JP2005244850A - 高周波スイッチ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】単一の制御信号で送受信の切り替えを行う。
【解決手段】高周波スイッチ装置は、スイッチ回路と、端子と、論理反転回路とを含む。前記スイッチ回路は、第1しきい値電圧を有し且つ送信信号の経路を接続状態或いは遮断状態にする第1FETと、受信信号の経路を接続状態或いは遮断状態にする第2FETとを有し、且つ送信モードと受信モードとを切り替える。前記端子は、前記第2FETのゲート電極に接続され且つ前記送信モードと受信モードとを切り替える制御信号が入力される。前記論理反転回路は、前記第1しきい値電圧と実質的に同一のしきい値電圧を有する第3及び第4FETを有し且つ前記第3及び第4FETのソース電極が互いに接続された差動回路を有し、且つ前記送信モード時には前記制御信号のハイレベルと略同じ第1電圧を前記第1FETのゲート電極に出力する。
【選択図】 図1
【解決手段】高周波スイッチ装置は、スイッチ回路と、端子と、論理反転回路とを含む。前記スイッチ回路は、第1しきい値電圧を有し且つ送信信号の経路を接続状態或いは遮断状態にする第1FETと、受信信号の経路を接続状態或いは遮断状態にする第2FETとを有し、且つ送信モードと受信モードとを切り替える。前記端子は、前記第2FETのゲート電極に接続され且つ前記送信モードと受信モードとを切り替える制御信号が入力される。前記論理反転回路は、前記第1しきい値電圧と実質的に同一のしきい値電圧を有する第3及び第4FETを有し且つ前記第3及び第4FETのソース電極が互いに接続された差動回路を有し、且つ前記送信モード時には前記制御信号のハイレベルと略同じ第1電圧を前記第1FETのゲート電極に出力する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、高周波信号の送信状態と受信状態とを切り替える高周波スイッチ装置に係り、特に高周波信号を扱うSPDT(Single-Pole Double-Through)スイッチに関する。
携帯電話などの高周波通信装置においては、送受信切り替えのために半導体スイッチを用いたSPDTスイッチが一般的に用いられている。このSPDTスイッチは、単一の入力端子への入力を、2つの信号線路の出力端子のいずれかに切り替えて出力するための高周波スイッチである。
図6は、従来のSPDTスイッチの一例を示す回路図である。SPDTスイッチは、アンテナ端子ANTと、送信端子TXと、受信端子RXと、制御端子CON1,CON2と、電源電圧端子VDと、接地電圧端子GNDとを備えている。端子ANTは、アンテナに接続される。端子TXには、送信信号が入力される。端子RXは、受信信号を出力する。
端子VDには、電源電圧Vddが供給されている。また端子VDは、デカップリングコンデンサCpを介して接地されている。すなわち、端子VDは、高周波的に接地され、直流(DC)的に電源電圧Vddが供給されている。端子GNDには、接地電圧が供給される。
SPDTスイッチは、送信側スルーFETQ1と、受信側スルーFETQ2と、送信側シャントFETQ3と、受信側シャントFETQ4と、5つの抵抗R1,R2,R3,R4,R5とを備えている。
スルーFETQ1は、端子TXと端子ANTとの間に接続されている。スルーFETQ2は、端子RXと端子ANTとの間に接続されている。シャントFETQ3は、端子TXと端子VDとの間に接続されている。シャントFETQ4は、端子RXと端子VDとの間に接続されている。
スルーFETQ1のゲート電極は、抵抗R1を介して制御端子CON1に接続されている。スルーFETQ2のゲート電極は、抵抗R2を介して制御端子CON2に接続されている。シャントFETQ3のゲート電極は、抵抗R3を介して制御端子CON2に接続されている。シャントFETQ4のゲート電極は、抵抗R4を介して制御端子CON1に接続されている。端子ANTは、抵抗R5を介して端子VDに接続されている。
FETQ1,Q2,Q3,Q4は、負のしきい値電圧Vthを有している。しきい値電圧Vthは、0Vから−|Vdd|Vの間で設定される(例えば、Vth=−0.6V)。図6に示すように、SPDTスイッチ内の全てのFETのソース電極或いはドレイン電極のDC電位は、電源電圧Vddに設定されている。
制御端子CON1には、制御信号Vcon1が供給される。制御端子CON2には、制御信号Vcon2が供給される。制御信号Vcon1と制御信号Vcon2とは、相補的な信号の対により構成されている。制御信号Vcon1或いは制御信号Vcon2は、ハイレベル(例えば電源電圧Vdd)とローレベル(例えば0V)との信号からなる。SPDTスイッチは、制御信号Vcon1と制御信号Vcon2とに基づいて送信経路と受信経路との切り替えを行う。
FETの特性は、オン抵抗Ron(オン状態でのソース−ドレイン間の抵抗値)が小さく、且つオフ容量Coff(オフ状態でのソース−ドレイン間の容量値)が小さい事が要求される。この要求に対して優れた特性を有するFETとして、複数の元素の化合物からなる化合物半導体を用いて形成されたHEMT(High Electron Mobility Transistor)がある。このHEMTは、バンドギャップの異なる2つの半導体層(例えばInAlAsとInGaAs)との接合界面に生じる電子層が通常の半導体内に比べて高速で動作することを利用した電界効果トランジスタであり、低いオン抵抗Ronと低いオフ容量Coffとを実現することが可能である。このように、HEMTは優れた特性を有するため、近年、HEMTを用いた各種高周波スイッチが製造されている。
ところで、図6に示したSPDTスイッチにおいて、送受信を切り替えるための制御信号は相補的な対として2つの制御信号が必要である。もし、SPDTスイッチ内部に論理反転回路を内蔵する事が出来れば、制御信号は1つあればよい。そのような論理反転回路として、従来は例えばエンハンスメント型FETにより構成されたソース接地回路が用いられていた。その理由としては、エンハンスメント型FETのソース接地回路における出力のハイレベルは、電源電圧Vddとなり、一方ローレベルは、ソース接地FETのオン抵抗が負荷に比して十分小さければ、略ゼロとなる。よって、論理反転回路の出力電圧は、電源電圧範囲内でほぼフルスウィングするからである。
ところが、SPDTスイッチを構成するFETに負のしきい値電圧を持つディプレション型FETを用いる場合、SPDTスイッチ本体用のFETとは別に、論理反転回路用としてエンハンスメント型FETを備える必要がある。HEMTは、エピタキシャル基板上に形成されるので、しきい値電圧が異なる二種類のFETを単一半導体基板上に混載させる為には困難を伴う。すなわち、製造コストが増加し、またSPDTスイッチの回路面積が増大してしまう。
また、この種の関連技術として、単一制御電圧入力でスイッチング動作を行うSPDTスイッチが開示されている(特許文献1参照)。
特開平6−85641号公報
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたもので、単一の制御信号で送受信の切り替えができ、且つ送信或いは受信時に信号の漏れが発生することなく、且つ同一構造を有するFETを用いることにより製造コストの低減と回路面積の縮小が可能な高周波スイッチ装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明の第1の視点に係る高周波スイッチ装置は、スイッチ回路と、第3端子と、論理反転回路とを含む。前記スイッチ回路は、送信信号が入力される第1端子と、第1しきい値電圧を有し且つ前記送信信号の経路を接続状態或いは遮断状態にする第1FETと、受信信号を出力する第2端子と、前記受信信号の経路を接続状態或いは遮断状態にする第2FETとを有し、且つ前記送信信号の入出力を行う送信モードと前記受信信号の入出力を行う受信モードを切り替える。前記第3端子は、前記第2FETのゲート電極に接続され且つ前記送信モードと受信モードとを切り替える制御信号が入力される。前記論理反転回路は、前記第1しきい値電圧と実質的に同一のしきい値電圧を有する第3及び第4FETを有し且つ前記第3及び第4FETのソース電極が互いに接続された差動回路と、前記第3端子に接続された入力部と、前記第1FETのゲート電極に接続された出力部とを有し、且つ前記送信モード時には前記制御信号のハイレベルと略同じ第1電圧を出力し、一方前記受信モード時には前記第1FETをオフ状態にする第2電圧を出力する。
本発明によれば、単一の制御信号で送受信の切り替えができ、且つ送信或いは受信時に信号の漏れが発生することなく、且つ同一構造を有するFETを用いることにより製造コストの低減と回路面積の縮小が可能な高周波スイッチ装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るSPDTスイッチ1の構成を示す回路図である。SPDTスイッチ1は、アンテナ端子ANTと、送信端子TXと、受信端子RXと、制御端子CONと、電源電圧端子VDと、接地電圧端子GNDとを備えている。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るSPDTスイッチ1の構成を示す回路図である。SPDTスイッチ1は、アンテナ端子ANTと、送信端子TXと、受信端子RXと、制御端子CONと、電源電圧端子VDと、接地電圧端子GNDとを備えている。
端子ANTは、アンテナに接続される。端子TXは、例えば送信信号を増幅する電力増幅器(図示せず)の出力部に接続される。端子TXには、送信信号が入力される。端子RXは、例えば受信信号を増幅する受信側増幅器(図示せず)の入力部に接続される。端子RXは、受信信号を出力する。
端子VDには、電源電圧Vddが供給されている。また端子VDは、デカップリングコンデンサCp1を介して接地されている。すなわち、端子VDは、高周波的に接地され、直流(DC)的に電源電圧Vddが供給されている。端子GNDには、接地電圧が供給される。
制御端子CONには、送信と受信とを切り替えるための制御信号Vconが入力される。制御信号Vconは、ハイレベル(例えば電源電圧Vdd)とローレベル(例えば0V)との信号から構成される。
SPDTスイッチ1は、スイッチ回路2と論理反転回路3とにより構成されている。スイッチ回路2は、制御信号Vconと、論理反転回路3が出力する反転信号Vinvとに基づいて送信経路と受信経路との切り替えを行う。論理反転回路3は、制御信号Vconの論理反転を行い、反転信号Vinvを出力する。
スイッチ回路2は、送信側スルーFETQ1と、受信側スルーFETQ2と、送信側シャントFETQ3と、受信側シャントFETQ4と、5つの抵抗R1,R2,R3,R4,R5とにより構成されている。
スルーFETQ1は、端子TXと端子ANTとの間に接続されている。スルーFETQ2は、端子RXと端子ANTとの間に接続されている。シャントFETQ3は、端子TXと端子VDとの間に接続されている。シャントFETQ4は、端子RXと端子VDとの間に接続されている。
スルーFETQ1のゲート電極には、抵抗R1を介して反転信号Vinvが供給されている。スルーFETQ2のゲート電極は、抵抗R2を介して制御端子CONに接続されている。シャントFETQ3のゲート電極は、抵抗R3を介して制御端子CONに接続されている。シャントFETQ4のゲート電極には、抵抗R4を介して反転信号Vinvが供給されている。
端子ANTは、抵抗R5を介して端子VDに接続されている。上記説明した接続関係から明らかなように、スイッチ回路2内の全てのFETのソース電極或いはドレイン電極のDC電位は、電源電圧Vddに設定されている。抵抗R1〜R5は、バイアス電圧を供給すると共に高周波信号を遮断するために用いられ、例えば夫々10kΩ程度の高抵抗が用いられている。
FETQ1,Q2,Q3,Q4は、負のしきい値電圧Vthを有している。しきい値電圧Vthは、0Vから−|Vdd|Vの間で設定される(例えば、Vth=−0.6V)。また、スイッチ回路2を構成するFETには、例えばHEMTが用いられる。図2は、HEMTの構成の一例を示す断面図である。
図2において、基板10(GaAsから構成される)の上には、チャネル層11(InGaAsから構成される)が形成されている。このチャネル層11は、不純物イオンが低濃度であるアンドープ層である。チャネル層11の上には、キャリア供給層12(InAlAsから構成される)が形成されている。このキャリア供給層12は、不純物イオンが高濃度であるドープ層である。このチャネル層11とキャリア供給層12とを合わせて導電層と称する。
キャリア供給層12の上には、ゲート電極14が形成されている。また、キャリア供給層12の上には、オーミックコンタクト層13(InAlAsから構成される)が形成されている。オーミックコンタクト層13の上には、ソース電極15とドレイン電極16とが形成されている。
このように構成されたHEMTでは、キャリア(例えば、電子)が走行する状態において、チャネル層11に絶えず電子が供給される。このとき、チャネル層11における不純物イオン散乱は少なくなるため、高い電子移動度が得られる。したがって、このHEMTは、高い電子移動度と高い耐圧を有するという特性がある。さらに、このHEMTは、低いオン抵抗Ronと低いオフ容量Coffとを実現している。
次に、論理反転回路3について説明する。論理反転回路3は、入力バッファ回路4と、レベルシフト回路5と、差動回路6と、基準電圧生成回路7とにより構成されている。論理反転回路3を構成するFETは、スイッチ回路2で用いられたFETと同一の構成を有するFETにより構成されている。
入力バッファ回路4は、制御信号Vconが0Vから“Vdd”Vまで変化した場合でも、制御端子CONから論理反転回路3へ電流がほとんど流れ込まないようにするために設けられている。入力バッファ回路4は、FETQ5とFETQ6とにより構成され、且つソースフォロワ回路により構成されている。FETQ5のドレイン電極は、端子VDに接続されている。FETQ5のゲート電極は、制御端子CONに接続されている。FETQ5のソース電極は、FETQ6のドレイン電極と接続されている。FETQ6のゲート電極とソース電極とは、接続されている。FETQ6のソース電極は、端子GNDに接続されている。なお、FETQ6は、能動負荷として用いられている。
レベルシフト回路5は、制御信号Vconを負側にレベルシフトし、後段の差動回路6に適切な電圧レベルを供給するために設けられている。レベルシフト回路5は、ソースフォロワ回路により構成されている。またレベルシフト回路5は、FETQ7〜Q10により構成されている。FETQ7のドレイン電極は、端子VDに接続されている。FETQ7のゲート電極は、入力バッファ回路4の出力部(FETQ5のソース電極)に接続されている。FETQ7のソース電極は、FETQ8のドレイン電極に接続されている。
FETQ8のドレイン電極とゲート電極とは、ダイオード接続されている。FETQ8のソース電極は、FETQ9のドレイン電極に接続されている。FETQ9のドレイン電極とゲート電極とは、ダイオード接続されている。FETQ9のソース電極は、FETQ10のドレイン電極に接続されている。FETQ10のゲート電極とソース電極とは、接続されている。FETQ10のソース電極は、端子GNDに接続されている。なお、FETQ10は、能動負荷として用いられている。レベルシフト回路5は、レベルシフトした信号をFETQ9のソース電極から出力している。
HEMTを形成するために用いられるエピタキシャル基板は、理想的なダイオードを形成する事が比較的困難である。このため、レベルシフト回路5では、ダイオード接続したFETQ8,Q9をレベルシフト手段として用いている。レベルシフトさせる電圧は、電源電圧VddやFETの特性等よって異なるため、回路設計に応じて設定される。
なお本実施形態では、ソースフォロワ回路として、入力バッファ回路4とレベルシフト回路5との2段で構成されているが、ソースフォロワ回路を3段以上備えていてもよい。
基準電圧生成回路7は、差動回路6に対して基準電圧を供給する。この基準電圧は、電源電圧Vddや差動回路6の特性等によって異なるため、回路設計に応じて設定される。基準電圧生成回路7は、端子VDと端子GNDとの間に、抵抗R6とR7とが直列に接続されて構成されている。そして基準電圧生成回路7は、抵抗R6とR7との接続部分から基準電圧を出力する。
差動回路6は、レベルシフト回路5から出力された信号の論理反転を行う。差動回路6は、2つのFETのソース電極が共通接続されたSCFL(Source Coupled FET Logic)回路により構成されている。差動回路6は、FETQ11〜Q15により構成されている。FETQ11とQ12とのドレイン電極は、夫々端子VDに接続されている。FETQ11とQ12とは、夫々ゲート電極とソース電極とが接続されている。
FETQ13のゲート電極は、レベルシフト回路5の出力部に接続されている。FETQ13のドレイン電極は、FETQ11のソース電極に接続されている。FETQ14のゲート電極は、基準電圧生成回路7の出力部に接続されている。FETQ14のドレイン電極は、FETQ12のソース電極に接続されている。FETQ14のソース電極は、FETQ13のソース電極に接続されている。FETQ13のソース電極は、FETQ15のドレイン電極に接続されている。FETQ15のゲート電極とソース電極とは、接続されている。FETQ15のソース電極は、端子GNDに接続されている。なお差動回路6において、FETQ11、Q12及びQ15を能動負荷として用いているが、代わりに抵抗を用いてもよい。
前述したように、スイッチ回路2と論理反転回路3とは、同一構造を有するFET(本実施形態では、例えばHEMT)により構成されている。またスイッチ回路2と論理反転回路3とは、同一基板に形成されている。
このように構成されたSPDTスイッチ1の動作について説明する。先ずスイッチ回路2の動作について説明する。なお、本実施形態では、各FETのしきい値電圧Vthは−0.6V、電源電圧Vddは3Vであるものとして説明するが、これに限定されるものではない。
制御信号Vconがハイレベル且つ反転信号Vinvがローレベルの時、スルーFETQ1およびシャントFETQ4はオン状態、スルーFETQ2およびシャントFETQ3はオフ状態となる。この場合、端子TX−ANT間は導通状態且つ端子ANT−RX間は遮断状態となり、SPDTスイッチ1は送信モードとなる。一方、制御信号Vconがローレベル且つ反転信号Vinvがハイレベルの時、スルーFETQ1およびシャントFETQ4はオフ状態、スルーFETQ2およびシャントFETQ3はオン状態となる。この場合、端子TX−ANT間は遮断状態且つ端子ANT−RX間は導通状態となり、SPDTスイッチ1は受信モードとなる。
なお、シャントFETQ3は、端子TX−ANT間が遮断された際、その端子間のアイソレーションを高めるために設けられている。すなわち、スルーFETQ1がオフ状態であっても、受信信号がスルーFETQ1を介して端子TXに漏れてしまう場合がある。この時、シャントFETQ3は、漏れた受信信号を高周波的に接地された端子VDに逃がすように機能する。同様に、シャントFETQ4は、端子RX−ANT間が遮断された際、その端子間のアイソレーションを高めるために設けられている。このように、シャントFETを備えたSPDTスイッチ1をシャント型SPDTスイッチという。
次に、論理反転回路3の動作について説明する。図3は、論理反転回路3の入出力特性を示す図である。なお、本実施形態では、例えば抵抗R6に3.1kΩ、抵抗R7に2.9kΩを用いている。図3から分かるように、論理反転回路3は、制御信号Vconが0Vの時、反転信号Vinvとして3Vを出力している。また、論理反転回路3は、制御信号Vconが3Vの時、反転信号Vinvとして1.7Vを出力している。
ここで、差動回路6にSCFL回路を用いた事により、FETのしきい値電圧Vthが負であっても、論理反転回路3のハイレベルは電源電圧Vddと同じ3Vになっている。もし、論理反転回路3のハイレベルが電源電圧Vddよりも低下してしまうと、その信号を入力とするFETのオン抵抗Ronが増加してしまう。これにより、SPDTスイッチ1の送信モード時の特性が劣化してしまう。しかし、本実施形態では、論理反転回路3のハイレベルが電源電圧Vddを維持しているため、そのような問題は生じない。なお、論理反転回路3のハイレベルは電源電圧Vddであることが望ましいが、FETのオン抵抗の低下が許される範囲内での低下(例えば、電源電圧Vddの10%程度)であれば問題は無く、本実施例の効果は得られる。
一方、論理反転回路3のローレベルは1.7Vであり、通常の理想値と考えられる0Vに近い値にはなっていない。しかし、論理反転回路3の出力は、受信モードの時にオフ状態となるスルーFETQ1のゲート電極と高抵抗を介して接続されている。この点につき、以下に説明する。
まず、SPDTスイッチ1を構成するFETをオフ状態にさせるための条件について説明する。各FETは、ソース電極或いはドレイン電極に電源電圧Vddが印加されているため、ゲート電圧が“Vdd+Vth”以下になればオフ状態となる。すなわち、Vdd=3V、Vth=−0.6Vであれば、ゲート電圧として2.4Vが供給されればFETはオフ状態となるのである。しかし、高周波信号を扱うSPDTスイッチにおいては、実際には高周波信号がゲート電極に重畳されるため、その場合でもなおFETをオフ状態に保つために、DCバイアス電位を更に負側に設定している。
ところが、高周波信号送受信切り替え用のSPDTスイッチにおいては、アンテナから入力されRX端子から出力される高周波信号は電力が微弱であり、その電圧振幅は極めて小さい。よって、受信モード時にオフ状態となるスルーFETQ1とシャントFETQ4とに供給されるゲート電圧は、“Vdd+Vth”からわずかに負側であれば、スルーFETQ1とシャントFETQ4とをオフ状態にするには十分である。
本実施形態では、論理反転回路3のローレベルとして1.7Vが供給されるので、スルーFETQ1とシャントFETQ4とをオフ状態にするゲート電位としては、十分なマージンを有していることになる。これにより、受信モード時に、受信信号が端子TXに漏れるのを防止することが可能となる。
一方、送信信号の電力は大きいため、送信モード時にはスルーFETQ2を完全にオフ状態にする必要がある。すなわち、スルーFETQ2をオフ状態にするゲート電位に、十分なマージンを持たせる必要がある。本実施形態では、制御信号Vconを直接にスルーFETQ2とシャントFETQ3とのゲート電極に接続している。このため、送信モード時には、スルーFETQ2とシャントFETQ3とのゲート電圧に0Vを供給することが可能となる。これにより、送信モード時に、送信信号が端子RXに漏れるのを防止することができる。
以上詳述したように本実施形態では、送受信の切り替えを行う制御信号Vconの論理反転を行う論理反転回路3を備えている。そして論理反転回路3の出力信号を受信側スルーFETQ2と受信側シャントFETQ4とのゲート電極に高抵抗を介して接続している。そして論理反転回路3をSCFL回路で構成し、論理反転回路3のハイレベルを電源電圧Vddと略同じにするようにしている。さらに論理反転回路3を構成するFETに、スイッチ回路2を構成するFETと同一構造を有するFETを用いている。
したがって本実施形態によれば、送受信の切り替えを行う制御信号が単一の場合でも、確実に送信モードと受信モードとの切り替えを行うことができる。
また、送信モードと受信モードとのいずれの場合においても、スイッチ回路2に必要なハイレベルとローレベルとの電位を供給することができる。よって、高周波信号の送信或いは受信時に、信号の漏れが発生することがない。
また、論理反転回路3をSCFL回路で構成したことにより、SPDTスイッチ1を同一構造のFETにより構成することができる。また、SPDTスイッチ1を同一基板に形成することができる。これにより、製造コストの低減と回路面積の縮小とが可能となる。
なお、図1で示した4つのFETQ1,Q2,Q3,Q4は、シングルゲートFETを表しているが、マルチゲートFETであってもよい。図4は、トリプルゲートFETの構成の一例を示す回路図である。このトリプルゲートFETは、ゲート幅(チャネル幅方向のゲート電極の長さ)を長くし、ゲート電極に3本の配線を接続する。そして、各配線に抵抗Rを接続している。このようなマルチゲートFETをスイッチ回路2に用いることで、高耐圧のスイッチ回路2を構成することができる。
また、各FETとしてHEMTの代りにMESFET(Metal Semiconductor Field Effect Transistor)を用いても、本実施形態のSPDTスイッチ1を構成することができ、且つ上記同様の効果を得ることができる。また、一般にディプレション型FETを用いるのであれば、上記同様に実施可能である。
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、図1に示したシャントFETQ3,Q4の代わりに、インダクタを用いて端子TX−ANT間或いは端子RX−ANT間のアイソレーションを高めるようにしてSPDTスイッチ1を構成したものである。
第2の実施形態は、図1に示したシャントFETQ3,Q4の代わりに、インダクタを用いて端子TX−ANT間或いは端子RX−ANT間のアイソレーションを高めるようにしてSPDTスイッチ1を構成したものである。
図5は、本発明の第2の実施形態に係るSPDTスイッチ1の構成を示す回路図である。
スルーFETQ1のソース電極には、インダクタL1の一方の端子が接続されている。スルーFETQ1のドレイン電極には、インダクタL1の他方の端子が接続されている。すなわち、インダクタL1は、スルーFETQ1に並列に接続されている。
スルーFETQ2のソース電極には、インダクタL2の一方の端子が接続されている。スルーFETQ2のドレイン電極には、インダクタL2の他方の端子が接続されている。すなわち、インダクタL2は、スルーFETQ2に並列に接続されている。
スルーFETQ1がオフ状態の時、スルーFETQ1とインダクタL1とは、所望の周波数で並列共振する。これにより、シャントFETQ3が取り除かれても、端子TX−ANT間が遮断された際、その端子間のアイソレーションを高めることができる。スルーFETQ2についても同様である。このように、スルーFETと並列にインダクタを備えたSPDTスイッチ1を共振型SPDTスイッチという。
その他のスイッチ回路2の構成と、論理反転回路3の構成とは、上記第1の実施形態と同じである。
このようにしてSPDTスイッチ1を構成しても、送受信の切り替えを行う単一の制御信号で、確実に送信モードと受信モードとの切り替えを行うことができる。
また、送信モードと受信モードとのいずれの場合においても、スイッチ回路2に必要なハイレベルとローレベルとの電位を供給することができる。よって、高周波信号の送信或いは受信時に、信号の漏れが発生することがない。
また、論理反転回路3をSCFL回路で構成したことにより、SPDTスイッチ1を同一構造のFETにより構成することができる。また、SPDTスイッチ1を同一基板に形成することができる。これにより、製造コストの低減と回路面積の縮小とが可能となる。
また、図5で示した2つのFETQ1,Q2は、シングルゲートFETであるが、マルチゲートFETであってもよい。また、各FETとしてHEMTの代りにMESFETを用いても同様の効果を得ることができる。
この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その他、本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形して実施可能である。
ANT…アンテナ端子、TX…送信端子、RX…受信端子、VD…電源電圧端子、GND…接地電圧端子、CON,CON1,CON2…制御端子、Vdd…電源電圧、Cp,Cp1…デカップリングコンデンサ、R,R1〜7…抵抗、Vdd…電源電圧、Q1〜Q15…FET、L1,L2…インダクタ、1…SPDTスイッチ、2…スイッチ回路、3…論理反転回路、4…入力バッファ回路、5…レベルシフト回路、6…差動回路、7…基準電圧生成回路、10…基板、11…チャネル層、12…キャリア供給層、13…オーミックコンタクト層、14…ゲート電極、15…ソース電極、16…ドレイン電極。
Claims (5)
- 送信信号が入力される第1端子と、第1しきい値電圧を有し且つ前記送信信号の経路を接続状態或いは遮断状態にする第1FET(電界効果トランジスタ)と、受信信号を出力する第2端子と、前記受信信号の経路を接続状態或いは遮断状態にする第2FETとを有し、且つ前記送信信号の入出力を行う送信モードと前記受信信号の入出力を行う受信モードとを切り替えるスイッチ回路と、
前記第2FETのゲート電極に接続され且つ前記送信モードと受信モードとを切り替える制御信号が入力される第3端子と、
前記第1しきい値電圧と実質的に同一のしきい値電圧を有する第3及び第4FETを有し且つ前記第3及び第4FETのソース電極が互いに接続された差動回路と、前記第3端子に接続された入力部と、前記第1FETのゲート電極に接続された出力部とを有し、且つ前記送信モード時には前記制御信号のハイレベルと略同じ第1電圧を出力し、一方前記受信モード時には前記第1FETをオフ状態にする第2電圧を出力する論理反転回路と
を具備することを特徴とする高周波スイッチ装置。 - 前記論理反転回路は、前記第3端子と差動回路との間に接続され、且つ前記第1電圧を前記制御信号のハイレベルと略同一にするために前記制御信号をレベルシフトするレベルシフト回路をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の高周波スイッチ装置。
- 前記論理反転回路は、前記第1電圧を前記制御信号のハイレベルと略同一にするために、前記差動回路に入力する基準電圧を生成する電圧生成回路をさらに具備することを特徴とする請求項1又は2記載の高周波スイッチ装置。
- 前記論理反転回路は、前記第3端子から電流が流れ込まないようにする入力バッファをさらに具備することを特徴とする請求項1乃至3記載の高周波スイッチ装置。
- 前記各FETは、高電子移動度トランジスタ(HEMT)からなることを特徴とする請求項1記載の高周波スイッチ装置。
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