JP2004012711A - 液晶表示装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高温での加熱処理を施すことなくITOからなる画素電極の抵抗値等を改質した液晶表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】透明基板上に形成された複数の薄膜トランジスタと、これらの薄膜トランジスタの信号電極にコンタクトホールを通して接続されたITOからなる画素電極とを備えた液晶表示装置の製造方法において、前記画素電極は、非晶質のITO膜を成膜する工程と、この非晶質ITO膜をパターニングする工程と、この非晶質ITOパターンを加熱した後に酸素を含む雰囲気中で高エネルギー光を照射する工程とにより形成されることを特徴とする。
【選択図】 図2
【解決手段】透明基板上に形成された複数の薄膜トランジスタと、これらの薄膜トランジスタの信号電極にコンタクトホールを通して接続されたITOからなる画素電極とを備えた液晶表示装置の製造方法において、前記画素電極は、非晶質のITO膜を成膜する工程と、この非晶質ITO膜をパターニングする工程と、この非晶質ITOパターンを加熱した後に酸素を含む雰囲気中で高エネルギー光を照射する工程とにより形成されることを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置の製造方法に関し、特にITOからなる画素電極の形勢工程を改良した液晶表示装置の製造方法の改良に係わる。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置においては、ガラス基板のような透明基板上にマトリックス状に配列されたスイッチング素子としての薄膜トランジスタ(TFT)およびITO(インジウム錫酸化物)からなる画素電極を選択駆動することにより、画面上に表示パターンが形成される。例えば、アクティブマトリックス型のカラー液晶表示装置では透明基板にTFT、赤、青、緑のカラーフィルタ、画素電極および配線が一体的に形成されたアレイ基材と透明板からなる対向基材を所定のギャップをあけて配置し、これらのギャップに液晶を封入した構造を有する。
【0003】
前記構造のカラー液晶表示装置は、次のような方法により製造される。まず、ガラス板のような透明基板上にTFTをマトリックス状に形成する。つづいて、これらのTFTを含む前記透明基板上に顔料分散レジストを用いて赤、青、緑のカラーフィルタをそれぞれ形成する。この時、後述する画素電極と前記TFTの信号電極とを接続するためのコンタクトホールを前記カラーフィルタに開口する。ひきつづき、全面にITO膜を成膜し、パターニングすることにより前記カラーフィルタ上に前記コンタクトホールを通して前記TFTの信号電極と接続された画素電極を形成する。次いで、前記画素電極を含む面に配向処理がなされた膜を形成してアレイ基材を作製する。この後、前記アレイ基材と同様に配向処理がなされた膜を有するガラス基板からなる対向基材とをスペーサを介在して所定のギャップをあけて配置し、これらギャップに液晶を封入することによりカラー液晶表示装置を製造する。
【0004】
ところで、前記画素電極を形成するためのITO膜のパターニングは、ウェットエッチングにより行われている。このITO膜のエッチング工程において、その下地膜(例えばカラーフィルタ)の関係からエッチング液として強酸を使用できず、弱酸を用いなければならない場合がある。ITO膜が結晶質であると、前記弱酸からなるエッチング液によるエッチングが困難になるため、エッチング液によるエッチングが容易な非晶質のITO膜を湿潤中でのスパッタにより成膜している。
【0005】
このような方法でパターニングされた非晶質のITOからなる画素電極は、抵抗値が高いために十分なデバイス特性を発現することができない。このため、画素電極の形成後に加熱処理を施して膜の改質、結晶化を図っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
加熱によるITOからなる画素電極の結晶性の改質には、200℃以上の高温を要するが、デバイス構造上、加熱温度に限界があり、結晶性の十分な改質が進まない場合がある。例えば、加熱処理前および220℃での加熱処理後のITO表面をXPSにより酸素の化学状態を調べると、図5の(A),(B)に示すように、加熱処理を行なってもITO中のIn−OH結合が減少していない。その結果、このようなITOからなる画素電極は高い抵抗値を有するばかりか、十分な水分の脱離がなされていないため、この上に形成される配向膜の膜質に悪影響を及ぼす。
【0007】
本発明は、高温での加熱処理を施すことなくITOからなる画素電極の抵抗値等を改質した液晶表示装置の製造方法を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る液晶表示装置の製造方法は、透明基板上に形成された複数の薄膜トランジスタと、これらの薄膜トランジスタの信号電極にコンタクトホールを通して接続されたITOからなる画素電極とを備えた液晶表示装置の製造方法において、
前記画素電極は、非晶質のITO膜を成膜する工程と、この非晶質ITO膜をパターニングする工程と、この非晶質ITOパターンを加熱した後に酸素を含む雰囲気中で高エネルギー光を照射する工程とにより形成されることを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係る別の液晶表示装置の製造方法は、透明基板上に形成された複数の薄膜トランジスタと、これらの薄膜トランジスタの信号電極にコンタクトホールを通して接続されたITOからなる画素電極とを備えた液晶表示装置の製造方法において、
前記画素電極は、非晶質のITO膜を成膜する工程と、この非晶質ITO膜をパターニングする工程と、この非晶質ITOパターンを加熱した後にプラズマ処理を施す工程とにより形成されることを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る液晶表示装置の製造方法を詳細に説明する。
【0011】
(第1工程)
まず、ガラス基板のような透明基板上にゲート電極を形成した後、少なくともこのゲート電極上にゲート絶縁膜を形成する。つづいて、前記ゲート電極に対応する前記ゲート絶縁膜上にアモルファスシリコン、多結晶シリコンからなる半導体層を形成する。ひきつづき、全面に金属膜を形成し、パターニングすることによりソース、ドレイン電極を形成して複数の薄膜トランジスタ(TFT)を作製する。
【0012】
前記ゲート電極材料としては、例えばMo,Ta,MoTi,Cr,Al,Ni,Cu,MoWのような金属を挙げることができる。これらの電極材料は、スパッタ法や真空蒸着法により成膜され、この金属膜を写真蝕刻法により形成したレジストパターンをマスクとして選択的にエッチングすることによりゲート電極が形成される。
【0013】
なお、前記ソース、ドレイン電極の形成に先立って、前記半導体層にn型またはp型の不純物を含むソース、ドレインの半導体領域を形成してもよい。
【0014】
(第2工程)
次いで、前記TFTを含む前記基板上に顔料レジストを用いて赤、青、緑のカラーフィルタを形成する。この時、前記カラーフィルタの前記TFTの信号電極に対応する箇所にコンタクトホールを開口する。
【0015】
(第3工程)
次いで、前記カラーフィルタを含む全面に非晶質のITO膜を成膜する。つづいて、この非晶質のITO膜上にレジストパターンを形成し、レジストパターンをマスクとして例えばシュウ酸および界面活性剤からなる弱酸系のエッチング液を用いて露出するITO膜を選択的除去してパターニングする。ひきつづき、この非晶質ITOパターンを加熱した後、酸素を含む雰囲気中で高エネルギー光を照射するか、またはプラズマ処理を施すことにより前記TFTの信号電極と前記コンタクトホールを通して接続された画素電極を形成する。
【0016】
前記加熱処理は、例えば230℃以下、より好ましくは200〜220℃の温度で行なうことが望ましい。
【0017】
前記酸素を含む雰囲気中での高エネルギー光の照射としては、例えば空気雰囲気のような酸素を含む雰囲気中でエキシマUVを照射する方法、オゾン囲気中で紫外線を照射する方法を採用することができる。
【0018】
前記プラズマ処理としては、例えば酸素プラズマ処理、アルゴンプラズマ処理を挙げることができる。
【0019】
(第4工程)
次いで、前記画素電極上に配向処理された被膜を形成してアレイ基材を作製する。この後、前記アレイ基材と同様に配向処理がなされた膜を有するガラス基板からなる対向基材とをスペーサを介在して所定のギャップをあけて配置し、これらギャップに液晶を封入することにより液晶表示装置を製造する。
【0020】
以上説明した本発明によれば、非晶質のITO膜を成膜し、この非晶質ITO膜をパターニングし、この非晶質ITOパターンを加熱(例えば200℃未満の温度)した後に酸素を含む雰囲気中で高エネルギー光を照射するか、または酸素を含むプラズマ中で曝すか、いずれの処理を施すことによって、高温での加熱処理を行なうことなくIn−OH結合が40%以下に減少されたITOからなる画素電極を形成することができる。
【0021】
具体的には、前述した図5の(B)に示すように220℃で加熱処理したITO膜はIn−OH結合が50%程度残留している。このようなITO膜にエキシマUVを照射すると、図3に示すように照射時間が5分間以上でIn−OH結合の割合を40%以下に減少させることができる。
【0022】
また、圧力=2.0Pa、O2流量=100sccm、パワー=40W(処理面積:8インチウエハサイズ)の条件でIn−OH結合が50%程度残留している加熱処理したITO膜に酸素プラズマ処理を行なうと、図4に示すように20秒間でIn−OH結合を40%以下に減少させることができる。図4に示すようにArプラズマ処理でも同等の効果を得ることができる。
【0023】
このようなIn−OH結合が40%以下に減少されたITOからなる画素電極は、低抵抗であるばかりでなく、十分な水分除去がなされているため、前記画素電極上に形成される配向膜への悪影響を防止できる。その結果、高い表示性能を有し、信頼性の高い液晶表示装置を製造することができる。
【0024】
【実施例】
以下、本発明の好ましい実施例を図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
(実施例1)
まず、図1の(a)に示すようにガラス基板1上にスパッタ法によりMoTa膜を堆積し、パターニングすることにより複数のゲート電極2を前記ガラス基板1上に形成した後、前記ゲート電極2を含む全面にSiOxからなるゲート絶縁膜3をCVD法により形成した。つづいて、CVD法によりアモルファスシリコン(a−Si)膜を形成した後、バターニングすることにより前記各ゲート電極2を覆う半導体層4を形成した。ひきつづき、前記半導体層4を含む全面に上にCVD法によりSiOx膜を堆積し、パターニングすることにより前記ゲート電極2に対応する前記半導体層4上にエッチングストッパ部5を形成した。さらに、全面にCVD法によりn型不純物を含むアモルファスシリコン(n+型a−Si)膜を形成し、パターニングすることによりn+型a−Siからなるソース、ドレイン領域6,7を形成した。その後、全面にCVD法によりAl膜を堆積し、パターニングすることにより前記ソース、ドレイン領域6,7とそれぞれ接続されたソース、ドレイン電極(信号電極)8,9を形成して複数のTFT10を作製した。
【0026】
次いで、複数のTFT10を含む基板1上に赤色顔料分散レジストのスピン塗布を行い、プリベークを行って赤色顔料分散レジスト膜を形成した。つづいて、カラーフィルタおよびコンタクトホール形成用の開口を有するフォトマスクを用い、i線のアライナー露光装置で露光を行った後、レジスト膜に現像し、ポストベークを行うことによりTFT10のドレイン電極9に対応する箇所にコンタクトホール11が開口された赤色フィルタ12を形成した。ひきつづき、青色顔料分散レジストおよび緑色顔料分散レジストを用いて前記赤色フィルタと同様な操作により前記赤色フィルタ12に隣接してコンタクトホール13を有する青色フィルタ14およびコンタクトホール(図示せず)を有する緑色フィルタ15を形成した(図1の(b)図示)。
【0027】
次いで、全面に厚さ150nmの非晶質ITO膜16を成膜した。この時の成膜条件は、チャンバの到達真空度1.0×10−3Pa、Ar流量15.0sccm、O2流量30sccm、スパッタ圧力0.42Pa、DCパワー500Wとした。つづいて、全面にレジスト膜を被覆し、フォトリソグラフィ技術によりレジストパターン17を形成した前記非晶質ITO膜16上に形成した(図1の(c)図示)。
【0028】
次いで、前記レジストパターン17をマスクとして前記非晶質ITO膜16をシュウ酸および界面活性剤からなる弱酸系のエッチング液により選択的にエッチング除去することにより非晶質ITOパターンを形成した。つづいて、この非晶質ITOパターンを220℃で加熱処理した後、エキシマUVを5分間照射することにより、図2の(d)に示すように前記TFT10の信号電極9とコンタクトホールを通して接続され、結晶質でIn−OH結合が40%以下のITOからなる複数の画素電極18を前記カラーフィルタ12,14,15上に形成した。
【0029】
次いで、前記画素電極18上に配向膜(図示せず)を形成してアレイ基材を作製した後、前記アレイ基材と同様に配向処理がなされた被膜(図示せず)を有するガラス基板からなる対向基材19とをスペーサ20を介在して所定のギャップをあけて配置し、これらギャップに液晶21を封入することによりカラー液晶表示装置を製造した(図2の(e)図示)。
【0030】
(比較例1)
ガラス基板上にTFTを形成し、このガラス基板上にコンタクトホールを有する赤色、青色、緑色のカラーフィルタを形成し、非晶質ITO膜を成膜し、パターニングした後、220℃で加熱処理して結晶質ITOからなる画素電極を形成した以外、実施例1と同様な方法によりカラー液晶表示装置を製造した。
【0031】
以上の実施例1および比較例1により得られたカラー液晶表示装置について、ITOからなる画素電極のシート抵抗を調べた。その結果、実施例1のシート抵抗は35Ω/□(厚さ50nm)であるのに対し比較例1のシート抵抗は40Ω/□(厚さ50nm)であった。また、実施例1では画素電極と配向膜の界面状態は良好であり、比較例1に比べて高い画質を表示することができた。
【0032】
なお、前記実施例1では非晶質ITOパターンにエキシマUVを照射したが、オゾン雰囲気での紫外線照射、酸素プラズマ処理、アルゴンプラズマ処理でも実施例1と同様な効果が達成された。
【0033】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、高温での加熱処理を施すことなくITOからなる画素電極の抵抗値等を改質でき、優れた表示性能を有する液晶表示装置の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の実施例1におけるカラー液晶表示装置の製造工程を示す断面図。
【図2】
本発明の実施例1におけるカラー液晶表示装置の製造工程を示す断面図。
【図3】
加熱後のITO膜にエキシマUVを照射した時における照射時間とIn−OH結合の割合の関係を示す特性図。
【図4】
加熱後のITO膜を酸素プラズマ、アルゴンプラズマで処理した時における処理時間とIn−OH結合の割合の関係を示す特性図。
【図5】
加熱処理前および220℃での加熱処理後のITO表面をXPSで測定した酸素の化学状態を示す特性図。
【符号の説明】
1…ガラス基板、
2…ゲート電極、
9…ドレイン電極(信号電極)、
10…薄膜トランジスタ、
12…赤色フィルタ
14…青色フィルタ、
15…緑色フィルタ、
18…画素電極、
19…対向基材、
21…液晶。
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置の製造方法に関し、特にITOからなる画素電極の形勢工程を改良した液晶表示装置の製造方法の改良に係わる。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置においては、ガラス基板のような透明基板上にマトリックス状に配列されたスイッチング素子としての薄膜トランジスタ(TFT)およびITO(インジウム錫酸化物)からなる画素電極を選択駆動することにより、画面上に表示パターンが形成される。例えば、アクティブマトリックス型のカラー液晶表示装置では透明基板にTFT、赤、青、緑のカラーフィルタ、画素電極および配線が一体的に形成されたアレイ基材と透明板からなる対向基材を所定のギャップをあけて配置し、これらのギャップに液晶を封入した構造を有する。
【0003】
前記構造のカラー液晶表示装置は、次のような方法により製造される。まず、ガラス板のような透明基板上にTFTをマトリックス状に形成する。つづいて、これらのTFTを含む前記透明基板上に顔料分散レジストを用いて赤、青、緑のカラーフィルタをそれぞれ形成する。この時、後述する画素電極と前記TFTの信号電極とを接続するためのコンタクトホールを前記カラーフィルタに開口する。ひきつづき、全面にITO膜を成膜し、パターニングすることにより前記カラーフィルタ上に前記コンタクトホールを通して前記TFTの信号電極と接続された画素電極を形成する。次いで、前記画素電極を含む面に配向処理がなされた膜を形成してアレイ基材を作製する。この後、前記アレイ基材と同様に配向処理がなされた膜を有するガラス基板からなる対向基材とをスペーサを介在して所定のギャップをあけて配置し、これらギャップに液晶を封入することによりカラー液晶表示装置を製造する。
【0004】
ところで、前記画素電極を形成するためのITO膜のパターニングは、ウェットエッチングにより行われている。このITO膜のエッチング工程において、その下地膜(例えばカラーフィルタ)の関係からエッチング液として強酸を使用できず、弱酸を用いなければならない場合がある。ITO膜が結晶質であると、前記弱酸からなるエッチング液によるエッチングが困難になるため、エッチング液によるエッチングが容易な非晶質のITO膜を湿潤中でのスパッタにより成膜している。
【0005】
このような方法でパターニングされた非晶質のITOからなる画素電極は、抵抗値が高いために十分なデバイス特性を発現することができない。このため、画素電極の形成後に加熱処理を施して膜の改質、結晶化を図っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
加熱によるITOからなる画素電極の結晶性の改質には、200℃以上の高温を要するが、デバイス構造上、加熱温度に限界があり、結晶性の十分な改質が進まない場合がある。例えば、加熱処理前および220℃での加熱処理後のITO表面をXPSにより酸素の化学状態を調べると、図5の(A),(B)に示すように、加熱処理を行なってもITO中のIn−OH結合が減少していない。その結果、このようなITOからなる画素電極は高い抵抗値を有するばかりか、十分な水分の脱離がなされていないため、この上に形成される配向膜の膜質に悪影響を及ぼす。
【0007】
本発明は、高温での加熱処理を施すことなくITOからなる画素電極の抵抗値等を改質した液晶表示装置の製造方法を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る液晶表示装置の製造方法は、透明基板上に形成された複数の薄膜トランジスタと、これらの薄膜トランジスタの信号電極にコンタクトホールを通して接続されたITOからなる画素電極とを備えた液晶表示装置の製造方法において、
前記画素電極は、非晶質のITO膜を成膜する工程と、この非晶質ITO膜をパターニングする工程と、この非晶質ITOパターンを加熱した後に酸素を含む雰囲気中で高エネルギー光を照射する工程とにより形成されることを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係る別の液晶表示装置の製造方法は、透明基板上に形成された複数の薄膜トランジスタと、これらの薄膜トランジスタの信号電極にコンタクトホールを通して接続されたITOからなる画素電極とを備えた液晶表示装置の製造方法において、
前記画素電極は、非晶質のITO膜を成膜する工程と、この非晶質ITO膜をパターニングする工程と、この非晶質ITOパターンを加熱した後にプラズマ処理を施す工程とにより形成されることを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る液晶表示装置の製造方法を詳細に説明する。
【0011】
(第1工程)
まず、ガラス基板のような透明基板上にゲート電極を形成した後、少なくともこのゲート電極上にゲート絶縁膜を形成する。つづいて、前記ゲート電極に対応する前記ゲート絶縁膜上にアモルファスシリコン、多結晶シリコンからなる半導体層を形成する。ひきつづき、全面に金属膜を形成し、パターニングすることによりソース、ドレイン電極を形成して複数の薄膜トランジスタ(TFT)を作製する。
【0012】
前記ゲート電極材料としては、例えばMo,Ta,MoTi,Cr,Al,Ni,Cu,MoWのような金属を挙げることができる。これらの電極材料は、スパッタ法や真空蒸着法により成膜され、この金属膜を写真蝕刻法により形成したレジストパターンをマスクとして選択的にエッチングすることによりゲート電極が形成される。
【0013】
なお、前記ソース、ドレイン電極の形成に先立って、前記半導体層にn型またはp型の不純物を含むソース、ドレインの半導体領域を形成してもよい。
【0014】
(第2工程)
次いで、前記TFTを含む前記基板上に顔料レジストを用いて赤、青、緑のカラーフィルタを形成する。この時、前記カラーフィルタの前記TFTの信号電極に対応する箇所にコンタクトホールを開口する。
【0015】
(第3工程)
次いで、前記カラーフィルタを含む全面に非晶質のITO膜を成膜する。つづいて、この非晶質のITO膜上にレジストパターンを形成し、レジストパターンをマスクとして例えばシュウ酸および界面活性剤からなる弱酸系のエッチング液を用いて露出するITO膜を選択的除去してパターニングする。ひきつづき、この非晶質ITOパターンを加熱した後、酸素を含む雰囲気中で高エネルギー光を照射するか、またはプラズマ処理を施すことにより前記TFTの信号電極と前記コンタクトホールを通して接続された画素電極を形成する。
【0016】
前記加熱処理は、例えば230℃以下、より好ましくは200〜220℃の温度で行なうことが望ましい。
【0017】
前記酸素を含む雰囲気中での高エネルギー光の照射としては、例えば空気雰囲気のような酸素を含む雰囲気中でエキシマUVを照射する方法、オゾン囲気中で紫外線を照射する方法を採用することができる。
【0018】
前記プラズマ処理としては、例えば酸素プラズマ処理、アルゴンプラズマ処理を挙げることができる。
【0019】
(第4工程)
次いで、前記画素電極上に配向処理された被膜を形成してアレイ基材を作製する。この後、前記アレイ基材と同様に配向処理がなされた膜を有するガラス基板からなる対向基材とをスペーサを介在して所定のギャップをあけて配置し、これらギャップに液晶を封入することにより液晶表示装置を製造する。
【0020】
以上説明した本発明によれば、非晶質のITO膜を成膜し、この非晶質ITO膜をパターニングし、この非晶質ITOパターンを加熱(例えば200℃未満の温度)した後に酸素を含む雰囲気中で高エネルギー光を照射するか、または酸素を含むプラズマ中で曝すか、いずれの処理を施すことによって、高温での加熱処理を行なうことなくIn−OH結合が40%以下に減少されたITOからなる画素電極を形成することができる。
【0021】
具体的には、前述した図5の(B)に示すように220℃で加熱処理したITO膜はIn−OH結合が50%程度残留している。このようなITO膜にエキシマUVを照射すると、図3に示すように照射時間が5分間以上でIn−OH結合の割合を40%以下に減少させることができる。
【0022】
また、圧力=2.0Pa、O2流量=100sccm、パワー=40W(処理面積:8インチウエハサイズ)の条件でIn−OH結合が50%程度残留している加熱処理したITO膜に酸素プラズマ処理を行なうと、図4に示すように20秒間でIn−OH結合を40%以下に減少させることができる。図4に示すようにArプラズマ処理でも同等の効果を得ることができる。
【0023】
このようなIn−OH結合が40%以下に減少されたITOからなる画素電極は、低抵抗であるばかりでなく、十分な水分除去がなされているため、前記画素電極上に形成される配向膜への悪影響を防止できる。その結果、高い表示性能を有し、信頼性の高い液晶表示装置を製造することができる。
【0024】
【実施例】
以下、本発明の好ましい実施例を図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
(実施例1)
まず、図1の(a)に示すようにガラス基板1上にスパッタ法によりMoTa膜を堆積し、パターニングすることにより複数のゲート電極2を前記ガラス基板1上に形成した後、前記ゲート電極2を含む全面にSiOxからなるゲート絶縁膜3をCVD法により形成した。つづいて、CVD法によりアモルファスシリコン(a−Si)膜を形成した後、バターニングすることにより前記各ゲート電極2を覆う半導体層4を形成した。ひきつづき、前記半導体層4を含む全面に上にCVD法によりSiOx膜を堆積し、パターニングすることにより前記ゲート電極2に対応する前記半導体層4上にエッチングストッパ部5を形成した。さらに、全面にCVD法によりn型不純物を含むアモルファスシリコン(n+型a−Si)膜を形成し、パターニングすることによりn+型a−Siからなるソース、ドレイン領域6,7を形成した。その後、全面にCVD法によりAl膜を堆積し、パターニングすることにより前記ソース、ドレイン領域6,7とそれぞれ接続されたソース、ドレイン電極(信号電極)8,9を形成して複数のTFT10を作製した。
【0026】
次いで、複数のTFT10を含む基板1上に赤色顔料分散レジストのスピン塗布を行い、プリベークを行って赤色顔料分散レジスト膜を形成した。つづいて、カラーフィルタおよびコンタクトホール形成用の開口を有するフォトマスクを用い、i線のアライナー露光装置で露光を行った後、レジスト膜に現像し、ポストベークを行うことによりTFT10のドレイン電極9に対応する箇所にコンタクトホール11が開口された赤色フィルタ12を形成した。ひきつづき、青色顔料分散レジストおよび緑色顔料分散レジストを用いて前記赤色フィルタと同様な操作により前記赤色フィルタ12に隣接してコンタクトホール13を有する青色フィルタ14およびコンタクトホール(図示せず)を有する緑色フィルタ15を形成した(図1の(b)図示)。
【0027】
次いで、全面に厚さ150nmの非晶質ITO膜16を成膜した。この時の成膜条件は、チャンバの到達真空度1.0×10−3Pa、Ar流量15.0sccm、O2流量30sccm、スパッタ圧力0.42Pa、DCパワー500Wとした。つづいて、全面にレジスト膜を被覆し、フォトリソグラフィ技術によりレジストパターン17を形成した前記非晶質ITO膜16上に形成した(図1の(c)図示)。
【0028】
次いで、前記レジストパターン17をマスクとして前記非晶質ITO膜16をシュウ酸および界面活性剤からなる弱酸系のエッチング液により選択的にエッチング除去することにより非晶質ITOパターンを形成した。つづいて、この非晶質ITOパターンを220℃で加熱処理した後、エキシマUVを5分間照射することにより、図2の(d)に示すように前記TFT10の信号電極9とコンタクトホールを通して接続され、結晶質でIn−OH結合が40%以下のITOからなる複数の画素電極18を前記カラーフィルタ12,14,15上に形成した。
【0029】
次いで、前記画素電極18上に配向膜(図示せず)を形成してアレイ基材を作製した後、前記アレイ基材と同様に配向処理がなされた被膜(図示せず)を有するガラス基板からなる対向基材19とをスペーサ20を介在して所定のギャップをあけて配置し、これらギャップに液晶21を封入することによりカラー液晶表示装置を製造した(図2の(e)図示)。
【0030】
(比較例1)
ガラス基板上にTFTを形成し、このガラス基板上にコンタクトホールを有する赤色、青色、緑色のカラーフィルタを形成し、非晶質ITO膜を成膜し、パターニングした後、220℃で加熱処理して結晶質ITOからなる画素電極を形成した以外、実施例1と同様な方法によりカラー液晶表示装置を製造した。
【0031】
以上の実施例1および比較例1により得られたカラー液晶表示装置について、ITOからなる画素電極のシート抵抗を調べた。その結果、実施例1のシート抵抗は35Ω/□(厚さ50nm)であるのに対し比較例1のシート抵抗は40Ω/□(厚さ50nm)であった。また、実施例1では画素電極と配向膜の界面状態は良好であり、比較例1に比べて高い画質を表示することができた。
【0032】
なお、前記実施例1では非晶質ITOパターンにエキシマUVを照射したが、オゾン雰囲気での紫外線照射、酸素プラズマ処理、アルゴンプラズマ処理でも実施例1と同様な効果が達成された。
【0033】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、高温での加熱処理を施すことなくITOからなる画素電極の抵抗値等を改質でき、優れた表示性能を有する液晶表示装置の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の実施例1におけるカラー液晶表示装置の製造工程を示す断面図。
【図2】
本発明の実施例1におけるカラー液晶表示装置の製造工程を示す断面図。
【図3】
加熱後のITO膜にエキシマUVを照射した時における照射時間とIn−OH結合の割合の関係を示す特性図。
【図4】
加熱後のITO膜を酸素プラズマ、アルゴンプラズマで処理した時における処理時間とIn−OH結合の割合の関係を示す特性図。
【図5】
加熱処理前および220℃での加熱処理後のITO表面をXPSで測定した酸素の化学状態を示す特性図。
【符号の説明】
1…ガラス基板、
2…ゲート電極、
9…ドレイン電極(信号電極)、
10…薄膜トランジスタ、
12…赤色フィルタ
14…青色フィルタ、
15…緑色フィルタ、
18…画素電極、
19…対向基材、
21…液晶。
Claims (5)
- 透明基板上に形成された複数の薄膜トランジスタと、これらの薄膜トランジスタの信号電極にコンタクトホールを通して接続されたITOからなる画素電極とを備えた液晶表示装置の製造方法において、
前記画素電極は、非晶質のITO膜を成膜する工程と、この非晶質ITO膜をパターニングする工程と、この非晶質ITOパターンを加熱した後に酸素を含む雰囲気中で高エネルギー光を照射する工程とにより形成されることを特徴とする液晶表示装置の製造方法。 - 前記酸素を含む雰囲気中での高エネルギー光の照射は、空気雰囲気中でエキシマUVを照射することによりなされることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置の製造方法。
- 前記酸素を含む雰囲気中での高エネルギー光の照射は、オゾン囲気中で紫外線を照射することによりなされることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置の製造方法。
- 透明基板上に形成された複数の薄膜トランジスタと、これらの薄膜トランジスタの信号電極にコンタクトホールを通して接続されたITOからなる画素電極とを備えた液晶表示装置の製造方法において、
前記画素電極は、非晶質のITO膜を成膜する工程と、この非晶質ITO膜をパターニングする工程と、この非晶質ITOパターンを加熱した後にプラズマ処理を施す工程とにより形成されることを特徴とする液晶表示装置の製造方法。 - 前記画素電極は、結晶質で、In−OH基の量が40%以下のITOからなることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置の製造方法。
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-
2002
- 2002-06-05 JP JP2002164757A patent/JP2004012711A/ja active Pending
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