数倍だけ離れた点は、接地点P1が接地されたとき、周波信号の周波数で伝送線路16が開放されているときと等しい状態にある。したがって、終端点P2,P3を終端することによって、伝送線路16の端部を終端したときと同様の効果を得ることができる。これにより、終端点P2,P3を終端することによって、周波信号の反射を抑制することができる。
【0029】
本実施形態では、裏面に接地電極を設けた100μmの厚さのGaAs基板上に、幅20μm、厚さ5μmのAuパターンの伝送線路16を形成している。周波信号の周波数として5GHzを想定し、接地点P1および終端点P2間、ならびに接地点P1およびP3間の伝送線路16の長さを、5GHzの約1/4波長にしている。また、抵抗素子14,15の抵抗値については、FET21のソース・ドレイン間の導通時におけるチャネル抵抗値との合計が、それぞれ伝送線路16の特性インピーダンス値になるように調整している。
【0030】
スイッチ装置10は、伝送線路16上で双方向に伝送される周波信号を通過させ、また、遮断するものである。なお、伝送線路16は、本来、一本の連続したものであるが、説明の便宜上、分離して表示している。また、同図において、スイッチ11〜13の直流阻止用容量性素子(キャパシタ)などの表示は省略している。
【0031】
図2(a)(b)は、スイッチ11〜13の回路図である。スイッチ11〜13は、FET(電界効果トランジスタ)で構成されている。なお、本実施形態のスイッチ装置10は、高周波信号の処理が可能なように、Ga,In,As,P,N,Alのうち少なくとも1つの元素を含む化合物半導体である高電子移動度トランジスタ(HEMT:High Electron Mobility Transistor)またはHFET(Heterostructure FET)を用いるものとする。もちろん、これ以外の元素を含むものであってもよい。
【0032】
FET21のゲートには、本発明の第1の電圧に相当するバイアス電圧Vbまたは制御電圧Vcが与えられる。一方、ソースおよびドレインには、それぞれ抵抗素子22,23を介して、本発明の第2の電圧に相当する制御電圧Vcまたはバイアス電圧Vbが与えられる。図2(a)は、ゲートにバイアス電圧Vb、ソースおよびドレインに制御電圧Vcがそれぞれ与えられたときの構成例であり、図2(b)は、ゲートに制御電圧Vc、ソースおよびドレインにバイアス電圧Vbがそれぞれ与えられたときの構成例である。
【0033】
制御電圧Vcおよびバイアス電圧Vbは、ともに接地電位(0V)以上とし、さらに、バイアス電圧Vbについては、FET21の閾値電圧以上とする。これにより、スイッチ11〜13を正電源のみでスイッチング動作させることができる。また、抵抗素子22,23は、伝送線路16上の周波信号のリークがほとんどないように、伝送線路16の特性インピーダンスに比べて十分大きな値のものとする。本実施形態では、制御電圧Vcを0V〜5V程度までの範囲とし、バイアス電圧Vbを0V〜3V程度までの範囲としている。また、抵抗素子22,23の抵抗値は5kΩである。
【0034】
図3(a)(b)は、バイアス電圧Vbを1.0Vとし、制御電圧Vcを接地電位である0.0V、およびバイアス電圧Vbに相当する1.0Vの2値としたときの、FET21のスイッチング特性を示すグラフである。縦軸は、ポート1からポート2へ周波信号が伝達されたときの信号レベルを示し、単位はdBである。また、横軸は、周波信号の周波数を示し、単位はGHzである。
【0035】
同図(a)は、図2(a)の構成によるスイッチのスイッチング特性を示す。同図(a)では、制御電圧Vcが0.0Vのとき、ソース・ドレイン間は閉じる一方、制御電圧Vcが1.0Vのとき、ソース・ドレイン間は開いている。一方、同図(b)は、図2(b)の構成によるスイッチのスイッチング特性を示す。同図(b)では、制御電圧Vcが0.0Vのとき、ソース・ドレイン間は開く一方、制御電圧Vcが1.0Vのとき、ソース・ドレイン間は閉じている。
【0036】
図3(a)(b)に示したスイッチング特性は、抵抗素子22,23の抵抗値を5kΩとしたときのものであるが、抵抗値が500Ω程度であってもスイッチング特性に大きな変化はない。また、FET21の仕様によっては、100Ω程度にすることも可能である。
【0037】
以上のとおりに構成されたスイッチ装置10の動作について、以下、詳細に説明する。
【0038】
本実施形態のスイッチ装置10は、ポート1からポート2への方向に、およびその逆方向に伝送される周波信号を通過させるとき、スイッチ11〜13をすべて開く。一方、周波信号を遮断するとき、スイッチ11〜13がすべて閉じる。
【0039】
図4(a)(b)は、スイッチ11〜13をすべて図2(a)に示した構成で実現したときの、スイッチ装置10のスイッチング特性を示すグラフである。スイッチ11〜13は、共通の制御電圧Vcによって制御される。グラフの縦軸は、周波信号のレベルを示し、単位はdBである。また、横軸は、周波信号の周波数を示し、単位はGHzである。なお、S11は、ポート1に周波信号を入力したときの入力側への反射特性であり、S21は、ポート1からポート2へ周波信号が伝達された時の信号レベルである。
【0040】
同図(a)は、制御電圧Vcが0.0Vのときの、スイッチ装置10による周波信号の遮断特性を示す。同図(b)は、制御電圧Vcが1.0Vのときの、スイッチ装置10による周波信号の通過特性を示す。同図(a)において、5GHzにおけるS21のレベルは−19dBであり、周波信号は十分に遮断されている。また、S11のレベルは−25dBであり、周波信号の入力側への反射も十分に抑制されている。一方、同図(b)において、5GHzにおけるS21のレベルは約0dbであり、周波信号の通過時に伝送損失が生じていない。なお、S12およびS22特性については、図示していないが、スイッチ装置10の回路の対称性から、S21およびS11特性と同様なものとなる。
【0041】
図5(a)(b)は、スイッチ11〜13をすべて図2(b)に示した構成で実現したときの、スイッチ装置10のスイッチング特性を示すグラフである。縦軸および横軸は、図4と同様である。同図(a)は、制御電圧Vcが0.0Vのときの、スイッチ装置10による周波信号の通過特性を示す。一方、同図(b)は、制御電圧Vcが1.0Vのときの、スイッチ装置10による周波信号の遮断特性を示す。同図に示されたスイッチ装置10のスイッチング特性は、図4に示された特性と同様なものとなっている。このことから、スイッチ11〜13の構成を変えても、本発明が奏する効果に影響がないことがわかる。
【0042】
上記説明において、接地点P1と終端点P2との間隔、および接地点P1と終端点P3との間隔は、周波信号のλ/4の奇数倍であるとしているが、多少の誤差は許容される。たとえば、反射レベルとして−10dB以下が要求されている場合、本実施形態のスイッチ装置10は、図4(a)のS11特性から判断するに、約3GHz〜6.5GHzの周波信号に対して使用可能である。換言すると、3GHzの周波信号を扱うスイッチ装置を実現する場合、接地点P1と終端点P2との間隔が25mm(3GHzのλ/4)であるべきところが、15mm(5GHzのλ/4)になってしまっても、S11特性として−10dB以下を達成することができる。
【0043】
接地点P1と終端点P2との間隔、および接地点P1と終端点P3との間隔に対する許容誤差は、スイッチ装置10への要求に応じて変化する。要求が厳しいときは、わずかな誤差しか許容されないが、要求が比較的緩やかなときは、λ/8程度まで誤差が許容される。
【0044】
また、図4および図5において、周波信号が10GHzまでのスイッチング特性しか示していないが、本実施形態のスイッチ装置10は、それ以上の60G〜75GHzのミリ波帯までについても同様の効果を奏する。さらには、ミリ波帯以上の高周波域にまで拡張して適用することが可能である。
【0045】
以上、本実施形態によると、伝送線路16上で伝送される周波信号を通過させるときには、周波信号に対して伝送損失が生じないようにし、遮断するときには、伝送線路16を正しく終端して、反射を十分に抑制することができる。また、FETを用いた構成であるため、MMICプロセスに好適である。さらに、このFETスイッチは、接地電圧以上の制御電圧Vcで制御されるため、スイッチ装置10は正電源のみで動作可能である。
【0046】
なお、周波信号が、ポート1からポート2への一方向のものである場合、スイッチ13および終端抵抗15を省略することができる。さらに、スイッチ12の導通時のチャネル抵抗値を、伝送線路16の特性インピーダンスと同じになるようにすることにより、終端抵抗14を省略することができる。
【0047】
また、スイッチ11〜13は、必ずしも同じ特性のFETを用いる必要はない。スイッチごとにさまざまな制御電圧Vcやバイアス電圧Vbを適用しても、本発明が奏する効果に影響はない。しかし、制御の容易化、および構成の簡易化の観点から、本実施形態のように、スイッチ11〜13として同じ回路構成のスイッチを用い、制御電圧Vcおよびバイアス電圧Vbを共通にすることが好ましい。さらに、制御電圧Vcの取り得る値は、接地電位およびバイアス電圧Vbの2値にすることが好ましい。
【0048】
また、スイッチ11〜13は、HEMTまたはHFETのFET21による構成に限定されるものではなく、PチャネルFETなど他の構造のFETで構成してもよい。さらには、スイッチ動作をするものであれば、FET以外のもので構成することも可能である。しかし、高周波信号を扱うことができるようにするために、本実施形態のように、HEMTやHFETを用いることが好ましい。
【0049】
【発明の効果】
以上、本発明によると、伝送線路上の周波信号の通過時には、周波信号のレベルを減衰させないようにし、また、遮断時には、周波信号が反射しないようにすることができる。これにより、回路特性が向上し、回路の動作を安定化することができる。
【0050】
また、本発明によるスイッチ装置は、正電源のみでスイッチング制御が可能である。これにより、負電源を用意する必要がなくなり、電源回路を簡略化し、回路面積を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態のスイッチ装置の構成図である。
【図2】図1のスイッチ装置におけるスイッチの回路図である。
【図3】図2のスイッチのスイッチング特性を示すグラフである。
【図4】図1のスイッチ装置のスイッチング特性を示すグラフである。
【図5】図1のスイッチ装置のスイッチング特性を示すグラフである。
【符号の説明】
10 スイッチ装置
11 スイッチ(第1のスイッチ)
12 スイッチ(第2のスイッチ)
13 スイッチ(第3のスイッチ)
16 伝送線路
21 FET(電界効果トランジスタ)
P1 接地点(第1の点)
P2 終端点(第2の点)
P3 終端点(第3の点)
Vb バイアス電圧(第1の電圧、第2の電圧)
Vc 制御電圧(第2の電圧、第1の電圧)
【発明の属する技術分野】
本発明は、スイッチ装置に関するものであり、特に、伝送線路上で伝送される周波信号のスイッチングを行うのに好適なスイッチ装置の技術に属する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報通信分野における技術の進展は著しく、通信機器が扱う周波数帯域もマイクロ波帯域からミリ波帯域へと、より高い周波数帯域への展開が図られている。このようなマイクロ波帯からミリ波帯までの高周波帯を扱う通信用回路などでは、伝送線路上において、周波信号を通過させる(オン)、または遮断する(オフ)というオン・オフ型のスイッチが多く用いられている。一般に、オン・オフ型スイッチは、機械的に接続を開閉する機械式スイッチや、半導体のP/I/N接合を用いたPINダイオードスイッチや、FET(電界効果トランジスタ)のスイッチング機能を用いたFETスイッチなどで構成される。
【0003】
FETスイッチは、ゲート電極に制御電圧を印加してチャネルの導電率を変化させ、これによるソース・ドレイン間の導電率変化に応じて、ソース・ドレイン間の周波信号の伝達量を変化させる。つまり、FETスイッチは、チャネル層が電気的に導通状態のとき、オンであり、周波信号はドレインまたはソース端子より入力され、チャネルを伝達し、他のソースまたはドレイン端子から出力される。一方、チャネル層がピンチオフ状態のとき、オフであり、ソース・ドレイン間は電気的に開放状態となる。
【0004】
一方、高周波回路に対する小型化の要求は、他の電子回路にも増して強くなりつつある。一般に、高周波回路は、高周波トランジスタなどの半導体素子と整合回路やバイアス回路などをひとつの半導体基板上に集積化したMMIC(Monolithic Microwave IC)として構成されることが多い。MMICの場合、スイッチ回路自体も半導体素子で構成されることが好ましい。このため、通常、MMICでは、PINダイオードや、FETスイッチなどが利用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
FETスイッチはチャネル抵抗を有している。このため、FETスイッチを伝送線路に挿入すると、チャネル抵抗による伝送損失が生じてしまう。また、FETスイッチによって周波信号が遮断されたとき、この遮断された箇所でインピーダンスの不整合が生じてしまう。このため、反射が生じて回路特性が悪化し、回路動作が不安定になる。この問題は、周波信号の周波数が高くなればなるほど顕著に現れる。
【0006】
さらに、よく用いられるデプリーション型のnチャネルFETでは、チャネルをピンチオフするために、ソース電位に対してゲート電極に負の電圧を与える必要がある。しかし、通常、ソース電極は接地電位にされる場合が多いため、このようなデプリーション型のnチャネルFETをスイッチ素子として用いた場合、正電源のドレインバイアス電源とは別個に、ゲート電極用の負電源を設けなければならない。
【0007】
一方、PIN接合を作るプロセスは、FETを形成するプロセスとは別の工程を含んでいる。このため、MMICにPINダイオードスイッチを集積化する場合には、製造方法がFETプロセスに比べて複雑になる。
【0008】
上記諸問題に鑑み、本発明は、周波信号の通過時の伝送損失がなく、かつ、遮断時の反射を抑制することが可能なスイッチ装置を提供することを課題とする。さらに、MMICプロセスに好適であり、また、正電源のみで動作可能なスイッチ装置を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の発明が講じた手段は、伝送線路上で伝送される周波信号のスイッチングを行うスイッチ装置として、前記伝送線路上の第1の点とグランドとの間に設けられ、前記第1の点を接地可能な第1のスイッチと、前記伝送線路において、前記第1の点から、前記周波信号の1/4波長の奇数倍に相当する長さだけ、前記周波信号の入力側に離れた第2の点とグランドとの間に設けられ、前記第2の点を終端可能な第2のスイッチとを備え、前記周波信号を遮断するとき、前記第1のスイッチによって前記第1の点を接地するとともに、前記第2のスイッチによって前記第2の点を終端することを特徴とする。
【0010】
請求項1の発明によると、第1のスイッチによって第1の点が接地され、伝送線路上の周波信号が出力側に出力されないようにするとともに、第2のスイッチによって第2の点が終端され、周波信号が入力側に反射しないようにして、周波信号が遮断される。第1の点と第2の点との間隔は、周波信号の1/4波長の奇数倍に相当する長さであり、第1の点が接地されているとき、第2の点では、周波信号の周波数で伝送線路が開放されている状態と等しくなる。つまり、第2のスイッチによって第2の点を終端することは、開放状態の伝送線路端を終端することに等しい。また、第1および第2のスイッチは、いずれも伝送線路に挿入されるものでない。これにより、周波信号通過時の伝送損失をなくし、かつ、遮断時の反射を抑制することができる。
【0011】
請求項2の発明では、請求項1のスイッチ装置において、前記第1および第2のスイッチは、それぞれ、電界効果トランジスタによって構成され、接地電位以上の制御電圧に応じて、スイッチング動作をすることを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明によると、電界効果トランジスタによってそれぞれ構成された第1および第2のスイッチのスイッチング動作が、接地電位以上の制御電圧によって制御される。これにより、スイッチ装置が正電源のみでスイッチング動作可能になる。
【0013】
請求項3の発明では、請求項2のスイッチ装置において、前記電界効果トランジスタは、ゲートに、第1の電圧として、接地電位以上かつゲートの閾値電圧以上のバイアス電圧および前記制御電圧のいずれか一方が与えられるとともに、ソースおよびドレインに、第2の電圧として、他方が与えられるものであり、かつ、前記第1の電圧が前記第2の電圧以上のとき、ソース・ドレイン間を閉じる一方、前記第1の電圧が前記第2の電圧よりも小さいとき、ソース・ドレイン間を開くことを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明では、請求項3のスイッチ装置において、前記制御電圧は、2値であり、その一方は接地電位であり、他方は前記バイアス電圧であることを特徴とする。
【0015】
請求項4の発明によると、制御電圧が取りうる値を接地電位およびバイアス電圧電位の2値にすることによって、スイッチ装置の制御が容易になり、また、構成を簡略化することができる。
【0016】
請求項5の発明では、請求項3のスイッチ装置において、前記第1および第2のスイッチは、互いに共通の前記第1の電圧と、互いに共通の前記第2の電圧とが与えられることを特徴とする。
【0017】
請求項5の発明によると、第1および第2のスイッチに、互いに共通の第1および第2の電圧が与えられるようにすることによって、一の制御電圧および一のバイアス電圧で、第1および第2のスイッチの双方のスイッチング動作を制御することができる。これにより、スイッチ装置の制御が容易になり、また、装置の構成を簡略化することができる。
【0018】
請求項6の発明では、請求項2のスイッチ装置において、前記電界効果トランジスタは、Ga,In,As,P,N,Alのうち少なくとも1つの元素を含む化合物半導体で構成されていることを特徴とする。
【0019】
請求項6の発明によると、電界効果トランジスタを化合物半導体で構成することによって、より高周波の周波信号のスイッチングが可能となる。
【0020】
請求項7の発明では、請求項1のスイッチ装置において、前記伝送線路上において、前記第1の点から、前記周波信号の1/4波長の奇数倍に相当する長さだけ、前記周波信号の出力側に離れた第3の点とグランドとの間に設けられ、前記第3の点を終端可能な第3のスイッチを備え、出力側から入力側へ伝送される周波信号を遮断するとき、前記第1のスイッチによって前記第1の点を接地するとともに、前記第3のスイッチによって前記第3の点を終端することを特徴とする。
【0021】
請求項7の発明によると、スイッチ装置の出力側から入力側へ伝送される周波信号に対しても、通過時の伝送損失をなくし、かつ、遮断時の反射を抑制することができる。これにより、伝送線路上で双方向に伝送される周波信号に対応可能なスイッチ装置となる。
【0022】
請求項8の発明では、伝送線路上で伝送される周波信号のスイッチングを行うスイッチ装置として、前記伝送線路上の第1の点とグランドとの間に設けられ、前記第1の点を接地可能な第1のスイッチと、前記伝送線路において、前記第1の点が接地されたとき、前記伝送線路が前記周波信号の周波数で開放状態になるところに位置する第2の点とグランドとの間に設けられ、前記第2の点を終端可能な第2のスイッチとを備え、前記周波信号を遮断するとき、前記第1のスイッチによって前記第1の点を接地するとともに、前記第2のスイッチによって前記第2の点を終端することを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施形態であるスイッチ装置の構成を示す。スイッチ装置10は、スイッチ11、スイッチ12、スイッチ13、抵抗素子14、および抵抗素子15から構成される。
【0025】
スイッチ11は、伝送線路16上の接地点P1とグランドとの間に設けられ、接地点P1を接地可能である。なお、スイッチ11は、本発明の第1のスイッチに相当し、接地点P1は、本発明の第1の点に相当する。
【0026】
スイッチ12は、伝送線路16上の、接地点P1よりも周波信号の入力側に位置する終端点P2とグランドとの間に設けられ、終端点P2を終端可能である。なお、スイッチ12および抵抗素子14は、本発明の第2のスイッチに相当し、終端点P2は、本発明の第2の点に相当する。
【0027】
スイッチ13は、伝送線路16上の、接地点P1よりも周波信号の出力側に位置する終端点P3とグランドとの間に設けられ、終端点P3を終端可能である。なお、スイッチ13および抵抗素子15は、本発明の第3のスイッチに相当し、終端点P3は、本発明の第3の点に相当する。
【0028】
接地点P1と終端点P2との間隔、および接地点P1と終端点P3との間隔は、いずれも周波信号の波長λの1/4の奇数倍に相当する長さである。終端点P2,P3、つまり、接地点P1からλ/4の奇数倍だけ離れた点は、接地点P1が接地されたとき、周波信号の周波数で伝送線路16が開放されているときと等しい状態にある。したがって、終端点P2,P3を終端することによって、伝送線路16の端部を終端したときと同様の効果を得ることができる。これにより、終端点P2,P3を終端することによって、周波信号の反射を抑制することができる。
【0029】
本実施形態では、裏面に接地電極を設けた100μmの厚さのGaAs基板上に、幅20μm、厚さ5μmのAuパターンの伝送線路16を形成している。周波信号の周波数として5GHzを想定し、接地点P1および終端点P2間、ならびに接地点P1およびP3間の伝送線路16の長さを、5GHzの約1/4波長にしている。また、抵抗素子14,15の抵抗値については、FET21のソース・ドレイン間の導通時におけるチャネル抵抗値との合計が、それぞれ伝送線路16の特性インピーダンス値になるように調整している。
【0030】
スイッチ装置10は、伝送線路16上で双方向に伝送される周波信号を通過させ、また、遮断するものである。なお、伝送線路16は、本来、一本の連続したものであるが、説明の便宜上、分離して表示している。また、同図において、スイッチ11〜13の直流阻止用容量性素子(キャパシタ)などの表示は省略している。
【0031】
図2(a)(b)は、スイッチ11〜13の回路図である。スイッチ11〜13は、FET(電界効果トランジスタ)で構成されている。なお、本実施形態のスイッチ装置10は、高周波信号の処理が可能なように、Ga,In,As,P,N,Alのうち少なくとも1つの元素を含む化合物半導体である高電子移動度トランジスタ(HEMT:High Electron Mobility Transistor)またはHFET(Heterostructure FET)を用いるものとする。もちろん、これ以外の元素を含むものであってもよい。
【0032】
FET21のゲートには、本発明の第1の電圧に相当するバイアス電圧Vbまたは制御電圧Vcが与えられる。一方、ソースおよびドレインには、それぞれ抵抗素子22,23を介して、本発明の第2の電圧に相当する制御電圧Vcまたはバイアス電圧Vbが与えられる。図2(a)は、ゲートにバイアス電圧Vb、ソースおよびドレインに制御電圧Vcがそれぞれ与えられたときの構成例であり、図2(b)は、ゲートに制御電圧Vc、ソースおよびドレインにバイアス電圧Vbがそれぞれ与えられたときの構成例である。
【0033】
制御電圧Vcおよびバイアス電圧Vbは、ともに接地電位(0V)以上とし、さらに、バイアス電圧Vbについては、FET21の閾値電圧以上とする。これにより、スイッチ11〜13を正電源のみでスイッチング動作させることができる。また、抵抗素子22,23は、伝送線路16上の周波信号のリークがほとんどないように、伝送線路16の特性インピーダンスに比べて十分大きな値のものとする。本実施形態では、制御電圧Vcを0V〜5V程度までの範囲とし、バイアス電圧Vbを0V〜3V程度までの範囲としている。また、抵抗素子22,23の抵抗値は5kΩである。
【0034】
図3(a)(b)は、バイアス電圧Vbを1.0Vとし、制御電圧Vcを接地電位である0.0V、およびバイアス電圧Vbに相当する1.0Vの2値としたときの、FET21のスイッチング特性を示すグラフである。縦軸は、ポート1からポート2へ周波信号が伝達されたときの信号レベルを示し、単位はdBである。また、横軸は、周波信号の周波数を示し、単位はGHzである。
【0035】
同図(a)は、図2(a)の構成によるスイッチのスイッチング特性を示す。同図(a)では、制御電圧Vcが0.0Vのとき、ソース・ドレイン間は閉じる一方、制御電圧Vcが1.0Vのとき、ソース・ドレイン間は開いている。一方、同図(b)は、図2(b)の構成によるスイッチのスイッチング特性を示す。同図(b)では、制御電圧Vcが0.0Vのとき、ソース・ドレイン間は開く一方、制御電圧Vcが1.0Vのとき、ソース・ドレイン間は閉じている。
【0036】
図3(a)(b)に示したスイッチング特性は、抵抗素子22,23の抵抗値を5kΩとしたときのものであるが、抵抗値が500Ω程度であってもスイッチング特性に大きな変化はない。また、FET21の仕様によっては、100Ω程度にすることも可能である。
【0037】
以上のとおりに構成されたスイッチ装置10の動作について、以下、詳細に説明する。
【0038】
本実施形態のスイッチ装置10は、ポート1からポート2への方向に、およびその逆方向に伝送される周波信号を通過させるとき、スイッチ11〜13をすべて開く。一方、周波信号を遮断するとき、スイッチ11〜13がすべて閉じる。
【0039】
図4(a)(b)は、スイッチ11〜13をすべて図2(a)に示した構成で実現したときの、スイッチ装置10のスイッチング特性を示すグラフである。スイッチ11〜13は、共通の制御電圧Vcによって制御される。グラフの縦軸は、周波信号のレベルを示し、単位はdBである。また、横軸は、周波信号の周波数を示し、単位はGHzである。なお、S11は、ポート1に周波信号を入力したときの入力側への反射特性であり、S21は、ポート1からポート2へ周波信号が伝達された時の信号レベルである。
【0040】
同図(a)は、制御電圧Vcが0.0Vのときの、スイッチ装置10による周波信号の遮断特性を示す。同図(b)は、制御電圧Vcが1.0Vのときの、スイッチ装置10による周波信号の通過特性を示す。同図(a)において、5GHzにおけるS21のレベルは−19dBであり、周波信号は十分に遮断されている。また、S11のレベルは−25dBであり、周波信号の入力側への反射も十分に抑制されている。一方、同図(b)において、5GHzにおけるS21のレベルは約0dbであり、周波信号の通過時に伝送損失が生じていない。なお、S12およびS22特性については、図示していないが、スイッチ装置10の回路の対称性から、S21およびS11特性と同様なものとなる。
【0041】
図5(a)(b)は、スイッチ11〜13をすべて図2(b)に示した構成で実現したときの、スイッチ装置10のスイッチング特性を示すグラフである。縦軸および横軸は、図4と同様である。同図(a)は、制御電圧Vcが0.0Vのときの、スイッチ装置10による周波信号の通過特性を示す。一方、同図(b)は、制御電圧Vcが1.0Vのときの、スイッチ装置10による周波信号の遮断特性を示す。同図に示されたスイッチ装置10のスイッチング特性は、図4に示された特性と同様なものとなっている。このことから、スイッチ11〜13の構成を変えても、本発明が奏する効果に影響がないことがわかる。
【0042】
上記説明において、接地点P1と終端点P2との間隔、および接地点P1と終端点P3との間隔は、周波信号のλ/4の奇数倍であるとしているが、多少の誤差は許容される。たとえば、反射レベルとして−10dB以下が要求されている場合、本実施形態のスイッチ装置10は、図4(a)のS11特性から判断するに、約3GHz〜6.5GHzの周波信号に対して使用可能である。換言すると、3GHzの周波信号を扱うスイッチ装置を実現する場合、接地点P1と終端点P2との間隔が25mm(3GHzのλ/4)であるべきところが、15mm(5GHzのλ/4)になってしまっても、S11特性として−10dB以下を達成することができる。
【0043】
接地点P1と終端点P2との間隔、および接地点P1と終端点P3との間隔に対する許容誤差は、スイッチ装置10への要求に応じて変化する。要求が厳しいときは、わずかな誤差しか許容されないが、要求が比較的緩やかなときは、λ/8程度まで誤差が許容される。
【0044】
また、図4および図5において、周波信号が10GHzまでのスイッチング特性しか示していないが、本実施形態のスイッチ装置10は、それ以上の60G〜75GHzのミリ波帯までについても同様の効果を奏する。さらには、ミリ波帯以上の高周波域にまで拡張して適用することが可能である。
【0045】
以上、本実施形態によると、伝送線路16上で伝送される周波信号を通過させるときには、周波信号に対して伝送損失が生じないようにし、遮断するときには、伝送線路16を正しく終端して、反射を十分に抑制することができる。また、FETを用いた構成であるため、MMICプロセスに好適である。さらに、このFETスイッチは、接地電圧以上の制御電圧Vcで制御されるため、スイッチ装置10は正電源のみで動作可能である。
【0046】
なお、周波信号が、ポート1からポート2への一方向のものである場合、スイッチ13および終端抵抗15を省略することができる。さらに、スイッチ12の導通時のチャネル抵抗値を、伝送線路16の特性インピーダンスと同じになるようにすることにより、終端抵抗14を省略することができる。
【0047】
また、スイッチ11〜13は、必ずしも同じ特性のFETを用いる必要はない。スイッチごとにさまざまな制御電圧Vcやバイアス電圧Vbを適用しても、本発明が奏する効果に影響はない。しかし、制御の容易化、および構成の簡易化の観点から、本実施形態のように、スイッチ11〜13として同じ回路構成のスイッチを用い、制御電圧Vcおよびバイアス電圧Vbを共通にすることが好ましい。さらに、制御電圧Vcの取り得る値は、接地電位およびバイアス電圧Vbの2値にすることが好ましい。
【0048】
また、スイッチ11〜13は、HEMTまたはHFETのFET21による構成に限定されるものではなく、PチャネルFETなど他の構造のFETで構成してもよい。さらには、スイッチ動作をするものであれば、FET以外のもので構成することも可能である。しかし、高周波信号を扱うことができるようにするために、本実施形態のように、HEMTやHFETを用いることが好ましい。
【0049】
【発明の効果】
以上、本発明によると、伝送線路上の周波信号の通過時には、周波信号のレベルを減衰させないようにし、また、遮断時には、周波信号が反射しないようにすることができる。これにより、回路特性が向上し、回路の動作を安定化することができる。
【0050】
また、本発明によるスイッチ装置は、正電源のみでスイッチング制御が可能である。これにより、負電源を用意する必要がなくなり、電源回路を簡略化し、回路面積を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態のスイッチ装置の構成図である。
【図2】図1のスイッチ装置におけるスイッチの回路図である。
【図3】図2のスイッチのスイッチング特性を示すグラフである。
【図4】図1のスイッチ装置のスイッチング特性を示すグラフである。
【図5】図1のスイッチ装置のスイッチング特性を示すグラフである。
【符号の説明】
10 スイッチ装置
11 スイッチ(第1のスイッチ)
12 スイッチ(第2のスイッチ)
13 スイッチ(第3のスイッチ)
16 伝送線路
21 FET(電界効果トランジスタ)
P1 接地点(第1の点)
P2 終端点(第2の点)
P3 終端点(第3の点)
Vb バイアス電圧(第1の電圧、第2の電圧)
Vc 制御電圧(第2の電圧、第1の電圧)
Claims (8)
- 伝送線路上で伝送される周波信号のスイッチングを行うスイッチ装置であって、
前記伝送線路上の第1の点と、グランドとの間に設けられ、前記第1の点を接地可能な第1のスイッチと、
前記伝送線路において、前記第1の点から、前記周波信号の1/4波長の奇数倍に相当する長さだけ、前記周波信号の入力側に離れた第2の点と、グランドとの間に設けられ、前記第2の点を終端可能な第2のスイッチとを備え、
前記周波信号を遮断するとき、前記第1のスイッチによって前記第1の点を接地するとともに、前記第2のスイッチによって前記第2の点を終端する
ことを特徴とするスイッチ装置。 - 請求項1記載のスイッチ装置において、
前記第1および第2のスイッチは、それぞれ、電界効果トランジスタによって構成され、接地電位以上の制御電圧に応じて、スイッチング動作をする
ことを特徴とするスイッチ装置。 - 請求項2記載のスイッチ装置において、
前記電界効果トランジスタは、
ゲートに、第1の電圧として、接地電位以上かつゲートの閾値電圧以上のバイアス電圧および前記制御電圧のいずれか一方が与えられるとともに、ソースおよびドレインに、第2の電圧として、他方が与えられるものであり、かつ、
前記第1の電圧が前記第2の電圧以上のとき、ソース・ドレイン間を閉じる一方、前記第1の電圧が前記第2の電圧よりも小さいとき、ソース・ドレイン間を開く
ことを特徴とするスイッチ装置。 - 請求項3記載のスイッチ装置において、
前記制御電圧は、2値であり、
その一方は接地電位であり、他方は前記バイアス電圧である
ことを特徴とするスイッチ装置。 - 請求項3記載のスイッチ装置において、
前記第1および第2のスイッチは、
互いに共通の前記第1の電圧と、互いに共通の前記第2の電圧とが、与えられる
ことを特徴とするスイッチ装置。 - 請求項2記載のスイッチ装置において、
前記電界効果トランジスタは、Ga,In,As,P,N,Alのうち少なくとも1つの元素を含む化合物半導体で構成されている
ことを特徴とするスイッチ装置。 - 請求項1記載のスイッチ装置において、
前記伝送線路上において、前記第1の点から、前記周波信号の1/4波長の奇数倍に相当する長さだけ、前記周波信号の出力側に離れた第3の点と、グランドとの間に設けられ、前記第3の点を終端可能な第3のスイッチを備え、
出力側から入力側へ伝送される周波信号を遮断するとき、前記第1のスイッチによって前記第1の点を接地するとともに、前記第3のスイッチによって前記第3の点を終端する
ことを特徴とするスイッチ装置。 - 伝送線路上で伝送される周波信号のスイッチングを行うスイッチ装置であって、
前記伝送線路上の第1の点と、グランドとの間に設けられ、前記第1の点を接地可能な第1のスイッチと、
前記伝送線路において、前記第1の点が接地されたとき、前記伝送線路が前記周波信号の周波数で開放状態になるところに位置する第2の点と、グランドとの間に設けられ、前記第2の点を終端可能な第2のスイッチとを備え、
前記周波信号を遮断するとき、前記第1のスイッチによって前記第1の点を接地するとともに、前記第2のスイッチによって前記第2の点を終端する
ことを特徴とするスイッチ装置。
Priority Applications (1)
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JP2002168115A JP2004015583A (ja) | 2002-06-10 | 2002-06-10 | スイッチ装置 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007150520A (ja) * | 2005-11-25 | 2007-06-14 | Mitsubishi Electric Corp | 高周波スイッチ |
JP2007228150A (ja) * | 2006-02-22 | 2007-09-06 | Mitsubishi Electric Corp | 信号遮断回路及び通信システム |
US7280006B2 (en) | 2004-10-25 | 2007-10-09 | Hitachi Kousai Electric Inc. | High-frequency switch circuit device |
-
2002
- 2002-06-10 JP JP2002168115A patent/JP2004015583A/ja active Pending
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