JP2004009325A - 発泡スチロール製品の成形システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】発泡スチロール製品の成形システムにおいて、蒸気供給源と金型1を結ぶ系に、高圧蒸気を減圧調温させて低圧飽和蒸気を生成するためのサーモコンプレッサー2と、該サーモコンプレッサー2で生成した低圧飽和蒸気を蓄えつつ金型1に供給する蒸気貯槽4と、前記サーモコンプレッサー2の吸込み側と接続し蒸気の減圧時に発生する真空を蓄えるとともに金型とも通じて真空を作用させるための真空槽3を設けて、蒸気供給源からの高圧蒸気にして蒸気貯槽4に蓄え、その低圧飽和蒸気を加熱融着工程で金型1に供給する1方、成形後の冷却工程では、前記真空槽3内の真空を金型内の成形品に作用させることで、成形品に付着している凝縮水を真空蒸発させて冷却させるようにした。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は発泡スチロール製品の成型に好適な発泡成形システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
発泡樹脂製品たとえば鮮魚や加工品の収容箱やブロック状製品は一般に発泡スチロールで作られている。このような発泡スチロール製品は、一般に、予備発泡し乾燥させたビーズを移動側と固定側で構成される金型のキャビティーに充填し、この状態でキャビティーに加熱流体を圧入して製品となったときの内部から外部に向けて発泡粒子同士を熱融着させて所定形状にし、次いで冷却して金型を開き、製品を離型させる工程が採られる。
【0003】
かかる工程において、従来では、加熱流体として汎用のボイラーで生成した高圧(7kg/cm2G)の蒸気を、減圧弁で成型に適する温度(118℃程度)に相当する圧力(0.8kg/cm2G)に減圧し、キャビティーを構成する金型には内外を貫くように多数箇所にスリット穴を配し、原料の一次発泡ビーズを金型に充填した状態で前記スリット穴を通して前記蒸気をキャビティー内に噴射し、その直後に離型・製品取り出しのため、冷却水を金型に供給して冷却していた。
【0004】
しかし、高圧蒸気を減圧するだけでは蒸気温度は高いままであるから、過熱蒸気状態で不安定である。そのため融着温度よりも高いかかる過熱蒸気により発泡スチロール粒子の融着が不安定になるとともに、過熱蒸気の高温によりスリット内でスチロール小片が熱融着し、スリットの目詰り・閉塞を引き起こすことが多かった。このため、融着温度の制御困難とあいまって成型効率が低下し、コストに悪影響が生じていた。
【0005】
また、従来は加熱時の蒸気注入と離型のため故冷却水注入が交互に行われ、金型といういわば「丹前」を着た状態で、成形品を間接冷却するので熱効率が悪く、そのため大量の冷却水を必要とし、冷却の際に、加熱用蒸気と冷却水が混合されるので、廃熱回収と冷却水回収ができず、多量の温水が排水として発生して処理に難渋する問題があった。
【0006】
さらに、従来では成形品を金型から離型させるために、機械的に多数本の押し出しピンを金型内に挿脱させるようにしている。このため摺動部のシールが困難となり、このためキャビティー内を気密化することが阻害され、かつまた多数の離型用押しピンを取り外す必要から、金型交換に多大の時間と手間を要する問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記のような問題点を解消するためになされたもので、その目的とするところは、スリットの目詰まりを回避でき製品歩留まりの向上を図り得るとともに、離型用の冷却水の使用を著減でき、全体として成形サイクルの向上と、大幅な省エネルギー化と、設備の簡易化を達成できる新規な発泡スチロール製品の成形システムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明は、キャビティーを構成する固定型と可動型を有する金型に発泡原料を充填し型締め状態で蒸気を用いて加熱して融着成形し、次いで冷却し、型締め解除・離型を行うための成形システムにおいて、蒸気供給源と金型を結ぶ系に、高圧蒸気を減圧調温させて低圧飽和蒸気を生成するためのサーモコンプレッサーと、該サーモコンプレッサーで生成した低圧飽和蒸気を蓄えつつ金型に供給する蒸気貯槽と、前記サーモコンプレッサーの吸込み側と接続し蒸気の減圧時に発生する真空を蓄えるとともに金型とも通じて真空を作用させるための真空槽を設け、蒸気供給源からの高圧蒸気をサーモコンプレッサーを通し、蒸気ドレーンを減圧し再フラッシュした蒸気と混合して得た低圧飽和蒸気を蒸気貯槽に蓄え、その低圧飽和蒸気を加熱融着工程で金型に供給する1方、成形後の冷却工程では、前記真空槽内の真空を金型内の成形品に作用させることで、成形品に付着している凝縮水を真空蒸発させて成形品を冷却させるようにしたことを特徴としている。
【0009】
好適には、サーモコンプレッサーは少なくとも2段が直列に配置され、上流側のサーモコンプレッサーの吐出側が下流側のサーモコンプレッサーの吸い込み側に接続されている。
【0010】
本発明は、運転開始時に真空槽に真空を生成するための真空ポンプを備えている構成を含む。
また、本発明は、金型の背後にキャビティーに通じる空気タンクを設け、該空気タンクから空気圧をキャビティーに噴射することで成形品の離型を行うようにしている構成を含む。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1ないし図4は本発明による発泡スチロール製品の成形システムの一実施例を示している。1は固定型1aと可動型1bとを備えた発泡スチロール製品成形用の金型であり、移動型1bは背後の型締め装置1cによって固定型1aに対して接離され、型締めされたときに成形品形状のキャビティー1eが複数個画成されるようになっている。
【0012】
前記固定型1aには、キャビティー1eにいたる発泡原料(発泡ビーズ)充填管1dが設けられており、発泡原料充填管1dには原料ホッパー100とシャッター101を介して供給管102が接続されるとともに、発泡原料充填管1dに送り込まれた発泡原料をキャビティー1eに圧入充填する圧縮空気供給系が接続されている。
【0013】
なお、キャビティー1eは一つの金型1に複数個形成され、図4のように、キャビティー1eに面する固定型1aと可動型1bの型面10a、10bには、加熱用の蒸気をキャビティーcに導入し、また冷却時にはキャビティー1eに真空を作用させるために、微細な無数のスリット105が配されている。
【0014】
図1において、Aは本発明の特徴である真空成形用装置であり、高圧蒸気を減圧調温して低圧飽和蒸気を得ると同時に真空を生成するためのサーモコンプレッサー2と、サーモコンプレッサー2で生成した真空を蓄えるとともに金型内に真空を作用させ成形品に付着している凝縮水を気化させそれを回収する手段である真空槽3、および、サーモコンプレッサー2で生成した低圧飽和蒸気を成形用蒸気として安定的に蓄えて金型1に供給する蒸気貯槽4とを備えている。
【0015】
図2は真空成形用装置Aの詳細を示しており、サーモコンプレッサー2は、高圧蒸気導入部20とノズル部21とこれと交差状に通じる吸入部23および低圧蒸気吐出部22を有する蒸気ジェットエジェクタからなっている。
前記サーモコンプレッサー2は、高真空たとえば−600mmHg程度を得ることが可能であれば単一であってよいが、通常は複数が直列に使用されている。この例では2段とされ、第1サーモコンプレッサー2aのディフューザ22が、第2サーモコンプレッサー2bの吸入部23に連絡管24で接続されている。
【0016】
前記第1と第2のサーモコンプレッサー2a、2bの高圧蒸気導入部20、20には高圧蒸気供給源としての蒸気ボイラーBからの高圧蒸気配管6が接続され、たとえば7kg/cm2Gの高圧蒸気が導かれるようになっている。
前記第1サーモコンプレッサー2aの吸入部23は、真空槽3の排気部(サクション部)30に接続されている。そして、第2サーモコンプレッサー2bのディフューザ22の吐出口は、蒸気貯槽4の低圧蒸気取入れ部40に接続されている。
【0017】
蒸気貯槽4はサーモコンプレッサー2で生成した低圧飽和蒸気たとえば0.8kg/cm2Gを十分な量で蓄え得るように所定の容積で作られた耐圧タンクであり、上部には低圧飽和蒸気取出し部41が設けられ、これに固定型1aと可動型1bにいたる成形用蒸気供給配管7が接続されている。成形用蒸気供給配管7は切換弁71を備え、成形信号を受けて作動し、低圧飽和蒸気を固定型1aと可動型1bのヘッダーからスリット105’,105’を通してキャビティー1eに導入するようになっている。
【0018】
蒸気貯槽4は、図2のように、他所に制御口42が設けられ、これに取り付けたコントローラー44が高圧蒸気配管6の制御弁6aの操作部と制御系43によりつながり、蒸気貯槽4内の低圧飽和蒸気の圧力に応じて制御弁6aを開閉し、所定の圧力の低圧飽和蒸気を蓄えるようになっている。たとえば、蒸気貯槽4内の低圧飽和蒸気の圧力が0.75kg/cm2Gになったときに制御弁6aを開いてサーモコンプレッサー2に高圧蒸気を継続的に供給し、蒸気貯槽4内の低圧飽和蒸気の圧力が0.85kg/cm2Gになったときに制御弁6aを閉じて高圧蒸気の供給を停止する。
【0019】
高圧蒸気配管6は、スチームトラップ601を有するドレーン配管60を有し、そのドレーン配管60は後述する真空槽3のドレーン取入れ部31に通ずる蒸気戻し配管9に接続されている。
また、蒸気貯槽4の下部にはドレーン部45が設けられ、これにスチームトラップ460を有するドレーン管46が接続され、ドレーン管46は前記ドレーン配管60に接続されている。
47は蒸気貯槽4に設けられた圧力計、48は温時計である。
【0020】
真空槽3は耐圧タンクとして構成されており、前記したように、サーモコンプレッサー2aの吸入部23と配管により接続した排気部30と、ドレーン配管60と接続したドレーン取入れ部31のほか、吸引部32が設けられている。該吸引部32に、図1のように固定型1aと可動型1bの図示しない真空吸引ヘッダーからの真空吸引配管8が接続されている。
【0021】
真空吸引配管8には、図1のように、スチームトラップ90を有する蒸気戻し配管9が接続されており、該蒸気戻し配管9は前記真空槽3に接続ている。
真空槽3の内部には、図2のように、ドレーン取入れ部31と導管で接続したスプレーノズル36が配され、これで凝縮水を噴霧し、吸い取り部30に作用するサーモコンプレッサー2からの吸引(真空化)により再蒸発させるようにしている。
前記真空吸引配管8と蒸気戻し配管9には、図1のようにそれぞれ切換弁81、91が設けられている。切換弁81はノーマルクローズド、切換弁91はノーマルオープンとされている。
【0022】
真空槽3はまた、外部の真空ポンプ5に対する接続部37を有している。真空ポンプ5は必ずしもなくてもよいが、運転開始時の真空生成と、運転中のサーモコンプレッサー2に導入すべき蒸気量(成形に必要な蒸気量)とは発生すべき真空能力とのバランスをよくするために予備的に併用される。38は圧力計、39は温度計である。
【0023】
前記固定型1aは、従来のように発泡原料充填管1d内を通して金型内に突出する離型用の押し出しピンがなく、それに代えて発泡原料充填管1dを通してキャビティーに通じた空気槽12が配され、これに圧縮空気供給系11が開閉弁120を介して接続され、離型時に開閉弁120が開くことにより、固定型1aに付着された成形品をエアの圧力で押し出すようになっている。必要に応じて、金型の型面10aにはたとえば1/50程度の抜き勾配を付けることが好ましい。なお、空気槽12は共通の大きな容積のものであってもよいし、発泡原料の充填用を兼ねさせてもよい。
【0024】
なお、実際には、前記金型1、成形用蒸気供給配管7、真空吸引配管8、蒸気戻し配管9を包含する成形系Cは図1のように複数台配され、それらを1つの真空成形用装置Aでまかなうようにしている。
【0025】
【実施例の作用】
実施例による作用を説明すると、固定型1aと可動型1bを型締め装置1cによって閉じて型締めし、一次発泡原料を原料ホッパー100から発泡原料充填管1dを通してキャビティー1eに充填し、この状態で蒸気を成形用蒸気供給配管6から固定型1aと可動型1bのスリット105を通して供給することにより、2次発泡と融着を行い、次いで、離型のために冷却を行い、固定型1aと可動型1bを離間させて離型する基本的な工程は従来と同様である。
【0026】
本発明においては、操業に際して真空ポンプ5を駆動し、真空槽3内を減圧して、真空状態にする。このときには、蒸気戻し配管9の切換弁90を閉じ状態にし、金型1に真空が作用しないようにしておく。真空槽3内には成形に既に使用した蒸気ドレーン(飽和温度水)を溜めておく。所定の真空度に達したならば、真空ポンプ5は運転を停止してよい。
【0027】
この状態でボイラーなどの蒸気供給源Bから高圧蒸気たとえば7kg/cm2Gを高圧蒸気配管6に供給すれば、その高圧蒸気は、サーモコンプレッサー2の第1、第2のサーモコンプレッサー2a、2bの各高圧蒸気導入部20、20に導入され、ノズル21、21で絞られて減圧し、低圧蒸気吐出部22、22から吐出される。
【0028】
ノズル21,21には交差する吸入部23、23があるため、第1サーモコンプレッサー2aの吸入部23に真空槽3の内気が吸い込まれ、低圧蒸気吐出部22から第2サーモコンプレッサー2bを通過する蒸気と混合して第2サーモコンプレッサー2bの吸入部23に吸引され、第2サーモコンプレッサー2bの低圧蒸気吐出部22から蒸気貯槽4の低圧蒸気取入れ部40に導入される。
【0029】
すなわち、サーモコンプレッサー2で真空が生成され、真空槽3内の凝縮水は再フラッシュして蒸気を発生する。7kg/cm2Gの高圧蒸気は0.8kg/cm2Gに減圧されて合流し、発泡スチロール融着最適温度に減圧・減温制御された飽和蒸気蒸気として、蒸気貯槽4に蓄えられるのである。上記サーモコンプレッサー2の動作は操業中連続的に行われる。
【0030】
本発明は発泡スチロール融着温度を飽和蒸気の温度と圧力の関係に依存させて制御するものであり、蒸気温度(発泡スチロール融着温度)のコントロールは難しくても、飽和蒸気圧は比較的容易にコントロールできるので、ボイラーからの高圧蒸気を、発泡スチロール成形に最適な温度(約118〜120℃)に相当する飽和蒸気圧力0.8kg/cm2Gに減圧することで、安定した発泡スチロール融着に必要な温度を得ることができるのである。同時に、サーモコンプレッサー2の吸引作用により、真空槽3内は−600mmHg程度の高真空状態が持続的的に保持される。
【0031】
蒸気貯槽4の0.8kg/cm2Gに減圧された飽和蒸気は制御系43によって常時自動制御されており、固定型1aと可動型1bを型締め装置1cによって閉じて型締めし、発泡原料を原料ホッパー100から発泡原料充填管1dを通してキャビティー1eに充填すると、シーケンスに従って切換弁71、71が開弁され、成形用蒸気供給配管7を通して低圧飽和蒸気が固定型1aと可動型1bのスリット105’からキャビティー1eに導入される。
この低圧飽和蒸気は、過熱蒸気ではなく、発泡スチロールの融着最適温度に即応する減圧・減温された蒸気であり、かかる飽和蒸気で発泡原料を加熱することで蒸気の凝縮潜熱により必要熱量を安定して与えることができる。このため、型面のスリット内での発泡スチロール小片の融着が回避され、スリット閉塞トラブルが的確に回避された条件で2次発泡と成形が行われる。使用済みの飽和蒸気は蒸気戻し配管9によって、真空槽3内に回収される。
【0032】
次いで、切換弁71、71が閉弁されて蒸気貯槽4から金型1への成形用蒸気の供給が停止されると、真空吸引配管8の切換弁81、81が開弁される。これにより、真空槽3が金型1のキャビティー1eと連通し、キャビティー1eが減圧される。キャビティー内の成形品の表面には約120℃の凝縮水が付着しているが、前記真空の作用で凝縮水がたとえば525mmHg程度に減圧されることによって急激に気化・再蒸発されられ、蒸発潜熱として成形品の表面の熱を奪う。
これにより、成形品は離型に適した約90℃まで直接冷却される。したがって、従来のような冷却水による金型の間接冷却に比べてきわめて効果的であるとともに、冷却水とそれを給排する配管、ポンプなどの設備がほとんど不要となる。もちろん、場合によっては蒸発用水をキャビティー内に噴霧してもよい。
【0033】
次いで、真空吸引配管8の切換弁81,81を閉じ、蒸気戻し配管9の切換弁91,91により真空槽3と金型1のキャビティー1eを蒸気戻し配管9によって連通させる。
これにより、成形に使用した蒸気ドレーンの成形品の表面から再蒸発されられた成形用蒸気は凝縮水(飽和温度水)となって蒸気戻し配管9から真空槽3に導入され、内部のスプレーノズル36で噴霧されて蓄えられる。真空槽3には、成形に使用した蒸気ドレーンが導入されている。
【0034】
これらの凝縮水は前記のようにサーモコンプレッサー2からの吸引(真空化)により再フラッシュして蒸気となり、サーモコンプレッサー2を通る蒸気と混合されて再び低圧飽和蒸気となって蒸気貯槽4に蓄えられ、融着用の加熱媒体として使用される。したがって、大きな省エネルギー効果が得られる。
【0035】
かくして成形品が冷却されたならば、固定型1aと可動型1bを離間させて離型するが、このとき本発明は、各開閉弁120を開いてそれぞれの空気槽12を介して型面のスリットを通して空気を吹き込む。これで簡単に成形品を離型することができる。
以上で1サイクルが終わり、以下同様なサイクルを繰り返して成形が行われる。
【0036】
本発明の作用を整理すると、次のとおりである。
1)サーモコンプレッサー2を活用して、過熱蒸気を飽和蒸気に変換し、発泡スチロール融着最適温度に減圧・減温された蒸気を得る。すなわち、発泡スチロール成型用に使用した蒸気ドレーン(飽和温度水)を真空槽3にためておき、ここにボイラで発生した高圧蒸気配管6とサーモコンプレッサー2を接続する。サーモコンプレッサー2で真空が発生することで、凝縮水は再フラッシュして蒸気を発生する。ボイラから来た高圧蒸気は減圧されて合流して減温制御された蒸気として、蒸気貯槽4に蓄えられる。このことから、次のような特徴が発揮される。
【0037】
▲1▼蒸気ドレーンを再フラッシュさせた蒸気を加えるため蒸気圧力は飽和温度(=圧力)で一定になる。すなわち、温度の制御を飽和蒸気の圧力に置き換えて制御する。したがって、成形用蒸気の圧力と温度が安定し、スリットの加熱によるスチロールの融着とそれによる目詰りが防止される。
【0038】
▲2▼高圧蒸気を断熱膨張させた時のエネルギーを再利用して蒸気ドレーンより再フラッシュさせた蒸気を再利用する、つまり、金型内で使用した蒸気凝縮水を再蒸発させて再び金型内で仕事をさせるので、大きな省エネルギーを図ることができる。
【0039】
2)サーモコンプレッサー2により安定した低圧蒸気の生成とともに、このエネルギーを活用して真空を生成させ、これを有効に活用するので、次のような特徴が発揮される。
▲1▼従来では、成形品の離型に必要な冷却を、金型を介した間接冷却に頼っていたが、飽和蒸気で発泡スチロールを加熱し・成形が終了した時点で成形ワークに付着している凝縮水に、サーモコンプレッサー2で生成した真空を作用させることで、専用の真空ポンプなしでも、凝縮水を減圧して急激な気化により成形ワークを直接に冷却することができる。
【0040】
▲2▼従来のシステムでは蒸気ドレーンと、冷却水が混合されるので、蒸気ドレーンからの廃熱回収と、膨大な量の冷却水回収が難しかったが、本発明は、成形後の冷却を、成形製品に付着している水分の真空蒸発に任せるので、冷却水を使用した金型の冷却が不要になり、かつ蒸気ドレーンからの廃熱回収も可能となるので、設備の簡易化と大きな省エネルギー化を図ることができる。また、約90℃〜120℃という狭い温度範囲での制御で足りるので、成形サイクルタイムを短くし、効率化できる。
【0041】
【発明の効果】
以上説明した本発明の請求項1によるときには、次のようなすぐれた効果が得られる。
▲1▼高圧蒸気をサーモコンプレッサー2を通して減圧・調温し、発泡スチロール融着の最適温度の低圧飽和蒸気を得、それを蒸気貯槽4に蓄えて金型1に供給するので、加熱蒸気によるスリット閉塞トラブルを回避でき、成形用蒸気使用量の低減と共に、その温度・圧力が安定して製品歩留まりを向上することができる。
【0042】
▲2▼高圧の蒸気を、発泡スチロール成形に最適温度(約118℃)に相当する飽和蒸気圧力に減圧するサーモコンプレッサー2のエネルギーを活用して真空を得、これを利用して成形品冷却を行わせ、こうして金型内で使用した蒸気凝縮水を真空槽3に導きサーモコンプレッサー2で再蒸発させて、再び成形用蒸気として金型内に導入するので大きな省エネルギーを図ることができる。
【0043】
▲3▼サーモコンプレッサー2の低圧飽和蒸気の生成時に同時発生する真空を離型用の冷却に利用し、成形品を蒸発潜熱を活用して直接冷却するので、大きな省エネルギーを図ることができる。
▲4▼サーモコンプレッサー2により、発泡スチロール融着最適温度に減圧・減温された蒸気が得られ、それと同時に真空が得られ、この真空を金型内の減圧・冷却に供するので、原則として冷却水システムは不要になり、蒸気ドレーンからの廃熱回収も可能となり、冷却水を特に必要としないので、これの給排水配管、温水処理のための設備などが不要になる。
【0044】
請求項2によれば、サーモコンプレッサー2を複数段直列に設置しているので、高真空を確実に得ることができると同時に、発泡スチロール成形に最適な低圧飽和蒸気を安定して得ることができるというすぐれた効果が得られる。
【0045】
請求項3によれば、離型用押ピンでなく圧縮エアで成形品の離型を図るので、真空が阻害されることがなくなり、また金型交換時間を簡単で短いものにすることができるというすぐれた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による発泡スチロール製品の成形システムの1実施例を示す説明図である。
【図2】本発明システムの要部を示す説明図である。
【図3】本発明システムの配置を示す側面図である。
【図4】本発明における金型の1つの型部分を拡大して模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 金型
1a 固定型
1b 移動型
2 サーモコンプレッサー
3 真空槽
4 蒸気貯槽
Claims (3)
- キャビティーを構成する固定型1aと可動型1bを有する金型1に発泡原料を充填し型締め状態で蒸気を用いて加熱して融着成形し、次いで冷却し、型締め解除・離型を行うための成形システムにおいて、
蒸気供給源と金型1を結ぶ系に、高圧蒸気を減圧調温させて低圧飽和蒸気を生成するためのサーモコンプレッサー2と、該サーモコンプレッサー2で生成した低圧飽和蒸気を蓄えつつ金型1に供給する蒸気貯槽4と、前記サーモコンプレッサー2の吸込み側と接続し蒸気の減圧時に発生する真空を蓄えるとともに金型とも通じて真空を作用させるための真空槽3を設け、蒸気供給源からの高圧蒸気をサーモコンプレッサー2を通し、蒸気ドレーンを減圧し再フラッシュした蒸気と混合して得た低圧飽和蒸気を蒸気貯槽4に蓄え、その低圧飽和蒸気を加熱融着工程で金型1に供給する1方、成形後の冷却工程では、前記真空槽3内の真空を金型内の成形品に作用させることで、成形品に付着している凝縮水を真空蒸発させて成形品を冷却させるようにしたことを特徴とする発泡スチロール製品の成形システム。 - サーモコンプレッサー2は少なくとも2段直列に配置され、上流側のサーモコンプレッサー2aの吐出側21が下流側のサーモコンプレッサー2bの吸い込み側20に接続されている請求項1に記載の発泡スチロール製品の成形システム。
- 金型1の背後にキャビティーに通じる空気槽12を設け、該空気槽12の空気圧をキャビティーに噴射することで成形品の離型を行うようにしている請求項1に記載の発泡スチロール製品の成形システム。
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2002
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