JP2004003855A - 熱交換器用偏平チューブ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】プレート同士をその全面に亘って確実に係合させ、その状態で熱交換効率のよくなる熱交換器用偏平チューブとその製造方法を提供すること。
【解決手段】1枚のプレートを折り曲げて、或いは、2枚のプレートを重ね合わせてなる熱交換器用偏平チューブにおいて、前記プレートに複数列の長ビード(16)を形成するものであって、この長ビードは、頂部が略平坦に設けられ、前記各長ビードの頂部と平面部(15)とが接合して、前記長ビードと前記平面部とで複数の流路(17)を形成し、更に、前記プレートの長手方向に亘って形成された長ビードの適位箇所に、隣りの流路に連通する通路部(18)を複数箇所形成し、この通路部は長ビードの長さよりも短く形成されており、更に前記通路部の長手方向の寸法を10mm以下とした。
【選択図】 図3
【解決手段】1枚のプレートを折り曲げて、或いは、2枚のプレートを重ね合わせてなる熱交換器用偏平チューブにおいて、前記プレートに複数列の長ビード(16)を形成するものであって、この長ビードは、頂部が略平坦に設けられ、前記各長ビードの頂部と平面部(15)とが接合して、前記長ビードと前記平面部とで複数の流路(17)を形成し、更に、前記プレートの長手方向に亘って形成された長ビードの適位箇所に、隣りの流路に連通する通路部(18)を複数箇所形成し、この通路部は長ビードの長さよりも短く形成されており、更に前記通路部の長手方向の寸法を10mm以下とした。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する利用分野】
本発明は、1枚のプレートを折り曲げて、或いは、2枚のプレートを重ね合わせてなる熱交換器用偏平チューブとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複数の偏平チューブが積層されて、各々の偏平チューブの両端部がヘッダタンクに接続され、ヘッダタンクに設けられた出入口継手間で熱交換媒体が複数回蛇行して通流される積層型熱交換器が知られている。
【0003】
この種の積層型熱交換器の偏平チューブとしては、例えば、図7に示すように、所定の大きさのブレージングシートからなる2枚のプレート21,21に、先端面が互いに当接する多数の長ビード22,22が形成され、両縁の接合部23,23がろう付けにより接合されて偏平チューブ20が形成されるものが知られている。更に、ビードを個々独立させた所謂丸ビードのものも多用されている。また、1枚のプレートを折り曲げて形成するものも知られている。
【0004】
このような偏平チューブを用いた積層型熱交換器をろう付けする際には、複数の偏平チューブの間にフィンを介装して、偏平チューブの両端部をヘッダタンクのチューブ挿入孔内に挿入して組み付けて治具により組立てた後、炉内で一体ろう付けが行われ、偏平チューブのチューブ挿入孔と偏平チューブや、偏平チューブのビードの先端面同士が接合されて製造される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来の熱交換器用の偏平チューブにおいて、図7に示すような長ビードのものは、これらの長ビードによって囲まれる部位が独立した流路を構成することとなる。そして、各流路は他から独立しているので、チューブ幅方向における熱媒体の交換がなく、熱効率に片寄りを生じる不都合があった。
【0006】
この点、ビードを個々独立させた丸ビードのものの場合は、チューブ幅方向における熱媒体の交換がなされて、熱効率に片寄りを生じる不都合は回避されるが、それぞれのビードが独立して多数存在するので、これらビードの高さ寸法を一様に管理することは甚だ困難である。
【0007】
因に、チューブ長さ600mmに4列のビードが3mmのピッチで形成されている通常タイプの偏平チューブの場合、ビードは800個/1本であり、30段のチューブを有する熱交換器ではビード数が全部で24,000個存在する。これら24,000個のビードは、2枚のプレートが接合して一組のものが形成されるので、ビードそれ自体に着目してみると個々のものでは48,000個のビードが存在している。これら全てのビードがろう付けされないと耐圧性を満足しないので、特にビードの高さ管理が必要とされるが、一つの熱交換器で48,000個のビードの高さ管理を行うことは、量産性を考えると極めて困難である。
【0008】
そこで本発明は、偏平チューブを改良して、熱交換効率を向上することができ、しかもプレート同士をその全面に亘って確実に係合した状態にもたらすことができ、その結果、ろう付け性が向上して耐圧性も向上する熱交換器用偏平チューブ及びその製造方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、1枚のプレートを折り曲げて、或いは、2枚のプレートを重ね合わせてなる熱交換器用偏平チューブにおいて、
前記プレートに複数列の長ビードを該プレートの長手方向に亘って形成するものであって、この長ビードは、頂部が略平坦に設けられ、
前記各長ビードが対向するプレートの当該対向部位を平面に形成し、且つ前記各長ビードの頂部と前記平面部とが接合して、前記長ビードと前記平面部とで複数の流路を形成し、
更に、前記プレートの長手方向に亘って形成された長ビードの適位箇所に、隣りの流路に連通する通路部を複数箇所形成し、この通路部は長ビードの長さよりも短く形成されており、更に前記通路部の長手方向の寸法を10mm以下とした熱交換器用偏平チューブである。
【0010】
このように、前記ビードが対向するプレートの当該対向部位を平面に形成するものであるため、ビードはプレートの平面部と対向し、そして、前記ビードは長ビードであり且つ頂部が略平坦に設けられているため、プレート平面部とのろう付けが良好になされ、従来の丸ビードのような不都合は生じない。加えて、これら長ビードと前記平面部とで複数の流路が形成されて、その限りでは各流路は他から独立しているので、一方で、熱媒体は比較的スムーズに流路内を流れることができる。他方で、前記プレートの長手方向に亘って形成された長ビードの適位箇所に、隣りの流路に連通する通路部が複数箇所形成されているので、当該箇所において、チューブ幅方向における熱媒体の交換が適宜なされることとなり、従来の長ビードの場合に生じ得る熱効率の片寄りを回避することが可能となる。また、流路が形成されて、熱媒体がスムーズに流路内を流れる点と、通路部が形成されて、チューブ幅方向における熱媒体の交換が適宜なされる点との調和から、通路部の長手方向の寸法が、10mm以下が好ましいものである。
【0011】
また、本願発明は、1枚のプレートを折り曲げて、或いは、2枚のプレートを重ね合わせてなる熱交換器用偏平チューブにおいて、複数列の長ビードをロール成形により前記プレートの長手方向に沿う中心線に対し非対称に形成し、前記プレートの長手方向に亘って形成された長ビードの適位箇所を、当該ビードを元に戻す方向に塑性変形し、しかる後、前記長ビードが形成された1枚のプレートを折り曲げて、或いは、同一形状のプレートを2枚重ね合わせて偏平チューブ本体を形成し、前記長ビードの頂部と、該長ビードが対向するプレートの平面とが接合して、前記長ビードと前記平面とで複数の流路を形成し、更に、前記塑性変形の箇所が、隣りの流路に連通する通路部を構成する熱交換器用偏平チューブの製造方法である。
【0012】
このような偏平チューブは、1枚のプレートを折り曲げにより、或いは、同プレートを2枚重ね合わせて、ろう付けして形成される。この場合、長ビードは、プレートの折り曲げや重ね合わせの前に、或いは同時に、ロール成形により形成される。
【0013】
更に、本願発明の場合は、前記ビードが対向するプレートの当該対向部位を平面に形成するものであるため、ビードはプレートの平面部と対向する。
【0014】
そして、前記ビードは長ビードであるため、プレート平面部とのろう付けが良好になされ、前述したような丸ビードの場合の不都合は生じない。加えて、これら長ビードと前記平面部とで複数の流路が形成されて、その限りでは各流路は他から独立しているので、一方で、熱媒体は比較的スムーズに流路内を流れ、他方で、チューブ幅方向における熱媒体の交換はない。ところが、前記プレートの長手方向に亘って形成された長ビードの適位箇所に、隣りの流路に連通する通路部が複数箇所形成されているので、当該箇所において、チューブ幅方向における熱媒体の交換が適宜なされることとなり、従来の長ビードの場合に生じ得る熱効率の片寄りを回避することが可能となる。
【0015】
また、前記偏平チューブを形成するにあたり、複数列の長ビードをロール成形により前記プレートの長手方向に沿う中心線に対し非対称に形成して、長ビードを前記プレートの長手方向に亘って一様に形成し、そして、形成された長ビードの適位箇所を、当該ビードを元に戻す方向に塑性変形し、しかる後、前記長ビードが形成された同一形状のプレートを2枚重ね合わせて偏平チューブ本体を形成し、前記長ビードの頂部と、該長ビードが対向するプレートの平面とが接合して、前記長ビードと前記平面とで複数の流路を形成し、更に、前記塑性変形の箇所が、隣りの流路に連通する通路部を構成する熱交換器用偏平チューブの製造方法であり、従って長ビードはロール成形により画一的に且つ迅速に形成され、その工程後に前記通路部が形成されるので、ロール成形が効率的に行われる。
【0016】
また、前記プレートの長手方向に亘って形成された長ビードの適位箇所に、隣りの流路に連通する通路部が複数箇所形成されているので、当該箇所において、チューブ幅方向における熱媒体の交換が適宜なされることとなり、従来の長ビードの場合に生じ得る熱効率の片寄りを回避することが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施例を図面に基いて説明する。
【0018】
図1において、本例の偏平チューブ2を用いた積層型熱交換器1は、複数の偏平チューブ2が波状フィン3を介して積層されている。
【0019】
前記複数の偏平チューブ2の各端部は、図2に示すように、プレートの平面部15にビードを接合させた状態で、ヘッダタンク4に設けられた挿入孔7に挿入される。
【0020】
また、各ヘッダタンク4の上下の開口部は盲キャップ8により閉塞され、各ヘッダタンク4の所定箇所には仕切板9が設けられている。
【0021】
更に、ヘッダタンク4には入口継手10と出口継手11が設けられており、これらの出入口継手10,11の間で熱交換媒体が複数回蛇行して通流される。
【0022】
尚、図1中、12は積層された偏平チューブ2の上下に配設されたサイドプレートを示す。
【0023】
前記各偏平チューブ2は、図3に示すように、例えば、ろう材を被覆したアルミ製ブレージングシートを連続供給するとともに、ロール成形、プレス成形等により所定の大きさ及び形状に形成された2枚のプレート13A,13Bを、重ね合わせて形成されている。
【0024】
これらのプレート13A,13Bは、周縁部に接合部14,14を有し、それぞれの平面部15,15が外方へ膨出するように形成される。各平面部15には内方へ向けて突出する長ビード16,16が多数設けられている。尚、この平面部15は、素材の平坦面をそのまま利用し、ロールやプレス等により接合部14並びに長ビード16が形成される。
【0025】
前記長ビード16は、偏平チューブ2の幅方向に複数列設けられており、各長ビードが対向するプレートの当該対向部位は平面に形成し、且つ前記各長ビードの頂部と前記平面部15とが接合して、前記長ビードと前記平面部とで複数の流路17,17が形成される。
【0026】
更に、前記プレートの長手方向に亘って形成された長ビード16,16の適位箇所に、隣りの流路に連通する通路部18を複数箇所形成している。
【0027】
これら長ビード16,16と平面部15(端縁側では更に接合部14)とで複数の流路17,17が形成され、各流路17,17は他から独立しているので、熱媒体は比較的スムーズに流路内を流れる一方、チューブ幅方向における熱媒体の交換はない。ところが、前述したように、前記プレートの長手方向に亘って形成された長ビードの適位箇所に、隣りの流路に連通する通路部18が複数箇所形成されているので、当該箇所において、チューブ幅方向における熱媒体の交換が適宜なされることとなり、従来の長ビードの場合に生じ得る熱効率の片寄りを回避することが可能となる。
【0028】
尚、流路17,17が形成されて、熱媒体がスムーズに流路内を流れる点と、通路部18が形成されて、チューブ幅方向における熱媒体の交換が適宜なされる点との調和から、通路部18の長手方向の寸法は、10mm以下が好ましい。
【0029】
更に、実施例では、プレート13A,13Bの端部であって該プレートがヘッダタンクに対しろう付けされる箇所(図3に二点鎖線で示している。)の外面が平面に形成されている。この例では、当該平面は、後述する長ビードの塑性変形により平面に再生された部位である。従って、偏平チューブにビードが多数設けられていても、ヘッダタンクと偏平チューブとのろう付けが、偏平チューブの平面部においてなされるので、当該ろう付けは良好になされる。
【0030】
尚、前記ろう付け箇所の平面部は、同時に通路部18を構成することとなり、この場合の通路部18の長手方向の寸法は、ヘッダタンクの挿入孔7にバーリングが存在するので、これとの関係で5mm程度が好ましい。
【0031】
次に、前記構造の偏平チューブを形成する点を説明する。
【0032】
前記偏平チューブ2を形成するには、ロールに巻取られた所定幅のブレージングシートからなるプレート13(13A,13B)をロールから順次繰出し、ロール成形により、チューブ幅方向に複数列の長ビード16,16を、前記プレートの長手方向に沿う中心線に対し非対称に形成して、長ビードを前記プレートの長手方向に亘って一様に形成する。従って、この時点では、長ビード16,16はプレート13の長手方向に亘って連続して形成され、前記通路部18は存在していない。
【0033】
そして、形成された長ビードの適位箇所を、図4に示すように、プレス型19A,19Bにより当該ビードを元に戻す方向に塑性変形する。この例では、長ビードの塑性変形により再び平面に形成される。
【0034】
尚、上側のプレス型19Aは、底面の型形状を、ヘッダタンク4の挿入孔7の湾曲形状に適合するものとしている。また、偏平チューブ2は左右端部が左右のヘッダタンク4に挿入されるので、上側のプレス型19Aには前記湾曲形状の対称的なものを別途用意している。
【0035】
しかる後、前記長ビードが形成された同一形状のプレートを2枚重ね合わせて偏平チューブ本体を形成する。図5に示すように、プレート13Aとプレート13Bは同一形状であって、一方が他方に対しチューブ長手方向において180度引っ繰り返しているに過ぎないものである。
【0036】
また、実施例では、チューブ幅方向に複数列の長ビード16,16を、ロール成形により、プレートの長手方向に沿う中心線(図示を省略)に対し非対称に形成している。従って、同一形状のプレート13のうち一方を180度引っ繰り返すと、長ビード16は平面部15と当接する形態を実施することができる。つまり、異形状のプレートを2種類用いることなく、1種類のプレートで偏平チューブを形成することができる。
【0037】
このようにして形成された偏平チューブ2は、図6に示すように、長ビード16,16と平面部15(前述したように端縁側では更に接合部14)とで複数の流路17,17が形成され、各流路17,17は他から独立しているので、熱媒体は比較的スムーズに流路内を流れる。そして、前記プレートの長手方向に亘って形成された長ビードの適位箇所に、隣りの流路に連通する通路部18が複数箇所形成されているので、当該箇所において、チューブ幅方向における熱媒体の交換が適宜なされることとなり、従来の長ビードの場合に生じ得る熱効率の片寄りを回避することが可能となるものである。
【0038】
前記実施例は、ロール成形で長ビード16を形成し、通路部18はプレス成形で形成したが、偏平チューブを形成するにあたり、複数列の長ビードと、前記プレートの長手方向に亘る前記長ビードの適位箇所に設けられる平面部(通路部18を含む。)とを、プレスにより形成することもできる。この場合、複数のプレスで複数工程とすることもできるが、これらを一つプレスを用いて一つの工程で行うことができるので、偏平チューブを迅速に製造することが可能となる。
【0039】
次に、上述したようにして形成された2枚のプレート13A,13Bを重ね合わせ、長ビード16の先端部を平面部15に当接して偏平チューブ2を組立てる。
【0040】
その後、複数の偏平チューブ2の間にフィン3を介装して偏平チューブ2の両端部をヘッダタンク4のチューブ挿入孔7内に挿入する。そして、治具により組立てた後、炉内で一体ろう付けが行われ、チューブ挿入孔7と偏平チューブ2、偏平チューブ2の接合部14,14及び、長ビード16と平面部15が接合される。
【0041】
従って、2枚のプレートを重合わせて構成される偏平チューブであっても、互いに当接するプレート13A,13Bに、互いに当接する長ビード16と平面部15が形成されているので、偏平チューブ2を組み付けた際にも、偏平チューブ接合間に隙間が生ずることを防止でき、これらのろう付けを確実に行うことが可能となる。
【0042】
尚、プレート13A,13Bは、同一のものを対称にして用いたが、本実施例はこれに限られずに、別形状のものを用いてもよい。
【0043】また、前記実施例では、偏平チューブ2としては、2枚のプレートを重合わせて形成されるものについて説明したが、これに限らず、従来より使われている1枚のプレートを折り曲げて重ね合わせることに形成されるものにも同様に適用することができる。
【0044】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように、1枚のプレートを折り曲げて、或いは、2枚のプレートを重ね合わせてなる熱交換器用偏平チューブにおいて、前記プレートに複数列の長ビードを該プレートの長手方向に亘って形成するものであって、この長ビードは、頂部が略平坦に設けられ、前記各長ビードが対向するプレートの当該対向部位を平面に形成し、且つ前記各長ビードの頂部と前記平面部とが接合して、前記長ビードと前記平面部とで複数の流路を形成し、更に、前記プレートの長手方向に亘って形成された長ビードの適位箇所に、隣りの流路に連通する通路部を複数箇所形成し、この通路部は長ビードの長さよりも短く形成されており、更に前記通路部の長手方向の寸法を10mm以下とした熱交換器用偏平チューブである。
【0045】
このように、前記ビードが対向するプレートの当該対向部位を平面に形成するものであるため、ビードはプレートの平面部と対向し、そして、前記ビードは長ビードであり且つ頂部が略平坦に設けられているため、プレート平面部とのろう付けが良好になされ、従来の丸ビードのような不都合は生じない。加えて、これら長ビードと前記平面部とで複数の流路が形成されて、その限りでは各流路は他から独立しているので、一方で、熱媒体は比較的スムーズに流路内を流れることができる。他方で、前記プレートの長手方向に亘って形成された長ビードの適位箇所に、隣りの流路に連通する通路部が複数箇所形成されているので、当該箇所において、チューブ幅方向における熱媒体の交換が適宜なされることとなり、従来の長ビードの場合に生じ得る熱効率の片寄りを回避することが可能となる。また、流路が形成されて、熱媒体がスムーズに流路内を流れる点と、通路部が形成されて、チューブ幅方向における熱媒体の交換が適宜なされる点との調和から、通路部の長手方向の寸法が、10mm以下が好ましいものである。
【0046】
また、本願発明は、1枚のプレートを折り曲げて、或いは、2枚のプレートを重ね合わせてなる熱交換器用偏平チューブにおいて、複数列の長ビードをロール成形により前記プレートの長手方向に沿う中心線に対し非対称に形成し、前記プレートの長手方向に亘って形成された長ビードの適位箇所を、当該ビードを元に戻す方向に塑性変形し、しかる後、前記長ビードが形成された1枚のプレートを折り曲げて、或いは、同一形状のプレートを2枚重ね合わせて偏平チューブ本体を形成し、前記長ビードの頂部と、該長ビードが対向するプレートの平面とが接合して、前記長ビードと前記平面とで複数の流路を形成し、更に、前記塑性変形の箇所が、隣りの流路に連通する通路部を構成する熱交換器用偏平チューブの製造方法である。
【0047】
このように、本願発明は、偏平チューブを形成するにあたり、複数列の長ビードをロール成形により前記プレートの長手方向に沿う中心線に対し非対称に形成して、長ビードを前記プレートの長手方向に亘って一様に形成し、そして、形成された長ビードの適位箇所を、当該ビードを元に戻す方向に塑性変形し、しかる後、前記長ビードが形成された同一形状のプレートを2枚重ね合わせて偏平チューブ本体を形成し、前記長ビードの頂部と、該長ビードが対向するプレートの平面とが接合して、前記長ビードと前記平面とで複数の流路を形成し、更に、前記塑性変形の箇所が、隣りの流路に連通する通路部を構成する熱交換器用偏平チューブの製造方法であるため、長ビードはロール成形により画一的に且つ迅速に形成され、その工程後に前記通路部が形成されるので、ロール成形が効率的に行われる。
【0048】
また、前記プレートの長手方向に亘って形成された長ビードの適位箇所に、隣りの流路に連通する通路部が複数箇所形成されているので、当該箇所において、チューブ幅方向における熱媒体の交換が適宜なされることとなり、従来の長ビードの場合に生じ得る熱効率の片寄りを回避することが可能となる。
【0049】
このように、本発明によれば、プレート同士をその全面に亘って確実に係合させ、その状態で熱交換効率のよくなる熱交換器用偏平チューブとその製造方法を得ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係り、積層型熱交換器の正面図である。
【図2】ヘッダタンクの挿入孔に挿入された偏平チューブの端部を示す縦断面図である。
【図3】偏平チューブを示す斜視図である。
【図4】偏平チューブを構成するプレートを示す斜視図である。
【図5】偏平チューブを組み立てる際の斜視図である。
【図6】偏平チューブの一部の平面図である。
【図7】従来例に係り、偏平チューブの縦断面図である。
【符号の説明】
1 積層型熱交換器
2 偏平チューブ
4 ヘッダタンク
7 挿入孔
13A プレート
13B プレート
15 平面部
16 長ビード
17 流路
18 通路部
【発明の属する利用分野】
本発明は、1枚のプレートを折り曲げて、或いは、2枚のプレートを重ね合わせてなる熱交換器用偏平チューブとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複数の偏平チューブが積層されて、各々の偏平チューブの両端部がヘッダタンクに接続され、ヘッダタンクに設けられた出入口継手間で熱交換媒体が複数回蛇行して通流される積層型熱交換器が知られている。
【0003】
この種の積層型熱交換器の偏平チューブとしては、例えば、図7に示すように、所定の大きさのブレージングシートからなる2枚のプレート21,21に、先端面が互いに当接する多数の長ビード22,22が形成され、両縁の接合部23,23がろう付けにより接合されて偏平チューブ20が形成されるものが知られている。更に、ビードを個々独立させた所謂丸ビードのものも多用されている。また、1枚のプレートを折り曲げて形成するものも知られている。
【0004】
このような偏平チューブを用いた積層型熱交換器をろう付けする際には、複数の偏平チューブの間にフィンを介装して、偏平チューブの両端部をヘッダタンクのチューブ挿入孔内に挿入して組み付けて治具により組立てた後、炉内で一体ろう付けが行われ、偏平チューブのチューブ挿入孔と偏平チューブや、偏平チューブのビードの先端面同士が接合されて製造される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来の熱交換器用の偏平チューブにおいて、図7に示すような長ビードのものは、これらの長ビードによって囲まれる部位が独立した流路を構成することとなる。そして、各流路は他から独立しているので、チューブ幅方向における熱媒体の交換がなく、熱効率に片寄りを生じる不都合があった。
【0006】
この点、ビードを個々独立させた丸ビードのものの場合は、チューブ幅方向における熱媒体の交換がなされて、熱効率に片寄りを生じる不都合は回避されるが、それぞれのビードが独立して多数存在するので、これらビードの高さ寸法を一様に管理することは甚だ困難である。
【0007】
因に、チューブ長さ600mmに4列のビードが3mmのピッチで形成されている通常タイプの偏平チューブの場合、ビードは800個/1本であり、30段のチューブを有する熱交換器ではビード数が全部で24,000個存在する。これら24,000個のビードは、2枚のプレートが接合して一組のものが形成されるので、ビードそれ自体に着目してみると個々のものでは48,000個のビードが存在している。これら全てのビードがろう付けされないと耐圧性を満足しないので、特にビードの高さ管理が必要とされるが、一つの熱交換器で48,000個のビードの高さ管理を行うことは、量産性を考えると極めて困難である。
【0008】
そこで本発明は、偏平チューブを改良して、熱交換効率を向上することができ、しかもプレート同士をその全面に亘って確実に係合した状態にもたらすことができ、その結果、ろう付け性が向上して耐圧性も向上する熱交換器用偏平チューブ及びその製造方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、1枚のプレートを折り曲げて、或いは、2枚のプレートを重ね合わせてなる熱交換器用偏平チューブにおいて、
前記プレートに複数列の長ビードを該プレートの長手方向に亘って形成するものであって、この長ビードは、頂部が略平坦に設けられ、
前記各長ビードが対向するプレートの当該対向部位を平面に形成し、且つ前記各長ビードの頂部と前記平面部とが接合して、前記長ビードと前記平面部とで複数の流路を形成し、
更に、前記プレートの長手方向に亘って形成された長ビードの適位箇所に、隣りの流路に連通する通路部を複数箇所形成し、この通路部は長ビードの長さよりも短く形成されており、更に前記通路部の長手方向の寸法を10mm以下とした熱交換器用偏平チューブである。
【0010】
このように、前記ビードが対向するプレートの当該対向部位を平面に形成するものであるため、ビードはプレートの平面部と対向し、そして、前記ビードは長ビードであり且つ頂部が略平坦に設けられているため、プレート平面部とのろう付けが良好になされ、従来の丸ビードのような不都合は生じない。加えて、これら長ビードと前記平面部とで複数の流路が形成されて、その限りでは各流路は他から独立しているので、一方で、熱媒体は比較的スムーズに流路内を流れることができる。他方で、前記プレートの長手方向に亘って形成された長ビードの適位箇所に、隣りの流路に連通する通路部が複数箇所形成されているので、当該箇所において、チューブ幅方向における熱媒体の交換が適宜なされることとなり、従来の長ビードの場合に生じ得る熱効率の片寄りを回避することが可能となる。また、流路が形成されて、熱媒体がスムーズに流路内を流れる点と、通路部が形成されて、チューブ幅方向における熱媒体の交換が適宜なされる点との調和から、通路部の長手方向の寸法が、10mm以下が好ましいものである。
【0011】
また、本願発明は、1枚のプレートを折り曲げて、或いは、2枚のプレートを重ね合わせてなる熱交換器用偏平チューブにおいて、複数列の長ビードをロール成形により前記プレートの長手方向に沿う中心線に対し非対称に形成し、前記プレートの長手方向に亘って形成された長ビードの適位箇所を、当該ビードを元に戻す方向に塑性変形し、しかる後、前記長ビードが形成された1枚のプレートを折り曲げて、或いは、同一形状のプレートを2枚重ね合わせて偏平チューブ本体を形成し、前記長ビードの頂部と、該長ビードが対向するプレートの平面とが接合して、前記長ビードと前記平面とで複数の流路を形成し、更に、前記塑性変形の箇所が、隣りの流路に連通する通路部を構成する熱交換器用偏平チューブの製造方法である。
【0012】
このような偏平チューブは、1枚のプレートを折り曲げにより、或いは、同プレートを2枚重ね合わせて、ろう付けして形成される。この場合、長ビードは、プレートの折り曲げや重ね合わせの前に、或いは同時に、ロール成形により形成される。
【0013】
更に、本願発明の場合は、前記ビードが対向するプレートの当該対向部位を平面に形成するものであるため、ビードはプレートの平面部と対向する。
【0014】
そして、前記ビードは長ビードであるため、プレート平面部とのろう付けが良好になされ、前述したような丸ビードの場合の不都合は生じない。加えて、これら長ビードと前記平面部とで複数の流路が形成されて、その限りでは各流路は他から独立しているので、一方で、熱媒体は比較的スムーズに流路内を流れ、他方で、チューブ幅方向における熱媒体の交換はない。ところが、前記プレートの長手方向に亘って形成された長ビードの適位箇所に、隣りの流路に連通する通路部が複数箇所形成されているので、当該箇所において、チューブ幅方向における熱媒体の交換が適宜なされることとなり、従来の長ビードの場合に生じ得る熱効率の片寄りを回避することが可能となる。
【0015】
また、前記偏平チューブを形成するにあたり、複数列の長ビードをロール成形により前記プレートの長手方向に沿う中心線に対し非対称に形成して、長ビードを前記プレートの長手方向に亘って一様に形成し、そして、形成された長ビードの適位箇所を、当該ビードを元に戻す方向に塑性変形し、しかる後、前記長ビードが形成された同一形状のプレートを2枚重ね合わせて偏平チューブ本体を形成し、前記長ビードの頂部と、該長ビードが対向するプレートの平面とが接合して、前記長ビードと前記平面とで複数の流路を形成し、更に、前記塑性変形の箇所が、隣りの流路に連通する通路部を構成する熱交換器用偏平チューブの製造方法であり、従って長ビードはロール成形により画一的に且つ迅速に形成され、その工程後に前記通路部が形成されるので、ロール成形が効率的に行われる。
【0016】
また、前記プレートの長手方向に亘って形成された長ビードの適位箇所に、隣りの流路に連通する通路部が複数箇所形成されているので、当該箇所において、チューブ幅方向における熱媒体の交換が適宜なされることとなり、従来の長ビードの場合に生じ得る熱効率の片寄りを回避することが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施例を図面に基いて説明する。
【0018】
図1において、本例の偏平チューブ2を用いた積層型熱交換器1は、複数の偏平チューブ2が波状フィン3を介して積層されている。
【0019】
前記複数の偏平チューブ2の各端部は、図2に示すように、プレートの平面部15にビードを接合させた状態で、ヘッダタンク4に設けられた挿入孔7に挿入される。
【0020】
また、各ヘッダタンク4の上下の開口部は盲キャップ8により閉塞され、各ヘッダタンク4の所定箇所には仕切板9が設けられている。
【0021】
更に、ヘッダタンク4には入口継手10と出口継手11が設けられており、これらの出入口継手10,11の間で熱交換媒体が複数回蛇行して通流される。
【0022】
尚、図1中、12は積層された偏平チューブ2の上下に配設されたサイドプレートを示す。
【0023】
前記各偏平チューブ2は、図3に示すように、例えば、ろう材を被覆したアルミ製ブレージングシートを連続供給するとともに、ロール成形、プレス成形等により所定の大きさ及び形状に形成された2枚のプレート13A,13Bを、重ね合わせて形成されている。
【0024】
これらのプレート13A,13Bは、周縁部に接合部14,14を有し、それぞれの平面部15,15が外方へ膨出するように形成される。各平面部15には内方へ向けて突出する長ビード16,16が多数設けられている。尚、この平面部15は、素材の平坦面をそのまま利用し、ロールやプレス等により接合部14並びに長ビード16が形成される。
【0025】
前記長ビード16は、偏平チューブ2の幅方向に複数列設けられており、各長ビードが対向するプレートの当該対向部位は平面に形成し、且つ前記各長ビードの頂部と前記平面部15とが接合して、前記長ビードと前記平面部とで複数の流路17,17が形成される。
【0026】
更に、前記プレートの長手方向に亘って形成された長ビード16,16の適位箇所に、隣りの流路に連通する通路部18を複数箇所形成している。
【0027】
これら長ビード16,16と平面部15(端縁側では更に接合部14)とで複数の流路17,17が形成され、各流路17,17は他から独立しているので、熱媒体は比較的スムーズに流路内を流れる一方、チューブ幅方向における熱媒体の交換はない。ところが、前述したように、前記プレートの長手方向に亘って形成された長ビードの適位箇所に、隣りの流路に連通する通路部18が複数箇所形成されているので、当該箇所において、チューブ幅方向における熱媒体の交換が適宜なされることとなり、従来の長ビードの場合に生じ得る熱効率の片寄りを回避することが可能となる。
【0028】
尚、流路17,17が形成されて、熱媒体がスムーズに流路内を流れる点と、通路部18が形成されて、チューブ幅方向における熱媒体の交換が適宜なされる点との調和から、通路部18の長手方向の寸法は、10mm以下が好ましい。
【0029】
更に、実施例では、プレート13A,13Bの端部であって該プレートがヘッダタンクに対しろう付けされる箇所(図3に二点鎖線で示している。)の外面が平面に形成されている。この例では、当該平面は、後述する長ビードの塑性変形により平面に再生された部位である。従って、偏平チューブにビードが多数設けられていても、ヘッダタンクと偏平チューブとのろう付けが、偏平チューブの平面部においてなされるので、当該ろう付けは良好になされる。
【0030】
尚、前記ろう付け箇所の平面部は、同時に通路部18を構成することとなり、この場合の通路部18の長手方向の寸法は、ヘッダタンクの挿入孔7にバーリングが存在するので、これとの関係で5mm程度が好ましい。
【0031】
次に、前記構造の偏平チューブを形成する点を説明する。
【0032】
前記偏平チューブ2を形成するには、ロールに巻取られた所定幅のブレージングシートからなるプレート13(13A,13B)をロールから順次繰出し、ロール成形により、チューブ幅方向に複数列の長ビード16,16を、前記プレートの長手方向に沿う中心線に対し非対称に形成して、長ビードを前記プレートの長手方向に亘って一様に形成する。従って、この時点では、長ビード16,16はプレート13の長手方向に亘って連続して形成され、前記通路部18は存在していない。
【0033】
そして、形成された長ビードの適位箇所を、図4に示すように、プレス型19A,19Bにより当該ビードを元に戻す方向に塑性変形する。この例では、長ビードの塑性変形により再び平面に形成される。
【0034】
尚、上側のプレス型19Aは、底面の型形状を、ヘッダタンク4の挿入孔7の湾曲形状に適合するものとしている。また、偏平チューブ2は左右端部が左右のヘッダタンク4に挿入されるので、上側のプレス型19Aには前記湾曲形状の対称的なものを別途用意している。
【0035】
しかる後、前記長ビードが形成された同一形状のプレートを2枚重ね合わせて偏平チューブ本体を形成する。図5に示すように、プレート13Aとプレート13Bは同一形状であって、一方が他方に対しチューブ長手方向において180度引っ繰り返しているに過ぎないものである。
【0036】
また、実施例では、チューブ幅方向に複数列の長ビード16,16を、ロール成形により、プレートの長手方向に沿う中心線(図示を省略)に対し非対称に形成している。従って、同一形状のプレート13のうち一方を180度引っ繰り返すと、長ビード16は平面部15と当接する形態を実施することができる。つまり、異形状のプレートを2種類用いることなく、1種類のプレートで偏平チューブを形成することができる。
【0037】
このようにして形成された偏平チューブ2は、図6に示すように、長ビード16,16と平面部15(前述したように端縁側では更に接合部14)とで複数の流路17,17が形成され、各流路17,17は他から独立しているので、熱媒体は比較的スムーズに流路内を流れる。そして、前記プレートの長手方向に亘って形成された長ビードの適位箇所に、隣りの流路に連通する通路部18が複数箇所形成されているので、当該箇所において、チューブ幅方向における熱媒体の交換が適宜なされることとなり、従来の長ビードの場合に生じ得る熱効率の片寄りを回避することが可能となるものである。
【0038】
前記実施例は、ロール成形で長ビード16を形成し、通路部18はプレス成形で形成したが、偏平チューブを形成するにあたり、複数列の長ビードと、前記プレートの長手方向に亘る前記長ビードの適位箇所に設けられる平面部(通路部18を含む。)とを、プレスにより形成することもできる。この場合、複数のプレスで複数工程とすることもできるが、これらを一つプレスを用いて一つの工程で行うことができるので、偏平チューブを迅速に製造することが可能となる。
【0039】
次に、上述したようにして形成された2枚のプレート13A,13Bを重ね合わせ、長ビード16の先端部を平面部15に当接して偏平チューブ2を組立てる。
【0040】
その後、複数の偏平チューブ2の間にフィン3を介装して偏平チューブ2の両端部をヘッダタンク4のチューブ挿入孔7内に挿入する。そして、治具により組立てた後、炉内で一体ろう付けが行われ、チューブ挿入孔7と偏平チューブ2、偏平チューブ2の接合部14,14及び、長ビード16と平面部15が接合される。
【0041】
従って、2枚のプレートを重合わせて構成される偏平チューブであっても、互いに当接するプレート13A,13Bに、互いに当接する長ビード16と平面部15が形成されているので、偏平チューブ2を組み付けた際にも、偏平チューブ接合間に隙間が生ずることを防止でき、これらのろう付けを確実に行うことが可能となる。
【0042】
尚、プレート13A,13Bは、同一のものを対称にして用いたが、本実施例はこれに限られずに、別形状のものを用いてもよい。
【0043】また、前記実施例では、偏平チューブ2としては、2枚のプレートを重合わせて形成されるものについて説明したが、これに限らず、従来より使われている1枚のプレートを折り曲げて重ね合わせることに形成されるものにも同様に適用することができる。
【0044】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように、1枚のプレートを折り曲げて、或いは、2枚のプレートを重ね合わせてなる熱交換器用偏平チューブにおいて、前記プレートに複数列の長ビードを該プレートの長手方向に亘って形成するものであって、この長ビードは、頂部が略平坦に設けられ、前記各長ビードが対向するプレートの当該対向部位を平面に形成し、且つ前記各長ビードの頂部と前記平面部とが接合して、前記長ビードと前記平面部とで複数の流路を形成し、更に、前記プレートの長手方向に亘って形成された長ビードの適位箇所に、隣りの流路に連通する通路部を複数箇所形成し、この通路部は長ビードの長さよりも短く形成されており、更に前記通路部の長手方向の寸法を10mm以下とした熱交換器用偏平チューブである。
【0045】
このように、前記ビードが対向するプレートの当該対向部位を平面に形成するものであるため、ビードはプレートの平面部と対向し、そして、前記ビードは長ビードであり且つ頂部が略平坦に設けられているため、プレート平面部とのろう付けが良好になされ、従来の丸ビードのような不都合は生じない。加えて、これら長ビードと前記平面部とで複数の流路が形成されて、その限りでは各流路は他から独立しているので、一方で、熱媒体は比較的スムーズに流路内を流れることができる。他方で、前記プレートの長手方向に亘って形成された長ビードの適位箇所に、隣りの流路に連通する通路部が複数箇所形成されているので、当該箇所において、チューブ幅方向における熱媒体の交換が適宜なされることとなり、従来の長ビードの場合に生じ得る熱効率の片寄りを回避することが可能となる。また、流路が形成されて、熱媒体がスムーズに流路内を流れる点と、通路部が形成されて、チューブ幅方向における熱媒体の交換が適宜なされる点との調和から、通路部の長手方向の寸法が、10mm以下が好ましいものである。
【0046】
また、本願発明は、1枚のプレートを折り曲げて、或いは、2枚のプレートを重ね合わせてなる熱交換器用偏平チューブにおいて、複数列の長ビードをロール成形により前記プレートの長手方向に沿う中心線に対し非対称に形成し、前記プレートの長手方向に亘って形成された長ビードの適位箇所を、当該ビードを元に戻す方向に塑性変形し、しかる後、前記長ビードが形成された1枚のプレートを折り曲げて、或いは、同一形状のプレートを2枚重ね合わせて偏平チューブ本体を形成し、前記長ビードの頂部と、該長ビードが対向するプレートの平面とが接合して、前記長ビードと前記平面とで複数の流路を形成し、更に、前記塑性変形の箇所が、隣りの流路に連通する通路部を構成する熱交換器用偏平チューブの製造方法である。
【0047】
このように、本願発明は、偏平チューブを形成するにあたり、複数列の長ビードをロール成形により前記プレートの長手方向に沿う中心線に対し非対称に形成して、長ビードを前記プレートの長手方向に亘って一様に形成し、そして、形成された長ビードの適位箇所を、当該ビードを元に戻す方向に塑性変形し、しかる後、前記長ビードが形成された同一形状のプレートを2枚重ね合わせて偏平チューブ本体を形成し、前記長ビードの頂部と、該長ビードが対向するプレートの平面とが接合して、前記長ビードと前記平面とで複数の流路を形成し、更に、前記塑性変形の箇所が、隣りの流路に連通する通路部を構成する熱交換器用偏平チューブの製造方法であるため、長ビードはロール成形により画一的に且つ迅速に形成され、その工程後に前記通路部が形成されるので、ロール成形が効率的に行われる。
【0048】
また、前記プレートの長手方向に亘って形成された長ビードの適位箇所に、隣りの流路に連通する通路部が複数箇所形成されているので、当該箇所において、チューブ幅方向における熱媒体の交換が適宜なされることとなり、従来の長ビードの場合に生じ得る熱効率の片寄りを回避することが可能となる。
【0049】
このように、本発明によれば、プレート同士をその全面に亘って確実に係合させ、その状態で熱交換効率のよくなる熱交換器用偏平チューブとその製造方法を得ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係り、積層型熱交換器の正面図である。
【図2】ヘッダタンクの挿入孔に挿入された偏平チューブの端部を示す縦断面図である。
【図3】偏平チューブを示す斜視図である。
【図4】偏平チューブを構成するプレートを示す斜視図である。
【図5】偏平チューブを組み立てる際の斜視図である。
【図6】偏平チューブの一部の平面図である。
【図7】従来例に係り、偏平チューブの縦断面図である。
【符号の説明】
1 積層型熱交換器
2 偏平チューブ
4 ヘッダタンク
7 挿入孔
13A プレート
13B プレート
15 平面部
16 長ビード
17 流路
18 通路部
Claims (4)
- 1枚のプレートを折り曲げて、或いは、2枚のプレートを重ね合わせてなる熱交換器用偏平チューブにおいて、
前記プレートに複数列の長ビードを該プレートの長手方向に亘って形成するものであって、この長ビードは、頂部が略平坦に設けられ、
前記各長ビードが対向するプレートの当該対向部位を平面に形成し、且つ前記各長ビードの頂部と前記平面部とが接合して、前記長ビードと前記平面部とで複数の流路を形成し、
更に、前記プレートの長手方向に亘って形成された長ビードの適位箇所に、隣りの流路に連通する通路部を複数箇所形成し、この通路部は長ビードの長さよりも短く形成されており、更に前記通路部の長手方向の寸法を10mm以下としたことを特徴とする熱交換器用偏平チューブ。 - 前記複数列の長ビードは、前記プレートの長手方向に沿う中心線に対し非対称に形成され、前記長ビードが形成された同一形状のプレートを2枚重ね合わせて偏平チューブ本体が形成されることを特徴とする請求項1記載の熱交換器用偏平チューブ。
- 前記プレートの端部であって該プレートがヘッダタンクとろう付けされる箇所の外面が平面であることを特徴とする請求項1記載の熱交換器用偏平チューブ。
- 1枚のプレートを折り曲げて、或いは、2枚のプレートを重ね合わせてなる熱交換器用偏平チューブにおいて、
複数列の長ビードをロール成形により前記プレートの長手方向に沿う中心線に対し非対称に形成し、
前記プレートの長手方向に亘って形成された長ビードの適位箇所を、当該ビードを元に戻す方向に塑性変形し、
しかる後、前記長ビードが形成された1枚のプレートを折り曲げて、或いは、同一形状のプレートを2枚重ね合わせて偏平チューブ本体を形成し、
前記長ビードの頂部と、該長ビードが対向するプレートの平面とが接合して、前記長ビードと前記平面とで複数の流路を形成し、
更に、前記塑性変形の箇所が、隣りの流路に連通する通路部を構成することを特徴とする熱交換器用偏平チューブの製造方法。
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JPH1019493A (ja) | 熱交換器用偏平チューブ |
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