JP2004010465A - 単結晶育成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】冷却体を用いたCZ法による単結晶の引上げにおいて、引上げ速度の高速化に対して冷却体を有効に機能させ、且つ、単結晶の過度の冷却による単結晶の割れを効果的に防止できる単結晶育成装置を提供する。
【解決手段】チョクラルスキー法により原料融液から単結晶を育成する単結晶育成装置において、原料融液から育成される単結晶を包囲するように環状の冷却体を設け、該冷却体を冷却体内部を流通する気体により冷却する。該気体は循環冷却され、該気体として不活性ガスを使用することで、冷却体破損時における水蒸気爆発の危険性を回避する。
【選択図】 図1
【解決手段】チョクラルスキー法により原料融液から単結晶を育成する単結晶育成装置において、原料融液から育成される単結晶を包囲するように環状の冷却体を設け、該冷却体を冷却体内部を流通する気体により冷却する。該気体は循環冷却され、該気体として不活性ガスを使用することで、冷却体破損時における水蒸気爆発の危険性を回避する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体材料として使用されるシリコン単結晶等の製造に用いられる単結晶育成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
単結晶を成長させるには種々の方法があるが、その一つにチョクラルスキー法(以下、CZ法と記す)と呼ばれる単結晶育成方法がある。CZ法によるシリコン単結晶の製造では、周知の通り、石英ルツボ内に形成されたシリコン融液に種結晶を浸漬し、ルツボ及び種結晶を回転させながら、種結晶を上方に徐々に引き上げることにより、種結晶の下端にシリコンの単結晶を成長させる。
【0003】
このようなCZ法によるシリコン単結晶の引上げにあっては、近年の半導体デバイスの高集積化、低コスト化及び生産性の効率化に対応して、育成される単結晶の大口径化が要求されており、最近では、直径約12インチ(300mm)、重量が300kg程度の単結晶の実操業化が進められている。
【0004】
しかしながら、単結晶の大口径化に伴い凝固潜熱が増加し、かつ径方向の温度勾配も大きくなることから、引き上げ速度の高速化が非常に困難な状況にあり、生産性の低下を余儀なくされ、引き上げ速度を低下させることなく大口径の単結晶を育成できる技術の開発が望まれている。
【0005】
このため、高速引上げを実現するための技術として熱遮蔽体の設置が知られている。熱遮蔽体は、単結晶の周囲を包囲するように設けられた逆台錐形状の筒状断熱部材であり、主にルツボ内の融液やルツボの外側に配置されたヒータからの輻射熱を遮ることにより、融液から引上げられる単結晶の冷却を促進して、引上げ速度の高速化を図るものである。
【0006】
また最近では、熱遮蔽体の内側に、強制的に水冷された環状の冷却体を設置する技術も注目されている(特開昭63 −256593 号公報、特開平8 −239291 号公報、特開平11 −92272 号公報、特開平11 −292684 号公報)。強制的に水冷された環状の冷却体を、熱遮蔽体の内側に、単結晶の周囲を包囲するよう設置することにより、単結晶の特に高温部分の冷却が更に促進され、引上げ速度の一層の高速化が図られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、冷却体を用いた従来の単結晶育成にあっては、その冷却体が引上げ速度の高速化に対して必ずしも有効に機能しないばかりか、単結晶の品質や操業の安全に対して次のような問題のあることが判明した。
【0008】
これまで提案されている単結晶育成技術で使用される冷却体は、単結晶に対する冷却能力、経済性の点から、通水により強制的に冷却された銅系の金属部材(水冷配管)の冷却体が使用されている。一方、引上げ速度の高速化に対しては、冷却体で単結晶の1300 ℃以上の高温部分を積極的に冷却することが必要とされている。
【0009】
しかしながら、従来の通水方式の冷却体を使用した場合、引上げ中若しくは引上げ後の単結晶冷却中に単結晶が割れるという現象がしばしば見られた。これは、従来の通水方式の冷却体を使用した場合の冷却能力は非常に高く、1300 ℃未満の部分も急激に冷却されることから、引上げ単結晶が有転位化したときに冷却に伴う単結晶の変形も急激に起こり、無転位部と有転位部の境界部分でその変形の度合いが異なることによる残留応力が生じ、引上げ中若しくは引上げ後の単結晶冷却中に単結晶が割れるという現象が発生するものと推測される。この割れが発生すると、場合によっては冷却体が破損し、冷却水が大量に引き上げ炉内に流出し水蒸気爆発などの大きな災害につながる危険がある。
【0010】
本発明の目的は、冷却体を用いたCZ 法による単結晶の引上げにおいて、引上げ速度の高速化に対して冷却体を有効に機能させ、且つ、単結晶の過度の冷却による単結晶の割れを効果的に防止できる単結晶育成装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係わる単結晶育成装置は、チョクラルスキー法により原料融液から単結晶を育成する単結晶育成装置において、原料融液から育成される単結晶を包囲するように環状の冷却体が設けられ、該冷却体は冷却体内部を流通する気体により冷却されることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の請求項2に係わる単結晶育成装置は、請求項1に係わる単結晶育成装置において、冷却体内部を流通する気体が循環冷却され、繰り返し使用されることを特徴とするものである。
【0013】
本発明の請求項3に係わる単結晶育成装置は、請求項1または請求項2に係わる単結晶育成装置において、冷却体内部を流通する気体が不活性ガスであることを特徴とするものである。
【0014】
本発明の請求項1に係わる単結晶育成装置によれば、冷却体の冷媒として水を使用する場合よりも冷却体表面温度が高くなり、1300 ℃未満の単結晶部分への過度の冷却が抑制され、単結晶の割れ発生を効果的に防止することができる。
【0015】
本発明の請求項2に係わる単結晶育成装置によれば、冷却体内部を流通する気体が循環冷却され、繰り返し使用されることから、大幅にガス使用量を低減することができる。また、冷媒となる気体を冷却する冷却装置および気体を循環させるための加圧ポンプなどのガス循環設置は、非常に小設計サイズのものを使用することができ、設置に何らの困難性を伴なわず、簡便に設置することができる。
【0016】
本発明の請求項3に係わる単結晶育成装置によれば、冷媒として使用する気体が不活性ガスであることから、不慮の事後で仮に冷却体が破損し気体が流出したとしても、シリコン融液との反応は起こらず、水蒸気爆発などの危険性を完全に排除することができる。使用する不活性ガスとしてはアルゴンガスが好ましく、その他、ヘリウムガス、ネオンガス等を使用しても良い。なお、非常に高価なヘリウムなどの不活性ガスを使用しなくとも、ガス流出した場合にさほど悪影響を与えない安価なガスを使用することがコスト的に有利であり、この観点からは窒素ガスや炭酸ガスなどを使用することが望ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る単結晶育成装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は、本発明に係る単結晶育成装置を模式的に示す断面図である。
【0019】
単結晶育成装置は、炉体として円筒形状のメインチャンバー1及びプルチャンバー2を備えている。メインチャンバー1より小径で長いプルチャンバー2は、メインチャンバー1の中心部上に立設されている。
【0020】
メインチャンバー1内の中心部にはルツボ3が配置されている。ルツボ3は、多結晶シリコンが充填される内側の石英ルツボと、その外側に嵌合される黒鉛製の支持ルツボとから構成されている。このルツボ3は、ペディスタルと呼ばれる支持軸により回転及び昇降駆動される。
【0021】
ルツボ1の外側には、抵抗加熱式のヒータ4が同心円状に配置され、その更に外側には、保温筒5がメインチャンバー1の内面に沿って配置されている。ヒータ4は、ルツボ3内に充填された多結晶シリコンを溶融させて、そのルツボ3内にシリコンの融液6を形成する。
【0022】
一方、ルツボ3の上方には、引上げ軸としてのワイヤ7が、プルチャンバー2内の中心部を通って吊設されている。ワイヤ7は、プルチャンバー2の上部に設けられた引上げ機構により回転駆動されると共に、軸方向に昇降駆動される。ワイヤ7の下端部には、種結晶を保持するシードチャックが取付けられている。シードチャックに保持された種結晶をルツボ3内の融液6に浸漬し、その種結晶を回転させながら徐々に上昇させるべく、ワイヤ7を駆動することにより、種結晶の下方にシリコンの単結晶8を成長させる。
【0023】
ルツボ1の上方には又、単結晶8を包囲するように環状の熱遮蔽体9がルツボ3内の融液6に接近して同心円状に設けられている。熱遮蔽体9は黒鉛からなり、ルツボ3内の融液6やヒータ4からの輻射熱を効果的に遮るために下方から上方に向かって徐々に拡径し、その下部をルツボ3内に挿入してルツボ3内の融液6の上方に位置させる。
【0024】
熱遮蔽体9の内側には、環状の冷却体10が同心円状に設けられている。冷却体10は、熱遮蔽体9の下部内側に配置され、熱遮蔽体9と同様に下方から上方に向かって徐々に拡径したテーパ形状になっている。
【0025】
この冷却体10は、熱伝導性の良好な銅系金属からなり、その内部には、環状のガス流路10aが複数段に形成されている。一方、装置外にはガス冷却装置12およびガス循環装置13が設けられている。ガス冷却装置としてはガスを所定の温度に降温できるものであればどのような公知装置でも良く、例えば熱交換器等の設置で十分であり、ガス循環装置13も同様にガスを循環できる装置であれば何でも良く、例えば加圧ポンブ等の設置で十分である。
【0026】
そして、ガス冷却装置12により冷却されたガスは加圧ポンプ13により、銅系金属からなるガス配管11,11を通してガス流路10aにガス供給される。これにより冷却体10は強制的に冷却され、環状のガス流路10aを通過し高温化したガスは再びガス冷却装置12により冷却された後、ガス循環装置13によりガス流路10a内に循環供給される。ここでは、装置内に供給されガス循環装置13内にガスが戻る前にガス冷却装置12を設置する例を示したが、ガス循環装置13からの圧送直後のガスに対して冷却を行うように設置しても良い。
【0027】
【実施例】
図1に示す装置を使用し、冷却体の冷媒として使用するガスを種々変更した引き上げ実験を実施し、冷却体の表面温度および単結晶の割れ発生について調査した。
【0028】
具体的には、本発明例として、窒素ガス、炭酸ガスおよびアルゴンガスをそれぞれ冷媒ガスとして使用し、このときの冷却体の表面温度および単結晶の割れ発生について調査した。比較例として、従来の冷却水を使用した場合についても同様に調査した。その結果を表1に示す。
【0029】
上記の各引き上げ実験は、いずれも共通の単結晶育成条件として、1.2mm/minの高速の引き上げ速度で、直径310mm、長さ1200mmのn型のシリコン単結晶の育成を行ったものである。ただし、単結晶の割れ発生を起こり易くするために、単結晶長さ800mmまで成長させた時点で、一旦、単結晶を溶融液に漬け込んだ後、結晶成長を再開させて意図的に有転位化を発生させた。なお、冷却体の表面温度は、冷却体の表面温度が最も高くなる原料溶解時に測温したものであり、表中の値は全て試験回数5回の平均値である。
【0030】
【表1】
【0031】
表1から明らかなように、冷却体の冷媒としてガスを使用した全ての本発明例において、冷却水を使用した比較例よりも冷却体の表面温度が高く、単結晶の割れも全く観察されなかった。なお、冷却体の冷媒としてガスを使用した全ての本発明例において、直径310mmで1.2mm/minという高速の引き上げ速度で単結晶を育成したにも係わらず、全て所定のサイズで単結晶を育成することができ、品質的にも何ら問題はなかった。
【0032】
【本発明の効果】
以上説明したように、本発明の単結晶育成装置を使用することにより、引き上げ速度の高速化が十分に図れると共に、引上げ中若しくは引上げ後の単結晶冷却中に単結晶が割れるという問題は全く発生しない。また、冷却体が破損した場合でも水蒸気爆発などの大きな災害につながる危険性を完全に排除することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る単結晶育成装置を模式的に示した断面図である。
【符号の説明】
1 メインチャンバー
2 プルチャンバー
3 ルツボ
4 ヒータ
6 融液
7 ワイヤ
8 単結晶
9 熱遮蔽体
10 冷却体
10a ガス流路
11 ガス配管
12 ガス冷却装置
13 ガス循環装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体材料として使用されるシリコン単結晶等の製造に用いられる単結晶育成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
単結晶を成長させるには種々の方法があるが、その一つにチョクラルスキー法(以下、CZ法と記す)と呼ばれる単結晶育成方法がある。CZ法によるシリコン単結晶の製造では、周知の通り、石英ルツボ内に形成されたシリコン融液に種結晶を浸漬し、ルツボ及び種結晶を回転させながら、種結晶を上方に徐々に引き上げることにより、種結晶の下端にシリコンの単結晶を成長させる。
【0003】
このようなCZ法によるシリコン単結晶の引上げにあっては、近年の半導体デバイスの高集積化、低コスト化及び生産性の効率化に対応して、育成される単結晶の大口径化が要求されており、最近では、直径約12インチ(300mm)、重量が300kg程度の単結晶の実操業化が進められている。
【0004】
しかしながら、単結晶の大口径化に伴い凝固潜熱が増加し、かつ径方向の温度勾配も大きくなることから、引き上げ速度の高速化が非常に困難な状況にあり、生産性の低下を余儀なくされ、引き上げ速度を低下させることなく大口径の単結晶を育成できる技術の開発が望まれている。
【0005】
このため、高速引上げを実現するための技術として熱遮蔽体の設置が知られている。熱遮蔽体は、単結晶の周囲を包囲するように設けられた逆台錐形状の筒状断熱部材であり、主にルツボ内の融液やルツボの外側に配置されたヒータからの輻射熱を遮ることにより、融液から引上げられる単結晶の冷却を促進して、引上げ速度の高速化を図るものである。
【0006】
また最近では、熱遮蔽体の内側に、強制的に水冷された環状の冷却体を設置する技術も注目されている(特開昭63 −256593 号公報、特開平8 −239291 号公報、特開平11 −92272 号公報、特開平11 −292684 号公報)。強制的に水冷された環状の冷却体を、熱遮蔽体の内側に、単結晶の周囲を包囲するよう設置することにより、単結晶の特に高温部分の冷却が更に促進され、引上げ速度の一層の高速化が図られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、冷却体を用いた従来の単結晶育成にあっては、その冷却体が引上げ速度の高速化に対して必ずしも有効に機能しないばかりか、単結晶の品質や操業の安全に対して次のような問題のあることが判明した。
【0008】
これまで提案されている単結晶育成技術で使用される冷却体は、単結晶に対する冷却能力、経済性の点から、通水により強制的に冷却された銅系の金属部材(水冷配管)の冷却体が使用されている。一方、引上げ速度の高速化に対しては、冷却体で単結晶の1300 ℃以上の高温部分を積極的に冷却することが必要とされている。
【0009】
しかしながら、従来の通水方式の冷却体を使用した場合、引上げ中若しくは引上げ後の単結晶冷却中に単結晶が割れるという現象がしばしば見られた。これは、従来の通水方式の冷却体を使用した場合の冷却能力は非常に高く、1300 ℃未満の部分も急激に冷却されることから、引上げ単結晶が有転位化したときに冷却に伴う単結晶の変形も急激に起こり、無転位部と有転位部の境界部分でその変形の度合いが異なることによる残留応力が生じ、引上げ中若しくは引上げ後の単結晶冷却中に単結晶が割れるという現象が発生するものと推測される。この割れが発生すると、場合によっては冷却体が破損し、冷却水が大量に引き上げ炉内に流出し水蒸気爆発などの大きな災害につながる危険がある。
【0010】
本発明の目的は、冷却体を用いたCZ 法による単結晶の引上げにおいて、引上げ速度の高速化に対して冷却体を有効に機能させ、且つ、単結晶の過度の冷却による単結晶の割れを効果的に防止できる単結晶育成装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係わる単結晶育成装置は、チョクラルスキー法により原料融液から単結晶を育成する単結晶育成装置において、原料融液から育成される単結晶を包囲するように環状の冷却体が設けられ、該冷却体は冷却体内部を流通する気体により冷却されることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の請求項2に係わる単結晶育成装置は、請求項1に係わる単結晶育成装置において、冷却体内部を流通する気体が循環冷却され、繰り返し使用されることを特徴とするものである。
【0013】
本発明の請求項3に係わる単結晶育成装置は、請求項1または請求項2に係わる単結晶育成装置において、冷却体内部を流通する気体が不活性ガスであることを特徴とするものである。
【0014】
本発明の請求項1に係わる単結晶育成装置によれば、冷却体の冷媒として水を使用する場合よりも冷却体表面温度が高くなり、1300 ℃未満の単結晶部分への過度の冷却が抑制され、単結晶の割れ発生を効果的に防止することができる。
【0015】
本発明の請求項2に係わる単結晶育成装置によれば、冷却体内部を流通する気体が循環冷却され、繰り返し使用されることから、大幅にガス使用量を低減することができる。また、冷媒となる気体を冷却する冷却装置および気体を循環させるための加圧ポンプなどのガス循環設置は、非常に小設計サイズのものを使用することができ、設置に何らの困難性を伴なわず、簡便に設置することができる。
【0016】
本発明の請求項3に係わる単結晶育成装置によれば、冷媒として使用する気体が不活性ガスであることから、不慮の事後で仮に冷却体が破損し気体が流出したとしても、シリコン融液との反応は起こらず、水蒸気爆発などの危険性を完全に排除することができる。使用する不活性ガスとしてはアルゴンガスが好ましく、その他、ヘリウムガス、ネオンガス等を使用しても良い。なお、非常に高価なヘリウムなどの不活性ガスを使用しなくとも、ガス流出した場合にさほど悪影響を与えない安価なガスを使用することがコスト的に有利であり、この観点からは窒素ガスや炭酸ガスなどを使用することが望ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る単結晶育成装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は、本発明に係る単結晶育成装置を模式的に示す断面図である。
【0019】
単結晶育成装置は、炉体として円筒形状のメインチャンバー1及びプルチャンバー2を備えている。メインチャンバー1より小径で長いプルチャンバー2は、メインチャンバー1の中心部上に立設されている。
【0020】
メインチャンバー1内の中心部にはルツボ3が配置されている。ルツボ3は、多結晶シリコンが充填される内側の石英ルツボと、その外側に嵌合される黒鉛製の支持ルツボとから構成されている。このルツボ3は、ペディスタルと呼ばれる支持軸により回転及び昇降駆動される。
【0021】
ルツボ1の外側には、抵抗加熱式のヒータ4が同心円状に配置され、その更に外側には、保温筒5がメインチャンバー1の内面に沿って配置されている。ヒータ4は、ルツボ3内に充填された多結晶シリコンを溶融させて、そのルツボ3内にシリコンの融液6を形成する。
【0022】
一方、ルツボ3の上方には、引上げ軸としてのワイヤ7が、プルチャンバー2内の中心部を通って吊設されている。ワイヤ7は、プルチャンバー2の上部に設けられた引上げ機構により回転駆動されると共に、軸方向に昇降駆動される。ワイヤ7の下端部には、種結晶を保持するシードチャックが取付けられている。シードチャックに保持された種結晶をルツボ3内の融液6に浸漬し、その種結晶を回転させながら徐々に上昇させるべく、ワイヤ7を駆動することにより、種結晶の下方にシリコンの単結晶8を成長させる。
【0023】
ルツボ1の上方には又、単結晶8を包囲するように環状の熱遮蔽体9がルツボ3内の融液6に接近して同心円状に設けられている。熱遮蔽体9は黒鉛からなり、ルツボ3内の融液6やヒータ4からの輻射熱を効果的に遮るために下方から上方に向かって徐々に拡径し、その下部をルツボ3内に挿入してルツボ3内の融液6の上方に位置させる。
【0024】
熱遮蔽体9の内側には、環状の冷却体10が同心円状に設けられている。冷却体10は、熱遮蔽体9の下部内側に配置され、熱遮蔽体9と同様に下方から上方に向かって徐々に拡径したテーパ形状になっている。
【0025】
この冷却体10は、熱伝導性の良好な銅系金属からなり、その内部には、環状のガス流路10aが複数段に形成されている。一方、装置外にはガス冷却装置12およびガス循環装置13が設けられている。ガス冷却装置としてはガスを所定の温度に降温できるものであればどのような公知装置でも良く、例えば熱交換器等の設置で十分であり、ガス循環装置13も同様にガスを循環できる装置であれば何でも良く、例えば加圧ポンブ等の設置で十分である。
【0026】
そして、ガス冷却装置12により冷却されたガスは加圧ポンプ13により、銅系金属からなるガス配管11,11を通してガス流路10aにガス供給される。これにより冷却体10は強制的に冷却され、環状のガス流路10aを通過し高温化したガスは再びガス冷却装置12により冷却された後、ガス循環装置13によりガス流路10a内に循環供給される。ここでは、装置内に供給されガス循環装置13内にガスが戻る前にガス冷却装置12を設置する例を示したが、ガス循環装置13からの圧送直後のガスに対して冷却を行うように設置しても良い。
【0027】
【実施例】
図1に示す装置を使用し、冷却体の冷媒として使用するガスを種々変更した引き上げ実験を実施し、冷却体の表面温度および単結晶の割れ発生について調査した。
【0028】
具体的には、本発明例として、窒素ガス、炭酸ガスおよびアルゴンガスをそれぞれ冷媒ガスとして使用し、このときの冷却体の表面温度および単結晶の割れ発生について調査した。比較例として、従来の冷却水を使用した場合についても同様に調査した。その結果を表1に示す。
【0029】
上記の各引き上げ実験は、いずれも共通の単結晶育成条件として、1.2mm/minの高速の引き上げ速度で、直径310mm、長さ1200mmのn型のシリコン単結晶の育成を行ったものである。ただし、単結晶の割れ発生を起こり易くするために、単結晶長さ800mmまで成長させた時点で、一旦、単結晶を溶融液に漬け込んだ後、結晶成長を再開させて意図的に有転位化を発生させた。なお、冷却体の表面温度は、冷却体の表面温度が最も高くなる原料溶解時に測温したものであり、表中の値は全て試験回数5回の平均値である。
【0030】
【表1】
【0031】
表1から明らかなように、冷却体の冷媒としてガスを使用した全ての本発明例において、冷却水を使用した比較例よりも冷却体の表面温度が高く、単結晶の割れも全く観察されなかった。なお、冷却体の冷媒としてガスを使用した全ての本発明例において、直径310mmで1.2mm/minという高速の引き上げ速度で単結晶を育成したにも係わらず、全て所定のサイズで単結晶を育成することができ、品質的にも何ら問題はなかった。
【0032】
【本発明の効果】
以上説明したように、本発明の単結晶育成装置を使用することにより、引き上げ速度の高速化が十分に図れると共に、引上げ中若しくは引上げ後の単結晶冷却中に単結晶が割れるという問題は全く発生しない。また、冷却体が破損した場合でも水蒸気爆発などの大きな災害につながる危険性を完全に排除することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る単結晶育成装置を模式的に示した断面図である。
【符号の説明】
1 メインチャンバー
2 プルチャンバー
3 ルツボ
4 ヒータ
6 融液
7 ワイヤ
8 単結晶
9 熱遮蔽体
10 冷却体
10a ガス流路
11 ガス配管
12 ガス冷却装置
13 ガス循環装置
Claims (3)
- チョクラルスキー法により原料融液から単結晶を育成する単結晶育成装置において、原料融液から育成される単結晶を包囲するように環状の冷却体が設られ、該冷却体は冷却体内部を流通する気体により冷却されることを特徴とする単結晶育成装置。
- 前記冷却体内部を流通する気体は循環冷却され、繰り返し使用されることを特徴とする請求項1記載の単結晶育成装置。
- 前記冷却体内部を流通する気体が不活性ガスであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の単結晶育成装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002170455A JP2004010465A (ja) | 2002-06-11 | 2002-06-11 | 単結晶育成装置 |
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JP (1) | JP2004010465A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006213582A (ja) * | 2005-02-07 | 2006-08-17 | Sumco Corp | シリコン結晶の製造方法およびその製造装置 |
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2002
- 2002-06-11 JP JP2002170455A patent/JP2004010465A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006213582A (ja) * | 2005-02-07 | 2006-08-17 | Sumco Corp | シリコン結晶の製造方法およびその製造装置 |
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