JP2006225512A - コロイド状シリカ結合ポリシロキサン含有塗料組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】
塗膜表面に耐汚染性、耐温水性、耐久性に優れた水性防汚層を形成する塗料組成物を提供する。
【解決手段】
塗料組成物として、(a)一般式(1)Si(OR1x(OR2(4-x)
〔式中、R1及びR2は、炭素数1〜8の有機基であり、xは、0〜4の整数である。〕
で示されるテトラアルコキシシラン又はその部分加水分解縮合物100質量部と、(b)コロイド状シリカ(固形分換算)10〜500質量部と、を加水分解縮合させて得られる生成物に、(c)希釈剤として水及び/又は有機溶剤を、250〜700000質量部を添加して得られるポリシロキサン溶液を含有する。

Description

本発明は、耐汚染性、耐温水性及び耐久性に優れ、かつ自己洗浄能力を有する防汚層を形成することのできる塗料組成物及びその調製方法に関する。
オルガノポリシロキサン系の無機樹脂を結合剤とする塗膜は、耐候性や耐汚染性等に優れるものの、クラックが生じ易い。また、オルガノシラン又はその部分加水分解縮合物と、シリル基含有化合物とを加水分解縮合反応させて得られる有機無機複合樹脂を結合剤とする塗膜は、クラックが生じにくいものの、耐汚染性や、耐候性、耐溶剤性にやや劣る問題点があった(例えば、特許文献1及び2参照)。
特開2003−313497号公報 特開2001−98221号公報
本発明は、このような従来技術の課題を背景になされたもので、無機樹脂として特定のオルガノシラン又はその部分加水分解縮合物と、コロイド状シリカとを加水分解縮合させて得られるポリシロキサンを結合剤に用いることにより、低温でのクラックが生じにくく、また、耐汚染性や、耐温水性、耐久性に優れ、かつ自己洗浄能力を有する防汚層を形成することのできる塗料組成物を提供することを目的とする。
即ち、本発明は、以下の構成を有する発明に関するものである。
1.(a)一般式(1)、
Si(OR1x(OR2(4-x)
〔式中、R1及びR2は、炭素数1〜8の有機基であり、xは、0〜4の整数である。〕
で示されるテトラアルコキシシラン又はその部分加水分解縮合物100質量部と、
(b)コロイド状シリカ(固形分換算)10〜500質量部と、
を加水分解縮合させて得られるシリカ含有縮合生成物に、
(c)希釈剤として、水又は有機溶剤を、前記テトラアルコキシシラン又はその部分加水分解縮合物100質量部当たり、250〜700000質量部を添加して得られるポリシロキサン溶液を含有することを特徴とする塗料組成物。
2.塗料組成物の調製方法であって、以下の工程、
(1)(a)一般式(1)、
Si(OR1x(OR2(4-x)
〔式中、R1及びR2は、炭素数1〜8の有機基であり、xは、0〜4の整数である。〕
で示されるテトラアルコキシシラン又はその部分加水分解縮合物100質量部と、
(b)コロイド状シリカ(固形分換算)10〜500質量部と、
を加水分解縮合させて、シリカ含有縮合生成物を生成する工程、
(2)前記シリカ含有縮合生成物に対して、前記テトラアルコキシシラン又はその部分加水分解縮合物100質量部当たり、(c)希釈剤として、水又は有機溶剤を、250〜700000質量部を添加して、ポリシロキサン溶液を調製する工程、
(3)前記ポリシロキサン溶液を塗料成分として使用する工程、
を含有することを特徴とする塗料組成物の調製方法。
以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明の塗料組成物の各構成成分について説明する。
まず、本発明の塗料組成物の結合剤となるポリシロキサンの溶液を製造するために使用する各成分について説明する。
(a)成分について
(a)成分は、一般式(1)、
Si(OR1x(OR2(4-x)
〔式中、R1及びR2は、炭素数1〜8の有機基であり、xは、0〜4の整数である。〕で示されるテトラアルコキシシラン又はその部分加水分解縮合物である。
上記式において、R1及びR2としての有機基としては、例えば、アルキル基や、シクロアルキル基、アリール基等が好適に挙げられる。R1及びR2は、同一のものであっても、異なるものであってもよい。
ここで、アルキル基としては、直鎖でも分岐したものでもよい。アルキル基としては、例えば、メチル基や、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基が挙げられる。好ましいアルキル基は、炭素数が、1〜4個のアルキル基である。
シクロアルキル基としては、例えば、シクロヘキシル基や、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が好適に挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル基等が挙げられる。
上記式(1)で示されるテトラアルコキシシランの具体例としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、トリエトキシブトキシシランなどがある。
これらテトラアルコキシシランは、1種単独で使用することも、2種以上の混合物として使用することもできる。
(a)成分は、以上説明したテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物であってもよい。該縮合物のポリスチレン換算重量平均分子量は、例えば、300〜5000、好ましくは、500〜3000が適当であり、このような分子量の縮合物を使用することにより、貯蔵安定性を悪化させることなく、密着性の良い塗膜が得られる。また、テトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物は、ケイ素原子に結合した−OH基や、−OR1基、−OR2基を1個以上、好ましくは、3〜30個有するものが適当である。
このような縮合物の具体例としては、市販品として、エチルシリケート40、エチルシリケート56(共に、コルコート社製)などが挙げられる。
(b)成分について
(b)成分のコロイド状シリカとしては、シリカ粒子が、水あるいは有機溶剤に分散したものが好適に使用される。コロイド状シリカは、通常、平均粒径が、5〜100nm、好ましくは、10〜30nmのほぼ球状のシリカ粒子が分散したタイプと、シリカ粒子が太さ5〜50nm、長さ40〜400nm程度に鎖状に凝集して溶液中に分散したタイプと、平均粒径5〜50nmのシリカ粒子が環状に凝集して溶液中に分散した環状タイプなどがあり、いずれも使用可能である。また、異なるタイプの物を混合して使用することもできる。
ほぼ球状のシリカ粒子が水に分散したシリカ粒子は、市販品として容易に入手することができ、このようなコロイド状シリカは、例えば、日産化学工業(株)製のスノーテックス−20、スノーテックス−O、スノーテックス−C、スノーテックス−Sや、旭電化工業(株)製のアデライトAT−20、AT−20N、AT−20A、AT−300等が好適に挙げられる。
また、ほぼ球状のシリカ粒子が有機溶剤に分散したコロイド状シリカは、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等の低級アルコール類;エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコール誘導体;ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコール誘導体;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;その他、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の有機溶剤に、シリカ粒子を分散させたものであり、この有機溶剤分散コロイド状シリカも、市販品として容易に入手することができ、例えば、日産化学工業(株)製のスノーテックスMA−ST−M、IPA−ST、EG−ST、EG−ST−ZL等が好適に挙げられる。
鎖状コロイド状シリカは、水あるいは前述の有機溶剤に分散したものであり、市販品として容易に入手することができ、具体例としては、例えば、日産化学工業(株)製のスノーテックス−UP、スノーテックス−OUP(以上、水分散系)、スノーテックスMA−ST−UP、IPA−ST−UP(以上、有機溶剤分散系)等が好適に挙げられる。
環状コロイド状シリカは、市販品として、日産化学工業(株)製のスノーテックス−PS−SO、スノーテックス−PS−M、スノーテックス−PS−Lなどが好適に挙げられる。
(b)成分は、塗膜の硬化性や耐汚染性を向上させるために使用され、その配合量は、前記(a)成分100質量部に対して、固形分換算で、例えば、10〜500質量部、好ましくは、20〜300質量部が適当である。(b)成分の配合量が、前記範囲より少ないと、塗膜の硬化性や、耐汚染性を向上させる効果が少なく、逆に多すぎると、混和安定性や、塗膜の耐クラック性等が低下する傾向にある。
コロイド状シリカ((b)成分)の分散液のpHは、6以下であることが好ましく、更には、pHが3〜5であることが好ましい。コロイド状シリカの分散液のpHが、6より大きいと、得られるポリシロキサン溶液の貯蔵安定性が不十分となり、好ましくない。
(a)成分と、(b)成分との反応には、(b)成分が水に分散したものであれば、(b)成分中の水を利用し、加水分解縮合反応を行うことができる。一方、(b)成分が有機溶剤に分散したものでは、(a)成分が50%以上加水分解可能な水を加えることで加水分解縮合反応を行うことができる。また、反応を促進させるための触媒として、酢酸や、塩酸、硝酸、蟻酸等の酸、又はアンモニアや、アミン化合物等の塩基性化合物を、添加するのが好ましい。
加水分解又は部分縮合反応は、通常、40〜80℃、好ましくは、45〜65℃で、例えば、2〜15時間反応させるのが適当であるが、触媒の存在下では常温下で反応させることも可能である。
(c)成分について
上記のようにして得られた(a)成分と(b)成分とのシリカ含有縮合生成物に、(c)希釈剤として、水又は有機溶剤を添加してポリシロキサン溶液が得られる。
(c)希釈剤として用いられる水としては、純水や蒸留水、イオン交換水、水道水などを使用することができる。
有機溶媒としては、メタノールや、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類や、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のアルコールエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等の親水性有機溶媒や、それとトルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の疎水性の各種塗料用有機溶媒との混合有機溶媒が使用可能である。
(c)成分の配合量は、(a)成分100質量部に対して、(c)成分250〜700000質量部であり、好ましくは、500〜70000質量部が適当である。(c)成分の配合量が、前記範囲より少ないと、均一な塗膜が得られ難く、逆に多すぎると、得られたポリシロキサン溶液の安定性が劣る傾向にある。
有機溶媒の中でも、特に塗料の安定性及び下塗塗膜のリフティングを防ぐため、水に可溶なアルコールが好ましく、例えば、メタノールや、エタノール、プロパノール等の低級アルコール類、特に一般式(2)、
HO−(CHR3CH2O)n4
〔式中、R3は、CH3又はHであり、R4は、炭素数1〜8のアルキル基であり、nは1又は2である。〕
で示される有機溶剤を、1〜5質量%塗料組成物中に含有することが好ましい。上記一般式(2)の有機溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルや、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルなどが好適に挙げられる。
これらは単独であるいは混合して使用することができる。
(d)成分について
必要に応じて、(d)成分としては、濃度0.01質量%水溶液の表面張力が40dyn/cm(25℃)以下となる界面活性剤を使用することができる。(d)成分は、上記のようにして得られたポリシロキサン溶液の塗膜外観を向上する目的で、上記塗料組成物中に固形分換算で0.001〜3質量%配合するのが好ましい。なお、3質量%超える量を用いると、逆に塗膜外観及び塗膜の耐水性が劣り易く好ましくない。(d)成分の濃度0.01質量%水溶液の表面張力が40dyn/cmよりも大きいと、均一な塗膜が得られずムラのある塗膜外観となり、好ましくない。
(d)界面活性剤としては、例えば、アニオン系や、ノニオン系界面活性剤を用いることができる。その具体例としては、例えば、ノイゲンET−143や、ET−135(第一工業製薬(株)製)、ペレックスNB−L(花王(株)製)、フロラードFC4430(住友スリーエム(株)製)、ポリフローKL−600(共栄化学(株)製)、サーフロンS−111、S−141(セイミケミカル(株)製)などが好適に挙げられるが、特にフッソ系界面活性剤がより好ましい。
このように得られたポリシロキサン溶液は、150℃で30分間乾燥後の加熱残分が、通常0.01〜40質量%であるが、均一な塗膜を得るため、また、ポリシロキサン溶液の安定性を十分なものとする理由から、ポリシロキサン溶液の加熱残分が0.1〜10質量%であることが望ましい。
本発明の塗料組成物は、上記のポリシロキサン溶液を塗料成分として含有する。
本発明の塗料組成物の表面張力は、50dyn/cm(25℃)以下であり、好ましくは、45〜15dyn/cm(25℃)であり、50dyn/cm(25℃)よりも大きいと、均一な塗膜形成ができないため、十分な塗膜性能が発揮できない。
本発明の塗料組成物は、以上説明した(a)成分と、(b)成分との加水分解縮合反応物と、(c)希釈剤とからなるポリシロキサン溶液を含有するが、更に、必要に応じて、塗膜物性の向上や着色などのために、充填剤や、染料、硬化剤、更には、硬化促進剤、増粘剤、顔料分散剤等の各種添加剤などを配合してもよい。
充填材としては、例えば、タルクや、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、酸化チタン、カーボンブラック、ベンガラ、リトポン等の各種塗料用体質顔料や、着色顔料が使用可能である。充填材の配合量は、塗料組成物の固形分中、0〜70質量%、好ましくは、0〜50質量%が適当である。
硬化剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシランや、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−シクロへキシル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−シクロヘキシル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン等の分子内にアミノ基を有する、加水分解縮合反応可能なアルコキシシランや、
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランや、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロペニルオキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイミノオキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリイソプロペニルオキシシランとグリシドールとの付加物等のエポキシ基を有する、加水分解縮合反応可能なアルコキシシラン等が挙げられる。
硬化促進剤としては、例えば、オクチル酸スズや、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジマレート、トリブチルスズラウレート等の有機スズ化合物や、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ピペリジン、フェニレンジアミン、トリエチルアミンなどのアミン化合物等が代表的なものとして挙げられるが、特に有機スズ化合物が有効である。
本発明の塗料組成物は、被塗物表面に刷毛や、スプレー、ロール、ディッピングなどの塗装手段により塗装し、例えば、常温もしくは300℃以下の温度で焼付けることにより、硬化塗膜を形成することが可能である。
被塗物としては、例えば、無機窯業基材や、ステンレス、アルミニウム等の各種金属基材、ガラス基材、プラスチック基材、紙基材などの各種被塗物に適用可能である。
以下、本発明について、実施例により更に詳細に説明する。
なお、実施例中の「部」や「%」は、特に断らない限り、質量基準で示す。
参考例1
還流冷却器及び撹拌機を備えた反応器に、メタノール200部を入れ、次に(a)テトラエトキシシランを100部と、(b)イソプロパノール分散コロイド状シリカ(日産化学工業(株)製、IPA−ST;固形分30%、pH3.2)230部を加え、混合した後、撹拌しながら、イオン交換水250部と0.1規定の塩酸水溶液6部との混合液を加え、60℃で3時間反応させた後、イオン交換水1200部を加え、室温まで冷却し、表面張力25dyn/cmのポリシロキサン溶液A(固形分5%)を得た。
参考例2
還流冷却器及び撹拌機を備えた反応器に、メタノール200部を入れ、次に(a)テトラメトキシシランを100部と、(b)イソプロパノール分散コロイド状シリカ(日産化学工業(株)製、IPA−ST;固形分30%、pH3.2)100部を加え、混合した後、撹拌しながら、イオン交換水250部と0.1規定の塩酸水溶液6部の混合液を加え、60℃で3時間反応させた後、イオン交換水750部を加え室温まで冷却し、表面張力26dyn/cmのポリシロキサン溶液B(固形分5%)を得た。
参考例3
還流冷却器及び撹拌機を備えた反応器に、(a)テトラエトキシシラン100部を入れ、次に、(b)水分散コロイド状シリカ(日産化学工業(株)製、スノーテックス−O;固形分20%、pH3.8)150部を加え、混合した後、撹拌しながら、イオン交換水250部と0.1規定の塩酸水溶液6部の混合液を加え、60℃で3時間反応させた後、プロピレングリコールモノメチルエーテル70部とイオン交換水600部を加え、室温まで冷却し、表面張力45dyn/cmのポリシロキサン溶液C(固形分5%)を得た。
参考例4
還流冷却器及び撹拌機を備えた反応器に、メタノール200部を入れ、次に(a)テトラエトキシシランを100部と、(b)水分散コロイド状シリカ(日産化学工業(株)製、スノーテックス−O;固形分20%、pH3.8)500部を加え、混合した後、撹拌しながら、イオン交換水250部と0.1規定の塩酸水溶液6部の混合液を加え、60℃で3時間反応させた後、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル100部とイオン交換水1700部を加え、室温まで冷却し、表面張力40dyn/cmのポリシロキサン溶液D(固形分5%)を得た。
参考例5
還流冷却器及び撹拌機を備えた反応器に、メタノール100部を入れ、次に(a)テトラエトキシシランを100部とを加え、混合した後、撹拌しながら、イオン交換水36部と0.1規定の塩酸水溶液2.5部の混合液を加え、60℃で3時間反応させた後、イオン交換水450部を加え、室温まで冷却し、表面張力30dyn/cmのポリシロキサン溶液E(固形分5.2%)を得た。
参考例6
還流冷却器及び撹拌機を備えた反応器に、メタノール50部を入れ、次に(b)水分散コロイド状シリカ(日産化学工業(株)製、スノーテックス−O;固形分20%、pH3.8)50部を加え、混合した後、撹拌しながら、イオン交換水100部を加え、室温で3時間攪拌し、表面張力70dyn/cmのシリカ分散溶液F(固形分5%)を得た。
参考例7
還流冷却器及び撹拌機を備えた反応器に、イオン交換水78部を入れ、次に(b)水分散コロイド状シリカ(日産化学工業(株)製、スノーテックス−O;固形分20%、pH3.8)20部を加え、混合した後、撹拌しながら、(a)テトラエトキシシラン2部を加え、室温で3時間攪拌し、表面張力37dyn/cmのシリカ混合溶液G(固形分4.7%)を得た。
表面張力及び加熱残分の測定は、以下のように行った。
<表面張力の測定方法>
表面張力の測定は、協和界面科学(株)製の表面張力計(CBUP−A5型)を用いて、25℃で測定した。
<加熱残分の測定方法>
加熱残分は、試料約3グラムをアルミカップに精秤し、150℃オーブンを用いて30分間乾燥後の重量を精秤し、元の重量に対する残分の質量から計算し、加熱残分(%)を求めた。
得られたポリシロキサン溶液及び塗料組成物の塗膜性能評価は、以下のように行った。
<性能評価試験>
(i)ポリシロキサン溶液の貯蔵安定性試験
参考例1〜7で得られたポリシロキサン溶液A〜E、シリカ分散溶液F、シリカ混合溶液Gにつき、50℃恒温器に4週間それぞれ密封した容器に放置し、外観変化と粘度変化を調べた。その結果、ポリシロキサン溶液A〜D及びシリカ分散溶液Fは、変化が見られなかったが、(b)成分と縮合反応させてないポリシロキサン溶液Eは増粘した。また、(a)成分と(b)成分を単に混合したシリカ混合溶液Gは一部不溶物が生成した。
(ii)塗料組成物の塗膜性能評価用試験板の作製
素材として石膏スラグパーライト板(厚さ12mm)を用い、その表面にポリイソシアネートプレポリマー溶液シーラー「Vセラン#100シーラー」(大日本塗料(株)製、酢酸ブチル:キシレン=1:1の溶剤で100%希釈)を塗着量が90〜100g/m2(wet質量)となるように吹付塗装した。これを100℃で5分間乾燥した。次いでベース塗料としてアクリルシリコーン樹脂系塗料「Vセラン#500エナメル」(大日本塗料(株)製、酢酸ブチル:キシレン=1:1の溶剤で40%希釈)を塗着量が80〜90g/m2(wet質量)となるように吹付塗装した。これを120℃で15分間乾燥した。
次いで、前述の各調製した溶液に界面活性剤や希釈剤等を添加し、表1に示す配合の上塗り塗料を、塗着量70〜80g/m2(wet質量)となるように吹付塗装した。これを120℃で15分間乾燥した後、室温で3日間乾燥し、得られた塗膜の硬度、耐温水性、耐汚染性、耐候性及び耐凍害性の各性能評価試験を行い、その結果を表1に示した。
なお、各性能評価試験の試験方法及び評価基準は、以下に基づいて行った。
<塗膜外観> 試験前の塗膜の外観を、以下のように目視で評価した。
○…良好(透明な膜)
×…悪い(白濁した膜)
<耐温水性>
上記のように作製した塗板を80℃の温水中に3時間浸漬した後の塗膜外観を、浸漬中及び塗膜乾燥後において、以下のように目視判定した。
◎…浸漬中及び塗膜乾燥後、共に変化なし
○…浸漬中軽微な白化はあるが、塗膜乾燥後では変化なし
△…浸漬中での白化がひどく、塗膜乾燥後では光沢低下、白化等の軽微な変化あり
×…浸漬中での白化がひどく、塗膜乾燥後では光沢低下、白化等の変化大
<耐汚染性>
塗板上に赤、黒マジックインキで描いて24時間後に、n−ブタノールで濡らした布で拭き取り、その除染性を以下のように目視判定した。
◎…完全除去
○…極く軽微な汚染
△…少し汚染
×…汚染著しい
<耐候性>
サンシャインウェザー−オーメーターにより3000時間行い、その耐候性を以下のように判定した。
○…塗膜外観に変化はなく、光沢保持率95%以上
△…塗膜外観の変化が軽微にあり、光沢保持率80〜95%未満
×…塗膜外観の変化が著しく、光沢保持率80%未満
<耐凍害性>
ASTM−C666A法により、40サイクルの耐凍害性を測定し、以下のように目視判定した。
○…塗膜にクラックの発生なし
△…極く軽微なクラックの発生
×…クラックの発生又は塗膜の部分剥離
Figure 2006225512
1)アニオン系界面活性剤「ペレックスNB−L」(花王(株)製)
有効成分35質量%、表面張力38dyn/cm(25℃、0.01質量%水溶液)
表1より明らかな通り、本発明のポリシロキサン溶液を含有する塗料組成物を使用した実施例1〜4は、優れた塗膜性能を有していた。
一方、比較例1の(b)成分と縮合反応させてないポリシロキサン溶液Eを用いた塗料では、耐汚染性、耐候性及び耐凍害性が悪かった。比較例2の(a)成分と縮合反応させてないシリカ分散溶液Fを用いた塗料では、塗膜外観、耐温水性、耐候性及び耐凍害性が非常に悪かった。また、比較例3の(a)成分と(b)成分を単に混合したシリカ混合溶液Gを用いた塗料では、塗膜外観、耐温水性、耐汚染性が非常に悪かった。

Claims (9)

  1. (a)一般式(1)、
    Si(OR1x(OR2(4-x)
    〔式中、R1及びR2は、炭素数1〜8の有機基であり、xは、0〜4の整数である。〕
    で示されるテトラアルコキシシラン又はその部分加水分解縮合物100質量部と、
    (b)コロイド状シリカ(固形分換算)10〜500質量部と、
    を加水分解縮合させて得られるシリカ含有縮合生成物に、
    (c)希釈剤として、水又は有機溶剤を、前記テトラアルコキシシラン又はその部分加水分解縮合物100質量部当たり、250〜700000質量部を添加して得られるポリシロキサン溶液を含有することを特徴とする塗料組成物。
  2. 表面張力が、50dyn/cm(25℃)以下である、請求項1に記載の塗料組成物。
  3. 前記希釈剤として
    一般式(2)、
    HO−(CHR3CH2O)n4
    〔式中、R3は、CH3又はHであり、R4は、炭素数1〜8のアルキル基であり、nは、1又は2である。〕で示される有機溶剤が、塗料組成物中1〜5質量%で含有される請求項1又は2に記載の塗料組成物。
  4. 更に、(d)成分として、濃度0.01質量%水溶液の表面張力が40dyn/cm(25℃)以下の界面活性剤が、塗料組成物中0.001〜3質量%(固形分換算)で含有される請求項1〜3のいずれかに記載の塗料組成物。
  5. 前記ポリシロキサン溶液の、150℃、30分間の加熱残分が、0.1〜10質量%である、請求項1〜4のいずれかに記載の塗料組成物。
  6. 塗料組成物の調製方法であって、以下の工程、
    (1)(a)一般式(1)、
    Si(OR1x(OR2(4-x)
    〔式中、R1及びR2は、炭素数1〜8の有機基であり、xは、0〜4の整数である。〕
    で示されるテトラアルコキシシラン又はその部分加水分解縮合物100質量部と、
    (b)コロイド状シリカ(固形分換算)10〜500質量部と、
    を加水分解縮合させて、シリカ含有縮合生成物を生成する工程、
    (2)前記シリカ含有縮合生成物に対して、前記テトラアルコキシシラン又はその部分加水分解縮合物100質量部当たり、(c)希釈剤として、水又は有機溶剤を、250〜700000質量部を添加して、ポリシロキサン溶液を調製する工程、
    (3)前記ポリシロキサン溶液を塗料成分として使用する工程、
    を含有することを特徴とする塗料組成物の調製方法。
  7. 前記塗料組成物の表面張力が、50dyn/cm(25℃)以下である、請求項6に記載の調製方法。
  8. 前記コロイド状シリカが、分散液として使用され、その溶液のpHが6以下である、請求項6又は7に記載の調製方法。
  9. 前記希釈剤として
    一般式(2)、
    HO−(CHR3CH2O)n4
    〔式中、R3は、CH3又はHであり、R4は、炭素数1〜8のアルキル基であり、nは、1又は2である。〕
    で示される有機溶剤が、塗料組成物中1〜5質量%で含有される請求項6〜8のいずれかに記載の調製方法。
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