JP2004009145A - 研磨媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】支持体上に形成した研磨層表面からの研磨砥粒の脱落を防止しつつ、高い研削力を有する研磨媒体を提供する。
【解決手段】研磨砥粒31を樹脂結合剤32に分散させた研磨層3を支持体2上に設けてなる研磨媒体1であって、研磨層3の表面に、露出した研磨砥粒31の間を薄く埋める樹脂による脱粒防止皮膜5を設けてなる。脱粒防止皮膜5は、粘度の低い樹脂液が砥粒31の先端で滞留することなく、砥粒31間の底部にて固まり、この砥粒31を保持する網目構造を形成して脱粒を防止する。砥粒31の頂部は露出して高い研削力が保持できる。
【選択図】 図1
【解決手段】研磨砥粒31を樹脂結合剤32に分散させた研磨層3を支持体2上に設けてなる研磨媒体1であって、研磨層3の表面に、露出した研磨砥粒31の間を薄く埋める樹脂による脱粒防止皮膜5を設けてなる。脱粒防止皮膜5は、粘度の低い樹脂液が砥粒31の先端で滞留することなく、砥粒31間の底部にて固まり、この砥粒31を保持する網目構造を形成して脱粒を防止する。砥粒31の頂部は露出して高い研削力が保持できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、研磨砥粒を樹脂結合剤に分散させた研磨層を支持体上に設けてなり、被研磨物を研磨する際に使用する研磨媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、支持体上に研磨砥粒および樹脂結合剤を主体とした研磨層を有する研磨媒体は、各種の被研磨物を研磨するのに使用されており、被研磨物が要求している研磨精度に応じた材質および粒径の研磨砥粒が使用されている。
【0003】
上記研磨媒体は、研磨砥粒を樹脂結合剤に分散させ、その他各種の添加剤を必要に応じて配合してなる塗料を調整し、この塗料を所定の材質および厚さの支持体上に均一に塗設して研磨層を設け、乾燥固化させてなるものである。その研磨層の表面(研磨面)は、砥粒が部分的に露出した微細凹凸状に形成されてなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述のような研磨媒体は、被研磨物の研磨に伴い、その研磨層の表面から研磨砥粒が脱落して、研削力の低下および被研磨物に傷を与えたりする問題がある。
【0005】
上記砥粒の脱落は、研磨砥粒に対する樹脂結合剤の量を増加すると、砥粒の保持力が高まることにより抑制できるが、結合剤量が増加すると研磨層表面に露出する研磨砥粒が低減すると共に、砥粒に必要以上に樹脂皮膜が形成されて研削力が低下し、研磨量が低減して研削時間が長くなる。
【0006】
一方、研磨砥粒に対する樹脂結合剤の量を減少すると、研磨層表面に露出する研磨砥粒が多くなって研削力が向上し、研磨量が増加して研削効率が高められる。しかし、前述のように、研削時間が増加するのに伴って、研磨層表面からの脱粒発生しやすくなり、脱粒に応じて研削力が低下するとともに、脱落した研磨砥粒が研磨層表面と被研磨面との間に介在して、被研磨面にスクラッチ傷を発生させやすくなる。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであって、樹脂結合剤を増加することなく研磨層表面からの研磨砥粒の脱落を阻止して研削力の維持および傷の発生を防止するようにした研磨媒体を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の研磨媒体は、研磨砥粒を樹脂結合剤に分散させた研磨層を支持体上に設けてなる研磨媒体において、
前記研磨層の表面に、露出した研磨砥粒の間を薄く埋める樹脂による脱粒防止皮膜を設けてなることを特徴とするものである。
【0009】
前記脱粒防止皮膜は、塗設後の研磨層表面に粘度の低い樹脂液を塗布し、この樹脂液は表面に露出した研磨砥粒の先端に滞留することなく、この砥粒の間に流れ落ちて固まり、研磨砥粒の間を薄く埋めて、この砥粒を保持する網目構造を形成することにより脱粒を防止するものである。
【0010】
前記脱粒防止皮膜の厚さは、研磨砥粒の大きさにより変わるが、0.1〜70μmが好ましく、特に0.1〜10μmの範囲に設けるのが好ましい。
【0011】
前記脱粒防止皮膜の材料は、研磨層の樹脂結合剤との密着力を高める点で、この樹脂結合剤と相溶性がある同系樹脂が好ましい。塗布時の粘度は、研磨砥粒間に流動する程度に低くする必要があり、1〜2000cP、例えば、20cp程度が好適である。
【0012】
【発明の効果】
上記のような本発明によれば、研磨層表面の研磨砥粒間への網目構造の脱粒防止皮膜の形成により、研磨砥粒の脱落が防止でき、研磨層における研磨砥粒に対する樹脂結合剤の量を低減して基本的に高い研削力を得ることができる。また、薄い脱粒防止皮膜の形成により、研磨砥粒の頂部が露出して高い研削力の維持と脱粒防止との両立が図れ、被研磨物への傷を発生させることなく良好な研磨が行え、研磨媒体の耐用時間が長くなってコストが低減できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の研磨媒体の実施の形態を示し、本発明をさらに詳細に説明する。図1は一つの実施形態における研磨媒体の構造を示す概略図である。なお、図は模式図であり、厚さ等は実際の寸法比率とは異なっている。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の研磨媒体1は、ポリエステルフィルム等による厚さが25〜100μm(例えば75μm)の支持体2の片面に、ポリエステルポリウレタン樹脂等による0.1〜0.3μmの下塗り層4を設け、その上に研磨層3を1〜20μmの厚さに塗設してなる。
【0015】
上記研磨層3は、粒子状の研磨砥粒31と、該研磨砥粒31を分散固定する樹脂結合剤32(バインダー)などで構成し、この研磨層3上に、ポリエステル樹脂等による脱粒防止皮膜5を0.1〜0.5μm、例えば0.3μmの厚さに被覆してなる。
【0016】
上記脱粒防止皮膜5は、塗設後の研磨層3の表面に粘度の低い樹脂液を塗布し、この樹脂液は表面に露出した研磨砥粒31の先端に滞留することなく、この研磨砥粒31の間に流れ落ちて樹脂結合剤32の上面で薄く固まり、研磨砥粒31の間を連結する網目構造となって、研磨砥粒31を保持して脱落を防止するとともに、研磨砥粒31の頂部が露出して高い研削力を維持する。
【0017】
前記下塗り層4は支持体2と研磨層3の密着性を高める目的などで形成される。また、支持体2の裏面に摩擦係数を調整するためのバック層を設けてもよい。
【0018】
前記研磨媒体1の構成をさらに詳細に説明する。粒子状の研磨砥粒31は、一般的に研磨作用若しくは琢磨作用をもつ材料で、モース硬度が6〜10のものを使用する。例えば、α−アルミナ、γ−アルミナ、α・γ−アルミナ、熔融アルミナ、炭化珪素、酸化クロム、コランダム、人造ダイヤモンド、ダイヤモンド、α−酸化鉄、窒化珪素、窒化硼素、炭化モリブデン、炭化硼素、炭化タングステン、チタンカーバイド、ジルコニア、酸化チタン、シリカ、酸化セリウム、弁柄、ガーネット等で、主としてモース硬度7以上の材料が1内至4種迄の組み合わせで使用できる。これらの研磨砥粒は平均粒子サイズが0.1〜100μmの大きさのものが使用される。これらの研磨砥粒は研磨層の場合研磨砥粒100重量部に対して樹脂結合剤10〜1000重量部の範囲で用いられる。研磨砥粒の具体例としては住友化学社製のAKP1、AKP15、AKP20、AKP30、AKP50、AKP80、Hit50、Hit100などが挙げられる。
【0019】
本発明の研磨層3に使用される樹脂結合剤32(バインダー)および脱粒防止皮膜5は、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂、電子線硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂、可視光線硬化型樹脂やこれらの混合物が使用できる。
【0020】
熱可塑性樹脂としては、軟化温度が200℃以下、平均分子量が10000〜300000、重合度が約50〜2000程度のもので、より好ましくは200〜800程度であり、例えば、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル酢酸ビニルビニルアルコール共重合体、塩化ビニルビニルアルコール共重合体、塩化ビニル塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニルアクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステルアクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル塩化ビニリデン共重合体、アクリル酸エステルスチレン共重合体、メタクリル酸エステルアクリロニトリル共重合体、メタクリル酸エステル塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステルスチレン共重合体、ウレタンエラストマー、ナイロン−シリコン系樹脂、ニトロセルロース−ポリアミド樹脂、ポリフッカビニル、塩化ビニリデンアクリロニトリル共重合体、ブタジエンアクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(セルロースアセテートブチレート、セルロースダイアセテート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、プロピルセルロース、メチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アセチルセルロース等)、スチレンブタジエン共重合体、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、クロロビニルエーテルアクリル酸エステル共重合体、アミノ樹脂、ポリアミド樹脂など各種の合成ゴム系の熱可塑性樹脂およびこれらの混合物等が使用できる。
【0021】
また熱硬化性樹脂または反応型樹脂としては、塗布液の状態では200000以下の分子量であり、塗布、乾燥後に加熱加湿することにより、縮合、付加等の反応により分子量が無限大となるものが適している。また、これらの樹脂のなかで、樹脂が熱分解するまでの間に軟化または溶融しないものが好ましい。具体的には例えばフェノール樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタンポリカーボネート樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、シリコン樹脂、アクリル系反応樹脂(電子線硬化樹脂)、エポキシ−ポリアミド樹脂、ニトロセルロースメラミン樹脂、高分子量ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポリマーの混合物、メタクリル酸塩共重合体とジイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの混合物、尿素ホルムアルデヒド樹脂、低分子量グリコール/高分子量ジオール/トリフェニルメタントリイソシアネートの混合物、ポリアミン樹脂、ポリイミン樹脂およびこれらの混合物等が使用できる。
【0022】
これらの熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂は、主たる官能基以外に官能基としてカルボン酸(COOM)、スルフィン酸、スルフェン酸、スルホン酸(SO3M)、燐酸(PO(OM)(OM))、ホスホン酸、硫酸(OSO3M)、これらのエステル基等の酸性基(MはH、アルカリ金属、アルカリ土類金属、炭化水素基)、アミノ酸類;アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸または燐酸エステル類、アルキルベタイン型等の両性類基、アミノ基、イミノ基、イミド基、アミド基等また、水酸基、アルコキシル基、チオール基、アルキルチオ基、ハロゲン基(F、Cl、Br、I)、シリル基、シロキサン基、エポキシ基、イソシアナト基、シアノ基、ニトリル基、オキソ基、アクリル基、フォスフィン基を、通常1種以上6種以内含んでも良い。そして各々の官能基は樹脂1gあたり1×10−6eq〜1×10−2eq含むことが好ましい。
【0023】
本発明の研磨層3に硬化剤として用いるポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4・4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1・5−ジイソシアネート、o−トルイジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のイソシアネート類、当該イソシアネート類とポリアルコールとの生成物、イソシアネート類の縮合によって生成した2〜10量体のポリイソシアネート、ポリイソシアネートとポリウレタンとの生成物で末端官能基がイソシアネートであるもの等が使用できる。
【0024】
これらポリイソシアネート類の平均分子量は、100〜20000のものが好適である。これらポリイソシアネートの市販されている商品名としては、コロネートL、コロネートHL、コロネート2030、コロネート2031、ミリオネートMR、ミリオネートMTL(日本ポリウレタン社製)、タケネートD−102、タケネートD−110N、タケネートD−200、タケネートD−202、タケネート300S、タケネート500(武田薬品社製)、スミジュールT−80、スミジュール44S、スミジュールPF、スミジュールL、スミジュールN、デスモジュールL、デスモジュールIL、デスモジュールN、デスモジュールHL、デスモジュールT65、デスモジュール15、デスモジュールR、デスモジュールRF、デスモジュールSL、デスモジュールZ4273(住友バイエル社製)等があり、これらを単独もしくは硬化反応性の差を利用して二つもしくはそれ以上の組み合わせによって使用することができる。また、硬化反応を促進する目的で、水酸基(ブタンジオール、ヘキサンジオール、分子量が1000〜10000のポリウレタン、水等)、アミノ基(モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン等)を有する化合物や金属酸化物の触媒や鉄アセチルアセトネート等の触媒を併用することもできる。これらの水酸基やアミノ基を有する化合物は多官能であることが望ましい。これらポリイソシアネートは、樹脂結合剤とポリイソシアネートの総量100重量部あたり2〜70重量部で使用することが好ましく、より好ましくは5〜50重量部である。
【0025】
その他、研磨層3中には各種の機能を持った化合物が、例えば、潤滑剤、分散剤、酸化防止剤、防黴剤、着色剤、溶剤等として加えられる。
【0026】
粉末状潤滑剤としては、グラファイト、二硫化モリブデン、窒化硼素、弗化黒鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化珪素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、二硫化タングステン等の無機微粉末、アクリルスチレン系樹脂微粉末、ベンゾグアナミン系樹脂微粉末、メラミン系樹脂微粉末、ポリオレフイン系樹脂微粉末、ポリエステル系樹脂微粉末、ポリアミド系樹脂微粉末、ポリイミド系樹脂微粉末、ポリフッカエチレン系樹脂微粉末等の樹脂微粉末などがある。
【0027】
また有機化合物系潤滑剤としては、シリコンオイル(ジアルキルポリシロキサン、ジアルコキシポリシロキサン、フェニルポリシロキサン、フルオロアルキルポリシロキサン(信越化学社製KF96、KF69等))、脂肪酸変性シリコンオイル、フッ素アルコール、ポリオレフィン(ポリエチレンワックス、ポリプロピレン等)、ポリグリコール(エチレングリコール、ポリエチレンオキシドワックス等)、テトラフルオロエチレンオキシドワックス、ポリテトラフルオログリコール、パーフルオロアルキルエーテル、パーフルオロ脂肪酸、パーフルオロ脂肪酸エステル、パーフルオロアルキル硫酸エステル、パーフルオロアルキルスルホン酸エステル、パーフルオロアルキルベンゼンスルホン酸エステル、パーフルオロアルキル燐酸エステル等の弗素や珪素を導入した化合物、アルキル硫酸エステル、アルキルスルホン酸エステル、アルキルホスホン酸トリエステル、アルキルホスホン酸モノエステル、アルキルホスホン酸ジエステル、アルキル燐酸エステル、琥珀酸エステル等の有機酸および有機酸エステル化合物、トリアザインドリジン、テトラアザインデン、ベンゾトリアゾール、ベンゾトリアジン、ベンゾジアゾール、EDTA等の窒素・硫黄を含む複素(ヘテロ)環化合物、炭素数10〜40の一塩基性脂肪酸と炭素数2〜40個の一価のアルコールもしくは二価のアルコール、三価のアルコール、四価のアルコール、六価のアルコールのいずれか1つもしくは2つ以上とからなる脂肪酸エステル類、炭素数10個以上の一塩基性脂肪酸と該脂肪酸の炭素数と合計して炭素数が11〜70個となる一価〜六価のアルコールからなる脂肪酸エステル類、炭素数8〜40の脂肪酸或いは脂肪酸アミド類、脂肪酸アルキルアミド類、脂肪族アルコール類も使用できる。
【0028】
これら化合物の具体的な例としては、カプリル酸ブチル、カプリル酸オクチル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ブチル、ラウリン酸オクチル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸オクチル、ミリスチン酸2エチルヘキシル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸ブチル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸2エチルヘキシル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソブチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸2エチルヘキシル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸イソアミル、ステアリン酸2エチルペンチル、ステアリン酸2ヘキシルデシル、ステアリン酸イソトリデシル、ステアリン酸アミド、ステアリン酸アルキルアミド、ステアリン酸ブトキシエチル、アンヒドロソルビタンモノステアレート、アンヒドロソルビタンジステアレート、アンヒドロソルビタントリステアレート、アンヒドロソルビタンテトラステアレート、オレイルオレート、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、モンタンワックス、カルナウバワックス等が有り単独若しくは組み合わせ使用できる。
【0029】
酸化防止剤としては、防錆剤(アルキルフェノール、ベンゾトリアジン、テトラアザインデン、スルファミド、グアニジン、核酸、ピリジン、アミン、ヒドロキノン、EDTA等の金属キレート剤)、錆どめ剤(ナフテン酸、アルケニルコハク酸、燐酸、ジラウリルフォスフェート等)、油性剤(ナタネ油、ラウリルアルコール等)、極圧剤(ジベンジルスルフィド、トリクレジルフォスフェート、トリブチルホスファイト等)が用いられる。これらは清浄分散剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、泡どめ剤等としても用いられる。これらの潤滑剤は樹脂結合剤100重量部に対して0.01〜30重量部の範囲で添加される。
【0030】
研磨砥粒31の分散剤、分散助剤としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアロール酸、ベヘン酸、マレイン酸、フタル酸等の炭素数2〜40個の脂肪酸(R1COOH、R1は炭素数1〜39個のアルキル基、フェニル基、アラルキル基)、前記の脂肪酸のアルカリ金属(Li,Na,K,NH4 +等)またはアルカリ土類金属(Mg,Ca,Ba等)、Cu、Pb等からなる金属石鹸(オレイン酸銅)、脂肪酸アミド;レシチン(大豆油レシチン)等が使用される。この他に炭素数4〜40の高級アルコール(ブタノール、オクチルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール)、およびこれらの硫酸エステル、スルホン酸、フェニルスルホン酸、アルキルスルホン酸、スルホン酸エステル、燐酸モノエステル、燐酸ジエステル、燐酸トリエステル、アルキルホスホン酸、フェニルホスホン酸、アミン化合物等も使用可能である。また、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、スルホ琥珀酸、スルホ琥珀酸金属塩、スルホ琥珀酸エステル等も使用可能である。これらの分散剤は通常一種類以上で用いられ、一種類の分散剤は樹脂結合剤100重量部に対して0.005〜20重量部の範囲で添加される。これら分散剤の使用方法は、研磨砥粒等の表面に予め被着させても良く、また分散途中で添加してもよい。
【0031】
防黴材としては、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾール、N−(フルオロジクロロメチルチオ)−フタルイミド、10・10’−オキシビスフェノキサルシン、2・4・5・6テトラクロロイソフタロニトリル、P−トリルジヨードメチルスルホン、トリヨードアリルアルコール、ジヒドロアセト酸、フェニルオレイン酸水銀、酸化ビス(トリブチル錫)、サルチルアニライド等がある。
【0032】
カーボンブラックは帯電防止剤として機能し、このカーボンブラックはゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブラック等を用いることができる。これらカーボンブラックは帯電防止剤としてのほか、遮光剤、摩擦係数調節剤、耐久性向上を目的としても使用される。
【0033】
カーボンブラック以外の帯電防止剤としては、グラファイト、変成グラファイト、カーボンブラックグラフトポリマー、酸化錫−酸化アンチモン、酸化錫、酸化チタン−酸化錫−酸化アンチモン等の導電性粉末;サポニン等の天然界面活性剤;アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グリシドール系、多価アルコール、多価アルコールエステル、アルキルフェノールEO付加体等のノニオン界面活性剤;高級アルキルアミン類、環状アミン、ヒダントイン誘導体、アミドアミン、エステルアミド、第四級アンモニウム塩類、ピリジンそのほかの複素環類、ホスホニウムまたはスルホニウム類等のカチオン界面活性剤;カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、燐酸、硫酸エステル基、ホスホン酸エステル、燐酸エステル基などの酸性基を含むアニオン界面活性剤;アミノ酸類;アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸または燐酸エステル類、アルキルベタイン型等の両性界面活性剤等が使用される。これらの界面活性剤は単独または混合して添加しても良い。界面活性剤の使用量は、研磨砥粒100重量部当たり0.01〜10重量部である。これらは帯電防止剤として用いられるものであるが、時としてそのほかの目的、例えば分散の改良、潤滑性の改良、塗布助剤、湿潤剤、硬化促進剤、分散促進剤として適用される場合もある。
【0034】
溶剤は分散、混練、塗布の際に使用し、任意の比率でアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロフラン等のケトン系;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノールなどのアルコール系;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル系;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル系;ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼン、スチレンなどのタール系(芳香族炭化水素);メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼン等の塩素化炭化水素、N・N−ジメチルホルムアルデヒド、ヘキサン等が使用できる。またこれら溶媒は通常任意の比率で2種以上で用いる。また1重量%以下の量で微量の不純物(その溶媒自身の重合物、水分、原料成分等)を含んでもよい。
【0035】
支持体2に使用できる具体的な素材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルローストリアセテート、セルロースダイアセテート等のセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂類、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリスルホン等のプラスチックのほかにアルミニウム、銅等の金属、ガラス等のセラミックス、紙(塗工紙等)なども使用できる。これらの支持体は塗布に先立って、コロナ放電処理、プラズマ処理、下塗処理、熱処理、除塵埃処理、金属蒸着処理、アルカリ処理を行ってもよい。
【0036】
分散、混練の方法には特に制限はなく、また各成分の添加順序(樹脂、粉体、潤滑剤、溶媒等)、分散・混練中の添加位置、分散温度(0〜80℃)などは適宜設定することができる。研磨塗料の調製には通常の撹拌機、分散機、混練機、例えば、二本ロールミル、三本ロールミル、ボールミル、ペブルミル、トロンミル、サンドグラインダー、ツェグバリ(Szegvari)アトライター、高速インペラー、高速ストーンミル、高速度衝撃ミル、ディスパー、ニーダー、高速ミキサー、リボンブレンダー、コニーダー、インテンシブミキサー、タンブラー、ブレンダー、ディスパーザー、ホモジナイザー、単軸スクリュー押し出し機、二軸スクリュー押し出し機、および超音波分散機などを用いることができる。通常分散・混練にはこれらの機械を複数備え、連続的に処理を行う。これら分散、混練の補助材料として分散・混練を効率よく進めるため、球相当径で10cmφ〜0.05mmφの径のスチールボール、スチールビーズ、セラミツクビーズ、ガラスビーズ、有機ポリマービーズを用いることができる。またこれら材料は球形に限らない。
【0037】
支持体2上へ研磨層3を塗設し、25〜130℃で乾燥したあと、表面に脱粒防止皮膜5用の樹脂液を塗布してさらに乾燥し、冷却し巻き取る。このように作成した研磨媒体を所定形状に裁断する。上記研磨媒体には、バーニッシュ、クリーニングを行うことが望ましい。バーニッシュは研磨媒体を具体的にサファイア刃、剃刀刃、超硬材料刃、ダイヤモンド刃、セラミックス刃のような硬い材料により研磨層表面の突起部分をそぎ落とし平滑化して表面粗さを調整できる。これら材料のモース硬度は8以上が好ましいが特に制限はなく突起を除去できるものであれば良い。これら材料の形状は特に刃である必要はなく、角型、丸型、ホイール(回転する円筒形状の周囲にこれらの材質を付与しても良い)のような形状でも使用できる。また研磨媒体のクリーニングは、表面の汚れや余分な潤滑剤を除去する目的で表層を不織布などでワイピングすることにより行う。
【0038】
前記研磨層3を設ける方法としては、塗布、噴霧などがある。塗布の場合塗布液の粘度を1〜20000センチストークス(25℃)に調整し、エアードクターコーター、ブレードコーター、エアナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースロールコーター、トランスファーロールコーター、グラビアコーター、キスコーター、キャストコーター、スプレイコーター、ロッドコーター、正回転ロールコーター、カーテンコーター、押出コーター、バーコーター、リップコータ等が利用でき、その他の方法も可能である。なお、研磨層を多層で構成したいときは、同時多層塗布、逐次多層塗布等を行ってもよい。
【0039】
また、脱粒防止皮膜5も、樹脂を溶剤で例えば20cP程度の低粘度となるように溶解した樹脂液を、上記研磨層3と同様に塗布、噴霧などで形成するものである。
【0040】
【実施例】
以下に、本発明の研磨媒体の実施例および比較例を示し、その研磨特性を評価する。なお実施例中の「部」とあるのは「重量部」のことである。
【0041】
<実施例1>
下記組成のものを均一に分散し研磨層用塗料を作成したあと、厚さが75μmのポリエチレンテレフタレート(PET)支持体上に、乾燥後の厚さが10μmとなるように上記塗料をバーコート塗布して研磨層を形成し、乾燥した。
【0042】
研磨層を塗設した後、その上に、ポリエステル樹脂の粘度が20cp溶液をオーバーコートし、脱粒防止皮膜を0.3μmの厚さで形成してなる研磨媒体のサンプルを作成した。
【0043】
【0044】
<比較例1>
実施例1の研磨層の表面にはオーバーコートを施さず、脱粒防止皮膜を形成していない研磨媒体のサンプルである。
【0045】
<比較例2>
比較例1の研磨層1における研磨砥粒に対する樹脂結合剤の配合量を、2倍の28重量部とし、その他は同様であり、脱粒防止皮膜は有していない研磨媒体のサンプルである。
【0046】
作成した実施例および比較例1,2の各研磨媒体により、研磨テストを行った結果を表1に示す。「研磨量A」は、被研磨物として直径6mmのスチール球を用い、研磨媒体の研磨面にこの被研磨媒体を接触させ、10回往復させた後の、被研磨物の欠損体積量を測定し、実施例1によるものを100%として相対量で比較した。「研磨量B」は、研磨媒体の研磨面にスチール棒を20分間摺動させ、その後、研磨量Aと同様の研磨テストを行い、上記と同様の基準値を100%として相対量で比較した。「脱粒」は、研磨量Bを求めた研磨テスト後の研磨層表面を拡大観察して砥粒の脱落の程度を観察した。
【0047】
表1の結果、実施例1では、研磨量Aと研磨量Bの差が小さく、スチール棒による摺動を行っても研削力の低減は小さくて耐久性に優れ、研磨砥粒の脱落は少なかった。これに対し、比較例1では研磨量Aは実施例1と同等であったが、脱粒防止皮膜がないことで、研磨量Bが大きく低下し、脱粒も顕著で耐久性の点で劣っている。比較例2では、研磨層の樹脂結合剤が多く、研磨面表面の砥粒の現出が少なく、研磨量Aが低くて初期の研削力が不足し、脱粒は少なかったが、研磨量Bはさらに低下し研削力が低かった。
【0048】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1つの実施形態における研磨媒体の構造例を示す概略図
【符号の説明】
1 研磨媒体
2 支持体
3 研磨層
4 下塗り層
31 研磨砥粒
32 樹脂結合剤
5 脱粒防止皮膜
【発明の属する技術分野】
本発明は、研磨砥粒を樹脂結合剤に分散させた研磨層を支持体上に設けてなり、被研磨物を研磨する際に使用する研磨媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、支持体上に研磨砥粒および樹脂結合剤を主体とした研磨層を有する研磨媒体は、各種の被研磨物を研磨するのに使用されており、被研磨物が要求している研磨精度に応じた材質および粒径の研磨砥粒が使用されている。
【0003】
上記研磨媒体は、研磨砥粒を樹脂結合剤に分散させ、その他各種の添加剤を必要に応じて配合してなる塗料を調整し、この塗料を所定の材質および厚さの支持体上に均一に塗設して研磨層を設け、乾燥固化させてなるものである。その研磨層の表面(研磨面)は、砥粒が部分的に露出した微細凹凸状に形成されてなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述のような研磨媒体は、被研磨物の研磨に伴い、その研磨層の表面から研磨砥粒が脱落して、研削力の低下および被研磨物に傷を与えたりする問題がある。
【0005】
上記砥粒の脱落は、研磨砥粒に対する樹脂結合剤の量を増加すると、砥粒の保持力が高まることにより抑制できるが、結合剤量が増加すると研磨層表面に露出する研磨砥粒が低減すると共に、砥粒に必要以上に樹脂皮膜が形成されて研削力が低下し、研磨量が低減して研削時間が長くなる。
【0006】
一方、研磨砥粒に対する樹脂結合剤の量を減少すると、研磨層表面に露出する研磨砥粒が多くなって研削力が向上し、研磨量が増加して研削効率が高められる。しかし、前述のように、研削時間が増加するのに伴って、研磨層表面からの脱粒発生しやすくなり、脱粒に応じて研削力が低下するとともに、脱落した研磨砥粒が研磨層表面と被研磨面との間に介在して、被研磨面にスクラッチ傷を発生させやすくなる。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであって、樹脂結合剤を増加することなく研磨層表面からの研磨砥粒の脱落を阻止して研削力の維持および傷の発生を防止するようにした研磨媒体を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の研磨媒体は、研磨砥粒を樹脂結合剤に分散させた研磨層を支持体上に設けてなる研磨媒体において、
前記研磨層の表面に、露出した研磨砥粒の間を薄く埋める樹脂による脱粒防止皮膜を設けてなることを特徴とするものである。
【0009】
前記脱粒防止皮膜は、塗設後の研磨層表面に粘度の低い樹脂液を塗布し、この樹脂液は表面に露出した研磨砥粒の先端に滞留することなく、この砥粒の間に流れ落ちて固まり、研磨砥粒の間を薄く埋めて、この砥粒を保持する網目構造を形成することにより脱粒を防止するものである。
【0010】
前記脱粒防止皮膜の厚さは、研磨砥粒の大きさにより変わるが、0.1〜70μmが好ましく、特に0.1〜10μmの範囲に設けるのが好ましい。
【0011】
前記脱粒防止皮膜の材料は、研磨層の樹脂結合剤との密着力を高める点で、この樹脂結合剤と相溶性がある同系樹脂が好ましい。塗布時の粘度は、研磨砥粒間に流動する程度に低くする必要があり、1〜2000cP、例えば、20cp程度が好適である。
【0012】
【発明の効果】
上記のような本発明によれば、研磨層表面の研磨砥粒間への網目構造の脱粒防止皮膜の形成により、研磨砥粒の脱落が防止でき、研磨層における研磨砥粒に対する樹脂結合剤の量を低減して基本的に高い研削力を得ることができる。また、薄い脱粒防止皮膜の形成により、研磨砥粒の頂部が露出して高い研削力の維持と脱粒防止との両立が図れ、被研磨物への傷を発生させることなく良好な研磨が行え、研磨媒体の耐用時間が長くなってコストが低減できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の研磨媒体の実施の形態を示し、本発明をさらに詳細に説明する。図1は一つの実施形態における研磨媒体の構造を示す概略図である。なお、図は模式図であり、厚さ等は実際の寸法比率とは異なっている。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の研磨媒体1は、ポリエステルフィルム等による厚さが25〜100μm(例えば75μm)の支持体2の片面に、ポリエステルポリウレタン樹脂等による0.1〜0.3μmの下塗り層4を設け、その上に研磨層3を1〜20μmの厚さに塗設してなる。
【0015】
上記研磨層3は、粒子状の研磨砥粒31と、該研磨砥粒31を分散固定する樹脂結合剤32(バインダー)などで構成し、この研磨層3上に、ポリエステル樹脂等による脱粒防止皮膜5を0.1〜0.5μm、例えば0.3μmの厚さに被覆してなる。
【0016】
上記脱粒防止皮膜5は、塗設後の研磨層3の表面に粘度の低い樹脂液を塗布し、この樹脂液は表面に露出した研磨砥粒31の先端に滞留することなく、この研磨砥粒31の間に流れ落ちて樹脂結合剤32の上面で薄く固まり、研磨砥粒31の間を連結する網目構造となって、研磨砥粒31を保持して脱落を防止するとともに、研磨砥粒31の頂部が露出して高い研削力を維持する。
【0017】
前記下塗り層4は支持体2と研磨層3の密着性を高める目的などで形成される。また、支持体2の裏面に摩擦係数を調整するためのバック層を設けてもよい。
【0018】
前記研磨媒体1の構成をさらに詳細に説明する。粒子状の研磨砥粒31は、一般的に研磨作用若しくは琢磨作用をもつ材料で、モース硬度が6〜10のものを使用する。例えば、α−アルミナ、γ−アルミナ、α・γ−アルミナ、熔融アルミナ、炭化珪素、酸化クロム、コランダム、人造ダイヤモンド、ダイヤモンド、α−酸化鉄、窒化珪素、窒化硼素、炭化モリブデン、炭化硼素、炭化タングステン、チタンカーバイド、ジルコニア、酸化チタン、シリカ、酸化セリウム、弁柄、ガーネット等で、主としてモース硬度7以上の材料が1内至4種迄の組み合わせで使用できる。これらの研磨砥粒は平均粒子サイズが0.1〜100μmの大きさのものが使用される。これらの研磨砥粒は研磨層の場合研磨砥粒100重量部に対して樹脂結合剤10〜1000重量部の範囲で用いられる。研磨砥粒の具体例としては住友化学社製のAKP1、AKP15、AKP20、AKP30、AKP50、AKP80、Hit50、Hit100などが挙げられる。
【0019】
本発明の研磨層3に使用される樹脂結合剤32(バインダー)および脱粒防止皮膜5は、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂、電子線硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂、可視光線硬化型樹脂やこれらの混合物が使用できる。
【0020】
熱可塑性樹脂としては、軟化温度が200℃以下、平均分子量が10000〜300000、重合度が約50〜2000程度のもので、より好ましくは200〜800程度であり、例えば、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル酢酸ビニルビニルアルコール共重合体、塩化ビニルビニルアルコール共重合体、塩化ビニル塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニルアクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステルアクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル塩化ビニリデン共重合体、アクリル酸エステルスチレン共重合体、メタクリル酸エステルアクリロニトリル共重合体、メタクリル酸エステル塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステルスチレン共重合体、ウレタンエラストマー、ナイロン−シリコン系樹脂、ニトロセルロース−ポリアミド樹脂、ポリフッカビニル、塩化ビニリデンアクリロニトリル共重合体、ブタジエンアクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(セルロースアセテートブチレート、セルロースダイアセテート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、プロピルセルロース、メチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アセチルセルロース等)、スチレンブタジエン共重合体、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、クロロビニルエーテルアクリル酸エステル共重合体、アミノ樹脂、ポリアミド樹脂など各種の合成ゴム系の熱可塑性樹脂およびこれらの混合物等が使用できる。
【0021】
また熱硬化性樹脂または反応型樹脂としては、塗布液の状態では200000以下の分子量であり、塗布、乾燥後に加熱加湿することにより、縮合、付加等の反応により分子量が無限大となるものが適している。また、これらの樹脂のなかで、樹脂が熱分解するまでの間に軟化または溶融しないものが好ましい。具体的には例えばフェノール樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタンポリカーボネート樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、シリコン樹脂、アクリル系反応樹脂(電子線硬化樹脂)、エポキシ−ポリアミド樹脂、ニトロセルロースメラミン樹脂、高分子量ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポリマーの混合物、メタクリル酸塩共重合体とジイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの混合物、尿素ホルムアルデヒド樹脂、低分子量グリコール/高分子量ジオール/トリフェニルメタントリイソシアネートの混合物、ポリアミン樹脂、ポリイミン樹脂およびこれらの混合物等が使用できる。
【0022】
これらの熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂は、主たる官能基以外に官能基としてカルボン酸(COOM)、スルフィン酸、スルフェン酸、スルホン酸(SO3M)、燐酸(PO(OM)(OM))、ホスホン酸、硫酸(OSO3M)、これらのエステル基等の酸性基(MはH、アルカリ金属、アルカリ土類金属、炭化水素基)、アミノ酸類;アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸または燐酸エステル類、アルキルベタイン型等の両性類基、アミノ基、イミノ基、イミド基、アミド基等また、水酸基、アルコキシル基、チオール基、アルキルチオ基、ハロゲン基(F、Cl、Br、I)、シリル基、シロキサン基、エポキシ基、イソシアナト基、シアノ基、ニトリル基、オキソ基、アクリル基、フォスフィン基を、通常1種以上6種以内含んでも良い。そして各々の官能基は樹脂1gあたり1×10−6eq〜1×10−2eq含むことが好ましい。
【0023】
本発明の研磨層3に硬化剤として用いるポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4・4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1・5−ジイソシアネート、o−トルイジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のイソシアネート類、当該イソシアネート類とポリアルコールとの生成物、イソシアネート類の縮合によって生成した2〜10量体のポリイソシアネート、ポリイソシアネートとポリウレタンとの生成物で末端官能基がイソシアネートであるもの等が使用できる。
【0024】
これらポリイソシアネート類の平均分子量は、100〜20000のものが好適である。これらポリイソシアネートの市販されている商品名としては、コロネートL、コロネートHL、コロネート2030、コロネート2031、ミリオネートMR、ミリオネートMTL(日本ポリウレタン社製)、タケネートD−102、タケネートD−110N、タケネートD−200、タケネートD−202、タケネート300S、タケネート500(武田薬品社製)、スミジュールT−80、スミジュール44S、スミジュールPF、スミジュールL、スミジュールN、デスモジュールL、デスモジュールIL、デスモジュールN、デスモジュールHL、デスモジュールT65、デスモジュール15、デスモジュールR、デスモジュールRF、デスモジュールSL、デスモジュールZ4273(住友バイエル社製)等があり、これらを単独もしくは硬化反応性の差を利用して二つもしくはそれ以上の組み合わせによって使用することができる。また、硬化反応を促進する目的で、水酸基(ブタンジオール、ヘキサンジオール、分子量が1000〜10000のポリウレタン、水等)、アミノ基(モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン等)を有する化合物や金属酸化物の触媒や鉄アセチルアセトネート等の触媒を併用することもできる。これらの水酸基やアミノ基を有する化合物は多官能であることが望ましい。これらポリイソシアネートは、樹脂結合剤とポリイソシアネートの総量100重量部あたり2〜70重量部で使用することが好ましく、より好ましくは5〜50重量部である。
【0025】
その他、研磨層3中には各種の機能を持った化合物が、例えば、潤滑剤、分散剤、酸化防止剤、防黴剤、着色剤、溶剤等として加えられる。
【0026】
粉末状潤滑剤としては、グラファイト、二硫化モリブデン、窒化硼素、弗化黒鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化珪素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、二硫化タングステン等の無機微粉末、アクリルスチレン系樹脂微粉末、ベンゾグアナミン系樹脂微粉末、メラミン系樹脂微粉末、ポリオレフイン系樹脂微粉末、ポリエステル系樹脂微粉末、ポリアミド系樹脂微粉末、ポリイミド系樹脂微粉末、ポリフッカエチレン系樹脂微粉末等の樹脂微粉末などがある。
【0027】
また有機化合物系潤滑剤としては、シリコンオイル(ジアルキルポリシロキサン、ジアルコキシポリシロキサン、フェニルポリシロキサン、フルオロアルキルポリシロキサン(信越化学社製KF96、KF69等))、脂肪酸変性シリコンオイル、フッ素アルコール、ポリオレフィン(ポリエチレンワックス、ポリプロピレン等)、ポリグリコール(エチレングリコール、ポリエチレンオキシドワックス等)、テトラフルオロエチレンオキシドワックス、ポリテトラフルオログリコール、パーフルオロアルキルエーテル、パーフルオロ脂肪酸、パーフルオロ脂肪酸エステル、パーフルオロアルキル硫酸エステル、パーフルオロアルキルスルホン酸エステル、パーフルオロアルキルベンゼンスルホン酸エステル、パーフルオロアルキル燐酸エステル等の弗素や珪素を導入した化合物、アルキル硫酸エステル、アルキルスルホン酸エステル、アルキルホスホン酸トリエステル、アルキルホスホン酸モノエステル、アルキルホスホン酸ジエステル、アルキル燐酸エステル、琥珀酸エステル等の有機酸および有機酸エステル化合物、トリアザインドリジン、テトラアザインデン、ベンゾトリアゾール、ベンゾトリアジン、ベンゾジアゾール、EDTA等の窒素・硫黄を含む複素(ヘテロ)環化合物、炭素数10〜40の一塩基性脂肪酸と炭素数2〜40個の一価のアルコールもしくは二価のアルコール、三価のアルコール、四価のアルコール、六価のアルコールのいずれか1つもしくは2つ以上とからなる脂肪酸エステル類、炭素数10個以上の一塩基性脂肪酸と該脂肪酸の炭素数と合計して炭素数が11〜70個となる一価〜六価のアルコールからなる脂肪酸エステル類、炭素数8〜40の脂肪酸或いは脂肪酸アミド類、脂肪酸アルキルアミド類、脂肪族アルコール類も使用できる。
【0028】
これら化合物の具体的な例としては、カプリル酸ブチル、カプリル酸オクチル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ブチル、ラウリン酸オクチル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸オクチル、ミリスチン酸2エチルヘキシル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸ブチル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸2エチルヘキシル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソブチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸2エチルヘキシル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸イソアミル、ステアリン酸2エチルペンチル、ステアリン酸2ヘキシルデシル、ステアリン酸イソトリデシル、ステアリン酸アミド、ステアリン酸アルキルアミド、ステアリン酸ブトキシエチル、アンヒドロソルビタンモノステアレート、アンヒドロソルビタンジステアレート、アンヒドロソルビタントリステアレート、アンヒドロソルビタンテトラステアレート、オレイルオレート、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、モンタンワックス、カルナウバワックス等が有り単独若しくは組み合わせ使用できる。
【0029】
酸化防止剤としては、防錆剤(アルキルフェノール、ベンゾトリアジン、テトラアザインデン、スルファミド、グアニジン、核酸、ピリジン、アミン、ヒドロキノン、EDTA等の金属キレート剤)、錆どめ剤(ナフテン酸、アルケニルコハク酸、燐酸、ジラウリルフォスフェート等)、油性剤(ナタネ油、ラウリルアルコール等)、極圧剤(ジベンジルスルフィド、トリクレジルフォスフェート、トリブチルホスファイト等)が用いられる。これらは清浄分散剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、泡どめ剤等としても用いられる。これらの潤滑剤は樹脂結合剤100重量部に対して0.01〜30重量部の範囲で添加される。
【0030】
研磨砥粒31の分散剤、分散助剤としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアロール酸、ベヘン酸、マレイン酸、フタル酸等の炭素数2〜40個の脂肪酸(R1COOH、R1は炭素数1〜39個のアルキル基、フェニル基、アラルキル基)、前記の脂肪酸のアルカリ金属(Li,Na,K,NH4 +等)またはアルカリ土類金属(Mg,Ca,Ba等)、Cu、Pb等からなる金属石鹸(オレイン酸銅)、脂肪酸アミド;レシチン(大豆油レシチン)等が使用される。この他に炭素数4〜40の高級アルコール(ブタノール、オクチルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール)、およびこれらの硫酸エステル、スルホン酸、フェニルスルホン酸、アルキルスルホン酸、スルホン酸エステル、燐酸モノエステル、燐酸ジエステル、燐酸トリエステル、アルキルホスホン酸、フェニルホスホン酸、アミン化合物等も使用可能である。また、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、スルホ琥珀酸、スルホ琥珀酸金属塩、スルホ琥珀酸エステル等も使用可能である。これらの分散剤は通常一種類以上で用いられ、一種類の分散剤は樹脂結合剤100重量部に対して0.005〜20重量部の範囲で添加される。これら分散剤の使用方法は、研磨砥粒等の表面に予め被着させても良く、また分散途中で添加してもよい。
【0031】
防黴材としては、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾール、N−(フルオロジクロロメチルチオ)−フタルイミド、10・10’−オキシビスフェノキサルシン、2・4・5・6テトラクロロイソフタロニトリル、P−トリルジヨードメチルスルホン、トリヨードアリルアルコール、ジヒドロアセト酸、フェニルオレイン酸水銀、酸化ビス(トリブチル錫)、サルチルアニライド等がある。
【0032】
カーボンブラックは帯電防止剤として機能し、このカーボンブラックはゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブラック等を用いることができる。これらカーボンブラックは帯電防止剤としてのほか、遮光剤、摩擦係数調節剤、耐久性向上を目的としても使用される。
【0033】
カーボンブラック以外の帯電防止剤としては、グラファイト、変成グラファイト、カーボンブラックグラフトポリマー、酸化錫−酸化アンチモン、酸化錫、酸化チタン−酸化錫−酸化アンチモン等の導電性粉末;サポニン等の天然界面活性剤;アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グリシドール系、多価アルコール、多価アルコールエステル、アルキルフェノールEO付加体等のノニオン界面活性剤;高級アルキルアミン類、環状アミン、ヒダントイン誘導体、アミドアミン、エステルアミド、第四級アンモニウム塩類、ピリジンそのほかの複素環類、ホスホニウムまたはスルホニウム類等のカチオン界面活性剤;カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、燐酸、硫酸エステル基、ホスホン酸エステル、燐酸エステル基などの酸性基を含むアニオン界面活性剤;アミノ酸類;アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸または燐酸エステル類、アルキルベタイン型等の両性界面活性剤等が使用される。これらの界面活性剤は単独または混合して添加しても良い。界面活性剤の使用量は、研磨砥粒100重量部当たり0.01〜10重量部である。これらは帯電防止剤として用いられるものであるが、時としてそのほかの目的、例えば分散の改良、潤滑性の改良、塗布助剤、湿潤剤、硬化促進剤、分散促進剤として適用される場合もある。
【0034】
溶剤は分散、混練、塗布の際に使用し、任意の比率でアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロフラン等のケトン系;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノールなどのアルコール系;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル系;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル系;ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼン、スチレンなどのタール系(芳香族炭化水素);メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼン等の塩素化炭化水素、N・N−ジメチルホルムアルデヒド、ヘキサン等が使用できる。またこれら溶媒は通常任意の比率で2種以上で用いる。また1重量%以下の量で微量の不純物(その溶媒自身の重合物、水分、原料成分等)を含んでもよい。
【0035】
支持体2に使用できる具体的な素材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルローストリアセテート、セルロースダイアセテート等のセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂類、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリスルホン等のプラスチックのほかにアルミニウム、銅等の金属、ガラス等のセラミックス、紙(塗工紙等)なども使用できる。これらの支持体は塗布に先立って、コロナ放電処理、プラズマ処理、下塗処理、熱処理、除塵埃処理、金属蒸着処理、アルカリ処理を行ってもよい。
【0036】
分散、混練の方法には特に制限はなく、また各成分の添加順序(樹脂、粉体、潤滑剤、溶媒等)、分散・混練中の添加位置、分散温度(0〜80℃)などは適宜設定することができる。研磨塗料の調製には通常の撹拌機、分散機、混練機、例えば、二本ロールミル、三本ロールミル、ボールミル、ペブルミル、トロンミル、サンドグラインダー、ツェグバリ(Szegvari)アトライター、高速インペラー、高速ストーンミル、高速度衝撃ミル、ディスパー、ニーダー、高速ミキサー、リボンブレンダー、コニーダー、インテンシブミキサー、タンブラー、ブレンダー、ディスパーザー、ホモジナイザー、単軸スクリュー押し出し機、二軸スクリュー押し出し機、および超音波分散機などを用いることができる。通常分散・混練にはこれらの機械を複数備え、連続的に処理を行う。これら分散、混練の補助材料として分散・混練を効率よく進めるため、球相当径で10cmφ〜0.05mmφの径のスチールボール、スチールビーズ、セラミツクビーズ、ガラスビーズ、有機ポリマービーズを用いることができる。またこれら材料は球形に限らない。
【0037】
支持体2上へ研磨層3を塗設し、25〜130℃で乾燥したあと、表面に脱粒防止皮膜5用の樹脂液を塗布してさらに乾燥し、冷却し巻き取る。このように作成した研磨媒体を所定形状に裁断する。上記研磨媒体には、バーニッシュ、クリーニングを行うことが望ましい。バーニッシュは研磨媒体を具体的にサファイア刃、剃刀刃、超硬材料刃、ダイヤモンド刃、セラミックス刃のような硬い材料により研磨層表面の突起部分をそぎ落とし平滑化して表面粗さを調整できる。これら材料のモース硬度は8以上が好ましいが特に制限はなく突起を除去できるものであれば良い。これら材料の形状は特に刃である必要はなく、角型、丸型、ホイール(回転する円筒形状の周囲にこれらの材質を付与しても良い)のような形状でも使用できる。また研磨媒体のクリーニングは、表面の汚れや余分な潤滑剤を除去する目的で表層を不織布などでワイピングすることにより行う。
【0038】
前記研磨層3を設ける方法としては、塗布、噴霧などがある。塗布の場合塗布液の粘度を1〜20000センチストークス(25℃)に調整し、エアードクターコーター、ブレードコーター、エアナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースロールコーター、トランスファーロールコーター、グラビアコーター、キスコーター、キャストコーター、スプレイコーター、ロッドコーター、正回転ロールコーター、カーテンコーター、押出コーター、バーコーター、リップコータ等が利用でき、その他の方法も可能である。なお、研磨層を多層で構成したいときは、同時多層塗布、逐次多層塗布等を行ってもよい。
【0039】
また、脱粒防止皮膜5も、樹脂を溶剤で例えば20cP程度の低粘度となるように溶解した樹脂液を、上記研磨層3と同様に塗布、噴霧などで形成するものである。
【0040】
【実施例】
以下に、本発明の研磨媒体の実施例および比較例を示し、その研磨特性を評価する。なお実施例中の「部」とあるのは「重量部」のことである。
【0041】
<実施例1>
下記組成のものを均一に分散し研磨層用塗料を作成したあと、厚さが75μmのポリエチレンテレフタレート(PET)支持体上に、乾燥後の厚さが10μmとなるように上記塗料をバーコート塗布して研磨層を形成し、乾燥した。
【0042】
研磨層を塗設した後、その上に、ポリエステル樹脂の粘度が20cp溶液をオーバーコートし、脱粒防止皮膜を0.3μmの厚さで形成してなる研磨媒体のサンプルを作成した。
【0043】
【0044】
<比較例1>
実施例1の研磨層の表面にはオーバーコートを施さず、脱粒防止皮膜を形成していない研磨媒体のサンプルである。
【0045】
<比較例2>
比較例1の研磨層1における研磨砥粒に対する樹脂結合剤の配合量を、2倍の28重量部とし、その他は同様であり、脱粒防止皮膜は有していない研磨媒体のサンプルである。
【0046】
作成した実施例および比較例1,2の各研磨媒体により、研磨テストを行った結果を表1に示す。「研磨量A」は、被研磨物として直径6mmのスチール球を用い、研磨媒体の研磨面にこの被研磨媒体を接触させ、10回往復させた後の、被研磨物の欠損体積量を測定し、実施例1によるものを100%として相対量で比較した。「研磨量B」は、研磨媒体の研磨面にスチール棒を20分間摺動させ、その後、研磨量Aと同様の研磨テストを行い、上記と同様の基準値を100%として相対量で比較した。「脱粒」は、研磨量Bを求めた研磨テスト後の研磨層表面を拡大観察して砥粒の脱落の程度を観察した。
【0047】
表1の結果、実施例1では、研磨量Aと研磨量Bの差が小さく、スチール棒による摺動を行っても研削力の低減は小さくて耐久性に優れ、研磨砥粒の脱落は少なかった。これに対し、比較例1では研磨量Aは実施例1と同等であったが、脱粒防止皮膜がないことで、研磨量Bが大きく低下し、脱粒も顕著で耐久性の点で劣っている。比較例2では、研磨層の樹脂結合剤が多く、研磨面表面の砥粒の現出が少なく、研磨量Aが低くて初期の研削力が不足し、脱粒は少なかったが、研磨量Bはさらに低下し研削力が低かった。
【0048】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1つの実施形態における研磨媒体の構造例を示す概略図
【符号の説明】
1 研磨媒体
2 支持体
3 研磨層
4 下塗り層
31 研磨砥粒
32 樹脂結合剤
5 脱粒防止皮膜
Claims (1)
- 研磨砥粒を樹脂結合剤に分散させた研磨層を支持体上に設けてなる研磨媒体において、
前記研磨層の表面に、露出した研磨砥粒の間を薄く埋める樹脂による脱粒防止皮膜を設けてなることを特徴とする研磨媒体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002161437A JP2004009145A (ja) | 2002-06-03 | 2002-06-03 | 研磨媒体 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009010031A (ja) * | 2007-06-26 | 2009-01-15 | Fujifilm Corp | 金属用研磨液及びそれを用いた研磨方法 |
JP2012218121A (ja) * | 2011-04-12 | 2012-11-12 | Bando Chemical Industries Ltd | 研磨プレート |
JP2017196594A (ja) * | 2016-04-28 | 2017-11-02 | キョーラク株式会社 | クリーニング用線材、及び3dプリンタのクリーニング方法 |
CN107498962A (zh) * | 2017-09-22 | 2017-12-22 | 浙江绿洲胶粘制品有限公司 | 一种上光膜结构 |
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- 2002-06-03 JP JP2002161437A patent/JP2004009145A/ja not_active Withdrawn
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