JP2004006008A - 光学的情報記録媒体とその記録再生装置 - Google Patents

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Kenji Narumi
鳴海 建治
Kenichi Nishiuchi
西内 健一
Nobuo Akahira
赤平 信夫
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

【課題】記憶容量を増大させ、使い勝手を良好にした光学的情報記録媒体を提供する。
【解決手段】再生専用領域1と記録再生領域2において、トラックピッチT とTp2を異ならせ、最短マーク長ML1とML2を異ならせてトラック方向記録密度を異ならせ、各領域内で等線速度で再生及び記録することにより、光ディスク3の記憶容量を増大させ、記録再生領域2のディスク上の配置の自由度を高める。なおかつ再生専用領域1と記録再生領域2の単位面積当たり記録密度を等しくして、各領域の割合が異なってもディスク全体の記憶容量を一定とし媒体の管理を容易にする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学的に情報を記録・再生する光学的情報記録媒体とその記録再生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、光学的に情報を記録する媒体として、光ディスク、光カード、光テープなどが提案・開発されている。その中でも光ディスクは、大容量かつ高密度に情報を記録・再生できる媒体として注目されている。この光ディスクを機能ごとに大別すると、再生のみが可能である再生専用型(ROM)、何回でも情報の書換記録が可能な書換型(RAM)の種類がある。
【0003】
再生専用型は、樹脂基板の上に凸凹形状の位相ピットとして情報を記録し、さらに反射膜を設けたもので、コンパクトディスク(CD)やレーザディスクに代表されるものである。書換型は、記録用のグルーブ(溝)を設けた樹脂基板上に記録膜・反射膜を形成したもので、レーザ光により記録膜に反射率の異なる記録マークを形成して情報を記録再生する相変化型(PCE)や、レーザ光の照射と磁界の印加によって磁区の磁界の方向を変化させ磁気光学効果を用いて情報を記録再生する光磁気型(MO)などがある。また、一度だけ情報の書き込みが可能な追記型(W/O)もある。
【0004】
ところで、同一のディスク内に再生専用領域(ROM領域)と記録再生領域(RAM領域)を兼ね備えたパーシャルROMと呼ばれる光ディスクも、提案されている。
【0005】
以下に従来のパーシャルROM光ディスクについて説明する。
【0006】
図8は従来のパーシャルROM光ディスクの模式平面図である。光ディスク3は再生専用領域1と記録再生領域2を兼ね備えたものとなっている。このパーシャルROM光ディスクの用途としては、例えば顧客に供給する前にあらかじめワードプロセッサの辞書ファイルを再生専用領域に記憶させておき、記録再生領域には顧客の個人的な登録単語辞書や外字ファイルを随時記憶させることなどが考えられる。そして、顧客の要望に応じて再生専用領域と記録再生領域の割合が異なったディスクを供給することも考えられる。具体的には、標準的な辞書ファイルを再生専用領域に記憶させて記録再生領域の割合を大きくしたディスクを一般の顧客に供給し、標準的辞書ファイルに加えて専門用語ファイルを再生専用領域に記憶させ記録再生領域の割合を小さくしたディスクをある特定職業者向けに供給する場合などがあげられる。
【0007】
現在、これらの光ディスクはさらに広範囲の用途に展開するために、記憶容量を増大させることが望まれている。再生専用型の大容量化の方向としては、樹脂基板を作製するためのスタンパーのカッティング精度を向上させて、より精密に位置制御された位相ピットを形成し、トラック方向の記録密度およびトラックピッチを上げる手法がある。同じ大きさのレーザビームスポットで情報を再生する場合、記録マークよりも位相ピットのほうがより小さいピットでも再生できるので、再生専用型は書換型よりもトラック方向の記録密度を高くすることができる。
【0008】
書換型の大容量化の方向としては、記録マークの両端を検出して信号再生するマークエッジ記録方式(PWM記録)や、レーザのビームスポットよりも小さく形成した記録マークを低干渉で検出する超解像技術、検出した信号のS/N(信号対ノイズ)比が低くても十分なデータ誤り率を確保するパーシャルレスポンス(PR)信号処理方式などを用いて、トラック方向の記録密度を向上させる方法が検討されている。また、グルーブとグルーブの間のランドにも情報を記録して実質的なトラックピッチを小さくする手法もある。
【0009】
さらに、パーシャルROM光ディスクに関しても、再生専用型や書換型と同様に大容量化が検討されている。パーシャルROM光ディスクの大容量化の手法として提案されているものには、例えば特許文献1に記載されたものがある。また、大容量化の別の手法として提案されているものには、例えば特許文献2に記載されたものがある。
【0010】
【特許文献1】
特開昭63−237220号公報
【特許文献2】
特開平2−289937号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
例えば特許文献1に記載されたようなパーシャルROM光ディスクは、ディスクの外周部を再生専用領域としてマークエッジ記録方式を用い、内周部を記録再生領域としてマーク位置記録方式(PPM記録)を使用し、再生専用領域のトラック方向記録密度を記録再生領域よりも大きくして全体の記録密度を向上させるものである。
【0012】
しかしながら上記手法では、情報の記録再生にCAV(Constant Angular Velocity、等角速度)方式を使用しているために、トラック方向単位長さ当たりの記録密度が各領域の最内周の記録密度に制限され、各領域の外周にいくにしたがってトラック単位長さ当たりの記録密度の低下が生じる欠点を有する。
【0013】
また、CAV方式では、外周になるほど線速度が高速になり、記録再生領域の記録感度が低下するので、記録再生領域の最内周に情報を記録したのと同じ記録条件で最外周に情報を記録すると、最外周の記録状態は不安定になりやすい。
【0014】
その結果、記録再生領域をディスク内の任意の半径位置に配置することは、事実上困難となる。これは、例えばある関連した情報が再生専用領域と記録再生領域に記録されており、その情報を連続的に再生する場合、所要の情報が記録されている再生専用領域と記録再生領域とが物理的に離れていると、光学ヘッドのアクセス時間が長くなるといった問題点につながる。
【0015】
さらにこの手法では、光ディスクの外径が同じであっても、再生専用領域と記録再生領域とのそれぞれが占める割合によって、光ディスク全体の記憶容量が異なってくる。その場合、再生専用領域と記録再生領域とが様々な割合のパーシャルROM光ディスクが顧客に供給されると、顧客は様々な記憶容量の光ディスクを所持することになり、ディスクの使い勝手が甚だ不便になるという欠点がある。
【0016】
記録再生装置に関しても、パーシャルROM光ディスク間の記憶容量の相違を判別する手段が必要となり、装置が複雑になる問題点を有する。
【0017】
また、大容量化の別の手法として提案されているもの(例えば特許文献2に記載)は、ディスクの内周部を再生専用領域としてマークエッジ記録方式を用い、外周部を記録再生領域としてマーク位置記録方式(PPM記録)を使用し、記録再生領域の記録周波数を再生専用領域の2倍にして全体の記録密度を向上させるものである。この手法でも、情報の記録再生にCAV方式を用いているので、外周にいくにしたがって記録密度が低下する等の、上記と同様の欠点は免れない。
【0018】
本発明は上記従来の問題点を解決するもので、再生専用領域および記録再生領域の記憶容量が大きく、かつ使い勝手の良く、しかも安価なパーシャルROM光ディスクとその記録再生装置を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明による光学的情報記録媒体は、光学的に透明な基板の同一平面内に、少なくとも1つ以上の再生専用領域と少なくとも1つ以上の記録再生領域を具備し、少なくとも基板の前記記録再生領域に光感応性記録膜を備え、媒体上の特定の領域に、前記再生専用領域と前記記録再生領域を示す識別子を形成している。
【0020】
前記光学的情報記録媒体は、前記再生専用領域と前記記録再生領域が、同心円状に交互に配置されてもよい。また、前記記録再生領域は、グルーブおよびランドの両方に情報を記録可能であってもよい。
【0021】
また、本発明による記録再生装置は、光学的に透明な基板の同一平面内に、再生専用領域と記録再生領域の両方とを具備し、少なくとも基板の前記記録再生領域に光感応性記録膜を備え、媒体上の特定の領域に、前記再生専用領域と前記記録再生領域を示す識別子を形成した光学的情報記録媒体の上に、情報信号を記録あるいは記録された情報信号を再生する記録再生装置であって、媒体上の特定の領域に形成された、前記再生専用領域と前記記録再生領域を示す前記識別子を検出する検出回路を備えることによって、再生専用領域と記録再生領域を判別する判別手段を具備している。
【0022】
前記記録再生装置は、前記判別手段で再生専用領域を判別した場合、再生専用領域への記録動作を禁止してもよい。
【0023】
【発明の実施の形態】
本実施の形態で用いうる基板材料、保護膜材料、光感応性記録膜材料および反射膜材料について以下に説明する。
【0024】
基板材料としては、PMMA,ポリカーボネート等の樹脂あるいはガラス等、表面の平滑なものを用いる。
【0025】
保護膜の材料は、物理的・化学的に安定、すなわち記録再生時に光感応性記録材料の達する温度よりも、融点及び軟化温度が高く、かつ光感応性記録材料と相固溶しないことが望ましい。例えば、Al,SiOx,Ta,MoO,WO,ZrO,ZnS,AlNx,BN,SiNx,TiN,ZrN,PbF,MgF等の誘電体、或はこれらの適当な組み合わせからなる。
【0026】
但し、保護膜は透明である必要はなく、可視光線及び赤外線に対して光吸収性をもつ例えばZnTeで形成してもよい。
【0027】
又、記録膜の上下の保護膜を異なる材料で形成すると、熱的及び光学的な設計の自由度が大きくなる利点がある。もちろん同一材料で形成してもよい。
【0028】
光感応性記録膜には、相変化記録膜、光磁気記録膜、有機系記録膜等がある。相変化記録膜材料の主成分としては、Te−Sb−Ge,Te−Ge,Te−Ge−Sn,Te−Ge−Sn−Au,Sb−Te,Sb−Se−Te,In−Te,In−Se,In−Se−Tl,In−Sb,In−Sb−Se,In−Se−Te等があげられる。光磁気記録膜材料の主成分には、例えば、Tb−Fe−Co, Gd−Tb−Fe, Te−Fe−Co, Dy−Fe−Co, Tb−Co,Tb−Feがある。
【0029】
反射膜は、Au,Al,Ni,Fe,Cr等の金属元素、或はこれらの合金からなり、光感応性記録膜への光吸収効率を高める働きをする。しかし、例えば光感応性記録膜の膜厚を厚くして光吸収効率を高める工夫をすることによって、反射膜を設けない構成とすることも可能である。或は、光感応性記録膜と保護膜を交互に複数回積み重ねた構成とすることにより、光感応性記録膜1層あたりの膜厚が薄くても、全体として光吸収効率を高めることもできる。
【0030】
保護基板は、樹脂をスピンコートしたり、基板と同様の樹脂板、ガラス板、或は金属板等を接着剤を用いて貼り合わせることによって形成する。さらには、2組の光感応性記録膜を中間基板或は反射膜を内側にして接着剤を用いて貼り合わせることにより、両面から記録および再生の可能な構造とすることも可能である。
【0031】
また、保護膜、光感応性記録膜は記録再生領域のみに成膜してもよい。
【0032】
(実施の形態1)
以下本発明の第1の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0033】
本実施例では光学的情報記録媒体として光ディスクを用いる。図2は本発明の第1の実施例における光ディスクの構造を示す斜視図である。図2の光ディスク3は、再生専用領域1と記録再生領域2からなる。
【0034】
ディスク基板には直径130mmのポリカーボネート樹脂を用い、再生(記録)可能領域を半径25mm〜60mmの範囲とした。
【0035】
樹脂基板の再生専用領域1には、凸凹形状の位相ピット4をあらかじめ情報としてプリフォーマットし、必要なら各領域の範囲を示す識別情報もプリフォーマットしておく。記録再生領域2には、記録用のグルーブ5aと、必要に応じてアドレス番号とセクタ番号を表すID部、トラッキング用のサンプルピット等を形成した。
【0036】
基板上に保護膜8、光感応性記録膜9、反射膜7をスパッタ法により成膜し、その上に保護基板を接着する。本実施例では、保護膜としてZnS−SiO, 光感応性記録膜としてTe−Sb−Ge, 反射膜としてAlを用いた。そして、波長680nmのレーザ光を開口数(NA)0.55の対物レンズで絞り込んで記録再生領域に記録マーク6を記録し、反射光量の違いにより情報を再生した。
【0037】
図2に示すように、再生専用領域の最短ピット長ML1を、記録再生領域の最短マーク長ML2より小さくする。
【0038】
各領域でのトラックピッチおよび最短ピット/マーク長は、以下のようにして決定した。
【0039】
図3は、本実施例の光ディスクの再生専用領域と記録再生領域にて、ピット/マーク長を変えたときの、再生信号のC/N比の変化である。これより、再生専用領域において、50dB以上の良好なC/N比を持った再生信号を得るためには、少なくとも0.42μmのピット長が必要であることがわかった。また、記録再生領域では、多数回の繰り返し記録による劣化に対するマージンを考慮して、55dBのC/N比を確保するために、0.60μmのマーク長が必要なことがわかった。
【0040】
トラックピッチについては、十分に大きなトラッキングエラー信号を得て、安定なトラッキングを行なうためには、少なくとも0.96μmのトラックピッチが必要なことがわかった。
【0041】
以上の結果を踏まえて、本実施例では、再生専用領域の最短ピット長ML1を0.42μm、記録再生領域の最短マーク長ML2を0.60μmとする。また、各領域のトラックピッチTpとTpは0.96μmとする。記録は(1,7)RLL変調のマークエッジ記録を行ない、CLV(Constant Linear Velocity、等線速度)方式を用いる。
【0042】
今、再生専用領域と記録再生領域との面積比=9:1のディスク(A)、再生専用領域と記録再生領域との面積比=1:1のディスク(B)と、再生専用領域と記録再生領域との面積比=1:9のディスク(C)を作製し、この場合の光ディスクのデータ記憶容量を計算する。
【0043】
(1,7)RLL変調の場合、ピットの最短マーク長はデータビット間隔の1.33倍であるから、再生専用領域で1ビットの情報を表現するのに必要な長さは0.32μm/bitとなる。
【0044】
したがって、再生専用領域の単位面積当たりの記録密度は、1mm/(0.32×10−3×0.96×10−3)=3.26×10bit/mmとなる。
【0045】
記録再生領域で1ビットの情報を表現するのに必要な長さは、0.45μm/bitであるから、記録再生領域の単位面積当たりの記録密度は、1mm/(0.45×10−3×0.68×10−3)=3.26×10bit/mmとなる。
【0046】
また、ディスク全体の記憶容量に対して、ID部等を除いた実質的なデータ記憶容量の割合を75%とすると、ディスクの再生(記録)可能領域の面積は、60×3.14−25×3.14=9340mmであるから、ディスク(A)のデータ記憶容量は、(3.26×10×9340×0.1×2.31×10×9340×0.9)×0.75/8=2.11GBとなる。
【0047】
同様にして、ディスク(B)のデータ記憶容量は、2.44GB、ディスク(C)のデータ記憶容量は、2.77GBとなる。
【0048】
一方、従来提案されてきたパーシャルROM光ディスクのように、双方の領域でCAV方式を用いた場合を考える。ディスク(A)において、ディスクの内周側に再生専用領域、外周側に記録再生領域を配置すると、再生専用領域の占めるディスク半径は25.0mm〜30.4mm、記録再生領域は30.4mm〜60.0mmとなるから、再生専用領域のトラック数は、(30.4−25.0)/0.96×10−3=5625本、記録再生領域のトラック数は、(60.0−30.4)/0.96×10−3=30835本である。
【0049】
そして、再生専用領域において最内周の長さは、25×3.14=157mmであるから、1トラック当たりの記憶容量は、157/0.32×10−3=4.91×10bit/トラックとなり、再生専用領域の記憶容量は、4.91×10×5625×0.75=259MBとなる。
【0050】
記録再生領域において最内周の長さは、30.4×3.14=191mmであるから、1トラック当たりの記憶容量は、191/0.32×10−3=4.24×10bit/トラックとなり、再生専用領域の記憶容量は、4.24×10×30835×0.75=1.23GBとなる。それゆえ、ディスク(A)の全体のデータ記憶容量は1.49GBである。
【0051】
同様にして、ディスク(B)のデータ記憶容量は1.85GB、ディスク(C)のデータ記憶容量は1.76GBとなる。
【0052】
したがって、本実施例では従来例と比較して、ディスク(A)の構成では1.41倍、ディスク(B)の構成では1.32倍、ディスク(C)の構成では1.57倍大きな記憶容量が実現できる。
【0053】
図4は、本実施例の光ディスクにおけるセクタ領域への記録を説明する図である。ここで、ID部11はアドレス番号やセクタ番号等を検出するための識別子部で、この識別子部に再生専用領域と記録再生領域を判別する情報をプリフォーマットしておいても良い。
【0054】
本実施例では、記録再生領域の物理的セクタ長Lを、再生専用領域の物理的セクタ長Lの1.43倍にして、記録・再生時には記録再生領域での光ディスクの回転する線速度を再生専用領域の1.43倍にする。これにより1セクタ当たりのデータ量が等しくすることができ、記録再生装置において再生専用領域と記録再生領域を同等に扱えるので、装置がディスクを容易に管理することが可能である。また、ディスク上の特定部分に各領域のトラック方向記録密度および各領域の範囲を示す識別子を記録しておいても良く、この場合も装置のディスク管理が容易になる。
【0055】
図5は、本実施例の光ディスクにおける再生専用領域と記録再生領域との配置の一例を示す図である。図5において、例えば再生専用領域(a)と関連した情報を記録再生領域(b)に記録し、再生専用領域(c)と関連した情報を記録再生領域(d)に記録すれば、(a)(b)あるいは(c)(d)に記録した情報を連続的に再生する場合に、光学ヘッドの移動時間は最小ですむ。しかも、例えば記録再生領域(b)での線速度と記録再生領域(d)との線速度は等しくできるので、双方の領域への記録は、同一の記録条件で安定に行なうことができる。
【0056】
次に、光学的情報記録媒体の記録再生装置の構成を、図6を参照しながら説明する。図6において、3は本実施例における光ディスクであり、12はスピンドルモーターである。13は光学ヘッド13であり、ステージ14に固着されている。15はレーザパワー変調回路、16は変調回路であり、記録系を構成する。17は再生回路、18は再生信号処理回路、19は復調回路であり、再生系を構成する。20はサーボ回路、21はROM/RAM判別回路、22は回転数制御回路である。23は制御装置であり、例えばマイクロコンピュータにて構成される。
【0057】
以上のような構成の記録再生装置の動作について説明する。図6において、スピンドルモーター12は光ディスク3を回転させる。レーザパワー制御回路15が光学ヘッド13内のレーザを再生用のパワーで発光させ、ディスク上の位相ピット、サンプルピットおよび記録マークを検出する。光学ヘッド9で検出した信号から、再生回路17にて再生信号とフォーカシング/トラッキング信号とを得る。このフォーカシング/トラッキング信号に基づいて、サーボ回路20が光学ヘッド13のフォーカシング/トラッキング制御とステージ14との位置制御をする。この状態で光ディスクの信号の再生が可能になる。
【0058】
そして、再生専用領域の特定部分にプリフォーマットされた各領域の範囲を示す識別情報と、読みとったアドレス/セクタ番号から、ROM/RAM判別回路21において、再生専用領域と記録再生領域との判別をする。光ディスク上のID部に、各領域を示す識別情報がプリフォーマットされている場合には、ID部を読みとることのみで、RAM/ROM判別回路21が、領域の判別をしても良い。また、記録再生領域にのみ光感応性記録膜を成膜したディスクを使用する場合には、双方の領域におけるディスクの反射率の違いから領域の判別をすることもできる。
【0059】
制御装置23は、再生専用領域と記録再生領域とのトラック方向記録密度に応じて、光ディスク3の回転する線速度を切り換える命令を発する。回転数制御回路22は、その命令によりセクタ間隔が一定となるように、スピンドルモーター12の回転数を制御する。
【0060】
一方、再生回路17にて得た再生信号は、再生信号処理回路18においてイコライジングや2値化処理等を行ない、復調回路19にて再生データを復調する。また、記録時には、制御装置23が、ROM/RAM判別回路21にて記録再生領域であることを確認し、レーザパワー制御回路15に記録を許可する信号を送る。そして、記録再生領域である場合には、記録データを変調回路16にて変調し、光学ヘッド13内のレーザのパワーが変調されて光ディスク3への記録を行なう。
【0061】
本実施例では、記録再生領域における光ディスクの回転する線速度を、再生専用領域での線速度の1.43倍になるように回転数を制御することにより、双方の領域において等しいデータ転送レートを得ることができる。その結果、例えば双方の領域でトラック方向記録密度が異なっていても、同一の再生信号処理回路18の使用が可能である。
【0062】
以上のように本実施例によれば、再生専用領域と記録再生領域とのそれぞれの領域内において等線速度で再生及び記録を行ない、再生専用領域のトラック方向記録密度を記録再生領域のトラック方向記録密度以上にすることにより、ディスクの記憶容量を増大させることができ、記録再生領域において安定な情報の記録および再生が可能となり、なおかつ、記録再生領域をディスク上の任意の半径位置に配置することができる。
【0063】
そして、再生専用領域でのディスクの回転する線速度と、記録再生領域での線速度を切り換えることにより、双方の領域でトラック方向記録密度が異なっていても再生信号のデータ転送レートが一定となるので、同一の再生信号処理回路を使用でき、再生信号処理回路の構成を簡単なものにすることができる。
【0064】
(実施の形態2)
以下本発明の第2の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は本発明の第2の実施例における、光ディスクの構造を示す斜視図である。ディスクの構成で第1の実施例と異なるのは、再生専用領域のトラックピッチTpを、記録再生領域のトラックピッチTpより大きくした点である。再生専用領域の最短ピット長MLを、記録再生領域の最短マーク長MLより小さくしているのは、第1の実施例と同様である。なお、各領域での最短ピット/マーク長は、第1の実施例と同様にして決定した。また、各領域のトラックピッチは以下のようにして決定した。
【0065】
図7は、再生専用領域と記録再生領域にてトラックピッチを変えたときの、トラッキングエラー信号振幅の変化である。ただし、再生専用領域でのトラックピッチ1.2μmの場合のトラッキングエラー信号振幅を基準としている。また、記録再生領域ではランド5bとグルーブ5aの両方のトラックに情報を記録しており、記録再生領域でのトラックピッチは、ランド−グルーブ間の間隔を実質的なトラックピッチとして定義している。なお、再生専用領域で基板にランドおよびグルーブを形成し、かつ位相ピットを作製することはマスタリング工程が複雑になることから現実的でない。
【0066】
これより、80%以上の十分に大きなトラッキングエラー信号を得て、安定なトラッキングを行なうためには、少なくとも再生専用領域で0.96μm、記録再生領域で0.48μmのトラックピッチが必要なことがわかった。
【0067】
以上の結果を踏まえて、本実施例では、再生専用領域の最短ピット長MLを0.42μm、トラックピッチTpを0.96μm、記録再生領域の最短マーク長MLを0.60μmとする。また、記録再生領域においてはランドとグルーブの両方のトラックに情報を記録すれば、実質的なトラックピッチTpは0.48μmまで可能であるが、再生専用領域と記録再生領域とで単位面積当たりの記録密度を等しくするためと、隣接したトラックのクロストークを低減するために、0.68μmとする。第1の実施例と同様に、記録は(1,7)RLL変調のマークエッジ記録を行ない、CLV方式を用いる。
【0068】
この場合の単位面積当たりの記録密度を求める。第1の実施例と同様の計算をすると、再生専用領域の単位面積当たりの記録密度は、1mm/(0.32×10−3×0.96×10−3)=3.26×10bit/mmとなり、また、記録再生領域の単位面積当たりの記録密度は、1mm/(0.45×10−3×0.68×10−3)=3.26×10bit/mmとなる。
【0069】
ディスク全体の記憶容量に対する実質的なデータ記憶容量の割合を75%とすると、ディスクの再生(記録)可能領域の面積は60×3.14−25×3.14=9340mmであるから、データ記憶容量は3.26×10×9340×0.75/8=2.85GBとなる。
【0070】
また、この場合には、再生専用領域の単位面積当たりの記録密度と、記録再生領域の単位面積当たりの記録密度とを等しくしているので、再生専用領域と記録再生領域との割合が異なっても、光ディスク全体の記憶容量は一定にすることができる。
【0071】
以上のように本実施例によれば、記録再生領域のトラックピッチを再生専用領域のトラックピッチよりも小さくし、再生専用領域のトラック方向記録密度を記録再生領域のトラック方向記録密度よりも大きくし、かつ記録再生領域と再生専用領域とにおいて単位面積当たりの記録密度と同一にすることにより、再生専用領域と記録再生領域との割合が異なっても、ディスク全体の記憶容量を一定にできるというさらなる利点が生ずる。
【0072】
なお、本実施例では、記録再生領域においてランドとグルーブの両方に情報を記録し、実質的なトラックピッチを再生専用領域より小さくしたが、クロストークが低減できるような他の方法で記録再生領域のトラックピッチを小さくしてもよい。例えば、記録再生領域において、グルーブ(あるいはランド)ピッチを小さくしたディスクを作製し、隣接したトラックには異なる再生方式(たとえば、偏光変化の検出と反射率変化の検出)で再生できるようにグルーブ(あるいはランド)に情報を記録する手法等がある。
【0073】
また、本実施例での光ディスクでは、記録再生領域の単位面積当たり記録密度を再生専用領域の単位面積当たり記録密度と同一としてきたが、記録再生領域のトラックピッチを本実施例よりもさらに小さくして、記録再生領域の単位面積当たり記録密度を再生専用領域より大きくした場合は、記録再生領域と再生専用領域との記憶容量の差として生じる領域を、例えば繰り返し記録に伴って発生する記録再生領域の欠陥部分の代替領域として用いることができ、媒体の信頼性を高めることができる。
【0074】
さらに、上記の実施例で用いられるトラックピッチ、トラック方向記録密度、ディスクの線速度は上述した値に限定されるものではなく、媒体や装置に応じた適切な値を設定することが可能であることは言うまでもない。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、光学的情報記録媒体の双方の領域でのトラック方向記録密度を、再生専用領域の方を記録再生領域以上とすることにより、記憶容量を増大させ、記録再生領域において安定な情報の記録および再生が可能となり、同時に記録再生領域の配置の自由度を高めることができる。
【0076】
また、本発明の光学的情報記録媒体の特に記録再生領域における記録、再生または消去での誤動作を軽減でき、構成を簡便にできるという効果もある。
【0077】
さらに、双方の領域でトラックピッチを異ならせ、記録再生領域の単位面積当たりの記録密度を再生専用領域の単位面積当たりの記録密度と同一以上とするという好ましい態様にすれば、再生専用領域と記録再生領域の割合が異なる媒体でも同一の記憶容量を有するという特別の効果を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第2の実施例における光ディスクの構造を示す斜視図
【図2】第1の実施例における光ディスクの構造を示す斜視図
【図3】再生専用領域と記録再生領域にてピット/マーク長を変えたときの、再生信号のC/N比の特性図
【図4】第1の実施例における光ディスクのセクタ記録を説明する平面図
【図5】第1の実施例における光ディスクの再生専用領域と記録再生領域の配置の一例を示す図
【図6】第1の実施例における光ディスクの記録再生装置の構成図
【図7】再生専用領域と記録再生領域にてトラックピッチを変えたときの、トラッキングエラー信号の特性図
【図8】従来のパーシャルROM光ディスクの模式平面図
【符号の説明】
1 再生専用領域
2 記録再生領域
3 光ディスク
4 位相ピット
5a グルーブ
5b ランド
6 記録マーク
7 反射膜
8 保護膜
9 記録膜
10 基板

Claims (5)

  1. 光学的に透明な基板の同一平面内に、少なくとも1つ以上の再生専用領域と少なくとも1つ以上の記録再生領域とを具備し、少なくとも基板の前記記録再生領域に光感応性記録膜を備え、
    媒体上の特定の領域に、前記再生専用領域と前記記録再生領域を示す識別子を形成したことを特徴とする、光学的情報記録媒体。
  2. 少なくとも1つ以上の再生専用領域と少なくとも1つ以上の記録再生領域が同心円状に交互に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の光学的情報記録媒体。
  3. 記録再生領域は、グルーブおよびランドの両方に情報を記録可能であることを特徴とする、請求項1または2の何れかに記載の光学的情報記録媒体。
  4. 光学的に透明な基板の同一平面内に、再生専用領域と記録再生領域の両方とを具備し、少なくとも基板の前記記録再生領域に光感応性記録膜を備え、媒体上の特定の領域に、前記再生専用領域と前記記録再生領域を示す識別子を形成した光学的情報記録媒体の上に、情報信号を記録あるいは記録された情報信号を再生する記録再生装置であって、媒体上の特定の領域に形成された、前記再生専用領域と前記記録再生領域を示す前記識別子を検出する検出回路を備えることによって、再生専用領域と記録再生領域を判別する判別手段を具備したことを特徴とする前記光学的情報記録媒体の記録再生装置。
  5. 判別手段で再生専用領域を判別した場合、再生専用領域への記録動作を禁止することを特徴とする請求項4に記載の光学的情報記録媒体の記録再生装置。
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