JP2004003980A - 電子制御式時計、電子制御式時計の電力供給制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電子制御式時計は、電源22で駆動されるアナログ回路160と、アナログ回路の一部である定電圧回路161で駆動されるロジック170と、定電圧回路で駆動される発振回路51と、針合わせ時に電源から定電圧回路以外のアナログ回路への電源供給を遮断する電源スイッチ162と、発振回路からロジック回路へのクロック入力を遮断するクロックカットゲート171とを備える。時刻修正操作時には、発振回路と、低電圧回路のみを駆動するため消費電力を低減でき、発振回路は停止されないために時刻指示の誤差も無くすことができる。
【選択図】 図3
Description
【技術分野】
本発明は、水晶振動子等の時間標準源を用いた発振回路からの信号等を基準に運針を制御する電子制御式時計、電子制御式時計の電力供給制御方法に関する。
【0002】
【背景技術】
ICや水晶振動子を利用して制御される電子制御式時計の一つとして、ゼンマイが開放するときの機械的エネルギを発電機で電気的エネルギに変換し、この電気的エネルギにより回転制御装置を作動させて発電機のコイルに流れる電流値等を制御することにより、ゼンマイからの機械的エネルギを発電機に伝達する輪列に固定される指針を正確に駆動して正確に時刻を表示する電子制御式機械時計が知られている。
【0003】
この際、発電機による電気的エネルギを一旦、平滑用コンデンサに供給し、このコンデンサからの電力で回転制御装置を駆動しているが、このコンデンサには発電機の回転周期と同期した交流の起電力が入力されるため、ICや水晶振動子を備える回転制御装置の動作を可能とするための電力を長期間保持する必要がなかった。このため、従来は、ICや水晶振動子を数秒程度動作可能な静電容量の比較的小さなコンデンサ、例えば10μF程度のコンデンサが用いられていた。
【0004】
この電子制御式機械時計は、指針の駆動をゼンマイを動力源とするためにモータが不要であり、部品点数が少なく安価であるという特徴がある。その上、電子回路を作動させるのに必要な僅かな電気エネルギを発電するだけでよく、少ない入力エネルギで時計を作動することもできた。
【0005】
しかしながら、このような電子制御式機械時計は、以下の課題を有している。すなわち、通常はリューズを引き出して行う時刻修正操作(針合わせ操作)を行う場合、正確に時刻を合わせられるように、時、分、秒の各指針を停止させていた。指針を停止することは、輪列を停止させることになるため、発電機も停止されていた。
【0006】
このため、発電機から平滑用コンデンサへの起電力の入力が停止する一方で、ICは駆動し続けるため、コンデンサに蓄えられた電荷はIC側に放電されて端子電圧が徐々に低下し、その結果、ICに加わる電圧が発振停止電圧(Vstop、例えば0.6V)を下回ってしまい、回転制御装置も停止していた。
【0007】
なお、ICの発振が停止した場合には、消費電流は少なくなり、コンデンサの電圧低下も非常に遅くなるため、時刻修正操作に手間取ってコンデンサの電圧が発振停止電圧を下回った場合には、通常、コンデンサは、発振停止電圧よりもやや低下した0.3〜0.4V程度の電圧になることが多い。また、時刻修正操作(針合わせ時間)が数十分以上と非常に長くなると、コンデンサが完全に放電してその電圧が「0」まで低下することもある。
【0008】
このため、針合わせを終えてリューズを押し込み、発電機が回転を開始しても、放電されて電圧が発振停止電圧以下のコンデンサを、回転制御装置の駆動開始電圧(ICを駆動可能な電圧)に達する電圧まで充電するのには時間がかかり、その間はIC(発振回路)が動作せず、正確な時間制御を行えないという問題があった。
【0009】
すなわち、図26に示すように、時間A点でリューズを0段目(通常運針モード)又は、1段目(カレンダー修正モード)から2段目(針合わせモード)に引き出すと、発電機のロータの回転が停止し、コンデンサC1への充電が停止する。一方で、コンデンサC1は、回転制御装置(時間標準源である水晶振動子を駆動する駆動回路「駆動用IC」を含む)へ電気的エネルギを供給し続け、水晶振動子の発振も継続する。
【0010】
その後、電源コンデンサC1の電圧は次第に低下していくが、時間B1点(例えば時間Aから3分以内)で針合わせが終了してリューズが押し込まれ、リューズ位置が2段目から1段目あるいは0段目(通常使用時)に移行すると、再び発電機が作動されて電源コンデンサC1への充電も再開され、電源コンデンサC1の電位も上昇する。この場合、水晶振動子の発振は継続しているため、針合わせ終了後も駆動回路(回転制御装置)は速やかにロータの回転化制御(ブレーキ制御)を行うことができ、針合わせ後の指示誤差もゼロにすることができる。
【0011】
一方で、針合わせ時間が長引き、例えば3分以上経過した場合には、電源コンデンサC1の電圧が駆動回路の発振停止電圧(Vstop、例えば0.6V)を下回り、針合わせが終了した時間B2点では発振が停止してしまう。従って、2点でリューズを1段目に移行させても、回転制御装置が作動してロータの回転制御が行われるまでには、時間T1と時間T2とを足した時間が必要になり、指示誤差が生じていた。
【0012】
なお、時間T1は、回転制御装置内の駆動回路や発振回路が正常に動作できる電圧(Vstart)までに電源コンデンサC1が充電される時間である。通常、VstartはVstopよりも電圧が高く、例えば0.7Vである。
【0013】
また、時間T2は、発振回路に発振開始電圧(Vstart)が印加されてから、発振が開始するまでの時間である。このT2は、図27に例示するように、電源コンデンサC1の電圧が低いほど長くなり、数秒から数十秒掛かっていた。例えば、電源コンデンサC1を徐々に充電して発振開始電圧(Vstart=0.7V)に達した際に、その電圧(0.7V)を印加した場合には、約20秒程度掛かっていた。
【0014】
このため、針合わせ操作に時間が掛かった場合には、、電源コンデンサC1の電圧が低下して発振が停止するため、針合わせを終了しても、発振開始までに上記T1+T2の時間を要し、特に、発振回路に印加される電圧が低いためにT2だけでも数秒から数十秒掛かってしまう。そして、発振が開始されるまでは、ロータの回転が制御されることはないため、指針は著しい進みあるいは遅れの指示誤差を示すという問題があった。
【0015】
また、電源コンデンサC1の容量を大きくして、より長時間針合わせ時間を確保することで、3分以上針合わせ操作をしても発振が停止しないように構成することも考えられる。
【0016】
しかしながら、コンデンサの容量を大きくすることは、そのまま電源電圧の上昇スピードを遅らせることになるため、例えばゼンマイが開放されて停止している場合のように、電源コンデンサに電荷が蓄積されていない状態から電圧を上昇させるのに長時間を要することになる。つまり、ゼンマイを巻きはじめてから電源電圧が上昇するまで、長時間に渡って指針が正確な時刻を刻むことができなくなってしまうという問題点を生じる。この場合、状態によっては時計が故障していると利用者が間違える可能性もあり、コンデンサの容量を大きくすることは難しかった。
【0017】
さらに、発電機の発電能力を大きくして短時間での充電を可能にすることが考えられるが、発電機サイズが大きくなることや、この発電機に機械的エネルギを供給するゼンマイの伝達トルクのアップに伴い、ゼンマイのサイズアップが必要になり、腕時計のように平面サイズや厚みに制約がある場合には採用できなかった。
【0018】
また、電子制御式機械時計以外の自動巻発電式時計や、ソーラー充電式時計、電池式時計等の各種電子制御式時計においても、消費電力を減少させて駆動時間を延ばすために、時刻修正操作時に発振回路やIC等を停止させているものもあったが、この場合も発振回路が安定して作動されるまでには、数秒〜数十秒程度かかる場合もあり、その場合には時刻誤差が生じてしまうという問題があった。
【0019】
本発明の目的は、時刻修正操作後の時刻指示の誤差を小さくすることができる電子制御式時計、電子制御式時計の電力供給制御方法および電子制御式時計の時刻修正方法を提供することにある。
【0020】
【発明の開示】
本発明の電子制御式時計は、電源と、この電源で駆動されるアナログ回路部と、アナログ回路部の一部に設けられたロジック回路用電源回路と、このロジック回路用電源回路の出力によって駆動されるロジック回路部と、前記ロジック回路用電源回路の出力によって駆動される発振回路とを備える電子制御式時計において、前記電子制御式時計の時刻修正操作時に、前記電源からロジック回路用電源回路以外のアナログ回路部への電気エネルギの供給を遮断する電源スイッチと、発振回路からロジック回路部へのクロック入力を遮断するクロック入力規制手段とを備えることを特徴とするものである。
【0021】
本発明では、時刻修正操作(針合わせ)時には、電源スイッチによってコンデンサや電池等の電源からロジック回路用電源回路以外のアナログ回路部への電気エネルギの供給が遮断され、かつクロック入力規制手段によって発振回路からロジック回路部へのクロック入力が遮断される。つまり、針合わせ時には、発振回路と、この発振回路の駆動に必要なロジック回路用電源回路のみを駆動し、その他の回路の動作をすべて停止させている。これにより、針合わせ時の消費電力を低減でき、コンデンサの容量が小さい場合でも、通常の針合わせ操作時間程度(例えば3〜5分程度)では電源コンデンサの電圧低下を抑制することができ、発振回路の駆動を維持することができる。そして、針合わせ時も発振回路を作動させ続けることができるため、針合わせ操作からの復帰時に、迅速に通常の制御状態に戻すことができ、針合わせからの復帰時の時間指示の誤差も無くすことができる。また、消費電力を低減できるので、発電機サイズを大きくする必要が無く、腕時計のように平面サイズや厚みに制約がある場合にも適用できる。
【0022】
前記ロジック回路用電源回路としては、定電圧回路で構成されているものなどが利用できる。
【0023】
この電子制御式時計は、前記時刻修正操作(針合わせ)時に、前記ロジック回路部の内部状態を初期化するロジック回路初期化手段を備えることが好ましい。
【0024】
ロジック回路部に針合わせ操作前の制御情報が残っていると、針合わせ操作からの復帰時にロータの調速制御がスムーズに開始されず、調速制御が開始されるまでに要した時間が誤差として生じてしまうおそれがある。これに対し、針合わせ時にロジック回路部のクロック入力を遮断する際に、内部状態も初期化すれば、針合わせからの復帰時にロータの調速制御もスムーズに行われ、時刻指示誤差も確実に無くすことができる。
【0025】
また、電子制御式時計は、少なくとも通常状態および時刻修正操作(針合わせ)状態の2段階の状態を設定可能な外部操作部材と、この外部操作部材の状態を検出する外部操作部材検出回路とを備え、前記外部操作部材検出回路は、第1および第2のインバータと、第1のインバータの出力側と第2のインバータの入力側とを連結する第1の信号ラインと、第2のインバータの出力側と第1のインバータの入力側とを連結する第2の信号ラインと、外部操作部材が針合わせ状態にある時には信号入力ラインと前記第1および第2の信号ラインとの一方とを接続し、針合わせ以外の状態にある時には信号入力ラインと前記第1および第2の信号ラインとの他方とを接続する切替スイッチとを備えることが好ましい。
【0026】
竜頭やボタン等の外部操作部材の引き出し状態を検出する場合、通常は図28に示すような竜頭検出回路100を用いていた。例えば、電子制御式機械時計の竜頭の引き出し段階は、通常の0段目(竜頭を回転させるとゼンマイを巻き上げ可能な状態であり、運針かつ発電状態にある場合)と、1段目(竜頭を回転させ)るとカレンダを修正可能な状態であり、運針かつ発電状態にある場合)と、2段目(竜頭を回転させると時刻を修正可能な状態であり、ロータの回転が停止し、運針も発電も行われない場合)との3段階ある。
【0027】
竜頭検出回路100は、竜頭の引き出し段階に応じてオン、オフされるスイッチ101と、2つのプルダウン抵抗102,103と、インバータ104とを備える。そして、プルダウン抵抗102のゲートは電位VDD(Hレベル)とされ、プルダウン抵抗102は常時オン状態とされる。また、プルダウン抵抗103のゲートはインバータ104を介してプルダウン抵抗102に接続されている。スイッチ101は、竜頭が0,1段目にある場合にはオフ(OPEN)され、2段目にある場合にはオン(CLOSE)される。
【0028】
竜頭が0,1段目でスイッチ101がオフされると、プルダウン抵抗102はオン状態とされ、電位VSSつまりLレベル信号がインバータ104に入力され、インバータ104の出力信号はHレベル信号となる。従って、プルダウン抵抗103のゲートにはHレベル信号が入力され、プルダウン抵抗103もオン状態とされる。
【0029】
また、竜頭が2段目でスイッチ101がオンされると、電位VDDつまりHレベル信号がインバータ104に入力され、インバータ104の出力信号はLレベル信号となる。以上のように、竜頭の引き出し位置で竜頭検出回路100の出力が「Hレベル」および「Lレベル」に切り替わり、竜頭の位置を検出できるようにしていた。
【0030】
このような従来の竜頭検出回路100は、針合わせ時で竜頭が2段目の時にもプルダウン抵抗102がオンしているので、このプルダウン抵抗102によりエネルギーが消費されてしまうという問題があった。さらに、竜頭に限らず専用のボタン等で針合わせ状態を設定する場合もあったが、これらの竜頭やボタン等の外部操作部材で針合わせする際にも、その外部操作部材の状態を検出する外部操作部材検出回路は竜頭検出回路100と同様の構成であったため、同様の問題があった。
【0031】
これに対し、前述したような、論理回路を用いた外部操作部材検出回路を用いた電子制御式時計であれば、外部操作部材検出回路によるエネルギーの消費を殆ど無くすことができ、針合わせ時の消費電力をより一層低減することができる。
【0032】
本発明の電子制御式時計は、機械的エネルギ源と、前記機械的エネルギ源によって駆動されて誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置とを備える電子制御式機械時計であることが好ましい。
【0033】
電子制御式機械時計は、電源であるコンデンサの容量が小さいため、特に本発明を適用して針合わせ時の消費電力を小さくすれば、針合わせ操作時間を確保できて取り扱いを容易にできる。
【0034】
本発明の電子制御式時計の電力供給制御方法は、電源と、この電源で駆動されるアナログ回路部と、アナログ回路部の一部に設けられたロジック回路用電源回路と、このロジック回路用電源回路の出力によって駆動されるロジック回路部と、前記ロジック回路用電源回路の出力によって駆動される発振回路とを備える電子制御式時計の電力供給制御方法であって、前記電子制御式時計の時刻修正操作時に、前記電源からロジック回路用電源回路以外のアナログ回路部への電気エネルギの供給を遮断し、かつ、発振回路からロジック回路部へのクロック入力を遮断することを特徴とするものである。
【0035】
本発明では、針合わせ時に、コンデンサや電池等の電源からロジック回路用電源回路以外のアナログ回路部への電気エネルギの供給を遮断し、かつ発振回路からロジック回路部へのクロック入力を遮断しているので、針合わせ時の消費電力を低減でき、コンデンサの容量が小さい場合でも、通常の針合わせ操作時間程度(例えば3〜5分程度)では電源コンデンサの電圧低下を抑制することができ、発振回路の駆動を維持することができる。このため、針合わせ操作からの復帰時に、迅速に通常の制御状態に戻すことができ、針合わせからの復帰時の時間指示の誤差も無くすことができる。
【0036】
この際、前記電子制御式時計の針合わせ時に、前記ロジック回路部の内部状態を初期化することが好ましい。針合わせ時にロジック回路部のクロック入力を遮断する際に、内部状態も初期化すれば、針合わせからの復帰時にロータの調速制御もスムーズに行われ、時刻指示誤差も確実に無くすことができる。
【0037】
本発明の電子制御式時計は、機械的エネルギ源と、この機械的エネルギ源により駆動されることにより電気的エネルギを出力する発電機と、当該発電機から出力された電気的エネルギを蓄える蓄電装置と、この蓄電装置から供給された電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置とを備える電子制御式時計であって、時刻修正操作に基づいて前記発電機の作動が停止している際に、前記蓄電装置から前記回転制御装置への電気的エネルギの供給を遮断する電力供給制御装置と、前記発電機が作動して電力供給制御装置によって蓄電装置から回転制御装置への電気的エネルギの供給が再開された際に、回転制御装置が正常動作するまでの時刻指示の誤差を補正する指示誤差補正装置とを備えていることを特徴とするものである。
【0038】
このような本発明によれば、時刻修正操作(針合わせ)時等に発電機の作動が停止した場合に、電力供給制御装置によって蓄電装置から回転制御装置への電気的エネルギの供給を遮断しているので、回転制御装置の発振回路は停止されるが、発電機の作動が停止している間も蓄電装置は充電状態に維持される。
【0039】
従って、針合わせ操作からの復帰時に、発電機が十分に立ち上がる前であっても、蓄電装置から回転制御装置に電気的エネルギを供給して回転制御装置を作動させることができ、回転制御装置が作動されるまでのタイムラグによる誤差を無くすことができ、針合わせ時の時間制御の誤差を小さくすることができる。特に、蓄電装置の電圧は比較的高い状態に維持されているため、回転制御装置の発振回路が発振するまでの時間も短縮することができ、回転制御装置を迅速に作動させることができる。
【0040】
その上、指示誤差補正装置を備えているので、回転制御装置が正常動作するまでの指針の指示誤差を補正することができ、指示ずれを無くすあるいは非常に小さくすることができる。
【0041】
この際、前記指示誤差補正装置は、予め設定された値分の定量補正を行うように構成されていてもよいし、前記蓄電装置の電圧に応じて補正量を設定するように構成されていてもよい。
【0042】
さらに、前記指示誤差補正装置は、温度を検出して補正量を調整するように構成されていてもよい。
【0043】
より具体的には、前記指示誤差補正装置は、温度センサと、前記蓄電装置の電圧を測定する電圧検出器と、前記温度センサおよび電圧検出器の検出値に基づいて補正量を設定する補正量設定装置とを備えて構成されていることが好ましい。
【0044】
蓄電装置の電圧がある大きさに維持されるため、その電圧を発振回路に印加した際の発振までの時間も常時ほぼ一定となるため、ある値の定量補正を行うことでも指示誤差を十分に小さくできる。また、実際の蓄電装置の電圧を検出して補正値を調整すれば、より精度の高い補正を行えて指示誤差をより一層小さくできる。
【0045】
さらに、発振回路に電圧を加えた際の発振開始までの時間は、図16に示すように、温度によっても変化する。このため、電子制御式時計に温度計を設けて発振回路近辺の温度を測定し、その温度に応じて補正量を調整すれば、より精度の高い補正を行うことができ、特に高温状態や低温状態での指示誤差のずれをより一層小さくすることができる。
【0046】
また、前記電力供給制御装置は、前記蓄電装置に直列に接続されるとともに、前記発電機が作動している際は接続され、発電機が停止している際には切断されるスイッチを備えて構成されていることが好ましい。
【0047】
このスイッチとしては、電気的なスイッチでもよいが、機械式スイッチであることが好ましい。電気的なスイッチを用いた場合には、機械式スイッチのように完全に電力の供給を遮断できないことがあるが、その場合でも、電気的スイッチを構成するシリコンダイオードのリーク電流(1nA程度)しか放電しないため、スイッチの遮断効果は機械式スイッチの場合とほとんど同じである。但し、機械式スイッチを用いれば、電力の供給を完全に遮断できる点で好ましい。
【0048】
さらに、前記スイッチはリューズを引き出して時刻修正(針合わせ)モードにしたときに切断され、リューズを押し込んで定常状態にしたときに接続される機械式スイッチであることが好ましい。このようなリューズの操作に応じて断続するスイッチを用いれば、針合わせ操作に確実に連動してスイッチを断続することができる。
【0049】
また、前記蓄電装置には、第2蓄電装置(第2コンデンサ)が並列に接続されていることが好ましい。第2蓄電装置が設けられていれば、時計に衝撃が加わった場合などに、前記スイッチがチャタリングを起こしても、第2蓄電装置から電力を供給し続けることができ、回転制御装置がチャタリングで停止されることを防止できる。
【0050】
また、本発明の電子制御式時計の時刻修正方法は、機械的エネルギ源と、この機械的エネルギ源により駆動されることにより電気的エネルギを出力する発電機と、当該発電機から出力された電気的エネルギを蓄える蓄電装置と、この蓄電装置から供給された電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置とを有する電子制御式時計の時刻修正方法であって、前記電子制御式時計の時刻修正をする際に、前記蓄電装置から前記回転制御装置への電気的エネルギの供給を遮断し、時刻修正操作の終了時に、蓄電装置から回転制御装置への電気的エネルギの供給を再開するとともに、回転制御装置が正常動作するまでの時刻指示の誤差を補正することを特徴とするものである。
【0051】
この際、時刻修正操作の終了時に、予め設定された値で指示誤差を定量補正してもよいし、蓄電装置の電圧に応じて設定される補正量で指示誤差を補正してもよい。さらに、時刻修正操作の終了時に、温度を検出し、その温度に応じて前記補正量を調整してもよい。
【0052】
このような本発明によっても、時刻修正操作時等に発電機が停止した場合に、電力供給制御装置によって蓄電装置から回転制御装置への電気的エネルギの供給を遮断しているので、発電機が停止している間も蓄電装置は充電状態に維持される。従って、時刻修正操作からの復帰直後に、蓄電装置から回転制御装置に電気的エネルギを供給して回転制御装置を作動させることができ、さらにその印加電圧も比較的高くできるため、回転制御装置を迅速に作動させることができ、時刻修正操作後の指示誤差を小さくすることができる。
【0053】
その上、蓄電装置の電圧値や温度等に応じて指示誤差を補正しているので、回転制御装置が正常動作するまでの指針の指示誤差を補正することができ、指示ずれを無くすことができる。
【0054】
本発明は、機械的エネルギ源と、この機械的エネルギ源により駆動されることにより電気的エネルギを出力する発電機と、電気的エネルギにより駆動されて発電機の回転周期を制御する回転制御装置とを備える時計において、発電機から供給される電気的エネルギを蓄えて前記回転制御装置を駆動する主蓄電装置と、この主蓄電装置に対して時刻修正操作に連動する機械式スイッチを介して並列に接続される補助蓄電装置と、主蓄電装置と補助蓄電装置との間に配置され、かつ、主蓄電装置と補助蓄電装置とへの充電電流や、主蓄電装置と補助蓄電装置間の電流の方向、電流量を調整する充電制御回路と、を備えていることを特徴とする。
【0055】
この際、充電制御回路は、特に、機械式スイッチが接続されて主蓄電装置および補助蓄電装置が発電機からの電気的エネルギで充電される際に、補助蓄電装置への充電電流(充電量)を、主蓄電装置への充電電流(充電量)に比べて小さくし、かつ、主蓄電装置に比べて補助蓄電装置の電圧が高い場合には、補助蓄電装置から主蓄電装置への充電を許容するように構成されていることが好ましい。
【0056】
このような本発明によれば、機械式スイッチによって主蓄電装置および発電機側と遮断される補助蓄電装置を備えているので、通常の運針時に時刻修正操作(針合わせ操作)によって発電機が停止した場合でも、補助蓄電装置を充電状態に維持できる。このため、針合わせ操作からの復帰時に、主蓄電装置の端子電圧が回転制御装置を駆動可能な電圧以下に低下していても、前記機械式スイッチが接続されることで、補助蓄電装置から主蓄電装置に電流を供給して充電することができる。従って、主蓄電装置の電圧を高めて回転制御装置を迅速に駆動させることが可能となり、回転制御装置が駆動されるまでのタイムラグによる誤差をなくすことができ、針合わせ時の時間制御の誤差(時刻修正操作後の時刻指示の誤差)を小さくすることが可能となる。
【0057】
また、針合わせ操作に時間が掛かったり、時計を長期間放置して発電機が停止していたために、補助蓄電装置の端子電圧も自己放電等で低下していた際に、機械式スイッチが接続されて発電機から各蓄電装置に電流が供給された場合には、電流の方向や電流量を調整可能な充電制御回路によって、例えば、主蓄電装置の充電電流が補助蓄電装置に比べて大きくなるように制御されるため、主蓄電装置は迅速に回転制御装置を駆動可能な電圧まで充電される。これにより、時計を長期間放置した後でも、回転制御装置を迅速に駆動させることが可能となり、回転制御装置が駆動されるまでのタイムラグによる誤差を小さくすることができ、針合わせ時の時間制御の誤差を小さくすることが可能となる。
【0058】
従って、本発明によれば、針合わせ後の起動性の確保および針合わせ精度の確保を両立させることができる。
【0059】
さらに、主蓄電装置と補助蓄電装置との充放電を制御するものとして、受動素子のみからなる充電制御回路を用いることが好ましい。受動素子で構成された充電制御回路を用いれば、能動素子であるコンパレータを用いる場合に比べて、消費電力を軽減することができ、発電機の能力も小さくできる。
【0060】
すなわち、主蓄電装置と補助蓄電装置との2つの蓄電装置(コンデンサ等)の充放電を制御する場合、通常は、各コンデンサの電圧をコンパレータで検出し、このコンパレータの出力によってトランジスタなどで構成される切替回路を作動させて各コンデンサの充放電を制御するのが一般的である。このような時計では、コンパレータは能動素子であり、その電圧検出動作のために、当該コンパレータに電力を供給しなければならず、消費電力が大きくなるという問題がある。
【0061】
特に、当該時計のように発電電力が極めて小さいシステムでは、コンパレータに電力を供給するために、現在よりも発電機の能力を大きくする必要がある。発電機の能力を大きくするためには、供給トルクを大きくする手段と、発電機そのものの大きさを大きくすることが考えられる。
【0062】
しかし、前者の場合、ゼンマイからの供給エネルギーを大きくすることは、ゼンマイが早く解けることになるため、フル巻き状態からの持続時間が短くなってしまうという問題がある。さらに、後者の場合、発電機が大きくなることによって、時計体という限られたスペースでの部品配置が困難となり、結果的に時計自体の大きさが大きくなるという問題もある。
【0063】
これに対し、本発明によれば、受動素子からなる充電制御回路を用いているので、能動素子であるコンパレータを用いる場合に比べて、消費電力を軽減することができ、発電機の能力も小さくできる。
【0064】
また、前記主蓄電装置の静電容量は、補助蓄電装置の静電容量以下に設定されていることが好ましい。このようにすれば、主蓄電装置が放電された際に、補助蓄電装置から電流を流して迅速に主蓄電装置の電圧を高めることができる。従って、主蓄電装置によって駆動される駆動回路も迅速に駆動することができる。
【0065】
以上において、前述の機械式スイッチは、時刻修正をする際には切断され、時刻修正操作終了時には接続されるように構成されていることが好ましい。
【0066】
このようにすれば、発電機の作動が停止する時刻修正操作(針合わせ)時に、補助蓄電装置を回転制御装置側から確実に遮断して充電状態を長時間維持することができ、針合わせ操作時間も長時間確保することができる。
【0067】
また、前述の充電制御回路は、抵抗と、この抵抗に対して並列に接続されたダイオードとを備えて構成され、ダイオードは、発電機から補助蓄電装置を充電する電流方向に対しては逆方向となり、補助蓄電装置から主蓄電装置を充電する電流方向に対しては順方向となるように接続されていることが望ましい。
【0068】
このようにすれば、発電機から各蓄電装置を充電する際には、補助蓄電装置には、ダイオードに並列に接続された抵抗を介して電流が流れる。このため、抵抗の抵抗値によって主蓄電装置および補助蓄電装置への充電量を制御することが可能となる。つまり、100MΩなどの抵抗値が大きな抵抗を用いることで、補助蓄電装置には電流が流れ難くなり、主蓄電装置の方に多く流れて主蓄電装置の充電が迅速に行われる。従って、抵抗値を適宜設定することで、主蓄電装置への充電量が制御可能となっている。
【0069】
一方で、針合わせ操作からの復帰時に、補助蓄電装置から主蓄電装置への充電は、ダイオードを介して行われるので、抵抗を介して充電する場合に比べて主蓄電装置への充電ロスを少なくすることが可能となる。
【0070】
さらに、前述の充電制御回路は、発電機から補助蓄電装置を充電する電流方向に対しては逆方向となり、補助蓄電装置から主蓄電装置を充電する電流方向に対しては順方向となるように接続された逆リーク電流を有するダイオードのみで構成されていてもよい。
【0071】
このようにすれば、発電機から各蓄電装置を充電する際には、補助蓄電装置には、ダイオードの逆リーク電流によって小さい電流が供給される。このため、補助蓄電装置には電流が流れ難くなり、主蓄電装置の方に多く流れて主蓄電装置の充電が迅速に行われる。
【0072】
また、針合わせ操作からの復帰時に、補助蓄電装置から主蓄電装置への充電は、ダイオードの順方向の電流となるので、電圧降下も小さく充電ロスを少なくすることが可能となる。
【0073】
その上、充電制御回路をダイオードのみで構成すれば、充電制御回路、ひいては時計の部品点数を少なくすることが可能となり、これにより、製造コストを低減することが可能となる。
【0074】
また、前述の充電制御回路は、抵抗と、この抵抗に対して並列に接続された一方向素子とを備えて構成され、一方向素子は、発電機から補助蓄電装置を充電する方向の電流は遮断し、補助蓄電装置から主蓄電装置を充電する方向の電流を流すように接続されていてもよい。この際、一方向素子としては、逆リーク電流のないダイオードなどが利用できる。
【0075】
このようにすれば、ダイオードおよび抵抗を並列に接続した場合と同様に、発電機から各蓄電装置に充電する際には、補助蓄電装置へは抵抗を介して充電され、主蓄電装置の充電量を大きくして迅速に充電することができる。また、補助蓄電装置から主蓄電装置に充電する場合は、一方向素子を介して行われるので、主蓄電装置への充電ロスを少なくすることが可能となる。
【0076】
さらに、逆リーク電流のないダイオードのように一方向のみに電流が流れる一方向素子を用いれば、逆リーク電流などによる充電量の誤差が発生しないため、充電電流を正確に制御することができる。
【0077】
この際、前記機械式スイッチが接続されて蓄電装置から回転制御装置への電気的エネルギの供給が再開された際に、回転制御装置が正常動作するまでの時刻指示の誤差を補正する指示誤差補正装置を備えていることが好ましい。
【0078】
指示誤差補正装置を備えていれば、回転制御装置が正常動作するまでの時刻指示の誤差を補正することができ、指示ずれを無くすあるいは非常に小さくすることができる。
【0079】
この際も、指示誤差補正装置としては、予め設定された値分の定量補正を行うように構成されていてもよいし、前記蓄電装置の電圧に応じて補正量を設定するように構成されていてもよい。さらに、前記指示誤差補正装置は、温度を検出して補正量を調整するように構成されていてもよい。より具体的には、前記指示誤差補正装置は、温度センサと、前記蓄電装置の電圧を測定する電圧検出器と、前記温度センサおよび電圧検出器の検出値に基づいて補正量を設定する補正量設定装置とを備えて構成されていることが好ましい。
【0080】
本発明の電子制御式時計の電力供給制御方法は、機械的エネルギ源と、この機械的エネルギ源により駆動されることにより電気的エネルギを出力する発電機と、前記電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置とを備える電子制御式時計の電力供給制御方法において、前記発電機から供給される電気的エネルギを蓄えて前記回転制御装置を駆動する主蓄電装置を設けるとともに、この主蓄電装置に機械式スイッチを介して補助蓄電装置を並列に接続し、電子制御式時計の時刻修正をする際には前記機械式スイッチを切断し、時刻修正操作終了時に前記機械式スイッチを接続した際に、補助蓄電装置の電圧が主蓄電装置の電圧に比べて高い場合には、補助蓄電装置から主蓄電装置に電流を流して充電し、補助蓄電装置の電圧が主蓄電装置の電圧以下の場合には、発電機から主蓄電装置に供給される充電電流を、発電機から補助蓄電装置に供給される充電電流よりも大きくすることを特徴とするものである。
【0081】
このような本発明においても、針合わせ操作からの復帰時に、主蓄電装置の電圧を高めて回転制御装置を迅速に駆動させることが可能となり、回転制御装置が駆動されるまでのタイムラグによる誤差をなくすことができ、針合わせ時の時間制御の誤差(時刻修正操作後の時刻指示の誤差)を小さくすることが可能となる。
【0082】
また、時計を長期間放置した後でも、回転制御装置を迅速に駆動させることが可能となり、回転制御装置が駆動されるまでのタイムラグによる誤差を小さくすることができ、針合わせ時の時間制御の誤差を小さくすることが可能となる。従って、本発明によれば、針合わせ後の起動性の確保および針合わせ精度の確保を両立させることができる。
【0083】
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の第1実施形態の電子制御式時計である電子制御式機械時計を示すブロック図が示されている。
【0084】
電子制御式機械時計は、機械的エネルギ源としてのゼンマイ1aと、ゼンマイ1aのトルクを発電機20に伝達する機械エネルギ伝達手段としての増速輪列7と、増速輪列7に連結されて時刻表示を行う時刻表示装置である指針13とを備えている。
【0085】
発電機20は、増速輪列7を介してゼンマイ1aによって駆動され、誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する。この発電機20からの交流出力は、昇圧整流、全波整流、半波整流、トランジスタ整流等の少なくとも一つを有する整流回路21を通して整流され、必要に応じて昇圧されコンデンサ等で構成された電源である電源回路22に充電供給される。
【0086】
本実施形態では、図2にも示すように、ブレーキ回路120を発電機20に設けている。具体的には、発電機20で発電された交流信号(交流電流)が出力される第1の交流出力端子MG1と、第2の交流出力端子MG2とを短絡等によって閉ループさせてショートブレーキを掛けるスイッチ121によりブレーキ回路120が構成され、このブレーキ回路120は図1に示す調速機を兼用した発電機20に組み込まれている。スイッチ121は、チョッピング信号(チョッピングパルス)CH3によって断続されるアナログスイッチや半導体スイッチ(パイラテラルスイッチ)等で構成されている。
【0087】
そして、発電機20に接続された昇圧用のコンデンサ123、ダイオード124,125、スイッチ121を備えて昇圧整流回路21(図1では整流回路21)が構成されている。なお、ダイオード124,125としては、一方向に電流を流す一方向性素子であればよく、その種類は問わない。特に、電子制御式機械時計では、発電機20の起電圧が小さいため、ダイオード125としては降下電圧Vfが小さいショットキーバリアダイオードを用いることが好ましい。また、ダイオード124としては、逆リーク電流が小さいシリコンダイオードを用いることが好ましい。
【0088】
そして、この整流回路21で整流された直流信号は、コンデンサ(電源回路)22に充電される。
【0089】
前記ブレーキ回路120は、コンデンサ22から供給される電力によって駆動される電子回路である回転制御装置50により制御されている。この回転制御装置50は、図1,2に示すように、発振回路51、ロータの回転検出回路53、ブレーキの制御回路56を備えて構成されている。
【0090】
発振回路51は時間標準源である水晶振動子51Aを用いて発振信号(32768Hz)を出力し、この発振信号は12段のフリップフロップからなる分周回路52によってある一定周期まで分周される。分周回路52の12段目の出力Q12は、8Hzの基準信号として出力されている。
【0091】
回転検出回路53は、発電機20に接続された波形整形回路61とモノマルチバイブレータ62とで構成されている。波形整形回路61は、アンプ、コンパレータで構成され、正弦波を矩形波に変換する。モノマルチバイブレータ62は、ある周期以下のパルスだけを通過させるバンドパス・フィルターとして機能し、ノイズを除去した回転検出信号FG1を出力する。
【0092】
制御回路56は、制動制御手段であるアップダウンカウンタ54と、同期回路70と、チョッピング信号発生部80とを備えている。
【0093】
アップダウンカウンタ54のアップカウント入力およびダウンカウント入力には、回転検出回路53の回転検出信号FG1および分周回路52からの基準信号fsが同期回路70を介してそれぞれ入力されている。
【0094】
同期回路70は、4つのフリップフロップ71やANDゲート72からなり、分周回路52の5段目の出力(1024Hz)や6段目の出力(512Hz)の信号を利用して、回転検出信号FG1を基準信号fs(8Hz)に同期させるとともに、これらの各信号パルスが重なって出力されないように調整している。
【0095】
アップダウンカウンタ54は、4ビットのカウンタで構成されている。アップダウンカウンタ54のアップカウント入力には、前記回転検出信号FG1に基づく信号が同期回路70から入力され、ダウンカウント入力には、前記基準信号fsに基づく信号が同期回路70から入力される。これにより、基準信号fsおよび回転検出信号FG1の計数と、その差の算出とが同時に行えるようになっている。
【0096】
なお、このアップダウンカウンタ54には、4つのデータ入力端子(プリセット端子)A〜Dが設けられており、端子A,B,DにHレベル信号が入力されていることで、アップダウンカウンタ54の初期値(プリセット値)がカウンタ値「11」に設定されている。
【0097】
また、アップダウンカウンタ54のLOAD入力端子には、コンデンサ22に接続されてコンデンサ22に最初に電力が供給された際に、システムリセット信号SRを出力する初期化回路91が接続されている。なお、本実施形態では、初期化回路91は、コンデンサ22の充電電圧が所定電圧になるまではHレベルの信号を出力し、所定電圧以上になればLレベルの信号を出力するように構成されている。
【0098】
アップダウンカウンタ54は、LOAD入力つまりシステムリセット信号SRがLレベルになるまでは、アップダウン入力を受け付けないため、図4に示すように、アップダウンカウンタ54のカウンタ値は「11」に維持される。
【0099】
アップダウンカウンタ54は、4ビットの出力QA〜QDを有している。従って、カウンタ値が「12」以上であれば、3,4ビット目の出力QC,QDは共にHレベル信号を出力し、カウンタ値が「11」以下であれば、3,4ビット目の出力QC,QDの少なくとも一方は必ずLレベル信号を出力する。
【0100】
従って、出力QC,QDが入力されるANDゲート110の出力LBSは、アップダウンカウンタ54のカウンタ値が「12」以上であればHレベル信号となり、カウンタ値が「11」以下であればLレベル信号となる。この出力LBSは、チョッピング信号発生部80に接続されている。
【0101】
なお、出力QA〜QDが入力されたNANDゲート111およびORゲート112の各出力は、同期回路70からの出力が入力されるNANDゲート113にそれぞれ入力されている。従って、例えばアップカウント信号の入力が複数個続いてカウンタ値が「15」になると、NANDゲート111からはLレベル信号が出力され、さらにアップカウント信号がNANDゲート113に入力されても、その入力はキャンセルされてアップダウンカウンタ54にアップカウント信号がそれ以上入力されないように設定されている。同様に、カウンタ値が「0」になると、ORゲート112からはLレベル信号が出力されるため、ダウンカウント信号の入力はキャンセルされる。これにより、カウンタ値が「15」を越えて「0」になったり、「0」を越えて「15」になったりしないように設定されている。
【0102】
チョッピング信号発生部80は、3つのANDゲート82〜84で構成され、分周回路52の出力Q5〜Q8を利用して第1のチョッピング信号CH1を出力する第1チョッピング信号発生手段81と、2つのORゲート86,87で構成され、分周回路52の出力Q5〜Q8を利用して第2のチョッピング信号CH2を出力する第2チョッピング信号発生手段85と、前記アップダウンカウンタ54からの出力LBSと、第2チョッピング信号発生手段85の出力CH2とが入力されるANDゲート88と、このANDゲート88の出力と前記第1チョッピング信号発生手段81の出力CH1とが入力されるNORゲート89とを備えている。
【0103】
このチョッピング信号発生部80のNORゲート89からの出力CH3は、Pchトランジスタ等からなるスイッチ121のゲート等に入力されている。従って、出力CH3からLレベル信号が出力されると、スイッチ121はオン状態に維持され、発電機20がショートされてブレーキが掛かる。
【0104】
一方、出力CH3からHレベル信号が出力されると、スイッチ121はオフ状態に維持され、発電機20にはブレーキが加わらない。従って、出力CH3からのチョッピング信号によって発電機20をチョッピング制御することができ、このチョッピング信号を出力するチョッピング信号発生部80を含んで、スイッチ121を断続してチョッピングする回転制御装置50が構成されている。
【0105】
この回転制御装置50の各回路を回路の種類毎に分けると、図3に示すように、アナログ回路160と、ロジック回路170とになる。アナログ回路160は、電源VSSにより駆動される回路であり、具体的には、発電機20や整流回路21からロータの回転状況等の情報を得る回転検出回路53の一部や、整流回路21の制御を行う回路等が含まれる。なお、回転検出回路53等で検出されたロータの回転状況等の情報は、ロジック回路170に伝達される。
【0106】
さらに、アナログ回路160には、ロジック回路用電源回路である定電圧回路161も含まれている。定電圧回路161は、電源VSSにより駆動され、電源VSSよりも低く、かつ一定のレベルの電圧Vregを出力する回路である。この定電圧回路161は、整流回路21やアナログ回路160を除くすべての回路(発振回路51やロジック回路170)の駆動用電源となっている。
【0107】
ロジック回路170には、分周回路や各種の制御回路が含まれ、主にアナログ回路160からロータの回転状況等の情報を得て、ロータが一定の速度で回転するように発電機20を調速制御する制御回路56等が含まれている。
【0108】
すなわち、回転検出回路53や制御回路56には、アナログ回路160とロジック回路170とがそれぞれ含まれている。
【0109】
さらに、電子制御式時計は、通常状態と針合わせ状態とを切り替える外部操作部材である竜頭の引き出し位置を検出する外部操作部材検出回路である竜頭検出回路180を備えている。電子制御式時計では、竜頭は、竜頭を回転させるとゼンマイを巻き上げ可能な状態であり、運針かつ発電状態にある0段目、竜頭を回転させるとカレンダを修正可能な状態であり、運針かつ発電状態にある1段目、竜頭を回転させると時刻を修正可能な状態であり、ロータの回転が停止し、運針も発電も行われない2段目の3段階に引き出し可能にされている。
【0110】
竜頭検出回路180は、第1および第2のインバータ181,182と、第1のインバータ181の出力側と第2のインバータ182の入力側とを連結する第1の信号ライン183と、第2のインバータ182の出力側と第1のインバータ181の入力側とを連結する第2の信号ライン184と、竜頭が針合わせ状態(2段目)にある時には電源VDDにつながった竜頭の信号入力ライン185と前記第2の信号ライン184とを接続し、針合わせ以外の状態(0、1段目)にある時には信号入力ライン185と前記第1のライン183とを接続する切替スイッチ186とを備える。
【0111】
また、竜頭検出回路180の第1の信号ライン183は、アナログ回路160への電気エネルギの供給を遮断する電源スイッチである電源カットスイッチ162と、発振回路51からロジック回路170へのクロック入力を遮断するクロック入力規制手段であるクロックカットゲート171とに接続されている。さらに、第1の信号ライン183は、ロジック回路170のリセット端子に接続されている。このリセット端子は、入力信号がLレベル信号の場合にロジック回路170内部を初期状態にリセットするように設定されている。
【0112】
電源カットスイッチ162は、竜頭検出回路180からの入力がHレベル信号の場合、オン状態に維持され、Lレベル信号の場合、オフ状態に維持されるように構成されている。また、クロックカットゲート171はANDゲートで構成され、竜頭検出回路180からの入力がHレベル信号の場合には、発振回路51からのクロック信号がそのままロジック回路170に入力され、Lレベル信号の場合には発振回路51からの信号が遮断されるようになっている。
【0113】
次に、本実施形態における運針状態での動作を図4〜6のタイミングチャートおよび出力波形図と、図7のフローチャートとを参照して説明する。
【0114】
発電機20が作動し始めて、初期化回路91からLレベルのシステムリセット信号SRがアップダウンカウンタ54のLOAD入力に入力されると(ステップ31、以下ステップをSと略す)、図4に示すように、回転検出信号FG1に基づくアップカウント信号と、基準信号fsに基づくダウンカウント信号とがアップダウンカウンタ54でカウントされる(S32)。これらの各信号は、同期回路70によって同時にカウンタ54に入力されないように設定されている。
【0115】
このため、初期カウント値が「11」に設定されている状態から、アップカウント信号が入力されるとカウンタ値は「12」となり、出力LBSがHレベル信号となり、チョッピング信号発生部80のANDゲート88に出力される。
【0116】
一方、ダウンカウント信号が入力されてカウンタ値が「11」に戻れば、出力LBSはLレベル信号となる。
【0117】
チョッピング信号発生部80では、図5に示すように、分周回路52の出力Q5〜Q8を利用し、第1チョッピング信号発生手段81から出力CH1を出力し、第2チョッピング信号発生手段85から出力CH2を出力する。
【0118】
そして、アップダウンカウンタ54の出力LBSからLレベル信号が出力されている場合(カウント値「11」以下)には、ANDゲート88からの出力もLレベル信号となるため、NORゲート89からの出力CH3は出力CH1が反転したチョッピング信号、つまりHレベル信号(ブレーキオフ時間)が長く、Lレベル信号(ブレーキオン時間)が短いデューティ比(スイッチ121をオンしている比率)の小さなチョッピング信号となる。従って、基準周期におけるブレーキオン時間が短くなり、発電機20に対しては、ほとんどブレーキが掛けられない、つまり発電電力を優先した弱ブレーキ制御が行われる(S33,S35)。
【0119】
一方、アップダウンカウンタ54の出力LBSからHレベル信号が出力されている場合(カウント値「12」以上)には、ANDゲート88からの出力もHレベル信号となるため、NORゲート89からの出力CH3は出力CH2が反転したチョッピング信号、つまりLレベル信号(ブレーキオン時間)が長く、Hレベル信号(ブレーキオフ時間)が短いデューティ比の大きなチョッピング信号となる。従って、基準周期におけるブレーキオン時間が長くなり、発電機20に対しては強ブレーキ制御が行われるが、一定周期でブレーキがオフされるためにチョッピング制御が行われ、発電電力の低下を抑えつつ制動トルクを向上することができる(S33,34)。
【0120】
なお、昇圧整流回路21では、次のようにして発電機20で発電した電荷をコンデンサ22に充電している。すなわち、第1の交流出力端子MG1の極性が「−」で第2の交流出力端子MG2の極性が「+」の時には、発電機20で発生した誘起電圧の電荷は、例えば0.1μFのコンデンサ123に充電される。
【0121】
一方、第1の交流出力端子MG1の極性が「+」で第2の交流出力端子MG2の極性が「−」に切り替わると、発電機20で発生した誘起電圧と、コンデンサ123の充電電圧とが加えられた電圧でコンデンサ22が充電される。
【0122】
なお、各々の状態で、チョッピングパルスにより発電機20の両端が短絡し、開放されると、図6に示すように、コイルの両端に高電圧が誘起され、この高い充電電圧によって電源回路(コンデンサ)22を充電することで充電効率が向上する。
【0123】
そして、ゼンマイ1aのトルクが大きくて発電機20の回転速度が大きい場合などでは、アップカウント信号によりカウンタ値が「12」になった後に、さらにアップカウント信号が入力されることがある。この場合には、カウンタ値は「13」となり、前記出力LBSはHレベルを維持するため、チョッピング信号CH3により一定周期でブレーキがオフされながらブレーキが掛けられる強ブレーキ制御が行われる。そして、強ブレーキ制御が行われたことにより、発電機20の回転速度が低下し、回転検出信号FG1が入力される前に基準信号fs(ダウンカウント信号)が2回入力されると、カウンタ値は「12」、「11」と低下し、「11」になった際に弱ブレーキ制御に切り替えられる。
【0124】
このような制御を行うと、発電機20が設定された回転スピード近くになり、図4に示すように、アップカウント信号と、ダウンカウント信号とが交互に入力されて、カウンタ値が「12」と「11」とを繰り返すロック状態に移行する。この際は、カウンタ値に応じて強ブレーキ制御と弱ブレーキ制御が繰り返される。つまり、ロータが1回転する基準周期の1周期の期間にデューティ比が大きいチョッピング信号と、デューティ比が小さいチョッピング信号とがスイッチ121に印加されてチョッピング制御が行われる。
【0125】
さらに、ゼンマイ1aがほどけてそのトルクが小さくなると、徐々にブレーキを掛ける時間が短くなり、発電機20の回転速度はブレーキを掛けない状態でも基準速度に近い状態になる。
【0126】
そして、まったくブレーキを掛けなくてもダウンカウント値が多く入力されるようになり、カウント値が「10」以下の小さな値になると、ゼンマイ1aのトルクが低下したと判断し、運針を停止したり、非常に低速にしたり、さらにはブザー、ランプ等を鳴らしたり、点灯させることで、利用者にゼンマイ1aを再度巻き上げるように促す。
【0127】
従って、アップダウンカウンタ54の出力LBSからHレベル信号が出ている間は、デューティ比の大きなチョッピング信号による強ブレーキ制御が行われ、出力LBSからLレベル信号が出ている間は、デューティ比の小さなチョッピング信号による弱ブレーキ制御が行われる。つまり、制動制御手段であるアップダウンカウンタ54によって強ブレーキ制御と弱ブレーキ制御とが切り替えられる。
【0128】
なお、本実施形態では、出力LBSがLレベル信号の場合、チョッピング信号CH3はHレベル期間:Lレベル期間が15:1つまりデューティ比が1/16=0.0625のチョッピング信号となり、出力LBSがHレベル信号の場合、チョッピング信号CH3はHレベル期間:Lレベル期間が1:15つまりデューティ比が15/16=0.9375のチョッピング信号となる。
【0129】
そして、発電機20の端子MG1,MG2からは、図6に示すように、磁束の変化に応じた交流波形が出力される。この際、出力LBSの信号に応じて周波数は一定でかつデューティ比の異なるチョッピング信号CH3がスイッチ121に適宜印加され、出力LBSがHレベル信号を出力した時、つまり強ブレーキ制御時には、各チョッピングサイクル内におけるショートブレーキ時間が長くなってブレーキ量が増えて発電機20は減速される。そして、ブレーキ量が増える分、発電量も低下するが、このショートブレーキ時に蓄えられたエネルギーを、チョッピング信号によりスイッチ121をオフした際に出力してチョッピング昇圧することができるため、ショートブレーキ時の発電量低下を補うことができ、発電電力の低下を抑えながら、制動トルクを増加することができる。
【0130】
逆に、出力LBSがLレベル信号を出力した際、つまり弱ブレーキ制御時には、各チョッピングサイクル内におけるショートブレーキ時間が短くなってブレーキ量が減って発電機20は増速される。この際も、チョッピング信号によりスイッチ121をオンからオフした際にチョッピング昇圧することができるので、まったくブレーキを掛けずに制御した場合に比べても発電電力を向上させることができる。
【0131】
そして、発電機20からの交流出力は、昇圧整流回路21によって昇圧、整流されて電源回路(コンデンサ)22に充電され、この電源回路22により回転制御装置50が駆動される。
【0132】
なお、アップダウンカウンタ54の出力LBSと、チョッピング信号CH3とは共に分周回路52の出力Q5〜Q8,Q12を利用しているため、つまりチョッピング信号CH3の周波数が出力LBSの周波数の整数倍とされているため、出力LBSの出力レベルの変化つまり強ブレーキ制御と弱ブレーキ制御の切替タイミングと、チョッピング信号CH3とは同期して発生している。
【0133】
また、このような本実施形態における時刻修正操作(針合わせ)時の制御は以下のように行われる。
【0134】
定常運針状態から針合わせ操作のために竜頭が引き出されると、図8の制御フローが実行される。具体的には、まず、前回竜頭位置データの記憶レジスタである「pre_RYZ」を初期化(値3を代入)する(S1)。初期化時に代入する値は、竜頭位置を表すために設定された値以外であればよく、例えば竜頭の位置を「0」、「1」の2つの値で表している場合には「2」以上の値であればよいし、「0」、「1」、「2」の3つの値で表している場合には「3」以上の値であればよい。
【0135】
続いて、竜頭位置を検出する(S2)。この竜頭位置の検出は、竜頭検出回路180によって図9に示す制御フローで行われる。
【0136】
すなわち、竜頭が0段目あるいは1段目にある場合には、スイッチ186は第1の信号ライン183側に接続されている。ここで、竜頭つまりスイッチ186は、電源VDDに接続されているため、第1の信号ライン183にはHレベル信号が入力される。この信号は、第2のインバータ182、第1のインバータ181を通ることで「H→L→H」と変換され、竜頭検出回路180の出力はHレベル信号を維持する。従って、第1の信号ライン183の状態を検出し(S21)、その状態がHレベル信号であるかを判定し(S22)、Hレベル信号であれば、竜頭が0段目あるいは1段目にあると判断し、現在の竜頭位置データの記憶レジスタである「now_RYZ」に「1」を代入する(S23)。
【0137】
一方、竜頭が2段目にある場合には、スイッチ186は第2の信号ライン184側に接続される。このため、電源VDDからのHレベル信号は、第1のインバータ181を通ってLレベル信号とされて竜頭検出回路180の出力とされるとともに、第2のインバータ182を通してHレベル信号に変換されるため、竜頭検出回路180の出力はLレベル信号を維持する。従って、第1の信号ライン183の状態を検出し(S21)、その状態がHレベル信号であるかを判定し(S22)、Hレベル信号でなければ、つまりLレベル信号であれば、竜頭が2段目にあると判断し、現在の竜頭位置データの記憶レジスタである「now_RYZ」に「0」を代入する(S24)。
【0138】
なお、スイッチ186が切り替わる際には、第2の信号ライン184はLレベル信号であったため、Hレベル信号とLレベル信号とが接触し、一瞬ショート電流が流れて無駄にエネルギーを消費してしまうが、本実施形態では、各インバータ181,182の抵抗値を大きくして電流を流れにくくし、ショート電流量もできるだけ少なくなるようにされている。
【0139】
竜頭位置を検出したら、pre_RYZが1より大きいかを判定する(S3)。ここで、pre_RYZが1以下の場合(後述するように「0」または「1」)には、pre_RYZがnow−RYZと等しいか、つまり前回と今回とで竜頭位置が同じかを判定する(S4)。そして、同じであれば、後述する電力供給制御処理を行う必要がないために、竜頭位置の検出処理(S2)に戻る。
【0140】
一方、pre_RYZがnow_RYZと等しくない場合(S4)と、pre_RYZが1よりも大きい、つまり定常運針状態から竜頭が引き出されて初期化(値3)された状態のままであれば(S3)、今回の竜頭位置データnow_RYZを前回竜頭位置データpre_RYZに上書きする(S5)。
【0141】
そして、now_RYZが「0」よりも大きいかを判定し(S6)、現在の竜頭位置を判断する。
【0142】
ここで、now_RYZが「0」よりも大きく、つまり「1」であり、竜頭位置が0あるいは1段目であれば、電源カットスイッチ162はオン状態とされ、電源VSSからの電力がアナログ回路160に供給される(S7)。また、発振回路51からのクロック信号もそのままロジック回路170に入力される(S8)。このため、通常の運針制御が行われるとともに、発電状態も維持される。なお、ロジック回路170が初期化された状態であったならば、その状態は解除される(S9)。
【0143】
一方、now_RYZが「0」であれば、つまり竜頭位置が2段目であれば、電源カットスイッチ162はオフ状態とされ、電源VSSからアナログ回路160への電力供給が遮断される(S10)。また、発振回路51からロジック回路170へのクロック信号の入力も遮断される(S11)。同時に、竜頭検出回路180の出力がLレベル信号となると、ロジック回路170の内部状態はリセットされ、ロジック回路170は初期化される(S12)。
【0144】
但し、定電圧回路161への電源供給は維持され、この定電圧回路161により駆動される発振回路51も駆動状態に維持される。
【0145】
そして、再度、竜頭位置検出処理(S2)に戻り、以上に説明した処理(S2〜S12)を繰り返す。
【0146】
なお、針合わせ時には、機械式機構によりロータの回転も停止されるため、運針も行われず、かつ発電も行われない。
【0147】
そして、針合わせ操作が終了して竜頭を0,1段目に押し込むと、竜頭検出回路180の出力がHレベル信号に変化し、電源カットスイッチ162が接続されてアナログ回路160が駆動されるとともに、クロックカットゲート171も発振回路51からのクロック信号を通過させるようになり、初期化されたロジック回路170によってロータの調速制御が行われる。
【0148】
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。
【0149】
1)ロータが停止して発電が停止する針合わせ時に、電源スイッチである電源カットスイッチ162でアナログ回路160への電源供給を停止するとともに、クロック入力規制手段であるクロックカットゲート171でロジック回路170へのクロック入力を遮断して動作を完全に停止させているので、消費電流を低減できる。
【0150】
これにより、電源回路(コンデンサ)22の電圧低下を抑制でき、針合わせ操作が行われる期間程度(例えば約3〜5分間程度)は、発振回路51を駆動させ続けることができる。従って、針合わせ後に、竜頭を押し込んで発電を開始した場合には、発振回路51が停止せずに駆動し続けているため、針合わせ作業を終了して発電機20を作動させ始めた直後から、回転制御装置50を作動させることができ、従来のように、発振回路51が駆動するまでのタイムラグが生じないため、針合わせ操作からの復帰時に時刻指示の誤差が無くなり、正確な針合わせ作業を行うことができる。
【0151】
2)外部操作部材検出回路である竜頭検出回路180を各インバータ181,182等を用いた論理回路で構成したので、消費エネルギーを非常に小さくすることができ、消費電力をより一層低減することができる。このため、電源回路(コンデンサ)22の電圧が低下するまでの時間をより一層長くすることができ、針合わせ操作に確保できる時間もより長くすることができる。
【0152】
3)各インバータ181,182の抵抗値を大きくしてショート電流量を小さく抑えているので、竜頭検出回路180の消費電力をより一層低減することができる。
【0153】
4)針合わせ時に、ロジック回路170をリセットして初期化しているので、針合わせ操作が終了して再度発電機20を作動させた際に、常に初期状態からの制御に戻すことができる。このため、ロータの調速制御もスムーズに行えて正常な制御状態に迅速に移行できるため、時刻指示誤差の発生を確実に防止することができる。
【0154】
5)整流回路21では、コンデンサ123を用いた昇圧に加えて、チョッピングによる昇圧を行っているので、整流回路21の直流出力電圧つまりコンデンサ22への充電電圧を高めることができる。
【0155】
次に、本発明の第2実施形態を、図10〜17に基づいて説明する。なお、本実施形態において、前述の実施形態と同一もしくは同様の構成部分には、同一符号を付し、説明を省略あるいは簡略する。
【0156】
本実施形態の電子制御式時計である電子制御式機械時計は、図10に示すように、機械的エネルギ源としてのゼンマイ1aと、ゼンマイ1aのトルクを発電機20に伝達する増速輪列(番車)7と、増速輪列7に連結されて時刻表示を行う時刻表示装置である指針13とを備えている。
【0157】
発電機20は、増速輪列7を介してゼンマイ1aによって駆動され、誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する。この発電機20からの交流出力は、昇圧整流、全波整流、半波整流、トランジスタ整流等の少なくとも一つを有する整流回路21を通して整流され、必要に応じて昇圧されコンデンサ等の蓄電装置で構成された電源である電源回路22に充電供給される。
【0158】
発電機20は、回転制御装置50によって調速制御されている。回転制御装置50は、発振回路51、回転検出回路53、制御回路56を備えて構成されており、その具体的な構成は、図11に示すように、前記第1実施形態と同じである。
【0159】
すなわち、発振回路51は、時間標準源である水晶振動子51Aを用いて発振信号(32768Hz)を出力し、この発振信号を分周回路によってある一定周期まで分周して基準信号fsとして出力している。
【0160】
回転検出回路53は、発電機20に接続された波形整形回路等で構成され、発電機20の交流出力を矩形波等に変換し、ノイズを除去して回転検出信号FG1を出力する。
【0161】
制御回路56は、回転検出信号FG1を基準信号fsと比較して発電機20のブレーキ量を設定し、発電機20にブレーキを掛けて調速している。
【0162】
より具体的には、図12に示すように、回転制御装置50には、発振回路51を駆動するための駆動用ICなどで構成された駆動回路57が設けられている。この駆動回路57は、より具体的には、前記第1実施形態の図3に示す定電圧回路161のように発振回路51やロジック回路を駆動するものであり、電源回路である電源コンデンサ22からの電力(電源VSS)により駆動され、電源VSSよりも低く、かつ一定のレベルの電圧Vregを出力している。そして、電源コンデンサ22から駆動回路57への電力の供給は電力供給制御装置であるスイッチ261で制御されている。
【0163】
なお、本実施形態の電子制御式時計では、リューズは、リューズを回転させるとゼンマイを巻き上げ可能な状態であり、運針かつ発電状態にある0段目、リューズを回転させるとカレンダを修正可能な状態であり、運針かつ発電状態にある1段目、リューズを回転させると時刻を修正可能な状態であり、ロータの回転が停止し、運針も発電も行われない2段目の3段階に引き出し可能にされている。このため、スイッチ261は、リューズを1段目あるいは0段目にしているときには接続され、2段目にしたときに切断されるように構成された、つまり時刻修正操作に連動して作動する機械的スイッチによって構成されている。
【0164】
また、駆動回路57には、スイッチ262が接続されている。スイッチ262は、前記スイッチ261に連動する機械的スイッチであり、駆動回路57にリューズ位置信号を入力するためのものである。すなわち、リューズが0,1段目にあると、前記スイッチ261は接続され、それに連動してスイッチ262は0,1段目側の回路に接続する。逆に、リューズが2段目にあると、スイッチ261は切断され、スイッチ262は2段目側の回路に接続する。駆動回路57は、これらの回路からの信号によりリューズ位置を認識し、計時制御、例えばリューズ0,1段目での通常運針制御や、リューズ2段目でのカウンタのセット/リセット、システムの初期化等の処理を行う。
【0165】
また、電源コンデンサ22と駆動回路57との間には、前記コンデンサ22よりも容量が小さく、かつコンデンサ22に対して並列に接続された第2コンデンサ25が設けられている。なお、コンデンサ22は、通常、1〜15μF程度、例えば10μF程度の静電容量を有しており、第2コンデンサ25は、0.05〜0.5μF程度、例えば0.1μF程度の静電容量を有している。また、第2コンデンサ25が設けられていることで、振動・衝撃等により機械式スイッチ261が一瞬外れて、第1のコンデンサ22がIC(駆動回路57)から切り離されてしまっても、一瞬であれば第2のコンデンサ25によりICへの電源供給が行え、ICがシステムダウンしてしまうことを防止している。
【0166】
また、ブレーキ制御回路56には、指示誤差補正装置200が設けられている。指示誤差補正装置200は、図13に示すように、時計内の温度を測定する水晶温度センサや赤外線温度センサ等からなる温度センサ201と、コンデンサ22の電圧を検出するコンパレータ等の電圧検出器202と、各温度センサ201および電圧検出器202の測定値をデジタル信号に変換するA/D(アナログデジタル)コンバータ203,204と、各コンバータ203,204の出力値に基づいて補正値を求めてその補正値分を加味したアップダウンカウンタ54の初期値を設定する補正量設定装置である初期値設定手段205と、初期値設定手段205から出力されたデータを保持するラッチ207とを備えて構成されている。
【0167】
初期値設定手段205は、図14に示すように、各温度センサ201および電圧検出器202の各出力値(具体的には、各A/Dコンバータ203,204の出力値)と、アップダウンカウンタ54の初期値との対応関係が設定された初期値設定テーブル206を備えている。なお、各A/Dコンバータ203,204は、それぞれ5ビットつまり出力値が0〜31の32段階とされたものである。そして、初期値設定テーブル206は、各A/Dコンバータ203,204の出力を6段階に区分けし、各々の出力値に応じたアップダウンカウンタ54の初期値が設定されている。
【0168】
初期値設定手段205は、ラッチ207を介してアップダウンカウンタ54の4つのデータ入力端子(プリセット端子)A〜Dに接続されている。そして、初期値設定テーブル206で設定された初期値に応じて、各端子にHレベル信号またはLレベル信号を入力することで、アップダウンカウンタ54の初期値を設定している。
【0169】
なお、A/Dコンバータ203,204、初期値設定手段205、ラッチ207は、それぞれリューズが引き出された際、あるいはリューズが押し込まれた際のリューズの位置変化つまりシステムリセット信号(SR、トリガ信号)の変化が起きた際に作動するように構成されている。
【0170】
このような本実施形態においては、定常運針時は、前記第1実施形態と同様に、回転制御装置50によって発電機20が制御される。また、定常運針状態つまりリューズが0段目あるいは1段目にある状態では、発電機20で発電された電流は、整流回路21を介してコンデンサ22に充電される。従って、駆動回路57に印加される電圧は、図15に示すように、コンデンサ22の電圧と同一、例えば約1.0V程度とされる。
【0171】
一方、時刻修正操作(針合わせ)時の制御は以下のように行われる。
【0172】
定常運針状態から針合わせ操作のためにリューズが2段目まで引き出されると、スイッチ261がリューズの引き出し操作に連動して切断される(図15のA点)。同時に、発電機20も停止する。この際、本実施形態では、第2コンデンサ25が存在するため、発電機20が停止した直後は、第2コンデンサ25から電力が供給されるが、第2コンデンサ25は静電容量が小さいために、その電圧は、駆動回路57の負荷により急速に低下する。そして、第2コンデンサ25の電圧つまり駆動回路57への印加電圧がVstop電圧(約0.6V)以下になると、駆動回路57つまり発振回路51が停止する。
【0173】
但し、スイッチ261が切断されることで、コンデンサ22の消費電力が殆どなくなるため、コンデンサ22の電圧は1.0V程度に保持される。
【0174】
そして、針合わせ操作が終わり、リューズを1段目に押し込むと、スイッチ261が接続される(図15のB点)。これにより、約1.0Vの電位に保持されていたコンデンサ22から駆動回路57に電気的エネルギが供給され、発振回路51も作動し始める。
【0175】
この際、図16に示すように、発振回路51に1.0Vという高い電圧を印加できるため、発振を開始するまでの時間Tstart(図26に示す従来例では時間T2)を約0.8秒程度と非常に短くすることができる(温度約25℃の場合)。さらに、従来のように、コンデンサ22の電圧が上昇するまでの時間T1も不要にできることから、針合わせ後に発振回路51が作動するまでの時間が非常に短縮される。
【0176】
発振回路51が作動すると、制御回路56によって発電機20はブレーキ制御される。この際、制御回路56のアップダウンカウンタ54の初期値は、指示誤差補正装置200によって設定される。
【0177】
指示誤差補正装置200の各A/Dコンバータ203,204は、例えばリューズが押し込まれたことを検知すると、温度センサ201、電圧検出器202の測定値に応じた値を初期値設定手段205に出力する。例えば、A/Dコンバータ203は、図17に示すように、温度センサ201で測定した温度が0℃以上4℃未満の場合には「10」を出力し、4℃以上8℃未満の場合には「11」を出力するように、4℃毎の範囲で出力値が変化するように設定されている。同様に、A/Dコンバータ204は、電圧検出器202で検出した電圧が、0.80V以上0.82V未満の場合には「10」を出力し、0.82V以上0.84V未満の場合には「11」を出力するように、0.02V毎の範囲で出力値が変化するように設定されている。
【0178】
そして、初期値設定テーブル206では、図14に示すように、発振開始時間Tstartつまりは各コンバータ203,204の出力値に応じて初期値が設定されている。すなわち、発振開始時間が短い場合には、時刻修正操作後に制御回路56が迅速に駆動されるため、補正量も「0」でよく、アップダウンカウンタ54の初期値も通常の初期値(「11」)にすればよい。具体的には、図16に示すように、コンデンサ22の電圧が高いほど、また温度が高いほど、発振開始時間は短いため、各コンバータ203,204の値が大きい場合には初期値は「11」に設定されている。
【0179】
一方、発振開始時間が長い場合には、制御回路56が駆動するまでに時間がかかり、発電機20がブレーキ制御されていない時間が長くなる。本実施形態では、ゼンマイ1aからは発電機20が基準周期以上の速度で回転できるようなトルクを与えており、発電機20にブレーキを加えることで基準周期に調速している。従って、ブレーキ制御されていない時間が長くなると、発電機20の回転周期は基準周期よりも短くなる。このため、発振開始までの時間が長いほど、より大きなブレーキを掛けて回転速度を落とす必要がある。
【0180】
本実施形態では、前記第1実施形態と同様に、アップダウンカウンタ54の出力値が「12」以上で強ブレーキ制御が行われ、「11」以下で弱ブレーキ制御が行われるため、アップダウンカウンタ54の初期値を大きく(最大「15」)することによって、強ブレーキ制御の時間を長くできる。ここで、コンデンサ22の電圧が低いほど、また温度が低いほど、発振開始時間は長くなるため、各コンバータ203,204の値が小さくなるに従って、初期値は「11,12,13,14,15」と徐々に大きくなるように設定されている。
【0181】
これにより、制御回路56によるブレーキ制御時に、発振回路51が発振を開始するまでの時間に応じた補正が加えられるため、結果的に指針位置は進み/遅れがない(指示誤差ゼロ)状態に補正され、指示誤差を殆ど無くすことができる。
【0182】
そして、発電機20が立ち上がって定常運転になれば、発電機20からの電力がコンデンサ22を介して駆動回路57に供給され、引き続き発電機20の回転制御が行われる。
【0183】
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。
【0184】
(2−1)リューズの進退操作つまり時刻修正操作に応じて断続されるスイッチ261からなる電力供給制御装置を設けたので、リューズを引き出して発電機20を停止させている間は、コンデンサ(電源回路)22から回転制御装置50側に電力が供給されることがなく、コンデンサ22の端子電圧を維持することができる。
このため、時刻修正操作を終了して発電機20を作動させ始めた直後から、コンデンサ22によって回転制御装置50に電源を供給することができ、従来のように、駆動回路(駆動用IC)57の電源の電圧が上昇して、発振が開始できる電圧に到達するまでのタイムラグ(時間T1)が生じないため、ロータの回転制御ができない時間を短くでき、指針誤差を小さくすることができる。
【0185】
(2−2)その上、スイッチ261によって駆動回路57側からコンデンサ22を切り離すことができるため、コンデンサ22の電圧を比較的高い状態(例えば1.0V程度)に維持できる。このため、スイッチ261が接続された際に、駆動回路57に高い電圧を印加できるため、回転制御装置50の発振回路51が発振するまでの時間(Tstart)も短縮することができ、回転制御装置50をより一層迅速に作動させて指示誤差を小さくすることができる。
【0186】
(2−3)さらに、指示誤差補正装置200を有する制御回路56を備えているので、指示誤差が生じた際にその誤差を補正でき、指示誤差をより一層小さくあるいは殆ど無くすことができる。
【0187】
(2−4)指示誤差補正装置200は、発振回路51の発振開始時間に影響をWO00/17716(41)与えるコンデンサ22つまり発振回路51への印加電圧と、温度とを検出し、それらの値で補正値(アップダウンカウンタ54の初期値)を設定しているので、非常に高精度の補正が行えて、指示誤差も非常に小さくすることができる。特に、指示誤差を発振回路51への印加電圧値だけでなく、更に温度を検出して補正量を調整しているため、補正量の精度をより向上でき、指示誤差をより一層低減することができる。この場合、特に寒冷地などで使用していて発振回路51部分の温度が低い場合や、熱帯あるいは直射日光に当たって温度が高い場合に指示誤差量を非常に小さくできる。
【0188】
(2−5)指示誤差補正装置200は、アップダウンカウンタ54の初期値の設定を変えるだけで指示誤差の補正を行うことができるため、例えば、アップダウンカウンタ54の出力値に補正値を加えて補正するような場合に比べて、指示誤差の補正を非常に簡単な構成で実現でき、コストも低減できる。
【0189】
(2−6)電力供給制御装置であるスイッチ261は、リューズの引き出し操作に連動する機械的スイッチで構成されているので、スイッチ261の構成を簡単にでき、電子制御式機械時計を安価に製造することができる。さらに、従来に比べて、スイッチ261のみを追加するだけでよく、製造コストの増加も殆どなく、比較的安価に提供することができる。
【0190】
(2−7)コンデンサ22のほかに、より静電容量の小さな第2コンデンサ25を設けたので、機械的なスイッチ261でチャタリングが生じた場合でも、コンデンサ25から駆動回路57に電力を供給でき、駆動回路57がチャタリングで停止されることを防止できる。
【0191】
(2−8)コンデンサ22の容量を必要以上に大きくする必要がないため、コンデンサ22に電荷が蓄積されていない状態から電圧を上昇させる場合も短時間で充電することができる。
【0192】
さらに、発電機20の発電能力を必要以上に大きくする必要がないため、発電機20のサイズやゼンマイ1aを小型化でき、腕時計のように平面サイズや厚みに制約がある場合にも十分に適用することができる。
【0193】
次に、本発明の第3実施形態を、図18〜21に基づいて説明する。なお、本実施形態において、前述の各実施形態と同一もしくは同様の構成部分には、同一符号を付し、説明を省略あるいは簡略する。
【0194】
図18は、本実施形態の電子制御式時計である電子制御式機械時計の構成を示すブロック図である。
【0195】
電子制御式機械時計は、機械的エネルギ源としてのゼンマイ1aと、ゼンマイ1aのトルクを発電機20に伝達する増速輪列(番車)7と、増速輪列7に連結されて時刻表示を行う時刻表示装置である指針13とを備えている。
【0196】
発電機20は、増速輪列7を介してゼンマイ1aによって駆動され、誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する。この発電機20からの交流出力は、昇圧整流、全波整流、半波整流、トランジスタ整流等の少なくとも一つを有する整流回路21を通して整流され、必要に応じて昇圧されコンデンサ等の蓄電装置で構成された電源である電源回路30に充電供給される。
【0197】
発電機20は、回転制御装置50によって調速制御されている。回転制御装置50は、発振回路51、回転検出回路53、制御回路56を備えて構成されており、その具体的な構成は、前記第1実施形態と同じである。
【0198】
すなわち、発振回路51は、時間標準源である水晶振動子51Aを用いて発振信号(32768Hz)を出力し、この発振信号を分周回路によってある一定周期まで分周して基準信号fsとして出力している。
【0199】
回転検出回路53は、発電機20に接続された波形整形回路等で構成され、発電機20の交流出力を矩形波等に変換し、ノイズを除去して回転検出信号FG1を出力する。
【0200】
制御回路56は、回転検出信号FG1を基準信号fsと比較して発電機20のブレーキ量を設定し、発電機20にブレーキを掛けて調速している。
【0201】
より具体的には、図19に示すように、回転制御装置50には、発振回路51を駆動するための駆動用ICなどで構成された駆動回路57が設けられている。この駆動回路57は、電源回路30を構成する主コンデンサ(主蓄電装置)31からの電力で駆動されている。この主コンデンサ31は、0.05〜0.5μF程度、例えば0.2μF程度の静電容量を有するセラミックコンデンサ等で構成され、発電機20からの電流を平滑して回転制御装置50に供給できるように構成されている。
【0202】
また、主コンデンサ31には、前記コンデンサ31よりも静電容量が大きく、かつコンデンサ31に対して並列に接続された補助コンデンサ(補助蓄電装置)32が設けられている。このなお、補助コンデンサ32は、通常、1〜15μF程度、例えば10μF程度の静電容量を有している。
【0203】
さらに、各コンデンサ31,32間には、機械式スイッチ361が設けられている。本実施形態の電子制御式機械時計では、リューズ(竜頭)は、リューズを回転させるとゼンマイを巻き上げ可能な状態であり、運針かつ発電状態にある0段目、リューズを回転させるとカレンダを修正可能な状態であり、運針かつ発電状態にある1段目、リューズを回転させると時刻を修正可能な状態であり、ロータの回転が停止し、運針も発電も行われない2段目の3段階に引き出し可能にされている。このため、スイッチ361は、リューズを1段目あるいは0段目にしているときには接続され、2段目にしたときに切断されるように、つまり時刻修正操作に連動して作動するように構成されている。
【0204】
また、駆動回路57には、スイッチ262が接続されている。スイッチ262は、前記スイッチ361に連動する機械式スイッチであり、駆動回路57にリューズ位置信号を入力するためのものである。すなわち、リューズが0,1段目にあると、前記スイッチ361は接続され、それに連動してスイッチ262は0,1段目側の回路に接続する。逆に、リューズが2段目にあると、スイッチ361は切断され、スイッチ262は2段目側の回路に接続する。駆動回路57は、これらの回路からの信号によりリューズ位置を認識し、計時制御、例えばリューズ0,1段目での通常運針制御や、リューズ2段目でのカウンタのセット/リセット、システムの初期化等の処理を行う。
【0205】
さらに、各コンデンサ31,32間には、互いに並列に接続されたダイオード36および抵抗37からなる充電制御回路35が接続されている。ダイオード36としては、順方向電圧Vfが小さい(例えば0.2V)ダイオードが好ましく、例えばショットキーバリアダイオード等が利用できる。そして、ダイオード36は、スイッチ361が接続されて整流回路21つまり発電機20から各コンデンサ31,32に充電される際に、その充電電流方向(VDDからVSS)とは逆方向となり、補助コンデンサ32から主コンデンサ31に電流が流れる場合には順方向となるように接続されている。
【0206】
また、抵抗37は、抵抗値の大きなものが好ましく、本実施形態では、100MΩの抵抗が用いられている。
【0207】
そして、これらの主コンデンサ31、補助コンデンサ32、充電制御回路35(ダイオード36および抵抗37)、スイッチ361により、電源回路30が構成されている。
【0208】
このような本実施形態においては、定常運針時は、前記第1実施形態と同様に制御される。すなわち、定常運針状態つまりリューズが0段目あるいは1段目にある状態では、スイッチ361が接続されているため、発電機20で発電された電流は、整流回路21を介して各コンデンサ31,32に充電される。この際、コンデンサ31は静電容量が小さいため、発電機20の変動や駆動回路57の負荷変動によって電圧が変動し易いが、静電容量の大きな補助コンデンサ32が並列に接続してバックアップしているため、一定電圧(約1.0V)に維持される。
【0209】
従って、駆動回路57に印加される電圧(主コンデンサ31の電圧)は、図20に示すように、補助コンデンサ32の電圧と同一に維持される。
【0210】
また、時刻修正操作(針合わせ)時の制御は以下のように行われる。
【0211】
定常運針状態から針合わせ操作のためにリューズが2段目まで引き出されると、スイッチ361がリューズの引き出し操作に連動して切断される(図20のA点)。この際、スイッチ361が切断されることで、補助コンデンサ32の消費電力が殆どなくなるため、補助コンデンサ32の電圧は約1.0V程度に保持される。
【0212】
一方、針合わせ操作時には、発電機20も停止するため、主コンデンサ31には充電電流が流れ込まなくなり、主コンデンサ31の電圧は駆動回路57の負荷により急速に低下する。そして、主コンデンサ31の電圧が駆動回路57が停止してしまう電圧Vstop(約0.6V)以下になると駆動回路57も停止する。
【0213】
そして、針合わせ操作が終わり、リューズを1段目に押し込むと、スイッチ361が接続される(図20のB点)。これにより、約1.0Vの電位に保持されていた補助コンデンサ32からダイオード36を介して主コンデンサ31に電流が流れる。
【0214】
この際、主コンデンサ31は容量が小さいこともあって、即座に補助コンデンサ32と同じ電圧(1.0V)まで上昇し、主コンデンサ31から駆動回路57に電気的エネルギが供給され、発振回路51も作動し始める。この際、前記第2実施形態と同じく、図16に示すように、発振回路51に1.0Vという高い電圧を印加できるため、発振を開始するまでの時間Tstart(図26に示す従来例では時間T2)を約0.8秒程度と非常に短くすることができる(温度約20度の場合)。さらに、リューズを押し込んでから(図20のB点)、主コンデンサ31が1.0Vまで上昇する時間も非常に短いため、針合わせ後に発振回路51が作動するまでの時間が非常に短縮される。
【0215】
また、針合わせ操作に例えば10分以上と時間が掛かった場合や、時計を長期間放置していたために、補助コンデンサ32の電圧がゼロボルトあるいはゼロボルト近傍の場合(図21のC点まで)には、主コンデンサ31の電圧もゼロボルト近くで維持される。
【0216】
そして、針合わせ操作を終了してスイッチ361を接続し、発電機20を作動させると(図21のC点)、発電電流の大半は補助コンデンサ32に流れず、主コンデンサ31に流れる。すなわち、ダイオード36は、発電機20からの充電電流を補助コンデンサ32に充電する方向に対しては電流を遮断するように働き、抵抗37は100MΩと高抵抗値に設定されているため、発電電流は殆ど補助コンデンサ32には流れず、主コンデンサ31に流れる。なお、発電機20は、各コンデンサ31,32の電圧がゼロボルト近傍のときに、数100nA〜数10μAになるように構成され、抵抗37に流れる非常に小さな電流を無視できるように設定されている。
【0217】
主コンデンサ31の電圧は、発電電流の大半が流れ込むことで急速に上昇する。これにより、針合わせ後に短時間(例えば約1.5秒)で駆動回路57(IC)の発振開始電圧(Vstart)に達し、制御が開始する。なお、仮に充電制御回路35が無く、発電機20からの電流がコンデンサ31,32の両方に流れた場合には、コンデンサ31の電圧が駆動回路57の発振開始電圧に達するまでに約15秒程度掛かり、本実施形態ではその1/10の時間で発振開始電圧に達することができる。
【0218】
駆動回路57が駆動した後も、補助コンデンサ32には抵抗37を介して徐々に充電電流が流れ込み、十分時間が経過した後には、主コンデンサ31と同電位(約1.0V)になる。
【0219】
そして、通常運針状態では、前述のように、補助コンデンサ32は主コンデンサ31の電圧変動のバックアップの役割を果たし、電源電圧の安定化とシステム動作の安定化に寄与する。
【0220】
また、制御回路(ブレーキ制御回路)56は、補助コンデンサ32に電荷が保持されている場合には、発振回路51に印加される電圧が約1.0Vとほぼ一定であり、発振するまでの時間Tstartも約0.8秒と一定であるため、予め設定された値(例えば0.8秒)分の定量補正をしてブレーキ制御することで、指示誤差をより一層小さくしている。
【0221】
同様に、制御回路56は、補助コンデンサ32に電荷が保持されていない場合には、発振回路51に印加される電圧が約0.7Vから徐々に上昇するため、発振するまでの時間Tstartも約1.5秒(主コンデンサ31の電圧がVstart=0.7Vに上昇するまでの時間)+20秒(0.7Vの電圧が印加された際に発振回路51が発振を開始するまでの時間)とほぼ一定であるため、予め設定された値(例えば21.5秒)分の定量補正をしてブレーキ制御することで、指示誤差をより一層小さくしている。
【0222】
なお、これらの補正値の区別は、制御回路56に加わる電圧値や、発電機20の回転周期等を検出することで判断すればよい。さらに、補正値を設定する方法としては、例えば、タイマーで時間をカウントする方法や、CR時定数によってアナログ的なタイマーを設定する方法等が採用できる。
【0223】
そして、発電機20が立ち上がって定常運転になれば、発電機20からの電力がコンデンサ31を介して駆動回路57に供給され、引き続き発電機20の回転制御が行われる。
【0224】
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。
【0225】
(3−1)主コンデンサ31と補助コンデンサ32との充放電を制御するものとして、ダイオード36および抵抗37といった受動素子からなる充電制御回路35を用いているので、従来のように、能動素子であるコンパレータを用いる場合に比べて、消費電力を軽減することができる。
【0226】
このため、コンパレータを不要にできる分、発電機20の能力も小さくできる。従って、ゼンマイ1aからの供給エネルギーを小さくできてフル巻き状態からの持続時間も長くすることができる。また、発電機20の大きさを小さくすることもできるので、時計体という限られたスペースでの部品配置も容易にでき、結果的に時計自体の大きさも小さくできる。このため、特に、腕時計のように平面サイズや厚みに制約がある場合にも十分に適用することができる。
【0227】
(3−2)リューズの進退操作に応じて断続されるスイッチ361を設けたので、リューズを引き出して発電機20を停止させている間は、補助コンデンサ32から回転制御装置50側に電力が供給されることがなく、補助コンデンサ32の端子電圧を維持することができる。
【0228】
このため、針合わせ作業を終了して発電機20を作動させ始めた直後から、補助コンデンサ32によって主コンデンサ31つまりは回転制御装置50に電流を流すことができ、従来のように、駆動回路(駆動用IC)57の電源の電圧が上昇して、発振が開始できる電圧に到達するまでのタイムラグが生じないため、ロータの回転制御ができない時間を短くでき、指針誤差を小さくすることができる。従って、針合わせ後の起動性の確保および針合わせ精度の確保を両立させることができる。
【0229】
その上、補助コンデンサ32から主コンデンサ31を充電する際には、ダイオード36を介して充電電流が流れるため、充電ロスも少なくすることができる。
【0230】
(3−3)さらに、スイッチ361によって駆動回路57側から補助コンデンサ32を切り離すことができるため、補助コンデンサ32の電圧を比較的高い状態(例えば1.0V程度)に維持できる。このため、スイッチ361が接続された際に、駆動回路57に高い電圧を印加できるため、回転制御装置50の発振回路51が発振するまでの時間(Tstart)も短縮することができ、回転制御装置50をより一層迅速に作動させて指示誤差を小さくすることができる。
【0231】
(3−4)主コンデンサ31として静電容量の小さなコンデンサを用いているとともに、時計を長期間放置した後などの、各コンデンサ31,32に電荷が蓄積されていない場合に、発電機20からの充電電流を主コンデンサ31側に多く流す充電制御回路35を設けているので、主コンデンサ31は電圧がゼロボルト状態から駆動回路57を駆動可能な電圧まで上昇するスピードを充電制御回路35が無い場合の約1/10に短縮でき、駆動回路57を短時間で駆動して時計を制御状態にすることができる。従って、長時間放置した後でも、起動性の確保および針合わせ精度の確保を両立させることができる。
【0232】
また、針合わせ後に駆動回路57が駆動せず、運針にまったくブレーキが掛からないでフリーラン状態になってしまうと、秒針が高速に運針してしまい、使用者に不安感や不信感を抱かせるおそれがあるが、本実施形態では、駆動回路57を短時間で駆動できるため、秒針が高速で運針する期間も殆どなく、時計への信頼感を保つことができる。
【0233】
(3−5)主コンデンサ31は、機械式スイッチ361を介さずに直接駆動回路57に接続されているため、機械式スイッチ361でチャタリングが生じた場合でも、主コンデンサ31から駆動回路57に電力を供給し続けることができ、駆動回路57がチャタリングで停止されることを防止できる。
【0234】
(3−6)主コンデンサ31よりも静電容量の大きな補助コンデンサ32を主コンデンサ31に並列に接続しているので、補助コンデンサ32で主コンデンサ31の電圧変動をバックアップすることができ、電源電圧の安定化とシステム動作の安定化をはかることができる。
【0235】
(3−7)さらに、針合わせ後に駆動回路57が駆動するまでの時間は、補助コンデンサ32に電荷が保持されているか否かで異なるが、それぞれほぼ一定の時間に制御できるため、指示誤差の補正を予め設定された値を用いた定量補正により行うことができ、指示誤差を非常に小さくすることができて針合わせ精度をより一層向上することができる。
【0236】
(3−8)充電制御回路35は、ダイオード36、抵抗37といった安価な素子で構成できるため、コンパレータなどを用いる場合に比べて、製造コストを低減でき、安価に提供することができる。
【0237】
(3−9)充電制御回路35による各コンデンサ31,32への充電電流の制御は、抵抗37の抵抗値によって適宜設定できるため、時計の種類などに応じて適切な値に容易に調整することができる。
【0238】
(3−10)指示誤差の補正を予め設定された値を用いた定量補正により行っているため、指示誤差補正装置(制御回路)56の構成を簡易にできてコストも低減できる。
【0239】
次に、本発明の第4実施形態について図22を参照して説明する。
【0240】
本実施形態では、充電制御回路35を逆リーク電流を有するダイオード38のみで構成している。この場合、発電機20から各コンデンサ31,32に電流を充電する場合には、補助コンデンサ32への充電電流は、ダイオード38の逆リーク電流分のみになるため非常に小さくなり、充電電流の大半は、主コンデンサ31に流れる。このため、前記実施形態と同様に、主コンデンサ31の電圧を迅速に上昇させることができ、駆動回路57を短時間で制御状態に移行することができる。
【0241】
また、補助コンデンサ32に電荷が保持されている場合も、ダイオード38を介して補助コンデンサ32から主コンデンサ31に電流を充電できるため、駆動回路57を非常に迅速に駆動できるとともに、電流のロスも少なくできる。
【0242】
さらに、前記第3実施形態の(3−1)〜(3−9)と同様の作用効果が得られる他、充電制御回路35としてダイオード38のみを設ければよいため、コストも低減できる。
【0243】
次に、本発明の第5実施形態について図23,24を参照して説明する。本実施形態は、前記第3実施形態におけるブレーキ制御回路56に、前記第2実施形態の指示誤差補正装置200を設けたものである。
【0244】
このため、補助コンデンサ32に電荷が保持されている場合に、時刻修正操作を終了してスイッチ361を接続すると、充電制御回路35のダイオード36を介して補助コンデンサ32から主コンデンサ31に電流が充電され、駆動回路57を非常に迅速に駆動できる。そして、駆動回路57が作動すると、前記第2実施形態と同様に、指示誤差補正装置200は発振開始時間や温度に応じた補正値を加味して発電機20のブレーキ制御を行うため、指示誤差を無くすことができる。
【0245】
また、補助コンデンサ32に電荷が保持されていない場合でも、スイッチ361を接続すると、充電制御回路35により充電電流の大半は、主コンデンサ31に流れるため、前記実施形態と同様に、主コンデンサ31の電圧を迅速に上昇させることができ、駆動回路57を短時間で制御状態に移行することができる。そして、この場合も、指示誤差補正装置200によって発電機20のブレーキ制御を補正できるため、指示誤差を無くすことができる。
【0246】
このような本実施形態によれば、前記第2実施形態の指示誤差補正装置200を設けたことによる効果(2−3)〜(2−5)や、前記第3実施形態の(3−1)〜(3−9)と同様の作用効果を奏することができる。
【0247】
なお、本発明は前述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0248】
例えば、前記第1実施形態では、電源スイッチ(電源カットスイッチ162)を電源VSS側に設けていたが、電源VDD側に設けてもよく、さらには各電源VSS、VDDに対して設けてもよく、要するに、電源スイッチは、電源からアナログ回路160への電気エネルギの供給を遮断できて消費電力を低減できるものであればよく、その配置位置や構成は適宜設定すればよい。
【0249】
電源スイッチ(電源カットスイッチ162)としては、竜頭検出回路180からの信号によって作動されるものに限らず、竜頭の操作に連動して断続される機械的なスイッチでもよいし、発電機20や輪列の停止および作動に連動して断続するものでもよい。要するに、針合わせ操作に連動して断続されるものであればよい。
【0250】
クロック入力規制手段(クロックカットゲート171)は、前記第1実施形態のようなANDゲートに限らず、発振回路51からロジック回路170への信号ラインを断続するスイッチ等を用いてもよく、要するにロジック回路170へのクロック入力を遮断できるものであればよい。
【0251】
竜頭検出回路180のスイッチ186は、前記第1実施形態と逆に、0、1段目に第2の信号ライン184に接続され、2段目に第1の信号ライン183に接続されるようにしてもよい。この場合には、竜頭検出回路180の出力信号が逆になるため、その信号に合わせて電源カットスイッチ162やクロックカットゲート171を設定すればよい。
【0252】
また、前記第1実施形態では、竜頭の信号入力ライン185は電源VDDに接続していたが、電源VSS側に接続してもよい。この場合には、竜頭検出回路180を電源VSSに接続されたスイッチ186の接触で竜頭の位置を検出できるように設定すればよい。
【0253】
さらに、スイッチ186は、竜頭が各位置にある間、信号ライン183,184に接触し続けるように設定してもよいが、前記竜頭検出回路180は前述の通り2つのインバータ181,182を備えることでスイッチ186から入力された信号を維持することができるため、竜頭位置を切り替えた際に一瞬だけスイッチ186を信号ライン183,184のいずれかに接触させ、その後は竜頭位置が切り替えられるまではどちらの信号ライン183,184にも接触しない中間位置にスイッチ186を保持するようにしてもよい。
【0254】
さらに、外部操作部材検出回路(竜頭検出回路180)は、前記実施形態の構成に限らず、例えば図28に示すような従来の竜頭検出回路を採用してもよい。但し、本実施形態の竜頭検出回路180を用いれば、消費電力をより一層低減できる利点がある。
【0255】
また、針合わせ状態と通常運針状態とを切り替える外部操作部材としては竜頭に限らず、専用のボタンやレバーなどの他のものでもよく、また、機械的なものや電気的なものでもよく、外部操作部材の具体的な構成は実施にあたって適宜設定すればよい。さらに、外部操作部材検出回路としては、前記実施形態のような電圧の変化を検出するものに限らず、例えば外部操作部材の位置に応じて移動するレバーや押しボタン等を利用して外部操作部材の位置を直接検出するようなものでもよく、これらは外部操作部材の種類等に応じて適宜設定すればよい。
【0256】
さらに、ロジック回路を駆動するためのロジック回路用電源回路は、定電圧回路161に限らず、ロジック回路を駆動できるものであればよい。
【0257】
前記第1実施形態では、pre_RYZ(前回竜頭位置データ)とnow_RYZ(今回竜頭位置データ)との2つの記憶レジスタを設定し、竜頭位置の変化があるかを判定していたが(図8の処理S4)、now_RYZ(今回竜頭位置データ)のみを設定し、図8の処理S1,S3,S4,S5を無くし、竜頭位置の検出(S2)からすぐに竜頭位置の判定(S6)を行うようにしてもよい。但し、前記第1実施形態では、竜頭位置の変化を判定し、変化があった場合のみに電力供給制御処理(S7〜S12)を行うようにしているので、効率的に制御を行うことができる。
【0258】
また、前記第1実施形態に記載の発明は、電子制御式機械時計以外の自動巻発電式時計や、ソーラー充電式時計、電池式時計等に適用してもよい。これらの時計においても、針合わせ時の消費電力を減少させることができるため、駆動時間を延ばすことができるとともに、発振回路は作動し続けるために時刻指示誤差を無くすことができる。
【0259】
前記第2,5実施形態では、制御回路56の指示誤差補正装置200は、コンデンサ22の電圧および温度を検出しその値に基づいた補正量で指示誤差を補正していたが、前記第3実施形態と同様に、指示誤差を予め設定された値で定量補正してもよい。
【0260】
さらに、指示誤差を補正する方法としては、コンデンサ22の電圧のみに基づいて行ってもよいし、発電機20の回転周期などに応じて行ってもよい。例えば、コンデンサ22の電圧を検出し、各電圧値に対応した補正量で補正を行う場合には、保持されたコンデンサ22の電圧が1.2V程度と高い場合には、補正量を「0」とし、コンデンサ22の電圧が0.8V程度と低い場合には、補正量をマイナス1.0秒(−1.0秒)分などとすればよい。
【0261】
すなわち、コンデンサ22への充電電圧と、発電機20に加わるゼンマイ1aのトルクとは通常比例し、また前記トルクによって指針の運針速度も設定される。従って、予め、コンデンサ22の各電圧値と、その電圧値で発振回路51が駆動してブレーキ制御が開始される時間点における指針の進み/遅れ位置とを調べておき、各電圧値と指針誤差量との対比表を制御回路56等に記憶しておいて利用すればよい。
【0262】
これにより、例えば、コンデンサ22が1.2Vであればブレーキ制御が開始される時間点(約0.2秒後)においては、結果的に指針位置は進み/遅れがない(指示誤差ゼロ)状態であるため、補正量をゼロとすることで指示誤差を殆ど無くすことができる。
【0263】
また、コンデンサ22の電圧が0.8Vであれば、ブレーキ開始時(発振開始までの時間であり約8秒後)までに指針は9秒分運針(移動)しているため、差分の1秒をブレーキ制御により補正することで指示誤差を殆ど無くすことができる。
【0264】
さらに、指示誤差補正装置200としては、前記第2実施形態のように、アップダウンカウンタ54の初期値を設定することで補正するものに限らず、例えば、アップダウンカウンタ54からの出力値LBS等を直接調整して補正してもよいし、通常利用されるブレーキ回路120とは別の補正用のブレーキ回路等を設けて補正してもよい。要するに、時計の指示誤差を補正できる構成であればよい。
【0265】
電力供給制御装置であるスイッチ261の具体的な構成は、実施にあたって適宜設定すればよい。また、機械式のスイッチに限らず、電気的なスイッチでもよい。但し、電力の供給を完全に遮断できる点で機械式スイッチを用いることが好ましい。なお、電気的なスイッチを用いた場合でも、電気的スイッチを構成するシリコンダイオードのリーク電流(1nA程度)しか放電しないため、スイッチの遮断効果は機械式スイッチの場合とほとんど同じであり、実用上は問題とならない。
【0266】
さらに、スイッチ261は、リューズの操作(時刻修正操作)に連動して断続されるものに限らず、発電機20や輪列の停止および作動に連動して断続するものでもよい。但し、リューズの操作に連動するように構成すれば、構造が簡単で安価に製造できる利点がある。
【0267】
また、第2実施形態においては、第2コンデンサ25は必ずしも設けなくてもよく、図25に示すように、第2コンデンサ25を無くしてコンデンサ22のみを設けてもよい。
【0268】
また、充電制御回路35としては、前記第3,4実施形態のものに限らない。例えば、充電制御回路35としては、一方向素子および抵抗で構成されるものでもよい。なお、一方向素子としては、逆リーク電流を有しないダイオードなどが利用できる。このような場合も、一方向素子が前記第3実施形態のダイオード36と同様に作用し、抵抗が抵抗37と同様に作用するため、前記第3実施形態の(3−1)〜(3−9)と同様の作用効果が得られる。
【0269】
さらに、充電制御回路35としては、コンパレータ等の能動素子を用いてもよい。要するに、充電制御回路35は、発電機20からの充電電流を主コンデンサ31側に多く流し、補助コンデンサ32側に少なく流すとともに、補助コンデンサ32の電圧が主コンデンサ31よりも高い場合には、補助コンデンサ32から主コンデンサ31に電流を供給できるように、主蓄電装置と補助蓄電装置への充電電流や、主蓄電装置と補助蓄電装置間の電流の方向、電流量を調整できるものであればよく、特に受動素子のみで構成されていることが消費電力を低減できる点で好ましい。
【0270】
また、前記第3,4実施形態の制御回路56では、指示誤差を予め設定された値で定量補正を行うようにしていたが、第2実施形態と同様な指示誤差補正装置200を設け、電圧値、温度、あるいは発電機20の回転周期などに応じて適宜補正してもよい。さらには、第3,4実施形態においては、必ずしも指示誤差補正装置200を設けなくてもよい。この場合、温度が著しく低い場合や、補助コンデンサ32の電圧が低下している場合には、発振回路51が駆動するまでに時間が掛かり、その分、指示誤差が発生するが、この指示誤差も運針制御を行っている間に解消される。つまり、指示誤差補正装置200が設けられていれば、時刻修正操作後、指示誤差が解消されるまでの時間が非常に短くなる。一方で、指示誤差補正装置200が設けられていない場合には、その時間が多少長くなるが、それでも1〜数分程度では誤差が解消されるため、実用上は殆ど問題はない。さらに、通常は、補助コンデンサ32の電圧も確保され、かつ温度も著しく低くなければ、発振回路が駆動するまでの時間も短いため、指示誤差補正装置200が設けられていなくても短時間で指示誤差を解消できる。
【0271】
スイッチ361の具体的な構成は、実施にあたって適宜設定すればよい。さらに、スイッチ361は、リューズの操作に連動して断続されるものに限らず、発電機20や輪列の停止および作動に連動して断続するものでもよい。但し、リューズの操作に連動するように構成すれば、構造が簡単で安価に製造できる利点がある。
【0272】
また、ダイオード36,38や抵抗37の種類や逆リーク電流値、抵抗値等は実施にあたって適宜設定すればよい。特に抵抗37の抵抗値や、ダイオード38の逆リーク電流値は、補助コンデンサ32の充電電流の大きさに影響するため、実施にあたって適宜設定すればよい。
【0273】
前記第1実施形態においても、前記第2実施形態のような指示誤差補正装置200を制御回路56内に組み込んでもよい。さらに、第1実施形態の電源回路として、前記第3,4実施形態の電源回路30を用いてもよい。第1実施形態では、時刻修正操作によって発電機20が停止しても、コンデンサ22からの電力で発振回路51を作動し続けるため、時刻修正操作からの復帰時、指示誤差を無くすことができるが、時刻修正操作が長引いたり、時計を長期間放置して、コンデンサ22が放電された場合には、発振回路51も停止するため、指示誤差が発生する。このようなコンデンサ22が放電された場合でも、電源回路30を備えていれば、発電機20が作動し始めた際に、発振回路51を迅速に駆動できて指示誤差を小さくできる。さらに、指示誤差補正装置200を備えていれば、発振回路51が再度駆動した際の指示誤差をより一層小さくできる。
【0274】
さらに、前記各実施形態では、デューティ比の異なる2種類のチョッピング信号CH3をスイッチ121に入力してブレーキ制御していたが、例えば信号LBSを反転してスイッチ121に入力するなどして、チョッピング信号を用いずに、ブレーキ制御してもよい。また、前記各実施形態では、発電機20の各端子MG1,MG2間を閉ループさせてショートブレーキを掛けてブレーキ制御していたが、発電機20に可変抵抗等を接続して発電機20のコイルに流れる電流値を変えることでブレーキ制御してもよい。要するに、ブレーキ制御回路56の具体的な構成は、図2に示すようなものに限らず、そのブレーキ方法に応じて適宜設定すればよい。
【0275】
また、発電機20を駆動する機械的エネルギ源としては、ゼンマイ1aに限らず、ゴム、スプリング、重錘、圧縮空気などの流体等でもよく、本発明を適用する対象などに応じて適宜設定すればよい。さらに、これらの機械的エネルギ源に機械的エネルギを入力する手段としては、手巻き、回転錘、位置エネルギ、気圧変化、風力、波力、水力、温度差等でもよい。
【0276】
また、ゼンマイなどの機械的エネルギ源からの機械的エネルギを発電機に伝達する機械エネルギー伝達手段としては、前記実施形態のような輪列7(歯車)に限らず、摩擦車、ベルト(タイミングベルト等)及びプーリ、チェーン及びスプロケットホイール、ラック及びピニオン、カムなどを利用したものでもよく、本発明を適用する電子制御式時計の種類などに応じて適宜設定すればよい。
【0277】
さらに、発電機としては、ロータを回転させて電磁変換により発電する発電機に限らず、圧電素子(ピエゾ素子)に応力を加えて発電するピエゾ発電機等の他の形式の発電機を用いてもよい。
【0278】
また、時刻表示装置としては、指針13に限らず、円板、円環状や円弧形状のものを用いてもよい。さらに、液晶パネル等を用いたデジタル表示式の時刻表示装置を用いてもよい。
【0279】
【産業上の利用可能性】
以上に述べたように、本発明の電子制御式時計、電子制御式時計の電力供給制御方法、電子制御式時計の時刻修正方法によれば、時刻修正操作後の時刻指示の誤差を小さくすることができる。
【0280】
また、第1の発明の電子制御式時計および電力供給制御方法によれば、電源スイッチやクロック入力規制手段を設けたことで時刻修正操作(針合わせ操作)時の消費電力を低減でき、かつ発振回路は時刻修正操作時にも作動させ続けているため、時刻修正操作からの復帰時の時刻指示の誤差を無くすことができる。
【0281】
さらに、第2の発明の電子制御式時計および時刻修正方法によれば、コンデンサの容量やゼンマイなどの機械的エネルギ源のサイズを大きくする必要がないため、電子制御式時計を小型化できてコストも低減できるとともに、時刻修正操作(針合わせ操作)に時間が掛かった場合でも、発振回路の発振開始までの時間を短くでき、さらに指示誤差補正装置で指示誤差を補正できるため、時刻修正操作後の指針の指示誤差を最小限に小さくすることができる。
【0282】
その上、第3の発明の電子制御式時計および電力供給制御方法によれば、発電機が作動し始めた際に回転制御装置を迅速に駆動させて時間制御の誤差を小さくすることができる。さらに、充電制御回路としてダイオードや抵抗等の受動素子を用いれば、コンパレータ等の能動素子を用いた場合に比べて、消費電力を軽減でき、発電機の能力を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における電子制御式時計の構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態の制御回路の構成を示す回路図である。
【図3】第1実施形態の回転制御装置の構成を示す回路図である。
【図4】第1実施形態の回路におけるタイミングチャートである。
【図5】第1実施形態の回路におけるタイミングチャートである。
【図6】第1実施形態の回路における発電機の交流出力信号の波形図である。
【図7】第1実施形態の制御方法を示すフローチャートである。
【図8】第1実施形態の前記実施形態の電力供給制御方法を示すフローチャートである。
【図9】第1実施形態の電力供給制御方法における竜頭位置検出処理を示すフローチャートである。
【図10】第2実施形態における電子制御式時計の構成を示すブロック図である。
【図11】第2実施形態の制御回路の構成を示す回路図である。
【図12】第2実施形態の電力供給制御装置を示す回路構成図である。
【図13】第2実施形態の指示誤差補正装置を示すブロック図である。
【図14】指示誤差補正装置における初期値設定テーブルを示す図である。
【図15】第2実施形態におけるコンデンサの電圧および駆動回路への印加電圧の変化を示す図である。
【図16】発振回路への印加電圧と発振開始時間との温度特性を示すグラフである。
【図17】指示誤差補正装置におけるA/Dコンバータの入力値と出力値との関係を示す図である。
【図18】第3実施形態における電子制御式時計の構成を示すブロック図である。
【図19】第3実施形態の電源回路の構成を示す回路図である。
【図20】第3実施形態におけるコンデンサの電圧および駆動回路への印加電圧の変化を示す図である。
【図21】第3実施形態におけるコンデンサの電圧および駆動回路への印加電圧の変化を示す図である。
【図22】第4実施形態の電源回路の構成を示す回路図である。
【図23】第5実施形態における電子制御式時計の構成を示すブロック図である。
【図24】第5実施形態の電源回路の構成を示す回路図である。
【図25】第2実施形態の変形例を示す回路構成図である。
【図26】従来例におけるコンデンサの電圧および駆動回路への印加電圧の変化を示す図である。
【図27】発振回路への印加電圧と発振開始時間との関係を示すグラフである。
【図28】従来の竜頭検出回路を示す回路図である。
Claims (14)
- 機械的エネルギ源と、この機械的エネルギ源により駆動されることにより電気的エネルギを出力する発電機と、前記電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置とを備える電子制御式時計において、前記発電機から供給される電気的エネルギを蓄えて前記回転制御装置を駆動する主蓄電装置と、この主蓄電装置に対して時刻修正操作に連動する機械式スイッチを介して並列に接続される補助蓄電装置と、前記主蓄電装置と補助蓄電装置との間に配置され、かつ、主蓄電装置と補助蓄電装置への充電電流や、主蓄電装置と補助蓄電装置間の電流の方向、電流量を調整する充電制御回路と、を備えていることを特徴とする電子制御式時計。
- 請求項1に記載の電子制御式時計において、前記充電制御回路は、前記機械式スイッチが接続されて前記主蓄電装置および補助蓄電装置が前記発電機からの電気的エネルギで充電される際に、前記補助蓄電装置への充電電流を、前記主蓄電装置への充電電流に比べて小さくし、かつ、前記主蓄電装置に比べて前記補助蓄電装置の電圧が高い場合には、前記補助蓄電装置から前記主蓄電装置への充電を許容するように構成されていることを特徴とする電子制御式時計。
- 請求項2に記載の電子制御式時計において、前記充電制御回路は、受動素子のみで構成されていることを特徴とする電子制御式時計。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の電子制御式時計において、前記主蓄電装置の静電容量は、補助蓄電装置の静電容量以下に設定されていることを特徴とする電子制御式機械時計。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の電子制御式時計において、前記機械式スイッチは、時刻修正をする際には切断され、時刻修正操作終了時には接続されるように構成されていることを特徴とする電子制御式時計。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の電子制御式時計において、前記充電制御回路は、抵抗と、この抵抗に対して並列に接続されたダイオードとを備えて構成され、前記ダイオードは、前記発電機から前記補助蓄電装置を充電する電流方向に対しては逆方向となり、前記補助蓄電装置から前記主蓄電装置を充電する電流方向に対しては順方向となるように接続されていることを特徴とする電子制御式時計。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の電子制御式時計において、前記充電制御回路は、前記発電機から前記補助蓄電装置を充電する電流方向に対しては逆方向となり、前記補助蓄電装置から前記主蓄電装置を充電する電流方向に対しては順方向となるように接続された逆リーク電流を有するダイオードのみで構成されていることを特徴とする電子制御式時計。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の電子制御式時計において、前記充電制御回路は、抵抗と、この抵抗に対して並列に接続された一方向素子とを備えて構成され、前記一方向素子は、前記発電機から前記補助蓄電装置を充電する方向の電流は遮断し、前記補助蓄電装置から前記主蓄電装置を充電する方向の電流を流すように接続されていることを特徴とする電子制御式時計。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の電子制御式時計において、前記機械式スイッチが接続されて主蓄電装置から回転制御装置への電気的エネルギの供給が再開された際に、回転制御装置が正常動作するまでの時刻指示の誤差を補正する指示誤差補正装置を備えていることを特徴とする電子制御式時計。
- 請求項9に記載の電子制御式時計において、前記指示誤差補正装置は、予め設定された値分の定量補正を行うように構成されていることを特徴とする電子制御式時計。
- 請求項9に記載の電子制御式時計において、前記指示誤差補正装置は、前記蓄電装置の電圧に応じて補正量を設定するように構成されていることを特徴とする電子制御式時計。
- 請求項9〜11のいずれかに記載の電子制御式時計において、前記指示誤差補正装置は、温度を検出して補正量を調整するように構成されていることを特徴とする電子制御式時計。
- 請求項9に記載の電子制御式時計において、前記指示誤差補正装置は、温度センサと、前記蓄電装置の電圧を測定する電圧検出器と、前記温度センサおよび電圧検出器の検出値に基づいて補正量を設定する補正量設定装置と、を備えて構成されていることを特徴とする電子制御式時計。
- 機械的エネルギ源と、この機械的エネルギ源により駆動されることにより電気的エネルギを出力する発電機と、前記電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置とを備える電子制御式時計の電力供給制御方法において、前記発電機から供給される電気的エネルギを蓄えて前記回転制御装置を駆動する主蓄電装置を設けるとともに、この主蓄電装置に機械式スイッチを介して補助蓄電装置を並列に接続し、電子制御式時計の時刻修正をする際には前記機械式スイッチを切断し、時刻修正操作終了時に前記機械式スイッチを接続した際に、補助蓄電装置の電圧が主蓄電装置の電圧に比べて高い場合には、補助蓄電装置から主蓄電装置に電流を流して充電し、補助蓄電装置の電圧が主蓄電装置の電圧以下の場合には、発電機から主蓄電装置に供給される充電電流を、発電機から補助蓄電装置に供給される充電電流よりも大きくすることを特徴とする電子制御式時計の電力供給制御方法。
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