以下、本発明の実施形態について説明する。
まず、本実施形態の第一態様にかかる蒸気エゼクタにおける駆動蒸気量(駆動蒸気圧力)の制御方法は、蒸気エゼクタの吐出側圧力を検知あるいは予測する、吐出側圧力情報取得工程と、吐出側圧力情報取得工程にて得られた吐出側圧力情報に基づいて、蒸気エゼクタを駆動させる駆動蒸気量(駆動蒸気圧力)を制御する、駆動蒸気量(駆動蒸気圧力)制御工程とを備えたことを特徴としている。駆動蒸気量の制御は、主に駆動蒸気圧力の制御によって行われる。
また、本実施形態の第二態様にかかる蒸気エゼクタにおける駆動蒸気圧力の制御方法は、第一態様にかかる吐出側圧力情報取得工程にて、蒸気エゼクタの下流側に接続された機器に関して検知された圧力が、吐出側圧力情報として得られるべく構成されている。
また、本実施形態の第三態様にかかる蒸気エゼクタにおける駆動蒸気圧力の制御方法は、第一態様にかかる吐出側圧力情報取得工程にて、蒸気エゼクタの下流側に接続された機器に関する温度情報から予測された圧力が、吐出側圧力情報として得られるべく構成されている。
また、本実施形態の第四態様にかかる蒸気エゼクタにおける駆動蒸気圧力の制御方法は、第一態様にかかる吐出側圧力情報取得工程にて、湿球温度情報から予測された圧力が、吐出側圧力情報として得られるべく構成されている。本実施形態においては、湿球温度情報として、冷却塔の空気吸込口付近の湿球温度情報が用いられることが好ましい。
また、本実施形態の第五態様にかかる蒸気エゼクタにおける駆動蒸気圧力の制御方法は、第一乃至第四態様にかかる駆動蒸気圧力制御工程にて、蒸気エゼクタの上流側に接続された圧力調整器(例えば、モータバルブ)が、吐出側圧力情報に基づいてフィードバック制御されるべく構成されている。
さらに、本実施形態の第六態様にかかる蒸気エゼクタにおける駆動蒸気圧力の制御方法は、第五態様において、吐出側圧力情報に基づき必要駆動蒸気圧力が定められ、蒸気エゼクタに導入される駆動蒸気圧力が必要駆動蒸気圧力となるように、圧力調整器(例えば、モータバルブ)がフィードバック制御されるべく構成されている。
また、本実施形態の第七態様にかかる蒸気エゼクタにおける駆動蒸気圧力の制御方法は、第一乃至第四態様にかかる駆動蒸気圧力制御工程にて、蒸気エゼクタの上流側に接続された圧力調整器(例えば、モータバルブ)が、吐出側圧力情報に基づき、所定の状態(例えば、所定の開度)に制御されるべく構成されている。
さらに、本実施形態の第八態様にかかる蒸気エゼクタにおける駆動蒸気圧力の制御方法は、第七態様において、吐出側圧力情報に基づき必要駆動蒸気圧力が定められ、所定のテーブルに基づき、蒸気エゼクタに導入される駆動蒸気圧力が必要駆動蒸気圧力となるように、圧力調整器(例えば、モータバルブ)が所定の状態(例えば、所定の開度)に制御されるべく構成されている。
また、本実施形態の第九態様にかかる蒸気エゼクタにおける駆動蒸気圧力の制御方法は、第一乃至第四態様にかかる駆動蒸気圧力制御工程が、蒸気エゼクタの上流側に接続された圧力調整器(例えば、モータバルブ)が、吐出側圧力情報に基づき、所定の状態(例えば、所定の開度)に制御される第一開度制御ステップと、蒸気エゼクタの表面温度情報を検知する表面温度情報検知ステップと、蒸気エゼクタの上流側に接続された圧力調整器(例えば、モータバルブ)が、表面温度情報に基づいてフィードバック制御される第二開度制御ステップとを有すべく構成されている。
さらに、本実施形態の第十態様にかかる蒸気エゼクタにおける駆動蒸気量の制御方法は、蒸気エゼクタの吸引側情報を検知あるいは予測する、吸引側情報取得工程と、吸引側情報取得工程にて得られた吸引側情報に基づいて、蒸気エゼクタを駆動させる駆動蒸気量を制御する、駆動蒸気量制御工程とを備えたことを特徴としている。
また、本実施形態の第十一態様にかかる蒸気エゼクタにおける駆動蒸気量の制御方法は、蒸気エゼクタの吐出側情報を検知あるいは予測する、吐出側情報取得工程と、蒸気エゼクタの吸引側情報を検知あるいは予測する、吸引側情報取得工程と、吐出側情報取得工程にて得られた吐出側情報および吸引側情報取得工程にて得られた吸引側情報に基づいて、蒸気エゼクタを駆動させる駆動蒸気量を制御する、駆動蒸気量制御工程とを備えたことを特徴としている。
さらに、本実施形態の第十二態様にかかる蒸気エゼクタにおける駆動蒸気量の制御方法は、第十一態様にかかる吐出側情報取得工程にて、蒸気エゼクタの下流側に接続された機器に関して検知された圧力が、吐出側情報として得られるべく構成されている。
また、本実施形態の第十三態様にかかる蒸気エゼクタにおける駆動蒸気量の制御方法は、第十一態様にかかる吐出側情報取得工程にて、蒸気エゼクタの下流側に接続された機器に関する温度情報から予測された圧力が、吐出側情報として得られるべく構成されている。
さらに、本実施形態の第十四態様にかかる蒸気エゼクタにおける駆動蒸気量の制御方法は、第十一態様にかかる吐出側情報取得工程にて、吐出側情報取得工程にて、湿球温度情報から予測された圧力が、吐出側情報として得られるべく構成されている。
また、本実施形態の第十五態様にかかる蒸気エゼクタにおける駆動蒸気量の制御方法は、第十態様から第十四態様のいずれかにかかる吸引側情報取得工程にて、蒸気エゼクタの上流側に接続された機器に関して検知された温度が、吸引側情報として得られるべく構成されている。蒸気エゼクタの上流側に接続された機器としては、例えば、真空式冷却塔があげられる。
さらに、本実施形態の第十六態様にかかる蒸気エゼクタにおける駆動蒸気量の制御方法は、第十態様から第十四態様のいずれかにかかる吸引側情報取得工程にて、蒸気エゼクタの上流側に接続された機器に関して検知された圧力が、吸引側情報として得られるべく構成されている。蒸気エゼクタの上流側に接続された機器としては、例えば、真空式冷却塔があげられる。
さらに、本実施形態の第十七態様は、蒸気エゼクタを用いて構成された減圧システム(例えば、冷水製造システム)の制御方法であって、蒸気エゼクタの制御方法が、上述した第一態様から第十六態様のいずれかにかかる制御方法(蒸気エゼクタにおける駆動蒸気圧力(駆動蒸気量)の制御方法)であることを特徴としている。
また、本実施形態の第十八態様は、蒸気エゼクタを用いて構成された減圧システム(例えば、冷水製造システム)であって、蒸気生成部と、蒸気生成部から供給される蒸気を導入可能な蒸気エゼクタ(上述した制御方法にて駆動される種々の蒸気エゼクタのいずれか)と、蒸気エゼクタの下流側に接続された凝縮器と、蒸気エゼクタの上流側に接続された圧力調整器(例えば、モータバルブ)と、蒸気エゼクタの上流側に接続された真空式冷却塔(真空式冷水製造機)とを備えたことを特徴としている。
以下、図面に基づき、本発明の実施例にかかる冷水製造システムについて説明する。
なお、以下の実施例においては、後述すべく、蒸気エゼクタを用いて構成されるシステム(減圧システム)として「冷水製造システム(冷水製造装置)」を示しているが、本発明はこの構成に限定されない。すなわち、本発明にかかる蒸気エゼクタ(エネルギを有効利用可能な蒸気エゼクタ)を用いて構成されるシステム(減圧システム)は、冷水製造システムに限定されるものではなく、例えば、真空解凍システム(真空解凍機)、真空冷却システム(真空冷却機)、蒸煮冷却システム(蒸煮冷却機)等、被減圧部(例えば、真空冷却塔)内を減圧するために蒸気エゼクタを用いて構成されるシステムであれば、どのようなシステムであってもよく、いずれのシステム(減圧システム)も本発明の技術的範囲に属する。
また、後述する実施例に示された冷水製造システムは、本発明にかかる蒸気エゼクタを用いて構成された、エネルギを有効利用可能なシステムの一例を示すものであって、有効利用するエネルギとしてエンジン(エネルギ源)にて生成されるエネルギを用いる例を示している。より具体的には、このエンジンからの排ガスを排ガスボイラにて回収して蒸気を生成し、この排ガスおよび蒸気を有効に利用可能なシステムの例を示している。しかし、当然のことながら、本発明はこの構成に限定されず、本発明にかかる蒸気エゼクタを用いて、他のエネルギ源にて生成されたエネルギを有効利用すべく構成されたシステムであっても本発明の技術的範囲に属する。
<第一実施例>
図1は、本発明の第一実施例にかかる蒸気エゼクタを用いて構成された冷水製造システムの概略図を示したものである。この図1に示された冷水製造システムは、上述したように、本発明にかかる蒸気エゼクタを用いて構成されたエネルギを有効利用可能なシステムの一例を示すものである。
この図1に示すように、本実施例にかかる冷水製造システム(エネルギの有効利用システム)は、エンジン1、このエンジン1の排ガスを利用して蒸気を作り出す蒸気生成部の具体例としての排ガスボイラ2、排ガスボイラ2から蒸気使用箇所(図示省略)へ蒸気を供給する主蒸気供給ライン3、この主蒸気供給ライン3とは別個の第一副蒸気供給ライン4、この第一副蒸気供給ライン4から分岐した第二副蒸気供給ライン5、第一副蒸気供給ライン4の下流側に設けられた蒸気エゼクタ6、この蒸気エゼクタ6に接続された被減圧部の具体例としての真空式冷却塔7、蒸気エゼクタ6を通過した蒸気を凝縮させる凝縮器8、この凝縮器8内を減圧する減圧手段の具体例としての水封式真空ポンプ9、凝縮器8から凝縮水8aを排出する凝縮水排出手段の具体例としての排出ポンプ10、および凝縮器8との間で熱交換を行う冷却塔11等を用いて構成されている。
エンジン1は、例えば、発電機(図示省略)を作動させると共に、エンジン1作動時に排出される排ガスを排ガスボイラ2へ送るべく構成されている。つまり、エンジン1は、メインとなる機能(ここでは「発電機を作動させる」という機能)を発揮することに加えて、その際に発生する排ガスを有効利用すべく、排ガスボイラ2と接続されている。
排ガスボイラ2は、蒸気生成部に相当するものであって、エンジン1からの排ガスを利用して蒸気を生成する。本実施例にかかる排ガスボイラ2には、生成された蒸気を使用する箇所に供給する主蒸気供給ライン3と、余剰蒸気を蒸気エゼクタ6に供給する第一副蒸気供給ライン4とが接続されており、さらに第一副蒸気供給ライン4から分岐して第二副蒸気供給ライン5が設けられている。また、この排ガスボイラ2へは、例えば、後述する凝縮器8からの補給水(凝縮水)と、軟水器(図示省略)や脱気装置(図示省略)を経由した脱気された軟水とを合流させたものが給水として送られる。
真空式冷却塔7は、被減圧部に相当し、処理水供給ライン12を介して、真空式冷却塔7の本体内部へ処理水が供給されるべく構成されている。そして、このようにして供給された処理水が本体の上方位置に設けられた処理水散布部7Aから散布されると、処理水は蒸発潜熱を奪われて冷水7aとなる。このようにして得られた冷水7aは、冷水送水ポンプ13を用いて、冷水使用箇所(あるいは冷水貯留箇所)に送られて、適宜利用されることとなる。
凝縮器8としては、例えば、シェルアンドチューブ式熱交換機が用いられる。シェルアンドチューブ式熱交換機は、蒸気を導入可能な複数のチューブが所定間隔を有して立設されており、冷却塔11から供給される冷却用の水が冷却水ライン14から供給されて、この冷却水がチューブの外側に接触することにより、蒸気と冷却水とが間接的に熱交換を行うように構成されている。冷却用の水は、蒸気との間で熱交換を行った後に、冷却塔11に戻され、冷却塔11で冷却されて、再び凝縮器8(シェルアンドチューブ式熱交換機)へ循環される。
水封式真空ポンプ9は、減圧手段に相当するもので、凝縮器8内を減圧状態にすることによって、蒸気エゼクタ6からの蒸気を積極的に凝縮器8内へ導入すると共に、非凝縮性ガスである空気を排出する役割を有している。この水封式真空ポンプ9は、凝縮水8aを吸い込んで排出するのを防止するために、凝縮器8内における凝縮水8aの貯留水位より上方位置に接続されている。また、この水封式真空ポンプ9と凝縮器8との接続箇所は、凝縮器8と蒸気エゼクタ6との接続箇所から可能な限り離れた位置に設けられている。これは、凝縮器8内へ導入された凝縮前の蒸気を排出しにくくするためである。さらに、水封式真空ポンプ9は、封水の温度を調整することによって真空ポンプの処理能力を制御することができる。
排出ポンプ10は、凝縮器8内の凝縮水8aを排出するための凝縮水排出手段に相当する。そして、この排出ポンプ10は、必要に応じて、水封式真空ポンプ9により減圧状態となった凝縮器8内の凝縮水8aを排出すべく機能する。この排出ポンプ10にて凝縮器8内から排出された凝縮水8aは、例えば、所定の貯留タンク(図示省略)等に貯留された後、排ガスボイラ2や冷却塔11等に供給されて循環利用される。
冷却塔11としては、一般的に公知である開放式の冷却塔を例示している。この冷却塔11は、上部に開口部を有し下部に貯留槽を有する本体と、この本体内に気流を発生させるために開口部に設けられたファン11Aと、本体内に冷却水を散布させる散布部11B等とを用いて構成されている。冷却水は、ファン11Aの下方位置に設けられた散布部11Bから散布され、散布された冷却水は、ファン11Aによる気流と接触することによって冷却される。冷却水は、本体下部の貯留槽に貯留された後、冷却水ライン14を介して凝縮器8内を経由し、再び冷却塔11へ戻る。戻った冷却水は、凝縮器8内での熱交換により熱を保有しているが、この熱は、冷却塔11内で散布されることによって一部は蒸発して開口部から大気へ放出される。
排ガスボイラ2により生成された蒸気の一部は、第一副蒸気供給ライン4を介して蒸気エゼクタ6に導入され、この蒸気は蒸気エゼクタ6を通過した後、凝縮器8内へ導かれる。このように、第一副蒸気供給ライン4から蒸気エゼクタ6に蒸気が導入される際には、蒸気エゼクタ6内のノズル部から蒸気が噴出されることとなり、この蒸気の噴出エネルギによって、蒸気エゼクタ6に接続された蒸気吸引ライン15を介して、真空式冷却塔7内が減圧される。また、蒸気エゼクタ6内における蒸気の噴出エネルギに起因する減圧作用により、真空式冷却塔7内の蒸気は吸引され、蒸気エゼクタ6内で混合し、これらの蒸気は、蒸気エゼクタ6を介して凝縮器8側に供給される。凝縮器8内は、水封式真空ポンプ9により非凝縮性ガスである空気が排出されるので、凝縮器8内の凝縮水8aには空気が溶存せず、これにより凝縮水8aは脱気されたものになる。また、蒸気エゼクタ6から凝縮器8側へ放出された蒸気は、冷却塔11から凝縮器8へ導入される冷却水との間で熱交換を行うことによって凝縮され、凝縮水8aとして凝縮器8内に貯留される。このようにして得られた凝縮水8aは、排ガスボイラ2および真空式冷却塔7からの不純物のない蒸気が凝縮されたものであり、非凝縮性ガスである空気を含んでいない。つまり、この凝縮水8aは脱気された純水であるため、必要に応じて、補給水として排ガスボイラ2や冷却塔11に対してそれぞれ供給され、エネルギの有効利用が図られることとなる。
以上のように、凝縮水8aを排ガスボイラ2に補給水として用いると、この凝縮水8aは純水であるから、濃縮水の排水量(ブロー量)を低減することが可能になると共に、カルシウム、マグネシウム等の硬度分がないのでスケール付着を抑制することができる。また、純水であることから、排ガスボイラ2を構成する水管等の腐食因子である硫酸イオン、塩化物イオンがなく、しかも脱気されているので、水管等の腐食の発生を抑制することができる。さらに、凝縮水8aは温水であるため、給水予熱のためのエネルギを抑えることができる。
また、この凝縮水8aを冷却塔11に対する補給水として用いた場合は、凝縮水8a中には硬度分が含まれていないため、藻類、スライム、レジオネラ属菌の繁殖を抑制することができる。さらに、凝縮水8aは純水なので、循環水の濃縮を低減でき、濃縮水の排水量(ブロー量)を低減することができる。また、硫酸イオン、塩化物イオンがないため、腐食の発生を抑制することができる。
さて、以上のように構成された本実施例にかかる冷水製造システムにおいては、エネルギをより有効に活用するために、蒸気エゼクタ6を駆動させるための駆動蒸気圧力が適切に制御されている。以下、その制御方法について、具体的に説明する。
本実施例にかかる冷水製造システムを構成する蒸気エゼクタ6における駆動蒸気圧力の制御方法は、蒸気エゼクタ6の吐出側圧力を検知する吐出側圧力情報取得工程と、吐出側圧力情報取得工程にて得られた吐出側圧力情報に基づいて、蒸気エゼクタ6を駆動させる駆動蒸気圧力を制御する駆動蒸気圧力制御工程とを備えている。
まず、本実施例にかかる吐出側圧力情報取得工程においては、蒸気エゼクタ6の下流側に接続された機器(凝縮器8)に関して検知された圧力が、吐出側圧力情報として得られる。より具体的には、本実施例にかかる吐出側圧力情報は、凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout)を直接検知して得られる。
次に、本実施例にかかる駆動蒸気圧力制御工程においては、蒸気エゼクタ6の上流側に接続されたモータバルブ16(本発明の「圧力調整器」に相当)が、吐出側圧力情報(凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout))に基づいてフィードバック制御される。この際、吐出側圧力情報(Pout)に基づき必要駆動蒸気圧力(Pg1)が定められ、蒸気エゼクタ6に導入される駆動蒸気圧力(Pg)が必要駆動蒸気圧力(Pg1)となるように、モータバルブ16がフィードバック制御される。
図1に示すように、本実施例においては、排ガスボイラ2に接続された第一副蒸気供給ライン4上にモータバルブ16が設けられている。そして、このモータバルブ16を調整することによって、排ガスボイラ2から第一副蒸気供給ライン4を介して蒸気エゼクタ6に導入される駆動蒸気圧力を適切に制御することが可能となる。
つまり、本実施例によれば、外気温度等が変動することによって、凝縮器8内部の圧力が変動しても、その情報(吐出側圧力情報)を適宜取得して、蒸気エゼクタ6が適切に作動し得る駆動蒸気圧力となるように、モータバルブ16を調整するため、エネルギを効率的に利用することができる。
ところで、蒸気エゼクタ6を適切に作動させるためには、蒸気エゼクタ6の最高放射圧力(蒸気エゼクタ6から凝縮器8側へ蒸気が放射される際の限界の圧力)(Pmax)が、凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout)よりも大きくなければならない(「Pmax>Pout」でなければならない。)。そして、凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout)が検知されれば、その圧力値に基づき必要とされる最高放射圧力(Pmax)が定まり、この最高放射圧力(Pmax)で蒸気を噴出させるために必要な駆動蒸気圧力(必要駆動蒸気圧力(Pg1))も自ずと明らかになる。
したがって、上述したように、凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout)に基づいて、第一副蒸気供給ライン4上に設けられたモータバルブ16をフィードバック制御すれば、第一副蒸気供給ライン4を介して蒸気エゼクタ6に供給される駆動蒸気圧力(Pg)を効率的に必要駆動蒸気圧力(Pg1)に調整することができる。つまり、凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout)を検知しつつ、駆動蒸気圧力(Pg)が必要駆動蒸気圧力(Pg1)となるように、モータバルブ16をフィードバック制御することによって、蒸気エゼクタ6を最適な条件で駆動させることができ、エネルギの有効利用を図ることが可能となる。
ここで、例えば、冬場において、どのような制御が行われ、どの程度の効率向上を図ることができるのか、具体的なデータに基づき説明する。ここで、夏場における吐出側圧力情報(凝縮器8内部の蒸気側圧力)は44.6Torr、冬場における吐出側圧力情報(凝縮器8内部の蒸気側圧力)は22.4Torrとする。凝縮器8内部の圧力は、凝縮器8の冷却水出口温度に依存する(凝縮器8内の圧力(吸引側圧力)は冷却水出口温度より数度高い飽和蒸気圧に略等しい)ため、外気温度あるいは湿球温度等が変化しても当然のことながら、凝縮器8内部の圧力は変動する。したがって、夏場と冬場とでは、上述したように圧力に差異が生ずる。
まず、夏場の場合、吐出側圧力情報取得工程において、蒸気エゼクタ6の下流側に接続された凝縮器8内部の蒸気側圧力が44.6Torr(吐出側圧力情報)と検知され、この吐出側圧力情報に基づいて、最高放射圧力(Pmax)が定められる。本実施例においては、5Torrの余裕をみて、最高放射圧力(Pmax)は49.6Torrに定められ、これに必要な必要駆動蒸気圧力(Pg1)が明らかとなり、第一副蒸気供給ラインから供給される蒸気の駆動蒸気圧力(Pg)が必要駆動蒸気圧力(Pg1)となるように、モータバルブ16がフィードバック制御される。
一方、冬場の場合、吐出側圧力情報取得工程において、蒸気エゼクタ6の下流側に接続された凝縮器8内部の蒸気側圧力が22.4Torr(吐出側圧力情報)と検知され、この吐出側圧力情報に基づいて、最高放射圧力(Pmax)が定められる。本実施例においては、5Torrの余裕をみて、最高放射圧力(Pmax)は27.4Torrに定められ、これに必要な必要駆動蒸気圧力(Pg1)が明らかとなり、第一副蒸気供給ラインから供給される蒸気の駆動蒸気圧力(Pg)が必要駆動蒸気圧力(Pg1)となるように、モータバルブ16がフィードバック制御される。
つまり、上述したように、本実施例は、従来技術のように、吐出側圧力情報(凝縮器内部の蒸気側圧力)が最も高くなる「夏場」での設定にて一年中運転を行うわけではない。従来技術によれば、吐出側圧力情報(凝縮器内部の蒸気側圧力)が最も高くなる「夏場」での設定にて一年中運転が行われているので、冬場での運転時には、凝縮器冷却水入口温度が低くなり、エゼクタ吐出側(凝縮器内部の)圧力(Pout)が低くなる。しかしながら、従来技術にかかる蒸気エゼクタを用いたシステムは、夏場の設定しか行われていないため、蒸気エゼクタが冬場でも夏場と同様の昇圧仕事を行う。つまり、従来技術にかかる蒸気エゼクタは、必要以上の昇圧仕事を行い、冬場でも夏場と同様の駆動蒸気を消費することとなって、エネルギを有効利用することができない。上述のデータ例においては、従来技術であれば、夏場でも冬場でも、最高放射圧力(Pmax)が49.6Torrに定められ、これに必要な必要駆動蒸気圧力(Pg1)が供給されることとなる。
しかしながら、本実施例によれば、季節や外気温の変動等によって凝縮器8内部の圧力が変動しても、上述した吐出側圧力情報取得工程および駆動蒸気圧力制御工程を有する制御方法によって駆動蒸気圧力が適切に制御されるため、冷水製造システムが年間を通じて最適な駆動蒸気圧力で運転されることとなる。つまり、本実施例によれば、冬場等の気温が低下した場合には、それに応じた駆動蒸気圧力にて蒸気エゼクタ6を駆動させ、必要以上の昇圧仕事を行うことがないため、蒸気消費量を低減して、エネルギを有効利用することが可能となる。本実施例は、「蒸気エゼクタ6の最高放射圧力(Pmax)>凝縮器8内圧力(Pout)」の関係を維持可能な低圧で最適な駆動蒸気圧力(Pg=Pg1)で蒸気エゼクタ6を駆動させて、できるだけ高い質量流量比(G2/G1)でシステムを運転すべく構成されている。
したがって、本実施例によれば、外気温度にかかわらず、年間を通じて最適な駆動蒸気圧力で運転することによって、冬場の蒸気消費量を低減することが可能な、蒸気エゼクタ6における駆動蒸気圧力の制御方法を得ることができる。また、このような蒸気エゼクタ6における駆動蒸気圧力の制御方法を用いれば、冷水製造システム全体としても年間での平均ランニングコストを低減することが可能となる。さらに、このように構成された冷水製造システムであれば、余剰蒸気を使用して冷水を製造可能であるため、システム全体としてランニングコストを低く抑えることができる。また、冷媒を一切使用せずに冷水を製造可能であるため、環境にやさしい冷水製造システムを構成することができる。さらに、冷水製造システム全体として、ボイラ(例えば、排ガスボイラ)の稼働率の向上と、契約電力量の低減を図ることができる。また、本実施例にかかる冷水製造システムは、蒸気エゼクタ6を用いて減圧処理等を行っているため、駆動部がない。したがって、この冷水製造システムによれば、定期点検やメンテナンス処理にかかる時間や費用を低減することができる。
<第二実施例>
次に、本発明の第二実施例について説明する。
本発明の第二実施例にかかる冷水製造システムは、第一実施例と同様に、先に説明した図1と同様の機器を用いて構成されている。第一実施例との違いは、蒸気エゼクタにおける駆動蒸気圧力の制御方法のみである。したがって、以下においては、図1を参照しつつ、本実施例にかかる制御方法について主に説明し、第一実施例と同様の部分については、説明を割愛する。
本実施例にかかる冷水製造システムを構成する蒸気エゼクタ6における駆動蒸気圧力の制御方法は、蒸気エゼクタ6の吐出側圧力を予測する吐出側圧力情報取得工程と、吐出側圧力情報取得工程にて得られた吐出側圧力情報に基づいて、蒸気エゼクタ6を駆動させる駆動蒸気圧力を制御する駆動蒸気圧力制御工程とを備えている。
まず、本実施例にかかる吐出側圧力情報取得工程においては、蒸気エゼクタ6の下流側に接続された機器(凝縮器8)に関する温度情報から予測された圧力が、吐出側圧力情報として得られる。より具体的には、本実施例にかかる吐出側圧力情報は、凝縮水8a温度あるいは凝縮器8冷却水出口温度(Tc2)を検知して、この検知した温度から予測することによって得られる。つまり、本実施例においては、蒸気エゼクタ6の吐出側圧力(Pout)を直接的に検知するのではなく、凝縮器8に関する温度情報(凝縮水8a温度あるいは凝縮器8冷却水出口温度)から予測する。例えば、冷却水出口温度(Tc2)から吐出側圧力情報を得る場合(予測する場合)には、「冷却水出口温度(Tc2)+3℃」の温度における飽和蒸気圧を蒸気エゼクタ6の吐出側圧力(Pout)として予測する。そして、この予測値(蒸気エゼクタ6の吐出側圧力(Pout))に基づいて、駆動蒸気圧力制御工程を行う。ここで、冷却水出口温度(Tc2)に3℃を足した温度の飽和蒸気圧力を蒸気エゼクタ6の吐出側圧力(Pout)として予測したが、冷却水出口温度(Tc2)に何度足すかは、凝縮器の伝熱面積、凝縮水量、凝縮水冷却水流速等に依存する。
次に、本実施例にかかる駆動蒸気圧力制御工程においては、蒸気エゼクタ6の上流側に接続されたモータバルブ16が、予測した吐出側圧力情報(Pout)に基づき、所定の開度に制御される。この際、吐出側圧力情報(Pout)に基づき必要駆動蒸気圧力(Pg1)が定められ、所定のテーブルに基づき、蒸気エゼクタ6に導入される駆動蒸気圧力(Pg)が必要駆動蒸気圧力(Pg1)となるように、モータバルブ16の開度が所定の開度に制御される。
図1に示すように、本実施例においては、排ガスボイラ2に接続された第一副蒸気供給ライン4上にモータバルブ16が設けられている。そして、このモータバルブ16を所定のテーブルに基づき調整することによって、排ガスボイラ2から第一副蒸気供給ライン4を介して蒸気エゼクタ6に導入される駆動蒸気圧力を適切に制御することが可能となる。
つまり、本実施例によれば、外気温度等が変動することによって、凝縮器8内部の圧力が変動しても、その情報(吐出側圧力情報)を凝縮器8に関する温度情報から予測して、蒸気エゼクタ6が適切に作動し得る駆動蒸気圧力となるように、モータバルブ16を調整するため、エネルギを効率的に利用することができる。
ところで、蒸気エゼクタ6を適切に作動させるためには、蒸気エゼクタ6の最高放射圧力(蒸気エゼクタ6から凝縮器8側へ蒸気が放射される際の限界圧力)(Pmax)が、凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout)よりも大きくなければならない(「Pmax>Pout」でなければならない。)のは、第一実施例にて説明した通りである。そして、凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout)が予測可能であれば、その予測された圧力値に基づき必要とされる最高放射圧力(Pmax)が定まり、この最高放射圧力(Pmax)で蒸気を噴出させるために必要な駆動蒸気圧力(必要駆動蒸気圧力(Pg1))も自ずと明らかになる。
したがって、上述したように、凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout)の予測値、および所定のテーブルに基づいて、第一副蒸気供給ライン4上に設けられたモータバルブ16の開度を制御すれば、第一副蒸気供給ライン4を介して蒸気エゼクタ6に供給される駆動蒸気圧力(Pg)を効率的に必要駆動蒸気圧力(Pg1)に調整することができる。つまり、凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout)を予測して、駆動蒸気圧力(Pg)が必要駆動蒸気圧力(Pg1)となるように、モータバルブ16の開度を制御することによって、蒸気エゼクタ6を最適な条件で駆動させることができ、エネルギの有効利用を図ることが可能となる。
本実施例においては、「所定のテーブル」として、例えば、凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout)の予測値と必要駆動蒸気圧力(Pg1)との関係を示す第一テーブル、および第一副蒸気供給ライン4における駆動蒸気圧力(Pg)とモータバルブ16の開度との関係を示す第二テーブルを有する場合があげられる。このような構成であれば、第一テーブルを用いて、凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout)の予測値から必要駆動蒸気圧力(Pg1)が定められ、第二テーブルを用いて、第一副蒸気供給ライン4における駆動蒸気圧力(Pg)が必要駆動蒸気圧力(Pg1)となるように、モータバルブ16の開度を制御することができる。ただし、「所定のテーブル」は、この構成に限定されず、例えば、凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout)の予測値とモータバルブ16の開度との関係を示すテーブルを用いて、適宜モータバルブ16の開度を制御すべく構成してもよい。
また、本実施例においても、第一実施例の場合と同様に、最高放射圧力(Pmax)は、凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout)の予測値に5Torr程度の余裕をみて定められ、これに必要な必要駆動蒸気圧力(Pg1)が明らかとなる。そして、第一副蒸気供給ラインから供給される蒸気の駆動蒸気圧力(Pg)が必要駆動蒸気圧力(Pg1)となるように、所定のテーブルに基づいて、モータバルブ16が制御される。
本発明の第二実施例にかかる冷水製造装置は、以上のように構成、制御されるため、先に説明した第一実施例の場合と同様に、季節や外気温の変動等によって凝縮器8内部の圧力が変動しても、上述した吐出側圧力情報取得工程および駆動蒸気圧力制御工程を有する制御方法によって駆動蒸気圧力が適切に制御されるため、冷水製造システムが年間を通じて最適な駆動蒸気圧力で運転されることとなる。つまり、本実施例によれば、冬場等の気温が低下した場合には、それに応じた駆動蒸気圧力にて蒸気エゼクタ6を駆動させ、必要以上の昇圧仕事を行うことがないため、蒸気消費量を低減して、エネルギを有効利用することが可能となる。本実施例は、「蒸気エゼクタ6の最高放射圧力(Pmax)>凝縮器8内圧力(Pout)」の関係を維持可能な低圧で最適な駆動蒸気圧力(Pg=Pg1)で蒸気エゼクタ6を駆動させて、できるだけ高い質量流量比(G2/G1)でシステムを運転すべく構成されている。
したがって、本実施例によれば、第一実施例と同様に、外気温度にかかわらず、年間を通じて最適な駆動蒸気圧力で運転することによって、冬場の蒸気消費量を低減することが可能な、蒸気エゼクタ6における駆動蒸気圧力の制御方法を得ることができる。また、このような蒸気エゼクタ6における駆動蒸気圧力の制御方法を用いれば、冷水製造システム全体としても年間での平均ランニングコストを低減することが可能となる。さらに、このように構成された冷水製造システムであれば、余剰蒸気を使用して冷水を製造可能であるため、システム全体としてランニングコストを低く抑えることができる。また、冷媒を一切使用せずに冷水を製造可能であるため、環境にやさしい冷水製造システムを構成することができる。さらに、冷水製造システム全体として、ボイラ(例えば、排ガスボイラ)の稼働率の向上と、契約電力量の低減を図ることができる。また、本実施例にかかる冷水製造システムは、蒸気エゼクタ6を用いて減圧処理等を行っているため、駆動部がない。したがって、この冷水製造システムによれば、定期点検やメンテナンス処理にかかる時間や費用を低減することができる。
<第三実施例>
次に、本発明の第三実施例について説明する。
本発明の第三実施例にかかる冷水製造システムは、第一実施例および第二実施例と同様に、先に説明した図1と同様の機器を用いて構成されている。第一実施例等との違いは、蒸気エゼクタにおける駆動蒸気圧力の制御方法のみである。したがって、以下においては、図1を参照しつつ、本実施例にかかる制御方法について主に説明し、第一実施例等と同様の部分については、説明を割愛する。
本実施例にかかる冷水製造システムを構成する蒸気エゼクタ6における駆動蒸気圧力の制御方法は、蒸気エゼクタ6の吐出側圧力を検知あるいは予測する吐出側圧力情報取得工程と、吐出側圧力情報取得工程にて得られた吐出側圧力情報に基づいて、蒸気エゼクタ6を駆動させる駆動蒸気圧力を制御する駆動蒸気圧力制御工程とを備えている。
まず、本実施例にかかる吐出側圧力情報取得工程においては、第一実施例(蒸気エゼクタ6の吐出側圧力を検知する方法)あるいは第二実施例(蒸気エゼクタ6の吐出側圧力を予測する方法)にて説明したいずれかの方法によって、蒸気エゼクタ6の吐出側圧力情報(Pout)を取得する。
次に、本実施例にかかる駆動蒸気圧力制御工程においては、蒸気エゼクタ6の上流側に接続されたモータバルブ16が、吐出側圧力情報(Pout)に基づき、所定の開度に制御される第一開度制御ステップと、蒸気エゼクタ6の表面温度情報を検知する表面温度情報検知ステップと、蒸気エゼクタ6の上流側に接続されたモータバルブ16が、表面温度情報に基づいてフィードバック制御される第二開度制御ステップとが行われる。
つまり、本実施例にかかる駆動蒸気圧力制御工程においては、取得した吐出側圧力情報(Pout)から必要駆動蒸気圧力(Pg1)が定められ、所定のテーブルに基づき、蒸気エゼクタ6に導入される駆動蒸気圧力(Pg)が必要駆動蒸気圧力(Pg1)となるように、モータバルブ16の開度が所定の開度に制御される(第一開度制御ステップ)。次いで、蒸気エゼクタ6の表面温度情報(Te)を検知して(表面温度情報検知ステップ)、この蒸気エゼクタ6の表面温度があらかじめ定められた表面設定温度(Te1)になるように、モータバルブ16がフィードバック制御される(第二開度制御ステップ)。この第二開度制御ステップにおいては、「Te=Te1」となるように、モータバルブ16の開度が制御される。
ここで、「表面設定温度(Te1)」は、蒸気エゼクタ6が破綻しない程度の余裕を含めた温度である。蒸気エゼクタ6の表面温度(Te)が上昇すると(「Te>Te1」となると)、蒸気エゼクタ6の破綻のおそれがあるため、本実施例においては、破綻する前に駆動蒸気圧力(Pg)を高めて「Te=Te1」となるように、モータバルブ16の開度をフィードバック制御する。ただし、この場合においても、駆動蒸気圧力(Pg)は必要以上に高くしない。これは、駆動蒸気圧力(Pg)が高いほど、蒸気エゼクタ6の最高放射圧力(Pmax)が高くなり、蒸気エゼクタ6が必要以上の昇圧仕事を行うこととなって、吸引蒸気の消費量が増え、システム全体としてのエネルギ効率が低下するからである。
図1に示すように、本実施例においては、排ガスボイラ2に接続された第一副蒸気供給ライン4上にモータバルブ16が設けられている。そして、このモータバルブ16を、第一開度制御ステップおよび第二開度制御ステップに基づき調整することによって、排ガスボイラ2から第一副蒸気供給ライン4を介して蒸気エゼクタ6に導入される駆動蒸気圧力を適切に制御することが可能となる。
つまり、本実施例によれば、外気温度等が変動することによって、凝縮器8内部の圧力が変動しても、その情報(吐出側圧力情報)を検知あるいは予測して、蒸気エゼクタ6が適切に作動し得る駆動蒸気圧力となるように、モータバルブ16を調整するため、エネルギを効率的に利用することができる。
ところで、蒸気エゼクタ6を適切に作動させるためには、蒸気エゼクタ6の最高放射圧力(蒸気エゼクタ6から凝縮器8側へ蒸気が放射される際の圧力)(Pmax)が、凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout)よりも大きくなければならない(「Pmax>Pout」でなければならない。)のは、第一実施例にて説明した通りである。そして、凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout)が検知あるいは予測可能であれば、その検知あるいは予測された圧力値に基づき必要とされる最高放射圧力(Pmax)が定まり、この最高放射圧力(Pmax)で蒸気を噴出させるために必要な駆動蒸気圧力(必要駆動蒸気圧力(Pg1))も自ずと明らかになる。
したがって、上述したように、取得された凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout)に基づいて、第一開度制御ステップおよび第二開度制御ステップにより、第一副蒸気供給ライン4上に設けられたモータバルブ16の開度を制御すれば、第一副蒸気供給ライン4を介して蒸気エゼクタ6に供給される駆動蒸気圧力(Pg)を効率的に必要駆動蒸気圧力(Pg1)に調整することができる。つまり、凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout)を検知あるいは予測して、駆動蒸気圧力(Pg)が必要駆動蒸気圧力(Pg1)となるように、モータバルブ16の開度を制御することによって、蒸気エゼクタ6を最適な条件で駆動させることができ、エネルギの有効利用を図ることが可能となる。
本実施例においては、「所定のテーブル」として、例えば、第二実施例と同様に、凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout)の検知値あるいは予測値と必要駆動蒸気圧力(Pg1)との関係を示す第一テーブル、および第一副蒸気供給ライン4における駆動蒸気圧力(Pg)とモータバルブ16の開度との関係を示す第二テーブルを有する場合があげられる。また、他の「所定のテーブル」としては、例えば、凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout)の検知値あるいは予測値とモータバルブ16の開度との関係を示すテーブルがあげられる。
また、本実施例においても、第一実施例および第二実施例の場合と同様に、最高放射圧力(Pmax)は、凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout)の検知値あるいは予測値に5Torr程度の余裕をみて定められ、これに必要な必要駆動蒸気圧力(Pg1)が明らかとなる。そして、第一副蒸気供給ラインから供給される蒸気の駆動蒸気圧力(Pg)が必要駆動蒸気圧力(Pg1)となるように、所定のテーブルに基づいて、モータバルブ16が制御される。
本発明の第三実施例にかかる冷水製造装置は、以上のように構成、制御されるため、先に説明した第一実施例および第二実施例の場合と同様に、季節や外気温の変動等によって凝縮器8内部の圧力が変動しても、上述した吐出側圧力情報取得工程および駆動蒸気圧力制御工程を有する制御方法によって駆動蒸気圧力が適切に制御されるため、冷水製造システムが年間を通じて最適な駆動蒸気圧力で運転されることとなる。つまり、本実施例によれば、冬場等の気温が低下した場合には、それに応じた駆動蒸気圧力にて蒸気エゼクタ6を駆動させ、必要以上の昇圧仕事を行うことがないため、蒸気消費量を低減して、エネルギを有効利用することが可能となる。本実施例は、「蒸気エゼクタ6の最高放射圧力(Pmax)>凝縮器8内圧力(Pout)」の関係を維持可能な低圧で最適な駆動蒸気圧力(Pg=Pg1)で蒸気エゼクタ6を駆動させて、できるだけ高い質量流量比(G2/G1)でシステムを運転すべく構成されている。
したがって、本実施例によれば、第一実施例および第二実施例と同様に、外気温度にかかわらず、年間を通じて最適な駆動蒸気圧力で運転することによって、冬場の蒸気消費量を低減することが可能な、蒸気エゼクタ6における駆動蒸気圧力の制御方法を得ることができる。また、このような蒸気エゼクタ6における駆動蒸気圧力の制御方法を用いれば、冷水製造システム全体としても年間での平均ランニングコストを低減することが可能となる。さらに、このように構成された冷水製造システムであれば、余剰蒸気を使用して冷水を製造可能であるため、システム全体としてランニングコストを低く抑えることができる。また、冷媒を一切使用せずに冷水を製造可能であるため、環境にやさしい冷水製造システムを構成することができる。さらに、冷水製造システム全体として、ボイラ(例えば、排ガスボイラ)の稼働率の向上と、契約電力量の低減を図ることができる。また、本実施例にかかる冷水製造システムは、蒸気エゼクタ6を用いて減圧処理等を行っているため、駆動部がない。したがって、この冷水製造システムによれば、定期点検やメンテナンス処理にかかる時間や費用を低減することができる。加えて、本実施例においては、蒸気エゼクタ6の破綻も事前に検知し、かかる破綻を防止しつつ、エネルギの有効利用を図ることができる。
<第四実施例>
次に、本発明の第四実施例について説明する。
図2は、本発明の第四実施例にかかる蒸気エゼクタを用いて構成された冷水製造システムの概略図を示したものである。この図2に示された冷水製造システムは、本発明にかかる蒸気エゼクタを用いて構成されたエネルギを有効利用可能なシステムの一例を示すものである。
本発明の第四実施例にかかる冷水製造システムは、基本的には、先に説明した第一実施例と同様の機器を用いて構成されている。第一実施例との違いは、蒸気エゼクタの制御方法のみである。したがって、以下においては、図2に基づいて、本実施例にかかる制御方法について主に説明し、第一実施例と同様の部分については、説明を割愛する。
本実施例にかかる冷水製造システムを構成する蒸気エゼクタ6における駆動蒸気量の制御方法は、蒸気エゼクタ6の吐出側情報を検知あるいは予測する吐出側情報取得工程と、蒸気エゼクタ6の吸引側情報を検知あるいは予測する吸引側情報取得工程と、吐出側情報取得工程にて得られた吐出側情報および吸引側情報取得工程にて得られた吸引側情報に基づいて、蒸気エゼクタ6を駆動させる駆動蒸気量を制御する駆動蒸気量制御工程とを備えている。
つまり、本実施例によれば、蒸気エゼクタ6の上流側の情報(吸引側情報)と下流側の情報(吐出側情報)とに基づいて、蒸気エゼクタ6を効率的に駆動させることができる。より具体的には、外気温度等が変動することによって、凝縮器8内部の圧力が変動しても、その情報(吐出側情報)を適宜取得して、蒸気エゼクタ6が適切に作動し得る駆動蒸気圧力となるように、モータバルブ16を調整することによって、エネルギを効率的に利用することができる。また、冷水を製造する箇所である真空式冷却塔7を目標の冷却温度としたい場合には、上記吐出側情報と真空式冷却塔7の現在の温度(T0)(吸引側情報)とを適宜取得して、この吐出側情報と吸引側情報とに基づいて、蒸気エゼクタ6が適切に作動し得る駆動蒸気量となるようにモータバルブ16を調整して、エネルギを効率的に利用することができる。
以下、具体的な制御方法について説明する。
まず、本実施例にかかる吐出側情報取得工程においては、上述した第一実施例から第三実施例のいずれかの方法にて、最高放射圧力(Pmax)が定められる。
例えば、第一実施例にて説明したように、蒸気エゼクタ6の下流側に接続された機器(凝縮器8)に関して検知された圧力が、吐出側圧力情報として得られる。より具体的には、本実施例にかかる吐出側圧力情報は、凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout)を直接検知して得られる。
次に、蒸気エゼクタ6の上流側に接続されたモータバルブ16(本発明の「圧力調整器」に相当)が、吐出側圧力情報(凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout))に基づいてフィードバック制御される。この際、吐出側圧力情報(Pout)に基づき必要駆動蒸気圧力(Pg1)が定められ、蒸気エゼクタ6に導入される駆動蒸気圧力(Pg)が必要駆動蒸気圧力(Pg1)となるように、モータバルブ16がフィードバック制御される。
蒸気エゼクタ6を適切に作動させるためには、蒸気エゼクタ6の最高放射圧力(蒸気エゼクタ6から凝縮器8側へ蒸気が放射される際の限界の圧力)(Pmax)が、凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout)よりも大きくなければならない(「Pmax>Pout」でなければならない。)。そして、凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout)が検知されれば、その圧力値に基づき必要とされる最高放射圧力(Pmax)が定まり、この最高放射圧力(Pmax)で蒸気を噴出させるために必要な駆動蒸気圧力(必要駆動蒸気圧力(Pg1))も自ずと明らかになる。
次いで、本実施例にかかる吸引側情報取得工程においては、蒸気エゼクタ6の上流側に接続された機器(真空式冷却塔7)に関して検知された温度が、吸引側情報として得られる。より具体的には、真空式冷却塔7の現在温度(T0)が吸引側情報として得られる。
そして、本実施例においては、上述の吐出側情報取得工程にて得られた最高放射圧力(Pmax)(本発明の「吐出側情報取得工程にて得られた吐出側情報」に相当)と、この真空式冷却塔7の現在温度(T0)(本発明の「吸引側情報取得工程にて得られた吸引側情報」に相当)とに基づいて、蒸気エゼクタ6を駆動させる駆動蒸気量の制御が行われる。より具体的には、最高放射圧力(Pmax)と真空式冷却塔7の目標冷却温度(Tt)とから求めることができる駆動蒸気量(G10)に、吸引側情報(現在温度(T0))から算出される補正率αを乗じることによって、蒸気エゼクタ6を効率的に駆動させるために最適な駆動蒸気量(G1)を得ることができる。
上述した各実施例においても説明したように、最高放射圧力(Pmax)は、吐出側圧力(Pout)よりも大きい値に設定される(Pmax>Pout)。例えば、春・秋の場合、最高放射圧力(Pmax)は、吐出側の温度等から求めることができる圧力より高い圧力(Pb)に設定される。「Pmax=Pb」において、目標冷却温度(Tt)が5℃の場合の駆動蒸気量G1は、所定の圧力G10となる。また、真空式冷却塔7の現在温度(T0)が12.5℃の場合の駆動蒸気量G1は、所定の圧力G11となる。本実施例においては、上述した補正率αは、これらの駆動蒸気量G10,G11を用いて、「α=G11/G10」と表現される。そして、真空式冷却塔7を目標冷却温度(Tt)とするための駆動蒸気量G1は、「G1=G10×α」にて定められる。
すなわち、本実施例においては、真空式冷却塔7を目標冷却温度(Tt)とする場合(換言すれば、冷却水温度を目標温度とする場合)、蒸気エゼクタ6の吐出側情報に基づいて最高放射圧力(Pmax)を定め、この最高放射圧力(Pmax)から求められる各温度(目標冷却温度(Tt),現在温度(T0))における駆動蒸気量G10,G11と補正率αとから、蒸気エゼクタ6を駆動させるために必要となる最適な駆動蒸気量G1を求めることができる。本実施例においては、得られた最適な駆動蒸気量G1を実現するために、モータバルブ16がフィードバック制御される。
本発明の第四実施例にかかる冷水製造装置は、以上のように構成、制御されるため、先に説明した第一実施例等の場合と同様に、季節や外気温の変動等によって凝縮器8内部の圧力が変動しても、上述した吐出側情報取得工程等を有する制御方法によって駆動蒸気圧力が適切に制御されるため、冷水製造システムが年間を通じて最適な駆動蒸気圧力で運転されることとなる。また、真空式冷却塔7内の温度や圧力の条件が変化しても、上述した吐出側情報取得工程、吸引側情報取得工程、および駆動蒸気量制御工程を有する制御方法によって駆動蒸気量が適切に制御されるため、年間を通じて効率的に最適な温度(冷水温度)にて冷水製造システムを運転可能となる。
つまり、本実施例によれば、冬場等の気温が低下した場合や必要な冷水温度等の吐出側条件および吸引側条件に応じて、蒸気エゼクタ6を適切な駆動蒸気量等にて駆動させ、必要以上の昇圧仕事を行うことがないため、蒸気消費量を低減して、エネルギを有効利用することが可能となる。本実施例は、「蒸気エゼクタ6の最高放射圧力(Pmax)>凝縮器8内圧力(Pout)」の関係を維持可能な低圧で最適な駆動蒸気圧力(Pg=Pg1)で蒸気エゼクタ6を駆動させて、できるだけ高い質量流量比(G2/G1)でシステムを運転すべく構成されている。
したがって、本実施例によれば、第一実施例等と同様に、外気温度にかかわらず、年間を通じて最適な駆動蒸気圧力で運転することによって、冬場の蒸気消費量を低減することが可能な、蒸気エゼクタ6の制御方法を得ることができる。また、このような蒸気エゼクタ6の制御方法を用いれば、目標温度の冷水を効率的に製造可能な冷水製造システムを得ることができる。さらに、このような蒸気エゼクタ6の制御方法を用いれば、冷水製造システム全体としても年間での平均ランニングコストを低減することが可能となる。また、このように構成された冷水製造システムであれば、余剰蒸気を使用して冷水を製造可能であるため、システム全体としてランニングコストを低く抑えることができる。さらに、冷媒を一切使用せずに冷水を製造可能であるため、環境にやさしい冷水製造システムを構成することができる。また、冷水製造システム全体として、ボイラ(例えば、排ガスボイラ)の稼働率の向上と、契約電力量の低減を図ることができる。さらに、本実施例にかかる冷水製造システムは、蒸気エゼクタ6を用いて減圧処理等を行っているため、駆動部がない。したがって、この冷水製造システムによれば、定期点検やメンテナンス処理にかかる時間や費用を低減することができる。
なお、上記第四実施例においては、蒸気エゼクタ6の吐出側情報を検知あるいは予測する吐出側情報取得工程と、蒸気エゼクタ6の吸引側情報を検知あるいは予測する吸引側情報取得工程と、吐出側情報取得工程にて得られた吐出側情報および吸引側情報取得工程にて得られた吸引側情報に基づいて、蒸気エゼクタ6を駆動させる駆動蒸気量を制御する駆動蒸気量制御工程とを有する場合について説明したが、本発明は、この構成に限定されない。
したがって、例えば、本発明にかかる蒸気エゼクタ6における駆動蒸気量の制御方法は、蒸気エゼクタ6の吸引側情報を検知あるいは予測する吸引側情報取得工程と、吸引側情報取得工程にて得られた吸引側情報に基づいて蒸気エゼクタ6を駆動させる駆動蒸気量を制御する駆動蒸気量制御工程とを有する構成でもよい。このように、吐出側情報取得工程を有しない構成であっても、予め季節や外気温度等に応じて所定の吐出側情報が定められておれば、効率的に目標とする冷却水温度を実現し得る冷水製造装置を構成することが可能な蒸気エゼクタを得ることができる。
<その他の実施例等>
なお、本発明は、上記実施形態および実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で必要に応じて種々の変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、上記第一実施例における吐出側圧力情報取得工程と、上記第二実施例における駆動蒸気圧力制御工程とを組み合わせて、蒸気エゼクタにおける駆動蒸気圧力の制御を行ってもよい。また、上記第二実施例における吐出側圧力情報取得工程と、上記第一実施例における駆動蒸気圧力制御工程とを組み合わせて、蒸気エゼクタにおける駆動蒸気圧力の制御を行ってもよい。
また、上記第二実施例においては、凝縮器8冷却水出口温度(Tc2)から蒸気エゼクタ6の吐出側圧力(Pout)を予測する場合について示したが、本発明は、この構成に限定されない。したがって、例えば、各季節(あるいは各月)における湿球温度のデータから、冷却塔11での冷却後の冷水温度(凝縮器8における冷却水入口温度)と凝縮器8冷却水出口温度(Tc2)を予測し、これらの値から、凝縮器8出口側圧力の最大値を推定してもよい。また、このような予測および推定を行う場合には、凝縮器8出口側圧力の最大値を推定し、各季節(あるいは各月)によって設定した駆動蒸気圧力で蒸気エゼクタ6を運転すべく構成してもよい。
さらに、例えば、湿球温度の検知、外気温度の検知、あるいは外気温度と相対湿度の検知により、冷却塔11での冷却後の冷水温度(凝縮器8における冷却水入口温度)と凝縮器8冷却水出口温度(Tc2)を予測し、これらの値から、凝縮器8出口側圧力を推定し、この推知値に基づいて、蒸気エゼクタ6を最適な駆動蒸気圧力で運転すべく構成してもよい。
また、上記実施例においては、圧力調整器として、第一副蒸気供給ライン上に、一つのモータバルブ16(無段階制御可能なモータバルブ)を設ける場合について説明したが、本発明は、この構成に限定されない。したがって、例えば、第一副蒸気供給ライン上に電磁弁とオリフィスとを組み合わせて配設してもよい。より具体的には、例えば、第一副蒸気供給ラインに一つあるいは複数のバイパスラインを設け、それぞれのライン上に、電磁弁と、この電磁弁の下流側に設けられたオリフィスとを組み合わせて配設し、これらの電磁弁とオリフィスとを用いて圧力調整器を構成してもよい。仮に、二つの電磁弁(第一電磁弁、第二電磁弁)と二つのオリフィスとを組み合わせて圧力調整器を構成した場合には、第一電磁弁のみ「開」状態であれば、駆動蒸気圧力を第一圧力値に制御可能となり、第二電磁弁のみ「開」状態であれば、駆動蒸気圧力を第二圧力値に制御可能となり、第一電磁弁および第二電磁弁の両方が「開」状態であれば、駆動蒸気圧力を第三圧力値に制御可能となる。つまり、これらの電磁弁とオリフィスとの組み合わせによって、三段階の圧力制御が可能な圧力調整器を構成することができる。
また、上記実施例においては、蒸気エゼクタ6内に蒸気を噴出させるためのノズル部(図示省略)が一つ設けられており、そのノズル部に蒸気を供給する際の圧力調整器として、第一副蒸気供給ライン上に、一つのモータバルブ16(無段階制御可能なモータバルブ)を設ける場合について説明したが、本発明は、この構成に限定されない。したがって、例えば、蒸気エゼクタ内に複数のノズル部が設けられている場合には、それぞれのノズル部の上流側に別個独立の圧力調整器を設けてもよいし、また、それぞれのノズル部に連動した圧力調整器を設けてもよい。例えば、蒸気エゼクタ内に二つのノズル部を有する場合には、第一副蒸気供給ライン上に減圧弁を設け、この減圧弁の下流側に、それぞれのノズル部に連通する蒸気供給ラインを設け(つまり、第一副蒸気供給ラインと、この第一副蒸気供給ラインから分岐した一つのバイパスラインとを設け)、それぞれのノズル部に連通する各蒸気供給ライン上に電磁弁を設けるべく構成してもよい。つまり、第一副蒸気供給ライン上に設けられた減圧弁と、その下流側における二つの蒸気供給ライン上にそれぞれ設けられた電磁弁とを用いて、圧力調整器を構成してもよい。