JP2004009886A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】耐偏摩耗性や石噛み防止性能を損なうことなく、ショルダー部での蓄熱を防いで、ベルト層の端部における剥離故障を抑制することを可能にした空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】トレッド部1のショルダー領域に、タイヤ周方向に延びる主溝8とタイヤ幅方向に延びる複数本の横溝9とで区画された複数のブロック10からなるブロック列を配置すると共に、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側に複数のベルト層7A〜7Dを埋設した空気入りタイヤにおいて、ショルダー領域のブロック列を構成する各ブロック10に、踏面からタイヤ径方向に延びる少なくとも1本の縦穴11と、外側面からタイヤ軸方向に延びる少なくとも1本の横穴12を設ける。
【選択図】 図2
【解決手段】トレッド部1のショルダー領域に、タイヤ周方向に延びる主溝8とタイヤ幅方向に延びる複数本の横溝9とで区画された複数のブロック10からなるブロック列を配置すると共に、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側に複数のベルト層7A〜7Dを埋設した空気入りタイヤにおいて、ショルダー領域のブロック列を構成する各ブロック10に、踏面からタイヤ径方向に延びる少なくとも1本の縦穴11と、外側面からタイヤ軸方向に延びる少なくとも1本の横穴12を設ける。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トレッド部のショルダー領域に位置するブロックに放熱機能を付与した空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、耐偏摩耗性や石噛み防止性能を損なうことなく、ショルダー部での蓄熱を効果的に防いで、ベルト層の端部における剥離故障を抑制するようにした空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
空気入りタイヤのトレッド部が剥離する所謂トレッドセパレーション故障は、その殆どがベルト層の端部におけるベルト層とゴムとの間に生ずる剥離によるもので、その原因はショルダー部における蓄熱にあることは広く知られている。
【0003】
特に、トレッド展開幅が大きい空気入りタイヤは、ショルダー部における蓄熱が大きくなる傾向があり、これを解消するために材料及び構造の多岐にわたって種々の改善が提案されている。その1つとして、ショルダー部のブロックやリブの踏面等に穴を形成し、その穴からショルダー部に蓄積された熱を外部に放熱するものがある。
【0004】
しかしながら、ブロックやリブに設けた穴から効果的な放熱を行うためには、その穴を十分に大きくする必要がある。そのため、放熱用の穴に起因して、偏摩耗が生じ易くなったり、石噛みが発生し易くなるという弊害を生じているのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、耐偏摩耗性や石噛み防止性能を損なうことなく、ショルダー部での蓄熱を防いで、ベルト層の端部における剥離故障を抑制することを可能にした空気入りタイヤを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、トレッド部のショルダー領域に、タイヤ周方向に延びる主溝とタイヤ幅方向に延びる複数本の横溝とで区画された複数のブロックからなるブロック列を配置すると共に、前記トレッド部におけるカーカス層の外周側に複数のベルト層を埋設した空気入りタイヤにおいて、前記ブロック列を構成する各ブロックに、踏面からタイヤ径方向に延びる少なくとも1本の縦穴と、外側面からタイヤ軸方向に延びる少なくとも1本の横穴を設けたことを特徴とするものである。
【0007】
本発明者は、トレッド部のショルダー領域にブロック列を有する空気入りタイヤにおいて、ショルダー部における発熱と放熱との関係について鋭意研究を重ねた結果、ブロックに対して縦穴と横穴を同時に設けた場合、縦穴又は横穴を単独で設けた場合に比べて相乗的な放熱効果が得られることを知見し、本発明に至ったのである。
【0008】
即ち、上述のようにブロックに対して縦穴と横穴を同時に設けることにより、これら縦穴及び横穴がショルダー部で発生する熱を効率良く放熱し、ショルダー部での蓄熱を防いで、ベルト層の端部における剥離故障を抑制することが可能になる。このとき、縦穴と横穴の寸法を可及的に小さくしても効果的な放熱が可能であるので、偏摩耗や石噛みの発生を回避することができる。
【0009】
本発明において、縦穴の開口部の面積がブロックの踏面の面積の1〜3%で、縦穴の深さが主溝の深さの80〜110%であると共に、横穴の開口部の面積がブロックの踏面の面積の1〜3%で、横穴の深さが該横溝の開口部から最大幅を有するベルト層のエッジまでのタイヤ軸方向の距離の40〜70%であることが好ましい。
【0010】
また、最大幅を有するベルト層のエッジと該最大幅を有するベルト層に対してクロスプライとなるベルト層のエッジとが互いにずれてステップ部を形成する空気入りタイヤにおいて、縦穴をステップ部からタイヤ軸方向に10mm以内の範囲に配置すると共に、横穴をステップ部からタイヤ径方向に5mm以内の範囲に配置することが好ましい。
【0011】
このように縦穴及び横穴の大きさや配置位置をそれぞれ特定することにより、偏摩耗や石噛みの発生を回避しつつ、ショルダー部で発生する熱を効率良く放熱することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
図1〜図5は、本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示し、1はトレッド部、2はサイドウォール部、3はビード部、CLはタイヤセンターラインである。左右一対のビード部3,3間にはカーカス層4が装架され、その両端部がビード部3に埋設されたビ−ドコア5の周りにビードフィラー6を挟み込むようにしてタイヤ内側から外側に折り返されている。
【0014】
トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には、複数のベルト層7A,7B,7C,7Dが埋設されている。これらベルト層7A〜7Dはそれぞれ引き揃えられた複数本の補強コードを含み、その補強コードがタイヤ周方向に対して傾斜するように配置されている。ベルト層7A〜7Dのうち、カーカス層4側から数えて2番目のベルト層7Bは最大幅を有している。また、カーカス層4側から数えて3番目のベルト層7Cは最大幅を有するベルト層7Bに対してクロスプライとなっている。即ち、ベルト層7B,7Cは層間で互いに補強コードが交差している。更に、最大幅を有するベルト層7Bのエッジと、それより幅が狭いベルト層7Cのエッジとは互いにずれてステップ部(段差を有する部分)を形成している。
【0015】
上記トレッド部1には、タイヤ周方向に延びる複数本の主溝8と、タイヤ幅方向に延びる複数本の横溝9とが設けられている。そして、トレッド部1のショルダー領域には、主溝8及び横溝9で区画された複数のブロック10からなるブロック列が形成されている。
【0016】
図2に示すように、ショルダー領域のブロック列を構成する各ブロック10には、踏面からタイヤ径方向に延びる少なくとも1本の縦穴11と、外側面からタイヤ軸方向に延びる少なくとも1本の横穴12が形成されている。これら縦穴11及び横穴12はクラックを生じ難くするために円筒状に成形されている。但し、縦穴11及び横穴12の断面形状は円形に限定されるものではなく、例えば、楕円形や多角形等にすることも可能である。
【0017】
このようにブロック10に対して縦穴11と横穴12を同時に設けることにより、タイヤ走行時にショルダー部で発生する熱を効率良く放熱し、ベルト層7A〜7Dの端部における剥離故障を抑制することができる。
【0018】
図3に示すように、主溝8の深さをHとし、縦穴11の深さをhとする。また、横溝12の開口部12aから最大幅を有するベルト層7Bのエッジまでのタイヤ軸方向の距離をL(大文字エル)とし、横穴12の深さをl(小文字エル)とする。但し、深さH,h,l及び距離Lは、それぞれ主溝8、縦穴11、横穴12の中心位置を基準として測定される値である。
【0019】
ここで、縦穴11の開口部11aの面積はブロック10の踏面の面積の1〜3%に設定し、その深さhは主溝8の深さHの80〜110%に設定することが好ましい。縦穴11の開口部11aの面積がブロック10の踏面の面積の1%未満では放熱効果が十分に得られず、3%超では石噛みが生じ易くなる。また、縦穴11の深さhが主溝8の深さHの80%未満では放熱効果が十分に得られず、110%超では縦穴11の底部がベルト層の端部に接近し過ぎるため、縦穴11の底部とベルト層の端部との間にクラックが生じる恐れがある。
【0020】
一方、横穴12の開口部12aの面積はブロック10の踏面の面積の1〜3%に設定し、その深さlは横溝12の開口部12aから最大幅を有するベルト層7Bのエッジまでのタイヤ軸方向の距離Lの40〜70%に設定することが好ましい。横穴12の開口部12aの面積がブロック10の踏面の面積の1%未満では放熱効果が十分に得られず、3%超では偏摩耗が生じ易くなる。また、横穴12の深さlが距離Lの40%未満では放熱効果が十分に得られず、110%超では横穴12の底部がベルト層の端部に接近し過ぎるため、横穴12の底部とベルト層の端部との間にクラックが生じる恐れがある。
【0021】
上述のように最大幅を有するベルト層7Bのエッジと、最大幅を有するベルト層7Bに対してクロスプライとなるベルト層7Cのエッジとが互いにずれてステップ部を形成する空気入りタイヤでは、ステップ部の付近からセパレーションを生じ易いので、このステップ部の付近で発生する熱を効率良く放熱する観点から、縦穴11をステップ部からタイヤ軸方向に10mm以内の範囲に配置すると共に、横穴12をステップ部からタイヤ径方向に5mm以内の範囲に配置することが好ましい。
【0022】
即ち、図4に示すように、ステップ部のタイヤ軸方向の幅をx1とし、そのステップ部からタイヤ軸方向の両側にそれぞれ10mmの幅x2を設定したとき、縦穴11を配置する範囲Xは、X=x1+x2+x2にて規定される。縦穴11を範囲Xから外れた位置に配置すると、ステップ部の付近で発生する熱を効率良く放熱することが困難になる。
【0023】
一方、図5に示すように、ステップ部のタイヤ径方向の幅をy1とし、そのステップ部からタイヤ径方向の両側にそれぞれ5mmの幅y2を設定したとき、横穴12を配置する範囲Yは、Y=y1+y2+y2にて規定される。横穴12を範囲Yから外れた位置に配置すると、ステップ部の付近で発生する熱を効率良く放熱することが困難になる。
【0024】
本発明では、各ブロック10に少なくとも1本の縦穴11及び少なくとも1本の横穴12を設けることが必要であるが、各ブロック10に対して複数本の縦穴11及び複数本の横穴12を設けるようにしても良い。例えば、図6のように各ブロック10に2本の縦穴11と2本の横穴12を設けたり、図7のように各ブロック10に3本の縦穴11と3本の横穴12を設けることが可能である。いずれの場合も、各縦穴11及び各横穴12は上記寸法及び配置位置を満足することが好ましい。
【0025】
上述した本発明の構成は、ショルダー部での発熱が懸念される空気入りタイヤ、特にスクウェアーショルダーを有する重荷重用空気入りタイヤに適用することが好ましい。
【0026】
【実施例】
〔実験A〕
ショルダー部のブロック列を構成する各ブロックに縦穴を形成することにより懸念される事項として、縦穴の開口部の面積a1及び深さhが、石噛みやベルト端部の損傷にどの程度の影響を与えるかを調べるため、縦穴の開口部の面積a1及び深さhを、それぞれブロックの踏面の面積A及び主溝の深さHに対して変化させて、その他の構成を同一にした試験タイヤ(サイズ:11R22.5)を15種作製した。これら試験タイヤを実車にて5万km走行させて、縦穴による影響を確認し、その結果を表1に示した。
【0027】
【表1】
【0028】
この結果より、縦穴の開口部の面積比(a1/A)が0.05になると石噛みの発生割合が高くなり、縦穴の深さ比(h/H)が1.2以上になるとベルト端部における損傷が発生することを確認した。したがって、ショルダー部のブロック列を構成する各ブロックに縦穴を形成する場合には、面積比(a1/A)をa1/A≦0.03とし、深さ比(h/H)をh/H≦1.1とすることが望まれる。
【0029】
〔実験B〕
ショルダー部のブロック列を構成する各ブロックに横穴を形成することにより懸念される事項として、横穴の開口部の面積a2及び深さlが、ブロックの偏摩耗やベルト端部の損傷にどの程度の影響を与えるかを調べるため、横穴の開口部の面積a2及び深さlを、それぞれブロックの踏面の面積A及び横溝の開口部から最大幅を有するベルト層のエッジまでのタイヤ軸方向の距離Lに対して変化させて、その他の構成を同一にした試験タイヤ(サイズ:11R22.5)を15種作製した。これら試験タイヤを実車にて5万km走行させて、横穴による影響を確認し、その結果を表2に示した。
【0030】
【表2】
【0031】
この結果より、横穴の開口部の面積比(a2/A)が0.05になると偏摩耗の発生が見られるようになり、横穴の深さ比(l/L)が0.8以上になるとベルトエッジ部の損傷が発生してくることを確認した。したがって、ショルダー部のブロック列を構成する各ブロックに横穴を形成する場合には、面積比(a2/A)をa2/A≦0.03とし、深さ比(l/L)をl/L≦0.7とすることが望まれる。
【0032】
〔実験C〕
ショルダー部のブロック列を構成する各ブロックに縦穴を形成することによりショルダー部の放熱に及ぼす影響を調べるため、縦穴の開口部の面積a1及び深さhを、それぞれブロックの踏面の面積A及び主溝の深さHに対して変化させて、その他の構成を同一にした試験タイヤ(サイズ:11R22.5)を24種作製した。これら試験タイヤをドラム上で走行させて、ショルダー部における温度を測定し、縦穴を形成しなかった標準タイヤの温度を基準(100)に指数化して表3に示した。また、横軸に縦穴の開口部の面積比(a1/A)を、縦軸に温度(指数値)をそれぞれとって、縦穴の深さ比(h/H)毎のデータを図8に示した。
【0033】
【表3】
【0034】
この結果より、縦穴の開口部の面積比(a1/A)を0.01以上、縦穴の深さ比(h/H)を0.8以上とすることにより放熱効果が見られることを確認した。したがって、ショルダー部のブロック列を構成する各ブロックに縦穴を形成する場合には、面積比(a1/A)を0.01≦a1/Aとし、深さ比(h/H)を0.8≦h/Hとすることが望まれる。
【0035】
〔実験D〕
ショルダー部のブロック列を構成する各ブロックに横穴を形成することによりショルダー部の放熱に及ぼす影響を調べるため、横穴の開口部の面積a2及び深さlを、それぞれブロックの踏面の面積A及び横溝の開口部から最大幅を有するベルト層のエッジまでのタイヤ軸方向の距離Lに対して変化させて、その他の構成を同一にした試験タイヤ(サイズ:11R22.5)を24種作製した。これら試験タイヤをドラム上で走行させて、ショルダー部における温度を測定し、横穴を形成しなかった標準タイヤの温度を基準(100)に指数化して表4に示した。また、横軸に横穴の開口部の面積比(a2/A)を、縦軸に温度(指数値)をそれぞれとって、横穴の深さ比(l/L)毎のデータを図9に示した。
【0036】
【表4】
【0037】
この結果より、横穴の開口部の面積比(a2/A)を0.01以上、横穴の深さ比(l/L)を0.4以上とすることにより放熱効果が見られることを確認した。したがって、ショルダー部のブロック列を構成する各ブロックに横穴を形成する場合には、面積比(a2/A)を0.01≦a2/Aとし、深さ比(l/L)を0.4≦l/Lとすることが望まれる。
【0038】
〔実験E〕
ショルダー部のブロック列を構成する各ブロックに縦穴及び横穴を形成することによりショルダー部の放熱に及ぼす影響を調べるため、縦穴の深さ比(h/H)を0.8、横穴の深さ比(l/L)を0.4で一定とし、縦穴の開口部の面積a1及び横穴の開口部の面積a2を、それぞれブロックの踏面の面積Aに対して変化させて、その他の構成を同一にした試験タイヤ(サイズ:11R22.5)を4種作製した。これら試験タイヤについて、実験C及び実験Dと同様にしてショルダー部における温度を測定し、縦穴及び横穴を形成しなかった標準タイヤの温度を基準(100)に指数化し、その結果を実験C及び実験Dによる試験結果と対比させて図10に示した。
【0039】
この結果より、縦穴のみを形成した温度曲線R及び横穴のみを形成した温度曲線Sに比較して、縦穴及び横穴を同時に形成した温度曲線Tは顕著な温度の低下現象を示しており、これにより、本発明による空気入りタイヤは縦穴又は横穴を単独で形成した場合に比較して放熱効果が飛躍的に向上することを確認した。
【0040】
〔実験F〕
実験Eと同様に、ショルダー部のブロック列を構成する各ブロックに縦穴及び横穴を形成することによりタイヤショルダー部の放熱に及ぼす影響を調べるため、縦穴の深さ比(h/H)を1.1、横穴の深さ比(l/L)を0.7で一定とし、縦穴の開口部の面積a1及び横穴の開口部の面積a2を、それぞれブロックの踏面の面積Aに対して変化させて、その他の構成を同一にした試験タイヤ(サイズ:11R22.5)を4種作製した。これら試験タイヤについて、実験C及び実験Dと同様にしてショルダー部における温度を測定し、縦穴及び横穴を形成しなかった標準タイヤの温度を基準(100)に指数化し、その結果を実験C及び実験Dによる試験結果と対比させて図11に示した。
【0041】
この結果より、縦穴のみを形成した温度曲線R及び横穴のみを形成した温度曲線Sに比較して、縦穴及び横穴を同時に形成した温度曲線Tが顕著な温度の低下現象を示しており、これにより、本発明による空気入りタイヤは縦穴又は横穴を単独で形成した場合に比較して放熱効果が飛躍的に向上することを確認した。
【0042】
【発明の効果】
上述したように本発明の空気入りタイヤは、ショルダー部のブロック列を構成する各ブロックに、踏面からタイヤ径方向に延びる少なくとも1本の縦穴と、外側面からタイヤ軸方向に延びる少なくとも1本の横穴を設けたから、縦穴又は横穴を単独でショルダー部に形成した場合に比べて、ショルダー部における放熱効果を飛躍的に向上することができる。従って、耐偏摩耗性や石噛み防止性能を損なうことなく、ショルダー部での蓄熱を防いで、ベルト層の端部における剥離故障を抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示す子午線半断面図である。
【図2】図1の空気入りタイヤのショルダー部を切り欠いて示す斜視図である。
【図3】本発明における縦穴及び横穴の寸法を説明するためのタイヤショルダー部の拡大断面図である。
【図4】本発明における縦穴の配置位置を説明するためのタイヤショルダー部の拡大断面図である。
【図5】本発明における横穴の配置位置を説明するためのタイヤショルダー部の拡大断面図である。
【図6】本発明の他の実施形態からなる空気入りタイヤのショルダー部を切り欠いて示す斜視図である。
【図7】本発明の更に他の実施形態からなる空気入りタイヤのショルダー部を切り欠いて示す斜視図である。
【図8】本発明の実験Cによる試験結果を示すグラフである。
【図9】本発明の実験Dによる試験結果を示すグラフである。
【図10】本発明の実験Eによる試験結果を示すグラフである。
【図11】本発明の実験Fによる試験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビ−ド部
4 カ−カス層
5 ビード部
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 主溝
9 横溝
10 ブロック
11 縦穴
12 横穴
CL タイヤセンターライン
【発明の属する技術分野】
本発明は、トレッド部のショルダー領域に位置するブロックに放熱機能を付与した空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、耐偏摩耗性や石噛み防止性能を損なうことなく、ショルダー部での蓄熱を効果的に防いで、ベルト層の端部における剥離故障を抑制するようにした空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
空気入りタイヤのトレッド部が剥離する所謂トレッドセパレーション故障は、その殆どがベルト層の端部におけるベルト層とゴムとの間に生ずる剥離によるもので、その原因はショルダー部における蓄熱にあることは広く知られている。
【0003】
特に、トレッド展開幅が大きい空気入りタイヤは、ショルダー部における蓄熱が大きくなる傾向があり、これを解消するために材料及び構造の多岐にわたって種々の改善が提案されている。その1つとして、ショルダー部のブロックやリブの踏面等に穴を形成し、その穴からショルダー部に蓄積された熱を外部に放熱するものがある。
【0004】
しかしながら、ブロックやリブに設けた穴から効果的な放熱を行うためには、その穴を十分に大きくする必要がある。そのため、放熱用の穴に起因して、偏摩耗が生じ易くなったり、石噛みが発生し易くなるという弊害を生じているのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、耐偏摩耗性や石噛み防止性能を損なうことなく、ショルダー部での蓄熱を防いで、ベルト層の端部における剥離故障を抑制することを可能にした空気入りタイヤを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、トレッド部のショルダー領域に、タイヤ周方向に延びる主溝とタイヤ幅方向に延びる複数本の横溝とで区画された複数のブロックからなるブロック列を配置すると共に、前記トレッド部におけるカーカス層の外周側に複数のベルト層を埋設した空気入りタイヤにおいて、前記ブロック列を構成する各ブロックに、踏面からタイヤ径方向に延びる少なくとも1本の縦穴と、外側面からタイヤ軸方向に延びる少なくとも1本の横穴を設けたことを特徴とするものである。
【0007】
本発明者は、トレッド部のショルダー領域にブロック列を有する空気入りタイヤにおいて、ショルダー部における発熱と放熱との関係について鋭意研究を重ねた結果、ブロックに対して縦穴と横穴を同時に設けた場合、縦穴又は横穴を単独で設けた場合に比べて相乗的な放熱効果が得られることを知見し、本発明に至ったのである。
【0008】
即ち、上述のようにブロックに対して縦穴と横穴を同時に設けることにより、これら縦穴及び横穴がショルダー部で発生する熱を効率良く放熱し、ショルダー部での蓄熱を防いで、ベルト層の端部における剥離故障を抑制することが可能になる。このとき、縦穴と横穴の寸法を可及的に小さくしても効果的な放熱が可能であるので、偏摩耗や石噛みの発生を回避することができる。
【0009】
本発明において、縦穴の開口部の面積がブロックの踏面の面積の1〜3%で、縦穴の深さが主溝の深さの80〜110%であると共に、横穴の開口部の面積がブロックの踏面の面積の1〜3%で、横穴の深さが該横溝の開口部から最大幅を有するベルト層のエッジまでのタイヤ軸方向の距離の40〜70%であることが好ましい。
【0010】
また、最大幅を有するベルト層のエッジと該最大幅を有するベルト層に対してクロスプライとなるベルト層のエッジとが互いにずれてステップ部を形成する空気入りタイヤにおいて、縦穴をステップ部からタイヤ軸方向に10mm以内の範囲に配置すると共に、横穴をステップ部からタイヤ径方向に5mm以内の範囲に配置することが好ましい。
【0011】
このように縦穴及び横穴の大きさや配置位置をそれぞれ特定することにより、偏摩耗や石噛みの発生を回避しつつ、ショルダー部で発生する熱を効率良く放熱することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
図1〜図5は、本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示し、1はトレッド部、2はサイドウォール部、3はビード部、CLはタイヤセンターラインである。左右一対のビード部3,3間にはカーカス層4が装架され、その両端部がビード部3に埋設されたビ−ドコア5の周りにビードフィラー6を挟み込むようにしてタイヤ内側から外側に折り返されている。
【0014】
トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には、複数のベルト層7A,7B,7C,7Dが埋設されている。これらベルト層7A〜7Dはそれぞれ引き揃えられた複数本の補強コードを含み、その補強コードがタイヤ周方向に対して傾斜するように配置されている。ベルト層7A〜7Dのうち、カーカス層4側から数えて2番目のベルト層7Bは最大幅を有している。また、カーカス層4側から数えて3番目のベルト層7Cは最大幅を有するベルト層7Bに対してクロスプライとなっている。即ち、ベルト層7B,7Cは層間で互いに補強コードが交差している。更に、最大幅を有するベルト層7Bのエッジと、それより幅が狭いベルト層7Cのエッジとは互いにずれてステップ部(段差を有する部分)を形成している。
【0015】
上記トレッド部1には、タイヤ周方向に延びる複数本の主溝8と、タイヤ幅方向に延びる複数本の横溝9とが設けられている。そして、トレッド部1のショルダー領域には、主溝8及び横溝9で区画された複数のブロック10からなるブロック列が形成されている。
【0016】
図2に示すように、ショルダー領域のブロック列を構成する各ブロック10には、踏面からタイヤ径方向に延びる少なくとも1本の縦穴11と、外側面からタイヤ軸方向に延びる少なくとも1本の横穴12が形成されている。これら縦穴11及び横穴12はクラックを生じ難くするために円筒状に成形されている。但し、縦穴11及び横穴12の断面形状は円形に限定されるものではなく、例えば、楕円形や多角形等にすることも可能である。
【0017】
このようにブロック10に対して縦穴11と横穴12を同時に設けることにより、タイヤ走行時にショルダー部で発生する熱を効率良く放熱し、ベルト層7A〜7Dの端部における剥離故障を抑制することができる。
【0018】
図3に示すように、主溝8の深さをHとし、縦穴11の深さをhとする。また、横溝12の開口部12aから最大幅を有するベルト層7Bのエッジまでのタイヤ軸方向の距離をL(大文字エル)とし、横穴12の深さをl(小文字エル)とする。但し、深さH,h,l及び距離Lは、それぞれ主溝8、縦穴11、横穴12の中心位置を基準として測定される値である。
【0019】
ここで、縦穴11の開口部11aの面積はブロック10の踏面の面積の1〜3%に設定し、その深さhは主溝8の深さHの80〜110%に設定することが好ましい。縦穴11の開口部11aの面積がブロック10の踏面の面積の1%未満では放熱効果が十分に得られず、3%超では石噛みが生じ易くなる。また、縦穴11の深さhが主溝8の深さHの80%未満では放熱効果が十分に得られず、110%超では縦穴11の底部がベルト層の端部に接近し過ぎるため、縦穴11の底部とベルト層の端部との間にクラックが生じる恐れがある。
【0020】
一方、横穴12の開口部12aの面積はブロック10の踏面の面積の1〜3%に設定し、その深さlは横溝12の開口部12aから最大幅を有するベルト層7Bのエッジまでのタイヤ軸方向の距離Lの40〜70%に設定することが好ましい。横穴12の開口部12aの面積がブロック10の踏面の面積の1%未満では放熱効果が十分に得られず、3%超では偏摩耗が生じ易くなる。また、横穴12の深さlが距離Lの40%未満では放熱効果が十分に得られず、110%超では横穴12の底部がベルト層の端部に接近し過ぎるため、横穴12の底部とベルト層の端部との間にクラックが生じる恐れがある。
【0021】
上述のように最大幅を有するベルト層7Bのエッジと、最大幅を有するベルト層7Bに対してクロスプライとなるベルト層7Cのエッジとが互いにずれてステップ部を形成する空気入りタイヤでは、ステップ部の付近からセパレーションを生じ易いので、このステップ部の付近で発生する熱を効率良く放熱する観点から、縦穴11をステップ部からタイヤ軸方向に10mm以内の範囲に配置すると共に、横穴12をステップ部からタイヤ径方向に5mm以内の範囲に配置することが好ましい。
【0022】
即ち、図4に示すように、ステップ部のタイヤ軸方向の幅をx1とし、そのステップ部からタイヤ軸方向の両側にそれぞれ10mmの幅x2を設定したとき、縦穴11を配置する範囲Xは、X=x1+x2+x2にて規定される。縦穴11を範囲Xから外れた位置に配置すると、ステップ部の付近で発生する熱を効率良く放熱することが困難になる。
【0023】
一方、図5に示すように、ステップ部のタイヤ径方向の幅をy1とし、そのステップ部からタイヤ径方向の両側にそれぞれ5mmの幅y2を設定したとき、横穴12を配置する範囲Yは、Y=y1+y2+y2にて規定される。横穴12を範囲Yから外れた位置に配置すると、ステップ部の付近で発生する熱を効率良く放熱することが困難になる。
【0024】
本発明では、各ブロック10に少なくとも1本の縦穴11及び少なくとも1本の横穴12を設けることが必要であるが、各ブロック10に対して複数本の縦穴11及び複数本の横穴12を設けるようにしても良い。例えば、図6のように各ブロック10に2本の縦穴11と2本の横穴12を設けたり、図7のように各ブロック10に3本の縦穴11と3本の横穴12を設けることが可能である。いずれの場合も、各縦穴11及び各横穴12は上記寸法及び配置位置を満足することが好ましい。
【0025】
上述した本発明の構成は、ショルダー部での発熱が懸念される空気入りタイヤ、特にスクウェアーショルダーを有する重荷重用空気入りタイヤに適用することが好ましい。
【0026】
【実施例】
〔実験A〕
ショルダー部のブロック列を構成する各ブロックに縦穴を形成することにより懸念される事項として、縦穴の開口部の面積a1及び深さhが、石噛みやベルト端部の損傷にどの程度の影響を与えるかを調べるため、縦穴の開口部の面積a1及び深さhを、それぞれブロックの踏面の面積A及び主溝の深さHに対して変化させて、その他の構成を同一にした試験タイヤ(サイズ:11R22.5)を15種作製した。これら試験タイヤを実車にて5万km走行させて、縦穴による影響を確認し、その結果を表1に示した。
【0027】
【表1】
【0028】
この結果より、縦穴の開口部の面積比(a1/A)が0.05になると石噛みの発生割合が高くなり、縦穴の深さ比(h/H)が1.2以上になるとベルト端部における損傷が発生することを確認した。したがって、ショルダー部のブロック列を構成する各ブロックに縦穴を形成する場合には、面積比(a1/A)をa1/A≦0.03とし、深さ比(h/H)をh/H≦1.1とすることが望まれる。
【0029】
〔実験B〕
ショルダー部のブロック列を構成する各ブロックに横穴を形成することにより懸念される事項として、横穴の開口部の面積a2及び深さlが、ブロックの偏摩耗やベルト端部の損傷にどの程度の影響を与えるかを調べるため、横穴の開口部の面積a2及び深さlを、それぞれブロックの踏面の面積A及び横溝の開口部から最大幅を有するベルト層のエッジまでのタイヤ軸方向の距離Lに対して変化させて、その他の構成を同一にした試験タイヤ(サイズ:11R22.5)を15種作製した。これら試験タイヤを実車にて5万km走行させて、横穴による影響を確認し、その結果を表2に示した。
【0030】
【表2】
【0031】
この結果より、横穴の開口部の面積比(a2/A)が0.05になると偏摩耗の発生が見られるようになり、横穴の深さ比(l/L)が0.8以上になるとベルトエッジ部の損傷が発生してくることを確認した。したがって、ショルダー部のブロック列を構成する各ブロックに横穴を形成する場合には、面積比(a2/A)をa2/A≦0.03とし、深さ比(l/L)をl/L≦0.7とすることが望まれる。
【0032】
〔実験C〕
ショルダー部のブロック列を構成する各ブロックに縦穴を形成することによりショルダー部の放熱に及ぼす影響を調べるため、縦穴の開口部の面積a1及び深さhを、それぞれブロックの踏面の面積A及び主溝の深さHに対して変化させて、その他の構成を同一にした試験タイヤ(サイズ:11R22.5)を24種作製した。これら試験タイヤをドラム上で走行させて、ショルダー部における温度を測定し、縦穴を形成しなかった標準タイヤの温度を基準(100)に指数化して表3に示した。また、横軸に縦穴の開口部の面積比(a1/A)を、縦軸に温度(指数値)をそれぞれとって、縦穴の深さ比(h/H)毎のデータを図8に示した。
【0033】
【表3】
【0034】
この結果より、縦穴の開口部の面積比(a1/A)を0.01以上、縦穴の深さ比(h/H)を0.8以上とすることにより放熱効果が見られることを確認した。したがって、ショルダー部のブロック列を構成する各ブロックに縦穴を形成する場合には、面積比(a1/A)を0.01≦a1/Aとし、深さ比(h/H)を0.8≦h/Hとすることが望まれる。
【0035】
〔実験D〕
ショルダー部のブロック列を構成する各ブロックに横穴を形成することによりショルダー部の放熱に及ぼす影響を調べるため、横穴の開口部の面積a2及び深さlを、それぞれブロックの踏面の面積A及び横溝の開口部から最大幅を有するベルト層のエッジまでのタイヤ軸方向の距離Lに対して変化させて、その他の構成を同一にした試験タイヤ(サイズ:11R22.5)を24種作製した。これら試験タイヤをドラム上で走行させて、ショルダー部における温度を測定し、横穴を形成しなかった標準タイヤの温度を基準(100)に指数化して表4に示した。また、横軸に横穴の開口部の面積比(a2/A)を、縦軸に温度(指数値)をそれぞれとって、横穴の深さ比(l/L)毎のデータを図9に示した。
【0036】
【表4】
【0037】
この結果より、横穴の開口部の面積比(a2/A)を0.01以上、横穴の深さ比(l/L)を0.4以上とすることにより放熱効果が見られることを確認した。したがって、ショルダー部のブロック列を構成する各ブロックに横穴を形成する場合には、面積比(a2/A)を0.01≦a2/Aとし、深さ比(l/L)を0.4≦l/Lとすることが望まれる。
【0038】
〔実験E〕
ショルダー部のブロック列を構成する各ブロックに縦穴及び横穴を形成することによりショルダー部の放熱に及ぼす影響を調べるため、縦穴の深さ比(h/H)を0.8、横穴の深さ比(l/L)を0.4で一定とし、縦穴の開口部の面積a1及び横穴の開口部の面積a2を、それぞれブロックの踏面の面積Aに対して変化させて、その他の構成を同一にした試験タイヤ(サイズ:11R22.5)を4種作製した。これら試験タイヤについて、実験C及び実験Dと同様にしてショルダー部における温度を測定し、縦穴及び横穴を形成しなかった標準タイヤの温度を基準(100)に指数化し、その結果を実験C及び実験Dによる試験結果と対比させて図10に示した。
【0039】
この結果より、縦穴のみを形成した温度曲線R及び横穴のみを形成した温度曲線Sに比較して、縦穴及び横穴を同時に形成した温度曲線Tは顕著な温度の低下現象を示しており、これにより、本発明による空気入りタイヤは縦穴又は横穴を単独で形成した場合に比較して放熱効果が飛躍的に向上することを確認した。
【0040】
〔実験F〕
実験Eと同様に、ショルダー部のブロック列を構成する各ブロックに縦穴及び横穴を形成することによりタイヤショルダー部の放熱に及ぼす影響を調べるため、縦穴の深さ比(h/H)を1.1、横穴の深さ比(l/L)を0.7で一定とし、縦穴の開口部の面積a1及び横穴の開口部の面積a2を、それぞれブロックの踏面の面積Aに対して変化させて、その他の構成を同一にした試験タイヤ(サイズ:11R22.5)を4種作製した。これら試験タイヤについて、実験C及び実験Dと同様にしてショルダー部における温度を測定し、縦穴及び横穴を形成しなかった標準タイヤの温度を基準(100)に指数化し、その結果を実験C及び実験Dによる試験結果と対比させて図11に示した。
【0041】
この結果より、縦穴のみを形成した温度曲線R及び横穴のみを形成した温度曲線Sに比較して、縦穴及び横穴を同時に形成した温度曲線Tが顕著な温度の低下現象を示しており、これにより、本発明による空気入りタイヤは縦穴又は横穴を単独で形成した場合に比較して放熱効果が飛躍的に向上することを確認した。
【0042】
【発明の効果】
上述したように本発明の空気入りタイヤは、ショルダー部のブロック列を構成する各ブロックに、踏面からタイヤ径方向に延びる少なくとも1本の縦穴と、外側面からタイヤ軸方向に延びる少なくとも1本の横穴を設けたから、縦穴又は横穴を単独でショルダー部に形成した場合に比べて、ショルダー部における放熱効果を飛躍的に向上することができる。従って、耐偏摩耗性や石噛み防止性能を損なうことなく、ショルダー部での蓄熱を防いで、ベルト層の端部における剥離故障を抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示す子午線半断面図である。
【図2】図1の空気入りタイヤのショルダー部を切り欠いて示す斜視図である。
【図3】本発明における縦穴及び横穴の寸法を説明するためのタイヤショルダー部の拡大断面図である。
【図4】本発明における縦穴の配置位置を説明するためのタイヤショルダー部の拡大断面図である。
【図5】本発明における横穴の配置位置を説明するためのタイヤショルダー部の拡大断面図である。
【図6】本発明の他の実施形態からなる空気入りタイヤのショルダー部を切り欠いて示す斜視図である。
【図7】本発明の更に他の実施形態からなる空気入りタイヤのショルダー部を切り欠いて示す斜視図である。
【図8】本発明の実験Cによる試験結果を示すグラフである。
【図9】本発明の実験Dによる試験結果を示すグラフである。
【図10】本発明の実験Eによる試験結果を示すグラフである。
【図11】本発明の実験Fによる試験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビ−ド部
4 カ−カス層
5 ビード部
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 主溝
9 横溝
10 ブロック
11 縦穴
12 横穴
CL タイヤセンターライン
Claims (3)
- トレッド部のショルダー領域に、タイヤ周方向に延びる主溝とタイヤ幅方向に延びる複数本の横溝とで区画された複数のブロックからなるブロック列を配置すると共に、前記トレッド部におけるカーカス層の外周側に複数のベルト層を埋設した空気入りタイヤにおいて、前記ブロック列を構成する各ブロックに、踏面からタイヤ径方向に延びる少なくとも1本の縦穴と、外側面からタイヤ軸方向に延びる少なくとも1本の横穴を設けた空気入りタイヤ。
- 前記縦穴の開口部の面積が前記ブロックの踏面の面積の1〜3%で、前記縦穴の深さが前記主溝の深さの80〜110%であると共に、前記横穴の開口部の面積が前記ブロックの踏面の面積の1〜3%で、前記横穴の深さが該横溝の開口部から最大幅を有するベルト層のエッジまでのタイヤ軸方向の距離の40〜70%である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 最大幅を有するベルト層のエッジと該最大幅を有するベルト層に対してクロスプライとなるベルト層のエッジとが互いにずれてステップ部を形成する空気入りタイヤにおいて、前記縦穴を前記ステップ部からタイヤ軸方向に10mm以内の範囲に配置すると共に、前記横穴を前記ステップ部からタイヤ径方向に5mm以内の範囲に配置した請求項1又は請求項2に記載の空気入りタイヤ。
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