JP2004023695A - スイッチ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】一般的なFETによって、ミリ波帯域程度の高周波信号のスイッチングを可能にする。
【解決手段】ソース接地されたFET11のゲートに、制御電圧Vcのバイアスをかける。FET11は、制御電圧Vcのレベルに応じて、増幅作用を呈する能動状態と、増幅作用を呈さない非能動状態に切り替わる。そして、FET11を能動状態にすることによって、ゲートに与えられた高周波信号に応じて変化する電圧信号が、ドレインから出力される。これにより、実質的に高周波信号を通過させることができる。一方、FET11を非能動状態にすることによって、ドレインから出力される電圧信号は、入力とする高周波信号に対して変化が抑制されたものとなる。これにより、入力とする高周波信号を実質的に遮断することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】ソース接地されたFET11のゲートに、制御電圧Vcのバイアスをかける。FET11は、制御電圧Vcのレベルに応じて、増幅作用を呈する能動状態と、増幅作用を呈さない非能動状態に切り替わる。そして、FET11を能動状態にすることによって、ゲートに与えられた高周波信号に応じて変化する電圧信号が、ドレインから出力される。これにより、実質的に高周波信号を通過させることができる。一方、FET11を非能動状態にすることによって、ドレインから出力される電圧信号は、入力とする高周波信号に対して変化が抑制されたものとなる。これにより、入力とする高周波信号を実質的に遮断することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スイッチ装置に関するものであり、特に、高周波信号のスイッチングに好適なスイッチ装置の技術に属する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報通信分野における技術の進展は著しく、通信機器が扱う周波数帯域もマイクロ波帯域からミリ波帯域へと、より高い周波数帯域への展開が図られている。このようなマイクロ波帯からミリ波帯までの高周波信号を扱う通信用回路などでは、信号を通過させる(オン)、または遮断する(オフ)というオン・オフ型のスイッチや、オン・オフ型のスイッチを複数個組み合わせて伝送線路を制御する経路切り替え型のスイッチなどが多く用いられる。基本となるオン・オフ型スイッチは、一般に、機械的な開閉動作をする機械式スイッチや、半導体のP/I/N接合を用いたPINダイオードスイッチや、FET(電界効果トランジスタ)のスイッチング機能を用いたFETスイッチなどによって構成される。
【0003】
図12(a)は、一般的なFETスイッチ(FET11)を示す。FET11は、ゲートに与えられる制御電圧Vcに応じて、ポート1からポート2へ伝達される信号のスイッチングを行う。同図(b)は、FET11がオンのときの等価回路を示す。FET11がオンになると、ソース・ドレイン間にチャネル抵抗成分Rが形成される。信号は、この抵抗成分Rを通じて、ポート1からポート2へと伝達される。一方、同図(c)は、FET11がオフのときのときの等価回路を示す。FET11がオフになると、ソース・ドレイン間のチャネル抵抗成分Rは消滅し、寄生容量Cのみとなる。この抵抗成分Rの消滅によって、信号が遮断される。
【0004】
一方、高周波回路に対する小型化の要求は、他の電子回路にも増して強くなりつつある。一般に、高周波回路は、高周波トランジスタなどの半導体素子と整合回路やバイアス回路などをひとつの半導体基板上に集積化したMMIC(Monolithic Microwave IC)として構成されることが多い。MMICの場合、スイッチ回路自体も半導体素子で構成されることが好ましい。このため、通常、MMICでは、PINダイオードや、FETスイッチなどが利用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、PIN接合を作るプロセスは、FET形成のプロセスとは異なる工程を含んでいる。したがって、MMICにPINダイオードを形成する場合、FETと比べて、製造方法が複雑になってしまう。このため、MMICでは、FETによってスイッチ装置を構成する方が好ましい。
【0006】
スイッチ装置としてのFETは、現在、マイクロ波帯域では多く用いられている。しかし、ミリ波帯域になると、寄生容量Cに起因する高周波インピーダンスが十分に小さくなり、遮断しているはずの信号が通過してしまう。
【0007】
図13(a)(b)は、横軸を信号周波数としたときの、図12(a)に示したFETスイッチのスイッチング特性を示すグラフである。ここで、FET11として、現在、一般的に用いられている、ゲート長が0.2μm、ゲート幅が200μmのGaAsFETを用いている。S21は、ポート1からポート2へ伝達されるときの信号のレベルを示し、S11は、ポート1への信号の反射レベルを示す。なお、同図の縦軸の単位はdBであり、横軸の単位はGHzである。図13(a)は、FET11がオンのときのスイッチング特性を示す。S21特性は、ほぼ0dBで推移し、ポート1からポート2へ信号が伝達されることがわかる。一方、同図(b)は、FET11がオフのときのスイッチング特性を示す。S21特性は、5GHzで−10dBを割ってしまい、30GHz以降では、ほぼ0dBになる。このことから、FETでは、5GHz以上の高周波信号を遮断することが困難であることがわかる。
【0008】
一方、図14(a)は、別の構成によるFETスイッチを示す。FET11A,11Bは、それぞれ、ゲートに与えられる制御電圧Vc1,Vc2に応じて相補的に動作し、ポート1からポート2へ伝達される信号のスイッチングを行う。同図(b)は、スイッチ装置がオンのときの等価回路を示す。FET11Aがオンになり、FET11Aのソース・ドレイン間にチャネル抵抗成分Rが形成されるとともに、FET11Bがオフになり、FET11Bのソース・ドレイン間は寄生容量C2のみとなる。信号は、この抵抗成分Rを通じて、ポート1からポート2へと伝達される。一方、同図(c)は、スイッチ装置がオフのときのときの等価回路を示す。FET11Aがオフになり、FET11Aのソース・ドレイン間のチャネル抵抗成分Rは消滅し、寄生容量C1のみとなるとともに、FET11Bがオンになり、FET11Bのソース・ドレイン間にチャネル抵抗成分Rが形成される。この抵抗成分Rによって、寄生容量C1を通過した高周波信号をグランドに落とすことによって、信号を遮断する。
【0009】
図15(a)(b)は、横軸を信号周波数としたときの、図14(a)のスイッチ装置のスイッチング特性を示すグラフである。なお、図15の見方は、図13と同様である。図15(b)は、スイッチ装置がオフのときのスイッチング特性を示す。図13(b)と比較して、S21特性が改善されていることがわかる。一方、図15(a)は、スイッチ装置がオンのときのスイッチング特性を示す。S21特性は、信号周波数が高くなるにつれ悪化し、ミリ波帯域である60GHzでは、7dBの挿入損失が生じている。このことから、図14(a)のスイッチ装置のスイッチング特性は、ミリ波以上の高周波帯域では、十分とは言えない。したがって、ミリ波などの高周波帯域では、FETをスイッチ装置として用いることは困難である。
【0010】
上記の問題は、ソース・ドレイン間の寄生容量Cを小さくすることによって、一応の解決を図ることができる。しかし、現在の技術で、寄生容量Cを十分に小さくしたFETを製造することには限界があり、これは、根本的な解決策であるとは言えない。
【0011】
上記問題に鑑み、本発明は、一般的なFETによって、高周波信号のスイッチングを可能にすることを課題とする。また、一般的なFETによって、高周波信号の伝送経路の切り替えを可能にすることを課題とする。
【0012】
一方、高周波トランジスタとしてよく用いられるデプリーション型のnチャネルFETでは、チャネルをピンチオフするために、ゲートに負の電圧を与える必要がある。このため、この負の電圧を供給するための電源装置が必要である。これにより、回路規模が大きくなるという問題がある。
【0013】
そこで、さらに、本発明は、FETによって構成されたスイッチ装置に関し、負の電圧を必要とせず、正電源のみで動作可能にすることを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の発明が講じた手段は、高周波信号のスイッチングを行うスイッチ装置として、ゲートに、制御電圧をもってバイアスされた前記高周波信号が与えられ、ソースおよびドレインのいずれかから、電圧信号を出力する電界効果トランジスタを備えたものとする。そして、前記電界効果トランジスタは、前記制御電圧が第1のレベルのとき、能動状態になり、前記高周波信号に応じて変化する信号を前記電圧信号として出力する一方、前記制御電圧が第2のレベルのとき、非能動状態になり、前記高周波信号に応じた変化が抑制された信号を前記電圧信号として出力することを特徴とする。
【0015】
請求項1の発明によると、電界効果トランジスタ(FET)のゲートに、第1および第2のレベルのいずれかの制御電圧をもってバイアスをかけることによって、FETが、能動状態および非能動状態のいずれかに設定される。FETが能動状態に設定されたとき、ソースおよびドレインのいずれかから、ゲートに与えられる高周波信号に応じて変化する電圧信号が出力される。一方、FETが非能動状態に設定されたとき、高周波信号に対する変化が抑制された電圧信号が出力される。つまり、本発明のスイッチ装置は、FETによって増幅された信号の出力によって、入力とする高周波信号を実質的に通過させる一方、非増幅の信号を出力することによって、入力とする高周波信号を実質的に遮断するものである。一般に、FETは、直流からミリ波帯域に至る広範囲な周波数帯域において増幅作用を呈するため、FETを増幅器として動作させるか否かを切り替えることによって、高周波信号の通過/遮断を切り替えることができる。これにより、一般的なFETによって、高周波信号のスイッチングを行うことが可能になる。また、入力信号をゲートに与える構成にすることにより、遮断時の入出力間のアイソレーションを大きくすることができる。
【0016】
そして、請求項2の発明では、請求項1のスイッチ装置において、前記電界効果トランジスタは、ソース側が接地されるとともに、ドレイン側に、正のバイアス電圧が与えられるものとし、また、前記第1および第2のレベルは、ともに、接地電位以上であることを特徴とする。
【0017】
請求項2の発明によると、ソース接地のFETにおいて、ドレインに正のバイアス電圧を与えるとともに、制御電圧の第1および第2のレベルを、ともに接地電位以上とすることによって、スイッチ装置の動作に必要な電圧が、接地電位以上となる。これにより、スイッチ装置を正電源のみで動作させることができる。
【0018】
さらに、請求項3の発明では、請求項2のスイッチ装置において、前記第1のレベルは接地電位とし、前記第2のレベルは前記バイアス電圧のレベルとすることを特徴とする。
【0019】
請求項3の発明によると、制御電圧の第1および第2のレベルを、接地電位、およびドレインに与えるバイアス電圧のいずれかの2値にすることによって、スイッチ装置の制御が容易になる。また、スイッチ装置の回路構成を簡略化することができる。
【0020】
一方、請求項4の発明では、請求項1のスイッチ装置において、前記第1のレベルは、可変とする。そして、前記電界効果トランジスタは、前記能動状態のとき、前記第1のレベルに応じて前記高周波信号を増幅し、前記電圧信号を出力するものであることを特徴とする。
【0021】
請求項4の発明によると、制御電圧の第1のレベルを可変にすることによって、FETが、第1のレベルに応じた増幅率を呈するようになる。これにより、単なるスイッチングだけではなく、入力とする高周波信号を増幅して出力することが可能になる。
【0022】
請求項5の発明では、請求項1のスイッチ装置において、前記電界効果トランジスタにおける前記高周波信号の入力側と前記電圧信号の出力側との間に、フィードバック回路を備えたことを特徴とする。
【0023】
請求項5の発明によると、入力側と出力側との間にフィードバック回路を設けることによって、スイッチ装置の周波数特性を平坦にすることができる。これにより、スイッチ装置が、幅広い周波数帯域で使用可能になる。
【0024】
請求項6の発明では、請求項1のスイッチ装置において、前記電界効果トランジスタにおける前記高周波信号の入力側に、フィルタ回路を備えたことを特徴とする。
【0025】
請求項6の発明によると、フィルタ回路によって、入力とする高周波信号に含まれる不要な周波数成分がカットされる。FETは、一般に、低周波信号に対して高い増幅度を有する。このため、入力信号に低周波成分が含まれていると、FETが、不要に発振してしまう恐れがある。したがって、たとえば、高域通過型のフィルタ回路を用いて、不要な低周波成分をカットすることによって、FETの不要な発振を抑え、回路動作を安定化させることができる。また、スイッチ装置の周波数特性を平坦にしたり、所望の周波数特性にしたりすることができる。
【0026】
請求項7の発明では、請求項1のスイッチ装置において、前記電界効果トランジスタにおける前記高周波信号の入力側に、減衰器を備えたことを特徴とする。
【0027】
請求項7の発明によると、減衰器によって、入力とする高周波信号のレベルが減衰する。高レベルの信号をそのままゲートに与えると、増幅の際に歪みが生じてしまう。そこで、レベルを十分に減衰させた信号をFETに与えることによって、FETの動作点を線形領域に保ちつつ、増幅を行うことができる。これにより、出力される電圧信号に含まれる増幅の歪みを低減することができ、スイッチング特性が向上する。
【0028】
請求項8の発明では、請求項1のスイッチ装置において、前記電界効果トランジスタは、Ga,In,As,P,N,Alのうち少なくとも1つの元素を含む化合物半導体によって構成されていることを特徴とする。
【0029】
請求項8の発明によると、FETを、GaAs,GaAlAs,InP,InGaP,GaN,GaInAs,InGaPNなどを基本とする化合物半導体によって構成することによって、FETの動作周波数を高くすることができる。これにより、より高周波の信号のスイッチングを行うことができるようになる。
【0030】
そして、請求項9の発明が講じた手段は、第1、第2および第3の端子を有し、高周波信号に対し、前記第1の端子と前記第2の端子とを電気的に接続する第1の接続状態と、前記第1の端子と前記第3の端子とを電気的に接続する第2の接続状態とを、切り替えるスイッチ装置として、請求項1記載のスイッチ装置によってそれぞれ構成された、第1および第2の部分スイッチ装置を備えたものとする。前記第1の部分スイッチ装置は、前記第1の端子と前記第2の端子との間に設けられ、前記第1の接続状態を設定するか否かを切り替えるものとする。また、前記第2の部分スイッチ装置は、前記第1の端子と前記第3の端子との間に設けられ、前記第2の接続状態を設定するか否かを切り替えるものとする。そして、前記第1および第2の部分スイッチ装置は、相補的に、前記第1および第2の接続状態を設定することを特徴とする。
【0031】
請求項9の発明によると、第1および第2の部分スイッチ装置が、相補的に動作することによって、高周波信号の伝送経路が切り替えられる。第1および第2の部分スイッチ装置は、ともに一般的なFETによって構成されたものである。したがって、FETによって、高周波信号の伝送経路の切り替えが可能になる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0033】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態であるスイッチ装置10の概略回路図である。スイッチ装置10は、ソース接地されたFET11と、FET11のゲート・ドレイン間に設けられたフィードバック回路12とを備え、端子P1から入力する高周波信号のスイッチングを行い、端子P2から電圧信号を出力するものである。本発明で言うところの高周波信号とは、5GHz前後のマイクロ波帯から、25GHz付近の準ミリ波帯、60〜75GHzのミリ波帯、さらには、それ以上の周波数帯域の信号を指す。なお、本実施形態では、FET11のドレインから電圧信号を出力するものとしたが、ソースから出力するようにしてもよい。
【0034】
FET11は、InP基板上に形成した、HEMT(High Electron MobilityTransistor)またはHFET(Heterostructure FET)などと呼ばれる高電子移動度電界効果トランジスタによって構成されている。FET11のゲートには、端子P1から高周波信号が与えられるとともに、制御電圧Vcがバイアスされている。ドレインには、バイアス電圧Vbが印加される。バイアス電圧Vbは、電源電圧に相当する1〜3V程度の電圧であればよい。本実施形態では、バイアス電圧Vbとして、スイッチ装置10の電源電圧に相当する1.0Vを与えるものとする。また、制御電圧Vcの第1および第2のレベルとして、接地電位(0V)からバイアス電圧Vbに相当する電圧(1〜3V)を印加すればよい。本実施形態では、制御電圧Vcの第1のレベルとして接地電位である0.0V、第2のレベルとして、バイアス電圧Vbに相当する1.0Vを与えるものとする。
【0035】
フィードバック回路12は、抵抗素子、容量素子および伝送線路を直列に接続して構成され、出力側であるドレインの電圧信号を、入力側であるゲートにフィードバックする。これにより、スイッチ装置10の周波数特性を平坦にすることができ、スイッチ装置10が、幅広い周波数帯域で使用可能になる。フィードバック回路12は、上記の構成以外にも、抵抗素子、容量素子およびインダクタンス素子、ならびにこれらを組み合わせたものによって構成してもよい。なお、フィードバック回路12は、省略してもよい。
【0036】
次に、本発明のスイッチ装置10の動作原理について詳細に説明する。
【0037】
図2は、ゲート電圧をVg、ドレイン電圧をVdとしたときの、FET11の各種特性を示すグラフである。同図(a)は、ゲート電圧Vgをパラメータとしたときの、ドレイン電圧Vdとドレイン電流Idとの関係を示すグラフである。また、同図(b)は、ドレイン電圧Vdが3.0Vのときの、ゲート電圧Vgと、ソース・ドレイン間の相互コンダクタンスGmおよびドレイン電流Idとのそれぞれの関係を示すグラフである。
【0038】
図2(b)からわかるように、ゲート電圧Vgが0.0Vのとき、相互コンダクタンスGmが最も大きい。また、同図(a)からわかるように、ゲート電圧Vgが0.0Vのとき、ゲート電圧Vgのわずかな変化に対して、ドレイン電流Idが最も大きく変化する。この状態が、本発明で言うところの能動状態である。FET11が能動状態のとき、ゲート電圧Vgの変化に応じてドレイン電流Idが変化し、端子P2からは、ドレイン電流Idの変化に基づく電圧信号が出力される。すなわち、スイッチ装置10は、入力とする高周波信号を増幅することによってオンになり、この高周波信号を実質的に通過させる。なお、ここで言う増幅とは、必ずしも“1”よりも大きなゲインで信号を出力することを意味するものではなく、入力とする信号に応じて変化する信号を出力することを意味する。
【0039】
一方、ゲート電圧Vgを0.0Vよりも大きくすると、相互コンダクタンスGmは次第に減少するとともに、ドレイン電流Idは一定値に近づいていく。そして、たとえば、ゲート電圧Vgが1.0V前後のところでは、ゲート電圧Vgが多少変化しても、ドレイン電流Idは一定値のままでほとんど変化しなくなる。この状態が、本発明で言うところの非能動状態である。FET11が非能動状態のとき、ゲート電圧Vgの変化に対するドレイン電流Idの変化は抑制され、端子P2からは、ゲート電圧Vgの変化とは無関係のほぼ一定レベルの電圧信号が出力される。すなわち、スイッチ装置10は、入力とする高周波信号を増幅しないことによってオフになり、この高周波信号を実質的に遮断する。
【0040】
一般に、FETが能動状態になるときのゲート電圧Vgは、FETの種類によってさまざまに異なる。また、同じFETであっても、要求される特性に応じて、能動状態と非能動状態との境界がさまざまに変わり得る。たとえば、FET11について、ゲート電圧Vgが−0.4V〜0.6Vのときに能動状態になるものとした場合、制御電圧Vcが−0.4V〜0.6Vのとき、スイッチ装置10はオンになる一方、制御電圧Vcが−0.4V〜0.6V以外の電圧のとき、スイッチ装置10はオフになる。
【0041】
このように、スイッチ装置10を動作させるための制御電圧Vcの与え方はさまざまであるが、好ましくは、本実施形態のように、制御電圧Vcが接地電位である0.0Vのとき、オンになる一方、バイアス電圧Vbに相当する1.0Vのとき、オフになるようにする。このようにすることによって、スイッチ装置10が正電源のみで動作可能になり、負の電圧を供給するための電源装置が不要になる。これにより、回路規模を縮減することができる。また、スイッチ装置10を動作させるための電圧の種類が、接地電位および電源電圧の2つになり、制御が容易になるとともに、回路構成を簡略化することができる。
【0042】
次に、スイッチ装置10のスイッチング特性について、グラフを参照しながら説明する。
【0043】
図3は、スイッチ装置10のスイッチング特性を示すグラフである。同図(a)は、制御電圧Vcが0.0Vのとき、つまりスイッチ装置10がオンのときの特性グラフである。同図(b)は、制御電圧Vcが1.0Vのとき、つまりスイッチ装置10がオフのときの特性グラフである。S21特性は、端子P1から端子P2へ信号が通過するときのレベルを示す。S11特性は、端子P1における入力信号の反射レベルを示す。なお、同図の横軸は、信号の周波数であり、単位はGHzである。また、縦軸の単位はdBである。
【0044】
図3(a)から、スイッチ装置10は、オンのとき、30G〜60GHzの周波数帯域において、平坦な通過特性を示すことがわかる。また、図3(b)から、スイッチ装置10は、オフのとき、同周波数帯域において、−10dB以下の挿入損失が得られていることがわかる。以上のことから、スイッチ装置10は、30G〜60GHzの周波数帯域において、スイッチ手段として有効に機能することがわかる。なお、FET11やフィードバック回路12の構成を変えることにより、さらに高周波帯域におけるスイッチング特性を改善することができる。
【0045】
さらに、図3(a)に示したS21特性は、60GHzまでの周波数帯域において、0dB以上となっている。これは、出力される電圧信号のレベルが、入力とする高周波信号のレベルよりも高くなっていることを意味する。つまり、スイッチ装置10は、オンのとき、入力とする高周波信号よりも高いレベルの電圧信号を出力することができる。そして、このゲインは、FET11を能動状態に設定する制御電圧Vcのレベルを変えることにより、調節可能である。
【0046】
以上、本実施形態によると、制御電圧Vcによって、FET11の能動状態/非能動状態を切り替えることができる。これにより、一般的なFETによって、高周波信号のスイッチングが可能になる。また、スイッチ装置10を動作させるための制御電圧Vcおよびバイアス電圧Vbを、ともに接地電位以上にすることにより、スイッチ装置10が正電源のみで動作可能になる。これにより、負の電圧を供給する電源が不要になり、回路面積を縮減することができる。
【0047】
(第2の実施形態)
図4は、本発明の第2の実施形態であるスイッチ装置10Aの概略回路図である。スイッチ装置10Aは、第1の実施形態のスイッチ装置10におけるFET11の入力側および出力側に、それぞれフィルタ回路13,14を備えたものである。なお、スイッチ装置10AにおけるFET11は、GaAs基板上に形成したものである。
【0048】
フィルタ回路13,14の構成はさまざまにすることができる。たとえば、フィルタ回路13,14を容量素子によって構成することによって、FET11に直流信号が入力されることを阻止するとともに、スイッチ装置10Aを、他の回路から直流的に分離することができる。また、その容量素子の値を変えることによって、入力とする高周波信号の通過特性を調整することが可能となる。
【0049】
図5は、フィルタ回路13,14を、60GHz前後の信号を通過させる帯域通過型のフィルタ回路にしたときのスイッチ装置10Aのスイッチング特性を示すグラフである。なお、フィルタ回路13,14は、端子P1,P2から先に接続される他の機器とのインピーダンス整合の機能を併せ持っている。同図(a)は、制御電圧Vcが0.0Vのとき、つまりスイッチ装置10Aがオンのときの特性グラフである。同図(b)は、制御電圧Vcが1.0Vのとき、つまりスイッチ装置10Aがオフのときの特性グラフである。なお、同図の見方は、図3と同様である。
【0050】
図5(a)からわかるように、スイッチ装置10Aがオンのとき、60GHz前後の信号が通過している。また、図5(b)からわかるように、スイッチ装置10Aがオフのとき、60GHz前後の信号に対する挿入損失は、−10dB以下になっている。このことから、スイッチ装置10Aによると、60GHz前後の信号のスイッチングが可能であることがわかる。
【0051】
一方、図6は、フィルタ回路13,14を、12GHz前後の信号の通過を阻止する帯域通過阻止型のフィルタ回路にしたときのスイッチ装置10Aのスイッチング特性を示すグラフである。なお、フィルタ回路13,14は、マイクロストリップライン構造の線路を用いたものである。同図(a)は、制御電圧Vcが0.0Vのとき、つまりスイッチ装置10Aがオンのときの特性グラフである。同図(b)は、制御電圧Vcが1.0Vのとき、つまりスイッチ装置10Aがオフのときの特性グラフである。なお、同図の見方は、図3と同様である。
【0052】
図6(a)(b)からわかるように、スイッチ装置10Aがオンおよびオフのいずれのときも、12GHz前後の信号の通過が阻止されている。このことから、スイッチ装置10Aによると、12GHz前後の周波数帯を除く信号のスイッチングが可能であることがわかる。
【0053】
また、スイッチ装置10Aについて、フィルタ回路13に代えて、図4に示すように、減衰器15を備えるようにしてもよい。これは、高周波信号のレベルが高いときには、特に有効である。高レベルの信号をそのままゲートに与えると、増幅される信号に歪みが生じてしまう。このため、FET11が線形領域において動作可能な程度に、入力信号のレベルを減衰させる必要がある。これを行うのが、減衰器15である。減衰器15によって、入力信号のレベルが減衰することによって、出力される電圧信号に含まれる増幅の歪みを低減することができる。これにより、スイッチング特性が向上する。さらに、可変抵抗素子などによって減衰器15を構成することによって、入力信号のレベルに応じた減衰量の調整可能が可能となり、より安定した信号通過特性を得ることができる。また、FET11のゲインを調整することもできる。一方、信号遮断時には、十分なアイソレーションをとることができる。
【0054】
以上、本実施形態によると、FET11の入力側および出力側に、フィルタ回路13,14を備えることによって、スイッチ装置10Aの周波数特性を所望の特性にすることができる。また、入力とする高周波信号に含まれる不要な低周波成分をカットし、FET11の不要な発振を抑制することができる。これにより、回路動作を安定化させることができる。
【0055】
なお、本実施形態では、FET11の入力側および出力側のいずれにもフィルタ回路を設けるものとしたが、出力側のフィルタ回路14は、省略可能である。
【0056】
(第3の実施形態)
図7は、本発明の第3の実施形態であるスイッチ装置20の概略回路図である。スイッチ装置20は、第1の端子P1と第2の端子P2との間に設けられた第1の部分スイッチ装置10Cと、第1の端子P1と第3の端子P3との間に設けられた第2の部分スイッチ装置10Dとを備え、高周波信号に対し、端子P1と端子P2とを電気的に接続する第1の接続状態と、端子P1と端子P3とを電気的に接続する第2の接続状態とを切り替えるものである。
【0057】
部分スイッチ装置10Cは、第1および第2の実施形態のスイッチ装置10,10Aとほぼ同様の構成をしている。すなわち、部分スイッチ装置10Cは、FET11Aと、整合回路13A,14Aとを備え、ゲートに与えられる高周波信号のスイッチングを行うことによって、第1の接続状態を設定するか否かを切り替えるものである。整合回路13A,14Aは、端子P1,P2より先に接続される他の機器とのインピーダンス整合のために挿入したものであり、省略可能である。部分スイッチ装置10Cの動作条件もまた、スイッチ装置10,10Aと同様である。すなわち、制御電圧Vc1が0.0Vのとき、オンになる一方、バイアス電圧Vbに相当する1.0Vのとき、オフになる。
【0058】
部分スイッチ装置10Dは、ゲートに与えられる高周波信号のスイッチングを行うことによって、第2の接続状態を設定するか否かを切り替えるものである。部分スイッチ装置10Dの構成および動作条件は、部分スイッチ装置10Cと同様である。すなわち、制御電圧Vc2が0.0Vのとき、オンになる一方、バイアス電圧Vbに相当する1.0Vのとき、オフになる。なお、FET11A,11Bは、ともに、InP基板上に形成されている。
【0059】
スイッチ装置20は、第1の接続状態と第2の接続状態とを切り替えるものであるため、部分スイッチ装置10C,10Dは、相補的にスイッチング動作する必要がある。このため、制御電圧Vc1,Vc2のいずれか一方が0.0Vのとき、他方を1.0Vに設定する。すなわち、制御電圧Vc1が0.0Vかつ制御電圧Vc2が1.0Vのとき、端子P1と端子P2とが接続される第1の接続状態になる。一方、制御電圧Vc1が1.0Vかつ制御電圧Vc2が0.0Vのとき、端子P1と端子P3とが接続される第2の接続状態になる。
【0060】
図8は、制御電圧Vc1が0.0V、制御電圧Vc2が1.0Vのときのスイッチ装置20のスイッチング特性を示すグラフである。同グラフにおいて、PORTi(i=1,2,3)−PORTj(j=1,2,3)は、それぞれ、端子Piから端子Pjへ伝達される信号のレベルを示す。なお、同図の横軸は、信号の周波数であり、単位はGHzである。また、縦軸の単位はdBである。
【0061】
図8からわかるように、PORT1−PORT2は、30G〜50GHzの周波数帯域において0dB前後で推移しており、端子P1と端子P2とが接続された状態にある。また、PORT1−PORT3は、−25dB以下であり、端子P1と端子P3とは切断された状態にある。なお、制御電圧Vc1を1.0V、制御電圧Vc2を0.0Vにしたとき、回路の対称性から、これとは逆の特性を示す。
【0062】
以上、本実施形態によると、一般的なFET11A,11Bによって、高周波信号の経路の切り替えが可能になる。なお、部分スイッチ装置10C,10Dとして、まったく同一の構成のものを備える必要はない。部分スイッチ装置10C,10Dが、いずれも高周波信号のスイッチングが可能であるなら、これら部分スイッチ装置10C,10Dを相補的に切り替え動作させることによって、経路切り替えのスイッチ装置20を構成することができる。
【0063】
(第4の実施形態)
図9は、本発明の第4の実施形態であるスイッチ装置20Aの概略回路図である。スイッチ装置20Aは、第3の実施形態のスイッチ装置20における部分スイッチ装置10C,10Dに代えて、部分スイッチ装置10E,10Fを備えたものである。
【0064】
部分スイッチ装置10Eは、フィードバック回路12Aと、フィルタ回路13A,14Aとを備えている。一方、部分スイッチ装置10Fは、フィードバック回路12Bと、フィルタ回路13B,14Bとを備えている。これら部分スイッチ装置10E,10Fの構成は、第2の実施形態のところで、説明したとおりである。
【0065】
図10は、制御電圧Vc1が0.0V、制御電圧Vc2が1.0V、バイアス電圧Vbが3.0Vのときのスイッチ装置20Aのスイッチング特性を示すグラフである。なお、フィルタ回路13A,13B,14A,14Bは、60GHz前後の信号を通過させる帯域通過型のフィルタ回路である。同図の見方は、図8と同様である。
【0066】
図10からわかるように、60GHz前後の信号に対して、PORT1−PORT2は通過の特性を示しており、端子P1と端子P2とが接続された状態にある。また、60GHz前後の信号に対して、PORT1−PORT3は、−10dB以下であり、端子P1と端子P3とは切断された状態にある。なお、制御電圧Vc1を1.0V、制御電圧Vc2を0.0Vにしたとき、回路の対称性から、これとは逆の特性を示す。
【0067】
一方、図11は、フィルタ回路13A,13Bをそれぞれ減衰器に置き換えたスイッチ装置20Aのスイッチング特性を示すグラフである。同図に示したスイッチング特性は、図10に示した特性とほぼ同様であり、スイッチ装置20Aの構成を多少変更しても、本発明が奏する効果に大きな差異は生じないことがわかる。
【0068】
上記説明において、FET11,11A,11Bは、InP系やGaAs系といった化合物半導体によって構成されるとしたが、SiやGeといった単結晶の半導体によって構成してもよい。また、別の化合物半導体として、Ga,In,As,P,N,Alのうち少なくとも1つの元素を含むような、たとえば、GaAlAs,InP,InGaP,GaN,GaInAs,InGaPNなどが可能である。もちろん、これ以外の元素を含む化合物半導体でもよい。このうち、特に、GaN系、InGaP系、InGaPN系を用いると、FETの耐電圧特性が向上するという効果を得ることができる。
【0069】
【発明の効果】
以上、本発明によると、一般的なFETによって、高周波信号のスイッチング、および高周波信号の伝送経路の切り替えが可能になる。これにより、MMICへのスイッチ装置の組み込みが容易になり、高周波回路の集積化に効果を奏する。また、本発明のスイッチ装置は、正電源のみで動作可能であり、負の電圧を供給する電源を必要としない。これにより、回路規模を縮減することができ、高周波回路のより一層の小型化に効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態のスイッチ装置の概略回路図である。
【図2】図1のスイッチ装置におけるFETの各種特性を示すグラフである。
【図3】図1のスイッチ装置のスイッチング特性を示すグラフである。
【図4】本発明の第2の実施形態のスイッチ装置の概略回路図である。
【図5】図4のスイッチ装置10Aのスイッチング特性を示すグラフである。
【図6】図4のスイッチ装置10Aのスイッチング特性を示すグラフである。
【図7】本発明の第3の実施形態のスイッチ装置の概略回路図である。
【図8】図7のスイッチ装置のスイッチング特性を示すグラフである。
【図9】本発明の第4の実施形態のスイッチ装置の概略回路図である。
【図10】図9のスイッチ装置のスイッチング特性を示すグラフである。
【図11】図9のスイッチ装置のスイッチング特性を示すグラフである。
【図12】FETスイッチを説明するための図である。
【図13】図12のFETスイッチのスイッチング特性を示すグラフである。
【図14】図14のFETスイッチとは異なる構成のFETスイッチを説明するための図である。
【図15】図14のスイッチ装置のスイッチング特性を示すグラフである。
【符号の説明】
10,10A スイッチ装置
11 FET(電界効果トランジスタ)
12 フィードバック回路
13,14 フィルタ回路
15 減衰器
20,20A スイッチ装置
10C,10E 第1の部分スイッチ装置
10D,10F 第2の部分スイッチ装置
P1 第1の端子
P2 第2の端子
P3 第3の端子
Vc,Vc1,Vc2 制御電圧
Vb バイアス電圧
【発明の属する技術分野】
本発明は、スイッチ装置に関するものであり、特に、高周波信号のスイッチングに好適なスイッチ装置の技術に属する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報通信分野における技術の進展は著しく、通信機器が扱う周波数帯域もマイクロ波帯域からミリ波帯域へと、より高い周波数帯域への展開が図られている。このようなマイクロ波帯からミリ波帯までの高周波信号を扱う通信用回路などでは、信号を通過させる(オン)、または遮断する(オフ)というオン・オフ型のスイッチや、オン・オフ型のスイッチを複数個組み合わせて伝送線路を制御する経路切り替え型のスイッチなどが多く用いられる。基本となるオン・オフ型スイッチは、一般に、機械的な開閉動作をする機械式スイッチや、半導体のP/I/N接合を用いたPINダイオードスイッチや、FET(電界効果トランジスタ)のスイッチング機能を用いたFETスイッチなどによって構成される。
【0003】
図12(a)は、一般的なFETスイッチ(FET11)を示す。FET11は、ゲートに与えられる制御電圧Vcに応じて、ポート1からポート2へ伝達される信号のスイッチングを行う。同図(b)は、FET11がオンのときの等価回路を示す。FET11がオンになると、ソース・ドレイン間にチャネル抵抗成分Rが形成される。信号は、この抵抗成分Rを通じて、ポート1からポート2へと伝達される。一方、同図(c)は、FET11がオフのときのときの等価回路を示す。FET11がオフになると、ソース・ドレイン間のチャネル抵抗成分Rは消滅し、寄生容量Cのみとなる。この抵抗成分Rの消滅によって、信号が遮断される。
【0004】
一方、高周波回路に対する小型化の要求は、他の電子回路にも増して強くなりつつある。一般に、高周波回路は、高周波トランジスタなどの半導体素子と整合回路やバイアス回路などをひとつの半導体基板上に集積化したMMIC(Monolithic Microwave IC)として構成されることが多い。MMICの場合、スイッチ回路自体も半導体素子で構成されることが好ましい。このため、通常、MMICでは、PINダイオードや、FETスイッチなどが利用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、PIN接合を作るプロセスは、FET形成のプロセスとは異なる工程を含んでいる。したがって、MMICにPINダイオードを形成する場合、FETと比べて、製造方法が複雑になってしまう。このため、MMICでは、FETによってスイッチ装置を構成する方が好ましい。
【0006】
スイッチ装置としてのFETは、現在、マイクロ波帯域では多く用いられている。しかし、ミリ波帯域になると、寄生容量Cに起因する高周波インピーダンスが十分に小さくなり、遮断しているはずの信号が通過してしまう。
【0007】
図13(a)(b)は、横軸を信号周波数としたときの、図12(a)に示したFETスイッチのスイッチング特性を示すグラフである。ここで、FET11として、現在、一般的に用いられている、ゲート長が0.2μm、ゲート幅が200μmのGaAsFETを用いている。S21は、ポート1からポート2へ伝達されるときの信号のレベルを示し、S11は、ポート1への信号の反射レベルを示す。なお、同図の縦軸の単位はdBであり、横軸の単位はGHzである。図13(a)は、FET11がオンのときのスイッチング特性を示す。S21特性は、ほぼ0dBで推移し、ポート1からポート2へ信号が伝達されることがわかる。一方、同図(b)は、FET11がオフのときのスイッチング特性を示す。S21特性は、5GHzで−10dBを割ってしまい、30GHz以降では、ほぼ0dBになる。このことから、FETでは、5GHz以上の高周波信号を遮断することが困難であることがわかる。
【0008】
一方、図14(a)は、別の構成によるFETスイッチを示す。FET11A,11Bは、それぞれ、ゲートに与えられる制御電圧Vc1,Vc2に応じて相補的に動作し、ポート1からポート2へ伝達される信号のスイッチングを行う。同図(b)は、スイッチ装置がオンのときの等価回路を示す。FET11Aがオンになり、FET11Aのソース・ドレイン間にチャネル抵抗成分Rが形成されるとともに、FET11Bがオフになり、FET11Bのソース・ドレイン間は寄生容量C2のみとなる。信号は、この抵抗成分Rを通じて、ポート1からポート2へと伝達される。一方、同図(c)は、スイッチ装置がオフのときのときの等価回路を示す。FET11Aがオフになり、FET11Aのソース・ドレイン間のチャネル抵抗成分Rは消滅し、寄生容量C1のみとなるとともに、FET11Bがオンになり、FET11Bのソース・ドレイン間にチャネル抵抗成分Rが形成される。この抵抗成分Rによって、寄生容量C1を通過した高周波信号をグランドに落とすことによって、信号を遮断する。
【0009】
図15(a)(b)は、横軸を信号周波数としたときの、図14(a)のスイッチ装置のスイッチング特性を示すグラフである。なお、図15の見方は、図13と同様である。図15(b)は、スイッチ装置がオフのときのスイッチング特性を示す。図13(b)と比較して、S21特性が改善されていることがわかる。一方、図15(a)は、スイッチ装置がオンのときのスイッチング特性を示す。S21特性は、信号周波数が高くなるにつれ悪化し、ミリ波帯域である60GHzでは、7dBの挿入損失が生じている。このことから、図14(a)のスイッチ装置のスイッチング特性は、ミリ波以上の高周波帯域では、十分とは言えない。したがって、ミリ波などの高周波帯域では、FETをスイッチ装置として用いることは困難である。
【0010】
上記の問題は、ソース・ドレイン間の寄生容量Cを小さくすることによって、一応の解決を図ることができる。しかし、現在の技術で、寄生容量Cを十分に小さくしたFETを製造することには限界があり、これは、根本的な解決策であるとは言えない。
【0011】
上記問題に鑑み、本発明は、一般的なFETによって、高周波信号のスイッチングを可能にすることを課題とする。また、一般的なFETによって、高周波信号の伝送経路の切り替えを可能にすることを課題とする。
【0012】
一方、高周波トランジスタとしてよく用いられるデプリーション型のnチャネルFETでは、チャネルをピンチオフするために、ゲートに負の電圧を与える必要がある。このため、この負の電圧を供給するための電源装置が必要である。これにより、回路規模が大きくなるという問題がある。
【0013】
そこで、さらに、本発明は、FETによって構成されたスイッチ装置に関し、負の電圧を必要とせず、正電源のみで動作可能にすることを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の発明が講じた手段は、高周波信号のスイッチングを行うスイッチ装置として、ゲートに、制御電圧をもってバイアスされた前記高周波信号が与えられ、ソースおよびドレインのいずれかから、電圧信号を出力する電界効果トランジスタを備えたものとする。そして、前記電界効果トランジスタは、前記制御電圧が第1のレベルのとき、能動状態になり、前記高周波信号に応じて変化する信号を前記電圧信号として出力する一方、前記制御電圧が第2のレベルのとき、非能動状態になり、前記高周波信号に応じた変化が抑制された信号を前記電圧信号として出力することを特徴とする。
【0015】
請求項1の発明によると、電界効果トランジスタ(FET)のゲートに、第1および第2のレベルのいずれかの制御電圧をもってバイアスをかけることによって、FETが、能動状態および非能動状態のいずれかに設定される。FETが能動状態に設定されたとき、ソースおよびドレインのいずれかから、ゲートに与えられる高周波信号に応じて変化する電圧信号が出力される。一方、FETが非能動状態に設定されたとき、高周波信号に対する変化が抑制された電圧信号が出力される。つまり、本発明のスイッチ装置は、FETによって増幅された信号の出力によって、入力とする高周波信号を実質的に通過させる一方、非増幅の信号を出力することによって、入力とする高周波信号を実質的に遮断するものである。一般に、FETは、直流からミリ波帯域に至る広範囲な周波数帯域において増幅作用を呈するため、FETを増幅器として動作させるか否かを切り替えることによって、高周波信号の通過/遮断を切り替えることができる。これにより、一般的なFETによって、高周波信号のスイッチングを行うことが可能になる。また、入力信号をゲートに与える構成にすることにより、遮断時の入出力間のアイソレーションを大きくすることができる。
【0016】
そして、請求項2の発明では、請求項1のスイッチ装置において、前記電界効果トランジスタは、ソース側が接地されるとともに、ドレイン側に、正のバイアス電圧が与えられるものとし、また、前記第1および第2のレベルは、ともに、接地電位以上であることを特徴とする。
【0017】
請求項2の発明によると、ソース接地のFETにおいて、ドレインに正のバイアス電圧を与えるとともに、制御電圧の第1および第2のレベルを、ともに接地電位以上とすることによって、スイッチ装置の動作に必要な電圧が、接地電位以上となる。これにより、スイッチ装置を正電源のみで動作させることができる。
【0018】
さらに、請求項3の発明では、請求項2のスイッチ装置において、前記第1のレベルは接地電位とし、前記第2のレベルは前記バイアス電圧のレベルとすることを特徴とする。
【0019】
請求項3の発明によると、制御電圧の第1および第2のレベルを、接地電位、およびドレインに与えるバイアス電圧のいずれかの2値にすることによって、スイッチ装置の制御が容易になる。また、スイッチ装置の回路構成を簡略化することができる。
【0020】
一方、請求項4の発明では、請求項1のスイッチ装置において、前記第1のレベルは、可変とする。そして、前記電界効果トランジスタは、前記能動状態のとき、前記第1のレベルに応じて前記高周波信号を増幅し、前記電圧信号を出力するものであることを特徴とする。
【0021】
請求項4の発明によると、制御電圧の第1のレベルを可変にすることによって、FETが、第1のレベルに応じた増幅率を呈するようになる。これにより、単なるスイッチングだけではなく、入力とする高周波信号を増幅して出力することが可能になる。
【0022】
請求項5の発明では、請求項1のスイッチ装置において、前記電界効果トランジスタにおける前記高周波信号の入力側と前記電圧信号の出力側との間に、フィードバック回路を備えたことを特徴とする。
【0023】
請求項5の発明によると、入力側と出力側との間にフィードバック回路を設けることによって、スイッチ装置の周波数特性を平坦にすることができる。これにより、スイッチ装置が、幅広い周波数帯域で使用可能になる。
【0024】
請求項6の発明では、請求項1のスイッチ装置において、前記電界効果トランジスタにおける前記高周波信号の入力側に、フィルタ回路を備えたことを特徴とする。
【0025】
請求項6の発明によると、フィルタ回路によって、入力とする高周波信号に含まれる不要な周波数成分がカットされる。FETは、一般に、低周波信号に対して高い増幅度を有する。このため、入力信号に低周波成分が含まれていると、FETが、不要に発振してしまう恐れがある。したがって、たとえば、高域通過型のフィルタ回路を用いて、不要な低周波成分をカットすることによって、FETの不要な発振を抑え、回路動作を安定化させることができる。また、スイッチ装置の周波数特性を平坦にしたり、所望の周波数特性にしたりすることができる。
【0026】
請求項7の発明では、請求項1のスイッチ装置において、前記電界効果トランジスタにおける前記高周波信号の入力側に、減衰器を備えたことを特徴とする。
【0027】
請求項7の発明によると、減衰器によって、入力とする高周波信号のレベルが減衰する。高レベルの信号をそのままゲートに与えると、増幅の際に歪みが生じてしまう。そこで、レベルを十分に減衰させた信号をFETに与えることによって、FETの動作点を線形領域に保ちつつ、増幅を行うことができる。これにより、出力される電圧信号に含まれる増幅の歪みを低減することができ、スイッチング特性が向上する。
【0028】
請求項8の発明では、請求項1のスイッチ装置において、前記電界効果トランジスタは、Ga,In,As,P,N,Alのうち少なくとも1つの元素を含む化合物半導体によって構成されていることを特徴とする。
【0029】
請求項8の発明によると、FETを、GaAs,GaAlAs,InP,InGaP,GaN,GaInAs,InGaPNなどを基本とする化合物半導体によって構成することによって、FETの動作周波数を高くすることができる。これにより、より高周波の信号のスイッチングを行うことができるようになる。
【0030】
そして、請求項9の発明が講じた手段は、第1、第2および第3の端子を有し、高周波信号に対し、前記第1の端子と前記第2の端子とを電気的に接続する第1の接続状態と、前記第1の端子と前記第3の端子とを電気的に接続する第2の接続状態とを、切り替えるスイッチ装置として、請求項1記載のスイッチ装置によってそれぞれ構成された、第1および第2の部分スイッチ装置を備えたものとする。前記第1の部分スイッチ装置は、前記第1の端子と前記第2の端子との間に設けられ、前記第1の接続状態を設定するか否かを切り替えるものとする。また、前記第2の部分スイッチ装置は、前記第1の端子と前記第3の端子との間に設けられ、前記第2の接続状態を設定するか否かを切り替えるものとする。そして、前記第1および第2の部分スイッチ装置は、相補的に、前記第1および第2の接続状態を設定することを特徴とする。
【0031】
請求項9の発明によると、第1および第2の部分スイッチ装置が、相補的に動作することによって、高周波信号の伝送経路が切り替えられる。第1および第2の部分スイッチ装置は、ともに一般的なFETによって構成されたものである。したがって、FETによって、高周波信号の伝送経路の切り替えが可能になる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0033】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態であるスイッチ装置10の概略回路図である。スイッチ装置10は、ソース接地されたFET11と、FET11のゲート・ドレイン間に設けられたフィードバック回路12とを備え、端子P1から入力する高周波信号のスイッチングを行い、端子P2から電圧信号を出力するものである。本発明で言うところの高周波信号とは、5GHz前後のマイクロ波帯から、25GHz付近の準ミリ波帯、60〜75GHzのミリ波帯、さらには、それ以上の周波数帯域の信号を指す。なお、本実施形態では、FET11のドレインから電圧信号を出力するものとしたが、ソースから出力するようにしてもよい。
【0034】
FET11は、InP基板上に形成した、HEMT(High Electron MobilityTransistor)またはHFET(Heterostructure FET)などと呼ばれる高電子移動度電界効果トランジスタによって構成されている。FET11のゲートには、端子P1から高周波信号が与えられるとともに、制御電圧Vcがバイアスされている。ドレインには、バイアス電圧Vbが印加される。バイアス電圧Vbは、電源電圧に相当する1〜3V程度の電圧であればよい。本実施形態では、バイアス電圧Vbとして、スイッチ装置10の電源電圧に相当する1.0Vを与えるものとする。また、制御電圧Vcの第1および第2のレベルとして、接地電位(0V)からバイアス電圧Vbに相当する電圧(1〜3V)を印加すればよい。本実施形態では、制御電圧Vcの第1のレベルとして接地電位である0.0V、第2のレベルとして、バイアス電圧Vbに相当する1.0Vを与えるものとする。
【0035】
フィードバック回路12は、抵抗素子、容量素子および伝送線路を直列に接続して構成され、出力側であるドレインの電圧信号を、入力側であるゲートにフィードバックする。これにより、スイッチ装置10の周波数特性を平坦にすることができ、スイッチ装置10が、幅広い周波数帯域で使用可能になる。フィードバック回路12は、上記の構成以外にも、抵抗素子、容量素子およびインダクタンス素子、ならびにこれらを組み合わせたものによって構成してもよい。なお、フィードバック回路12は、省略してもよい。
【0036】
次に、本発明のスイッチ装置10の動作原理について詳細に説明する。
【0037】
図2は、ゲート電圧をVg、ドレイン電圧をVdとしたときの、FET11の各種特性を示すグラフである。同図(a)は、ゲート電圧Vgをパラメータとしたときの、ドレイン電圧Vdとドレイン電流Idとの関係を示すグラフである。また、同図(b)は、ドレイン電圧Vdが3.0Vのときの、ゲート電圧Vgと、ソース・ドレイン間の相互コンダクタンスGmおよびドレイン電流Idとのそれぞれの関係を示すグラフである。
【0038】
図2(b)からわかるように、ゲート電圧Vgが0.0Vのとき、相互コンダクタンスGmが最も大きい。また、同図(a)からわかるように、ゲート電圧Vgが0.0Vのとき、ゲート電圧Vgのわずかな変化に対して、ドレイン電流Idが最も大きく変化する。この状態が、本発明で言うところの能動状態である。FET11が能動状態のとき、ゲート電圧Vgの変化に応じてドレイン電流Idが変化し、端子P2からは、ドレイン電流Idの変化に基づく電圧信号が出力される。すなわち、スイッチ装置10は、入力とする高周波信号を増幅することによってオンになり、この高周波信号を実質的に通過させる。なお、ここで言う増幅とは、必ずしも“1”よりも大きなゲインで信号を出力することを意味するものではなく、入力とする信号に応じて変化する信号を出力することを意味する。
【0039】
一方、ゲート電圧Vgを0.0Vよりも大きくすると、相互コンダクタンスGmは次第に減少するとともに、ドレイン電流Idは一定値に近づいていく。そして、たとえば、ゲート電圧Vgが1.0V前後のところでは、ゲート電圧Vgが多少変化しても、ドレイン電流Idは一定値のままでほとんど変化しなくなる。この状態が、本発明で言うところの非能動状態である。FET11が非能動状態のとき、ゲート電圧Vgの変化に対するドレイン電流Idの変化は抑制され、端子P2からは、ゲート電圧Vgの変化とは無関係のほぼ一定レベルの電圧信号が出力される。すなわち、スイッチ装置10は、入力とする高周波信号を増幅しないことによってオフになり、この高周波信号を実質的に遮断する。
【0040】
一般に、FETが能動状態になるときのゲート電圧Vgは、FETの種類によってさまざまに異なる。また、同じFETであっても、要求される特性に応じて、能動状態と非能動状態との境界がさまざまに変わり得る。たとえば、FET11について、ゲート電圧Vgが−0.4V〜0.6Vのときに能動状態になるものとした場合、制御電圧Vcが−0.4V〜0.6Vのとき、スイッチ装置10はオンになる一方、制御電圧Vcが−0.4V〜0.6V以外の電圧のとき、スイッチ装置10はオフになる。
【0041】
このように、スイッチ装置10を動作させるための制御電圧Vcの与え方はさまざまであるが、好ましくは、本実施形態のように、制御電圧Vcが接地電位である0.0Vのとき、オンになる一方、バイアス電圧Vbに相当する1.0Vのとき、オフになるようにする。このようにすることによって、スイッチ装置10が正電源のみで動作可能になり、負の電圧を供給するための電源装置が不要になる。これにより、回路規模を縮減することができる。また、スイッチ装置10を動作させるための電圧の種類が、接地電位および電源電圧の2つになり、制御が容易になるとともに、回路構成を簡略化することができる。
【0042】
次に、スイッチ装置10のスイッチング特性について、グラフを参照しながら説明する。
【0043】
図3は、スイッチ装置10のスイッチング特性を示すグラフである。同図(a)は、制御電圧Vcが0.0Vのとき、つまりスイッチ装置10がオンのときの特性グラフである。同図(b)は、制御電圧Vcが1.0Vのとき、つまりスイッチ装置10がオフのときの特性グラフである。S21特性は、端子P1から端子P2へ信号が通過するときのレベルを示す。S11特性は、端子P1における入力信号の反射レベルを示す。なお、同図の横軸は、信号の周波数であり、単位はGHzである。また、縦軸の単位はdBである。
【0044】
図3(a)から、スイッチ装置10は、オンのとき、30G〜60GHzの周波数帯域において、平坦な通過特性を示すことがわかる。また、図3(b)から、スイッチ装置10は、オフのとき、同周波数帯域において、−10dB以下の挿入損失が得られていることがわかる。以上のことから、スイッチ装置10は、30G〜60GHzの周波数帯域において、スイッチ手段として有効に機能することがわかる。なお、FET11やフィードバック回路12の構成を変えることにより、さらに高周波帯域におけるスイッチング特性を改善することができる。
【0045】
さらに、図3(a)に示したS21特性は、60GHzまでの周波数帯域において、0dB以上となっている。これは、出力される電圧信号のレベルが、入力とする高周波信号のレベルよりも高くなっていることを意味する。つまり、スイッチ装置10は、オンのとき、入力とする高周波信号よりも高いレベルの電圧信号を出力することができる。そして、このゲインは、FET11を能動状態に設定する制御電圧Vcのレベルを変えることにより、調節可能である。
【0046】
以上、本実施形態によると、制御電圧Vcによって、FET11の能動状態/非能動状態を切り替えることができる。これにより、一般的なFETによって、高周波信号のスイッチングが可能になる。また、スイッチ装置10を動作させるための制御電圧Vcおよびバイアス電圧Vbを、ともに接地電位以上にすることにより、スイッチ装置10が正電源のみで動作可能になる。これにより、負の電圧を供給する電源が不要になり、回路面積を縮減することができる。
【0047】
(第2の実施形態)
図4は、本発明の第2の実施形態であるスイッチ装置10Aの概略回路図である。スイッチ装置10Aは、第1の実施形態のスイッチ装置10におけるFET11の入力側および出力側に、それぞれフィルタ回路13,14を備えたものである。なお、スイッチ装置10AにおけるFET11は、GaAs基板上に形成したものである。
【0048】
フィルタ回路13,14の構成はさまざまにすることができる。たとえば、フィルタ回路13,14を容量素子によって構成することによって、FET11に直流信号が入力されることを阻止するとともに、スイッチ装置10Aを、他の回路から直流的に分離することができる。また、その容量素子の値を変えることによって、入力とする高周波信号の通過特性を調整することが可能となる。
【0049】
図5は、フィルタ回路13,14を、60GHz前後の信号を通過させる帯域通過型のフィルタ回路にしたときのスイッチ装置10Aのスイッチング特性を示すグラフである。なお、フィルタ回路13,14は、端子P1,P2から先に接続される他の機器とのインピーダンス整合の機能を併せ持っている。同図(a)は、制御電圧Vcが0.0Vのとき、つまりスイッチ装置10Aがオンのときの特性グラフである。同図(b)は、制御電圧Vcが1.0Vのとき、つまりスイッチ装置10Aがオフのときの特性グラフである。なお、同図の見方は、図3と同様である。
【0050】
図5(a)からわかるように、スイッチ装置10Aがオンのとき、60GHz前後の信号が通過している。また、図5(b)からわかるように、スイッチ装置10Aがオフのとき、60GHz前後の信号に対する挿入損失は、−10dB以下になっている。このことから、スイッチ装置10Aによると、60GHz前後の信号のスイッチングが可能であることがわかる。
【0051】
一方、図6は、フィルタ回路13,14を、12GHz前後の信号の通過を阻止する帯域通過阻止型のフィルタ回路にしたときのスイッチ装置10Aのスイッチング特性を示すグラフである。なお、フィルタ回路13,14は、マイクロストリップライン構造の線路を用いたものである。同図(a)は、制御電圧Vcが0.0Vのとき、つまりスイッチ装置10Aがオンのときの特性グラフである。同図(b)は、制御電圧Vcが1.0Vのとき、つまりスイッチ装置10Aがオフのときの特性グラフである。なお、同図の見方は、図3と同様である。
【0052】
図6(a)(b)からわかるように、スイッチ装置10Aがオンおよびオフのいずれのときも、12GHz前後の信号の通過が阻止されている。このことから、スイッチ装置10Aによると、12GHz前後の周波数帯を除く信号のスイッチングが可能であることがわかる。
【0053】
また、スイッチ装置10Aについて、フィルタ回路13に代えて、図4に示すように、減衰器15を備えるようにしてもよい。これは、高周波信号のレベルが高いときには、特に有効である。高レベルの信号をそのままゲートに与えると、増幅される信号に歪みが生じてしまう。このため、FET11が線形領域において動作可能な程度に、入力信号のレベルを減衰させる必要がある。これを行うのが、減衰器15である。減衰器15によって、入力信号のレベルが減衰することによって、出力される電圧信号に含まれる増幅の歪みを低減することができる。これにより、スイッチング特性が向上する。さらに、可変抵抗素子などによって減衰器15を構成することによって、入力信号のレベルに応じた減衰量の調整可能が可能となり、より安定した信号通過特性を得ることができる。また、FET11のゲインを調整することもできる。一方、信号遮断時には、十分なアイソレーションをとることができる。
【0054】
以上、本実施形態によると、FET11の入力側および出力側に、フィルタ回路13,14を備えることによって、スイッチ装置10Aの周波数特性を所望の特性にすることができる。また、入力とする高周波信号に含まれる不要な低周波成分をカットし、FET11の不要な発振を抑制することができる。これにより、回路動作を安定化させることができる。
【0055】
なお、本実施形態では、FET11の入力側および出力側のいずれにもフィルタ回路を設けるものとしたが、出力側のフィルタ回路14は、省略可能である。
【0056】
(第3の実施形態)
図7は、本発明の第3の実施形態であるスイッチ装置20の概略回路図である。スイッチ装置20は、第1の端子P1と第2の端子P2との間に設けられた第1の部分スイッチ装置10Cと、第1の端子P1と第3の端子P3との間に設けられた第2の部分スイッチ装置10Dとを備え、高周波信号に対し、端子P1と端子P2とを電気的に接続する第1の接続状態と、端子P1と端子P3とを電気的に接続する第2の接続状態とを切り替えるものである。
【0057】
部分スイッチ装置10Cは、第1および第2の実施形態のスイッチ装置10,10Aとほぼ同様の構成をしている。すなわち、部分スイッチ装置10Cは、FET11Aと、整合回路13A,14Aとを備え、ゲートに与えられる高周波信号のスイッチングを行うことによって、第1の接続状態を設定するか否かを切り替えるものである。整合回路13A,14Aは、端子P1,P2より先に接続される他の機器とのインピーダンス整合のために挿入したものであり、省略可能である。部分スイッチ装置10Cの動作条件もまた、スイッチ装置10,10Aと同様である。すなわち、制御電圧Vc1が0.0Vのとき、オンになる一方、バイアス電圧Vbに相当する1.0Vのとき、オフになる。
【0058】
部分スイッチ装置10Dは、ゲートに与えられる高周波信号のスイッチングを行うことによって、第2の接続状態を設定するか否かを切り替えるものである。部分スイッチ装置10Dの構成および動作条件は、部分スイッチ装置10Cと同様である。すなわち、制御電圧Vc2が0.0Vのとき、オンになる一方、バイアス電圧Vbに相当する1.0Vのとき、オフになる。なお、FET11A,11Bは、ともに、InP基板上に形成されている。
【0059】
スイッチ装置20は、第1の接続状態と第2の接続状態とを切り替えるものであるため、部分スイッチ装置10C,10Dは、相補的にスイッチング動作する必要がある。このため、制御電圧Vc1,Vc2のいずれか一方が0.0Vのとき、他方を1.0Vに設定する。すなわち、制御電圧Vc1が0.0Vかつ制御電圧Vc2が1.0Vのとき、端子P1と端子P2とが接続される第1の接続状態になる。一方、制御電圧Vc1が1.0Vかつ制御電圧Vc2が0.0Vのとき、端子P1と端子P3とが接続される第2の接続状態になる。
【0060】
図8は、制御電圧Vc1が0.0V、制御電圧Vc2が1.0Vのときのスイッチ装置20のスイッチング特性を示すグラフである。同グラフにおいて、PORTi(i=1,2,3)−PORTj(j=1,2,3)は、それぞれ、端子Piから端子Pjへ伝達される信号のレベルを示す。なお、同図の横軸は、信号の周波数であり、単位はGHzである。また、縦軸の単位はdBである。
【0061】
図8からわかるように、PORT1−PORT2は、30G〜50GHzの周波数帯域において0dB前後で推移しており、端子P1と端子P2とが接続された状態にある。また、PORT1−PORT3は、−25dB以下であり、端子P1と端子P3とは切断された状態にある。なお、制御電圧Vc1を1.0V、制御電圧Vc2を0.0Vにしたとき、回路の対称性から、これとは逆の特性を示す。
【0062】
以上、本実施形態によると、一般的なFET11A,11Bによって、高周波信号の経路の切り替えが可能になる。なお、部分スイッチ装置10C,10Dとして、まったく同一の構成のものを備える必要はない。部分スイッチ装置10C,10Dが、いずれも高周波信号のスイッチングが可能であるなら、これら部分スイッチ装置10C,10Dを相補的に切り替え動作させることによって、経路切り替えのスイッチ装置20を構成することができる。
【0063】
(第4の実施形態)
図9は、本発明の第4の実施形態であるスイッチ装置20Aの概略回路図である。スイッチ装置20Aは、第3の実施形態のスイッチ装置20における部分スイッチ装置10C,10Dに代えて、部分スイッチ装置10E,10Fを備えたものである。
【0064】
部分スイッチ装置10Eは、フィードバック回路12Aと、フィルタ回路13A,14Aとを備えている。一方、部分スイッチ装置10Fは、フィードバック回路12Bと、フィルタ回路13B,14Bとを備えている。これら部分スイッチ装置10E,10Fの構成は、第2の実施形態のところで、説明したとおりである。
【0065】
図10は、制御電圧Vc1が0.0V、制御電圧Vc2が1.0V、バイアス電圧Vbが3.0Vのときのスイッチ装置20Aのスイッチング特性を示すグラフである。なお、フィルタ回路13A,13B,14A,14Bは、60GHz前後の信号を通過させる帯域通過型のフィルタ回路である。同図の見方は、図8と同様である。
【0066】
図10からわかるように、60GHz前後の信号に対して、PORT1−PORT2は通過の特性を示しており、端子P1と端子P2とが接続された状態にある。また、60GHz前後の信号に対して、PORT1−PORT3は、−10dB以下であり、端子P1と端子P3とは切断された状態にある。なお、制御電圧Vc1を1.0V、制御電圧Vc2を0.0Vにしたとき、回路の対称性から、これとは逆の特性を示す。
【0067】
一方、図11は、フィルタ回路13A,13Bをそれぞれ減衰器に置き換えたスイッチ装置20Aのスイッチング特性を示すグラフである。同図に示したスイッチング特性は、図10に示した特性とほぼ同様であり、スイッチ装置20Aの構成を多少変更しても、本発明が奏する効果に大きな差異は生じないことがわかる。
【0068】
上記説明において、FET11,11A,11Bは、InP系やGaAs系といった化合物半導体によって構成されるとしたが、SiやGeといった単結晶の半導体によって構成してもよい。また、別の化合物半導体として、Ga,In,As,P,N,Alのうち少なくとも1つの元素を含むような、たとえば、GaAlAs,InP,InGaP,GaN,GaInAs,InGaPNなどが可能である。もちろん、これ以外の元素を含む化合物半導体でもよい。このうち、特に、GaN系、InGaP系、InGaPN系を用いると、FETの耐電圧特性が向上するという効果を得ることができる。
【0069】
【発明の効果】
以上、本発明によると、一般的なFETによって、高周波信号のスイッチング、および高周波信号の伝送経路の切り替えが可能になる。これにより、MMICへのスイッチ装置の組み込みが容易になり、高周波回路の集積化に効果を奏する。また、本発明のスイッチ装置は、正電源のみで動作可能であり、負の電圧を供給する電源を必要としない。これにより、回路規模を縮減することができ、高周波回路のより一層の小型化に効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態のスイッチ装置の概略回路図である。
【図2】図1のスイッチ装置におけるFETの各種特性を示すグラフである。
【図3】図1のスイッチ装置のスイッチング特性を示すグラフである。
【図4】本発明の第2の実施形態のスイッチ装置の概略回路図である。
【図5】図4のスイッチ装置10Aのスイッチング特性を示すグラフである。
【図6】図4のスイッチ装置10Aのスイッチング特性を示すグラフである。
【図7】本発明の第3の実施形態のスイッチ装置の概略回路図である。
【図8】図7のスイッチ装置のスイッチング特性を示すグラフである。
【図9】本発明の第4の実施形態のスイッチ装置の概略回路図である。
【図10】図9のスイッチ装置のスイッチング特性を示すグラフである。
【図11】図9のスイッチ装置のスイッチング特性を示すグラフである。
【図12】FETスイッチを説明するための図である。
【図13】図12のFETスイッチのスイッチング特性を示すグラフである。
【図14】図14のFETスイッチとは異なる構成のFETスイッチを説明するための図である。
【図15】図14のスイッチ装置のスイッチング特性を示すグラフである。
【符号の説明】
10,10A スイッチ装置
11 FET(電界効果トランジスタ)
12 フィードバック回路
13,14 フィルタ回路
15 減衰器
20,20A スイッチ装置
10C,10E 第1の部分スイッチ装置
10D,10F 第2の部分スイッチ装置
P1 第1の端子
P2 第2の端子
P3 第3の端子
Vc,Vc1,Vc2 制御電圧
Vb バイアス電圧
Claims (9)
- 高周波信号のスイッチングを行うスイッチ装置であって、
ゲートに、制御電圧をもってバイアスされた前記高周波信号が与えられ、ソースおよびドレインのいずれかから、電圧信号を出力する電界効果トランジスタを備え、
前記電界効果トランジスタは、
前記制御電圧が第1のレベルのとき、能動状態になり、前記高周波信号に応じて変化する信号を前記電圧信号として出力する一方、前記制御電圧が第2のレベルのとき、非能動状態になり、前記高周波信号に応じた変化が抑制された信号を前記電圧信号として出力する
ことを特徴とするスイッチ装置。 - 請求項1記載のスイッチ装置において、
前記電界効果トランジスタは、ソース側が接地されるとともに、ドレイン側に、正のバイアス電圧が与えられるものであり、
前記第1および第2のレベルは、ともに、接地電位以上である
ことを特徴とするスイッチ装置。 - 請求項2記載のスイッチ装置において、
前記第1のレベルは、接地電位であり、
前記第2のレベルは、前記バイアス電圧のレベルである
ことを特徴とするスイッチ装置。 - 請求項1記載のスイッチ装置において、
前記第1のレベルは、可変であり、
前記電界効果トランジスタは、前記能動状態のとき、前記第1のレベルに応じて前記高周波信号を増幅し、前記電圧信号を出力するものである
ことを特徴とするスイッチ装置。 - 請求項1記載のスイッチ装置において、
前記電界効果トランジスタにおける前記高周波信号の入力側と前記電圧信号の出力側との間に、フィードバック回路を備えた
ことを特徴とするスイッチ装置。 - 請求項1記載のスイッチ装置において、
前記電界効果トランジスタにおける前記高周波信号の入力側に、フィルタ回路を備えた
ことを特徴とするスイッチ装置。 - 請求項1記載のスイッチ装置において、
前記電界効果トランジスタにおける前記高周波信号の入力側に、減衰器を備えた
ことを特徴とするスイッチ装置。 - 請求項1記載のスイッチ装置において、
前記電界効果トランジスタは、Ga,In,As,P,N,Alのうち少なくとも1つの元素を含む化合物半導体によって構成されている
ことを特徴とするスイッチ装置。 - 第1、第2および第3の端子を有し、高周波信号に対し、前記第1の端子と前記第2の端子とを電気的に接続する第1の接続状態と、前記第1の端子と前記第3の端子とを電気的に接続する第2の接続状態とを、切り替えるスイッチ装置であって、
請求項1記載のスイッチ装置によってそれぞれ構成された、第1および第2の部分スイッチ装置を備え、
前記第1の部分スイッチ装置は、前記第1の端子と前記第2の端子との間に設けられ、前記第1の接続状態を設定するか否かを切り替えるものであり、
前記第2の部分スイッチ装置は、前記第1の端子と前記第3の端子との間に設けられ、前記第2の接続状態を設定するか否かを切り替えるものであり、
前記第1および第2の部分スイッチ装置は、相補的に、前記第1および第2の接続状態を設定する
ことを特徴とするスイッチ装置。
Priority Applications (1)
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JP2002179511A JP2004023695A (ja) | 2002-06-20 | 2002-06-20 | スイッチ装置 |
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JP2002179511A Pending JP2004023695A (ja) | 2002-06-20 | 2002-06-20 | スイッチ装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008515306A (ja) * | 2004-10-01 | 2008-05-08 | トムソン ライセンシング | 信号入力回路 |
WO2019232705A1 (zh) * | 2018-06-06 | 2019-12-12 | 华为技术有限公司 | 晶体管电路及其制造方法 |
-
2002
- 2002-06-20 JP JP2002179511A patent/JP2004023695A/ja active Pending
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