JP3586878B2 - テープカセット、並びにテープカセットを用いて画像信号及び音声信号の記録再生を行う画像音声信号記録再生装置 - Google Patents
テープカセット、並びにテープカセットを用いて画像信号及び音声信号の記録再生を行う画像音声信号記録再生装置 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、画像信号及び音声信号を記録再生するテープカセット、並びにかかるテープカセットを用いて画像信号及び音声信号の記録再生を行う画像音声信号記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、民生用のVTRにおいてタイマー録画予約を行う場合には、テープセット時にテープの早送り、巻き戻し、再生等の動作を行って正しい録画開始位置を見つけだす必要があり、これを行わない場合には、消去したくない録画部分を誤って消してしまう恐れがあった。
【0003】
また、従来の民生用のカメラ一体形ビデオカセットレコーダー(以下、カムコーダーという)では、撮影したあと巻き戻して再生し、再び記録最終位置から続けて記録するときには、そのポイントを探すのに手間がかかるという問題があった。例えば、エディットサーチ機能を用いてポイントを探す場合には、その近傍でなければなかなか元に戻れないので、カムコーダーをVTRモードに切り換えてビューファインダーで再生画像を見ながらそのポイント近くまでもっていき、再びカメラモードにしてエディットサーチ機能を用いてポイントを探すという作業を何回も繰り返すことが多かった。更に、特定の人が撮影したあと巻き戻して再生しそのままにしておいたテープを、別の人がそれを知らずに最終記録位置だと思って続けて記録した場合には、大切な録画部分が失われてしまうという問題もあった。
【0004】
また、録画しておいたテープを再生して複数人で見るときには次のような問題も発生する。例えば、複数人で再生画像を見ている最中に、特定の人だけが中座し、その後、中座した人が戻ってきて続きの再生画面を見ようとするときには、テープの巻き戻し、再生等を繰り返して続きの場面を探し出さねばならなかった。この場合、従来のVTRでは、カウンターリセットボタンを押してそのポイントを覚えておく方法を採用しているものもあるが、これはあくまでもそのカセットをイジェクトしないことが前提となっているので、残った人が別のテープを装填してその再生画像を見ていた場合には、このような方法は用をなさないものとなる。
【0005】
更に、8ミリカムコーダーの場合には、記録していたテープを取り出さない限り録画のつなぎ目部分はきれいであるが、1度でも取り出してしまうと、そこのつなぎ目部分は乱れたものとなってしまうので、その時はいちいち頭出し処理を行ってから録画動作を開始しなければつなぎ目部分できれいな画像が得られないという問題があった。
【0006】
以上のようなVTRにおける動作開始位置の設定の問題の外に、現在、特に研究開発の盛んなディジタル記録方式による民生用のビデオカセットレコーダー(VCRという)に関連して次のような問題も考えられている。
即ち、上記の民生用のディジタルVCRは、525/60システム或るいは625/50システムのテレビジョン信号の記録再生を可能とするものであるが、これに加え、更に、1125/60システム或るいは1250/50システムのテレビジョン信号の記録再生もできるように記録フォーマットが構成されている。
【0007】
ところで、このように同じテープカセットを用いて多種多様な方式のテレビジョン信号の記録再生を可能ならしめた場合には、市販されるテープカセットについて、その記録容量をどのように表示するかという問題がある。従来のアナログVTR用のテープカセットであれば、記録時間はSPモードとLPモードの2つの場合を考えるのみでよいが、上記のディジタルVCR用のカセットテープにおいては、記録モード(SP/LP)による記録時間の変化に加え、どのシステムのテレビジョン信号が記録されるかに応じて記録時間が異なることとなり、このように記録時間を多種多様な使用モードに場合分けしてそれぞれ表記することは、カセットサイズの小さな点から見て困難であり、また、このように多くの情報を表記してもそのためにかえってユーザーが間違える可能性も高くなると思われる。
本願発明は、このような点にかんがみて成されたものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
画像音声信号記録再生装置において記録再生を行う際の記録開始位置或るいは再生開始位置の設定を容易に行うことができるようにする。
また、種々のシステムのテレビジョン信号の記録再生が可能である記録フォーマットを備えた画像音声信号記録再生装置の記録媒体として使用されるビデオテープについて、その記録容量の簡潔な表示を可能とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、テープカセットに収納されているビデオテープ上の最終記録位置を表す最終記録位置情報又は、当該最終記録位置情報に加えて録画開始位置を表す録画開始位置情報及び/又は最後に記録した位置を表す最後記録位置情報とを、前記テープカセットに搭載されたメモリICに記憶する手段と、該メモリICに記憶された最終記録位置情報を読み出す読出手段と、画像音声信号記録再生装置の記録再生動作を待機状態に設定するための指令を入力する待機指令入力手段と、記録再生動作を開始させるための指令を入力する開始指令入力手段と、ビデオテープの走行を制御する走行制御手段とを備え、前記待機指令入力手段又は前記開始指令入力手段のいずれかの指令の入力動作に応じて、前記読出手段は、メモリICに記憶されている前記最終記録位置情報又は、当該最終記録位置情報に加えて録画開始位置を表す録画開始位置情報及び/又は最後に記録した位置を表す最後記録位置情報を読み出し、前記走行制御手段は、前記読出手段により読み出された前記最終記録位置情報又は、当該最終記録位置情報に加えて録画開始位置を表す録画開始位置情報及び/又は最後に記録した位置を表す最後記録位置情報に基づいてビデオテープを前記録画開始位置又は、前記最終記録位置又は、最後記録位置まで走行させるものである。
【0010】
この場合、テープカセットは、内部に収納されたビデオテープにヘリカルトラックを形成して画像信号及び音声信号の記録再生が行われ、該ビデオテープの全長に関するデータを記録する部分を備え、かつ、該データは、該ビデオテープの全長にわたって所定の記録モードにおけるトラックピッチで記録を行った場合のトラック本数の総数、もしくは該トラック本数の総数を表す記号により表現されるのが好適である。
また、テープカセットは、ビデオテープの全長に関するデータをテープカセット表面に表記するのが好適である。
さらに、メモリICは、基本的な付随データを記憶する第1の記憶領域と、オプショナルな付随データを記憶する第2の記憶領域とを備え、かつ、最後記録位置情報は、該第2の記憶領域における先頭位置に記憶されるように構成するのが好適である。
【0011】
請求項5に係る発明は、テープカセットに収納されているビデオテープ上の最終記録位置を表す最終記録位置情報又は、当該最終記録位置情報に加えて録画開始位置を表す録画開始位置情報及び/又は最後に記録した位置を表す最後記録位置情報を、前記テープカセットに搭載されたメモリICに記憶する手段と、記録指令を入力するための記録指令入力手段と、上記メモリICに記憶されている最終記録位置情報又は、当該最終記録位置情報に加えて録画開始位置を表す録画開始位置情報及び/又は最後に記録した位置を表す最後記録位置情報を読み出す読出手段と、ビデオテープ上の記録開始位置を決定する位置決定手段とを備え、前記記録指令入力手段による記録指令の入力動作に応じて、前記読出手段は、メモリICに記憶されている前記最終記録位置情報又は、当該最終記録位置情報に加えて録画開始位置を表す録画開始位置情報及び/又は最後に記録した位置を表す最後記録位置情報を読み出し、前記位置決定手段は、前記読出手段により読み出された前記最終記録位置情報又は、当該最終記録位置情報に加えて録画開始位置を表す録画開始位置情報及び/又は最後に記録した位置を表す最後記録位置情報に基づいて、ビデオテープ上における記録開始位置を決定するように構成されている。
【0012】
この場合、テープカセットは、内部に収納されたビデオテープにヘリカルトラックを形成して画像信号及び音声信号の記録再生が行われ、該ビデオテープの全長に関するデータを記録する部分を備え、かつ、該データは、該ビデオテープの全長にわたって所定の記録モードにおけるトラックピッチで記録を行った場合のトラック本数の総数、もしくは該トラック本数の総数を表す記号により表現されるのが好適である。
また、テープカセットは、ビデオテープの全長に関するデータをテープカセット表面に表記するのが好適である。
さらに、メモリICは、基本的な付随データを記憶する第1の記憶領域と、オプショナルな付随データを記憶する第2の記憶領域とを備え、かつ、最後記録位置情報は、該第2の記憶領域における先頭位置に記憶されるように構成するのが好適である。
【0013】
請求項4、または5にかかる発明においては、最終記録位置情報が、該最終記録位置における記録モードの識別情報を有するようにするのが望ましい。
【0014】
請求項10に係る発明は、テープカセットに収納されたビデオテープ上における位置を規定する位置規定信号を該ビデオテープ上に記録再生する手段と、該ビデオテープ上における画像信号及び音声信号の記録再生動作の開始位置を示す記録再生開始位置情報を、前記テープカセットに搭載されたメモリICに記憶する開始位置情報記憶手段とにより構成されている。
この場合、テープカセットは、内部に収納されたビデオテープにヘリカルトラックを形成して画像信号及び音声信号の記録再生が行われ、該ビデオテープの全長に関するデータを記録する部分を備え、かつ、該データは、該ビデオテープの全長にわたって所定の記録モードにおけるトラックピッチで記録を行った場合のトラック本数の総数、もしくは該トラック本数の総数を表す記号により表現されるのが好適である。
また、テープカセットは、ビデオテープの全長に関するデータをテープカセット表面に表記するのが好適である。
【0015】
この場合さらに、ビデオテープ上における画像信号及び音声信号の再生開始位置を指定するための再生開始位置指定手段と、再生開始位置情報生成手段とを備え、該再生開始位置情報生成手段は、再生開始位置指定手段操作時のビデオテープ再生位置から再生された位置規定信号に基づいて再生開始位置情報を生成し、開始位置情報記憶手段は、該生成された再生開始位置情報をメモリICに記憶するように構成することができる。
【0016】
あるいは、再生動作を再開させるための指令を入力する再開指令入力手段と、メモリICに記憶された再生開始位置情報を読み出す読出手段とを備え、該読出手段は、該再開指令入力手段による再開指令の入力動作に応じてメモリICから再生開始位置情報を読み出し、該再生開始位置情報の表す開始位置から画像信号及び音声信号の再生動作が再開されるように構成することもできる。
【0017】
さらに別の構成例としては、ビデオテープ上における画像信号及び音声信号の記録開始位置を指定するための記録開始位置指定手段と、記録開始位置情報生成手段とを備え、該記録開始位置情報生成手段は、記録開始位置指定手段操作時のビデオテープ再生位置から再生された位置規定信号に基づいて記録開始位置情報を生成し、開始位置情報記憶手段は、該生成された記録開始位置情報をメモリICに記憶するように構成することもできる。
【0018】
【作用】
カセットテープの記録容量を簡潔に把握することができる。
記録再生の開始位置をテープカセット自身に記憶させておくことができる。また、テープ上の最終記録位置或るいは最後記録位置から自動的に記録再生を開始させることができる。その場合、テープカセットに記憶された最後記録位置情報のサーチ動作が迅速に行われると共に、最終記録位置から記録動作を開始するときは、サーボの立ち上がりを早くすることができる。
【0019】
【実施例】
本発明をヘリカルスキャン形式をとる画像圧縮記録方式民生用ディジタルVTR(以下、ディジタルVTRと言う)に適用した場合の実施例について、次の項目に従って順次説明する。
【0020】
1. ディジタルVTRの概要
1─1. ディジタルVTRの記録フォーマット
(1) ITIエリア
(2) AUDIOエリア
(3) VIDEOエリア
(4) SUBCODEエリア
(5) ID部の構造
(6) MIC
(7) パックの構造及び種類
(8) 付随情報記録エリアの構造
1─2. ディジタルVTRの記録回路
1─3. ディジタルVTRの再生回路
2. アプリケーションIDシステム
3. 記録・再生開始位置の制御
3─1. TAGパックのみを使用する方法
3─2. 複数パックからなるイベントを使用する方法
【0021】
1. ディジタルVTRの概要
まず、本実施例を構成するディジタルVTRの概要について、その記録フォーマット、記録回路、再生回路の順に説明する。
【0022】
1─1. ディジタルVTRの記録フォーマット
かかるディジタルVTRのテープ上の記録フォーマットを図31に示す。
この図において、トラックの両端にはマージンが設けられる。そして、その内側には記録始端側から、アフレコを確実に行うためのITIエリア、音声信号を記録するAUDIOエリア、画像信号を記録するVIDEOエリア、副次的データを記録するためのSUBCODEエリアが設けられる。なお各エリアの間には、エリア確保のためのインターブロックギャップ(IBG)が設けられる。
【0023】
次に上記の各エリアに記録される信号の詳細を説明する。
(1) ITIエリア
ITIエリアは図31の拡大部分に示されているように、1400ビットのプリアンブル、1830ビットのSSA(Start−Sync Block Area)、90ビットのTIA(Track Information Area)及び280ビットのポストアンブルから構成されている。
【0024】
ここで、プリアンブルは再生時のPLLのランイン等の機能を持ち、ポストアンブルはマージンを稼ぐための役割を持つ。そして、SSA及びTIAは、30ビットのブロックデータを単位として構成されており、各ブロックデータの先頭10ビットには所定のSYNCパターン(ITI−SYNC)が記録される。
【0025】
このSYNCパターンに続く20ビットの部分には、SSAにおいては主にSYNCブロック番号(0〜60)が記録され、また、TIAにおいては主に3ビットのAPT情報(APT2〜APO)、記録モードを識別するSP/LPフラグ、及びサーボシステムの基準フレームを示すPFフラグが記録される。なお、APTはトラック上のデータ構造を規定するIDデータであり、本実施例のディジタルVTRでは値「000」をとる。
【0026】
以上の説明から分かるように、ITIエリアには30ビットという短いコード長のブロックデータが磁気テープ上の固定された位置に多数記録されているので、再生データから例えばSSAの61番目のSYNCパターンが検出された位置をトラック上のアフレコ位置を規定する基準として使用することにより、アフレコ時に書換えられる位置を高精度に規定し、良好なアフレコを行うことができる。なお、本実施例のディジタルVTRは、後述するように外の種々のディジタル信号記録再生装置へ容易に商品展開できるように設計されているが、どのようなディジタル信号記録再生装置においても特定のエリアのデータの書換えは必要となるので、このトラック入口側のITIエリアは必ず設けられている。
【0027】
(2) AUDIOエリア
オーディオエリアは、図31の拡大部分に示されるように、その前後にプリアンブルとポストアンブルを有しており、プリアンブルはPLL引き込み用のランアップ、及びオーディオSYNCブロックの前検出のためのプリSYNCから構成されている。また、ポストアンブルは、オーディオエリアの終了を確認するためのポストSYNCと、ビデオデータアフレコ時にオーディオエリアを保護するためのガードエリアとから構成されている。
【0028】
ここで、プリSYNC及びポストSYNCの各SYNCブロックは、図32の(1)及び(2)に示すように構成され、プリSYNCはSYNCブロック2個から、ポストSYNCはSYNCブロック1個から構成されている。そして、プリSYNCの6バイト目には、SP/LPの識別バイトが記録される。これはFFhでSP、OOhでLPを表し、前述のITIエリアに記録されたSP/LPフラグが読み取り不可の時にはこのプリSYNCのSP/LPの識別バイトの値が採用される(hは16進数表示であることを示す)。
【0029】
以上のようなアンブルエリアに挟まれたエリアに記録されるオーディオデータは次のようにして生成される。
まず、記録すべき1トラック分の音声信号は、AD変換及びシャフリングを施された後フレーミングが行われ、更にパリティを付加される。このフレーミングを行ってパリティを付加したフォーマットを図33の(1)に示す。この図において、72バイトのオーディオデータの先頭に5バイトの音声付随データ(これをAAUXデータと言う)を付加して1ブロック77バイトのデータを形成し、これを垂直に9ブロック積み重ねてフレーミングを行い、これに8ビットの水平パリティC1とブロック5個分に相当すると垂直パリティC2とが付加される。
【0030】
これらのパリティが付加されたデータは各ブロック単位で読み出されて、各ブロックの先頭側に3バイトのIDを付加され、更に、記録変調回路において2バイトのSYNC信号を挿入されて、図33の(2)に示されるようなデータ長90バイトの1SYNCブロックの信号へ成形される。そして、この信号がテープに記録される。
【0031】
(3) VIDEOエリア
ビデオエリアは図31の拡大部分に示されるようにオーディオエリアと同様のプリアンブル及びポストアンブルを持つ。但し、ガードエリアがより長く形成されている点でオーディオエリアのものと異なっている。これらのアンブルエリアに挟まれたビデオデータは次のようにして生成される。
【0032】
まず、記録すべき映像信号をY,R−Y,B−Yのコンポーネント信号に分離した後、AD変換し、このAD変換出力から1フレーム分の有効走査エリアのデータを抽出する。この1フレーム分の抽出データは、ビデオ信号が525/60システムの場合には、Y信号のAD変換出力(DY)については、水平方向720サンプル、垂直方向480ラインで構成され、また、R−Y信号のAD変換出力(DR)及びB−Y信号のAD変換出力(DB)については、それぞれ水平方向180サンプル、垂直方向480ラインで構成される。
【0033】
そしてこれらの抽出データは、図34に示されるように水平方向8サンプル、垂直方向8ラインのブロックに分割される。ただし、色差信号の場合、この図34の(2)の右端部分のブロックは水平方向4サンプルしかないので、上下に隣接する2個のブロックをまとめて1個のブロックとする。以上のブロッキング処理によって1フレームにつきDY、DR、DBで合計8100個のブロックが形成される。なお、この水平方向8サンプル、垂直方向8ラインで構成されるブロックをDCTブロックと言う。
【0034】
次に、これらのブロッキングされたデータを所定のシャフリングパターンに従ってシャフリングした後、DCTブロック単位でDCT変換し、続いて量子化及び可変長符号化を行う。ここで、量子化ステップは30DCTブロック毎に設定され、この量子化ステップの値は、30個のDCTブロックを量子化して可変長符号化した出力データの総量が所定値以下となるように設定される。即ち、ビデオデータを、DCTブロック30個ごとに固定長化する。このDCTブロック30個分のデータをバッファリングユニットと言う。
【0035】
以上のようにして固定長化したデータについて、その1トラック分のデータ毎にビデオ付随データ(これをVAUXデータと言う)と共にフレーミングを施し、その後、誤り訂正符号を付加する。
このフレーミングを施して誤り訂正符号を付加した状態のフォーマットを図35に示す。
【0036】
この図において、BUF0〜BUF26はそれぞれが1個のバッファリングユニットを表す。そして、1個のバッファリングユニットは、図36の(1)に示すように垂直方向に5つのブロックに分割された構造を有し、各ブロックは77バイトのデータ量を持つ。また、各ブロックの先頭側の1バイトには量子化に関するパラメータを格納するエリアQが設けられる。
【0037】
この量子化データに続く76バイトのエリアにビデオデータが格納される。そして、図35に示されているように、これらの垂直方向に27個配置されたバッファリングユニットの上部には上記のバッファリングユニット内のブロック2個分に相当するVAUXデータα及びβが配置されると共に、その下部にはブロック1個分に相当するVAUXデータγが配置され、これらのフレーミングされたデータに対して8バイトの水平パリティC1及びブロック11個分に相当する垂直パリティC2が付加される。
【0038】
このようにパリティが付加された信号は各ブロック単位で読み出されて各ブロックの先頭側に3バイトのID信号を付加され、更に、記録変調回路において2バイトのSYNC信号が挿入される。これにより、ビデオデータのブロックについては図36の(2)に示されるようなデータ量90バイトの1SYNCブロックの信号が形成され、また、VAUXデータのブロックについては同図の(3)に示されるような1SYNCブロックの信号が形成される。この1SYNCブロック毎の信号が順次テープに記録される。
【0039】
以上に説明したフレーミングフォーマットでは、1トラック分のビデオデータを表わす27個のバッファリングユニットはDCTブロック810個分のデータを有するので、1フレーム分のデータ(DCTブロック8100個分)は10個のトラックに分けて記録されることになる。
【0040】
(4) SUBCODEエリア
SUBCODEエリアは主に高速サーチ用の情報を記録するために設けられたエリアであり、テープ上に記録されたデータのうち、このエリアのデータのみをアフレコによって書き換えることが可能である。このSUBCODEエリアの拡大図を図37に示す。この図に示されるように、このエリアは12バイトのデータ長を持つ12個のSYNCブロックを含み、その前後にプリアンブル及びポストアンブルが設けられる。但し、オーディオエリア及びビデオエリアのようにプリSYNC及びポストSYNCは設けられない。そして、12個の各SYNCブロックには、5バイトの付随データ(AUXデータ)を記録するデータ部が設けられている。また、この5バイトの付随データを保護するパリティとしては2バイトの水平パリティC1のみが用いられ、垂直パリティは使用されない。
【0041】
なお、以上に説明したAUDIOエリア、VIDEOエリア、SUBCODEエリアを構成している各SYNCブロックは、記録変調において24/25変換(記録信号の24ビット毎のデータを25ビットへ変換することにより、記録符号にトラッキング制御用パイロット周波数成分を付与するようにした記録変調方式)を施されるため、各エリアの記録データ量は図31に示されているようなビット数になる。
【0042】
(5) ID部の構造
以上の図32,図33,図36,及び図37に示されている各SYNCブロックの構成から明らかなように、AUDIOエリア、VIDEOエリア、及びSUBOCODEエリアに記録される各SYNCブロックは、いずれも2バイトのSYNC信号の後にID0、ID1及びIDP(ID0,ID1を保護するパリティ)からなる3バイトのID部が設けられる点で共通の構造となっている。そして、このID部の内のID0、ID1は、オーディオエリア及びビデオエリアにおいては図38に示すようにデータの構造が定められる。
【0043】
即ち、ID1にはオーディオエリアのプリSYNCからビデオエリアのポストSYNCまでのトラック内SYNC番号(0〜168)が2進数で格納される。そして、ID0の下位4ビットには1フレーム内のトラック番号が格納される。このトラック番号は、2トラックにつき1本の割合で番号付けされ、2本のトラックの区別はヘッドのアジマス角度で判別できる。
【0044】
また、ID0の上位4ビットには、AAUX+オーディオデータ、及びビデオデータの各SYNCブロックにおいてはこの図の(1)に示されるように4ビットのシーケンス番号が格納される。一方、オーディオエリアのプリSYNCブロック、ポストSYNCブロック及びパリティC2のSYNCブロックにおいてはオーディオエリアのデータ構造を規定する3ビットのIDデータAP1が格納され、また、ビデオエリアのプリSYNCブロック、ポストSYNCブロック及びパリティC2のSYNCブロックにおいてはビデオエリアのデータ構造を規定する3ビットのIDデータAP2が格納される(この図の(2)参照)。なお、これらのAP1及びAP2の値は、本実施例のディジタルVTRでは「000」をとる。
【0045】
また、上記のシーケンス番号は、「0000」から「1011」までの12通りの番号を各フレーム毎に記録するものであり、このシーケンス番号を見ることにより、変速再生時に得られたデータが同一フレーム内のものかどうかを判断できる。
一方、SUBCODEエリアにおけるSYNCブロックのID部の構造は図39のように規定されている。
【0046】
この図はSUBCODEエリアの1トラック分のSYNCブロック番号0から11までの各ID部の構造を示したものであり、ID0の最上位ビットにはFRフラグが設けられる。このフラグはフレームの前半5トラックであるか否かを示し、前半5トラックにおいては「0」、後半5トラックにおいては「1」の値をとる。その次の3ビットには、SYNCブロック番号が「0」及び「6」であるSYNCブロックにおいてはSUBCODEエリアのデータ構造を規定するIDデータAP3が記録されると共に、SYNCブロック番号「11」のSYNCブロックにおいてはトラック上のデータ構造を規定するIDデータAPTが記録され、その外のSYNCブロックにおいてはTAGコードが記録される。なお、上記AP3の値は、本実施例のディジタルVTRでは「000」をとる。
【0047】
また、上記TAGコードは、この図に拡大して示されているようにサーチ用の3種類のID信号、即ち、従来から行われているINDEXサーチのためのINDEX ID、コマーシャル等の不要場面をカットするためのSKIP ID、及び静止画サーチのためのPP ID(Photo/Picture ID)から構成される。また、ID0の下位4ビットとID1の上位4ビットとを使用してトラックの絶対番号(テープの先頭からの通しのトラック番号)が記録される。そして、この絶対トラック番号を用いることによってテープ上の任意の位置を規定することができ、この絶対トラック番号は、位置規定信号としての役割を持っている。なお、この図に示されるようにSYNCブロック3個分の合計24ビットを用いて1個の絶対トラック番号が記録される。ID1の下位4ビットにはSUBCODEエリアのSYNCブロック番号が記録される。
【0048】
(6) MIC
本実施例のディジタルVTRでは、以上に説明したようにテープ上に規定されている各エリアに付随データを記録するようにしているが、この外にテープの収納されるカセットにメモリICの設けられた回路基板を搭載し、このメモリICにも付随データを記録するようにしている。そして、このカセットがディジタルVTRに装着されるとこのメモリICに書き込まれた付随データが読み出されてディジタルVTRの運転・操作の補助が行われるようにしている(特願平4−165444号、特願平4−287875号等参照)。このメモリICを本願ではMIC(Memory In Cassette)と呼び、そのデータ構造については後で詳述する。
【0049】
(7) パックの構造及び種類
以上に説明したように、本実施例のディジタルVTRでは、付随データを記録するエリアとして、テープ上のオーディオエリアのAAUXエリア、ビデオエリアのVAUXエリア、及びSUBCODEエリアのAUXデータ記録エリアが使用され、また、この外にテープカセットに搭載されたMICの記録エリアが使用される。そして、これらの各エリアは、いずれも5バイトの固定長をもつパックを単位として構成される。
【0050】
つぎに、これらのパックの構造及び種類について説明する。
パックは図40に示される5バイトの基本構造を持つ。この5バイトについて、最初のバイト(PC0)がデータの内容を示すアイテムデータ(パックヘッダーとも言う)とされる。そして、このアイテムデータに対応して後続する4バイト(PC1〜4)の書式が定められ、この書式に従って任意のデータが設けられる。
【0051】
このアイテムデータは上下4ビットずつに分割され、上位4ビットは大アイテム、下位4ビットは小アイテムと称される。そして上位4ビットの大アイテムは例えば後続データの用途を示すデータとされ、この大アイテムによってパックは図41の表に示されるように、コントロール「0000」、タイトル「0001」、チャプター「0010」、パート「0011」、プログラム「0100」、音声補助データ(AAUX)「0101」、画像補助データ(VAUX)「0110」、カメラ「0111」、ライン「1000」、ソフトモード「1111」の10種類のグループに展開されている。
【0052】
このように大アイテムによって展開されたパックの各グループは、それぞれが更に小アイテム(これによって例えば後続データの具体的な内容が表される)によって16種類のパックに展開され、結局、これらのアイテムを用いて最大256種類のパックを定義することができる。
なお、図41の表の中に記入されている「RESERVED」は、追加用に残された未定義の部分を表している。従って、未だ定義されていないアイテムデータのコードを使用して新たなアイテムデータ(ヘッダー)を定義することにより、将来任意に新しいデータの記録を行うことができる。またヘッダーを読むことによりパックに格納されているデータの内容を把握できるので、パックを記録するテープ上の位置も任意に設定できる。
【0053】
次に、パックの具体例を図42〜図47、図1〜図4を用いて説明する。
図42の〔1〕に示されるパックは、そのアイテムデータの値から分かるように図41の表におけるAAUXのグループに属するものであってAAUX SOURCEパックと呼ばれ、音声に関する付随データの記録に使用される。即ち、図に示されるように、オーディオサンプル周波数が映像信号とロックしているか否かを示すフラグ(LF)、1フレーム当たりのオーディオサンプル数(AF
SIZE)、オーディオチャンネル数(CH)、各オーディオチャンネルのステレオ/モノラル等のモードの情報(PA及びAUDIO MODE)、テレビジョン方式に関する情報(50/60及びSTYPE)、エンファシスの有無(EF)、エンファシスの時定数(TC)、サンプル周波数(SMP)、量子化情報(QU)が記録される。
【0054】
また、図42の〔2〕、及び図43の〔1〕〜〔5〕に示される各パックは、そのアイテムデータの値から分かるように図41の表におけるVAUXのグループに所属するものであり、画像に関する付随データの記録に使用される。これらのパックの記録内容について説明すると、図42の〔2〕に示されるVAUX
SOURCEパックには、記録信号源のチャンネル番号(TV CHANNEL)、記録信号が白黒信号であるか否かを示すフラグ(B/W)、記録信号のカラーフレーミングを表すコード(CFL)、CFLが有効であるか否かを示すフラグ(EN)、記録信号源がカメラ/ライン/ケーブル/チューナー/ソフトテープ等のいずれであるかを示すコード(SOURCE CODE)、記録信号のテレビジョン方式(525/60,625/50,1125/60,1250/50等)に関するデータ(50/60、及びSTYPE)、UV放送/衛星放送等の識別に関するデータ(TUNER CATEGORY)が記録される。
【0055】
図43の〔1〕に示されるVAUX SOURCE CONTROLパックには、SCMSデータ(上位ビットが著作権の有無を表し、下位ビットがオリジナルテープか否かを表す)、コピーソースデータ(アナログ信号源か否か等を表す)、コピー世代データ、サイファー(暗号)タイプデータ(CP)、サイファーデータ(CI)、記録開始フレームか否かを示すフラグ(REC ST)、オリジナル記録/アフレコ記録/インサート記録等の記録モードデータ(REC MODE)が記録されると共に、更に、アスペクト比等に関するデータ(BCSYS及びDISP)、奇偶フィールドのうちの一方のフィールドの信号のみを2回反復して出力するか否かに関するフラグ(FF)、フィールド1の期間にフィールド1の信号を出力するかフィールド2の信号を出力するかに関するフラグ(FS)、フレームの画像データが前のフレームの画像データと異なっているか否かに関するフラグ(FC)、インターレースであるか否かに関するフラグ(IL)、記録画像が静止画であるか否かに関するフラグ(ST)、記録画像がスチルカメラモードで記録されたものであるか否かを示すフラグ(SC)、及び記録内容のジャンルが記録される。
【0056】
また、同図の〔2〕に示されるVAUX REC DATEパックには記録日に関するデータが記録され、同図の〔3〕に示されるVAUX REC TIMEパックには記録時間に関するデータが記録され、同図の〔4〕に示されるBINARY GROUPのパックにはタイムコードのバイナリー群のデータが記録される。同図の〔5〕に示されるCLOSED CAPTIONパックにはテレビジョン信号の垂直帰線期間に伝送されるクローズドキャプション情報が記録される。
【0057】
また、図44の(1)のCASSETTE IDパック、及び同図の(2)のTAPE LENGTHパックは、図41におけるCONTROLのグループに属するパックであり、CASSETE IDパックには、MICに記録されているデータがカセットのテープ上に記録されているデータと対応しているかどうかを示すフラグME、メモリ(MIC)の種類、メモリのサイズに関する情報、及びテープ厚みの情報(PC4)が記録される。
【0058】
そして、TAPE LENGTHパックには、ビデオテープにおけるリーダーテープを除いた磁気テープ本体の全長がトラック本数に換算された23ビットのデータとして記録される。この場合のトラック本数は、SPモード時のトラックピッチ(10ミクロン)で計算する。
次に、このテープ長の具体的計算の仕方について、120分記録テープを例に挙げて説明する。
【0059】
通常、ビデオテープは、実際の記録可能時間よりも長めに巻いてマージンを設けてある。従って、120分記録テープの場合このマージンが3分であるとすれば、123分に対応するトラック本数をパックに記録することになる。ところがこれを目標に設計しても、カセットテープ製造装置のメカ的な精度により誤差が不可避的に生じて来る。従って、この誤差をα(分)とすれば、実際のテープ長は、
【0060】
【数1】
【0061】
となる。そして、本願ではこの誤差分を、2進数表記の下位ビットを0とすることで解決している。なお、この場合、0に置き換えられる下位ビットの個数、言い換えれば、有効桁数をどのように設定するかは、各カセットテープメーカーの裁量に任せるようにしている。これにより、各メーカーは、個々のメーカーにおいて使用しているテープ製造装置の能力やテープ原版の特性に起因して生ずる誤差の程度に応じて、安全な範囲の最適な有効桁数を随意設定できる。
【0062】
参考までに、120分記録テープについてのトラック本数をTAPE LENGTHパックに格納する場合のフローの具体例を図45に示す。
ここに示される例では、下位8ビットを除いた部分を有効桁数としている。そして、トラック本数をパックのPC3〜PC1から構成される上位23ビットに格納するために、下位8ビットの無効桁を0に置き換えたのちデータ全体を1ビット左にシフトする操作を行っている。
以上に説明では、トラックピッチをSPモードの10ミクロンとして計算しているが、LPモードに対しては単にトラックピッチ換算すればよいので、それぞれの記録モードに対するテープ全体の記録時間は簡単に計算できる。
【0063】
図44の(3)に示されるTITLE ENDパックには、テープ上の最終録画位置の絶対トラック番号が記録される。この最終録画位置は、テープ上における記録が行われた領域のうち最もテープエンドに近い位置を意味し、この位置以降は未記録エリアとなる。なお、テープ上の途中に無記録部分(ブランク)があるときはテープ上の各トラックに記録される絶対トラック番号に不連続部分を生ずることになるが、上記のパック内におけるフラグBFは、このパックに記録された絶対トラック番号より前の位置にこのような不連続な部分があるかどうかを示すフラグである。また、フラグSLは、この最終記録位置における記録モードがSPモード及びLPモードのうちいずれであるかを示すフラグであり、フラグREは、テープ上に消去してはならない録画内容が存在するかどうかを示すフラグである。
【0064】
参考までに、TITLE ENDパックに格納される絶対トラック番号と上記のTAPE LENGTHパックに格納される絶対トラック番号の関係を模式的に示すと図46のようになり、両者の絶対トラック番号の値からテープの未記録部分の長さ(残量)を直ちに求めることができる。
なお、テープ上の記録部分にSPモードで記録した部分とLPモードで記録した部分とが混在していても、本ディジタルVTRでは、各トラックに記録される絶対トラック番号を図47に示すように規定しているので、TITLE ENDパックに格納されている絶対トラック番号から容易にテープ残量を算出することができる。
【0065】
この図について簡単に説明すると、この図は、テープの記録可能部分の始端から最初の1フレームをSPモードで記録し、その次の2つのフレームについてはトラックピッチがSPモードの2/3であるLPモードで記録し、更にその次のフレームからは再びSPモードで記録した場合のテープ上のトラックフォーマットを簡略化して示したものであり、縦方向の細長い矩形の1つ1つが1個の記録トラックを表し、各トラックの中に記されている数字0〜9は1フレーム内のトラック番号を表している。
【0066】
また、各トラックの上部に記されている数字は各トラックの絶対トラック番号を表し、この図に示されるように、絶対トラック番号はSPモード記録部分では3の倍数で記録されると共に、LPモード記録部分では2の倍数で記録されていて常にトラックピッチに対応したものとなっている。そして、記録モードが切り換わった位置のトラックに記録される絶対トラック番号の値は、その直前のトラックの絶対トラック番号に対して連続的な関係を持つように設定される。
【0067】
これによって、任意のトラックに記録されている絶対トラック番号が、該トラックのテープ始端からの距離に対応したものとなっている。従って、上記のテープ残量を絶対トラック番号から容易に算出することができる(なお、LPモードにおけるトラックピッチをSPモードにおけるトラックピッチの1/2とした場合には、絶対トラック番号をSPモード記録部分では2の倍数に、LPモード記録分では1の倍数にして記録すればよい)。
【0068】
なお、上記の最終録画位置情報は、カムコーダーにおいてテープを巻き戻してから開始した再生動作を途中で停止させ、その後、元の最終録画位置に戻るときやタイマー予約時に便利な使い勝手を提供する。また、図44の(4)に示されるTITLE ENDパックは、最終録画位置を時分秒フレームのタイムコードで記録するものであり、ユーザーに最終録画位置を時間データで知らせるときはこのパックを用いる。なお、このパック内に格納されているDFフラグは、ドロップフレームモードであるか否かを表すフラグである。
【0069】
図1の(1)に示されるTIMER REC DATEパックには、タイマー記録の際の主に指定日に関するデータが記録される。このパック内のSLフラグは、SPモードかLPモードかを示すフラグであり、RPフラグは、記録内容の消去の可否に関するフラグであり、TEXTフラグは、この録画内容に関するテキストデータが記録されているか否かを示すフラグである。また、このパックの第3バイト(PC2)の第6、第7ビットに格納されるコードTCF(Timer Control Flag)は、PC1の第1〜第7ビットに格納されるデータ(DAY)の意味付けを行うコードである。
【0070】
即ち、TCFの値が「00」または「01」のときには、PC1の第7ビットは日曜日を、第6ビットは月曜日を、第5ビットは火曜日を、第4ビットは水曜日を、第3ビットは木曜日を、第2ビットは金曜日を、第1ビットは土曜日をそれぞれ表す。そして、TCFの値が「00」のときは、毎週、これらの曜日を表すビットのうち値が「0」であるビットの曜日に録画が行われることを意味している。例えば、第7ビットと第6ビットの値のみが共に「0」であれば、毎週、日曜日と月曜日に録画が実行される。
【0071】
また、TCFの値が「01」のときは、1度だけ、これらの曜日を表すビットのうち値が「0」であるビットの曜日に録画が行われることを意味している。
TCFの値が「11」のときは、PC1の第1ビット〜第7ビットの7ビットのコードによって一つの月における1日から31日までの特定の日が2進数で表示され、この表示された日に録画が実行される。なお、TCFが「10」の場合については未定義である。
【0072】
また、同図の(2)に示されるTIMER REC S/Sパックには、タイマー記録の開始時刻及び終了時刻のデータが記録される。
同図の(3)に示されるR/P ST POINTパックには、テープ上の録画開始位置或るいは再生開始位置の絶対トラック番号が2進数で記録される。即ち、フラグREC=1のときは、このパックに記録される絶対トラック番号は録画開始位置を表し、このパックをREC START POINTパックという。また、フラグREC=0のときは、このパックに記録される絶対トラック番号は再生開始位置を表し、このパックをPB START POINTパックという。
【0073】
なお、同図の(4)に示されるR/P ST POINTパックは、録画或るいは再生の開始位置をタイムコードで記録するものである。本実施例のディジタルVTRでは絶対トラック番号表現によるR/P ST POINTパックを優先して用い、ユーザーに開始位置を時間データとして知らせるときにこのタイムコード表現のR/P ST POINTパックを併用する。
【0074】
同図の(5)に示されるTAGパックは、テープ上の位置をマーキングする際に用いられ、絶対トラック番号によってこの位置が指定される。なお、この指定された位置がどのような意味合いのものであるかは、PC4に格納されている4ビットのTAG IDによって定義される。このパックに記録された絶対トラック番号のテープ位置の意味は、TAG IDの値に応じて次のように定義されている。
【0075】
0000=INDEX
0001=SKIP START
0010=PP(PHOTO PICTURE)
0011=PROGRAM PLAY START
0100=ZONE PLAY
0101=STILL(FIXED TIME)
0110=FREEZE(FIXED TIME)
0111=LAST REC POINT
1000=DATE CHANGE
1001=TIME CHANGE
1010=REC START POINT
1011=PB START POINT
Others=Reserved
【0076】
即ち、TAG IDが「0000」のときは、このTAGパックに格納されている絶対トラック番号はテープの頭出し再生の場合の頭出しの位置を表し、「0001」のときはSKIP動作の開始位置を、「0010」のときはこの絶対トラック番号位置の映像が静止画状態で再生される位置であることを表し、「0011」のときはプログラム再生の開始位置であることを表し、「0100」のときはZONE再生の開始位置であることを表す。
【0077】
また、「0101」のときはこの絶対トラック番号位置の映像が所定時間だけ静止画状態で再生される位置であることを表し、「0110」のときは音声は通常通りに再生されると共にこの絶対トラック番号位置の映像は所定時間だけ静止画状態で再生される位置であることを表し、「0111」のときは最後に記録した位置を表し、「1000」のときは録画内容の記録年月日の変わる位置を表し、「1001」のときは録画内容の記録時刻の変わる位置を表し、「1010」のときは録画開始位置を表し、「1011」のときは再生開始位置を表す。
【0078】
なお、TAG IDが「0111」のときこのパックに格納される「最後に記録した位置」情報は、前述のTITLE ENDパックに格納される「最終記録位置」情報とは異なり、そのテープを用いて行われた最後の録画動作における録画終了位置を表す。参考までに両方のパックに格納される絶対トラック番号の関係を図2及び図3に簡略化して示す。
【0079】
これらの図からも明らかなように、このTAGパックに格納されるトラック番号は、TITLE ENDパックに格納されるトラック番号より大きくなることはない。即ち、TITLE ENDパックの生成においては、常に録画動作が終了する都度、その録画終了位置のトラックの絶対トラック番号とTITLE ENDパックに格納されている絶対トラック番号との比較が行われており、前者のトラック番号が後者のトラック番号より大きければ、前者のトラック番号がTITLE ENDパックの中に複写される。前者のトラック番号が後者のトラック番号より小さければ、後者のトラック番号はそのままである。
【0080】
なお、TAGパックの中に格納されるTEXTフラグは、テキストデータが記録されているかどうかを示すフラグであり、TTフラグは、MICに記録されているテープ記録開始位置データがテープ上に記録されているテープ記録開始位置データと対応しているかどうかを示すフラグである。更に、フラグBFは、テープ上に記録されている絶対トラック番号に不連続な部分があるかどうかを示すフラグである。
【0081】
図4の(1)に示されるTAGパックは、テープ上の位置をタイムコードによってマーキングするものであり、ユーザーに対して位置を時間表示で教える場合に使用する。
同図の(2)に示されるMAKER CODEパックは、図41におけるSOFT MODEのグループに属するものであり、ソフトテープメーカーのコードが記録される。そして、このグループにおける小アイテム「0001」〜「1110」のパックは、メーカーに開放されており、各メーカーが自由に種々のパックを定義して所望の情報を記録することができる。
【0082】
なお、パックの特殊例として、アイテムコードがオール1のパックは、無情報のパック(NO INFORMATION パック)として定義されている。
以上の説明から分かるように、本実施例のディジタルVTRでは、付随データの構造が上述のような各エリアに共通なパック構造となっているので、これらのデータを記録再生する場合のソフトウェアを共通にでき、処理が簡単になる。また記録再生時のタイミングが一定になるために、時間調整のために余分にRAM等のメモリを設ける必要がなく、さらに新たな機種の開発などの場合にも、そのソフトウェアの開発を容易に行うことができる。
【0083】
またパック構造にすることによって、例えば再生時にエラーが発生した場合にも、次のパックを容易に取り出すことができる。このためエラーの伝播等によって大量のデータが破壊されてしまうようなことがない。
なお、前述のMICにテキストデータを記憶する場合には、記憶容量の小さいMICの記憶エリアの使用量を節約するために、パックの構造を、例外的に1個のパックの中に記録対象であるテキストデータが全部格納される可変長パックの構造としており、これによってMICの記憶領域の消費量を節約している。
【0084】
(8) 付随情報記録エリアの構造
次に、パックを用いて多種多様な付随データが記録されるAAUXエリア、VAUXエリア、SUBCODEエリアのAUXデータ記録エリア、及びテープカセットに搭載されたMICの記録エリアの具体的構造について説明する。
▲1▼ AAUXエリア
AAUXエリアでは、図33の(2)に示される1SYNCブロックのフォーマットにおいて、5バイトのAAUXエリアで1個のパックが構成される。従って、AAUXエリアは1トラックにつき9個のパックで構成される。525/60システムのディジタルVTRでは1フレームのデータを10トラックで記録するので、1フレーム分のAAUXエリアは図5のように表される。
【0085】
この図において1つの区画が1個のパックを表す。そして、区画に記入されている番号50〜55は、その区画のパックのアイテムコードを16進数表示したものであり(例えば、この図における番号50は、前述のAAUX SOURCEパックを表している)、これらの6種類のパックをメインパックと呼び、これらのメインパックが記録されるエリアをAAUXメインエリアと言う。そして、このメインエリアには、図に示されるように同じパックデータが1フレームにつき10回繰り返して記録される。これらのメインパックには主に音声信号の記録再生に関し重要かつ必須なデータが記録されており、以上のような繰り返し記録を行うことによりテープの横傷やチャンネルクロッグ等の発生に対してもデータの再生可能性を高くしている。
【0086】
また、これ以外のエリアはAAUXオプショナルエリアと言い、多種多様なパックの中から任意のパックを選んで1フレームにつき最大30パックまで記録することができる。オプショナルエリアには、最初に共通のコモンオプションが記録されるコモンオプションエリアが設けられ、その後に、メーカーごとの固有の内容が記録されるメーカーオプショナルエリアが設けられる。但し、オプションなので片方だけ、または両方存在したり、または両方存在しない場合もある。
【0087】
そして、コモンオプショナルエリアには、例えば、テキストデータが記録される。一方、メーカーオプショナルエリアには、最初にソフトモード「1111」の大アイテムと「0000」の小アイテムを有する前述のMAKER CODEパックが設けられ、それに続いてメーカーごとの固有の内容が設けられる。従ってこのMAKER CODEパックが判別されると、それ以前は共通化された内容であり、これ以降はメーカーごとの固有の内容であると判別される。
【0088】
なお、情報が無い場合は、情報無しのパックNO INFOパックが記録される。
以上に説明したメインエリア、オプショナルエリア、コモンオプション、メーカーズオプションの仕組みは、AAUX、VAUX、SUBCODE、MICすべてに共通である。
【0089】
▲2▼ VAUXエリア
VAUXエリアについては、1トラックにおけるVAUXエリアが図35に示されるように3個のSYNCブロックα、β、γから構成され、そのパック個数は、図6に示されるように1SYNCブロックにつき15個、1トラックで45個となる。なお、1SYNCブロックにおける水平パリティC1の直前の2バイトのエリアは、予備的な記録エリアとして使用する。
【0090】
1フレーム分のVAUXエリアについて、そのパック構成を示すと図7のようになる。この図において16進数表示のアイテムコード60〜65が付されているパックはVAUXメインエリアを構成するVAUXメインパックであり、図42の〔2〕、及び図43の〔1〕〜〔5〕に示したパックがこれらのパックに相当している。その外のパックはVAUXオプショナルエリアを構成する。
【0091】
▲3▼ SUBCODEエリアのAUXデータ記録エリア
SUBCODEエリアのAUXデータ記録エリアは、図37に示されるように、SYNCブロック番号0〜11の各SYNCブロックの中に5バイトづつ存在し、それぞれが1パックを構成している。即ち、1トラックで12個のパックが記録され、そのうちSYNCブロック番号3〜5及び9〜11のパックがメインエリアを構成し、その外のパックはオプショナルエリアを構成する。
【0092】
このSUBCODEエリアにおいては、1フレーム分のデータが図8に示すようなフォーマットで反復記録される。この図において大文字のアルファベットはメインエリアのパックを表し、タイムコードを格納したパック、記録年月日を格納したパック等の高速サーチに用いられるパックが記録される。小文字のアルファベットはオプショナルエリアのパックを表し、この図に示されるような位置に反復して記録される。
【0093】
なお、図8は525/60システムの場合の記録パターンであるが、参考までに625/50システムの場合の1フレーム分のSUBCODEデータの記録パターンを図9に示す。この図に示されるように、625/50システムの場合は1フレームが12トラックで構成されるが、1トラックにおけるSUBCODEは525/60システムの場合と同様に12個のSYNCブロックで構成されており、トラック数のみが異なったものとなる。但し、1秒当たりに使用されるトラック本数は、いずれも300本となり等しくなっている。
【0094】
以上に説明したSD(STANDARD DENSITY)方式では1フレームが10トラックもしくは12トラックで構成されるが、HD(HIGH DENSITY)方式の場合には、1125/60システムでは1フレーム20トラック、1250/50システムでは1フレーム24トラックで記録が行われる。即ち、トラックピッチをSD方式の場合と等しくとればテープ消費量は2倍になる。
【0095】
なお、以上に説明した各記録エリアにおけるメインエリアには、あらゆるテープについて共通的な基本のデータ項目に関する付随的情報が格納されたパックが記録されるという特徴がある。一方、オプショナルエリアには、ソフトテープメーカー或るいは、ユーザー等が自由に任意の付随データを書き込むことができる。そのような付随的情報としては、例えば、種々の文字情報、文字放送信号データ、垂直ブランキング期間内或るいは有効走査期間内の任意のラインのテレビジョン信号データ、コンピューターグラフィックスのデータ等がある。
【0096】
▲4▼ MICの記録エリア
図10に、MICの記録エリアのデータ構造を示す。この記録エリアもメインエリアとオプショナルエリアに分かれており、先頭の1バイトと未使用エリア(FFhが記録される)を除いてすべてパック構造で記述される。前述のようにテキストデータだけは、可変長のパック構造で、それ以外はVAUX、AAUX、SUBCODEの各記録エリアと同じ5バイト固定長のパック構造で記録される。
【0097】
MICメインエリアの先頭のアドレス0には、MICのデータ構造を規定するIDデータであるAPM3ビットとBCID(Basic Cassette
ID)4ビットが記録される。ここで、APMの値は、本実施例のディジタルVTRでは「000」をとる。また、BCIDは、基本カセットIDであり、MICを搭載していないカセットのためのID認識(テープ厚み、テープ種類、テープグレード)用のIDボードと同じ内容である。IDボードは、MIC読み取り端子を従来の8ミリVTRのレコグニションホールと同じ役目をさせるもので、これにより従来のようにカセットハーフに穴を空ける必要がなくなる。
【0098】
アドレス1以降には順に、前述のCASSETE IDパック、TAPE LENGTHパック、TITLE ENDパックの3個のパックが記録される。
ここで、TAPE LENGTHパックには前述の如くテープの全長に対応したトラック本数が記録されているが、本ディジタルVTRにおいて用いられるテープカセットにおいては、このようにMIC内にテープの全長に関するデータを記録するだけでなく、テープカセット本体の外面にもテープの全長を表すデータとしてトラック本数を表記するようにしている。
【0099】
即ち、本ディジタルVTRは、前述のように同じテープカセットを用いて525/60システム、625/50システム、1125/60システム、及び1250/50システムのいずれのシステムのテレビジョン信号も記録可能であり、更に、記録モードとしてSPモード、及びLPモードのいずれかを選択可能であるが、このように多種多様な使用モードに供されるテープの場合、その記録可能時間は、その使用モードに応じて様々に変化し、特に、1つのテープ内に種々の記録モードによる記録部分が混在する場合を考えると、従来のテープカセットのようにその記録容量を1つの記録時間として表記しておいても実用性に乏しいことになる。
【0100】
また、1つのカセットテープに種々の使用モードで記録した場合の記録時間をすべて併記しておくことは、カセットサイズが小さいことを考えると現実的な対応策とは言いがたい。
そこで、本ディジタルVTRで用いるテープカセットにおいては、上記のようにテープの全長に対応するトラック本数を表記することによって該テープの記録容量を簡潔に表すことにしている。なお、このようなトラック本数を直接表記する代わりに、かかるトラック本数に対応させた記号(例えば、A、B、C、・・・等)を表記するようにしてもよい。
【0101】
また、TITLE ENDパックには、前述のように最終録画位置の記録モードがSPモード及びLPモードのいずれであるかを示すフラグSLが記録されているが、これによって、最終録画位置から録画を再開しようとする場合、記録ヘッドが最終録画位置に到達する以前から予めその記録モードを知ることができる。従って、このフラグの値に基づいて、最終録画位置から録画を再開する時のサーボの立ち上がりを早くすることができる。
【0102】
オプショナルエリアは、任意個数のイベントから構成される。メインエリアが、アドレス0から15まで16バイトの固定エリアだったのに対し、オプショナルエリアはアドレス16以降にある可変エリアである。ここで、イベントとはMICの1つのデータグループを意味し、イベントヘッダーから始まって次のイベントヘッダーが現れるまでで1つのイベントが構成される。
【0103】
そして、モード処理マイコンは、ユーザーからの種々の指令に応じてMICマイコンを介して各イベントの内容を解読し、この解読結果に基づいてユーザーからの指令に基づいた表示、制御等の動作を実行する。このようなイベントの具体例を上げると、例えば、タイマー予約録画イベントは、前述のTIMER REC DATEパックがイベントヘッダーとなり、TIMER REC S/SパックとVAUX SOURCEパックとの3個のパックで構成され、これに図1の(3)に示されるパックによるREC START POINTパックを加えれば、この位置からタイマー録画が開始される。
【0104】
このように一般に1つのイベントは、複数個のパックで構成されるが、その中に他のイベントヘッダーとして定義されているパックを入れることは禁じられている。なお、図1の(5)のTAGパックによっても記録開始位置或るいは再生開始位置を指定することが可能であるが、このTAGパックはイベントヘッダーも兼ねているので、例えば、記録開始位置を指定するためのパックとしてTAGパックをタイマー録画予約イベントの中に含ませることはできない。従って、タイマー録画予約イベントに記録開始位置を指定するためのパックを加える場合には、上記のREC START POINTパックを用いることになる。なお、このTAGパックは、後述するように、このパック1個のみでもイベントとして存在できる。
【0105】
オプショナルエリアに記録されている特定のイベントを消去した時にはアドレス16以降に残りのイベントを詰めて保存する。詰め込み作業後不要となったデータエリアは、すべてFFhを書き込んでおき、未使用エリアとする。MICデータの読出し時、そのパックヘッダーの内容により5バイト毎、または可変長バイト(テキストデータ)毎に、次のパックヘッダーが登場するが、未使用エリアのFFhをヘッダーとして読みだすと、これは情報無しパック(NO INFOパック)のパックヘッダーに相当するので、コントロールマイコンはそれ以降に情報が無いことを検出できる。
【0106】
なお、オプショナルエリアには、以上のようなタイマー録画予約イベント、及びTAGパックの外、TOC(Table of Contents)、及びプログラムに関するタイトルのテキストデータ等が記録される。
【0107】
1─2. ディジタルVTRの記録回路
本実施例のディジタルVTRでは、以上に説明した記録フォーマットに従ってテープ及びMICへの記録が行われるが、次に、このような記録を実行するディジタルVTRの記録回路の構成及び動作について説明する。
かかる記録回路の構成を図11に示す。
【0108】
この図において、入力されたアナログコンポジットビデオ信号はY/C分離回路41によりY,R−Y,R−Yの各コンポーネント信号に分離され、A/D変換器42へ供給される。また、アナログコンポジットビデオ信号は同期分離回路44へ供給され、ここで分離された同期信号はクロック発生器45へ供給される。クロック発生器45はA/D変換器42及びブロッキング・シャフリング回路43のためのクロック信号を生成する。
【0109】
A/D変換器42へ入力されたコンポーネント信号は、525/60システムの場合、Y信号は13.5MHz、色差信号は13.5/4MHzのサンプリング周波数で、また625/50システムの場合、Y信号は13.5MHz、色差信号は13.5/2MHzのサンプリング周波数で、A/D変換が行われる。そして、これらのA/D変換出力のうち有効走査期間のデータDY,DR,DBのみがブロッキング・シャフリング回路43へ供給される。
【0110】
このブロッキング・シャフリング回路43において、有効データDY,DR,DBは、水平方向8サンプル、垂直方向8ラインを1つのブロックとするブロッキング処理を施され、さらにDYのブロック4個、DRとDBのブロックを1個ずつ、計6個のブロックを単位として画像データの圧縮効率を上げ、かつ再生時のエラーを分散させるためのシャフリングが行われた後、圧縮符号化部へ供給される。
【0111】
圧縮符号化部は、入力された水平方向8サンプル、垂直方向8ラインのブロックデータに対してDCT(離散コサイン変換)を行う圧縮回路46、その結果を所定のデータ量まで圧縮できたかを見積もる見積器48、及びその判断結果を基に最終的に量子化ステップを決定し、可変長符号化を用いたデータ圧縮を行う量子化器47とから構成される。量子化器47の出力は、フレーミング回路49において図35において説明したフォーマットにフレーム化される。
【0112】
図11におけるモード処理マイコン67は、人間とのマンマシンインターフェースを取り持つマイコンで、テレビジョン信号の垂直同期の周波数に同期して動作する。また、信号処理マイコン55は、よりマシンに近い側で動作するものであり、ドラムの回転数9000rpm,150Hzに同期して動作する。
【0113】
そして、VAUX,AAUX,SUBCODEの各エリアのパックデータは、基本的にモード処理マイコンで生成されると共に、TITLE ENDパック等に格納される絶対トラック番号は信号処理マイコン55で生成され、後で所定の位置に嵌め込む処理が実行される。SUBCODE内に格納されるタイムコードデータも信号処理マイコン55で生成される。
【0114】
これらの結果は、マイコンとハードウエアとの間を取り持つインターフェースVAUX用IC56、SUBCODE用IC57及びAAUX用IC58に与えられる。VAUX用IC56は、タイミングをはかって合成器50でフレーミング回路49の出力と合成する。また、SUBCODE用IC57は、AP3、SUBCODEのIDであるSID、及びSUBCODEのパックデータSDATAを生成する。
【0115】
一方、入力オーディオ信号はA/D変換器51によりディジタルオーディオ信号に変換される。なお、ビデオ信号及びオーディオ信号のAD変換の際には、この図には示されていないが、サンプリング回路の前段にそのサンプリング周波数に応じたLPFを設けることが必要である。AD変換されたオーディオデータは、シャフリング回路52によりデータの分散処理を受けた後、フレーミング回路53において図33において説明したフォーマットにフレーム化される。この時AAUX用IC58は、AAUXのパックデータを生成しタイミングを見計らって、合成回路54にてオーディオのSYNCブロック内の所定の場所にそれらを詰め込む。
【0116】
次にVAUXを例にパックデータの記録回路を説明する。図12にその全体の流れを示す。まずモード処理マイコン67でVAUXに格納すべきパックデータを生成する。それをP/S変換回路118にてシリアルデータに変換し、マイコン間の通信プロトコルに従って信号処理マイコン55に送る。ここでS/P変換回路119にてパラレルデータに戻し、スイッチ122を介してバッファメモリ123に格納する。送られたパックデータのうちその5バイト毎の先頭のヘッダー部をパックヘッダー検出回路120にて抜き出し、そのパックが絶対トラック番号を必要とするパックかどうかを調べる。必要ならスイッチ122を切り換えて絶対トラック番号生成回路121から23ビットのデータを8ビット刻みで格納する。格納エリアは、個々のパック構造において説明したようにすべて格納すべきパックのPC1、PC2、PC3の固定位置である。
【0117】
ここで回路119は、マイコン内にあるシリアルI/Oであり、回路120、121、122はマイコンプログラムで構成され、回路123は、マイコン内のRAMである。このようにパック構造の処理は、わざわざハードで組まなくても、マイコンの処理時間で間に合うためコスト的に有利なマイコンを使用する。
こうしてバッファメモリ123に格納されたデータは、VAUX用IC56のライト側タイミングコントローラ125からの指示により、順々に読みだされる。この時前半の6パック分はメインエリア用、その後の390パック分はオプショナルエリア用として、スイッチ124を切り換える。
【0118】
メインエリア用のFIFO126は30バイト、オプショナルエリアのFIFO127は1950バイト(525/60システム)、若しくは2340バイト(625/50システム)の容量を持つ。
VAUXは、図13の〔1〕に示されるようにトラック内SYNC番号19、20、156の所に格納される。またフレーム内トラック番号が、1、3、5、7、9の時、+アジマスでSYNC番号19の前半にメインエリアが、フレーム内トラック番号が、0、2、4、6、8の時、−アジマスでSYNC番号156の後半にメインエリアがある。これを1ビデオフレームでまとめて描いたのが、図13の〔2〕である。このようにタイミング信号nMAIN=「L」の時が、メインエリアとなる。このような信号をリード側タイミングコントローラ129にて生成し、スイッチ128を切り換えその出力を合成回路50へ渡す。
【0119】
ここで、nMAIN=「L」の時には、メインエリア用FIFO126のデータを繰り返し10回(525/60システム)、もしくは12回(625/50システム)読み取ることになる。nMAIN=「H」の時は、オプショナルエリア用FIFO127を読みだす。これは、1ビデオフレームに一回だけ読む。
図14にモード処理マイコン内のパックデータ生成部を主として示す。まず大きく分けて回路は、メインエリア用とオプショナルエリア用とに分かれる。回路131は、メインエリア用データ収集生成回路である。ディジタルバスやチューナーから図のようなデータを受け取ると共に内部で139に示すようなデータ群を生成する。これをメインパックのビットバイト構造に組み立て、スイッチ132によりパックヘッダーを付加し、スイッチ136を介してP/S変換回路118に入力する。
【0120】
オプショナルエリア用データ収集生成回路133には、例えばチューナーからTELETEXTデータや番組タイトル等が入力され、これらを格納したパックデータが生成される。どのオプショナルエリアに記録するかはVTRセットが個々に決定する。そのパックヘッダーを回路134により設定してスイッチ135により付加し、スイッチ136を介してP/S変換回路138に入力する。これらのタイミングは、タイミング調整回路137により行う。
ここでも前述のように回路118は、マイコン内にあるシリアルI/Oであり、回路131〜137はマイコンプログラムで構成される。
【0121】
図11における発生器59では、AV(Audio/Video)の各ID部とプリSYNC、ポストSYNCの生成を行う。ここでは、AP1、AP2も生成し所定のID部にはめ込む。発生器59の出力と、ADATA(AUDIO
DATA)、VDATA(VIDEO DATA)、SID、SDATAは、第1のスイッチング回路SW1によりタイミングを見て切り換えられる。
【0122】
そして、第1のスイッチング回路SW1の出力はパリティ生成回路60において、所定のパリティが付加され、乱数化回路61、24/25変換回路62へ供給される。ここで、乱数化回路61はデータの直流成分をなくすために入力データを乱数化する。また、24/25変換回路62は、データの24ビット毎に1ビットを付加してパイロット信号成分を付与する処理及びディジタル記録に適したプリコード処理(パーシャルレスポンスクラスIV)を行う。
【0123】
こうして得られたデータは合成器63へ供給され、ここでA/V SYNC,及びSUBCODE SYNCの発生器64が生成したオーディオ、ビデオ及びSUBCODEのSYNCパターンが合成される。合成器63の出力は第2のスイッチング回路SW2へ供給される。また、ITI発生器65が出力するITIデータとアンブルパターン発生器66が出力するアンブルパターンも、第2のスイッチング回路SW2へ供給される。
【0124】
ITI発生器65には、モード処理マイコン67からAPT,SP/LP,PFの各データが供給される。ITI発生器65はこれらのデータをTIAの所定の位置に嵌め込んで第2のスイッチング回路SW2へ供給する。したがって、スイッチング回路SW2を所定のタイミングで切り替えることにより、合成器63の出力にアンブルパターン及びITIデータが付加される。第2のスイッチング回路SW2の出力は記録アンプ(図示せず)により増幅され、磁気ヘッド(図示せず)により磁気テープ(図示せず)に記録される。
【0125】
モード処理マイコン67はディジタルVTR全体のモード管理を行う。このマイコンに接続された第3のスイッチング回路SW3は、VTR本体の外部スイッチであり、様々なモードの記録動作及び再生動作を指示することができるように構成されたスイッチ群である。そして、このスイッチ群による設定結果はモード処理マイコン67により検出され、マイコン間通信により信号処理マイコン55、MICマイコン69及びメカ制御マイコン(図示せず)へ与えられる。
【0126】
以上の一連の記録動作は、モード処理マイコン67を中心に、メカ制御マイコンや信号処理マイコン55と各パート担当のICとの連携動作で行われる。
なお、MICマイコン69はMIC処理用のマイコンである。ここでMIC内のパックデータやAPM等を生成し、MIC接点(図示せず)を介してMIC付きカセット(図示せず)内のMIC68へ与える。
【0127】
1─3. ディジタルVTRの再生回路
次に、図15及び図16を参照しながら本実施例におけるディジタルVTRの再生回路について説明する。
これらの図において磁気ヘッド(図示せず)により磁気テープ(図示せず)から再生された微弱信号は、ヘッドアンプ(図示せず)により増幅され、イコライザー回路71へ加えられる。イコライザー回路71は、記録時に磁気テープと磁気ヘッドとの電磁変換特性を向上させるために行ったエンファシス処理(例えばパーシャルレスポンスクラスIV)の逆処理を行うものである。
【0128】
イコライザー回路71の出力からクロック抽出回路72によりクロックCKを抜き出す。このクロックCKをA/D変換器73へ供給し、イコライザー回路71の出力をディジタル値化する。こうして得られた1ビットデータをクロックCKを用いてFIFO74に書き込む。
このクロックCKは、回転ヘッドドラムのジッター成分を含んだ時間的に不安定な信号である。しかしA/D変換する前のデータ自身もジッター成分を含んでいるので、サンプリングすること自体には問題はない。
【0129】
ところが、これから画像データ等を抜き出す時には、時間的に安定したデータになっていないと取り出せないので、FIFO74を用いて時間軸調整を行う。つまり書き込みは不安定なクロックで行うが、読み出しは図30に示されている水晶発信子等を用いた自励発信器91からの安定したクロックSCKで行う。FIFO74の深さとしては、入力データの入力スピードよりも速く読み出さないような余裕のあるものにする。
【0130】
FIFO74の各段の出力はSYNCパターン検出回路75に加えられる。ここには、第5のスイッチング回路SW5により、各エリアのSYNCパターンが、タイミング回路79により切り替えられて与えられる。SYNCパターン検出回路75はフライホイール構成になっており、一度SYNCパターンを検出すると、それから所定のSYNCブロック長後に再び同じSYNCパターンが来るかどうかを見る。それが例えば3回以上正しければ真とみなすような構成にして、誤検出を防いでいる。FIFO74の深さはこの数分は必要である。
【0131】
こうしてSYNCパターンが検出されると、FIFO74の各段の出力からどの部分を抜き出せば一つのSYNCブロックが取り出せるか、そのシフト量が決定されるので、それを基に第4のスイッチング回路SW4を閉じて、必要なビットをSYNCブロック確定ラッチ77に取り込む。これにより、取り込んだSYNC番号をSYNC番号抽出回路78において取り出し、タイミング回路79へ供給する。この読み込んだSYNC番号によりトラック上のどの位置をヘッドが走査しているかがわかるので、それにより第5のスイッチング回路SW5及び第6のスイッチング回路SW6を切り替える。
【0132】
第6のスイッチング回路SW6は、ヘッドがITIエリアを走査している時下側に切り替わっており、減算器80によりITISYNCパターンを取り除いて、ITIデコーダ81に加える。ITIエリアはコーディングして記録してあるので、それをデコードすることにより、APT、SP/LP、PFの各データを取り出せる。これらのデータは、SP/LPモードを設定する第7のスイッチング回路SW7が接続されたモード処理マイコン82へ与えられる。モード処理マイコン82はディジタルVTR全体の動作モード等を決めるものであり、メカ制御マイコン85や信号処理マイコン100と連携を取って、セット全体のシステムコントロールを行う。
【0133】
モード処理マイコン82には、APM等を管理するMICマイコン83が接続されている。MIC付きカセット(図示せず)内のMIC84からの情報は、MIC接点スイッチ(図示せず)を介してこのMICマイコン83に与えられ、モード処理マイコン82と役割分担しながら、MICの処理を行う。セットによっては、このMICマイコン83は省略され、モード処理マイコン82でMIC処理を行う場合もある。
【0134】
ヘッドがオーディオエリア、ビデオエリア、或るいはSUBCODEエリアを走査している時には、第6のスイッチング回路SW6は上側に切り替わっている。減算器86により各エリアのSYNCパターンを抜き出した後、24/25逆変換回路87を通し、さらに逆乱数化回路88に加えて、元のデータ列に戻す。こうして取り出したデータをエラー訂正回路89に加える。
【0135】
エラー訂正回路89では、記録側で付加されたパリティを用いて、エラーデータの検出、訂正を行うが、どうしても取りきれなかったデータはERRORフラグをつけて出力する。各データは第8のスイッチング回路SW8により切り替えられて出力される。AV ID,プリSYNC,ポストSYNC抽出回路90は、A/Vエリア及びプリSYNCとポストSYNCに格納されていたSYNC番号、トラック番号、それにプリSYNCに格納されていたSP/LPの各信号を抜き出す。これらはタイミング回路79に与えられ各種タイミングの生成に使用される。なお、上記抽出回路90においては、AP1、AP2も抜き出され、これはモード処理マイコン82ヘ供給されてチェックが行われる。AP1、AP2=000の時には通常通り動作するが、それ以外の値の時は警告処理等のウォーニング動作を行う。
【0136】
SP/LPについては、モード処理マイコン82がITIから得られたものとの比較検討を行う。ITIエリアには、その中のTIAエリアに3回SP/LP情報が書かれており、そこだけで多数決等を取って信頼性を高める。プリSYNCは、オーディオ、ビデオにそれぞれ2SYNCづつあり、計4箇所SP/LP情報が書かれている。ここもそこだけで多数決等を取って信頼性を高める。そして最終的に両者が一致しなかった場合には、ITIエリアのものを優先して採用する。
【0137】
第8のスイッチング回路SW8から出力されたVDATAは、図16に示される第9のスイッチング回路SW9によりビデオデータとビデオ付随データに切り分けられる。そして、ビデオデータはエラーフラグと共にデフレーミング回路94に与えられる。
デフレーミング回路94は記録側のフレーミングの逆変換をする所で、その中に詰め込まれたデータの性質を把握している。そこであるデータに取りきれなかったエラーがあったとき、それがそのほかのデータにどう影響を及ぼすかを理解しているので、ここで伝播エラー処理を行う。これによりERRORフラグは、新たに伝播エラーを含んだVERRORフラグとなる。また、エラーを有するデータであっても画像再現上重要でないものは、その画像データにある細工をして、エラーフラグを消してしまう処理も、このデフレーミング回路94で行う。
【0138】
ビデオデータは逆量子化回路95、逆圧縮回路96を通して、圧縮前のデータに戻される。次にデシャフリング・デブロッキング回路97により、データをもとの画像空間配置に戻す。この実画像空間にデータを戻して初めて、VERRORフラグを基に画像の補修が可能になる。つまり、例えば常に1フレーム前の画像データをメモリに記憶させておき、エラーとなった画像ブロックを前の画像データで代用してしまうような処理が行われる。
【0139】
さてデシャフリング以降は、DY,DR,DBの3系統にデータを分けて扱う。そしてD/A変換器101〜103によりY、R−Y、B−Yの各アナログ成分に戻される。この時のクロックは発振回路91の出力とそれを分周器92にて分周した出力を用いる。つまりYは、13.5MHZ 、R−Y、B−Yは、6.75MHZ または3.375MHZ である。
【0140】
こうして得られた3つの信号成分は、Y/C合成回路104において合成され、さらに合成器105において同期信号発生回路93からのコンポジット同期信号と合成され、コンポジットビデオ信号として端子106から出力される。
第8のスイッチング回路SW8から出力されたADATAは、図16に示される第10のスイッチング回路SW10によりオーディオデータとオーディオ付随データに切り分けられる。そして、オーディオデータはERRORフラグと共にデフレーミング回路107に与えられる。
【0141】
デフレーミング回路107は、記録側のフレーミングの逆変換をする所で、その中に詰め込まれたデータの性質を把握している。そこであるデータに取りきれなかったエラーがあったとき、それがそのほかのデータにどう影響を及ぼすかを理解しているので、ここで伝播エラー処理を行う。例えば、16ビットサンプリングの時、1つのデータは8ビット単位なので、1つのERRORフラグは、新たに伝播エラーを含んだAERRORフラグとなる。
【0142】
オーディオデータは、次のデシャフリング回路108により元の時間軸上に戻される。この時、先ほどのAERRORフラグを基にオーディオデータの補修作業を行う。つまり、エラー直前の音で代用する前値ホールド等の処理を行う。エラー期間があまりに長く、補修が効かない場合には、ミューティング等の処置をして音そのものを止めてしまう。
【0143】
このような処置をした後、D/A変換器109によりアナログ値に戻し、画像データとのリップシンク等のタイミングを取りながら、アナログオーディオ出力端子110から出力する。
さて、第9のスイッチング回路SW9及び第10のスイッチング回路SW10により切り分けられたVAUX、AAUXの各データは、それぞれVAUX用IC98及びAAUX用IC111においてエラーフラグも参考にしながら多数決処理等の前処理を行う。
【0144】
また、第8のスイッチング回路SW8から出力されたSUBCODEエリアのIDデータSIDとパックデータSDATAは、SUBCODE用IC112に与えられ、ここでもエラーフラグも参考にしながら多数決処理等の前処理を行う。これらの前処理が行われたデータは、その後、信号処理マイコン100に与えられ、最終的な読み取り動作を行う。そして、前処理において取りきれなかったエラーは、それぞれVAUXER、SUBER、AAUXERとして信号処理マイコン100に与えられる。
【0145】
ここでSUBCODE用IC112はAP3、及びAPTを抜き出し、これらを信号処理マイコン100を介してモード処理マイコン82に渡してチェックをする。モード処理マイコン82は、ITIからのAPT、及びSUBCODEからのAPTにもとづいてAPTの値を確定すると共に、この値が「000」でない時は警告処理等の動作を行う。また、AP3=000の時には通常通り動作するが、それ以外の値の時は警告処理等のウォーニング動作を行う。
【0146】
ここで、パックデータのエラー処理について補足すると、各々のエリアにはメインエリアとオプショナルエリアがある。そして525/60システムの場合には、同じデータがメインエリアに10回書かれている。従ってそのうちいくつかがエラーしていても、その他のデータで補足再現できるのでそこのERRORフラグはもはやエラーではなくなる。ただしSUBCODE以外のオプショナルエリアについてはデータは1回書きなので、エラーはそのままVAUXER、AAUXERとして残ることになる。
【0147】
信号処理マイコン100は、さらに各データのパックの前後関係などから類推して、伝播エラー処理やデータの補修処理等を行う。こうして判断した結果は、モード処理マイコン82に与えられ、セット全体の挙動を決める材料にする。
次にVAUXを例にVAUX用IC98及び信号処理マイコン100におけるパックデータの再生回路を説明する。ここでは、前処理として多数決処理ではなく、エラーの場合にはメモリに書き込まないという単純な処理方式を用いた構成例について説明する。図17にVAUX用IC98の回路例を示す。まずスイッチング回路SW9からきたVAUXパックデータを、ライト側コントローラ142により図31のnMAIN=「L」のタイミングで、スイッチ141を切り換えることによりメインエリア用メモリ145及びオプショナルエリア用FIFO148に振り分ける。
【0148】
メインエリアのパックデータは、パックヘッダー検出回路143によりそのヘッダーを読み取ってスイッチ144を切り換える。そしてERRORでない時だけデータをメインエリア用メモリに書き込む。このメモリは、9ビット構成になっており、図で網点がかかっている部分はエラーフラグの格納ビットである。
メインエリア用メモリの初期設定としては、1ビデオフレーム毎にその内容をすべてオール1(=情報無し)にしておく。そしてERRORだったらなにもせず、ERRORでなければそのデータを書き込むと共にエラーフラグに0を書き込んでおく。メインエリアには1フレームにつき同じパックが10回、もしくは12回書きされているので1ビデオフレーム終了時点でエラーフラグに1が立っているところが、最終的にエラーと認識される。
【0149】
オプショナルエリアは、基本的に1回書きなので、ERRORフラグをそのままデータと共にオプショナルエリア用FIFO148に書き込む。これらをリード側タイミングコントローラ149によって切り換えられるスイッチ146、147を介して信号処理マイコン100へ送る。
信号処理マイコン100では、送られてきたパックデータとエラーフラグから解析を行う。信号処理マイコン100における処理動作を図18を参照して説明する。この図においてパックヘッダー識別回路150により、VAUX用IC98から送られてきたパックデータ(VAUXDT)の振り分けを行い、メモリ151に貯える。これは、メインエリア、オプショナルエリアの区別は特にしない
。
【0150】
メインエリアのパックの場合には、VAUX用IC98と同じく、VAUXERにエラーフラグ「1」が立っている時には書き込み処理を行わない。これにより少なくとも1ビデオフレーム前の値で補修ができる。メインエリアの内容は、1ビデオフレーム前の値と非常に相関が強いと考えられるので、この処理で代用してしまっても特に問題は生じない。
【0151】
一方、オプショナルエリアのパックの場合には、1ビデオフレーム前の値と全く相関がないと考えられるので、そのパック単位でエラー伝播処理を行う。
この方法は、基本的には5バイト固定長のパックデータの中にエラーが有れば全データをFFhとする「情報無しパック」に変更することにより行われるが、パック個別対応も必要となる。例えば、Teletextデータが格納される「Teletext」パックの場合には、そのパックがいくつも続く関係から、その間のパックヘッダーにエラーがあっても容易にTeletxtパックヘッダーに置き換えが可能である。またデータ部にエラーがあっても、パックヘッダーにエラーが無ければそのパックを「情報無しパック」に変更することはしない。これは、そのTeletextデータの復元を、Teletextデコーダーのパリティチェックに委ねているからで、エラーとわかってもデータはそのままにしておく。
【0152】
即ち、本実施例のディジタルVTRにおいては、図15の再生回路では記載を省略しているが、テキストデータ、Teletextデータ等のようにデータ量が多く、かつ、1連のデータシーケンスとして特徴のあるパックデータについては、それぞれ信号処理マイコン100から専用のデータ処理回路へ受け渡して、より高能率のエラー補正を実行すると共に、モード処理マイコン82に対する負荷の軽減を行うようにしている。
【0153】
以上のような信号処理マイコン100における処理により整えられたデータには、すでにエラーフラグは存在しない。これらをP/S変換回路152にてシリアルデータに変換し、マイコン間の通信プロトコルに従ってモード処理マイコン82に送る。ここでS/P変換回路153にてパラレルデータに戻し、パックデータ分解解析を行う。
【0154】
ここで回路150、155、及びスイッチ154はマイコンのプログラムで構成されると共に、メモリ151はマイコン内部のメモリ、回路152、及び153はマイコン内部のシリアルI/Oである。
モード処理マイコン82におけるパックデータの分解解析においては、確定されたパックヘッダーに基づいてパックデータの解析を行い、解析結果として得られる種々の制御情報、表示情報等をそれぞれの制御回路、表示回路等へ供給する。
【0155】
以上、本実施例のディジタルVTRの概要を525/60システムの場合を中心に説明したが、本実施例のディジタルVTRは、このシステムに限らず他のSD(Standard Density)方式である625/50システム、並びにHD(High Density)方式である1125/60システム及び1250/50システムにも直ちに適用できるものである。
【0156】
2. アプリケーションIDシステム
以上、本実施例におけるディジタルVTRの概要について説明したが、このディジタルVTRは、画像圧縮記録方式の民生用ディジタルVTRに限らずそれ以外の種々のディジタル信号記録再生装置として容易に商品展開できるように基本設計されている。そして、前述のディジタルVTRの説明の中で現れたIDデータAPT,AP1〜AP3,APMが、このような種々のディジタル信号記録装置への展開を可能ならしめる役割を担うものであり、これらのIDデータを一括してアプリケーションIDと呼ぶ。
【0157】
そこで、次に、このアプリケーションIDシステムについて補足説明する。
上記のアプリケーションIDは、ディジタルVTRの応用例を決めるIDではなく単に記録媒体のエリアのデータ構造を決定するだけのIDであり、APT及びAPMについては前述のとおり以下の意味付けがなされている。
APT・・・トラック上のデータ構造を決める。
APM・・・MICのデータ構造を決める。
【0158】
即ち、まず、APTの値により、このディジタル信号記録再生装置におけるトラック上のデータ構造が規定される。つまり、ITIエリア以降のトラックが、APTの値に応じて図19のようにいくつかのエリアに分割され、それらのトラック上の位置、SYNCブロック構成、エラーからデータを保護するためのECC構成等のデータ構造が一義的に決まる。さらに各エリアには、それぞれそのエリアのデータ構造を決めるアプリケーションIDが存在する。その意味付けは以下のようになる。
エリアnのアプリケーションID・・・エリアnのデータ構造を決める。
【0159】
そして、テープ上のアプリケーションIDは、図20のような階層構造を持つ。すなわち、おおもとのアプリケーションIDであるAPTによりトラック上のエリアが規定され、その各エリアにさらにAP1〜APnが規定される。エリアの数は、APTにより定義される。図20では二階層で書いてあるが、必要ならさらにその下に階層を設けてもよい。このようにAPT,AP1〜APnの値を指定することによって、このディジタル信号記録再生装置の具体的信号処理の構成及び該装置の用途が特定される。
【0160】
なお、MIC内のアプリケーションIDであるAPMは一階層のみであり、その値は、そのディジタル信号記録再生装置によりそのAPTと同じ値が書き込まれる。
このアプリケーションIDシステムにより、民生用のディジタルVTRを、そのカセット、メカニズム、サーボシステム、ITIエリアの生成検出回路等をそのまま流用して、全く別の商品群、例えばデータストリーマーやマルチトラック・ディジタルオーディオテープレコーダーのようなものを作り上げることが可能である。また1つのエリアが決まっても、その中味をさらにそのエリアのアプリケーションIDで定義できるので、あるアプリケーションIDの値の時はそこはビデオデータ、別の値の時はビデオ・オーディオデータ、またはコンピューターデータというように非常に広範な商品展開が可能である。
【0161】
次に、アプリケーションIDの値が指定された場合の具体例について説明する。
まず、APT=000の時の様子を図21に示す。この時トラック上にエリア1、エリア2、エリア3が規定される。そしてそれらのトラック上の位置、SYNCブロック構成、エラーからデータを保護するためのECC構成、それに各エリアを保証するためのギャップや重ね書きを保証するためのオーバイライトマージンが決まる。さらに各エリアには、それぞれそのエリアのデータ構造を決めるアプリケーションIDが存在する。その意味付けは以下のようになる。
【0162】
AP1・・・エリア1のデータ構造を決める。
AP2・・・エリア2のデータ構造を決める。
AP3・・・エリア3のデータ構造を決める。
そしてこの各エリアのApplication IDが、000の時を以下のように定義する。
【0163】
AP1=000・・・画像圧縮記録方式民生用ディジタルVTRのオーディオ、AAUXのデータ構造を採る
AP2=000・・・画像圧縮記録方式民生用ディジタルVTRのオーディオ、AAUXのデータ構造を採る
AP3=000・・・画像圧縮記録方式民生用ディジタルVTRのサブコード、IDのデータ構造を採る
すなわち、画像圧縮記録方式民生用ディジタルVTRを実現するときは、APT、AP1、AP2、AP3=000となる。このとき、当然、APMも000となる。
【0164】
3.記録・再生開始位置の制御
次に、本願の課題であるVTRにおける記録再生の際のテープ上の開始位置の制御方法について説明する。
【0165】
3−1. TAGパックのみを使用する方法
本実施例のディジタルVTRにおいては、前述のようにTAGパックは単独でイベントとしてMIC内に存在することができるので、このTAGパックを用いるのみでも記録或るいは再生の際の開始位置の制御が可能である。以下に、この場合の構成について説明する。なお、以下の説明においては、MIC内に格納するパックもモード処理マイコンによって生成され、これがMICマイコンを介してMICに記録されるように構成されたディジタルVTRの場合について述べる。
【0166】
▲1▼ 再生開始位置の制御
例えば、このディジタルVTRにより再生されている画像を見ている途中で中座するときには、このディジタルVTRに設けられている再生開始位置予約ボタンを押すことによって、このボタンが押された時点の再生トラックの絶対トラック番号を記憶させておくことができる。この記憶動作は、具体的には、このボタンが押されたことをまずモード処理マイコンが検知し、これに基づいて該モード処理マイコンは、このボタンが押された時点に記録トラックのSUBCODEエリアから再生された絶対トラック番号を読み出し、更に、TAG IDが「1011」のTAGパック(即ち、PB START POINTのTAGパック)にこの絶対トラック番号を格納し、このTAGパックをMICマイコンを介してMICに記録することによって行われる。図22は、この場合のテープ上の再生開始位置とTAGの関係を示したものである。
【0167】
そして、このディジタルVTRには通常の再生ボタンの外に、上記の予約された再生開始位置から再生動作を実行させるための予約再生開始ボタンが設けられており、ユーザーは、随時このボタンを押すことによって予約した再生開始位置から再生動作を実行させることができる。この再生動作も主にモード処理マイコンによって全体の制御が行われるように構成されており、モード処理マイコンは、このボタンが押されたことを検知すると、MICマイコンを介してMICのオプショナルエリアのサーチを行い、PB START POINTのTAGパックに格納されている絶対トラック番号を読み出す。
【0168】
そして、この読み出された絶対トラック番号の位置から再生動作を開始するようにメカ制御マイコンへ指令を出すことにより、高速で目的とする再生開始位置までテープを走行させてから再生動作が開始される。このように、指定された開始位置情報をカセット自身が記憶しているので、開始位置が指定された後カセットがVTRからイジェクトされても、このカセットをVTRに装填すれば正確に予約された開始位置から再生動作が開始される。
【0169】
▲2▼ 録画開始位置の制御
また、本ディジタルVTRには録画開始位置指定ボタンも設けられており、例えば、テープの再生中に不要記録部分の先頭位置を見つけたときには、このボタンを押すことによってこの先頭位置を録画開始位置として記憶しておくことができる。この記憶動作は、ボタンが押された時点に再生トラックから再生された絶対トラック番号をREC START POINTのTAGパック(TAG ID=1010)に格納してMICに記録することにより行われる。この場合の記録開始位置とTAGの関係を示すと図23のようになる。その後、ユーザーが録画ボタンを押したときには、まず、MICの中がサーチされ、このパックが見つかるとこの記憶された絶対トラック番号位置までテープを走行させてから録画動作が開始される。
【0170】
なお、MIC内に上記のTAGパックが存在しなかったときは、次の3−2.の▲1▼において説明するように、記録ヘッドの現在位置から記録する、或るいは、LAST REC POINTのTAGパックに格納されている最後記録位置、及びTITLE ENDパックに格納された最終記録位置のうち最適な方の記録位置を選択して記録する、等の種々の方法を採用することができる。
【0171】
3−2. 複数パックから成るイベントを使用する方法
次に、複数パックから成るイベントを使用して記録動作或るいは再生動作の制御を行う場合の開始位置の制御について説明する。
【0172】
▲1▼ タイマー録画予約における開始位置の制御
タイマー録画予約イベントは、前述の通り、基本的にはTIMER REC
DATEパック、TIMER REC S/Sパック、及びVAUX SOURCEパックから構成される。これを模式的に簡略化して示したのが図24の〔1〕である。そして、タイマー録画予約イベントがこのように3パックのみから構成されているときは、録画開始位置は現在の記録ヘッドの位置となる。
【0173】
これに対し、本ディジタルVTRは、タイマー録画予約設定時に前述の録画開始位置指定ボタンも操作すると、このボタン操作時における再生トラックの番号が読み取られて、図1の(3)に示されるパックに基づくREC START
POINTパックに格納され、この生成されたパックが、図24の〔2〕に示されるように、上記の3パックに対して付け加えられるように構成されている(即ち、タイマー録画予約設定時には、3−1.の▲2▼において説明した場合とは異なるパックを生成するようにモード処理マイコンがプログラムされている)。そして、かかるボタン操作を行った後、ユーザーがディジタルVTRをタイマー録画予約待機状態に設定すると、テープが自動的に指定された録画開始位置まで走行してから録画待機状態となる。
【0174】
なお、この録画開始位置をユーザーに表示したいときは、図24の〔2〕に示されるイベントに対して、更に図1の(4)に示されるパックを用いてタイムコード表現のREC START POINTパックを付け加え、モード処理マイコンが、このパック内容を表示するための制御動作を実行するようにプログラムを構成しておく。
【0175】
上記のREC START POINTパックの生成もモード処理マイコンによって実行されるが、その際、モード処理マイコンが、TITLE ENDパックに格納されているデータとユーザーが指定した録画開始位置とに基づいてテープの残量を算出すると共に、タイマー録画予約イベントの中のデータに基づいて録画に必要なテープ量も算出し、更に、この録画に必要なテープ量と前記の算出された残量を比較してテープ残量が不足であると判断されたときには、録画開始位置を設定し直すようにユーザーに対して指令を出すように構成することもできる。
【0176】
この場合、録画に必要なテープ量は、TIMER REC S/Sパックの格納データから計算される録画所要時間、TIMER REC DATEパック内の記録モード(SP/LP)を表すSLフラグ、及びVAUX SOURCEパック内のテレビジョン信号の方式に関する情報から直ちに計算できる。
【0177】
なお、タイマー録画予約設定時にユーザーが録画開始位置指定ボタンを押さなかった場合、前述のように現在の記録ヘッドの位置を録画開始位置とする代わりに、予め録画開始位置を決定する際の優先順位を、例えば、1)REC START POINTのTAGパックに格納されている録画開始位置、2)TITLE ENDパックに格納されている最終録画位置、3)LAST REC POINTのTAGパックに格納されている最後記録位置、等のように設定しておき、モード処理マイコンによってこの優先順位及びテープ残量を判断して録画開始位置を決定し、更に、この決定された録画開始位置のデータを図1の(3)のパックに基づくREC START POINTパックに格納し、このパックをタイマー録画予約イベントに加えるようにしてもよい。
【0178】
この場合のモード処理マイコンの動作フローの1例を図25により説明する。この図において、まず、MIC内をサーチしてREC START POINTのTAGパックが格納されているかどうかを調べる(ステップST1)。そして、このTAGパックが存在していたときはTAPE LENGTHパックのデータを用いてTAGパックに格納されている記録開始位置からのテープの残量を計算すると共に、この残量が録画に十分なものであるかどうかを判断し(ステップST2)、残量が十分のときは、このTAGパックに格納されている記録開始位置を図1の(3)のパックによるREC START POINTパックに格納し、これをタイマー録画予約イベントに加える(ステップST3)。
【0179】
ステップST2において残量不足と判断されたときは、▲1▼のフローへ移行して、まず、録画開始位置を新たに設定するようユーザーに指令を出す(ステップST4)。ユーザーにより新たな録画開始位置が設定されたら、その位置からのテープ残量を算出してこれが十分かどうかを判断し、不十分であれば残量が十分な録画開始位置が設定されるまでユーザーに対して録画開始位置の設定し直しを指令する(ステップST4〜ステップST6のループの繰り返し)。ステップST6において残量が十分と判断されたら、設定された録画開始位置をREC START POINTパックに格納してタイマー録画予約イベントに加える(ステップST7)。
【0180】
ステップST1における調査において、MIC内にREC START POINTのTAGパックが存在しなかった場合は、TITLE ENDパックに格納されている最終記録位置からのテープ残量を算出してこれが録画に十分なものであるかどうかを判断し(ステップST8)、十分なときは、更に、MIC内にLAST REC POINTのTAGパックが存在するかどうかを調べる(ステップST9)。このTAGパックが存在するときは、ユーザーに対してTAGパックの最後記録位置及びTITLE ENDパックの最終記録位置のうちいずれを録画開始位置とするかを質問する(ステップST10)。そして、ユーザーによって回答されたパックに格納されている絶対トラック番号をREC START POINTパックに格納してタイマー録画予約イベントに付け加える(ステップST11、12)。
【0181】
ステップST9における調査においてTAGパックが存在しなかったときは、TITLE ENDパックの最終記録位置を録画開始位置とするREC START POINTパックを生成する(ステップST12)。また、ステップST8の判断において、TITLE ENDパックの最終記録位置からのテープ残量が不十分のときは前述のフロー▲1▼へ移行し、録画を可能ならしめる新たな録画開始位置をユーザーに設定させる。
【0182】
なお、ステップST8における判断結果がNOのとき直ちに▲1▼のフローを実行するのではなく、図26に示されるようにステップST13、ステップST14を介在させてもよい。即ち、この図のフローにおいては、ステップST8での判断結果がNOのときは、MIC内にLAST REC POINTのTAGパックが存在するかどうかを調べ(ステップST13)、存在するときはその最後記録位置からのテープ残量が十分であるかどうかを判断する(ステップST14)。
【0183】
そして、残量が十分であるときは、この最後記録位置を録画開始位置とするREC START POINTパックを生成する(ステップST11)。ステップST13における調査においてLAST REC POINTのTAGパックが存在しなかったとき、或るいは、ステップST14の判断においてテープ残量が不十分のときは前述の▲1▼のフローへ移行して録画の可能な録画開始位置を再設定する。
【0184】
更に、図25及び図26において実行されるフロー▲1▼を、図27に示される
フロー▲2▼のように変更してもよい。この▲2▼のフローでは、図25におけるステップST2及びステップST8、並びに図26におけるステップST13及びステップST14における判断結果がNOのときは、現在のヘッド位置からのテープ残量が十分であるかどうかが判断され(ステップST22)、これがYESのときは、このヘッド位置が録画開始位置となる。この判断結果がNOのときは上記の▲1▼のフローと同じプログラムが実行される。
【0185】
以上に説明したように、本実施例のディジタルVTRでは、モード処理マイコンによって、REC START POINTのTAGパック或るいはTITLE ENDパックに格納された絶対トラック番号に基づいて録画開始位置を決定する外、LAST REC POINTのTAGパックに格納された絶対トラック番号に基づいても録画開始位置を決定できるように構成されている。そこで、本ディジタルVTRでは、録画開始位置決定の際におけるMIC内のLAST
REC POINTのTAGパックのサーチを容易ならしめるために、このTAGパックをMIC内に記録するときには、その記録位置が常にMICのオプショナルエリアの先頭位置となるように規定されている。
【0186】
▲2▼ タイマー再生予約における開始位置の制御
本ディジタルVTRにおけるタイマー再生予約のイベントは、図28に示されるようにTIMER REC DATEパック、TIMER REC S/Sパック、及び図1の(3)のパックによるPB START POINTパックから構成される。即ち、モード処理マイコンは、このイベントにおける3番目のパックがPB START POINTパックであることからタイマー予約再生イベントであることを判別して、設定された時刻から再生動作を開始する。
【0187】
なお、タイマー予約再生設定時にユーザーが再生開始位置を設定しなかったときは、MIC内をサーチしてPB START POINTのTAGパックが存在するかどうかを調べ、存在すればその再生開始位置を有する図1の(3)のパックによるPB START POINTパックを生成してタイマー予約再生イベントに付け加えるようにモード処理マイコンがプログラムされている。また、上記のTAGパックが存在しないときはユーザーに対して再生開始位置の指定を要求する。以上に述べたモード処理マイコンの動作フローを示すと図29のようになる。
【0188】
以上に説明した記録再生における開始位置の制御では、開始位置を指定するパックの生成をモード処理マイコンが行うようにしているが、これに代え、モード処理マイコンからの指令、データ等に基づいてMICマイコンがパックを生成し、これをMIC内に記録するようにしてもよい。また、開始位置を指定するパックを、MICに記録する代わりにVTR本体のメモリに記録する、或るいは、ビデオテープ上に記録するようにしてもよい。
【0189】
この場合、ビデオテープ上に記録する方法としては、例えば、PB START POINTパック(もしくはREC START POINTパック)を再生開始位置(もしくは記録開始位置)以降のすべてのトラックのSUBCODEに記録するようにする。そして、再生動作(もしくは記録動作)を実行するときは、このSTART POINTのパックが記録されている最初のトラックを見つけだしてそのトラックから再生動作(もしくは記録動作)を開始するように制御を行う。
【0190】
以上、ディジタルVTRを例に挙げて記録再生における開始位置の制御方法を説明したが、アナログVTRにおいても、同様にして開始位置の制御を実行できる。但し、この場合は、テープ上に絶対トラック番号が記録されていないので、テープ上に記録されるタイムコードを位置規定信号として利用する。そして、開始位置をタイムコードで指定するために、TAGパック、REC START
POINTパック、PB START POINTパック、TITLE ENDパック等としてタイムコード表現のパックを用いるようにする。
【0191】
これらのタイムコード表現のパックをアナログVTR用にアレンジした構成例を図30に示す。この図に示されるタイムコード表現のパックには、絶対トラック番号表現のTITLE ENDパック、R/P START POINTパック、TAGパック内に格納されている各種のフラグ(RECフラグ、TEXTフラグ、TTフラグ、TAG ID、SLフラグ、REフラグ)が新たに付け加えられており、これによって絶対トラック番号表現のパックと同等の機能を果たすことができるように構成されている。また、この図に示されているTAGパックは、イベントヘッダーとして定義しておく。
【0192】
これらのタイムコード表現のパックを使用したタイマー予約のイベントをアナログカセットテープのMIC内に記録することによって、前述のディジタルVTRの場合と同様の開始位置の制御を行うことができる。なお、TAPE LENGTHパックにはテープの全長をタイムコード表現で格納しておくことにより、このデータとTITLE ENDパックのデータを用いてテープ残量を時間データで算出することができ、また、ユーザーによって指定された開始位置が、予約された録画を行うに十分なテープ残量を持つ位置であるかどうかを判断することもできる。
【0193】
以上に説明したディジタルVTRの実施例及びアナログVTRの実施例では、開始位置制御のための情報がすべてパック構造を用いて記録されるようになっているが、勿論、これ以外のデータ形式で情報を記録することも可能であり、回路技術者であれば、種々の設計変更が可能である。更に、テープカセットに搭載する記憶装置も、前述のようなメモリICに限定する必要は無く、データの書き込み消去が可能なものであれば足り、例えば、テープカセットに設けた磁気シート等に記憶するようにしてもよい。
【0194】
【発明の効果】
カセットテープの記録容量を簡潔に把握することができる。
記録再生の開始位置をテープカセット自身に記憶させておくことができるので、テープをイジェクトしても設定された位置からの記録再生動作が確実に実行される。
テープ上の最終記録位置或るいは最後記録位置から自動的に記録再生を開始させることができる。その場合、テープカセットに記憶された最後記録位置情報のサーチを簡単に行うことができ、また、最終記録位置から記録動作を開始するときは、サーボの立ち上がりを早くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】TIMER REC DATEパック、TIMER REC S/Sパック、R/P ST POINTパック、TAGパックの構造を説明する図である。
【図2】LAST REC POINTのTAGパックのデータと、TITLE ENDパックのデータとの関係を説明する図である。
【図3】同じくLAST REC POINTのTAGパックのデータと、TITLEENDパックのデータとの関係を説明する図である。
【図4】タイムコード表現のTAGパック、及びMAKER CODEパックの構造を説明する図である。
【図5】1フレーム分のAAUX領域の構造を説明する図である。
【図6】1トラック分のVAUX領域の構造を説明する図である。
【図7】1フレーム分のVAUX領域のパック構造を説明する図である。
【図8】525/60システムのディジタルVTRにおけるSUBCODEエリアのパックデータの多重書きを説明する図である。
【図9】625/50システムのディジタルVTRにおけるSUBCODEエリアのパックデータの多重書きを説明する図である。
【図10】メモリインカセットのメモリーマップを説明する図である。
【図11】ディジタルVTRの記録回路を示す図である。
【図12】ディジタルVTRの記録回路におけるパックデータの生成を説明する図である。
【図13】記録トラック上のメインエリアを説明する図である。
【図14】モード処理マイコンにおけるパックデータの生成を説明する図である。
【図15】ディジタルVTRの再生回路の一部の構成を示す図である。
【図16】ディジタルVTRの再生回路の他の部分の構成を示す図である。
【図17】VAUX用ICにおける再生パックデータの処理を説明する図である。
【図18】信号処理マイコンにおける再生パックデータの処理を説明する図である。
【図19】APTによるトラックフォーマットの定義付けを説明する図である。
【図20】アプリケーションIDの階層構造を説明する図である。
【図21】アプリケーションIDが「000」の場合のトラック上のフォーマットを説明する図である。
【図22】PB START POINTのTAGパックのデータを説明する図である。
【図23】REC START POINTのTAGパックのデータを説明する図である。
【図24】タイマー録画予約イベントの構成を示す図である。
【図25】録画開始位置決定フローを示す図である。
【図26】録画開始位置決定フローを部分変更例を示す図ある。
【図27】録画開始位置決定フローの外の部分変更例を示す図ある。
【図28】タイマー再生予約イベントの構成を示す図である。
【図29】再生開始位置決定フローを示す図である。
【図30】アナログVTRに使用する記録再生位置指定用パックの構造を説明する図である。
【図31】ディジタルVTRの1トラックの記録フォーマットを示す図である。
【図32】プリSYNCブロック、及びポストSYNCブロックの構造を示す図である。
【図33】AUDIOのフレーミングフォーマット及び1SYNCブロックの構造を説明する図である。
【図34】1フレーム分の画像データのブロッキングを説明する図である。
【図35】誤り訂正符号が付加されたVIDEOのフレーミングフォーマットを示す図である。
【図36】VIDEOのバッファリングユニット、及び1SYNCブロックの構成を示す図である。
【図37】1トラック分のSUBCODEエリアの構造を説明する図である。
【図38】AUDIOエリア、及びVIDEOエリアにおけるSYNCブロックのID部の構造を説明する図である。
【図39】SUBCODEエリアにおけるSYNCブロックのID部の構造を説明する図である。
【図40】パックの基本構造を示す図である。
【図41】大アイテムによるパックのグループ分けを説明する図である。
【図42】AAUX SOURCEパック、VAUX SOURCEパックの構造を説明する図である。
【図43】VAUX SOURCE CONTROLパック、VAUX REC DATEパック、VAUX REC TIMEパック、VAUX REC TIMEBINARY GROUPパック、及びCLOSED CAPTIONパックの構造を説明する図である。
【図44】CASSETTE IDパック、TAPE LENGTHパック、TITLEENDパックの構造を説明する図である。
【図45】TAPE LENGTHパックへ格納するデータの生成を説明する図である。
【図46】TAPE LENGTHパックのデータとTITLE ENDパックのデータとの関係を説明する図である。
【図47】テープ上に記録される絶対トラック番号を説明する図である。
【符号の説明】
55,100…信号処理マイコン、
67,82…モード処理マイコン、 68,84…MIC
85…メカ制御マイコン、
【産業上の利用分野】
本発明は、画像信号及び音声信号を記録再生するテープカセット、並びにかかるテープカセットを用いて画像信号及び音声信号の記録再生を行う画像音声信号記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、民生用のVTRにおいてタイマー録画予約を行う場合には、テープセット時にテープの早送り、巻き戻し、再生等の動作を行って正しい録画開始位置を見つけだす必要があり、これを行わない場合には、消去したくない録画部分を誤って消してしまう恐れがあった。
【0003】
また、従来の民生用のカメラ一体形ビデオカセットレコーダー(以下、カムコーダーという)では、撮影したあと巻き戻して再生し、再び記録最終位置から続けて記録するときには、そのポイントを探すのに手間がかかるという問題があった。例えば、エディットサーチ機能を用いてポイントを探す場合には、その近傍でなければなかなか元に戻れないので、カムコーダーをVTRモードに切り換えてビューファインダーで再生画像を見ながらそのポイント近くまでもっていき、再びカメラモードにしてエディットサーチ機能を用いてポイントを探すという作業を何回も繰り返すことが多かった。更に、特定の人が撮影したあと巻き戻して再生しそのままにしておいたテープを、別の人がそれを知らずに最終記録位置だと思って続けて記録した場合には、大切な録画部分が失われてしまうという問題もあった。
【0004】
また、録画しておいたテープを再生して複数人で見るときには次のような問題も発生する。例えば、複数人で再生画像を見ている最中に、特定の人だけが中座し、その後、中座した人が戻ってきて続きの再生画面を見ようとするときには、テープの巻き戻し、再生等を繰り返して続きの場面を探し出さねばならなかった。この場合、従来のVTRでは、カウンターリセットボタンを押してそのポイントを覚えておく方法を採用しているものもあるが、これはあくまでもそのカセットをイジェクトしないことが前提となっているので、残った人が別のテープを装填してその再生画像を見ていた場合には、このような方法は用をなさないものとなる。
【0005】
更に、8ミリカムコーダーの場合には、記録していたテープを取り出さない限り録画のつなぎ目部分はきれいであるが、1度でも取り出してしまうと、そこのつなぎ目部分は乱れたものとなってしまうので、その時はいちいち頭出し処理を行ってから録画動作を開始しなければつなぎ目部分できれいな画像が得られないという問題があった。
【0006】
以上のようなVTRにおける動作開始位置の設定の問題の外に、現在、特に研究開発の盛んなディジタル記録方式による民生用のビデオカセットレコーダー(VCRという)に関連して次のような問題も考えられている。
即ち、上記の民生用のディジタルVCRは、525/60システム或るいは625/50システムのテレビジョン信号の記録再生を可能とするものであるが、これに加え、更に、1125/60システム或るいは1250/50システムのテレビジョン信号の記録再生もできるように記録フォーマットが構成されている。
【0007】
ところで、このように同じテープカセットを用いて多種多様な方式のテレビジョン信号の記録再生を可能ならしめた場合には、市販されるテープカセットについて、その記録容量をどのように表示するかという問題がある。従来のアナログVTR用のテープカセットであれば、記録時間はSPモードとLPモードの2つの場合を考えるのみでよいが、上記のディジタルVCR用のカセットテープにおいては、記録モード(SP/LP)による記録時間の変化に加え、どのシステムのテレビジョン信号が記録されるかに応じて記録時間が異なることとなり、このように記録時間を多種多様な使用モードに場合分けしてそれぞれ表記することは、カセットサイズの小さな点から見て困難であり、また、このように多くの情報を表記してもそのためにかえってユーザーが間違える可能性も高くなると思われる。
本願発明は、このような点にかんがみて成されたものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
画像音声信号記録再生装置において記録再生を行う際の記録開始位置或るいは再生開始位置の設定を容易に行うことができるようにする。
また、種々のシステムのテレビジョン信号の記録再生が可能である記録フォーマットを備えた画像音声信号記録再生装置の記録媒体として使用されるビデオテープについて、その記録容量の簡潔な表示を可能とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、テープカセットに収納されているビデオテープ上の最終記録位置を表す最終記録位置情報又は、当該最終記録位置情報に加えて録画開始位置を表す録画開始位置情報及び/又は最後に記録した位置を表す最後記録位置情報とを、前記テープカセットに搭載されたメモリICに記憶する手段と、該メモリICに記憶された最終記録位置情報を読み出す読出手段と、画像音声信号記録再生装置の記録再生動作を待機状態に設定するための指令を入力する待機指令入力手段と、記録再生動作を開始させるための指令を入力する開始指令入力手段と、ビデオテープの走行を制御する走行制御手段とを備え、前記待機指令入力手段又は前記開始指令入力手段のいずれかの指令の入力動作に応じて、前記読出手段は、メモリICに記憶されている前記最終記録位置情報又は、当該最終記録位置情報に加えて録画開始位置を表す録画開始位置情報及び/又は最後に記録した位置を表す最後記録位置情報を読み出し、前記走行制御手段は、前記読出手段により読み出された前記最終記録位置情報又は、当該最終記録位置情報に加えて録画開始位置を表す録画開始位置情報及び/又は最後に記録した位置を表す最後記録位置情報に基づいてビデオテープを前記録画開始位置又は、前記最終記録位置又は、最後記録位置まで走行させるものである。
【0010】
この場合、テープカセットは、内部に収納されたビデオテープにヘリカルトラックを形成して画像信号及び音声信号の記録再生が行われ、該ビデオテープの全長に関するデータを記録する部分を備え、かつ、該データは、該ビデオテープの全長にわたって所定の記録モードにおけるトラックピッチで記録を行った場合のトラック本数の総数、もしくは該トラック本数の総数を表す記号により表現されるのが好適である。
また、テープカセットは、ビデオテープの全長に関するデータをテープカセット表面に表記するのが好適である。
さらに、メモリICは、基本的な付随データを記憶する第1の記憶領域と、オプショナルな付随データを記憶する第2の記憶領域とを備え、かつ、最後記録位置情報は、該第2の記憶領域における先頭位置に記憶されるように構成するのが好適である。
【0011】
請求項5に係る発明は、テープカセットに収納されているビデオテープ上の最終記録位置を表す最終記録位置情報又は、当該最終記録位置情報に加えて録画開始位置を表す録画開始位置情報及び/又は最後に記録した位置を表す最後記録位置情報を、前記テープカセットに搭載されたメモリICに記憶する手段と、記録指令を入力するための記録指令入力手段と、上記メモリICに記憶されている最終記録位置情報又は、当該最終記録位置情報に加えて録画開始位置を表す録画開始位置情報及び/又は最後に記録した位置を表す最後記録位置情報を読み出す読出手段と、ビデオテープ上の記録開始位置を決定する位置決定手段とを備え、前記記録指令入力手段による記録指令の入力動作に応じて、前記読出手段は、メモリICに記憶されている前記最終記録位置情報又は、当該最終記録位置情報に加えて録画開始位置を表す録画開始位置情報及び/又は最後に記録した位置を表す最後記録位置情報を読み出し、前記位置決定手段は、前記読出手段により読み出された前記最終記録位置情報又は、当該最終記録位置情報に加えて録画開始位置を表す録画開始位置情報及び/又は最後に記録した位置を表す最後記録位置情報に基づいて、ビデオテープ上における記録開始位置を決定するように構成されている。
【0012】
この場合、テープカセットは、内部に収納されたビデオテープにヘリカルトラックを形成して画像信号及び音声信号の記録再生が行われ、該ビデオテープの全長に関するデータを記録する部分を備え、かつ、該データは、該ビデオテープの全長にわたって所定の記録モードにおけるトラックピッチで記録を行った場合のトラック本数の総数、もしくは該トラック本数の総数を表す記号により表現されるのが好適である。
また、テープカセットは、ビデオテープの全長に関するデータをテープカセット表面に表記するのが好適である。
さらに、メモリICは、基本的な付随データを記憶する第1の記憶領域と、オプショナルな付随データを記憶する第2の記憶領域とを備え、かつ、最後記録位置情報は、該第2の記憶領域における先頭位置に記憶されるように構成するのが好適である。
【0013】
請求項4、または5にかかる発明においては、最終記録位置情報が、該最終記録位置における記録モードの識別情報を有するようにするのが望ましい。
【0014】
請求項10に係る発明は、テープカセットに収納されたビデオテープ上における位置を規定する位置規定信号を該ビデオテープ上に記録再生する手段と、該ビデオテープ上における画像信号及び音声信号の記録再生動作の開始位置を示す記録再生開始位置情報を、前記テープカセットに搭載されたメモリICに記憶する開始位置情報記憶手段とにより構成されている。
この場合、テープカセットは、内部に収納されたビデオテープにヘリカルトラックを形成して画像信号及び音声信号の記録再生が行われ、該ビデオテープの全長に関するデータを記録する部分を備え、かつ、該データは、該ビデオテープの全長にわたって所定の記録モードにおけるトラックピッチで記録を行った場合のトラック本数の総数、もしくは該トラック本数の総数を表す記号により表現されるのが好適である。
また、テープカセットは、ビデオテープの全長に関するデータをテープカセット表面に表記するのが好適である。
【0015】
この場合さらに、ビデオテープ上における画像信号及び音声信号の再生開始位置を指定するための再生開始位置指定手段と、再生開始位置情報生成手段とを備え、該再生開始位置情報生成手段は、再生開始位置指定手段操作時のビデオテープ再生位置から再生された位置規定信号に基づいて再生開始位置情報を生成し、開始位置情報記憶手段は、該生成された再生開始位置情報をメモリICに記憶するように構成することができる。
【0016】
あるいは、再生動作を再開させるための指令を入力する再開指令入力手段と、メモリICに記憶された再生開始位置情報を読み出す読出手段とを備え、該読出手段は、該再開指令入力手段による再開指令の入力動作に応じてメモリICから再生開始位置情報を読み出し、該再生開始位置情報の表す開始位置から画像信号及び音声信号の再生動作が再開されるように構成することもできる。
【0017】
さらに別の構成例としては、ビデオテープ上における画像信号及び音声信号の記録開始位置を指定するための記録開始位置指定手段と、記録開始位置情報生成手段とを備え、該記録開始位置情報生成手段は、記録開始位置指定手段操作時のビデオテープ再生位置から再生された位置規定信号に基づいて記録開始位置情報を生成し、開始位置情報記憶手段は、該生成された記録開始位置情報をメモリICに記憶するように構成することもできる。
【0018】
【作用】
カセットテープの記録容量を簡潔に把握することができる。
記録再生の開始位置をテープカセット自身に記憶させておくことができる。また、テープ上の最終記録位置或るいは最後記録位置から自動的に記録再生を開始させることができる。その場合、テープカセットに記憶された最後記録位置情報のサーチ動作が迅速に行われると共に、最終記録位置から記録動作を開始するときは、サーボの立ち上がりを早くすることができる。
【0019】
【実施例】
本発明をヘリカルスキャン形式をとる画像圧縮記録方式民生用ディジタルVTR(以下、ディジタルVTRと言う)に適用した場合の実施例について、次の項目に従って順次説明する。
【0020】
1. ディジタルVTRの概要
1─1. ディジタルVTRの記録フォーマット
(1) ITIエリア
(2) AUDIOエリア
(3) VIDEOエリア
(4) SUBCODEエリア
(5) ID部の構造
(6) MIC
(7) パックの構造及び種類
(8) 付随情報記録エリアの構造
1─2. ディジタルVTRの記録回路
1─3. ディジタルVTRの再生回路
2. アプリケーションIDシステム
3. 記録・再生開始位置の制御
3─1. TAGパックのみを使用する方法
3─2. 複数パックからなるイベントを使用する方法
【0021】
1. ディジタルVTRの概要
まず、本実施例を構成するディジタルVTRの概要について、その記録フォーマット、記録回路、再生回路の順に説明する。
【0022】
1─1. ディジタルVTRの記録フォーマット
かかるディジタルVTRのテープ上の記録フォーマットを図31に示す。
この図において、トラックの両端にはマージンが設けられる。そして、その内側には記録始端側から、アフレコを確実に行うためのITIエリア、音声信号を記録するAUDIOエリア、画像信号を記録するVIDEOエリア、副次的データを記録するためのSUBCODEエリアが設けられる。なお各エリアの間には、エリア確保のためのインターブロックギャップ(IBG)が設けられる。
【0023】
次に上記の各エリアに記録される信号の詳細を説明する。
(1) ITIエリア
ITIエリアは図31の拡大部分に示されているように、1400ビットのプリアンブル、1830ビットのSSA(Start−Sync Block Area)、90ビットのTIA(Track Information Area)及び280ビットのポストアンブルから構成されている。
【0024】
ここで、プリアンブルは再生時のPLLのランイン等の機能を持ち、ポストアンブルはマージンを稼ぐための役割を持つ。そして、SSA及びTIAは、30ビットのブロックデータを単位として構成されており、各ブロックデータの先頭10ビットには所定のSYNCパターン(ITI−SYNC)が記録される。
【0025】
このSYNCパターンに続く20ビットの部分には、SSAにおいては主にSYNCブロック番号(0〜60)が記録され、また、TIAにおいては主に3ビットのAPT情報(APT2〜APO)、記録モードを識別するSP/LPフラグ、及びサーボシステムの基準フレームを示すPFフラグが記録される。なお、APTはトラック上のデータ構造を規定するIDデータであり、本実施例のディジタルVTRでは値「000」をとる。
【0026】
以上の説明から分かるように、ITIエリアには30ビットという短いコード長のブロックデータが磁気テープ上の固定された位置に多数記録されているので、再生データから例えばSSAの61番目のSYNCパターンが検出された位置をトラック上のアフレコ位置を規定する基準として使用することにより、アフレコ時に書換えられる位置を高精度に規定し、良好なアフレコを行うことができる。なお、本実施例のディジタルVTRは、後述するように外の種々のディジタル信号記録再生装置へ容易に商品展開できるように設計されているが、どのようなディジタル信号記録再生装置においても特定のエリアのデータの書換えは必要となるので、このトラック入口側のITIエリアは必ず設けられている。
【0027】
(2) AUDIOエリア
オーディオエリアは、図31の拡大部分に示されるように、その前後にプリアンブルとポストアンブルを有しており、プリアンブルはPLL引き込み用のランアップ、及びオーディオSYNCブロックの前検出のためのプリSYNCから構成されている。また、ポストアンブルは、オーディオエリアの終了を確認するためのポストSYNCと、ビデオデータアフレコ時にオーディオエリアを保護するためのガードエリアとから構成されている。
【0028】
ここで、プリSYNC及びポストSYNCの各SYNCブロックは、図32の(1)及び(2)に示すように構成され、プリSYNCはSYNCブロック2個から、ポストSYNCはSYNCブロック1個から構成されている。そして、プリSYNCの6バイト目には、SP/LPの識別バイトが記録される。これはFFhでSP、OOhでLPを表し、前述のITIエリアに記録されたSP/LPフラグが読み取り不可の時にはこのプリSYNCのSP/LPの識別バイトの値が採用される(hは16進数表示であることを示す)。
【0029】
以上のようなアンブルエリアに挟まれたエリアに記録されるオーディオデータは次のようにして生成される。
まず、記録すべき1トラック分の音声信号は、AD変換及びシャフリングを施された後フレーミングが行われ、更にパリティを付加される。このフレーミングを行ってパリティを付加したフォーマットを図33の(1)に示す。この図において、72バイトのオーディオデータの先頭に5バイトの音声付随データ(これをAAUXデータと言う)を付加して1ブロック77バイトのデータを形成し、これを垂直に9ブロック積み重ねてフレーミングを行い、これに8ビットの水平パリティC1とブロック5個分に相当すると垂直パリティC2とが付加される。
【0030】
これらのパリティが付加されたデータは各ブロック単位で読み出されて、各ブロックの先頭側に3バイトのIDを付加され、更に、記録変調回路において2バイトのSYNC信号を挿入されて、図33の(2)に示されるようなデータ長90バイトの1SYNCブロックの信号へ成形される。そして、この信号がテープに記録される。
【0031】
(3) VIDEOエリア
ビデオエリアは図31の拡大部分に示されるようにオーディオエリアと同様のプリアンブル及びポストアンブルを持つ。但し、ガードエリアがより長く形成されている点でオーディオエリアのものと異なっている。これらのアンブルエリアに挟まれたビデオデータは次のようにして生成される。
【0032】
まず、記録すべき映像信号をY,R−Y,B−Yのコンポーネント信号に分離した後、AD変換し、このAD変換出力から1フレーム分の有効走査エリアのデータを抽出する。この1フレーム分の抽出データは、ビデオ信号が525/60システムの場合には、Y信号のAD変換出力(DY)については、水平方向720サンプル、垂直方向480ラインで構成され、また、R−Y信号のAD変換出力(DR)及びB−Y信号のAD変換出力(DB)については、それぞれ水平方向180サンプル、垂直方向480ラインで構成される。
【0033】
そしてこれらの抽出データは、図34に示されるように水平方向8サンプル、垂直方向8ラインのブロックに分割される。ただし、色差信号の場合、この図34の(2)の右端部分のブロックは水平方向4サンプルしかないので、上下に隣接する2個のブロックをまとめて1個のブロックとする。以上のブロッキング処理によって1フレームにつきDY、DR、DBで合計8100個のブロックが形成される。なお、この水平方向8サンプル、垂直方向8ラインで構成されるブロックをDCTブロックと言う。
【0034】
次に、これらのブロッキングされたデータを所定のシャフリングパターンに従ってシャフリングした後、DCTブロック単位でDCT変換し、続いて量子化及び可変長符号化を行う。ここで、量子化ステップは30DCTブロック毎に設定され、この量子化ステップの値は、30個のDCTブロックを量子化して可変長符号化した出力データの総量が所定値以下となるように設定される。即ち、ビデオデータを、DCTブロック30個ごとに固定長化する。このDCTブロック30個分のデータをバッファリングユニットと言う。
【0035】
以上のようにして固定長化したデータについて、その1トラック分のデータ毎にビデオ付随データ(これをVAUXデータと言う)と共にフレーミングを施し、その後、誤り訂正符号を付加する。
このフレーミングを施して誤り訂正符号を付加した状態のフォーマットを図35に示す。
【0036】
この図において、BUF0〜BUF26はそれぞれが1個のバッファリングユニットを表す。そして、1個のバッファリングユニットは、図36の(1)に示すように垂直方向に5つのブロックに分割された構造を有し、各ブロックは77バイトのデータ量を持つ。また、各ブロックの先頭側の1バイトには量子化に関するパラメータを格納するエリアQが設けられる。
【0037】
この量子化データに続く76バイトのエリアにビデオデータが格納される。そして、図35に示されているように、これらの垂直方向に27個配置されたバッファリングユニットの上部には上記のバッファリングユニット内のブロック2個分に相当するVAUXデータα及びβが配置されると共に、その下部にはブロック1個分に相当するVAUXデータγが配置され、これらのフレーミングされたデータに対して8バイトの水平パリティC1及びブロック11個分に相当する垂直パリティC2が付加される。
【0038】
このようにパリティが付加された信号は各ブロック単位で読み出されて各ブロックの先頭側に3バイトのID信号を付加され、更に、記録変調回路において2バイトのSYNC信号が挿入される。これにより、ビデオデータのブロックについては図36の(2)に示されるようなデータ量90バイトの1SYNCブロックの信号が形成され、また、VAUXデータのブロックについては同図の(3)に示されるような1SYNCブロックの信号が形成される。この1SYNCブロック毎の信号が順次テープに記録される。
【0039】
以上に説明したフレーミングフォーマットでは、1トラック分のビデオデータを表わす27個のバッファリングユニットはDCTブロック810個分のデータを有するので、1フレーム分のデータ(DCTブロック8100個分)は10個のトラックに分けて記録されることになる。
【0040】
(4) SUBCODEエリア
SUBCODEエリアは主に高速サーチ用の情報を記録するために設けられたエリアであり、テープ上に記録されたデータのうち、このエリアのデータのみをアフレコによって書き換えることが可能である。このSUBCODEエリアの拡大図を図37に示す。この図に示されるように、このエリアは12バイトのデータ長を持つ12個のSYNCブロックを含み、その前後にプリアンブル及びポストアンブルが設けられる。但し、オーディオエリア及びビデオエリアのようにプリSYNC及びポストSYNCは設けられない。そして、12個の各SYNCブロックには、5バイトの付随データ(AUXデータ)を記録するデータ部が設けられている。また、この5バイトの付随データを保護するパリティとしては2バイトの水平パリティC1のみが用いられ、垂直パリティは使用されない。
【0041】
なお、以上に説明したAUDIOエリア、VIDEOエリア、SUBCODEエリアを構成している各SYNCブロックは、記録変調において24/25変換(記録信号の24ビット毎のデータを25ビットへ変換することにより、記録符号にトラッキング制御用パイロット周波数成分を付与するようにした記録変調方式)を施されるため、各エリアの記録データ量は図31に示されているようなビット数になる。
【0042】
(5) ID部の構造
以上の図32,図33,図36,及び図37に示されている各SYNCブロックの構成から明らかなように、AUDIOエリア、VIDEOエリア、及びSUBOCODEエリアに記録される各SYNCブロックは、いずれも2バイトのSYNC信号の後にID0、ID1及びIDP(ID0,ID1を保護するパリティ)からなる3バイトのID部が設けられる点で共通の構造となっている。そして、このID部の内のID0、ID1は、オーディオエリア及びビデオエリアにおいては図38に示すようにデータの構造が定められる。
【0043】
即ち、ID1にはオーディオエリアのプリSYNCからビデオエリアのポストSYNCまでのトラック内SYNC番号(0〜168)が2進数で格納される。そして、ID0の下位4ビットには1フレーム内のトラック番号が格納される。このトラック番号は、2トラックにつき1本の割合で番号付けされ、2本のトラックの区別はヘッドのアジマス角度で判別できる。
【0044】
また、ID0の上位4ビットには、AAUX+オーディオデータ、及びビデオデータの各SYNCブロックにおいてはこの図の(1)に示されるように4ビットのシーケンス番号が格納される。一方、オーディオエリアのプリSYNCブロック、ポストSYNCブロック及びパリティC2のSYNCブロックにおいてはオーディオエリアのデータ構造を規定する3ビットのIDデータAP1が格納され、また、ビデオエリアのプリSYNCブロック、ポストSYNCブロック及びパリティC2のSYNCブロックにおいてはビデオエリアのデータ構造を規定する3ビットのIDデータAP2が格納される(この図の(2)参照)。なお、これらのAP1及びAP2の値は、本実施例のディジタルVTRでは「000」をとる。
【0045】
また、上記のシーケンス番号は、「0000」から「1011」までの12通りの番号を各フレーム毎に記録するものであり、このシーケンス番号を見ることにより、変速再生時に得られたデータが同一フレーム内のものかどうかを判断できる。
一方、SUBCODEエリアにおけるSYNCブロックのID部の構造は図39のように規定されている。
【0046】
この図はSUBCODEエリアの1トラック分のSYNCブロック番号0から11までの各ID部の構造を示したものであり、ID0の最上位ビットにはFRフラグが設けられる。このフラグはフレームの前半5トラックであるか否かを示し、前半5トラックにおいては「0」、後半5トラックにおいては「1」の値をとる。その次の3ビットには、SYNCブロック番号が「0」及び「6」であるSYNCブロックにおいてはSUBCODEエリアのデータ構造を規定するIDデータAP3が記録されると共に、SYNCブロック番号「11」のSYNCブロックにおいてはトラック上のデータ構造を規定するIDデータAPTが記録され、その外のSYNCブロックにおいてはTAGコードが記録される。なお、上記AP3の値は、本実施例のディジタルVTRでは「000」をとる。
【0047】
また、上記TAGコードは、この図に拡大して示されているようにサーチ用の3種類のID信号、即ち、従来から行われているINDEXサーチのためのINDEX ID、コマーシャル等の不要場面をカットするためのSKIP ID、及び静止画サーチのためのPP ID(Photo/Picture ID)から構成される。また、ID0の下位4ビットとID1の上位4ビットとを使用してトラックの絶対番号(テープの先頭からの通しのトラック番号)が記録される。そして、この絶対トラック番号を用いることによってテープ上の任意の位置を規定することができ、この絶対トラック番号は、位置規定信号としての役割を持っている。なお、この図に示されるようにSYNCブロック3個分の合計24ビットを用いて1個の絶対トラック番号が記録される。ID1の下位4ビットにはSUBCODEエリアのSYNCブロック番号が記録される。
【0048】
(6) MIC
本実施例のディジタルVTRでは、以上に説明したようにテープ上に規定されている各エリアに付随データを記録するようにしているが、この外にテープの収納されるカセットにメモリICの設けられた回路基板を搭載し、このメモリICにも付随データを記録するようにしている。そして、このカセットがディジタルVTRに装着されるとこのメモリICに書き込まれた付随データが読み出されてディジタルVTRの運転・操作の補助が行われるようにしている(特願平4−165444号、特願平4−287875号等参照)。このメモリICを本願ではMIC(Memory In Cassette)と呼び、そのデータ構造については後で詳述する。
【0049】
(7) パックの構造及び種類
以上に説明したように、本実施例のディジタルVTRでは、付随データを記録するエリアとして、テープ上のオーディオエリアのAAUXエリア、ビデオエリアのVAUXエリア、及びSUBCODEエリアのAUXデータ記録エリアが使用され、また、この外にテープカセットに搭載されたMICの記録エリアが使用される。そして、これらの各エリアは、いずれも5バイトの固定長をもつパックを単位として構成される。
【0050】
つぎに、これらのパックの構造及び種類について説明する。
パックは図40に示される5バイトの基本構造を持つ。この5バイトについて、最初のバイト(PC0)がデータの内容を示すアイテムデータ(パックヘッダーとも言う)とされる。そして、このアイテムデータに対応して後続する4バイト(PC1〜4)の書式が定められ、この書式に従って任意のデータが設けられる。
【0051】
このアイテムデータは上下4ビットずつに分割され、上位4ビットは大アイテム、下位4ビットは小アイテムと称される。そして上位4ビットの大アイテムは例えば後続データの用途を示すデータとされ、この大アイテムによってパックは図41の表に示されるように、コントロール「0000」、タイトル「0001」、チャプター「0010」、パート「0011」、プログラム「0100」、音声補助データ(AAUX)「0101」、画像補助データ(VAUX)「0110」、カメラ「0111」、ライン「1000」、ソフトモード「1111」の10種類のグループに展開されている。
【0052】
このように大アイテムによって展開されたパックの各グループは、それぞれが更に小アイテム(これによって例えば後続データの具体的な内容が表される)によって16種類のパックに展開され、結局、これらのアイテムを用いて最大256種類のパックを定義することができる。
なお、図41の表の中に記入されている「RESERVED」は、追加用に残された未定義の部分を表している。従って、未だ定義されていないアイテムデータのコードを使用して新たなアイテムデータ(ヘッダー)を定義することにより、将来任意に新しいデータの記録を行うことができる。またヘッダーを読むことによりパックに格納されているデータの内容を把握できるので、パックを記録するテープ上の位置も任意に設定できる。
【0053】
次に、パックの具体例を図42〜図47、図1〜図4を用いて説明する。
図42の〔1〕に示されるパックは、そのアイテムデータの値から分かるように図41の表におけるAAUXのグループに属するものであってAAUX SOURCEパックと呼ばれ、音声に関する付随データの記録に使用される。即ち、図に示されるように、オーディオサンプル周波数が映像信号とロックしているか否かを示すフラグ(LF)、1フレーム当たりのオーディオサンプル数(AF
SIZE)、オーディオチャンネル数(CH)、各オーディオチャンネルのステレオ/モノラル等のモードの情報(PA及びAUDIO MODE)、テレビジョン方式に関する情報(50/60及びSTYPE)、エンファシスの有無(EF)、エンファシスの時定数(TC)、サンプル周波数(SMP)、量子化情報(QU)が記録される。
【0054】
また、図42の〔2〕、及び図43の〔1〕〜〔5〕に示される各パックは、そのアイテムデータの値から分かるように図41の表におけるVAUXのグループに所属するものであり、画像に関する付随データの記録に使用される。これらのパックの記録内容について説明すると、図42の〔2〕に示されるVAUX
SOURCEパックには、記録信号源のチャンネル番号(TV CHANNEL)、記録信号が白黒信号であるか否かを示すフラグ(B/W)、記録信号のカラーフレーミングを表すコード(CFL)、CFLが有効であるか否かを示すフラグ(EN)、記録信号源がカメラ/ライン/ケーブル/チューナー/ソフトテープ等のいずれであるかを示すコード(SOURCE CODE)、記録信号のテレビジョン方式(525/60,625/50,1125/60,1250/50等)に関するデータ(50/60、及びSTYPE)、UV放送/衛星放送等の識別に関するデータ(TUNER CATEGORY)が記録される。
【0055】
図43の〔1〕に示されるVAUX SOURCE CONTROLパックには、SCMSデータ(上位ビットが著作権の有無を表し、下位ビットがオリジナルテープか否かを表す)、コピーソースデータ(アナログ信号源か否か等を表す)、コピー世代データ、サイファー(暗号)タイプデータ(CP)、サイファーデータ(CI)、記録開始フレームか否かを示すフラグ(REC ST)、オリジナル記録/アフレコ記録/インサート記録等の記録モードデータ(REC MODE)が記録されると共に、更に、アスペクト比等に関するデータ(BCSYS及びDISP)、奇偶フィールドのうちの一方のフィールドの信号のみを2回反復して出力するか否かに関するフラグ(FF)、フィールド1の期間にフィールド1の信号を出力するかフィールド2の信号を出力するかに関するフラグ(FS)、フレームの画像データが前のフレームの画像データと異なっているか否かに関するフラグ(FC)、インターレースであるか否かに関するフラグ(IL)、記録画像が静止画であるか否かに関するフラグ(ST)、記録画像がスチルカメラモードで記録されたものであるか否かを示すフラグ(SC)、及び記録内容のジャンルが記録される。
【0056】
また、同図の〔2〕に示されるVAUX REC DATEパックには記録日に関するデータが記録され、同図の〔3〕に示されるVAUX REC TIMEパックには記録時間に関するデータが記録され、同図の〔4〕に示されるBINARY GROUPのパックにはタイムコードのバイナリー群のデータが記録される。同図の〔5〕に示されるCLOSED CAPTIONパックにはテレビジョン信号の垂直帰線期間に伝送されるクローズドキャプション情報が記録される。
【0057】
また、図44の(1)のCASSETTE IDパック、及び同図の(2)のTAPE LENGTHパックは、図41におけるCONTROLのグループに属するパックであり、CASSETE IDパックには、MICに記録されているデータがカセットのテープ上に記録されているデータと対応しているかどうかを示すフラグME、メモリ(MIC)の種類、メモリのサイズに関する情報、及びテープ厚みの情報(PC4)が記録される。
【0058】
そして、TAPE LENGTHパックには、ビデオテープにおけるリーダーテープを除いた磁気テープ本体の全長がトラック本数に換算された23ビットのデータとして記録される。この場合のトラック本数は、SPモード時のトラックピッチ(10ミクロン)で計算する。
次に、このテープ長の具体的計算の仕方について、120分記録テープを例に挙げて説明する。
【0059】
通常、ビデオテープは、実際の記録可能時間よりも長めに巻いてマージンを設けてある。従って、120分記録テープの場合このマージンが3分であるとすれば、123分に対応するトラック本数をパックに記録することになる。ところがこれを目標に設計しても、カセットテープ製造装置のメカ的な精度により誤差が不可避的に生じて来る。従って、この誤差をα(分)とすれば、実際のテープ長は、
【0060】
【数1】
【0061】
となる。そして、本願ではこの誤差分を、2進数表記の下位ビットを0とすることで解決している。なお、この場合、0に置き換えられる下位ビットの個数、言い換えれば、有効桁数をどのように設定するかは、各カセットテープメーカーの裁量に任せるようにしている。これにより、各メーカーは、個々のメーカーにおいて使用しているテープ製造装置の能力やテープ原版の特性に起因して生ずる誤差の程度に応じて、安全な範囲の最適な有効桁数を随意設定できる。
【0062】
参考までに、120分記録テープについてのトラック本数をTAPE LENGTHパックに格納する場合のフローの具体例を図45に示す。
ここに示される例では、下位8ビットを除いた部分を有効桁数としている。そして、トラック本数をパックのPC3〜PC1から構成される上位23ビットに格納するために、下位8ビットの無効桁を0に置き換えたのちデータ全体を1ビット左にシフトする操作を行っている。
以上に説明では、トラックピッチをSPモードの10ミクロンとして計算しているが、LPモードに対しては単にトラックピッチ換算すればよいので、それぞれの記録モードに対するテープ全体の記録時間は簡単に計算できる。
【0063】
図44の(3)に示されるTITLE ENDパックには、テープ上の最終録画位置の絶対トラック番号が記録される。この最終録画位置は、テープ上における記録が行われた領域のうち最もテープエンドに近い位置を意味し、この位置以降は未記録エリアとなる。なお、テープ上の途中に無記録部分(ブランク)があるときはテープ上の各トラックに記録される絶対トラック番号に不連続部分を生ずることになるが、上記のパック内におけるフラグBFは、このパックに記録された絶対トラック番号より前の位置にこのような不連続な部分があるかどうかを示すフラグである。また、フラグSLは、この最終記録位置における記録モードがSPモード及びLPモードのうちいずれであるかを示すフラグであり、フラグREは、テープ上に消去してはならない録画内容が存在するかどうかを示すフラグである。
【0064】
参考までに、TITLE ENDパックに格納される絶対トラック番号と上記のTAPE LENGTHパックに格納される絶対トラック番号の関係を模式的に示すと図46のようになり、両者の絶対トラック番号の値からテープの未記録部分の長さ(残量)を直ちに求めることができる。
なお、テープ上の記録部分にSPモードで記録した部分とLPモードで記録した部分とが混在していても、本ディジタルVTRでは、各トラックに記録される絶対トラック番号を図47に示すように規定しているので、TITLE ENDパックに格納されている絶対トラック番号から容易にテープ残量を算出することができる。
【0065】
この図について簡単に説明すると、この図は、テープの記録可能部分の始端から最初の1フレームをSPモードで記録し、その次の2つのフレームについてはトラックピッチがSPモードの2/3であるLPモードで記録し、更にその次のフレームからは再びSPモードで記録した場合のテープ上のトラックフォーマットを簡略化して示したものであり、縦方向の細長い矩形の1つ1つが1個の記録トラックを表し、各トラックの中に記されている数字0〜9は1フレーム内のトラック番号を表している。
【0066】
また、各トラックの上部に記されている数字は各トラックの絶対トラック番号を表し、この図に示されるように、絶対トラック番号はSPモード記録部分では3の倍数で記録されると共に、LPモード記録部分では2の倍数で記録されていて常にトラックピッチに対応したものとなっている。そして、記録モードが切り換わった位置のトラックに記録される絶対トラック番号の値は、その直前のトラックの絶対トラック番号に対して連続的な関係を持つように設定される。
【0067】
これによって、任意のトラックに記録されている絶対トラック番号が、該トラックのテープ始端からの距離に対応したものとなっている。従って、上記のテープ残量を絶対トラック番号から容易に算出することができる(なお、LPモードにおけるトラックピッチをSPモードにおけるトラックピッチの1/2とした場合には、絶対トラック番号をSPモード記録部分では2の倍数に、LPモード記録分では1の倍数にして記録すればよい)。
【0068】
なお、上記の最終録画位置情報は、カムコーダーにおいてテープを巻き戻してから開始した再生動作を途中で停止させ、その後、元の最終録画位置に戻るときやタイマー予約時に便利な使い勝手を提供する。また、図44の(4)に示されるTITLE ENDパックは、最終録画位置を時分秒フレームのタイムコードで記録するものであり、ユーザーに最終録画位置を時間データで知らせるときはこのパックを用いる。なお、このパック内に格納されているDFフラグは、ドロップフレームモードであるか否かを表すフラグである。
【0069】
図1の(1)に示されるTIMER REC DATEパックには、タイマー記録の際の主に指定日に関するデータが記録される。このパック内のSLフラグは、SPモードかLPモードかを示すフラグであり、RPフラグは、記録内容の消去の可否に関するフラグであり、TEXTフラグは、この録画内容に関するテキストデータが記録されているか否かを示すフラグである。また、このパックの第3バイト(PC2)の第6、第7ビットに格納されるコードTCF(Timer Control Flag)は、PC1の第1〜第7ビットに格納されるデータ(DAY)の意味付けを行うコードである。
【0070】
即ち、TCFの値が「00」または「01」のときには、PC1の第7ビットは日曜日を、第6ビットは月曜日を、第5ビットは火曜日を、第4ビットは水曜日を、第3ビットは木曜日を、第2ビットは金曜日を、第1ビットは土曜日をそれぞれ表す。そして、TCFの値が「00」のときは、毎週、これらの曜日を表すビットのうち値が「0」であるビットの曜日に録画が行われることを意味している。例えば、第7ビットと第6ビットの値のみが共に「0」であれば、毎週、日曜日と月曜日に録画が実行される。
【0071】
また、TCFの値が「01」のときは、1度だけ、これらの曜日を表すビットのうち値が「0」であるビットの曜日に録画が行われることを意味している。
TCFの値が「11」のときは、PC1の第1ビット〜第7ビットの7ビットのコードによって一つの月における1日から31日までの特定の日が2進数で表示され、この表示された日に録画が実行される。なお、TCFが「10」の場合については未定義である。
【0072】
また、同図の(2)に示されるTIMER REC S/Sパックには、タイマー記録の開始時刻及び終了時刻のデータが記録される。
同図の(3)に示されるR/P ST POINTパックには、テープ上の録画開始位置或るいは再生開始位置の絶対トラック番号が2進数で記録される。即ち、フラグREC=1のときは、このパックに記録される絶対トラック番号は録画開始位置を表し、このパックをREC START POINTパックという。また、フラグREC=0のときは、このパックに記録される絶対トラック番号は再生開始位置を表し、このパックをPB START POINTパックという。
【0073】
なお、同図の(4)に示されるR/P ST POINTパックは、録画或るいは再生の開始位置をタイムコードで記録するものである。本実施例のディジタルVTRでは絶対トラック番号表現によるR/P ST POINTパックを優先して用い、ユーザーに開始位置を時間データとして知らせるときにこのタイムコード表現のR/P ST POINTパックを併用する。
【0074】
同図の(5)に示されるTAGパックは、テープ上の位置をマーキングする際に用いられ、絶対トラック番号によってこの位置が指定される。なお、この指定された位置がどのような意味合いのものであるかは、PC4に格納されている4ビットのTAG IDによって定義される。このパックに記録された絶対トラック番号のテープ位置の意味は、TAG IDの値に応じて次のように定義されている。
【0075】
0000=INDEX
0001=SKIP START
0010=PP(PHOTO PICTURE)
0011=PROGRAM PLAY START
0100=ZONE PLAY
0101=STILL(FIXED TIME)
0110=FREEZE(FIXED TIME)
0111=LAST REC POINT
1000=DATE CHANGE
1001=TIME CHANGE
1010=REC START POINT
1011=PB START POINT
Others=Reserved
【0076】
即ち、TAG IDが「0000」のときは、このTAGパックに格納されている絶対トラック番号はテープの頭出し再生の場合の頭出しの位置を表し、「0001」のときはSKIP動作の開始位置を、「0010」のときはこの絶対トラック番号位置の映像が静止画状態で再生される位置であることを表し、「0011」のときはプログラム再生の開始位置であることを表し、「0100」のときはZONE再生の開始位置であることを表す。
【0077】
また、「0101」のときはこの絶対トラック番号位置の映像が所定時間だけ静止画状態で再生される位置であることを表し、「0110」のときは音声は通常通りに再生されると共にこの絶対トラック番号位置の映像は所定時間だけ静止画状態で再生される位置であることを表し、「0111」のときは最後に記録した位置を表し、「1000」のときは録画内容の記録年月日の変わる位置を表し、「1001」のときは録画内容の記録時刻の変わる位置を表し、「1010」のときは録画開始位置を表し、「1011」のときは再生開始位置を表す。
【0078】
なお、TAG IDが「0111」のときこのパックに格納される「最後に記録した位置」情報は、前述のTITLE ENDパックに格納される「最終記録位置」情報とは異なり、そのテープを用いて行われた最後の録画動作における録画終了位置を表す。参考までに両方のパックに格納される絶対トラック番号の関係を図2及び図3に簡略化して示す。
【0079】
これらの図からも明らかなように、このTAGパックに格納されるトラック番号は、TITLE ENDパックに格納されるトラック番号より大きくなることはない。即ち、TITLE ENDパックの生成においては、常に録画動作が終了する都度、その録画終了位置のトラックの絶対トラック番号とTITLE ENDパックに格納されている絶対トラック番号との比較が行われており、前者のトラック番号が後者のトラック番号より大きければ、前者のトラック番号がTITLE ENDパックの中に複写される。前者のトラック番号が後者のトラック番号より小さければ、後者のトラック番号はそのままである。
【0080】
なお、TAGパックの中に格納されるTEXTフラグは、テキストデータが記録されているかどうかを示すフラグであり、TTフラグは、MICに記録されているテープ記録開始位置データがテープ上に記録されているテープ記録開始位置データと対応しているかどうかを示すフラグである。更に、フラグBFは、テープ上に記録されている絶対トラック番号に不連続な部分があるかどうかを示すフラグである。
【0081】
図4の(1)に示されるTAGパックは、テープ上の位置をタイムコードによってマーキングするものであり、ユーザーに対して位置を時間表示で教える場合に使用する。
同図の(2)に示されるMAKER CODEパックは、図41におけるSOFT MODEのグループに属するものであり、ソフトテープメーカーのコードが記録される。そして、このグループにおける小アイテム「0001」〜「1110」のパックは、メーカーに開放されており、各メーカーが自由に種々のパックを定義して所望の情報を記録することができる。
【0082】
なお、パックの特殊例として、アイテムコードがオール1のパックは、無情報のパック(NO INFORMATION パック)として定義されている。
以上の説明から分かるように、本実施例のディジタルVTRでは、付随データの構造が上述のような各エリアに共通なパック構造となっているので、これらのデータを記録再生する場合のソフトウェアを共通にでき、処理が簡単になる。また記録再生時のタイミングが一定になるために、時間調整のために余分にRAM等のメモリを設ける必要がなく、さらに新たな機種の開発などの場合にも、そのソフトウェアの開発を容易に行うことができる。
【0083】
またパック構造にすることによって、例えば再生時にエラーが発生した場合にも、次のパックを容易に取り出すことができる。このためエラーの伝播等によって大量のデータが破壊されてしまうようなことがない。
なお、前述のMICにテキストデータを記憶する場合には、記憶容量の小さいMICの記憶エリアの使用量を節約するために、パックの構造を、例外的に1個のパックの中に記録対象であるテキストデータが全部格納される可変長パックの構造としており、これによってMICの記憶領域の消費量を節約している。
【0084】
(8) 付随情報記録エリアの構造
次に、パックを用いて多種多様な付随データが記録されるAAUXエリア、VAUXエリア、SUBCODEエリアのAUXデータ記録エリア、及びテープカセットに搭載されたMICの記録エリアの具体的構造について説明する。
▲1▼ AAUXエリア
AAUXエリアでは、図33の(2)に示される1SYNCブロックのフォーマットにおいて、5バイトのAAUXエリアで1個のパックが構成される。従って、AAUXエリアは1トラックにつき9個のパックで構成される。525/60システムのディジタルVTRでは1フレームのデータを10トラックで記録するので、1フレーム分のAAUXエリアは図5のように表される。
【0085】
この図において1つの区画が1個のパックを表す。そして、区画に記入されている番号50〜55は、その区画のパックのアイテムコードを16進数表示したものであり(例えば、この図における番号50は、前述のAAUX SOURCEパックを表している)、これらの6種類のパックをメインパックと呼び、これらのメインパックが記録されるエリアをAAUXメインエリアと言う。そして、このメインエリアには、図に示されるように同じパックデータが1フレームにつき10回繰り返して記録される。これらのメインパックには主に音声信号の記録再生に関し重要かつ必須なデータが記録されており、以上のような繰り返し記録を行うことによりテープの横傷やチャンネルクロッグ等の発生に対してもデータの再生可能性を高くしている。
【0086】
また、これ以外のエリアはAAUXオプショナルエリアと言い、多種多様なパックの中から任意のパックを選んで1フレームにつき最大30パックまで記録することができる。オプショナルエリアには、最初に共通のコモンオプションが記録されるコモンオプションエリアが設けられ、その後に、メーカーごとの固有の内容が記録されるメーカーオプショナルエリアが設けられる。但し、オプションなので片方だけ、または両方存在したり、または両方存在しない場合もある。
【0087】
そして、コモンオプショナルエリアには、例えば、テキストデータが記録される。一方、メーカーオプショナルエリアには、最初にソフトモード「1111」の大アイテムと「0000」の小アイテムを有する前述のMAKER CODEパックが設けられ、それに続いてメーカーごとの固有の内容が設けられる。従ってこのMAKER CODEパックが判別されると、それ以前は共通化された内容であり、これ以降はメーカーごとの固有の内容であると判別される。
【0088】
なお、情報が無い場合は、情報無しのパックNO INFOパックが記録される。
以上に説明したメインエリア、オプショナルエリア、コモンオプション、メーカーズオプションの仕組みは、AAUX、VAUX、SUBCODE、MICすべてに共通である。
【0089】
▲2▼ VAUXエリア
VAUXエリアについては、1トラックにおけるVAUXエリアが図35に示されるように3個のSYNCブロックα、β、γから構成され、そのパック個数は、図6に示されるように1SYNCブロックにつき15個、1トラックで45個となる。なお、1SYNCブロックにおける水平パリティC1の直前の2バイトのエリアは、予備的な記録エリアとして使用する。
【0090】
1フレーム分のVAUXエリアについて、そのパック構成を示すと図7のようになる。この図において16進数表示のアイテムコード60〜65が付されているパックはVAUXメインエリアを構成するVAUXメインパックであり、図42の〔2〕、及び図43の〔1〕〜〔5〕に示したパックがこれらのパックに相当している。その外のパックはVAUXオプショナルエリアを構成する。
【0091】
▲3▼ SUBCODEエリアのAUXデータ記録エリア
SUBCODEエリアのAUXデータ記録エリアは、図37に示されるように、SYNCブロック番号0〜11の各SYNCブロックの中に5バイトづつ存在し、それぞれが1パックを構成している。即ち、1トラックで12個のパックが記録され、そのうちSYNCブロック番号3〜5及び9〜11のパックがメインエリアを構成し、その外のパックはオプショナルエリアを構成する。
【0092】
このSUBCODEエリアにおいては、1フレーム分のデータが図8に示すようなフォーマットで反復記録される。この図において大文字のアルファベットはメインエリアのパックを表し、タイムコードを格納したパック、記録年月日を格納したパック等の高速サーチに用いられるパックが記録される。小文字のアルファベットはオプショナルエリアのパックを表し、この図に示されるような位置に反復して記録される。
【0093】
なお、図8は525/60システムの場合の記録パターンであるが、参考までに625/50システムの場合の1フレーム分のSUBCODEデータの記録パターンを図9に示す。この図に示されるように、625/50システムの場合は1フレームが12トラックで構成されるが、1トラックにおけるSUBCODEは525/60システムの場合と同様に12個のSYNCブロックで構成されており、トラック数のみが異なったものとなる。但し、1秒当たりに使用されるトラック本数は、いずれも300本となり等しくなっている。
【0094】
以上に説明したSD(STANDARD DENSITY)方式では1フレームが10トラックもしくは12トラックで構成されるが、HD(HIGH DENSITY)方式の場合には、1125/60システムでは1フレーム20トラック、1250/50システムでは1フレーム24トラックで記録が行われる。即ち、トラックピッチをSD方式の場合と等しくとればテープ消費量は2倍になる。
【0095】
なお、以上に説明した各記録エリアにおけるメインエリアには、あらゆるテープについて共通的な基本のデータ項目に関する付随的情報が格納されたパックが記録されるという特徴がある。一方、オプショナルエリアには、ソフトテープメーカー或るいは、ユーザー等が自由に任意の付随データを書き込むことができる。そのような付随的情報としては、例えば、種々の文字情報、文字放送信号データ、垂直ブランキング期間内或るいは有効走査期間内の任意のラインのテレビジョン信号データ、コンピューターグラフィックスのデータ等がある。
【0096】
▲4▼ MICの記録エリア
図10に、MICの記録エリアのデータ構造を示す。この記録エリアもメインエリアとオプショナルエリアに分かれており、先頭の1バイトと未使用エリア(FFhが記録される)を除いてすべてパック構造で記述される。前述のようにテキストデータだけは、可変長のパック構造で、それ以外はVAUX、AAUX、SUBCODEの各記録エリアと同じ5バイト固定長のパック構造で記録される。
【0097】
MICメインエリアの先頭のアドレス0には、MICのデータ構造を規定するIDデータであるAPM3ビットとBCID(Basic Cassette
ID)4ビットが記録される。ここで、APMの値は、本実施例のディジタルVTRでは「000」をとる。また、BCIDは、基本カセットIDであり、MICを搭載していないカセットのためのID認識(テープ厚み、テープ種類、テープグレード)用のIDボードと同じ内容である。IDボードは、MIC読み取り端子を従来の8ミリVTRのレコグニションホールと同じ役目をさせるもので、これにより従来のようにカセットハーフに穴を空ける必要がなくなる。
【0098】
アドレス1以降には順に、前述のCASSETE IDパック、TAPE LENGTHパック、TITLE ENDパックの3個のパックが記録される。
ここで、TAPE LENGTHパックには前述の如くテープの全長に対応したトラック本数が記録されているが、本ディジタルVTRにおいて用いられるテープカセットにおいては、このようにMIC内にテープの全長に関するデータを記録するだけでなく、テープカセット本体の外面にもテープの全長を表すデータとしてトラック本数を表記するようにしている。
【0099】
即ち、本ディジタルVTRは、前述のように同じテープカセットを用いて525/60システム、625/50システム、1125/60システム、及び1250/50システムのいずれのシステムのテレビジョン信号も記録可能であり、更に、記録モードとしてSPモード、及びLPモードのいずれかを選択可能であるが、このように多種多様な使用モードに供されるテープの場合、その記録可能時間は、その使用モードに応じて様々に変化し、特に、1つのテープ内に種々の記録モードによる記録部分が混在する場合を考えると、従来のテープカセットのようにその記録容量を1つの記録時間として表記しておいても実用性に乏しいことになる。
【0100】
また、1つのカセットテープに種々の使用モードで記録した場合の記録時間をすべて併記しておくことは、カセットサイズが小さいことを考えると現実的な対応策とは言いがたい。
そこで、本ディジタルVTRで用いるテープカセットにおいては、上記のようにテープの全長に対応するトラック本数を表記することによって該テープの記録容量を簡潔に表すことにしている。なお、このようなトラック本数を直接表記する代わりに、かかるトラック本数に対応させた記号(例えば、A、B、C、・・・等)を表記するようにしてもよい。
【0101】
また、TITLE ENDパックには、前述のように最終録画位置の記録モードがSPモード及びLPモードのいずれであるかを示すフラグSLが記録されているが、これによって、最終録画位置から録画を再開しようとする場合、記録ヘッドが最終録画位置に到達する以前から予めその記録モードを知ることができる。従って、このフラグの値に基づいて、最終録画位置から録画を再開する時のサーボの立ち上がりを早くすることができる。
【0102】
オプショナルエリアは、任意個数のイベントから構成される。メインエリアが、アドレス0から15まで16バイトの固定エリアだったのに対し、オプショナルエリアはアドレス16以降にある可変エリアである。ここで、イベントとはMICの1つのデータグループを意味し、イベントヘッダーから始まって次のイベントヘッダーが現れるまでで1つのイベントが構成される。
【0103】
そして、モード処理マイコンは、ユーザーからの種々の指令に応じてMICマイコンを介して各イベントの内容を解読し、この解読結果に基づいてユーザーからの指令に基づいた表示、制御等の動作を実行する。このようなイベントの具体例を上げると、例えば、タイマー予約録画イベントは、前述のTIMER REC DATEパックがイベントヘッダーとなり、TIMER REC S/SパックとVAUX SOURCEパックとの3個のパックで構成され、これに図1の(3)に示されるパックによるREC START POINTパックを加えれば、この位置からタイマー録画が開始される。
【0104】
このように一般に1つのイベントは、複数個のパックで構成されるが、その中に他のイベントヘッダーとして定義されているパックを入れることは禁じられている。なお、図1の(5)のTAGパックによっても記録開始位置或るいは再生開始位置を指定することが可能であるが、このTAGパックはイベントヘッダーも兼ねているので、例えば、記録開始位置を指定するためのパックとしてTAGパックをタイマー録画予約イベントの中に含ませることはできない。従って、タイマー録画予約イベントに記録開始位置を指定するためのパックを加える場合には、上記のREC START POINTパックを用いることになる。なお、このTAGパックは、後述するように、このパック1個のみでもイベントとして存在できる。
【0105】
オプショナルエリアに記録されている特定のイベントを消去した時にはアドレス16以降に残りのイベントを詰めて保存する。詰め込み作業後不要となったデータエリアは、すべてFFhを書き込んでおき、未使用エリアとする。MICデータの読出し時、そのパックヘッダーの内容により5バイト毎、または可変長バイト(テキストデータ)毎に、次のパックヘッダーが登場するが、未使用エリアのFFhをヘッダーとして読みだすと、これは情報無しパック(NO INFOパック)のパックヘッダーに相当するので、コントロールマイコンはそれ以降に情報が無いことを検出できる。
【0106】
なお、オプショナルエリアには、以上のようなタイマー録画予約イベント、及びTAGパックの外、TOC(Table of Contents)、及びプログラムに関するタイトルのテキストデータ等が記録される。
【0107】
1─2. ディジタルVTRの記録回路
本実施例のディジタルVTRでは、以上に説明した記録フォーマットに従ってテープ及びMICへの記録が行われるが、次に、このような記録を実行するディジタルVTRの記録回路の構成及び動作について説明する。
かかる記録回路の構成を図11に示す。
【0108】
この図において、入力されたアナログコンポジットビデオ信号はY/C分離回路41によりY,R−Y,R−Yの各コンポーネント信号に分離され、A/D変換器42へ供給される。また、アナログコンポジットビデオ信号は同期分離回路44へ供給され、ここで分離された同期信号はクロック発生器45へ供給される。クロック発生器45はA/D変換器42及びブロッキング・シャフリング回路43のためのクロック信号を生成する。
【0109】
A/D変換器42へ入力されたコンポーネント信号は、525/60システムの場合、Y信号は13.5MHz、色差信号は13.5/4MHzのサンプリング周波数で、また625/50システムの場合、Y信号は13.5MHz、色差信号は13.5/2MHzのサンプリング周波数で、A/D変換が行われる。そして、これらのA/D変換出力のうち有効走査期間のデータDY,DR,DBのみがブロッキング・シャフリング回路43へ供給される。
【0110】
このブロッキング・シャフリング回路43において、有効データDY,DR,DBは、水平方向8サンプル、垂直方向8ラインを1つのブロックとするブロッキング処理を施され、さらにDYのブロック4個、DRとDBのブロックを1個ずつ、計6個のブロックを単位として画像データの圧縮効率を上げ、かつ再生時のエラーを分散させるためのシャフリングが行われた後、圧縮符号化部へ供給される。
【0111】
圧縮符号化部は、入力された水平方向8サンプル、垂直方向8ラインのブロックデータに対してDCT(離散コサイン変換)を行う圧縮回路46、その結果を所定のデータ量まで圧縮できたかを見積もる見積器48、及びその判断結果を基に最終的に量子化ステップを決定し、可変長符号化を用いたデータ圧縮を行う量子化器47とから構成される。量子化器47の出力は、フレーミング回路49において図35において説明したフォーマットにフレーム化される。
【0112】
図11におけるモード処理マイコン67は、人間とのマンマシンインターフェースを取り持つマイコンで、テレビジョン信号の垂直同期の周波数に同期して動作する。また、信号処理マイコン55は、よりマシンに近い側で動作するものであり、ドラムの回転数9000rpm,150Hzに同期して動作する。
【0113】
そして、VAUX,AAUX,SUBCODEの各エリアのパックデータは、基本的にモード処理マイコンで生成されると共に、TITLE ENDパック等に格納される絶対トラック番号は信号処理マイコン55で生成され、後で所定の位置に嵌め込む処理が実行される。SUBCODE内に格納されるタイムコードデータも信号処理マイコン55で生成される。
【0114】
これらの結果は、マイコンとハードウエアとの間を取り持つインターフェースVAUX用IC56、SUBCODE用IC57及びAAUX用IC58に与えられる。VAUX用IC56は、タイミングをはかって合成器50でフレーミング回路49の出力と合成する。また、SUBCODE用IC57は、AP3、SUBCODEのIDであるSID、及びSUBCODEのパックデータSDATAを生成する。
【0115】
一方、入力オーディオ信号はA/D変換器51によりディジタルオーディオ信号に変換される。なお、ビデオ信号及びオーディオ信号のAD変換の際には、この図には示されていないが、サンプリング回路の前段にそのサンプリング周波数に応じたLPFを設けることが必要である。AD変換されたオーディオデータは、シャフリング回路52によりデータの分散処理を受けた後、フレーミング回路53において図33において説明したフォーマットにフレーム化される。この時AAUX用IC58は、AAUXのパックデータを生成しタイミングを見計らって、合成回路54にてオーディオのSYNCブロック内の所定の場所にそれらを詰め込む。
【0116】
次にVAUXを例にパックデータの記録回路を説明する。図12にその全体の流れを示す。まずモード処理マイコン67でVAUXに格納すべきパックデータを生成する。それをP/S変換回路118にてシリアルデータに変換し、マイコン間の通信プロトコルに従って信号処理マイコン55に送る。ここでS/P変換回路119にてパラレルデータに戻し、スイッチ122を介してバッファメモリ123に格納する。送られたパックデータのうちその5バイト毎の先頭のヘッダー部をパックヘッダー検出回路120にて抜き出し、そのパックが絶対トラック番号を必要とするパックかどうかを調べる。必要ならスイッチ122を切り換えて絶対トラック番号生成回路121から23ビットのデータを8ビット刻みで格納する。格納エリアは、個々のパック構造において説明したようにすべて格納すべきパックのPC1、PC2、PC3の固定位置である。
【0117】
ここで回路119は、マイコン内にあるシリアルI/Oであり、回路120、121、122はマイコンプログラムで構成され、回路123は、マイコン内のRAMである。このようにパック構造の処理は、わざわざハードで組まなくても、マイコンの処理時間で間に合うためコスト的に有利なマイコンを使用する。
こうしてバッファメモリ123に格納されたデータは、VAUX用IC56のライト側タイミングコントローラ125からの指示により、順々に読みだされる。この時前半の6パック分はメインエリア用、その後の390パック分はオプショナルエリア用として、スイッチ124を切り換える。
【0118】
メインエリア用のFIFO126は30バイト、オプショナルエリアのFIFO127は1950バイト(525/60システム)、若しくは2340バイト(625/50システム)の容量を持つ。
VAUXは、図13の〔1〕に示されるようにトラック内SYNC番号19、20、156の所に格納される。またフレーム内トラック番号が、1、3、5、7、9の時、+アジマスでSYNC番号19の前半にメインエリアが、フレーム内トラック番号が、0、2、4、6、8の時、−アジマスでSYNC番号156の後半にメインエリアがある。これを1ビデオフレームでまとめて描いたのが、図13の〔2〕である。このようにタイミング信号nMAIN=「L」の時が、メインエリアとなる。このような信号をリード側タイミングコントローラ129にて生成し、スイッチ128を切り換えその出力を合成回路50へ渡す。
【0119】
ここで、nMAIN=「L」の時には、メインエリア用FIFO126のデータを繰り返し10回(525/60システム)、もしくは12回(625/50システム)読み取ることになる。nMAIN=「H」の時は、オプショナルエリア用FIFO127を読みだす。これは、1ビデオフレームに一回だけ読む。
図14にモード処理マイコン内のパックデータ生成部を主として示す。まず大きく分けて回路は、メインエリア用とオプショナルエリア用とに分かれる。回路131は、メインエリア用データ収集生成回路である。ディジタルバスやチューナーから図のようなデータを受け取ると共に内部で139に示すようなデータ群を生成する。これをメインパックのビットバイト構造に組み立て、スイッチ132によりパックヘッダーを付加し、スイッチ136を介してP/S変換回路118に入力する。
【0120】
オプショナルエリア用データ収集生成回路133には、例えばチューナーからTELETEXTデータや番組タイトル等が入力され、これらを格納したパックデータが生成される。どのオプショナルエリアに記録するかはVTRセットが個々に決定する。そのパックヘッダーを回路134により設定してスイッチ135により付加し、スイッチ136を介してP/S変換回路138に入力する。これらのタイミングは、タイミング調整回路137により行う。
ここでも前述のように回路118は、マイコン内にあるシリアルI/Oであり、回路131〜137はマイコンプログラムで構成される。
【0121】
図11における発生器59では、AV(Audio/Video)の各ID部とプリSYNC、ポストSYNCの生成を行う。ここでは、AP1、AP2も生成し所定のID部にはめ込む。発生器59の出力と、ADATA(AUDIO
DATA)、VDATA(VIDEO DATA)、SID、SDATAは、第1のスイッチング回路SW1によりタイミングを見て切り換えられる。
【0122】
そして、第1のスイッチング回路SW1の出力はパリティ生成回路60において、所定のパリティが付加され、乱数化回路61、24/25変換回路62へ供給される。ここで、乱数化回路61はデータの直流成分をなくすために入力データを乱数化する。また、24/25変換回路62は、データの24ビット毎に1ビットを付加してパイロット信号成分を付与する処理及びディジタル記録に適したプリコード処理(パーシャルレスポンスクラスIV)を行う。
【0123】
こうして得られたデータは合成器63へ供給され、ここでA/V SYNC,及びSUBCODE SYNCの発生器64が生成したオーディオ、ビデオ及びSUBCODEのSYNCパターンが合成される。合成器63の出力は第2のスイッチング回路SW2へ供給される。また、ITI発生器65が出力するITIデータとアンブルパターン発生器66が出力するアンブルパターンも、第2のスイッチング回路SW2へ供給される。
【0124】
ITI発生器65には、モード処理マイコン67からAPT,SP/LP,PFの各データが供給される。ITI発生器65はこれらのデータをTIAの所定の位置に嵌め込んで第2のスイッチング回路SW2へ供給する。したがって、スイッチング回路SW2を所定のタイミングで切り替えることにより、合成器63の出力にアンブルパターン及びITIデータが付加される。第2のスイッチング回路SW2の出力は記録アンプ(図示せず)により増幅され、磁気ヘッド(図示せず)により磁気テープ(図示せず)に記録される。
【0125】
モード処理マイコン67はディジタルVTR全体のモード管理を行う。このマイコンに接続された第3のスイッチング回路SW3は、VTR本体の外部スイッチであり、様々なモードの記録動作及び再生動作を指示することができるように構成されたスイッチ群である。そして、このスイッチ群による設定結果はモード処理マイコン67により検出され、マイコン間通信により信号処理マイコン55、MICマイコン69及びメカ制御マイコン(図示せず)へ与えられる。
【0126】
以上の一連の記録動作は、モード処理マイコン67を中心に、メカ制御マイコンや信号処理マイコン55と各パート担当のICとの連携動作で行われる。
なお、MICマイコン69はMIC処理用のマイコンである。ここでMIC内のパックデータやAPM等を生成し、MIC接点(図示せず)を介してMIC付きカセット(図示せず)内のMIC68へ与える。
【0127】
1─3. ディジタルVTRの再生回路
次に、図15及び図16を参照しながら本実施例におけるディジタルVTRの再生回路について説明する。
これらの図において磁気ヘッド(図示せず)により磁気テープ(図示せず)から再生された微弱信号は、ヘッドアンプ(図示せず)により増幅され、イコライザー回路71へ加えられる。イコライザー回路71は、記録時に磁気テープと磁気ヘッドとの電磁変換特性を向上させるために行ったエンファシス処理(例えばパーシャルレスポンスクラスIV)の逆処理を行うものである。
【0128】
イコライザー回路71の出力からクロック抽出回路72によりクロックCKを抜き出す。このクロックCKをA/D変換器73へ供給し、イコライザー回路71の出力をディジタル値化する。こうして得られた1ビットデータをクロックCKを用いてFIFO74に書き込む。
このクロックCKは、回転ヘッドドラムのジッター成分を含んだ時間的に不安定な信号である。しかしA/D変換する前のデータ自身もジッター成分を含んでいるので、サンプリングすること自体には問題はない。
【0129】
ところが、これから画像データ等を抜き出す時には、時間的に安定したデータになっていないと取り出せないので、FIFO74を用いて時間軸調整を行う。つまり書き込みは不安定なクロックで行うが、読み出しは図30に示されている水晶発信子等を用いた自励発信器91からの安定したクロックSCKで行う。FIFO74の深さとしては、入力データの入力スピードよりも速く読み出さないような余裕のあるものにする。
【0130】
FIFO74の各段の出力はSYNCパターン検出回路75に加えられる。ここには、第5のスイッチング回路SW5により、各エリアのSYNCパターンが、タイミング回路79により切り替えられて与えられる。SYNCパターン検出回路75はフライホイール構成になっており、一度SYNCパターンを検出すると、それから所定のSYNCブロック長後に再び同じSYNCパターンが来るかどうかを見る。それが例えば3回以上正しければ真とみなすような構成にして、誤検出を防いでいる。FIFO74の深さはこの数分は必要である。
【0131】
こうしてSYNCパターンが検出されると、FIFO74の各段の出力からどの部分を抜き出せば一つのSYNCブロックが取り出せるか、そのシフト量が決定されるので、それを基に第4のスイッチング回路SW4を閉じて、必要なビットをSYNCブロック確定ラッチ77に取り込む。これにより、取り込んだSYNC番号をSYNC番号抽出回路78において取り出し、タイミング回路79へ供給する。この読み込んだSYNC番号によりトラック上のどの位置をヘッドが走査しているかがわかるので、それにより第5のスイッチング回路SW5及び第6のスイッチング回路SW6を切り替える。
【0132】
第6のスイッチング回路SW6は、ヘッドがITIエリアを走査している時下側に切り替わっており、減算器80によりITISYNCパターンを取り除いて、ITIデコーダ81に加える。ITIエリアはコーディングして記録してあるので、それをデコードすることにより、APT、SP/LP、PFの各データを取り出せる。これらのデータは、SP/LPモードを設定する第7のスイッチング回路SW7が接続されたモード処理マイコン82へ与えられる。モード処理マイコン82はディジタルVTR全体の動作モード等を決めるものであり、メカ制御マイコン85や信号処理マイコン100と連携を取って、セット全体のシステムコントロールを行う。
【0133】
モード処理マイコン82には、APM等を管理するMICマイコン83が接続されている。MIC付きカセット(図示せず)内のMIC84からの情報は、MIC接点スイッチ(図示せず)を介してこのMICマイコン83に与えられ、モード処理マイコン82と役割分担しながら、MICの処理を行う。セットによっては、このMICマイコン83は省略され、モード処理マイコン82でMIC処理を行う場合もある。
【0134】
ヘッドがオーディオエリア、ビデオエリア、或るいはSUBCODEエリアを走査している時には、第6のスイッチング回路SW6は上側に切り替わっている。減算器86により各エリアのSYNCパターンを抜き出した後、24/25逆変換回路87を通し、さらに逆乱数化回路88に加えて、元のデータ列に戻す。こうして取り出したデータをエラー訂正回路89に加える。
【0135】
エラー訂正回路89では、記録側で付加されたパリティを用いて、エラーデータの検出、訂正を行うが、どうしても取りきれなかったデータはERRORフラグをつけて出力する。各データは第8のスイッチング回路SW8により切り替えられて出力される。AV ID,プリSYNC,ポストSYNC抽出回路90は、A/Vエリア及びプリSYNCとポストSYNCに格納されていたSYNC番号、トラック番号、それにプリSYNCに格納されていたSP/LPの各信号を抜き出す。これらはタイミング回路79に与えられ各種タイミングの生成に使用される。なお、上記抽出回路90においては、AP1、AP2も抜き出され、これはモード処理マイコン82ヘ供給されてチェックが行われる。AP1、AP2=000の時には通常通り動作するが、それ以外の値の時は警告処理等のウォーニング動作を行う。
【0136】
SP/LPについては、モード処理マイコン82がITIから得られたものとの比較検討を行う。ITIエリアには、その中のTIAエリアに3回SP/LP情報が書かれており、そこだけで多数決等を取って信頼性を高める。プリSYNCは、オーディオ、ビデオにそれぞれ2SYNCづつあり、計4箇所SP/LP情報が書かれている。ここもそこだけで多数決等を取って信頼性を高める。そして最終的に両者が一致しなかった場合には、ITIエリアのものを優先して採用する。
【0137】
第8のスイッチング回路SW8から出力されたVDATAは、図16に示される第9のスイッチング回路SW9によりビデオデータとビデオ付随データに切り分けられる。そして、ビデオデータはエラーフラグと共にデフレーミング回路94に与えられる。
デフレーミング回路94は記録側のフレーミングの逆変換をする所で、その中に詰め込まれたデータの性質を把握している。そこであるデータに取りきれなかったエラーがあったとき、それがそのほかのデータにどう影響を及ぼすかを理解しているので、ここで伝播エラー処理を行う。これによりERRORフラグは、新たに伝播エラーを含んだVERRORフラグとなる。また、エラーを有するデータであっても画像再現上重要でないものは、その画像データにある細工をして、エラーフラグを消してしまう処理も、このデフレーミング回路94で行う。
【0138】
ビデオデータは逆量子化回路95、逆圧縮回路96を通して、圧縮前のデータに戻される。次にデシャフリング・デブロッキング回路97により、データをもとの画像空間配置に戻す。この実画像空間にデータを戻して初めて、VERRORフラグを基に画像の補修が可能になる。つまり、例えば常に1フレーム前の画像データをメモリに記憶させておき、エラーとなった画像ブロックを前の画像データで代用してしまうような処理が行われる。
【0139】
さてデシャフリング以降は、DY,DR,DBの3系統にデータを分けて扱う。そしてD/A変換器101〜103によりY、R−Y、B−Yの各アナログ成分に戻される。この時のクロックは発振回路91の出力とそれを分周器92にて分周した出力を用いる。つまりYは、13.5MHZ 、R−Y、B−Yは、6.75MHZ または3.375MHZ である。
【0140】
こうして得られた3つの信号成分は、Y/C合成回路104において合成され、さらに合成器105において同期信号発生回路93からのコンポジット同期信号と合成され、コンポジットビデオ信号として端子106から出力される。
第8のスイッチング回路SW8から出力されたADATAは、図16に示される第10のスイッチング回路SW10によりオーディオデータとオーディオ付随データに切り分けられる。そして、オーディオデータはERRORフラグと共にデフレーミング回路107に与えられる。
【0141】
デフレーミング回路107は、記録側のフレーミングの逆変換をする所で、その中に詰め込まれたデータの性質を把握している。そこであるデータに取りきれなかったエラーがあったとき、それがそのほかのデータにどう影響を及ぼすかを理解しているので、ここで伝播エラー処理を行う。例えば、16ビットサンプリングの時、1つのデータは8ビット単位なので、1つのERRORフラグは、新たに伝播エラーを含んだAERRORフラグとなる。
【0142】
オーディオデータは、次のデシャフリング回路108により元の時間軸上に戻される。この時、先ほどのAERRORフラグを基にオーディオデータの補修作業を行う。つまり、エラー直前の音で代用する前値ホールド等の処理を行う。エラー期間があまりに長く、補修が効かない場合には、ミューティング等の処置をして音そのものを止めてしまう。
【0143】
このような処置をした後、D/A変換器109によりアナログ値に戻し、画像データとのリップシンク等のタイミングを取りながら、アナログオーディオ出力端子110から出力する。
さて、第9のスイッチング回路SW9及び第10のスイッチング回路SW10により切り分けられたVAUX、AAUXの各データは、それぞれVAUX用IC98及びAAUX用IC111においてエラーフラグも参考にしながら多数決処理等の前処理を行う。
【0144】
また、第8のスイッチング回路SW8から出力されたSUBCODEエリアのIDデータSIDとパックデータSDATAは、SUBCODE用IC112に与えられ、ここでもエラーフラグも参考にしながら多数決処理等の前処理を行う。これらの前処理が行われたデータは、その後、信号処理マイコン100に与えられ、最終的な読み取り動作を行う。そして、前処理において取りきれなかったエラーは、それぞれVAUXER、SUBER、AAUXERとして信号処理マイコン100に与えられる。
【0145】
ここでSUBCODE用IC112はAP3、及びAPTを抜き出し、これらを信号処理マイコン100を介してモード処理マイコン82に渡してチェックをする。モード処理マイコン82は、ITIからのAPT、及びSUBCODEからのAPTにもとづいてAPTの値を確定すると共に、この値が「000」でない時は警告処理等の動作を行う。また、AP3=000の時には通常通り動作するが、それ以外の値の時は警告処理等のウォーニング動作を行う。
【0146】
ここで、パックデータのエラー処理について補足すると、各々のエリアにはメインエリアとオプショナルエリアがある。そして525/60システムの場合には、同じデータがメインエリアに10回書かれている。従ってそのうちいくつかがエラーしていても、その他のデータで補足再現できるのでそこのERRORフラグはもはやエラーではなくなる。ただしSUBCODE以外のオプショナルエリアについてはデータは1回書きなので、エラーはそのままVAUXER、AAUXERとして残ることになる。
【0147】
信号処理マイコン100は、さらに各データのパックの前後関係などから類推して、伝播エラー処理やデータの補修処理等を行う。こうして判断した結果は、モード処理マイコン82に与えられ、セット全体の挙動を決める材料にする。
次にVAUXを例にVAUX用IC98及び信号処理マイコン100におけるパックデータの再生回路を説明する。ここでは、前処理として多数決処理ではなく、エラーの場合にはメモリに書き込まないという単純な処理方式を用いた構成例について説明する。図17にVAUX用IC98の回路例を示す。まずスイッチング回路SW9からきたVAUXパックデータを、ライト側コントローラ142により図31のnMAIN=「L」のタイミングで、スイッチ141を切り換えることによりメインエリア用メモリ145及びオプショナルエリア用FIFO148に振り分ける。
【0148】
メインエリアのパックデータは、パックヘッダー検出回路143によりそのヘッダーを読み取ってスイッチ144を切り換える。そしてERRORでない時だけデータをメインエリア用メモリに書き込む。このメモリは、9ビット構成になっており、図で網点がかかっている部分はエラーフラグの格納ビットである。
メインエリア用メモリの初期設定としては、1ビデオフレーム毎にその内容をすべてオール1(=情報無し)にしておく。そしてERRORだったらなにもせず、ERRORでなければそのデータを書き込むと共にエラーフラグに0を書き込んでおく。メインエリアには1フレームにつき同じパックが10回、もしくは12回書きされているので1ビデオフレーム終了時点でエラーフラグに1が立っているところが、最終的にエラーと認識される。
【0149】
オプショナルエリアは、基本的に1回書きなので、ERRORフラグをそのままデータと共にオプショナルエリア用FIFO148に書き込む。これらをリード側タイミングコントローラ149によって切り換えられるスイッチ146、147を介して信号処理マイコン100へ送る。
信号処理マイコン100では、送られてきたパックデータとエラーフラグから解析を行う。信号処理マイコン100における処理動作を図18を参照して説明する。この図においてパックヘッダー識別回路150により、VAUX用IC98から送られてきたパックデータ(VAUXDT)の振り分けを行い、メモリ151に貯える。これは、メインエリア、オプショナルエリアの区別は特にしない
。
【0150】
メインエリアのパックの場合には、VAUX用IC98と同じく、VAUXERにエラーフラグ「1」が立っている時には書き込み処理を行わない。これにより少なくとも1ビデオフレーム前の値で補修ができる。メインエリアの内容は、1ビデオフレーム前の値と非常に相関が強いと考えられるので、この処理で代用してしまっても特に問題は生じない。
【0151】
一方、オプショナルエリアのパックの場合には、1ビデオフレーム前の値と全く相関がないと考えられるので、そのパック単位でエラー伝播処理を行う。
この方法は、基本的には5バイト固定長のパックデータの中にエラーが有れば全データをFFhとする「情報無しパック」に変更することにより行われるが、パック個別対応も必要となる。例えば、Teletextデータが格納される「Teletext」パックの場合には、そのパックがいくつも続く関係から、その間のパックヘッダーにエラーがあっても容易にTeletxtパックヘッダーに置き換えが可能である。またデータ部にエラーがあっても、パックヘッダーにエラーが無ければそのパックを「情報無しパック」に変更することはしない。これは、そのTeletextデータの復元を、Teletextデコーダーのパリティチェックに委ねているからで、エラーとわかってもデータはそのままにしておく。
【0152】
即ち、本実施例のディジタルVTRにおいては、図15の再生回路では記載を省略しているが、テキストデータ、Teletextデータ等のようにデータ量が多く、かつ、1連のデータシーケンスとして特徴のあるパックデータについては、それぞれ信号処理マイコン100から専用のデータ処理回路へ受け渡して、より高能率のエラー補正を実行すると共に、モード処理マイコン82に対する負荷の軽減を行うようにしている。
【0153】
以上のような信号処理マイコン100における処理により整えられたデータには、すでにエラーフラグは存在しない。これらをP/S変換回路152にてシリアルデータに変換し、マイコン間の通信プロトコルに従ってモード処理マイコン82に送る。ここでS/P変換回路153にてパラレルデータに戻し、パックデータ分解解析を行う。
【0154】
ここで回路150、155、及びスイッチ154はマイコンのプログラムで構成されると共に、メモリ151はマイコン内部のメモリ、回路152、及び153はマイコン内部のシリアルI/Oである。
モード処理マイコン82におけるパックデータの分解解析においては、確定されたパックヘッダーに基づいてパックデータの解析を行い、解析結果として得られる種々の制御情報、表示情報等をそれぞれの制御回路、表示回路等へ供給する。
【0155】
以上、本実施例のディジタルVTRの概要を525/60システムの場合を中心に説明したが、本実施例のディジタルVTRは、このシステムに限らず他のSD(Standard Density)方式である625/50システム、並びにHD(High Density)方式である1125/60システム及び1250/50システムにも直ちに適用できるものである。
【0156】
2. アプリケーションIDシステム
以上、本実施例におけるディジタルVTRの概要について説明したが、このディジタルVTRは、画像圧縮記録方式の民生用ディジタルVTRに限らずそれ以外の種々のディジタル信号記録再生装置として容易に商品展開できるように基本設計されている。そして、前述のディジタルVTRの説明の中で現れたIDデータAPT,AP1〜AP3,APMが、このような種々のディジタル信号記録装置への展開を可能ならしめる役割を担うものであり、これらのIDデータを一括してアプリケーションIDと呼ぶ。
【0157】
そこで、次に、このアプリケーションIDシステムについて補足説明する。
上記のアプリケーションIDは、ディジタルVTRの応用例を決めるIDではなく単に記録媒体のエリアのデータ構造を決定するだけのIDであり、APT及びAPMについては前述のとおり以下の意味付けがなされている。
APT・・・トラック上のデータ構造を決める。
APM・・・MICのデータ構造を決める。
【0158】
即ち、まず、APTの値により、このディジタル信号記録再生装置におけるトラック上のデータ構造が規定される。つまり、ITIエリア以降のトラックが、APTの値に応じて図19のようにいくつかのエリアに分割され、それらのトラック上の位置、SYNCブロック構成、エラーからデータを保護するためのECC構成等のデータ構造が一義的に決まる。さらに各エリアには、それぞれそのエリアのデータ構造を決めるアプリケーションIDが存在する。その意味付けは以下のようになる。
エリアnのアプリケーションID・・・エリアnのデータ構造を決める。
【0159】
そして、テープ上のアプリケーションIDは、図20のような階層構造を持つ。すなわち、おおもとのアプリケーションIDであるAPTによりトラック上のエリアが規定され、その各エリアにさらにAP1〜APnが規定される。エリアの数は、APTにより定義される。図20では二階層で書いてあるが、必要ならさらにその下に階層を設けてもよい。このようにAPT,AP1〜APnの値を指定することによって、このディジタル信号記録再生装置の具体的信号処理の構成及び該装置の用途が特定される。
【0160】
なお、MIC内のアプリケーションIDであるAPMは一階層のみであり、その値は、そのディジタル信号記録再生装置によりそのAPTと同じ値が書き込まれる。
このアプリケーションIDシステムにより、民生用のディジタルVTRを、そのカセット、メカニズム、サーボシステム、ITIエリアの生成検出回路等をそのまま流用して、全く別の商品群、例えばデータストリーマーやマルチトラック・ディジタルオーディオテープレコーダーのようなものを作り上げることが可能である。また1つのエリアが決まっても、その中味をさらにそのエリアのアプリケーションIDで定義できるので、あるアプリケーションIDの値の時はそこはビデオデータ、別の値の時はビデオ・オーディオデータ、またはコンピューターデータというように非常に広範な商品展開が可能である。
【0161】
次に、アプリケーションIDの値が指定された場合の具体例について説明する。
まず、APT=000の時の様子を図21に示す。この時トラック上にエリア1、エリア2、エリア3が規定される。そしてそれらのトラック上の位置、SYNCブロック構成、エラーからデータを保護するためのECC構成、それに各エリアを保証するためのギャップや重ね書きを保証するためのオーバイライトマージンが決まる。さらに各エリアには、それぞれそのエリアのデータ構造を決めるアプリケーションIDが存在する。その意味付けは以下のようになる。
【0162】
AP1・・・エリア1のデータ構造を決める。
AP2・・・エリア2のデータ構造を決める。
AP3・・・エリア3のデータ構造を決める。
そしてこの各エリアのApplication IDが、000の時を以下のように定義する。
【0163】
AP1=000・・・画像圧縮記録方式民生用ディジタルVTRのオーディオ、AAUXのデータ構造を採る
AP2=000・・・画像圧縮記録方式民生用ディジタルVTRのオーディオ、AAUXのデータ構造を採る
AP3=000・・・画像圧縮記録方式民生用ディジタルVTRのサブコード、IDのデータ構造を採る
すなわち、画像圧縮記録方式民生用ディジタルVTRを実現するときは、APT、AP1、AP2、AP3=000となる。このとき、当然、APMも000となる。
【0164】
3.記録・再生開始位置の制御
次に、本願の課題であるVTRにおける記録再生の際のテープ上の開始位置の制御方法について説明する。
【0165】
3−1. TAGパックのみを使用する方法
本実施例のディジタルVTRにおいては、前述のようにTAGパックは単独でイベントとしてMIC内に存在することができるので、このTAGパックを用いるのみでも記録或るいは再生の際の開始位置の制御が可能である。以下に、この場合の構成について説明する。なお、以下の説明においては、MIC内に格納するパックもモード処理マイコンによって生成され、これがMICマイコンを介してMICに記録されるように構成されたディジタルVTRの場合について述べる。
【0166】
▲1▼ 再生開始位置の制御
例えば、このディジタルVTRにより再生されている画像を見ている途中で中座するときには、このディジタルVTRに設けられている再生開始位置予約ボタンを押すことによって、このボタンが押された時点の再生トラックの絶対トラック番号を記憶させておくことができる。この記憶動作は、具体的には、このボタンが押されたことをまずモード処理マイコンが検知し、これに基づいて該モード処理マイコンは、このボタンが押された時点に記録トラックのSUBCODEエリアから再生された絶対トラック番号を読み出し、更に、TAG IDが「1011」のTAGパック(即ち、PB START POINTのTAGパック)にこの絶対トラック番号を格納し、このTAGパックをMICマイコンを介してMICに記録することによって行われる。図22は、この場合のテープ上の再生開始位置とTAGの関係を示したものである。
【0167】
そして、このディジタルVTRには通常の再生ボタンの外に、上記の予約された再生開始位置から再生動作を実行させるための予約再生開始ボタンが設けられており、ユーザーは、随時このボタンを押すことによって予約した再生開始位置から再生動作を実行させることができる。この再生動作も主にモード処理マイコンによって全体の制御が行われるように構成されており、モード処理マイコンは、このボタンが押されたことを検知すると、MICマイコンを介してMICのオプショナルエリアのサーチを行い、PB START POINTのTAGパックに格納されている絶対トラック番号を読み出す。
【0168】
そして、この読み出された絶対トラック番号の位置から再生動作を開始するようにメカ制御マイコンへ指令を出すことにより、高速で目的とする再生開始位置までテープを走行させてから再生動作が開始される。このように、指定された開始位置情報をカセット自身が記憶しているので、開始位置が指定された後カセットがVTRからイジェクトされても、このカセットをVTRに装填すれば正確に予約された開始位置から再生動作が開始される。
【0169】
▲2▼ 録画開始位置の制御
また、本ディジタルVTRには録画開始位置指定ボタンも設けられており、例えば、テープの再生中に不要記録部分の先頭位置を見つけたときには、このボタンを押すことによってこの先頭位置を録画開始位置として記憶しておくことができる。この記憶動作は、ボタンが押された時点に再生トラックから再生された絶対トラック番号をREC START POINTのTAGパック(TAG ID=1010)に格納してMICに記録することにより行われる。この場合の記録開始位置とTAGの関係を示すと図23のようになる。その後、ユーザーが録画ボタンを押したときには、まず、MICの中がサーチされ、このパックが見つかるとこの記憶された絶対トラック番号位置までテープを走行させてから録画動作が開始される。
【0170】
なお、MIC内に上記のTAGパックが存在しなかったときは、次の3−2.の▲1▼において説明するように、記録ヘッドの現在位置から記録する、或るいは、LAST REC POINTのTAGパックに格納されている最後記録位置、及びTITLE ENDパックに格納された最終記録位置のうち最適な方の記録位置を選択して記録する、等の種々の方法を採用することができる。
【0171】
3−2. 複数パックから成るイベントを使用する方法
次に、複数パックから成るイベントを使用して記録動作或るいは再生動作の制御を行う場合の開始位置の制御について説明する。
【0172】
▲1▼ タイマー録画予約における開始位置の制御
タイマー録画予約イベントは、前述の通り、基本的にはTIMER REC
DATEパック、TIMER REC S/Sパック、及びVAUX SOURCEパックから構成される。これを模式的に簡略化して示したのが図24の〔1〕である。そして、タイマー録画予約イベントがこのように3パックのみから構成されているときは、録画開始位置は現在の記録ヘッドの位置となる。
【0173】
これに対し、本ディジタルVTRは、タイマー録画予約設定時に前述の録画開始位置指定ボタンも操作すると、このボタン操作時における再生トラックの番号が読み取られて、図1の(3)に示されるパックに基づくREC START
POINTパックに格納され、この生成されたパックが、図24の〔2〕に示されるように、上記の3パックに対して付け加えられるように構成されている(即ち、タイマー録画予約設定時には、3−1.の▲2▼において説明した場合とは異なるパックを生成するようにモード処理マイコンがプログラムされている)。そして、かかるボタン操作を行った後、ユーザーがディジタルVTRをタイマー録画予約待機状態に設定すると、テープが自動的に指定された録画開始位置まで走行してから録画待機状態となる。
【0174】
なお、この録画開始位置をユーザーに表示したいときは、図24の〔2〕に示されるイベントに対して、更に図1の(4)に示されるパックを用いてタイムコード表現のREC START POINTパックを付け加え、モード処理マイコンが、このパック内容を表示するための制御動作を実行するようにプログラムを構成しておく。
【0175】
上記のREC START POINTパックの生成もモード処理マイコンによって実行されるが、その際、モード処理マイコンが、TITLE ENDパックに格納されているデータとユーザーが指定した録画開始位置とに基づいてテープの残量を算出すると共に、タイマー録画予約イベントの中のデータに基づいて録画に必要なテープ量も算出し、更に、この録画に必要なテープ量と前記の算出された残量を比較してテープ残量が不足であると判断されたときには、録画開始位置を設定し直すようにユーザーに対して指令を出すように構成することもできる。
【0176】
この場合、録画に必要なテープ量は、TIMER REC S/Sパックの格納データから計算される録画所要時間、TIMER REC DATEパック内の記録モード(SP/LP)を表すSLフラグ、及びVAUX SOURCEパック内のテレビジョン信号の方式に関する情報から直ちに計算できる。
【0177】
なお、タイマー録画予約設定時にユーザーが録画開始位置指定ボタンを押さなかった場合、前述のように現在の記録ヘッドの位置を録画開始位置とする代わりに、予め録画開始位置を決定する際の優先順位を、例えば、1)REC START POINTのTAGパックに格納されている録画開始位置、2)TITLE ENDパックに格納されている最終録画位置、3)LAST REC POINTのTAGパックに格納されている最後記録位置、等のように設定しておき、モード処理マイコンによってこの優先順位及びテープ残量を判断して録画開始位置を決定し、更に、この決定された録画開始位置のデータを図1の(3)のパックに基づくREC START POINTパックに格納し、このパックをタイマー録画予約イベントに加えるようにしてもよい。
【0178】
この場合のモード処理マイコンの動作フローの1例を図25により説明する。この図において、まず、MIC内をサーチしてREC START POINTのTAGパックが格納されているかどうかを調べる(ステップST1)。そして、このTAGパックが存在していたときはTAPE LENGTHパックのデータを用いてTAGパックに格納されている記録開始位置からのテープの残量を計算すると共に、この残量が録画に十分なものであるかどうかを判断し(ステップST2)、残量が十分のときは、このTAGパックに格納されている記録開始位置を図1の(3)のパックによるREC START POINTパックに格納し、これをタイマー録画予約イベントに加える(ステップST3)。
【0179】
ステップST2において残量不足と判断されたときは、▲1▼のフローへ移行して、まず、録画開始位置を新たに設定するようユーザーに指令を出す(ステップST4)。ユーザーにより新たな録画開始位置が設定されたら、その位置からのテープ残量を算出してこれが十分かどうかを判断し、不十分であれば残量が十分な録画開始位置が設定されるまでユーザーに対して録画開始位置の設定し直しを指令する(ステップST4〜ステップST6のループの繰り返し)。ステップST6において残量が十分と判断されたら、設定された録画開始位置をREC START POINTパックに格納してタイマー録画予約イベントに加える(ステップST7)。
【0180】
ステップST1における調査において、MIC内にREC START POINTのTAGパックが存在しなかった場合は、TITLE ENDパックに格納されている最終記録位置からのテープ残量を算出してこれが録画に十分なものであるかどうかを判断し(ステップST8)、十分なときは、更に、MIC内にLAST REC POINTのTAGパックが存在するかどうかを調べる(ステップST9)。このTAGパックが存在するときは、ユーザーに対してTAGパックの最後記録位置及びTITLE ENDパックの最終記録位置のうちいずれを録画開始位置とするかを質問する(ステップST10)。そして、ユーザーによって回答されたパックに格納されている絶対トラック番号をREC START POINTパックに格納してタイマー録画予約イベントに付け加える(ステップST11、12)。
【0181】
ステップST9における調査においてTAGパックが存在しなかったときは、TITLE ENDパックの最終記録位置を録画開始位置とするREC START POINTパックを生成する(ステップST12)。また、ステップST8の判断において、TITLE ENDパックの最終記録位置からのテープ残量が不十分のときは前述のフロー▲1▼へ移行し、録画を可能ならしめる新たな録画開始位置をユーザーに設定させる。
【0182】
なお、ステップST8における判断結果がNOのとき直ちに▲1▼のフローを実行するのではなく、図26に示されるようにステップST13、ステップST14を介在させてもよい。即ち、この図のフローにおいては、ステップST8での判断結果がNOのときは、MIC内にLAST REC POINTのTAGパックが存在するかどうかを調べ(ステップST13)、存在するときはその最後記録位置からのテープ残量が十分であるかどうかを判断する(ステップST14)。
【0183】
そして、残量が十分であるときは、この最後記録位置を録画開始位置とするREC START POINTパックを生成する(ステップST11)。ステップST13における調査においてLAST REC POINTのTAGパックが存在しなかったとき、或るいは、ステップST14の判断においてテープ残量が不十分のときは前述の▲1▼のフローへ移行して録画の可能な録画開始位置を再設定する。
【0184】
更に、図25及び図26において実行されるフロー▲1▼を、図27に示される
フロー▲2▼のように変更してもよい。この▲2▼のフローでは、図25におけるステップST2及びステップST8、並びに図26におけるステップST13及びステップST14における判断結果がNOのときは、現在のヘッド位置からのテープ残量が十分であるかどうかが判断され(ステップST22)、これがYESのときは、このヘッド位置が録画開始位置となる。この判断結果がNOのときは上記の▲1▼のフローと同じプログラムが実行される。
【0185】
以上に説明したように、本実施例のディジタルVTRでは、モード処理マイコンによって、REC START POINTのTAGパック或るいはTITLE ENDパックに格納された絶対トラック番号に基づいて録画開始位置を決定する外、LAST REC POINTのTAGパックに格納された絶対トラック番号に基づいても録画開始位置を決定できるように構成されている。そこで、本ディジタルVTRでは、録画開始位置決定の際におけるMIC内のLAST
REC POINTのTAGパックのサーチを容易ならしめるために、このTAGパックをMIC内に記録するときには、その記録位置が常にMICのオプショナルエリアの先頭位置となるように規定されている。
【0186】
▲2▼ タイマー再生予約における開始位置の制御
本ディジタルVTRにおけるタイマー再生予約のイベントは、図28に示されるようにTIMER REC DATEパック、TIMER REC S/Sパック、及び図1の(3)のパックによるPB START POINTパックから構成される。即ち、モード処理マイコンは、このイベントにおける3番目のパックがPB START POINTパックであることからタイマー予約再生イベントであることを判別して、設定された時刻から再生動作を開始する。
【0187】
なお、タイマー予約再生設定時にユーザーが再生開始位置を設定しなかったときは、MIC内をサーチしてPB START POINTのTAGパックが存在するかどうかを調べ、存在すればその再生開始位置を有する図1の(3)のパックによるPB START POINTパックを生成してタイマー予約再生イベントに付け加えるようにモード処理マイコンがプログラムされている。また、上記のTAGパックが存在しないときはユーザーに対して再生開始位置の指定を要求する。以上に述べたモード処理マイコンの動作フローを示すと図29のようになる。
【0188】
以上に説明した記録再生における開始位置の制御では、開始位置を指定するパックの生成をモード処理マイコンが行うようにしているが、これに代え、モード処理マイコンからの指令、データ等に基づいてMICマイコンがパックを生成し、これをMIC内に記録するようにしてもよい。また、開始位置を指定するパックを、MICに記録する代わりにVTR本体のメモリに記録する、或るいは、ビデオテープ上に記録するようにしてもよい。
【0189】
この場合、ビデオテープ上に記録する方法としては、例えば、PB START POINTパック(もしくはREC START POINTパック)を再生開始位置(もしくは記録開始位置)以降のすべてのトラックのSUBCODEに記録するようにする。そして、再生動作(もしくは記録動作)を実行するときは、このSTART POINTのパックが記録されている最初のトラックを見つけだしてそのトラックから再生動作(もしくは記録動作)を開始するように制御を行う。
【0190】
以上、ディジタルVTRを例に挙げて記録再生における開始位置の制御方法を説明したが、アナログVTRにおいても、同様にして開始位置の制御を実行できる。但し、この場合は、テープ上に絶対トラック番号が記録されていないので、テープ上に記録されるタイムコードを位置規定信号として利用する。そして、開始位置をタイムコードで指定するために、TAGパック、REC START
POINTパック、PB START POINTパック、TITLE ENDパック等としてタイムコード表現のパックを用いるようにする。
【0191】
これらのタイムコード表現のパックをアナログVTR用にアレンジした構成例を図30に示す。この図に示されるタイムコード表現のパックには、絶対トラック番号表現のTITLE ENDパック、R/P START POINTパック、TAGパック内に格納されている各種のフラグ(RECフラグ、TEXTフラグ、TTフラグ、TAG ID、SLフラグ、REフラグ)が新たに付け加えられており、これによって絶対トラック番号表現のパックと同等の機能を果たすことができるように構成されている。また、この図に示されているTAGパックは、イベントヘッダーとして定義しておく。
【0192】
これらのタイムコード表現のパックを使用したタイマー予約のイベントをアナログカセットテープのMIC内に記録することによって、前述のディジタルVTRの場合と同様の開始位置の制御を行うことができる。なお、TAPE LENGTHパックにはテープの全長をタイムコード表現で格納しておくことにより、このデータとTITLE ENDパックのデータを用いてテープ残量を時間データで算出することができ、また、ユーザーによって指定された開始位置が、予約された録画を行うに十分なテープ残量を持つ位置であるかどうかを判断することもできる。
【0193】
以上に説明したディジタルVTRの実施例及びアナログVTRの実施例では、開始位置制御のための情報がすべてパック構造を用いて記録されるようになっているが、勿論、これ以外のデータ形式で情報を記録することも可能であり、回路技術者であれば、種々の設計変更が可能である。更に、テープカセットに搭載する記憶装置も、前述のようなメモリICに限定する必要は無く、データの書き込み消去が可能なものであれば足り、例えば、テープカセットに設けた磁気シート等に記憶するようにしてもよい。
【0194】
【発明の効果】
カセットテープの記録容量を簡潔に把握することができる。
記録再生の開始位置をテープカセット自身に記憶させておくことができるので、テープをイジェクトしても設定された位置からの記録再生動作が確実に実行される。
テープ上の最終記録位置或るいは最後記録位置から自動的に記録再生を開始させることができる。その場合、テープカセットに記憶された最後記録位置情報のサーチを簡単に行うことができ、また、最終記録位置から記録動作を開始するときは、サーボの立ち上がりを早くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】TIMER REC DATEパック、TIMER REC S/Sパック、R/P ST POINTパック、TAGパックの構造を説明する図である。
【図2】LAST REC POINTのTAGパックのデータと、TITLE ENDパックのデータとの関係を説明する図である。
【図3】同じくLAST REC POINTのTAGパックのデータと、TITLEENDパックのデータとの関係を説明する図である。
【図4】タイムコード表現のTAGパック、及びMAKER CODEパックの構造を説明する図である。
【図5】1フレーム分のAAUX領域の構造を説明する図である。
【図6】1トラック分のVAUX領域の構造を説明する図である。
【図7】1フレーム分のVAUX領域のパック構造を説明する図である。
【図8】525/60システムのディジタルVTRにおけるSUBCODEエリアのパックデータの多重書きを説明する図である。
【図9】625/50システムのディジタルVTRにおけるSUBCODEエリアのパックデータの多重書きを説明する図である。
【図10】メモリインカセットのメモリーマップを説明する図である。
【図11】ディジタルVTRの記録回路を示す図である。
【図12】ディジタルVTRの記録回路におけるパックデータの生成を説明する図である。
【図13】記録トラック上のメインエリアを説明する図である。
【図14】モード処理マイコンにおけるパックデータの生成を説明する図である。
【図15】ディジタルVTRの再生回路の一部の構成を示す図である。
【図16】ディジタルVTRの再生回路の他の部分の構成を示す図である。
【図17】VAUX用ICにおける再生パックデータの処理を説明する図である。
【図18】信号処理マイコンにおける再生パックデータの処理を説明する図である。
【図19】APTによるトラックフォーマットの定義付けを説明する図である。
【図20】アプリケーションIDの階層構造を説明する図である。
【図21】アプリケーションIDが「000」の場合のトラック上のフォーマットを説明する図である。
【図22】PB START POINTのTAGパックのデータを説明する図である。
【図23】REC START POINTのTAGパックのデータを説明する図である。
【図24】タイマー録画予約イベントの構成を示す図である。
【図25】録画開始位置決定フローを示す図である。
【図26】録画開始位置決定フローを部分変更例を示す図ある。
【図27】録画開始位置決定フローの外の部分変更例を示す図ある。
【図28】タイマー再生予約イベントの構成を示す図である。
【図29】再生開始位置決定フローを示す図である。
【図30】アナログVTRに使用する記録再生位置指定用パックの構造を説明する図である。
【図31】ディジタルVTRの1トラックの記録フォーマットを示す図である。
【図32】プリSYNCブロック、及びポストSYNCブロックの構造を示す図である。
【図33】AUDIOのフレーミングフォーマット及び1SYNCブロックの構造を説明する図である。
【図34】1フレーム分の画像データのブロッキングを説明する図である。
【図35】誤り訂正符号が付加されたVIDEOのフレーミングフォーマットを示す図である。
【図36】VIDEOのバッファリングユニット、及び1SYNCブロックの構成を示す図である。
【図37】1トラック分のSUBCODEエリアの構造を説明する図である。
【図38】AUDIOエリア、及びVIDEOエリアにおけるSYNCブロックのID部の構造を説明する図である。
【図39】SUBCODEエリアにおけるSYNCブロックのID部の構造を説明する図である。
【図40】パックの基本構造を示す図である。
【図41】大アイテムによるパックのグループ分けを説明する図である。
【図42】AAUX SOURCEパック、VAUX SOURCEパックの構造を説明する図である。
【図43】VAUX SOURCE CONTROLパック、VAUX REC DATEパック、VAUX REC TIMEパック、VAUX REC TIMEBINARY GROUPパック、及びCLOSED CAPTIONパックの構造を説明する図である。
【図44】CASSETTE IDパック、TAPE LENGTHパック、TITLEENDパックの構造を説明する図である。
【図45】TAPE LENGTHパックへ格納するデータの生成を説明する図である。
【図46】TAPE LENGTHパックのデータとTITLE ENDパックのデータとの関係を説明する図である。
【図47】テープ上に記録される絶対トラック番号を説明する図である。
【符号の説明】
55,100…信号処理マイコン、
67,82…モード処理マイコン、 68,84…MIC
85…メカ制御マイコン、
Claims (15)
- テープカセットに収納されているビデオテープ上の最終記録位置を表す最終記録位置情報又は、当該最終記録位置情報に加えて録画開始位置を表す録画開始位置情報及び/又は最後に記録した位置を表す最後記録位置情報とを、前記テープカセットに搭載されたメモリICに記憶する手段と、
該メモリICに記憶された最終記録位置情報を読み出す読出手段と、
画像音声信号記録再生装置の記録再生動作を待機状態に設定するための指令を入力する待機指令入力手段と、
記録再生動作を開始させるための指令を入力する開始指令入力手段と、
ビデオテープの走行を制御する走行制御手段とを備え、
前記待機指令入力手段又は前記開始指令入力手段のいずれかの指令の入力動作に応じて、前記読出手段は、メモリICに記憶されている前記最終記録位置情報又は、当該最終記録位置情報に加えて録画開始位置を表す録画開始位置情報及び/又は最後に記録した位置を表す最後記録位置情報を読み出し、
前記走行制御手段は、前記読出手段により読み出された前記最終記録位置情報又は、当該最終記録位置情報に加えて録画開始位置を表す録画開始位置情報及び/又は最後に記録した位置を表す最後記録位置情報に基づいてビデオテープを前記録画開始位置又は、前記最終記録位置又は、最後記録位置まで走行させることを特徴とする画像音声信号記録再生装置。 - 前記テープカセットは、内部に収納されたビデオテープにヘリカルトラックを形成して画像信号及び音声信号の記録再生が行われ、該ビデオテープの全長に関するデータを記録する部分を備え、かつ、該データは、該ビデオテープの全長にわたって所定の記録モードにおけるトラックピッチで記録を行った場合のトラック本数の総数、もしくは該トラック本数の総数を表す記号により表現されるものであることを特徴とする請求項1記載の画像音声信号記録再生装置。
- 前記テープカセットは、ビデオテープの全長に関するデータをテープカセット表面に表記することによって該データが記録されることを特徴とする請求項1記載の画像音声信号記録再生装置。
- 前記メモリICは、基本的な付随データを記憶する第1の記憶領域と、オプショナルな付随データを記憶する第2の記憶領域とを備え、
前記最後記録位置情報は、該第2の記憶領域における先頭位置に記憶されることを特徴とする請求項1記載の画像音声信号記録再生装置。 - テープカセットに収納されているビデオテープ上の最終記録位置を表す最終記録位置情報又は、当該最終記録位置情報に加えて録画開始位置を表す録画開始位置情報及び/又は最後に記録した位置を表す最後記録位置情報を、前記テープカセットに搭載されたメモリICに記憶する手段と、
記録指令を入力するための記録指令入力手段と、
上記メモリICに記憶されている最終記録位置情報又は、当該最終記録位置情報に加えて録画開始位置を表す録画開始位置情報及び/又は最後に記録した位置を表す最後記録位置情報を読み出す読出手段と、
ビデオテープ上の記録開始位置を決定する位置決定手段とを備え、
前記記録指令入力手段による記録指令の入力動作に応じて、前記読出手段は、メモリICに記憶されている前記最終記録位置情報又は、当該最終記録位置情報に加えて録画開始位置を表す録画開始位置情報及び/又は最後に記録した位置を表す最後記録位置情報を読 み出し、
前記位置決定手段は、前記読出手段により読み出された前記最終記録位置情報又は、当該最終記録位置情報に加えて録画開始位置を表す録画開始位置情報及び/又は最後に記録した位置を表す最後記録位置情報に基づいて、ビデオテープ上における記録開始位置を決定することを特徴とする画像音声信号記録再生装置。 - 前記テープカセットは、内部に収納されたビデオテープにヘリカルトラックを形成して画像信号及び音声信号の記録再生が行われ、該ビデオテープの全長に関するデータを記録する部分を備え、かつ、該データは、該ビデオテープの全長にわたって所定の記録モードにおけるトラックピッチで記録を行った場合のトラック本数の総数、もしくは該トラック本数の総数を表す記号により表現されるものであることを特徴とする請求項5記載の画像音声信号記録再生装置。
- 前記テープカセットは、ビデオテープの全長に関するデータをテープカセット表面に表記することによって該データが記録されることを特徴とする請求項5記載の画像音声信号記録再生装置。
- 前記メモリICは、基本的な付随データを記憶する第1の記憶領域と、オプショナルな付随データを記憶する第2の記憶領域とを備え、
前記最後記録位置情報は、該第2の記憶領域における先頭位置に記憶されることを特徴とする請求項5記載の画像音声信号記録再生装置。 - 前記最終記録位置情報は、該最終記録位置における記録モードの識別情報を有していることを特徴とする請求項1または5記載の画像音声信号記録再生装置。
- テープカセットに収納されたビデオテープ上における位置を規定する位置規定信号を該ビデオテープ上に記録再生する手段と、
該ビデオテープ上における画像信号及び音声信号の記録再生動作の開始位置を示す記録再生開始位置情報を、前記テープカセットに搭載されたメモリICに記憶する開始位置情報記憶手段とを備えていることを特徴とする画像音声信号記録再生装置。 - 前記テープカセットは、内部に収納されたビデオテープにヘリカルトラックを形成して画像信号及び音声信号の記録再生が行われ、該ビデオテープの全長に関するデータを記録する部分を備え、かつ、該データは、該ビデオテープの全長にわたって所定の記録モードにおけるトラックピッチで記録を行った場合のトラック本数の総数、もしくは該トラック本数の総数を表す記号により表現されるものであることを特徴とする請求項10記載の画像音声信号記録再生装置。
- 前記テープカセットは、ビデオテープの全長に関するデータをテープカセット表面に表記することによって該データが記録されることを特徴とする請求項10記載の画像音声信号記録再生装置。
- ビデオテープ上における画像信号及び音声信号の再生開始位置を指定するための再生開始位置指定手段と、
再生開始位置情報生成手段とを備え、
該再生開始位置情報生成手段は、再生開始位置指定手段操作時のビデオテープ再生位置から再生された位置規定信号に基づいて再生開始位置情報を生成し、開始位置情報記憶手段は、該生成された再生開始位置情報をメモリICに記憶するものであることを特徴とする請求項10記載の画像音声信号記録再生装置。 - 再生動作を再開させるための指令を入力する再開指令入力手段と、
メモリICに記憶された再生開始位置情報を読み出す読出手段とを備え、
該読出手段は、該再開指令入力手段による再開指令の入力動作に応じてメモリICから再生開始位置情報を読み出し、該再生開始位置情報の表す開始位置から画像信号及び音声信号の再生動作が再開されることを特徴とする請求項13記載の画像音声信号記録再生装置。 - ビデオテープ上における画像信号及び音声信号の記録開始位置を指定するための記録開始位置指定手段と、
記録開始位置情報生成手段とを備え、
該記録開始位置情報生成手段は、記録開始位置指定手段操作時のビデオテープ再生位置から再生された位置規定信号に基づいて記録開始位置情報を生成し、開始位置情報記憶手段は、該生成された記録開始位置情報をメモリICに記憶するものであることを特徴とする請求項10記載の画像音声信号記録再生装置。
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JP03094994A JP3586878B2 (ja) | 1994-02-02 | 1994-02-02 | テープカセット、並びにテープカセットを用いて画像信号及び音声信号の記録再生を行う画像音声信号記録再生装置 |
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