JP2004010750A - 塗料組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(I)下記式(1)で示されるオルガノシラン、その部分加水分解縮合物のどちらか一方、あるいは両方の100質量部と、(II)加水分解性シリル基又は水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を持つウレタン樹脂5〜200質量部とを加水分解縮合させた有機無機複合樹脂からなる結合剤と有機溶剤を含有する塗料組成物。
R1 nSi(OR2)4−n (1)
(式中、R1は炭素数1〜8の有機基であり、R2は炭素数1〜5のアルキル基であり、nは1又は2である)
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、密着性や耐熱水性、耐候性、耐汚染性、耐アルカリ性等の特性に優れた塗膜を形成することのできる有機無機複合樹脂を結合剤とする塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
オルガノシラン及び/又はその部分加水分解縮合物と、シリル基含有ビニル系樹脂を加水分解縮合反応して得られる有機無機複合樹脂を結合剤とする塗膜は、耐候性や耐汚染性等に優れ、またオルガノポリシロキサン系無機樹脂を結合剤とする塗膜のようにクラックが生じにくく、それ故前述の有機無機複合樹脂を結合剤とする塗料組成物が注目されるようになってきている。
【0003】
しかしながら、金属やウレタン樹脂系プラスチック等の基材に対する密着性がやや劣り、改良の余地があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記課題を解決するにあたり、特定の有機無機複合樹脂を用いることにより、基材密着性や、耐熱水性、耐アルカリ性、耐候性、耐汚染性等に優れた塗膜を形成することが可能な塗料組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に従って、(I)下記式(1)で示されるオルガノシラン、その部分加水分解縮合物のどちらか一方、あるいは両方の100質量部と、(II)加水分解性シリル基又は水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を持つウレタン樹脂5〜200質量部、との加水分解縮合物である有機無機複合樹脂からなる結合剤と有機溶剤を含有する塗料組成物が提供される。
【0006】
R1 nSi(OR2)4−n (1)
(式中、R1は炭素数1〜8の有機基であり、R2は炭素数1〜5のアルキル基であり、nは1又は2である)
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0008】
本発明の塗料組成物の各構成成分について説明する。まず、有機無機複合樹脂の各成分及び製造法について説明する。
【0009】
<(I)成分>
(I)成分は、
R1 nSi(OR2)4−n (1)
(式中、R1は炭素数1〜8の有機基であり、R2は炭素数1〜5のアルキル基であり、nは1又は2である)
で示されるオルガノシラン及び/又はその部分加水分解縮合物である。
【0010】
上記式(1)において、R1としての炭素数1〜8の有機基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びビニル基等が挙げられる。
【0011】
ここで、アルキル基としては、直鎖でも分岐したものでもよい。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基及びオクチル基等のアルキル基が挙げられる。好ましくは炭素数が1〜4個のものである。
【0012】
シクロアルキル基としては、例えば、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びシクロオクチル基等が好適に挙げられる。アリール基としては、例えばフェニル基等が挙げられる。
【0013】
上記各官能は、任意に置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、塩素原子、臭素原子及びフッ素原子等のハロゲン原子、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基及び脂環式基等が挙げられる。
【0014】
R2としてのアルキル基としては、直鎖でも分岐したものでもよい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基及びペンチル基等が挙げられ、好ましくは炭素数が1又は2個のものである。
【0015】
上記式(1)で示されるオルガノシランの具体例としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン及びジメチルジプロポキシシラン等が挙げられるが、好ましくは、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン及びジメチルジメトキシシランである。
【0016】
これらオルガノシランは、1種単独で使用することも、2種以上混合して使用することもできる。
【0017】
(I)成分は、以上に説明したオルガノシランの部分加水分解縮合物であってもよい。該縮合物のポリスチレン換算重量平均分子量は、例えば、300〜5000が好ましく、より好ましくは500〜3000が適当であり、このような分子量の縮合物を使用することにより、貯蔵安定性を悪化させることなく、密着性の良好な塗膜が得られる。また、オルガノシランの部分加水分解縮合物は、分子中にケイ素原子に結合した−OH基や−OR2基を1個以上有するものが好ましく、より好ましくは3〜30個有するものが適当である。
【0018】
このような縮合物の具体例としては、市販品として東レ・ダウコーニング社製のSH6018、SR2402、DC3037、DC3074;信越化学工業社製のKR−211、KR−212、KR−213、KR−214、KR−216、KR−218;東芝シリコーン社製のTSR−145、TSR−160、TSR−165及びYR−3187等が挙げられる。
【0019】
本発明において(I)成分は、前述の式(1)のn値が1のオルガノシラン及び/又はその部分加水分解縮合物(I−1)と、n値が2のオルガノシラン及び/又はその部分加水分解縮合物(I−2)との質量比(I−1:I−2)が(50:50〜100:0)が好ましく、より好ましくは(60:40〜95:5)の混合物が、加水分解縮合反応させる際、安定に反応し、また耐クラック性の良い塗膜が得られるので望ましい。
【0020】
<(II)成分>
(II)成分は、ウレタン樹脂の末端あるいは側鎖に加水分解性シリル基又は水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を樹脂1分子中に少なくとも1個、好ましくは2個以上有し、より好ましくは、重量平均分子量が例えば、約1000〜50000のウレタン樹脂である。
【0021】
前記シリル基は、
−SiXP(R3)(3−P) (2)
(式中、Xはアルコキシ基や、アシロキシ基、ハロゲン基、ケトキシメート基等の加水分解性基又は水酸基;R3は水素又は炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アラルキル基等の1価の炭化水素基であり、Pは1〜3の整数である)で示されるものである。
【0022】
アルコキシ基におけるアルキル基としては、例えば、炭素数1〜10が好ましく、より好ましくは、炭素数1〜5のアルキル基であることが適当であり、直鎖でも分岐したものでもよい。このようなアルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基及びペンチル基等を好適に挙げることができる。
【0023】
アシロキシ基としては、例えば、アセトキシ基やベンゾイロキシ基等を好適に挙げることができる。
【0024】
ハロゲン基としては、例えば、塩素原子、臭素原子及びフッ素原子等を好適に挙げることができる。
【0025】
ケトキシメート基としては、例えば、アセトキシメート基及びジメチルケトキシメート基等を好適に挙げることができる。
【0026】
R3としての炭素数1〜10のアルキル基は、直鎖でも分岐したものでもよい。このようなアルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基及びペンチル基等を好適に挙げることができる。
【0027】
アリール基としては、例えばフェニル基等が好適に挙げられる。
【0028】
アラルキル基は、アルキル基の水素原子が、アリール基によって置換された構造を有する基であり、アルキル基及びアリール基の範囲は、上記の通りである。
【0029】
シリル基含有ウレタン樹脂は、例えば、
(X)P(R3)(3−P)Si−CH2CH2CH2NCO (3)
〔式中、X、R3及びpは、上記式(2)と同じである〕
で示されるイソシアネート基と加水分解性基とをもつイソシアナト基含有シラン化合物を用いて、ウレタン樹脂製造時にポリイソシアネートと同時又は、二段反応にて水酸基含有化合物とのウレタン化反応時に用いることにより製造される。
【0030】
なお、前記イソシアナト基含有シラン化合物としては、例えば、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン及びγ−イソシアナトプロピルジエチルメトキシシラン等が代表的なものとして挙げられる。
【0031】
イソシアナト基含有シラン化合物の使用量は、ウレタン樹脂1モル中に対し、0.5〜2モル含む量が適当である。
【0032】
ウレタン化反応時に用いる上記、水酸基含有化合物は1分子中に少なくとも2個以上の水酸基をもつ化合物であり、具体的にはエチレングリコール、1,2−及び1,3−プロパンジオール、1,3−及び1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコール及びテトラプロピレングリコール等のジオール化合物;グリセロール、トリメチロールプロパン及びペンタエリトリトール等の多価アルコール化合物や、水酸基価50〜400mgKOH/gを有するポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオール、ポリエーテルポリオール及びアクリルポリオール等を用いることができる。アクリルポリオールは側鎖に加水分解性シリル基又は水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を持つものでもよい。
【0033】
次に、ウレタン化反応時に用いるポリイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,11−ウンデカンジイソシアネート、1,12−ドデカンジイソシアネートのような直鎖状脂肪族ポリイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート、2,4−ジイソシアナトトルエンのような環状ポリイソシアネート化合物;及びヘキサメチレンジイソシアネートに基づきかつ最大分子量1000を有する公知の高級官能ラッカーポリイソシアネート化合物を用いることができる。
【0034】
ウレタン化反応に使用される触媒としては、トリエチルアミン、オクタン酸スズ(II)、ジブチルスズオキシド及びジブチルスズジラウレート等が代表的なものとして挙げられる。
【0035】
次に、本発明の結合剤となる有機無機複合樹脂の製造方法について説明する。
【0036】
まず、(I)成分と(II)成分、及び水、触媒、更に必要に応じて有機溶剤の存在下で、混合、攪拌し、加水分解縮合反応させる。
【0037】
(I)成分と(II)成分の混合する質量割合は、4:6〜8:2が好ましく、特には5:5〜6:4であることが好ましい。
【0038】
なお、後者が上記の範囲より少ないと、得られる塗膜の外観や耐クラック性、耐凍害性、耐アルカリ性等が悪くなり易く、逆に多過ぎると得られる塗膜の耐候性、耐汚染性、金属やウレタン樹脂系プラスチックに対する密着性等が低下し易くなるので好ましくない。
【0039】
また、加水分解及び縮合反応に用いる水の量は、(I)成分と(II)成分との混合物中に初期に存在していた加水分解性基1当量に対して、0.2〜1.0当量が好ましい。
【0040】
また、加水分解及び縮合反応の触媒としては、硝酸、塩酸等の無機酸や、酢酸、蟻酸及びプロピオン酸等の有機酸を挙げることができる。触媒の添加量は、(I)と(II)の混合物のpHが3〜6になる量が好ましい。加水分解縮合反応は、(I)成分と(II)成分との混合物を、水及び触媒の存在下、40〜80℃が好ましく、より好ましくは45〜65℃で、2〜10時間攪拌しながら反応させる方法が適当であるが、この方法に限定されるものではない。なお、水の量を(I)成分と(II)成分との混合物中に初期に存在していた加水分解性基1当量の0.2〜1.0当量とするのは、有機無機複合樹脂となった時の貯蔵安定性が良好になり、また塗料に用いた時に透明性の高い膜形成が可能であるためである。なお、(I)成分と(II)成分の加水分解縮合反応を上記のように一段階で実施することは可能であるが、生成物の貯蔵安定性の観点から次のような二段階で反応することが好ましい。
【0041】
即ち、第一段階として水及び酸触媒の存在下で、(I)成分と(II)成分との混合物中に初期に存在していた加水分解性基の好ましくは40〜80質量%、より好ましくは45〜70質量%が加水分解縮合反応するように、好ましくは40〜80℃、より好ましくは45〜65℃で1〜8時間、攪拌しながら反応させる。
【0042】
第二段階として、第一段階に続いて、更に水及びトリメトキシボラン、トリエトキシボラン等のトリアルコキシボラン;トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシジ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム等のジルコニウムキレート化合物、ジイソプロポキシビス(アセチルアセテート)チタン、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタン等のチタンキレート化合物、モノアセチルアセテートビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム等のアルミニウムキレート化合物等の有機金属化合物触媒を添加し、加水分解及び縮合反応させる。
【0043】
第二段階で添加する水の量は、(I)成分と(II)成分との混合物中に初期に存在していた加水分解性基の好ましくは45〜100質量%、より好ましくは50〜90質量%が加水分解及び縮合反応するのに充分な量である。
【0044】
第二段階で用いるトリアルコキシボランや有機金属化合物触媒は、縮合反応を促進し、塗膜の外観や、耐候性、耐汚染性、耐熱水性等を向上させることができる。これら触媒量は、第一段階で得られた反応物と未反応で残っている上記(I)成分と(II)成分との合計量100質量部に対して、0.001〜5質量部が好ましく、より好ましくは0.005〜2質量部が適当である。第二段階における加水分解縮合反応は、第一段階と同様に40〜80℃で2〜5時間反応させるのが適当である。
【0045】
本発明の組成物の固形分量を調整するための希釈用として、また同時に塗装作業性等を向上させるために有機溶剤を使用する。その具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール及びブタノール等のアルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル及びエチレングリコールモノブチルエーテル等のアルコールエーテル類、アセトン及びメチルエチルケトン等のケトン類等の親水性有機溶剤やトルエン、キシレン、酢酸エチル及び酢酸ブチル等の疎水性の各種塗料用有機溶剤との混合有機溶剤が挙げられる。有機溶剤の配合量は、使用目的に応じて調整するが、塗料組成物中、20〜90質量%が好ましく、より好ましくは40〜80質量%である。
【0046】
本発明の塗料組成物は、上述した有機無機複合樹脂、有機溶剤、更に必要に応じて、塗料組成物の貯蔵安定性や塗装作業性を良くするための充填剤及び染料、更には、硬化促進剤、増粘剤、顔料分散剤、光安定剤及び紫外線吸収剤等の各種添加剤等を配合したものから構成される。
【0047】
前記充填材としては、タルク、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、ベントナイト、酸化チタン、カーボンブラック、ベンガラ及びリトポン等の各種塗料用体質顔料や着色顔料が使用可能である。充填材の配合量は、塗料組成物の固形分100質量部に対して、0〜70質量部が好ましく、特には0〜50質量部が好ましい。
【0048】
前記硬化促進剤としては、オクチル酸スズ、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジマレート及びトリブチルスズラウレート等の有機スズ化合物、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ピペリジン、フェニレンジアミン、トリエチルアミン等のアミン化合物、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、硫酸マグネシウム等の無機酸塩類;蟻酸リチウム、酢酸マグネシウム等の有機酸塩等が代表的なものとして挙げられるが、特に有機スズ化合物が有効である。
【0049】
本発明の塗料組成物は、被塗物表面に刷毛、スプレー、ロール及びディッピング等の塗装手段により塗装し、常温もしくは300℃以下の温度で焼付けることにより硬化塗膜を形成することが可能である。なお、被塗物としては、無機窯業基材や、ステンレス、アルミニウム等の各種金属基材、ガラス基材、プラスチック基材、紙基材等の各種被塗物に使用可能である。
【0050】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、更に詳細に説明する。なお、実施例中の「部」、「%」は、特に断らない限り質量基準で示す。
【0051】
<ポリエステルポリオール溶液(イ)の調製>
攪拌機、冷却器、加熱器及び水分離器を備えた3リットルの反応器に、1,6−ヘキサンジオール564部、ネオペンチルグリコール80部、アジピン酸584部を投入し、窒素気流中で220℃にゆっくり加熱した。オーバーヘッドの温度は102℃を超えないようにした。生成水を除去しながら縮合を続け、酸価が15mgKOH/gになった時点で冷却し、メチルエチルケトンで不揮発分70%となるように希釈し、ポリエステルポリオール溶液(イ)を調製した。
【0052】
調製したポリエステルポリオール(イ)の水酸基価は175mgKOH/g、数平均分子量は590であった。
【0053】
<ポリエステルポリオール溶液(ロ)の調製>
攪拌機、冷却器、加熱器及び水分離器を備えた3リットルの反応器に、1,6−ヘキサンジオール640部、ネオペンチルグリコール25部、アジピン酸594部を投入し、窒素気流中で220℃にゆっくり加熱した。オーバーヘッドの温度は102℃を超えないようにした。生成水を除去しながら縮合を続け、酸価が10mgKOH/gになった時点で冷却し、メチルエチルケトンで不揮発分70%となるように希釈し、ポリエステルポリオール溶液(ロ)を調製した。
【0054】
調製したポリエステルポリオール(ロ)の水酸基価は170mgKOH/g、数平均分子量は620であった。
【0055】
<有機無機複合樹脂溶液Aの調製>
(1)攪拌機、還流冷却器及び加熱器を備えた反応器に、上記のポリエステルポリオール溶液(イ)267部、イソホロンジイソシアネート57部、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン6部、ジブチルスズジラウレート0.06部を加え、攪拌しながら75℃で1時間反応後、室温まで冷却し、不揮発分76%のシリル基含有ポリウレタン溶液を得た。このポリウレタンは、酸価11mgKOH/g、重量平均分子量28,400であった。
【0056】
(2)攪拌機、還流冷却器及び加熱器を備えた反応器に、(1)で調製したシリル基含有ポリウレタン溶液330部、メチルトリメトキシシランの部分加水分解縮合物(東レ・ダウコーニング(株)製のSR2402;固形分100%)を255部、メチルトリメトキシシランを90部、ジメチルジメトキシシランを20部と、イソプロパノールを100部加え、攪拌混合した後、イオン交換水30部と1規定の塩酸0.5部を加え、60℃で3時間反応させた。次いで、モノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム3部とイオン交換水8部を加え、更に60℃で3時間反応させた。次いで、希釈溶剤としてイソプロパノール317部を加えて攪拌し、固形分濃度45%の有機無機複合樹脂溶液Aを得た。
【0057】
<有機無機複合樹脂溶液Bの調製>
(1)攪拌機、還流冷却器及び加熱器を備えた反応器に、上記のポリエステルポリオール溶液(ロ)267部、イソホロンジイソシアネート57部、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン6部、ジブチルスズジラウレート0.06部を加え、攪拌しながら75℃で1時間反応後、室温まで冷却し、不揮発分76%のシリル基含有ポリウレタン溶液を得た。このポリウレタンは、酸価8mgKOH/g、重量平均分子量29,400であった。
【0058】
(2)表1の配合に従い、上記の有機無機複合樹脂溶液Aの調製(2)と同様にして、有機無機複合樹脂溶液Bを得た。
【0059】
以下同様にして、有機無機複合樹脂溶液C〜Fを、表1の配合に従い、有機無機複合樹脂溶液Aと同様な反応条件で調製した。
【0060】
<有機無機複合樹脂溶液Gの調製>
有機無機複合樹脂溶液Aの調製において、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシランを全てイソホロンジイソシアネートに置き換えた以外は、有機無機複合樹脂溶液Aと同様にして調製し、有機無機複合樹脂溶液Gを得た。
【0061】
<有機無機複合樹脂溶液Hの調製>
表1の配合に従い、有機無機複合樹脂溶液Hを、有機無機複合樹脂溶液Aと同様な反応条件で調製した。
【0062】
<有機無機複合樹脂溶液Iの調製>
攪拌機、還流冷却器及び加熱器を備えた反応器に、ポリエステルポリオール溶液(イ)267部、イソホロンジイソシアネート57部、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン6部、ジブチルスズジラウレート0.06部を加え、攪拌しながら、75℃で1時間反応後、室温まで冷却し、酸価11mgKOH/g、重量平均分子量28,400、不揮発分76%のシリル基含有ポリエステルポリウレタン溶液を得た。
【0063】
これに、希釈溶剤としてイソプロパノール225部を加えて攪拌し、固形分濃度45%の有機無機複合樹脂溶液Iを得た。
【0064】
【表1】
【0065】
(実施例1〜6及び比較例1〜3)
前述の有機無機複合樹脂溶液と硬化促進剤を、表2の上段に示す割合で、塗装直前に混合し、各々の塗料組成物を調製した。
【0066】
得られた塗料組成物につき、以下の通り塗板を作製し、塗膜外観や硬度、耐汚染性、耐熱水性、耐候性、耐アルカリ性及び金属密着性の各塗膜性能試験を行い、その結果をそれぞれ表2の下段に示した。
【0067】
<塗板の作製>
素材として石膏スラグパーライト板(厚さ12mm)を用い、その表面にポリイソシアネートプレポリマー溶液シーラー「Vセラン♯100シーラー」(大日本塗料株式会社製商品名)(酢酸ブチル:キシレン=1:1の溶液で100%希釈)を塗着量が90〜100g/m2(wet質量)となるように吹付塗装した。
【0068】
これを100℃で5分間乾燥した。次いで、ベース塗料として、アクリルシリコーン樹脂系塗料「Vセラン♯500エナメル」(大日本塗料株式会社製商品名)(酢酸ブチル:キシレン=1:1の溶液で40%希釈)を塗着量が80〜90g/m2(wet質量)となるように吹付塗装した。これを120℃で15分間乾燥した。次いで、表2に示す配合からなる塗料組成物を塗着量が130±10g/m2(wet質量)となるように吹付塗装した。これを80℃で12分間乾燥した後、室温で更に3日間乾燥し、塗板を作製した。なお、試験方法及び評価は、以下に基づき行った。
【0069】
但し、金属密着性の評価は、下記に示す通り、表2の塗料組成物をボンデ処理鋼板に、(wet)膜厚100μmとなるようにアプリケータで塗装した。乾燥条件は、上記と同様にした。
【0070】
<塗膜性能試験>
塗膜外観:塗板に形成された塗膜外観を目視判定した。
鉛筆硬度:JIS K 5400(8.4.2)により測定した鉛筆硬度。
耐汚染性:赤、黒マジックインキを塗布してから24時間後に、n−ブタノールで濡らした布で拭き取り、除染性を目視で下記の様に評価した;
◎・・・完全除去
○・・・極く軽微な汚染
×・・・汚染著しい
耐熱水性:塗板を80℃の熱水中に1時間・6時間浸漬した後、塗膜外観の異常を目視し、下記の様に評価した;
◎・・・変化なし
○・・・軽微な白化
△・・・光沢低下及び白化
×・・・光沢低下、白化等の変化大
耐候性:サンシャインウェザー−オーメーター3000時間後の塗膜の光沢を、光沢計で測定し、下記の様に評価した;
○・・・塗膜外観に変化はなく、光沢保持率95%以上
△・・・塗膜外観変化が軽微にあり、光沢保持率80〜94%
×・・・塗膜変化が著しい、光沢保持率80%未満
耐アルカリ性:飽和消石灰アルカリ水溶液に各塗板を40℃で10日間浸漬後、塗膜表面を目視し、下記の様に評価した;
○・・・変化なし
×・・・塗膜表面白濁
金属密着性:ボンデ処理鋼板に、表2に示す塗料組成物を乾燥膜厚100μmとなるようにアプリケータで塗装し、80℃で12分間乾燥後、室温で更に3日間乾燥し、得られた塗膜について碁盤目テープ法(JIS K5400 8.5.2)を実施して、100個の升目中、塗膜の密着している升目の数を測定した。
【0071】
【表2】
【0072】
表2の評価結果から明らかな通り、本発明の塗料組成物である実施例1〜6は、優れた塗膜性能を有していた。
【0073】
一方、シリル基を含まないウレタン樹脂を使用した比較例1、ウレタン樹脂を過剰に使用した比較例2、オルガノシラン加水分解縮合物を使用しない比較例3は、耐汚染性、耐熱水性、耐候性、耐アルカリ性及び金属密着性が劣っていた。
【0074】
【発明の効果】
上述したように、本発明によって、基材密着性、耐熱水性、耐候性、耐汚染性及び耐アルカリ性等に優れた塗膜を形成させることのできる塗料組成物を提供することが可能となった。
Claims (2)
- (I)式(1)で示されるオルガノシラン、その部分加水分解縮合物のどちらか一方、あるいは両方の100質量部と、
R1 nSi(OR2)4−n (1)
(式中、R1は炭素数1〜8の有機基であり、R2は炭素数1〜5のアルキル基であり、nは1又は2である)
(II)加水分解性シリル基又は水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を含有するウレタン樹脂5〜200質量部とを
加水分解縮合反応させて得られた有機無機複合樹脂からなる結合剤と有機溶剤を含有することを特徴とする塗料組成物。 - 上記に示される成分(I)と成分(II)の質量比が、4:6〜8:2である有機無機複合樹脂を主成分とする請求項1に記載の塗料組成物。
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