JP6304127B2 - 単結晶の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はチョクラルスキー法により原料融液から単結晶を引上げる単結晶の製造方法に関し、さらに詳しくは、石英ルツボ内に残存している原料融液を固化させる際に黒鉛ルツボが割れるのを防ぐことができる単結晶の製造方法に関する。
メモリやCPUなどの半導体デバイスの基板として用いられる単結晶は、例えばシリコン単結晶があり、主にチョクラルスキー法(Czochralski method、以下CZ法と略称する)により製造されている。
ここで、図3に、従来の一般的な単結晶製造装置の一例の概要を示す。
CZ法により単結晶を製造する際には、例えば図3に示すような単結晶製造装置117を用いて製造される。この単結晶製造装置117は、多結晶原料を収容して溶融するための部材や、熱を遮断するための断熱部材などを有しており、これらは、メインチャンバー101内に収容されている。メインチャンバー101の天井部からは上に伸びる引上げチャンバー102が連接されており、この上部に単結晶103をワイヤー113で引上げる機構(不図示)が設けられている。
メインチャンバー101内には、原料融液104を収容する石英ルツボ105と、石英ルツボ105を支持する黒鉛ルツボ106が設けられ、ルツボ105、106は駆動機構(不図示)によって回転昇降自在なシャフト116で支持されている。このルツボ105、106の駆動機構は、単結晶103の引上げに伴う原料融液104の液面低下を補償すべく、ルツボ105、106を液面低下分だけ上昇させるようにしている。
そして、ルツボ105、106を囲繞するように、原料を溶融させるためのヒーター107が配置されている。このヒーター107の外側には、ヒーター107からの熱がメインチャンバー101に直接輻射されるのを防止するために、断熱部材108がその周囲を取り囲むように設けられている。
また、メインチャンバー101の内部には、引上げチャンバー102の上部に設けられたガス導入口110からアルゴンガス等の不活性ガスが導入される。導入された不活性ガスは、引上げ中の単結晶103とガス整流筒111との間を通過し、遮熱カット部材である遮熱部材112の下部と原料融液104の液面との間を通過し、ガス流出口109から排出される。
以上のような単結晶製造装置117内に配置された石英ルツボ105に多結晶原料を収容し、ヒーター107により加熱し、石英ルツボ105内の多結晶原料を溶融させる。このように多結晶原料を溶融させたものである原料融液104に、ワイヤー113の下端に接続している種ホルダー114で固定された種結晶115を着液させ、その後、種結晶115を回転させながら引上げることにより、種結晶115の下方に所望の直径と品質を有する単結晶103を育成する。この際、種結晶115を原料融液104に着液させた後に、所望の口径になるまで太らせて、無転位の結晶を引上げている。
そして、製品として有用な長さの単結晶を引上げた後、ルツボ内には不要な原料融液が残る。この残った原料融液は、単結晶引上げ後直ちに切電(電力=0)し、室温まで冷却して固化した後に廃棄されることとなる。
シリコンは固体よりも液体の比重が大きいため、液体を冷却して固化すると体積の膨張が起こる。したがって、原料融液がシリコン融液である場合、冷却過程において、原料融液の表面から固化し、固化した表面部分の体積が膨張する。
このとき、原料融液の表面部分の固化が、内部の固化よりも早いと、原料融液の内部の固化による膨張が、原料表面方向に逃げられずにルツボ(石英ルツボ及び黒鉛ルツボ)を押し破る。
黒鉛ルツボが押し破られると、内部でまだ固化していない原料融液が黒鉛ルツボから漏れることとなる。チャンバーは冷却するために冷却水を通水しており、原料融液が炉内に漏れてしまうと、炉内部品を損傷するとともに、高温の原料融液が水冷部を溶損する可能性もある。
特開2004−315263号公報 特開2008−260649号公報
このような黒鉛ルツボの破損を防ぐために、単結晶を引上げた後にルツボ内に残存する原料融液を固化させる工程において、ヒーターの電力を一旦単結晶引上げ時の電力より低い電力に下げ、一定時間保持して原料融液を固化した後に切電する結晶製法(たとえば、特許文献1参照)があるが、炉内構造が大幅に変わると、この条件を付与しても、黒鉛ルツボが破損して原料融液が黒鉛ルツボから漏れる場合があった。
また、単結晶の引上げ終了後に、ルツボとヒーターを相対的に昇降させ、ヒーターの発熱中心高さを残融液表面から20mm以内とし、ヒーターへの電力を停止する石英ルツボ内に残存した原料融液の固化方法(たとえば、特許文献2参照)が開示されている。この場合も炉内構造が大幅に変わると、この条件を付与しても、黒鉛ルツボが破損して原料融液が黒鉛ルツボから漏れる場合があることがあった。
本発明は前述のような問題に鑑みてなされたもので、チョクラルスキー法により単結晶を引上げた後に、石英ルツボ内に原料融液が残存したままで切電し操業を終了して、原料融液を固化させる際に、黒鉛ルツボが割れることを抑制することができる単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明によれば、黒鉛ルツボにより支持された石英ルツボに収容された原料融液から、チョクラルスキー法により単結晶を引上げた後に、前記石英ルツボ内に前記原料融液が残存したままで切電し操業を終了して、前記原料融液を固化させる単結晶の製造方法であって、
前記切電時の前記原料融液表面における前記石英ルツボの径方向の、中心と最外周との温度差ΔTrと、前記切電時の前記原料融液表面における前記石英ルツボの径方向の中心と、該中心の軸方向における前記石英ルツボの底との温度差ΔTzとを変化させたときの、前記原料融液の固化後における、前記黒鉛ルツボの割れの発生の有無との関係を求め、
該関係から、前記黒鉛ルツボの割れが発生しない前記ΔTr及び前記ΔTzの範囲を予め求めておき、
該範囲内の前記ΔTr及び前記ΔTzとなる切電条件を求め、該切電条件に基づいて、前記単結晶の引上げ後に切電し操業を終了することを特徴とする単結晶の製造方法を提供する。
このようにすれば、チョクラルスキー法により単結晶を引上げた後に、前記石英ルツボ内に前記原料融液が残存したままで切電し操業を終了して、原料融液を固化させる際に、黒鉛ルツボの割れが発生しない温度差の範囲となる切電条件を用いることにより、原料融液の表面が固化する速度を抑制することができるので、原料融液の内部が固化するときの膨張を、原料融液の表面へ向かって逃がすことができる。このため、従来のように表面へ逃がすことができずに原料融液が石英ルツボ及び黒鉛ルツボを押し破って、湯漏れが発生することを防止することができる。これにより、黒鉛ルツボの再利用も可能となるため、コストを低減することができる。
このとき、前記黒鉛ルツボの割れが発生しない前記ΔTrの範囲を77.9K以下とし、前記黒鉛ルツボの割れが発生しない前記ΔTzの範囲を41.9K以下とすることが好ましい。
このようにすれば、原料融液の固化が徐々に進むため、急激な体積膨張が生じることを抑制することができる。さらに、原料融液の表面が固化する速度を抑制することができるので、原料融液の内部が固化する時の膨張を原料融液の表面へ逃がすことができ、原料融液が石英ルツボ及び黒鉛ルツボを押し破って、湯漏れが発生することを防止することがより確実にできる。
またこのとき、前記石英ルツボの直径を、900mm以上とすることができる。
このように、本発明の単結晶の製造方法であれば、石英ルツボに残存する原料融液を固化する際に、特に黒鉛ルツボが割れる現象が発生する恐れのあった直径900mm以上の大口径の石英ルツボであっても、黒鉛ルツボの割れの発生を防止することができる。
またこのとき、前記切電条件を、前記黒鉛ルツボにより支持された前記石英ルツボの位置、及び、前記石英ルツボ及び前記黒鉛ルツボを囲繞するように配置されたヒーターの位置のうちのいずれか1つ以上とすることが好ましい。
これらを切電条件として調整すれば、前述した温度差ΔTr及びΔTzを適切に調整することが可能である。
本発明の単結晶の製造方法であれば、黒鉛ルツボの割れが発生しない原料融液についての温度差の範囲となる切電条件を用いることにより、原料融液の表面が固化する速度を抑制することができるので、原料融液の内部が固化する時の膨張を原料融液の表面へ逃がすことができ、原料融液が石英ルツボ及び黒鉛ルツボを押し破って、湯漏れが発生することを防止することができる。これにより、黒鉛ルツボの再利用も可能となるため、コストを低減することができる。
本発明の単結晶の製造方法の一例を示した工程図である。 本発明の単結晶の製造方法において用いることができる単結晶製造装置の一例を示した概略図である。 一般的な単結晶製造装置の一例を示した概略図である。
以下、本発明について実施の形態を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
CZ単結晶の製造において、経験的に、単結晶の引上げ後に、直ちに切電しても黒鉛ルツボが割れる恐れが少ない原料融液の量は、石英ルツボの口径によって異なり、石英ルツボの口径が大きいほど増加することが分かっている。
しかし、特には直径が450mmのような大口径の単結晶を引上げる単結晶製造装置の場合、引上げる単結晶が通過するための開口部の面積が大きい。そのため、原料融液の表面が低温化しやすくなり、表面の固化速度が増加することが分かった。
上述したように、単結晶の引上げ後に切電すると、最初に原料融液の表面が固化し、その後、下に閉じ込められた原料融液が固化する。そのため、原料融液の表面の固化速度が増加すると、原料融液の表面と内部の固化速度の差が大きくなりやすい。そして、原料融液の内部が固化し膨張するときに発生する応力が、原料融液の表面から逃げることができなくなり、石英ルツボ及び黒鉛ルツボを押し破るという現象が発生するという問題があった。
そこで、本発明者はこのような問題を解決すべく鋭意検討を重ねた。その結果、切電時の原料の膨張による黒鉛ルツボ割れを防止するには、原料融液の表面と内部の固化速度差を、黒鉛ルツボ割れが生じない程度に小さくして、原料融液内部が固化し膨張するときに発生する応力を、原料融液表面に逃せばよいということを見出した。
したがって、原理的には、固化した原料融液表面が、原料融液内部の固化によって発生する応力で割れて逃せる条件を決めればよい。例えば、数値解析で、まず結晶成長終了後の状態を模擬し、これを初期条件として、ヒーターパワーを0kWにした時刻歴応答解析をし、原料融液内部の固化によって発生する応力を求め、この応力で原料融液表面の固化した層を破断できる条件を探索すれば良い。しかし、この時刻歴応答解析は大変時間が掛かるため、実用性には乏しい。
そこで、本発明者はさらに鋭意検討を重ねた。その結果、切電時の原料融液表面における石英ルツボの径方向の、中心と最外周との温度差をΔTrとし、さらに、切電時の原料融液表面における石英ルツボの径方向の中心と、該中心の軸方向における石英ルツボの底との温度差をΔTzとしたときの、黒鉛ルツボの割れが発生しないΔTr及びΔTzの範囲を予め求めておき、該範囲内のΔTr及びΔTzとなる切電条件で、単結晶の引上げ後に切電し操業を終了することを見出した。
これにより、原料融液の表面が固化する速度を抑制することができるので、原料融液の内部が固化するときの膨張を、原料融液の表面へ逃がすことができ、原料融液が石英ルツボ及び黒鉛ルツボを押し破って、湯漏れが発生することを防止することができることを発見した。そして、これらを実施するための最良の形態について精査し、本発明を完成させた。
まず、本発明の単結晶の製造方法において用いることができる単結晶製造装置について説明する。本発明の単結晶の製造方法で用いることができる単結晶製造装置としては、特に限定されず、例えば図2に示すような単結晶製造装置17を用いることができる。
図2に示すように、単結晶製造装置17は、多結晶原料を収容して溶融するための部材や、熱を遮断するための断熱部材などを有しており、これらは、メインチャンバー1内に収容されている。メインチャンバー1の天井部からは上に伸びる引上げチャンバー2が連接されており、この上部に単結晶3をワイヤー13で引上げる機構(不図示)が設けられている。
メインチャンバー1内には、原料融液4を収容する石英ルツボ5と、石英ルツボ5を支持する黒鉛ルツボ6が設けられ、ルツボ5、6は駆動機構(不図示)によって回転昇降自在なシャフト16で支持されている。このルツボ5、6の駆動機構は、単結晶3の引上げに伴う原料融液4の液面低下を補償すべく、ルツボ5、6を液面低下分だけ上昇させるようにしている。
そして、ルツボ5、6を囲繞するように、原料を溶融させるためのヒーター7が配置されている。このヒーター7の外側には、ヒーター7からの熱がメインチャンバー1に直接輻射されるのを防止するために、断熱部材8がその周囲を取り囲むように設けられている。
また、メインチャンバー1の内部には、引上げチャンバー2の上部に設けられたガス導入口10からアルゴンガス等の不活性ガスが導入される。導入された不活性ガスは、引上げ中の単結晶3とガス整流筒11との間を通過し、遮熱カット部材である遮熱部材12の下部と原料融液4の液面との間を通過し、ガス流出口9から排出される。
以上のように、本発明の単結晶の製造方法で用いることができる単結晶製造装置は、従来一般に用いられているものを適用することができる。
以上のような単結晶製造装置17内に配置された石英ルツボ5に多結晶原料を収容し、ヒーター7により加熱し、石英ルツボ5内の多結晶原料を溶融させる。このように多結晶原料を溶融させたものである原料融液4に、ワイヤー13の下端に接続している種ホルダー14で固定された種結晶15を着液させ、その後、種結晶15を回転させながら引上げることにより、種結晶15の下方に所望の直径と品質を有する単結晶3を育成する。この際、種結晶15を原料融液4に着液させた後に、所望の口径になるまで太らせて、無転位の結晶を引上げている。
次に、本発明の単結晶の製造方法について図1を参照して詳述する。以下では、図2の単結晶製造装置17を用いた場合について説明する。
まず、切電時の原料融液4表面における石英ルツボ5の径方向の、中心と最外周との温度差ΔTr(以下では、単にΔTrということがある)と、切電時の原料融液4表面における石英ルツボ5の径方向の中心と、該中心の軸方向における石英ルツボ5の底との温度差ΔTz(以下では、単にΔTzということがある)とを変化させたときの、原料融液4の固化後における、黒鉛ルツボ6の割れの発生の有無との関係を求める(図1のSP1)。
ΔTr及びΔTzの値が大きい程、原料融液4の表面の固化速度が速くなり、黒鉛ルツボ6が割れる可能性が高くなる。
ΔTr及びΔTzの値は、具体的には、例えば、数値解析により求めることができる。数値解析は、単結晶3の製造後に石英ルツボ5内に残存する原料融液4と同等の原料を想定して行い、ΔTr及びΔTzの値は、例えば、ヒーター7の位置、ルツボ5、6の位置等により変化させることができる。
一方、各切電条件(又は各ΔTr及びΔTz)における、原料融液4の固化後の黒鉛ルツボ6の割れの発生の有無については、例えば、実際に、単結晶3の引上げ後に石英ルツボ5に残存することが想定される、残存原料融液量を石英ルツボ5内に収容、溶解したのち、各切電条件で切電し、原料融液4を固化させることで、黒鉛ルツボ6が割れているかを確認することができる。このとき、切電直前にヒーター7に付与するパワーは、単結晶3の製造における丸め終了時の値とすることができる。
このように、黒鉛ルツボ6の割れを実際に確認することで、実用に適した、簡便な方法となる。
ΔTr及びΔTzを変化させる際には、例えば、黒鉛ルツボ6に割れが発生しないような、ΔTr及びΔTzが小さい条件から開始し、ΔTr及びΔTzを大きくしていくように変化させることが好ましい。
このようにすれば、湯漏れが発生しない条件から湯漏れが発生する条件にアプローチするので、より安全な確認方法と言える。
ただし本発明はこれに限定されず、例えば、ΔTr及びΔTzを小さくしていくように変化させてもよい。
次に、上記のようにして求めた関係から、黒鉛ルツボ6の割れが発生しないΔTr及びΔTzの範囲を求める(図1のSP2)。
このような、黒鉛ルツボ6の割れが発生しないΔTr及びΔTzの範囲内であれば、原料融液4の固化自体は、その表面から進むことに変わりがないが、原料融液4の最初に固化する表面において強固な固化が形成されることがない。そのため、後に固化する下の原料融液4が固まって体積膨張する際に、原料融液4の表面の固化を押し破ることができる。従って、従来のように黒鉛ルツボ6を押し破ってしまうような事態が発生することを防ぐことができる。結果として、固化していない原料融液4が黒鉛ルツボ6の破損箇所から漏れ出すという恐れを回避できるので、他の炉内部品を損傷することもない。
このとき、具体的には、黒鉛ルツボ6の割れが発生しないΔTrの範囲を77.9K以下とし、黒鉛ルツボ6の割れが発生しないΔTzの範囲を41.9K以下とすることができる。
このようにすれば、原料融液4の固化が徐々に進むため、急激な体積膨張が生じることを抑制することができる。さらに、原料融液4の表面が固化する速度を抑制することができるので、原料融液4の内部が固化する時の膨張を原料融液4の表面へ逃がすことができ、原料融液4が石英ルツボ5及び黒鉛ルツボ6を押し破って、湯漏れが発生することを防止することがより確実にできる。
当然、上記範囲のΔTr及びΔTzの値は限定されるものではなく、例えば、ルツボのサイズや使用する黒鉛ルツボ6の材質等に応じて変えることができる。
このようにして、SP1、SP2で予め、黒鉛ルツボ6の割れが発生しないΔTr及びΔTzの範囲を求めておく。また、上記のSP1、SP2の工程は、過去の実施データをもとにして行ってもよい。
次に、上記のようにして求めた範囲内のΔTr及びΔTzとなる切電条件を求める(図1のSP3)。
すなわち、単結晶3の引上げ後に石英ルツボ5内に残存する原料融液4の重量や、その時に用いたHZ(ホットゾーン)に応じて、切電時に上記範囲内のΔTr及びΔTzとなるような切電条件を決定する。これにより、石英ルツボ5内に残存した原料融液4の固化を徐々に進められ、黒鉛ルツボ6が割れる恐れを抑制することができる切電条件となるので、石英ルツボ5に残存する原料融液4を安全に固化することができる。
このとき、切電条件を、黒鉛ルツボ6により支持された石英ルツボ5の位置、及び、石英ルツボ5及び黒鉛ルツボ6を囲繞するように配置されたヒーター7の位置のうちのいずれか1つ以上とすることができる。
このような切電条件の調節により、ΔTr及びΔTzを適切に調整することが可能である。
具体的には、例えば、石英ルツボ5の位置を下げて、ガス整流筒11の先端と残存した原料融液4表面との距離を遠ざけることで、ΔTr及びΔTzの値が小さくなるように制御することができる。
そして、実際に、単結晶3の引上げを行い、その後、上記のようなSP1〜SP3の予備試験により求めた切電条件に基づいて切電し操業を終了する(図1のSP4)。
なお、単結晶3の引上げ自体は、従来と同様にして行うことができる。
このように、チョクラルスキー法により単結晶3を引上げた後に、石英ルツボ5内に原料融液4が残存したままで切電し操業を終了して、原料融液4を固化させる際に、黒鉛ルツボ6の割れが発生しない温度差の範囲となる切電条件を用いることにより、原料融液4の表面が固化する速度を抑制することができるので、原料融液4の内部が固化する時の膨張を、原料融液4の表面へ逃がすことができ、原料融液4が石英ルツボ5及び黒鉛ルツボ6を押し破って、湯漏れが発生することを防止することができる。これにより、黒鉛ルツボ6の再利用も可能となるため、コストを低減することができる。
またこのとき、石英ルツボ5の直径を、900mm以上とすることができる。
このように、本発明の単結晶の製造方法であれば、石英ルツボ5に残存する原料融液を固化する際に、特に黒鉛ルツボ6が割れる現象が発生する恐れのあった直径900mm以上の大口径の石英ルツボ5であっても、黒鉛ルツボ6の割れの発生を防止することができる。すなわち、本発明はこのような大口径ルツボを使用するときに特に有効である。
以下、本発明の実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
図2に示すような直径40インチ(約1010mm)の石英ルツボ5を装備した単結晶製造装置17を用いる場合について予備試験を行った。すなわち、切電時の原料融液4表面における石英ルツボ5の径方向の、中心と最外周との温度差ΔTrと、切電時の原料融液4表面における石英ルツボ5の径方向の中心と、該中心の軸方向における石英ルツボ5の底との温度差ΔTzとを変化させたときの、原料融液4の固化後における、黒鉛ルツボ6の割れの発生の有無との関係を求めた。
想定する残留原料融液量(ここでは、100kg)や、ルツボ位置、ヒーター位置等の切電条件ごとのΔTr及びΔTzは、数値解析により求めた。一方、黒鉛ルツボ6の割れの発生の有無は、実際に単結晶製造装置17で、ΔTr及びΔTzが大きい条件から順次用いて実際に切電し、石英ルツボ5内の原料融液4の固化後に黒鉛ルツボ6が割れているか確認した。
そして、黒鉛ルツボ6の割れが発生しないΔTrの範囲は77.9K以下、黒鉛ルツボの割れが発生しないΔTzの範囲は41.9K以下と求められた。このようにして、黒鉛ルツボ6の割れが発生しないΔTr及びΔTzの範囲を予め求めた。そして、切電条件として、ヒーター7の発熱中心を原料融液4の表面位置から上方に29mmとすると、数値解析上で、ΔTrが72.4K、ΔTzが41.5Kになり、ΔTr及びΔTzが上記の範囲内となることが求められた。
以上のような予備試験後、石英ルツボ5に多結晶シリコンを収容し、ヒーター7により加熱し、多結晶シリコンを溶融した。そして、原料融液4(シリコン融液)から、CZ法を用いて直径18インチ(約450mm)のシリコン単結晶3を引上げた。
シリコン単結晶3を引上げた後の石英ルツボ5には多くの原料融液4が残った。この石英ルツボ5に残った原料融液4の重量は、約100kgであった。そして、単結晶の引上げ後に、上記の切電条件(ヒーター7の発熱中心を原料融液4の表面位置から上方に29mmとする)で切電した。
その結果、黒鉛ルツボ6を割らずに原料融液4を固化することができた。
(比較例)
実施例1の単結晶製造装置の炉内上部のHZを変更し、予備試験も行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、シリコン単結晶を引上げた。このとき、単結晶引上げ後の石英ルツボには、原料融液が約100kg残った。そして、ヒーターの発熱中心は実施例1と同様に原料融液の表面位置から上方に29mmとして、切電して原料融液を固化させた。
その結果、原料融液が固化した後に石英ルツボのみならず黒鉛ルツボも割れており、再度これらのルツボを使うことはできなかった。
なお、比較例で用いた切電条件におけるΔTr及びΔTzの値を数値解析で確認したところ、ΔTrは94.3K、ΔTzは61.4Kで、実施例1の予備試験で求めた範囲(ΔTrは77.9K以下、ΔTzは41.9K以下)よりも高い値であった。
(実施例2)
まず、比較例と同様にして単結晶の引上げを行った。その後、比較例の結果も考慮して、石英ルツボ内に残存した原料融液の表面の温度低下を防ぐため、育成した単結晶が通過する開口部先端(すなわち、図2のガス整流筒11の先端)から、石英ルツボ内に残存した原料融液の表面を50mm遠ざけ、数値解析上で、ΔTrが76.2K、ΔTzが38.7Kになるような切電条件とした。このとき、ヒーターの発熱中心は原料融液の表面位置から上方に89mmであった。そして、単結晶の引上げ後に、この切電条件で切電した。
その結果、黒鉛ルツボを割らずに原料融液を固化することができた。
(実施例3)
実施例1と同様の単結晶製造装置を用いて、石英ルツボに原料融液が約150kg残ったこと以外は実施例1と同様にして、シリコン単結晶を引上げを行った。
石英ルツボ内に残存した原料融液が実施例1と比べて増加したので、ルツボ位置を下げて、育成した単結晶が通過する開口部先端(すなわち、図2のガス整流筒11の先端)から、石英ルツボ内に残存した原料融液表面を50mm遠ざけ、数値解析上で、ΔTrが64.1K、ΔTzが30.3Kになるような切電条件とした。そして、単結晶の引上げ後に、この切電条件で切電した。
その結果、切電後、黒鉛ルツボを割らずに原料融液を固化することができた。このように、実施例1、2、3では、実施例1の予備試験で予め求めた、黒鉛ルツボの割れが発生しないΔTr及びΔTzの範囲内となるような切電条件で原料融液の固化を行ったため、黒鉛ルツボを割らずに原料融液を固化することができた。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
1…メインチャンバー、 2… 引上げチャンバー、 3…単結晶、 4…原料融液、
5…石英ルツボ、 6…黒鉛ルツボ、 7…ヒーター、 8…断熱部材、
9…ガス流出口、 10… ガス導入口、 11…ガス整流筒、 12…遮熱部材、
13… ワイヤー、 14…種ホルダー、 15…種結晶、 16…シャフト、
17…単結晶製造装置。

Claims (4)

  1. 黒鉛ルツボにより支持された石英ルツボに収容された原料融液から、チョクラルスキー法により単結晶を引上げた後に、前記石英ルツボ内に前記原料融液が残存したままで切電し操業を終了して、前記原料融液を固化させる単結晶の製造方法であって、
    前記切電時の前記原料融液表面における前記石英ルツボの径方向の、中心と最外周との温度差ΔTrと、前記切電時の前記原料融液表面における前記石英ルツボの径方向の中心と、該中心の軸方向における前記石英ルツボの底との温度差ΔTzとを変化させたときの、前記原料融液の固化後における、前記黒鉛ルツボの割れの発生の有無との関係を求め、
    該関係から、前記黒鉛ルツボの割れが発生しない前記ΔTr及び前記ΔTzの範囲を予め求めておき、
    該範囲内の前記ΔTr及び前記ΔTzとなる切電条件を求め、該切電条件に基づいて、前記単結晶の引上げ後に切電し操業を終了することを特徴とする単結晶の製造方法。
  2. 前記黒鉛ルツボの割れが発生しない前記ΔTrの範囲を77.9K以下とし、前記黒鉛ルツボの割れが発生しない前記ΔTzの範囲を41.9K以下とすることを特徴とする請求項1に記載の単結晶の製造方法。
  3. 前記石英ルツボの直径を、900mm以上とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の単結晶の製造方法。
  4. 前記切電条件を、前記黒鉛ルツボにより支持された前記石英ルツボの位置、及び、前記石英ルツボ及び前記黒鉛ルツボを囲繞するように配置されたヒーターの位置のうちのいずれか1つ以上とすることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の単結晶の製造方法。
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