JP2004008003A - 動物用排泄物処理材 - Google Patents
動物用排泄物処理材 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004008003A JP2004008003A JP2002161436A JP2002161436A JP2004008003A JP 2004008003 A JP2004008003 A JP 2004008003A JP 2002161436 A JP2002161436 A JP 2002161436A JP 2002161436 A JP2002161436 A JP 2002161436A JP 2004008003 A JP2004008003 A JP 2004008003A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- urine
- galactomannan
- treating material
- absorbing
- toilet
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Housing For Livestock And Birds (AREA)
Abstract
【課題】ペットや家畜の尿を速やかに吸収して衛生的であり、軽量であり、少量で尿を多く吸収し、かつ尿を吸収後の処理材の塊が適度に固化され、また生分解性を有するので土壌に埋設したり、トイレや下水道に流して処分することが可能であって且つトイレ配管詰まりを引き起こし難い動物用排泄物処理材を提供する。
【解決手段】古紙のスラッジや木粉などの有機物充填剤、ベントナイトやゼオライトなどの無機物充填剤、ガラクトマンナンおよびホウ酸化合物を混合して粒状固化したものからなることを特徴とする動物用排泄物処理材。
【選択図】 なし
【解決手段】古紙のスラッジや木粉などの有機物充填剤、ベントナイトやゼオライトなどの無機物充填剤、ガラクトマンナンおよびホウ酸化合物を混合して粒状固化したものからなることを特徴とする動物用排泄物処理材。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生分解性を有する動物用(家畜やペット等)の排泄物処理材に関する。更に詳しくは、パルプやセルロースなどの有機物充填材、シリカやタルク、ゼオライトなどの無機物充填材とガラクトマンナン及びホウ素化合物から構成され、動物の尿や軟便などの排泄物中の水分を速やかに吸収してゲル化し、生分解性を有するのでトイレや下水などの直接流して処分することが可能な動物の排泄物用処理材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ペットや家畜の排泄物の処理は、通常、砂、クレー、ゼオライト、ベントナイト等の鉱物質粉粒体或いは藁や籾殻などの有機物処理材に排泄物を吸収させることにより行われてきた。近年、パルプ粒状物の表面にアニオン系の合成高分子系吸水性ポリマーを付着させた動物用の排泄物処理材や、製紙カスとポリアクリル酸ナトリウムのような合成高分子系吸水性ポリマーとを混合したものの造粒物からなる動物用の排泄物処理材が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のパルプを用いた排泄物処理材では、ペットの尿の吸収速度が遅く、また吸収後の処理材は全く固化しないため、使用後の処理が煩雑であった。パルプ粒状物の表面に合成高分子系吸水ポリマーを付着させたものは、尿などを吸収してその表面だけが吸収体になってしまい、尿はパルプの内部まで浸透と吸収が行われないなどの問題があった。さらにこれらの合成高分子系吸水ポリマーは生分解性を有しないため、使用後の廃棄が問題である。現状としては、使用後のこれらの合成高分子系吸水ポリマーを含む排泄物処理材をスコップなどで掬い取り、これを家庭用焼却ゴミとともに焼却している。しかしながら動物、特に猫やフェレットなどのイタチ類の尿は非常に臭気が強くゴミ回収日まで各家庭で保管した場合、周囲に耐え難い悪臭を放ちつづけることになり非常に問題視されていた。
【0004】
近年、使用後は各家庭のトイレで流して処分できるような動物用排泄物処理材が開発されているが、ポリアクリル酸ナトリウム架橋物のような合成高分子系吸水ポリマーは土壌中や屎尿処理場、下水処理場などで環境微生物によって分解されないため使用することができない。このため、市販されているトイレに流せるタイプの排泄物処理材はこのような吸水ポリマーを含有できず、充填剤同士の結着性向上のためにデンプンやカルボキシメチルセルロースを添加しているだけであったので吸水性や保水性が不充分であった。
【0005】
また、もしもポリアクリル酸架橋物をトイレに流してしまった場合には、トイレ配管の詰まりが発生したり、下水処理場での初沈殿汚泥量の増加が予想され好ましいものではない。これはポリアクリル酸架橋物のようなアニオン性のポリマーでは分子内にカルボキシル基を有する。ポリアクリル酸架橋物ではこのカルボキシル基が体液のような被吸収液と接触して解離することで静電反発を引き起こし、これが吸水駆動力となっている。このため被吸収液中にイオンをほとんど含まない場合は自重の100〜1,000倍の吸水能を有するが被吸収液が体液や血液、軟便のようにナトリウムやカリウムイオンを多く含んだ場合は自重の数倍〜数十倍しか吸水能を有しない。このようなポリマーが尿を吸水後にトイレに流されると、トイレの流去水でポリマー中のイオン濃度が希釈され、ポリマーは再膨潤してしまうことになる。このため便器に廃棄した時点では再膨潤していなくても、トイレ配管中で速やかに再膨潤し、配管詰まりを引き起こしてしまうのである。またその結果として、再膨潤したポリマーが大量に流れ込むので処理場の初沈汚泥量は増加する。
【0006】
本発明は、トイレに流したり、土壌に埋設して処理することが可能な生分解性の動物用排泄物処理材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ガラクトマンナン及びホウ素化合物を含ませることにより保水能を著しく向上させることを見出し本発明に到達した。
【0008】
すなわち、本発明は、(a)生分解性を有する有機物充填材、(b)無機充填材、(c)粉末状ガラクトマンナン及び(d)粉末状ホウ素化合物を含むことを特徴とする動物用排泄物処理材を要旨とするものであり、好ましくは(c)粉末状ガラクトマンナン1kg当たり(d)粉末状ホウ素イオン含有量が10〜1,000mmol/kgであるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いられる(a)生分解性を有する有機物充填材は、適度に吸水することが可能で、粒状に成形されたものであれば特に限定されるものではない。例えばビジネス書類、新聞、雑誌等の回収古紙やバージンパルプからセルロース成分を抽出した粉末パルプやセルロースフラフ或いは細分化されたシュレッダーダスト、木粉、木片、籾殻、細分化された藁、コーヒー粕、米糠、おからなどをパン型造粒機などで球状などに造粒成形されたものが挙げられるが、吸水量が比較的多い点で粉末パルプやセルロースフラフが好ましい。
【0010】
本発明で用いられる(b)無機物充填材は、有機物充填材がセルロースの場合は特に、セルロースの水中での再解離性(水崩壊性)を促進する働きを有しており(特開平9−252675号公報)、また無機物充填材が有機物充填材中に存在した場合、無機物がチャンネルとなって尿などの水分を誘導し、有機物充填材や吸水材の吸水速度を早めることが出来る点で有用である。このような無機物充填材としてはコロイダルシリカ、層状珪酸塩、ゼオライト、タルク、ホワイトカーボン、ベントナイト、超微粒子状シリカ、酸化チタン粉末、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナ、マイカ、珪酸白土、珪藻土、カオリン、クレー等が挙げられるが固化作用が優れる点でゼオライトやベントナイト、タルクが好ましい。
【0011】
本発明で用いられる(c)ガラクトマンナンとしては、ローカストビーンガム、グアガムが挙げられるが、安価であることからグアガムが好ましい。これらは単独で用いても良いが、2種以上のガラクトマンナン又はその誘導体や他の多糖類と併用しても良い。ガラクトマンナン誘導体としてはカルボキシルメチルガラクトマンナン、カルボキシメチルヒドロキシプロピルガラクトマンナンやローカストビーンガムなどが挙げられる。併用できる多糖類としてはサイリウムシードガム、寒天、ペクチン、アルギン酸又はその塩、タラガントガム、プルラン、ジェランガム、タマリンドシードガム、カードラン、アラビアガム、デンプン、セルロース、キチン、キトサン、ヒアルロン酸などの多糖類及びこれらの誘導体でもよい。ガラクトマンナンの分子量は1万以上が好ましく、より好ましくは5万以上である。分子量が1万以下の場合はホウ素イオンと架橋してもゲルを形成しないので不適当である。
【0012】
(c)ガラクトマンナンには必要に応じて、他に単糖類、キレート剤などの有機化合物、無機塩類を添加しても構わない。さらに可塑剤、酸化剤、酸化防止剤、還元剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、殺菌剤、防カビ剤、肥料、香料、防臭剤、消臭剤、顔料等を混合しても構わない。
【0013】
本発明の排泄物処理材に含まれる(c)ガラクトマンナンは処理材1kg当たり1〜200gが好ましく、5〜50gがさらに好ましい。1g/kg以下では結着剤としての効果がなくなり、200g/kg以上では充填物の結着が強すぎて尿の吸収性が低下する。
【0014】
本発明で用いられる(d)ホウ素化合物は、常温で粉末状であり、水溶性を有し、ガラクトマンナンと架橋・ゲル化できるものであれば特に限定しない。最も安価なホウ素化合物としてはホウ酸ナトリウム7水和物やホウ酸ナトリウム無水物などがあるが、安定性が高い面でホウ酸ナトリウム無水物が好ましいが、安全性と吸水、保水、ゲル化性能を低下させない範囲であれば必要に応じて2種類以上の粉末状ホウ素化合物やポリガラクトマンナンと常温で架橋可能なアルミニウム、チタン、ジルコニウム、イットリウム、セリウムなどの水溶性で安定な形態の粉末状多価金属イオン化合物を含有しても良い。
【0015】
ホウ素化合物粉末は水溶性が高く、且つガラクトマンナンとの接触率を高めるためにできるだけ粒径の小さいものがよく、好ましくは200μm以下、さらに好ましくは100μm以下である。200μm以上では水溶性が低下し、尿と接触しても速やかに溶解しないためにガラクトマンナンとゲル化できない。
【0016】
(d)ホウ素化合物のガラクトマンナンに対する添加量は、ガラクトマンナン1kg当たり10〜1,000mmol/kgが好ましく、50〜200mmol/kgがさらに好ましい。10mmol/kg以下では尿などの体液と接触した際にガラクトマンナンとゲル化しても弱いゲルしかできず動物の足裏に付着し易いなどの問題が生じる。1,000mmol/kg以上では逆に強固過ぎるゲルとなってしまい、保水性が低下する。
【0017】
本発明の動物用排泄物処理材における各成分の組成割合としては、(a)有機物充填材が45〜70重量%、より好ましくは50〜60重量%、(b)無機物充填材が10〜25重量%、より好ましくは15〜20重量%、(c)ガラクトマンナンが5〜30重量%が好ましく、より好ましくは10〜25重量%である。なお、ホウ酸化合物の添加量は化合物の形態によって化合物1モル当たりに含有されるホウ素イオン数や水和物数が異なり範囲限定できないため適宜選択する必要がある。
【0018】
本発明の動物用排泄物処理材の好ましい形態である粒状とするためには造粒する必要があるが、その方法、順序は、その結着性及び保水性が低下しない範囲であれば特に限定しない。例えば、(a)有機物充填材、(b)無機物充填材、(c)ガラクトマンナン及び(d)ホウ酸化合物を同時にナウターミキサー、リボンミキサー、万能ミキサー、モルタルミキサーなどの混練機に投入してから混練し、次いでこれをペレタライザーやエクストルーダーにて押し出して造粒し、乾燥すれば良い。
【0019】
混練する条件は30℃以上で80%以上の湿度下で混練しながら造粒すれば良い。これはガラクトマンナン粒子が高い湿度下では空気中の水分によって膨潤しはじめ粘着性を有するためバインダーを使用しなくても付着が可能となるからである。造粒後は再度90℃以下で熱風乾燥すれば良い。必要に応じてカルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、エチレングリコールなどをバインダー効果を向上させるために添加することができる。
【0020】
本発明の排泄物処理材には、必要に応じて、消臭剤、芳香剤、殺虫剤、昆虫幼若ホルモン、防かび剤、防腐剤、抗菌剤、着色剤、猫が好むマタタビのようなもの、嵩密度を調節するため無機物などを各々0.01〜10重量%添加させることができる。これらは、本発明の排泄物処理材中に存在していればよく、予め造粒の際に添加してもよい。
【0021】
本発明において最終形態である排泄物処理材としては、粒径、ペレット状などの形態が適宜選択できるが、「トイレに流す」ことを考慮するとこれらの大きさは0.1〜20mm、好ましくは1〜10mmであり、嵩密度が0.1〜5g/cm3、好ましくは0.5〜2g/cm3前後であることが好ましい。
【0022】
【実施例】
以下、実施例により具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
〔排泄物処理材の作成〕
グアガム粉末(三栄薬品貿易 100メシュパス品)と無水ホウ酸ナトリウム(100メッシュパス品)、木粉(500μmパス品)、タルク(石津製薬社製)を用いて本発明の動物用排泄物処理材を作成した。グアガムと無水ホウ酸ナトリウム、木粉、タルクの重量当たり混合比率は10:0.2:70:19.8とした。このときホウ素イオンはグアガム1kg当たり約400mmol/kgであった。これらを予め混合し、2軸エクストルーダー(栗本鉄工社製 S1ニーダー)で30℃、湿度が80%になるように調整しながら混練すると不定形球状の造粒物が作成できた。その後、造粒物を50℃で熱風乾燥し、排泄物処理材を得た。
【0023】
嵩密度の測定は試料を体積100cm3のスチール製容器に入れ、試料が密になるように底部を弾性のない硬いゴムシート上で10〜20回たたき、試料が100cm3以上に加えられない時の重量を測定した。その結果、嵩密度は1.2g/cm3であり、粒径分布ピークは2mm〜3mmであった。。
【0024】
〔排泄物処理材の人工尿吸水試験〕
上記で作成した排泄物処理材200gに人工尿(1.94重量%尿素、0.8重量%塩化ナトリウム、840ppm塩化カルシウム、2050ppm硫酸マグネシウム)20mlを滴下し、凝固具合とゲルの付着具合を試験したところ、滴下1分後には滴下した排泄物処理材周辺が固化して凝固し、またその上から指で押しても指にゲル粒子が付着することはなく好適であった。この凝固した排泄物処理材約30gをスコップで掬い取り、トイレで10Lの水で流した所、トイレ便器周辺や配管に詰まることなく流去させることができた。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、ガラクトマンナンとホウ素化合物を含有するため、有機充填物と無機充填物の結着性を高めるバインダーとして機能するだけでなく、尿などの体液と接触することでガラクトマンナンとホウ素化合物が共に体液に溶解することにより速やかに架橋反応が起こりゲル化するため、従来のデンプンやカルボキシメチルセルロースを使用した場合に比べて保水能を著しく向上させることができ、尿が接触した部分のみが強固に固まるので容易にスコップなどで掬い取り処分することができる。また本処理材は無機物と生分解性の有機物から構成されるため、使用後には土壌に埋設したりトイレや下水などに流して直接処分可能であるので、ゴミ回収日まで家庭で保管する必要がなく臭気が発生せず衛生的である。
またガラクトマンナンはノニオン性であるためホウ素と架橋してゲル化したものをトイレに流しても流去水を吸水する能力はなく、配管詰まりや汚泥発生量の増加を引き起こすことはない。
すなわち、本発明の動物用排泄物処理材は、動物の尿を速やかに吸収し、排泄後に処理材と排泄物が適度に塊化し、構成成分の有機物が生分解性を有しているため土壌に埋設したりトイレや下水に直接処分しても配管詰まりを起こすことなく分解されることが可能な動物用排泄物処理材である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、生分解性を有する動物用(家畜やペット等)の排泄物処理材に関する。更に詳しくは、パルプやセルロースなどの有機物充填材、シリカやタルク、ゼオライトなどの無機物充填材とガラクトマンナン及びホウ素化合物から構成され、動物の尿や軟便などの排泄物中の水分を速やかに吸収してゲル化し、生分解性を有するのでトイレや下水などの直接流して処分することが可能な動物の排泄物用処理材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ペットや家畜の排泄物の処理は、通常、砂、クレー、ゼオライト、ベントナイト等の鉱物質粉粒体或いは藁や籾殻などの有機物処理材に排泄物を吸収させることにより行われてきた。近年、パルプ粒状物の表面にアニオン系の合成高分子系吸水性ポリマーを付着させた動物用の排泄物処理材や、製紙カスとポリアクリル酸ナトリウムのような合成高分子系吸水性ポリマーとを混合したものの造粒物からなる動物用の排泄物処理材が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のパルプを用いた排泄物処理材では、ペットの尿の吸収速度が遅く、また吸収後の処理材は全く固化しないため、使用後の処理が煩雑であった。パルプ粒状物の表面に合成高分子系吸水ポリマーを付着させたものは、尿などを吸収してその表面だけが吸収体になってしまい、尿はパルプの内部まで浸透と吸収が行われないなどの問題があった。さらにこれらの合成高分子系吸水ポリマーは生分解性を有しないため、使用後の廃棄が問題である。現状としては、使用後のこれらの合成高分子系吸水ポリマーを含む排泄物処理材をスコップなどで掬い取り、これを家庭用焼却ゴミとともに焼却している。しかしながら動物、特に猫やフェレットなどのイタチ類の尿は非常に臭気が強くゴミ回収日まで各家庭で保管した場合、周囲に耐え難い悪臭を放ちつづけることになり非常に問題視されていた。
【0004】
近年、使用後は各家庭のトイレで流して処分できるような動物用排泄物処理材が開発されているが、ポリアクリル酸ナトリウム架橋物のような合成高分子系吸水ポリマーは土壌中や屎尿処理場、下水処理場などで環境微生物によって分解されないため使用することができない。このため、市販されているトイレに流せるタイプの排泄物処理材はこのような吸水ポリマーを含有できず、充填剤同士の結着性向上のためにデンプンやカルボキシメチルセルロースを添加しているだけであったので吸水性や保水性が不充分であった。
【0005】
また、もしもポリアクリル酸架橋物をトイレに流してしまった場合には、トイレ配管の詰まりが発生したり、下水処理場での初沈殿汚泥量の増加が予想され好ましいものではない。これはポリアクリル酸架橋物のようなアニオン性のポリマーでは分子内にカルボキシル基を有する。ポリアクリル酸架橋物ではこのカルボキシル基が体液のような被吸収液と接触して解離することで静電反発を引き起こし、これが吸水駆動力となっている。このため被吸収液中にイオンをほとんど含まない場合は自重の100〜1,000倍の吸水能を有するが被吸収液が体液や血液、軟便のようにナトリウムやカリウムイオンを多く含んだ場合は自重の数倍〜数十倍しか吸水能を有しない。このようなポリマーが尿を吸水後にトイレに流されると、トイレの流去水でポリマー中のイオン濃度が希釈され、ポリマーは再膨潤してしまうことになる。このため便器に廃棄した時点では再膨潤していなくても、トイレ配管中で速やかに再膨潤し、配管詰まりを引き起こしてしまうのである。またその結果として、再膨潤したポリマーが大量に流れ込むので処理場の初沈汚泥量は増加する。
【0006】
本発明は、トイレに流したり、土壌に埋設して処理することが可能な生分解性の動物用排泄物処理材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ガラクトマンナン及びホウ素化合物を含ませることにより保水能を著しく向上させることを見出し本発明に到達した。
【0008】
すなわち、本発明は、(a)生分解性を有する有機物充填材、(b)無機充填材、(c)粉末状ガラクトマンナン及び(d)粉末状ホウ素化合物を含むことを特徴とする動物用排泄物処理材を要旨とするものであり、好ましくは(c)粉末状ガラクトマンナン1kg当たり(d)粉末状ホウ素イオン含有量が10〜1,000mmol/kgであるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いられる(a)生分解性を有する有機物充填材は、適度に吸水することが可能で、粒状に成形されたものであれば特に限定されるものではない。例えばビジネス書類、新聞、雑誌等の回収古紙やバージンパルプからセルロース成分を抽出した粉末パルプやセルロースフラフ或いは細分化されたシュレッダーダスト、木粉、木片、籾殻、細分化された藁、コーヒー粕、米糠、おからなどをパン型造粒機などで球状などに造粒成形されたものが挙げられるが、吸水量が比較的多い点で粉末パルプやセルロースフラフが好ましい。
【0010】
本発明で用いられる(b)無機物充填材は、有機物充填材がセルロースの場合は特に、セルロースの水中での再解離性(水崩壊性)を促進する働きを有しており(特開平9−252675号公報)、また無機物充填材が有機物充填材中に存在した場合、無機物がチャンネルとなって尿などの水分を誘導し、有機物充填材や吸水材の吸水速度を早めることが出来る点で有用である。このような無機物充填材としてはコロイダルシリカ、層状珪酸塩、ゼオライト、タルク、ホワイトカーボン、ベントナイト、超微粒子状シリカ、酸化チタン粉末、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナ、マイカ、珪酸白土、珪藻土、カオリン、クレー等が挙げられるが固化作用が優れる点でゼオライトやベントナイト、タルクが好ましい。
【0011】
本発明で用いられる(c)ガラクトマンナンとしては、ローカストビーンガム、グアガムが挙げられるが、安価であることからグアガムが好ましい。これらは単独で用いても良いが、2種以上のガラクトマンナン又はその誘導体や他の多糖類と併用しても良い。ガラクトマンナン誘導体としてはカルボキシルメチルガラクトマンナン、カルボキシメチルヒドロキシプロピルガラクトマンナンやローカストビーンガムなどが挙げられる。併用できる多糖類としてはサイリウムシードガム、寒天、ペクチン、アルギン酸又はその塩、タラガントガム、プルラン、ジェランガム、タマリンドシードガム、カードラン、アラビアガム、デンプン、セルロース、キチン、キトサン、ヒアルロン酸などの多糖類及びこれらの誘導体でもよい。ガラクトマンナンの分子量は1万以上が好ましく、より好ましくは5万以上である。分子量が1万以下の場合はホウ素イオンと架橋してもゲルを形成しないので不適当である。
【0012】
(c)ガラクトマンナンには必要に応じて、他に単糖類、キレート剤などの有機化合物、無機塩類を添加しても構わない。さらに可塑剤、酸化剤、酸化防止剤、還元剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、殺菌剤、防カビ剤、肥料、香料、防臭剤、消臭剤、顔料等を混合しても構わない。
【0013】
本発明の排泄物処理材に含まれる(c)ガラクトマンナンは処理材1kg当たり1〜200gが好ましく、5〜50gがさらに好ましい。1g/kg以下では結着剤としての効果がなくなり、200g/kg以上では充填物の結着が強すぎて尿の吸収性が低下する。
【0014】
本発明で用いられる(d)ホウ素化合物は、常温で粉末状であり、水溶性を有し、ガラクトマンナンと架橋・ゲル化できるものであれば特に限定しない。最も安価なホウ素化合物としてはホウ酸ナトリウム7水和物やホウ酸ナトリウム無水物などがあるが、安定性が高い面でホウ酸ナトリウム無水物が好ましいが、安全性と吸水、保水、ゲル化性能を低下させない範囲であれば必要に応じて2種類以上の粉末状ホウ素化合物やポリガラクトマンナンと常温で架橋可能なアルミニウム、チタン、ジルコニウム、イットリウム、セリウムなどの水溶性で安定な形態の粉末状多価金属イオン化合物を含有しても良い。
【0015】
ホウ素化合物粉末は水溶性が高く、且つガラクトマンナンとの接触率を高めるためにできるだけ粒径の小さいものがよく、好ましくは200μm以下、さらに好ましくは100μm以下である。200μm以上では水溶性が低下し、尿と接触しても速やかに溶解しないためにガラクトマンナンとゲル化できない。
【0016】
(d)ホウ素化合物のガラクトマンナンに対する添加量は、ガラクトマンナン1kg当たり10〜1,000mmol/kgが好ましく、50〜200mmol/kgがさらに好ましい。10mmol/kg以下では尿などの体液と接触した際にガラクトマンナンとゲル化しても弱いゲルしかできず動物の足裏に付着し易いなどの問題が生じる。1,000mmol/kg以上では逆に強固過ぎるゲルとなってしまい、保水性が低下する。
【0017】
本発明の動物用排泄物処理材における各成分の組成割合としては、(a)有機物充填材が45〜70重量%、より好ましくは50〜60重量%、(b)無機物充填材が10〜25重量%、より好ましくは15〜20重量%、(c)ガラクトマンナンが5〜30重量%が好ましく、より好ましくは10〜25重量%である。なお、ホウ酸化合物の添加量は化合物の形態によって化合物1モル当たりに含有されるホウ素イオン数や水和物数が異なり範囲限定できないため適宜選択する必要がある。
【0018】
本発明の動物用排泄物処理材の好ましい形態である粒状とするためには造粒する必要があるが、その方法、順序は、その結着性及び保水性が低下しない範囲であれば特に限定しない。例えば、(a)有機物充填材、(b)無機物充填材、(c)ガラクトマンナン及び(d)ホウ酸化合物を同時にナウターミキサー、リボンミキサー、万能ミキサー、モルタルミキサーなどの混練機に投入してから混練し、次いでこれをペレタライザーやエクストルーダーにて押し出して造粒し、乾燥すれば良い。
【0019】
混練する条件は30℃以上で80%以上の湿度下で混練しながら造粒すれば良い。これはガラクトマンナン粒子が高い湿度下では空気中の水分によって膨潤しはじめ粘着性を有するためバインダーを使用しなくても付着が可能となるからである。造粒後は再度90℃以下で熱風乾燥すれば良い。必要に応じてカルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、エチレングリコールなどをバインダー効果を向上させるために添加することができる。
【0020】
本発明の排泄物処理材には、必要に応じて、消臭剤、芳香剤、殺虫剤、昆虫幼若ホルモン、防かび剤、防腐剤、抗菌剤、着色剤、猫が好むマタタビのようなもの、嵩密度を調節するため無機物などを各々0.01〜10重量%添加させることができる。これらは、本発明の排泄物処理材中に存在していればよく、予め造粒の際に添加してもよい。
【0021】
本発明において最終形態である排泄物処理材としては、粒径、ペレット状などの形態が適宜選択できるが、「トイレに流す」ことを考慮するとこれらの大きさは0.1〜20mm、好ましくは1〜10mmであり、嵩密度が0.1〜5g/cm3、好ましくは0.5〜2g/cm3前後であることが好ましい。
【0022】
【実施例】
以下、実施例により具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
〔排泄物処理材の作成〕
グアガム粉末(三栄薬品貿易 100メシュパス品)と無水ホウ酸ナトリウム(100メッシュパス品)、木粉(500μmパス品)、タルク(石津製薬社製)を用いて本発明の動物用排泄物処理材を作成した。グアガムと無水ホウ酸ナトリウム、木粉、タルクの重量当たり混合比率は10:0.2:70:19.8とした。このときホウ素イオンはグアガム1kg当たり約400mmol/kgであった。これらを予め混合し、2軸エクストルーダー(栗本鉄工社製 S1ニーダー)で30℃、湿度が80%になるように調整しながら混練すると不定形球状の造粒物が作成できた。その後、造粒物を50℃で熱風乾燥し、排泄物処理材を得た。
【0023】
嵩密度の測定は試料を体積100cm3のスチール製容器に入れ、試料が密になるように底部を弾性のない硬いゴムシート上で10〜20回たたき、試料が100cm3以上に加えられない時の重量を測定した。その結果、嵩密度は1.2g/cm3であり、粒径分布ピークは2mm〜3mmであった。。
【0024】
〔排泄物処理材の人工尿吸水試験〕
上記で作成した排泄物処理材200gに人工尿(1.94重量%尿素、0.8重量%塩化ナトリウム、840ppm塩化カルシウム、2050ppm硫酸マグネシウム)20mlを滴下し、凝固具合とゲルの付着具合を試験したところ、滴下1分後には滴下した排泄物処理材周辺が固化して凝固し、またその上から指で押しても指にゲル粒子が付着することはなく好適であった。この凝固した排泄物処理材約30gをスコップで掬い取り、トイレで10Lの水で流した所、トイレ便器周辺や配管に詰まることなく流去させることができた。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、ガラクトマンナンとホウ素化合物を含有するため、有機充填物と無機充填物の結着性を高めるバインダーとして機能するだけでなく、尿などの体液と接触することでガラクトマンナンとホウ素化合物が共に体液に溶解することにより速やかに架橋反応が起こりゲル化するため、従来のデンプンやカルボキシメチルセルロースを使用した場合に比べて保水能を著しく向上させることができ、尿が接触した部分のみが強固に固まるので容易にスコップなどで掬い取り処分することができる。また本処理材は無機物と生分解性の有機物から構成されるため、使用後には土壌に埋設したりトイレや下水などに流して直接処分可能であるので、ゴミ回収日まで家庭で保管する必要がなく臭気が発生せず衛生的である。
またガラクトマンナンはノニオン性であるためホウ素と架橋してゲル化したものをトイレに流しても流去水を吸水する能力はなく、配管詰まりや汚泥発生量の増加を引き起こすことはない。
すなわち、本発明の動物用排泄物処理材は、動物の尿を速やかに吸収し、排泄後に処理材と排泄物が適度に塊化し、構成成分の有機物が生分解性を有しているため土壌に埋設したりトイレや下水に直接処分しても配管詰まりを起こすことなく分解されることが可能な動物用排泄物処理材である。
Claims (2)
- (a)生分解性を有する有機物充填材、(b)無機充填材、(c)粉末状ガラクトマンナン及び(d)粉末状ホウ素化合物を含むことを特徴とする動物用排泄物処理材。
- (c)粉末状ガラクトマンナン1kg当たり(d)粉末状ホウ素イオン含有量が10〜1,000mmol/kgであることを特徴とする請求項1記載の動物用排泄物処理材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002161436A JP2004008003A (ja) | 2002-06-03 | 2002-06-03 | 動物用排泄物処理材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002161436A JP2004008003A (ja) | 2002-06-03 | 2002-06-03 | 動物用排泄物処理材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004008003A true JP2004008003A (ja) | 2004-01-15 |
Family
ID=30430504
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002161436A Pending JP2004008003A (ja) | 2002-06-03 | 2002-06-03 | 動物用排泄物処理材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004008003A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008026682A1 (fr) * | 2006-08-31 | 2008-03-06 | Ishida Co., Ltd. | Tapis de sol pour élevage d'un animal |
JP2010539943A (ja) * | 2007-09-28 | 2010-12-24 | ティー.エフ.エイチ.パブリケーションズ、インコーポレーテッド | 微生物個体群を促進する栄養素を含有する生分解性排せつ物パッドまたはリター |
WO2013146551A1 (ja) * | 2012-03-29 | 2013-10-03 | ユニ・チャーム株式会社 | 動物用トイレ砂、動物用トイレ |
WO2013146552A1 (ja) * | 2012-03-29 | 2013-10-03 | ユニ・チャーム株式会社 | 動物用トイレ砂の製造方法 |
-
2002
- 2002-06-03 JP JP2002161436A patent/JP2004008003A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008026682A1 (fr) * | 2006-08-31 | 2008-03-06 | Ishida Co., Ltd. | Tapis de sol pour élevage d'un animal |
JP2010539943A (ja) * | 2007-09-28 | 2010-12-24 | ティー.エフ.エイチ.パブリケーションズ、インコーポレーテッド | 微生物個体群を促進する栄養素を含有する生分解性排せつ物パッドまたはリター |
WO2013146551A1 (ja) * | 2012-03-29 | 2013-10-03 | ユニ・チャーム株式会社 | 動物用トイレ砂、動物用トイレ |
WO2013146552A1 (ja) * | 2012-03-29 | 2013-10-03 | ユニ・チャーム株式会社 | 動物用トイレ砂の製造方法 |
JP2013202038A (ja) * | 2012-03-29 | 2013-10-07 | Unicharm Corp | 動物用トイレ砂の製造方法 |
JP2013202037A (ja) * | 2012-03-29 | 2013-10-07 | Unicharm Corp | 動物用トイレ砂、動物用トイレ |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5014650A (en) | Animal litter | |
US5609123A (en) | Animal litter compositions and processes for making them | |
AU2010238369B2 (en) | Absorbent material | |
US9010273B2 (en) | Absorbent composition for mitigating fecal odor | |
US20060201438A1 (en) | Clumping, non-dusting calcium carbonate-based animal litter | |
JPH07327536A (ja) | ペットの排泄物用処理材 | |
JPH0923776A (ja) | ペットの排泄物用処理材及びその製法 | |
EP0121055A2 (en) | Pet litter | |
JP2651350B2 (ja) | 収着剤およびその製造方法 | |
WO1997014299A1 (fr) | Materiau de traitement pour excrements d'animaux et procede de production de ce materiau | |
JP2004008003A (ja) | 動物用排泄物処理材 | |
JP2010104383A (ja) | トイレに流し捨てることができる水解性の動物用排泄物処理材の製造方法 | |
JP2000300102A (ja) | ペット用排泄物処理剤 | |
JPS5974935A (ja) | 動物の排泄物処理用材の製法 | |
JP2002051659A (ja) | 動物排泄物処理材 | |
JP2004313179A (ja) | ペット用排泄物処理材 | |
JP3408340B2 (ja) | ペット排尿処理剤 | |
JPS5855044A (ja) | 汚物・汚液等の清掃処理剤及び清掃処理方法 | |
JP2001204288A (ja) | 動物用糞尿処理材 | |
JPS5925629A (ja) | ペツトの排泄物処理材 | |
JPH05260873A (ja) | 動物の排泄物処理材 | |
JPH075841B2 (ja) | 排泄物処理用粒状材 | |
JP3891708B2 (ja) | 動物の排泄物用処理材 | |
JPH02308736A (ja) | ペット用等の排泄物処理材 | |
JP2000152728A (ja) | ペット類用排泄物処理材 |