JPH1073389A - 熱交換器のヘッダパイプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 製造コストが嵩まず、スリットから仕切りプ
レートを確実にヘッダパイプ内部に挿入でき、ヘッダパ
イプに組み付けることのできる熱交換器を提供するこ
と。 【構成】 所定の平板形状のヘッダパイプ素材４Ａが曲
げられて、チューブ挿入孔５と、ヘッダパイプを長手方
向に仕切る仕切りプレートを挿入するためのスリット１
１が形成されて、前記素材が丸められて熱交換器のヘッ
ダパイプ４に形成される。前記ヘッダパイプ素材４Ａに
形成される前記スリット１１は、ヘッダパイプ形成時に
生じる引張り力Ｓに対応して応力Ｔがスリット１１に作
用する部分に、応力Ｔが作用する方向と反対の方向に拡
張する切欠部１１ａ，１１ｂを設けて形成し、応力Ｔに
よって生じる突出部ｋを切欠部１１ａ，１１ｂで吸収し
て、ヘッダパイプ成形時にスリット１１を所定寸法に成
形する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、熱交換器の平板素
材を丸め成形して製作されたヘッダパイプに関するもの
で、より詳細には、ヘッダパイプ内を長手方向に区画す
る仕切りプレートを、確実にヘッダパイプ内部に挿入で
きる仕切りプレート挿入用のスリットを設けたヘッダパ
イプに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】パラレルフロータイプの熱交換器は、一
般に複数の偏平チューブと波状フィンとが交互に積層さ
れ、これらの積層されたチューブの両端が、左右のヘッ
ダパイプに設けられた挿入孔に、挿入されて接合されて
いる。また、これらのヘッダパイプの所要箇所には、ヘ
ッダパイプを長手方向に区画する仕切りプレートが配設
され、ヘッダパイプを長手方向に分割して、ヘッダパイ
プに設けられた入口継手と出口継手との間で熱交換媒体
を複数回蛇行させて通流させる構造に設けられている。
すなわち、熱交換器の入口継手に供給された熱交換媒体
は、ヘッダパイプ間を、偏平チューブを介して、複数回
蛇行しつつ通流され、この偏平チューブを通過する際に
外部と熱交換し、出口継手から排出される。

【０００３】このような熱交換器に用いられるヘッダパ
イプは、例えば、単一の平板状の素材を、丸め成形して
製作するのが一般的である。すなわち、まず、クラッド
材が被覆された平板部材であるブレージングシート等に
チューブ挿入孔と、仕切りプレート挿入用のスリットを
形成し、次に、前記平板部材をプレス成形やロール成形
等により段階的に丸めて円管状に形成している。

【０００４】また、２分割タイプのヘッダパイプも、各
分割部材に同様の丸め成形を施して成形し、これらを互
いにパイプ状に接合して製作している。すなわち、この
ヘッダパイプは、径方向に２分割したエンドプレートと
タンクプレートとを、互いに径方向から組み付けて、製
作されており、このエンドプレートは、所定形状の平板
部材にチューブ及び仕切りプレートの挿入孔等を形成
し、所定径に曲げられて製作される一方、タンクプレー
トは、同様に、所定形状の平板部材を、所定径に曲げら
れて製作されている。

【０００５】また、上述した単一の素材及び２つの素材
を用いて製作されるヘッダパイプの両者とも、通常、そ
のチューブ挿入孔に、チューブ挿入孔の開口形状に応じ
た治具が挿入されて、丸め成形されており、この治具に
より、丸め成形時にチューブ挿入孔の開口形状が異形に
変形することを防止している。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところが、前記従来の
ヘッダパイプの製作工程において、仕切りプレート挿入
用のスリットが、その開口形状が狭まる方向に変形して
しまい、その結果、このスリットに仕切りプレートを通
過させようとすると、この変形部分に仕切りプレートが
引っ掛って、ヘッダパイプ内部に挿入できないという不
都合が生じていた。

【０００７】すなわち、単一の平板状の素材を丸め成形
してヘッダパイプを製作する場合は、図９（１）及び
（２）に示すように、素材の突き合わせ部４０に若干の
クリアランスを設けている。これは、後続する工程で当
該突き合わせ部４０をろう付けするにあたり、外部から
吹き付けられるろう付け用のフラックスを、内部まで浸
透させ、適切にろう付け接合するために必要なものであ
る。そして、素材を丸め成形した後のスリット１１は正
規の幅Ｗを備えることが要請されている。尚、４はヘッ
ダパイプ、５はチューブ挿入孔である。

【０００８】ところが、素材の形状寸法や肉厚のバラツ
キにより、素材の丸め成形時に素材に過度の加圧がもた
らされることがある。このような場合は、丸め成形時に
余分な肉厚がガイドのないスリット部に逃げ、スリット
幅が内側に凸になる。すなわち、図１０に示すように、
スリット１１は水平方向に引張られ（図中矢印Ｓ）、ス
リットの上下方向に前記引張り力（図中矢印Ｓ）対応す
る応力（図中矢印Ｔ）が働き、スリット１１の幅は応力
Ｔによって突出して突出部ｋを生じる。このようにスリ
ット形状が変形して、スリットの開口幅が減少しスリッ
ト開口が上下に狭まると、仕切りプレートをヘッダパイ
プ内部に装着できないという不都合を生じる。

【０００９】この点、ヘッダパイプの丸め成形時にチュ
ーブ挿入孔は整形治具を用いて、開口形状を保持してい
るので、スリットもチューブ挿入孔と同様に、成形時に
その開口形状を維持する整形治具を用いることが考慮さ
れる。しかし、この種の熱交換器においては、車種等が
異なると、同一形状の熱交換器においても、これに対応
して、ヘッダパイプの仕切りプレートを配設する位置が
異なるので、スリットの形成位置は一定ではない。従っ
て、スリット内に整形治具を挿入してヘッダパイプを丸
め成形することは、スリットの形成位置によって別個の
治具を準備する必要があり、その結果、使用器具の増加
により製造コストが嵩むとともに、各器具の設定調整等
により作業性が悪くなるという新たな不都合を生じる。

【００１０】また、このようにプレートの開口幅が減少
しても仕切りプレートを挿入できるものとして、この仕
切りプレートを２部材の重ね合わせ形状に形成し、所定
の開き角度で挿入方向の先端を互いに接合し、一方の部
材の挿入方向基端に、ヘッダパイプ内周に係合する突状
の抜け止め部を設けるとともに、他方の基端に、スリッ
トに当接して、その背面側に位置する前記抜け止め部を
押圧する突部を設けたもの（例えば、実開平５−１４９
６８９号）が提案されている。しかし、この構成におい
ては、仕切板の形状や構造が複雑すぎて、仕切りプレー
ト単体の製作にも複数工程が必要となり、多数の量産に
不適であり、コストが嵩む問題がある。

【００１１】そこで、本発明は前記問題に鑑みて、スリ
ット開口形状を維持する治具を不要にするとともに、ヘ
ッダパイプを丸め成形すると、スリット開口形状が適正
な形状に形成され、仕切りプレートを確実に挿入するこ
とのできる熱交換器のヘッダパイプを提供することを目
的としている。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明は、平板形状のヘ
ッダパイプ素材に、チューブ挿入孔と、ヘッダパイプ内
部を長手方向に区画する仕切りプレートを挿入する仕切
りプレート挿入孔とが形成され、前記素材を所定径に丸
め成形して、パイプ状に形成される熱交換器のヘッダパ
イプにおいて、前記プレート挿入孔の開口形状を、丸め
成形時の変形量に応じて、前記変形方向とは逆の方向に
前記変形量の分だけ予め変形させて形成した構成の熱交
換器のヘッダパイプである。更に具体的には、前記丸め
成形時の突出変形に対し、当該突出分だけ予め切欠形成
して切欠部を設けた構成の熱交換器のヘッダパイプであ
る。

【００１３】ヘッダパイプ素材が丸められてヘッダパイ
プが成形される際に、ヘッダパイプ素材に引張り力が生
じ、この引張り力に対応する応力がスリットの中央部に
作用して歪みが生じ、スリットが変形して開口幅が減少
する。

【００１４】本発明のように、開口幅を減少せしめる応
力が作用する部分に、この応力が作用する方向と反対の
方向に拡張する切欠部を設けてスリットを形成すると、
当該応力によって生じる歪みを前記切欠部が吸収するた
め、スリット自体の成形精度は保持されて、ヘッダパイ
プに所定寸法のスリットが成形される。このため、ヘッ
ダパイプ成形後に前記スリットからヘッダパイプ内部に
仕切りプレートを確実に挿入することができ、その結
果、製品歩留りを向上することが可能となり、作業の効
率を良くすることができる。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下に本発明の具体例を図面に基
づいて説明する。

【００１６】図１は本具体例の熱交換器の正面図を示す
もので、この熱交換器１は、複数の偏平チューブ２，２
と波状フィン３，３が、互いに平行に且つ交互に積層さ
れ、積層された偏平チューブ２の両端が、それぞれ、左
右に立設されたヘッダパイプ４のチューブ挿入孔５，５
に挿入されて接続されている。また、積層された偏平チ
ューブ２の上端側及び下端側のヘッダパイプ４には、サ
イドプレート接続孔６が設けられ、これらのサイドプレ
ート接続孔６には、横断面コ字状のサイドプレート７の
両端部が挿入して接合されている。更に、ヘッダパイプ
４の上下端部開口は、キャップ８により閉塞されてい
る。また更に、一方のヘッダパイプ４には入口継手９が
接続され、他方のヘッダパイプ４には出口継手１０が接
続されている。また更に、双方のヘッダパイプ４の所要
箇所には、後述する所定形状のスリット１１及び係止孔
１３が形成され、ヘッダパイプ４を長手方向に区画する
仕切りプレート１２が、前記スリット１１から挿入され
て配設されている。

【００１７】そして、このような熱交換器１において
は、入口継手９と出口継手１０との間で熱交換媒体が複
数回蛇行して通流される。すなわち、この熱交換器１の
入口継手３ａに供給された熱交換媒体は、左右のヘッダ
パイプ４，４間を、チューブ２を介して、複数回に蛇行
通流され、このチューブを通過する際に、外部と熱交換
を行い、出口継手１０から排出される。

【００１８】図２は、図１に示した熱交換器１のＸ−Ｘ
断面図を示し、図３は、仕切りプレート１２の平面図を
示す。

【００１９】図２に示すように、仕切りプレート１２
は、従来と同様に所定厚さの円板状に形成され、ヘッダ
パイプ４の横断面に対応した大きさで、その外縁がヘッ
ダパイプの内面に沿った形状に形成された小径部１２ａ
と、この小径部１２ａの一部からヘッダパイプ横断面形
状の外周面と同程度に突出して形成された突出部１２ｂ
と、この小径部１２ａより大きくヘッダパイプ横断面形
状の外周面よりも小さく外縁が形成された大径部１２ｃ
とから構成されている。

【００２０】従って、この仕切りプレート１２を、仕切
りプレート挿入用のスリット１１を介して、ヘッダパイ
プ４内に挿入した後には、この付近のヘッダパイプ４の
横断面を、仕切りプレート板１２により閉塞できるよう
にしている。

【００２１】また、仕切りプレート１２は、従来と同様
に丸め成形されたヘッダパイプ４のスリット１１から、
ヘッダパイプ４内部に挿入され、仕切りプレート１２の
突出部１２ｂが、係止孔１３に嵌着するとともに、仕切
りプレート１２の大径部１２ｃが、スリット１１の端部
で挟持されて、ヘッダパイプ４に組み付けられる。

【００２２】次に、切欠部１１ａ，１１ｂを設けたスリ
ット１１について説明する。

【００２３】図４及び図５はヘッダパイプ４を示し、図
４は正面図、図５は側面図を示す。また、図６は図４の
一部拡大図を示す。

【００２４】本例のヘッダパイプ４は、図４、図５及び
図６に示すように、両面にろう材がクラッドされた所定
の大きさのプレートであるヘッダパイプ素材４Ａを、後
述するように丸く丸めて、最終的に、両端の接合部分を
ろう付けによって接合されて形成されている。また、こ
のヘッダタンク４の所要箇所には、前記仕切りプレート
１２を装着するスリット１１が形成されている。このス
リット１１の開口幅（ここでは上下方向の幅）は、仕切
りプレート１２の板厚と同等、或は、仕切りプレート１
２が挿入できる程度で前記板厚よりもやや少ない開口幅
に形成される。

【００２５】図６に示すように、丸め成形時の内部応力
により、スリットの開口形状が部分的に変形することに
応じて、予めスリットの開口形状を、丸め成形時の変形
量に対処した余裕を持たせて、形成している。

【００２６】すなわち、平板状のヘッダパイプ素材４Ａ
をパイプ状に丸め成形するということは、丸め成形する
径方向に、つまり、このヘッダパイプ素材４Ａの幅方向
に引張り力が加わることになるので、一方で幅方向に僅
かに伸び、他方でこれに直交する長手方向には、僅かに
縮むことになる。従って、このようなヘッダパイプ素材
４Ａの変形と、同様に、略長方形状の開口形状を有する
スリットは、その左右方向のスリット幅が僅かに、大き
くなるとともに、長手方向の開口幅が、縮められること
になる。そして、このスリットの左右方向の中央付近
が、強度的に一番弱くなっているので、この縮まりによ
る変形量も最大となる。

【００２７】従って、ヘッダパイプ素材４Ａを丸め成形
して、ヘッダパイプ形状に形成された後には、スリット
の開口形状は、左右方向の略中央付近を最大に、互いに
上下対向側に膨出して潰れた形状になってしまう（前掲
の図１０参照）。

【００２８】そこで、この膨出する部位（図１０の突出
部ｋ）を吸収するために、スリット１１の長手方向の上
下には、応力Ｔが作用する方向と反対の方向に前記突出
部ｋを吸収する大きさの円弧状に拡張する切欠部１１
ａ，１１ｂが設けられている。すなわち、ヘッダパイプ
素材４Ａに形成される切欠部１１ａ，１１ｂを設けたス
リット１１の開口形状は、全体的に、上下に膨出した凸
レンズ形状に形成されている。

【００２９】従って、このように凸レンズ形状に形成さ
れたスリット１１を、丸め成形した場合には、従来と同
様にスリット自体は変形するが、変形後には、ほぼ長方
形の開口形状のスリット１１になるので、仕切りプレー
トをスムーズに挿入することができる。

【００３０】尚、切欠部１１ａ，１１ｂが形成されたス
リット１１の最も広い幅は、切欠部を設けずに形成され
た箇所のスリット１１の幅よりも１ｍｍ未満の範囲で広
い寸法となることが好ましい。特に、例えば、板厚が約
１.５ｍｍの素材を、直径約２０ｍｍに形成されたヘッ
ダパイプに、板厚が約１.５ｍｍの仕切りプレートを装
着する場合は、スリット１１に切欠部１１ａ，１１ｂを
設けることによって、０．１〜０．２ｍｍの範囲で広げ
られた寸法が適している。

【００３１】また、この切欠部１１の寸法は、ヘッダパ
イプ素材の材質や、ヘッダパイプ自体の大きさ、及び、
スリットの大きさ等によって、スリットの変形量が変化
した場合には、適宜、その変形量に応じた寸法に設定す
るものとする。

【００３２】次に、前述した単一素材のヘッダパイプ素
材４Ａを、順次丸めて、ヘッダパイプ形状に形成する製
造手順を説明する。

【００３３】図７は、順次丸めて円管状に形成される前
記ヘッダパイプ素材４Ａの正面図、図８は、前記ヘッダ
パイプ素材４Ａの概略端面図を示す。尚、これらの各図
において、各孔部を形成する器具、及び、ヘッダパイプ
素材４Ａを丸め成形する器具は図示を省略し、各製造段
階のヘッダパイプ素材４Ａ自体のみを示すものとする。

【００３４】図７（１）及び図８（１）に示すように、
ヘッダパイプ素材４Ａは、塑性変形が可能な所定厚さの
アルミ又はアルミ合金素材を用いて、ヘッダパイプの長
さに等しい長さ寸法、且つ、ヘッダパイプの外周長さに
僅かに短い幅寸法の長板形状に、形成されている。

【００３５】また、このヘッダパイプ素材４Ａの左右方
向における両端の所定箇所には、ヘッダパイプ成形後
に、仕切りプレート１２の突出部１２ｂを嵌合する係止
孔１３となる切込み１３ａを、予め形成している。

【００３６】そして、まず、図７（２）及び図８（２）
に示すように、このヘッダパイプ素材４Ａが、半楕円形
状に曲げられると、このヘッダパイプ素材４Ａの幅方向
の中央で且つ、長手方向に所定間隔を設けた箇所に、図
示を省略した突き金具を貫通させて、チューブ挿入孔５
を形成すると同時に、チューブ挿入孔５の開口部には、
ヘッダパイプの内部方向に突出するバーリング部５ａが
形成される。

【００３７】次に、図７（３）及び図８（３）に示すよ
うに、ヘッダパイプ素材４Ａが、略半円形状に曲げられ
ると、各チューブ挿入孔５には、図示を省略した整形治
具が挿入され、この整形治具により、チューブ挿入孔の
開口形状を維持するようにしている。

【００３８】これと同時に、図示を省略した切欠器具に
より、所定のチューブ挿入孔同士の間の箇所に、仕切り
プレート挿入用のスリット１１が形成され、このスリッ
ト１１には、ヘッダパイプ素材４Ａの長手方向上下に円
弧状に拡張する切欠部１１ａ，１１ｂが形成されてい
る。

【００３９】更に、図７（４）及び図８（４）に示すよ
うに、ヘッダパイプ素材４Ａの両端が突き当てられて、
円管状に形成される。前記スリット１１と対峙する部分
には、仕切りプレート１２の突出部１２ｂを嵌着する係
止孔１３が位置する。

【００４０】このようにして、図４に示すような、適正
な開口形状のスリット１１を備えたヘッダパイプ４が製
作される。

【００４１】すなわち、平板状のヘッダパイプ素材４ａ
に形成されるスリット１１に切欠部１１ａ，１１ｂが形
成されていると、このスリット１１に整形治具を挿入せ
ずにヘッダパイプ形状に成形しても、平板状の素材４ａ
を丸めるときにスリット１１が変形する部分は、スリッ
ト１１に形成された切欠部１１ａ，１１ｂを埋めた形と
なり、ヘッダパイプ成形後には、スリット１１の開口形
状自体は、仕切りプレート１２を通過・保持できる所定
形状に成形される。つまり、ヘッダパイプ４の成形後に
は、スリット１１の開口幅（上下幅）が仕切りプレート
１２の板厚と略等しい大きさに形成されて、スリット１
１から仕切りプレート１２をヘッダパイプ内部に挿入す
る挿入性が確保されるとともに、このスリット１１によ
り、挿入された仕切りプレート１２の端部を保持して、
仮止めすることができる。

【００４２】尚、本例においては、単一の平板状素材を
丸めて円管状に形成されるヘッダパイプを用いて説明し
たが、上述した複数の平板状素材を丸め成形し、これら
を組合せて製作される多分割タイプのヘッダパイプにお
いても、同様に、切欠部を設けたスリットを形成するこ
とによって、このスリットによる仕切りプレートの挿入
性及び保持性を十分に確保することができる。

【００４３】以上説明したように、本例によれば、平板
状素材に、チューブ挿入孔及び仕切りプレート挿入孔を
形成し、この平板状素材を、丸め成形して製作されるヘ
ッダパイプにおいて、プレート挿入孔に、予め丸め成形
時の変形量に応じた切欠部を設けたことにより、丸め成
形すると、このプレート挿入孔が、仕切りプレートを通
過及び保持させる開口形状に変形して成形されるので、
プレート挿入孔による仕切りプレートの挿入性及び保持
性を十分且つ良好に確保することができる。

【００４４】また、プレート挿入孔に整形治具を用いな
くても、このように仕切りプレート挿入性及び保持性を
確保できるので、容易に作業を行えるとともに、多様な
設計や設計変更にも柔軟に対処することができ、生産性
の向上を図ることが可能となる。

【００４５】更に、このように通常の製造工程を変更せ
ずに、スリットによるプレート挿入または保持を良好に
行えるので、容易に実施できるとともに、これに起因す
るヘッダパイプの不良品率を低下させ、歩留りを向上す
ることができる。

【００４６】また、切欠部を設けたスリットの幅を１ｍ
ｍ未満の範囲で広くするように構成すると、ヘッダパイ
プ成形後のスリットは、仕切りプレートの挿入性を確保
するとともに、スリットの開口高さが、プレートの板厚
と略等しく成形されて、仕切りプレートをスリット端部
により保持して仮止めすることができる。

【００４７】このように、スリットに形成された切欠部
が、ヘッダパイプ形成時の引張り力に対応する応力によ
って生じる歪みを吸収するため、簡易な構成によってス
リットをヘッダパイプ成形時に所定寸法に成形でき、コ
ストを高騰させることなく仕切りプレート挿入性を確保
することができる。

【００４８】

【発明の効果】以上説明したように、本発明は、平板形
状のヘッダパイプ素材に、チューブ挿入孔と、ヘッダパ
イプ内部を長手方向に区画する仕切りプレートを挿入す
る仕切りプレート挿入孔とが形成され、前記素材を所定
径に丸め成形して、パイプ状に形成される熱交換器のヘ
ッダパイプにおいて、前記プレート挿入孔の開口形状
を、丸め成形時の変形量に応じて、前記変形方向とは逆
の方向に前記変形量の分だけ予め変形させて形成した構
成の熱交換器のヘッダパイプである。更に具体的には、
前記丸め成形時の突出変形に対し、当該突出分だけ予め
切欠形成して切欠部を設けた構成の熱交換器のヘッダパ
イプである。

【００４９】従って、ヘッダパイプ素材が丸められてヘ
ッダパイプが成形される際に、ヘッダパイプ素材に引張
り力が生じ、この引張り力に対応する応力がスリットの
中央部に作用して歪みが生じ、スリットが変形して開口
幅が減少する事態に対し、本発明のように、開口幅を減
少せしめる応力が作用する部分に、この応力が作用する
方向と反対の方向に拡張する切欠部を設けてスリットを
形成すると、当該応力によって生じる歪みを前記切欠部
が吸収するため、スリット自体の成形精度は保持され
て、ヘッダパイプに所定寸法のスリットが成形される。
このため、ヘッダパイプ成形後に前記スリットからヘッ
ダパイプ内部に仕切りプレートを確実に挿入することが
でき、その結果、製品歩留りを向上することが可能とな
り、作業の効率を良くすることができる。

【００５０】このように、スリットに形成された切欠部
が、ヘッダパイプ形成時の引張り力に対応する応力によ
って生じる歪みを吸収するため、簡易な構成によってス
リットをヘッダパイプ成形時に所定寸法に成形でき、コ
ストを高騰させることなく仕切りプレート挿入性を確保
することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の具体例に係る熱交換器の正面図であ
る。

【図２】 図１に示す熱交換器のＸ−Ｘ矢視断面図であ
る。

【図３】 仕切りプレートの平面図である。

【図４】 ヘッダパイプを示す正面図である。

【図５】 ヘッダパイプを示す側面図である。

【図６】 図４に示すヘッダパイプの一部拡大図であ
る。

【図７】 本発明の具体例に係り、（１）〜（４）は、
順次丸められるヘッダパイプ素材を示す概略正面図であ
る。

【図８】 本発明の具体例に係り、（１）〜（４）は、
順次丸められるヘッダパイプ素材を示す概略端面図であ
る。

【図９】 従来例に係り、（１）は、ヘッダパイプを示
す概略端面図、（２）は、（１）の部分拡大図、（３）
は、ヘッダパイプのチューブ挿入孔及び仕切りプレート
挿入孔を示すヘッダパイプの一部を省略した正面図であ
る。

【図１０】 従来例に係り、（１）は、ヘッダパイプを
示す概略端面図、（２）は、（１）の部分拡大図、
（３）は、ヘッダパイプのチューブ挿入孔及び仕切りプ
レート挿入孔を示すヘッダパイプの一部を省略した正面
図である。

【符号の説明】

１ 熱交換器 ２ 偏平チューブ ３ 波状フィン ４ ヘッダパイプ ４Ａ ヘッダパイプ素材 ５ チューブ挿入孔 ５ａ バーリング部 ６ サイドプレート接続孔 ７ サイドプレート ８ キャップ ９ 入口継手 １０ 出口継手 １１ スリット １１ａ，ｂ 切欠部 １２ 仕切りプレート １２ａ 小径部 １２ｂ 突出部 １２ｃ 大径部 １３ 係止孔 １３ａ 切込み Ｓ 引張り力 Ｔ 応力 ｋ 突出部 ｗ 開口幅

─────────────────────────────────────────────────────

【手続補正書】

【提出日】平成８年１０月１１日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】図面の簡単な説明

【補正方法】変更

【補正内容】

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の具体例に係る熱交換器の正面図であ
る。

【図２】 図１に示す熱交換器のＸ−Ｘ矢視断面図であ
る。

【図３】 仕切りプレートの平面図である。

【図４】 ヘッダパイプを示す正面図である。

【図５】 ヘッダパイプを示す側面図である。

【図６】 図４に示すヘッダパイプの一部拡大図であ
る。

【図７】 本発明の具体例に係り、（１）〜（４）は、
順次丸められるヘッダパイプ素材を示す概略正面図であ
る。

【図８】 本発明の具体例に係り、（１）〜（４）は、
順次丸められるヘッダパイプ素材を示す概略端面図であ
る。

【図９】 従来例に係り、（１）は、ヘッダパイプを示
す概略端面図、（２）は、（１）の部分拡大図、（３）
は、ヘッダパイプのチューブ挿入孔及び仕切りプレート
挿入孔を示すヘッダパイプの一部を省略した正面図であ
る。

【図１０】 従来例に係り、ヘッダパイプのチューブ挿
入孔及び仕切りプレート挿入孔を示すヘッダパイプの一
部を省略した正面図である。

【符号の説明】 １ 熱交換器 ２ 偏平チューブ ３ 波状フィン ４ ヘッダパイプ ４Ａ ヘッダパイプ素材 ５ チューブ挿入孔 ５ａ バーリング部 ６ サイドプレート接続孔 ７ サイドプレート ８ キャップ ９ 入口継手 １０ 出口継手 １１ スリット １１ａ，ｂ 切欠部 １２ 仕切りプレート １２ａ 小径部 １２ｂ 突出部 １２ｃ 大径部 １３ 係止孔 １３ａ 切込み Ｓ 引張り力 Ｔ 応力 ｋ 突出部 ｗ 開口幅

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 平板形状のヘッダパイプ素材に、チュー
   ブ挿入孔と、ヘッダパイプ内部を長手方向に区画する仕
   切りプレートを挿入する仕切りプレート挿入孔とが形成
   され、前記素材を所定径に丸め成形して、パイプ状に形
   成される熱交換器のヘッダパイプにおいて、 前記プレート挿入孔の開口形状を、丸め成形時の変形量
   に応じて、前記変形方向とは逆の方向に前記変形量の分
   だけ予め変形させて形成したことを特徴とする熱交換器
   のヘッダパイプ。
2. 【請求項２】 前記丸め成形時の突出変形に対し、当該
   突出分だけ予め切欠形成して切欠部を設けたことを特徴
   とする前記請求項１記載の熱交換器のヘッダパイプ。