JP2004012589A - 感光ドラム及びその製造方法 - Google Patents

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Munenori Iizuka
飯塚 宗紀
Takahiro Suzuki
鈴木 隆弘
Kunio Machida
町田 邦郎
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  • Discharging, Photosensitive Material Shape In Electrophotography (AREA)
  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)
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Abstract

【課題】簡素化された工程で、安定的に且つ低コストで製造することができる感光ドラム及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】電子写真プロセスに使用する感光ドラムであって、樹脂成分と導電剤とを配合してなる導電性樹脂組成物からなる基体と該基体の外側に配設された、感光剤を分散させた樹脂からなるフィルムとから成る感光ドラムとする。また、感光ドラム基体の外周面に、感光剤を分散させた樹脂からなるフィルムを貼付するか又は感光ドラム基体を導電性樹脂組成物の射出成形により製造するに際し、感光剤を分散させた樹脂からなるフィルムをインサートする。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真プロセスに使用する感光ドラム及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、簡素化された工程で、安定的に且つ低コストで製造することができる感光ドラム及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
複写機、ファクシミリ、プリンターなどの電子写真装置や静電記録装置などにおける静電記録プロセスにおいては、一般にまず、光導電性物質〔例えばZnO、CdS、Se、OPC(有機半導体)、アモルファスシリコン(a−Si)など〕層を有する感光ドラム表面を一様に帯電させ、該感光ドラム表面に光学系から映像を投射し光の当たった部分の帯電を消去することによって静電潜像を形成し、次いで、この静電潜像にトナーを供給してトナーの静電的付着によりトナー像を形成し、これを紙、OHP、印画紙などの記録媒体へ転写して画像を形成する方法が採られている。
【0003】
このような静電記録プロセスに用いられる感光ドラムは、一般には、ポリアミド系樹脂などの熱可塑性樹脂にカーボンブラックなどの導電剤を混合分散した導電性樹脂組成物を射出成形してなる感光ドラム基体に感光剤を分散させた感光剤塗料に浸漬・塗布して、感光層を形成したものである。
しかるに、この感光ドラム基体に感光剤塗料に浸漬・塗布して、感光層を形成する方法においては、感光剤塗料の塗工性、塗膜と感光ドラム基体との接着性に厳密な最適化が要求され、製造コストの増大を招いている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、このような状況下で、従来の方法における諸問題を解決し、簡素化された工程で、安定的に且つ低コストで製造することができる感光ドラム及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、導電性樹脂組成物からなる感光ドラム基体の外周面に、感光剤を分散させた樹脂からなるフィルムを配設することにより、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち本発明は、電子写真プロセスに使用する感光ドラムであって、樹脂成分と導電剤とを配合してなる導電性樹脂組成物からなる基体と該基体の外側に配設された、感光剤を分散させた樹脂からなるフィルムとから成る感光ドラム及び感光ドラム基体の外周面に、感光剤を分散させた樹脂からなるフィルムを貼付するか又は感光ドラム基体を導電性樹脂組成物の射出成形により製造するに際し、感光剤を分散させた樹脂からなるフィルムをインサートする、前記感光ドラムの製造方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】
当該導電性樹脂組成物を構成する樹脂成分(基材樹脂)としては特に制限はないが、熱可塑性樹脂が好ましい。該熱可塑性樹脂としては、従来感光ドラム用樹脂製基体の樹脂成分として慣用されているものの中から、任意のものを適宜選択して用いることができるが、特に感光層の形成に好適な表面平滑性を有し、且つ耐薬品性及び機械的強度に優れるなどの点で、ポリアミド(PA)系樹脂及びポリエステル系樹脂が好ましい。該ポリアミド系樹脂としては、例えばナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン6、ナイロン66、ナイロンMXD6、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン1212、及び、これらの共重合体などが挙げられる。該ポリエステル系樹脂としてはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどが例示される。これらは、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、成形性に優れ、低コストで成形できる点で、ナイロン6及びナイロン66が好ましい。
【0007】
また、導電性樹脂組成物において使用する導電剤としては、前記樹脂成分に均一に分散可能であれば、特に限定されず、例えば、カーボンブラック、グラファイト、さらにはアルミニウム、銅、ニッケルなどの金属粉、導電性ガラス粉などが挙げられるが、この中では、物性、取扱い性、コストなどの点からカーボンブラックが特に好ましい。
この導電剤の含有量としては、樹脂成分100重量部に対して、好ましくは5〜40重量部、さらに好ましくは20〜35重量部の範囲で選定される。導電剤が多すぎる場合は衝撃強度などの機械特性の低下が起こりやすく、少なすぎる場合は所望の導電性が発現されないことがある。
【0008】
本発明の感光ドラムの基体を形成する導電性樹脂組成物には、補強や増量の目的で、所望により、各種繊維やウィスカなどの充填材を配合することができる。該充填材としては、例えば、導電性ウィスカ、導電性ガラス繊維などの無機充填材やカーボン繊維などの導電性充填材、ガラス繊維などの非導電性充填材などが挙げられる。
上記の内、導電性充填材は、導電剤としても作用し得るため、これらを用いることにより、前記カーボンブラックなどの導電剤の使用量を減らすことができる。
また、特に弾性率や強度の向上を重視する観点からは、強化材として、繊維状のケイ酸カルシウム,チタン酸カリウムや、炭化ケイ素,窒化ケイ素、酸化マグネシウム,チタン酸カリウム,水酸化アルミニウムなどの通常のウィスカ繊維を配合することができる。その中でもケイ酸カルシウムの繊維状フィラーとりわけウィスカが好ましい。ここで、繊維状フィラーとしてのケイ酸カルシウムは、例えば「ウォラストナイト」として入手することができる。この「ウォラストナイト」は、天然鉱物であるケイ灰石を粉砕・精製したものであり、繊維径は平均6〜25μmの微細な繊維状をしてあり白色粉末状である。
また、上記の無機充填材は、例えばアミノシラン,エポキシシラン,ウレイドシラン,ビニルシランなどのシラン系カップリング剤やチタネート系カップリング剤により表面処理して樹脂との親和性を高めて使用することもできる。
【0009】
上記の充填材の配合量としては、特に制限はなく、充填材の種類、繊維の長さ及び径などに応じて適宜選択されるが、樹脂成分100重量部に対して、好ましくは10〜50重量部、さらに好ましくは25〜45重量部の範囲で選定される。充填材が多くなると衝撃強度などの機械特性が低下する傾向があり、少なくなると曲げ強度・曲げ弾性率などの機械特性が低下する傾向がある。
【0010】
導電性樹脂組成物には、各種の添加剤、例えば、衝撃改良剤としてポリエステル系エラストマー(ポリエステル−ポリエーテル共重合体),ポリオレフィン系エラストマー(エチレン−プロピレン三元共重合体)などの各種エラストマーや、流動性改良剤としてステアリン酸ナトリウム,モンタン酸ナトリウムなどの金属石鹸,ステアリン酸アミド,アルキル系ビスアミドなどのアミド系滑剤などの添加剤を用いることもできる。
これらの添加剤はその添加量が多くなると、得られる感光ドラム基体の吸水性、耐薬品性、曲げ弾性率、衝撃強度などの機械特性が低下する傾向があるので、樹脂成分100重量部に対して、0〜50重量部、特に0〜20重量部の範囲の添加が好ましい。
【0011】
本発明の感光ドラムは、以上の如き成分を配合した導電性樹脂組成物からなる感光ドラム基体と、その外周面に配設された、感光剤を分散させた樹脂(バインダー)からなるフィルム(以下、感光フィルムということがある。)とからなるものである。
感光フィルムに使用する感光剤及びバインダーとしては、従来、感光ドラムの感光層に用いられる公知の化合物及び樹脂の中から適宜選択することができる。
【0012】
導電性樹脂組成物からなる感光ドラム基体の外周面に、感光剤を分散させた樹脂からなるフィルムを配する方法としては、種々の方法を採りうるが、感光ドラム基体の外周面に、感光フィルムを貼付する方法及び感光ドラム基体を導電性樹脂組成物の射出成形により製造するに際し、感光フィルムをインサートする方法、いわゆるインサート成形法が適当である。
これらの方法による場合は、感光フィルムは、所要の径の円筒状であるのが好ましく、感光剤を分散させた樹脂からの押出成形により円筒状フィルムとするのが適当である。
【0013】
フィルムの厚さは、適宜調整することができるが、通常の感光剤塗料を浸漬・塗布して形成した感光層と同様に、10〜50μm、特に20〜40μmとすることが好ましく、厚さが10μm未満であると基体表面の凹凸が感光層表面に転写されて感光層の表面平滑性が損なわれ、画質の低下を招くことがあり、逆に50μmを超えると感光剤の機能が損なわれ画質の低下を招くおそれがある。
【0014】
感光ドラム基体の外周面に、感光フィルムを貼付する場合は、円筒状フィルムの内径を感光ドラム基体の外径より少し大きくし、適当な接着剤を塗布した感光ドラム基体を円筒状フィルムに挿入する方法が適当である。
一方、インサート成形法による場合の射出成形の条件としては、従来の導電性樹脂組成物から感光ドラム基体を製造する場合と同様の条件を選択することができる。
【0015】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
無金属フタロシアニン(電荷発生剤)、m−フェニレンジアミン(電荷移動剤)及びポリカーボネート樹脂〔バインダー樹脂、帝人化成(株)製,商標「パンライト」〕を通常の2軸混練機で混練分散させた樹脂組成物を押出成形し、内径30mm、厚さ40μmの円筒状感光フィルムを作製した。
ナイロン66樹脂〔宇部興産(株)製,商標「宇部ナイロン2015B」〕50重量部、ナイロン6樹脂〔宇部興産(株)製,商標「宇部ナイロン1013B」〕50重量部、ファーネスカーボンブラック〔旭カーボン(株)製,商標「旭AX−015」〕28重量部及び繊維状ケイ酸カルシウム〔川鉄鉱業(株)製,商標「ウォラストナイト」〕35重量部からなる導電性樹脂組成物を使用して、シリンダー温度を280℃、金型温度を90℃に設定した射出成形により感光ドラム基体(直径30mm、長さ260mm)を成形した。
この感光ドラム基体の表面に、接着剤〔スリーボンド(株)製,商標「スリーボンド1549」〕を塗布したのち、上記円筒状の感光フィルムに挿入、加熱圧着することにより、感光フィルムを固着させ、感光ドラム基体の外周面に感光フィルムを配してなる感光ドラムを得た。
【0016】
実施例2
実施例1で得られたのと同じ円筒状感光フィルムを金型内にインサートした後、実施例1と同様に射出成形を行い、感光ドラム基体の外周面に、感光剤を分散させた樹脂からなるフィルムを配してなる感光ドラムを製造した。
【0017】
【発明の効果】
本発明によれば、簡素化された工程で、安定的に且つ低コストで製造することができる感光ドラム及びその製造方法が提供される。

Claims (6)

  1. 電子写真プロセスに使用する感光ドラムであって、樹脂成分と導電剤とを配合してなる導電性樹脂組成物からなる基体と該基体の外側に配設された、感光剤を分散させた樹脂からなるフィルムとから成ることを特徴とする感光ドラム。
  2. 樹脂成分がポリアミド系樹脂を主成分とするものである請求項1に記載の感光ドラム。
  3. 導電剤がカーボンブラックを含むものである請求項1又は2に記載の感光ドラム。
  4. 導電性樹脂組成物が更に充填材を配合してなるものである請求項1〜3のいずれかに記載の感光ドラム。
  5. 感光ドラム基体の外周面に、感光剤を分散させた樹脂からなるフィルムを貼付することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の感光ドラムの製造方法。
  6. 感光ドラム基体を導電性樹脂組成物の射出成形により製造するに際し、感光剤を分散させた樹脂からなるフィルムをインサートすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の感光ドラムの製造方法。
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