以下、この発明の好適なる一実施例を図面を参照して説明する。なお、説明を明確とするために
(A)この発明が適用されたディジタルVCRの概略について
(B)トラックフォーマット、アプリケーションID及びパック構造について
(C)オプションパックの階層構造について
(D)ディジタルVCRの記録/再生回路について
の順に説明を行うこととする。
(A)この発明が適用されたディジタルVCRの概略について
ディジタルビデオ信号を圧縮して記録/再生するディジタルVCRでは、コンポジットディジタルカラービデオ信号が輝度信号Y、色差信号R−Y及びB−Yに分離され、DCT変換、可変長符号化及び高能率符号化を用いた高能率圧縮方式により圧縮され、回転ヘッドにより磁気テープに記録される。記録方式としては、SD方式(525ライン/60Hz、625ライン/50Hz)とHD方式(1125ライン/60Hz、1250ライン/50Hz)とが設定でき、SD方式の場合には、1フレーム当たりのトラック数が10トラック(525ライン/60Hzの場合)または12トラック(525ライン/60Hzの場合)、HD方式の場合には、1フレーム当たりのトラック数がSD方式の倍、つまり、20トラック(1125ライン/60Hzの場合)または24トラック(1250ライン/50Hzの場合)になる。
(B)トラックフォーマット、アプリケーションID及びパック構造について
このようなディジタルVCRにおいて、データ管理が容易で、ディジタルVCRを汎用性のある記録再生装置として利用可能とするためのシステムとして、本願出願人は、先にアプリケーションIDなるシステムを提案している。このシステムを用いると、ビデオの予備データVAUX(Video Auxiliary data) 、オーディオの予備データAAUX(Audio Auxiliary data)やサブコード、及びMIC(Memory In Cassette) と呼ばれるメモリを有するメモリ付カセットの管理が容易となる。そして、この発明では、パックを用いて、オーディオデータのアフレコやビデオデータのインサート及びVブランキング期間に重畳されているデータ(放送局の運用信号や医療用信号等)を記録している。
まず、このアプリケーションIDシステムに関して説明する。この発明が適用されたディジタルVCRのテープでは、図1Aに示すように、テープ上に斜めトラックが形成される。1フレーム当たりのトラック数は、SD方式で10トラックと12トラック、HD方式で20トラックと24トラックである。
図1Bは、ディジタルVCRに用いられるテープの1本のトラックを示す。トラック入口側には、ITI(Insert and Track Information)なるアフレコを確実に行うためのタイミングブロックがある。これは、それ以降のエリアに書かれたデータをアフレコして書き直す場合に、そのエリアの位置決めを正確にするために設けられるものである。
どのようなディジタル信号記録再生応用装置においても、特定エリアのデータの書き換えは必須なので、このトラック入口側のITIエリアは必ず存在することになる。つまり、ITIなるエリアに短いシンク長のシンクブロックを多数個書いておき、その中にトラック入口側から順にそのシンク番号を振っておく。アフレコをしようとする時、このITIエリアのシンクブロックのどれかを検出できれば、そこに書いてある番号から現在のトラック上の位置が正確に判断できる。それに基づいて、アフレコのエリアを確定するのである。一般的に、トラック入口側は、メカ精度等の関係からヘッドの当たりが取り難く不安定である。そのために、シンク長を短くして多数個のシンクブロックを書いておくことにより、検出確率を高くしているのである。
このITIエリアは、図2に示すように、プリアンブル、SSA、TIA及びポストアンブルの4つの部分からなる。1400ビットのプリアンブルは、ディジタル信号再生のPLLのランインの働き等をする。SSA(Start Sync block Area )は、この機能のために用いられるものであり、1ブロック30ビットで構成され、61ブロックある。その後ろにTIA(Track Information Area)がある。これは、3ブロック90ビットで構成される。TIAは、トラック全体に関わる情報を格納するエリアであって、この中におおもとのアプリケーションIDであるAPT(Application ID of a Track )3ビット、トラックピッチを表すSP/LP1ビット、リザーブ1ビット、それにサーボシステムの基準フレームを示すPF(Pilot Frame )1ビットの計6ビットが格納される。最後にマージンを稼ぐためのポストアンブル280ビットがある。
また上述の装置において、本願出願人は先に記録媒体の収納されるカセットにメモリICの設けられた回路基板を搭載して、このカセットが装置に装着されるとこのメモリICに書き込まれたデータを読み出して記録再生の補助を行うようにすることを提案した(特願平4−165444号、特願平4−287875号)。本願ではこれをMICと呼ぶことにする。
MICには、テープ長、テープ厚、テープ種類等のテープ自体の情報と共に、TOC(Table Of Contents )情報、インデックス情報、文字情報、再生制御情報、タイマー記録情報等を記憶しておくことができる。MICを有するカセットテープをディジタルVCRに接続すると、例えばMICに記憶されたデータが読み出され、所定のプログラムにスキップしたり、プログラムの再生順を設定したり、所定のプログラムの場面を指定して静止画(フォト)を再生したり、タイマー予約で記録したりすることが可能となる。
アプリケーションIDは、上述のTIAエリアのAPTだけでなく、このMICの中にもAPM(Application ID of MIC )として、アドレス0の上位3ビットに格納されている。アプリケーションIDの定義は、
アプリケーションIDはデータ構造を規定する、としている。
要するに、アプリケーションIDはその応用例を決めるIDではなく、単にそのエリアのデータ構造を決定しているだけである。従って、以下の意味付けがなされる。
APT・・・トラック上のデータ構造を決める。
APM・・・MICのデータ構造を決める。
APTの値により、トラック上のデータ構造が規定される。
つまり、ITIエリア以降のトラックが、図3のようにいくつかのエリアに分割され、それらのトラック上の位置、シンクブロック構成、エラーからデータを保護するためのECC構成等のデータ構造が一義に決まる。さらに各エリアには、それぞれそのエリアのデータ構造を決めるアプリケーションIDが存在する。その意味付けは単純に以下のようになる。
エリアnのアプリケーションID・・・エリアnのデータ構造を決める。
アプリケーションIDは、図4のような階層構造とされる。つまり、おおもとのアプリケーションIDであるAPTによりトラック上のエリアが規定され、その各エリアにさらにAP1〜APnが規定される。エリアの数は、APTにより定義される。図4では二階層で記されているが、必要に応じてさらにその下に階層を形成してもよい。MIC内のアプリケーションIDであるAPMは一階層のみである。その値は、ディジタルVCRによりその機器のAPTと同じ値が書き込まれる。
ところで、このアプリケーションIDシステムにより、家庭用のディジタルVCRを、そのカセット、メカニズム、サーボシステム、ITIエリアの生成検出回路等をそのまま流用して、全く別の商品郡、例えばデータストリーマーやマルチトラック・ディジタルオーディオテープレコーダーのようなものを作ることも可能である。また1つのエリアが決まってもその中味をさらに、そのエリアのアプリケーションIDで定義できるので、あるアプリケーションIDの値の時はそこはビデオデータ、別の値の時はビデオ・オーディオデータ、またはコンピューターデータというように非常に広範なデータ設定を行うことが可能になる。
次にAPT=000の時の様子を図5Aに示す。この図に示されるように、トラック上にエリア1、エリア2、エリア3が規定される。そしてそれらのトラック上の位置、シンクブロック構成、エラーからデータを保護するためのECC構成、それに各エリアを保証するためのギャップや重ね書きを保証するためのオーバーライトマージンが決まる。さらに各エリアには、それぞれそのエリアのデータ構造を決めるアプリケーションIDが存在する。その意味付けは単純に以下のようになる。
AP1・・・エリア1のデータ構造を決める。
AP2・・・エリア2のデータ構造を決める。
AP3・・・エリア3のデータ構造を決める。
そしてこの各エリアのアプリケーションIDが、000の時を以下のように定義する。
AP1=000・・CVCRのオーディオ、AAUXのデータ構造を採る
AP2=000・・CVCRのビデオ、VAUXのデータ構造を採る
AP3=000・・CVCRのサブコード、IDのデータ構造を採る
ここで
CVCR:家庭用ディジタル画像信号及び音声信号記録再生装置
AAUX:オーディオ予備データ
VAUX:ビデオ予備データ
と定義する。すなわち家庭用のディジタルVCRを実現するときは、図5Bに示すように、
APT、AP1、AP2、AP3=000
となる。当然、APMも000の値を採る。
APT=000の時には、AAUX、VAUX、サブコード及びMICの各エリアは、すべて共通のパック構造で記述される。図6に示すように、1つのパックは5バイトで構成され、先頭の1バイトがヘッダー、残りの4バイトがデータである。パックとは、データグループの最小単位のことで、関連するデータを集めて1つのパックが構成される。
ヘッダー8ビットは、上位4ビット、下位4ビットに分かれ、階層構造を形成する。図7のように、上位4ビットを上位ヘッダー、下位4ビットを下位ヘッダーとして二階層とされ、さらにデータのビットアサインによりその下の階層まで拡張することができる。この階層化により、パックの内容は明確に系統だてられ、その拡張も容易となる。そしてこの上位ヘッダー、下位ヘッダーによる256の空間は、パックヘッダー表として、その各パックの内容と共に準備される(図8参照)。これを用いて、上述の各エリアが記述される。パック構造は5バイトの固定長を基本とするが、例外としてMIC内に文字データを記述する時のみ、可変長のパック構造を用いる。これは限られたバッファメモリを有効利用するためである。
オーディオとビデオの各エリアは、それぞれオーディオセクター、ビデオセクターと呼ばれる。図9にオーディオセクターの構成を示す。なお、オーディオセクターは、プリアンブル、データ部及びポストアンブルからなる。プリアンブルは、500ビットで構成され、ランアップ400ビット、2つのプリシンクブロックからなる。ランアップは、PLLの引き込みのためのランアップパターンとして用いられ、プリシンクは、オーディオシンクブロックの前検出として用いられる。データ部は、10500ビットからなる。後ろのポストアンブルは、550ビットで構成され、1つのポストシンクブロック、ガードエリア500ビットからなる。ポストシンクは、そのIDのシンク番号によりこのオーディオセクターの終了を確認させるものであり、ガードエリアは、アフレコしてもオーディオセクターがその後ろのビデオセクターに食い込まないようガードするためのものである。
プリシンク、ポストシンクの各ブロックは、図10A及び図10Bに示すように、どちらも6バイトで構成される。プリシンクの6バイト目には、SP/LPの判別バイトがある。FFhでSP、00hでLPを表す。ポストシンクの6バイト目は、ダミーデータとしてFFhを格納する。SP/LPの識別バイトは、前述のTIAエリアにもSP/LPフラグとして存在するが、これはその保護用である。TIAエリアの値が読み取れれば、それを採用し、もし読み取り不可ならこのエリアの値を採用する。プリシンク、ポストシンクの各6バイトは、24−25変換(24ビットのデータを25ビットに変換して記録する変調方式)を施してから記録されるので、総ビット長は、
プリシンク 6×2×8×25÷24=100ビット
ポストシンク 6×1×8×25÷24= 50ビット
となる。
オーディオシンクブロックは、図11のように、90バイトで1シンクブロックが構成される。前半の5バイトは、プリシンク、ポストシンクと同様の構成とされる。データ部は77バイトで、水平パリティC1(8バイト)と垂直パリティC2(5シンクブロック)により保護されている。オーディオシンクブロックは、1トラック当たり14シンクブロックからなり、これに24−25変換を施してから記録するので、総ビット長は、
90×14×8×25÷24=10500ビット
となる。データ部の前半5バイトは、AAUX用で、これで1パックが構成され、1トラック当たり9パック用意される。図11の0から8までの番号は、トラック内のパック番号を表す。
図12は、その9パック分を抜きだして、トラック方向に記述した図である。1ビデオフレームは、525ライン/60Hzシステムの場合に10トラックで、625ライン/50Hzシステムの場合に12トラックで構成される。オーディオやサブコードもこの1ビデオフレームに従って記録再生される。図12において、50から55までの数字は、パックヘッダーの値(16進数)を示す。図12からもわかるように、同じパックを10トラックに10回書いていることになる。この部分をメインエリアと称する。ここには、オーディオ信号を再生するために必要なサンプリング周波数、量子化ビット数等の必須項目が主として格納される。なお、データ保護のために多数回書かれる。これにより、テープトランスポートにありがちな横方向の傷や片チャンネルクロッグ等が発生した場合でも、メインエリアのデータを再現できる。
それ以外の残りのパックは、すべて順番につなげてオプショナルエリアとして用いられる。図12でa、b、c、d、e、f、g、h、……のように、矢印の方向にメインエリアのパックを抜かしてつなげていく。1ビデオフレームで、オプショナルエリアは30パック(525ライン/60Hz)、または36パック(625ライン/50Hz)用意される。このエリアは、文字通りオプションなので、各ディジタルVCR毎に、図8のパックヘッダー表のなかから自由にパックを選んで記述してよい。
オプショナルエリアは、共通のコモンオプション(例えば文字データ)と各メーカーが独自にその内容を決められる共通性のないメーカーズオプションとからなる。オプションなので片方だけ、または両方存在したり、または両方なくてもよい。情報がない場合は、情報なしのパック(NO INFOパック)を用いて記述する。アプリケーションID、両者のエリアは、メーカーコードパックの出現により区切られる。このパック以降がメーカーズオプショナルエリアとなる。なお、メーカーコードパックが記録されている場合は、それ以降1ビデオフレーム終了まで、メーカーズオプショナルエリアとして確保される。また、メインエリア、オプショナルエリア、コモンオプショナルエリア及びメーカーズオプショナルエリアの仕組みは、AAUX、VAUX、サブコード、MICにおいて全て共通である。さらに、オプショナルエリアに書き込む内容は任意とされるが、サブコードに関しては、エラー訂正能力が低いので、同じパックの書き込み回数が定義されている。
図13は、ビデオセクターの構成を示す。プリアンブル及びポストアンブルの構成は、図9に示されるオーディオセクターと同様である。ただし、ポストアンブルのガードエリアのビット数は、オーディオセクターのそれと比べて多くなっている。ビデオシンクブロックは、図14のようにオーディオと同じ90バイトで1シンクブロックが構成される。前半の5バイトは、プリシンク、ポストシンク、オーディオシンクと同様の構成である。データ部は77バイトで、図15のように水平パリティC1(8バイト)と垂直パリティC2(11シンクブロック)により保護されている。図15の上部2シンクブロックとC2パリティの直前の1シンクブロックはVAUX専用のシンクで、77バイトのデータはVAUXデータとして用いられる。VAUX専用シンクとC2シンク以外は、DCT(離散コサイン変換)を用いて圧縮されたビデオ信号のビデオデータが格納される。ビデオシンクブロックは、1トラック当たり149シンクブロックからなり、これに24−25変換を施してから記録するので、総ビット長は、
90×149×8×25÷24=111750ビット
となる。
図16にVAUX専用シンクの様子を示す。図16の上部2シンクが、図15の上部2シンク、図16の一番下のシンクが図15のC1の直前の1シンクに相当する。77バイトを5バイトのパック単位に刻むと2バイト余るが、ここはリザーブとして特に用いない。オーディオと同じく番号を振って行くと、0から44まで、1トラック当たり45パック確保される。
この45パック分を抜きだして、トラック方向に記述した図が、図17である。図17において、60から65までの数字は、パックヘッダーの値(16進数)を示す。ここがメインエリアである。オーディオと同様に、同じパックを10トラックに10回書いている。ここには、ビデオ信号を再生するために必要なテレビジョン方式、画面のアスペクト比などの必須項目が主として格納されている。これにより、テープトランスポートにありがちな横方向の傷や片チャンネルクロッグ等に対しても、メインエリアのデータを再現することができる。それ以外の残りのパックは、すべて順番につなげてオプショナルエリアとして用いられる。第17図でオーディオと同様に、a、b、c、……のように、矢印の方向にメインエリアのパックを抜かしてつなげていく。1ビデオフレームで、オプショナルエリアは390パック(525ライン/60Hz)、または468パック(625ライン/50Hz)用意される。なお、オプショナルエリアの扱い方は、オーディオのそれと同様である。
図15において、まん中の135シンクブロックが、ビデオ信号の格納エリアである。図中、BUF0からBUF26は、それぞれ1バッファリングブロックを示している。1バッファリングブロックは、5シンクブロックで構成され、1トラック当り27個ある。また、1ビデオフレーム、10トラックでは、270バッファリングブロックある。つまり、1フレームの画像データのうち、画像として有効なエリアを抜き出し、そこをサンプリングしたディジタルデータを実画像の様々な部分からシャフリングして集め270個のグループが形成される。その1グループが、1バッファリングユニットである。それをその単位毎に、DCT方式等の圧縮技術を用いてデータ圧縮を試み、それが全体で目標圧縮値以内かどうかを評価しながら処理して行く。その後、その圧縮した1バッファリングユニットのデータを、1バッファリングブロック、5シンクに詰め込んでいくのである。
次にID部について説明する。IDPは、オーディオ、ビデオ、サブコードの各セクターにおいて、同一方式で用いられ、また、ID0、ID1を保護するためのパリティとして用いられる。図18にID部の内容を示す。なお、IDPは省略してある。
図18Aでは、まずID1は、トラック内シンク番号を格納する場所である。これは、オーディオセクターのプリシンクからビデオセクターのポストシンクまで、連続に0から168まで番号を2進表記で打っていく。ID0の下位4ビットには、1ビデオフレーム内トラック番号が入る。2トラックに1本の割合で番号を打つ。両者の区別は、ヘッドのアジマス角度で判別できる。ID0の上位4ビットは、シンクの場所により内容が変わる。図18Bに示すAAUX+オーディオのシンクとビデオデータのシンクでは、シーケンス番号4ビットが入る。これは、0000から1011まで12通りの番号を、各1ビデオフレーム毎につけていくものである。これにより変速再生時に得られたデータが、同一フレーム内のものかどうかの区別をすることができる。
図9、図11、図13及び図15に示されるプリシンク、ポストシンク及びC2パリティのシンクでは、ID0の上位3ビットにアプリケーションID、AP1とAP2が格納される。従って、AP1は8回書き、AP2は14回書きされる。このように多数回書き込み、しかもその場所を分散することによりアプリケーションIDの信頼性、及び保護をしている。
図19は、サブコードセクターの構成図である。サブコードセクターのプリアンブル、ポストアンブルには、オーディオセクターやビデオセクターと異なりプリシンク及びポストシンクがない。また他のセクターよりも、その長さが長くなっている。これは、サブコードセクターが、インデックス打ち込みなど頻繁に書き換える用途に用いられるもので、また、トラック最後尾にあるためトラック前半のずれが全部加算された形でそのしわ寄せがくるためである。サブコードシンクブロックは、図20のように高々12バイトしかない。前半の5バイトは、プリシンク、ポストシンク、オーディオシンク、ビデオシンクと同様の構成である。続く5バイトはデータ部で、これだけでパックが構成される。
水平パリティC1は、2バイトしかなく、これでデータ部を保護している。また、オーディオやビデオのようにC1、C2によるいわゆる積符号構成にはしていない。これは、サブコードが主として高速サーチ用のものであり、その限られたエンベロープ内にC2パリティまで共に拾えることはないからである。また、200倍程度まで高速サーチするために、シンク長も12バイトと短くしてある。サブコードシンクブロックは、1トラック当り12シンクブロックあり、これに24−25変換を施してから記録するので、総ビット長は、
12×12×8×25÷24=1200ビット
となる。
図21A及び図21Bは、サブコードのID部である。サブコードセクターは、前半5トラック(525ライン/60Hz)、6トラック(625ライン/50Hz)と後半とでデータ部の内容が異なる。変速再生時や高速サーチ時に、前半部か後半部かを区別するためのID0のMSBにF/Rフラグがある。その下3ビットには、シンク番号0と6にはアプリケーションID、AP3が入る。シンク番号0と6以外には上から順にインデックスID、スキップID、PP ID(フォトID、ピクチャーID)が格納される。インデックスIDは、従来からあるインデックスサーチのためのもの、スキップIDは、コマーシャルカットなど不要場面のカット用のIDである。PP IDは、静止画サーチ用のものである。ID0とID1にまたがっているのは、絶対トラック番号である。これは、テープの頭から順に絶対番号を打っていくもので、これを基にMICがTOCサーチ等を行う。ID1の下位4ビットは、トラック内シンク番号である。
図22に、サブコードのデータ部を示す。大文字のアルファベットはメインエリア、小文字のアルファベットはオプショナルエリアを表している。サブコードの1シンクブロックには1パックあるので、1トラック内のパック番号は0から11まで、計12パックある。なお、同じ文字は、同じパック内容を示している。前半と後半とで内容が異なるのが分かる。
メインエリアには、タイムコード、記録年月日等高速サーチに必要なものが格納される。パック単位でサーチできるので特にパックサーチと呼んでいる。オプショナルエリアは、AAUXやVAUXのようにそれを全部つないで使うことはできない。これは、前述のようにパリティの保護が弱いのでトラック毎にその内容を上下に振ると共に、前半と後半のトラック内で同じデータを多数回書きして保護しているからである。従って、オプショナルエリアとして用いることができるのは、前半、後半それぞれ6パック分である。これは525ライン/60Hzシステム、625ライン/50Hzシステム共に同じである。
図23に、MICのデータ構造を示す。MIC内もメインエリアとオプショナルエリアに分かれており、先頭の1バイトと未使用領域(FFh)を除いてすべてパック構造で記述される。前述のように、文字データだけは可変長のパック構造で、それ以外はVAUX、AAUX、サブコードと同じ5バイト固定長のパック構造で格納される。
MICメインエリアの先頭のアドレス0には、MICのアプリケーションID、APM3ビットとBCID(Basic Cassette ID )4ビットがある。BCIDは、基本カセットIDであり、MIC無しカセットでのID認識(テープ厚み、テープ種類、テープグレード)用のIDボードと同じ内容である。IDボードは、MIC読み取り端子を従来の8ミリVCRのレコグニションホールと同じ役目をさせるもので、これにより従来のようにカセットハーフに穴を空ける必要がなくなる。アドレス1以降に、順にカセットID、テープ長、タイトルエンドの3パックが入る。カセットIDパックには、テープ厚みのより具体的な値とMICに関するメモリ情報がある。
テープ長パックは、テープメーカーがそのカセットのテープ長をトラック本数表現で格納するもので、これと次のタイトルエンドパック(記録最終位置情報、絶対トラック番号で記録)から、テープの残量を一気に計算することができる。また、この記録最終位置情報は、カムコーダーで途中を再生して止め、その後、元の最終記録位置に戻るときやタイマー予約時に便利な使い勝手を提供する。
オプショナルエリアは、オプショナルイベントで構成される。メインエリアが、アドレス0から15まで16バイトの固定領域だったのに対し、オプショナルエリアはアドレス16以降にある可変長領域である。その内容により領域の長さが変わり、イベント消去時にはアドレス16方向に残りのイベントを詰めて保存する。詰め込み作業後に不要となったデータは、すべてFFhを書き込んでおき未使用領域とする。オプショナルエリアは、文字通りオプションで、おもにTOCやテープ上のポイントを示すタグ情報、それにプログラムに関するタイトル等の文字情報等が格納される。MIC読み出し時、そのパックヘッダーの内容により5バイト毎、または可変長バイト(文字データ)毎に、次のパックヘッダーが登場するが、未使用領域のFFhをヘッダーとして読み出すと、これはNO INFOパックのパックヘッダーに相当するので、コントロールマイコンはそれ以降に情報がないことを検出できる。
(C)オプションパックの階層構造について
図24は、図8に示されるパックヘッダー表を抜粋したものであり、この発明に関するパックヘッダーである。図24には、上位ビット=「1111」のパック群が示される。なお、「11110000」の時はメーカーコードパック、「11110001」〜「11111110」の時はオプションパック、「11111111」の時はNO INFOパックとそれぞれ規定される。
図25は、メーカーコードパックを示す図である。ヘッダーが「11110000」の時にメーカーコードパックと規定される。PC1にはメーカー識別コードとしてメーカーコードが、PC2の8ビットとPC3の下位2ビットを用いて、以下に続く総パック数(TDP)が記録される。また、PC3の下位3ビット目からPC4にかけて開放されている。この開放エリアは、メーカーズオプションとして用いられる。つまり、この領域は、各メーカー毎にデータ内容を規定できる。
VAUXエリアのメーカーズオプショナルエリアは、オプショナルエリア全てを使用した場合には、1トラック当たり39パック記録でき、高品位テレビジョン信号を記録する場合には1フレーム最大24トラックなので、39×24=936パックが記録可能である。従って、総パック数(TDP)は、2進数で10ビット必要となる。このTDPまでが、コモンオプショナルエリアとされる。
図26は、上述のTDPを用いた場合のパックに関する再生処理のフローチャートである。読み出されたコードがメーカーコードパックであるか否かがステップ501で判断される。メーカーコードパックの場合には、パック内のTDPが読み込まれる(ステップ502)。その後、TDPで指定されたパック数分の容量を有するメモリ領域が確保されると共に、そのメモリ領域のデータが全てFFhに設定される(ステップ503)。ステップ504でオプションパックが読み込まれた後、書き込むデータにエラーがない場合には確保されたメモリ領域に書き込まれる(ステップ505)。ステップ506では、1パック分のデータ書き込みが終了したか否かが判断され、終了していない場合には、ステップ505に戻る。一方、1パック分のデータ書き込みが終了した場合には、ステップ507で全てのメーカーズオプションパックのデータが読み込まれたか否かが判断される。読み込まれていないならば、ステップ504に戻る。なお、ステップ507の判断には、メーカーコードパックに記録された総パック数TDPを用いる。一方、全てのメーカーズオプションパックが読み込まれたならば、ステップ508に進む。
ステップ508では、1ビデオフレーム分のデータの読み込みが終了したか否かが判断される。終了したならば、一連の処理は終了とされる。一方、1ビデオフレーム分のデータの読み込みが終了したと判断されないならば、ステップ509に進む。
ステップ509で次のパックが読み込まれ、ステップ510でパックヘッダー=FFh(NO INFOパック)またはエラーであるか否かが判断される。パックヘッダー≠FFhまたはエラーならば、ステップ505に戻る。これにより、データが多数回書きされる。一方、パックヘッダー=FFhまたはエラーならば、格納エリアのポインターが5バイト(1パック)分進められ(ステップ511)、ステップ508からの処理が繰り返される。このように、TDPにより必要なオプションパックの数を指定できるので、読み取れたデータを有効に記録することができる。
図27は、オプションパックを階層構造とする場合のメーカーコードパックの図である。PC1及びPC2のMSBからPC3の下位2ビット目にかけては、図26に示されるメーカーコードパックと同様のデータが格納される。PC3の残りのビットには第1のカテゴリーコードが、PC4には第2のカテゴリーコードがそれぞれ記される。第1のカテゴリーコードはメーカーコードの1つ下の階層と、第2のカテゴリーコードは第1のカテゴリーコードの1つ下の階層とそれぞれ規定されている。
図28は、図27で説明した階層構造を示す図である。図28からもわかるように、カテゴリーコードの下には、ヘッダーがF1h〜FEhまでのオプションパックが配置されている。
図29は、図28の階層構造の一例を示す図である。この場合、メーカーコードとして会社名(A株式会社)が、第1のカテゴリーコードとして用途名(民生用ビデオ、コンピューター用、業務用)が、第2のカテゴリーコードとして第1のカテゴリーコードに示されるカテゴリーの細分化(民生用ビデオ−ディジタルVCR、テレビビデオ一体型、コンピューター用−データストリーマー、業務用−航空機用VCR)が規定されており、このような階層構造とすることにより、使い勝手が向上する。
オプショナルエリアは、オプショナルイベントで構成される。メインエリアを、このような階層構造とすることにより、空間的に有限なオプションパックに、それぞれの応用例に即した規定をすることができる。このため、メーカーズオプションパックを増加でき、自由にアプリケーションを拡張することができる。
(D)ディジタルVCRの記録/再生回路について
図30〜図35は、この発明が適用されたディジタルVCRの記録系のブロック図である。このディジタルVCRでは、コンポジットカラービデオ信号がディジタル輝度信号Y、色差信号R−Y及びB−Yに分離され、DCT変換と可変長符号を用いた高能率符号化方式により圧縮されて記録される。そして、上述のMICを用いてVブランキング期間のデータが記録されるようになっている。
図30において、アンテナ1でテレビジョン信号が受信される。アンテナ1で受信された信号がチューナー2に供給される。チューナー2で、このテレビジョン信号からNTSC方式やPAL方式等のコンポジットカラービデオ信号とオーディオ信号が復調される。チューナー2からのコンポジットビデオ信号がスイッチ3aに供給され、オーディオ信号がスイッチ3bに供給される。
また、外部ビデオ入力端子4にアナログコンポジットビデオカラービデオ信号が供給される。この外部ビデオ入力端子4からのコンポジットビデオ信号がスイッチ3aに供給される。外部オーディオ入力端子5にアナログオーディオ信号が供給される。このアナログオーディオ信号がスイッチ3bに供給される。
スイッチ3aで、チューナー部2からのコンポジットビデオ信号と外部ビデオ入力端子4からのコンポジットビデオ信号とが選択される。スイッチ3aの出力がY/C分離回路6に供給されると共に、同期分離回路11に供給される。Y/C分離回路6で、コンポジットビデオ信号から、輝度信号(Y)と色差信号(R−Y、B−Y)とが分離される。
Y/C分離回路6からの輝度信号(Y)及び色差信号(R−Y、B−Y)は、ローパスフィルタ7a、7b、7cを介してA/D変換器8a、8b、8cに供給される。ローパスフィルタ7a、7b、7cは、折り返し歪みを除去するために、入力信号を帯域制限するものである。ローパスフィルタ7a、7b、7cの遮断周波数は、例えば輝度信号(Y、サンプリング周波数13.5MHz(4のレート))に対して5.75MHz、色差信号(R−Y、B−Y)に対しては、サンプリング周波数6.75MHz(2のレート)で2.75MHz、サンプリング周波数3.375MHz(1のレート)で1.45MHzに設定される。
同期分離回路11で、垂直同期信号(Vシンク)と、水平同期信号(Hシンク)とが抽出される。同期分離回路11からの垂直同期信号(Vシンク)及び水平同期信号(Hシンク)は、PLL(Phase Locked Loop )回路12に供給される。このPLL回路12で、入力ビデオ信号にロックした基本サンプリング周波数13.5MHzのクロックが形成される。なお、この13.5MHzのサンプリング周波数は、上述のように4のレートと呼ばれる。この基本サンプリング周波数13.5MHzのクロックがA/D変換器8aに供給される。また、この基本サンプリング周波数13.5MHzのクロックは分周器13に供給され、分周器13で基本サンプリング周波数の1/4の周波数のクロックが形成される。この基本サンプリング周波数の1/4の周波数のクロック(1のレート)がA/D変換器8b及び8cに供給される。
A/D変換器8a、8b、8cからのディジタルコンポーネントビデオ信号Y、R−Y、B−Yは、ブロッキング回路9に供給される。ブロッキング回路9で、実画面上のデータが8サンプル×8ラインのブロックとなるように処理される。ブロッキング回路9の出力がシャフリング回路10に供給され、シャフリングされる。シャフリングは、ヘッドのクロッグやテープの横傷等でテープ上に記録したデータが集中的に失われるのを回避するために行われる。同時に、シャフリング回路10では、輝度信号及び色差信号を後段で処理し易いように、並べ替えを行う。
シャフリング回路10の出力がデータ圧縮符号化部14に供給される。データ圧縮符号化部14は、DCT方式や可変長符号化を用いた圧縮回路、その結果を所定のデータ量まで圧縮できたかを見積もる見積器、その判別結果を基に最終的に量子化する量子化器からなる。こうして圧縮されたビデオデータは、フレーミング回路15で、所定のシンクブロック中に所定の規則に従って詰め込まれる。フレーミング回路15の出力が合成回路16に供給される。
一方、スイッチ3bで、チューナー2からのオーディオ信号と外部オーディオ信号入力端子5からのオーディオ信号とが選択される。スイッチ3bの出力がA/D変換器21に供給される。A/D変換器21で、アナログオーディオ信号がディジタル化される。このようにして得られたディジタルオーディオ信号は、シャフリング回路22に供給される。シャフリング回路22で、ディジタルオーディオデータがシャフリングされる。このシャフリング回路22の出力がフレーミング回路23に供給される。フレーミング回路23で、このオーディオデータがオーディオのシンクブロック内に詰め込まれる。フレーミング回路23の出力が合成回路24に供給される。
モード処理マイコン34は、マンマシンインターフェースを取り持つマイコンであり、テレビジョン画像のフィールド周波数60Hz又は50Hzに同期して動作している。信号処理マイコン20は、よりマシンに近い側で動作させるので、例えばドラムの回転数9000rpm及び150Hzに同期して動作している。
モード処理マイコン34で、ビデオ予備データVAUX、オーディオ予備データAAUX、サブコードの各パックデータが生成され、「タイトルエンド」パック等に含まれる絶対トラック番号が信号処理マイコン20で生成される。サブコード内に格納するTTC(タイムタイトルコード)も、この信号処理マイコン20で生成される。
信号処理マイコン20で生成されたビデオ予備データVAUXは、VAUX回路17を介して、合成回路16に供給される。合成回路16で、フレーミング回路15の出力に、ビデオ予備データVAUXが合成される。また、信号処理マイコン20で発生されたオーディオ予備データAAUXは、AAUX回路19を介して、合成回路24に供給される。合成回路24で、フレーミング回路23の出力に、オーディオ予備データAAUXが合成される。合成回路16の出力であるVDATA(ビデオデータ)及び24の出力であるADATA(オーディオデータ)がスイッチ26に供給される。
信号処理マイコン20の出力に基づき、サブコード回路18で、ID部のデータSIDとAP3、それにサブコードパックデータSDATAが生成され、これらがスイッチ26に供給される。また、シンク発生回路25で、AV(オーディオ/ビデオ)の各ID部と、プリシンク及びポストシンクがそれぞれ生成され、これがスイッチ26に供給される。また、回路25でAP1、AP2が生成され、これが所定のID部に嵌め込まれる。スイッチ26により、回路25の出力と、ADATA、VDATA、SID、SDATAとが所定のタイミングで切り替えられる。
スイッチ回路26の出力がエラー訂正符号生成回路27に供給される。エラー訂正符号生成回路27で、所定のパリティが付加される。エラー訂正符号生成回路27の出力が乱数化回路29に供給される。乱数化回路29で、記録データに偏りが出ないように乱数化が行われる。乱数化回路29の出力が24/25変換回路30に供給され、24ビットのデータが25ビットに変換される。これにより、磁気記録再生時に問題となる直流分が取り除かれる。ここで、更に図示せずもディジタル記録に適したPRIV(パーシャルレスポンス、クラス4)のコーディング処理(1/1−D2 )が合わせて行われる。
24/25変換回路30の出力が合成回路31に供給される。合成回路31で、24/25変換回路30の出力に、オーディオ/ビデオのシンクパターン及び、サブコードのシンクパターンが合成される。合成回路31の出力がスイッチ32に供給される。
また、VCR全体のモード管理を行うモード処理マイコン34から、APT、SP/LP、PFの各データが出力され、これらのデータがITI回路33に供給される。ITI回路33からは、ITIセクターのデータが発生される。スイッチ32は、これらのデータとアンブルパターンを、タイミングを切り替え出力している。
スイッチ32により切り替えられたデータは、更に、スイッチ35により、ヘッドの切り替えタイミングに応じて切り替えられる。スイッチ35の出力がヘッドアンプ36a、36bにより増幅され、ヘッド37a、37bに供給される。
スイッチ40は、VCR本体の外部スイッチで、記録、再生等を指示するスイッチ群である。この中には、SP/LPの記録モードを設定するスイッチがあり、その結果は、メカ制御マイコン28や信号処理マイコン20に指示される。モード処理マイコン34には、MICマイコン38が接続される。このMICマイコン38で、APMやMIC内のパックデータが生成される。このデータは、MIC接点39を介して、MIC付きカセット41に供給される。
このように、この発明が適用されたディジタルVCRでは、ディジタル輝度信号(Y)、色差信号(R−Y、B−Y)が圧縮されてビデオセクターに記録され、ディジタルオーディオ信号がオーディオセクターに記録される。また、VAUX、AAUXが記録される。VAUXのデータ及びAAUXのデータは、パック構造で記録される。
図31は、VAUXデータに関する記録側回路の詳細なブロック図である。モード処理マイコン34のパックデータ生成部51において、VAUXエリアに格納すべきパックデータが生成され、P/S変換回路52でシリアルデータに変換される。このデータは、マイコン間の通信プロトコルに従って信号処理マイコン20のS/P変換回路53に供給される。S/P変換回路53でパラレルデータとされた後に、スイッチ54を介してバッファ55に格納される。また、S/P変換回路53から出力されたパックデータのうち、各パックヘッダーがパックヘッダー56で検出される。さらに、そのパックが絶対トラック番号を必要とするパックか否かが判断される。必要な場合には、スイッチ54が切り換えられて、絶対トラック番号生成回路57から23ビットのデータが8ビット毎に出力され、バッファ55に格納される。この格納エリアは、全てPC1、PC2及びPC3の固定位置とされる。なお、S/P変換回路53はマイコン内にあるシリアルI/Oで、パックヘッダー検出回路56、絶対トラック番号生成回路57及びスイッチ54はマイコンプログラムで、バッファ55はマイコン内のRAMでそれぞれ構成される。パック構造の処理はマイコンの処理時間で間に合うため、コスト的に有利なマイコンがこのように使用される。
バッファ55に格納されたデータは、VAUX回路17のライト側タイミングコントローラ58のタイミング信号により順次読み出される。この時、前半の6パック分はメインエリア用データとしてFIFO60に供給され、、その後の390パック分はオプショナルエリア用データとしてFIFO61に供給される。なお、FIFO60及びFIFO61へのデータの供給は、スイッチ59を切り換えることによりなされる。
ところで、VAUXのデータは、図32Aのように、トラック内シンク番号19、20及び156の部分に格納される。フレーム内トラック番号が、0、2、4、6及び8の時に−アジマスでシンク番号156の後半にメインエリアが、また、1、3、5、7及び9の時に+アジマスでシンク番号19の前半にメインエリアが存在する。これを1ビデオフレームで記したのが図32Bである。図32Bからもわかるように、nMAIN=「L」の時にメインエリアとなる。このような信号がリード側タイミングコントローラ62で生成され、スイッチ63に供給される。これにより、FIFO60またはFIFO61のデータがスイッチ63を介して合成回路16に供給される。
ここで、nNAIN=「L」の時には、メインエリア用FIFO60のデータは繰り返し10回(525ライン/60Hz)または12回(625ライン/50Hz)読み取られる。nMAIN=「H」の時には、オプショナルエリア用FIFO61のデータが1ビデオフレーム毎に1回読み出される。
図33は、モード処理マイコン34内のVAUXパックデータ生成回路のブロック図である。VAUXパックデータ生成回路は、メインエリア用とオプショナルエリア用とに分けられる。メインエリア用データ収集生成回路71には、クローズドキャプション等の信号が入力される。メインエリア用データ収集生成回路71では、これらのデータに基づいて、テレビチャンネル、ソースコード、チユーナーカテゴリー、コピーソース、コピー世代等のデータ群が生成される。このデータ群は、メインパックのビットバイト構造に組み立てられ、スイッチ72によりパックヘッダーが付加される。その後、スイッチ73を介してP/S変換回路74でシリアルデータにされ、信号処理マイコン20に供給される。
一方、オプショナルエリア用データ収集生成回路75には、チューナーからテレテキストデータや番組タイトル等が入力される。どのパックをオプショナルエリアに記録するかはVCRセットが設定する。そのパックヘッダーは、パックヘッダー設定回路76で設定され、スイッチ77が切り換えられることにより、データにパックヘッダーが付加される。その後、スイッチ73を介してP/S変換回路74でシリアルデータに変換された後、信号処理マイコン20に供給される。なお、P/S変換回路74はマイコン内にあるシリアルI/Oであり、他の回路は、マイコンプログラムである。
図34は、モード処理マイコン34内のAAUXパックデータ生成回路のブロック図である。各回路の動作は、図33に示されるVAUXパックデータ生成回路とほぼ同じである。但し、この場合、チューナーから入力される番組タイトルには、テレビ番組のタイトル以外に、ディジタルオーディオPCM放送のような音楽番組のタイトルも考えられる。また、チューナーからは、所謂、AモードやBモードのディジタル音声のように、そのサンプリング周波数、量子化ビット数等が決まっているものもある。また、AAUXのクローズドキャプションパック(55h)を構成する場合には、チューナーから垂直ブランキング内のクローズドキャプション信号を得て、デコーダ音声情報抽出回路81から音声情報が抽出される。これが、AAUXのソースパック(50h)及びソースコントロールパック(51h)にそれぞれ詰め込まれる。
図35は、MIC処理マイコン38の詳細な回路ブロック図である。モード処理マイコン34から供給されたシリアルデータは、S/P変換回路91でパラレルデータに変換される。ところで、図23に示されるメインエリアのうち、VCR側が書き換えるのは、アドレス0のAPM、カセットIDパック内のMEフラグ及びタイトルエンドパックである。この中で、RE(Recording proofed events Exist)フラグ及びME(MIC Error) フラグは、MICマイコン38内で生成されるが、その他はモード処理マイコン34から供給される。S/P変換回路91の出力のうち、絶対トラック番号、APM、SLフラグ及びBFフラグは、メインエリア用データ収集生成回路92に供給され、所定のデータ群が生成される。このデータ群は、スイッチ94を介してスイッチ97の固定端子の一端に供給される。なお、スイッチ94は、パックヘッダー1Fhを供給するものであり、タイトルエンド書き込み時のみにオンされる。
一方、S/P変換回路91の出力データのうち、記録年月日、記録時分秒、番組タイトル等のデータは、オプショナルエリア用データ収集生成回路93に供給される。なお、上述のデータは、例えばタイマー録画予約イベントの場合である。パックヘッダー設定回路95では、オプショナルエリア用データ収集生成回路93に用いられるデータのパックヘッダーが設定される。パックヘッダー及びデータは、スイッチ96を介してスイッチ97の固定端子の他端に供給される。スイッチ97で選択されたデータは、IICバスインターフェース回路98で所定のフォーマットに変換され、MIC接点39に供給される。なお、各スイッチの切り換えタイミングは、タイミング調整回路99により調整される。
ところで、MICの場合には、簡易型MIC書き込み装置等で使用することが考えられる。この場合には、図35に示される回路からS/P変換回路91を除いたものとなる。
次に、この発明が適用されたディジタルVCRの再生側の構成について図36及び図37を参照して説明する。図36において、ヘッド101a、101bから得られる信号は、ヘッドアンプ102a、102bで増幅され、スイッチ103で切り替えられる。スイッチ103の出力がイコライザー回路104に供給される。記録時にテープと磁気ヘッドとの電磁変換特性を向上させるため、所謂エンファシス処理(例えばパーシャルレスポンス、クラス4)を行っているが、イコライザー回路104はその逆処理を行うものである。
イコライザー回路104の出力がA/D変換器106に供給されると共に、クロック抽出回路105に供給される。クロック抽出回路105によりクロック成分が抽出される。この抽出クロックで、イコライザー回路104の出力がA/D変換器106を用いてディジタル化される。こうして得られた1ビットデータがFIFO107に書き込まれる。
FIFO107の出力がシンクパターン検出回路108に供給される。シンクパターン検出回路108には、スイッチ109を介して、各エリアのシンクパターンが供給される。スイッチ109は、タイミング回路113の出力により切り換えられる。シンクパターン検出回路108は、所謂フライホイール構成となっており、一度シンクパターンを検出すると、それから所定のシンクブロック長後に再び同じシンクパターンが来るかどうかをみている。これが例えば3回以上正しければ真とみなすような構成にして、誤検出を防いでいる。
こうしてシンクパターンが検出されると、FIFO107の各段の出力からどの部分を抜き出せば一つのシンクブロックが取り出せるか、そのシフト量が決定される。従って、それを基にスイッチ110により必要なビットがシンクブロック確定ラッチ111に取り込まれる。これにより、取り込んだシンク番号が抽出回路112で取り出され、タイミング回路113に入力される。この読み込んだシンク番号により、トラック上のどの位置にヘッドが存在するのかが分かるので、それにより、スイッチ109やスイッチ114が切り替えられる。
スイッチ114は、ITIセクターの時に下側に切り替えられており、分離回路115によりITIシンクパターンが分離され、ITIデコーダ116に供給される。ITIのエリアは、コーディングして記録してあるので、それをデコードすることにより、APT、SP/LP、PFの各データを取り出せる。これは、セット外部の操作キー118に繋がれている、セット全体の動作モード等を決めるモード処理マイコン117に与えられる。
モード処理マイコン117には、APM等を管理するMICマイコン119が繋がっている。MIC付きカセット121からの情報は、MIC接点120を介してこのMIC付きマイコン119に与えられ、モード処理マイコン117と役割分担しながら、MICの処理を行う。セットによっては、このMICマイコンは省略され、モード処理マイコン117でMIC処理を行う場合もある。モード処理マイコン117は、メカ制御マイコン128や信号処理マイコン151と連携を取って、セット全体のシステムコントロールを行う。
A/Vセクターやサブコードセクターの時には、スイッチ114は上側に切り替えられている。分離回路122により各セクターのシンクパターンを抜き出した後、24/25逆変換回路123を通して、更に逆乱数化回路124に供給し、元のデータ列に戻される。こうして取り出されるデータがエラー訂正回路125に供給される。
エラー訂正回路125では、エラーデータの検出及び訂正が行われる。訂正不能なデータには、エラーフラグが付けて出力される。各データは、スイッチ126により切り替えられる。
回路127は、A/VセクターのID部と、プリシンク、ポストシンクの各シンクを担当するもので、ここで、シンク番号、トラック番号それにプリシンク、ポストシンクの各シンクに格納されていたSP/LPの各信号が抜き出される。これらは、タイミング回路113に与えられ各種タイミングを作り出す。
更に、回路127でAP1、AP2が抜き出され、それがモード処理マイコン117に供給され、フォーマットがチェックされる。AP1、AP2=000の時には、それぞれ、エリア2が画像データエリアとして定義され、通常どうり動作されるが、それ以外の時には、警告処理等のウォーニング動作が行われる。
SP/LPについては、ITIから得られたものと比較検討がモード処理マイコン117で行われる。ITIエリアには、その中のTIAエリアに3回SP/LP情報が書かれており、それだけで多数決処理等により信頼性が高められている。プリシンクは、オーディオ及びビデオにそれぞれ2シンクづつあり,計4箇所SP/LP情報が書かれている。ここにも、そこだけで多数決が取られ、信頼性が高められる。そして、最終的に両者が一致しない場合には、ITIエリアのものを優先して採用する。
ビデオセクターからの再生データは、図37のスイッチ129によりビデオデータとVAUXデータに切り分けられる。ビデオデータは、エラーフラグと共にデフレーミング回路130に供給される。デフレーミング回路130では、フレーミングの逆変換が行われる。
画像データは、逆量子化回路131及び逆圧縮回路132からなるデータ逆圧縮符号化部に供給され、圧縮前のデータに戻される。次にデシャフリング回路133及びデブロッキング回路134により、データが元の画像空間配置に戻される。
デシャフリング以降は、輝度信号(Y)と色差信号(R−Y、B−Y)の3系統に分けて処理が行われる。そして、D/A変換器135a、135b及び135cにより、アナログ信号に戻される。この時、発振回路139と分周器140で分周した出力が用いられる。つまり、輝度信号(Y)は13.5MHz、色差信号R−Y、B−Yは6.75MHz又は3.375MHzが用いられる。
こうして得られた信号は、Y/C合成回路136で合成され、同期信号発生回路141の同期信号出力と合成回路137にてさらに合成される。
オーディオセクターからの再生データは、スイッチ143によりオーディオデータとAAUXデータに切り分けられる。オーディオデータは、次のデシャフリング回路145で元の時間軸上に戻される。この時、必要に応じて、エラーフラグを基にしてオーディオデータの補間処理が行われる。この信号は、D/A変換器146に供給され、アナログオーディオ信号に戻された後にスイッチ147を介して、ビデオデータとリップシンク等のタイミングを取りながら、アナログオーディオ出力端子152から出力される。
スイッチ129及び143により切り分けられたVAUX、AAUXの各データは、VAUX回路148、AAUX回路150に供給されて、エラーフラグを参照しながら、多数回書き時の多数決処理等の前処理が行われる。サブコードセクターのID部とデータ部は、サブコード回路149に供給される。ここでも、エラーフラグを参照しながら多数決処理等の前処理が行われる。その後、信号処理マイコン151に供給され、最終的な読み取り動作が行われる。この時に、取り除けなかったエラーは、それぞれVAUXER、SUBER及びAAUXERとして信号処理マイコン151に与えられる。ここで、サブコード回路149により、AP3が抜き出される。AP3は、信号処理マイコン151を介してモード処理マイコン117に供給される。モード処理マイコン117では、フォーマットのチェックが行われる。AP3=000の時には、エリア3がサブコードエリアとして定義されて通常通りの処理が行われる。一方AP3≠000の時には、警告処理等のウォーニング処理が行われる。
ここでのエラー処理について補足すると、信号処理マイコン151は、さらに、各データのパックの前後関係等から類推して、伝播エラー処理やデータの補修処理等を行う。こうして判断したデータ結果は、モード処理マイコン117に供給される。このデータ結果は、セット全体の動きを決定する一因として用いられる。
図38は、VAUX回路148の詳細な回路ブロック図である。なお、前処理としては、多数決処理ではなく、エラーの時にはメモリに書き込まないという方式で説明する。スイッチ129を介して入力されたVAUX用データは、ライト側コントローラ162から出力される書き込みタイミングパルス(図32参照)で、スイッチ161によりメインエリア用データとオプショナルエリア用データとに振り分けられる。メインエリアのパックデータは、パックヘッダー検出回路163でそのパックヘッダーが検出される。パックヘッダー検出回路163の出力は、スイッチ164に印加される。これにより、スイッチ164が切り換えられる。そして、エラーでない時のみ、データがメインエリア用メモリ165に書き込まれる。メモリ165は、9ビット構成となっており、網点がかかっている部分がエラーフラグの格納ビットとされる。
メインエリア用メモリの初期設定としては、1ビデオフレーム毎にその内容が全て1(情報なし)とされる。そして、エラーの時には何の処理も行われない。一方、エラーでない時には、そのデータを書き込むと共に、エラーフラグに0を書き込んでおく。メインエリアには同じパックが10回または12回書き込まれているので、1ビデオフレーム終了時点でエラーフラグに1が立っているところが、最終的にエラーと認識される。
ところで、オプショナルエリアは、基本的に1回のみ書かれるので、エラーフラグはデータと共にオプショナルエリア用のFIFO166にそのまま書き込まれる。なお、FIFO166には、メーカーズオプション用にその容量が用意される。そして、エラーフラグがFIFO166に供給されない場合には、データが書き込まれる。リード側タイミングコントローラ167でスイッチ168及びスイッチ169を切り換えることにより、メモリ165に貯えられたデータ及びFIFO166に貯えられたデータが信号処理マイコン151に供給される。なお、ここでは、VAUXのデータのためのVAUX回路に関して説明したが、AAUXのデータのための、FIFO等を含むAAUX回路についても同様の構成及び動作である。
図39は、信号処理マイコン151の詳細な回路ブロック図である。信号処理マイコン151では、VAUX回路148から供給されたパックデータ及びエラーフラグに基づいた解析を行う。即ち、VAUX回路148から出力されるパックデータVAUXDTは、パックヘッダー識別回路171に供給され、パックデータの振り分けが行われると共に、スイッチ172に供給される。一方、エラーデータVAUXERは、リードライト回路177に供給される。リードライト回路177の出力制御信号により、スイッチ172が制御される。スイッチ172を介されたパックデータは、メモリ173に書き込まれる。なお、ここでは、メインエリア用データとオプショナルエリア用データとの区別はない。
データがメインエリアのパックデータの場合には、VAUX回路148と同様に、VAUXER時には書き込み処理がなされない。これにより、少なくとも1ビデオフレーム前の値で補修ができる。メインエリアの内容は、1ビデオフレーム前の値と非常に相関が強いと考えられるので、この処理を行っても何ら問題はない。一方、オプショナルエリアのパックデータの場合には、1ビデオフレーム前の値と全く相関がないと考えられるので、そのパック単位でエラー伝播処理が行われる。
この方法は、基本的には5バイト固定長のパックデータの中にエラーがあれば全データをFFhとする「情報なしパック」に変更することにより行われるが、パック個別対応も必要となる。例えば、テレテキストパックの場合には、そのパックがいくつも続くため、その間のパックヘッダーにエラーが存在した場合でも、容易にテレテキストパックヘッダーに置き換えが可能である。また、データ部にエラーがあっても、そのパックを「情報なしパック」に変更はしない。これは、そのテレテキストデータの復元を、テレテキストデコーダーのパリティチェックに委ねているためである。従って、エラーと判断されても、データはそのままとされる。
以上のような処理がなされたデータには、エラーフラグが存在しないとされる。メモリ173に貯えられているパックデータは、P/S変換回路174へ読み出され、シリアルデータに変換される。その後、マイコン間の通信プロトコルに従ってモード処理マイコン117のS/P変換回路175に供給される。S/P変換回路175から出力されるパラレルデータは、パックデータ分解解析回路176に供給されて解析される。なお、パックデータ分解解析回路176での処理は、図33に示されるVAUXパックデータ生成処理と逆の順序で行われる。
P/S変換回路174及びS/P変換回路175はマイコン内のシリアルI/Oで、パックヘッダー識別回路171、スイッチ172及びリードライト回路177はマイコンのソフトで、メモリ173はマイコン内部のメモリでそれぞれ構成される。また、MICマイコン119の再生側での処理は、図35に示されるMICデータ生成処理と逆の順序で行われる。