JP3661667B2 - デジタル画像信号の再生方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として画像信号及び音声信号を符号化して記録されたデジタル画像信号の再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のアナログVTR用のソフトでは、著作権保護のためにテレビジョン信号のブランキング期間内に記録側VTRの自動利得制御機能(AGC:Auto Gain Control) 機能を混乱させるような撹乱信号を挿入していた。これにより不法にソフトテープをダビングすると、ダビングされたテープは再生不可能な状態になって記録され、結果として著作権が保護される。
【0003】
また、例えば画面の有効エリアの20ラインごとに4ラインカラーサブキャリア信号の位相を反転してしまうようなカラーストライプと呼ばれる処理を行っていた。こうすると、テレビジョン受像機は、AFCコントロールが俊敏でないために影響を受けにくいが、VTR側の回路は俊敏に追従しようとするため、カラーの色相が廻ってしまい色の帯が重畳されてしまう。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述のようにアナログVTRでは、従来、著作権保護のためにAGCとカラーストライプの2通りの対策が取られようとしているが、これらはあくまでもアナログ画像信号そのものであって、デジタルで記録するデジタルVTRの場合には次のような問題点があった。すなわち、アナログ入力が無く、デジタルインターフェースのみのデジタルVTRでは、著作権保護のための攪乱信号の効果はない。したがって音声画像データを復元してアナログ出力に出せば、そこに接続されたVTRで記録できてしまう。
【0005】
そこで、本発明の目的は、AGCやカラーストライプなどの各種手法による著作権保護機能をデジタルVTRにおいて有効に機能させるようにすることにある。すなわち、デジタルインターフェースを介しても、アナログビデオ出力を通しても、他のデジタルVTR又は従来のアナログVTRで録画を禁止できるようにデジタル画像信号の再生方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るデジタル画像信号の再生方法は、符号化された画像データと、ヘッダ部のシンクブロック及びIDブロックに近接して配され、著作権保護信号及び暗号用データを含み構造化された前記画像データの付随情報データとが記録された記録媒体を再生し、前記著作権保護情報の世代制限信号CGMSに基づいて、上記画像データを復号化したアナログビデオ信号中に、位相を所望のラインで反転したカラーサブキャリアと擬似水平同期パルスとからなる攪乱信号を挿入するとともに、上記CGMSを垂直ブランキング期間に挿入することを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0008】
本発明の説明に先立って、本発明が適用されるデジタルVTRの記録フォーマットについて説明する。
【0009】
このデジタルVTRでは、図1にテープ上の記録フォーマットを示すように、トラックの両端にはマージンが設けられる。そして、その内側には記録始端側から、アフレコを確実に行うためのITIエリア、音声信号を記録するオーディオエリア、画像信号を記録するビデオエリア、副次的データを記録するためのサブコードエリアが設けられる。なお各エリアの間には、エリア確保のためのインターブロックギャップ(IBG1〜3)が設けられる。このようなトラックが、525/60方式のビデオ信号に対しては1フレームが10トラック、625/60方式では1フレームが12トラックに分割されて記録される。
【0010】
次に上記の各エリアに記録される信号の詳細を説明する。
【0011】
トラック入口側に記録されるITI(Insert and Track Information)は、アフレコを確実に行うためのタイミングブロックであって、それ以降のエリアに書かれたビデオデータやオーディオデータをアフレコして書き直す場合に、そのエリアの位置決めを正確にするために設けられるものである。このデジタルVTRは、アプリケーションIDを用いることによりよデジタル画像信号及びデジタル音声信号の記録再生装置以外にも応用できるように構成されており、どのような応用装置においても特定のエリアのデータの書き換えは必須なので、このトラック入口側のITIアリアは必ず設けられている。
【0012】
ITIエリアには、短いSYNC長のSYNCブロックを多数個書いておき、その中にトラック入口側より順にそのSYNC番号を振っておく。アフレコをしようとするとき、このITIエリアのSYNCブロックのどれかを検出できれば、そこに書いてある番号から現在のトラック上の位置が正確に判断できる。そして、それを基にアフレコエリアを確定する。一般的にトラック入口側はメカ精度等の関係からヘッド当たりが取り難く不安定である。そのため、ITIエリアではSYNC長を短くして多数個SYNCブロックを書いておくことにより、検出確率を高くしている。
【0013】
このITIエリアは、図2に示すように4つの部分からなる。まずデジタル信号のPLLのラインの働きをする1400ビットのプリアンブルがあり、次に、上記機能のためのSSA(Start-SYNC Block Area) がある。これは1SYNCが30ビットで構成され、61ブロックある。その後にTIA(Track InformationArea)がある。これは3ブロック90ビットで構成される。このTIAは、トラック全体に関する情報を格納するエリアであって、この各ブロックの中にはもとのアプリケーションIDであるART(Application ID of a track) 3ビット、トラックピッチを表すSP/LP1ビット、リザーブ1ビットそれにサーボシステムの基準フレームを示すPF(Pilot Frame) 1ビットの計6ビットが格納される。最後にマージンを稼ぐためのポストアンブル280ビットがある。
【0014】
本願出願人は、先に、記録媒体の収納されるカセットにメモリICの設けられた回路基板を搭載して、このカセットがデジタルVTRに装着された時にこのメモリICに書き込まれたデータが読み出される記録再生の補助を行うようにした特願平5−277633号や特願平6−82576号を先に提案している。ここでは、これをMIC(Memory In Cassette)と呼ぶことにする。
【0015】
アプリケーションIDは、上述のTIAエリアのAPTだけでなく、このMICの中にもAPM(Application ID of MIC) として、アドレス0の上位3ビットに格納されている。
【0016】
アプリケーションIDは、デジタルVTRの応用例を決めるIDではなく、単に記録媒体のエリアのデータ構造を決定するだけのIDである。したがって、以下の意味付けがなされている。
【0017】
APT・・・トラック上のデータ構造を決める。
【0018】
APM・・・MICのデータ構造を決める。
【0019】
すなわち、APTの値により、トラック上のデータ構造が規定される。つまり、ITIエリア以降のトラックが、図3に示すようにいくつかのエリアに分割され、それらのトラック上の位置、SYNCブロック構成、エラーからデータを保護するためのECC構成などのデータ構成が一義的に決まる。さらに各エリアには、それぞれそのエリアのデータ構造を決めるアプリケーションIDが存在する。その意味付けは以下のようになる。
【0020】
エリアnのアプリケーションID・・・エリアnのデータ構造を決める。
【0021】
テープ上のアプリケーションIDは、図4に示すような階層構造を持つ。すなわち、おおもとのアプリケーションIDであるAPTによりトラック上のエリアが規定され、その各エリアにさらにAP1からAPnが規定される。エリアの数は、APTにより定義される。図4では、2階層で書いてあるが、必要ならさらにその下に階層を設けても良い。これに対してMIC内のアプリケーションIDであるAPMは1階層のみである。その値は、デジタルVTRによりその応用効きのAPTと同じ値が書き込まれる。
【0022】
このアプリケーションIDシステムにより、民生用のデジタルVTRを、そのカセット、メカニズム、サーボシステム、ITIエリアの生成検出回路等をそのまま流用して、全く別の商品群、例えばデータストリーマやマルチトラック・デジタルオーディオテープレコーダのようなものを作り上げることが可能となった。また1つのエリアが決まっても、その中身さらにそのエリアのアプリケーションIDで定義できるので、あるアプリケーションIDの値の時は底はビデオデータ、別の値の時はビデオ・オーディオデータ、またはコンピュータデータというように非常に広範な商品群が可能になった。
【0023】
次に、APT=000ときの様子を図5に示す。このときトラック上にエリア1、エリア2、エリア3が規定される。そして、それらのトラック上の位置、SYNCブロック構成、エラーからデータを保護するためのECC構成、それに各エリアを保証するためのギャップや重ね書きを保証するためのオーバーライトマージンが決まる。さらに各エリアには、それぞれそのエリアのデータ構造を決めるアプリケーションIDが存在する。その意味付けは以下のようになる。
【0024】
AP1・・・エリア1のデータ構造を決める。
【0025】
AP2・・・エリア2のデータ構造を決める。
【0026】
AP3・・・エリア3のデータ構造を決める。
【0027】
そして、この各エリアのアプリケーションIDが、000のときを以下のように定義する。
【0028】
AP1=000・・・民生用デジタルVTRのオーディオ、AAUXのデータ構造を採る。
【0029】
AP2=000・・・民生用デジタルVTRのオーディオ、VAUXのデータ構造を採る。
【0030】
AP3=000・・・民生用デジタルVTRのサブコード、IDのデータ構造を採る。
【0031】
ここで、AAUXはオーディオ付随データ(Audio Auxiliary data)であり、VAUXはビデオ随データ(Video Auxiliary data)である。すなわち、民生用のデジタルVTRを実現するときは、APT、AP1、AP2、AP3=00となる。当然、APMも000となる。
【0032】
さてAPT=000のときは、AAUX、VAUX、サブコードそれにMICの各エリアは、全て共通のパック構造で記述される。図6に示すように、1つのパックは5バイトで構成され、先頭の1バイト(PC0)がヘッダ、残りの4バイト(PC1〜PC4)がデータである。パックとは、データグループの最小単位のことで、関連するデータを集めて1つのパックを構成する。
【0033】
ヘッダ8ビットは、上位4ビット、下位4ビットに分かれ、階層構造を形成する。図7に示すように、上位4ビットを上位ヘッダ、下位4ビットを下位ヘッダとして2階層を構成し、さらに、データのビットアサインによりその下の階層まで拡張することができる。この階層化により、パックの内容は明確に系統立てられ、その拡張も容易である。そして、この上位ヘッダ、下位ヘッダによる256の空間は、唯一のパックヘッダ表として、その各パックの内容とともに準備される。これを用いて、上記各エリアを記述する。
【0034】
図8はパックヘッダ表の概要を示す図である。このパックヘッダ表において、上位4ビットは大アイテム、下位4ビットは小アイテムと呼ばれる。そして、上位4ビットの大アイテムは、例えば後続データの用途を示すデータである。これに対して、下位4ビットの小アイテムは例えば後続データの具体的な内容を示すデータである。
【0035】
そして、この大アイテムには、図8に示すように、コントロール「0000」、タイトル「0001」、チャプター「0010」、パート「0011」、プログラム「0100」、オーディオ付随データ「0101」、ビデオ付随データ「0110」、カメラ「0111」、ライン「1000」、ソフトモード「1111」が設けられる。
【0036】
ここで、例えばオーディオ付随データ「0101」及びビデオ付随データ「0110」の大アイテムには、それぞれ記録信号源「0000」、ソースコントロール「0001」、記録日「0010」、記録時間「0011」等の小アイテムが設けられる。
【0037】
図9はオーディオ付随データ及びビデオ付随データのソースコントロールパックのPC1のデータを示す図である。このパックには、MSB側から順に、SCMSデータ2ビット、コピーソースデータ2ビット、コピージェネレーションデータ2ビット、サイファ(暗号)タイプデータ1ビット、そして、サイファデータ1ビットが記録される。
【0038】
また、ライン「1000」の大アイテムには、ラインヘッダ「0000」、Y「0001」、R−Y「0010」、B−Y「0011」、R「0101」、G「0110」、B「0111」等の小アイテムが設けられる。すなわち、ライン「1000」の大アイテムは、テレビジョン信号における垂直ブランキング期間内あるいは有効走査期間内の任意のラインのデータをサンプリングしたデータを記録やテレビジョン信号以外の画像信号のサンプリンデータの記録ができる。
【0039】
なお、大アイテム「1001」〜「1110」は追加用に残された部分である。したがって、未だ定義されていないアイテムのコード(例えば、上記追加用の大アイテム「1001」〜「1110」を有するもの)を使用して新たなヘッダを定義することにより、将来任意に新しい記録を行うことができる。
【0040】
パック構造は5バイトの固定長を基本とするが、唯一の例外としてMIC内に文字データを記述するときのみ、可変長のパック構造を用いる。これは限られたメモリ容量を有効利用するためである。
【0041】
次に、オーディセクタについて説明する。
【0042】
オーディオとビデオの各エリアは、それぞれオーディオセクタ、ビデオセクタと呼ばれる。オーディオセクタは、図10に示すように構成される。すなわち、プリアンブルは、500ビットで構成され、ランアップ400ビット、プリSYNCブロック2個からなる。ランアップは、PLLの引き込みのためのランアップパターンとして用いられ、プリSYNCは、オーディオSYNCブロックの前検出として用いられる。後ろのポストアンブルは、550ビットで構成され、ポストSYNCブロック1つ、ガードエリア500ビットからなる。ポストSYNCは、そのIDのSYNC番号によりこのオーディオセクタの終了を確認させるもので、ガードエリアは、その後ろのビデオセクタをアフレコしてもオーディオセクタに食い込まないようにガードするためのものである。
【0043】
プリSYNC、ポストSYNCの各ブロックは、図11(a),(b)に示すように、どちらも6バイトで構成される。プリSYNCの6バイト目には、SP/LPの判別バイトがある。FFhでSP、00hでLPを表す。ポストSYNCの6バイト目は、ダミーデータとしてFFhを格納する。
【0044】
SP/LPの識別バイトは、前述のTIAエリアにもSP/LPフラグとして存在するが、これはその保護用である。TIAエリアの値が読み取れれば、それを採用し、もし読み取り不可ならこのエリアの値を採用する。
【0045】
プリSYNC、ポストSYNCの各6バイトは、24−25変換(24ビットのデータを25ビットに変換して記録する変調方式)を施してから記録されるので、総ビット長は、プリSYNCが6×2×8×25÷24=100ビット、ポストSYNCが6×1×8×25÷24=50ビットとなる。
【0046】
オーディオSYNCブロックは、図12に示すように90バイトで1SYNCブロックが構成される。前半の5バイトは、プリSYNC、ポストSYNCと同様の構成である。データ部は77バイトで水平パリティC1(8バイト)と」垂直パリティC2(77バイト×5)により保護されている。
【0047】
オーディオSYNCブロックは、1トラック当たり14SYNCブロックからなり、これに24−25変換を施してから記録されるので、総ビット長は、90×14×8×25÷24=10500ビットビットとなる。
【0048】
データ部の前半5バイトは、オーディオ付随データ用で、これで1パックを構成する。1トラック当たり9パック用意される。図12の0から8までの番号は、トラック内のパック番号を表す。
【0049】
図13は、その9パック分を抜き出して、トラック方向に記述した図である。ここで、50から55までの数字は、パックヘッダの値(16進数)を示す。同じパックを10トラックに10回書いていることになる。この部分をメインエリアと呼ぶ。ここには、オーディオ信号を再生するために必要なサンプリング周波数、量子化ビット数などのの必須項目が主として格納されるので、データ保護のために多数回書いてある。これにより、テープトランスポートにありがちな横方向の傷や片チャンネルクロッグ等に対してもメインエリアのデータは、再現できる。
【0050】
それ以外の残りのパックは、全て順番につなげてオプショナルアリアとして用いられる。図13でa,b,c,d,e・・・のように、矢印の方向にメインエリアのパックを飛ばしてつなげていく。1ビデオフレームで、オプショナルエリアは30パック(525/60方式)、36パック(625/50方式)用意される。ここは、文字どおりオプションなので、各デジタルVTR毎に、図8のパックヘッダ表の中から自由に選んで記述して良い。
【0051】
さて、本願出願人は、垂直ブランキング期間等の画像以外の部分を切り捨てて録画するような圧縮方式デジタルVTRにおいても、垂直ブランキング期間に挿入された各種付随情報(VBIDデータ)をそのままの形でパックに格納し、それを元に垂直ブランキング期間内に復元する方法(特願平6−19991号)を先に提案している。上記特願平6−19991号では、メインエリア内のパック(パックヘッダ61h,51h)から、VBIDデータを復元できるようにする方法についても開示している。
【0052】
なお、従来のデジタルダビング用の世代制限信号CGMSは、2ビットで構成され、それぞれ以下のような意味付けがなされている。
【0053】
この両者を合わせて、さらに次のように意味となる。
【0054】
00=ダビング自由
01=(使用せず)
10=1回ダビング可能
11=ダビング禁止
これらの定義によると、再生側デジタルVTRからCGMS=10(1回ダビング可能)の信号が送出されてきた場合は、記録側VTRでは新たにCGMS=11として録画することになる。これにより、次のデジタルダビングが禁止される。
【0055】
本発明においは、例えば図14に示すような内容のVAUXコントロールパックを用いる。
【0056】
CGMS2ビット及びダビング禁止フラグ(RI:Rec Inhibit)1ビットは、ビデオ、オーディオそれぞれに用意されている。デジタルダビングについては、ビデオ、オーディオ各々対応可能であるので特にここでは説明しない。
【0057】
再生時には、このCGMS2ビットをVBID内にそのままコピーしてコンポジットビデオ出力に挿入する。
【0058】
さらに、本発明では、RIビット=「0」のときには、AGCとカラーストライプ両方発生させて保護を行う。
【0059】
図15に2ビット用意したVAUXコントロールパックの例を示す。
【0060】
図15に示すVAUXコントロールパックにおいて、AGはGC攪乱信号発生フラグであり、CSはカラーストライプ発生フラグである。そして、上記2つのフラグにより、RIビット=「0」のときには、AGCとカラーストライプ両方発生させて保護を行う。
【0061】
カラーストライプ方式は、全てのカラーテレビジョン受像機において問題がないわけではなく、カラーテレビ回路によっては、AFCが反応してしまい、録画目的でないにもかかわらず画面にカラーストライプが入ってしまうものがあるので、このように2つのフラグを設けることにより、著作権側でAGCとカラーストライプの両方式を採用するか又はどちらか一方を選択するすることができる。
【0062】
また、デジタルVTR側でもその履歴が残ることにより、再発生させる時に著作権の意図を具現することができる。図16に、これら2ビットを配置したVBIDの構成を示す。RI1ビットの場合には、AGの位置におく。
【0063】
ここで、本発明で対象となる著作権保護信号の1例について、図17を用いて説明する。この著作権保護信号は、本来巣へ異動期パルスがあってはならない位置に擬似水平同期パルスa,b,c,d,eを挿入し、ダビング側VTRのサー後回路を攪乱する。それと同時に、f,g,h,i,jなるAGC(AGC:Auto Gain Control) パルスと呼ばれる信号を挿入する。これは、アナログ的にレベルを変化させるもので、パルス的にあるレベルの間を行き来するパルシングモードと、最大129IRE又はペデスタルレベルの121IREのどちらかに静止している静止モード等がある。静止モードとパルシングモードは、約45秒±15秒間隔で交互に現れ、パルシングモードでは1秒に1回〜2回振られる。図17において、kは、White Referenceと呼ばれるもので、119IRE固定である。ただしここも、ある時は119IRE、ある時はペデスタルレベルの12IREと変化する。この操作によりダビング側VTRの記録信号レベル波、通常信号レベルの約30%から70%位まで振られ、結果としてまともには記録はできない。
【0064】
次に、この著作権保護信号をサンプリングしてデジタル値化し、それをパック構造に詰め込む処理について説明する。
【0065】
サンプリング周波数は、図17に示すように、擬似SYNCフロントポーチがその最小振幅であるので、ここを再現するためにはサンプリング定理から、1÷(1.8×106 ÷2)=1.111MHz以上の周波数が必要になる。
【0066】
この条件を満たすサンプリング周波数で1.111MHzに近いものとして下記の(A)〜(D)の周波数が考えられる。
【0067】
(A)72fH=1.13MHz
(B)858fH/10=1.35MHz
(C)858fHカウントダウン=13.5MHz(バースト)
(D)3×32fH=1.51MHz
ここで、fHは水平同期信号周波数で525/60の方式の場合は、15.734kHzである。また、858fHは、デジタルVTRの画像サンプリング周波数13.5MHzであり、この13.5MHzで1ラインをサンプリングすると858サンプルになる。さらに、32fHは、米国で既に法制化されている難視聴者対策のクローズドキャプションで用いている周波数である。
【0068】
(A)の周波数72fHは、fHの整数倍で上記条件を満たす最小の周波数であり、且つfHにロックしているが、その生成に新たにPLLを必要とする。また、(B)の周波数858fH/10は、1/10分周回路により生成することができるのであるか、1ライン当たりのサンプル数が85.8個となり端数が出てしまうので位相が流れる。また、(C)は、入力信号の水平同期信号周波数fHに同期したおおもとの13.5MHzのサンプリングクロックをカウントダウンし、所定のサンプリング位置になったら1.35MHzのクロックを発生させる方式である。この方式では、カウントダウンのためにデコーダが必要になるが、位相が流れることもなく回路も簡単で確実である。この実施例では、この方式を採用する。
【0069】
また、図17に示した著作権保護信号のどの期間をサンプリングするかについては、下記の(E)〜(G)が考えられる。
【0070】
(E)1ラインの720/858
(F)35.7μsec分
(G)58.2μsec分
ここで、(E)はデジタルVTRで採用している有効エリアで、1ライン858サンプルのうちの720サンプルを有効にするものである。この場合、水平同期信号の立ち下がりからの有効サンプリング位置が決められている。また、(F)では、擬似SYNCパルスa〜eをサンプリングし、White Referenceの部分はサンプリングしない。(G)ではWhite Referenceの部分までサンプリングする。(F)及び(G)はアナログ的で曖昧なので、この実施例では、(E)を採用する。
【0071】
図18にサンプリン期間とサンプリングパルスとの関係を示す。525/60(NTSC)方式、626/50(PAL、SECAM)方式の両者について、そのサンプリング位置を示した。これはデジタルVTRの規格そのものである。サンプリングクロックは、所定のサンプリング位置から72個発生させる。そのデューティは、[H]期間5T、[L]期間5Tの50%が最適である。
【0072】
次に、サンプリングの量子化数は、図17に示した信号の性質から、ビデオ信号の量子化数8ビットの半分の4ビットあれば十分である。2ビットでは、不足であるし、3、5、6、7ビットでは8ビット1処理単位のデジタルVTRに馴染まない。そこで、この実施例では、4ビット量子化とする。
【0073】
図19に、このようにしてサンプリングされ量子化された著作権保護信号のデータを、ビデオ信号とマッチングさせる方法について示した。すなわち、4ビットデータをビデオの8ビットにマッチングさせるために、下位4ビットに0000を付加して8ビットデータにする。このデジタルレベルを図19の中程に記述した。また、図19の右側は、実際のデジタルVTRの輝度信号のアナログレベルの0IREから235IREまでが、デジタルレベルと対比して描かれている。このように、4ビットデータ0001の下位4ビットに0000を付加して8ビットデータにすると、ペデスタルレベルになる。
【0074】
図17に示した著作権保護信号において、a,b,c,d,eの各擬似SYNCチップは、そのレベルを変化させることはない。つまりペデスタルレベルからSYNCチップレベルまでの間を細かく再現する必要はない。そこで、この実施例では、このSYNCチップレベルを4ビットデータ0000で表現し、ペデスタルから上を残り0001から1111の15レベルで表現する。これにより、ペデスタルレベルから上を細かく表現することができる。これに対して、全レベルを均等量子化にすると無意味なところにもデジタル値が割り振られ、結果的にペデスタルレベルから上の表現が雑に待ってしまう。
【0075】
ところで、4ビットデータ1111の下位ビットに0000を付加して8ビットデータにした値では、図17の129IREまでは再現できない。図19は、デジタルVTR自身の規格なので、デジタル的に合成するときにはせいぜい110IREまでの再現となるが、特にこれで著作権保護の機能に障害が起こることはない。また、アナログ的に合成するときには、回路的に129IREもでレベルを引き上げればよいので問題はない。
【0076】
次に、このようにして得られたデータを格納するラインパックについて説明する。
【0077】
ラインデータを保存するラインパックは、1種類のラインヘッダパック(パックヘッダ80h)と6種類のラインデータパック(Y用:パックヘッダ81h、R−Y用:パックヘッダ82h、B−Y用:パックヘッダ83h、R用:パックヘッダ85h、G用:パックヘッダ86h、B用:パックヘッダ87h)で構成される。
【0078】
Y用、R−Y用及びB−Y用の各ラインデータパックは、本発明が実施されるデジタルVTRのコンポーネント信号用で、R用、G用及びB用の各ラインデータパックは、コンピュータ用途などを目的として用意されている。この中で図17の著作権保護信号を再現するためには、Y成分だけで十分なので、Y用ラインデータパックを用いる。
【0079】
そして、パックの格納エリアとしては、本来の著作権保護信号はビデオ信号の垂直ブランキング期間に挿入されているので、VAUXのオプショナルエリアに格納することにする。格納順としては、各ライン単位でラインヘッダパック、所定数のY用ラインデータパック、ラインヘッダパック、所定数のY用ラインデータパックのようになる。
【0080】
図20にラインヘッダパックを示し、また、図21にY用ラインデータパックを示す。
【0081】
図20に示したラインヘッダパックに格納される各データの意味は下記の通りである。
【0082】
LINES:格納すべきライン番号(1〜1250)2進数で格納B/W: 白黒か? 0:白黒 1:カラー(通常)EN: CLFが有効 0:有効 1:無効CLF: カラーフレーム番号CM: 第1フィールド、第2フィールド共通データか?0:共通 1:独立TSD: 総サンプル数QU: 量子化ビット数 00:2ビット 01:4ビット10:8ビット 11:未定義SAMP: サンプリング周波数 000:13.5MHz001:27.0MHz010: 6.75MHz011: 1.35MHz100:74.25MHz101:37.125MHzその他:未定義ここで、B/W,EN,CLFは業務用のもので、民生用特に著作権保護信号が記憶されるようなソフトテープの場合には使用しない。この4ビットは111とする。
【0083】
また、ビデオ信号のライン番号の呼称には2通りある。1つは第1フィールドと第2フィールドで通して表現する方法(例えばNTSC方式の場合には、1〜525ライン)、もう1つは第1フィールドと第2フィールドとで個別に表現する方法である(例えば第1フィールドのライン21、第2フィールドのライン11)。そして、CMフラグは、第1フィールドと第2フィールドで共通の位置、共通の共通の内容を有するような場合に有効である。
【0084】
例えばラインヘッダパックにCM=0、LINES=10を格納すれば、第1フィールドのライン10、第2フィールドのライン10に、そのラインヘッダパックに続く、ラインデータパックに格納されているデータを格納することになる。これにより、第1フィールドのデータ及び第2フィールドのデータを個別に格納する場合の半分のデータパックで必要なデータを記録することができる。ちなみに第2のフィールドのライン10は、通し表現でライン273である。
【0085】
TSDは、ラインデータパックの各データ格納エリアのどこまでが実データなのかを示す。余った格納エリアには、情報無しの意味のオール0を書き込んでおく。この実施例では、4ビット量子化で1ライン当たり72サンプリングなので、ちょうど9パック分に収まり余りはでない。
【0086】
著作権保護信号は、第1フィールド、第2フィールドを比べた場合、その位置は同じであり、その内容も同じであるので、上記CMフラグを有効に使える。また、この著作権保護信号は12〜20、275〜283の各水平ラインのどこかに格納されており、ほとんどのアナログビデオテープの場合8ライン分であるので、この実施例では8ライン分を格納するものとする。なお、パック構造なので、必要があれば簡単にその格納ライン数を増減できる。
【0087】
図22に実際のパックへのデータ格納例を示す。ここでは、第1フィールド、第2フィールドのライン13〜20まで格納することを想定している。ラインヘッダパックPC1に格納されるLINESでその格納ライン番号を指定できるので、実際には格納ラインは必ずしも連続していなくても良い。この図22に示されるように、ラインデータは、下位4ビット、上位4ビットの順に詰め込まれる。
【0088】
図22のヘッダパック及びデータパックをVAUXのオプショナルエリアに格納した例を示すように、著作権保護信号は、1ビデオフレーム内に必ず存在することになる。
【0089】
次に、本発明の記録側及び再生側の回路例について説明する。先ず、ラインパックデータの記録再生の流れを図24を参照しながら説明する。
【0090】
ソフトハウスでは、ソフトテープ4として記録する信号のうちアナログビデオ信号Aには従来の著作権保護信号発生器1を使って垂直ブランキング期間に従来通り著作権保護信号を挿入する。そして、著作権保護信号が挿入されたアナログビデオ信号BをデジタルVTRの記録フォーマットに変換するためのフォーマット変換器2に渡す。このフォーマット変換器2には、アナログやデジタルのオーディオ信号か供給されるようになっているとともに、ラインデータ発生器3が接続されている。このラインデータ発生器3では、図17に示した著作権保護信号を抜き出し、図23のようなフォーマットに変換して、デジタルソフトテープのVAUXのオプショナルエリアに格納する。
【0091】
そして、ユーザのデジタルVTR5は再生時にデジタルソフトテープのVAUXのオプショナルエリアに格納されたラインパックデータを検出し、著作権保護信号を復元し、所定のラインに挿入してアナログビデオ信号Eを出力する。
【0092】
次に、上記ラインデータ発生器3の回路例について説明する。ラインデータ発生器3は、基本的にはビデオ信号の垂直ブランキング期間に著作権保護信号が挿入されているどうかを検出し、挿入されている場合にそれをサンプリングしてデータパックに格納するように構成されているので、先ず、ラインデータ発生器内の著作権保護信号検出回路について説明する。
【0093】
著作権保護信号検出回路は、例えば図25に示すように構成される。図26にこの著作権保護信号検出回路のタイムチャートを示す。ここで、図25における信号a〜eは図26(a)〜(e)に対応する。また、aはアナログレベルの信号、その他はデジタルレベルの信号である。
【0094】
この著作権保護信号検出回路において、アナログコンポジットビデオ信号aは、ペデスタルクランプ回路33によりペデスタルのDC成分が一定値にクランプされ、SYNCチップレベルスライス回路34に供給される。このSYNCチップレベルスライス回路34では、SYNCチップ部分を抜き出してデジタルレベルの信号dを作り出す。一方、コンポジットビデオ信号aから分離された水平同期パルスbは、モノステーブルマルチバイブレータ31により図26(c)に示すような波形の信号cに変換され、ゲート回路32に供給される。そして、ここでSYNCチップレベルスライス回路34から出力された信号dによりゲートされ、信号eとなってカウンタ35へ供給される。カウンタ35は水平同期信号の立ち下がりでクリアされるように構成されており、1ライン毎に図17に示した擬似SYNCパルスの数をカウントする。そして、カウンタ35の出力は、比較器に供給される。比較器36には比較値として例えば3が供給されており、カウンタ35の出力が3になったときに比較器36が検出信号を出力する。これは、ノイズによる誤カウントを防ぐために設けてあるもので、例えば3つ以上カウントされて初めて著作権保護信号有りと認識する。
【0095】
図27は、ラインデータ信号発生回路3の回路例を示している。このラインデータ信号発生回路13において、端子11から入力されるアナログコンポジットビデオ信号は、同期分離回路12に供給され、ここで水平同期信号(H.SYNC)と垂直同期信号(V.SYNC)が分離される。この時、著作権保護信号の擬似SYNCに攪乱されないように、上述の図25に示すようなモノステーブルマルチバイブレータなどを用いて対策を施しておく必要がある。
【0096】
分離された垂直同期信号はPLL回路13へ供給され、ここで13.5MHzNO基準クロック信号が形成される。この基準クロック信号はデコーダ回路14へ供給され、ここで図18に示すような1.35MHzのサンプリングクロックを形成する。
【0097】
著作権保護信号検出回路19は上述の図25に示した構成のもので、この著作権保護信号検出回路が著作権保護信号の有無を判別している間、入力されたコンポジットビデオ信号は1Hアナログ遅延回路15により遅延させておく。
【0098】
1Hアナログ遅延回路15の出力は、4ビットA/D変換器16により常にデジタル化されている。そして、著作権保護信号検出回路19が著作権保護信号があることを検出したときには、リード/ライト制御回路20の制御によりメモリ17に書き込まれる。メモリ17は1ライン毎のサンプリングデータを記憶するもので、4ビット×72サンプルを8ライン分持っている。なお、アドレス生成回路18はメモリの書き込み及び読み出しアドレスとチップセレクト信号を生成するものである。
【0099】
この実施例では、1フィールド目の高々20ライン分を監視すれば十分なので、残りの時間でラインパックに詰め込む。Hカウンタ回路21は著作権保護信号があるときのライン番号をLINESデータとして、ラインパック処理マイコン23に与える。メモリ17のデータはスイッチング回路2で切り換えられながら、ラインデータとして同様にラインパック処理マイコン23に与えられる。これらを用いて、ラインパック処理マイコン23は図22のようなデータを形成し、それらをフォーマット変換器2に供給する。
【0100】
次に、図28を参照しながらフォーマット変換器2について説明する。フォーマット変換器2は記録専用のデジタルVTRにラインデータとインターフェースを設けたものである。
【0101】
入力されるアナログコンポジットビデオ信号はY/C分離回路41によりR−Y,B−Yの各コンポーネント信号に分離され、A/D変換器42へ供給される。また、アナログコンポジットビデオ信号は同期分離回路44へ供給され、ここで分離された同期信号はクロック発生器45へ供給される。クロック発生器45はA/D変換器42及びブロッキングシャフリング回路43のためのクロック信号を生成する。
【0102】
A/D変換器42へ入力されたコンポーネント信号は、525/60方式の場合、Y信号は13.5MHz、色差信号は13.5/4MHzのサンプリング周波数でデジタル化され、また、625/50方式の場合、Y信号は13.5MHz、色差信号は13.5/2MHzのサンプリング周波数でデジタル化される。そして、これらA/D変換出力のうち有効走査期間のデータのみがブロッキング・シャフリング回路43へ供給される。
【0103】
このブロッキング・シャフリング回路43では、Y,R−Y,B−Yの各々の有効データから水平方向8サンプル、垂直方向8サンプルを1つのブロックとするデータにまとめ、さらにYのブロック4個、R−YとB−Yのブロックを1個ずつ、計6個のブロックを単位としてシャフリングを行い、圧縮符号化回路46へ供給する。
【0104】
圧縮符号化回路46では、入力された水平方向8サンプル、垂直方向8サンプルのブロックデータに対して離散余弦変換(DCT:Discrete Cosine Transform) を用いたブロック圧縮符号化を行い、その結果を見積器48及び量子化器47へ出力する。量子化器47は見積器4の出力を基に量子化ステップを決定し、可変長符号化を用いたデータ圧縮を行って、フレーミング回路49へ出力する。フレーミング回路49は、圧縮された画像データを所定のフォーマットにフレーム化し、合成器50へ出力する。
【0105】
一方、入力オーディオ信号は、A/D変換器51によりデジタル化される。上記A/D変換器51により得られたオーディオデータは、シャッフリング回路52にてテープ上の記録に有利な形に並べ換えられ、フレーミング回路53で所定のフォーマットにフレーム化される。フレーミング回路53の出力は合成器54へ出力される。
【0106】
VAUX、AAUX、サブコードの各パックデータ及びサブコードデータのIDに格納されているトラック番号は、ラインデータ信号発生器から信号処理マイコン55へ送り込まれ、このマイコンとハードウエアとの間を取り持つインターフェースであるVAUX用回路56、サブコード用回路57及びAAUX用回路58に与えられる。VAUX用回路56は、AP2とVAUXのパックデータを生成し、所定のタイミングで合成器50へ出力する。これにより、ビデオデータとビデオ付随データが所定のフォーマットに合成される。また、サブコード用回路57は、ID部のデータSIDとAP3と5バイトのパックデータSDATAを生成する。そして、AAUX用回路58は、AP1とAAUXのパックを生成し、所定のタイミングで合成器54へ出力する。これにより、オーディオデータとオーディオ付随データ画所定のフォーマットに合成される。
【0107】
合成器50、サブコード用回路57及び合成器54の出力はスイッチング回路SW1へ供給される。さらに、AV ID、Pre−SYNC、Post−SYNC発生器59の出力も、スイッチング回路SW1へ供給される。このスイッチング回路SW1を所定のタイミングで切り換えることにより、合成器50及び合成器54の出力にIDとPre−SYNC及びPost−SYNCを付加する。
【0108】
上記スイッチング回路SW1の出力は、パリティ生成回路60において、所定のパリティが付加され、乱数化回路61により乱数化され、さらに、24/25変換器30により所定の変換規則に従って24ビット毎に1ビット付加して25ビットデータに変換される。これにより磁気記録再生時に問題となる直流成分を取り除く。ここでは、図示しないがさらにデジタル記録に適したPR4(パーシャルレスポンス・クラス4)のコーディング処理(1/1−D2 )も併せて行う。
【0109】
こうして得られたデータは、合成器63へ供給され、ここでSYNCパターン発生器64が生成したオーディオ、ビデオ及びサブコードのSYNCパターンが合成される。合成器63の出力はスイッチング回路SW2へ供給される。また、ITI発生器65が出力するITIデータとアンブルパターン発生器66が出力するアンブルパターンも、上記スイッチング回路SW2へ供給される。ITI発生器65は、モード処理マイコン67からAPT、SP/LP、PFの各データが与えられ、これらを所定の位置にはめ込んでスイッチング回路SW2に供給する。このスイッチング回路SW2は、これらのデータとアンブルパターンを所定のタイミングで切り換えることにより合成する。このスイッチング回路SW2の出力は、図示しない記録アンプにより増幅されて磁気ヘッドにより磁気テープに記録される。
【0110】
モード処理マイコン67は、装置全体のモード管理を行う。このモード処理マイコン67に接続されたスイッチング回路SW3は、SP/LPモードの設定を行うもので、その設定結果がモード処理マイコン67により検出され、マイコン間通信により信号処理マイコン55、MICマイコン69及び図示ないメカ制御マイコンに与えられる。
【0111】
上記MICマイコン69は、MIC(Memory In Cassette)処理用のマイクロコンピュータである。ここでパックデータやAPMなどを生成し、MIC接点を介してMIC付きカセット内のMIC68へ与える。
【0112】
次に、再生側回路について説明する。
【0113】
再生側回路は、例えば図29及び図30に示すように構成されている。
【0114】
この図29及び図30に示した再生側回路において、ヘッド201a,201bにより磁気テープから得られ微弱な再生信号はヘッドアンプ202a,202bにより増幅され、スイッチ203を介してイコライザ回路204に供給される。このイコライザ回路204は、記録時に磁気テープと磁気ヘッドとの磁電変換特性を向上させるために行ったエンファシス処理(例えばパーシャルレスポンス・クラス4)の逆処理を行うものである。
【0115】
イコライザ回路204の出力からクロック抽出回路205によりクロック成分を抜き出して、クロックCKを生成する。このクロックCKを用いてイコライザ回路204の出力をA/D変換器206でデジタル化する。こうして得られた1ビットデータをFIFO207に上記クロックCKを用いて書き込む。
【0116】
上記クロック抽出回路205により生成されたクロックCKは、回転ヘッドドラムのジッタ成分を含んだ時間的に不安定な信号である。しかし、A/D変換する前のデータ自身もジッタ成分を含んでいるので、サンプリングすること自体に問題はない。ところが、これから画像データなどを抜き出すときには、時間的に安定したデータになっていないと取り出せないので、FIFO207を用いて時間軸補正を行う。すなわち、書き込みは不安定なクロックCKで行い、読み出しは、水晶発振子238を用いた自励発振回路239から供給される安定したクロックSCKで行う。FIFO207の深さとしては、入力データの入力スピードよりも速く読み出さないような余裕のあるものにする。
【0117】
FIFO207の各段の出力は、SYNCパターン検出回路208に供給される。このSYNCパターン検出回路208には、スイッチ209により各エリアのSYNCパターンがタイミング回路213で切り換えられて与えられる。このSYNCパターン検出回路208は、所謂フライホイール構成になっており、1度SYNCパターンを検出すると、それから所定のSYNCブロック長後に再び同じSYNCパターンが来るかどうかを見る。それが例えば3回以上正しければ真とみなすような構成にして、誤検出を防いでいる。FIFO207の深さはこの数分は必要である。
【0118】
こうしてSYNCパターンが検出されると、FIFO207の各段の出力からどの部分を抜き出せば1つのSYNCブロックが取り出せるか、そのシフト量が決定されるので、それを基にスイッチ210を閉じて、必要なビットをSYNCブロック確定ラッチ211に取り込む。これにより取り込んだSYNC番号をSYNC番号抽出回路212で取り出し、タイミング回路213に供給する。この読み込んだSYNC番号によりトラック上のどの位置をヘッドが走査しているか判るので、それによりスイッチ209及びスイッチ214を切り換える。
【0119】
スイッチ214は、ヘッドがITIセクタを走査しているとき、減算器215側に切り替わっており、上記減算器215によりITISYNCパターンを取り除いて、ITIデコーダ216に供給する。
【0120】
ITIエリアはコーディングして記録してあるので、それをデコードすることにより、APT、SP/LP、PFの各データを取り出せる。これらのデータは、操作スイッチ218が接続されたモード処理マイコン217に与えられる。
【0121】
モード処理マイコン217には、APM等を管理するMICマイコン219が接続されている。MIC付きカセット221内のMICからの情報は、MIC接点220を介してこのMICマイコン219に与えられ、モード処理マイコン217と役割を分担しながら、MICの処理を行う。セットによっては、このMICマイコンは省略され、モード処理マイコン217でMIC処理を行う場合もある。モード処理マイコン217は、メカ制御マイコン228や信号処理マイコン251と連携を取って、セット全体のシステムコントロールを行う。
【0122】
ヘッドがA/Vセクタやサブコードセクタを走査しているときには、スイッチ214は、減算器222側に切り替わっている。上記減算器222により各セクタのSYNCパターンを抜き出した後、24/25逆変換回路223を通し、さらに逆乱数化回路224により元のデータ列に戻す。こうして取り出したデータ列をエラー訂正回路225に供給する。
【0123】
エラー訂正回路25では、記録側で付加されたパリティを用いて、エラーデータの検出・訂正を行うが、どうしても取りきれなかったデータはエラーフラグを付けて出力する。各データは、スイッチ226によりスイッチ26により切り換えられて出力される。抽出回路227は、A/VセクタのID部と、プリSYNC及びポストSYNCを担当するもので、SYNC番号、トラック番号、それにプリSYNCに格納されていたSP/LPの各信号を抜き出す。各信号は、タイミング回路213に与えられ各種タイミングの生成に使用される。
【0124】
さらに、抽出回路227は、AP1,AP2を抜き出して、それをモード処理マイコン217に供給する。モード処理マイコン217は上記AP1,AP2によりフォーマットチェックを行う。AP1,AP2=000のときには、それぞれエリア1が音声データエリア、エリア2が画像データエリアとして定義され、通常通り動作するが、それ以外の値のときは警告処理などのウォーニング動作を行う。
【0125】
SP/LPについては、モード処理マイコン217がITIエリアから得られたものとの比較検討を行う。ITIエリアには、その中のTIAエリアに3回SP/LP情報が書かれており、そこだけで多数決を取って信頼性を高める。プリSYNCは、オーディオとビデオにそれぞれ2SYNCずつあり計4箇所SP/LP情報が書かれている。ここもそこだけで多数決を取って信頼性を高める。そして、最終的に両者が一致しなかった場合には、ITIエリアのものを優先して採用する。
【0126】
上記スイッチ226から出力されたVDATAは、図30に示されるスイッチ229によりビデオデータとVAUXデータに切り分けられる。そして、ビデオデータはエラーフラグとともにデフレーミング回路230に供給される。
【0127】
デフレーミング回路230は、記録側のフレーミングの逆変換をするところで、その中に詰め込まれたデータの性質を把握している。そこであるデータに取りきれなかったエラーがあったとき、それが他のデータにどう影響を及ぼすかを理解しているので、ここで伝搬エラー処理を行う。これによりエラーフラグは、新たに伝搬エラーを含んだVERRORフラグとなる。また、エラーを有するデータであっても画像再生上重要でないものは、その画像データにある細工をして、エラーフラグを消してしまう処理も、このデフレーミング回路54で行う。
【0128】
ビデオデータは、データ逆圧縮符号化部において、逆量子化回路231及び逆圧縮回路232により、圧縮前の元のデータに戻される。次に、デシャッフリング回路233及びデブロッキング回路234により、データを元の画像空間配置に戻す。この実画像空間では、VERRORフラグを基に画像を修正することができる。そこで、例えば常に1フレーム前の画像データをメモリに記憶させておき、エラーとなった画像ブロックを前の画像データで代用してしまうような処理が行われる。
【0129】
上記デシャッフリング回路233以降は、輝度信号Yと色差信号R−Y,B−Yの3系統にデータを分けて扱う。そして、3系統の各データは、D/A変換器235a,235b,235cにより輝度信号Yと色差信号R−Y,B−Yのアナログ成分に戻される。このときのクロックには水晶発振子238の接続された発振回路239により得られる13.5MHzのクロックを輝度信号Yに用い、これを分周器244で分周した6.75MHz又は3.375MHzのクロックを色差信号R−Y,B−Yに用いる。
【0130】
こうして得られた3つの信号成分は、Y/C合成回路236において合成され、さらに合成器237において同期信号発生回路241からのコンポジット同期信号と合成され、コンポジットビデオ信号としてアナログビデオ出力端子242から出力される。
【0131】
また、上記スイッチ226から出力されたADATAは、図30に示されるスイッチ243によりオーディオデータとAAUXデータに切り分けられる。そして、オーディオデータはエラーフラグとともにデフレーミング回路244に供給される。
【0132】
デフレーミング回路244は、記録側のフレーミングの逆変換をするところで、その中に詰め込まれたデータの性質を把握している。そこであるデータに取りきれなかったエラーがあったとき、それが他のデータにどう影響を及ぼすかを理解しているので、ここで伝搬エラー処理を行う。例えば、16ビットサンプリングのとき、1つのデータは8ビット単位なので、1つのエラーフラグは2つのデータに跨ることになる。これによりエラーフラグは、新たに伝搬エラーを含んだAERRORフラグとなる。
【0133】
オーディオデータは、次のデシャッフリング回路245により元の時間軸に戻される。この時、上記AERRORフラグを基にオーディオデータの修正作業を行う。例えば、エラー直前の音で代用する前置ホールド等の処理を行う。エラー期間があまりに長く修正が効かない場合には、ミューティング等の処理により音そのものを止めてしまう。
【0134】
このような処理が施された後に、オーディオデータは、D/A変換器246によりアナログ値に戻され、画像データとのリップシンク等のタイミングを取りながらアナログオーディオ出力端子247から出力される。
【0135】
また、上記スイッチ229,243により切り分けられたVAUXデータ及びAAUXデータは、それぞれVAUX回路248、AAUX回路250においてエラーフラグも参考にしながら多数決処理などの前処理を行う。また、サブコードセクタのIDデータSIDとパックデータSDATAは、サブコード回路249においてエラーフラグも参考にしながら多数決処理などの前処理を行う。これらの前処理が行われた各データは、その後信号処理マイコン251に与えられ、最終的な読み取り動作を行う。上記前処理において取りきれなかったエラーは、それぞれVAUXER、SUBER、AAUXERとして信号処理マイコン251に与えられる。
【0136】
ここで、サブコード回路249は、AP3を抜き出し、これを信号処理マイコン251を介してモード処理マイコン217に供給する。モード処理マイコン217では、上記AP3によりフォーマットチェックを行う。AP3=000のときには、それぞれエリア3がサブコードエリアとして定義され、通常通り動作するが、それ以外の値のときは警告処理などのウォーニング動作を行う。
【0137】
ここのエラー処理について補足すると、各々のエリアにはメインエリアとオプショナルエリアがある。そして、525本/60Hzシステムの場合には、同じデータがメインエリアに10回書かれている。したがって、そのうちの幾つかがエラーしていても、その他のデータで補足再現することができるので、そこのエラーフラグはもはやエラーではなくなる。ただし、サブコード以外のオプショナルエリアについてはデータは1回書きなので、エラーはそのままVAUXER、AAUXERとして残ることになる。
【0138】
信号処理マイコン251は、さらに各データのパックの前後関係などから類推して、伝搬エラー処理やデータの修正処理などを行う。こうして判断した結果は、モード処理マイコン117に与えられ、セット全体の挙動を決める材料にする。
【0139】
また、著作権保護信号発生回路252は、VAUX回路248、同期信号発生回路241及びタイミング回路213からの信号に応じて動作する。この著作権保護信号発生回路252は、そのライン番号一致出力によりスイッチ253を制御して、ラインデータ出力をD/A変換器235aに与える。これにより、所定のラインに上述の図17に示した著作権保護信号を挿入する。
【0140】
上記著作権保護信号発生回路252の構成例を図31に示す。
【0141】
この著作権保護信号発生回路252では、VAUX248において所定の格納エリアからラインデータを読み込むと、直ちにその内容を理解して、LINESのデータよりライン番号をY用ラインデータパックからラインデータを直接取り出す。このラインデータをメモリ253に格納する。メモリ253の内容は、VTRの電源投入時に1度だけクリアすればよい。これにより、VAUXER時にメモリ253内に取り込まないことにより、以前に取り込んだデータをエラー時の値として代用できる。著作権保護信号は、上述の通りフレーム毎に極端に変わるわけではなく、前フレームとの相関性が非常に高いのでこのようなエラー処理が可能である。
【0142】
ここで、上記メモリ253は、リード/ライト制御回路254により制御される。また、メモリ253は1ライン毎のサンプリングデータを記憶するもので、4ビット×72サンプルを8ライン分持っている。なお、アドレス生成回路255はメモリ253の書き込み及び読み出しアドレスとチップセレクト信号を生成するものである。
【0143】
上記メモリ253に書き込まれたデータは、予めラインデータラッチ回路256に下位4ビットを0000にしてスタンバイしておく。ライン番号についても同様ににライン番号ラッチ回路257にスタンバイしておく。そして、同期信号発生回路241で作った水平同期信号をHカウンタ258でカウントした値と上記ライン番号ラッチ回路255にラッチされているライン番号との一致を比較器259で見る。一致したときは、上述の図30に示したスイッチ253を著作権保護信号発生回路252側に切り換えて、タイミング回路213のタイミングでラインデータを挿入する。
【0144】
なお、図32に示すように合成器237の出力側に上記スイッチ253を設けて、AGC攪乱信号を著作権保護信号としてアナログ的に合成するようにしても良い。
【0145】
また、カラーストライプ攪乱信号を挿入するには、例えば図33に示すように、著作権保護信号機能付きカラーサブキャリア生成回路260を設けて、Y/C合成回236に与えるカラーサブキャリアの位相を所望のラインで反転させ、それ以外は通常の位相のカラーサブキャリアを合成する。
【0146】
上記AGC攪乱信号とカラーストライプ攪乱信号は、上述の著作権保護信号検出回路19により切り換えて合成する。
【0147】
【発明の効果】
以上のように、符号化された画像データと、ヘッダ部のシンクブロック及びIDブロックに近接して配され、著作権保護信号及び暗号用データを含み構造化された前記画像データの付随情報データとが記録された記録媒体を再生し、前記著作権保護情報のCGMSに基づいて、上記画像データを復号化したアナログビデオ信号中に、位相を所望のラインで反転したカラーサブキャリアと擬似水平同期パルスとからなる攪乱信号を挿入するとともに、上記CGMSを垂直ブランキング期間に挿入するにより、従来のアナログVTR間と同様の著作権保護を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したディジタルVTRにおける1本のトラック上の記録フォーマットを示す図である。
【図2】上記ディジタルVTRにおけるITIエリアの構成を示す図である。
【図3】APTにより決定されたトラック上のデータ構造を示す図である。
【図4】アプリケーションIDの構造を示す図である。
【図5】APT=000のときのトラック上のデータ構造を示す図である。
【図6】パックデータの構成を示す図である
【図7】ヘッダの階層構造を示す図である。
【図8】パックヘッダ表の概要を示す図である。
【図9】オーディオ付随データ及びビデオ付随データのソースコントロールパックのPC1のデータを示す図である。
【図10】オーディオセクタの構成を示す図である。
【図11】オーディオセクタのプリSYNC及びポストSYNCを示す図である。
【図12】オーディオセクタのSYNCブロック及びフレーミングフォーマットを示す図である。
【図13】オーディオ付随データを9パック分抜き出してトラック方向に記述した図である。
【図14】VAUX SOURCE CONTROLパックの定義内容を示す図である。
【図15】AGとCSの2ビットを配したVAUX SOURCE CONTROLパックの定義内容を示す図である。
【図16】AGとCSの2ビットを配置したVBIDの構成を示す図である。
【図17】著作権保護信号の波形図である。
【図18】上記著作権保護信号に対するサンプリン期間とサンプリングパルスとの関係を示す図である。
【図19】サンプリングされ量子化された著作権保護信号のデータをビデオ信号とマッチングさせる方法を説明するための図である。
【図20】ラインヘッダパックを示す図である。
【図21】Y用ラインデータパックを示す図である。
【図22】実際のパックへのデータ格納例を示す図である。
【図23】ヘッダパック及びデータパックをVAUXのオプショナルエリアに格納した例を示す図である。
【図24】ラインパックデータの記録再生の流れを示す図である。
【図25】著作権保護信号検出回路の構成例を示す図である。
【図26】著作権保護信号検出回路の動作を示すタイムチャートである。
【図27】ラインデータ信号発生回路の回路例を示す図である。
【図28】フォーマット変換器の構成例を示す図である。
【図29】再生側回路の一部分の構成を示すブロック図である。
【図30】上記再生側回路の他の部分の構成を示すブロック図である。
【図31】著作権保護信号発生回路の構成例を示す図である。
【図32】AGC攪乱信号を著作権保護信号としてアナログ的に合成するための構成を示す図である。
【図33】カラーストライプ攪乱信号を挿入するための構成を示す図である。
【符号の説明】
1 著作権保護信号発生器、9 著作権保護信号検出回路、55 信号処理マイコン、67 モード処理マイコン、252 著作権保護信号生成回路、253スイッチ
Claims (2)
- 符号化された画像データと、ヘッダ部のシンクブロック及びIDブロックに近接して配され、著作権保護信号及び暗号用データを含み構造化された前記画像データの付随情報データとが記録された記録媒体を再生し、前記著作権保護情報の世代制限信号CGMSに基づいて、上記画像データを復号化したアナログビデオ信号中に、位相を所望のラインで反転したカラーサブキャリアと擬似水平同期パルスとからなる攪乱信号を挿入するとともに、上記CGMSを垂直ブランキング期間に挿入することを特徴とするデジタル画像信号の再生方法。
- 上記付随情報データが、パック構造としてなり、前記パック部のヘッダ部に上記シンクブロック及びIDブロックが配されたことを特徴とする請求項1記載のデジタル画像信号の再生方法。
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