JP2004012178A - 押込試験装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】キャリブレーションを行うことなしに、外的変形を含むことのない真の押込深さを正確かつ容易に測定することのできる押込試験装置を提供する。
【解決手段】被測定物を設置するためのステージと、圧子が中心に取付けられていて両持ち梁用支持部に支持される両持ち梁と、該両持ち梁のたわみを測定するための第一の変位計と、前記ステージ上の前記被測定物の表面までの距離を測定するための第二の変位計と、前記両持ち梁を支持する両持ち梁用支持部と前記第一の変位計と前記第二の変位計とを一体的に前記ステージ上の前記被測定物の表面に対して垂直方向に移動させられる駆動部とを具備する押込試験装置が提供される。ステージがステージ面に対して平行な軸線回りに回動可能であるのが好ましい。さらに、両持ち梁および両持ち梁用支持部のうちの少なくとも一方が熱膨張係数の小さい材料、例えばスーパーインバー合金により形成されるのが好ましい。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、押込試験装置に関する。さらに特別には、本発明はナノインデンテーション法に用いられる押込試験装置すなわちナノインデンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
原子・分子の領域で物質の構造を制御するナノテクノロジにおいては、極微な組織、例えば微小物質または薄膜状物質の力学的特性を評価するために、ナノインデンテーション法が採用されている。ナノインデンテーション法は超微小領域における力学的特性を評価できると共に、硬さおよび弾性率も小型試験片により評価できるという特徴を有している。
【0003】
図5は従来技術においてナノインデンテーション法に用いられる押込試験装置すなわちナノインデンタの略図である。ナノインデンタはダイヤモンド製の圧子を被測定物に対して垂直に押込み、押込荷重と押込深さとから被測定物の硬さを求める装置である。図5に示される押込試験装置100は水平面を備えた台板(図示しない)上に設置されている。押込試験装置100はアクチュエータ120をハウジング110内部の上面111に有している。図5に示されるように、アクチュエータ120から下方に延びる軸部150の先端に圧子160が設置されている。さらに、荷重センサ130と変位計140とがアクチュエータ120と圧子160との間に設けられている。また被測定物170を設置するためのステージ180がハウジング110内部の底面112に設けられている。理解を容易にするために図5に示すステージ180は単純に描かれているが、通常、ステージ180は互いに垂直な三方向に移動可能な三軸ステージ(x−y−zステージ)である。
【0004】
被測定物170をステージ180上に設置した後に、アクチュエータ120を駆動させることにより軸部150を下方に移動させる。これにより軸部150に設けられた圧子160が被測定物170内に押込まれる。押込時の荷重を荷重センサ130により検出する。次いで押込作用により形成された被測定物170内の孔の深さを測定する。このようにして得られた荷重と孔の深さとから被測定物170の硬度を定めることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術の押込試験装置においては測定物170を設置したステージ180と変位計140とがハウジング110を介して接続されているので、図5において点線で示すようなループ190が形成されている。従って、従来技術の押込試験装置100により測定する場合には押込時に押込試験装置100自体が変形するので、測定値には押込試験装置100の変形量が含まれることなる。さらに、例えば測定物170が基板に設けられた薄膜などである場合には、押込試験装置自体の変形に加えて、基板と薄膜との間の接着剤および/または基板自体が変形する可能性が高い。このような場合には、算出される硬度は真の硬度よりも小さくなりうる。
【0006】
押込試験装置100自体の変形量は通常はキャリブレーションにより校正される。しかしながら、接着剤または基板が変形する場合にはキャリブレーション自体の再現性を得るのが極めて困難であるので測定値の信頼性が大幅に低下する。さらに、キャリブレーションを行うこと自体が時間を要するものであると共にキャリブレーションで得られる値が作業者または室温により異なる場合もある。
【0007】
図5に示すような従来技術の押込試験装置100において変位計140とステージ180との間の距離を小さくすることにより押込試験装置100自体の変形を小さくすることも想定されるが、この場合にも押込試験装置100自体の変形を完全に排除できるわけではない。また通常は押込試験装置100は比較的熱膨張係数が大きい材料、例えば鋼、アルミニウムまたはプラスチックから形成されている。従って、キャリブレーション時と測定時とにおける押込試験装置100自体の変形量をほぼ等しくするためには、キャリブレーション時と測定時との間の温度差が極力小さい(±0.1℃以内)ようにする必要がある。それゆえ、ナノインデンテーション法においては測定を迅速に行うと共に正確な測定値を得るためにキャリブレーション自体を行わないようにすることが望まれる。
【0008】
また圧子160の側面が測定物の一部の表面に接触することにより押込深さが変化する可能性を排除するために、測定面に対して垂直に圧子160を押込む必要がある。しかしながら、前述したように従来技術の押込試験装置100に使用される三軸ステージ180は常に水平面に位置している。従って、測定面が平坦でない場合には、圧子160が測定面に対して垂直に位置するように測定面を移動させることは、三軸ステージ180の動作のみによっては達成されえない。このような場合には圧子160を測定物内に垂直に押込むためにステージ180上の測定物170の測定面をステージ180に対して平行に形成する必要があるが、このような作業は時間を要すると共に比較的煩雑である。
【0009】
それゆえ、本発明は、キャリブレーションを行うことなしに、外的変形を含むことのない真の押込深さを正確かつ容易に測定することのできる押込試験装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために請求項1に記載の発明によれば、被測定物を設置するためのステージと、圧子が中心に取付けられていて両持ち梁用支持部に支持される両持ち梁と、該両持ち梁のたわみを測定するための第一の変位計と、前記ステージ上の前記被測定物の表面までの距離を測定するための第二の変位計と、前記両持ち梁を支持する両持ち梁用支持部と前記第一の変位計と前記第二の変位計とを一体的に前記ステージ上の前記被測定物の表面に対して垂直方向に移動させられる駆動部とを具備する押込試験装置が提供される。
【0011】
すなわち請求項1に記載の発明によって、押込前と押込後とにおいて第二の変位計により得られる被測定物表面までの距離の差から第一の変位計により得られる両持ち梁のたわみを減じることにより、キャリブレーションを行うことなしに、外的変形を含むことのない真の押込深さを正確かつ容易に測定することができる。第一の変位計は例えば静電容量変位計であり、第二の変位計は非接触式変位計、例えばレーザ式変位計でありうる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、前記両持ち梁用支持部に支持される少なくとも二つの互いに平行な前記両持ち梁を含む。
すなわち請求項2に記載の発明によって、両持ち梁に取付けられた圧子が押込時に回転するのを妨げることができる。すなわち請求項2に記載の発明によって圧子に対する回転剛性を高めることができるので、さらに正確な測定値を得ることができる。一つの肉厚の両持ち梁の高さ部分を部分的に刳り貫くことにより、少なくとも二つの両持ち梁を形成してもよい。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、前記ステージが該ステージのステージ面に対して平行な軸線回りに回動可能である。
すなわち請求項3に記載の発明によって、被測定物の測定面がステージのステージ面に対して平行でない場合であっても、圧子をステージ面上の被測定物の測定面に対して垂直に押込められるようにステージ面を傾斜させることができる。また、被測定物の測定面を意図的に傾斜させることにより、圧子の押込角度が被測定物の力学的特性に及ぼす影響を探求することもできる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、前記ステージが前記ステージ面に垂直な軸線回りに回転可能である。
すなわち請求項4に記載の発明によって、ステージ回転時における圧子と被測定物表面との間の距離の変化からステージ面に対する被測定物表面の傾斜角を求められるので、この傾斜角に基づいて圧子を被測定物の測定面に対して垂直に押込できる最適な位置までステージ面を傾斜させることができる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、前記両持ち梁および前記両持ち梁用支持部のうちの少なくとも一方が熱膨張係数の小さい材料により形成されている。
すなわち請求項5に記載の発明によって、本発明の押込試験装置により得られる測定値が測定時における温度変化の影響をほとんど受けないようにできる。すなわち本発明の押込試験装置を使用する際には、厳密な温度制御、例えば±0.1℃以内の温度制御を行う必要がない。熱膨張係数の小さい材料は例えばスーパーインバー合金(大同特殊鋼(株)製、線膨張係数0.7×10−6)でありうる。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、前記被測定物に応じて前記両持ち梁の寸法を変更できるようにした。
すなわち請求項6に記載の発明によって、被測定物に応じて両持ち梁の寸法、すなわち長さ、幅または高さを変更することにより、さらに精度を高めた状態で測定することができる。例えば被測定物が比較的硬い材料の場合には両持ち梁を比較的短くすると共に、被測定物が比較的柔らかい材料である場合には両持ち梁を比較的長くする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の図面において同一の部材には同一の参照符号が付けられている。理解を容易にするために、これら図面は縮尺を適宜変更している。
図1はナノインデンテーション法に用いられる、本発明に基づく押込試験装置すなわちナノインデンタの正面図であり、図2は本発明に基づく押込試験装置の側面図である。理解を容易にするために図2においては部材の一部を省略している。図1および図2に示されるように、本発明に基づく押込試験装置10すなわちナノインデンタが基準面11上に設置されている。押込試験装置10の四つの支柱18の頂部には天板15が設けられており、例えばネジなどにより支柱18に固定されている。図1から分かるように電動シリンダ12が天板15上に設置されており、電動シリンダ12から延びる軸部が天板15に予め形成された孔(図示しない)を通って天板15の下方に延びている。この軸部はバネ13を通ってアクチュエータ、例えばピエゾアクチュエータ14に接続されている。図1に示されるようにクロスヘッド35が押込試験装置10の支柱18に取付けられている。本発明におけるクロスヘッド35は天板15とほぼ同様な寸法を有していて、前述した四つの支柱18に挿入可能な四つのスリーブ36を含んでいる。ピエゾアクチュエータ14はクロスヘッド35に連結されているので、クロスヘッド35はピエゾアクチュエータ14の動作に応じて、支柱18に沿って往復運動できる。本実施形態においては四つの支柱18およびこれらに対応する四つのスリーブ36が示されているが、後述する可動部分30が適切に動作可能であれば支柱18およびスリーブ36の数が異なっていてもよい。
【0018】
クロスヘッド35には両持ち梁24またはロードセルが取付けられている。図1に示されるように、二つの両持ち梁用支持部21がクロスヘッド35の下面から下方に延びており、両持ち梁24の両端が二つの両持ち梁用支持部21に支持されている。さらに、圧子16が圧子の先端16aが下方を向いた状態で両持ち梁24の中心付近に取付けられている。圧子16が両持ち梁24の中心に取付けられるのは、両持ち梁24が押込時に押込荷重に等しい反力を両持ち梁24の中心において受けるためである。また、押込時における両持ち梁24のたわみは両持ち梁24の中心において最大となる。圧子16はダイヤモンドから形成されており、圧子の形状は角錐型、円錐型または球型である。さらに、後述するステージ上の被測定物(図1には示さない)の表面までの距離を測定する非接触式変位計32、例えばレーザ変位計がクロスヘッド35に取付けられている。同様に両持ち梁24のたわみを測定する変位計31、例えば静電容量変位計(図2を参照されたい)がクロスヘッド35に取付けられている。両持ち梁用支持部21、両持ち梁24、圧子16、変位計31、32などはクロスヘッド35と共に可動部分30を構成しており、この可動部分30は支柱18に沿って一体的に移動可能である。
【0019】
さらにステージ50が基準面11に設置されている。ステージ50は、ステージ50のステージ面52が圧子16の先端16aに対面するように位置決めされる。ステージ面52には被測定物60(図1および図2には示さない)を設置する。図1に示されるようにステージ50はステージ面52に対して垂直な軸線z回りに回転可能である。図1および図2に示されるようにステージ50はステージ面52に含まれる軸線y回りに回動可能である。これによりステージ面52は圧子16の押込方向に対して垂直な面に対して或る角度をなすよう傾斜可能である。さらにステージ50はステージ面52を含む上方部分55と基準面11に直接的に設置された下方部分56とを有しており、上方部分55は下方部分56、例えば下方レール上を摺動できるようになっている。このように上方部分55またはステージ面52自体を移動させた後に、適切に配置された留め具、例えばネジによって上方部分55またはステージ面52を固定することができる。
【0020】
測定時にはステージ面52上に被測定物60を設置する。被測定物60の測定面61が圧子16の押込方向に対して垂直でない場合、例えば被測定物60の測定面61が水平面にない場合には、ステージ面52を軸線y回りに回動させる。これにより、被測定物60の測定面61を圧子16の押込方向に対して垂直に位置決めできる。また、被測定物60を設置したステージ面52を軸線z回りに回転させつつ非接触式変位計32によって被測定物60の測定面61までの距離を測定してもよい。このような場合には圧子16と被測定物60の測定面61との間の距離の変化から圧子16の押込方向と被測定物60の測定面61とがなす角度を算出できるので、圧子16を被測定物の測定面に対して垂直に押込できる最適な位置までステージ面52をこの角度に基いて傾斜させることができる。従って、被測定物60の測定面61がステージ50のステージ面52に対して平行でない場合であっても、圧子16をステージ面52上の被測定物60の測定面61に対して垂直に押込められるようにステージ面52を傾斜させられ、それによりさらに正確な測定値を得ることができる。すなわち本発明に基づく押込試験装置10を使用することにより、被測定物60の測定面61がステージ面52に対して平行になるように被測定物を形成する必要がない。また、このように被測定物60の測定面61を意図的に傾斜させることにより、圧子16の押込角度が被測定物60の力学的特性に及ぼす影響を探求することも可能である。
【0021】
図3(a)は本発明に基づく押込試験装置に含まれる圧子の押込前における拡大図であり、図3(b)は本発明に基づく押込試験装置に含まれる圧子の押込後における拡大図である。図3(a)に示される押込試験装置10は二つの両持ち梁24a、24bを含んでいる。図3(a)に示されるように圧子16の押込前においては圧子16を備えた両持ち梁24はたわんでいない。これら両持ち梁24a、24bは同一外寸であって互いに平行になるように両持ち梁用支持部21により支持されている。圧子16は両持ち梁24aの中心に予め形成された孔内に挿入されていて、圧子16の基端16bが両持ち梁24bの中心に接触している。圧子16は両持ち梁24a内の孔に締まりばめされるか、または例えば接着剤などにより両持ち梁24aの孔に固定される。圧子16の基端16bは例えば溶接などにより両持ち梁24bに固定されうる。本発明においては押込時における圧子に対する回転剛性を高めることができるので、さらに正確な測定値を得ることができる。また、三つ以上の互いに平行な両持ち梁24を採用することにより回転剛性をさらに高めると共にさらに正確な測定値を得ることもできる。また、図3(a)に示される二つの両持ち梁24a、24bはそれぞれが別個の板バネであるが、一つの肉厚の両持ち梁の高さ部分を部分的に刳り貫くことによって二つの両持ち梁を形成することもできる。このような場合には肉厚の両持ち梁の中心部分と端部とを残すように、両持ち梁の高さ部分を例えばエンドミルなどで刳り貫くのが好ましい。これにより二つ以上の両持ち梁を容易に形成することができる。当然のことながら、一つのみの両持ち梁24を備えた押込試験装置10も本発明の範囲に含まれる。
【0022】
図3(a)に示されるように非接触式変位計32、例えばレーザ変位計からレーザLを照射する。レーザLは被測定物60の測定面61において反射して非接触式変位計32内に帰還する。これにより非接触式変位計32と被測定物60の測定面61との間の距離h1が分かる。さらに変位計31によって圧子16の基端16bと変位計31との間の距離h3が分かる。
【0023】
次いで、図3(b)に示されるように押込試験装置10のピエゾアクチュエータ14を起動させることにより、圧子16を含む可動部分30を被測定物60の測定面61に対して垂直に移動させる。これにより、圧子16の先端16aが被測定物60の測定面61に押込まれると共に、被測定物60からの反力によって両持ち梁24a、24bが圧子16の基端16b方向にたわむ。前述したようにこの反力は圧子16の押込荷重に等しい。図3(b)に示されるように押込時における非接触式変位計32と被測定物60の測定面61との間の距離h2を非接触式変位計32によって測定すると共に、圧子16の基端16bと変位計31との間の距離h4を変位計31によって測定する。次いで圧子16を含む可動部分30を元位置まで戻して、被測定物60をステージ面52から取外す。
【0024】
次いで圧子16の押込前と押込後とにおいて非接触式変位計32により得られた距離h1と距離h2との間の変位(h1−h2)を求めると共に、変位計31により得られた距離h3と距離h4との間の変位(h3−h4)を求める。ここで、距離h3と距離h4との間の変位(h3−h4)は両持ち梁24のたわみに相当する。次いで、本発明においては変位(h1−h2)から変位(h3−h4)を減じることにより圧子16の真の押込深さh0を求めることができる。すなわちh0=(h1−h2)−(h3−h4)である。従って、本発明に基づく押込試験装置10によって、キャリブレーションを行うことなしに、外的変形を含むことのない真の押込深さを正確かつ容易に測定することができる。また、両持ち梁24の弾性変形は押込荷重に対して線形であるので、変位計31により圧子の押込荷重(被測定物60の反力)が得られる。この押込荷重と前述した真の押込深さh0とから、被測定物60の力学的特性、例えば硬度を算出することができる。
【0025】
前述したように従来技術における押込試験装置100は比較的熱膨張係数が大きい材料、例えば鋼、アルミニウムまたはプラスチックから形成されていた。これに対し、本発明に基づく押込試験装置10は熱膨張材料の小さい材料、例えばスーパーインバー合金(大同特殊鋼(株)製、線膨張係数0.7×10−6)から形成されている。特に押込試験装置10の可動部分30を構成する両持ち梁用支持部21および両持ち梁24はこのように熱膨張材料の小さい材料から形成されるのが好ましい。これにより、本発明の押込試験装置により得られる測定値が測定時における温度変化の影響をほとんど受けないようにできる。従って本発明においては従来技術のように±0.1℃以内の温度調整を行う必要がない。
【0026】
図4(a)および図4(b)は本発明に基づく押込試験装置に含まれる両持ち梁の部分拡大図である。図4(a)および図4(b)においては互いに平行に配置された二つの両持ち梁24a、24bが一つの肉厚の両持ち梁の高さ部分を刳り貫くことにより形成されている。また、理解を容易にするためにこれら図面においては両持ち梁用支持部21および圧子16を省略している。被測定物60のおおよその硬度は被測定物60の材料から予め分かるので、被測定物60が比較的硬い場合には図4(a)に示されるように両持ち梁24a、24bの長さS1が比較的短い押込試験装置10を使用する。このように被測定物60が比較的硬い場合には押込時における被測定物60からの反力が比較的大きいので比較的長さS1の短い両持ち梁24a、24bで足りるが、被測定物60が比較的柔らかい場合には押込時における被測定物60からの反力が比較的小さいので両持ち梁24a、24bの長さS2が比較的長い押込試験装置10を使用する。このように被測定物60の硬度に応じて長さの異なる両持ち梁24を使用することにより、さらに精度を高めた状態で測定することができる。図4(a)および図4(b)においては両持ち梁24の長さ部分の寸法を変更しているが、両持ち梁24の幅部分または高さ部分の寸法を変更することは本発明の範囲に含まれる。
【0027】
当然のことながら、ステージ50が押込試験装置10の一部、例えば支柱18に連結されていてもよい。また本発明の押込試験装置を結晶粒界、酸化膜、積層膜またはイオン注入膜などの力学的特性の測定に使用できるのは明らかである。
【0028】
【発明の効果】
各請求項に記載の発明によれば、キャリブレーションを行うことなしに、外的変形を含むことのない真の押込深さを正確かつ容易に測定することができるという共通の効果を奏しうる。
【0029】
さらに、請求項2に記載の発明によれば、両持ち梁に取付けられた圧子が測定時に回転するのを妨げることができるという効果を奏しうる。
さらに、請求項3に記載の発明によれば、圧子をステージ面上の被測定物の測定面に対して垂直に押込められるようにステージ面を傾斜させることができるという効果を奏しうる。
【0030】
さらに、請求項4に記載の発明によれば、ステージ面を最適な位置まで傾斜させることができるという効果を奏しうる。
さらに、請求項5に記載の発明によれば、測定値が測定時における温度変化の影響をほとんど受けないようにできると共に測定時に厳密な温度制御を行う必要がないという効果を奏しうる。
さらに、請求項6に記載の発明によれば、被測定物に応じて両持ち梁の寸法を変更することにより、さらに精度を高めた状態で測定することができるという効果を奏しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ナノインデンテーション法に用いられる、本発明に基づく押込試験装置すなわちナノインデンタの正面図である。
【図2】ナノインデンテーション法に用いられる、本発明に基づく押込試験装置すなわちナノインデンタの側面図である。
【図3】(a)本発明に基づく押込試験装置に含まれる圧子の押込前における拡大図である。
(b)本発明に基づく押込試験装置に含まれる圧子の押込後における拡大図である。
【図4】(a)本発明に基づく押込試験装置に含まれる両持ち梁の部分拡大図である。
(b)本発明に基づく押込試験装置に含まれる両持ち梁の部分拡大図である。
【図5】従来技術においてナノインデンテーション法に用いられる押込試験装置すなわちナノインデンタの略図である。
【符号の説明】
10…押込試験装置
11…基準面
12…電動シリンダ
13…バネ
14…ピエゾアクチュエータ
15…天板
16…圧子
16a…先端
16b…基端
18…支柱
21…両持ち梁用支持部
24…両持ち梁
30…可動部分
31…変位計
32…非接触式変位計
35…クロスヘッド
36…スリーブ
50…ステージ
52…ステージ面
55…上方部分
56…下方部分
60…被測定物
61…測定面

Claims (6)

  1. 被測定物を設置するためのステージと、
    圧子が中心に取付けられていて両持ち梁用支持部に支持される両持ち梁と、
    該両持ち梁のたわみを測定するための第一の変位計と、
    前記ステージ上の前記被測定物の表面までの距離を測定するための第二の変位計と、
    前記両持ち梁を支持する両持ち梁用支持部と前記第一の変位計と前記第二の変位計とを一体的に前記ステージ上の前記被測定物の表面に対して垂直方向に移動させられる駆動部とを具備する押込試験装置。
  2. 前記両持ち梁用支持部に支持される少なくとも二つの互いに平行な前記両持ち梁を含む請求項1に記載の押込試験装置。
  3. 前記ステージが該ステージのステージ面に対して平行な軸線回りに回動可能である請求項1または2に記載の押込試験装置。
  4. 前記ステージが前記ステージ面に垂直な軸線回りに回転可能である請求項3に記載の押込試験装置。
  5. 前記両持ち梁および前記両持ち梁用支持部のうちの少なくとも一方が熱膨張係数の小さい材料により形成されている請求項1から4のいずれか一項に記載の押込試験装置。
  6. 前記被測定物に応じて前記両持ち梁の寸法を変更できるようにした請求項1から5のいずれか一項に記載の押込試験装置。
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