JP2004012414A - 線状体の凹凸検出方法及び凹凸検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】浮遊塵による誤検出の発生を防止して、線状体表面の凹凸を精度良く検出する。
【解決手段】本発明の線状体の凹凸検出装置は、走行する光ファイバ心線5に対してレーザ光13を投光する投光器10と、投光器10から投光したレーザ光13を受光する受光器11とを備え、さらに、投光器10から受光器11までの検出空間3の周囲を覆うカバー20と、検出空間3にクリーンエアーを供給する供給手段24(供給管25、コンプレッサ26、フィルタ27)とを備え、カバーには、供給管25に連通された給気孔22と、光ファイバ心線5を挿通させるスリット21とが設けられている。
【選択図】 図2
【解決手段】本発明の線状体の凹凸検出装置は、走行する光ファイバ心線5に対してレーザ光13を投光する投光器10と、投光器10から投光したレーザ光13を受光する受光器11とを備え、さらに、投光器10から受光器11までの検出空間3の周囲を覆うカバー20と、検出空間3にクリーンエアーを供給する供給手段24(供給管25、コンプレッサ26、フィルタ27)とを備え、カバーには、供給管25に連通された給気孔22と、光ファイバ心線5を挿通させるスリット21とが設けられている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、線状体の凹凸検出方法及び凹凸検出装置に関し、さらに詳しくは、走行する線状体に対して光を投光し、投光した光を受光して線状体表面の凹凸を光学的に検出する線状体の凹凸検出方法及び凹凸検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバの製造は、ガラス母材を加熱して線引きする線引き工程と、線引きして作製した光ファイバに、樹脂の被覆を行う被覆工程とがある。
この線引き工程及び被覆工程によって被覆された線状体、例えば、光ファイバに一次被覆を施した光ファイバ素線や、着色層が被覆された光ファイバ心線等の外周には、局所的に微小の凹凸が発生することがある。このような凹凸があると、次の着色工程やテープ化工程にて、凹凸による異物がダイス穴に詰まってしまうことがある。その場合、塗布不良や線状体の断線等の不具合が発生するため、この凹凸を検出する必要がある。
そこで、線状体の凹凸を光学的に検出する検出装置が用いられており、その検出方法は、散乱光式や投影式と呼ばれる2種類に分類される。
【0003】
従来用いられている散乱光式による凹凸検出の様子を図5に示す。
図5に示す凹凸検出装置50は、軸方向(図面垂直方向)に走行する光ファイバ心線56を、投光器52及び受光器53を含む検出空間51のほぼ中央に配置して、投光器52から光ファイバ心線56に対して帯状にレーザ光54を投光する。光ファイバ心線56は、例えば着色層が被覆されており、レーザ光54が被覆に当たって散乱され、その散乱光55が2つの受光器53によって受光される。
被覆表面に凹凸がないときには受光器53によって受光される散乱光55が一定量であるが、凹凸のある被覆部分が検出空間51に進入すると、受光器53に受光される散乱光55の光量が変化して、凹凸の存在を検出することができる。
【0004】
また、従来用いられている投影式による凹凸検出の様子を図6に示す。
図6に示す凹凸検出装置60は、軸方向(図面垂直方向)に走行する光ファイバ心線65を、投光器62及び受光器63を含む検出空間61の中央に配置して、2つの投光器62から光ファイバ心線65に対して帯状にレーザ光64を投光する。1つの投光器62に対して1つの受光器63が対向するように配置され、受光器63は光ファイバ心線65の周囲を通過したレーザ光64を受光する。
光ファイバ心線65は、例えば着色層が被覆されており、この被覆表面に凹凸がないときには受光器63に受光されるレーザ光64が一定量であるが、凹凸のある被覆部分が検出空間61に進入すると、光ファイバ心線65によって遮蔽される光量が変化するので、受光器63に受光されるレーザ光64の光量が変化して、凹凸の存在を検出することができる。
【0005】
また、この投影式を利用した凹凸検出方法として、線状体に遮蔽された影の部分から、その線状体の径方向の両端位置を検出して、両端位置の変化に基づいて凹凸を検出する方法が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の凹凸検出方法では、投光器と受光器の間の、光が通過する検出空間に塵等の浮遊物が存在した場合、浮遊物によって光が遮られたり散乱したりするので、受光される光量が変化してしまう。そのため、この光量の変化を線状体表面の凹凸として誤検出してしまう恐れがあった。
また、凹凸を検出した場合には、品質管理の面から鑑みて、その部分を切断除去していた。そのため、誤検出が発生した場合には本来除去すべきではない部分を切断除去してしまい、製品の生産性が低下してしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、浮遊塵による誤検出の発生を防止することができ、線状体表面の凹凸を精度良く検出できる線状体の凹凸検出方法及び検出装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の請求項1に係る線状体の凹凸検出方法は、走行する線状体に対して光を投光し、投光した光を受光して線状体表面の凹凸を光学的に検出する線状体の凹凸検出方法において、投光及び受光を行う検出空間を、清浄気体で陽圧の状態に維持することを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の線状体の凹凸検出方法によれば、投光及び受光を行う検出空間が、清浄気体によって陽圧に維持されるので、検出空間より気圧の低い外側の空間から検出空間内に気体が流入しない。
したがって、外気の浮遊塵が検出空間に侵入することがなく、投光及び受光する光が線状体以外の浮遊塵等の外乱によって遮られたり散乱されたりすることがない。これにより、受光する光量は線状体の凹凸のみによって変化するので、浮遊塵による誤検出を引き起こすことがなく、線状体の凹凸を精度良く検出することができる。
検出空間を清浄気体で陽圧に維持する手段としては、検出空間をカバーで覆って清浄気体を供給したり、検出装置全体をカバーで覆って清浄気体を供給したり、もしくはカバーを用いずに清浄気体を検出空間に供給することが挙げられる。
なお、清浄気体とは、検出すべき凹凸以上の大きさを有する塵埃を除去した気体であり、空気や窒素を清浄化したものが通常用いられる。
また、検出空間が陽圧の状態とは、検出空間内の気圧が、検出空間の外側の気圧より高い状態を指す。
【0010】
また、上記目的を達成するための本発明の請求項2に係る線状体の凹凸検出方法は、請求項1に記載の線状体の凹凸検出方法であって、検出空間において線状体が走行する方向の少なくとも上流側と下流側に、清浄気体のエアカーテンを形成することを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の線状体の凹凸検出方法によれば、検出空間における少なくとも上流側と下流側に、清浄気体のエアカーテンが形成されるので、線状体の走行によって検出空間の外側の空間から塵や外気が検出空間に侵入することを防止することができる。したがって、浮遊塵による誤検出を引き起こすことを確実に防止できるので、線状体の凹凸を精度良く検出することができる。
【0012】
また、上記目的を達成するための本発明の請求項3に係る線状体の凹凸検出方法は、請求項2に記載の線状体の凹凸検出方法であって、エアカーテンの流れを、線状体に直接当たらないように分岐させることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の線状体の凹凸検出方法によれば、エアカーテンの流れが、走行する線状体に対して直接当たらないように分岐されるので、エアカーテンが直接当たることによって起こる恐れのある、線状体の走行の不安定化を回避することができる。したがって、走行する線状体を安定した状態に保って、精度の良い凹凸検出を行うことができる。
【0014】
また、上記目的を達成するための本発明の請求項4に係る線状体の凹凸検出装置は、走行する線状体に対して光を投光する投光部と、投光部から投光した光を受光する受光部とを備え、線状体表面の凹凸を光学的に検出する装置において、投光部及び受光部を含む検出空間の周囲を覆うカバーと、検出空間に清浄気体を供給する供給手段とを備え、カバーには、供給手段に連通された給気部と、線状体を挿通させる挿通部とが設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の線状体の凹凸検出装置によれば、投光部から受光部までの検出空間の周囲がカバーで覆われて、さらに清浄気体を検出空間に供給するので、清浄気体によって検出空間を陽圧の状態に維持することができる。
したがって、検出空間より気圧の低い外側の空間から検出空間内に気体が流入しないので、外気の浮遊塵が検出空間に侵入することがなく、投光及び受光する光が線状体以外の浮遊塵等の外乱によって遮られたり散乱されたりすることがない。これにより、受光する光量は線状体の凹凸のみによって変化するので、浮遊塵による誤検出を引き起こすことがなく、線状体の凹凸を精度良く検出することができる。
【0016】
また、上記目的を達成するための本発明の請求項5に係る線状体の凹凸検出装置は、請求項4に記載の線状体の凹凸検出装置であって、給気部の開口が、線状体に対向しないように分岐して設けられていることを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の線状体の凹凸検出装置によれば、給気部の開口が線状体と対向しないように分岐しているので、検出空間に給気される清浄気体の流れが線状体に直接当たることによって起こる恐れのある、線状体の走行の不安定化を回避することができる。したがって、走行する線状体を安定した状態に保って、精度の良い凹凸検出を行うことができる。
【0018】
また、上記目的を達成するための本発明の請求項6に係る線状体の凹凸検出装置は、請求項4に記載の線状体の凹凸検出装置であって、線状体と線状体に対向する給気部の開口との間に、清浄気体の流れを妨げる遮蔽部材が設けられていることを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載の線状体の凹凸検出装置によれば、線状体と線状体に対向する給気部の開口との間に清浄気体の流れを妨げる遮蔽部材が設けられているので、検出空間に給気される清浄気体の流れが線状体に直接当たることによって起こる恐れのある、線状体の走行の不安定化を回避することができる。したがって、走行する線状体を安定した状態に保って、精度の良い凹凸検出を行うことができる。
【0020】
また、上記目的を達成するための本発明の請求項7に係る線状体の凹凸検出装置は、請求項6に記載の線状体の凹凸検出装置であって、遮蔽部材は、メッシュ部材であることを特徴とする。
【0021】
請求項7に記載の線状体の凹凸検出装置によれば、遮蔽部材としてメッシュ部材を用いる。メッシュ部材は通気性を有するので、給気される清浄気体の流れを完全に遮ることがなく、検出空間内の全域にほぼ一様な清浄気体の流れを形成することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る線状体の凹凸検出方法及び検出装置の実施の形態を図1〜4に基づいて説明する。図1は、本発明の線状体の凹凸検出装置の概略を示す斜視図、図2は図1に示した凹凸検出装置の要部模式図、図3は図1に示した凹凸検出装置の第1変形例を示す模式図、図4は図1に示した凹凸検出装置の第2変形例を示す模式図である。
【0023】
図1に示すように、本実施形態の線状体の凹凸検出装置1は、走行している線状体である光ファイバ心線5が、本体2によって囲まれるように形成された検出空間3の中央に位置するように設けられている。光ファイバ心線5は、線引き工程によって作製された光ファイバに複数の樹脂層が被覆されており、さらにその外周に着色層が被覆された構成である。この着色層は、例えば7μmの厚さで被覆されている。このような光ファイバ心線の場合、表面に生じる一般的な凹凸は、高さが数μm〜数十μmである。
【0024】
本実施形態の凹凸検出装置1は、投影式の検出装置であり、2つの投光器10から光ファイバ心線5に対して帯状にレーザ光13を投光する。また、1つの投光器10に対してそれぞれ1つの受光器11が対向するように配置され、受光器11は光ファイバ心線5の周囲を通過したレーザ光13を受光する。したがって、受光器11は、投光器10から投光した光のうち、光ファイバ心線5によって遮られた光の分だけ少ない光量を受光する。
【0025】
また、本体2の内部には、受光器11に接続された判別手段(図示せず)が設けられている。この判別手段は、受光器11に受光された受光量のデータを継続して読み取るとともに、その直前までの一定時間に蓄積された受光量の平均値を算出し、読み取り値との差分を演算する。この差分量が予め設定された一定量を超えた時に、凹凸検出の信号を出力する。
なお、前述したように、光ファイバ心線の表面に生じる一般的な凹凸の高さは数μm〜数十μmであるので、本実施形態では、この凹凸高さに合わせて凹凸検出の信号を出力するように設定されている。
【0026】
投光された光ファイバ心線5の表面に凹凸が無いときには、受光器11によって受光されるレーザ光13が一定量であるが、表面に凹凸のある部分が検出空間3に進入して投光されると、光ファイバ心線5によって遮蔽される光量が変化する。これにより、受光器11に受光されるレーザ光13の光量が変化して、凹凸の存在を検出することができる。
【0027】
また、図1及び図2に示すように、本実施形態の凹凸検出装置1は、検出空間3の上流側、下流側、上側の三方向を覆うカバー20を備えている。カバー20は、3つの平板からなり、図中上方から本体2に装着されるものである。
また、上流側と下流側の平板には、装着時に光ファイバ心線5と干渉しないように、挿通部であるスリット21が形成されている。さらに、カバー20の上面には、後述する供給手段から検出空間3にエアーを給気するための給気部である給気孔22が形成されている。
【0028】
さらに、カバー20の上面には、供給管25が、給気孔22に連通するように接続されている。供給管25は、検出空間3にエアーを供給するための供給手段24の一部をなすものである。また、この供給手段24はさらにコンプレッサ26と、エアーを清浄化するフィルタ27とを備えており、コンプレッサ26からフィルタ27を通して空気の塵埃を除去して、さらに供給管25を通して検出空間3にクリーンエアーを供給する。また、供給管25は、流量調節弁28を備えており、供給するエアーの流量を調節することが可能である。
なお、上述したように、受光量の変化から光ファイバ心線5の表面の凹凸を判別する判別手段は、凹凸の高さが数μm〜数十μmのときに凹凸検出の信号を出力するように設定されている。したがって、フィルタ27は数μm〜数十μmの塵埃を除去できるように構成される。
【0029】
また、給気孔22と光ファイバ心線5との間には、遮蔽部材であるメッシュ部材23が設けられており、給気孔22から流入したクリーンエアーが光ファイバ心線5に直接当たらないように、クリーンエアーの流れを分岐させている。したがって、クリーンエアーの流れが光ファイバ心線5に直接当たることによって起こる恐れのある、光ファイバ心線5の走行の不安定化を回避することができる。これにより、走行する光ファイバ心線5を安定した状態に保って、精度の良い凹凸検出を行うことができる。
また、遮蔽部材として平板を用いることでクリーンエアーの流れを分岐させても良いが、メッシュ部材23は若干の通気性を有するので、クリーンエアーの流れを完全に遮ることがなく、検出空間3内の全域に図中上方から下方へ向かうクリーンエアーの流れを形成することができる。
【0030】
このような構成により、検出空間3内に上方からクリーンエアーを供給して、検出空間3内の気圧が陽圧になるとともに、上方から下方への流れを有するエアカーテンが形成される。このエアカーテンは、検出空間3において光ファイバ心線5が走行する方向の上流側と下流側を含んだ、カバー20内のほぼ全域にわたって形成されている。
エアカーテンは、検出空間3への外気の流入を遮断することができるので、スリット21から検出空間3内に浮遊塵が侵入するのを防ぐことができる。また、検出空間3内が陽圧となっているので、スリット21から外側に向かってクリーンエアーが常時流出して、検出空間3内に浮遊塵が侵入するのを効果的に防ぐことができる。
【0031】
上述した実施形態の凹凸検出装置1においては、供給管25から流入したクリーンエアーを光ファイバ心線5に直接当てないようにする手段として、メッシュ部材23を設けていたが、他の手段を用いることも可能である。
例えば、図3に示す第1変形例の凹凸検出装置30のように、給気部を上述した給気孔22とする代わりに、光ファイバ心線5の軸線に対して直交する、横手方向に分岐させた二又給気口31のように構成しても良い。
二又給気口31は、供給管25と連通するように設けられており、供給管25から供給されるクリーンエアーを横方向に分岐させて検出空間3内に給気する。したがって、給気したクリーンエアーを光ファイバ心線5に直接当てることがない。この二又給気口31を設けることにより、前述したメッシュ部材23や平板などの遮蔽部材を設けずに、走行する光ファイバ心線5を安定した状態に保つことができる。
【0032】
また、上述した実施形態の凹凸検出装置1においては、カバー20に光ファイバ心線5を挿通させる挿通部をスリット21としたが、図4に示す第2変形例の凹凸検出装置40のように、光ファイバ心線5の断面より僅かに広い開口面積を有する挿通孔41とすることも可能である。挿通孔41は、前述したスリット21に比べて、挿通部の開口面積を狭くすることができるので、検出空間3を陽圧に保ちやすく、外気の侵入をより効果的に防ぐことができる。
【0033】
なお、上述した実施の形態では、投影式の凹凸検出装置を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、散乱光式や外径測定方式の凹凸検出装置を用いることは当然可能である。
【0034】
(実施例)
以下に、本発明に係る実施例について説明する。
検出空間を覆うカバーや、カバー内に設けられた遮蔽部材の態様を変えた5種類の線状体の凹凸検出装置を用いて、光ファイバ心線の凹凸検出を実施し、検出頻度の比較評価を行った。また、カバーや清浄気体を用いない、従来の凹凸検出装置による光ファイバ心線の凹凸検出を行い、本発明に係る実施例と比較評価した。
なお、第1〜第5実施例、及び従来の比較例に用いた凹凸検出装置は、投影式の凹凸検出装置であり、検出対象である光ファイバ心線は、最外層に7μmの着色層が被覆された外径0.25mmのものである。また、第1〜第5実施例において用いた清浄気体は、少なくとも数μm〜数十μmの塵埃を除去した空気である。
【0035】
本発明に係る第1実施例の凹凸検出装置は、図1及び図2に示すように、上記実施形態において示した凹凸検出装置1とほぼ同じ態様のものである。凹凸検出装置1と異なる点は、カバー20内に遮蔽部材であるスリット23が設けられていないことのみである。したがって、第1実施例の凹凸検出装置は、供給手段24から検出空間3内に供給されるクリーンエアーの流れが光ファイバ心線5に直接当たるように構成されている。
【0036】
また、第2実施例の凹凸検出装置は、図1及び図2に示すように、上記実施形態において示した凹凸検出装置1と全く同じ態様のものである。したがって、第2実施例の凹凸検出装置は、供給手段24から検出空間3内に供給されるクリーンエアーの流れがメッシュ部材23によって分岐されるように構成されている。
【0037】
また、第3実施例の凹凸検出装置は、図1及び図2に示すように、上記実施形態において示した凹凸検出装置1とほぼ同じ態様のものである。凹凸検出装置1と異なる点は、カバー20内に設けられた遮蔽部材が、スリット23ではなく平板であることのみである。したがって、第3実施例の凹凸検出装置は、供給手段24から検出空間3内に供給されるクリーンエアーの流れが平板によって完全に分岐されるように構成されている。
【0038】
また、第4実施例の凹凸検出装置は、図3に示すように、上記実施形態の第1変形例において示した凹凸検出装置30と全く同じ態様のものである。したがって、第4実施例の凹凸検出装置は、供給手段24から検出空間3内に供給されるクリーンエアーの流れが二又給気口31によって完全に分岐されるように構成されている。
【0039】
また、第5実施例の凹凸検出装置は、図4に示すように、上記実施形態において示した凹凸検出装置40とほぼ同じ態様のものである。すなわち、光ファイバ心線5を挿通させる挿通部として、挿通孔41が設けられているため、上記の第1〜第4実施例と比べて、外気が検出空間3内に侵入しにくい構成となっている。また、凹凸検出装置40と異なる点は、カバー20内に遮蔽部材であるスリット23が設けられていないことのみである。したがって、第5実施例の凹凸検出装置は、供給手段24から検出空間3内に供給されるクリーンエアーの流れが光ファイバ心線5に直接当たるように構成されている。
【0040】
また、比較例の凹凸検出装置は、図6に示すように、従来の凹凸検出装置60と全く同じ態様のものである。したがって、比較例の凹凸検出装置は、検出空間の気体が外気と同等のものである。
【0041】
上述した第1〜第5実施例、及び比較例の凹凸検出装置を用いて、同条件で作製した光ファイバ心線を、それぞれの凹凸検出装置内に5000km以上走行させて凹凸検出を行った。1000kmあたりの検出頻度の結果を[表1]に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
[表1]の結果から分かるように、本発明に係る第1〜第5実施例は、比較例に比べて凹凸検出頻度が明らかに少なくなっており、浮遊塵による誤検知の発生を防止でき、光ファイバ心線の凹凸を精度良く検出することができた。
また、第1〜第4実施例を比較すると、第1実施例に対して第2〜第4実施例の検出頻度が少なく、気体の流れを光ファイバ心線に直接当てないようにすることで、光ファイバ心線の走行の不安定化による誤検知を少なくできたことが分かる。特に、メッシュ部材を用いた第2実施例では最も検出頻度が少なくなっている。メッシュ部材によって、検出空間内の全域に略一様な気体の流れを形成して、光ファイバ心線の走行を最も安定させることができたと考えられる。
また、第1実施例と第5実施例を比較すると、第5実施例は検出頻度が少なくなっている。第5実施例では、光ファイバ心線を挿通させる挿通部を挿通孔としたことで開口面積が狭くなり、外気の侵入をより効果的に防ぐことができたと考えられる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の線状体の凹凸検出方法及び凹凸検出装置によれば、投光及び受光を行う検出空間が、清浄気体によって陽圧に維持されるので、検出空間より気圧の低い外側の空間から検出空間内に気体が流入しない。
したがって、外気の浮遊塵が検出空間に侵入することがなく、投光及び受光する光が線状体以外の浮遊塵等の外乱によって遮られたり散乱されたりすることがない。これにより、受光する光量は線状体の凹凸のみによって変化するので、浮遊塵による誤検出を引き起こすことがなく、線状体の凹凸を精度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の線状体の凹凸検出装置の概略を示す斜視図である。
【図2】図1に示した凹凸検出装置の要部模式図である。
【図3】図1に示した凹凸検出装置の第1変形例を示す模式図である。
【図4】図1に示した凹凸検出装置の第2変形例を示す模式図である。
【図5】従来の散乱光式による凹凸検出の様子を示す模式図である。
【図6】従来の投影式による凹凸検出の様子を示す模式図である。
【符号の説明】
1 凹凸検出装置
2 本体
3 検出空間
5 光ファイバ心線(線状体)
10 投光器(投光部)
11 受光器(受光部)
13 レーザ光
20 カバー
21 スリット(挿通部)
22 給気孔(給気部)
23 メッシュ部材
24 供給手段
25 供給管
26 コンプレッサ
27 フィルタ
28 流量調節弁
30 凹凸検出装置(第1変形例)
31 二又給気口(給気部)
40 凹凸検出装置(第2変形例)
41 挿通孔(挿通部)
【発明の属する技術分野】
本発明は、線状体の凹凸検出方法及び凹凸検出装置に関し、さらに詳しくは、走行する線状体に対して光を投光し、投光した光を受光して線状体表面の凹凸を光学的に検出する線状体の凹凸検出方法及び凹凸検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバの製造は、ガラス母材を加熱して線引きする線引き工程と、線引きして作製した光ファイバに、樹脂の被覆を行う被覆工程とがある。
この線引き工程及び被覆工程によって被覆された線状体、例えば、光ファイバに一次被覆を施した光ファイバ素線や、着色層が被覆された光ファイバ心線等の外周には、局所的に微小の凹凸が発生することがある。このような凹凸があると、次の着色工程やテープ化工程にて、凹凸による異物がダイス穴に詰まってしまうことがある。その場合、塗布不良や線状体の断線等の不具合が発生するため、この凹凸を検出する必要がある。
そこで、線状体の凹凸を光学的に検出する検出装置が用いられており、その検出方法は、散乱光式や投影式と呼ばれる2種類に分類される。
【0003】
従来用いられている散乱光式による凹凸検出の様子を図5に示す。
図5に示す凹凸検出装置50は、軸方向(図面垂直方向)に走行する光ファイバ心線56を、投光器52及び受光器53を含む検出空間51のほぼ中央に配置して、投光器52から光ファイバ心線56に対して帯状にレーザ光54を投光する。光ファイバ心線56は、例えば着色層が被覆されており、レーザ光54が被覆に当たって散乱され、その散乱光55が2つの受光器53によって受光される。
被覆表面に凹凸がないときには受光器53によって受光される散乱光55が一定量であるが、凹凸のある被覆部分が検出空間51に進入すると、受光器53に受光される散乱光55の光量が変化して、凹凸の存在を検出することができる。
【0004】
また、従来用いられている投影式による凹凸検出の様子を図6に示す。
図6に示す凹凸検出装置60は、軸方向(図面垂直方向)に走行する光ファイバ心線65を、投光器62及び受光器63を含む検出空間61の中央に配置して、2つの投光器62から光ファイバ心線65に対して帯状にレーザ光64を投光する。1つの投光器62に対して1つの受光器63が対向するように配置され、受光器63は光ファイバ心線65の周囲を通過したレーザ光64を受光する。
光ファイバ心線65は、例えば着色層が被覆されており、この被覆表面に凹凸がないときには受光器63に受光されるレーザ光64が一定量であるが、凹凸のある被覆部分が検出空間61に進入すると、光ファイバ心線65によって遮蔽される光量が変化するので、受光器63に受光されるレーザ光64の光量が変化して、凹凸の存在を検出することができる。
【0005】
また、この投影式を利用した凹凸検出方法として、線状体に遮蔽された影の部分から、その線状体の径方向の両端位置を検出して、両端位置の変化に基づいて凹凸を検出する方法が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の凹凸検出方法では、投光器と受光器の間の、光が通過する検出空間に塵等の浮遊物が存在した場合、浮遊物によって光が遮られたり散乱したりするので、受光される光量が変化してしまう。そのため、この光量の変化を線状体表面の凹凸として誤検出してしまう恐れがあった。
また、凹凸を検出した場合には、品質管理の面から鑑みて、その部分を切断除去していた。そのため、誤検出が発生した場合には本来除去すべきではない部分を切断除去してしまい、製品の生産性が低下してしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、浮遊塵による誤検出の発生を防止することができ、線状体表面の凹凸を精度良く検出できる線状体の凹凸検出方法及び検出装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の請求項1に係る線状体の凹凸検出方法は、走行する線状体に対して光を投光し、投光した光を受光して線状体表面の凹凸を光学的に検出する線状体の凹凸検出方法において、投光及び受光を行う検出空間を、清浄気体で陽圧の状態に維持することを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の線状体の凹凸検出方法によれば、投光及び受光を行う検出空間が、清浄気体によって陽圧に維持されるので、検出空間より気圧の低い外側の空間から検出空間内に気体が流入しない。
したがって、外気の浮遊塵が検出空間に侵入することがなく、投光及び受光する光が線状体以外の浮遊塵等の外乱によって遮られたり散乱されたりすることがない。これにより、受光する光量は線状体の凹凸のみによって変化するので、浮遊塵による誤検出を引き起こすことがなく、線状体の凹凸を精度良く検出することができる。
検出空間を清浄気体で陽圧に維持する手段としては、検出空間をカバーで覆って清浄気体を供給したり、検出装置全体をカバーで覆って清浄気体を供給したり、もしくはカバーを用いずに清浄気体を検出空間に供給することが挙げられる。
なお、清浄気体とは、検出すべき凹凸以上の大きさを有する塵埃を除去した気体であり、空気や窒素を清浄化したものが通常用いられる。
また、検出空間が陽圧の状態とは、検出空間内の気圧が、検出空間の外側の気圧より高い状態を指す。
【0010】
また、上記目的を達成するための本発明の請求項2に係る線状体の凹凸検出方法は、請求項1に記載の線状体の凹凸検出方法であって、検出空間において線状体が走行する方向の少なくとも上流側と下流側に、清浄気体のエアカーテンを形成することを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の線状体の凹凸検出方法によれば、検出空間における少なくとも上流側と下流側に、清浄気体のエアカーテンが形成されるので、線状体の走行によって検出空間の外側の空間から塵や外気が検出空間に侵入することを防止することができる。したがって、浮遊塵による誤検出を引き起こすことを確実に防止できるので、線状体の凹凸を精度良く検出することができる。
【0012】
また、上記目的を達成するための本発明の請求項3に係る線状体の凹凸検出方法は、請求項2に記載の線状体の凹凸検出方法であって、エアカーテンの流れを、線状体に直接当たらないように分岐させることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の線状体の凹凸検出方法によれば、エアカーテンの流れが、走行する線状体に対して直接当たらないように分岐されるので、エアカーテンが直接当たることによって起こる恐れのある、線状体の走行の不安定化を回避することができる。したがって、走行する線状体を安定した状態に保って、精度の良い凹凸検出を行うことができる。
【0014】
また、上記目的を達成するための本発明の請求項4に係る線状体の凹凸検出装置は、走行する線状体に対して光を投光する投光部と、投光部から投光した光を受光する受光部とを備え、線状体表面の凹凸を光学的に検出する装置において、投光部及び受光部を含む検出空間の周囲を覆うカバーと、検出空間に清浄気体を供給する供給手段とを備え、カバーには、供給手段に連通された給気部と、線状体を挿通させる挿通部とが設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の線状体の凹凸検出装置によれば、投光部から受光部までの検出空間の周囲がカバーで覆われて、さらに清浄気体を検出空間に供給するので、清浄気体によって検出空間を陽圧の状態に維持することができる。
したがって、検出空間より気圧の低い外側の空間から検出空間内に気体が流入しないので、外気の浮遊塵が検出空間に侵入することがなく、投光及び受光する光が線状体以外の浮遊塵等の外乱によって遮られたり散乱されたりすることがない。これにより、受光する光量は線状体の凹凸のみによって変化するので、浮遊塵による誤検出を引き起こすことがなく、線状体の凹凸を精度良く検出することができる。
【0016】
また、上記目的を達成するための本発明の請求項5に係る線状体の凹凸検出装置は、請求項4に記載の線状体の凹凸検出装置であって、給気部の開口が、線状体に対向しないように分岐して設けられていることを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の線状体の凹凸検出装置によれば、給気部の開口が線状体と対向しないように分岐しているので、検出空間に給気される清浄気体の流れが線状体に直接当たることによって起こる恐れのある、線状体の走行の不安定化を回避することができる。したがって、走行する線状体を安定した状態に保って、精度の良い凹凸検出を行うことができる。
【0018】
また、上記目的を達成するための本発明の請求項6に係る線状体の凹凸検出装置は、請求項4に記載の線状体の凹凸検出装置であって、線状体と線状体に対向する給気部の開口との間に、清浄気体の流れを妨げる遮蔽部材が設けられていることを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載の線状体の凹凸検出装置によれば、線状体と線状体に対向する給気部の開口との間に清浄気体の流れを妨げる遮蔽部材が設けられているので、検出空間に給気される清浄気体の流れが線状体に直接当たることによって起こる恐れのある、線状体の走行の不安定化を回避することができる。したがって、走行する線状体を安定した状態に保って、精度の良い凹凸検出を行うことができる。
【0020】
また、上記目的を達成するための本発明の請求項7に係る線状体の凹凸検出装置は、請求項6に記載の線状体の凹凸検出装置であって、遮蔽部材は、メッシュ部材であることを特徴とする。
【0021】
請求項7に記載の線状体の凹凸検出装置によれば、遮蔽部材としてメッシュ部材を用いる。メッシュ部材は通気性を有するので、給気される清浄気体の流れを完全に遮ることがなく、検出空間内の全域にほぼ一様な清浄気体の流れを形成することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る線状体の凹凸検出方法及び検出装置の実施の形態を図1〜4に基づいて説明する。図1は、本発明の線状体の凹凸検出装置の概略を示す斜視図、図2は図1に示した凹凸検出装置の要部模式図、図3は図1に示した凹凸検出装置の第1変形例を示す模式図、図4は図1に示した凹凸検出装置の第2変形例を示す模式図である。
【0023】
図1に示すように、本実施形態の線状体の凹凸検出装置1は、走行している線状体である光ファイバ心線5が、本体2によって囲まれるように形成された検出空間3の中央に位置するように設けられている。光ファイバ心線5は、線引き工程によって作製された光ファイバに複数の樹脂層が被覆されており、さらにその外周に着色層が被覆された構成である。この着色層は、例えば7μmの厚さで被覆されている。このような光ファイバ心線の場合、表面に生じる一般的な凹凸は、高さが数μm〜数十μmである。
【0024】
本実施形態の凹凸検出装置1は、投影式の検出装置であり、2つの投光器10から光ファイバ心線5に対して帯状にレーザ光13を投光する。また、1つの投光器10に対してそれぞれ1つの受光器11が対向するように配置され、受光器11は光ファイバ心線5の周囲を通過したレーザ光13を受光する。したがって、受光器11は、投光器10から投光した光のうち、光ファイバ心線5によって遮られた光の分だけ少ない光量を受光する。
【0025】
また、本体2の内部には、受光器11に接続された判別手段(図示せず)が設けられている。この判別手段は、受光器11に受光された受光量のデータを継続して読み取るとともに、その直前までの一定時間に蓄積された受光量の平均値を算出し、読み取り値との差分を演算する。この差分量が予め設定された一定量を超えた時に、凹凸検出の信号を出力する。
なお、前述したように、光ファイバ心線の表面に生じる一般的な凹凸の高さは数μm〜数十μmであるので、本実施形態では、この凹凸高さに合わせて凹凸検出の信号を出力するように設定されている。
【0026】
投光された光ファイバ心線5の表面に凹凸が無いときには、受光器11によって受光されるレーザ光13が一定量であるが、表面に凹凸のある部分が検出空間3に進入して投光されると、光ファイバ心線5によって遮蔽される光量が変化する。これにより、受光器11に受光されるレーザ光13の光量が変化して、凹凸の存在を検出することができる。
【0027】
また、図1及び図2に示すように、本実施形態の凹凸検出装置1は、検出空間3の上流側、下流側、上側の三方向を覆うカバー20を備えている。カバー20は、3つの平板からなり、図中上方から本体2に装着されるものである。
また、上流側と下流側の平板には、装着時に光ファイバ心線5と干渉しないように、挿通部であるスリット21が形成されている。さらに、カバー20の上面には、後述する供給手段から検出空間3にエアーを給気するための給気部である給気孔22が形成されている。
【0028】
さらに、カバー20の上面には、供給管25が、給気孔22に連通するように接続されている。供給管25は、検出空間3にエアーを供給するための供給手段24の一部をなすものである。また、この供給手段24はさらにコンプレッサ26と、エアーを清浄化するフィルタ27とを備えており、コンプレッサ26からフィルタ27を通して空気の塵埃を除去して、さらに供給管25を通して検出空間3にクリーンエアーを供給する。また、供給管25は、流量調節弁28を備えており、供給するエアーの流量を調節することが可能である。
なお、上述したように、受光量の変化から光ファイバ心線5の表面の凹凸を判別する判別手段は、凹凸の高さが数μm〜数十μmのときに凹凸検出の信号を出力するように設定されている。したがって、フィルタ27は数μm〜数十μmの塵埃を除去できるように構成される。
【0029】
また、給気孔22と光ファイバ心線5との間には、遮蔽部材であるメッシュ部材23が設けられており、給気孔22から流入したクリーンエアーが光ファイバ心線5に直接当たらないように、クリーンエアーの流れを分岐させている。したがって、クリーンエアーの流れが光ファイバ心線5に直接当たることによって起こる恐れのある、光ファイバ心線5の走行の不安定化を回避することができる。これにより、走行する光ファイバ心線5を安定した状態に保って、精度の良い凹凸検出を行うことができる。
また、遮蔽部材として平板を用いることでクリーンエアーの流れを分岐させても良いが、メッシュ部材23は若干の通気性を有するので、クリーンエアーの流れを完全に遮ることがなく、検出空間3内の全域に図中上方から下方へ向かうクリーンエアーの流れを形成することができる。
【0030】
このような構成により、検出空間3内に上方からクリーンエアーを供給して、検出空間3内の気圧が陽圧になるとともに、上方から下方への流れを有するエアカーテンが形成される。このエアカーテンは、検出空間3において光ファイバ心線5が走行する方向の上流側と下流側を含んだ、カバー20内のほぼ全域にわたって形成されている。
エアカーテンは、検出空間3への外気の流入を遮断することができるので、スリット21から検出空間3内に浮遊塵が侵入するのを防ぐことができる。また、検出空間3内が陽圧となっているので、スリット21から外側に向かってクリーンエアーが常時流出して、検出空間3内に浮遊塵が侵入するのを効果的に防ぐことができる。
【0031】
上述した実施形態の凹凸検出装置1においては、供給管25から流入したクリーンエアーを光ファイバ心線5に直接当てないようにする手段として、メッシュ部材23を設けていたが、他の手段を用いることも可能である。
例えば、図3に示す第1変形例の凹凸検出装置30のように、給気部を上述した給気孔22とする代わりに、光ファイバ心線5の軸線に対して直交する、横手方向に分岐させた二又給気口31のように構成しても良い。
二又給気口31は、供給管25と連通するように設けられており、供給管25から供給されるクリーンエアーを横方向に分岐させて検出空間3内に給気する。したがって、給気したクリーンエアーを光ファイバ心線5に直接当てることがない。この二又給気口31を設けることにより、前述したメッシュ部材23や平板などの遮蔽部材を設けずに、走行する光ファイバ心線5を安定した状態に保つことができる。
【0032】
また、上述した実施形態の凹凸検出装置1においては、カバー20に光ファイバ心線5を挿通させる挿通部をスリット21としたが、図4に示す第2変形例の凹凸検出装置40のように、光ファイバ心線5の断面より僅かに広い開口面積を有する挿通孔41とすることも可能である。挿通孔41は、前述したスリット21に比べて、挿通部の開口面積を狭くすることができるので、検出空間3を陽圧に保ちやすく、外気の侵入をより効果的に防ぐことができる。
【0033】
なお、上述した実施の形態では、投影式の凹凸検出装置を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、散乱光式や外径測定方式の凹凸検出装置を用いることは当然可能である。
【0034】
(実施例)
以下に、本発明に係る実施例について説明する。
検出空間を覆うカバーや、カバー内に設けられた遮蔽部材の態様を変えた5種類の線状体の凹凸検出装置を用いて、光ファイバ心線の凹凸検出を実施し、検出頻度の比較評価を行った。また、カバーや清浄気体を用いない、従来の凹凸検出装置による光ファイバ心線の凹凸検出を行い、本発明に係る実施例と比較評価した。
なお、第1〜第5実施例、及び従来の比較例に用いた凹凸検出装置は、投影式の凹凸検出装置であり、検出対象である光ファイバ心線は、最外層に7μmの着色層が被覆された外径0.25mmのものである。また、第1〜第5実施例において用いた清浄気体は、少なくとも数μm〜数十μmの塵埃を除去した空気である。
【0035】
本発明に係る第1実施例の凹凸検出装置は、図1及び図2に示すように、上記実施形態において示した凹凸検出装置1とほぼ同じ態様のものである。凹凸検出装置1と異なる点は、カバー20内に遮蔽部材であるスリット23が設けられていないことのみである。したがって、第1実施例の凹凸検出装置は、供給手段24から検出空間3内に供給されるクリーンエアーの流れが光ファイバ心線5に直接当たるように構成されている。
【0036】
また、第2実施例の凹凸検出装置は、図1及び図2に示すように、上記実施形態において示した凹凸検出装置1と全く同じ態様のものである。したがって、第2実施例の凹凸検出装置は、供給手段24から検出空間3内に供給されるクリーンエアーの流れがメッシュ部材23によって分岐されるように構成されている。
【0037】
また、第3実施例の凹凸検出装置は、図1及び図2に示すように、上記実施形態において示した凹凸検出装置1とほぼ同じ態様のものである。凹凸検出装置1と異なる点は、カバー20内に設けられた遮蔽部材が、スリット23ではなく平板であることのみである。したがって、第3実施例の凹凸検出装置は、供給手段24から検出空間3内に供給されるクリーンエアーの流れが平板によって完全に分岐されるように構成されている。
【0038】
また、第4実施例の凹凸検出装置は、図3に示すように、上記実施形態の第1変形例において示した凹凸検出装置30と全く同じ態様のものである。したがって、第4実施例の凹凸検出装置は、供給手段24から検出空間3内に供給されるクリーンエアーの流れが二又給気口31によって完全に分岐されるように構成されている。
【0039】
また、第5実施例の凹凸検出装置は、図4に示すように、上記実施形態において示した凹凸検出装置40とほぼ同じ態様のものである。すなわち、光ファイバ心線5を挿通させる挿通部として、挿通孔41が設けられているため、上記の第1〜第4実施例と比べて、外気が検出空間3内に侵入しにくい構成となっている。また、凹凸検出装置40と異なる点は、カバー20内に遮蔽部材であるスリット23が設けられていないことのみである。したがって、第5実施例の凹凸検出装置は、供給手段24から検出空間3内に供給されるクリーンエアーの流れが光ファイバ心線5に直接当たるように構成されている。
【0040】
また、比較例の凹凸検出装置は、図6に示すように、従来の凹凸検出装置60と全く同じ態様のものである。したがって、比較例の凹凸検出装置は、検出空間の気体が外気と同等のものである。
【0041】
上述した第1〜第5実施例、及び比較例の凹凸検出装置を用いて、同条件で作製した光ファイバ心線を、それぞれの凹凸検出装置内に5000km以上走行させて凹凸検出を行った。1000kmあたりの検出頻度の結果を[表1]に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
[表1]の結果から分かるように、本発明に係る第1〜第5実施例は、比較例に比べて凹凸検出頻度が明らかに少なくなっており、浮遊塵による誤検知の発生を防止でき、光ファイバ心線の凹凸を精度良く検出することができた。
また、第1〜第4実施例を比較すると、第1実施例に対して第2〜第4実施例の検出頻度が少なく、気体の流れを光ファイバ心線に直接当てないようにすることで、光ファイバ心線の走行の不安定化による誤検知を少なくできたことが分かる。特に、メッシュ部材を用いた第2実施例では最も検出頻度が少なくなっている。メッシュ部材によって、検出空間内の全域に略一様な気体の流れを形成して、光ファイバ心線の走行を最も安定させることができたと考えられる。
また、第1実施例と第5実施例を比較すると、第5実施例は検出頻度が少なくなっている。第5実施例では、光ファイバ心線を挿通させる挿通部を挿通孔としたことで開口面積が狭くなり、外気の侵入をより効果的に防ぐことができたと考えられる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の線状体の凹凸検出方法及び凹凸検出装置によれば、投光及び受光を行う検出空間が、清浄気体によって陽圧に維持されるので、検出空間より気圧の低い外側の空間から検出空間内に気体が流入しない。
したがって、外気の浮遊塵が検出空間に侵入することがなく、投光及び受光する光が線状体以外の浮遊塵等の外乱によって遮られたり散乱されたりすることがない。これにより、受光する光量は線状体の凹凸のみによって変化するので、浮遊塵による誤検出を引き起こすことがなく、線状体の凹凸を精度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の線状体の凹凸検出装置の概略を示す斜視図である。
【図2】図1に示した凹凸検出装置の要部模式図である。
【図3】図1に示した凹凸検出装置の第1変形例を示す模式図である。
【図4】図1に示した凹凸検出装置の第2変形例を示す模式図である。
【図5】従来の散乱光式による凹凸検出の様子を示す模式図である。
【図6】従来の投影式による凹凸検出の様子を示す模式図である。
【符号の説明】
1 凹凸検出装置
2 本体
3 検出空間
5 光ファイバ心線(線状体)
10 投光器(投光部)
11 受光器(受光部)
13 レーザ光
20 カバー
21 スリット(挿通部)
22 給気孔(給気部)
23 メッシュ部材
24 供給手段
25 供給管
26 コンプレッサ
27 フィルタ
28 流量調節弁
30 凹凸検出装置(第1変形例)
31 二又給気口(給気部)
40 凹凸検出装置(第2変形例)
41 挿通孔(挿通部)
Claims (7)
- 走行する線状体に対して光を投光し、該投光した光を受光して線状体表面の凹凸を光学的に検出する線状体の凹凸検出方法において、
前記投光及び前記受光を行う検出空間を、清浄気体によって陽圧の状態に維持することを特徴とする線状体の凹凸検出方法。 - 前記検出空間において前記線状体が走行する方向の少なくとも上流側と下流側に、前記清浄気体のエアカーテンを形成することを特徴とする請求項1に記載の線状体の凹凸検出方法。
- 前記エアカーテンの流れを、前記線状体に直接当たらないように分岐させることを特徴とする請求項2に記載の線状体の凹凸検出方法。
- 走行する線状体に対して光を投光する投光部と、該投光部から投光した光を受光する受光部とを備え、線状体表面の凹凸を光学的に検出する装置において、
前記投光部及び前記受光部を含む検出空間を覆うカバーと、前記検出空間に清浄気体を供給する供給手段とを備え、
前記カバーには、前記供給手段に連通された給気部と、前記線状体を挿通させる挿通部とが設けられていることを特徴とする線状体の凹凸検出装置。 - 前記給気部の開口が、前記線状体に対向しないように分岐して設けられていることを特徴とする請求項4に記載の線状体の凹凸検出装置。
- 前記線状体と該線状体に対向する前記給気部の開口との間に、前記清浄気体の流れを妨げる遮蔽部材が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の線状体の凹凸検出装置。
- 前記遮蔽部材は、メッシュ部材であることを特徴とする請求項6に記載の線状体の凹凸検出装置。
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