JP2004010758A - 接着構造、および光ヘッド装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の部材同士を間隙をあけた状態で接着固定する場合でも、接着剤の剥離や強度低下が発生することのない接着構造、およびこの接着構造を用いた光ヘッド装置を提供すること。
【解決手段】光ヘッド装置の製造方法において、受光素子を実装した回路基板110などの光学素子をやや浮かせた状態でフレーム3に対して接着固定するにあたって、光学素子をフレーム3から間隙をあけて高い位置精度をもって接着する機能をチクソ性の高い富フィラー型接着剤R1に担わせる一方、接着力が弱く、かつ、浮きが発生しやすいという富フィラー型接着剤R1の欠点を、粘度の低い貧フィラー型接着剤R2で補う。
【選択図】 図2
【解決手段】光ヘッド装置の製造方法において、受光素子を実装した回路基板110などの光学素子をやや浮かせた状態でフレーム3に対して接着固定するにあたって、光学素子をフレーム3から間隙をあけて高い位置精度をもって接着する機能をチクソ性の高い富フィラー型接着剤R1に担わせる一方、接着力が弱く、かつ、浮きが発生しやすいという富フィラー型接着剤R1の欠点を、粘度の低い貧フィラー型接着剤R2で補う。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定の間隙をあけて配置された部材同士の接着構造、およびこの接着構造を用いた光ヘッド装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
CD(コンパクトディスク)やDVD(ディジタルバーサタイルディスク)などの光記録媒体の記録、再生に用いられる光ヘッド装置では、レーザダイオードなどのレーザ光源素子からの出射光を導光系を介して対物レンズに導き、対物レンズによって収束させた光を光記録媒体に収束させる。ここで、対物レンズや、対物レンズをトラッキング方向およびフォーカシング方向に駆動するレンズ駆動装置などは金属製あるいは樹脂製のフレームに搭載されているとともに、このフレームには、レーザ光源素子やフォトダイオードなどの受光素子も搭載されている。
【0003】
レーザダイオードやフォトダイオードなどの光学素子をフレームに搭載するには、光学素子を直接、あるいは他の部材を介してフレームに接着剤で固定する方法が多用されている。このような固定方法では、例えば、光学素子の側、あるいはフレームに接着剤を複数箇所にスポット状に塗布した後、光学素子とフレームとの位置関係を調整し、しかる後に接着剤を硬化させる。あるいは、光学素子とフレームとの位置関係を調整した後、光学素子とフレームとの間に接着剤を複数箇所にスポット状に塗布し、しかる後に接着剤を硬化させる。
【0004】
このようにして光学素子をフレームに接着固定する際には、光学素子の光軸位置、および焦点位置を高い精度で合わせる必要がある。このため、光学素子の接着部分では、光学素子やフレームの寸法精度や組み付け精度の影響を受けないように、光学素子をフレームから所定の間隙だけ離れた位置でその位置を三次元的に調整し、光学素子をフレームから浮かせた状態のまま接着固定する。
【0005】
このような接着に用いる接着剤には、光学素子を高い位置精度のまま固定できる低収縮性が求められ、かつ、広い間隙にも対応できるように形状維持性も求められる。このため、従来は、フィラーを多量に配合してチクソ性を高めた富フィラー型接着剤が用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、富フィラー型接着剤は、フィラーの含有量が多い分、接着剤成分の配合比率が低いので、接着力が低いという問題点がある。また、富フィラー型接着剤は、フィラーの含有量が多い分、粘度が高いので、図4(A)に示すように、接触面との接触角が大きい結果、硬化時の収縮ストレスが、矢印Bで示すように、接着剤Rを剥離させようとする方向に作用し、接着剤Rの剥離、いわゆる「浮き」が発生してしまうという問題点がある。
【0007】
ここで、接着剤の粘度が高い場合に発生する剥離については、例えば、UV硬化接着剤を塗布した後、十分な時間をあけてから硬化させる方法、あるいはUV硬化接着剤に照射する紫外線強度を低く設定して時間をかけて硬化させる方法で解消することができるが、このような対策では、部材相互の位置を調整しながら接着剤を硬化させるのに用いる装置の稼働率が著しく低下するので好ましくない。
【0008】
かといって、フィラーの含有量の少ない貧フィラー型接着剤では、粘度が低すぎて、図4(B)に示すように、接着剤Rの垂れが著しく、接着剤と部材との接触面積が狭くなり、接着強度が低下してしまう。従って、貧フィラー型接着剤については、部材間の間隙が狭く、かつ、垂れの起こりにくい姿勢での接着用に限られるという問題点がある。
【0009】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、部材同士を間隙をあけた状態で接着固定する場合でも、接着剤の剥離や強度低下が発生することのない接着構造、およびこの接着構造を用いた光ヘッド装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では、所定の間隙をあけて配置された第1の部材と第2の部材との接着構造であって、前記第1の部材と前記第2の部材との間には、フィラーを多量に含む富フィラー型接着剤が介在しているとともに、前記第1の部材と前記富フィラー型接着剤とに接触する部分、および前記第2の部材と前記富フィラー型接着剤とに接触する部分のうちの少なくとも一方に対して、前記富フィラー型接着剤よりもフィラー含有量の少ない貧フィラー型接着剤が塗布されていることを特徴とする。
【0011】
本発明では、第1の部材と第2の部材とを間隙をあけて高い位置精度をもって接着する機能をチクソ性の高い富フィラー型接着剤が担う一方、接着力が弱く、かつ、浮きが発生しやすいという富フィラー型接着剤の欠点を、粘度の低い貧フィラー型接着剤が補う構成になっている。このため、第1の部材と第2の部材とを間隙をあけて高い位置精度をもって接着でき、かつ、この接着部分の信頼性が高い。また、富フィラー型接着剤を長い時間をかけて硬化させるなどの方法と違って、装置の稼働率が低下しないなど、高い生産性を維持することができる。
【0012】
本発明において、例えば、前記富フィラー型接着剤としては、フィラー含有量が70重量%以上の接着剤が用いることができ、前記貧フィラー型接着剤として、フィラー含有量が30重量%以下の接着剤が用いることができる。
【0013】
本発明において、例えば、前記第1の部材と前記第2の部材とが前記富フィラー型接着剤によって接着され、前記貧フィラー型接着剤は、前記第1の部材と前記富フィラー型接着剤とに跨る領域、および前記第2の部材と前記富フィラー型接着剤とに跨る領域のうちの少なくとも一方に塗布されている。
【0014】
本発明においては、前記貧フィラー型接着剤が、前記第1の部材と前記富フィラー型接着剤との間、および前記第2の部材と前記富フィラー型接着剤との間のうちの少なくとも一方に塗布されている構成であってもよい。
【0015】
本発明に係る接着構造は、例えば、光ヘッド装置に適用することができる。すなわち、光ヘッド装置の製造工程において、レーザ光源からの出射光を光記録媒体に収束させる対物レンズが搭載されるフレームと光学素子とを各々前記第1の部材および前記第2の部材として前記接着剤によって接着固定する際に、本発明を適用する。ここで、前記光学素子は、例えば、レーザ光源素子、受光素子、あるいはミラーである。このような光学素子は、三次元的な位置調整を行った状態でフレームに搭載されることが多いので、これらの光学素子をフレームに接着固定するのに本発明を適用すれば、光学素子をフレームに好適に搭載できるので、光ヘッド装置の生産性や品質が向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明を適用した光ヘッド装置を説明する。
【0017】
(光ヘッド装置の全体構成)
図1は、CD、CD−R、およびDVDの記録再生を行う光ヘッド装置の要部の平面図である。
【0018】
図1に示すように、光ヘッド装置1は、樹脂製あるいは金属製のフレーム3を有している。このフレーム3は、機器に対して相互に平行となるように取り付けた2本のガイドシャフト2A、2Bが連結部301、302、303に通されていることにより、ガイドシャフト2A、2Bに沿って移動可能である。このフレーム3上には、以下に説明する光学系が構成されている。
【0019】
光ヘッド装置1の光学系は、第1のレーザ光L1を出射するDVD用レーザダイオード4と、第2のレーザ光L2を出射するCD用レーザダイオード5とを備え、各レーザダイオード4、5から出射された第1および第2のレーザ光L1、L2を共通光路6に導き、この共通光路6を利用してCD、CD−R、およびDVDの全ての記録再生を行うことができるようになっている。
【0020】
共通光路6は、フレーム3上に搭載された受光素子11、センサレンズ10、導光系20、コリメートレンズ7、および全反射ミラーからなる立ち上げミラー8と、立ち上げミラー8の上方に配列された対物レンズ9とによって規定されている。
【0021】
DVD用レーザダイオード4はDVDの記録再生用であり、波長650nmあるいは635nmの第1のレーザ光L1を出射する。一方、CD用レーザダイオード5は、CDおよびCD−Rの記録、再生用であり、波長780〜800nmの第2のレーザ光L2を出射する。レーザダイオード4、5は、共通光路6の導光系20の同一の側において、相互の光軸L10、L20が平行となるように配列されている。ここに図示の例では、DVD用レーザダイオード4の方がCD用レーザダイオード5よりも受光素子11の側に配置されている。
【0022】
DVD用レーザダイオード4から出射された第1のレーザ光L1は直接、導光系20に入射する。一方、CD用レーザダイオード5から出射された第2のレーザ光L2は、回折格子12を介して導光系20に入射する。回折格子12は、所定の回折特性が付与されており、CD用レーザダイオード5から出射された第2のレーザ光L2を3ビームに分割する。
【0023】
DVD用レーザダイオード4は、回路基板410に実装された状態でフレーム3の側面317で開口する孔305に圧入固定され、かつ、この回路基板410にはシールドケース60が被せられている。それにより、DVD用レーザダイオード4は、穴305を通して第1のレーザ光L1を導光系20に出射する。
【0024】
また、CD用レーザダイオード5が固着されたヒートシンク40は、フレーム3の側面316に接着剤により固定されている。それにより、CD用レーザダイオード5は、フレーム3に形成されている穴306の入口部分に配置され、この穴306を通して第2のレーザ光L2を回折格子12を介して導光系20に出射する。
【0025】
さらに、受光素子11が実装された回路基板110は、フレーム3の側面311に対して接着剤によって固定され、それにより受光素子11はフレーム3に搭載されている。
【0026】
導光系20は、部分反射面を備えたハーフミラー21と、部分反射面を備えたプリズム22とから構成されている。ハーフミラー21は、その部分反射面がレーザダイオード4から出射された第1のレーザ光L1の光軸L10に対して45度傾斜した状態となるように配置されている。プリズム22は、その部分反射面がレーザダイオード5から出射された第2のレーザ光L2の光軸L20に対して45度傾斜した状態となるように配置されている。
【0027】
このように構成した光ヘッド装置1において、対物レンズ9をフォーカシング方向およびトラッキング方向に駆動する対物レンズ駆動装置70は、対物レンズ9を保持したレンズホルダ71を有している。このレンズホルダ71は、円筒状の胴部72と、この胴部72の内側に形成された円筒状の軸受け部73を備えている。胴部72の外周面には一対のトラッキング駆動用コイル81と、一対のフォーカシング駆動用コイル82が構成されている。
【0028】
また、フレーム3に保持されているホルダ支持部材35の底壁からは支軸91が直立し、この支軸91はレンズホルダ71の軸受け部73の内側に差し込まれている。ホルダ支持部材35には外壁356および内壁357が形成され、外壁356にはトラッキング用駆動コイル81と対峙してトラッキング磁気回路を構成する一対のトラッキング用駆動マグネット83が取り付けられている。従って、レンズホルダ71を支軸91の回りに回転させ、トラッキングエラー補正を行うことができる。
【0029】
また、外壁356にはフォーカシング用駆動コイル82に対峙してフォーカシング磁気回路を構成する一対のフォーカシング用駆動マグネット84が取り付けられている。従って、レンズホルダ71を支軸91の軸線方向に移動させ、フォーカシングエラー補正を行うことができる。
【0030】
なお、レンズホルダ71には、ホルダ支持部材35の切り起こし部359に途中位置が支持されたフレキシブル基板77が接続されている。また、ホルダ支持部材35の上面にはカバー(図示せず)が被せられている。
【0031】
(光ヘッド装置の製造方法/接着方法)
図2(A)〜(D)はそれぞれ、本発明に係る光ヘッド装置の製造工程のうち、フレーム3に対してCD用レーザダイオード5や受光素子11などの光学素子を接着剤で固定する手順を示す工程図である。
【0032】
図1に示す光ヘッド装置1を製造するにあたっては、フレーム3に対してDVD用レーザダイオード4を固定した後、DVD用レーザダイオード4を発光させ、それを受光素子11でモニターしながら受光素子11が実装された回路基板110を最適位置に固定し、しかる後、CD用レーザダイオード5を点灯させ、それを受光素子11でモニターしながらCD用レーザダイオード5が固着されたヒートシンク40を最適位置に固定する。ここで、DVD用レーザダイオード4についてはフレーム3の穴305に対して圧入により固定するが、受光素子11が実装された回路基板110、およびCD用レーザダイオード5が固着されたヒートシンク40については、本発明に係る接着方法を適用してUV硬化接着剤Rによってフレーム3に接着固定する。
【0033】
そこで、図2を参照して、受光素子11が実装された回路基板110(第1の部材)のフレーム3(第2の部材)への接着工程を説明しながら、本発明に係る接着構造を説明する。
【0034】
受光素子11が実装された回路基板110をフレーム3に接着固定するにあたって、本形態では、まず、シリコン酸化物などからなるフィラーを例えば70重量%以上を配合した富フィラー型接着剤と、フィラーの配合量が0重量%〜30重量%の貧フィラー型接着剤とを準備する。
【0035】
このような接着剤を用いて回路基板110(受光素子11)をフレーム3に接着固定するには、まず、図2(A)に示す位置調整工程において、フレーム3を治具にセットする一方、受光素子11が実装された回路基板110をフレーム3をハンド200でチャックする。この状態で、DVD用レーザダイオード4を発光させ、それを受光素子11でモニターしながらハンド200を移動させ、受光素子11が実装された回路基板110の位置を三次元的に調整する。この状態でフレーム3と回路基板110との間には、2.5mm程度の隙間Gがあいている。
【0036】
次に、図2(B)に示す接着固定工程において、回路基板110とフレーム3との間の複数箇所、例えば、4箇所にディスペンサーから富フィラー型接着剤R1をスポット状に塗布した後、光照射して富フィラー型接着剤R1を硬化させる。
【0037】
次に、図2(C)に示す治具脱着工程において、回路基板110からハンド200離す。
【0038】
次に、図2(D)に示す補強接着工程において、回路基板110と富フィラー型接着剤R1との接着部分P1、およびフレーム3と富フィラー型接着剤R1との接着部分P2に対してディスペンサーから貧フィラー型接着剤R2を塗布した後、光照射して貧フィラー型接着剤R2を硬化させる。
【0039】
このような方法で接着固定を行うと、光学素子(受光素子11が実装された回路基板110)をフレーム3から間隙をあけて高い位置精度をもって接着する機能をチクソ性の高い富フィラー型接着剤R1が担う一方、接着力が弱く、かつ、浮きが発生しやすいという富フィラー型接着剤R1の欠点を、粘度の低い貧フィラー型接着剤R2が補うことができる。このため、光学素子とフレーム3とを高い位置精度をもって接着でき、かつ、この接着部分の信頼性が高い。
【0040】
また、富フィラー型接着剤R1を長い時間をかけて硬化させるなどの方法と違って、装置の稼働率が低下しないなど、高い生産性を維持することができる。
【0041】
さらに、貧フィラー型接着剤R2を塗布する工程については、位置調整を行う必要がない。このため、貧フィラー型接着剤R2を塗布する工程については、通常の塗布、硬化装置で行えばよいので、接着剤の塗布、硬化工程が1回、増えたといっても、生産性が大きく低下することはない。
【0042】
なお、本形態では、回路基板110と富フィラー型接着剤R1との接着部分P1、およびフレーム3と富フィラー型接着剤R1との接着部分P2の双方に対して貧フィラー型接着剤R2を塗布したが、いずれか一方を貧フィラー型接着剤R2によって補強した構成であってもよい。
【0043】
(光ヘッド装置の製造方法/別の接着方法)
図3(A)〜(D)はそれぞれ、本発明に係る光ヘッド装置の製造工程のうち、受光素子11が実装された回路基板110をフレーム3に接着剤で固定する別の手順を示す工程図である。
【0044】
受光素子11が実装された回路基板110をフレーム3に接着固定するにあたって、本形態でも、まず、シリコン酸化物からなるフィラーを例えば70重量%以上を配合した富フィラー型接着剤と、フィラーの配合量が0重量%〜30重量%の貧フィラー型接着剤とを準備する。
【0045】
このような接着剤を用いて回路基板110(受光素子11)をフレーム3に接着固定するには、まず、図3(A)に示す補強接着工程において、回路基板110、およびフレーム3の複数箇所、例えば、各々の4箇所にディスペンサーから貧フィラー型接着剤R2をスポット状に塗布した後、光照射して貧フィラー型接着剤R2を硬化させる。ここで、貧フィラー型接着剤R2については薄く塗布することが好ましい。
【0046】
次に、図3(B)に示す位置調整工程において、受光素子11が実装された回路基板110をハンド200でチャックする。この状態で、DVD用レーザダイオード4を発光させ、それを受光素子11でモニターしながらハンド200を移動させ、受光素子11が実装された回路基板110の位置を三次元的に調整する。この状態でフレーム3と回路基板110との間には、2.5mm程度の隙間Gがあいている。
【0047】
次に、図3(B)に示す接着固定工程において、ディスペンサーから、回路基板110とフレーム3との間のうち、貧フィラー型接着剤R2が塗布されている領域に富フィラー型接着剤R1を塗布した後、光照射して富フィラー型接着剤R1を硬化させる。
【0048】
次に、図3(D)に治具脱着工程において、回路基板110からハンド200離す。
【0049】
このような方法で接着固定を行った場合も、光学素子(受光素子11が実装された回路基板110)をフレーム3から間隙をあけて高い位置精度をもって接着する機能をチクソ性の高い富フィラー型接着剤R1が担う一方、接着力が弱く、かつ、浮きが発生しやすいという富フィラー型接着剤R1の欠点を、粘度の低い貧フィラー型接着剤R2が補うことができる。このため、光学素子とフレーム3とを高い位置精度をもって接着でき、かつ、この接着部分の信頼性が高い。
【0050】
また、富フィラー型接着剤R1を長い時間をかけて硬化させるなどの方法と違って、装置の稼働率が低下しないなど、高い生産性を維持することができる。
【0051】
さらに、貧フィラー型接着剤R2を塗布する工程については、位置調整を行う必要がない。このため、貧フィラー型接着剤R2を塗布する工程を、通常の塗布、硬化装置で行えばよいので、接着剤の塗布、硬化工程が1回、増えたといっても、生産性が大きく低下することはない。
【0052】
なお、本形態では、回路基板110およびフレーム3の双方に対して貧フィラー型接着剤R2を塗布したが、いずれか一方に貧フィラー型接着剤R2を塗布した構成であってもよい。
【0053】
(その他の実施の形態)
なお、図1に示すCD用レーザダイオード5が固着されたヒートシンク40をフレーム3に接着固定する際も、受光素子11(回路基板10)をフレーム3に接着固定した工程と同様に行えばよい。
【0054】
また、図1に示す立ち上げミラー8をフレーム3に実装する場合も、立ち上げミラー8の位置を三次元的に調整した後、接着剤で固定するので、この工程についても、受光素子11(回路基板110)をフレーム3に接着固定した工程と同様に行えばよい。
【0055】
ここで、富フィラー型接着剤および貧フィラー型接着剤については、接着剤成分が異なるUV硬化性、あるいは可視光硬化性のアクリル系光硬化接着剤やエポキシ系光硬化接着剤を用いることができるが、接着剤成分が同系の富フィラー型接着剤、および貧フィラー型接着剤を用いれば、富フィラー型接着剤と貧フィラー型接着剤との接着力が高いという利点がある。
【0056】
さらに、上記の形態では、図2を参照して説明したように、富フィラー型接着剤R1を塗布した後、富フィラー型接着剤R1を硬化させ、次に、貧フィラー型接着剤R2を塗布した後、貧フィラー型接着剤R2を硬化させたが、富フィラー型接着剤R1を塗布した後は、富フィラー型接着剤R1を一切、硬化させずに、あるいは半硬化の状態に止めておき、貧フィラー型接着剤R2の塗布後、貧フィラー型接着剤R2を硬化させる際に、富フィラー型接着剤R1を一緒に完全硬化させてもよい。
【0057】
同様に、図3を参照して説明した方法でも、貧フィラー型接着剤R2を塗布した後、貧フィラー型接着剤R2を硬化させ、次に、富フィラー型接着剤R1を塗布した後、富フィラー型接着剤R1を硬化させたが、貧フィラー型接着剤R2を塗布した後は、貧フィラー型接着剤R2を一切、硬化させずに、あるいは半硬化の状態に止めておき、富フィラー型接着剤R1の塗布後、富フィラー型接着剤R1を硬化させる際に、貧フィラー型接着剤R2を一緒に完全硬化させてもよい。
【0058】
また、上記形態では、受光素子11などの光学素子の位置を調整してから、光学素子とフレーム3との間の複数箇所に富フィラー型接着剤R1を塗布したが、光学素子あるいはフレーム3の複数箇所に富フィラー型接着剤R1をスポット状に塗布した後、光学素子の位置調整を行い、しかる後に、富フィラー型接着剤R1を硬化させてもよい。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、第1の部材と第2の部材とを間隙をあけて高い位置精度をもって接着する機能をチクソ性の高い富フィラー型接着剤が担う一方、接着力が弱く、かつ、浮きが発生しやすいという富フィラー型接着剤の欠点を粘度の低い貧フィラー型接着剤で補う。このため、第1の部材と第2の部材とを間隙をあけて高い位置精度をもって接着でき、かつ、この接着部分の信頼性が高い。また、富フィラー型接着剤を長い時間をかけて硬化させるなどの方法と違って、装置の稼働率が低下しないなど、高い生産性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される光ヘッド装置の要部の平面図である。
【図2】(A)〜(D)はそれぞれ、本発明に係る光ヘッド装置の製造工程のうち、フレームに対して受光素子を接着固定する手順を示す工程図である。
【図3】(A)〜(D)はそれぞれ、本発明に係る光ヘッド装置の製造工程のうち、フレームに対して受光素子を接着固定する別の手順を示す工程図である。
【図4】(A)、(B)はそれぞれ、粘度が高い接着剤を塗布した様子を示す説明図、および粘度が低い接着剤で2つの部材を接着固定した様子を示す説明図である。
【符号の説明】
1 光ヘッド装置
3 フレーム
4 DVD用レーザダイオード(光学素子)
5 CD用レーザダイオード(光学素子)
8 立ち上げミラー
9 対物レンズ
11 受光素子
70 対物レンズ駆動装置
71 レンズホルダ
200 ハンド
500 UV硬化装置
R1 富フィラー型接着剤
R2 貧フィラー型接着剤
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定の間隙をあけて配置された部材同士の接着構造、およびこの接着構造を用いた光ヘッド装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
CD(コンパクトディスク)やDVD(ディジタルバーサタイルディスク)などの光記録媒体の記録、再生に用いられる光ヘッド装置では、レーザダイオードなどのレーザ光源素子からの出射光を導光系を介して対物レンズに導き、対物レンズによって収束させた光を光記録媒体に収束させる。ここで、対物レンズや、対物レンズをトラッキング方向およびフォーカシング方向に駆動するレンズ駆動装置などは金属製あるいは樹脂製のフレームに搭載されているとともに、このフレームには、レーザ光源素子やフォトダイオードなどの受光素子も搭載されている。
【0003】
レーザダイオードやフォトダイオードなどの光学素子をフレームに搭載するには、光学素子を直接、あるいは他の部材を介してフレームに接着剤で固定する方法が多用されている。このような固定方法では、例えば、光学素子の側、あるいはフレームに接着剤を複数箇所にスポット状に塗布した後、光学素子とフレームとの位置関係を調整し、しかる後に接着剤を硬化させる。あるいは、光学素子とフレームとの位置関係を調整した後、光学素子とフレームとの間に接着剤を複数箇所にスポット状に塗布し、しかる後に接着剤を硬化させる。
【0004】
このようにして光学素子をフレームに接着固定する際には、光学素子の光軸位置、および焦点位置を高い精度で合わせる必要がある。このため、光学素子の接着部分では、光学素子やフレームの寸法精度や組み付け精度の影響を受けないように、光学素子をフレームから所定の間隙だけ離れた位置でその位置を三次元的に調整し、光学素子をフレームから浮かせた状態のまま接着固定する。
【0005】
このような接着に用いる接着剤には、光学素子を高い位置精度のまま固定できる低収縮性が求められ、かつ、広い間隙にも対応できるように形状維持性も求められる。このため、従来は、フィラーを多量に配合してチクソ性を高めた富フィラー型接着剤が用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、富フィラー型接着剤は、フィラーの含有量が多い分、接着剤成分の配合比率が低いので、接着力が低いという問題点がある。また、富フィラー型接着剤は、フィラーの含有量が多い分、粘度が高いので、図4(A)に示すように、接触面との接触角が大きい結果、硬化時の収縮ストレスが、矢印Bで示すように、接着剤Rを剥離させようとする方向に作用し、接着剤Rの剥離、いわゆる「浮き」が発生してしまうという問題点がある。
【0007】
ここで、接着剤の粘度が高い場合に発生する剥離については、例えば、UV硬化接着剤を塗布した後、十分な時間をあけてから硬化させる方法、あるいはUV硬化接着剤に照射する紫外線強度を低く設定して時間をかけて硬化させる方法で解消することができるが、このような対策では、部材相互の位置を調整しながら接着剤を硬化させるのに用いる装置の稼働率が著しく低下するので好ましくない。
【0008】
かといって、フィラーの含有量の少ない貧フィラー型接着剤では、粘度が低すぎて、図4(B)に示すように、接着剤Rの垂れが著しく、接着剤と部材との接触面積が狭くなり、接着強度が低下してしまう。従って、貧フィラー型接着剤については、部材間の間隙が狭く、かつ、垂れの起こりにくい姿勢での接着用に限られるという問題点がある。
【0009】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、部材同士を間隙をあけた状態で接着固定する場合でも、接着剤の剥離や強度低下が発生することのない接着構造、およびこの接着構造を用いた光ヘッド装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では、所定の間隙をあけて配置された第1の部材と第2の部材との接着構造であって、前記第1の部材と前記第2の部材との間には、フィラーを多量に含む富フィラー型接着剤が介在しているとともに、前記第1の部材と前記富フィラー型接着剤とに接触する部分、および前記第2の部材と前記富フィラー型接着剤とに接触する部分のうちの少なくとも一方に対して、前記富フィラー型接着剤よりもフィラー含有量の少ない貧フィラー型接着剤が塗布されていることを特徴とする。
【0011】
本発明では、第1の部材と第2の部材とを間隙をあけて高い位置精度をもって接着する機能をチクソ性の高い富フィラー型接着剤が担う一方、接着力が弱く、かつ、浮きが発生しやすいという富フィラー型接着剤の欠点を、粘度の低い貧フィラー型接着剤が補う構成になっている。このため、第1の部材と第2の部材とを間隙をあけて高い位置精度をもって接着でき、かつ、この接着部分の信頼性が高い。また、富フィラー型接着剤を長い時間をかけて硬化させるなどの方法と違って、装置の稼働率が低下しないなど、高い生産性を維持することができる。
【0012】
本発明において、例えば、前記富フィラー型接着剤としては、フィラー含有量が70重量%以上の接着剤が用いることができ、前記貧フィラー型接着剤として、フィラー含有量が30重量%以下の接着剤が用いることができる。
【0013】
本発明において、例えば、前記第1の部材と前記第2の部材とが前記富フィラー型接着剤によって接着され、前記貧フィラー型接着剤は、前記第1の部材と前記富フィラー型接着剤とに跨る領域、および前記第2の部材と前記富フィラー型接着剤とに跨る領域のうちの少なくとも一方に塗布されている。
【0014】
本発明においては、前記貧フィラー型接着剤が、前記第1の部材と前記富フィラー型接着剤との間、および前記第2の部材と前記富フィラー型接着剤との間のうちの少なくとも一方に塗布されている構成であってもよい。
【0015】
本発明に係る接着構造は、例えば、光ヘッド装置に適用することができる。すなわち、光ヘッド装置の製造工程において、レーザ光源からの出射光を光記録媒体に収束させる対物レンズが搭載されるフレームと光学素子とを各々前記第1の部材および前記第2の部材として前記接着剤によって接着固定する際に、本発明を適用する。ここで、前記光学素子は、例えば、レーザ光源素子、受光素子、あるいはミラーである。このような光学素子は、三次元的な位置調整を行った状態でフレームに搭載されることが多いので、これらの光学素子をフレームに接着固定するのに本発明を適用すれば、光学素子をフレームに好適に搭載できるので、光ヘッド装置の生産性や品質が向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明を適用した光ヘッド装置を説明する。
【0017】
(光ヘッド装置の全体構成)
図1は、CD、CD−R、およびDVDの記録再生を行う光ヘッド装置の要部の平面図である。
【0018】
図1に示すように、光ヘッド装置1は、樹脂製あるいは金属製のフレーム3を有している。このフレーム3は、機器に対して相互に平行となるように取り付けた2本のガイドシャフト2A、2Bが連結部301、302、303に通されていることにより、ガイドシャフト2A、2Bに沿って移動可能である。このフレーム3上には、以下に説明する光学系が構成されている。
【0019】
光ヘッド装置1の光学系は、第1のレーザ光L1を出射するDVD用レーザダイオード4と、第2のレーザ光L2を出射するCD用レーザダイオード5とを備え、各レーザダイオード4、5から出射された第1および第2のレーザ光L1、L2を共通光路6に導き、この共通光路6を利用してCD、CD−R、およびDVDの全ての記録再生を行うことができるようになっている。
【0020】
共通光路6は、フレーム3上に搭載された受光素子11、センサレンズ10、導光系20、コリメートレンズ7、および全反射ミラーからなる立ち上げミラー8と、立ち上げミラー8の上方に配列された対物レンズ9とによって規定されている。
【0021】
DVD用レーザダイオード4はDVDの記録再生用であり、波長650nmあるいは635nmの第1のレーザ光L1を出射する。一方、CD用レーザダイオード5は、CDおよびCD−Rの記録、再生用であり、波長780〜800nmの第2のレーザ光L2を出射する。レーザダイオード4、5は、共通光路6の導光系20の同一の側において、相互の光軸L10、L20が平行となるように配列されている。ここに図示の例では、DVD用レーザダイオード4の方がCD用レーザダイオード5よりも受光素子11の側に配置されている。
【0022】
DVD用レーザダイオード4から出射された第1のレーザ光L1は直接、導光系20に入射する。一方、CD用レーザダイオード5から出射された第2のレーザ光L2は、回折格子12を介して導光系20に入射する。回折格子12は、所定の回折特性が付与されており、CD用レーザダイオード5から出射された第2のレーザ光L2を3ビームに分割する。
【0023】
DVD用レーザダイオード4は、回路基板410に実装された状態でフレーム3の側面317で開口する孔305に圧入固定され、かつ、この回路基板410にはシールドケース60が被せられている。それにより、DVD用レーザダイオード4は、穴305を通して第1のレーザ光L1を導光系20に出射する。
【0024】
また、CD用レーザダイオード5が固着されたヒートシンク40は、フレーム3の側面316に接着剤により固定されている。それにより、CD用レーザダイオード5は、フレーム3に形成されている穴306の入口部分に配置され、この穴306を通して第2のレーザ光L2を回折格子12を介して導光系20に出射する。
【0025】
さらに、受光素子11が実装された回路基板110は、フレーム3の側面311に対して接着剤によって固定され、それにより受光素子11はフレーム3に搭載されている。
【0026】
導光系20は、部分反射面を備えたハーフミラー21と、部分反射面を備えたプリズム22とから構成されている。ハーフミラー21は、その部分反射面がレーザダイオード4から出射された第1のレーザ光L1の光軸L10に対して45度傾斜した状態となるように配置されている。プリズム22は、その部分反射面がレーザダイオード5から出射された第2のレーザ光L2の光軸L20に対して45度傾斜した状態となるように配置されている。
【0027】
このように構成した光ヘッド装置1において、対物レンズ9をフォーカシング方向およびトラッキング方向に駆動する対物レンズ駆動装置70は、対物レンズ9を保持したレンズホルダ71を有している。このレンズホルダ71は、円筒状の胴部72と、この胴部72の内側に形成された円筒状の軸受け部73を備えている。胴部72の外周面には一対のトラッキング駆動用コイル81と、一対のフォーカシング駆動用コイル82が構成されている。
【0028】
また、フレーム3に保持されているホルダ支持部材35の底壁からは支軸91が直立し、この支軸91はレンズホルダ71の軸受け部73の内側に差し込まれている。ホルダ支持部材35には外壁356および内壁357が形成され、外壁356にはトラッキング用駆動コイル81と対峙してトラッキング磁気回路を構成する一対のトラッキング用駆動マグネット83が取り付けられている。従って、レンズホルダ71を支軸91の回りに回転させ、トラッキングエラー補正を行うことができる。
【0029】
また、外壁356にはフォーカシング用駆動コイル82に対峙してフォーカシング磁気回路を構成する一対のフォーカシング用駆動マグネット84が取り付けられている。従って、レンズホルダ71を支軸91の軸線方向に移動させ、フォーカシングエラー補正を行うことができる。
【0030】
なお、レンズホルダ71には、ホルダ支持部材35の切り起こし部359に途中位置が支持されたフレキシブル基板77が接続されている。また、ホルダ支持部材35の上面にはカバー(図示せず)が被せられている。
【0031】
(光ヘッド装置の製造方法/接着方法)
図2(A)〜(D)はそれぞれ、本発明に係る光ヘッド装置の製造工程のうち、フレーム3に対してCD用レーザダイオード5や受光素子11などの光学素子を接着剤で固定する手順を示す工程図である。
【0032】
図1に示す光ヘッド装置1を製造するにあたっては、フレーム3に対してDVD用レーザダイオード4を固定した後、DVD用レーザダイオード4を発光させ、それを受光素子11でモニターしながら受光素子11が実装された回路基板110を最適位置に固定し、しかる後、CD用レーザダイオード5を点灯させ、それを受光素子11でモニターしながらCD用レーザダイオード5が固着されたヒートシンク40を最適位置に固定する。ここで、DVD用レーザダイオード4についてはフレーム3の穴305に対して圧入により固定するが、受光素子11が実装された回路基板110、およびCD用レーザダイオード5が固着されたヒートシンク40については、本発明に係る接着方法を適用してUV硬化接着剤Rによってフレーム3に接着固定する。
【0033】
そこで、図2を参照して、受光素子11が実装された回路基板110(第1の部材)のフレーム3(第2の部材)への接着工程を説明しながら、本発明に係る接着構造を説明する。
【0034】
受光素子11が実装された回路基板110をフレーム3に接着固定するにあたって、本形態では、まず、シリコン酸化物などからなるフィラーを例えば70重量%以上を配合した富フィラー型接着剤と、フィラーの配合量が0重量%〜30重量%の貧フィラー型接着剤とを準備する。
【0035】
このような接着剤を用いて回路基板110(受光素子11)をフレーム3に接着固定するには、まず、図2(A)に示す位置調整工程において、フレーム3を治具にセットする一方、受光素子11が実装された回路基板110をフレーム3をハンド200でチャックする。この状態で、DVD用レーザダイオード4を発光させ、それを受光素子11でモニターしながらハンド200を移動させ、受光素子11が実装された回路基板110の位置を三次元的に調整する。この状態でフレーム3と回路基板110との間には、2.5mm程度の隙間Gがあいている。
【0036】
次に、図2(B)に示す接着固定工程において、回路基板110とフレーム3との間の複数箇所、例えば、4箇所にディスペンサーから富フィラー型接着剤R1をスポット状に塗布した後、光照射して富フィラー型接着剤R1を硬化させる。
【0037】
次に、図2(C)に示す治具脱着工程において、回路基板110からハンド200離す。
【0038】
次に、図2(D)に示す補強接着工程において、回路基板110と富フィラー型接着剤R1との接着部分P1、およびフレーム3と富フィラー型接着剤R1との接着部分P2に対してディスペンサーから貧フィラー型接着剤R2を塗布した後、光照射して貧フィラー型接着剤R2を硬化させる。
【0039】
このような方法で接着固定を行うと、光学素子(受光素子11が実装された回路基板110)をフレーム3から間隙をあけて高い位置精度をもって接着する機能をチクソ性の高い富フィラー型接着剤R1が担う一方、接着力が弱く、かつ、浮きが発生しやすいという富フィラー型接着剤R1の欠点を、粘度の低い貧フィラー型接着剤R2が補うことができる。このため、光学素子とフレーム3とを高い位置精度をもって接着でき、かつ、この接着部分の信頼性が高い。
【0040】
また、富フィラー型接着剤R1を長い時間をかけて硬化させるなどの方法と違って、装置の稼働率が低下しないなど、高い生産性を維持することができる。
【0041】
さらに、貧フィラー型接着剤R2を塗布する工程については、位置調整を行う必要がない。このため、貧フィラー型接着剤R2を塗布する工程については、通常の塗布、硬化装置で行えばよいので、接着剤の塗布、硬化工程が1回、増えたといっても、生産性が大きく低下することはない。
【0042】
なお、本形態では、回路基板110と富フィラー型接着剤R1との接着部分P1、およびフレーム3と富フィラー型接着剤R1との接着部分P2の双方に対して貧フィラー型接着剤R2を塗布したが、いずれか一方を貧フィラー型接着剤R2によって補強した構成であってもよい。
【0043】
(光ヘッド装置の製造方法/別の接着方法)
図3(A)〜(D)はそれぞれ、本発明に係る光ヘッド装置の製造工程のうち、受光素子11が実装された回路基板110をフレーム3に接着剤で固定する別の手順を示す工程図である。
【0044】
受光素子11が実装された回路基板110をフレーム3に接着固定するにあたって、本形態でも、まず、シリコン酸化物からなるフィラーを例えば70重量%以上を配合した富フィラー型接着剤と、フィラーの配合量が0重量%〜30重量%の貧フィラー型接着剤とを準備する。
【0045】
このような接着剤を用いて回路基板110(受光素子11)をフレーム3に接着固定するには、まず、図3(A)に示す補強接着工程において、回路基板110、およびフレーム3の複数箇所、例えば、各々の4箇所にディスペンサーから貧フィラー型接着剤R2をスポット状に塗布した後、光照射して貧フィラー型接着剤R2を硬化させる。ここで、貧フィラー型接着剤R2については薄く塗布することが好ましい。
【0046】
次に、図3(B)に示す位置調整工程において、受光素子11が実装された回路基板110をハンド200でチャックする。この状態で、DVD用レーザダイオード4を発光させ、それを受光素子11でモニターしながらハンド200を移動させ、受光素子11が実装された回路基板110の位置を三次元的に調整する。この状態でフレーム3と回路基板110との間には、2.5mm程度の隙間Gがあいている。
【0047】
次に、図3(B)に示す接着固定工程において、ディスペンサーから、回路基板110とフレーム3との間のうち、貧フィラー型接着剤R2が塗布されている領域に富フィラー型接着剤R1を塗布した後、光照射して富フィラー型接着剤R1を硬化させる。
【0048】
次に、図3(D)に治具脱着工程において、回路基板110からハンド200離す。
【0049】
このような方法で接着固定を行った場合も、光学素子(受光素子11が実装された回路基板110)をフレーム3から間隙をあけて高い位置精度をもって接着する機能をチクソ性の高い富フィラー型接着剤R1が担う一方、接着力が弱く、かつ、浮きが発生しやすいという富フィラー型接着剤R1の欠点を、粘度の低い貧フィラー型接着剤R2が補うことができる。このため、光学素子とフレーム3とを高い位置精度をもって接着でき、かつ、この接着部分の信頼性が高い。
【0050】
また、富フィラー型接着剤R1を長い時間をかけて硬化させるなどの方法と違って、装置の稼働率が低下しないなど、高い生産性を維持することができる。
【0051】
さらに、貧フィラー型接着剤R2を塗布する工程については、位置調整を行う必要がない。このため、貧フィラー型接着剤R2を塗布する工程を、通常の塗布、硬化装置で行えばよいので、接着剤の塗布、硬化工程が1回、増えたといっても、生産性が大きく低下することはない。
【0052】
なお、本形態では、回路基板110およびフレーム3の双方に対して貧フィラー型接着剤R2を塗布したが、いずれか一方に貧フィラー型接着剤R2を塗布した構成であってもよい。
【0053】
(その他の実施の形態)
なお、図1に示すCD用レーザダイオード5が固着されたヒートシンク40をフレーム3に接着固定する際も、受光素子11(回路基板10)をフレーム3に接着固定した工程と同様に行えばよい。
【0054】
また、図1に示す立ち上げミラー8をフレーム3に実装する場合も、立ち上げミラー8の位置を三次元的に調整した後、接着剤で固定するので、この工程についても、受光素子11(回路基板110)をフレーム3に接着固定した工程と同様に行えばよい。
【0055】
ここで、富フィラー型接着剤および貧フィラー型接着剤については、接着剤成分が異なるUV硬化性、あるいは可視光硬化性のアクリル系光硬化接着剤やエポキシ系光硬化接着剤を用いることができるが、接着剤成分が同系の富フィラー型接着剤、および貧フィラー型接着剤を用いれば、富フィラー型接着剤と貧フィラー型接着剤との接着力が高いという利点がある。
【0056】
さらに、上記の形態では、図2を参照して説明したように、富フィラー型接着剤R1を塗布した後、富フィラー型接着剤R1を硬化させ、次に、貧フィラー型接着剤R2を塗布した後、貧フィラー型接着剤R2を硬化させたが、富フィラー型接着剤R1を塗布した後は、富フィラー型接着剤R1を一切、硬化させずに、あるいは半硬化の状態に止めておき、貧フィラー型接着剤R2の塗布後、貧フィラー型接着剤R2を硬化させる際に、富フィラー型接着剤R1を一緒に完全硬化させてもよい。
【0057】
同様に、図3を参照して説明した方法でも、貧フィラー型接着剤R2を塗布した後、貧フィラー型接着剤R2を硬化させ、次に、富フィラー型接着剤R1を塗布した後、富フィラー型接着剤R1を硬化させたが、貧フィラー型接着剤R2を塗布した後は、貧フィラー型接着剤R2を一切、硬化させずに、あるいは半硬化の状態に止めておき、富フィラー型接着剤R1の塗布後、富フィラー型接着剤R1を硬化させる際に、貧フィラー型接着剤R2を一緒に完全硬化させてもよい。
【0058】
また、上記形態では、受光素子11などの光学素子の位置を調整してから、光学素子とフレーム3との間の複数箇所に富フィラー型接着剤R1を塗布したが、光学素子あるいはフレーム3の複数箇所に富フィラー型接着剤R1をスポット状に塗布した後、光学素子の位置調整を行い、しかる後に、富フィラー型接着剤R1を硬化させてもよい。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、第1の部材と第2の部材とを間隙をあけて高い位置精度をもって接着する機能をチクソ性の高い富フィラー型接着剤が担う一方、接着力が弱く、かつ、浮きが発生しやすいという富フィラー型接着剤の欠点を粘度の低い貧フィラー型接着剤で補う。このため、第1の部材と第2の部材とを間隙をあけて高い位置精度をもって接着でき、かつ、この接着部分の信頼性が高い。また、富フィラー型接着剤を長い時間をかけて硬化させるなどの方法と違って、装置の稼働率が低下しないなど、高い生産性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される光ヘッド装置の要部の平面図である。
【図2】(A)〜(D)はそれぞれ、本発明に係る光ヘッド装置の製造工程のうち、フレームに対して受光素子を接着固定する手順を示す工程図である。
【図3】(A)〜(D)はそれぞれ、本発明に係る光ヘッド装置の製造工程のうち、フレームに対して受光素子を接着固定する別の手順を示す工程図である。
【図4】(A)、(B)はそれぞれ、粘度が高い接着剤を塗布した様子を示す説明図、および粘度が低い接着剤で2つの部材を接着固定した様子を示す説明図である。
【符号の説明】
1 光ヘッド装置
3 フレーム
4 DVD用レーザダイオード(光学素子)
5 CD用レーザダイオード(光学素子)
8 立ち上げミラー
9 対物レンズ
11 受光素子
70 対物レンズ駆動装置
71 レンズホルダ
200 ハンド
500 UV硬化装置
R1 富フィラー型接着剤
R2 貧フィラー型接着剤
Claims (6)
- 所定の間隙をあけて配置された第1の部材と第2の部材との接着構造であって、
前記第1の部材と前記第2の部材との間には、フィラーを多量に含む富フィラー型接着剤が介在しているとともに、
前記第1の部材と前記富フィラー型接着剤とに接触する部分、および前記第2の部材と前記富フィラー型接着剤とに接触する部分のうちの少なくとも一方に対して、前記富フィラー型接着剤よりもフィラー含有量の少ない貧フィラー型接着剤が塗布されていることを特徴とする接着構造。 - 請求項1において、前記富フィラー型接着剤として、フィラー含有量が70重量%以上の接着剤が用いられ、
前記貧フィラー型接着剤として、フィラー含有量が30重量%以下の接着剤が用いられていることを特徴とする接着構造。 - 請求項1または2において、前記第1の部材と前記第2の部材とは、前記富フィラー型接着剤によって直接、接着されているとともに、
前記貧フィラー型接着剤は、前記第1の部材と前記富フィラー型接着剤とに跨る領域、および前記第2の部材と前記富フィラー型接着剤とに跨る領域のうちの少なくとも一方に塗布されていることを特徴とする接着構造。 - 請求項1または2において、前記貧フィラー型接着剤は、前記第1の部材と前記富フィラー型接着剤との間、および前記第2の部材と前記富フィラー型接着剤との間のうちの少なくとも一方に塗布されていることを特徴とする接着構造。
- 請求項1ないし4のいずれかに規定する接着構造を備えた光ヘッド装置であって、レーザ光源からの出射光を光記録媒体に収束させる対物レンズが搭載されるフレーム、および光学素子が各々前記第1の部材および前記第2の部材として接着固定されていることを特徴とする光ヘッド装置の製造方法。
- 請求項5において、前記光学素子は、レーザ光源素子、受光素子、およびミラーのうちのいずれかであることを特徴とする光ヘッド装置。
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CN104635316A (zh) * | 2015-02-06 | 2015-05-20 | 上海索广映像有限公司 | 一种四棱镜接着治具及其工作原理 |
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