JP2004012874A - レジスト組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】レジスト膜に露光、現像を行って画像を形成させる際に、本来溶解除去されなければならない領域のレジスト膜を確実に溶解除去することができとともにラインエッジラフネスが改善されたレジスト組成物を提供する。
【解決手段】(A)活性光線又は放射線の照射により、酸を発生する特定の化合物を含有するレジスト組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】(A)活性光線又は放射線の照射により、酸を発生する特定の化合物を含有するレジスト組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超LSI、高容量マイクロチップの製造などのマイクロリソグラフィープロセスや、その他のフォトファブリケーションプロセスに好適に用いられるレジスト組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
集積回路はその集積度を益々高めており、超LSIなどの半導体基板の製造においては、クオーターミクロン以下の線幅から成る超微細パターンの加工が必要とされるようになってきた。パターンの微細化を図る手段の一つとして、レジストのパターン形成の際に使用される露光光源の短波長化が知られている。
【0003】
例えば64Mビットまでの集積度の半導体素子の製造には、現在まで高圧水銀灯のi線(365nm)が光源として使用されてきた。この光源に対応するポジ型レジストとしては、ノボラック樹脂と感光物としてのナフトキノンジアジド化合物を含む組成物が、数多く開発され、0.3μm程度までの線幅の加工においては十分な成果をおさめてきた。また256Mビット以上集積度の半導体素子の製造には、i線に代わりKrFエキシマレーザー光(248nm)が露光光源として採用されてきた。
更に1Gビット以上の集積度の半導体製造を目的として、近年より短波長の光源であるArFエキシマレーザー光(193nm)の使用、更には0.1μm以下のパターンを形成する為にF2エキシマレーザー光(157nm)の使用が検討されている。
【0004】
これら光源の短波長化に合わせ、レジスト材料の構成成分及びその化合物構造も大きく変化している。
KrFエキシマレーザー光による露光用のレジスト組成物として、248nm領域での吸収の小さいポリ(ヒドロキシスチレン)を基本骨格とし酸分解基で保護した樹脂を主成分として用い、遠紫外光の照射で酸を発生する化合物(光酸発生剤)を組み合わせた組成物、所謂化学増幅型レジストが開発されてきた。
【0005】
また、ArFエキシマレーザー光(193nm)露光用のレジスト組成物として、193nmに吸収を持たない脂環式構造をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した酸分解性樹脂を使用した化学増幅型レジストが開発されてきている。
【0006】
F2エキシマレーザー光(157nm)に対しては、上記脂環型樹脂においても157nm領域の吸収が大きく、目的とする0.1μm以下のパターンを得るには不十分であることが判明し、これに対し、フッ素原子(パーフルオロ構造)を導入した樹脂が157nmに十分な透明性を有することがProc. SPIE. Vol.3678. 13頁(1999)にて報告され、有効なフッ素樹脂の構造がProc. SPIE. Vol.3999. 330頁(2000)、同357頁(2000)、同365頁(2000)、WO−00/17712号等に提案され、フッ素含有樹脂を含有するレシスト組成物の検討がなされてきている。
【0007】
しかしながら、従来のレジスト組成物は、レジスト膜に露光、現像を行って画像を形成させる際に、本来溶解除去されなければならない領域のレジスト膜が溶解除去されずに残り易い欠点があった。
また、従来のレジスト組成物は、ラインエッジラフネスの改善が望まれていた。ラインエッジラフネスとは、レジストの特性に起因して、レジストのラインパターンと基板界面のエッジが、ライン方向と垂直な方向に不規則に変動した形状を呈することをいう。このパターンを真上から観察するとエッジが凹凸(±数nm〜数十nm程度)に見える。この凹凸は、エッチング工程により基板に転写されるため、凹凸が大きいと電気特性不良を引き起こし、歩留まりを低下させることになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、レジスト膜に露光、現像を行って画像を形成させる際に、本来溶解除去されなければならない領域のレジスト膜を確実に溶解除去することができるとともにラインエッジラフネスが改善されたレジスト組成物を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記諸特性に留意し鋭意検討した結果、本発明の目的が以下の特定の組成物によって達成されることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は下記構成である。
【0010】
(1) (A)下記一般式(IA)〜(IVA)のいずれかで表される、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物を含有することを特徴とするレジスト組成物。
【0011】
【化4】
【0012】
一般式(IA)〜(IVA)中、
R1a〜R12aは、同じでも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。但し、R1a〜R12aの内、少なくとも1つは、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。
R13a及びR14aは、同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。
R15a〜R18aは、同じでも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を表す。
【0013】
(2) (A)下記一般式(IA)〜(IVA)のいずれかで表される、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物及び
(B1)酸の作用により分解し、アルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物。
【0014】
【化5】
【0015】
一般式(IA)〜(IVA)中、
R1a〜R12aは、同じでも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。但し、R1a〜R12aの内、少なくとも1つは、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。
R13a及びR14aは、同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。
R15a〜R18aは、同じでも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を表す。
【0016】
(3) (B1)成分の樹脂が、少なくとも1つのフッ素原子を有する繰り返し単位を有することを特徴とする(2)に記載のポジ型レジスト組成物。
【0017】
(4) (B1)成分の樹脂が、下記一般式(I)〜(IV)で表される繰り返し単位の群から選ばれる繰り返し単位のいずれかを有することを特徴とする(3)に記載のポジ型レジスト組成物。
【0018】
【化6】
【0019】
一般式(I)中、
R11〜R16は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフルオロ化されたアルキル基を表す。但し、R11〜R16は、全てが水素原子となることはない。
X1は、水素原子又は酸の作用により分解する基を表す。
mは、0又は1を示す。
一般式(II)中、
R3は、水素原子又は酸の作用により脱離する基を表す。
mは、0又は1を示す。
一般式(III)中、
R4は、水素原子又は酸の作用により脱離する基を表す。
一般式(IV)中、
R1は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基又はトリフルオロメチル基を表す。
R41〜R46は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフルオロ化されたアルキル基を表す。但し、R41〜R46は、全てが水素原子となることはない。
X2は、水素原子又は酸の作用により分解する基を表す。
nは、1〜5の整数を示す。nが2以上である場合に、2つ以上あるR41〜R46及びX2は、同じでも異なっていてもよい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のレジスト組成物は、前記一般式(IA)〜(IVA)のいずれかで表される、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物を含有することを特徴とする。
本発明のレジスト組成物は、ポジ型及びネガ型のいずれであってもよい。
本発明のポジ型レジスト組成物としては、(A)前記一般式(IA)〜(IVA)のいずれかで表される、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物及び(B1)酸の作用により分解し、アルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂を含有するものと、(A)前記一般式(IA)〜(IVA)のいずれかで表される、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、(B2)アルカリ現像液に可溶な樹脂及び(C)酸分解性溶解阻止化合物を含有するものとを挙げることができる。
本発明のネガ型レジスト組成物としては、(A)前記一般式(IA)〜(IVA)のいずれかで表される、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、(B2)アルカリ現像液に可溶な樹脂及び(D)酸架橋剤を含有するものを挙げることができる。
【0021】
[1](A)前記一般式(IA)〜(IVA)のいずれかで表される、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物
本発明のレジスト組成物は、前記一般式(IA)〜(IVA)のいずれかで表される、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、「酸発生剤(A)」ともいう)を含有する。
【0022】
一般式(IA)〜(IVA)中、R1a〜R12aは、同じでも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。但し、R1a〜R12aの内、少なくとも1つは、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。R13a及びR14aは、同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。R15a〜R18aは、同じでも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を表す。
【0023】
R1a〜R12aのアルキル基としては、炭素数1〜20個の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、へキシル基、2−エチルへキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。
【0024】
R1a〜R12aのアルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基等を挙げることができる。
R1a〜R12aは、全てがフッ素原子であることが好ましい。
【0025】
R13a及びR14aのアルキル基としては、R1a〜R12aのアルキル基と同様のものを挙げることができる。
R13a及びR14aのアリール基としては、炭素数6〜10個のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができる。
【0026】
R13a及びR14aのアラルキル基としては、炭素数7〜12個のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
R13a及びR14aが有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、メチル基、エチル基等のアルキル基(炭素数1〜5個)、パーフルオロアルキル基(炭素数1〜5個)、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基等を挙げることができ、フッ素原子、トリフルオロメチル基が好ましい。
【0027】
R15a〜R18aのアルキル基及びアルコキシ基に於けるアルキル基としては、R1a〜R12aのアルキル基と同様のものを挙げることができる。
【0028】
以下、酸発生剤(A)の好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0029】
【化7】
【0030】
【化8】
【0031】
酸発生剤(A)は、例えば、対応するスルホン酸ハライドと、ヘキサフルオロイソプロパノール基を有する対応化合物とを塩基存在下でエステル化することによって合成することができる。
【0032】
酸発生剤(A)の添加量は、レジスト組成物の固形分に対して0.1〜40質量%とすることが好ましく、0.3〜30質量%とすることがより好ましい。
【0033】
本発明に於いては、酸発生剤(A)とともに活性光線又は放射線の照射により酸を発生する他の化合物を使用してもよい。
活性光線又は放射線の照射により、酸を発生する他の化合物としては、一般に、活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物(酸発生剤)として使用されている化合物の中から選択することができる。
即ち、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている公知の光(400〜200nmの紫外線、遠紫外線、特に好ましくは、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー光)、ArFエキシマレーザー光、F2エキシマレーザー光、電子線、X線、分子線又はイオンビームにより酸を発生する化合物及びそれらの混合物から適宜選択して使用することができる。
【0034】
このような化合物としては、たとえば S. I. Schlesinger, Photogr. Sci. Eng., 18, 387 (1974)、T. S. Bal et al, Polymer, 21, 423(1980)等に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号、同 Re 27,992号、特開平3−140140号等に記載のアンモニウム塩、D. C. Necker et al,Macromolecules,17, 2468(1984)、C. S. Wen et al, Teh, Proc. Conf. Rad. Curing ASIA, p478 Tokyo,Oct(1988)、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号等に記載のホスホニウム塩、J. V. Crivello et al, Macromorecules, 10(6), 1307(1977)、Chem.& Eng. News, Nov. 28, p31(1988)、欧州特許第104,143号、同339,049号、同第410,201号、特開平2−150848号、特開平2−296514号等に記載のヨードニウム塩、J. V. Crivello et al, Polymer J. 17, 73(1985)、J. V. Crivello et al., J.Org. Chem., 43, 3055(1978)、W. R. Watt et al, J. Polymer Sci., PolymerChem. Ed., 22, 1789(1984)、J. V. Crivello et al, Polymer Bull., 14, 279(1985)、J. V. Crivello et al, Macromorecules, 14(5), 1141(1981)、J. V. Crivello et al, J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed., 17, 2877(1979)、欧州特許第370,693号、同161,811号、同410,201号、同339,049号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同3,902,114号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、獨国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号等に記載のスルホニウム塩、J. V. Crivello et al, Macromorecules, 10(6), 1307(1977)、J. V. Crivello et al, J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed., 17, 1047(1979)等に記載のセレノニウム塩、C. S. Wen et al, Teh, Proc. Conf. Rad. Curing ASIA, p478 Tokyo, Oct(1988)等に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩、米国特許第3,905,815号、特公昭46−4605号、特開昭48−36281号、特開昭55−32070号、特開昭60−239736号、特開昭61−169835号、特開昭61−169837号、特開昭62−58241号、特開昭62−212401号、特開昭63−70243号、特開昭63−298339号等に記載の有機ハロゲン化合物、K. Meier et al, J. Rad. Curing, 13(4), 26(1986)、T. P. Gill et al, Inorg. Chem., 19, 3007(1980)、D. Astruc,Acc. Chem. Res., 19(12), 377(1896)、特開平2−161445号等に記載の有機金属/有機ハロゲン化物、S. Hayase et al, J. Polymer Sci., 25, 753(1987)、E. Reichmanis et al, J. Pholymer Sci., Polymer Chem. Ed., 23, 1(1985)、Q. Q. Zhuetal, J. Photochem., 36, 85, 39, 317(1987)、B. Amit et al, Tetrahedron Lett.,(24)2205(1973)、D. H. R. Barton et al, J. Chem Soc., 3571(1965)、P. M. Collins et al, J. Chem. Soc., Perkin I, 1695(1975)、M. Rudinstein et al, Tetrahedron Lett., (17), 1445(1975)、J. W. Walker et al, J. Am. Chem. Soc., 110, 7170(1988)、S. C. Busman et al, J. Imaging Technol., 11(4), 191(1985)、H. M. Houlihan et al, Macromolecules, 21, 2001(1988)、P. M.Collins et al, J. Chem. Soc., Chem. Commun., 532(1972)、S. Hayase et al, Macromolecules, 18, 1799(1985)、E. Reichmanis et al, J. Electrochem. Soc., Solid State Sci. Technol., 130(6)、F. M. Houlihan et al, Macromolcules, 21,2001(1988)、欧州特許第0290,750号、同046,083号、同156,535号、同271,851号、同0,388,343号、米国特許第3,901,710号、同4,181,531号、特開昭60−198538号、特開昭53−133022号等に記載の0−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、M.TUNOOKA et al, Polymer Preprints Japan, 35(8)、G. Berner et al, J. Rad. Curing, 13(4)、 W. J. Mijs et al, Coating Technol., 55(697),45(1983), Akzo、H. Adachi et al, Polymer Preprints, Japan, 37(3)、欧州特許第0199,672号、同84515号、同044,115号、同618,564号、同0101,122号、米国特許第4,371,605号、同4,431,774号、特開昭64−18143号、特開平2−245756号、特開平3−140109号等に記載のイミノスルフォネ−ト等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、特開昭61−166544号等に記載のジスルホン化合物等を挙げることができる。
【0035】
[2](B1)酸の作用により分解し、アルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂及び(B2)アルカリ現像液に可溶な樹脂
本発明のレジスト組成物は、(B1)酸の作用により分解し、アルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂又は(B2)アルカリ現像液に可溶な樹脂(以下、両者を合わせて「樹脂(B)」ともいう)を含有する。
樹脂(B)は、一般にレジスト組成物に使用されている樹脂であれば、いずれも使用することができるが、本発明のレジスト組成物にF2エキシマレーザー光を照射する場合には、少なくとも1つのフッ素原子を有する繰り返し単位を有する樹脂が好ましく、前記一般式(I)〜(IV)で表される繰り返し単位の群から選ばれる繰り返し単位のいずれかを有する樹脂がより好ましい。
【0036】
一般式(I)中、R11〜R16は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフルオロ化されたアルキル基を表す。但し、R11〜R16は、全てが水素原子となることはない。X1は、水素原子又は酸の作用により分解する基を表す。mは、0又は1を示す。
【0037】
R11〜R16の少なくとも1つの水素原子がフルオロ化されたアルキル基としては、炭素数1〜6のものが好ましく、炭素数1〜3のものがより好ましい。具体的には、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、フルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2−フルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−フルオロプロピル基等を挙げることができる。特に好ましいものはトリフルオロメチル基である。
【0038】
X1の酸の作用により分解する基(以下、酸分解性基ともいう)としては、例えば−C(R36)(R37)(R38)、−C(R36)(R37)(OR39)、−COO−C(R36)(R37)(R38)、−C(R01)(R02)(OR39)、−C(R01)(R02)COO−C(R36)(R37)(R38)等が挙げられる。
R36〜R39は、各々独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアラルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。R36とR39とは、互いに結合して環を形成してもよい。
R01、R02は、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアラルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。
【0039】
R36〜R39、R01及びR02のアルキル基としては、炭素数1〜8個のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基等を挙げることができる。
R36〜R39、R01及びR02のシクロアルキル基としては、単環型でもよく、多環型でのよい。単環型としては、炭素数3〜8個のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロブチル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。多環型としては、炭素数6〜20個のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトシクロドデシル基、アンドロスタニル基等を挙げることができる。尚、シクロアルキル基中の炭素原子の一部が、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
R36〜R39、R01及びR02のアリール基としては、炭素数6〜10個のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、ナフチル基、アントリル基、9,10−ジメトキシアントリル基等を挙げることができる。
R36〜R39、R01及びR02のアラルキル基としては、炭素数7〜12のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
R36〜R39、R01及びR02のアルケニル基としては、炭素数2〜8個のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、シクロヘキセニル基等を挙げることができる。
R36〜R39、R01及びR02が有していてもよい置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基等を挙げることができる。
【0040】
酸分解性基の好ましい具体例としては、t−ブチル基、t−アミル基、1−アルキル−1−シクロヘキシル基、2−アルキル−2−アダマンチル基、2−アダマンチル−2−プロピル基、2−(4−メチルシクロヘキシル)−2−プロピル基等の3級アルキル基、1−アルコキシ−1−エトキシ基、1−アルコキシ−1−メトキシ基、テトラヒドロピラニル基等のアセタール基、t−アルキルオキシカルボニル基、エトキシメチル基、メトキシエトキシメチル基、t−アルキルカルボニルメチル基等が好ましく挙げられる。
【0041】
以下、一般式(I)で表される繰り返し構造単位の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0042】
【化9】
【0043】
一般式(II)中、R3は、水素原子又は酸の作用により脱離する基を表す。mは、0又は1を示す。
【0044】
R3の酸の作用により脱離する基としては、例えば−C(R36)(R37)(R38)、−C(R36)(R37)(OR39)等が挙げられる。
R36〜R39は、各々独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアラルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。R36〜R38の内の2つ以上、又はR36とR39とは、互いに結合して環を形成してもよい。
【0045】
R36〜R39のアルキル基としては、炭素数1〜8個のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基等を挙げることができる。
R36〜R39のシクロアルキル基としては、単環型でもよく、多環型でのよい。単環型としては、炭素数3〜8個のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロブチル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。多環型としては、炭素数6〜20個のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトシクロドデシル基、アンドロスタニル基等を挙げることができる。尚、シクロアルキル基中の炭素原子の一部が、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
R36〜R39のアリール基としては、炭素数6〜10個のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、ナフチル基、アントリル基、9,10−ジメトキシアントリル基等を挙げることができる。
R36〜R39のアラルキル基としては、炭素数7〜12のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
R36〜R39のアルケニル基としては、炭素数2〜8個のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、シクロヘキセニル基等を挙げることができる。
R36〜R39が有していてもよい置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基等を挙げることができる。
【0046】
酸の作用により脱離する基の好ましい具体例としては、t−ブチル基、t−アミル基、1−アルキル−1−シクロヘキシル基、2−アルキル−2−アダマンチル基、2−アダマンチル−2−プロピル基、2−(4−メチルシクロヘキシル)−2−プロピル基等の3級アルキル基、1−アルコキシ−1−エトキシ基、1−アルコキシ−1−メトキシ基、テトラヒドロピラニル基等のアセタール基、t−アルキルカルボニルメチル基等が好ましく挙げられる。
【0047】
以下、一般式(II)で表される繰り返し構造単位の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0048】
【化10】
【0049】
一般式(III)中、R4は、水素原子又は酸の作用により脱離する基を表す。
R4の酸の作用により脱離する基としては、一般式(II)に於けるR3の酸の作用により脱離する基と同様のものを挙げることができる。
【0050】
以下、一般式(III)で表される繰り返し構造単位の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0051】
【化11】
【0052】
一般式(IV)中、R1は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基又はトリフルオロメチル基を表す。R41〜R46は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフルオロ化されたアルキル基を表す。但し、R41〜R46は、全てが水素原子となることはない。X2は、水素原子又は酸の作用により分解する基を表す。nは、1〜5の整数を示す。nが2以上である場合に、2つ以上あるR41〜R46及びX2は、同じでも異なっていてもよい。
【0053】
R41〜R46の少なくとも1つの水素原子がフルオロ化されたアルキル基としては、一般式(I)に於けるR11〜R16の少なくとも1つの水素原子がフルオロ化されたアルキル基と同様のものを挙げることができる。
X2の酸の作用により分解する基としては、一般式(I)に於けるX1の酸の作用により分解する基と同様のものを挙げることができる。
【0054】
以下、一般式(IV)で表される繰り返し構造単位の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0055】
【化12】
【0056】
樹脂(B)は、上記の繰り返し単位以外に、他の重合性モノマーを重合させてもよい。
併用することができる共重合モノマーとしては、例えば、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類、クロトン酸エステル類、イタコン酸ジアルキル類、マレイン酸あるいはフマール酸のジアルキルエステル類、無水マレイン酸、マレイミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、マレイロニトリル等を挙げることができる。その他、一般的には共重合可能である付加重合性不飽和化合物であればよい。
【0057】
樹脂(B)は、一般式(I)、(IV)に於けるX1、X2を酸分解性基としたり、一般式(II)、(III)に於けるR3、R4を酸の作用により脱離する基とすることにより、酸の作用により分解し、アルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂(B1)とすることができる。
樹脂(B)は、一般式(I)、(IV)に於けるX1、X2、一般式(II)、(III)に於けるR3、R4を水素原子とすることにより、アルカリ現像液に可溶な樹脂(B2)とすることができる。
【0058】
樹脂(B)に於いて、一般式(I)〜(IV)で表される繰り返し単位の含量は、一般に30〜100モル%、好ましくは50〜100モル%である。
樹脂(B1)に於いて、酸分解性基若しくは酸の作用により脱離する基を有する繰り返し単位の含量は、一般に10〜70モル%、好ましくは20〜60モル%、更に好ましくは30〜50モル%である。
【0059】
上記具体例で表される繰り返し単位は、各々1種で使用しても良いし、複数を混合して用いても良い。
樹脂(B)は、通常のラジカル重合法により合成することができる。
樹脂(B)の重量平均分子量は、通常、1,000〜200,000であり、好ましくは2,000〜20,000の範囲で使用される。分子量分散度(Mw/Mn)は、通常、1〜10であり、好ましくは1.1〜2.0、更に好ましくは1.1〜1.5、特に好ましくは1.1〜1.3の範囲のものが使用される。分子量分散度(Mw/Mn)の小さいものほど、解像度、レジスト形状、及びレジストパターンの側壁がスムーズであり、ラフネス性に優れる。
【0060】
以下、樹脂(B)の具体例を示すが、本発明はこれに限定されない。
【0061】
【化13】
【0062】
【化14】
【0063】
【化15】
【0064】
【化16】
【0065】
【化17】
【0066】
【化18】
【0067】
樹脂(B)の添加量は、組成物の全固形分を基準として、一般的に50〜99.5質量%、好ましくは80〜99質量%、更に好ましくは90〜98質量%の範囲で使用される。
【0068】
[3](C)酸分解性溶解阻止化合物
本発明に於ける酸分解性溶解阻止化合物としては、酸の作用により分解してアルカリ現像液中での溶解度が増大する、分子量3000以下の化合物が好ましい。
このような酸分解性溶解阻止化合物としては、220nm以下の透過性を低下させないため、Proceeding of SPIE, 2724,355 (1996)に記載されている酸分解性基を含むコール酸誘導体の様な、酸分解性基を含有する脂環族、脂肪族又は芳香族化合物が好ましく、特に分子内にフッ素原子を有する化合物が透明性の観点から好ましい。
本発明における酸分解性溶解阻止化合物の分子量は、3000以下であり、好ましくは300〜3000、更に好ましくは500〜2500である。
【0069】
酸分解性溶解阻止化合物の添加量は、全組成物の固形分に対し、好ましくは3〜50質量%であり、より好ましくは5〜40質量%である。
【0070】
以下に酸分解性溶解阻止化合物の具体例を示すが、これらに限定されない。
【0071】
【化19】
【0072】
【化20】
【0073】
[4](D)酸架橋剤
本発明のネガ型レジスト組成物には、酸架橋剤が使用される。
酸架橋剤としては酸の作用によりアルカリ現像液に可溶な樹脂(B2)を架橋してレジスト膜のアルカリ現像液に対する溶解度を低下させる化合物であればいずれも用いることができるが、以下の(1)〜(3)が好ましい。
(1)フェノール誘導体のヒドロキシメチル体、アルコキシメチル体、アシルオキシメチル体。
(2)N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基、N−アシルオキシメチル基を有する化合物。
(3)エポキシ基を有する化合物。
アルコキシメチル基としては炭素数6個以下、アシルオキシメチル基としては炭素数6個以下が好ましい。
これらの酸架橋剤の内、特に好ましいものを以下に挙げる。
【0074】
【化21】
【0075】
(式中、L1〜L8は、同じであっても異なっていてもよく、水素原子、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基又は炭素数1〜6個のアルキル基を示す。)
【0076】
酸架橋剤は、全レジスト組成物固形分中、3〜70質量%、好ましくは5〜50質量%の添加量で用いられる。
酸架橋剤の添加量が3質量%未満であると残膜率が低下し、また、70質量%を越えると解像力が低下し、更にレジスト液の保存時の安定性の点で余り好ましくない。
【0077】
[5](E)有機塩基性化合物
本発明のレジスト組成物は、活性光線又は放射線の照射後、加熱処理までの経時による性能変動(パターンのT−top形状形成、感度変動、パターン線幅変動等)や塗布後の経時による性能変動、更には活性光線又は放射線の照射後、加熱処理時の酸の過剰な拡散(解像度の劣化)を防止する目的で、有機塩基性化合物を含有することが好ましい。有機塩基性化合物としては、例えば塩基性窒素を含有する有機塩基性化合物であり、共役酸のpKa値で4以上の化合物が好ましく使用される。
具体的には下記式(A)〜(E)の構造を挙げることができる。
【0078】
【化22】
【0079】
ここで、R250、R251及びR252は、同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のアミノアルキル基、炭素数1〜6個のヒドロキシアルキル基又は炭素数6〜20個の置換もしくは非置換のアリール基を表し、ここで、R251とR252は、互いに結合して環を形成してもよい。
R253、R254、R255及びR256は、同一でも異なってもよく、炭素数1〜6個のアルキル基を表す。
更に好ましい化合物は、一分子中に異なる化学的環境の窒素原子を2個以上有する含窒素塩基性化合物であり、特に好ましくは、置換もしくは未置換のアミノ基と窒素原子を含む環構造の両方を含む化合物もしくはアルキルアミノ基を有する化合物である。
【0080】
好ましい具体例としては、置換もしくは未置換のグアニジン、置換もしくは未置換のアミノピリジン、置換もしくは未置換のアミノアルキルピリジン、置換もしくは未置換のアミノピロリジン、置換もしくは未置換のインダゾール、イミダゾール、置換もしくは未置換のピラゾール、置換もしくは未置換のピラジン、置換もしくは未置換のピリミジン、置換もしくは未置換のプリン、置換もしくは未置換のイミダゾリン、置換もしくは未置換のピラゾリン、置換もしくは未置換のピペラジン、置換もしくは未置換のアミノモルフォリン、置換もしくは未置換のアミノアルキルモルフォリン等が挙げられる。好ましい置換基は、アミノ基、アミノアルキル基、アルキルアミノ基、アミノアリール基、アリールアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ニトロ基、水酸基、シアノ基である。
【0081】
特に好ましい化合物として、グアニジン、1,1−ジメチルグアニジン、1,1,3,3,−テトラメチルグアニジン、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4,5−ジフェニルイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、2−ジメチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2−ジエチルアミノピリジン、2−(アミノメチル)ピリジン、2−アミノ−3−メチルピリジン、2−アミノ−4−メチルピリジン、2−アミノ−5−メチルピリジン、2−アミノ−6−メチルピリジン、3−アミノエチルピリジン、4−アミノエチルピリジン、
【0082】
3−アミノピロリジン、ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペリジン、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ピペリジノピペリジン、2−イミノピペリジン、1−(2−アミノエチル)ピロリジン、ピラゾール、3−アミノ−5−メチルピラゾール、5−アミノ−3−メチル−1−p−トリルピラゾール、ピラジン、2−(アミノメチル)−5−メチルピラジン、ピリミジン、2,4−ジアミノピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、N−アミノモルフォリン、N−(2−アミノエチル)モルフォリンなどが挙げられるがこれに限定されるものではない。
これらの含窒素塩基性化合物は、単独であるいは2種以上一緒に用いられる。
【0083】
酸発生剤(A)と有機塩基性化合物の組成物中の使用割合は、(酸発生剤(A))/(有機塩基性化合物)(モル比)=2.5〜300であることが好ましい。該モル比が2.5未満では低感度となり、解像力が低下する場合があり、また、300を越えると露光後加熱処理までの経時でレジストパターンの太りが大きくなり、解像力も低下する場合がある。(酸発生剤(A))/(有機塩基性化合物)(モル比)は、好ましくは5.0〜200、更に好ましくは7.0〜150である。
【0084】
[6](F)界面活性剤
本発明のレジスト組成物は、界面活性剤、特にフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤を含有することが好ましい。すなわち、本発明のレジスト組成物には、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤及びフッ素原子と珪素原子の両方を含有する界面活性剤のいずれか、あるいは2種以上を含有することが好ましい。これらフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤の添加は、現像欠陥の抑制及び塗布性の向上に効果を有する。
【0085】
これらの界面活性剤として、例えば特開昭62−36663号、特開昭61−226746号、特開昭61−226745号、特開昭62−170950号、特開昭63−34540号、特開平7−230165号、特開平8−62834号、特開平9−54432号、特開平9−5988号、米国特許5405720号、米国特許5360692号、米国特許5529881号、米国特許5296330号、米国特許5436098号、米国特許5576143号、米国特許5296143号、米国特許5294511号、及び、米国特許5824451号記載の界面活性剤を挙げることができ、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。
このような市販の界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、EF352(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ(株)製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル社製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
【0086】
界面活性剤の配合量は、本発明のレジスト組成物中の固形分を基準として、通常0.001質量%〜2質量%、好ましくは0.01質量%〜1質量%である。これらの界面活性剤は単独で添加してもよいし、また、いくつかの組み合わせで添加することもできる。
【0087】
[7](G)溶剤
本発明の組成物は、上記各成分を溶解する溶剤に溶かして支持体上に塗布する。ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン等が好ましく、これらの溶剤を単独あるいは混合して使用する。
【0088】
精密集積回路素子の製造などにおいてレジスト膜上へのパターン形成工程は、基板(例:シリコン/二酸化シリコン皮覆、ガラス基板、ITO基板等の透明基板等)上に、本発明の組成物を塗布し、次に活性光線又は放射線描画装置を用いて照射を行い、加熱、現像、リンス、乾燥することにより良好なレジストパターンを形成することができる。
【0089】
本発明のレジスト組成物の現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノーアミン等のアルコ−ルアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類、等のアルカリ類の水溶液を使用することができる。更に、上記アルカリ類の水溶液にイソプロピルアルコール等のアルコール類、ノニオン系等の界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
これらの現像液の中で好ましくは第四アンモニウム塩、更に好ましくは、テトラメチルアンモニウムヒドロオキシド、コリンである。
【0090】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明の内容がこれにより限定されるものではない。
【0091】
<酸発生剤(A)の合成>
合成例1(酸発生剤(I−1)の合成)
攪拌翼、還流冷却器を備え付けたフラスコにメタンスルホン酸クロリド9.7g、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−[4−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−1−トリフルオロメチル−エチル)−フェニル]−プロパン−2−オル9.8gを仕込み、メタンスルホン酸クロリドの3倍重量倍のアセトンを加えて溶液とした。そこにトリエチルアミン15.9gを滴下し、室温にて約2時間攪拌しながら反応させた。濾過後、有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、続いて水洗を2回行った。有機層を濃縮して、目的物約14.4gを得た。
【0092】
<樹脂(B1)の合成>
合成例1(樹脂(F−3)の合成)
3−(5−ビシクロ[2.2.1]ヘプテン−2−イル)−1,1,1−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−2−プロパン−2−オール27.5gとアクリロニトリル5.4gをオートクレーブ反応容器に加えた後、アゾ系重合開始剤V−65(和光純薬工業社製)1.24gを添加し、そのまま8時間攪拌下にて反応させた。反応液にヘキサン500mlを加えてポリマーを沈殿させた後、上層をデカンテーションにて除去した。残った粘調なポリマーをアセトン50mlに溶かし、再度ヘキサン1Lを加えることで、ポリマーを分別処理し、未反応モノマーおよびオリゴマー成分を除去した。得られたポリマーをGPCにて分子量測定を行ったところ、重量平均分子量は8700、分散度は1.5であった。
得られたポリマー17.5gをTHFに溶解したのち、二炭酸t−ブチル10.4gを添加、さらにジメチルアミノピリジンを触媒に用いて反応させ、樹脂(F−3)を得た。
得られた樹脂(F−3)をGPCにて分子量測定を行ったところ、重量平均分子量は8700、分子量分散度(Mw/Mn)は1.5であった。
同様にして、下記表1に記載の樹脂(B1)を得た。
【0093】
【表1】
【0094】
実施例1〜15及び比較例1
下記表2に示す、酸発生剤、樹脂(B1)、界面活性剤、塩基性化合物を溶剤に溶解した固形分濃度6質量%のポリマー溶液を0.1μmのフッ素樹脂フィルターで濾過しポジ型レジスト液を調製した。
【0095】
【表2】
【0096】
表2における記号の内容は以下のとおりである。
PAG−A:トリフェニルスルホニウムトリフレート
W−1:メガファックF176(大日本インキ化学工業(株)製)(フッ素系)
W−2:メガファックR08(大日本インキ化学工業(株)製)(フッ素及びシリコン系)
W−3:ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)
W−4:ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル
W−5:トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)
E−1:1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン
E−2:ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート
E−3:トリオクチルアミン
E−4:トリフェニルイミダゾール
E−5:アンチピリン
E−6:2,6−ジイソプロピルアニリン
E−7:トリイソプロパノールアミン
E−8:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド
S−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
S−2:プロピレングリコールモノメチルエーテル
S−3:乳酸エチル
S−4:γ−ブチルラクトン
【0097】
〔画像形成評価〕
スピンコーターにより各ポジ型レジスト液をヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコンウエハー上に塗布し、110℃で90秒間真空密着型ホットプレートプレート上で加熱乾燥して膜厚0.10μmのレジスト膜を得た。
得られたレジスト膜に対し、157nmのレーザー露光・溶解挙動解析装置VUVES−4500(リソテック・ジャパン製)を用い、50mJ/cm2の露光量を照射した後、110℃のホットプレートを用いて90秒間加熱した。更に2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド水溶液で23℃にて45秒間現像し、30秒間純水にてリンスした後、乾燥した。
実施例1〜15ではレーザー照射領域のレジスト膜が完全に溶解除去され、良好なポジ型画像が形成されたが、比較例1ではポジ型画像のレーザー照射領域にレジスト膜の残渣が認められた。
【0098】
〔ラインエッジラフネス評価〕
シリコンウエハー上にBrewer Science社製DUV−42により膜厚55nmの反射防止膜を形成し、その上に各ポジ型レジスト液を塗布し、120℃で90秒間ベークして膜厚0.10μmのレジスト膜を設けた。
こうして得られたウエハーを、KrFエキシマレーザーステッパー(Canon社製KrF露光機FPA3000EX−5)に解像力マスクを装填して露光量を変化させながら露光した。次いで、クリーンルーム内で110℃で90秒間加熱した後、テトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド現像液(2.38質量%)で60秒間現像し、蒸留水でリンス、乾燥してパターンを得た。マスクにおける200nmのラインパターン(ライン/スペース=1/1)を再現する最小露光量により得られた200nmのラインパターンの長手方向のエッジ5μmの範囲について、エッジがあるべき基準線からの距離を測長走査型電子顕微鏡(日立製作所社製S−9220)により50ポイント測定し、標準偏差を求め、3σを算出した。値が小さいほど良好な性能であることを表す。
その結果を下記表3に示す。
【0099】
【表3】
【0100】
表3から、本発明のレジスト組成物は、ラインエッジラフネスが改善されていることが判る。
【0101】
【発明の効果】
本発明により、レジスト膜に露光、現像を行って画像を形成させる際に、本来溶解除去されなければならない領域のレジスト膜を確実に溶解除去することができるとともにラインエッジラフネスが改善されたレジスト組成物を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、超LSI、高容量マイクロチップの製造などのマイクロリソグラフィープロセスや、その他のフォトファブリケーションプロセスに好適に用いられるレジスト組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
集積回路はその集積度を益々高めており、超LSIなどの半導体基板の製造においては、クオーターミクロン以下の線幅から成る超微細パターンの加工が必要とされるようになってきた。パターンの微細化を図る手段の一つとして、レジストのパターン形成の際に使用される露光光源の短波長化が知られている。
【0003】
例えば64Mビットまでの集積度の半導体素子の製造には、現在まで高圧水銀灯のi線(365nm)が光源として使用されてきた。この光源に対応するポジ型レジストとしては、ノボラック樹脂と感光物としてのナフトキノンジアジド化合物を含む組成物が、数多く開発され、0.3μm程度までの線幅の加工においては十分な成果をおさめてきた。また256Mビット以上集積度の半導体素子の製造には、i線に代わりKrFエキシマレーザー光(248nm)が露光光源として採用されてきた。
更に1Gビット以上の集積度の半導体製造を目的として、近年より短波長の光源であるArFエキシマレーザー光(193nm)の使用、更には0.1μm以下のパターンを形成する為にF2エキシマレーザー光(157nm)の使用が検討されている。
【0004】
これら光源の短波長化に合わせ、レジスト材料の構成成分及びその化合物構造も大きく変化している。
KrFエキシマレーザー光による露光用のレジスト組成物として、248nm領域での吸収の小さいポリ(ヒドロキシスチレン)を基本骨格とし酸分解基で保護した樹脂を主成分として用い、遠紫外光の照射で酸を発生する化合物(光酸発生剤)を組み合わせた組成物、所謂化学増幅型レジストが開発されてきた。
【0005】
また、ArFエキシマレーザー光(193nm)露光用のレジスト組成物として、193nmに吸収を持たない脂環式構造をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した酸分解性樹脂を使用した化学増幅型レジストが開発されてきている。
【0006】
F2エキシマレーザー光(157nm)に対しては、上記脂環型樹脂においても157nm領域の吸収が大きく、目的とする0.1μm以下のパターンを得るには不十分であることが判明し、これに対し、フッ素原子(パーフルオロ構造)を導入した樹脂が157nmに十分な透明性を有することがProc. SPIE. Vol.3678. 13頁(1999)にて報告され、有効なフッ素樹脂の構造がProc. SPIE. Vol.3999. 330頁(2000)、同357頁(2000)、同365頁(2000)、WO−00/17712号等に提案され、フッ素含有樹脂を含有するレシスト組成物の検討がなされてきている。
【0007】
しかしながら、従来のレジスト組成物は、レジスト膜に露光、現像を行って画像を形成させる際に、本来溶解除去されなければならない領域のレジスト膜が溶解除去されずに残り易い欠点があった。
また、従来のレジスト組成物は、ラインエッジラフネスの改善が望まれていた。ラインエッジラフネスとは、レジストの特性に起因して、レジストのラインパターンと基板界面のエッジが、ライン方向と垂直な方向に不規則に変動した形状を呈することをいう。このパターンを真上から観察するとエッジが凹凸(±数nm〜数十nm程度)に見える。この凹凸は、エッチング工程により基板に転写されるため、凹凸が大きいと電気特性不良を引き起こし、歩留まりを低下させることになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、レジスト膜に露光、現像を行って画像を形成させる際に、本来溶解除去されなければならない領域のレジスト膜を確実に溶解除去することができるとともにラインエッジラフネスが改善されたレジスト組成物を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記諸特性に留意し鋭意検討した結果、本発明の目的が以下の特定の組成物によって達成されることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は下記構成である。
【0010】
(1) (A)下記一般式(IA)〜(IVA)のいずれかで表される、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物を含有することを特徴とするレジスト組成物。
【0011】
【化4】
【0012】
一般式(IA)〜(IVA)中、
R1a〜R12aは、同じでも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。但し、R1a〜R12aの内、少なくとも1つは、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。
R13a及びR14aは、同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。
R15a〜R18aは、同じでも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を表す。
【0013】
(2) (A)下記一般式(IA)〜(IVA)のいずれかで表される、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物及び
(B1)酸の作用により分解し、アルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物。
【0014】
【化5】
【0015】
一般式(IA)〜(IVA)中、
R1a〜R12aは、同じでも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。但し、R1a〜R12aの内、少なくとも1つは、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。
R13a及びR14aは、同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。
R15a〜R18aは、同じでも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を表す。
【0016】
(3) (B1)成分の樹脂が、少なくとも1つのフッ素原子を有する繰り返し単位を有することを特徴とする(2)に記載のポジ型レジスト組成物。
【0017】
(4) (B1)成分の樹脂が、下記一般式(I)〜(IV)で表される繰り返し単位の群から選ばれる繰り返し単位のいずれかを有することを特徴とする(3)に記載のポジ型レジスト組成物。
【0018】
【化6】
【0019】
一般式(I)中、
R11〜R16は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフルオロ化されたアルキル基を表す。但し、R11〜R16は、全てが水素原子となることはない。
X1は、水素原子又は酸の作用により分解する基を表す。
mは、0又は1を示す。
一般式(II)中、
R3は、水素原子又は酸の作用により脱離する基を表す。
mは、0又は1を示す。
一般式(III)中、
R4は、水素原子又は酸の作用により脱離する基を表す。
一般式(IV)中、
R1は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基又はトリフルオロメチル基を表す。
R41〜R46は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフルオロ化されたアルキル基を表す。但し、R41〜R46は、全てが水素原子となることはない。
X2は、水素原子又は酸の作用により分解する基を表す。
nは、1〜5の整数を示す。nが2以上である場合に、2つ以上あるR41〜R46及びX2は、同じでも異なっていてもよい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のレジスト組成物は、前記一般式(IA)〜(IVA)のいずれかで表される、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物を含有することを特徴とする。
本発明のレジスト組成物は、ポジ型及びネガ型のいずれであってもよい。
本発明のポジ型レジスト組成物としては、(A)前記一般式(IA)〜(IVA)のいずれかで表される、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物及び(B1)酸の作用により分解し、アルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂を含有するものと、(A)前記一般式(IA)〜(IVA)のいずれかで表される、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、(B2)アルカリ現像液に可溶な樹脂及び(C)酸分解性溶解阻止化合物を含有するものとを挙げることができる。
本発明のネガ型レジスト組成物としては、(A)前記一般式(IA)〜(IVA)のいずれかで表される、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、(B2)アルカリ現像液に可溶な樹脂及び(D)酸架橋剤を含有するものを挙げることができる。
【0021】
[1](A)前記一般式(IA)〜(IVA)のいずれかで表される、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物
本発明のレジスト組成物は、前記一般式(IA)〜(IVA)のいずれかで表される、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、「酸発生剤(A)」ともいう)を含有する。
【0022】
一般式(IA)〜(IVA)中、R1a〜R12aは、同じでも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。但し、R1a〜R12aの内、少なくとも1つは、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。R13a及びR14aは、同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。R15a〜R18aは、同じでも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を表す。
【0023】
R1a〜R12aのアルキル基としては、炭素数1〜20個の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、へキシル基、2−エチルへキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。
【0024】
R1a〜R12aのアルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基等を挙げることができる。
R1a〜R12aは、全てがフッ素原子であることが好ましい。
【0025】
R13a及びR14aのアルキル基としては、R1a〜R12aのアルキル基と同様のものを挙げることができる。
R13a及びR14aのアリール基としては、炭素数6〜10個のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができる。
【0026】
R13a及びR14aのアラルキル基としては、炭素数7〜12個のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
R13a及びR14aが有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、メチル基、エチル基等のアルキル基(炭素数1〜5個)、パーフルオロアルキル基(炭素数1〜5個)、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基等を挙げることができ、フッ素原子、トリフルオロメチル基が好ましい。
【0027】
R15a〜R18aのアルキル基及びアルコキシ基に於けるアルキル基としては、R1a〜R12aのアルキル基と同様のものを挙げることができる。
【0028】
以下、酸発生剤(A)の好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0029】
【化7】
【0030】
【化8】
【0031】
酸発生剤(A)は、例えば、対応するスルホン酸ハライドと、ヘキサフルオロイソプロパノール基を有する対応化合物とを塩基存在下でエステル化することによって合成することができる。
【0032】
酸発生剤(A)の添加量は、レジスト組成物の固形分に対して0.1〜40質量%とすることが好ましく、0.3〜30質量%とすることがより好ましい。
【0033】
本発明に於いては、酸発生剤(A)とともに活性光線又は放射線の照射により酸を発生する他の化合物を使用してもよい。
活性光線又は放射線の照射により、酸を発生する他の化合物としては、一般に、活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物(酸発生剤)として使用されている化合物の中から選択することができる。
即ち、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている公知の光(400〜200nmの紫外線、遠紫外線、特に好ましくは、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー光)、ArFエキシマレーザー光、F2エキシマレーザー光、電子線、X線、分子線又はイオンビームにより酸を発生する化合物及びそれらの混合物から適宜選択して使用することができる。
【0034】
このような化合物としては、たとえば S. I. Schlesinger, Photogr. Sci. Eng., 18, 387 (1974)、T. S. Bal et al, Polymer, 21, 423(1980)等に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号、同 Re 27,992号、特開平3−140140号等に記載のアンモニウム塩、D. C. Necker et al,Macromolecules,17, 2468(1984)、C. S. Wen et al, Teh, Proc. Conf. Rad. Curing ASIA, p478 Tokyo,Oct(1988)、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号等に記載のホスホニウム塩、J. V. Crivello et al, Macromorecules, 10(6), 1307(1977)、Chem.& Eng. News, Nov. 28, p31(1988)、欧州特許第104,143号、同339,049号、同第410,201号、特開平2−150848号、特開平2−296514号等に記載のヨードニウム塩、J. V. Crivello et al, Polymer J. 17, 73(1985)、J. V. Crivello et al., J.Org. Chem., 43, 3055(1978)、W. R. Watt et al, J. Polymer Sci., PolymerChem. Ed., 22, 1789(1984)、J. V. Crivello et al, Polymer Bull., 14, 279(1985)、J. V. Crivello et al, Macromorecules, 14(5), 1141(1981)、J. V. Crivello et al, J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed., 17, 2877(1979)、欧州特許第370,693号、同161,811号、同410,201号、同339,049号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同3,902,114号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、獨国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号等に記載のスルホニウム塩、J. V. Crivello et al, Macromorecules, 10(6), 1307(1977)、J. V. Crivello et al, J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed., 17, 1047(1979)等に記載のセレノニウム塩、C. S. Wen et al, Teh, Proc. Conf. Rad. Curing ASIA, p478 Tokyo, Oct(1988)等に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩、米国特許第3,905,815号、特公昭46−4605号、特開昭48−36281号、特開昭55−32070号、特開昭60−239736号、特開昭61−169835号、特開昭61−169837号、特開昭62−58241号、特開昭62−212401号、特開昭63−70243号、特開昭63−298339号等に記載の有機ハロゲン化合物、K. Meier et al, J. Rad. Curing, 13(4), 26(1986)、T. P. Gill et al, Inorg. Chem., 19, 3007(1980)、D. Astruc,Acc. Chem. Res., 19(12), 377(1896)、特開平2−161445号等に記載の有機金属/有機ハロゲン化物、S. Hayase et al, J. Polymer Sci., 25, 753(1987)、E. Reichmanis et al, J. Pholymer Sci., Polymer Chem. Ed., 23, 1(1985)、Q. Q. Zhuetal, J. Photochem., 36, 85, 39, 317(1987)、B. Amit et al, Tetrahedron Lett.,(24)2205(1973)、D. H. R. Barton et al, J. Chem Soc., 3571(1965)、P. M. Collins et al, J. Chem. Soc., Perkin I, 1695(1975)、M. Rudinstein et al, Tetrahedron Lett., (17), 1445(1975)、J. W. Walker et al, J. Am. Chem. Soc., 110, 7170(1988)、S. C. Busman et al, J. Imaging Technol., 11(4), 191(1985)、H. M. Houlihan et al, Macromolecules, 21, 2001(1988)、P. M.Collins et al, J. Chem. Soc., Chem. Commun., 532(1972)、S. Hayase et al, Macromolecules, 18, 1799(1985)、E. Reichmanis et al, J. Electrochem. Soc., Solid State Sci. Technol., 130(6)、F. M. Houlihan et al, Macromolcules, 21,2001(1988)、欧州特許第0290,750号、同046,083号、同156,535号、同271,851号、同0,388,343号、米国特許第3,901,710号、同4,181,531号、特開昭60−198538号、特開昭53−133022号等に記載の0−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、M.TUNOOKA et al, Polymer Preprints Japan, 35(8)、G. Berner et al, J. Rad. Curing, 13(4)、 W. J. Mijs et al, Coating Technol., 55(697),45(1983), Akzo、H. Adachi et al, Polymer Preprints, Japan, 37(3)、欧州特許第0199,672号、同84515号、同044,115号、同618,564号、同0101,122号、米国特許第4,371,605号、同4,431,774号、特開昭64−18143号、特開平2−245756号、特開平3−140109号等に記載のイミノスルフォネ−ト等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、特開昭61−166544号等に記載のジスルホン化合物等を挙げることができる。
【0035】
[2](B1)酸の作用により分解し、アルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂及び(B2)アルカリ現像液に可溶な樹脂
本発明のレジスト組成物は、(B1)酸の作用により分解し、アルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂又は(B2)アルカリ現像液に可溶な樹脂(以下、両者を合わせて「樹脂(B)」ともいう)を含有する。
樹脂(B)は、一般にレジスト組成物に使用されている樹脂であれば、いずれも使用することができるが、本発明のレジスト組成物にF2エキシマレーザー光を照射する場合には、少なくとも1つのフッ素原子を有する繰り返し単位を有する樹脂が好ましく、前記一般式(I)〜(IV)で表される繰り返し単位の群から選ばれる繰り返し単位のいずれかを有する樹脂がより好ましい。
【0036】
一般式(I)中、R11〜R16は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフルオロ化されたアルキル基を表す。但し、R11〜R16は、全てが水素原子となることはない。X1は、水素原子又は酸の作用により分解する基を表す。mは、0又は1を示す。
【0037】
R11〜R16の少なくとも1つの水素原子がフルオロ化されたアルキル基としては、炭素数1〜6のものが好ましく、炭素数1〜3のものがより好ましい。具体的には、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、フルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2−フルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−フルオロプロピル基等を挙げることができる。特に好ましいものはトリフルオロメチル基である。
【0038】
X1の酸の作用により分解する基(以下、酸分解性基ともいう)としては、例えば−C(R36)(R37)(R38)、−C(R36)(R37)(OR39)、−COO−C(R36)(R37)(R38)、−C(R01)(R02)(OR39)、−C(R01)(R02)COO−C(R36)(R37)(R38)等が挙げられる。
R36〜R39は、各々独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアラルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。R36とR39とは、互いに結合して環を形成してもよい。
R01、R02は、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアラルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。
【0039】
R36〜R39、R01及びR02のアルキル基としては、炭素数1〜8個のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基等を挙げることができる。
R36〜R39、R01及びR02のシクロアルキル基としては、単環型でもよく、多環型でのよい。単環型としては、炭素数3〜8個のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロブチル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。多環型としては、炭素数6〜20個のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトシクロドデシル基、アンドロスタニル基等を挙げることができる。尚、シクロアルキル基中の炭素原子の一部が、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
R36〜R39、R01及びR02のアリール基としては、炭素数6〜10個のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、ナフチル基、アントリル基、9,10−ジメトキシアントリル基等を挙げることができる。
R36〜R39、R01及びR02のアラルキル基としては、炭素数7〜12のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
R36〜R39、R01及びR02のアルケニル基としては、炭素数2〜8個のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、シクロヘキセニル基等を挙げることができる。
R36〜R39、R01及びR02が有していてもよい置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基等を挙げることができる。
【0040】
酸分解性基の好ましい具体例としては、t−ブチル基、t−アミル基、1−アルキル−1−シクロヘキシル基、2−アルキル−2−アダマンチル基、2−アダマンチル−2−プロピル基、2−(4−メチルシクロヘキシル)−2−プロピル基等の3級アルキル基、1−アルコキシ−1−エトキシ基、1−アルコキシ−1−メトキシ基、テトラヒドロピラニル基等のアセタール基、t−アルキルオキシカルボニル基、エトキシメチル基、メトキシエトキシメチル基、t−アルキルカルボニルメチル基等が好ましく挙げられる。
【0041】
以下、一般式(I)で表される繰り返し構造単位の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0042】
【化9】
【0043】
一般式(II)中、R3は、水素原子又は酸の作用により脱離する基を表す。mは、0又は1を示す。
【0044】
R3の酸の作用により脱離する基としては、例えば−C(R36)(R37)(R38)、−C(R36)(R37)(OR39)等が挙げられる。
R36〜R39は、各々独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアラルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。R36〜R38の内の2つ以上、又はR36とR39とは、互いに結合して環を形成してもよい。
【0045】
R36〜R39のアルキル基としては、炭素数1〜8個のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基等を挙げることができる。
R36〜R39のシクロアルキル基としては、単環型でもよく、多環型でのよい。単環型としては、炭素数3〜8個のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロブチル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。多環型としては、炭素数6〜20個のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトシクロドデシル基、アンドロスタニル基等を挙げることができる。尚、シクロアルキル基中の炭素原子の一部が、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
R36〜R39のアリール基としては、炭素数6〜10個のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、ナフチル基、アントリル基、9,10−ジメトキシアントリル基等を挙げることができる。
R36〜R39のアラルキル基としては、炭素数7〜12のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
R36〜R39のアルケニル基としては、炭素数2〜8個のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、シクロヘキセニル基等を挙げることができる。
R36〜R39が有していてもよい置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基等を挙げることができる。
【0046】
酸の作用により脱離する基の好ましい具体例としては、t−ブチル基、t−アミル基、1−アルキル−1−シクロヘキシル基、2−アルキル−2−アダマンチル基、2−アダマンチル−2−プロピル基、2−(4−メチルシクロヘキシル)−2−プロピル基等の3級アルキル基、1−アルコキシ−1−エトキシ基、1−アルコキシ−1−メトキシ基、テトラヒドロピラニル基等のアセタール基、t−アルキルカルボニルメチル基等が好ましく挙げられる。
【0047】
以下、一般式(II)で表される繰り返し構造単位の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0048】
【化10】
【0049】
一般式(III)中、R4は、水素原子又は酸の作用により脱離する基を表す。
R4の酸の作用により脱離する基としては、一般式(II)に於けるR3の酸の作用により脱離する基と同様のものを挙げることができる。
【0050】
以下、一般式(III)で表される繰り返し構造単位の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0051】
【化11】
【0052】
一般式(IV)中、R1は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基又はトリフルオロメチル基を表す。R41〜R46は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフルオロ化されたアルキル基を表す。但し、R41〜R46は、全てが水素原子となることはない。X2は、水素原子又は酸の作用により分解する基を表す。nは、1〜5の整数を示す。nが2以上である場合に、2つ以上あるR41〜R46及びX2は、同じでも異なっていてもよい。
【0053】
R41〜R46の少なくとも1つの水素原子がフルオロ化されたアルキル基としては、一般式(I)に於けるR11〜R16の少なくとも1つの水素原子がフルオロ化されたアルキル基と同様のものを挙げることができる。
X2の酸の作用により分解する基としては、一般式(I)に於けるX1の酸の作用により分解する基と同様のものを挙げることができる。
【0054】
以下、一般式(IV)で表される繰り返し構造単位の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0055】
【化12】
【0056】
樹脂(B)は、上記の繰り返し単位以外に、他の重合性モノマーを重合させてもよい。
併用することができる共重合モノマーとしては、例えば、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類、クロトン酸エステル類、イタコン酸ジアルキル類、マレイン酸あるいはフマール酸のジアルキルエステル類、無水マレイン酸、マレイミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、マレイロニトリル等を挙げることができる。その他、一般的には共重合可能である付加重合性不飽和化合物であればよい。
【0057】
樹脂(B)は、一般式(I)、(IV)に於けるX1、X2を酸分解性基としたり、一般式(II)、(III)に於けるR3、R4を酸の作用により脱離する基とすることにより、酸の作用により分解し、アルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂(B1)とすることができる。
樹脂(B)は、一般式(I)、(IV)に於けるX1、X2、一般式(II)、(III)に於けるR3、R4を水素原子とすることにより、アルカリ現像液に可溶な樹脂(B2)とすることができる。
【0058】
樹脂(B)に於いて、一般式(I)〜(IV)で表される繰り返し単位の含量は、一般に30〜100モル%、好ましくは50〜100モル%である。
樹脂(B1)に於いて、酸分解性基若しくは酸の作用により脱離する基を有する繰り返し単位の含量は、一般に10〜70モル%、好ましくは20〜60モル%、更に好ましくは30〜50モル%である。
【0059】
上記具体例で表される繰り返し単位は、各々1種で使用しても良いし、複数を混合して用いても良い。
樹脂(B)は、通常のラジカル重合法により合成することができる。
樹脂(B)の重量平均分子量は、通常、1,000〜200,000であり、好ましくは2,000〜20,000の範囲で使用される。分子量分散度(Mw/Mn)は、通常、1〜10であり、好ましくは1.1〜2.0、更に好ましくは1.1〜1.5、特に好ましくは1.1〜1.3の範囲のものが使用される。分子量分散度(Mw/Mn)の小さいものほど、解像度、レジスト形状、及びレジストパターンの側壁がスムーズであり、ラフネス性に優れる。
【0060】
以下、樹脂(B)の具体例を示すが、本発明はこれに限定されない。
【0061】
【化13】
【0062】
【化14】
【0063】
【化15】
【0064】
【化16】
【0065】
【化17】
【0066】
【化18】
【0067】
樹脂(B)の添加量は、組成物の全固形分を基準として、一般的に50〜99.5質量%、好ましくは80〜99質量%、更に好ましくは90〜98質量%の範囲で使用される。
【0068】
[3](C)酸分解性溶解阻止化合物
本発明に於ける酸分解性溶解阻止化合物としては、酸の作用により分解してアルカリ現像液中での溶解度が増大する、分子量3000以下の化合物が好ましい。
このような酸分解性溶解阻止化合物としては、220nm以下の透過性を低下させないため、Proceeding of SPIE, 2724,355 (1996)に記載されている酸分解性基を含むコール酸誘導体の様な、酸分解性基を含有する脂環族、脂肪族又は芳香族化合物が好ましく、特に分子内にフッ素原子を有する化合物が透明性の観点から好ましい。
本発明における酸分解性溶解阻止化合物の分子量は、3000以下であり、好ましくは300〜3000、更に好ましくは500〜2500である。
【0069】
酸分解性溶解阻止化合物の添加量は、全組成物の固形分に対し、好ましくは3〜50質量%であり、より好ましくは5〜40質量%である。
【0070】
以下に酸分解性溶解阻止化合物の具体例を示すが、これらに限定されない。
【0071】
【化19】
【0072】
【化20】
【0073】
[4](D)酸架橋剤
本発明のネガ型レジスト組成物には、酸架橋剤が使用される。
酸架橋剤としては酸の作用によりアルカリ現像液に可溶な樹脂(B2)を架橋してレジスト膜のアルカリ現像液に対する溶解度を低下させる化合物であればいずれも用いることができるが、以下の(1)〜(3)が好ましい。
(1)フェノール誘導体のヒドロキシメチル体、アルコキシメチル体、アシルオキシメチル体。
(2)N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基、N−アシルオキシメチル基を有する化合物。
(3)エポキシ基を有する化合物。
アルコキシメチル基としては炭素数6個以下、アシルオキシメチル基としては炭素数6個以下が好ましい。
これらの酸架橋剤の内、特に好ましいものを以下に挙げる。
【0074】
【化21】
【0075】
(式中、L1〜L8は、同じであっても異なっていてもよく、水素原子、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基又は炭素数1〜6個のアルキル基を示す。)
【0076】
酸架橋剤は、全レジスト組成物固形分中、3〜70質量%、好ましくは5〜50質量%の添加量で用いられる。
酸架橋剤の添加量が3質量%未満であると残膜率が低下し、また、70質量%を越えると解像力が低下し、更にレジスト液の保存時の安定性の点で余り好ましくない。
【0077】
[5](E)有機塩基性化合物
本発明のレジスト組成物は、活性光線又は放射線の照射後、加熱処理までの経時による性能変動(パターンのT−top形状形成、感度変動、パターン線幅変動等)や塗布後の経時による性能変動、更には活性光線又は放射線の照射後、加熱処理時の酸の過剰な拡散(解像度の劣化)を防止する目的で、有機塩基性化合物を含有することが好ましい。有機塩基性化合物としては、例えば塩基性窒素を含有する有機塩基性化合物であり、共役酸のpKa値で4以上の化合物が好ましく使用される。
具体的には下記式(A)〜(E)の構造を挙げることができる。
【0078】
【化22】
【0079】
ここで、R250、R251及びR252は、同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のアミノアルキル基、炭素数1〜6個のヒドロキシアルキル基又は炭素数6〜20個の置換もしくは非置換のアリール基を表し、ここで、R251とR252は、互いに結合して環を形成してもよい。
R253、R254、R255及びR256は、同一でも異なってもよく、炭素数1〜6個のアルキル基を表す。
更に好ましい化合物は、一分子中に異なる化学的環境の窒素原子を2個以上有する含窒素塩基性化合物であり、特に好ましくは、置換もしくは未置換のアミノ基と窒素原子を含む環構造の両方を含む化合物もしくはアルキルアミノ基を有する化合物である。
【0080】
好ましい具体例としては、置換もしくは未置換のグアニジン、置換もしくは未置換のアミノピリジン、置換もしくは未置換のアミノアルキルピリジン、置換もしくは未置換のアミノピロリジン、置換もしくは未置換のインダゾール、イミダゾール、置換もしくは未置換のピラゾール、置換もしくは未置換のピラジン、置換もしくは未置換のピリミジン、置換もしくは未置換のプリン、置換もしくは未置換のイミダゾリン、置換もしくは未置換のピラゾリン、置換もしくは未置換のピペラジン、置換もしくは未置換のアミノモルフォリン、置換もしくは未置換のアミノアルキルモルフォリン等が挙げられる。好ましい置換基は、アミノ基、アミノアルキル基、アルキルアミノ基、アミノアリール基、アリールアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ニトロ基、水酸基、シアノ基である。
【0081】
特に好ましい化合物として、グアニジン、1,1−ジメチルグアニジン、1,1,3,3,−テトラメチルグアニジン、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4,5−ジフェニルイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、2−ジメチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2−ジエチルアミノピリジン、2−(アミノメチル)ピリジン、2−アミノ−3−メチルピリジン、2−アミノ−4−メチルピリジン、2−アミノ−5−メチルピリジン、2−アミノ−6−メチルピリジン、3−アミノエチルピリジン、4−アミノエチルピリジン、
【0082】
3−アミノピロリジン、ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペリジン、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ピペリジノピペリジン、2−イミノピペリジン、1−(2−アミノエチル)ピロリジン、ピラゾール、3−アミノ−5−メチルピラゾール、5−アミノ−3−メチル−1−p−トリルピラゾール、ピラジン、2−(アミノメチル)−5−メチルピラジン、ピリミジン、2,4−ジアミノピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、N−アミノモルフォリン、N−(2−アミノエチル)モルフォリンなどが挙げられるがこれに限定されるものではない。
これらの含窒素塩基性化合物は、単独であるいは2種以上一緒に用いられる。
【0083】
酸発生剤(A)と有機塩基性化合物の組成物中の使用割合は、(酸発生剤(A))/(有機塩基性化合物)(モル比)=2.5〜300であることが好ましい。該モル比が2.5未満では低感度となり、解像力が低下する場合があり、また、300を越えると露光後加熱処理までの経時でレジストパターンの太りが大きくなり、解像力も低下する場合がある。(酸発生剤(A))/(有機塩基性化合物)(モル比)は、好ましくは5.0〜200、更に好ましくは7.0〜150である。
【0084】
[6](F)界面活性剤
本発明のレジスト組成物は、界面活性剤、特にフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤を含有することが好ましい。すなわち、本発明のレジスト組成物には、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤及びフッ素原子と珪素原子の両方を含有する界面活性剤のいずれか、あるいは2種以上を含有することが好ましい。これらフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤の添加は、現像欠陥の抑制及び塗布性の向上に効果を有する。
【0085】
これらの界面活性剤として、例えば特開昭62−36663号、特開昭61−226746号、特開昭61−226745号、特開昭62−170950号、特開昭63−34540号、特開平7−230165号、特開平8−62834号、特開平9−54432号、特開平9−5988号、米国特許5405720号、米国特許5360692号、米国特許5529881号、米国特許5296330号、米国特許5436098号、米国特許5576143号、米国特許5296143号、米国特許5294511号、及び、米国特許5824451号記載の界面活性剤を挙げることができ、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。
このような市販の界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、EF352(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ(株)製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル社製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
【0086】
界面活性剤の配合量は、本発明のレジスト組成物中の固形分を基準として、通常0.001質量%〜2質量%、好ましくは0.01質量%〜1質量%である。これらの界面活性剤は単独で添加してもよいし、また、いくつかの組み合わせで添加することもできる。
【0087】
[7](G)溶剤
本発明の組成物は、上記各成分を溶解する溶剤に溶かして支持体上に塗布する。ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン等が好ましく、これらの溶剤を単独あるいは混合して使用する。
【0088】
精密集積回路素子の製造などにおいてレジスト膜上へのパターン形成工程は、基板(例:シリコン/二酸化シリコン皮覆、ガラス基板、ITO基板等の透明基板等)上に、本発明の組成物を塗布し、次に活性光線又は放射線描画装置を用いて照射を行い、加熱、現像、リンス、乾燥することにより良好なレジストパターンを形成することができる。
【0089】
本発明のレジスト組成物の現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノーアミン等のアルコ−ルアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類、等のアルカリ類の水溶液を使用することができる。更に、上記アルカリ類の水溶液にイソプロピルアルコール等のアルコール類、ノニオン系等の界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
これらの現像液の中で好ましくは第四アンモニウム塩、更に好ましくは、テトラメチルアンモニウムヒドロオキシド、コリンである。
【0090】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明の内容がこれにより限定されるものではない。
【0091】
<酸発生剤(A)の合成>
合成例1(酸発生剤(I−1)の合成)
攪拌翼、還流冷却器を備え付けたフラスコにメタンスルホン酸クロリド9.7g、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−[4−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−1−トリフルオロメチル−エチル)−フェニル]−プロパン−2−オル9.8gを仕込み、メタンスルホン酸クロリドの3倍重量倍のアセトンを加えて溶液とした。そこにトリエチルアミン15.9gを滴下し、室温にて約2時間攪拌しながら反応させた。濾過後、有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、続いて水洗を2回行った。有機層を濃縮して、目的物約14.4gを得た。
【0092】
<樹脂(B1)の合成>
合成例1(樹脂(F−3)の合成)
3−(5−ビシクロ[2.2.1]ヘプテン−2−イル)−1,1,1−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−2−プロパン−2−オール27.5gとアクリロニトリル5.4gをオートクレーブ反応容器に加えた後、アゾ系重合開始剤V−65(和光純薬工業社製)1.24gを添加し、そのまま8時間攪拌下にて反応させた。反応液にヘキサン500mlを加えてポリマーを沈殿させた後、上層をデカンテーションにて除去した。残った粘調なポリマーをアセトン50mlに溶かし、再度ヘキサン1Lを加えることで、ポリマーを分別処理し、未反応モノマーおよびオリゴマー成分を除去した。得られたポリマーをGPCにて分子量測定を行ったところ、重量平均分子量は8700、分散度は1.5であった。
得られたポリマー17.5gをTHFに溶解したのち、二炭酸t−ブチル10.4gを添加、さらにジメチルアミノピリジンを触媒に用いて反応させ、樹脂(F−3)を得た。
得られた樹脂(F−3)をGPCにて分子量測定を行ったところ、重量平均分子量は8700、分子量分散度(Mw/Mn)は1.5であった。
同様にして、下記表1に記載の樹脂(B1)を得た。
【0093】
【表1】
【0094】
実施例1〜15及び比較例1
下記表2に示す、酸発生剤、樹脂(B1)、界面活性剤、塩基性化合物を溶剤に溶解した固形分濃度6質量%のポリマー溶液を0.1μmのフッ素樹脂フィルターで濾過しポジ型レジスト液を調製した。
【0095】
【表2】
【0096】
表2における記号の内容は以下のとおりである。
PAG−A:トリフェニルスルホニウムトリフレート
W−1:メガファックF176(大日本インキ化学工業(株)製)(フッ素系)
W−2:メガファックR08(大日本インキ化学工業(株)製)(フッ素及びシリコン系)
W−3:ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)
W−4:ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル
W−5:トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)
E−1:1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン
E−2:ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート
E−3:トリオクチルアミン
E−4:トリフェニルイミダゾール
E−5:アンチピリン
E−6:2,6−ジイソプロピルアニリン
E−7:トリイソプロパノールアミン
E−8:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド
S−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
S−2:プロピレングリコールモノメチルエーテル
S−3:乳酸エチル
S−4:γ−ブチルラクトン
【0097】
〔画像形成評価〕
スピンコーターにより各ポジ型レジスト液をヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコンウエハー上に塗布し、110℃で90秒間真空密着型ホットプレートプレート上で加熱乾燥して膜厚0.10μmのレジスト膜を得た。
得られたレジスト膜に対し、157nmのレーザー露光・溶解挙動解析装置VUVES−4500(リソテック・ジャパン製)を用い、50mJ/cm2の露光量を照射した後、110℃のホットプレートを用いて90秒間加熱した。更に2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド水溶液で23℃にて45秒間現像し、30秒間純水にてリンスした後、乾燥した。
実施例1〜15ではレーザー照射領域のレジスト膜が完全に溶解除去され、良好なポジ型画像が形成されたが、比較例1ではポジ型画像のレーザー照射領域にレジスト膜の残渣が認められた。
【0098】
〔ラインエッジラフネス評価〕
シリコンウエハー上にBrewer Science社製DUV−42により膜厚55nmの反射防止膜を形成し、その上に各ポジ型レジスト液を塗布し、120℃で90秒間ベークして膜厚0.10μmのレジスト膜を設けた。
こうして得られたウエハーを、KrFエキシマレーザーステッパー(Canon社製KrF露光機FPA3000EX−5)に解像力マスクを装填して露光量を変化させながら露光した。次いで、クリーンルーム内で110℃で90秒間加熱した後、テトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド現像液(2.38質量%)で60秒間現像し、蒸留水でリンス、乾燥してパターンを得た。マスクにおける200nmのラインパターン(ライン/スペース=1/1)を再現する最小露光量により得られた200nmのラインパターンの長手方向のエッジ5μmの範囲について、エッジがあるべき基準線からの距離を測長走査型電子顕微鏡(日立製作所社製S−9220)により50ポイント測定し、標準偏差を求め、3σを算出した。値が小さいほど良好な性能であることを表す。
その結果を下記表3に示す。
【0099】
【表3】
【0100】
表3から、本発明のレジスト組成物は、ラインエッジラフネスが改善されていることが判る。
【0101】
【発明の効果】
本発明により、レジスト膜に露光、現像を行って画像を形成させる際に、本来溶解除去されなければならない領域のレジスト膜を確実に溶解除去することができるとともにラインエッジラフネスが改善されたレジスト組成物を提供することができる。
Claims (4)
- (A)下記一般式(IA)〜(IVA)のいずれかで表される、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物を含有することを特徴とするレジスト組成物。
R1a〜R12aは、同じでも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。但し、R1a〜R12aの内、少なくとも1つは、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。
R13a及びR14aは、同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。
R15a〜R18aは、同じでも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を表す。 - (A)下記一般式(IA)〜(IVA)のいずれかで表される、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物及び
(B1)酸の作用により分解し、アルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物。
R1a〜R12aは、同じでも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。但し、R1a〜R12aの内、少なくとも1つは、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。
R13a及びR14aは、同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。
R15a〜R18aは、同じでも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を表す。 - (B1)成分の樹脂が、少なくとも1つのフッ素原子を有する繰り返し単位を有することを特徴とする請求項2に記載のポジ型レジスト組成物。
- (B1)成分の樹脂が、下記一般式(I)〜(IV)で表される繰り返し単位の群から選ばれる繰り返し単位のいずれかを有することを特徴とする請求項3に記載のポジ型レジスト組成物。
R11〜R16は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフルオロ化されたアルキル基を表す。但し、R11〜R16は、全てが水素原子となることはない。
X1は、水素原子又は酸の作用により分解する基を表す。
mは、0又は1を示す。
一般式(II)中、
R3は、水素原子又は酸の作用により脱離する基を表す。
mは、0又は1を示す。
一般式(III)中、
R4は、水素原子又は酸の作用により脱離する基を表す。
一般式(IV)中、
R1は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基又はトリフルオロメチル基を表す。
R41〜R46は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフルオロ化されたアルキル基を表す。但し、R41〜R46は、全てが水素原子となることはない。
X2は、水素原子又は酸の作用により分解する基を表す。
nは、1〜5の整数を示す。nが2以上である場合に、2つ以上あるR41〜R46及びX2は、同じでも異なっていてもよい。
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