JP2004014193A - 燃料電池装置、燃料電池用セパレータ、燃料電池装置の制御方法、及び燃料電池装置における触媒の活性化方法 - Google Patents

燃料電池装置、燃料電池用セパレータ、燃料電池装置の制御方法、及び燃料電池装置における触媒の活性化方法 Download PDF

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山浦 潔
Shigeaki Wachi
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Abstract

【課題】燃料電池による発電を行う燃料電池装置において、高効率な発電を実現すると共に、その発電特性の制御も可能とする燃料電池装置の提供を目的とする。
【解決手段】電解質膜を挟持し触媒が担持される燃料側電極、空気側電極に表面弾性波素子などの加振デバイスを接続させ、活性化を図る場合には、該加振デバイスに所要の信号を供給する。それぞれ電極に担持されている触媒が加振デバイスからの振動に応じて化学反応の活性化の度合いを変化させ、該触媒の活性化係数を高めることで発電量を大きくできる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電解質を一の電極と他の電極とで挟んで一の活性物質を供給すると共に他の活性物質を供給して所要の起電力を発生させる燃料電池装置及このような燃料電池に用いるセパレータ並びにこのような燃料電池の電圧制御方法及び触媒の活性化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は水素ガスやメタノールなどの燃料流体(活性物質)を供給することで発電体に電力を発生させる装置である。ここにおいて、少なくとも活性物質は二種類必要とされ、この二種類の活性物質の化学反応の結果として電力を発生する。通常用いられる活性物質の具体例としては、水素を分子構造に含む物質を第1の活性物質として、酸素を分子構造に含む物質を第2の活性物質として用いるものである。また、燃料電池の構造は、一般的にはプロトン伝導体膜を酸素側電極と水素側電極で挟んだ構造を有している。酸素側電極及び水素側電極は、活性物質である水素(第1の活性物質)及び酸素(第2の活性物質)を触媒を担持した電解質に供給するための燃料供給機能と、発生した電力とを集電して負荷に供給する集電機能とを有する。電解質は通常、取り扱いの便利のために膜状とした電解膜が使用される。燃料供給機能を提供するために、電極には全面に渡り燃料が通過するための孔を設けた多孔質の部材が用いられる。この部材は通常ガス拡散電極と称される。集電機能を提供するためには、この多孔質の部材は導電性材料で構成される。この多孔質の導電部材は、一体として形成される他、多孔質の部材をガス拡散電極と称される一の部材として構成し、集電の電極を別の部材として構成して両者を圧着して両方の機能を得ることもできる。更には、ガス拡散電極に十分に活性物質を行き渡らせるために活性物質の流れる流路を設けたセパレータと称する部材が用いられる場合もある。セパレータは、この他の機能として、燃料電池が積み重ねられてスタック状態とされたときに第1の活性物質と第2の活性物質とを分離する作用もなす。セパレータを導電性部材で構成した場合においては、セパレータに集電作用を持たせ、セパレータと多孔質電極とを合わせて一部材とすることも可能である。以上のいずれの組み合わせにおいても、活性物質の供給機能及び集電機能を併せ持つものを電極と称し、上述したように水素側電極と酸素側電極の二種類の電極が用いられる。酸素側電極には、酸素を供給するために空気が供給され、他方の水素側電極には、燃料流体が供給される。燃料電池が発電する場合には、イオン交換膜である電解質膜中をプロトンが移動し、酸素側電極の酸素と反応して電流が発生すると共に酸素側電極では水が生成される。燃料電池の発電体部分は電解質膜・電極複合体又はMEA(Membrane and Electrode Assembly)と呼ばれており、この電解質膜・電極複合体を単体で或いは平面的に並べることで平面構造の燃料電池が構成され、或いは積層することで積層構造(スタック構造)の燃料電池が構成される。
【0003】
このような燃料電池は、最近では輸送用車両などの分野で電気自動車やハイブリッド式車両としての応用が大きく期待されている他、住宅用電源システムなどについても実用化が期待されており、さらには燃料電池の軽量性や小型性を活かした携帯機器や小型電源などについても研究や開発が進められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
効率の良い燃料電池装置を製造するためには、電池内部での種々の損失を抑えることが必要である。この電池内部での損失としては、触媒活性に基づく損失、内部抵抗に基づく損失、ガスや水などの移動による損失などが挙げられ、これらの損失を如何に抑制するかが重要な課題となる。これらの損失の中、触媒活性に基づく損失は触媒を担持させる方法や、触媒の種類、サイズなどに左右されるものであり、触媒中の活性金属の粒径を小さく均一に分散させて反応に寄与する表面積を改善したり、白金などの触媒に異種金属を合金化させて酸素の還元特性を改善する例などが知られる。
【0005】
ここにおいて、触媒活性に基づく損失は、発電装置全体の損失において無視できない大きさであるのが現状であり、更なる高効率な燃料電池の発電特性が要求されている。また、材料や構造の改善による場合では、一旦製造された後においては、その特性を変えることができないと言う問題も生ずる。損失は低く抑えることが望ましいが、燃料電池が発電した電力が供給されるところの負荷は一般に変動し得るものであり、その負荷変動に追従するような制御も必要とされる場合もある。
【0006】
そこで、本発明は上述の技術的な課題に鑑み、燃料電池による発電を行う燃料電池装置において、高効率な発電を実現すると共に、その発電特性の制御も可能とする燃料電池装置及び燃料電池装置の制御方法並びにこのような燃料電池装置の実現を可能とする燃料電池のセパレータの提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の燃料電池装置は、電解質と、少なくとも一の電極と他の電極とからなる二の電極と、前記電解質と前記一の電極との間及び前記電解質と前記他の電極との間に各々挟持された触媒とを備えた燃料電池装置であって、
【0008】
前記一の電極または前記他の電極の少なくとも何れかの一方の電極に配設される加振手段により発生する振動を前記触媒の少なくとも一方の触媒に伝搬させることを特徴とする。
【0009】
ここにおいて、一の電極及び他の電極は、活性物質を触媒を介して電界質に供給する機能と、発生した電力を集電する機能とを併せ持つものであり、多孔質導電体自体であって集電機能を併せ持つ部材、多孔質の導電体と導電性の集電体とを圧着した部材、活性物質を触媒を介して電界質に行き渡らせるための活性物質の流路を形成した導電性セパレータと多孔質導電体とを圧着した部材等いずれの構成であっても良い。また、加振手段は、表面弾性波素子、超音波振動素子等に交流電圧を印加するいずれのものでも良い。
【0010】
また、電解質は、液状でも、ゲル状でも、薄い膜状でも、粒状でも、微粉状でも、固体状でも、その他の態様であっても、電極と電解質とが触媒を挟持する構成であればいずれであっても良い。
【0011】
本発明の燃料電池装置は、加振手段が、前記一の電極または前記他の電極の少なくとも何れかの一方の電極の前記触媒に面する面側であって前記触媒と面しない部分に配設されたことを特徴とする。
【0012】
本発明の燃料電池装置によれば、触媒と接する面であって触媒が担持されていない部分に加振手段を設けることにより加振手段からの振動が短い経路で触媒に伝達されるため振動の減衰が少なく、触媒に加えられる振動により触媒の活性係数を高めるものである。
【0013】
本発明の燃料電池装置は、加振手段が、前記一の電極または前記他の電極の少なくとも何れかの一方の電極の前記触媒に面しない面上に配設されたことを特徴とする。本発明の燃料電池装置によれば、加振手段が、電解質が配設される面とは異なる面に設けられるために、広い面積に渡り加振手段を設けることができ、強い振動を触媒に伝えることが可能となる。
【0014】
本発明の燃料電池装置は、加振手段として、圧電体基板上に形成された所要の電極を有する表面弾性波素子に交流電圧を印加して弾性波を生じさせるものであることを特徴とする。
【0015】
本発明の燃料電池装置によれば、表面弾性波素子により発生する表面波は部材の表面を減衰が少なく伝播するために少ない振動エネルギーを有効に触媒に伝達することができる。
【0016】
本発明の燃料電池装置は、加振手段に印加する周波数を可変とすることにより、前記触媒の反応を制御することを特徴とするものである。
【0017】
本発明の燃料電池装置によれば、触媒の種類により活性化に最適な振動の周波数は異なるので、加振手段からの交流電圧の周波数を変えることにより、触媒の活性度を最適なものとすることができる。
【0018】
本発明の燃料電池装置は、燃料電池装置の出力の一部が前記加振手段の電力源とされることを特徴とするものである。
【0019】
本発明の燃料電池装置によれば、加振手段の電源を別個に設ける必要がないので、装置の簡略化、小型化に寄与する。
【0020】
本発明の燃料電池装置は、電解質と、少なくとも一の電極と他の電極とからなる二の電極と、前記電解質と前記一の電極との間及び前記電解質と前記他の電極との間に各々挟持された触媒とを備えた燃料電池装置であって、前記一の電極または前記他の電極の少なくとも何れかの一方の電極に絶縁材を介して表面弾性波素子が設けられ、前記表面弾性波素子は、発生する表面波の周期に対応した所定の周期的配列で構成された櫛形電極を有し、上記櫛形電極の間に形成される空隙は活性物質を前記電解質に供給する活性物質案内溝となることを特徴とする。
【0021】
ここにおいて、一の電極及び他の電極は、活性物質を触媒を介して電界質に供給する機能と、発生した電力を集電する機能とを併せ持つものであり、多孔質導電体自体であって集電機能を併せ持つ部材、多孔質の導電体と導電性の集電体とを圧着した部材等いずれの構成であっても良い。又、活性物質の供給を可能としながら絶縁材を介して表面弾性波素子を設ける構成は、微小な孔を有する絶縁材を一の電極または他の電極の少なくとも何れかの一方の電極と表面波弾性素子との間に配設した構成であっても、表面波弾性素子自体に絶縁塗装を施す構成であっても良い。
【0022】
本発明の燃料電池装置によれば、加振手段を構成する部材の一部である表面弾性波素子の電極の間に形成された空隙を活性物質を導く流路とすることにより、過振手段の一部とセパレータの機能とを兼用できるため、装置の簡略化及び表面弾性波発生素子の設置面積の拡大化が図れ、触媒に印加する振動の強度化が図れる。
【0023】
ここにおいて櫛形電極の周期的配列のピッチは表面弾性波の周波数を決定するので、触媒の性質に応じてピッチを選定することにより触媒の活性度を最適化することができる。また、前記活性物質案内溝はミアンダ状に延在すれば、活性物質を均一に触媒が担持された電界質に供給することができる。
【0024】
また、燃料電池装置の出力の一部が前記表面弾性波素子に印加される前記交流電圧を発生させるための電力源とした場合においては、別途交流電圧発生のための電源を設ける必要がないので、装置の簡略化に寄与する。
【0025】
本発明の燃料電池装置は、電解質と、少なくとも一の電極と他の電極とからなる二の電極と、前記電解質と前記一の電極との間及び前記電解質と前記他の電極との間に挟持された触媒と、前記電解質と前記一の電極との間または前記電解質と前記他の電極との間に挟持された触媒の少なくとも何れかの一方の触媒に振動を与えるための加振手段とを備えた燃料電池装置であって、前記燃料電池装置に接続される負荷へ供給される負荷電圧を監視する監視手段と、所定の基準信号と前記負荷電圧とを比較して得られる帰還信号を発生する帰還信号発生手段と、前記帰還信号に基づき前記負荷電圧を所定の電圧に保つように制御する制御手段とを備えるものである。
【0026】
ここにおいて、一の電極及び他の電極は、活性物質を触媒を介して電界質に供給する機能と、発生した電力を集電する機能とを併せ持つものであり、多孔質導電体自体であって集電機能を併せ持つ部材、多孔質の導電体と導電性の集電体とを圧着した部材、活性物質を電解質に行き渡らせるための活性物質の流路を形成した導電性セパレータと多孔質導電体とを圧着した部材等いずれの構成であっても良い。又、加振手段は、表面弾性波素子、超音波振動素子等に交流電圧を印加するいずれのものでも良い。
【0027】
本発明のセパレータは、活性物質案内溝を設けた燃料電池のセパレータであって、セパレータに振動を発生させる加振手段を設けたことを特徴とするものである。
【0028】
ここにおいて、加振手段は、表面弾性波素子、超音波振動素子等に交流電圧を印加するいずれのものでも良い。
【0029】
本発明のセパレータは、加振手段として、圧電体基板上に形成された所要の電極を有する表面弾性波素子に交流電圧を印加して弾性波を生じさせるものであることを特徴とするものである。
【0030】
本発明のセパレータは、表面弾性波素子が、発生する表面波の周期に対応した所定の周期的配列で構成された一対の櫛形電極を有し、上記櫛形電極の間に形成される空隙は上記活性物質を前記電解質に供給する活性物質案内溝となることを特徴とするものである。
【0031】
本発明の電圧制御方法は、電解質と、少なくとも一の電極と他の電極とからなる二の電極と、前記電解質と前記一の電極との間及び前記電解質と前記他の電極との間に挟持された触媒と、前記電解質と前記一の電極との間または前記電解質と前記他の電極との間に挟持された触媒の少なくとも何れかの一方の触媒に振動を与えるための加振手段とを備えた燃料電池装置における電圧制御方法であって、前記燃料電池装置に接続される負荷へ供給される負荷電圧を監視し、所定の基準信号と前記負荷電圧とを比較して帰還信号を発生し、前記帰還信号に基づき前記負荷電圧を所定の電圧に保つように制御することを特徴とするものである。
【0032】
ここにおいて、一の電極及び他の電極は、活性物質を触媒を介して電界質に供給する機能と、発生した電力を集電する機能とを併せ持つものであり、多孔質導電体自体であって集電機能を併せ持つ部材、多孔質の導電体と導電性の集電体とを圧着した部材、活性物質を電解質に行き渡らせるための活性物質の流路を形成した導電性セパレータと多孔質導電体とを圧着した部材等いずれの構成であっても良い。また、加振手段は、表面弾性波素子、超音波振動素子等に交流電圧を印加するいずれのものでも良い。
【0033】
本発明の触媒の活性化方法は、電解質と、少なくとも一の電極と他の電極とからなる二の電極と、前記電解質と前記一の電極との間及び前記電解質と前記他の電極との間に挟持された触媒と、前記電解質と前記一の電極との間または前記電解質と前記他の電極との間に挟持された触媒の少なくとも何れかの一方の触媒に振動を与えるための加振手段とを備えた燃料電池装置における触媒の活性方法であって、前記触媒の活性化が、前記加振手段により前記触媒に振動を印加することにより行われることを特徴とする。
【0034】
ここにおいて、一の電極及び他の電極は、活性物質を触媒を介して電解質に供給する機能と、発生した電力を集電する機能とを併せ持つものであり、多孔質導電体自体であって集電機能を併せ持つ部材、多孔質の導電体と導電性の集電体とを圧着した部材、活性物質を電解質に行き渡らせるための活性物質の流路を形成した導電性セパレータと多孔質導電体とを圧着した部材等いずれの構成であっても良い。また、加振手段は、表面弾性波素子、超音波振動素子等に交流電圧を印加するいずれのものでも良い。
【0035】
【発明の実施の形態】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態の燃料電池装置について図1乃至図3を参照しながら説明する。本実施形態の燃料電池装置は、流体案内溝12aを有した板状のセパレータ12と流体案内溝13aを有した板状のセパレータ13で電解質膜・電極複合体(Membrane and Electrode Assembly)11を挟持し、さらにセパレータ13の電解質膜・電極複合体11が配された面とは逆側の面に表面弾性波素子14を貼り合わせた構造を有する。
【0036】
電解質膜・電極複合体11は、プロトン伝導体などの電解質膜11aを燃料側電極11bと空気側電極11cで挟持した構造を有しており、燃料側電極11bや空気側電極11cは、金属板や、多孔質性の金属材料、或いは炭素材料などの導電性材料からなり、燃料側電極11b、空気側電極11cの機能は、活性物質、すなわち第1の活性物質として水素、第2の活性物質として酸素とを多孔質の孔を通して電解質膜に供給することである。
【0037】
プロトン伝導体である電解質は、必ずしも膜構造である必要はなく、液状やゲル状で燃料側電極11b若しくは空気側電極11cに塗られていたり、リジットな固体状に成形したものであっても、粒状や微粉状で燃料側電極11bと空気側電極11cの間に配設したもの等の種々の態様の電解質であって良い。これら燃料側電極11bや空気側電極11cには集電体が接続される。集電体は、電極で発生する起電力を燃料電池の外部へ取り出すための電極材であり、金属材料や炭素材料、導電性を有する不織布などを用いて構成される。また、燃料側電極と集電体は一体の構造としても良く、燃料側電極と集電材料とを合わせて第1の実施の形態においては、一の電極と称する。又、空気側電極と集電体は一体の構造としても良く、空気側電極と集電材料とを合わせて第1の実施の形態においては、他の電極と称する。空気側電極11cや燃料側電極11bに炭素系材料が使用される場合では、炭素系材料の多孔質表面に白金などの触媒を担持させるようにしても良く、本実施の形態では、燃料側電極11bと電解質膜11aの間若しくは燃料側電極11bと一体的に触媒層が形成され、空気側電極11cと電解質膜11aの間若しくは空気側電極11cと一体的に触媒層が形成される。
【0038】
電極と電解質とからなるいわゆる電解質膜・電極複合体をどのように組み立てるかにつき以下説明をする。電解質が液状やゲル状である場合には、組み立て前は、触媒は電極側に担持しておく。この状態で電極の表面にゲル状、または液状の電解質を塗布した後、二枚の電極を貼り合わせるとゲル状または液状の電解質は表面張力の作用により二枚の電極の間に保持されることとなる。粒状または微粉状においても二枚の電極の間に粒状または微粉状の電解質を挟みこむことができる。電解質が膜状や固体状である場合においては、電解質膜または電解質板として別部材とした後に、二枚の電極で挟みこむことができる。このようないずれの方法で電解質を用いたとしても、組み立て完了後の電解質膜・電極複合体として見た場合においては、電解質、触媒、電極の三者の位置関係は異なるところはない。
【0039】
発電時には、燃料側電極ではセパレータ12から水素ガス(H)などの燃料気体やメタノールなどの燃料液体が供給される。燃料が水素である場合、水素ガス(H)が触媒と反応してプロトンを発生させ、解離したプロトン(H)は燃料側電極11bから空気側電極11cに向かって電解質膜11aの膜中を移動する。この移動したプロトンは、空気側電極11cの触媒付近で活性化酸素分子と反応して、これにより所望の起電力が取り出される。
【0040】
このような固体高分子膜を用いた構成の燃料電池では、水素を燃料とする場合、負極である燃料側電極では触媒と高分子電解質の接触界面においてH→2H+2eの如き反応が生ずる。酸素を酸化剤とした場合、正極である空気側電極では同様に1/2O+2H+2e=HOの如き反応が起こり、結果として水が生成される。この構成の燃料電池では、プロトン伝導体膜でプロトンが解離しつつ、燃料側電極から供給されるプロトンが空気側電極に移動する。
【0041】
このような電解質膜・電極複合体11は、一対のセパレータ12、13によって挟持されている。セパレータ12、13は例えば合成樹脂やその他の誘電体材料から構成される略板状の部材であり、例えば合成樹脂やその他の誘電体材料から構成される略板状の部材である。またセパレータ12、13に集電体としての機能を持たせても良く、この場合においては、セパレータは、燃料液体や酸素(空気)を燃料側電極11bと空気側電極11cに供給すると伴に発生した起電力を外部に取り出すために導電性を有し、かつ腐食しない材料であることが必要であり、例えば、カーボンを主体とする材料や耐腐食性の高い金属であるステンレスや銅、アルミ、ステンレス等に導電性の耐腐食塗装を施した材料等から成る略板状の部材により構成される。この場合においては、一の電極及び他の電極の名称にはセパレータも含まれる。
【0042】
各セパレータ12、13の電解質膜・電極複合体11当接面には流体案内溝12a、13aが形成される。当該燃料電池装置が積層タイプである場合には、セパレータ12,13は空気極と燃料極を接続させる導電体であるのがより好ましく、耐腐食性の高い金属や炭素系材料を選んでも良い。この様にセパレータが導電体である場合には、水素電極側のセパレータと酸素電極側のセパレータとを交互にサンドイッチ構造とすることにより、第1の活性物質と第2の活性物質とを分離すると供に、各々の燃料電池で発生する電圧を容易に加算して外部に取り出すことができる。電圧側流体案内溝12a、13aは複数の互いに平行して延長される溝からなり、その断面は例えば矩形状とされるが、三角形状や半円若しくはアーチ状でも良く、また、溝自体は延長される部分で均一でなくとも良く、例えば流体の入り口側で断面が大きく先細りとなるような形状であっても良い。
【0043】
セパレータ12はその電解質膜・電極複合体11当接面に形成された複数の流体案内溝12aによって、燃料流体を電解質膜・電極複合体11の燃料側電極11bに案内する。また、セパレータ13はその電解質膜・電極複合体11当接面に形成された複数の流体案内溝13aによって、空気を電解質膜・電極複合体11の空気側電極11cに案内する。セパレータ12とセパレータ13は同一の構造とすることも可能であるが、異なる構造であっても良く、例えば、溝の位置が対称的とならないものであっても良い。また、溝のピッチやサイズなどがセパレータ12、13の間で異なる構造であっても良い。
【0044】
空気側のセパレータ13の裏面側には、表面弾性波素子14が貼り合わされて接続される。表面弾性波素子14は、圧電体基板14c上に一対の電極14a、14bが形成された構造を有している。一対の電極14a、14bは、ミアンダ状(蛇行状)に延在されるパターンで形成されるが、ミアンダ状は一例であって、他のパターンにすることも可能である。本実施の形態では、表面弾性波素子14の一対の電極14a、14bが形成された面が空気側のセパレータ13の裏面に貼り合わせられるが、セパレータ13の裏面と圧電体基板14cが直接接続するような構造であっても良い。セパレータが絶縁部材で構成されている場合においては、表面弾性波素子14を直接セパレータに13押し当てることができるが、セパレータが導電体の部材で構成されている場合においては、セパレータ13を介して電極14a、14bとが電気的に接触しないように、図1においては図示しない絶縁膜がセパレータ13と電極14a、14bとの間に配設されている。
【0045】
絶縁膜は、例えば、板状の形態の物で表面弾性波素子14a,14bの全面を覆っても、絶縁性の塗料をセパレータ13または電極14a、14bの表面に塗布したものであっても良い。又、セパレータ13の裏面と圧電体基板14cの電極14a,14bが設けられていない側の面が直接接続するような構造においては、セパレータ13と圧電基板14Cとの間の電気的な絶縁は保たれているので、絶縁のための別部材は不要である。
【0046】
表面弾性波素子14は、表面弾性波(Surface Acoustic Wave)を発生させる素子であり、高周波信号が供給され、圧電体内部を伝搬する弾性波動が表面に集中して伝搬することを利用した素子である。表面弾性波は圧電体基板14cの表面で主に伝搬することになるが、その振動はセパレータ13の表面を伝搬して電解質膜・電極複合体11の触媒まで伝わることになる。高周波電力によって発生した表面弾性波が触媒に作用することで、その触媒界面における反応を制御することができる。ここにおいて、表面弾性波素子が電解質膜と対峙しない面側に設けられた場合においては、表面波がセパレータの表面を損失なく伝播するためにセパレータの側面とセパレータの表面及び裏面とのなす角度が鈍角であることが望ましい。
【0047】
触媒に表面弾性波を作用させることで、その反応を制御できることは、例えば、Surface Science 357−358 (1996)769−772にも、表面弾性波によってパラジウム触媒の一酸化炭素等の酸化反応を検証したものが知られており、また、Applied Surface Science 169−170 (2001) 259−263にも表面弾性波の作用によって、エチレンなどの反応に大きな違いが生ずることが示されている。本実施形態においては、触媒は、燃料側電極11bと電解質膜11aの間若しくは燃料側電極11bと一体的に触媒層として設けられ、例えば炭素系材料の多孔質表面に担持されて存在する。この触媒に対して、表面弾性波を発生させる表面弾性波素子から有効に弾性波が伝搬するように接続させ、表面弾性波素子14に供給される高周波信号を制御させることで、触媒における反応自体を確実に制御できることになる。
【0048】
本実施の形態においては、貼り合わせられる表面弾性波素子14は1つであるが、複数の表面弾性波素子14を1つのセパレータ13に接続させることもでき、複数の弾性波の干渉作用によって高効率となる周波数や位置を組み合わせることも可能である。また、表面弾性波素子14は空気側電極のセパレータ13に貼り合わせられているが、燃料側電極のセパレータ12に接続される構造であっても良い。
【0049】
図2は表面弾性波素子14上にセパレータ13、電解質膜・電極複合体11、及びセパレータ12を積層した構造の燃料電池装置を示す。電解質膜・電極複合体11の上面にはセパレータ12に形成された流体案内溝12aから水素やメタノールなどの燃料流体が供給され、セパレータ13に形成された流体案内溝13aから空気が電解質膜・電極複合体11の下面に供給されて発電を行う。図2中、矢印は表面弾性波素子14で発生した弾性波がセパレータ13を介して伝搬する様子を模式的に示すものであり、外部から高周波信号を供給した時に触媒における反応が活性化され、高周波信号の供給を停止した時に触媒における反応が通常のレベルに戻されることになる。従って、外部からの高周波信号によって発電量を確実に制御することが可能となり、効率の良い発電が実現される。
【0050】
図3は表面弾性波素子の一例の平面図である。圧電体基板14cは、LiNbOやLiTaOなどの強誘電体材料基板からなり、本実施の形態においては、結晶の切断方向を工夫して圧電体基板14cの主面に垂直な方向での弾性波成分が高くなるように設定することが望ましい。一対の電極14a、14bはトランスデューサとして機能し、指を合わせて組むような櫛形形式でパターニングされている。一対の電極14a、14bは、弾性波を生じさせるような構造であれば、他の構造であっても良く、さらに多くの電極を設けるようにしても良い。例えば、2枚の面状電極を圧電体を挟んで対向させるようにすることも可能である。ここにおいて、櫛形形式でパターニングされた電極のピッチは、発生する表面波の振動数を決定するので、予め、触媒の活性度が最適となる周波数に対応したピッチを選択することにより、振動を触媒に加える効果を最大とすることができる。
【0051】
図4は触媒付近の模式図である。炭素粒子21の表面には、多数の白金触媒粒子22が点在するように分散しており、高分子骨格24によって担持され、界面がクラスタ部分23に臨む白金触媒粒子22が主に反応に寄与する。本実施の形態の燃料電池装置では、図中の波形の矢印のように表面弾性波素子で発生した弾性波が伝搬されて炭素粒子21に到達する。更に、この炭素粒子21から各白金触媒粒子22に振動が伝達されて、白金触媒粒子22の界面における触媒作用を活性化させることが実現される。
【0052】
以上のように本実施の形態の燃料電池装置は、表面弾性波素子で発生した弾性波が伝搬されて電極に担持されている触媒を活性化させることができる。このため触媒による発電の高効率化を更に進めることができ、同時に高周波信号のオンオフ制御や信号の強弱の変化、或いは周波数の変調などによって触媒の反応自体を制御することができ、この触媒の反応の制御から発電量も制御できる。
【0053】
なお、本実施形態においては、触媒として白金を挙げているが、適用可能な触媒は白金に限定されず、公知な種々の触媒を適宜用いることが可能な点については言うまでもなく、この点については以下の実施の形態についても同じである。
【0054】
[第2の実施形態]
図5は超音波振動子を用いた燃料電池装置の例を示す。図5において、電解質膜・電極複合体31は、電解質膜31aを空気側電極31cと燃料側電極31bで挟持した構造を有しており、空気側電極31cと燃料側電極31bの少なくとも一方には白金等の触媒が担持されている。空気側電極31cの電解質膜31a側と反対側の面には、セパレータ32が配設される。セパレータ32の電解質膜・電極複合体31側の面には、空気を電極に供給するための複数の略平行な流路32aが形成される。
【0055】
セパレータ32の空気側電極31c側と反対側の面には、略板状の超音波振動子33が取り付けられている。この超音波振動子33は、交流電源36からの交流電力によって超音波振動を発生させる。この振動の周波数は、超音波振動子33の機械的な寸法や振動子の材料固有の定数により決定される。超音波振動子33の振動モードは、空気側電極31cの導電体を厚み方向に振動させるものであっても良く、面内方向に振動させるものであっても良く、これらの複合した振動を示すモードでも良い。交流電源36からの交流電力の周波数は、超音波振動子33の共振周波数に応じたものとなる。
【0056】
超音波振動子33は所要の周波数の超音波振動を発生させるものであれば如何なる方式のものであっても良く、フェライト磁歪振動子、圧電セラミック振動子、ランジュバン型振動子、表面弾性波素子などの種々のデバイスを用いることができ、また、ボイスコイルに振動板を設けたものでも良い。本実施の形態では、1つの超音波振動子33を設けているが、複数の超音波振動子33を燃料電池装置に設けることも可能であり、1つの超音波振動子33で複数の燃料電池の各電極触媒に対して作用させるようにすることも可能である。
【0057】
本実施の形態の燃料電池装置では、超音波振動子33を用いて所要の周波数の超音波振動を発生させることができる。超音波振動子33はセパレータ32を介して電解質膜・電極複合体31に担持されている触媒に作用し、このため触媒による発電の高効率化を更に進めることができる。また、交流電源36のオンオフ制御や信号の強弱の変化、或いは周波数の変調などによって触媒の反応自体を制御することができ、この触媒の反応の制御から発電量も制御できる。
【0058】
[第3の実施形態]
本実施の形態の燃料電池装置は、図6に示すように、圧電体基板上に形成した櫛形電極がそのまま空気や燃料の流路として利用される例である。本実施形態の燃料電池装置は、電解質膜・電極複合体(Membrane and Electrode Assembly)41を流体案内溝42aを有した板状のセパレータ42と表面弾性波素子44で挟持した構造を有する。
【0059】
電解質膜・電極複合体41は、プロトン伝導体などの電解質膜41aを燃料側電極41bと空気側電極41cで挟持した構造を有しており、空気側電極41cや燃料側電極41bは、金属板や、多孔質性の金属材料、或いは炭素材料などの導電性材料からなり、これら空気側電極41cや燃料側電極41bには集電体が接続される。集電体は、電極で発生する起電力を取り出すための電極材であり、金属材料や炭素材料、導電性を有する不織布などを用いて構成される。また、燃料側電極と集電体は一体の構造としても良く、燃料側電極と集電材料とを合わせて第3の実施の形態においては、一の電極と称する。又、空気側電極と集電体は一体の構造としても良く、空気側電極と集電材料とを合わせて第3の実施の形態においては、他の電極と称する。空気側電極41cや燃料側電極41bに炭素系材料が使用される場合では、炭素系材料の多孔質表面に白金などの触媒を担持させるようにしても良く、本実施の形態では、燃料側電極41bと電解質膜41aの間若しくは燃料側電極41bと一体的に触媒層が形成され、空気側電極と電解質膜41aの間若しくは空気側電極41cと一体的に触媒層が形成される。
【0060】
このような電解質膜・電極複合体41は、1つのセパレータ42と表面弾性波素子44によって挟持されている。なお、表面弾性波素子44が他方のセパレータとして機能する。セパレータ42は例えば合成樹脂やその他の誘電体材料から構成される略板状の部材であり、各セパレータ42の電解質膜・電極複合体41当接面には流体案内溝42aが形成される。流体案内溝42aは複数の互いに平行して延長される溝からなり、その断面は例えば矩形状とされるが、三角形状や半円若しくはアーチ状でも良く、また、溝自体は延長される部分で均一でなくとも良く、例えば流体の入り口側で断面が大きく先細りとなるような形状であっても良い。
【0061】
セパレータ42はその電解質膜・電極複合体41当接面に形成された複数の流体案内溝42aによって、燃料流体を電解質膜・電極複合体41の燃料側電極41bに案内する。燃料側のセパレータ42の反対側には、表面弾性波素子44が貼り合わされて接続される。表面弾性波素子44は、圧電体基板44c上に一対の電極44a、44bが形成された構造を有している。一対の電極44a、44bは、ミアンダ状(蛇行状)に延在されるパターンで形成されるが、ミアンダ状は一例であって、他のパターンにすることも可能である。
【0062】
表面弾性波素子44は、表面弾性波を発生させる素子であり、高周波信号が供給され、圧電体内部を伝搬する弾性波動が表面に集中して伝搬することを利用した素子である。表面弾性波は圧電体基板44cの表面で主に伝搬することになるが、その振動は、本実施形態ではセパレータを介さずに直接的に電解質膜・電極複合体41の触媒まで伝わることになる。高周波電力によって発生した表面弾性波が触媒に作用することで、その触媒界面における反応を制御することができる。
【0063】
表面弾性波素子44では、圧電体基板44c上に形成された一対の電極44a、44bが空気(第2の活性物質)の流路を構成する。すなわち、一対の電極44a、44bはリソグラフィーなどによって櫛形のパターンに構成され、向かい合う一対の電極44a、44bの間のスペースが空気の流路として利用される。密着する圧電体基板44cと電解質膜・電極複合体41の空気側電極41cの間には、少なくとも一対の電極44a、44bの厚みの分だけスペースがあり、そのスペースを介して電解質膜・電極複合体41の空気側電極41cに空気を供給することが可能である。
【0064】
ここにおいて、空気側電極41cと集電体からなる他の電極と表面波弾性素子44とを密着させた場合においては、空気側電極41cが導電性を有するために電極44aと電極44bとが空気側電極41cを介して接触して短絡状態となるため、表面弾性波が発生しないこととなる。これを防止するために、活性物質をセパレータから触媒に供給する機能を維持しつつ他の電極と電極44a、44bの間を絶縁するための多孔性絶縁材料、例えば、セラミックス、多孔性ポリエチレン材料等からなる絶縁膜44dを電極44a、44bの全面を覆うように設ける。また、電極44a、44bの他の電極に接する面の全面に絶縁膜を施すことによっても空気側電極41cと電極44a、44bとの絶縁を維持しつつ、空気を供給することが可能である。
【0065】
[第4の実施形態]
図7は表面弾性波素子44における電極パターンの他の例を示す図である。圧電体基板上に一対の櫛形電極51、52が指を合わせるように組み合わされており、これら一対の櫛形電極51、52の間に高周波信号を供給することで、所要の表面弾性波が発生する。一対の櫛形電極51、52は周辺部材53、54によって囲まれており、空気若しくは燃料の出入り口55、56から空気若しくは燃料が供給され或いは排出される。ここにおいて、燃料の出入り口55、56は、燃料が櫛形電極の全面に行き渡り、触媒が担持された電解質膜に十分供給される位置に配置される。
【0066】
このような構造においては、一対の櫛形電極51、52の蛇行するスペースに空気や燃料などの流体を通過させることができ、且つ一対の櫛形電極51、52が形成される圧電体基板もセパレータとして機能することから、第1の実施形態の燃料電池装置と比べてセパレータの数も1つ少なくすることができる。周辺部材53、54を設けることで、燃料流体側の構成とすることも可能であり、共通の部材を電解質膜・電極複合体41の空気側と燃料側の両側に配設することもできる。
【0067】
[第5の実施形態]
本実施の形態の燃料電池装置は、図8、図9に示すように、表面弾性波素子と、流路を構成する電極部とが同一圧電体基板上に並べて配置され、表面弾性波素子に信号を与えて弾性波を生じさせ、そのまま空気や燃料の流路として利用される櫛形電極部から電解質膜・電極複合体の触媒に弾性波を作用させる例である。
【0068】
図8は燃料電池装置の断面図である。圧電体基板61の表面の一部に絶縁体膜65、65に挟まれた櫛形電極部62を設けて表面弾性波素子64を形成し、更に同じ圧電体基板61の表面に櫛形電極部67を形成し、その櫛形電極部67の表面に電解質膜・電極複合体を取り付けた構造を有している。
【0069】
電解質膜・電極複合体は、具体的には、発電時にプロトンが移動する電解質膜68を空気側電極66と燃料側電極69が挟む構造となっており、空気側電極66の表面には圧電体基板61の表面に形成されている櫛形電極部67が接続する。この電解質膜・電極複合体においては、空気側電極66の表面に櫛形電極部67の間の流路63から空気が供給され、反対側の燃料側電極69には水素などの燃料が供給されて、所要の発電が行われる。発電時には、空気側電極66及び燃料側電極69の触媒界面で反応が生ずるが、その反応は表面弾性波素子64からの音波によって制御される。表面弾性波素子64は、所要の高周波信号を与えることで発振し、その振動が圧電体基板61の表面を伝搬して櫛形電極部67に振動が到達する。櫛形電極部67はその電極構造からSAWフィルターとして機能し、櫛形電極部67による周波数の選択性からさらに精密な触媒反応の制御も可能である。空気側電極66と櫛形電極部67の間には、多孔性絶縁材70が設けられている。また、櫛形電極部67の表面であって空気側電極66に接する面に絶縁塗料を施すことにより多孔質絶縁材を省くこともできる。
【0070】
図9は表面弾性波素子64の断面図であり、圧電体基板61の表面の一部に絶縁体膜65、65に挟まれた櫛形電極部62が設けられている。表面弾性波素子64は圧電体基板61上で信号入力部として機能することになる。
【0071】
[第6の実施形態]
図10は本実施形態の燃料電池装置の他の電極パターンの一例を示す平面図である。圧電体基板上に入力側として一対の櫛形電極部71、72が指を合わせるように組み合わされており、これら一対の櫛形電極部71,72の間に高周波信号を供給することで、所要の表面弾性波が発生する。この圧電体基板の同一主面上には他の一対の櫛形電極部73,74が形成されている。一対の櫛形電極部71,72で発生した表面弾性波は、他の一対の櫛形電極部73,74に圧電体基板の表面を介して伝搬され、櫛形電極部73,74に接続する図示しない発電体の触媒に作用する。これら他の一対の櫛形電極部73、74は周辺部材76、77によって囲まれており、空気若しくは燃料の出入り口78、78から空気若しくは燃料が供給され或いは排出される。
【0072】
このような構造においては、一対の櫛形電極部73、74の蛇行するスペースに空気や燃料などの流体を通過させることができ、且つこれら櫛形電極部73、74が形成される圧電体基板もセパレータとして機能することから、第1の実施形態の燃料電池装置と比べてセパレータの数も1つ少なくすることができる。周辺部材76、77を設けることで、燃料流体側の構成とすることも可能であり、共通の部材を電解質膜・電極複合体の空気側と燃料側の両側に配設することもできる。
【0073】
[第7の実施形態]
図11は燃料電池装置における更に他の電極パターンの一例を示す平面図である。本例では、図中破線で示す領域にカーボンをスパッタなどの手法によって被着させて炭素から構成されるスパッタ領域84を形成した例である。スパッタ領域84は炭素材料からなるために、集電機能が向上することになる。このスパッタ領域84上に電極や電解質膜を積層することができ、電解質膜を電極で挟んだ部分が発電部として機能する。
【0074】
本実施の形態においては、先に説明した第6の実施形態と同様に、圧電体基板上に入力側として一対の櫛形電極部81a、81bが指を合わせるように組み合わされており、これら一対の櫛形電極部81a、81bの間に高周波信号を供給することで、所要の表面弾性波が発生する。この圧電体基板の同一主面上には他の一対の櫛形電極部82a、82bが形成されている。一対の櫛形電極部81a、81bで発生した表面弾性波は、他の一対の櫛形電極部82a、82bに圧電体基板の表面を介して伝搬され、該櫛形電極部82a、82bに結合された図示しない発電体の触媒に作用する。これら他の一対の櫛形電極部82a、82bは周辺部材83によって囲まれており、空気若しくは燃料の出入り口から空気若しくは燃料が供給され或いは排出される。
【0075】
[第8の実施形態]
本実施形態は燃料電池用セパレータの一例であり、図12はその燃料電池用セパレータの一例を示す斜視図である。燃料電池用セパレータは、圧電体基板91上に表面弾性波素子93と導電体層92とが形成された構造を有しており、導電体層92が電解質膜・電極複合体に圧着されて集電体部として機能する構成とすることも可能であり、導電体層92にカーボンスパッタなどの手法によって電極機能を持たせると共に白金などの触媒金属を担持させるようにしても良い。
【0076】
圧電体基板91の表面であって導電体層92の下部領域には流路94が形成されている。この流路94は活性物質を供給するための案内部であり、例えば当該燃料電池用セパレータが燃料側に配設される場合には、水素ガスやメタノールなどの燃料流体が流路94を介して電解質膜・電極複合体の燃料側電極に送られる。逆に、当該燃料電池用セパレータが空気側に配設される場合には、空気が流路94を介して電解質膜・電極複合体の空気側電極に送られる。
【0077】
圧電体基板91の図中上端部には、導電体層92と略同一の面内となるように配置された表面弾性波素子93が形成されている。表面弾性波素子93は、圧電体基板91の表面に一対の櫛形電極部を形成することで構成される。表面弾性波素子93の各電極には交流電源96から高周波信号が供給され、この高周波信号に応じて圧電体基板91の表面に弾性波が発生する。この弾性波は導電体層92に到達し、導電体層92に存在する触媒若しくは導電体層92に接続する電極に担持された触媒に作用する。その結果、触媒における活性化を増進させることができると共に、交流電源96からの高周波信号を制御することで、触媒における反応も制御することができ、燃料電池の発電量を制御する必要がある場合に好適である。
【0078】
[第9の実施形態]
図13は超音波振動子を用いた他の燃料電池装置の例を示す。図13において、電解質膜・電極複合体は、電解質膜101を空気側電極102と燃料側電極103で挟持した構造を有しており、空気側電極102と燃料側電極103の少なくとも一方には白金等の触媒が担持されている。燃料側電極103の電解質膜101側と反対側の面には、セパレータ104が配設される。セパレータ104の電解質膜・電極複合体側の面には、水素などの燃料を電極に供給するための複数の略平行な流路104aが形成される。
【0079】
空気側電極102側にも同様にセパレータ105が形成されている。セパレータ105の電解質膜・電極複合体側の面には、空気を電極に供給するための複数の略平行な流路105aが形成される。セパレータ104、105は所要の剛性を有した合成樹脂、セラミックスなどによって構成され、電池自体を積層する場合などでは、空気極と燃料極を導通させる導電体によって構成することもできる。従って、図示のようにセパレータ104、105から発電にかかる電力を取り出すようにしても良い。発電された電力は負荷108に供給され、該負荷108で消費される。
【0080】
セパレータ105の空気側電極102側と反対側の面には、略板状の超音波振動子107が取り付けられている。この超音波振動子107は、先の第2の実施形態の超音波振動子と同様に、交流電源106からの交流電力によって超音波振動を発生させる。この振動の周波数は、超音波振動子107の機械的な寸法や振動子の材料固有の定数により決定される。超音波振動子107の振動モードは、空気側電極102の導電体を厚み方向に振動させるものであっても良く、面内方向に振動させるものであっても良く、これらの複合した振動を示すモードでも良い。交流電源106からの交流電力の周波数は、超音波振動子107の共振周波数に応じたものとなる。
【0081】
超音波振動子107は所要の周波数の超音波振動を発生させるものであれば如何なる方式のものであっても良く、フェライト磁歪振動子、圧電セラミック振動子、ランジュバン型振動子、表面弾性波素子などの種々のデバイスを用いることができ、また、ボイスコイルに振動板を設けたものでも良い。本実施の形態では、1つの超音波振動子107を設けているが、複数の超音波振動子107を燃料電池装置に設けることも可能であり、1つの超音波振動子107で複数の燃料電池の各電極触媒に対して作用させるようにすることも可能である。
【0082】
本実施形態の燃料電池装置では、超音波振動子107を用いて所要の周波数の超音波振動を発生させることができる。超音波振動子107はセパレータ105を介して電解質膜・電極複合体に担持されている触媒に作用し、このため触媒による発電の高効率化を更に進めることができる。また、交流電源106のオンオフ制御や信号の強弱の変化、或いは周波数の変調などによって触媒の反応自体を制御することができ、この触媒の反応の制御から発電量も制御できる。特に本実施形態が負荷108に接続されることから、例えば負荷108の抵抗値が変化する場合などにおいては、その発電量を交流電源106からの信号を調整することで、負荷108のインピーダンス状態に合わせた制御が実現されることになる。
【0083】
[第10の実施形態]
本実施形態の燃料電池装置は、発電した電力の取り出しと交流信号の供給を共通化した例である。本実施形態では、2つの電解質膜・電極複合体が積層された構造とされ、2つのセルが直列接続された構造に構成されている。
【0084】
すなわち、図14に示すように、電解質膜111を空気側電極112と燃料側電極113で挟持した電解質膜・電極複合体には、その空気側電極112側にセパレータ114を介して超音波振動子115が配設されている。このような燃料側電極113から超音波振動子115までのユニットの構成が2つ分繰り返し設けられており、その両端においては電極116、117が配されている。空気側電極112、燃料側電極113には白金などの触媒が担持されており、反応は触媒界面で生ずるように構成されている。
【0085】
この構成においては、超音波振動子115がそれぞれの燃料電池のユニットごとに設けられて、超音波振動子115に交流信号を与えて作動させることで、空気側電極112、燃料側電極113に担持されている触媒に超音波が作用し、触媒における反応を活性化できる。触媒の活性化の状態は超音波の振幅及び周波数に依存するため、超音波振動子115に与えられる交流信号の振幅、または周波数の一方、または、その両方を制御することで触媒反応を制御し、その制御から発電量も制御できる。ところで、2つのユニットの各超音波振動子115に別々に信号を供給することもできるが、その場合にはそれぞれの配線が不可欠であり、燃料電池の全体構造が複雑化してしまう。そこで、本実施形態では、配線を簡略化するために、コイル123、124、125、126を配し、更に容量127、128を配している。容量127、128は信号の直流成分をカットするための素子であり、交流電源120からは交流成分だけが容量127を通過する。コイル123、124、125、126は高周波に対しては大きなインピーダンスを有する素子であり、直流成分を通過させるが交流を遮断させるように機能する。このような構成により、セパレータ114、空気側電極112、燃料側電極113、電解質膜111を容量128でバイパスして、実質的にこれらを介在することなく交流電源120からの高周波を複数の超音波振動子115に印加することができる。ここにおいて、交流電源120からの交流成分は、コイル125により阻止され負荷側に流れることはなく、又、燃料電池で発電された直流の電力は、容量127により阻止されるので交流電源120に流れ込むこともない。一方、セパレータ114、空気側電極112、燃料側電極113、電解質膜111の作用により発電された電力は、コイル123、124を通過し、実質的に超音波振動子115を介することなく、燃料電池の一対の電極116、117から直流成分が取り出され負荷121に供給される。このように高周波の流れる電流路と発電電力の流れる電流路を分離することにより、高周波電力のセパレータ114、空気側電極112、燃料側電極113、電解質膜111における損失及び、直流電力の超音波振動子115における損失の発生を防ぎつつ、それぞれ別個の配線を設けない構成によっても触媒における反応を活性化できることになり、構造の簡略化、ローコスト化が図れる。
【0086】
[第11の実施形態]
本実施形態は積層形の燃料電池装置の例である。図15に本実施形態の積層形の燃料電池装置の一例を示す。電解質膜131を空気側電極132と燃料側電極133で挟持した電解質膜・電極複合体が2つ直列に接続されるように構成されており、これら2つの電解質膜・電極複合体を更に挟むように3つの圧電体基板134が配設され、それら圧電体基板134の上端部にはそれぞれ表面弾性波素子135が設けられている。圧電体基板134には、図示を省略しているが、基板の表面と裏面を導通させるための配線若しくは導電体部等も形成されている。2つの電解質膜・電極複合体をそれぞれ表面弾性波素子135が設けられた圧電体基板134で挟むように構成することで、2つの発電体が直列接続されて積層される構造となり、両端に圧電体基板134に対しては更に電極136、137が接続する。電極136、137は必ずしも板状ではなく圧電体基板134の配線若しくは導電体部に接続する構造であっても良い。
【0087】
圧電体基板134に配設された表面弾性波素子135には、交流電源138から高周波信号が供給される。交流電源138は制御部140からの信号によってオンオフ制御され、例えば負荷139を流れる電流量が低下した時では、制御部140がその電流量の低下を検知して、交流電源138が高周波信号を送るように制御する。交流電源138から供給される高周波信号は、各表面弾性波素子135において弾性波に変換され、その弾性波が空気側電極132と燃料側電極133の触媒に到達して、該触媒の活性化を図ることができる。特に、圧電体基板134の上端部にそれぞれ表面弾性波素子135を設ける構造によって、本実施形態の燃料電池装置は、表面弾性波素子135自体は直列接続される電力路に直接挿入されるわけではなく、電力損失が直接挿入されるタイプのものに比べて少なくなるという利点がある。
【0088】
なお、本実施形態においては、発電部である電解質膜・電極複合体が2つに対して3つの表面弾性波素子135を形成するようにしているが、電解質膜・電極複合体の個数と表面弾性波素子の如き加振手段の個数は対応してなくとも良く、例えば複数の電解質膜・電極複合体ごとに1つの表面弾性波素子の如き加振手段を設けることもでき、1つの燃料電池装置に異なる加振手段を形成しても良い。
【0089】
[第12の実施形態]
本実施形態の燃料電池装置は図16に示す回路構成を有する。燃料電池151には制御回路153から高周波信号RFが供給され、燃料電池151に設けられた図示しない加振手段を該高周波信号RFによって制御する。燃料電池151の出力は負荷152に供給されており、この負荷は、例えば、当該燃料電池装置が電子機器に搭載される場合には、その電子機器の給電される部分である。
【0090】
燃料電池151の出力はさらにモニター154に接続されており、監視手段としてのモニター154が燃料電池151の発電状態を監視し、例えば燃料電池151の発電量が下がってきたときに高周波信号RFの供給を開始して、弾性波などの振動を触媒に与えて活性化を図り、それによって発電量を元に戻すような制御も可能である。
【0091】
図17は本実施形態の燃料電池装置の制御の一例であり、手順S11で燃料電池151の出力Voutと、予め定めた所定の電圧である閾値電圧Vthとの比較が行われる。ここにおいて、負荷が要求する電流が増大し、燃料電池からの供給可能電流を上回ると、燃料電池の内部抵抗の上昇を引き起こし、燃料電池両端間の電圧低下を引き起こす。したがい燃料電池両端の電圧Voutが低下したときには、燃料電池の発電能力を触媒の活性度を上げることにより、燃料電池両端の電圧Voutをより向上させる必要がある。出力Voutが閾値電圧Vthよりも低くなってないと判断される時(No)には、触媒の活性度は負荷電流との関係において、十分であるので、高周波信号RFの供給を終了する。逆に出力Voutが閾値電圧Vthよりも低くなっていると判断される時(Yes)には、触媒の活性度は負荷電流との関係において、不十分であるので、高周波信号RFの供給をする必要があるので、手順S12で高周波信号RFを供給するように制御が行われ、その制御によって弾性波などの振動を触媒に与えて活性化を図り、それによって発電量を大きくするように制御する。
【0092】
このような制御は、複数の電解質膜・電極複合体が積層される構造の燃料電池装置においても個々の電解質膜・電極複合体について行うようにすることも可能であり、各電解質膜・電極複合体の検出電圧が所定の閾値電圧よりも低い場合には、その電解質膜・電極複合体の触媒の活性度が低下しているものと考えられる。そこで触媒の活性度が低下した電解質膜・電極複合体に対応する加振手段に交流を印加することで、触媒作用を活性化することができる。このような個別の制御によっては、全ての電解質膜・電極複合体をバランス良く作動させることができ、性能の悪い電解質膜・電極複合体が全体の特性に対して律則となることは防止される。また、触媒の活性が十分な電解質膜・電極複合体に対応する加振手段には、交流を印加しないため、全体的には、電力の節約となる。
【0093】
また、このような制御方法において、常に交流電力を印加するのは燃料電池が軽負荷で動作しているときは電力の損失となる。例えば、燃料電池を電動車両のエネルギー源として用いた場合においては、急加速時や登坂時には強大な電力が必要となるが、このような必要度が高い状態で制御回路153が電圧降下を検知し、或いは急加速を指令する図示しない信号線からの命令によって、交流電源からの信号を供給するようにして、振動を発生させるようにしても良い。
【0094】
[第13の実施形態]
セパレータを備えない構成においては、2種類の活性物質が燃料側電極と空気側電極にのみに供給され、周囲に拡散しないような工夫が必要となる。例えば、図18に示すように、ダクト162、ダクト163を電解質膜161aを挟持する燃料側電極161bと空気側電極161cに接して備え、このダクト162,163に接続された図示しない活性物質供給源、例えば、水素タンクや空気タンクからダクトを通して燃料側電極161bと空気側電極161cに活性物質を導くことが可能とされる。この場合においては、燃料側電極161bと空気側電極161cとが集電機能を有し、燃料側電極161bと空気側電極161cとに設けられた集電体161dと161eとから電力が外部に取り出せることとなる。このような構成の装置に対しても図示しない表面弾性波素子などの加振手段を設け、触媒における反応を制御することができる。
【0095】
なお、通常の外気を取り入れた環境で装置を動作させる場合においては、図19に示すように、活性物質の一方である空気をダクトで導くことなく直接空気側電極171cに供給することができる。この図18の例の変形例の装置では電解質膜171aを挟持する燃料側電極171bと空気側電極171cのうちの燃料側電極171bに接してダクト172が配される。この場合においては、燃料側電極171bと空気側電極171cとが集電機能を有し、燃料側電極167bと空気側電極171cとに設けられた集電体171dと171eとから電力が外部に取り出せることとなる。このような構成の装置に対しても図示しない表面弾性波素子などの加振手段を設け、同様に、触媒における反応を制御することができる。なお、空気以外の他の活性物質の雰囲気中で動作させる場合においても同様に一方の電極に直接に雰囲気活性物質を導くことができる。
【0096】
なお、本発明においては、燃料電池装置を搭載する機器としては、如何なるものでも可能であり、パーソナルコンピュータ、携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistant)などの電子機器の他、本発明は、プリンターやファクシミリ、パソコン用周辺機器、電話機、テレビジョン受像機、画像表示装置、通信機器、カメラ、オーディオビデオ機器、扇風機、冷蔵庫、ヘアドライヤー、アイロン、ポット、掃除機、炊飯器、電磁調理器、照明器具、ゲーム機やラジコンカーなどの玩具、電動工具、医療機器、測定機器、車両搭載用機器、事務機器、健康美容器具、電子制御型ロボット、衣類型電子機器、各種電動機器、車両、船舶、航空機などの輸送用機械、家庭用若しくは事業用発電装置、その他の用途に使用できるものである。
【0097】
また、本発明では、燃料として主に水素ガスを使用する例について説明したが、いわゆるダイレクトメタノール方式に対応してメタノール(液体)等のアルコールを燃料とする構成としても良い。
【0098】
【発明の効果】
本発明の燃料電池装置においては、発電用の燃料側電極、空気側電極でそれぞれ担持されている触媒が表面弾性波素子などのデバイスによる振動から化学反応の活性化の度合いを変化させ、該触媒の活性化係数を高めることで発電量を大きくするように制御することが可能である。また、触媒の活性化が外部からの信号によって制御できるために、発電運転中に負荷の状態に応じた制御や、発電量が低下した場合にそれを補うように制御することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる燃料電池装置の分解斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態にかかる燃料電池装置の側断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態にかかる燃料電池装置の表面弾性波素子の部分の平面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態にかかる燃料電池装置における触媒付近の模式図である。
【図5】本発明の第2の実施形態にかかる燃料電池装置の概略斜視図である。
【図6】本発明の第3の実施形態にかかる燃料電池装置の分解斜視図である。
【図7】本発明の第4の実施形態にかかる燃料電池装置の電極パターンの平面図である。
【図8】本発明の第5の実施形態にかかる燃料電池装置の側断面図である。
【図9】本発明の第5の実施形態にかかる燃料電池装置の表面弾性波素子の部分の側断面図である。
【図10】本発明の第6の実施形態にかかる燃料電池装置の電極パターンの平面図である。
【図11】本発明の第7の実施形態にかかる他の燃料電池装置の電極パターンの平面図である。
【図12】本発明の第8の実施形態にかかる燃料電池装置の概略斜視図である。
【図13】本発明の第9の実施形態にかかる燃料電池装置の概略斜視図である。
【図14】本発明の第10の実施形態にかかる燃料電池装置の概略斜視図である。
【図15】本発明の第11の実施形態にかかる燃料電池装置の概略斜視図である。
【図16】本発明の第12の実施形態にかかる燃料電池装置のブロック回路図である。
【図17】本発明の第12の実施形態にかかる燃料電池装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図18】本発明の第13の実施形態にかかる燃料電池装置の要部概略斜視図である。
【図19】本発明の第13の実施形態にかかる燃料電池装置の変形例の要部概略斜視図である。
【符号の説明】
11 電解質膜・電極複合体(MEA)
11a 電解質膜
11b 燃料側電極
11c 空気側電極
11d、11e 集電体
11f、11g ダクト
12、13 セパレータ
14 表面弾性波素子
14a、14b 電極
14c 圧電体基板
21 炭素粒子
22 白金触媒粒子
23 クラスタ部分
24 高分子骨格
31 電解質膜・電極複合体(MEA)
31a 電解質膜
31b燃料側電極
31c 空気側電極
32 セパレータ
32a 流路
33 超音波振動子
36 交流電源
41 電解質膜・電極複合体(MEA)
41a 電解質膜
41b燃料側電極
41c 空気側電極
42 セパレータ
42a流路
44 表面弾性波素子
44a 圧電体基板
51、52 櫛型電極部
53、54 周辺部材
61 圧電体基板
62、67 櫛型電極部
63 流路
64 表面弾性波素子
65 絶縁体膜
66 空気側電極
68 電解質膜
69 燃料側電極
70 多孔性絶縁材
71、72 櫛型電極部
73、74 櫛型電極部
75 流路
76、77 周辺部材
81a、81b、82a、82b 櫛型電極部
83 周辺部材
84 スパッタ領域
91 圧電体基板
92 導電体層
93 表面弾性波素子
94 流路
96 交流電源
101 電解質膜
102 空気側電極
103 燃料側電極
104 セパレータ
104a 流路
105 セパレータ
106 交流電源
107 超音波振動子
108 負荷
111 電解質膜
112 空気側電極
113 燃料側電極
114 セパレータ
115 超音波振動子
116、117 電極
123、124、125、126 コイル
127、128 容量
131 電解質膜
132 空気側電極
133 燃料側電極
134 圧電体基板
135 表面弾性波素子
136、137 電極
139 負荷
140 制御部
151 燃料電池
152 負荷
153 制御回路
154 モニター
161a 電解質膜
161b 燃料側電極
161c 空気側電極
161d、161e 集電体
162、163 ダクト
171a 電解質膜
171b 燃料側電極
171c 空気側電極
171d、171e 集電体
172 ダクト

Claims (16)

  1. 電解質と、少なくとも一の電極と他の電極とからなる二の電極と、前記電解質と前記一の電極との間及び前記電解質と前記他の電極との間に各々挟持された触媒とを備えた燃料電池装置であって、
    前記一の電極または前記他の電極の少なくとも何れかの一方の電極に配設される加振手段により発生する振動を前記触媒の少なくとも何れかの一方の触媒に伝搬させることを特徴とする燃料電池装置。
  2. 前記加振手段が、前記一の電極または前記他の電極の少なくとも何れかの一方の電極の前記触媒に面する面であって前記触媒が担持されていない部分に配設されたことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池装置。
  3. 前記加振手段は、前記一の電極または前記他の電極の少なくとも何れかの一方の電極の前記触媒に面しない面上に配設されたことを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載の燃料電池装置。
  4. 前記加振手段は、圧電体基板上に形成された所要の電極を有する表面弾性波素子に交流電圧を印加して弾性波を生じさせるものであることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池装置。
  5. 前記加振手段は、圧電体基板上に形成された所要の電極を有する表面弾性波素子に交流電圧を印加して弾性波を生じさせるものであることを特徴とする請求項3に記載の燃料電池装置。
  6. 前記加振手段に印加する周波数を可変とすることにより、前記触媒の反応を制御することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池装置。
  7. 前記燃料電池装置の出力の一部が前記加振手段の電力源とされることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池装置。
  8. 電解質と、少なくとも一の電極と他の電極とからなる二の電極と、前記電解質と前記一の電極との間及び前記電解質と前記他の電極との間に各々挟持された触媒とを備えた燃料電池装置であって、
    前記一の電極または前記他の電極の少なくとも何れかの一方の電極に絶縁材を介して表面弾性波素子が設けられ、
    前記表面弾性波素子は、発生する表面波の周期に対応した所定の周期的配列で構成された櫛形電極を有し、上記櫛形電極の間に形成される空隙は活性物質を前記触媒を介して電解質に供給する活性物質案内溝となることを特徴とする燃料電池装置。
  9. 前記活性物質案内溝はミアンダ状に延在されることを特徴とする請求項8記載の燃料電池装置。
  10. 前記燃料電池装置の出力の一部が前記表面弾性波素子に印加される前記交流電圧を発生させるための電力源とされることを特徴とする請求項8若しくは請求項9に記載の燃料電池装置。
  11. 電解質と、
    少なくとも一の電極と他の電極とからなる二の電極と、
    前記電解質と前記一の電極との間及び前記電解質と前記他の電極との間に挟持された触媒と、
    前記電解質と前記一の電極との間または前記電解質と前記他の電極との間に挟持された前記触媒の少なくとも何れかの一方の触媒に振動を与えるための加振手段とを備えた燃料電池装置であって、
    前記燃料電池装置に接続される負荷へ供給される負荷電圧を監視する監視手段と、
    所定の基準信号と前記負荷電圧とを比較して得られる帰還信号を発生する帰還信号発生手段と、
    前記帰還信号に基づき前記負荷電圧を所定の電圧に保つように制御する制御手段とを備える燃料電池装置。
  12. 活性物質案内溝を設けた燃料電池のセパレータであって、前記セパレータに振動を発生させる加振手段を設けたことを特徴とするセパレータ。
  13. 前記加振手段は、圧電体基板上に形成された所要の電極を有する表面弾性波素子に交流電圧を印加して弾性波を生じさせるものであることを特徴とする請求項12記載のセパレ―タ。
  14. 前記表面弾性波素子は、発生する表面波の周期に対応した所定の周期的配列で構成された一対の櫛形電極を有し、上記櫛形電極の間に形成される空隙は上記活性物質を前記触媒を介して前記電解質に供給する活性物質案内溝となることを特徴とする請求項13記載のセパレ―タ。
  15. 電解質と、少なくとも一の電極と他の電極とからなる二の電極と、前記電解質と前記一の電極との間及び前記電解質と前記他の電極との間に挟持された触媒と、
    前記電解質と前記一の電極との間または前記電解質と前記他の電極との間に挟持された前記触媒の少なくとも何れかの一方の触媒に振動を与えるための加振手段とを備えた燃料電池装置における電圧制御方法であって、
    前記燃料電池装置に接続される負荷へ供給される負荷電圧を監視し、
    所定の基準信号と前記負荷電圧とを比較して帰還信号を発生し、
    前記帰還信号に基づき前記負荷電圧を所定の電圧に保つように制御することを特徴とする燃料電池の電圧制御方法。
  16. 電解質と、少なくとも一の電極と他の電極とからなる二の電極と、前記電解質と前記一の電極との間及び前記電解質と前記他の電極との間に挟持された触媒と、
    前記電解質と前記一の電極との間または前記電解質と前記他の電極との間に挟持された前記触媒の少なくとも何れかの一方の触媒に振動を与えるための加振手段とを備えた燃料電池装置における触媒の活性化方法であって、
    前記触媒の活性化が、前記加振手段により前記触媒に振動を印加することにより行われることを特徴とする燃料電池装置における触媒の活性化方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2009047957A1 (ja) * 2007-10-09 2009-04-16 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha 燃料電池システム
WO2021045000A1 (ja) * 2019-09-02 2021-03-11 株式会社エンプラス 液滴除去装置及び液滴除去方法

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