JP2004014592A - 電気二重層キャパシタ用セパレーター - Google Patents
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Abstract
【課題】内部抵抗を低減し、寿命特性に優れる電気二重層キャパシタ用セパレーターを提供する。
【解決手段】融点または熱分解温度が250℃以上で、少なくとも一部が繊維径1μm以下にフィブリル化された高分子、およびゼオライトを含有する不織布からなることを特徴とする電気二重層キャパシタ用セパレーターである。ゼオライトが、アルミノフォスフェート型であることが好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】融点または熱分解温度が250℃以上で、少なくとも一部が繊維径1μm以下にフィブリル化された高分子、およびゼオライトを含有する不織布からなることを特徴とする電気二重層キャパシタ用セパレーターである。ゼオライトが、アルミノフォスフェート型であることが好ましい。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内部抵抗を低減し、寿命特性に優れる電気二重層キャパシタ用セパレーターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、大容量電気二重層キャパシタの開発が主流になっており、そのためには電気二重層キャパシタの内部抵抗をさらに低くすることが課題である。内部抵抗を低くするためには、電極材、集電体、電解液などの改良もさることながら、電気二重層キャパシタ用セパレーターの改良も必要であり、内部抵抗を低減する電気二重層キャパシタ用セパレーターが要望されている。また、電気二重層キャパシタを長期間使用する場合にも、経時で内部抵抗が上昇し特性劣化が起こる問題があるため、内部抵抗の上昇を抑えることができ、寿命特性に優れる電気二重層キャパシタ用セパレーターが要望されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術に見られる上記問題点を解決するものである。即ち、本発明の目的は、内部抵抗を低減し、寿命特性に優れる電気二重層キャパシタ用セパレーターを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点を解決するため、ゼオライトについて検討を重ねた結果、内部抵抗を低減し、寿命特性に優れる電気二重層キャパシタ用セパレーターを実現できることを見出し、本発明に至ったものである。
【0005】
即ち本発明は、融点または熱分解温度が250℃以上で、少なくとも一部が繊維径1μm以下にフィブリル化された高分子、およびゼオライトを含有する不織布からなることを特徴とする電気二重層キャパシタ用セパレーターである。
【0006】
本発明においては、ゼオライトが、アルミノフォスフェート型であることが好ましい。
【0007】
本発明においては、高分子が、パラ系全芳香族ポリアミドであることが好ましい。
【0008】
本発明においては、高分子が、全芳香族ポリエステルであることが好ましい。
【0009】
本発明においては、不織布が、繊度3.3dtex以下の熱融着性繊維を含有し、該繊維が熱融着してなることが好ましい。
【0010】
本発明においては、熱融着性繊維が、融点200℃以上の成分を芯部に、融点200℃未満の成分を鞘部に配してなる芯鞘複合繊維であることが好ましい。
【0011】
本発明においては、不織布が、フィブリル化セルロースを含有することが好ましい。
【0012】
本発明においては、不織布が、バクテリアセルロースを含有することが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電気二重層キャパシタ用セパレーターについて詳細に説明する。
【0014】
本発明における電気二重層キャパシタとは、対向する2つの電極間に電気二重層を挟んだ形で構成されてなる蓄電機能を有するものである。電気二重層キャパシタの電極としては、一対の分極性電極、一方が分極性電極でもう片方が非分極性電極の組み合わせの何れでも良い。電解液は、水溶液系、有機電解液系の何れでも良い。
【0015】
本発明に用いられるゼオライトとしては、chabazite(Ca2[(AlO2)4(SiO2)8]・13H2O)、mordenite(Na8[(AlO2)8(SiO2)40]・24H2O)、erionite(M4.5[(AlO2)9(SiO2)27]・27H2O)、clinoptilolite(Na6[(AlO2)6(SiO2)30]・24H2O)などの天然ゼオライト、ゼオライトA(Na12[(AlO2)12(SiO2)12]・27H2O)、ゼオライトX(Na86[(AlO2)86(SiO2)106]・264H2O)、ゼオライトY(Na56[(AlO2)56(SiO2)136]・250H2O)などのアルミノシリケート型合成ゼオライト、Siの一部または全部をPで置換したアルミノフォスフェート型合成ゼオライト、さらにアルミノフォスフェート型のPやAlの一部を他の元素(Fe、Mg、Co、Mn、Znなど)で置換した合成ゼオライトなどが挙げられる。ここで、Mは、Na、K、Ca、Baなどの金属を指す。アルミノフォスフェート型ゼオライトとしては、例えば、AlPO4−n(nは整数)、VPI−5、cloverite、JDF−20などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明においては、相対的に親水性に優れ、細孔が大きいアルミノフォスフェート型合成ゼオライトが好ましい。この特性のためアルミノフォスフェート型合成ゼオライトは、電解液との親和性およびイオン交換能に優れており、電解液中のイオン伝導を円滑にしやすい。
【0016】
ゼオライトは、イオン交換能を有するため、電解液中のイオン伝導を円滑にする作用があり、電気二重層キャパシタの内部抵抗を低減することができる。また、ゼオライトがセパレーター中に保持されていることにより、内部抵抗が経時で上昇しにくくなり、寿命特性に優れる電気二重層キャパシタが得られる。
【0017】
本発明に用いられるゼオライトの平均粒径は、10μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましい。10μmより大きいと電気二重層キャパシタ用セパレーターから脱落しやすくなる。本発明の電気二重層キャパシタ用セパレーター中のゼオライトの含有量は1%以上が好ましい。含有量が1%未満では、ゼオライトの効果が不十分になりやすい。
【0018】
本発明における融点または熱分解温度が250℃以上の高分子としては、ナイロン66、芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミド、芳香族ポリエステル、全芳香族ポリエステル、全芳香族ポリエステルアミド、全芳香族ポリエーテル、全芳香族ポリアゾメジン、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリ−p−フェニレンベンゾビスチアゾール(PBZT)、ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などが挙げられ、これら単独でも良いし、2種類以上の組み合わせでも良い。PBZTはトランス型、シス型の何れでも良い。これらの中でも、液晶性のためフィブリル化されやすい全芳香族ポリアミド、特にパラ系全芳香族ポリアミドと全芳香族ポリエステルが好ましい。全芳香族ポリエステルは、吸湿率が著しく低い特徴もあり好ましい。
【0019】
パラ系全芳香族ポリアミドは、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド、ポリ−p−ベンズアミド、ポリ−p−アミドヒドラジド、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド−3,4−ジフェニルエーテルテレフタルアミドなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
全芳香族ポリエステルは、芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸、芳香族ヒドロキシカルボン酸などのモノマーを組み合わせて、組成比を変えて合成される。例えばp−ヒドロキシ安息香酸と2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸との共重合体が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0021】
本発明における融点または熱分解温度が250℃以上の高分子は、少なくとも一部がフィブリル化されてなることが好ましい。本発明におけるフィブリルとは、主に繊維軸と平行な方向に非常に細かく分割された部分を有する繊維状で、少なくとも一部が繊維径1μm以下になっている繊維を指す。本発明においては、長さと巾のアスペクト比が20:1〜100000:1の範囲に分布し、カナダ標準形濾水度が0ml〜500mlの範囲にある。フィブリルの重量平均繊維長は2mm以下が好ましい。
【0022】
高分子のフィブリルを作製する方法としては、例えば、高分子の繊維やペレットを高圧ホモジナイザーやリファイナーなどを用いて処理する方法、不織布を水流交絡処理する方法などが挙げられる。
【0023】
ここで、高圧ホモジナイザーとは、対象物に少なくとも10kg/cm2以上、好ましくは200〜1000kg/cm2、さらに好ましくは400〜1000kg/cm2の圧力を加えてオリフィスを通過させ、急速に減圧、減速させることにより生じる剪断力をもって対象物をフィブリル化することができる装置である。高分子の場合は、この剪断力によって、主として繊維軸と平行な方向に引き裂き、ほぐすような力として与えられ、次第にフィブリル化する。具体的には、高分子の繊維やペレットを長さ5mm以下、好ましくは3mm以下に切断したもの、あるいは予めパルプ状にしたものを原料とし、これを水に分散させて懸濁液とする。懸濁液の濃度は質量百分率で最大25%、好ましくは1〜10%であり、さらに好ましくは、1〜2%である。この懸濁液を高圧ホモジナイザーに導入し、少なくとも10kg/cm2、好ましくは200〜1000kg/cm2、さらに好ましくは400〜1000kg/cm2の圧力を加え、この操作を数回〜数十回繰り返し高圧ホモジナイザーに通過させる。場合によって、界面活性剤など薬品を添加して処理しても良い。
【0024】
水流交絡処理する場合、水流を噴射するためのノズル直径は10〜500μmの範囲が好ましい。ノズルピッチは10〜1500μmが好ましい。ノズルプレートは、搬送方向に対する直交方向では、搬送中のスラリーの幅をカバーする範囲が必要である。搬送方向では、繊維の種類、坪量、抄紙速度、水圧を考慮して、ノズルヘッドの数を変えて用いることができる。1本のノズルプレート中のノズルの配列は、1列でも良いし、2列以上の複数列でも良い。複数列の場合は、隣接する列の穴を交互に配列した、いわゆる千鳥状でも良いし、隣接する列の穴の位置を揃えたものや変則的であっても良い。本発明の水流交絡処理では、10mmH2O〜1000mmH2Oの範囲で搾水することが好ましい。水流の圧力としては、10kg/cm2〜200kg/cm2の範囲が好ましい。
【0025】
本発明に用いられる融点または熱分解温度が250℃以上で、少なくとも一部が繊維径1μm以下にフィブリル化された高分子には、ピンホールの生成を抑制する効果がある。
【0026】
本発明に用いられる高分子を含有してなる不織布は、高分子を繊維化と同時にシート化したり、繊維化してからシート化して製造される。本発明に用いられる不織布としては、融点または熱分解温度が250℃以上の高分子のみからなるものでも良いが、これらの温度が250℃未満の有機材料を含有してなるものでも良い。そのような有機材料としては、ナイロン6などのポリアミド、ポリエステル、アクリル、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフッ化ビニリデンが挙げられる。不織布は、ニードルパンチや水流交絡処理されたものでも良い。
【0027】
本発明の電気二重層キャパシタ用セパレーターは、繊度3.3dtex以下の熱融着性繊維を含有し、該繊維が熱融着してなることが好ましい。熱融着性繊維としては、熱融着成分として、ポリエステル、アクリル、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−酢酸ビニルアルコール共重合体、低融点ポリエステル(変性ポリエステル)などを有する繊維が挙げられる。熱融着性繊維の構造としては、熱融着成分だけからなる単繊維の他に、サイドバイサイド型、芯鞘型、並列多層型、海島型、多重芯型、放射型、中空放射型、モザイク型、星雲型、多芯型、多芯海島型など、熱融着成分と非融着成分の両方を配してなるものも好ましい。セパレーターの均一性を損なわず繊維間の接着力が強くなりやすいものとして芯鞘型や多芯海島型が好ましい。
【0028】
熱融着性繊維が熱融着することにより、電気二重層キャパシタ用セパレーターの引張強度、突刺強度、引裂強度などの機械的強度が強くなる。融点200℃以上の非融着成分を芯部に、融点200℃未満の熱融着成分を鞘部に配してなる芯鞘複合繊維は、芯部の融点が高いため、耐熱性に優れ、好ましい。本発明の電気二重層キャパシタ用セパレーターが熱融着性繊維を含有する場合の含有量としては3%以上が好ましく、ピンホールができない程度にできるだけ多い方が好ましい。
【0029】
本発明におけるフィブリル化セルロースは、リンターをはじめとする各種パルプ、リント、溶剤紡糸セルロースなどを原料とし、例えば高圧ホモジナイザーを用いて主に繊維軸と平行な方向に分割、微細化されて製造されたもので、少なくとも一部が繊維径1μm以下になっており、平均繊維長が2mm以下、好ましくは1mm以下のものを指す。高圧ホモジナイザーだけでフィブリル化されたものでも良いが、高圧ホモジナイザーとその他の装置、例えばリファイナー、ビーター、摩砕装置などを組み合わせて処理し、フィブリル化されたものでも良い。
【0030】
本発明におけるバクテリアセルロースとは、微生物が産生するバクテリアセルロースのことを指す。このバクテリアセルロースは、セルロースおよびセルロースを主鎖とするヘテロ多糖を含むものおよびβ−1、3 β−1、2等のグルカンを含むものである。ヘテロ多糖の場合のセルロース以外の構成成分はマンノース、フラクトース、ガラクトース、キシロース、アラビノース、ラムノース、グルクロン酸等の六炭等、五炭等および有機酸等である。これらの多糖は単一物質で構成される場合もあるが、2種以上の多糖が水素結合などで結合して構成されている場合もあり、何れも利用できる。
【0031】
本発明におけるバクテリアセルロースを産生する微生物としては、アセトバクター・アセチ・サブスピーシス・キシリナム(Acetobacter aceti subsp.xylinum)ATCC 10821、同パストリアン(A.pasteurian)、同ランセンス(A.rancens)、サルシナ・ベントリクリ(Sarcina ventriculi)、バクテリウム・キシロイデス(Bacterium xyloides)、ジュードモナス属細菌、アグロバクテリウム属細菌等でバクテリアセルロースを産生するものを利用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
これらの微生物を培養してバクテリアセルロースを生成蓄積させる方法は、細菌を培養する一般的方法に従えば良い。すなわち、炭素源、窒素源、無機塩類、その他必要に応じてアミノ酸、ビタミン等の有機微量栄養素を含有する通常の栄養培地に微生物を接種し、静置または穏やかに通気攪拌を行う。
【0033】
生成蓄積されたバクテリアセルロースを離解し、水性スラリーとする。離解は回転式の離解機あるいはミキサー等で容易にできる。このようにして得られたバクテリアセルロース離解物は他のセルロースよりも繊維間の結合能力が非常に高いため、少量混合するだけで強度の強い電気二重層キャパシタ用セパレーターを得ることができる。
【0034】
本発明における電気二重層キャパシタ用セパレーターは、乾式不織布からなるものでも良いが、ピンホールの生成を抑制しやすいことから湿式不織布からなるものが好ましい。湿式不織布は、長網抄紙機、円網抄紙機、傾斜型抄紙機、さらには2種以上を組み合わせたコンビネーションマシンなどを用いて湿式抄紙法により、1層または2層以上の抄合わせで製造される。
【0035】
湿式抄紙法は、通常、繊維を固形分濃度が0.1〜5%程度になるように分散助剤、増粘剤などを用いて水中に均一に分散してスラリーとし、さらにスラリー中に水を追加し、固形分濃度を0.1〜0.001%に希釈して希薄水性スラリーとし、これを抄紙機を用いてシート化するものである。
【0036】
本発明における電気二重層キャパシタ用セパレーターの坪量は、特に制限はないが、5〜50g/m2が好ましく、10〜30g/m2がさらに好ましく用いられる。
【0037】
本発明における電気二重層キャパシタ用セパレーターの厚みは、特に制限はないが、電気二重層キャパシタが小型化できること、収容できる電極面積を大きくでき容量を稼げる点から薄い方が好ましい。具体的には電気二重層キャパシタ組立時に破断しない程度の強度を持ち、ピンホールが無く、高い均一性を備える厚みとして10〜300μmが好ましく用いられ、20〜100μmがより好ましく用いられる。10μm未満では、電気二重層キャパシタの製造時の短絡不良率が増加するため好ましくない。一方、300μmより厚くなると、電気二重層キャパシタに収納できる電極面積が減少するため電気二重層キャパシタの容量が低いものになる。本発明の電気二重層キャパシタ用セパレーターは、厚み調整、強度向上、不純物除去、耐熱寸法安定性付与などの目的に応じて、熱処理、カレンダー処理、熱圧処理などが施される。
【0038】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限定されるものではない。
【0039】
<フィブリル化セルロース1の作製>
リンターを初期濃度5%になるように水に分散させ、ダブルディスクリファイナーを用いて10回繰り返し叩解処理した後、高圧ホモジナイザーを用いて500kg/cm2の条件で20回繰り返し処理し、平均繊維長0.4mmで少なくとも一部が繊維径1μm以下にフィブリル化されたフィブリル化セルロース1を作製した。
【0040】
実施例1
パラ系全芳香族ポリアミドのフィブリル化繊維60%、繊度0.1dtex、繊維長3mmのポリエステル繊維10%、芯部に融点255℃のポリエステルを、鞘部に融点110℃の変性ポリエステルを配してなる芯鞘複合繊維(繊度1.1dtex、繊維長5mm)20%、平均粒径1μmのゼオライトAを10%の配合比で、パルパーを用いて分散助剤とともにイオン交換水中に分散させ、所定濃度に希釈して短網抄紙機を用いて湿式抄紙し、坪量18g/m2、厚み55μmの湿式不織布を作製し、これを電気二重層キャパシタ用セパレーター1とした。
【0041】
実施例2
パラ系全芳香族ポリアミドのフィブリル化繊維60%、繊度0.5dtex、繊維長3mmのナイロン6繊維20%、フィブリル化セルロース1を5%、平均粒径1μmのゼオライトAを15%の配合比で、パルパーを用いて分散助剤とともにイオン交換水中に分散させ、所定濃度に希釈して円網抄紙機を用いて湿式抄紙し、坪量18g/m2、厚み55μmの湿式不織布を作製し、これを電気二重層キャパシタ用セパレーター2とした。
【0042】
実施例3
パラ系全芳香族ポリアミドのフィブリル化繊維60%、繊度0.3dtex、繊維長3mmのポリエステル繊維25%、バクテリアセルロース5%、平均粒径1μmのゼオライトAを10%の配合比で、パルパーを用いて分散助剤とともにイオン交換水中に分散させ、所定濃度に希釈して円網抄紙機を用いて湿式抄紙し、坪量18g/m2、厚み55μmの湿式不織布を作製し、これを電気二重層キャパシタ用セパレーター3とした。
【0043】
実施例4
パラ系全芳香族ポリアミドのフィブリル化繊維60%、繊度0.5dtex、繊維長3mmのナイロン6繊維30%、フィブリル化セルロース1を5%、平均粒径1μmのアルミノフォスフェート型ゼオライト(AlPO4−8)を5%の配合比で、パルパーを用いて分散助剤とともにイオン交換水中に分散させ、所定濃度に希釈して円網抄紙機を用いて湿式抄紙し、坪量18g/m2、厚み55μmの湿式不織布を作製し、これを電気二重層キャパシタ用セパレーター4とした。
【0044】
実施例5
パラ系全芳香族ポリアミドのフィブリル化繊維60%、繊度0.3dtex、繊維長3mmのポリエステル繊維25%、バクテリアセルロース5%、実施例4で用いたアルミノフォスフェート型ゼオライトを10%の配合比で、パルパーを用いて分散助剤とともにイオン交換水中に分散させ、所定濃度に希釈して円網抄紙機を用いて湿式抄紙し、坪量18g/m2、厚み55μmの湿式不織布を作製し、これを電気二重層キャパシタ用セパレーター5とした。
【0045】
実施例6
全芳香族ポリエステルのフィブリル化繊維55%、繊度0.1dtex、繊維長3mmのポリエステル繊維15%、芯部に融点255℃のポリエステルを、鞘部に融点110℃の変性ポリエステルを配してなる芯鞘複合繊維(繊度1.7dtex、繊維長5mm)20%、平均粒径1μmのゼオライトAを10%の配合比で、パルパーを用いて分散助剤とともにイオン交換水中に分散させ、所定濃度に希釈して傾斜型抄紙機を用いて湿式抄紙し、坪量18g/m2、厚み55μmの湿式不織布を作製し、これを電気二重層キャパシタ用セパレーター6とした。
【0046】
実施例7
全芳香族ポリエステルのフィブリル化繊維55%、繊度0.1dtex、繊維長3mmのポリエステル繊維17%、繊度0.4dtex、繊維長3mmのポリエステル繊維18%、フィブリル化セルロース1を7%、実施例4で用いたアルミノフォスフェート型ゼオライトを3%の配合比で、パルパーを用いて分散助剤とともにイオン交換水中に分散させ、所定濃度に希釈して長網抄紙機を用いて湿式抄紙し、坪量18g/m2、厚み55μmの湿式不織布を作製し、これを電気二重層キャパシタ用セパレーター7とした。
【0047】
実施例8
全芳香族ポリエステルのフィブリル化繊維60%、繊度0.3dtex、繊維長3mmのポリエステル繊維25%、バクテリアセルロース5%、平均粒径1μmのゼオライトXを10%の配合比で、パルパーを用いて分散助剤とともにイオン交換水中に分散させ、所定濃度に希釈して長網抄紙機を用いて湿式抄紙し、坪量18g/m2、厚み55μmの湿式不織布を作製し、これを電気二重層キャパシタ用セパレーター8とした。
【0048】
実施例9
ポリイミドのフィブリル化繊維55%、繊度0.08dtex、繊維長3mmのナイロン6繊維20%、芯部に融点255℃のポリエステルを、鞘部に融点110℃のポリエステルを配してなる芯鞘複合繊維(繊度3.3dtex、繊維長5mm)20%、実施例4で用いたアルミノフォスフェート型ゼオライトを5%の配合比で、パルパーを用いて分散助剤とともにイオン交換水中に分散させ、所定濃度に希釈して円網抄紙機を用いて湿式抄紙し、坪量18g/m2、厚み55μmの湿式不織布を作製し、これを電気二重層キャパシタ用セパレーター9とした。
【0049】
実施例10
ポリイミドのフィブリル化繊維60%、繊度0.5dtex、繊維長3mmのナイロン6繊維25%、フィブリル化セルロース1を5%、平均粒径1μmのゼオライトYを10%の配合比で、パルパーを用いて分散助剤とともにイオン交換水中に分散させ、所定濃度に希釈して傾斜型抄紙機を用いて湿式抄紙し、坪量18g/m2、厚み55μmの湿式不織布を作製し、これを電気二重層キャパシタ用セパレーター10とした。
【0050】
比較例1
パラ系全芳香族ポリアミドのフィブリル化繊維55%、繊度0.1dtex、繊維長3mmのポリエステル繊維20%、芯部に融点255℃のポリエステルを、鞘部に融点110℃の変性ポリエステルを配してなる芯鞘複合繊維(繊度1.1dtex、繊維長5mm)25%の配合比で、パルパーを用いて分散助剤とともにイオン交換水中に分散させ、所定濃度に希釈して短網抄紙機を用いて湿式抄紙し、坪量18g/m2、厚み55μmの湿式不織布を作製し、これを電気二重層キャパシタ用セパレーター11とした。
【0051】
比較例2
全芳香族ポリエステルのフィブリル化繊維55%、繊度0.1dtex、繊維長3mmのポリエステル繊維20%、芯部に融点255℃のポリエステルを、鞘部に融点110℃の変性ポリエステルを配してなる芯鞘複合繊維(繊度1.7dtex、繊維長5mm)25%の配合比で、パルパーを用いて分散助剤とともにイオン交換水中に分散させ、所定濃度に希釈して傾斜型抄紙機を用いて湿式抄紙し、坪量18g/m2、厚み55μmの湿式不織布を作製し、これを電気二重層キャパシタ用セパレーター12とした。
【0052】
比較例3
ポリイミドのフィブリル化繊維55%、繊度0.08dtex、繊維長3mmのナイロン6繊維20%、芯部に融点255℃のポリエステルを、鞘部に融点110℃のポリエステルを配してなる芯鞘複合繊維(繊度3.3dtex、繊維長5mm)25%の配合比で、パルパーを用いて分散助剤とともにイオン交換水中に分散させ、所定濃度に希釈して円網抄紙機を用いて湿式抄紙し、坪量18g/m2、厚み55μmの湿式不織布を作製し、これを電気二重層キャパシタ用セパレーター13とした。
【0053】
比較例4
パラ系全芳香族ポリアミドのフィブリル化繊維55%、繊度0.1dtex、繊維長3mmのポリエステル繊維15%、芯部に融点255℃のポリエステルを、鞘部に融点110℃の変性ポリエステルを配してなる芯鞘複合繊維(繊度1.1dtex、繊維長5mm)25%、平均粒径1μmのEガラス5%の配合比で、パルパーを用いて分散助剤とともにイオン交換水中に分散させ、所定濃度に希釈して短網抄紙機を用いて湿式抄紙し、坪量18g/m2、厚み55μmの湿式不織布を作製し、これを電気二重層キャパシタ用セパレーター14とした。
【0054】
<電気二重層キャパシタ1〜14の作製>
電極活物質として活性炭85%、導電材としてカーボンブラック7%、結着材としてポリテトラフルオロエチレン8%を混練して厚み0.2mmのシート状電極を作製した。これを厚み50μmのアルミニウム箔の両面に導電性接着剤を用いて接着させ、圧延して電極を作製した。この電極を正極および負極として用いた。電気二重層キャパシタ用セパレーター1〜14を正極と負極の間に介して積層し、巻回機を用いて渦巻き型に巻回して渦巻き型素子を作製した。正極側および負極側の最外層には何れもセパレーターを配した。この渦巻き型素子をアルミニウム製ケースに収納した。次いで、ケースに取り付けられた正極端子および負極端子に正極リードおよび負極リードを溶接した後、電解液注液口を残してケースを封口した。この素子を収納したケースごと200℃に3時間加熱し乾燥処理した。これを室温まで放冷した後、ケース内に電解液を注入し、注液口を密栓して電気二重層キャパシタ1〜14を作製した。電解液には、プロピレンカーボネートに1.5mol/lになるように(C2H5)3(CH3)NBF4を溶解させたものを用いた。
【0055】
上記の電気二重層キャパシタ用セパレーター1〜14、電気二重層キャパシタ1〜14について、下記の試験方法により測定し、その結果を下記表に示した。
【0056】
<突刺強度>
各セパレーター試料の面に直角に、直径1mmで先端にRをつけた針を1mm/sの速度で降ろしていき、セパレーターを貫通したときの荷重を突刺強度とし、20カ所の平均値を求め、下記表1に示した。
【0057】
<内部抵抗>
電気二重層キャパシタ1〜14に20mA/cm2の直流電流を印加して2.5Vまで充電した後、電流印加を止めて1時間経過後の電気二重層キャパシタ電圧を測定し、2.5Vからの差、すなわち電圧降下を求め、これを充電電流で除した値を内部抵抗とし、下記表1に示した。
【0058】
<抵抗上昇率>
キャパシタ1〜14に45℃で2.5Vを印加し続け、2000時間後のキャパシタ抵抗を測定し、0時間のときの抵抗値で除して、抵抗上昇率(%)を算出し、下記表1に示した。抵抗上昇率が小さいほど、寿命特性に優れることを意味する。
【0059】
【表1】
【0060】
評価:
表1から明らかなように、実施例1〜10で作製した電気二重層キャパシタ用セパレーターは、ゼオライトを含有するため、該セパレーターを具備してなる電気二重層キャパシタは内部抵抗が低く、寿命特性に優れていた。特に実施例4、5、7、9で作製した電気二重層キャパシタ用セパレーターは、アルミノフォスフェート型ゼオライトを含有してなるため、少ない配合量でも該セパレーターを具備してなる電気二重層キャパシタは、内部抵抗が低く、寿命特性に優れていた。
【0061】
実施例2〜5、7、8、10で作製した電気二重層キャパシタ用セパレーターは、フィブリル化セルロースまたはバクテリアセルロースを含有してなるため、これらのセルロースを含有しない場合よりも突刺強度が強く優れていた。
【0062】
一方、比較例1〜4で作製した電気二重層キャパシタ用セパレーターは、ゼオライトを含有しないため、該セパレーターを具備してなる電気二重層キャパシタは内部抵抗がやや高く、寿命特性で劣っていた。
【発明の属する技術分野】
本発明は、内部抵抗を低減し、寿命特性に優れる電気二重層キャパシタ用セパレーターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、大容量電気二重層キャパシタの開発が主流になっており、そのためには電気二重層キャパシタの内部抵抗をさらに低くすることが課題である。内部抵抗を低くするためには、電極材、集電体、電解液などの改良もさることながら、電気二重層キャパシタ用セパレーターの改良も必要であり、内部抵抗を低減する電気二重層キャパシタ用セパレーターが要望されている。また、電気二重層キャパシタを長期間使用する場合にも、経時で内部抵抗が上昇し特性劣化が起こる問題があるため、内部抵抗の上昇を抑えることができ、寿命特性に優れる電気二重層キャパシタ用セパレーターが要望されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術に見られる上記問題点を解決するものである。即ち、本発明の目的は、内部抵抗を低減し、寿命特性に優れる電気二重層キャパシタ用セパレーターを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点を解決するため、ゼオライトについて検討を重ねた結果、内部抵抗を低減し、寿命特性に優れる電気二重層キャパシタ用セパレーターを実現できることを見出し、本発明に至ったものである。
【0005】
即ち本発明は、融点または熱分解温度が250℃以上で、少なくとも一部が繊維径1μm以下にフィブリル化された高分子、およびゼオライトを含有する不織布からなることを特徴とする電気二重層キャパシタ用セパレーターである。
【0006】
本発明においては、ゼオライトが、アルミノフォスフェート型であることが好ましい。
【0007】
本発明においては、高分子が、パラ系全芳香族ポリアミドであることが好ましい。
【0008】
本発明においては、高分子が、全芳香族ポリエステルであることが好ましい。
【0009】
本発明においては、不織布が、繊度3.3dtex以下の熱融着性繊維を含有し、該繊維が熱融着してなることが好ましい。
【0010】
本発明においては、熱融着性繊維が、融点200℃以上の成分を芯部に、融点200℃未満の成分を鞘部に配してなる芯鞘複合繊維であることが好ましい。
【0011】
本発明においては、不織布が、フィブリル化セルロースを含有することが好ましい。
【0012】
本発明においては、不織布が、バクテリアセルロースを含有することが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電気二重層キャパシタ用セパレーターについて詳細に説明する。
【0014】
本発明における電気二重層キャパシタとは、対向する2つの電極間に電気二重層を挟んだ形で構成されてなる蓄電機能を有するものである。電気二重層キャパシタの電極としては、一対の分極性電極、一方が分極性電極でもう片方が非分極性電極の組み合わせの何れでも良い。電解液は、水溶液系、有機電解液系の何れでも良い。
【0015】
本発明に用いられるゼオライトとしては、chabazite(Ca2[(AlO2)4(SiO2)8]・13H2O)、mordenite(Na8[(AlO2)8(SiO2)40]・24H2O)、erionite(M4.5[(AlO2)9(SiO2)27]・27H2O)、clinoptilolite(Na6[(AlO2)6(SiO2)30]・24H2O)などの天然ゼオライト、ゼオライトA(Na12[(AlO2)12(SiO2)12]・27H2O)、ゼオライトX(Na86[(AlO2)86(SiO2)106]・264H2O)、ゼオライトY(Na56[(AlO2)56(SiO2)136]・250H2O)などのアルミノシリケート型合成ゼオライト、Siの一部または全部をPで置換したアルミノフォスフェート型合成ゼオライト、さらにアルミノフォスフェート型のPやAlの一部を他の元素(Fe、Mg、Co、Mn、Znなど)で置換した合成ゼオライトなどが挙げられる。ここで、Mは、Na、K、Ca、Baなどの金属を指す。アルミノフォスフェート型ゼオライトとしては、例えば、AlPO4−n(nは整数)、VPI−5、cloverite、JDF−20などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明においては、相対的に親水性に優れ、細孔が大きいアルミノフォスフェート型合成ゼオライトが好ましい。この特性のためアルミノフォスフェート型合成ゼオライトは、電解液との親和性およびイオン交換能に優れており、電解液中のイオン伝導を円滑にしやすい。
【0016】
ゼオライトは、イオン交換能を有するため、電解液中のイオン伝導を円滑にする作用があり、電気二重層キャパシタの内部抵抗を低減することができる。また、ゼオライトがセパレーター中に保持されていることにより、内部抵抗が経時で上昇しにくくなり、寿命特性に優れる電気二重層キャパシタが得られる。
【0017】
本発明に用いられるゼオライトの平均粒径は、10μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましい。10μmより大きいと電気二重層キャパシタ用セパレーターから脱落しやすくなる。本発明の電気二重層キャパシタ用セパレーター中のゼオライトの含有量は1%以上が好ましい。含有量が1%未満では、ゼオライトの効果が不十分になりやすい。
【0018】
本発明における融点または熱分解温度が250℃以上の高分子としては、ナイロン66、芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミド、芳香族ポリエステル、全芳香族ポリエステル、全芳香族ポリエステルアミド、全芳香族ポリエーテル、全芳香族ポリアゾメジン、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリ−p−フェニレンベンゾビスチアゾール(PBZT)、ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などが挙げられ、これら単独でも良いし、2種類以上の組み合わせでも良い。PBZTはトランス型、シス型の何れでも良い。これらの中でも、液晶性のためフィブリル化されやすい全芳香族ポリアミド、特にパラ系全芳香族ポリアミドと全芳香族ポリエステルが好ましい。全芳香族ポリエステルは、吸湿率が著しく低い特徴もあり好ましい。
【0019】
パラ系全芳香族ポリアミドは、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド、ポリ−p−ベンズアミド、ポリ−p−アミドヒドラジド、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド−3,4−ジフェニルエーテルテレフタルアミドなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
全芳香族ポリエステルは、芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸、芳香族ヒドロキシカルボン酸などのモノマーを組み合わせて、組成比を変えて合成される。例えばp−ヒドロキシ安息香酸と2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸との共重合体が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0021】
本発明における融点または熱分解温度が250℃以上の高分子は、少なくとも一部がフィブリル化されてなることが好ましい。本発明におけるフィブリルとは、主に繊維軸と平行な方向に非常に細かく分割された部分を有する繊維状で、少なくとも一部が繊維径1μm以下になっている繊維を指す。本発明においては、長さと巾のアスペクト比が20:1〜100000:1の範囲に分布し、カナダ標準形濾水度が0ml〜500mlの範囲にある。フィブリルの重量平均繊維長は2mm以下が好ましい。
【0022】
高分子のフィブリルを作製する方法としては、例えば、高分子の繊維やペレットを高圧ホモジナイザーやリファイナーなどを用いて処理する方法、不織布を水流交絡処理する方法などが挙げられる。
【0023】
ここで、高圧ホモジナイザーとは、対象物に少なくとも10kg/cm2以上、好ましくは200〜1000kg/cm2、さらに好ましくは400〜1000kg/cm2の圧力を加えてオリフィスを通過させ、急速に減圧、減速させることにより生じる剪断力をもって対象物をフィブリル化することができる装置である。高分子の場合は、この剪断力によって、主として繊維軸と平行な方向に引き裂き、ほぐすような力として与えられ、次第にフィブリル化する。具体的には、高分子の繊維やペレットを長さ5mm以下、好ましくは3mm以下に切断したもの、あるいは予めパルプ状にしたものを原料とし、これを水に分散させて懸濁液とする。懸濁液の濃度は質量百分率で最大25%、好ましくは1〜10%であり、さらに好ましくは、1〜2%である。この懸濁液を高圧ホモジナイザーに導入し、少なくとも10kg/cm2、好ましくは200〜1000kg/cm2、さらに好ましくは400〜1000kg/cm2の圧力を加え、この操作を数回〜数十回繰り返し高圧ホモジナイザーに通過させる。場合によって、界面活性剤など薬品を添加して処理しても良い。
【0024】
水流交絡処理する場合、水流を噴射するためのノズル直径は10〜500μmの範囲が好ましい。ノズルピッチは10〜1500μmが好ましい。ノズルプレートは、搬送方向に対する直交方向では、搬送中のスラリーの幅をカバーする範囲が必要である。搬送方向では、繊維の種類、坪量、抄紙速度、水圧を考慮して、ノズルヘッドの数を変えて用いることができる。1本のノズルプレート中のノズルの配列は、1列でも良いし、2列以上の複数列でも良い。複数列の場合は、隣接する列の穴を交互に配列した、いわゆる千鳥状でも良いし、隣接する列の穴の位置を揃えたものや変則的であっても良い。本発明の水流交絡処理では、10mmH2O〜1000mmH2Oの範囲で搾水することが好ましい。水流の圧力としては、10kg/cm2〜200kg/cm2の範囲が好ましい。
【0025】
本発明に用いられる融点または熱分解温度が250℃以上で、少なくとも一部が繊維径1μm以下にフィブリル化された高分子には、ピンホールの生成を抑制する効果がある。
【0026】
本発明に用いられる高分子を含有してなる不織布は、高分子を繊維化と同時にシート化したり、繊維化してからシート化して製造される。本発明に用いられる不織布としては、融点または熱分解温度が250℃以上の高分子のみからなるものでも良いが、これらの温度が250℃未満の有機材料を含有してなるものでも良い。そのような有機材料としては、ナイロン6などのポリアミド、ポリエステル、アクリル、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフッ化ビニリデンが挙げられる。不織布は、ニードルパンチや水流交絡処理されたものでも良い。
【0027】
本発明の電気二重層キャパシタ用セパレーターは、繊度3.3dtex以下の熱融着性繊維を含有し、該繊維が熱融着してなることが好ましい。熱融着性繊維としては、熱融着成分として、ポリエステル、アクリル、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−酢酸ビニルアルコール共重合体、低融点ポリエステル(変性ポリエステル)などを有する繊維が挙げられる。熱融着性繊維の構造としては、熱融着成分だけからなる単繊維の他に、サイドバイサイド型、芯鞘型、並列多層型、海島型、多重芯型、放射型、中空放射型、モザイク型、星雲型、多芯型、多芯海島型など、熱融着成分と非融着成分の両方を配してなるものも好ましい。セパレーターの均一性を損なわず繊維間の接着力が強くなりやすいものとして芯鞘型や多芯海島型が好ましい。
【0028】
熱融着性繊維が熱融着することにより、電気二重層キャパシタ用セパレーターの引張強度、突刺強度、引裂強度などの機械的強度が強くなる。融点200℃以上の非融着成分を芯部に、融点200℃未満の熱融着成分を鞘部に配してなる芯鞘複合繊維は、芯部の融点が高いため、耐熱性に優れ、好ましい。本発明の電気二重層キャパシタ用セパレーターが熱融着性繊維を含有する場合の含有量としては3%以上が好ましく、ピンホールができない程度にできるだけ多い方が好ましい。
【0029】
本発明におけるフィブリル化セルロースは、リンターをはじめとする各種パルプ、リント、溶剤紡糸セルロースなどを原料とし、例えば高圧ホモジナイザーを用いて主に繊維軸と平行な方向に分割、微細化されて製造されたもので、少なくとも一部が繊維径1μm以下になっており、平均繊維長が2mm以下、好ましくは1mm以下のものを指す。高圧ホモジナイザーだけでフィブリル化されたものでも良いが、高圧ホモジナイザーとその他の装置、例えばリファイナー、ビーター、摩砕装置などを組み合わせて処理し、フィブリル化されたものでも良い。
【0030】
本発明におけるバクテリアセルロースとは、微生物が産生するバクテリアセルロースのことを指す。このバクテリアセルロースは、セルロースおよびセルロースを主鎖とするヘテロ多糖を含むものおよびβ−1、3 β−1、2等のグルカンを含むものである。ヘテロ多糖の場合のセルロース以外の構成成分はマンノース、フラクトース、ガラクトース、キシロース、アラビノース、ラムノース、グルクロン酸等の六炭等、五炭等および有機酸等である。これらの多糖は単一物質で構成される場合もあるが、2種以上の多糖が水素結合などで結合して構成されている場合もあり、何れも利用できる。
【0031】
本発明におけるバクテリアセルロースを産生する微生物としては、アセトバクター・アセチ・サブスピーシス・キシリナム(Acetobacter aceti subsp.xylinum)ATCC 10821、同パストリアン(A.pasteurian)、同ランセンス(A.rancens)、サルシナ・ベントリクリ(Sarcina ventriculi)、バクテリウム・キシロイデス(Bacterium xyloides)、ジュードモナス属細菌、アグロバクテリウム属細菌等でバクテリアセルロースを産生するものを利用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
これらの微生物を培養してバクテリアセルロースを生成蓄積させる方法は、細菌を培養する一般的方法に従えば良い。すなわち、炭素源、窒素源、無機塩類、その他必要に応じてアミノ酸、ビタミン等の有機微量栄養素を含有する通常の栄養培地に微生物を接種し、静置または穏やかに通気攪拌を行う。
【0033】
生成蓄積されたバクテリアセルロースを離解し、水性スラリーとする。離解は回転式の離解機あるいはミキサー等で容易にできる。このようにして得られたバクテリアセルロース離解物は他のセルロースよりも繊維間の結合能力が非常に高いため、少量混合するだけで強度の強い電気二重層キャパシタ用セパレーターを得ることができる。
【0034】
本発明における電気二重層キャパシタ用セパレーターは、乾式不織布からなるものでも良いが、ピンホールの生成を抑制しやすいことから湿式不織布からなるものが好ましい。湿式不織布は、長網抄紙機、円網抄紙機、傾斜型抄紙機、さらには2種以上を組み合わせたコンビネーションマシンなどを用いて湿式抄紙法により、1層または2層以上の抄合わせで製造される。
【0035】
湿式抄紙法は、通常、繊維を固形分濃度が0.1〜5%程度になるように分散助剤、増粘剤などを用いて水中に均一に分散してスラリーとし、さらにスラリー中に水を追加し、固形分濃度を0.1〜0.001%に希釈して希薄水性スラリーとし、これを抄紙機を用いてシート化するものである。
【0036】
本発明における電気二重層キャパシタ用セパレーターの坪量は、特に制限はないが、5〜50g/m2が好ましく、10〜30g/m2がさらに好ましく用いられる。
【0037】
本発明における電気二重層キャパシタ用セパレーターの厚みは、特に制限はないが、電気二重層キャパシタが小型化できること、収容できる電極面積を大きくでき容量を稼げる点から薄い方が好ましい。具体的には電気二重層キャパシタ組立時に破断しない程度の強度を持ち、ピンホールが無く、高い均一性を備える厚みとして10〜300μmが好ましく用いられ、20〜100μmがより好ましく用いられる。10μm未満では、電気二重層キャパシタの製造時の短絡不良率が増加するため好ましくない。一方、300μmより厚くなると、電気二重層キャパシタに収納できる電極面積が減少するため電気二重層キャパシタの容量が低いものになる。本発明の電気二重層キャパシタ用セパレーターは、厚み調整、強度向上、不純物除去、耐熱寸法安定性付与などの目的に応じて、熱処理、カレンダー処理、熱圧処理などが施される。
【0038】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限定されるものではない。
【0039】
<フィブリル化セルロース1の作製>
リンターを初期濃度5%になるように水に分散させ、ダブルディスクリファイナーを用いて10回繰り返し叩解処理した後、高圧ホモジナイザーを用いて500kg/cm2の条件で20回繰り返し処理し、平均繊維長0.4mmで少なくとも一部が繊維径1μm以下にフィブリル化されたフィブリル化セルロース1を作製した。
【0040】
実施例1
パラ系全芳香族ポリアミドのフィブリル化繊維60%、繊度0.1dtex、繊維長3mmのポリエステル繊維10%、芯部に融点255℃のポリエステルを、鞘部に融点110℃の変性ポリエステルを配してなる芯鞘複合繊維(繊度1.1dtex、繊維長5mm)20%、平均粒径1μmのゼオライトAを10%の配合比で、パルパーを用いて分散助剤とともにイオン交換水中に分散させ、所定濃度に希釈して短網抄紙機を用いて湿式抄紙し、坪量18g/m2、厚み55μmの湿式不織布を作製し、これを電気二重層キャパシタ用セパレーター1とした。
【0041】
実施例2
パラ系全芳香族ポリアミドのフィブリル化繊維60%、繊度0.5dtex、繊維長3mmのナイロン6繊維20%、フィブリル化セルロース1を5%、平均粒径1μmのゼオライトAを15%の配合比で、パルパーを用いて分散助剤とともにイオン交換水中に分散させ、所定濃度に希釈して円網抄紙機を用いて湿式抄紙し、坪量18g/m2、厚み55μmの湿式不織布を作製し、これを電気二重層キャパシタ用セパレーター2とした。
【0042】
実施例3
パラ系全芳香族ポリアミドのフィブリル化繊維60%、繊度0.3dtex、繊維長3mmのポリエステル繊維25%、バクテリアセルロース5%、平均粒径1μmのゼオライトAを10%の配合比で、パルパーを用いて分散助剤とともにイオン交換水中に分散させ、所定濃度に希釈して円網抄紙機を用いて湿式抄紙し、坪量18g/m2、厚み55μmの湿式不織布を作製し、これを電気二重層キャパシタ用セパレーター3とした。
【0043】
実施例4
パラ系全芳香族ポリアミドのフィブリル化繊維60%、繊度0.5dtex、繊維長3mmのナイロン6繊維30%、フィブリル化セルロース1を5%、平均粒径1μmのアルミノフォスフェート型ゼオライト(AlPO4−8)を5%の配合比で、パルパーを用いて分散助剤とともにイオン交換水中に分散させ、所定濃度に希釈して円網抄紙機を用いて湿式抄紙し、坪量18g/m2、厚み55μmの湿式不織布を作製し、これを電気二重層キャパシタ用セパレーター4とした。
【0044】
実施例5
パラ系全芳香族ポリアミドのフィブリル化繊維60%、繊度0.3dtex、繊維長3mmのポリエステル繊維25%、バクテリアセルロース5%、実施例4で用いたアルミノフォスフェート型ゼオライトを10%の配合比で、パルパーを用いて分散助剤とともにイオン交換水中に分散させ、所定濃度に希釈して円網抄紙機を用いて湿式抄紙し、坪量18g/m2、厚み55μmの湿式不織布を作製し、これを電気二重層キャパシタ用セパレーター5とした。
【0045】
実施例6
全芳香族ポリエステルのフィブリル化繊維55%、繊度0.1dtex、繊維長3mmのポリエステル繊維15%、芯部に融点255℃のポリエステルを、鞘部に融点110℃の変性ポリエステルを配してなる芯鞘複合繊維(繊度1.7dtex、繊維長5mm)20%、平均粒径1μmのゼオライトAを10%の配合比で、パルパーを用いて分散助剤とともにイオン交換水中に分散させ、所定濃度に希釈して傾斜型抄紙機を用いて湿式抄紙し、坪量18g/m2、厚み55μmの湿式不織布を作製し、これを電気二重層キャパシタ用セパレーター6とした。
【0046】
実施例7
全芳香族ポリエステルのフィブリル化繊維55%、繊度0.1dtex、繊維長3mmのポリエステル繊維17%、繊度0.4dtex、繊維長3mmのポリエステル繊維18%、フィブリル化セルロース1を7%、実施例4で用いたアルミノフォスフェート型ゼオライトを3%の配合比で、パルパーを用いて分散助剤とともにイオン交換水中に分散させ、所定濃度に希釈して長網抄紙機を用いて湿式抄紙し、坪量18g/m2、厚み55μmの湿式不織布を作製し、これを電気二重層キャパシタ用セパレーター7とした。
【0047】
実施例8
全芳香族ポリエステルのフィブリル化繊維60%、繊度0.3dtex、繊維長3mmのポリエステル繊維25%、バクテリアセルロース5%、平均粒径1μmのゼオライトXを10%の配合比で、パルパーを用いて分散助剤とともにイオン交換水中に分散させ、所定濃度に希釈して長網抄紙機を用いて湿式抄紙し、坪量18g/m2、厚み55μmの湿式不織布を作製し、これを電気二重層キャパシタ用セパレーター8とした。
【0048】
実施例9
ポリイミドのフィブリル化繊維55%、繊度0.08dtex、繊維長3mmのナイロン6繊維20%、芯部に融点255℃のポリエステルを、鞘部に融点110℃のポリエステルを配してなる芯鞘複合繊維(繊度3.3dtex、繊維長5mm)20%、実施例4で用いたアルミノフォスフェート型ゼオライトを5%の配合比で、パルパーを用いて分散助剤とともにイオン交換水中に分散させ、所定濃度に希釈して円網抄紙機を用いて湿式抄紙し、坪量18g/m2、厚み55μmの湿式不織布を作製し、これを電気二重層キャパシタ用セパレーター9とした。
【0049】
実施例10
ポリイミドのフィブリル化繊維60%、繊度0.5dtex、繊維長3mmのナイロン6繊維25%、フィブリル化セルロース1を5%、平均粒径1μmのゼオライトYを10%の配合比で、パルパーを用いて分散助剤とともにイオン交換水中に分散させ、所定濃度に希釈して傾斜型抄紙機を用いて湿式抄紙し、坪量18g/m2、厚み55μmの湿式不織布を作製し、これを電気二重層キャパシタ用セパレーター10とした。
【0050】
比較例1
パラ系全芳香族ポリアミドのフィブリル化繊維55%、繊度0.1dtex、繊維長3mmのポリエステル繊維20%、芯部に融点255℃のポリエステルを、鞘部に融点110℃の変性ポリエステルを配してなる芯鞘複合繊維(繊度1.1dtex、繊維長5mm)25%の配合比で、パルパーを用いて分散助剤とともにイオン交換水中に分散させ、所定濃度に希釈して短網抄紙機を用いて湿式抄紙し、坪量18g/m2、厚み55μmの湿式不織布を作製し、これを電気二重層キャパシタ用セパレーター11とした。
【0051】
比較例2
全芳香族ポリエステルのフィブリル化繊維55%、繊度0.1dtex、繊維長3mmのポリエステル繊維20%、芯部に融点255℃のポリエステルを、鞘部に融点110℃の変性ポリエステルを配してなる芯鞘複合繊維(繊度1.7dtex、繊維長5mm)25%の配合比で、パルパーを用いて分散助剤とともにイオン交換水中に分散させ、所定濃度に希釈して傾斜型抄紙機を用いて湿式抄紙し、坪量18g/m2、厚み55μmの湿式不織布を作製し、これを電気二重層キャパシタ用セパレーター12とした。
【0052】
比較例3
ポリイミドのフィブリル化繊維55%、繊度0.08dtex、繊維長3mmのナイロン6繊維20%、芯部に融点255℃のポリエステルを、鞘部に融点110℃のポリエステルを配してなる芯鞘複合繊維(繊度3.3dtex、繊維長5mm)25%の配合比で、パルパーを用いて分散助剤とともにイオン交換水中に分散させ、所定濃度に希釈して円網抄紙機を用いて湿式抄紙し、坪量18g/m2、厚み55μmの湿式不織布を作製し、これを電気二重層キャパシタ用セパレーター13とした。
【0053】
比較例4
パラ系全芳香族ポリアミドのフィブリル化繊維55%、繊度0.1dtex、繊維長3mmのポリエステル繊維15%、芯部に融点255℃のポリエステルを、鞘部に融点110℃の変性ポリエステルを配してなる芯鞘複合繊維(繊度1.1dtex、繊維長5mm)25%、平均粒径1μmのEガラス5%の配合比で、パルパーを用いて分散助剤とともにイオン交換水中に分散させ、所定濃度に希釈して短網抄紙機を用いて湿式抄紙し、坪量18g/m2、厚み55μmの湿式不織布を作製し、これを電気二重層キャパシタ用セパレーター14とした。
【0054】
<電気二重層キャパシタ1〜14の作製>
電極活物質として活性炭85%、導電材としてカーボンブラック7%、結着材としてポリテトラフルオロエチレン8%を混練して厚み0.2mmのシート状電極を作製した。これを厚み50μmのアルミニウム箔の両面に導電性接着剤を用いて接着させ、圧延して電極を作製した。この電極を正極および負極として用いた。電気二重層キャパシタ用セパレーター1〜14を正極と負極の間に介して積層し、巻回機を用いて渦巻き型に巻回して渦巻き型素子を作製した。正極側および負極側の最外層には何れもセパレーターを配した。この渦巻き型素子をアルミニウム製ケースに収納した。次いで、ケースに取り付けられた正極端子および負極端子に正極リードおよび負極リードを溶接した後、電解液注液口を残してケースを封口した。この素子を収納したケースごと200℃に3時間加熱し乾燥処理した。これを室温まで放冷した後、ケース内に電解液を注入し、注液口を密栓して電気二重層キャパシタ1〜14を作製した。電解液には、プロピレンカーボネートに1.5mol/lになるように(C2H5)3(CH3)NBF4を溶解させたものを用いた。
【0055】
上記の電気二重層キャパシタ用セパレーター1〜14、電気二重層キャパシタ1〜14について、下記の試験方法により測定し、その結果を下記表に示した。
【0056】
<突刺強度>
各セパレーター試料の面に直角に、直径1mmで先端にRをつけた針を1mm/sの速度で降ろしていき、セパレーターを貫通したときの荷重を突刺強度とし、20カ所の平均値を求め、下記表1に示した。
【0057】
<内部抵抗>
電気二重層キャパシタ1〜14に20mA/cm2の直流電流を印加して2.5Vまで充電した後、電流印加を止めて1時間経過後の電気二重層キャパシタ電圧を測定し、2.5Vからの差、すなわち電圧降下を求め、これを充電電流で除した値を内部抵抗とし、下記表1に示した。
【0058】
<抵抗上昇率>
キャパシタ1〜14に45℃で2.5Vを印加し続け、2000時間後のキャパシタ抵抗を測定し、0時間のときの抵抗値で除して、抵抗上昇率(%)を算出し、下記表1に示した。抵抗上昇率が小さいほど、寿命特性に優れることを意味する。
【0059】
【表1】
【0060】
評価:
表1から明らかなように、実施例1〜10で作製した電気二重層キャパシタ用セパレーターは、ゼオライトを含有するため、該セパレーターを具備してなる電気二重層キャパシタは内部抵抗が低く、寿命特性に優れていた。特に実施例4、5、7、9で作製した電気二重層キャパシタ用セパレーターは、アルミノフォスフェート型ゼオライトを含有してなるため、少ない配合量でも該セパレーターを具備してなる電気二重層キャパシタは、内部抵抗が低く、寿命特性に優れていた。
【0061】
実施例2〜5、7、8、10で作製した電気二重層キャパシタ用セパレーターは、フィブリル化セルロースまたはバクテリアセルロースを含有してなるため、これらのセルロースを含有しない場合よりも突刺強度が強く優れていた。
【0062】
一方、比較例1〜4で作製した電気二重層キャパシタ用セパレーターは、ゼオライトを含有しないため、該セパレーターを具備してなる電気二重層キャパシタは内部抵抗がやや高く、寿命特性で劣っていた。
Claims (8)
- 融点または熱分解温度が250℃以上で、少なくとも一部が繊維径1μm以下にフィブリル化された高分子、およびゼオライトを含有する不織布からなることを特徴とする電気二重層キャパシタ用セパレーター。
- ゼオライトが、アルミノフォスフェート型であることを特徴とする請求項1記載の電気二重層キャパシタ用セパレーター。
- 高分子が、パラ系全芳香族ポリアミドであることを特徴とする請求項1記載の電気二重層キャパシタ用セパレーター。
- 高分子が、全芳香族ポリエステルであることを特徴とする請求項1記載の電気二重層キャパシタ用セパレーター。
- 不織布が、繊度3.3dtex以下の熱融着性繊維を含有し、該繊維が熱融着してなることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の電気二重層キャパシタ用セパレーター。
- 熱融着性繊維が、融点200℃以上の成分を芯部に、融点200℃未満の成分を鞘部に配してなる芯鞘複合繊維であることを特徴とする請求項5記載の電気二重層キャパシタ用セパレーター。
- 不織布が、フィブリル化セルロースを含有することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の電気二重層キャパシタ用セパレーター。
- 不織布が、バクテリアセルロースを含有することを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の電気二重層キャパシタ用セパレーター。
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