JP2004008984A - 水上汚水処理システムと処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】水上において大量に汚水処理可能な汚水処理システムと処理方法を提供する。
【解決手段】受入貯槽1と、この受入貯槽1から送給されるし尿を生物処理する生物処理槽2と、この生物処理した処理物を固液分離する固液分離装置3と、この固液分離装置3から排出された液状物を無害化あるいは低害化する物理処理装置6とを有する。固液分離装置3が、加圧型管状膜を有する固液分離装置である水上汚水処理システムと処理方法。
【選択図】 図1
【解決手段】受入貯槽1と、この受入貯槽1から送給されるし尿を生物処理する生物処理槽2と、この生物処理した処理物を固液分離する固液分離装置3と、この固液分離装置3から排出された液状物を無害化あるいは低害化する物理処理装置6とを有する。固液分離装置3が、加圧型管状膜を有する固液分離装置である水上汚水処理システムと処理方法。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は水上汚水処理システムと処理方法に関し、詳しくは、海上などにおいて大量のし尿や浄化槽汚泥などの汚水を処理可能な水上汚水処理システムと処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
バキューム車などによって収集されたし尿や浄化槽汚泥などの汚水は、通常、陸上に建設されたし尿処理施設や汚泥再生処理センターなどで処理されるか、海洋投棄船により外洋まで運ばれて海洋で投棄処分されている。
【0003】
しかしながら、環境に対する感心の高まりから、単なる投棄処分は排除される傾向にあり、国際的にも、し尿の海洋投棄は全面禁止される運びとなることが決定されている。そのため、し尿の処理は全て陸上施設により行わなければならないが、処理施設の新たな建設は、地域住民の反対などにより、困難な状況にある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、海洋へのし尿の投棄を、海上で浄化処理した後に放流することが考えられるが、海上での処理は、陸上での処理と異なり、常に、あるいは不規則に上下あるいは横方向の揺れ(ローリング、ピッチング等)のある密閉船室で処理する必要があり、水位変動が激しく、固液分離が困難であるなど、解決すべき課題が多く、実用的に処理システムは未だに実現されていない。
【0005】
かかる状況に鑑みて、本発明者らは鋭意研究した結果、特定の膜技術を採用することにより、海上で処理できることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
そこで、本発明の目的は、水上において大量にし尿などの汚水を処理可能な水上汚水処理システムと処理方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的は各請求項記載の発明により達成される。すなわち、本発明に係る水上汚水処理システムの特徴構成は、受入貯槽と、この受入貯槽から送給される汚水を生物処理する生物処理手段と、この生物処理した処理物を固液分離する固液分離手段と、この固液分離手段から排出された液状物を無害化あるいは低害化する物理処理装置とを有していて、前記固液分離手段が、加圧型管状膜、加圧型平膜、吸引型平膜のいずれかを有する固液分離装置であることにある。
【0008】
この構成によれば、固液分離手段が加圧型管状膜、加圧型管状膜、加圧型平膜、吸引型平膜のいずれかを有するため、水上での大小の揺れに対しても、固液分離機能が阻害されることなく、効果的に固液分離処理可能となる。つまり、生物処理された処理物を圧送して強制的に管状膜内もしくは平膜内を通過させるので、外的変動に影響されることなく、確実に固液分離処理が可能となるのである。従って、海上など水上であっても、陸上での処理と略同様な処理が可能になり、水上での汚水処理の有利な点を発揮し得る。しかも、最終的に浄化して放水できるので、海洋生物などに対する生態系に悪影響を与えない。その結果、本発明によれば、水上において大量に、かつ確実に汚水処理可能な水上汚水処理システムを提供することができた。
【0009】
加圧型管状膜または平膜を有する固液分離装置の分離性能として、孔径:0.001〜0.1μm程度の限外ろ過膜あるいは、孔径:0.1〜1.0μm程度精密ろ過膜を使用することが好ましい。特に、限外ろ過膜を使用すると細菌のみならず、ウイルスも分離除去できてより好ましい。
【0010】
限外ろ過膜の材質としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリイミド樹脂などを挙げることができ、更にはセラミック製のものであってもよい。特に有機物の汚染に対する耐久性が強く、洗浄回復性が高いポリオレフィン系樹脂を用いることがより好ましい。又、精密ろ過膜の材質としては、ポリオレフィン系樹脂、親水性四フッ化エチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスルホン系樹脂などを挙げることができ、更にはセラミック製のものであってもよい。
【0011】
前記固液分離手段から排出された液状物を凝集処理する凝集処理手段を有すると共に、この凝集処理手段により処理された処理物を固液分離する膜分離装置を有することが好ましい。
【0012】
収集される汚水として、浄化槽汚泥に比べて、バキューム車などによって収集されたし尿成分の多い場合などに処理効率が高くなる。
【0013】
凝集処理手段としては、槽内に薬剤を添加して清水中の汚染物を凝集・除去する処理設備などを挙げることができる。
【0014】
膜分離装置としては、凝集処理手段により凝集された凝集物を分離・除去するものであればよく、例えば、ポリスルホン系樹脂からなる分画分子量100,000程度の限外ろ過膜を有する装置などが好ましい。
【0015】
前記受入貯槽に貯槽した汚水を生物処理手段に送給する前に、凝集処理する凝集処理手段と、この凝集処理手段により処理された処理物を固液分離処理する第2の固液分離手段を有することが好ましい。
【0016】
汚水として、バキューム車などによって収集されたし尿成分の多い場合に比べて、浄化槽汚泥が比較的多いし尿などに対して処理効率が高くなる。
【0017】
第2の固液分離手段としては、沈降分離槽あるいは遠心分離機などを使用できる。
【0018】
又、本発明に係る水上汚水処理方法の特徴構成は、汚水を受入貯槽に受入れて貯槽し、前記受入貯槽から生物処理手段に汚水を送給して汚水を生物処理し、この生物処理した処理物を固液分離処理し、この固液分離処理され排出された液状物を無害化あるいは低害化する方法であって、前記固液分離処理を、加圧型管状膜、加圧型平膜、吸引型平膜のいずれかを有する固液分離装置により行うことにある。
【0019】
この構成によれぱ、水位変動が激しく、固液分離が困難な水上においても、大量にかつ確実に汚水処理可能な水上汚水処理方法を提供することができる。
【0020】
前記固液分離手段から排出された液状物を凝集処理すると共に、次いでこの処理物を固液分離することが好ましい。
【0021】
この構成によれば、汚水が、バキューム車などによって収集されたし尿成分の多い場合に、高い処理効率で処理できる。
【0022】
前記受入貯槽から生物処理手段に送給して生物処理する前に予め凝集処理し、この凝集処理された処理物を固液分離処理することが好ましい。
【0023】
この構成によれば、収集される汚水として、浄化槽汚泥が比較的多いし尿に対して、高い処理効率で処理できる。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る水上汚水処理システムのフローチャートを示す。この処理システムは船上に設けられており、処理すべき汚水としてバキューム車などによって収集された、比較的し尿成分の多い場合に適用されることが好ましい。
【0025】
運び込まれたし尿は、一旦、受入貯槽1に貯槽され、順次所定量だけ生物処理されるべく、生物処理手段である生物処理槽2に送給される。生物処理槽2では、曝気処理可能な機能を備えた硝化脱窒素槽や再曝気槽などを有していて、微生物により有機物や窒素化合物を分解処理する。すなわち、生物処理槽2での硝化菌により、し尿中のアンモニア性窒素は亜硝酸性窒素に酸化分解され、脱窒素菌がBODを栄養源として亜硝酸性窒素を窒素に分解する。もとより、菌体濃度を所定範囲に制御するための制御手段は、通常の生物処理設備に用いられるものと同様なものを使用できる。
【0026】
生物処理槽2で処理されたし尿(処理物)は、菌体と水分とを分離すべく、固液分離手段である加圧型管状膜を内部に収納した固液分離装置3に送給される。この固液分離装置3は、一例として、チューブ状をしたポリオレフィン系樹脂からなる限界ろ過膜(分画分子量約20,000)の複数本を、筒状ハウジング内部に稠密に配置していると共に、ハウジングの外側に膜を透過した透過水を排出する排出口を設けて構成されている。そして、生物処理槽2で処理された処理物は、固液分離装置3に対して数100kPa程度の入口圧力により圧送され、菌体は限界ろ過膜で阻止され、菌体以外の液状分が限界ろ過膜を透過して排出され、菌体を除去された清水として排出口より排出される。もっとも、ハウジング形状は筒状に限定されるものではなく、ハウジング内に収容されるチューブ状限界ろ過膜の本数、配置方式、サイズ等は特に限定されるものではない。これらは処理能力に応じて、適宜変更可能である。
【0027】
排出された清水は、無機凝集剤やアルカリ成分などが添加されて処理される凝集処理手段である凝集処理槽4に送給されて、残存する有機物、リン、色度成分、COD除去などが行われる。
【0028】
更に、処理水は膜分離装置5に送給されて、凝集物と清水とに分離される。この膜分離装置5は、固液分離装置3で用いられたような微細孔を備えた膜を用いる必要はなく、ポリスルホン樹脂からなる分画分子量100,000程度の限外ろ過膜を使用することが好ましい。
【0029】
更に、清水は物理処理装置6に送給されて無害化、あるいは低害化されて海に放流される。この物理処理装置6は、具体的には、活性炭吸着装置、消毒設備などを適宜有しており、清水中の残存有害物を活性炭に吸着して除去すると共に、最終的に消毒装置で清水を消毒して無害化、あるいは低害化する。これらの設備は、いずれも陸上の処理設備で採用されているものを利用できる。清水は放流されるだけでなく、本実施形態のシステムを備えた船内の作業員、船員の作業あるいは日常生活に使用してもよい。
【0030】
更に、脱臭設備を設けていてもよく、そのような脱臭設備としては、陸上施設で使用されている薬剤洗浄や活性炭吸着方式など各種脱臭設備を採用することができる。更に、汚泥脱水装置などを備えた汚泥処理設備を設けていてもよい。
【0031】
次に、具体的に上記システムを運用する方法を説明する。すなわち、上記処理設備を備えた船(以下、「プラント船」と称する)を沖合あるいは外洋に停泊させると共に、これとは別に運搬船を港に停泊させておき、陸上の各地から集合してきたバキューム車などから、し尿を運搬船に移送する。し尿を積載した運搬船は、プラント船に向けてし尿を搬送し、プラント船に接近してし尿を移送する。プラント船ては、し尿を上記した方式により処理して無害化あるいは低害化した清水を海水中に放流すると共に、残渣を別の支援船に移送し、支援船により再び、陸上に搬送され、陸上施設により処理される。支援船は、プラント船での処理に必要な薬剤その他、プラント船の作業員、船員に必要な資材の搬送、作業員、船員の移動などを行うと共に、プラント船から排出される、清水以外の残渣物、脱水汚泥などを陸上に搬送する役割を有し、更には、プラント船の停泊場所を移動させる役割を有していてもよい。もっとも、運搬船に支援船の機能を兼ねさせることもでき、その場合は、当然のことながら運搬船と支援船のいずれかは不要となる。
【0032】
〔別実施の形態〕
(1)上記実施形態では、比較的し尿成分の多いし尿処理に適した例を示したが、浄化槽汚泥が比較的多いし尿に対しては、図2に示す方式を実施することが好ましい。すなわち、図2に示すし尿処理システムは、図1に記したシステムと異なり、受入貯槽1に貯槽したし尿を生物処理槽2に送給して処理する前に、凝集処理する凝集処理手段である凝集処理槽4と、この凝集処理槽4により処理された処理物を固液分離処理する第2の固液分離手段7とを有する。凝集処理槽4は、図1に使用したものと同様のものを使用してよく、ここで凝集した凝集物と液状物とを第2の固液分離手段7において、分離する。この第2の固液分離手段7としては、沈降分離槽あるいは遠心分離機などを使用できる。第2の固液分離手段7により、夾雑物や凝集物を除去されたし尿が生物処理槽2処理されることになり、その後は、図1に示したと同様に処理される。
【0033】
図1に示したシステムと図2に示したシステムとを、1のプラント船に設けてもよいし、搬入されるし尿の性状により、処理経路を切り換えて処理するようにしてもよい。その場合の切り換える目安として、バキューム車による収集し尿と浄化槽汚泥との割合が約50%越えるかどうかで判断すればよい。
【0034】
(2)上記実施形態では、固液分離装置3として、チューブ状をした加圧型管状膜を備えた装置を例に挙げて説明したが、この加圧型管状膜に代えて、加圧型平膜、吸引型平膜を用いてもよい。
【0035】
(3)本発明は、海上での処理システムに限られず、湖沼などにおいても同様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る水上汚水処理システムのフローチャート
【図2】別実施形態に係る水上汚水処理システムのフローチャート
【符号の説明】
1 受入貯槽
2 生物処理手段
3 固液分離手段
4 凝集処理手段
5 膜分離手段
6 物理処理手段
7 第2の固液分離手段
【発明の属する技術分野】
本発明は水上汚水処理システムと処理方法に関し、詳しくは、海上などにおいて大量のし尿や浄化槽汚泥などの汚水を処理可能な水上汚水処理システムと処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
バキューム車などによって収集されたし尿や浄化槽汚泥などの汚水は、通常、陸上に建設されたし尿処理施設や汚泥再生処理センターなどで処理されるか、海洋投棄船により外洋まで運ばれて海洋で投棄処分されている。
【0003】
しかしながら、環境に対する感心の高まりから、単なる投棄処分は排除される傾向にあり、国際的にも、し尿の海洋投棄は全面禁止される運びとなることが決定されている。そのため、し尿の処理は全て陸上施設により行わなければならないが、処理施設の新たな建設は、地域住民の反対などにより、困難な状況にある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、海洋へのし尿の投棄を、海上で浄化処理した後に放流することが考えられるが、海上での処理は、陸上での処理と異なり、常に、あるいは不規則に上下あるいは横方向の揺れ(ローリング、ピッチング等)のある密閉船室で処理する必要があり、水位変動が激しく、固液分離が困難であるなど、解決すべき課題が多く、実用的に処理システムは未だに実現されていない。
【0005】
かかる状況に鑑みて、本発明者らは鋭意研究した結果、特定の膜技術を採用することにより、海上で処理できることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
そこで、本発明の目的は、水上において大量にし尿などの汚水を処理可能な水上汚水処理システムと処理方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的は各請求項記載の発明により達成される。すなわち、本発明に係る水上汚水処理システムの特徴構成は、受入貯槽と、この受入貯槽から送給される汚水を生物処理する生物処理手段と、この生物処理した処理物を固液分離する固液分離手段と、この固液分離手段から排出された液状物を無害化あるいは低害化する物理処理装置とを有していて、前記固液分離手段が、加圧型管状膜、加圧型平膜、吸引型平膜のいずれかを有する固液分離装置であることにある。
【0008】
この構成によれば、固液分離手段が加圧型管状膜、加圧型管状膜、加圧型平膜、吸引型平膜のいずれかを有するため、水上での大小の揺れに対しても、固液分離機能が阻害されることなく、効果的に固液分離処理可能となる。つまり、生物処理された処理物を圧送して強制的に管状膜内もしくは平膜内を通過させるので、外的変動に影響されることなく、確実に固液分離処理が可能となるのである。従って、海上など水上であっても、陸上での処理と略同様な処理が可能になり、水上での汚水処理の有利な点を発揮し得る。しかも、最終的に浄化して放水できるので、海洋生物などに対する生態系に悪影響を与えない。その結果、本発明によれば、水上において大量に、かつ確実に汚水処理可能な水上汚水処理システムを提供することができた。
【0009】
加圧型管状膜または平膜を有する固液分離装置の分離性能として、孔径:0.001〜0.1μm程度の限外ろ過膜あるいは、孔径:0.1〜1.0μm程度精密ろ過膜を使用することが好ましい。特に、限外ろ過膜を使用すると細菌のみならず、ウイルスも分離除去できてより好ましい。
【0010】
限外ろ過膜の材質としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリイミド樹脂などを挙げることができ、更にはセラミック製のものであってもよい。特に有機物の汚染に対する耐久性が強く、洗浄回復性が高いポリオレフィン系樹脂を用いることがより好ましい。又、精密ろ過膜の材質としては、ポリオレフィン系樹脂、親水性四フッ化エチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスルホン系樹脂などを挙げることができ、更にはセラミック製のものであってもよい。
【0011】
前記固液分離手段から排出された液状物を凝集処理する凝集処理手段を有すると共に、この凝集処理手段により処理された処理物を固液分離する膜分離装置を有することが好ましい。
【0012】
収集される汚水として、浄化槽汚泥に比べて、バキューム車などによって収集されたし尿成分の多い場合などに処理効率が高くなる。
【0013】
凝集処理手段としては、槽内に薬剤を添加して清水中の汚染物を凝集・除去する処理設備などを挙げることができる。
【0014】
膜分離装置としては、凝集処理手段により凝集された凝集物を分離・除去するものであればよく、例えば、ポリスルホン系樹脂からなる分画分子量100,000程度の限外ろ過膜を有する装置などが好ましい。
【0015】
前記受入貯槽に貯槽した汚水を生物処理手段に送給する前に、凝集処理する凝集処理手段と、この凝集処理手段により処理された処理物を固液分離処理する第2の固液分離手段を有することが好ましい。
【0016】
汚水として、バキューム車などによって収集されたし尿成分の多い場合に比べて、浄化槽汚泥が比較的多いし尿などに対して処理効率が高くなる。
【0017】
第2の固液分離手段としては、沈降分離槽あるいは遠心分離機などを使用できる。
【0018】
又、本発明に係る水上汚水処理方法の特徴構成は、汚水を受入貯槽に受入れて貯槽し、前記受入貯槽から生物処理手段に汚水を送給して汚水を生物処理し、この生物処理した処理物を固液分離処理し、この固液分離処理され排出された液状物を無害化あるいは低害化する方法であって、前記固液分離処理を、加圧型管状膜、加圧型平膜、吸引型平膜のいずれかを有する固液分離装置により行うことにある。
【0019】
この構成によれぱ、水位変動が激しく、固液分離が困難な水上においても、大量にかつ確実に汚水処理可能な水上汚水処理方法を提供することができる。
【0020】
前記固液分離手段から排出された液状物を凝集処理すると共に、次いでこの処理物を固液分離することが好ましい。
【0021】
この構成によれば、汚水が、バキューム車などによって収集されたし尿成分の多い場合に、高い処理効率で処理できる。
【0022】
前記受入貯槽から生物処理手段に送給して生物処理する前に予め凝集処理し、この凝集処理された処理物を固液分離処理することが好ましい。
【0023】
この構成によれば、収集される汚水として、浄化槽汚泥が比較的多いし尿に対して、高い処理効率で処理できる。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る水上汚水処理システムのフローチャートを示す。この処理システムは船上に設けられており、処理すべき汚水としてバキューム車などによって収集された、比較的し尿成分の多い場合に適用されることが好ましい。
【0025】
運び込まれたし尿は、一旦、受入貯槽1に貯槽され、順次所定量だけ生物処理されるべく、生物処理手段である生物処理槽2に送給される。生物処理槽2では、曝気処理可能な機能を備えた硝化脱窒素槽や再曝気槽などを有していて、微生物により有機物や窒素化合物を分解処理する。すなわち、生物処理槽2での硝化菌により、し尿中のアンモニア性窒素は亜硝酸性窒素に酸化分解され、脱窒素菌がBODを栄養源として亜硝酸性窒素を窒素に分解する。もとより、菌体濃度を所定範囲に制御するための制御手段は、通常の生物処理設備に用いられるものと同様なものを使用できる。
【0026】
生物処理槽2で処理されたし尿(処理物)は、菌体と水分とを分離すべく、固液分離手段である加圧型管状膜を内部に収納した固液分離装置3に送給される。この固液分離装置3は、一例として、チューブ状をしたポリオレフィン系樹脂からなる限界ろ過膜(分画分子量約20,000)の複数本を、筒状ハウジング内部に稠密に配置していると共に、ハウジングの外側に膜を透過した透過水を排出する排出口を設けて構成されている。そして、生物処理槽2で処理された処理物は、固液分離装置3に対して数100kPa程度の入口圧力により圧送され、菌体は限界ろ過膜で阻止され、菌体以外の液状分が限界ろ過膜を透過して排出され、菌体を除去された清水として排出口より排出される。もっとも、ハウジング形状は筒状に限定されるものではなく、ハウジング内に収容されるチューブ状限界ろ過膜の本数、配置方式、サイズ等は特に限定されるものではない。これらは処理能力に応じて、適宜変更可能である。
【0027】
排出された清水は、無機凝集剤やアルカリ成分などが添加されて処理される凝集処理手段である凝集処理槽4に送給されて、残存する有機物、リン、色度成分、COD除去などが行われる。
【0028】
更に、処理水は膜分離装置5に送給されて、凝集物と清水とに分離される。この膜分離装置5は、固液分離装置3で用いられたような微細孔を備えた膜を用いる必要はなく、ポリスルホン樹脂からなる分画分子量100,000程度の限外ろ過膜を使用することが好ましい。
【0029】
更に、清水は物理処理装置6に送給されて無害化、あるいは低害化されて海に放流される。この物理処理装置6は、具体的には、活性炭吸着装置、消毒設備などを適宜有しており、清水中の残存有害物を活性炭に吸着して除去すると共に、最終的に消毒装置で清水を消毒して無害化、あるいは低害化する。これらの設備は、いずれも陸上の処理設備で採用されているものを利用できる。清水は放流されるだけでなく、本実施形態のシステムを備えた船内の作業員、船員の作業あるいは日常生活に使用してもよい。
【0030】
更に、脱臭設備を設けていてもよく、そのような脱臭設備としては、陸上施設で使用されている薬剤洗浄や活性炭吸着方式など各種脱臭設備を採用することができる。更に、汚泥脱水装置などを備えた汚泥処理設備を設けていてもよい。
【0031】
次に、具体的に上記システムを運用する方法を説明する。すなわち、上記処理設備を備えた船(以下、「プラント船」と称する)を沖合あるいは外洋に停泊させると共に、これとは別に運搬船を港に停泊させておき、陸上の各地から集合してきたバキューム車などから、し尿を運搬船に移送する。し尿を積載した運搬船は、プラント船に向けてし尿を搬送し、プラント船に接近してし尿を移送する。プラント船ては、し尿を上記した方式により処理して無害化あるいは低害化した清水を海水中に放流すると共に、残渣を別の支援船に移送し、支援船により再び、陸上に搬送され、陸上施設により処理される。支援船は、プラント船での処理に必要な薬剤その他、プラント船の作業員、船員に必要な資材の搬送、作業員、船員の移動などを行うと共に、プラント船から排出される、清水以外の残渣物、脱水汚泥などを陸上に搬送する役割を有し、更には、プラント船の停泊場所を移動させる役割を有していてもよい。もっとも、運搬船に支援船の機能を兼ねさせることもでき、その場合は、当然のことながら運搬船と支援船のいずれかは不要となる。
【0032】
〔別実施の形態〕
(1)上記実施形態では、比較的し尿成分の多いし尿処理に適した例を示したが、浄化槽汚泥が比較的多いし尿に対しては、図2に示す方式を実施することが好ましい。すなわち、図2に示すし尿処理システムは、図1に記したシステムと異なり、受入貯槽1に貯槽したし尿を生物処理槽2に送給して処理する前に、凝集処理する凝集処理手段である凝集処理槽4と、この凝集処理槽4により処理された処理物を固液分離処理する第2の固液分離手段7とを有する。凝集処理槽4は、図1に使用したものと同様のものを使用してよく、ここで凝集した凝集物と液状物とを第2の固液分離手段7において、分離する。この第2の固液分離手段7としては、沈降分離槽あるいは遠心分離機などを使用できる。第2の固液分離手段7により、夾雑物や凝集物を除去されたし尿が生物処理槽2処理されることになり、その後は、図1に示したと同様に処理される。
【0033】
図1に示したシステムと図2に示したシステムとを、1のプラント船に設けてもよいし、搬入されるし尿の性状により、処理経路を切り換えて処理するようにしてもよい。その場合の切り換える目安として、バキューム車による収集し尿と浄化槽汚泥との割合が約50%越えるかどうかで判断すればよい。
【0034】
(2)上記実施形態では、固液分離装置3として、チューブ状をした加圧型管状膜を備えた装置を例に挙げて説明したが、この加圧型管状膜に代えて、加圧型平膜、吸引型平膜を用いてもよい。
【0035】
(3)本発明は、海上での処理システムに限られず、湖沼などにおいても同様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る水上汚水処理システムのフローチャート
【図2】別実施形態に係る水上汚水処理システムのフローチャート
【符号の説明】
1 受入貯槽
2 生物処理手段
3 固液分離手段
4 凝集処理手段
5 膜分離手段
6 物理処理手段
7 第2の固液分離手段
Claims (6)
- 受入貯槽と、この受入貯槽から送給される汚水を生物処理する生物処理手段と、この生物処理した処理物を固液分離する固液分離手段と、この固液分離手段から排出された液状物を無害化あるいは低害化する物理処理装置とを有する水上汚水処理システムであって、
前記固液分離手段が、加圧型管状膜、加圧型平膜、吸引型平膜のいずれかを有する固液分離装置であることを特徴とする水上汚水処理システム。 - 前記固液分離手段から排出された液状物を凝集処理する凝集処理手段を有すると共に、この凝集処理手段により処理された処理物を固液分離する膜分離装置を有する請求項1の水上汚水処理システム。
- 前記受入貯槽に貯槽した汚水を生物処理手段に送給する前に、凝集処理する凝集処理手段と、この凝集処理手段により処理された処理物を固液分離処理する第2の固液分離手段を有する請求項1の水上汚水処理システム。
- 汚水を受入貯槽に受入れて貯槽し、前記受入貯槽から生物処理手段に汚水を送給して汚水を生物処理し、この生物処理した処理物を固液分離処理し、この固液分離処理され排出された液状物を無害化あるいは低害化する水上汚水処理方法であって、
前記固液分離処理を、加圧型管状膜、加圧型平膜、吸引型平膜のいずれかを有する固液分離装置により行うことを特徴とする水上汚水処理方法。 - 前記固液分離手段から排出された液状物を凝集処理すると共に、次いでこの処理物を固液分離する請求項4の水上汚水処理方法。
- 前記受入貯槽から生物処理手段に送給して生物処理する前に予め凝集処理し、この凝集処理された処理物を固液分離処理する請求項4の水上汚水処理方法。
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JP2005144449A (ja) * | 2003-11-11 | 2005-06-09 | Hamann Ag | 船上における廃水処理方法および装置 |
JP2007534543A (ja) * | 2004-04-23 | 2007-11-29 | ウォーター スタンダード カンパニー エルエルシー | 汚水処理 |
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-
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- 2002-06-10 JP JP2002168209A patent/JP2004008984A/ja active Pending
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