JP2004008986A - カーテン塗布方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】カーテン塗布における空気同伴現象を抑制する。
【解決手段】バックアップロール12で支持されて搬送するウェブ10の上にカーテン塗布により塗布液を塗布する。塗布線Pより上流側10mm以上100mm以下のウェブ10の上部に遮風部材30aが位置するように、ブレストロール11の上流部にかけて減圧チャンバー30を設け、減圧する。遮風部材30aは、その表面をセラミック材とし、上流側を曲面とする。また、バックアップロール12の曲率半径は100mm以上とする。遮風部材30aとウェブ10との間隙及びウェブ10の膜厚のばらつきに応じて減圧度を設定する。塗布速度1000m/分の高速塗布においても、空気の同伴流を抑制し、安定した連続塗布を実施することができ、その結果、良好な塗膜13cを得ることが可能となる。
【選択図】 図2
【解決手段】バックアップロール12で支持されて搬送するウェブ10の上にカーテン塗布により塗布液を塗布する。塗布線Pより上流側10mm以上100mm以下のウェブ10の上部に遮風部材30aが位置するように、ブレストロール11の上流部にかけて減圧チャンバー30を設け、減圧する。遮風部材30aは、その表面をセラミック材とし、上流側を曲面とする。また、バックアップロール12の曲率半径は100mm以上とする。遮風部材30aとウェブ10との間隙及びウェブ10の膜厚のばらつきに応じて減圧度を設定する。塗布速度1000m/分の高速塗布においても、空気の同伴流を抑制し、安定した連続塗布を実施することができ、その結果、良好な塗膜13cを得ることが可能となる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、連続走行する支持体(ウェブ)に各種液状組成物をカーテン塗布する方法及び装置に関するものであり、特に感圧記録紙、感熱記録紙、インクジェット用記録用紙、写真フィルム、写真用印画紙などに好適に用いられる連続的な塗布安定性を有するカーテン塗布方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
連続走行するウェブの上に塗布液を単層塗布あるいは多層同時塗布する方法のひとつとしてカーテン塗布方法がある。カーテン塗布方法は、塗布液をカーテン状に自由落下させ、走行するウェブの上に衝突させることで塗膜を形成する方法である。カーテン塗布は、ほかの塗布方法、例えばスライド塗布やスロット塗布等に比べ、空気同伴現象が起こりにくいことから、主に高速塗布に用いられる場合が多い。
【0003】
前記空気同伴現象とは、塗布点に至るウェブに近傍の空気が同伴されて、塗布液とウェブとの間に入りこむ現象であり、これはウェブと空気の固気界面からウェブと塗布液の固液界面への置換が完全には行われなかったことが原因である。近年では、カーテン塗布においてもさらなる高速化が要求され、この空気同伴現象が問題となることが多い。
【0004】
カーテン塗布における空気同伴現象は、塗布開始線においてウェブと液膜(塗膜)との間に空気が入り込んで未塗布部を生じさせたり、カーテン膜が振動して塗布ムラを生じさせたりする。そこで、最近は、減圧チャンバを用いることにより、カーテン膜の安定化を図るという対策が施されることが多くなってきており、例えば、特開2000−176345号公報では、減圧チャンバをバックアップロールと対向させて、塗布ダイと減圧チャンバの間の風速を1m/秒以下に抑えることが提案されている。
【0005】
上記の空気同伴現象を抑制するための方法として、そのほかに、特開平8−1061号公報、特開2000−167465号公報及び特開平11−197573号公報では、塗布点よりもウェブ進行方向の上流側に空気遮断手段を設け、その位置及び形状、あるいはそれに併設する別の空気遮断手段に関する提案がなされている。また、特開平10−277459号公報では、空気遮断手段をウェブに接触させ、かつ、その素材及び形状について、特開2001−7947号公報では、空気遮断手段を有するガスボックスを設け、その内部を大気圧よりも高くすることが提案されている。さらに、特開2000−176344号公報、特開平11−25386号公報及び特開平11−179259号公報、特開2001−300386号公報ではエアー遮断板及び吸引エアノズルを用いた方法を提案している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、バックアップロールと対向させて減圧チャンバを設ける方法では、近年のカーテン塗布における高速化、特に塗布速度500m/分以上の高速塗布に対しては、十分な対応策とはいえない。また、空気遮断手段の設置に関しては、ウェブと接触する位置に初期設定すると、高速塗布の際に、空気遮断手段がウェブにきずを付けてしまったり、ウェブの接合部において、引っ掛かりを生じてしまうことがあるという問題がある。また、空気遮断手段に加えて、ほかの部材を併設することは、装置が複雑になるために、塗布条件の設定やメンテナンス等にも影響を与えることになる。さらに、エアー遮断板の他に吸引エアノズルを設ける方法は、別個に吸引ノズルを設ける必要があり、構成が複雑になるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、塗布安定性に優れかつ良好な面状を有する塗膜を得るための、カーテン塗布方法及び装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のカーテン塗布方法は、バックアップ部材に支持されたウェブ上に塗布液を自由落下により衝突させて塗布し、塗布開始線から上流側の位置に前記ウェブに同伴する空気を遮断する遮風部材を設置するカーテン塗布方法において、前記遮風部材を、塗布開始線より上流側の10mm以上100mm以下の範囲であって、かつ、前記バックアップ部材にラップされていない位置に設置することを特徴として構成されている。
【0009】
前記バックアップ部材は、曲率半径が100mm以上のバックアップ部材であることが好ましく、前記遮風部材を有する減圧チャンバを前記塗布開始線の上流側に設け、前記減圧チャンバの内部を減圧し、その減圧度を50Pa以上500Pa以下とすることが好ましい。また、ウェブが接合部を有しているときは、その接合部が前記遮風部材を通過するとき、減圧度を低下させることが好ましい。遮風部材は、少なくともウェブに対向する表面をセラミックスとし、ウェブ走行方向における上流側の形状を曲面とすることがさらに好ましい。
【0010】
また、本発明のカーテン塗布装置は、バックアップ部材に支持されて連続走行するウェブ上に塗布液を落下させて塗布するカーテン塗布装置において、前記バックアップ部材に対してウェブ走行方向の上流側に設けたガイドロールと、前記バックアップ部材の上流側に設けた減圧チャンバと、この減圧チャンバから前記バックアップ部材の近くのウェブを覆うように設けられ、ウェブに同伴する空気流を遮断する遮風部材とを備え、前記バックアップ部材の前記ウェブが接触する部分の曲率半径を100mm以上に形成し、前記遮風部材を、塗布液のウェブ上の落下位置に対して、ウェブ走行方向の上流側へ10mm以上100mm以下の範囲に設けたことを特徴として構成されている。
【0011】
ウェブが接合部を有しているときは、その接合部が前記遮風部材を通過するとき、減圧度を低下させ、遮風部材の少なくともウェブに対向する表面をセラミックスとし、ウェブ走行方向における上流側の形状を曲面とすることがさらに好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明を詳細に説明する。図1は、本発明を実施したカーテン塗布工程の断面図である。ウェブ10はブレストロール(ガイドロール)11及びバックアップロール12に支持されながら塗布工程に搬送され、ウェブ10に塗布される塗布液13aは図示しない塗布液タンクから送液量可変の送液ポンプ(図示せず)により塗布ダイ14のマニフォールド15に供給される。マニフォールド15は、塗布ダイ14の幅方向にその断面形状をもって形成されている。塗布液13aの供給は、マニフォールド15の幅方向中央からなされてもよいし、マニフォールド15の片側面から供給されてもよい。
【0013】
自由落下により形成されるカーテン膜13bは、その両端を図示しないエッヂガイドによって保持されることが好ましく、カーテン膜13bの高さが30mm以上300mm以下となるように塗布ダイ14を設置する。カーテン膜13bは、走行するウェブ10の上に衝突して塗膜13cを形成するが、カーテン膜13bをさらに安定性よく形成保持するために、エッヂガイド(図示せず)にそって、低粘の潤滑液を施してもよい。潤滑液の供給は、例えば、エッヂガイドの上部で幅方向に供給するとよい。
【0014】
塗布は、異なるロールに巻かれたウェブ10のそれぞれ終端部と始端部を接合することにより、連続して実施することができる。接合方法としては、厚み変化を可能な限り小さくするために、ウェブ10の長さ方向の端部同士を突き合わせてその周辺部に薄い接合用テープを用いて行われることもあるが、紙への塗工の場合には両面テープを用いて、両端部を重ね合わせ、接合する方法が一般的である。
【0015】
図2は、本発明のカーテン塗布方法における塗布工程の斜視図である。ブレストロール11は、バックアップロール12の位置より低く位置されており、ブレストロール11のまわりには減圧チャンバ30が設けられている。ただし、ブレストロール11とバックアップロール12の相対位置はこれに限定されるものではない。減圧チャンバ30は遮風部材30aを有し、吸引口30bに連結された減圧装置(図示せず)によってその内部を減圧される。遮風部材30aは、ウェブ10の全幅域に渡っており、ウェブ10の走行に同伴する空気を遮断する。なお、塗布開始線Pはバックアップロール12にラップされている範囲内に位置するように設定する。
【0016】
バックアップロール12としては、ウェブ10をラップする外周の曲率半径が100mm以上のものを用いることが好ましい。半径が100mm未満の細いバックアップロールでは、ウェブ10に対するラップ長が短くなったり、または、塗布開始線Pのウェブ走行方向における位置がわずかにずれるだけでウェブ10とカーテン膜13bとのなす角の角度変化が大きく変化するので、塗布の安定領域が狭くなってしまうからである。また、その表面ができるだけ平滑であるものが望ましい。なお、バックアップロール12の代わりに、曲率半径が100mm以上の湾曲面を有するバックアップ部材を用いてもよい。
【0017】
減圧チャンバ30の遮風部材30aの位置は、塗布開始線Pから10mm以上100mm以下の範囲の上流側であり、かつ、ウェブ10がバックアップロール12にラップされていないところとするのが望ましい。遮風部材30aが塗布開始線Pから上流側10mm未満の位置であると、遮風部材30a自体がカーテン膜13bに干渉しやすくなる。また、100mmを越えた上流側位置にあると、空気同伴現象を生じやすくなったり、あるいは、ウェブ10のタルミや振動により遮風部材30aとウェブ10との間隙が変化し、そのため満足な遮風効果が得られなくなってしまうことが多い。塗布開始線Pからの距離は、上流側15mm以上60mm以下がさらに好ましく、20mm以上45mm以下がもっとも好ましい。
【0018】
また、遮風部材30aとウェブ10との間隙を狭くしすぎると、ひっかかりの原因となる。これは特に、ウェブ10の前記接合部で懸念されることである。ウェブ10の遮風部材30aへの引っ掛かりは、ウェブ10の変形や破断につながるために、遮蔽部材30aの設置位置については考慮が必要となる。
【0019】
遮風部材30aより、その上流側のブレストロール11にかけては減圧チャンバにより減圧状態とされている。図3は、本発明の実施形態である遮風部材30aの近傍の断面図である。(a)は減圧チャンバ30の内部を減圧しない場合のウェブ10の状態であり、ウェブ10はブレストロール11とバックアップロール12によるテンションで張られた状態になっている。一方、(b)は減圧した場合のウェブ10の状態を示しており、減圧チャンバ30の内部が外部より低圧であることからウェブ10が遮風部材30aに引き寄せられた形状となっている。ここでは、遮風部材30aの初期設置位置が、ウェブ10と接触しない場合のみを図示している。
【0020】
減圧度は、塗布速度が大きくなるほど高く設定する。塗布速度が概ね400m/分以下の比較的低速な塗布においては、減圧の必要性は少ないが、一般に高速塗布とみなされる塗布速度500m/分以上の場合は、減圧することが好ましいく、例えば500m/分以上1500m/分以下の塗布速度下で、50Pa以上500Pa以下が好適である。しかし、塗布速度に加え、塗布流量や塗膜13cの湿潤膜厚も考慮に入れる必要があり、上記範囲に限定されるものではない。この方法によって、空気の同伴流を抑制することができるとともに、ウェブ10を浮かせ、適度な減圧度を設定することで遮風部材30aとの間隙を狭く調整し、さらには接触を図ることができる。また、ウェブ10と遮風部材30aを当初より接触させている場合には、その接触圧を高めることにより遮風効果を向上させることができる。
【0021】
減圧度は、また、遮風部材30aとウェブ10との間隙の値、あるいは押しつけ圧に応じて調整しなければならない。上記間隙は、一般に狭いほど同伴する空気の遮断に対しては有効であるが、ウェブの厚みや、ウェブの接合部の状態によって適正に調整される必要がある。例えば、厚み200μmのウェブが重ね合わせて接合される場合は、それが引っかからずに通過することができる程度の間隙を有している必要がある。
【0022】
ウェブ10の接合部が、遮風部材30aの近傍に搬送されてきたときには、減圧チャンバ30の減圧度を低くすることが好ましい。前記のように、ウェブ10の接合部は、通常部よりも厚みがあり、しかも段差がある場合にはとくに、遮風部材30への引っ掛かりを発生しやすい。遮風部材30の設定位置が減圧前からウェブ10に接触、あるいは押しつけられた状態とされている場合には、減圧下における搬送中に、ウェブ10の切断故障を招くこともある。したがって、遮風部材30aに搬送されてくるウェブ10の厚み変化に応じて減圧度を適度に調整することにより、ウェブ10と遮風部材30aとの間隙、あるいは押しつけ圧をコントロールし、安定した塗布を連続して行うことができる。なお、接合部は、後に廃棄されるため、切断故障が生じずに安定走行される限りは、空気の同伴流による故障が発生しても問題なく、続けて塗布を実施することができる場合が多い。
【0023】
遮風部材30aは、表面をセラミックとしているものを用い、芯材としてはステンレス鋼、アルミニウム等を用いる。セラミック加工が好ましい部位としては、遮風部材30aの全表面でもよいし、減圧チャンバ30の内部の減圧操作により、ウェブ10が接触する可能性のある部位のみでもよい。あるいは遮風部材30aそのものをセラミック製にしてもよい。このように、表面材質をセラミックにすることで、長期間にわたるウェブ10との接触による摩耗を抑制することができる。好ましいセラミック材としては窒化ケイ素等を例示することができる。
【0024】
遮風部材30aの形状は、カーテン膜13bと反対側、つまり、部材上流側を曲面としている。これにより、上流側に垂直な角をもつ遮風部材を用いた場合に発生することがある、ウェブ10のひっかかりを防止することができ、また、直線的なテーパとした場合に比べて空気同伴現象を抑制することができる。曲面は、曲率半径1mm〜10mmとすることが好ましく、さらに好ましくは2mm〜5mmである。
【0025】
本発明のカーテン塗布方法及び装置において、ウェブ10としては公知の各種ウェブを用いることができる。一般的には紙、紙にポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレンブテン共重合体等の炭素数が2〜10のα−ポリオレフィン類を塗布またはラミネートした各種積層紙、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)、セルロースダイアセテート(DAC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)等の公知の各種プラスチックフィルム、アルミニウム、銅、スズ等の金属箔等、帯状基材の表面に予備的な加工層を形成させたもの、あるいはこれらを積層した各種複合材料が含まれる。
【0026】
本発明の塗布方法では、塗布液13aは、塗布時における粘度が10〜300mPa・s、表面張力は15〜50mN/mの範囲であることが好ましい。塗布液13aの溶媒としては、公知の各種溶媒、例えば水、各種ハロゲン化炭化水素、アルコール、エーテル、エステル、ケトンなどを単独あるいは複数混合して使用することができる。
【0027】
また、本発明は湿潤膜厚が200μm以下の薄膜塗布を行う場合であれば有効であるが、特に50μm以下の精密塗布を行う系に効果を発揮し、単層の1回塗布のみならず、多層同時塗布に対しても、同時に形成される層全体での湿潤膜厚が50μm以下の薄膜塗布の場合に有効である。
【0028】
【実施例】
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0029】
〔実施例1〕
ウェブ10として膜厚50μmの上質紙を用い、これにノーカーボン紙カプセル塗工液を塗布液13aとして、単層のカーテン塗布を行った。室温における塗布液13aの粘度は80mPa・sで、静的表面張力は35mN/mであった。塗布ダイ14は、カーテン膜13bの高さが150mmとなるように設置し、遮風部材30aの位置は、塗布開始線Pから上流12mmで、かつ、ウェブ10がバックアップロール12に支持されていない箇所であって、さらにウェブ10が接触するように、位置設定を行った。また、バックアップロール12としては半径150mmのもの、遮風部材には表面材質が窒化ケイ素のものを用いた。塗布量は15g/m2、塗布流量は2.5cm3/(cm・秒)、塗布速度は1000m/分とし、減圧度を300Paとした。本実施例の結果、塗布は非常に安定に連続して行われ、得られた塗膜13cの外観は非常に良好であった。
【0030】
〔実施例2〕
塗布速度を400m/分、塗布流量を1.0cm3/(cm・秒)とし、遮風部材30aの位置を、塗布開始線Pから上流80mmで、かつ、ウェブ10がバックアップロール12に支持されていない箇所としたほかは、実施例1と同様に実施した。本実施例の結果、塗布は非常に安定に連続して行われたが、塗膜13cには空気の同伴流による微少な未塗布部が発生することがあった。
【0031】
〔実施例3〕
減圧度を50Paとしたほかは、実施例1と同様に実施した。本実施例の結果、塗布は非常に安定に連続して行われ、塗膜13cの外観は良好であったが、空気の同伴流による微少な未塗布部が発生することがあった。
【0032】
〔実施例4〕
減圧処理を行わなかったほかは、実施例1と同様に実施した。本実施例の結果、塗布は非常に安定に連続して行われ、塗膜13cの外観は良好であったが、空気の同伴流による微少な未塗布部が発生することがあった。
【0033】
〔実施例5〕
塗布流量を1.0cm3/(cm・秒)、塗布速度を400m/分としたほかは実施例1と同様に実施した。本実施例の結果、塗布は非常に安定に連続して行われ、得られた塗膜13cの外観は非常に良好であった。
【0034】
〔実施例6〕
減圧度を50Paとしたほかは、実施例5と同様に実施した。本実施例の結果、塗布は非常に安定に連続して行われ、得られた塗膜13cの外観は非常に良好であった。
【0035】
〔実施例7〕
減圧処理を行わなかったほかは実施例5と同様に実施した。本実施例の結果、塗布は非常に安定に連続して行われ、得られた塗膜13cの外観は非常に良好であった。
【0036】
〔実施例8〕
減圧処理を行わず、ウェブ10と遮風部材30aの間隙を0.5mmとしたほかは実施例5と同様に実施した。本実施例の結果、塗布は非常に安定に連続して行われたが、塗膜13cには、空気の同伴流による弱い塗布ムラがみられた。
【0037】
〔実施例9〕
ウェブ10と遮風部材30aとの間隙を0.5mmに設定し、減圧せずに塗布した。このとき塗布量を20g/m2、塗布流量を1.3cm3/cm・秒としたほかは実施例5と同様に実施した。本実施例の結果、塗布は非常に安定に連続して行われ、得られた塗膜13cの外観は非常に良好であった。
【0038】
〔比較例1〕
遮風部材30aの位置を、塗布開始線Pから上流5mmで、かつ、ウェブ10がバックアップロール12に支持されていない箇所としたほかは、実施例1と同様に実施した。本実施例の結果、遮風部材30aがカーテン膜13bに干渉し、連続塗布をすることができなかった。
【0039】
〔比較例2〕
遮風部材30aの位置を、塗布開始線Pから上流150mmで、かつ、ウェブ10がバックアップロール12に支持されていない箇所としたほかは、実施例1と同様に実施した。得られた塗膜13cには未塗布箇所や塗布ムラが連続的に発生しており不良であった。
【0040】
〔比較例3〕
遮風部材が位置するウェブ10がバックアップロール12に支持されるように位置設定を行ったほかは実施例1と同様に実施した。ウェブ10が遮風部材30aにひっかかり、ウェブ10は接合部で破断した。
【0041】
〔比較例4〕
ウェブと遮風部材の間隙を3mmとし、減圧しなかったほかは実施例1と同様に実施した。本比較例の結果、空気同伴現象が生じてカーテン膜13bが揺らぐとともに、未塗布や塗布ムラが連続的に発生した。
【0042】
〔比較例5〕
ウェブ10を押しつけるように遮風部材30aを設置し、減圧しなかったほかは実施例1と同様に実施した。本比較例の結果、得られた塗膜13cの面状は良好であったが、ウェブ10は接合部で破断してしまった。
【0043】
〔比較例6〕
ウェブ10と遮風部材30aの間隙を3mmとし、減圧しなかったほかは実施例5と同様に実施した。本比較例の結果、空気同伴現象が生じて、塗布ムラが連続的にみられた。
【0044】
〔比較例7〕
塗布量を20g/m2、塗布流量を1.3cm3/(cm・秒)としたほかは比較例6と同様に実施した。本比較例の結果、連続的に塗布することはできたが、空気同伴現象が生じて、塗膜13cには塗布ムラが連続的にみられた。
【0045】
〔比較例8〕
ウェブ10に対して押しつけるように遮風部材30aを設置し、減圧は行わなかった。そのほかの条件は実施例5と同様に実施した。本比較例の結果、得られた塗膜13cの面状は良好であったが、ウェブ10は接合部で破断してしまった。
【0046】
【発明の効果】
以上のように、本発明のカーテン塗布方法及び装置により、空気同伴現象を抑制しながら塗布速度1000m/分の高速カーテン塗布を、安定に連続して行うことができ、その結果、良好な塗膜を得ることができることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施したカーテン塗布工程の断面図である。
【図2】本発明を実施したカーテン塗布工程の斜視図である。
【図3】本発明を実施した遮風部材近傍の断面図である。
【符号の説明】
10 ウェブ
12 バックアップロール
13a 塗布液
13b カーテン膜
13c 塗膜
14 塗布ダイ
30 減圧チャンバ
30a 遮風部材
30b 吸引口
P 塗布開始線
【発明の属する技術分野】
本発明は、連続走行する支持体(ウェブ)に各種液状組成物をカーテン塗布する方法及び装置に関するものであり、特に感圧記録紙、感熱記録紙、インクジェット用記録用紙、写真フィルム、写真用印画紙などに好適に用いられる連続的な塗布安定性を有するカーテン塗布方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
連続走行するウェブの上に塗布液を単層塗布あるいは多層同時塗布する方法のひとつとしてカーテン塗布方法がある。カーテン塗布方法は、塗布液をカーテン状に自由落下させ、走行するウェブの上に衝突させることで塗膜を形成する方法である。カーテン塗布は、ほかの塗布方法、例えばスライド塗布やスロット塗布等に比べ、空気同伴現象が起こりにくいことから、主に高速塗布に用いられる場合が多い。
【0003】
前記空気同伴現象とは、塗布点に至るウェブに近傍の空気が同伴されて、塗布液とウェブとの間に入りこむ現象であり、これはウェブと空気の固気界面からウェブと塗布液の固液界面への置換が完全には行われなかったことが原因である。近年では、カーテン塗布においてもさらなる高速化が要求され、この空気同伴現象が問題となることが多い。
【0004】
カーテン塗布における空気同伴現象は、塗布開始線においてウェブと液膜(塗膜)との間に空気が入り込んで未塗布部を生じさせたり、カーテン膜が振動して塗布ムラを生じさせたりする。そこで、最近は、減圧チャンバを用いることにより、カーテン膜の安定化を図るという対策が施されることが多くなってきており、例えば、特開2000−176345号公報では、減圧チャンバをバックアップロールと対向させて、塗布ダイと減圧チャンバの間の風速を1m/秒以下に抑えることが提案されている。
【0005】
上記の空気同伴現象を抑制するための方法として、そのほかに、特開平8−1061号公報、特開2000−167465号公報及び特開平11−197573号公報では、塗布点よりもウェブ進行方向の上流側に空気遮断手段を設け、その位置及び形状、あるいはそれに併設する別の空気遮断手段に関する提案がなされている。また、特開平10−277459号公報では、空気遮断手段をウェブに接触させ、かつ、その素材及び形状について、特開2001−7947号公報では、空気遮断手段を有するガスボックスを設け、その内部を大気圧よりも高くすることが提案されている。さらに、特開2000−176344号公報、特開平11−25386号公報及び特開平11−179259号公報、特開2001−300386号公報ではエアー遮断板及び吸引エアノズルを用いた方法を提案している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、バックアップロールと対向させて減圧チャンバを設ける方法では、近年のカーテン塗布における高速化、特に塗布速度500m/分以上の高速塗布に対しては、十分な対応策とはいえない。また、空気遮断手段の設置に関しては、ウェブと接触する位置に初期設定すると、高速塗布の際に、空気遮断手段がウェブにきずを付けてしまったり、ウェブの接合部において、引っ掛かりを生じてしまうことがあるという問題がある。また、空気遮断手段に加えて、ほかの部材を併設することは、装置が複雑になるために、塗布条件の設定やメンテナンス等にも影響を与えることになる。さらに、エアー遮断板の他に吸引エアノズルを設ける方法は、別個に吸引ノズルを設ける必要があり、構成が複雑になるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、塗布安定性に優れかつ良好な面状を有する塗膜を得るための、カーテン塗布方法及び装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のカーテン塗布方法は、バックアップ部材に支持されたウェブ上に塗布液を自由落下により衝突させて塗布し、塗布開始線から上流側の位置に前記ウェブに同伴する空気を遮断する遮風部材を設置するカーテン塗布方法において、前記遮風部材を、塗布開始線より上流側の10mm以上100mm以下の範囲であって、かつ、前記バックアップ部材にラップされていない位置に設置することを特徴として構成されている。
【0009】
前記バックアップ部材は、曲率半径が100mm以上のバックアップ部材であることが好ましく、前記遮風部材を有する減圧チャンバを前記塗布開始線の上流側に設け、前記減圧チャンバの内部を減圧し、その減圧度を50Pa以上500Pa以下とすることが好ましい。また、ウェブが接合部を有しているときは、その接合部が前記遮風部材を通過するとき、減圧度を低下させることが好ましい。遮風部材は、少なくともウェブに対向する表面をセラミックスとし、ウェブ走行方向における上流側の形状を曲面とすることがさらに好ましい。
【0010】
また、本発明のカーテン塗布装置は、バックアップ部材に支持されて連続走行するウェブ上に塗布液を落下させて塗布するカーテン塗布装置において、前記バックアップ部材に対してウェブ走行方向の上流側に設けたガイドロールと、前記バックアップ部材の上流側に設けた減圧チャンバと、この減圧チャンバから前記バックアップ部材の近くのウェブを覆うように設けられ、ウェブに同伴する空気流を遮断する遮風部材とを備え、前記バックアップ部材の前記ウェブが接触する部分の曲率半径を100mm以上に形成し、前記遮風部材を、塗布液のウェブ上の落下位置に対して、ウェブ走行方向の上流側へ10mm以上100mm以下の範囲に設けたことを特徴として構成されている。
【0011】
ウェブが接合部を有しているときは、その接合部が前記遮風部材を通過するとき、減圧度を低下させ、遮風部材の少なくともウェブに対向する表面をセラミックスとし、ウェブ走行方向における上流側の形状を曲面とすることがさらに好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明を詳細に説明する。図1は、本発明を実施したカーテン塗布工程の断面図である。ウェブ10はブレストロール(ガイドロール)11及びバックアップロール12に支持されながら塗布工程に搬送され、ウェブ10に塗布される塗布液13aは図示しない塗布液タンクから送液量可変の送液ポンプ(図示せず)により塗布ダイ14のマニフォールド15に供給される。マニフォールド15は、塗布ダイ14の幅方向にその断面形状をもって形成されている。塗布液13aの供給は、マニフォールド15の幅方向中央からなされてもよいし、マニフォールド15の片側面から供給されてもよい。
【0013】
自由落下により形成されるカーテン膜13bは、その両端を図示しないエッヂガイドによって保持されることが好ましく、カーテン膜13bの高さが30mm以上300mm以下となるように塗布ダイ14を設置する。カーテン膜13bは、走行するウェブ10の上に衝突して塗膜13cを形成するが、カーテン膜13bをさらに安定性よく形成保持するために、エッヂガイド(図示せず)にそって、低粘の潤滑液を施してもよい。潤滑液の供給は、例えば、エッヂガイドの上部で幅方向に供給するとよい。
【0014】
塗布は、異なるロールに巻かれたウェブ10のそれぞれ終端部と始端部を接合することにより、連続して実施することができる。接合方法としては、厚み変化を可能な限り小さくするために、ウェブ10の長さ方向の端部同士を突き合わせてその周辺部に薄い接合用テープを用いて行われることもあるが、紙への塗工の場合には両面テープを用いて、両端部を重ね合わせ、接合する方法が一般的である。
【0015】
図2は、本発明のカーテン塗布方法における塗布工程の斜視図である。ブレストロール11は、バックアップロール12の位置より低く位置されており、ブレストロール11のまわりには減圧チャンバ30が設けられている。ただし、ブレストロール11とバックアップロール12の相対位置はこれに限定されるものではない。減圧チャンバ30は遮風部材30aを有し、吸引口30bに連結された減圧装置(図示せず)によってその内部を減圧される。遮風部材30aは、ウェブ10の全幅域に渡っており、ウェブ10の走行に同伴する空気を遮断する。なお、塗布開始線Pはバックアップロール12にラップされている範囲内に位置するように設定する。
【0016】
バックアップロール12としては、ウェブ10をラップする外周の曲率半径が100mm以上のものを用いることが好ましい。半径が100mm未満の細いバックアップロールでは、ウェブ10に対するラップ長が短くなったり、または、塗布開始線Pのウェブ走行方向における位置がわずかにずれるだけでウェブ10とカーテン膜13bとのなす角の角度変化が大きく変化するので、塗布の安定領域が狭くなってしまうからである。また、その表面ができるだけ平滑であるものが望ましい。なお、バックアップロール12の代わりに、曲率半径が100mm以上の湾曲面を有するバックアップ部材を用いてもよい。
【0017】
減圧チャンバ30の遮風部材30aの位置は、塗布開始線Pから10mm以上100mm以下の範囲の上流側であり、かつ、ウェブ10がバックアップロール12にラップされていないところとするのが望ましい。遮風部材30aが塗布開始線Pから上流側10mm未満の位置であると、遮風部材30a自体がカーテン膜13bに干渉しやすくなる。また、100mmを越えた上流側位置にあると、空気同伴現象を生じやすくなったり、あるいは、ウェブ10のタルミや振動により遮風部材30aとウェブ10との間隙が変化し、そのため満足な遮風効果が得られなくなってしまうことが多い。塗布開始線Pからの距離は、上流側15mm以上60mm以下がさらに好ましく、20mm以上45mm以下がもっとも好ましい。
【0018】
また、遮風部材30aとウェブ10との間隙を狭くしすぎると、ひっかかりの原因となる。これは特に、ウェブ10の前記接合部で懸念されることである。ウェブ10の遮風部材30aへの引っ掛かりは、ウェブ10の変形や破断につながるために、遮蔽部材30aの設置位置については考慮が必要となる。
【0019】
遮風部材30aより、その上流側のブレストロール11にかけては減圧チャンバにより減圧状態とされている。図3は、本発明の実施形態である遮風部材30aの近傍の断面図である。(a)は減圧チャンバ30の内部を減圧しない場合のウェブ10の状態であり、ウェブ10はブレストロール11とバックアップロール12によるテンションで張られた状態になっている。一方、(b)は減圧した場合のウェブ10の状態を示しており、減圧チャンバ30の内部が外部より低圧であることからウェブ10が遮風部材30aに引き寄せられた形状となっている。ここでは、遮風部材30aの初期設置位置が、ウェブ10と接触しない場合のみを図示している。
【0020】
減圧度は、塗布速度が大きくなるほど高く設定する。塗布速度が概ね400m/分以下の比較的低速な塗布においては、減圧の必要性は少ないが、一般に高速塗布とみなされる塗布速度500m/分以上の場合は、減圧することが好ましいく、例えば500m/分以上1500m/分以下の塗布速度下で、50Pa以上500Pa以下が好適である。しかし、塗布速度に加え、塗布流量や塗膜13cの湿潤膜厚も考慮に入れる必要があり、上記範囲に限定されるものではない。この方法によって、空気の同伴流を抑制することができるとともに、ウェブ10を浮かせ、適度な減圧度を設定することで遮風部材30aとの間隙を狭く調整し、さらには接触を図ることができる。また、ウェブ10と遮風部材30aを当初より接触させている場合には、その接触圧を高めることにより遮風効果を向上させることができる。
【0021】
減圧度は、また、遮風部材30aとウェブ10との間隙の値、あるいは押しつけ圧に応じて調整しなければならない。上記間隙は、一般に狭いほど同伴する空気の遮断に対しては有効であるが、ウェブの厚みや、ウェブの接合部の状態によって適正に調整される必要がある。例えば、厚み200μmのウェブが重ね合わせて接合される場合は、それが引っかからずに通過することができる程度の間隙を有している必要がある。
【0022】
ウェブ10の接合部が、遮風部材30aの近傍に搬送されてきたときには、減圧チャンバ30の減圧度を低くすることが好ましい。前記のように、ウェブ10の接合部は、通常部よりも厚みがあり、しかも段差がある場合にはとくに、遮風部材30への引っ掛かりを発生しやすい。遮風部材30の設定位置が減圧前からウェブ10に接触、あるいは押しつけられた状態とされている場合には、減圧下における搬送中に、ウェブ10の切断故障を招くこともある。したがって、遮風部材30aに搬送されてくるウェブ10の厚み変化に応じて減圧度を適度に調整することにより、ウェブ10と遮風部材30aとの間隙、あるいは押しつけ圧をコントロールし、安定した塗布を連続して行うことができる。なお、接合部は、後に廃棄されるため、切断故障が生じずに安定走行される限りは、空気の同伴流による故障が発生しても問題なく、続けて塗布を実施することができる場合が多い。
【0023】
遮風部材30aは、表面をセラミックとしているものを用い、芯材としてはステンレス鋼、アルミニウム等を用いる。セラミック加工が好ましい部位としては、遮風部材30aの全表面でもよいし、減圧チャンバ30の内部の減圧操作により、ウェブ10が接触する可能性のある部位のみでもよい。あるいは遮風部材30aそのものをセラミック製にしてもよい。このように、表面材質をセラミックにすることで、長期間にわたるウェブ10との接触による摩耗を抑制することができる。好ましいセラミック材としては窒化ケイ素等を例示することができる。
【0024】
遮風部材30aの形状は、カーテン膜13bと反対側、つまり、部材上流側を曲面としている。これにより、上流側に垂直な角をもつ遮風部材を用いた場合に発生することがある、ウェブ10のひっかかりを防止することができ、また、直線的なテーパとした場合に比べて空気同伴現象を抑制することができる。曲面は、曲率半径1mm〜10mmとすることが好ましく、さらに好ましくは2mm〜5mmである。
【0025】
本発明のカーテン塗布方法及び装置において、ウェブ10としては公知の各種ウェブを用いることができる。一般的には紙、紙にポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレンブテン共重合体等の炭素数が2〜10のα−ポリオレフィン類を塗布またはラミネートした各種積層紙、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)、セルロースダイアセテート(DAC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)等の公知の各種プラスチックフィルム、アルミニウム、銅、スズ等の金属箔等、帯状基材の表面に予備的な加工層を形成させたもの、あるいはこれらを積層した各種複合材料が含まれる。
【0026】
本発明の塗布方法では、塗布液13aは、塗布時における粘度が10〜300mPa・s、表面張力は15〜50mN/mの範囲であることが好ましい。塗布液13aの溶媒としては、公知の各種溶媒、例えば水、各種ハロゲン化炭化水素、アルコール、エーテル、エステル、ケトンなどを単独あるいは複数混合して使用することができる。
【0027】
また、本発明は湿潤膜厚が200μm以下の薄膜塗布を行う場合であれば有効であるが、特に50μm以下の精密塗布を行う系に効果を発揮し、単層の1回塗布のみならず、多層同時塗布に対しても、同時に形成される層全体での湿潤膜厚が50μm以下の薄膜塗布の場合に有効である。
【0028】
【実施例】
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0029】
〔実施例1〕
ウェブ10として膜厚50μmの上質紙を用い、これにノーカーボン紙カプセル塗工液を塗布液13aとして、単層のカーテン塗布を行った。室温における塗布液13aの粘度は80mPa・sで、静的表面張力は35mN/mであった。塗布ダイ14は、カーテン膜13bの高さが150mmとなるように設置し、遮風部材30aの位置は、塗布開始線Pから上流12mmで、かつ、ウェブ10がバックアップロール12に支持されていない箇所であって、さらにウェブ10が接触するように、位置設定を行った。また、バックアップロール12としては半径150mmのもの、遮風部材には表面材質が窒化ケイ素のものを用いた。塗布量は15g/m2、塗布流量は2.5cm3/(cm・秒)、塗布速度は1000m/分とし、減圧度を300Paとした。本実施例の結果、塗布は非常に安定に連続して行われ、得られた塗膜13cの外観は非常に良好であった。
【0030】
〔実施例2〕
塗布速度を400m/分、塗布流量を1.0cm3/(cm・秒)とし、遮風部材30aの位置を、塗布開始線Pから上流80mmで、かつ、ウェブ10がバックアップロール12に支持されていない箇所としたほかは、実施例1と同様に実施した。本実施例の結果、塗布は非常に安定に連続して行われたが、塗膜13cには空気の同伴流による微少な未塗布部が発生することがあった。
【0031】
〔実施例3〕
減圧度を50Paとしたほかは、実施例1と同様に実施した。本実施例の結果、塗布は非常に安定に連続して行われ、塗膜13cの外観は良好であったが、空気の同伴流による微少な未塗布部が発生することがあった。
【0032】
〔実施例4〕
減圧処理を行わなかったほかは、実施例1と同様に実施した。本実施例の結果、塗布は非常に安定に連続して行われ、塗膜13cの外観は良好であったが、空気の同伴流による微少な未塗布部が発生することがあった。
【0033】
〔実施例5〕
塗布流量を1.0cm3/(cm・秒)、塗布速度を400m/分としたほかは実施例1と同様に実施した。本実施例の結果、塗布は非常に安定に連続して行われ、得られた塗膜13cの外観は非常に良好であった。
【0034】
〔実施例6〕
減圧度を50Paとしたほかは、実施例5と同様に実施した。本実施例の結果、塗布は非常に安定に連続して行われ、得られた塗膜13cの外観は非常に良好であった。
【0035】
〔実施例7〕
減圧処理を行わなかったほかは実施例5と同様に実施した。本実施例の結果、塗布は非常に安定に連続して行われ、得られた塗膜13cの外観は非常に良好であった。
【0036】
〔実施例8〕
減圧処理を行わず、ウェブ10と遮風部材30aの間隙を0.5mmとしたほかは実施例5と同様に実施した。本実施例の結果、塗布は非常に安定に連続して行われたが、塗膜13cには、空気の同伴流による弱い塗布ムラがみられた。
【0037】
〔実施例9〕
ウェブ10と遮風部材30aとの間隙を0.5mmに設定し、減圧せずに塗布した。このとき塗布量を20g/m2、塗布流量を1.3cm3/cm・秒としたほかは実施例5と同様に実施した。本実施例の結果、塗布は非常に安定に連続して行われ、得られた塗膜13cの外観は非常に良好であった。
【0038】
〔比較例1〕
遮風部材30aの位置を、塗布開始線Pから上流5mmで、かつ、ウェブ10がバックアップロール12に支持されていない箇所としたほかは、実施例1と同様に実施した。本実施例の結果、遮風部材30aがカーテン膜13bに干渉し、連続塗布をすることができなかった。
【0039】
〔比較例2〕
遮風部材30aの位置を、塗布開始線Pから上流150mmで、かつ、ウェブ10がバックアップロール12に支持されていない箇所としたほかは、実施例1と同様に実施した。得られた塗膜13cには未塗布箇所や塗布ムラが連続的に発生しており不良であった。
【0040】
〔比較例3〕
遮風部材が位置するウェブ10がバックアップロール12に支持されるように位置設定を行ったほかは実施例1と同様に実施した。ウェブ10が遮風部材30aにひっかかり、ウェブ10は接合部で破断した。
【0041】
〔比較例4〕
ウェブと遮風部材の間隙を3mmとし、減圧しなかったほかは実施例1と同様に実施した。本比較例の結果、空気同伴現象が生じてカーテン膜13bが揺らぐとともに、未塗布や塗布ムラが連続的に発生した。
【0042】
〔比較例5〕
ウェブ10を押しつけるように遮風部材30aを設置し、減圧しなかったほかは実施例1と同様に実施した。本比較例の結果、得られた塗膜13cの面状は良好であったが、ウェブ10は接合部で破断してしまった。
【0043】
〔比較例6〕
ウェブ10と遮風部材30aの間隙を3mmとし、減圧しなかったほかは実施例5と同様に実施した。本比較例の結果、空気同伴現象が生じて、塗布ムラが連続的にみられた。
【0044】
〔比較例7〕
塗布量を20g/m2、塗布流量を1.3cm3/(cm・秒)としたほかは比較例6と同様に実施した。本比較例の結果、連続的に塗布することはできたが、空気同伴現象が生じて、塗膜13cには塗布ムラが連続的にみられた。
【0045】
〔比較例8〕
ウェブ10に対して押しつけるように遮風部材30aを設置し、減圧は行わなかった。そのほかの条件は実施例5と同様に実施した。本比較例の結果、得られた塗膜13cの面状は良好であったが、ウェブ10は接合部で破断してしまった。
【0046】
【発明の効果】
以上のように、本発明のカーテン塗布方法及び装置により、空気同伴現象を抑制しながら塗布速度1000m/分の高速カーテン塗布を、安定に連続して行うことができ、その結果、良好な塗膜を得ることができることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施したカーテン塗布工程の断面図である。
【図2】本発明を実施したカーテン塗布工程の斜視図である。
【図3】本発明を実施した遮風部材近傍の断面図である。
【符号の説明】
10 ウェブ
12 バックアップロール
13a 塗布液
13b カーテン膜
13c 塗膜
14 塗布ダイ
30 減圧チャンバ
30a 遮風部材
30b 吸引口
P 塗布開始線
Claims (8)
- バックアップ部材に支持されたウェブ上に塗布液を自由落下により衝突させて塗布し、塗布開始線から上流側の位置に前記ウェブに同伴する空気を遮断する遮風部材を設置するカーテン塗布方法において、
前記遮風部材を、前記塗布開始線より上流側の10mm以上100mm以下の範囲であって、かつ、前記バックアップ部材にラップされていない位置に設置することを特徴とするカーテン塗布方法。 - 前記バックアップ部材は、曲率半径が100mm以上のバックアップ部材であることを特徴とする請求項1記載のカーテン塗布方法。
- 前記遮風部材を有する減圧チャンバを前記塗布開始線の上流側に設け、前記減圧チャンバの内部を減圧することを特徴とする請求項1または2記載のカーテン塗布方法。
- 前記減圧チャンバの内部の減圧度を50Pa以上500Pa以下とすることを特徴とする請求項3記載のカーテン塗布方法。
- 前記ウェブの接合部が前記遮風部材を通過するとき、前記減圧度を低下させることを特徴とする請求項3ないし4いずれかひとつ記載のカーテン塗布方法。
- 前記遮風部材の少なくともウェブに対向する表面をセラミックスとすることを特徴とする請求項1ないし5いずれかひとつ記載の塗布方法。
- 前記遮風部材のウェブ走行方向における上流側の形状を曲面とすることを特徴とする請求項1ないし6いずれかひとつ記載の塗布方法。
- バックアップ部材に支持されて連続走行するウェブ上に塗布液を落下させて塗布するカーテン塗布装置において、
前記バックアップ部材に対してウェブ走行方向の上流側に設けたガイドロールと、
前記バックアップ部材の上流側に設けた減圧チャンバと、
この減圧チャンバから前記バックアップ部材の近くのウェブを覆うように設けられ、ウェブに同伴する空気流を遮断する遮風部材とを備え、
前記バックアップ部材の前記ウェブが接触する部分の曲率半径を100mm以上に形成し、
前記遮風部材を、塗布液のウェブ上の落下位置に対して、ウェブ走行方向の上流側へ10mm以上100mm以下の範囲に設けたことを特徴とするカーテン塗布装置。
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Publication Number | Publication Date |
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JP (1) | JP2004008986A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006015340A (ja) * | 2004-07-02 | 2006-01-19 | Metso Paper Inc | カーテンコーター |
WO2006079679A1 (en) * | 2005-01-27 | 2006-08-03 | Metso Paper, Inc. | Supporting arrangement in the curtain coating of a paper/board web |
JP2007245021A (ja) * | 2006-03-16 | 2007-09-27 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | 非接触塗工装置及びそれを備えた製紙機械 |
-
2002
- 2002-06-10 JP JP2002168360A patent/JP2004008986A/ja active Pending
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WO2006079679A1 (en) * | 2005-01-27 | 2006-08-03 | Metso Paper, Inc. | Supporting arrangement in the curtain coating of a paper/board web |
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