JP2004011873A - 液体タンク - Google Patents
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Abstract
【課題】液面の変動に関係なく、気泡をタンク内で確実に処理できる液体タンクを提供すること。
【解決手段】作動油タンク10では、気泡の排出口18を有したチューブ17の先端側にフロート20を接続した。このため、作動油の収容量の変化により油面レベルが上下した場合でも、この油面レベルに関係なく排出口18を常時作動油中に開口させることができ、排出口18からの気泡を油面の僅かに下側の最良の位置で排出できる。従って、排出口18が空気室19に開口する心配がないうえ、排出口18を作動油タンク10の極端に下側に開口させる必要もないから、気泡除去装置内に空気が逆流したり、作動油中を浮上する気泡がストレーナ12から吸い込まれて送出されるのを防止でき、気泡を確実に処理できる。
【選択図】図1
【解決手段】作動油タンク10では、気泡の排出口18を有したチューブ17の先端側にフロート20を接続した。このため、作動油の収容量の変化により油面レベルが上下した場合でも、この油面レベルに関係なく排出口18を常時作動油中に開口させることができ、排出口18からの気泡を油面の僅かに下側の最良の位置で排出できる。従って、排出口18が空気室19に開口する心配がないうえ、排出口18を作動油タンク10の極端に下側に開口させる必要もないから、気泡除去装置内に空気が逆流したり、作動油中を浮上する気泡がストレーナ12から吸い込まれて送出されるのを防止でき、気泡を確実に処理できる。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体タンクに係り、気泡除去装置を通過した液体が収容される液体タンクに関する。
【0002】
【背景技術】
従来より、建設機械などでは、作業機の一部であるシリンダ等を作動油で駆動することが一般的である。従って、建設機械はシリンダを駆動する油圧回路を備えているのであるが、この油圧回路には作動油タンクや、作動用タンクから作動油を圧送するポンプ、作動油を冷却するオイルクーラ、コントロールバルブが設けられる他、油圧回路内で発生した作動油中の気泡を除去するために、気泡除去装置を設ける場合がある。作動油中に気泡が存在すると、ポンプ内でキャビテーションを起こし、ポンプを破損させるおそれがあるため、シリンダ等からの作動油を作動油タンクに戻す途中で、作動油に混じった気泡を気泡除去装置によって除去し、気泡が除去された作動油を作動油タンクに戻して再びポンプで圧送している。
【0003】
気泡除去装置で除かれた気泡は、専用の排出口から大気中に放出されることもあるが、僅かながら作動油を含んでいるために、作動油タンクに戻されるのが一般的である。作動油タンクに戻す場合では、気泡の排出口がタンク壁面に設けられて内部に開口しているが、この際の排出口の位置、すなわち気泡を戻す位置としては、次の3通りの場合がある。すなわち、第1には、排出口をタンク壁面の上部寄りに設け、気泡をタンク内の空気室に戻す。第2には、排出口をタンク壁面の下部寄りに設け、気泡を作動油中深く戻す。第3には、排出口を油面の僅かに下側位置に設け、作動油中でかつ油面近傍に戻す。
【0004】
ところが、以上の3通りの戻し方のうち、第1の戻し方では、排出口がタンク内の空気室に開口しているため、気泡除去装置の構造によっては、不都合が生じる場合がある。つまり、気泡除去装置内は通常、タンク内の空気室よりも圧力が高く、この圧力差を利用して気泡をタンク内に戻すのであるが、シリンダを駆動している場合で、特にピストンがストロークエンドに達したときには、シリンダから戻されて気泡除去装置に入り込む作動油が瞬間的になくなるとともに、その一方で、それまで気泡除去装置にあった作動油は、勢いよく流出口から作動油タンクに流れ出すため、気泡除去装置内の圧力は、作動油が流出するにつれて空気室より低くなり、空気室内の空気が排出口を通して逆に気泡除去装置内に吸い込まれるといった現象が生じる。そして、吸い込まれた気体は、その量が多いと、気泡除去装置内で作動油に気泡として混じることになり、気泡を除去するはずの気泡除去装置でかえって気泡を混在させるといった問題を引き起こす。
【0005】
第2の戻し方では、気泡の排出口がタンク壁面の下部寄りに設けられているため、作動油を油圧回路に圧送するための送出口に近い位置に気泡が戻ることになる。このため、作動油中に戻った気泡は、液面まで浮上する前に送出口から吸い込まれてポンプ側に送り込まれる可能性があり、やはり気泡を再度作動油中に混入させることになって好ましくない。
【0006】
従って、理想的には、第3の戻し方で述べたように、排出口を油面の僅かに下側位置に設け、気泡を油面近傍に戻すことが望まれる。この場合では、排出口が作動油中に開口しているので、第1の戻し方で述べた問題が発生せず、また、排出口が油面の直ぐ下部側に設けられていることで、排出された気泡が即座に油面まで浮上するため、作動油の送出口に吸い込まれる心配がなく、第2の戻し方で述べた問題も起こり難い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、作動油で例えばシリンダを駆動する際において、作動油を作動油タンクからシリンダのボトム側に送り込み、ヘッド側の作動油を作動油タンクに戻す場合には、大量の作動油が送出されて戻り量が少ないため、作動油タンク内での収容量が少なくなる。反対に、作動油を作動油タンクからシリンダのヘッド側に送り込み、ボトム側の作動油を作動油タンクに戻す場合には、少量の作動油が送出されて戻り量が多いため、作動油タンク内での収容量が多くなる。つまり、作動油タンク内の収容量が変化し、油面も変化する。従って、前記第2の戻し方で述べたように、気泡の排出口を油面の僅か下側に設けたとしても、油面が下がってしまうと、排出口が空気室に開口することになり、前記第1の戻し方で述べた問題が生じる。
【0008】
そこで、作動油の最少保有量が既知であり、油面の最低レベルが決まっている場合には、この最低レベルの僅かに下側に排出口を設け、排出口を常時作動油中に開口させることで、第1の戻し方での問題を生じさせないことも考えられる。しかし、この場合には、排出口の位置がより送出口に近づくため、前記第2の戻し方で述べた問題が生じる可能性がある。特に油面が最高レベルから最低レベルに一気に変動するようなときには、油面に向けて浮上途中の気泡が作動油と共に送出口側に吸い込まれ易くなり、問題になる可能性が高い。
【0009】
本発明の目的は、液面の変動に関係なく、気泡をタンク内で確実に処理できる液体タンクを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段と作用効果】
本発明の請求項1の液体タンクは、気泡除去装置を通過した液体が収容される液体タンクにおいて、当該タンク内には、前記気泡除去装置で除去された気泡の排出口が開口しているとともに、変動する液面に対して前記排出口からの気泡を常時液体中でかつ液面近傍に排出する排出位置維持手段を備えていることを特徴とする。
ここで、「変動する液面」とは、液体タンク内に収容された液体全体の液面のことであり、「液面近傍」とは、前記「変動する液面」での液面近傍であってもよく、後述の第2実施形態のように、他に設けられた液面での液面近傍であってもよい。
【0011】
このような液体タンクによれば、気泡の排出位置を液体中でかつ液面近傍に維持する排出位置維持手段を設けるので、例えば液体タンク内での液体の収容量が変化する等により、液面が上下した場合でも、この液面のレベルに関係なく気泡が最良の位置で排出されるようになる。従って、排出口が空気室に開口する心配がないうえ、排出口を液体タンクの極端に下側に開口させる必要もないから、気泡除去装置内に空気が逆流したり、液体中を浮上する気泡が液体タンクから送出される可能性が殆どなく、気泡が液体タンク内で確実に処理される。
【0012】
本発明の請求項2の液体タンクは、気泡除去装置を通過した液体が収容される液体タンクにおいて、当該タンク内には、前記気泡除去装置で除去された気泡の排出口が開口しているとともに、この排出口は、変動する液面に対して常時液体中に開口する位置に設けられ、かつ前記排出口と液体の送出口との間には仕切部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
このような液体タンクによれば、排出口を常時液体中に開口する位置、すなわち液面の最低レベルよりも下部側の位置に設けるので、排出口が空気室に開口する心配がない。また、排出口と送出口との間に仕切部を設けるため、排出口を液体タンクの底面寄りに設けること等で送出口に近づけても、気泡が送出口に引き込まれて送出されることがない。従って、このような構成でも、気泡が液体タンク内で確実に処理されるようになる。
【0014】
本発明の請求項3の液体タンクは、請求項1または請求項2に記載の液体タンクにおいて、内部に前記気泡除去装置が設けられていることを特徴とする。
このような液体タンクでは、液体タンクの設置スペースの他に気泡除去装置用の設置スペースを別途確保する必要がなく、その分専有スペースが小さくなる。また、気泡除去装置を予め液体タンク内に取り付けておくことで、配管途中に個別に設置する必要がないから、設置作業が迅速に行える。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。なお、後述する第2実施形態以降において、以下に説明する第1実施形態と同じ構成部材には同一符号を付し、第2実施形態以降でのそれらの説明を省略または簡略化する。
【0016】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係る作動油タンク(液体タンク)10の概略全体を示す断面図である。
作動油タンク10は、例えばパワーショベルやクレーン等の建設機械、あるいはブルドーザ、グレーダ、ホイルローダ、クラッシャ等の土木機械などに設置される他、定置式の油圧機械にも適用されるものであり、これらの作業機を構成するシリンダ等への作動油(液体)を収容可能に設けられている。
【0017】
作動油タンク10の底面には、図示しない油圧ポンプによって作動油がシリンダ側に送出される送出口11が設けられ、この送出口11を覆うようにサクションストレーナ(以下、単にストレーナと称す)12が配置されている。作動油タンク10の上部には、シリンダ側から戻る作動油の戻り口13が設けられ、この戻り口13から戻った作動油がフィルタ14を通して作動油タンク10内に収容される。
【0018】
この際、シリンダからの作動油は、作動油タンク10の外部に設けられた図示しない気泡除去装置を介して当該作動油タンク10に戻される。気泡除去装置としては、例えば後述するサイクロン型の気泡除去装置60(図5)と同構造のものを適用できるが、その構造はサイクロン型に限定されず、任意の構造の気泡除去装置であってよい。この気泡除去装置により、油圧回路中で発生した気泡が除去され、気泡除去後の作動油が作動油タンク10内に戻る。
【0019】
また、本実施形態では、気泡除去装置で除去された気泡も作動油タンク10内に戻るように構成されている。これは、気泡を除去する際に、気泡と共に僅かな作動油も排出されるためである。従って、そのような僅かな作動油を含む気泡の戻し部15が作動油タンク10の側壁部に設けられており、この戻し部15と気泡除去装置とが流通路16を介して連通している。
【0020】
ところで、作動油タンク10内の作動油の油面(液面)レベルAは、作業機のシリンダ等が停止している場合を示している。油面レベルLは、最低レベルであって、シリンダのピストンがヘッド側に移動し、作動油タンク10からシリンダのボトム側に大量の作動油が送られた場合を示している。油面レベルHは、最高レベルであって、シリンダのピストンがボトム側に移動し、シリンダのボトム側から作動油タンク10に大量の作動油が戻った場合を示している。そして、前記戻し部15は、油面レベルAの僅かに下部側の位置に設けられている。
【0021】
このような戻し部15には、柔軟性を有する所定長さのチューブ17が接続されており、チューブ17の先端の排出口18から気泡が排出されるようになっている。さらに、チューブ17の先端側には、変動する作動油の油面レベルに対して排出口18からの気泡を常時作動油中でかつ油面近傍に排出するためのフロート(排出位置維持手段)20が設けられている。
【0022】
フロート20は、例えば作動油よりも比重の小さい材質で形成されていることで、油面上に浮揚しているものであるが、比重の大きい材質で形成されていても、フロート20全体で浮揚する構造であればよい。従って、フロート20は、作動油の油面レベルの変動に追従して、常に油面上に浮揚することになり、このようなフロート20の動きに応じてチューブ17もフレキシブルに姿勢が変化する。そして、フロート20の下面にチューブ17の先端側が接続されていることにより、排出口18の位置も変動し、排出口18が油面レベルに関係なく常時作動油中に開口する。
【0023】
そのような排出口18からの気泡は、油面の僅かに下側で排出された後、フロート20の下面を伝って即座に油面まで浮上し、作動油タンク10内に形成されている空気室19に放出される。
【0024】
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)すなわち、作動油タンク10では、気泡の戻し部15にチューブ17が接続され、このチューブ17の先端側にはフロート20が接続されているため、作動油タンク内での作動油の収容量が変化することにより、油面レベルが上下した場合でも、この油面レベルに関係なくチューブ17先端の排出口18を常時作動油中に開口させることができ、排出口18からの気泡を油面の僅かに下側の最良の位置で排出できる。従って、排出口18が空気室19に開口する心配がないうえ、排出口18を作動油タンク10の極端に下側に開口させる必要もないから、気泡除去装置内に空気が逆流したり、作動油中を浮上する気泡がストレーナ12から吸い込まれて送出されるのを防止でき、気泡を液体タンク10内で確実に処理できる。
【0025】
(2)また、本実施形態では、フィルタ14の下端側から作動油が排出して戻るのであるが、このフィルタ14の下端側が最低の油面レベルLよりもさらに下方に位置しているので、フィルタ14からの作動油をも、作動油タンク10内にもともとある作動油中に戻すことができ、上方から油面に勢いよく流し落とすことで生じる空気の巻き込みを防止でき、作動油タンク10内での気泡の混入を確実に防止できる。
【0026】
(3)本発明に係る排出位置維持手段としてフロート20を採用したので、フロート20の材質として作動油よりも比重の小さい材質で形成すれば、その機能を達成させることができ、簡単な構成でかつ安価な排出位置維持手段を実現できる。
【0027】
なお、実際に作動油タンク10には、新たな作動油の給油口や、内部メンテナンス用の開閉蓋、さらには作動油タンクとして通常一般的に用いられる部材や構造等が採用されるが、これらは本発明に本質的な構成ではないため、図1ではその図示を省略してある。第2実施形態以降で参照する図2ないし図5でも同様である。
【0028】
〔第2実施形態〕
図2は、本発明の第2実施形態に係る作動油タンク10の概略全体を示す断面図である。
本実施形態では、気泡の戻し部15が最低の油面レベルLよりもさらに下部側に設けられ、この戻し部15に排出口18が設けられている点、および本発明の排出位置維持手段として油面位置制御部30が設けられている点で、前記第1実施形態とは大きく異なる。他の構成は、第1実施形態と略同じである。
【0029】
油面位置制御部30は、作動油タンク10内に収容された作動油全体の油面ではなく、油面位置制御部30自身の内部に形成された空気室31に臨む油面を一定に維持する機能を有している。具体的に油面位置制御部30は、排出口18を囲う無底箱状の囲い部32と、囲い部32の天井部分に挿通された中空の放出部33とを備え、放出部33の上端が最高の油面レベルHよりもさらに上部側に開口し、下端が囲い部32の内部まで延出して開口している。このような放出部33の中空部分は、その径寸法が十分に小さい。
【0030】
油面位置制御部30では、排出口18から気泡が排出されると、気泡が天井部分側に溜まって空気室31を形成し、さらに気泡が排出されると、気泡が放出部33を通って作動油タンク10内の大きな空気室19に放出される。これにより、空気室31に臨む油面は、放出部33の略下端位置に維持され、この油面レベルに対して若干下部側で常時気泡が排出口18から排出されることになる。つまり、本実施形態では、作動油タンク10内の大きな空気室19に臨む油面、つまり変動する油面近傍に気泡を排出するのではなく、レベル変動が生じない油面を別に形成し、この油面の近傍に気泡を排出する構成である。
【0031】
なお、本来であれば、放出部33内の中空部分内にも作動油が入り込み、中空部分内での油面レベルは、作動油全体の油面レベル(図2では、油面レベルL)と同じになるのであるが、中空部分の径寸法が十分に小さいことと、気泡が排出口18から所定時間、間断なく盛んに排出されることとにより、中空部分内の僅かな作動油は気泡と共に上端側から放出され、結果的には、中空部分内が空となって気泡(が弾けた空気)のみが通過するようになり、図示したように、中空部分での油面が周囲の油面(空気室31に臨む油面)と略同じレベルになる。
【0032】
本実施形態においても、油面位置制御部30を設けることで、空気室19に臨む油面のレベル変動に関係なく、排出口18を常に作動油中に開放でき、しかも、気泡を常時空気室31に臨む油面の近傍に排出できる。従って、排出口18からの空気の逆流を防止できるうえ、排出口18を最低の油面レベルLよりもさらに下部側に設けたにもかかわらず、気泡を即座に油面まで浮上させて放出でき、ストレーナ12側で吸い込むのを防止できる。これにより、気泡を作動油タンク10内で良好に処理でき、前述した(1)と同様な効果を得ることができる。また、本実施形態では、その特有な構成により、以下の効果がある。
【0033】
(4)すなわち、本実施形態では、第1実施形態のチューブ17を用いないことで可動部を一切不要にできるから、耐久性に優れており、気泡を長期に渡って確実に処理できる。
【0034】
〔第3実施形態〕
図3に示す第3実施形態では、第1、第2実施形態で説明した排出位置維持手段の代わりに、仕切部40を設けた点が、第1、第2実施形態とは異なる。そして、本実施形態でも、気泡の排出口18を有した戻し部15が油面レベルLよりも下部側の位置に設けられている。
【0035】
仕切部40は、排出口18と送出口11との間に設けられ、第2実施形態での囲い部32と略同様な囲い部41と、放出部33と類似した中空の放出部42とを備えている。囲い部41の下端は作動油タンク10の底面側に近接しており、排出された気泡がストレーナ12側に吸い込まれるのを防いでいる。放出部42の中空部分の径寸法は十分に大きく、放出部42の下端は囲い部41内に延出されていない。従って、中空部分内には作動油が入り込んでおり、この油面レベルは、空気室19に臨む油面レベル(図3では、油面レベルL)と同じである。
【0036】
このような仕切部40を設けることにより、排出口18から気泡が排出されると、囲い部41内では空気室が形成されることなく、気泡が放出部42内に入り込んで浮上し、油面で弾けて放出される。なお、囲い部41の天井部分は、放出部42側に向かって上り傾斜しており、気泡がスムーズに放出部42に入り込むようになっている。
【0037】
このような本実施形態では、排出口18が最低の油面レベルLよりも下部側の位置に設けられているので、排出口18が空気室19に開口する心配がない。また、排出口18と送出口11との間には上下に長い仕切部40が設けられているので、排出口18をより深い位置に設けることで送出口11に近づけても、気泡がストレーナ12に引き込まれて送出口11から送出されるのを防止できる。従って、このような構成でも、気泡を作動油タンク10内で確実に処理でき、構成は異なるが、前述した(1)と同様な効果を得ることができる。加えて、以下の効果がある。
【0038】
(5)仕切部40では、例えば作動油タンク10内の収容量が変化し、油面が油面レベルHから一気に油面レベルLまで下がると、放出部42の中空部分内での油面も、油面レベルHから油面レベルLまで下がり、その分の作動油が囲い部41の下部側からストレーナ12側に引き込まれる。しかし、放出部42の中空部分内での作動油の量は、全体の作動油の変動量に比べて僅かであるから、中空部分内の作動油が浮上中の気泡と共にストレーナ12側に流れることはなく、油面の変動に対しても十分対応できる。
【0039】
〔第4実施形態〕
図4に示す本発明の第4実施形態は、前述の第3実施形態の変形例であり、簡易型の仕切部50を設けた場合である。この仕切部50は、板状であって、作動油タンク10の底面近傍位置から、油面レベルHよりも高い位置に至るまで作動油タンク10内を直線状に仕切っている。排出口18が戻し部15に設けられ、かつ油面レベルLのさらに下部側に設けられている点は、前記第3実施形態と同じである。
【0040】
このような本実施形態でも、第3実施形態と同様な作用により、前述した(1)と同様な効果を得ることができ、本発明の目的を達成できる。また、仕切部50の構成が簡単であるから、安価にでき、構成は異なるが、前述した(3)と同様な効果も得ることができる。
【0041】
〔第5実施形態〕
図5に示す本発明の第5実施形態では、作動油タンク10内にサイクロン型の気泡除去装置60を収容し、フィルタ14の下端側に取り付けた点が第1実施形態とは異なる。気泡除去装置60は、フィルタ14からの気泡を含んだ作動油を、サイクロン室61内に接線方向から流入させ、このサイクロン室61内で旋回流を生じされる構成である。旋回流が生じると、比重の小さい気泡は中央に集約され、集約された気泡が気泡排出用の流通路62およびチューブ17を通して排出口18から排出される。気泡が除かれた作動油は、サイクロン室61の下部側から、もともとある作動油中に勢いよく排出される。そして、本実施形態でも、第1実施形態と同様に、チューブ17の排出口18側の端部がフロート20の下面に接続されている。
【0042】
このような本実施形態でも、第1実施形態と同様な構成により、前述の(1)および(3)と同様な効果を得ることができ、また、図5から明らかなように、サイクロン室61からの作動油は、もともと作動油タンク10内にある作動油中に戻されるので、構成は異なるが、(2)と同様な効果も奏することができる。さらに、以下の効果がある。
【0043】
(6)すなわち、本実施形態では、気泡除去装置60が作動油タンク10内に収容されているため、作動油タンク10の設置スペースの他に気泡除去装置60用の設置スペースを外部に別途確保する必要がなく、その分専有スペースを小さくできる。また、気泡除去装置60を予め作動油タンク10内に取り付けておくことで、油圧回路を形成する配管途中に気泡除去装置60を個別に設置する必要がないから、設置作業を迅速に行える。
【0044】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
例えば、前記各実施形態では、ストレーナ12とフィルタ14とが左右方向にずれていたが、これらを上下に略直線状に配置することで、作動油タンク10全体をスリムにしてもよい。また、こうすることで、ストレーナ12とフィルタ13との距離を近づけることができるため、フィルタ14(あるいは気泡除去装置60)から戻された気泡除去後の作動油を、よりスムーズにストレーナ12に吸い込ませることができ、きれいな状態の良質な作動油を作動油タンク10から確実に送出できる。
【0045】
なお、前記各実施形態で用いられていたストレーナ12は、本発明に必須の構成ではなく、必要に応じて設けられればよい。
【0046】
また、本発明に係る排出位置維持手段や仕切部の具体的な構造等は、前記各実施形態で説明したものに限定されず、その実施にあたって任意に決められてよい。
【0047】
前記各実施形態では、本発明に係る液体が建設機械や土木機械に用いられる作動油であったが、本発明の液体タンクで扱う液体としてはこれに限定されず、水やその他の任意の液体を適用できる。勿論、液体タンクとしても、油圧等の液圧システムの他、廃液タンクを備えた廃液貯蔵システムや廃液浄化システム、燃料タンクから噴射燃料を圧送する燃料噴射システム等、任意のシステムに本発明の液体タンクを適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液体タンクの概略全体を示す断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る液体タンクの概略全体を示す断面図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係る液体タンクの概略全体を示す断面図である。
【図4】本発明の第4実施形態に係る液体タンクの概略全体を示す断面図である。
【図5】本発明の第5実施形態に係る液体タンクの概略全体を示す断面図である。
【符号の説明】
10…液体タンク、11…送出口、18…排出口、20…排出位置維持手段であるフロート、30…排出位置維持手段である油面位置制御部、40,50仕切部、60…気泡除去装置。
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体タンクに係り、気泡除去装置を通過した液体が収容される液体タンクに関する。
【0002】
【背景技術】
従来より、建設機械などでは、作業機の一部であるシリンダ等を作動油で駆動することが一般的である。従って、建設機械はシリンダを駆動する油圧回路を備えているのであるが、この油圧回路には作動油タンクや、作動用タンクから作動油を圧送するポンプ、作動油を冷却するオイルクーラ、コントロールバルブが設けられる他、油圧回路内で発生した作動油中の気泡を除去するために、気泡除去装置を設ける場合がある。作動油中に気泡が存在すると、ポンプ内でキャビテーションを起こし、ポンプを破損させるおそれがあるため、シリンダ等からの作動油を作動油タンクに戻す途中で、作動油に混じった気泡を気泡除去装置によって除去し、気泡が除去された作動油を作動油タンクに戻して再びポンプで圧送している。
【0003】
気泡除去装置で除かれた気泡は、専用の排出口から大気中に放出されることもあるが、僅かながら作動油を含んでいるために、作動油タンクに戻されるのが一般的である。作動油タンクに戻す場合では、気泡の排出口がタンク壁面に設けられて内部に開口しているが、この際の排出口の位置、すなわち気泡を戻す位置としては、次の3通りの場合がある。すなわち、第1には、排出口をタンク壁面の上部寄りに設け、気泡をタンク内の空気室に戻す。第2には、排出口をタンク壁面の下部寄りに設け、気泡を作動油中深く戻す。第3には、排出口を油面の僅かに下側位置に設け、作動油中でかつ油面近傍に戻す。
【0004】
ところが、以上の3通りの戻し方のうち、第1の戻し方では、排出口がタンク内の空気室に開口しているため、気泡除去装置の構造によっては、不都合が生じる場合がある。つまり、気泡除去装置内は通常、タンク内の空気室よりも圧力が高く、この圧力差を利用して気泡をタンク内に戻すのであるが、シリンダを駆動している場合で、特にピストンがストロークエンドに達したときには、シリンダから戻されて気泡除去装置に入り込む作動油が瞬間的になくなるとともに、その一方で、それまで気泡除去装置にあった作動油は、勢いよく流出口から作動油タンクに流れ出すため、気泡除去装置内の圧力は、作動油が流出するにつれて空気室より低くなり、空気室内の空気が排出口を通して逆に気泡除去装置内に吸い込まれるといった現象が生じる。そして、吸い込まれた気体は、その量が多いと、気泡除去装置内で作動油に気泡として混じることになり、気泡を除去するはずの気泡除去装置でかえって気泡を混在させるといった問題を引き起こす。
【0005】
第2の戻し方では、気泡の排出口がタンク壁面の下部寄りに設けられているため、作動油を油圧回路に圧送するための送出口に近い位置に気泡が戻ることになる。このため、作動油中に戻った気泡は、液面まで浮上する前に送出口から吸い込まれてポンプ側に送り込まれる可能性があり、やはり気泡を再度作動油中に混入させることになって好ましくない。
【0006】
従って、理想的には、第3の戻し方で述べたように、排出口を油面の僅かに下側位置に設け、気泡を油面近傍に戻すことが望まれる。この場合では、排出口が作動油中に開口しているので、第1の戻し方で述べた問題が発生せず、また、排出口が油面の直ぐ下部側に設けられていることで、排出された気泡が即座に油面まで浮上するため、作動油の送出口に吸い込まれる心配がなく、第2の戻し方で述べた問題も起こり難い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、作動油で例えばシリンダを駆動する際において、作動油を作動油タンクからシリンダのボトム側に送り込み、ヘッド側の作動油を作動油タンクに戻す場合には、大量の作動油が送出されて戻り量が少ないため、作動油タンク内での収容量が少なくなる。反対に、作動油を作動油タンクからシリンダのヘッド側に送り込み、ボトム側の作動油を作動油タンクに戻す場合には、少量の作動油が送出されて戻り量が多いため、作動油タンク内での収容量が多くなる。つまり、作動油タンク内の収容量が変化し、油面も変化する。従って、前記第2の戻し方で述べたように、気泡の排出口を油面の僅か下側に設けたとしても、油面が下がってしまうと、排出口が空気室に開口することになり、前記第1の戻し方で述べた問題が生じる。
【0008】
そこで、作動油の最少保有量が既知であり、油面の最低レベルが決まっている場合には、この最低レベルの僅かに下側に排出口を設け、排出口を常時作動油中に開口させることで、第1の戻し方での問題を生じさせないことも考えられる。しかし、この場合には、排出口の位置がより送出口に近づくため、前記第2の戻し方で述べた問題が生じる可能性がある。特に油面が最高レベルから最低レベルに一気に変動するようなときには、油面に向けて浮上途中の気泡が作動油と共に送出口側に吸い込まれ易くなり、問題になる可能性が高い。
【0009】
本発明の目的は、液面の変動に関係なく、気泡をタンク内で確実に処理できる液体タンクを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段と作用効果】
本発明の請求項1の液体タンクは、気泡除去装置を通過した液体が収容される液体タンクにおいて、当該タンク内には、前記気泡除去装置で除去された気泡の排出口が開口しているとともに、変動する液面に対して前記排出口からの気泡を常時液体中でかつ液面近傍に排出する排出位置維持手段を備えていることを特徴とする。
ここで、「変動する液面」とは、液体タンク内に収容された液体全体の液面のことであり、「液面近傍」とは、前記「変動する液面」での液面近傍であってもよく、後述の第2実施形態のように、他に設けられた液面での液面近傍であってもよい。
【0011】
このような液体タンクによれば、気泡の排出位置を液体中でかつ液面近傍に維持する排出位置維持手段を設けるので、例えば液体タンク内での液体の収容量が変化する等により、液面が上下した場合でも、この液面のレベルに関係なく気泡が最良の位置で排出されるようになる。従って、排出口が空気室に開口する心配がないうえ、排出口を液体タンクの極端に下側に開口させる必要もないから、気泡除去装置内に空気が逆流したり、液体中を浮上する気泡が液体タンクから送出される可能性が殆どなく、気泡が液体タンク内で確実に処理される。
【0012】
本発明の請求項2の液体タンクは、気泡除去装置を通過した液体が収容される液体タンクにおいて、当該タンク内には、前記気泡除去装置で除去された気泡の排出口が開口しているとともに、この排出口は、変動する液面に対して常時液体中に開口する位置に設けられ、かつ前記排出口と液体の送出口との間には仕切部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
このような液体タンクによれば、排出口を常時液体中に開口する位置、すなわち液面の最低レベルよりも下部側の位置に設けるので、排出口が空気室に開口する心配がない。また、排出口と送出口との間に仕切部を設けるため、排出口を液体タンクの底面寄りに設けること等で送出口に近づけても、気泡が送出口に引き込まれて送出されることがない。従って、このような構成でも、気泡が液体タンク内で確実に処理されるようになる。
【0014】
本発明の請求項3の液体タンクは、請求項1または請求項2に記載の液体タンクにおいて、内部に前記気泡除去装置が設けられていることを特徴とする。
このような液体タンクでは、液体タンクの設置スペースの他に気泡除去装置用の設置スペースを別途確保する必要がなく、その分専有スペースが小さくなる。また、気泡除去装置を予め液体タンク内に取り付けておくことで、配管途中に個別に設置する必要がないから、設置作業が迅速に行える。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。なお、後述する第2実施形態以降において、以下に説明する第1実施形態と同じ構成部材には同一符号を付し、第2実施形態以降でのそれらの説明を省略または簡略化する。
【0016】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係る作動油タンク(液体タンク)10の概略全体を示す断面図である。
作動油タンク10は、例えばパワーショベルやクレーン等の建設機械、あるいはブルドーザ、グレーダ、ホイルローダ、クラッシャ等の土木機械などに設置される他、定置式の油圧機械にも適用されるものであり、これらの作業機を構成するシリンダ等への作動油(液体)を収容可能に設けられている。
【0017】
作動油タンク10の底面には、図示しない油圧ポンプによって作動油がシリンダ側に送出される送出口11が設けられ、この送出口11を覆うようにサクションストレーナ(以下、単にストレーナと称す)12が配置されている。作動油タンク10の上部には、シリンダ側から戻る作動油の戻り口13が設けられ、この戻り口13から戻った作動油がフィルタ14を通して作動油タンク10内に収容される。
【0018】
この際、シリンダからの作動油は、作動油タンク10の外部に設けられた図示しない気泡除去装置を介して当該作動油タンク10に戻される。気泡除去装置としては、例えば後述するサイクロン型の気泡除去装置60(図5)と同構造のものを適用できるが、その構造はサイクロン型に限定されず、任意の構造の気泡除去装置であってよい。この気泡除去装置により、油圧回路中で発生した気泡が除去され、気泡除去後の作動油が作動油タンク10内に戻る。
【0019】
また、本実施形態では、気泡除去装置で除去された気泡も作動油タンク10内に戻るように構成されている。これは、気泡を除去する際に、気泡と共に僅かな作動油も排出されるためである。従って、そのような僅かな作動油を含む気泡の戻し部15が作動油タンク10の側壁部に設けられており、この戻し部15と気泡除去装置とが流通路16を介して連通している。
【0020】
ところで、作動油タンク10内の作動油の油面(液面)レベルAは、作業機のシリンダ等が停止している場合を示している。油面レベルLは、最低レベルであって、シリンダのピストンがヘッド側に移動し、作動油タンク10からシリンダのボトム側に大量の作動油が送られた場合を示している。油面レベルHは、最高レベルであって、シリンダのピストンがボトム側に移動し、シリンダのボトム側から作動油タンク10に大量の作動油が戻った場合を示している。そして、前記戻し部15は、油面レベルAの僅かに下部側の位置に設けられている。
【0021】
このような戻し部15には、柔軟性を有する所定長さのチューブ17が接続されており、チューブ17の先端の排出口18から気泡が排出されるようになっている。さらに、チューブ17の先端側には、変動する作動油の油面レベルに対して排出口18からの気泡を常時作動油中でかつ油面近傍に排出するためのフロート(排出位置維持手段)20が設けられている。
【0022】
フロート20は、例えば作動油よりも比重の小さい材質で形成されていることで、油面上に浮揚しているものであるが、比重の大きい材質で形成されていても、フロート20全体で浮揚する構造であればよい。従って、フロート20は、作動油の油面レベルの変動に追従して、常に油面上に浮揚することになり、このようなフロート20の動きに応じてチューブ17もフレキシブルに姿勢が変化する。そして、フロート20の下面にチューブ17の先端側が接続されていることにより、排出口18の位置も変動し、排出口18が油面レベルに関係なく常時作動油中に開口する。
【0023】
そのような排出口18からの気泡は、油面の僅かに下側で排出された後、フロート20の下面を伝って即座に油面まで浮上し、作動油タンク10内に形成されている空気室19に放出される。
【0024】
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)すなわち、作動油タンク10では、気泡の戻し部15にチューブ17が接続され、このチューブ17の先端側にはフロート20が接続されているため、作動油タンク内での作動油の収容量が変化することにより、油面レベルが上下した場合でも、この油面レベルに関係なくチューブ17先端の排出口18を常時作動油中に開口させることができ、排出口18からの気泡を油面の僅かに下側の最良の位置で排出できる。従って、排出口18が空気室19に開口する心配がないうえ、排出口18を作動油タンク10の極端に下側に開口させる必要もないから、気泡除去装置内に空気が逆流したり、作動油中を浮上する気泡がストレーナ12から吸い込まれて送出されるのを防止でき、気泡を液体タンク10内で確実に処理できる。
【0025】
(2)また、本実施形態では、フィルタ14の下端側から作動油が排出して戻るのであるが、このフィルタ14の下端側が最低の油面レベルLよりもさらに下方に位置しているので、フィルタ14からの作動油をも、作動油タンク10内にもともとある作動油中に戻すことができ、上方から油面に勢いよく流し落とすことで生じる空気の巻き込みを防止でき、作動油タンク10内での気泡の混入を確実に防止できる。
【0026】
(3)本発明に係る排出位置維持手段としてフロート20を採用したので、フロート20の材質として作動油よりも比重の小さい材質で形成すれば、その機能を達成させることができ、簡単な構成でかつ安価な排出位置維持手段を実現できる。
【0027】
なお、実際に作動油タンク10には、新たな作動油の給油口や、内部メンテナンス用の開閉蓋、さらには作動油タンクとして通常一般的に用いられる部材や構造等が採用されるが、これらは本発明に本質的な構成ではないため、図1ではその図示を省略してある。第2実施形態以降で参照する図2ないし図5でも同様である。
【0028】
〔第2実施形態〕
図2は、本発明の第2実施形態に係る作動油タンク10の概略全体を示す断面図である。
本実施形態では、気泡の戻し部15が最低の油面レベルLよりもさらに下部側に設けられ、この戻し部15に排出口18が設けられている点、および本発明の排出位置維持手段として油面位置制御部30が設けられている点で、前記第1実施形態とは大きく異なる。他の構成は、第1実施形態と略同じである。
【0029】
油面位置制御部30は、作動油タンク10内に収容された作動油全体の油面ではなく、油面位置制御部30自身の内部に形成された空気室31に臨む油面を一定に維持する機能を有している。具体的に油面位置制御部30は、排出口18を囲う無底箱状の囲い部32と、囲い部32の天井部分に挿通された中空の放出部33とを備え、放出部33の上端が最高の油面レベルHよりもさらに上部側に開口し、下端が囲い部32の内部まで延出して開口している。このような放出部33の中空部分は、その径寸法が十分に小さい。
【0030】
油面位置制御部30では、排出口18から気泡が排出されると、気泡が天井部分側に溜まって空気室31を形成し、さらに気泡が排出されると、気泡が放出部33を通って作動油タンク10内の大きな空気室19に放出される。これにより、空気室31に臨む油面は、放出部33の略下端位置に維持され、この油面レベルに対して若干下部側で常時気泡が排出口18から排出されることになる。つまり、本実施形態では、作動油タンク10内の大きな空気室19に臨む油面、つまり変動する油面近傍に気泡を排出するのではなく、レベル変動が生じない油面を別に形成し、この油面の近傍に気泡を排出する構成である。
【0031】
なお、本来であれば、放出部33内の中空部分内にも作動油が入り込み、中空部分内での油面レベルは、作動油全体の油面レベル(図2では、油面レベルL)と同じになるのであるが、中空部分の径寸法が十分に小さいことと、気泡が排出口18から所定時間、間断なく盛んに排出されることとにより、中空部分内の僅かな作動油は気泡と共に上端側から放出され、結果的には、中空部分内が空となって気泡(が弾けた空気)のみが通過するようになり、図示したように、中空部分での油面が周囲の油面(空気室31に臨む油面)と略同じレベルになる。
【0032】
本実施形態においても、油面位置制御部30を設けることで、空気室19に臨む油面のレベル変動に関係なく、排出口18を常に作動油中に開放でき、しかも、気泡を常時空気室31に臨む油面の近傍に排出できる。従って、排出口18からの空気の逆流を防止できるうえ、排出口18を最低の油面レベルLよりもさらに下部側に設けたにもかかわらず、気泡を即座に油面まで浮上させて放出でき、ストレーナ12側で吸い込むのを防止できる。これにより、気泡を作動油タンク10内で良好に処理でき、前述した(1)と同様な効果を得ることができる。また、本実施形態では、その特有な構成により、以下の効果がある。
【0033】
(4)すなわち、本実施形態では、第1実施形態のチューブ17を用いないことで可動部を一切不要にできるから、耐久性に優れており、気泡を長期に渡って確実に処理できる。
【0034】
〔第3実施形態〕
図3に示す第3実施形態では、第1、第2実施形態で説明した排出位置維持手段の代わりに、仕切部40を設けた点が、第1、第2実施形態とは異なる。そして、本実施形態でも、気泡の排出口18を有した戻し部15が油面レベルLよりも下部側の位置に設けられている。
【0035】
仕切部40は、排出口18と送出口11との間に設けられ、第2実施形態での囲い部32と略同様な囲い部41と、放出部33と類似した中空の放出部42とを備えている。囲い部41の下端は作動油タンク10の底面側に近接しており、排出された気泡がストレーナ12側に吸い込まれるのを防いでいる。放出部42の中空部分の径寸法は十分に大きく、放出部42の下端は囲い部41内に延出されていない。従って、中空部分内には作動油が入り込んでおり、この油面レベルは、空気室19に臨む油面レベル(図3では、油面レベルL)と同じである。
【0036】
このような仕切部40を設けることにより、排出口18から気泡が排出されると、囲い部41内では空気室が形成されることなく、気泡が放出部42内に入り込んで浮上し、油面で弾けて放出される。なお、囲い部41の天井部分は、放出部42側に向かって上り傾斜しており、気泡がスムーズに放出部42に入り込むようになっている。
【0037】
このような本実施形態では、排出口18が最低の油面レベルLよりも下部側の位置に設けられているので、排出口18が空気室19に開口する心配がない。また、排出口18と送出口11との間には上下に長い仕切部40が設けられているので、排出口18をより深い位置に設けることで送出口11に近づけても、気泡がストレーナ12に引き込まれて送出口11から送出されるのを防止できる。従って、このような構成でも、気泡を作動油タンク10内で確実に処理でき、構成は異なるが、前述した(1)と同様な効果を得ることができる。加えて、以下の効果がある。
【0038】
(5)仕切部40では、例えば作動油タンク10内の収容量が変化し、油面が油面レベルHから一気に油面レベルLまで下がると、放出部42の中空部分内での油面も、油面レベルHから油面レベルLまで下がり、その分の作動油が囲い部41の下部側からストレーナ12側に引き込まれる。しかし、放出部42の中空部分内での作動油の量は、全体の作動油の変動量に比べて僅かであるから、中空部分内の作動油が浮上中の気泡と共にストレーナ12側に流れることはなく、油面の変動に対しても十分対応できる。
【0039】
〔第4実施形態〕
図4に示す本発明の第4実施形態は、前述の第3実施形態の変形例であり、簡易型の仕切部50を設けた場合である。この仕切部50は、板状であって、作動油タンク10の底面近傍位置から、油面レベルHよりも高い位置に至るまで作動油タンク10内を直線状に仕切っている。排出口18が戻し部15に設けられ、かつ油面レベルLのさらに下部側に設けられている点は、前記第3実施形態と同じである。
【0040】
このような本実施形態でも、第3実施形態と同様な作用により、前述した(1)と同様な効果を得ることができ、本発明の目的を達成できる。また、仕切部50の構成が簡単であるから、安価にでき、構成は異なるが、前述した(3)と同様な効果も得ることができる。
【0041】
〔第5実施形態〕
図5に示す本発明の第5実施形態では、作動油タンク10内にサイクロン型の気泡除去装置60を収容し、フィルタ14の下端側に取り付けた点が第1実施形態とは異なる。気泡除去装置60は、フィルタ14からの気泡を含んだ作動油を、サイクロン室61内に接線方向から流入させ、このサイクロン室61内で旋回流を生じされる構成である。旋回流が生じると、比重の小さい気泡は中央に集約され、集約された気泡が気泡排出用の流通路62およびチューブ17を通して排出口18から排出される。気泡が除かれた作動油は、サイクロン室61の下部側から、もともとある作動油中に勢いよく排出される。そして、本実施形態でも、第1実施形態と同様に、チューブ17の排出口18側の端部がフロート20の下面に接続されている。
【0042】
このような本実施形態でも、第1実施形態と同様な構成により、前述の(1)および(3)と同様な効果を得ることができ、また、図5から明らかなように、サイクロン室61からの作動油は、もともと作動油タンク10内にある作動油中に戻されるので、構成は異なるが、(2)と同様な効果も奏することができる。さらに、以下の効果がある。
【0043】
(6)すなわち、本実施形態では、気泡除去装置60が作動油タンク10内に収容されているため、作動油タンク10の設置スペースの他に気泡除去装置60用の設置スペースを外部に別途確保する必要がなく、その分専有スペースを小さくできる。また、気泡除去装置60を予め作動油タンク10内に取り付けておくことで、油圧回路を形成する配管途中に気泡除去装置60を個別に設置する必要がないから、設置作業を迅速に行える。
【0044】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
例えば、前記各実施形態では、ストレーナ12とフィルタ14とが左右方向にずれていたが、これらを上下に略直線状に配置することで、作動油タンク10全体をスリムにしてもよい。また、こうすることで、ストレーナ12とフィルタ13との距離を近づけることができるため、フィルタ14(あるいは気泡除去装置60)から戻された気泡除去後の作動油を、よりスムーズにストレーナ12に吸い込ませることができ、きれいな状態の良質な作動油を作動油タンク10から確実に送出できる。
【0045】
なお、前記各実施形態で用いられていたストレーナ12は、本発明に必須の構成ではなく、必要に応じて設けられればよい。
【0046】
また、本発明に係る排出位置維持手段や仕切部の具体的な構造等は、前記各実施形態で説明したものに限定されず、その実施にあたって任意に決められてよい。
【0047】
前記各実施形態では、本発明に係る液体が建設機械や土木機械に用いられる作動油であったが、本発明の液体タンクで扱う液体としてはこれに限定されず、水やその他の任意の液体を適用できる。勿論、液体タンクとしても、油圧等の液圧システムの他、廃液タンクを備えた廃液貯蔵システムや廃液浄化システム、燃料タンクから噴射燃料を圧送する燃料噴射システム等、任意のシステムに本発明の液体タンクを適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液体タンクの概略全体を示す断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る液体タンクの概略全体を示す断面図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係る液体タンクの概略全体を示す断面図である。
【図4】本発明の第4実施形態に係る液体タンクの概略全体を示す断面図である。
【図5】本発明の第5実施形態に係る液体タンクの概略全体を示す断面図である。
【符号の説明】
10…液体タンク、11…送出口、18…排出口、20…排出位置維持手段であるフロート、30…排出位置維持手段である油面位置制御部、40,50仕切部、60…気泡除去装置。
Claims (3)
- 気泡除去装置(60)を通過した液体が収容される液体タンク(10)において、
当該液体タンク(10)内には、前記気泡除去装置(60)で除去された気泡の排出口(18)が開口しているとともに、
変動する液面に対して前記排出口(18)からの気泡を常時液体中でかつ液面近傍に排出する排出位置維持手段(20,30)を備えている
ことを特徴とする液体タンク(10)。 - 気泡除去装置(60)を通過した液体が収容される液体タンク(10)において、
当該液体タンク(10)内には、前記気泡除去装置(60)で除去された気泡の排出口(18)が開口しているとともに、
この排出口(18)は、変動する液面に対して常時液体中に開口する位置に設けられ、
かつ前記排出口(18)と液体の送出口(11)との間には仕切部(40,50)が設けられている
ことを特徴とする液体タンク(10)。 - 請求項1または請求項2に記載の液体タンク(10)において、
内部に前記気泡除去装置(60)が設けられている
ことを特徴とする液体タンク(10)。
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