JP2004002529A - 着色微粒子の水系分散体、インクジェット記録用水系インク、及び着色微粒子の水系分散体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、着色微粒子の水系分散体、インクジェット記録用水系インク、及び着色微粒子の水系分散体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、プリンター、印刷機、マーカー、筆記具等に用いられる記録材料、インキング材料にも脱溶剤化、水性化が求められてきている。特にインクジェット記録に用いられる水性の記録材料としては水溶性染料の水溶液を主体としたもの、顔料の微分散体を主体としたものが広く用いられている。
【0003】
水溶性染料を用いた水性インクとしては主として酸性染料、直接染料、一部の食品用染料等に分類される水溶性染料の水溶液に、保湿剤としてグリコール類、アルカノールアミン類、表面張力の調整のための界面活性剤、更に必要に応じて増粘剤等を添加したものが用いられている。これら水溶性染料を用いた水性インクは、筆先、あるいはプリンターでの目詰まりに対する高い信頼性から、最も一般的に用いられているが、記録紙上でにじみやすく、使用用途の限定、記録品位の低下を余儀なくされている。即ち、記録紙に単に浸透し、乾燥固着しているだけの水溶性染料は「染着」しているとはいい難く、耐候堅牢度は非常に低い。
【0004】
また、水溶性染料を用いた水性インクの耐水性、耐光堅牢性が低いという問題を解決するために油溶性染料ないし疎水性染料により水分散性樹脂を着色する提案がインクジェット記録用インクとしてなされている。例えば特開昭55−139471号、同58−45272号、特開平3−250069号、同8−253720号、同8−92513号、同8−183920号、特開2001−11347等には油溶性染料によって染色された乳化重合粒子または分散した重合粒子を用いたインクが提案されている。
【0005】
しかし、上記重合粒子を用いたインクは粒子同士の凝集、沈降が起こりやすくインクの安定性に劣っていた。また、印字した場合の色相に難点があり、印字濃度も低いという欠点を有していた。
【0006】
一方、特開2001−181547、同2001−271000、同2001−271002、同2001−294770、同2001−294771、同2001−261990には特定の油溶性色素と油溶性ポリマーとを含む着色微粒子を水系媒体に分散してなるインクが開示されている。
【0007】
これらのインクは粒子同士の凝集、沈降、色相劣化、低濃度といった上記インクの欠点に対して改良が見られているが、そのレベルは十分とは言いがたい。また印字した画像の耐光性の点では全く不充分であり大幅な改良が望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、保存安定性に優れ、色画像の耐光性が高く、高濃度で、良好な色再現性のための色調に優れた着色微粒子の水系分散体、これを用いた色再現性及び安定性に優れたインクジェット記録用水系インク及び着色微粒子の水系分散体の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、以下の構成によって上記課題が達成されることを見出した。
【0010】
1.前記一般式(1)で表されるモノマーから誘導される単独重合体または共重合体を含有することを特徴とする着色微粒子の水系分散体。
【0011】
2.前記一般式(2)で表されるモノマーから誘導される単独重合体または共重合体を含有することを特徴とする着色微粒子の水系分散体。
【0012】
3.前記一般式(3)で表される化合物と水酸基を含有するポリマーとを反応させることにより得られる高分子化合物を含有することを特徴とする着色微粒子の水系分散体。
【0013】
4.Dで表される色素残基が前記一般式(4)で表されることを特徴とする上記1〜3のいずれか1項に記載の着色微粒子の水系分散体。
【0014】
5.高沸点有機溶媒を含有することを特徴とする上記1〜4のいずれか1項に記載の着色微粒子の水系分散体。
【0015】
6.支持ポリマーを含有することを特徴とする上記1〜5のいずれか1項に記載の着色微粒子の水系分散体。
【0016】
7.上記1〜6のいずれか1項に記載の着色微粒子の水系分散体に含まれる着色微粒子をコアとし、この周りにシェルを形成することを特徴とする着色微粒子の水系分散体。
【0017】
8.上記1〜7のいずれか1項に記載の着色微粒子の水系分散体を含有することを特徴とするインクジェット記録用水系インク。
【0018】
9.低沸点有機溶媒を含む油状物を水系媒体中に乳化分散し、その後該低沸点有機溶媒を除去する工程を経て製造することを特徴とする着色微粒子の水系分散体の製造方法。
【0019】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
一般式(1)で表されるモノマーについて説明する。
【0020】
一般式(1)において、Dは色素残基を表す。色素残基とはそれ自体で可視光から赤外光の何れかの領域において分光吸収を有しているものをいい、例えばイエロー、マゼンタ、シアンの各染料残基が挙げられる。
【0021】
イエロー染料残基としては任意のものを使用することができ、イエロー染料としては、例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、開鎖型活性メチレン化合物類を有するアリールまたはヘテロ環アゾ染料;例えばカップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物類を有するアゾメチン染料;例えばベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;例えばナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料等があり、これ以外の染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。
【0022】
マゼンタ染料残基としては任意のものを使用することができ、マゼンタ染料として、例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールまたはヘテロ環アゾ染料;例えばカップリング成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;例えばアリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料、オキソノール染料のようなメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料、例えばナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドン等のようなキノン系染料、例えばジオキサジン染料等のような縮合多環系染料等を挙げることができる。
【0023】
シアン染料残基としては任意のものを使用することができ、シアン染料として、例えばインドアニリン染料、インドフェノール染料あるいはカップリング成分としてピロロトリアゾール類、ピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン染料等;シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料のようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料;例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールまたはヘテリロ環アゾ染料、インジゴ・チオインジゴ染料等を挙げることができる。
【0024】
前記の各染料残基は、クロモフォアの一部が解離して初めてイエロー、マゼンタ、シアンの各色を呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
【0025】
染料残基としては写真材料におけるカプラー及び現像主薬から生成するアゾメチン色素残基であることが特に好ましい。
【0026】
一般式(1)において、L1は2価の連結基を表すが、具体的には置換基を有してもよいアルキレン、アリーレン基、−SO2−、−CO−、−O−、−NR11−、−NR12CO−、−CONR13−、−OCO−、−COO−、−NR14SO2−、−SO2NR15及びこれら任意の2種以上の組み合わせからなる基が挙げられる。R11〜R15は水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。nは0または1を表すが、好ましくは1を表す。Rは水素原子、塩素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表すが、炭素数1〜4のアルキル基としては具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル等の各基が挙げられる。Rとしては水素原子、メチル基が特に好ましい。
【0027】
一般式(1)で表されるモノマーから誘導される単独重合体とは、具体的には一般式(1)で表されるモノマーのみを用いたラジカル重合体を表す。
【0028】
一般式(1)で表されるモノマーから誘導される共重合体とは、具体的には一般式(1)で表されるモノマー及び一般式(1)とは異なるビニルモノマーの少なくとも1種とのラジカル共重合体を表す。ビニルモノマーとしては、ビニルエステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、オレフィン類が好ましく用いられる。一般式(1)で表されるモノマーの共重合体中での含有単位(質量%)は任意であるが、好ましくは共重合体全体に対して20〜90質量%モルの範囲である。
【0029】
一般式(1)で表されるモノマーから誘導される単独重合体または共重合体の好ましい数平均分子量は1000〜100000であり、特に好ましくは3000〜20000である。
【0030】
次に一般式(2)で表されるモノマーについて説明する。
一般式(2)において、Dは色素残基を表すが、これは前述の一般式(1)のDで表される色素残基と同義である。L2及びL3は2価の連結基を表すが、L2とL3は同じでも異なっていてもよく、且つ2価の連結基は前述のL1で表される2価の連結基と同義である。X1及びX2は各々独立にカルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基、イソシアナト基またはエポキシ基を表すが、X1とX2は同じであることが好ましい。X1とX2として好ましくはカルボキシル基またはイソシアナト基である。nは0または1を表すが、好ましくは1を表す。
【0031】
一般式(2)で表されるモノマーから誘導される単独重合体とは、具体的には一般式(2)で表されるモノマーのみを用いた重縮合体または重付加体を表す。
【0032】
一般式(2)で表されるモノマーから誘導される共重合体とは、具体的には一般式(2)で表されるモノマーと一般式(2)で表されるモノマーとは異なる別のモノマーの少なくとも1種との重縮合体または重付加体を表す。
【0033】
一般式(2)で表されるモノマーと重縮合または重付加体を形成するモノマーの具体的な化合物としては、一般式(2)と反応する置換基を2個有しているものが好ましく、ジカルボン酸化合物及びその酸クロリド、ジオール化合物、ジイソシアネート化合物、ジアミン化合物、ジエポキシ化合物(例えば1,3−ブタジエンジエポキシド、1,7−オクタジエンジエポキサイド、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル)等が挙げられる。一般式(2)で表されるモノマーの共重合体中での含有単位(質量%)は任意であるが、好ましくは共重合体全体に対して50質量%〜90質量%モルの範囲である。
【0034】
一般式(2)で表されるモノマーから誘導される単独重合体または共重合体の好ましい数平均分子量は1000〜100000であり、特に好ましくは3000〜20000である。
【0035】
次に一般式(3)で表される化合物について説明する。
一般式(3)において、Dは色素残基を表すが、色素残基は前述の一般式(1)のDで表される色素残基と同義である。L5は2価の連結基を表すが、前述のL1で表される2価の連結基と同義である。X5はカルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基、イソシアナト基またはエポキシ基を表すが、好ましくはカルボキシル基またはイソシアナト基である。nは0または1を表すが、好ましくはnは1を表す。
【0036】
一般式(3)と反応させる水酸基を含有するポリマーとは、具体的にはポリ酢酸ビニルの部分けん化物のように部分的に水酸基が置換されているポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマーの加水分解物のように、コポリマーの1成分に水酸基を有しているポリマー等が挙げられる。さらに好ましくはポリビニルブチラール樹脂及びポリビニルアルコール樹脂が挙げられる。ポリビニルブチラール樹脂としては、具体的には電気化学工業(株)製の#2000−L、#3000−1、#3000−2、#3000−4、#3000−K、#4000−1、#4000−2、#5000−A、#6000−C、#6000−EP、あるいは積水化学工業(株)製のBL−1、BL−1H、BL−2、BL−2H、BL−5、BL−10、BL−S、BL−SH、BX−10、BX−L、BM−1、BM−2、BM−5、BM−S、BM−SH、BH−3、BH−6、BH−S、BX−1、BX−3、BX−5、KS−10、KS−1、KS−3、KS−5等がある。ポリビニルアルコール樹脂としては、クラレ(株)製のポバールPVA−102、PVA−117、PVA−CSA、PVA−617、PVA−505等のほか、特殊銘柄のサイズ剤用PVA、熱溶融成形用PVA等である。
【0037】
次に一般式(4)について説明する。
一般式(4)において、Aは−NR3R4またはヒドロキシル基を表し、R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表すが、アルキル基としては好ましくは炭素数1〜30のアルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2―エチルヘキシルの各基)、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、(例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシルの各基)、炭素数5〜30の置換または無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を1個取り去った1価の基、(例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル基)等が挙げられる。
【0038】
アリール基としては、好ましくは炭素数6〜30の置換または無置換のアリール基、(例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニルの各基)が挙げられる。
【0039】
複素環基として好ましくは5または6員の置換または無置換の、芳香族または非芳香族の複素環化合物から1個の水素原子を取り除いた1価の基であり、更に好ましくは、炭素数3〜30の5または6員の芳香族の複素環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリルの各基が挙げられる。
【0040】
R3及びR4で表される基はさらに置換基を有してもよい。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、複素環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、複素環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及び複素環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が挙げられる。
【0041】
一般式(4)において、Aは−NR3R4であることが好ましい。R3及びR4は炭素原子数が1〜18のアルキル基または炭素原子数が1〜18の置換アルキル基であることが最も好ましい。
【0042】
一般式(4)において、B1は=C(R5)−または=N−を表し、B2は−C(R5)=または−N=を表すが、B1及びB2が同時には−N=とならない場合が好ましく、B1が=C(R5)−、B2が−N=となる場合がさらに好ましい。
【0043】
一般式(4)において、R1、R2、及びR5はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表すが、置換基は炭素数1〜30の置換基であるのが好ましく、具体例はR3及びR4で表される基の置換基として挙げたものと同じである。R1は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アルコキシ基、アシルアミノ基、ウレイド基が好ましく、さらに好ましくは水素原子及び炭素数1〜3のアルキル基である。最も好ましくは水素原子である。R2及びR5は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アルコキシ基、アシルアミノ基、ウレイド基が好ましく、さらに好ましくは水素原子及び炭素数1〜3のアルキル基であり、また最も好ましくはメチル基である。
【0044】
一般式(4)において、R1とR2、R3とR4、R3とR2、R3とR5、R4とR2及びR4とR5は互いに結合して環を形成してもよいが、好ましくはR3とR4が互いに結合して含窒素ヘテロ環を形成する場合である。形成されるヘテロ環としてはピペリジン環、モルホリン環が好ましい。
【0045】
一般式(4)において、R1〜R5及びQのうち少なくとも1つはL1〜L5との結合点を有するが、好ましくはQ、R3、R4がL1〜L5との結合点を有するのが好ましい。最も好ましくはQが結合点を有する場合である。
【0046】
一般式(4)において、Qはカプラー残基表すが、Qで表される基としては下記(Cp−1)〜(Cp−28)で表される基が好ましい。
【0047】
【化5】
【0048】
【化6】
【0049】
(Cp−1)〜(Cp−28)で表される基は、*印の位置で、一般式(1)のD、一般式(2)のD、一般式(3)のD以外の部分と結合する。
【0050】
以下に(Cp−1)〜(Cp−28)について詳しく説明する。
(Cp−1)で表される基において、R51はアルキル基、アリール基、複素環基またはアルコキシ基を表し、R52はカルバモイル基またはシアノ基を表す。好ましくは、R51はt−ブチル基、1−エチルシクロプロピル基、1−メチルシクロプロピル基、1−ベンジルシクロプロピル基、置換または無置換のフェニル基、置換または無置換のインドリニン−1−イル基、及び置換または無置換のインドール−3−イル基を表し、R52はN−アリールカルバモイル基またはシアノ基を表す。
【0051】
(Cp−2)で表される基において、R53はアリール基または複素環基を表し、R52は(Cp−1)におけるR52と同じ意味の基を表す。好ましくは、R53は置換または無置換のフェニル基、置換または無置換の複素環基(特に好ましくは、チアゾール−2−イル、ベンゾチアゾール−2−イル、オキサゾール−2−イル、ベンゾオキサゾール−2−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3(または5)−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2(または5)−イル、1,2,4−チアジアゾール−3(または5)−イル、1,3,4−チアジアゾール−2(または5)−イル、ピラゾール−3−イル、インダゾール−3−イル、1,2,4−トリアゾール−3−イル、2−ピリジル、2−ピリミジニル、2−ピラジニル、キナゾリン−2−イルまたはキナゾリン−4−イル)を表し、R52はシアノ基を表す。
【0052】
(Cp−3)で表される基において、R61はアルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノカルボニルアミノ基またはアルコキシカルボニルアミノ基を表す。R62はアルキル基、アリール基または複素環基を表す。好ましくは、R61はアルキル基、アシルアミノ基、アミノ基、アミノカルボニルアミノ基またはアルコキシカルボニルアミノ基を表し、R62はアリール基または複素環基を表し、さらに好ましくは、R61はアシルアミノ基またはN−アリールアミノ基を表し、R62はアリール基を表す。
【0053】
(Cp−4)及び(Cp−5)で表される基において、R63及びR64は各々、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノカルボニルアミノ基またはアルコキシカルボニルアミノ基を表す。好ましくは、R63はアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表し、R64はアルキル基またはアリール基を表し、特に好ましくは、R63はメチル基、t−ブチル基または置換または無置換のフェニル基を表す。
【0054】
(Cp−6)及び(Cp−7)で表される基において、R63は前記(Cp−4)及び(Cp−5)のR63と同じ意味の基を表し、R65、R66及びR67は各々、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基またはカルバモイル基を表す。好ましくは、R63はアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表し、R65、R66及びR67は各々、水素原子、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基またはカルバモイル基を表す。
【0055】
(Cp−8)で表される基において、R68及びR69は各々、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基またはカルバモイル基を表す。好ましくは、R68及びR69は各々、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。
【0056】
(Cp−9)、(Cp−10)、(Cp−11)及び(Cp−12)で表される基において、R70はアルキル基、アリール基または複素環基を表し、R71はハロゲン原子、アルキル基、アリール基、複素環基、シリル基、アシルアミノ基、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基、アミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基またはアルコキシカルボニルアミノ基を表し、R72及びR73は各々、水素原子またはアルキル基を表し、aは0〜3のいずれかの整数を表し、bは0〜2のいずれかの整数を表し、cは0〜4のいずれかの整数を表す。a、bまたはcが複数のとき複数個のR71は同一であっても、異なっていてもよい。好ましくは、R70はアルキル基またはアリール基を表し、R71はハロゲン原子、アルキル基またはアシルアミノ基を表し、R72及びR73は各々、水素原子、メチル基またはエチル基を表し、aは1または2を表し、bは1または2を表し、cは0〜2の整数を表す。
【0057】
(Cp−13)で表される基において、R74はカルバモイル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、スルファモイル基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基またはアルキルまたはアリールスルホニルアミノ基を表し、R75はハロゲン原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノカルボニルアミノ基またはアルコキシカルボニルアミノ基を表し、dは0〜4のいずれかの整数を表す。dが複数のとき、複数個のR75は同一であっても異なっていてもよい。好ましくは、R74はカルバモイル基、スルファモイル基またはアシルアミノ基を表し、R75はアシルアミノ基、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基またはアルコキシカルボニルアミノ基を表し、dは0または1を表す。
【0058】
(Cp−14)で表される基において、R75は前記と同じ意味を表し、R78及びR79はR75と同じ意味の基を表し、R76及びR77はシアノ基、スルファモイル基、アルキルまたはアリールスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基またはカルバモイル基を表す。好ましくは、R75はハロゲン原子、アルキル基またはアリール基を表し、dは0〜2のいずれかの整数を表し、R78及びR79はハロゲン原子、アルキル基またはアリール基を表し、R76及びR77はシアノ基を表す。
【0059】
(Cp−15)で表される基において、R75及びdは前記と同じ意味を表し、R80及びR81はシアノ基、スルファモイル基、アルキルまたはアリールスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基またはカルバモイル基を表す。好ましくは、R75はハロゲン原子、アルキル基またはアリール基を表し、dは0〜2のいずれかの整数を表し、R80及びR81はシアノ基を表す。
【0060】
(Cp−16)で表される基において、R82、R83及びR84は各々、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基またはカルバモイル基を表す。
【0061】
(Cp−17)で表される基において、R85及びR86は各々、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基またはカルバモイル基を表す。好ましくは、R85及びR86は各々、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基またはアルキルまたはアリールスルホニルアミノ基を表す。
【0062】
(Cp−18)〜(Cp−20)で表される基において、R87及びR88はカルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、スルファモイル基、アルカンスルホニル基、アレーンスルホニル基またはニトロ基を表し、R89及びR90は各々水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表す。好ましくは、R87はカルバモイル基、アルコキシカルボニル基またはシアノ基を表し、R88はカルバモイル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基またはアルキル及びアリールスルホニル基を表し、R89及びR90は各々、アルキル基またはアリール基を表す。さらに好ましくは、R87はシアノ基を表し、R88はアルコキシカルボニル基を表し、R89及びR90はアリール基を表す。
【0063】
(Cp−21)〜(Cp−26)で表される基において、R91及びR92はアルキル基、アリール基、複素環基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、スルファモイル基、アルカンスルホニル基、アレーンスルホニル基またはニトロ基を表し、R93、R94及びR95は水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表す。好ましくは、R91はアリール基、複素環基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基またはシアノ基を表し、R92はカルバモイル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、スルファモイル基またはアルキルまたはアリールスルホニル基を表し、R93、R94及びR95は各々、水素原子、アルキル基、アシルアミノ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルチオ基またはアリールチオ基を表す。
【0064】
(Cp−27)で表される基において、R97、R98及びR99は各々、水素原子、シアノ基、スルファモイル基、アルキルまたはアリールスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基またはカルバモイル基を表し、R96はアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表す。好ましくは、R97、R98及びR99は各々、水素原子またはシアノ基を表し、R96はN−アリールアミノ基を表す。
【0065】
(Cp−28)で表される基において、R100及びR101は各々、水素原子、パーフルオロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、スルファモイル基、アルキルまたはアリールスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルチオ基またはアリールチオ基を表し、R102はアルキル基、アリール基、複素環基、スルファモイル基、アルキルまたはアリールスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基またはカルバモイル基を表す。好ましくは、R100及びR101は各々、水素原子、パーフルオロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、アルキル及びアリールスルホニル基、アルキルチオ基またはアリールチオ基を表し、R102はアリール基または複素環基を表す。
【0066】
R51〜R53、R61〜R69、及びR70〜R102の説明で挙げた基の好ましいものの具体例は、R4及びR5で表される基の置換基として挙げたものと同じである。R51〜R53、R61〜R69、及びR70〜R102で表される基はさらに置換基を有していてもよく、好ましい置換基はR4及びR5で表される基の置換基として挙げたものと同じである。
【0067】
(Cp−1)〜(Cp−28)で表される基のうち、(Cp−1)、(Cp−2)、(Cp−4)、(Cp−5)、(Cp−11)、(Cp−12)、(Cp−18)、(Cp−21)、(Cp−22)及び(Cp−23)が好ましく、特に(Cp−4)、(Cp−5)、(Cp−18)及び(Cp−23)が最も好ましい。
【0068】
以下に、一般式(1)で表されるモノマーの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0069】
【化7】
【0070】
【化8】
【0071】
【化9】
【0072】
【化10】
【0073】
【化11】
【0074】
【化12】
【0075】
【化13】
【0076】
【化14】
【0077】
【化15】
【0078】
【化16】
【0079】
【化17】
【0080】
【化18】
【0081】
【化19】
【0082】
【化20】
【0083】
【化21】
【0084】
【化22】
【0085】
【化23】
【0086】
(合成例1)モノマー(1−56)の合成
中間体(I)の合成
特開平7−175186号記載の合成中間体(VII)10.32gにメタノール140mlとトリエチルアミン42.4mlを加え撹拌溶解した。次に過硫酸アンモニウム26.0gを水40mlに溶解したものを加え、更に化合物A9.04gを水40ml−メタノール40mlに溶解したものを20分かけて撹拌しながら滴下した。滴下終了後、1時間室温で撹拌した後、ろ過して析出する無機塩をろ過し、メタノールで洗浄した。ろ液を濃縮後、酢酸エチル300mlに溶解し1mol/L塩酸を加えpH=1とし、分液した後、中和、水洗し濃縮した。濃縮物をアセトニトリルから再結晶し、中間体(I)3.4gを得た。構造はMASS、H−NMR、IRスペクトルによって同定した。
【0087】
モノマー(1−56)の合成
N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)50mlに上記作製した中間体(I)10.0gとニトロベンゼン1滴を加え、アクリル酸クロライド2.2gを滴下して室温で2時間反応させた。反応液に酢酸エチル100mlを加え、飽和食塩水300mlで3回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去し、色素モノマー(1−56)を8.8g得た。構造はMASS、H−NMR、IRスペクトルによって同定した。
【0088】
【化24】
【0089】
他の一般式(1)で表されるモノマーも上記に準じて合成することができる。モノマーから誘導される重合体は一般式(1)で表されるモノマーの単独重合体であってもよく、エチレン様単量体と一般式(1)で表されるモノマーの共重合体であってもよい。また、上記いずれの場合においても、一般式(1)で表される2種以上のモノマーを用いてもよい。上記の中でも、一般式(1)で表されるモノマーと、後記エチレン様単量体の共重合体が好ましい。エチレン様単量体としては、アクリル酸、α−アルキルアクリル酸(例えばメタクリル酸)、α−クロロアクリル酸、これらの酸類から誘導されるアミドまたはエステル、(例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、n−ブチルアクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクレート、ラウリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、β−ヒドロキシメタクリレート)、ビニルエステル(例えば、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルラウリレート)、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、芳香族ビニル化合物(例えば、スチレン及びビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ビニルアセトフェノン、スルホスチレン等の誘導体)、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、ビニルアルキルエーテル(例えば、ビニルエチルエーテル)、マレイン酸エステル、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルピリジン及び2−または4−ビニルピリジン等が挙げられる。
【0090】
これらのうち、特にアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイン酸エステル類が好ましい。ここで使用するエチレン様単量体は2種以上を同時に使用することができる。例えば、メチルアクリレートとブチルアクリレート、ブチルアクリレートとスチレン、ブチルメタクリレートとメタクリル酸、メチルアクリレートとジセトンアクリルアミド等を使用できる。前記一般式(1)で表されるモノマーと共重合させるためのエチレン系不飽和単量体は、形成される共重合体の物理的性質及び/または化学的性質、例えば、溶解度、添加剤(高沸点溶剤、ポリマー等)との相溶性、その可とう性、熱安定性が好影響を受けるように選択することができる。
【0091】
本発明に用いられる着色微粒子の水系分散体は、前記したように一般式(1)で表されるモノマーから得られた重合体を単独で、あるいは他の支持ポリマーとともに有機溶媒に溶かしたものを水系媒体中で乳化分散して作ってもよく、あるいは直接乳化重合法により作ってもよい。
【0092】
次に本発明のモノマーを用いた重合体(色素ポリマー)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0093】
【表1】
【0094】
以下に、本発明の重合体の合成例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0095】
(合成例2)重合体(I−3)の合成
モノマー(1−56)の重合体(I−3)の合成
モノマー(1−56)10.0g、テトラヒドロフラン200mlの混合物を脱気後窒素気流中撹拌下、アゾビスイソブチロニトリルのジオキサン溶液(濃度0.04g/ml)を2mlに加え、80℃に加熱し重合を開始した。2時間後さらに2ml加え、3時間反応させた。その後反応液を冷却し、酢酸エチルを200ml加え、飽和食塩水200mlで数回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、有機層を減圧濃縮し、残渣をテトラヒドロフランに溶解し、メタノールを用いて再沈殿精製を行うことにより、重合体(I−3)を7.26g得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC法)による数平均分子量は6,000であった。
【0096】
(合成例3)重合体(I−11)の合成
モノマー(1−56)とブチルアクリレートの共重合体(I−11)の合成
モノマー(1−56)6.07g、ブチルアクリレート1.81g、ジオキサン40mlの混合物を窒素気流中撹拌下80℃に加熱した後、アゾビスイソ酪酸ジメチルのジオキサン溶液(濃度0.04g/ml)を2ml加え、重合を開始した。2時間後さらに2ml追加し、3時間反応させた。その後反応液を冷却し、酢酸エチルを200ml加え、飽和食塩水200mlで数回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、有機層を減圧濃縮し、残渣をテトラヒドロフランに溶解し、メタノールを用いて再沈殿精製を行うことにより、共重合体(I−11)を7.26g得た。窒素及び塩素の定量分析により合成したポリマー色素は82質量%の(1−56)を含有していることが示された。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC法)による数平均分子量は7,400であった。
【0097】
表1に示すその他の重合体も上記に準じて合成することができる。
次に、前記一般式(2)で表されるモノマーの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0098】
【化25】
【0099】
【化26】
【0100】
【化27】
【0101】
【化28】
【0102】
【化29】
【0103】
【化30】
【0104】
【化31】
【0105】
【化32】
【0106】
【化33】
【0107】
【化34】
【0108】
【化35】
【0109】
【化36】
【0110】
【化37】
【0111】
【化38】
【0112】
(合成例4)モノマー(2−24)の合成
9.9gの中間体1をメタノール100mlに溶解し、5質量%パラジウム炭素1.0gを添加し接触水素添加反応を行った。反応終了後に触媒をろ過し、溶媒を減圧留去して中間体2を8.2gを得た。次に、8.2gの中間体2に水160mlと化合物A6.50gを加え10℃以下で撹拌した。次に水酸化ナトリウム10.8gを水100mlに溶解した水溶液を10℃以下で添加し、更にエタノール250mlを加え完溶させた。その後、過硫酸アンモニウム13.7gを水60mlに溶解したものを30分かけて滴下した。滴下と同時に結晶が析出し始めたが滴下終了後、1時間室温で撹拌した後、ろ過し、エタノール50ml−水150mlの混合液で洗浄した。ろ過物をアセトニトリルから再結晶し、モノマー(2−24)10.3gを得た。構造はMASS、H−NMR、IRスペクトルによって同定した。
【0113】
【化39】
【0114】
他の一般式(2)で表されるモノマーも上記に準じて合成することができる。次に、一般式(2)で表されるモノマーと重縮合または重付加反応させるモノマーとして代表的なものを以下に示す。
【0115】
ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ジメチルマロン酸、アジピン酸、ピメリン酸、α,α−ジメチルコハク酸、アセトンジカルボン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2−ブチルテレフタル酸、テトラクロロテレフタル酸、アセチレンジカルボン酸、ポリ(エチレンテレフタレート)ジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ω−ポリ(エチレンオキシ)ジカルボン酸、p−キシリレンジカルボン酸等を挙げることができる。
【0116】
テトラカルボン酸としては、ピロメリト酸、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ジフェニルメタンテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,3′,4,4′−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸等のテトラカルボン酸等を挙げることができる。
【0117】
これらジ及びテトラカルボン酸の代わりに、それらの酸クロリド、エステル、酸無水物もより好ましく使用できる。
【0118】
ジアミンとしては、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,2−プロパンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、4,4′−ジアミノフェニルエーテル、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン、キシリレンジアミン、ベンジジン等、またテトラアミンとしては、ビフェニル−3,4,3′,4′−テトラアミン等が挙げられる。
【0119】
ジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2,2,−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2−プロピル1,3−プロパンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール(平均分子量=200、300、400、600、1000、1500、4000)、ポリプロピレングリコール(平均分子量=200、400、1000)、ポリエステルポリオール、4,4′−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパン、4,4−ジヒドロキシフェニルスルホン等が挙げられる。
【0120】
多価アルコールとしては、ジグリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール等が挙げられる。
【0121】
ジイソシアネート化合物としては、エチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、1,3−キシレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3′−ジメチル−4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3′−ジメチルビフェニレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)等が挙げられる。
【0122】
前記一般式(2)で表されるモノマーと重縮合または重付加反応させるモノマーとしては好ましくはジカルボン酸のジクロリドである。また、モノマーは形成される共重合体の物理的性質及び/または化学的性質、例えば、溶解度、添加剤(高沸点溶剤、ポリマー等)との相溶性、その可とう性、熱安定性が好影響を受けるように選択することができる。
【0123】
次に、本発明のモノマーを用いた重合体の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0124】
【表2】
【0125】
以下に、本発明の重合体の合成例を示すが本発明はこれに限定されるものではない。
【0126】
(合成例5)色素ポリマー(II−10)の合成
攪拌機、窒素導入管を備えた容器に、窒素雰囲気下において色素モノマー(2−24)6.68gと、N−メチル−2−ピロリドン70gを加え溶解させた後、トリエチルアミン3.04g(0.030モル)を添加し、−15℃に冷却した。その後、撹拌を強め、テレフタル酸ジクロライド3.05gを添加し、0℃で2時間、さらに室温で1時間撹拌した。得られた粘稠なポリマー溶液をろ過し、激しく攪拌されたメタノール中に1滴ずつ滴下して再沈殿させた。これをろ別後メタノールで洗浄し、50℃で12時間減圧乾燥しての色素ポリマー(II−10)を得た。
【0127】
表2に示すその他の重合体も上記に準じて合成することができる。
次に一般式(3)で表されるモノマーの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0128】
【化40】
【0129】
【化41】
【0130】
【化42】
【0131】
【化43】
【0132】
【化44】
【0133】
【化45】
【0134】
【化46】
【0135】
【化47】
【0136】
【化48】
【0137】
【化49】
【0138】
(合成例6)色素モノマー(3−1)及び中間体2の合成
モノマー(3−1)の合成
15.9gの中間体1にメタノール140mlと42.4mlのトリエチルアミンを加え撹拌溶解させた。次に過硫酸アンモニウム26.0gを水40mlに溶解したものを加え、更に化合物A9.04gを水40ml−メタノール40mlに溶解したものを20分かけて撹拌しながら滴下した。滴下終了後、1時間室温で撹拌した後、ろ過して析出する無機塩をろ過し、メタノールで洗浄した。ろ液を濃縮後、酢酸エチル300mlに溶解し1mol/L塩酸を加えpH=1とし、分液した後、中和、水洗し濃縮した。濃縮物をアセトニトリルから再結晶し、モノマー(3−1)18.1gを得た。構造はMASS、H−NMR、IRスペクトルによって同定した。
【0139】
中間体2の合成
トルエン50mlに色素モノマー(3−1)15.0g、DMF0.1mlを加え塩化チオニル11.9mlを滴下して加熱還流し4時間反応させた。反応終了後、溶媒と過剰の塩化チオニルを減圧留去し、更にトルエンを加え再度減圧留去し、中間体2を16.7g得た。
【0140】
【化50】
【0141】
他の一般式(3)で表されるモノマーも上記に準じて合成することができる。一般式(3)と反応させる水酸基を含有するポリマーとは、具体的にはポリ酢酸ビニルの部分けん化物のように部分的に水酸基が置換されているポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマーの加水分解物のように、コポリマーの1成分に水酸基を有しているポリマー等が挙げられる。さらに好ましくはポリビニルブチラール樹脂、及びポリビニルアルコール樹脂が挙げられる。ポリビニルブチラール樹脂として具体的には電気化学工業(株)製の#2000−L、#3000−1、#3000−2、#3000−4、#3000−K、#4000−1、#4000−2、#5000−A、#6000−C、#6000−EP、または積水化学工業(株)製のBL−1、BL−1H、BL−2、BL−2H、BL−5、BL−10、BL−S、BL−SH、BX−10、BX−L、BM−1、BM−2、BM−5、BM−S、BM−SH、BH−3、BH−6、BH−S、BX−1、BX−3、BX−5、KS−10、KS−1、KS−3、KS−5等がある。ポリビニルアルコール樹脂としてはクラレ(株)製のポバールPVA−102、PVA−117、PVA−CSA、PVA−617、PVA−505等のほか、特殊銘柄のサイズ剤用PVA、熱溶融成形用PVA等がある。水酸基を有するポリマーの水酸基1モル当たりの一般式(3)で表される化合物導入量は好ましくは0.005〜1モルであるが、より好ましくは0.1〜0.8モルである。
【0142】
次に本発明の一般式(3)と水酸基を有するポリマーとの反応により得られる高分子化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0143】
【表3】
【0144】
以下、本発明の高分子化合物の合成例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0145】
(合成例7)色素ポリマー(III−1)の合成
PVA重合度450、水酸基36mol%のポリビニルブチラール7.0gをTHFに溶解し、ピリジン4.76mlを加えた。氷水冷し、内温を0〜5℃に保ちながら16.7gの中間体2をTHF40mlに溶解したものを30分かけて滴下した。室温に戻した後、5時間撹拌し反応溶液に酢酸エチルと水を加え1N塩酸でpH=2となるまで洗浄した。更に10質量%炭酸水素ナトリウム水溶液でpH=9〜10になるまで同様に洗浄した後、中和、水洗し硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で溶媒を除去した。得られたポリマーをTHFに溶解し、激しく撹拌したn−ヘキサン中へ1滴ずつ滴下し再沈殿を行った。滴下終了後、1時間撹拌した後にろ過した。ろ過物を40℃、665Pa以下で減圧乾燥し例示化合物(III−1)13.4gを得た。
【0146】
一般式(1)で表されるモノマーから誘導される単独重合体または共重合体、一般式(2)で表されるモノマーから誘導される単独重合体または共重合体、及び一般式(3)と水酸基を含有するポリマーとを反応させることにより得られる高分子化合物(以下本発明の色素ポリマーと総称する。)は、実質的に水不溶性、かつ有機溶媒に可溶性であることが好ましい。本発明において実質的に水不溶性とは、水に対する溶解度が0〜0.1質量%であることを表し、0〜0.01質量%であることがより好ましい。実質的に有機溶媒可溶性とは、有機溶媒に対する溶解度が1.0〜100質量%であることを表す。好ましくは5.0〜100質量%である。有機溶媒としては、具体的にトルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン等が挙げられ、中でも好ましくは酢酸エチルである。
【0147】
次に、本発明の着色微粒子の水分散体について詳述する。本発明においては、色素ポリマーのみで着色微粒子を形成してもよいし、支持ポリマーを含有せしめてもよい。本発明においては色素自体がポリマーであるため支持ポリマーがない場合でも良好な分散性、高い色濃度、良好な色再現性を有する着色微粒子の水分散体を得ることができる。支持ポリマーを含有せしめることはさらに良好な分散性、最終画像のより良好な耐光性を得るための好ましい態様の一つである。本発明のポリマーとしては、その数平均分子量が500〜100,000であることが、印刷後のインクの耐久性及びサスペンションの形成性の点から好ましい。本発明では複数のポリマーを使用することが可能であるが、用いるポリマーのうち少なくとも1種はガラス転移温度(Tg)が10〜200℃であることが好ましい。
【0148】
上記ポリマーについては、その種類、物性等が、例えばPOLYMER HANDBOOK,第4版(JOHN WILEY&SONS,INC.)に記載されている。具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸(メタクリル酸)エステル、ポリアクリロニトリル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、アルキド樹脂、マレイン酸樹脂、ウレタンゴム、ポリカーボネート、ナイロン、ポリウレタン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリホルムアルデヒド、エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも好ましくはポリビニルブチラールである。ポリビニルブチラールは、色素を含有する着色微粒子の水系分散体の分散安定性がより向上するので、本発明にとって好ましい態様の一つである。これらのポリマーは置換基を有していてもよく、その置換基は直鎖状、分岐、あるいは環状構造を採ってもよい。
【0149】
特定の官能基を有するポリマーは、各種のものが市販されているが、常法によって合成することもできる。また、これらの共重合体は、例えば一つのポリマー分子中にエポキシ基を導入しておき、後に他のポリマーと縮重合させたり、光や放射線を用いてグラフト重合を行っても得られる。
【0150】
以下に、ビニルポリマーの具体例PA−1〜PA−41を列挙する。括弧内の比は質量比を表す。なお、本発明は、これらの具体例に何ら限定されるものではない。
【0151】
PA−1:メチルメタクリレート−エチルアクリレート共重合体
(50:50)
PA−2:ブチルアクリレート−スチレン共重合体(50:50)
PA−3:ポリn−ブチルメタクリレート
PA−4:ポリイソプロピルメタクリレート
PA−5:ポリ(4−tert−ブチルフェニルアクリレート)
PA−6:n−ブチルメタクリレート−N−ビニル−2−ピロリドン共重合体(90:10)
PA−7:メチルメタクリレート−塩化ビニル共重合体(70:30)
PA−8:イソブチルメタクリレート−ブチルアクリレート共重合体
(55:45)
PA−9:酢酸ビニル−アクリルアミド共重合体(85:15)
PA−10:n−ブチルアクリレート−メチルメタクリレート−n−ブチルメタクリレート共重合体(35:35:30)
PA−11:エチルメタクリレート−n−ブチルアクリレート共重合体
(70:30)
PA−12:tert−ブチメタクリルアミド−メチルメタクリレート−アクリル酸共重合体(60:30:10)
PA−13:n−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体(80:20)
PA−14:sec−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体
(85:15)
PA−15:イソプロピルアクリレート−アクリル酸共重合体(90:10)PA−16:ブチルメタクリレート−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−アクリル酸共重合体(85:5:10)
PA−17:イソブチルメタクリレート−テトラヒドロフルフリルアクリレート−アクリル酸共重合体(60:30:10)
PA−18:n−ブチルメタクリレート−1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルアクリレート−アクリル酸共重合体(75:20:5)
PA−19:メチルメタクリレート−n−ブチルアクリレート−アクリル酸
共重合体(50:45:5)
PA−20:3−メトキシブチルメタクリレート−スチレン−アクリル酸
共重合体(35:50:15)
PA−21:エチルアクリレート−フェニルメタクリレート−アクリル酸
共重合体(72:25:13)
PA−22:イソブチルメタクリレート−ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(エチレンオキシ鎖繰り返し数23)のメタクリル酸エステル−アクリル酸共重合体(70:20:10)
PA−23:エチルメタクリレート−アクリル酸共重合体(95:5)
PA−24:イソブチルアクリレート−メトキシスチレン−アクリル酸
共重合体(75:15:10)
PA−25:イソブチルアクリレート−N−ビニルピロリドン−アクリル酸
共重合体(60:30:10)
PA−26:2,2,2−テトラフルオロエチルメタクリレート−メチル
メタクリレート−メタクリル酸共重合体(25:60:15)
PA−27:エチルメタクリレート−2−エトキシエチルメタクリレート−
メタクリル産共重合体(75:15:15)
PA−28:tert−オクチルアクリルアミド−プロピルメタクリレート−メタクリル酸共重合体(20:65:15)
PA−29:n−ブチルメタクリレート−ジフェニル−2−メタクリロイル
オキシジエチルホスホネート−メタクリル酸共重合体(80:5:15)
PA−30:n―ブチルメタクリレート−フェニルアクリルアミド−メタクリル酸共重合体(70:15:15)
PA−31:n−ブチルメタクリレート−N−ビニルピロリドン−メタクリル酸共重合体(70:15:15)
PA−32:n−ブチルメタクリレート−スチレンスルホン酸共重合体
(90:10)
PA−33:イソブチルメタクリレート−スチレンスルホン酸共重合体
(90:10)
PA−34:n−ブチルメタクリレート−2−アクリルアミド−2−メチル
エタンスルホン酸共重合体(90:10)
PA−35:イソブチルアクリレート−n−ブチルメタクリレート−2−
アクリルアミド−2−メチルエタンスルホン酸共重合体(70:20:10)
PA−36:エチルアクリレート−tert−ブチルメタクリレート−2−
アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体(60:30:10)PA−37:tert−ブチルアクリレート−テトラヒドロフルフリルアクリレート−2−メチルプロパンスルうホン酸共重合体(50:40:10)
PA−38:tert−ブチルアクリレート−ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(エチレンオキシ鎖繰り返し数23)のメタクリル酸エステル−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体
(60:30:10)
PA−39:イソブチルアクリレート−N−ビニルピロリドン−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体(60:30:10)
PA−40:n−ブチルメタクリレート−2−アクリルアミド−2−メチル
プロパンスルホン酸ソーダ共重合体(98:12)
PA−41:n−ブチルメタクリレート−tert−ブチルメタクリレート−2−アクリルアミド−2−メチルブタンスルホン酸ソーダ共重合体
(50:35:15)
前記縮合系ポリマーの具体例について、原料モノマーの形で以下に例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。各ポリマーにおける酸性基は全て非解離形で表す。また、ポリエステル、ポリアミド等の縮合反応により生成するものについては、構成成分は原料の如何にかかわらず、全てジカルボン酸、ジオール、ジアミン、ヒドロキシカルボン酸、アミノカルボン酸等で表記する。括弧内の比は各成分のモル百分率比を意味する。
【0152】
PC−1:トルエンジイソシアネート/エチレングリコール/1,4−ブタンジオール(50/15/35)
PC−2:トルエジイソシアネート/ヘキサメチレンジイソシアネート/エチレングリコール/ポリエチレングリコール(Mw=600)1,4−ブタンジオール(40/20/10/20)
PC−3:4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート/ヘキサメチレンジイソシアネート/テトラエチレングリコール/エチレングリコール/2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(40/10/20/20/10)
PC−4:1,5−ナフタレンジイソシアネート/ブタンジオール/4,4′−ジヒドロキシ−ジフェニル−2,2′−プロパン/ポリプロピレングリコール(Mw=400)/2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(50/20/5/10/15)
PC−5:イソホロンジイソシアネート/ジエチレングリコール/ネオペンチルグリコール/2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(50/20/20/10)
PC−6:ジフェニルメタンジイソシアネート/ヘキサメチレンジイソシアネート/テトラエチレングリコール/ブタンジオール/2,4−ジ(2−ヒドロキシ)エチルオキシカルボニルベンゼンスルホン酸(40/10/10/33/7)
PC−7:テレフタル酸/イソフタル酸/シクロヘキサンジメタノール/1,4−ブタンジオール/エチレングリコール(25/25/25/15/10)
PC−8:テレフタル酸/イソフタル酸/4,4′−ジヒドロキシ−ジフェニル−2,2−プロパン/テトラエチレングリコール/エチレングリコール(30/20/20/15/15)
PC−9:テレフタル酸/イソフタル酸/4,4′−ベンゼンジメタノール/ジエチレングリコール/ネオペンチルグリコール(25/25/25/15/10)
PC−10:テレフタル酸/イソフタル酸/5−スルホイソフタル酸/エチレングリコール/ネオペンチルグリコール(24/24/2/25/25)
PC−11:11−アミノウンデカン酸(100)
PC−12:ポリ(12−アミノドデカン酸)と無水マレイン酸との反応物
PC−13:ヘキサメチレンジアミン/アジピン酸(50/50)
PC−14:N,N−ジメチルエチレンジアミン/アジピン酸/シクロヘキサンジカルボン酸(50/20/30)
PC−15:トルエンジイソシアネート/4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート/ヘキサメチレンジアミン(30/20/50)
PC−16:ヘキサメチレンジアミン/ノナメチレンジアミン/尿素(25/25/50)
本発明の着色微粒子の水系分散体は、本発明の色素ポリマーのサスペンションから成り、サスペンションは各種乳化法で製造することができる。それら乳化法の例は、例えば「機能性乳化剤・乳化技術の進歩と応用展開;シーエムシー」の86頁の記載に纏められている。特に、超音波、高速回転剪断、高圧による乳化分散装置を使用することが好ましい。
【0153】
超音波による乳化分散では、所謂バッチ式と連続式の2通りが使用可能である。バッチ式は比較的少量の作製に適し、連続式は大量の作製に適する。連続式では、例えばUH−600SR(エスエムテー社製)のような装置を用いることが可能である。このような連続式の場合、超音波の照射時間は、分散室容積/流速×循環回数で求めることができる。超音波照射装置が複数ある場合は、それぞれの照射時間の合計として求められる。超音波の照射時間は、実際上、3秒以上が必要であり、それ以内で乳化が完了するのであれば、超音波乳化分散装置を必要としない。また、10,000秒以上必要であると、工程の負荷が大きく、実際上は、乳化剤の再選択等により乳化分散時間を短くする必要がある。そのため10,000秒以上は必要でない。更に好ましくは10〜2000秒である。
【0154】
高速回転剪断による乳化分散装置としては、「機能性乳化剤・乳化技術の進歩と応用展開」(前出)の255〜256頁に記載されるようなディスパーミキサーや、251頁に記載されるようなホモミキサー、256頁に記載されるようなウルトラミキサー等が使用できる。これらの型式は、乳化分散時の液粘度によって使い分けることができる。これらの高速回転剪断による乳化分散機では、撹拌翼の回転数が重要である。ステーターとのクリアランスは、通常、0.5mm程度で、極端に狭くはできないので、剪断力は主として撹拌翼の周速に依存する。周速が5〜150m/secであれば、本発明の乳化・分散に使用できる。周速が遅い場合、乳化時間を延ばしても小粒径化が達成できない場合が多く、150m/secにするには、モーターの性能を極端に上げる必要がある。更に好ましくは20〜100m/secである。
【0155】
高圧による乳化分散では、LAB2000(エスエムテー社製)等が使用できるが、その乳化・分散能力は、試料に掛けられる圧力に依存する。圧力は9.8×106〜4.9×108Paが好ましい。また、必要に応じて、数回、乳化・分散を行い、目的の粒径を得ることができる。圧力が低すぎる場合、何度、乳化分散を行っても目的の粒径は達成できない場合が多く、一方、圧力が高すぎる場合、装置に大きな負荷が掛かり実用的ではない。
【0156】
これらの乳化・分散装置は単独で用いてもよいが、必要に応じて組み合わせて使用することも可能である。コロイドミルや、フォロージェットミキサー等も、単独では本発明の目的を達成できないが、上記各種分散装置との組合せにより、短時間で乳化・分散を可能にする等、本発明の効果を高めることが可能である。
【0157】
また、本発明の着色微粒子の水系分散体は、上記の装置を用いる他、いわゆる転相乳化によって製造することが可能である。ここで、転相乳化とは、本発明の色素ポリマーまたは本発明の支持ポリマーをエステル、ケトン等の有機溶媒に溶解させ、必要に応じて中和剤を加えて該ポリマー中のカルボキシル基をイオン化し、次いで水相を加えた後、上記有機溶媒を溜去して水系に転相することから成る。転相が完了した後、系を減圧下に加熱することにより、上記エステル、ケトン系溶剤を除去すると共に所定量の水も除去して、所望の濃度を有する本発明に係る着色微粒子の水系分散体を得ることができる。
【0158】
本発明の着色微粒子の体積平均粒子径は5〜500nmが好ましく、20〜200nmが本発明にとって特に好ましい態様である。
【0159】
体積平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)写真の投影面積(少なくとも100粒子以上に対して求める)の平均値から得られた円換算平均粒径を、球形換算して求められる。体積平均粒子径とその標準偏差を求め、標準偏差を体積平均粒子径で割ることで変動係数を求められる。あるいは、動的光散乱法を利用して変動係数を求めることもできる。例えば、大塚電子社製レーザー粒径解析システムやマルバーン社製ゼータサイザーを用いて求めることができる。
【0160】
次に本発明の高沸点有機溶媒について詳述する。
本発明の着色微粒子に高沸点有機溶媒を含有せしめることは好ましい態様の一つである。高沸点有機溶媒の沸点としては、150℃以上であることが必要であり、170℃以上が好ましい。高沸点有機溶媒の誘電率としては、3〜12であることが好ましく、4〜10がより好ましい。ここでいう誘電率とは、25℃における真空中に対する比誘電率を表す。
【0161】
本発明の高沸点有機溶媒は、本発明の色素の1〜1000質量%、好ましくは10〜400質量%を用いる。
【0162】
高沸点有機溶媒を用いることで、驚くべきことに色調が良好となり、分散安定性がより改良されることが判った。
【0163】
高沸点有機溶媒としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記式(S−1)〜(S−9)で表される化合物が特に好ましい。
【0164】
【化51】
【0165】
式(S−1)において、R30、R31及びR32は、各々独立に脂肪族基またはアリール基を表す。a、b及びcは、各々独立に0または1を表す。
【0166】
式(S−2)において、R33及びR34は、各々独立に脂肪族基またはアリール基を表す。R35はハロゲン原子(弗素、塩素、臭素、沃素、以下同じ)、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基またはアリールオキシカルボニル基を表し、dは0〜3の整数を表す。dが2以上の時、複数のR35は同じでも異なってもよい。
【0167】
式(S−3)において、Arはアリール基を表し、eは1〜6の整数を表す。R36はe価の炭化水素基またはエーテル結合で互いに結合した炭化水素基を表す。
【0168】
式(S−4)において、R37は脂肪族基を表し、fは1〜6の整数を表す。R38はf価の炭化水素基またはエーテル結合で互いに結合した炭化水素基を表す。
【0169】
式(S−5)において、gは2〜6の整数を表し、R39はg価の炭化水素基(ただし、アリール基を除く)を表す。R40は脂肪族基またはアリール基を表す。
【0170】
式(S−6)において、R41、R42及びR43は、各々独立に水素原子、脂肪族基またはアリール基を表す。X0は−CO−またはSO2−を表す。R41とR42またはR42とR43とは、互いに結合して環を形成してもよい。
【0171】
式(S−7)において、R44は脂肪族基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アリール基またはシアノ基を表す。R45はハロゲン原子、脂肪族基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表し、hは0〜3の整数を表す。hが2以上の時、複数のR45は同じでもよいし、異なってもよい。
【0172】
式(S−8)において、R46及びR47は、各々独立に脂肪族基またはアリール基を表す。R48はハロゲン原子、脂肪族基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表し、iは0〜4の整数を表す。iが2以上の時、複数のR48は、同じでもよいし、異なってもよい。
【0173】
式(S−9)において、R49及びR50は、各々独立に脂肪族基またはアリール基を表す。jは1または2を表す。
【0174】
以下に、本発明の高沸点有機溶媒の具体例として、式(S−1)で表される化合物としてS−1〜23、式(S−2)で表される化合物としてS−24〜39、式(S−3)で表される化合物としてS−40〜44、式(S−4)で表される化合物としてS−45〜50、式(S−5)で表される化合物としてS−51〜58、式(S−6)で表される化合物としてS−59〜67、式(S−7)で表される化合物としてS−68〜75、式(S−8)で表される化合物としてS−76〜79、及び式(S−9)で表される化合物としてのS−80、81を示す。
【0175】
【化52】
【0176】
【化53】
【0177】
【化54】
【0178】
【化55】
【0179】
【化56】
【0180】
【化57】
【0181】
高沸点有機溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、例えばトリクレジルホスフェートとジブチルフタレート、トリオクチルホスフェートとジ(2−エチルヘキシル)セバケート、ジブチルフタレートとポリ(N−t−ブチルアクリルアミド)の併用等が挙げられる。
【0182】
高沸点有機溶媒の上記以外の化合物例としては、例えば米国特許2,322,027号、同2,533,514号、同2,772,163号、同2,835,579号、同3,594,171号、同3,676,137号、同3,689,271号、同3,700,454号、同3,748,141号、同3,764,336号、同3,765,897号、同3,912,515号、同3,936,303号、同4,004,928号、同4,080,209号、同4,127,413号、同4,193,802号、同4,207,393号、同4,220,711号、同4,239,851号、同4,278,757号、同4,353,979号、同4,363,873号、同4,430,421号、同4,430,422号、同4,464,464号、同4,483,918号、同4,540,657号、同4,684,606号、同4,728,599号、同4,745,049号、同4,935,321号、同5,013,639号、欧州特許276,319A号、同286,253A号、同289,820A号、同309,158A号、同309,159A号、同309,160A号、同509,311A号、同510,576A号、東独特許147,009号、同157,147号、同159,573号、同225,240A号、英国特許2,091,124A号、特開昭48−47335号、同50−26530号、同51−25133号、同51−26036号、同51−27921号、同51−27922号、同51−149028号、同52−46816号、同53−1520号、同53−1521号、同53−15127号、同53−146622号、同54−91325号、同54−106228号、同54−118246号、同55−59464号、同56−64333号、同56−81836号、同59−204041号、同61−84641号、同62−118345号、同62−247364号、同63−167357号、同63−214744号、同63−301941号、同64−9452号、同64−9454号、同64−68745号、特開平1−101543号、同1−102454号、同2−792号、同2−4239号、同2−43541号、同4−29237号、同4−30165号、同4−232946号、同4−346338号等に記載されている。
【0183】
次に、請求項1〜6のいずれか1項に記載の着色微粒子をコアとし、この周りにさらにシェルを形成した請求項7に記載の着色微粒子(以下コア/シェル着色微粒子と略称する)の水系分散体について詳述する。
【0184】
本発明において、着色微粒子は、(1)微粒子全体が単一組成であってシェルを有さない場合(コアのみの場合と称することもできる)と、(2)微粒子が第1の組成を有するコアと、コアが第2の組成を有するシェルで被覆されたコア/シェル構造である場合とが考えられるが、水系インク、特にインクジェットインクの性能上の観点から、コア/シェル構造であることが好ましい。
【0185】
我々は鋭意研究の結果、ポリマーコアが主として色素ポリマーを包含し、その堅牢性や色調を保持するのに寄与し、ポリマーシェルは着色微粒子の水系分散体及び該分散体を含有するインクジェット記録用水系インクの安定性を増すことに寄与し、更に、記録メディア上での色素の定着を促進し、凝集を防止し、かつ画質の向上に寄与することを見い出した。また、色素の堅牢性、色調の保持にも貢献することを併せて見い出した。
【0186】
コアとなるポリマー粒子に含有される支持ポリマーとしては、官能基としてアセタールを含有するポリマーが好ましい態様の一つである。官能基としてアセタールを含有するポリマーの具体例はポリビニルブチラール樹脂である。これらは、市販品を入手することもでき、例えば電気化学工業(株)製の#2000−L,#3000−1,#3000−2,#3000−4,#3000−K,#4000−1,#4000−2,#5000−A,#6000−C,#6000−EP、または積水化学工業(株)製のBL−1,BL−1H,BL−2,BL−2H,BL−5,BL−10,BL−S,BL−SH,BX−10,BX−L,BM−1,BM−2,BM−5,BM−S,BM−SH,BH−3,BH−6,BH−S,BX−1,BX−3,BX−5,KS−10,KS−1,KS−3,KS−5、及び三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製のユピタールシリーズ等がある。
【0187】
本発明においては、シェルに用いられるポリマー量が、総ポリマー量の5〜95質量%であることが好ましい。色素ポリマーの総量は、総ポリマー量に対して20〜1,000質量%であることが好ましい。
【0188】
本発明のコア/シェル構造を有する着色微粒子の水系分散体は、最初に色素ポリマーを含有するポリマーコアを作製した後、ポリマーシェルを設ける方法と、コアとシェルを同時に設ける手法等が好ましく用いられる。
【0189】
(コア作製後にシェルを設ける手法)
ポリマーコアは各種の方法で調製することができる。例えば、モノマー中に色素ポリマーを溶解させ、水中で乳化後、重合により支持ポリマー中に染料を封入する方法、支持ポリマーと色素ポリマーを有機溶媒中に溶解し、水中で乳化後、有機溶媒を除去する方法、色素ポリマーに多孔質ポリマー粒子を添加し、色素ポリマーを粒子に吸着、含浸させる方法、色素モノマーを有機溶媒中に溶解し、水中で乳化後、重合して本発明の色素ポリマーからなる着色微粒子を形成し、その後有機溶媒を除去する方法、及び色素モノマーと支持ポリマーを有機溶媒中に溶解し、水中で乳化後、重合して本発明の色素ポリマー及び支持ポリマーからなる着色微粒子を形成し、その後有機溶媒を除去する方法等がある。コアの作製方法として好ましくは色素モノマーを有機溶媒中に溶解し、水中で乳化後、重合して本発明の色素ポリマーからなる着色微粒子を形成し、その後有機溶媒を除去する方法、及び色素モノマーと支持ポリマーを有機溶媒中に溶解し、水中で乳化後、重合して本発明の色素ポリマー及び支持ポリマーからなる着色微粒子を形成し、その後有機溶媒を除去する方法が挙げられる。本方法により安定性が高く、好ましい体積平均粒径を有し、色濃度の高いポリマーコアを得ることができる。
【0190】
それにポリマーシェルを設ける手法としては、ポリマーコアの水系分散物に水溶性のポリマー分散剤を添加し吸着させる手法、モノマーを徐々に滴下し、重合と同時にコア表面に沈着させる方法、または、有機溶媒に溶解したポリマーを徐々に滴下し、析出と同時にコア表面に吸着させる方法等がある。あるいは、顔料をポリマーと混練し、その後、水系で分散してポリマー被覆顔料コアを作製し、更に上記の方法によりシェル化を行うことも可能である。
【0191】
(コアとシェルを同時に設ける手法)
コアとなる色素ポリマーと支持ポリマーを、重合後にシェルとなるモノマーに溶解または分散し、水中で懸濁後重合する手法や、その液を活性剤ミセルを含有する水中に徐々に滴下しながら乳化重合していく手法等がある。モノマーがコア、ポリマーがシェルとなってもよい。あるいは、重合後にコアとなり得るモノマーとシェルとなり得るモノマー混合液に、色素モノマーまたは色素ポリマーを溶解または分散し、懸濁重合あるいは乳化重合する手法がある。
【0192】
本発明のコア/シェル構造を有する着色微粒子の体積平均粒子径は5〜500nmが好ましく、20〜200nmが本発明にとって特に好ましい態様である。
【0193】
望ましい粒子径を得るには、処方の最適化と適当な乳化法の選定が重要である。処方は用いる色素ポリマー、支持ポリマーによって異なるが、水中の分散物であるので、コアを構成するポリマーよりシェルを構成するポリマーの方が一般的に親水性が高いことが必要である。また、シェルに含有される色素ポリマーは、前記のようにコアに含有される色素ポリマー量より少ないことが好ましく、色素ポリマー自身もシェルを構成するポリマーよりも親水性が低いことが必要である。親水性、疎水性は、例えば溶解性パラメータ(SP)を用いて見積もることができる。溶解性パラメータは、その値や、測定、計算法が「POLYMER HANDBOOK」第4版(JOHN WILEY & SONS,INC.)675頁からの記載が参考になる。
【0194】
また、本発明のコア/シェル構造を有する着色微粒子で用いられる支持ポリマーは、その数平均分子量が500〜100,000、特に1,000〜30,000であることが、印刷後の製膜性、その耐久性及び分散物の形成性の点から好ましい。支持ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、各種用いることが可能であるが、用いる支持ポリマーのうち少なくとも1種以上はTgが10℃以上であるものを用いる方が好ましい。
【0195】
次に、本発明のインクジェット記録用水系インクについて詳述する。
本発明のインクジェット記録用水系インクは、本発明の着色微粒子の水系分散体を含んでなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、例えば乾燥防止剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防黴剤、pH調節剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知添加剤が挙げられる。
【0196】
乾燥防止剤は、インクジェット記録方法に用いるノズルのインク噴射口において該インクが乾燥することによる目詰まりを防止する目的で好適に使用される。乾燥防止剤としては、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶媒が好ましい。乾燥防止剤の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,3−ヘキサトリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類;エチレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(またはブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類;スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物;ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物;尿素誘導体等が挙げらる。これらの内、グリセリンジエチレングリコール等の多価アルコールがより好ましい。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してよい。これらの乾燥防止剤は、インク中に10〜50質量部含有することが好ましい。
【0197】
浸透促進剤としては、例えばエタノール、i−プロパノール、ブタノール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール等のアルコール類やラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムや乳化分散用界面活性剤としてのノニオン性界面活性剤等が挙げられる。これらは、インクジェット用インク中に10〜30質量%添加されれば十分な効果があり、印字の滲み、紙抜け(プリントスルー)を起こさない範囲で添加される。
【0198】
紫外線吸収剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用され、例えば特開昭58−185677号、同61−190537号、特開平2−782号、同5−197075号、同9−34057号等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号、特開平5−194483号、米国特許3,214,463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号、同56−21141号、特開平10−88106号等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号、同8−53427号、同8−239368号、同10−182621号、特表平8−501291号等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャ(RD)24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンゾオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤等も挙げられる。
【0199】
酸化防止剤は画像の保存性を向上させる目的で使用され、例えば各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤が好適に挙げられる。有機系の褪色防止剤としては、例えばハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、複素環類等が挙げられる。金属錯体系の褪色防止剤としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体等が挙げられ、具体的には、RD7643のVIIのI〜J項、同15162、同18716の650頁左欄、同36544の527頁、同307105の872頁、同15162に引用された特許に記載された化合物や、特開昭62−215272号の127〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物等が好適に挙げられる。
【0200】
防黴剤としては、例えばデヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン及びその塩等が挙げられる。これらはインク中に0.02〜1.00質量%使用するのが好ましい。
【0201】
pH調整剤としては、例えば水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩、酢酸カリウム、珪酸ナトリウム、燐酸二ナトリウム等の無機塩基、N−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機塩基が挙げられる。
【0202】
表面張力調整剤としては、例えばノニオン、カチオンまたはアニオン界面活性剤が挙げられる。例えば上記の乳化分散に用いる界面活性剤を用いることができるが、ここで用いられる界面活性剤は25℃での水に対する溶解度が0.5%以上のものが好ましい。
【0203】
分散剤及び分散安定剤としては、上述のカチオン、アニオン、ノニオン系の各種界面活性剤等が好適に挙げられる。前記消泡剤としては、弗素系、シリコーン系化合物やEDTA(エチレンジアミン四酢酸)に代表されるキレート剤等が挙げられる。
【0204】
なお、インクジェット用インクのpHとしては、保存安定性向上の点で6〜10が好ましく、7〜10がより好ましい。また、インクジェット用インクの表面張力としては20〜60mN/mが好ましく、25〜45mN/mがより好ましい。インクジェット用インクの粘度としては30mPa・s以下が好ましく、20mPa・s以下がより好ましい。
【0205】
本発明の着色微粒子は、総固形分として本発明のインクジェット記録用水系インク中に0.5〜50質量%配合されることが好ましく、0.5〜30質量%配合されることが更に好ましい。総固形分が0.5質量%に満たないと色素の保護能が十分でなく、50質量%を超えると分散物のインクとしての保存安定性が低下したり、ノズル先端部でのインク蒸発に伴うインクの増粘や分散物の凝集が起こることによりプリンタヘッドの目詰りが起こる場合があるので、上記範囲内とすることが好ましい。
【0206】
次に、本発明のインクジェット記録用水系インクの製造方法について詳述する。
【0207】
本発明の水系インクの製造方法においては、低沸点有機溶媒を併用することが好ましい態様の一つである。低沸点有機溶媒とは、常圧で沸点150℃未満(通常、約30℃以上)の有機溶媒であり、例えばアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノ−ル、1−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール系溶媒;クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤;ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル等のエステル系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコール系溶媒等が挙げられる。好ましくは酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−i−プロピル等のエステル系溶媒である。低沸点有機溶媒は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、水との混合溶剤であってもよい。
【0208】
我々は、低沸点有機溶媒を用いることにより、本発明のインクジェット記録用水系インクの停滞安定性がより向上し、より好ましい色相と印字後の色素画像の高い堅牢性が得られることを見い出した。
【0209】
低沸点有機溶媒の使用量としては、本発明の効果を害しない範囲内であれば特に制限はないが、本発明の色素ポリマー100質量部に対し10〜2000質量部が好ましく、100〜1000質量部がより好ましい。有機溶媒の使用量が10質量部未満であると、インクジェット記録用水系インクの安定な製造が困難となる傾向にあり、2000質量部を超えると、前記有機溶媒を除去するための脱溶媒と濃縮の工程が必須かつ煩雑となり、配合設計上余裕がなくなる傾向がある。
【0210】
本発明の水系インクの製造方法においては、支持ポリマー及び色素ポリマーまたは色素ポリマー単独を低沸点有機溶媒中に溶解させた油層を水性媒体中に乳化分散し、その後、低沸点有機溶媒を除去する工程を経ることが好ましい態様の一つである。乳化分散法としては、ポリマーと色素を含有する低沸点有機溶媒に水を添加すること、及び水中に該有機溶媒を添加すること、の何れかによって該有機溶媒を乳化させ微粒子化させる方法がより好ましい。
【0211】
低沸点有機溶媒は、水に対する溶解度が10質量%以下である場合、あるいは有機溶媒の蒸気圧が水より大きい場合には、本発明の水系インクの安定性の点から除去されるのが好ましい態様の一つである。溶媒の除去は、常圧〜減圧条件において10〜100℃で行うことができ、常圧条件において40〜100℃、あるいは減圧条件下において10〜50℃で行うのが好ましい。
【0212】
本発明のインクジェット記録用水系インクは、例えば一般の万年筆、ボールペン、サインペン等の筆記具用のインクとしても使用可能である。本発明の水系インクを乾燥し、微粒の粉体を得ることもできる。得られた粉体は、電子写真のトナー等にも使用可能である。
【0213】
【実施例】
実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかし、本発明はかかる実施例のみに限定されるものでない。
【0214】
実施例1
〈着色微粒子分散物(A−1)の調製〉
本発明の色素ポリマー(I−1)10g及び酢酸エチル150gをセパラブルフラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換後、攪拌して上記色素ポリマーを完全溶解させた。引き続き、更にラウリル硫酸ナトリウム3gを含む水溶液150gを滴下して撹拌した後、超音波分散機(UH−150型、株式会社エスエムテー製)を用いて300秒間乳化した。その後、減圧下で酢酸エチルを除去し、着色微粒子分散物(A−1)を調製した。
【0215】
〈着色微粒子分散物(A−2)の調製〉
本発明の色素ポリマー(I−2)10g、酢酸エチル100g及びイソプロピルアルコール50gをセパラブルフラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換後、撹拌して上記色素ポリマーを完全溶解させた。引き続き、更にラウリル硫酸ナトリウム3gを含む水溶液150gを滴下して撹拌した後、高速撹拌型乳化分散機TKロボミックスAG−03型(特殊機化工業社製)を用い、ステーターとタービンを有する撹拌部において15000rpmで20分間乳化した。その後、減圧下で酢酸エチル及びイソプロピルアルコールを除去し、着色微粒子分散物(A−2)を調製した。
【0216】
〈着色微粒子分散物(A−3)の調製〉
着色微粒子分散物(A−1)の調製において、本発明の色素ポリマー(I−3)10gを用いた以外は、着色微粒子分散物(A−1)と同様の操作により着色微粒子分散物(A−3)を得た。
【0217】
〈着色微粒子分散物(A−4)〜(A−20)の調製〉
色素ポリマーを表4に示すように変化させて、着色微粒子分散物(A−2)の調製法と同様にして着色微粒子分散物(A−6)、(A−12)、(A−20)を、それ以外は着色微粒子分散物(A−1)の調製法と同様にして着色微粒子分散物を調製した。
【0218】
〈着色微粒子分散物(B−1)〜(B−5)の調製〉
支持ポリマーとしてPA−14(sec−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体)15g、比較の色素(H−1)10g及び酢酸エチル150gをセパラブルフラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換後、攪拌して上記ポリマー及び染料を完全溶解させた。引き続き、更にラウリル硫酸ナトリウム3gを含む水溶液150gを滴下して撹拌した後、超音波分散機(UH−150型、株式会社エスエムテー製)を用いて300秒間乳化した。その後、減圧下で酢酸エチルを除去し、着色微粒子分散物(B−1)を調製した。
【0219】
また、支持ポリマー及び比較の色素を表4に示すように変化させて、着色微粒子分散物(B−1)の調製法と同様にして比較の分散物(B−2)〜(B−5)を調製した。表4に示す粒子径は、大塚電子(株)製レーザー粒径解析システムを用いて行った体積平均粒子径である。以上の結果をまとめて表4に示す。
【0220】
【化58】
【0221】
【化59】
【0222】
【表4】
【0223】
次に、得られた着色微粒子分散物を150μmの厚さを有する合成紙(ユポFPG−150:王子油化社製)上に、それぞれウェット膜厚60μmで塗布・乾燥し、塗布試料を作製した。
【0224】
これら塗布試料について下記性能を評価した。
《耐光性》
キセノンフェードメーターにて120時間曝射した後の、試料の未曝射試料からの可視領域の極大吸収波長における反射スペクトル濃度の低下率を評価した。
【0225】
耐光性(%)=(曝射試料の極大吸収波長濃度/未曝射試料の極大吸収波長濃度)×100
に従って求め、以下の評価基準に基づいて4段階評価した。○以上であれば実用上問題ない。
【0226】
◎:耐光性が95%以上
○:耐光性が90%以上、95%未満
△:耐光性が80%以上、90%未満
×:耐光性が80%未満
《色調》
各塗布試料について、以下の評価基準に基づいて3段階目視評価を行った。○以上であることが望ましい。
【0227】
○:鮮やかな色
△:くすんだ色
×:濁った色
評価結果を表5に示す。
【0228】
【表5】
【0229】
〈インクの作製〉
前記調製した着色微粒子分散物(A−1)〜(A−20)及び(B−1)〜(B−5)をそれぞれ、染料の含有量が仕上がりインクとして、2質量%になる量を秤量し、エチレングリコール15質量%、グリセリン15質量%、サーフィノール465(日信化学工業社製)0.3質量%、残りが純水になるように調製し、更に2μmのメンブランフィルターによって濾過し、ゴミ及び粗大粒子を除去して表6に示すようなインクジェット用インク(I−1)〜(I−20)及び比較のインク(IH−1)〜(IH−5)を得た。
【0230】
各インクをエプソン(株)製インクジェットプリンター(PM800)を用いてコニカフォトジェットペーパーPhotolikeQP光沢紙(コニカ(株)製)にプリントし、得られた画像の耐光性、色調、耐水性について評価した。耐光性、色調については前記と同じ方法で、耐水性については以下の方法で評価した。
【0231】
《耐水性》
マイクロピペットにて、得られた各プリント上に水を滴下し、1分後指で擦ってプリントに乱れが生じたか否かを以下の評価基準に基づいて3段階目視にて判定した。
【0232】
◎:実質的に全く変化が見られない
○:乱れていても画像が識別できる(許容レベル)
×:識別できないほどに画像が乱れている
評価結果を表6に示す。
【0233】
【表6】
【0234】
表5及び表6で示されるように、本発明の着色微粒子分散物、インクジェット記録用水系インクは耐光性及び色調に優れているといえる。
【0235】
実施例2
〈着色微粒子分散物(A−50)の調製〉
支持ポリマーとして、ポリビニルブチラール(積水化学(株)製BL−S、平均重合度350)15g、本発明の色素ポリマー(化合物例I−9)10g及び酢酸エチル150gの混合液をセパラブルフラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換後、攪拌して上記ポリマー及び色素を完全溶解させた。引き続き、更にラウリル硫酸ナトリウム3gを含む水溶液150gを滴下して撹拌した後、超音波分散機(UH−150型、株式会社エスエムテー製)を用いて300秒間乳化した。その後、減圧下で酢酸エチルを除去し、着色微粒子分散物(A−50)を調製した。
【0236】
〈着色微粒子分散物(A−51)の調製〉
高沸点有機溶媒(S−2)10g及び本発明の色素ポリマー(化合物例I−3)10g、及びイソプロピルアルコール40g、tert−ブタノール60gの混合液をセパラブルフラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換後、撹拌して上記高沸点有機溶媒及び色素を完全溶解させた。引き続き、更にラウリル硫酸ナトリウム3gを含む水溶液150gを滴下して撹拌した後、高速撹拌型乳化分散機TKロボミックスAG−03型(特殊機化工業(株)製)を用い、ステーターとタービンを有する撹拌部において15000rpmで20分間乳化した。その後、減圧下でイソプロピルアルコール及びtert−ブタノールを除去し、着色微粒子分散物(A−51)を調製した。
【0237】
〈着色微粒子分散物(A−52)の調製〉
支持ポリマーとして、ポリビニルブチラール(積水化学(株)製BL−S、平均重合度350)10g、本発明の色素ポリマー(化合物例I−18)10g及び酢酸エチル150g、及び高沸点有機溶媒(S−2)5gの混合液をセパラブルフラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換後、攪拌して上記ポリマー及び色素を完全溶解させた。引き続き、更にラウリル硫酸ナトリウム3gを含む水溶液150gを滴下して撹拌した後、超音波分散機(UH−150型、(株)エスエムテー製)を用いて300秒間乳化した。その後、減圧下で酢酸エチルを除去し、着色微粒子分散物(A−52)を調製した。
【0238】
〈着色微粒子分散物(A−53)〜(A−80)の調製〉
支持ポリマー、色素ポリマー、高沸点有機溶媒、及びその比率(質量比)を表7に示すように変化させて、着色微粒子分散物(A−50)の調製法と同様にして着色微粒子分散物(A−53)〜(A−60)を、着色微粒子分散物(A−51)の調製法と同様にして着色微粒子分散物(A−61)〜(A−68)を、着色微粒子分散物(A−52)の調製法と同様にして着色微粒子分散物(A−69)〜(A−80)を調製した。
【0239】
また、支持ポリマー及び比較の色素ポリマーを表7に示すように用いて、着色微粒子分散物(A−52)の調製法と同様にして比較の着色微粒子分散物(B−6)〜(B−10)を調製した。
【0240】
表7に示す粒子径は、大塚電子(株)製レーザー粒径解析システムを用いて行った体積平均粒子径である。以上の結果をまとめて表7に示す。
【0241】
【化60】
【0242】
【表7】
【0243】
〈インクの作製〉
前記調製した着色微粒子分散物を、色素の含有量が仕上がりインクとして、2質量%になる量に秤量し、エチレングリコール15%、グリセリン15%、サーフィノール465(日信化学工業(株)製)0.3%、残りが純水になるように調整し、更に2μmのメンブランフィルターによって濾過し、ゴミ及び粗大粒子を除去して表8に示すようなインクジェット用インク(I−50)〜(I−80)及び比較インク(IH−6)〜(IH−10)を得た。
【0244】
得られたインクの分散安定性について以下に示す方法で評価した。
《分散安定性》
インクを60℃で7日間保管後、下記の通り評価した。○以上であれば実用上問題ない。
【0245】
◎:粒子径変化率が5%未満
○:粒子径変化率が5%乃至10%未満
×:10%以上
また、各インクをエプソン(株)製インクジェットプリンター(PM−800)を用いてコニカフォトジェットペーパーPhotolikeQP光沢紙(コニカ(株)製)にプリントし、得られた画像の色調ついて評価した。色調については前記実施例1と同様に評価した。上記評価結果をまとめて表8に示す。
【0246】
【表8】
【0247】
表8から本発明のインクジェット記録用水系インクは、安定した分散性を示し、色調にも優れていることが判る。
【0248】
実施例3
〈着色微粒子分散物(A−100)の調製〉
本発明の色素ポリマー(化合物例I−6)15g、酢酸エチル150gをセパラブルフラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換後、撹拌して上記ポリマー及び色素を完全に溶解させた。ラウリル硫酸ナトリウム6gを含む水溶液200gを滴下後、超音波分散機(UH−150型、(株)エスエムテー製)を用いて300秒間乳化した。その後、減圧下で酢酸エチルを除去し、色素を含浸する着色微粒子分散物を得た。この分散液に0.45gの過硫酸カリウムを加えて溶解し、ヒーターを付して70℃に加温後、更に6gのスチレン及び3gの2−ヒドロキシエチルメタクリレートの混合液を滴下しながら7時間反応させてコアシェル型の着色微粒子を得た。平均粒子径は81nmであった。なお、粒子径は大塚電子(株)製レーザー粒径解析システムを用いて測定した体積平均粒子径である。
【0249】
〈着色微粒子分散物(A−101)の調製〉
支持ポリマーとして、15gのポリビニルブチラール(積水化学(株)製BL−S、平均重合度350)、本発明の色素ポリマー(化合物例I−3)15g、酢酸エチル150gをセパラブルフラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換後、撹拌して支持ポリマー及び色素ポリマーを完全に溶解させた。ラウリル硫酸ナトリウム6gを含む水溶液200gを滴下後、超音波分散機(UH−150型、(株)エスエムテー製)を用いて300秒間乳化した。その後、減圧下で酢酸エチルを除去し、色素ポリマーを含浸する着色微粒子分散物を得た。この分散液に0.45gの過硫酸カリウムを加えて溶解し、ヒーターを付して70℃に加温後、更に6gのスチレン及び3gのポリエチレングリコールメタクリレートの混合液を滴下しながら7時間反応させてコアシェル型の着色微粒子を得た。平均粒子径は91nmであった。なお、粒子径は大塚電子(株)製レーザー粒径解析システムを用いて測定した体積平均粒子径である。
【0250】
〈着色微粒子分散物(A−102)の調製〉
ポリウレタン(モートンケミカル社製CA118)8g、ポリビニルブチラール(積水化学(株)製BL−S、平均重合度350)2g、ジョンクリル67(ジョンソンポリマー(株)製)5g、本発明の色素ポリマー(化合物例I−10)10g及び酢酸エチル150gをセパラブルフラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換後、攪拌して支持ポリマー及び色素ポリマーを完全溶解させた。引き続き、更に、ジョンクリル67を中和するのに必要量の水酸化ナトリウム及びラウリル硫酸ナトリウム3gを含む水溶液150gを滴下して撹拌した後、超音波分散機(UH−150型、(株)エスエムテー製)を用いて70℃、300秒間乳化した。その後、減圧下で酢酸エチルを除去し、色素を含浸する着色微粒子分散物を得た。(シェルポリマー:ジョンクリル、25%)
以下、表中シェルとして添加したポリマーを下記記号で示す。
【0251】
P:スチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート
Q:スチレン/ポリエチレングリコールメタクリレート
R:ジョンクリル67
次いで、シェルポリマーとしてPを用いたものはA−100と、Qを用いたものはA−101と、Rを用いたものはA−102と同様の方法を用い、またコアとして用いた着色微粒子分散物の調製に用いた支持ポリマー、色素ポリマー、シェルのポリマーの種類及び比率(質量比)を表9に記載のように変化させてコア/シェル構造を有する着色微粒子分散物(A−103)〜(A−130)及び(B−11)〜(B−15)を調製した。なお、コアの支持ポリマー、色素及びシェルを構成するポリマーの質量比は各分散物について表9に示した。
【0252】
【表9】
【0253】
〈インクの作製〉
前記調製した着色微粒子分散物(A−100)〜(A−130)及び(B−11)〜(B−15)をそれぞれ色素の含有量が仕上がりインクとして、2質量%になる量を秤量し、エチレングリコール15%、グリセリン15%、サーフィノール465(日信化学工業(株)製)0.3%、残りが純水になるように調整し、更に2μmのメンブランフィルターによって濾過し、ゴミ及び粗大粒子を除去して表10に示すようなインクジェット用インク(I−100)〜(I−130)及び比較インク(IH−11)〜(IH−15)を得た。
【0254】
インクの分散安定性について、前記と同様の試験を行ったほか、各インクをエプソン(株)製インクジェットプリンター(PM−800)を用いてコニカフォトジェットペーパーPhotolikeQP光沢紙(コニカ(株)製)にプリントし、得られた画像の色調、耐光性について前記と同様に評価し、また吐出安定性についても評価した。
【0255】
《吐出安定性》
プリンターで連続射出する際、下記の通り評価した。
【0256】
○:10分以上ノズル欠が出ない
×:上記未満でノズル欠がある
評価の結果を表10に示す。
【0257】
【表10】
【0258】
表10から本発明のインクジェット用インクは、画像の色調、耐光性がよく、安定した分散性を示し、インク吐出性にも優れていることが分かる。
【0259】
【発明の効果】
本発明により、保存安定性に優れ、色画像の耐光性が高く、高濃度で、良好な色再現性のための色調に優れた着色微粒子の水系分散体、これを用いた色再現性及び安定性に優れたインクジェット記録用水系インク及び着色微粒子の水系分散体の製造方法を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、着色微粒子の水系分散体、インクジェット記録用水系インク、及び着色微粒子の水系分散体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、プリンター、印刷機、マーカー、筆記具等に用いられる記録材料、インキング材料にも脱溶剤化、水性化が求められてきている。特にインクジェット記録に用いられる水性の記録材料としては水溶性染料の水溶液を主体としたもの、顔料の微分散体を主体としたものが広く用いられている。
【0003】
水溶性染料を用いた水性インクとしては主として酸性染料、直接染料、一部の食品用染料等に分類される水溶性染料の水溶液に、保湿剤としてグリコール類、アルカノールアミン類、表面張力の調整のための界面活性剤、更に必要に応じて増粘剤等を添加したものが用いられている。これら水溶性染料を用いた水性インクは、筆先、あるいはプリンターでの目詰まりに対する高い信頼性から、最も一般的に用いられているが、記録紙上でにじみやすく、使用用途の限定、記録品位の低下を余儀なくされている。即ち、記録紙に単に浸透し、乾燥固着しているだけの水溶性染料は「染着」しているとはいい難く、耐候堅牢度は非常に低い。
【0004】
また、水溶性染料を用いた水性インクの耐水性、耐光堅牢性が低いという問題を解決するために油溶性染料ないし疎水性染料により水分散性樹脂を着色する提案がインクジェット記録用インクとしてなされている。例えば特開昭55−139471号、同58−45272号、特開平3−250069号、同8−253720号、同8−92513号、同8−183920号、特開2001−11347等には油溶性染料によって染色された乳化重合粒子または分散した重合粒子を用いたインクが提案されている。
【0005】
しかし、上記重合粒子を用いたインクは粒子同士の凝集、沈降が起こりやすくインクの安定性に劣っていた。また、印字した場合の色相に難点があり、印字濃度も低いという欠点を有していた。
【0006】
一方、特開2001−181547、同2001−271000、同2001−271002、同2001−294770、同2001−294771、同2001−261990には特定の油溶性色素と油溶性ポリマーとを含む着色微粒子を水系媒体に分散してなるインクが開示されている。
【0007】
これらのインクは粒子同士の凝集、沈降、色相劣化、低濃度といった上記インクの欠点に対して改良が見られているが、そのレベルは十分とは言いがたい。また印字した画像の耐光性の点では全く不充分であり大幅な改良が望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、保存安定性に優れ、色画像の耐光性が高く、高濃度で、良好な色再現性のための色調に優れた着色微粒子の水系分散体、これを用いた色再現性及び安定性に優れたインクジェット記録用水系インク及び着色微粒子の水系分散体の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、以下の構成によって上記課題が達成されることを見出した。
【0010】
1.前記一般式(1)で表されるモノマーから誘導される単独重合体または共重合体を含有することを特徴とする着色微粒子の水系分散体。
【0011】
2.前記一般式(2)で表されるモノマーから誘導される単独重合体または共重合体を含有することを特徴とする着色微粒子の水系分散体。
【0012】
3.前記一般式(3)で表される化合物と水酸基を含有するポリマーとを反応させることにより得られる高分子化合物を含有することを特徴とする着色微粒子の水系分散体。
【0013】
4.Dで表される色素残基が前記一般式(4)で表されることを特徴とする上記1〜3のいずれか1項に記載の着色微粒子の水系分散体。
【0014】
5.高沸点有機溶媒を含有することを特徴とする上記1〜4のいずれか1項に記載の着色微粒子の水系分散体。
【0015】
6.支持ポリマーを含有することを特徴とする上記1〜5のいずれか1項に記載の着色微粒子の水系分散体。
【0016】
7.上記1〜6のいずれか1項に記載の着色微粒子の水系分散体に含まれる着色微粒子をコアとし、この周りにシェルを形成することを特徴とする着色微粒子の水系分散体。
【0017】
8.上記1〜7のいずれか1項に記載の着色微粒子の水系分散体を含有することを特徴とするインクジェット記録用水系インク。
【0018】
9.低沸点有機溶媒を含む油状物を水系媒体中に乳化分散し、その後該低沸点有機溶媒を除去する工程を経て製造することを特徴とする着色微粒子の水系分散体の製造方法。
【0019】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
一般式(1)で表されるモノマーについて説明する。
【0020】
一般式(1)において、Dは色素残基を表す。色素残基とはそれ自体で可視光から赤外光の何れかの領域において分光吸収を有しているものをいい、例えばイエロー、マゼンタ、シアンの各染料残基が挙げられる。
【0021】
イエロー染料残基としては任意のものを使用することができ、イエロー染料としては、例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、開鎖型活性メチレン化合物類を有するアリールまたはヘテロ環アゾ染料;例えばカップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物類を有するアゾメチン染料;例えばベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;例えばナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料等があり、これ以外の染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。
【0022】
マゼンタ染料残基としては任意のものを使用することができ、マゼンタ染料として、例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールまたはヘテロ環アゾ染料;例えばカップリング成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;例えばアリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料、オキソノール染料のようなメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料、例えばナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドン等のようなキノン系染料、例えばジオキサジン染料等のような縮合多環系染料等を挙げることができる。
【0023】
シアン染料残基としては任意のものを使用することができ、シアン染料として、例えばインドアニリン染料、インドフェノール染料あるいはカップリング成分としてピロロトリアゾール類、ピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン染料等;シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料のようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料;例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールまたはヘテリロ環アゾ染料、インジゴ・チオインジゴ染料等を挙げることができる。
【0024】
前記の各染料残基は、クロモフォアの一部が解離して初めてイエロー、マゼンタ、シアンの各色を呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
【0025】
染料残基としては写真材料におけるカプラー及び現像主薬から生成するアゾメチン色素残基であることが特に好ましい。
【0026】
一般式(1)において、L1は2価の連結基を表すが、具体的には置換基を有してもよいアルキレン、アリーレン基、−SO2−、−CO−、−O−、−NR11−、−NR12CO−、−CONR13−、−OCO−、−COO−、−NR14SO2−、−SO2NR15及びこれら任意の2種以上の組み合わせからなる基が挙げられる。R11〜R15は水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。nは0または1を表すが、好ましくは1を表す。Rは水素原子、塩素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表すが、炭素数1〜4のアルキル基としては具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル等の各基が挙げられる。Rとしては水素原子、メチル基が特に好ましい。
【0027】
一般式(1)で表されるモノマーから誘導される単独重合体とは、具体的には一般式(1)で表されるモノマーのみを用いたラジカル重合体を表す。
【0028】
一般式(1)で表されるモノマーから誘導される共重合体とは、具体的には一般式(1)で表されるモノマー及び一般式(1)とは異なるビニルモノマーの少なくとも1種とのラジカル共重合体を表す。ビニルモノマーとしては、ビニルエステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、オレフィン類が好ましく用いられる。一般式(1)で表されるモノマーの共重合体中での含有単位(質量%)は任意であるが、好ましくは共重合体全体に対して20〜90質量%モルの範囲である。
【0029】
一般式(1)で表されるモノマーから誘導される単独重合体または共重合体の好ましい数平均分子量は1000〜100000であり、特に好ましくは3000〜20000である。
【0030】
次に一般式(2)で表されるモノマーについて説明する。
一般式(2)において、Dは色素残基を表すが、これは前述の一般式(1)のDで表される色素残基と同義である。L2及びL3は2価の連結基を表すが、L2とL3は同じでも異なっていてもよく、且つ2価の連結基は前述のL1で表される2価の連結基と同義である。X1及びX2は各々独立にカルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基、イソシアナト基またはエポキシ基を表すが、X1とX2は同じであることが好ましい。X1とX2として好ましくはカルボキシル基またはイソシアナト基である。nは0または1を表すが、好ましくは1を表す。
【0031】
一般式(2)で表されるモノマーから誘導される単独重合体とは、具体的には一般式(2)で表されるモノマーのみを用いた重縮合体または重付加体を表す。
【0032】
一般式(2)で表されるモノマーから誘導される共重合体とは、具体的には一般式(2)で表されるモノマーと一般式(2)で表されるモノマーとは異なる別のモノマーの少なくとも1種との重縮合体または重付加体を表す。
【0033】
一般式(2)で表されるモノマーと重縮合または重付加体を形成するモノマーの具体的な化合物としては、一般式(2)と反応する置換基を2個有しているものが好ましく、ジカルボン酸化合物及びその酸クロリド、ジオール化合物、ジイソシアネート化合物、ジアミン化合物、ジエポキシ化合物(例えば1,3−ブタジエンジエポキシド、1,7−オクタジエンジエポキサイド、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル)等が挙げられる。一般式(2)で表されるモノマーの共重合体中での含有単位(質量%)は任意であるが、好ましくは共重合体全体に対して50質量%〜90質量%モルの範囲である。
【0034】
一般式(2)で表されるモノマーから誘導される単独重合体または共重合体の好ましい数平均分子量は1000〜100000であり、特に好ましくは3000〜20000である。
【0035】
次に一般式(3)で表される化合物について説明する。
一般式(3)において、Dは色素残基を表すが、色素残基は前述の一般式(1)のDで表される色素残基と同義である。L5は2価の連結基を表すが、前述のL1で表される2価の連結基と同義である。X5はカルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基、イソシアナト基またはエポキシ基を表すが、好ましくはカルボキシル基またはイソシアナト基である。nは0または1を表すが、好ましくはnは1を表す。
【0036】
一般式(3)と反応させる水酸基を含有するポリマーとは、具体的にはポリ酢酸ビニルの部分けん化物のように部分的に水酸基が置換されているポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマーの加水分解物のように、コポリマーの1成分に水酸基を有しているポリマー等が挙げられる。さらに好ましくはポリビニルブチラール樹脂及びポリビニルアルコール樹脂が挙げられる。ポリビニルブチラール樹脂としては、具体的には電気化学工業(株)製の#2000−L、#3000−1、#3000−2、#3000−4、#3000−K、#4000−1、#4000−2、#5000−A、#6000−C、#6000−EP、あるいは積水化学工業(株)製のBL−1、BL−1H、BL−2、BL−2H、BL−5、BL−10、BL−S、BL−SH、BX−10、BX−L、BM−1、BM−2、BM−5、BM−S、BM−SH、BH−3、BH−6、BH−S、BX−1、BX−3、BX−5、KS−10、KS−1、KS−3、KS−5等がある。ポリビニルアルコール樹脂としては、クラレ(株)製のポバールPVA−102、PVA−117、PVA−CSA、PVA−617、PVA−505等のほか、特殊銘柄のサイズ剤用PVA、熱溶融成形用PVA等である。
【0037】
次に一般式(4)について説明する。
一般式(4)において、Aは−NR3R4またはヒドロキシル基を表し、R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表すが、アルキル基としては好ましくは炭素数1〜30のアルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2―エチルヘキシルの各基)、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、(例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシルの各基)、炭素数5〜30の置換または無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を1個取り去った1価の基、(例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル基)等が挙げられる。
【0038】
アリール基としては、好ましくは炭素数6〜30の置換または無置換のアリール基、(例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニルの各基)が挙げられる。
【0039】
複素環基として好ましくは5または6員の置換または無置換の、芳香族または非芳香族の複素環化合物から1個の水素原子を取り除いた1価の基であり、更に好ましくは、炭素数3〜30の5または6員の芳香族の複素環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリルの各基が挙げられる。
【0040】
R3及びR4で表される基はさらに置換基を有してもよい。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、複素環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、複素環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及び複素環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が挙げられる。
【0041】
一般式(4)において、Aは−NR3R4であることが好ましい。R3及びR4は炭素原子数が1〜18のアルキル基または炭素原子数が1〜18の置換アルキル基であることが最も好ましい。
【0042】
一般式(4)において、B1は=C(R5)−または=N−を表し、B2は−C(R5)=または−N=を表すが、B1及びB2が同時には−N=とならない場合が好ましく、B1が=C(R5)−、B2が−N=となる場合がさらに好ましい。
【0043】
一般式(4)において、R1、R2、及びR5はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表すが、置換基は炭素数1〜30の置換基であるのが好ましく、具体例はR3及びR4で表される基の置換基として挙げたものと同じである。R1は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アルコキシ基、アシルアミノ基、ウレイド基が好ましく、さらに好ましくは水素原子及び炭素数1〜3のアルキル基である。最も好ましくは水素原子である。R2及びR5は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アルコキシ基、アシルアミノ基、ウレイド基が好ましく、さらに好ましくは水素原子及び炭素数1〜3のアルキル基であり、また最も好ましくはメチル基である。
【0044】
一般式(4)において、R1とR2、R3とR4、R3とR2、R3とR5、R4とR2及びR4とR5は互いに結合して環を形成してもよいが、好ましくはR3とR4が互いに結合して含窒素ヘテロ環を形成する場合である。形成されるヘテロ環としてはピペリジン環、モルホリン環が好ましい。
【0045】
一般式(4)において、R1〜R5及びQのうち少なくとも1つはL1〜L5との結合点を有するが、好ましくはQ、R3、R4がL1〜L5との結合点を有するのが好ましい。最も好ましくはQが結合点を有する場合である。
【0046】
一般式(4)において、Qはカプラー残基表すが、Qで表される基としては下記(Cp−1)〜(Cp−28)で表される基が好ましい。
【0047】
【化5】
【0048】
【化6】
【0049】
(Cp−1)〜(Cp−28)で表される基は、*印の位置で、一般式(1)のD、一般式(2)のD、一般式(3)のD以外の部分と結合する。
【0050】
以下に(Cp−1)〜(Cp−28)について詳しく説明する。
(Cp−1)で表される基において、R51はアルキル基、アリール基、複素環基またはアルコキシ基を表し、R52はカルバモイル基またはシアノ基を表す。好ましくは、R51はt−ブチル基、1−エチルシクロプロピル基、1−メチルシクロプロピル基、1−ベンジルシクロプロピル基、置換または無置換のフェニル基、置換または無置換のインドリニン−1−イル基、及び置換または無置換のインドール−3−イル基を表し、R52はN−アリールカルバモイル基またはシアノ基を表す。
【0051】
(Cp−2)で表される基において、R53はアリール基または複素環基を表し、R52は(Cp−1)におけるR52と同じ意味の基を表す。好ましくは、R53は置換または無置換のフェニル基、置換または無置換の複素環基(特に好ましくは、チアゾール−2−イル、ベンゾチアゾール−2−イル、オキサゾール−2−イル、ベンゾオキサゾール−2−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3(または5)−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2(または5)−イル、1,2,4−チアジアゾール−3(または5)−イル、1,3,4−チアジアゾール−2(または5)−イル、ピラゾール−3−イル、インダゾール−3−イル、1,2,4−トリアゾール−3−イル、2−ピリジル、2−ピリミジニル、2−ピラジニル、キナゾリン−2−イルまたはキナゾリン−4−イル)を表し、R52はシアノ基を表す。
【0052】
(Cp−3)で表される基において、R61はアルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノカルボニルアミノ基またはアルコキシカルボニルアミノ基を表す。R62はアルキル基、アリール基または複素環基を表す。好ましくは、R61はアルキル基、アシルアミノ基、アミノ基、アミノカルボニルアミノ基またはアルコキシカルボニルアミノ基を表し、R62はアリール基または複素環基を表し、さらに好ましくは、R61はアシルアミノ基またはN−アリールアミノ基を表し、R62はアリール基を表す。
【0053】
(Cp−4)及び(Cp−5)で表される基において、R63及びR64は各々、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノカルボニルアミノ基またはアルコキシカルボニルアミノ基を表す。好ましくは、R63はアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表し、R64はアルキル基またはアリール基を表し、特に好ましくは、R63はメチル基、t−ブチル基または置換または無置換のフェニル基を表す。
【0054】
(Cp−6)及び(Cp−7)で表される基において、R63は前記(Cp−4)及び(Cp−5)のR63と同じ意味の基を表し、R65、R66及びR67は各々、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基またはカルバモイル基を表す。好ましくは、R63はアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表し、R65、R66及びR67は各々、水素原子、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基またはカルバモイル基を表す。
【0055】
(Cp−8)で表される基において、R68及びR69は各々、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基またはカルバモイル基を表す。好ましくは、R68及びR69は各々、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。
【0056】
(Cp−9)、(Cp−10)、(Cp−11)及び(Cp−12)で表される基において、R70はアルキル基、アリール基または複素環基を表し、R71はハロゲン原子、アルキル基、アリール基、複素環基、シリル基、アシルアミノ基、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基、アミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基またはアルコキシカルボニルアミノ基を表し、R72及びR73は各々、水素原子またはアルキル基を表し、aは0〜3のいずれかの整数を表し、bは0〜2のいずれかの整数を表し、cは0〜4のいずれかの整数を表す。a、bまたはcが複数のとき複数個のR71は同一であっても、異なっていてもよい。好ましくは、R70はアルキル基またはアリール基を表し、R71はハロゲン原子、アルキル基またはアシルアミノ基を表し、R72及びR73は各々、水素原子、メチル基またはエチル基を表し、aは1または2を表し、bは1または2を表し、cは0〜2の整数を表す。
【0057】
(Cp−13)で表される基において、R74はカルバモイル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、スルファモイル基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基またはアルキルまたはアリールスルホニルアミノ基を表し、R75はハロゲン原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノカルボニルアミノ基またはアルコキシカルボニルアミノ基を表し、dは0〜4のいずれかの整数を表す。dが複数のとき、複数個のR75は同一であっても異なっていてもよい。好ましくは、R74はカルバモイル基、スルファモイル基またはアシルアミノ基を表し、R75はアシルアミノ基、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基またはアルコキシカルボニルアミノ基を表し、dは0または1を表す。
【0058】
(Cp−14)で表される基において、R75は前記と同じ意味を表し、R78及びR79はR75と同じ意味の基を表し、R76及びR77はシアノ基、スルファモイル基、アルキルまたはアリールスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基またはカルバモイル基を表す。好ましくは、R75はハロゲン原子、アルキル基またはアリール基を表し、dは0〜2のいずれかの整数を表し、R78及びR79はハロゲン原子、アルキル基またはアリール基を表し、R76及びR77はシアノ基を表す。
【0059】
(Cp−15)で表される基において、R75及びdは前記と同じ意味を表し、R80及びR81はシアノ基、スルファモイル基、アルキルまたはアリールスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基またはカルバモイル基を表す。好ましくは、R75はハロゲン原子、アルキル基またはアリール基を表し、dは0〜2のいずれかの整数を表し、R80及びR81はシアノ基を表す。
【0060】
(Cp−16)で表される基において、R82、R83及びR84は各々、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基またはカルバモイル基を表す。
【0061】
(Cp−17)で表される基において、R85及びR86は各々、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基またはカルバモイル基を表す。好ましくは、R85及びR86は各々、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基またはアルキルまたはアリールスルホニルアミノ基を表す。
【0062】
(Cp−18)〜(Cp−20)で表される基において、R87及びR88はカルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、スルファモイル基、アルカンスルホニル基、アレーンスルホニル基またはニトロ基を表し、R89及びR90は各々水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表す。好ましくは、R87はカルバモイル基、アルコキシカルボニル基またはシアノ基を表し、R88はカルバモイル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基またはアルキル及びアリールスルホニル基を表し、R89及びR90は各々、アルキル基またはアリール基を表す。さらに好ましくは、R87はシアノ基を表し、R88はアルコキシカルボニル基を表し、R89及びR90はアリール基を表す。
【0063】
(Cp−21)〜(Cp−26)で表される基において、R91及びR92はアルキル基、アリール基、複素環基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、スルファモイル基、アルカンスルホニル基、アレーンスルホニル基またはニトロ基を表し、R93、R94及びR95は水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表す。好ましくは、R91はアリール基、複素環基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基またはシアノ基を表し、R92はカルバモイル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、スルファモイル基またはアルキルまたはアリールスルホニル基を表し、R93、R94及びR95は各々、水素原子、アルキル基、アシルアミノ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルチオ基またはアリールチオ基を表す。
【0064】
(Cp−27)で表される基において、R97、R98及びR99は各々、水素原子、シアノ基、スルファモイル基、アルキルまたはアリールスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基またはカルバモイル基を表し、R96はアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表す。好ましくは、R97、R98及びR99は各々、水素原子またはシアノ基を表し、R96はN−アリールアミノ基を表す。
【0065】
(Cp−28)で表される基において、R100及びR101は各々、水素原子、パーフルオロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、スルファモイル基、アルキルまたはアリールスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルチオ基またはアリールチオ基を表し、R102はアルキル基、アリール基、複素環基、スルファモイル基、アルキルまたはアリールスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基またはカルバモイル基を表す。好ましくは、R100及びR101は各々、水素原子、パーフルオロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、アルキル及びアリールスルホニル基、アルキルチオ基またはアリールチオ基を表し、R102はアリール基または複素環基を表す。
【0066】
R51〜R53、R61〜R69、及びR70〜R102の説明で挙げた基の好ましいものの具体例は、R4及びR5で表される基の置換基として挙げたものと同じである。R51〜R53、R61〜R69、及びR70〜R102で表される基はさらに置換基を有していてもよく、好ましい置換基はR4及びR5で表される基の置換基として挙げたものと同じである。
【0067】
(Cp−1)〜(Cp−28)で表される基のうち、(Cp−1)、(Cp−2)、(Cp−4)、(Cp−5)、(Cp−11)、(Cp−12)、(Cp−18)、(Cp−21)、(Cp−22)及び(Cp−23)が好ましく、特に(Cp−4)、(Cp−5)、(Cp−18)及び(Cp−23)が最も好ましい。
【0068】
以下に、一般式(1)で表されるモノマーの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0069】
【化7】
【0070】
【化8】
【0071】
【化9】
【0072】
【化10】
【0073】
【化11】
【0074】
【化12】
【0075】
【化13】
【0076】
【化14】
【0077】
【化15】
【0078】
【化16】
【0079】
【化17】
【0080】
【化18】
【0081】
【化19】
【0082】
【化20】
【0083】
【化21】
【0084】
【化22】
【0085】
【化23】
【0086】
(合成例1)モノマー(1−56)の合成
中間体(I)の合成
特開平7−175186号記載の合成中間体(VII)10.32gにメタノール140mlとトリエチルアミン42.4mlを加え撹拌溶解した。次に過硫酸アンモニウム26.0gを水40mlに溶解したものを加え、更に化合物A9.04gを水40ml−メタノール40mlに溶解したものを20分かけて撹拌しながら滴下した。滴下終了後、1時間室温で撹拌した後、ろ過して析出する無機塩をろ過し、メタノールで洗浄した。ろ液を濃縮後、酢酸エチル300mlに溶解し1mol/L塩酸を加えpH=1とし、分液した後、中和、水洗し濃縮した。濃縮物をアセトニトリルから再結晶し、中間体(I)3.4gを得た。構造はMASS、H−NMR、IRスペクトルによって同定した。
【0087】
モノマー(1−56)の合成
N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)50mlに上記作製した中間体(I)10.0gとニトロベンゼン1滴を加え、アクリル酸クロライド2.2gを滴下して室温で2時間反応させた。反応液に酢酸エチル100mlを加え、飽和食塩水300mlで3回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去し、色素モノマー(1−56)を8.8g得た。構造はMASS、H−NMR、IRスペクトルによって同定した。
【0088】
【化24】
【0089】
他の一般式(1)で表されるモノマーも上記に準じて合成することができる。モノマーから誘導される重合体は一般式(1)で表されるモノマーの単独重合体であってもよく、エチレン様単量体と一般式(1)で表されるモノマーの共重合体であってもよい。また、上記いずれの場合においても、一般式(1)で表される2種以上のモノマーを用いてもよい。上記の中でも、一般式(1)で表されるモノマーと、後記エチレン様単量体の共重合体が好ましい。エチレン様単量体としては、アクリル酸、α−アルキルアクリル酸(例えばメタクリル酸)、α−クロロアクリル酸、これらの酸類から誘導されるアミドまたはエステル、(例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、n−ブチルアクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクレート、ラウリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、β−ヒドロキシメタクリレート)、ビニルエステル(例えば、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルラウリレート)、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、芳香族ビニル化合物(例えば、スチレン及びビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ビニルアセトフェノン、スルホスチレン等の誘導体)、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、ビニルアルキルエーテル(例えば、ビニルエチルエーテル)、マレイン酸エステル、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルピリジン及び2−または4−ビニルピリジン等が挙げられる。
【0090】
これらのうち、特にアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイン酸エステル類が好ましい。ここで使用するエチレン様単量体は2種以上を同時に使用することができる。例えば、メチルアクリレートとブチルアクリレート、ブチルアクリレートとスチレン、ブチルメタクリレートとメタクリル酸、メチルアクリレートとジセトンアクリルアミド等を使用できる。前記一般式(1)で表されるモノマーと共重合させるためのエチレン系不飽和単量体は、形成される共重合体の物理的性質及び/または化学的性質、例えば、溶解度、添加剤(高沸点溶剤、ポリマー等)との相溶性、その可とう性、熱安定性が好影響を受けるように選択することができる。
【0091】
本発明に用いられる着色微粒子の水系分散体は、前記したように一般式(1)で表されるモノマーから得られた重合体を単独で、あるいは他の支持ポリマーとともに有機溶媒に溶かしたものを水系媒体中で乳化分散して作ってもよく、あるいは直接乳化重合法により作ってもよい。
【0092】
次に本発明のモノマーを用いた重合体(色素ポリマー)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0093】
【表1】
【0094】
以下に、本発明の重合体の合成例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0095】
(合成例2)重合体(I−3)の合成
モノマー(1−56)の重合体(I−3)の合成
モノマー(1−56)10.0g、テトラヒドロフラン200mlの混合物を脱気後窒素気流中撹拌下、アゾビスイソブチロニトリルのジオキサン溶液(濃度0.04g/ml)を2mlに加え、80℃に加熱し重合を開始した。2時間後さらに2ml加え、3時間反応させた。その後反応液を冷却し、酢酸エチルを200ml加え、飽和食塩水200mlで数回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、有機層を減圧濃縮し、残渣をテトラヒドロフランに溶解し、メタノールを用いて再沈殿精製を行うことにより、重合体(I−3)を7.26g得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC法)による数平均分子量は6,000であった。
【0096】
(合成例3)重合体(I−11)の合成
モノマー(1−56)とブチルアクリレートの共重合体(I−11)の合成
モノマー(1−56)6.07g、ブチルアクリレート1.81g、ジオキサン40mlの混合物を窒素気流中撹拌下80℃に加熱した後、アゾビスイソ酪酸ジメチルのジオキサン溶液(濃度0.04g/ml)を2ml加え、重合を開始した。2時間後さらに2ml追加し、3時間反応させた。その後反応液を冷却し、酢酸エチルを200ml加え、飽和食塩水200mlで数回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、有機層を減圧濃縮し、残渣をテトラヒドロフランに溶解し、メタノールを用いて再沈殿精製を行うことにより、共重合体(I−11)を7.26g得た。窒素及び塩素の定量分析により合成したポリマー色素は82質量%の(1−56)を含有していることが示された。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC法)による数平均分子量は7,400であった。
【0097】
表1に示すその他の重合体も上記に準じて合成することができる。
次に、前記一般式(2)で表されるモノマーの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0098】
【化25】
【0099】
【化26】
【0100】
【化27】
【0101】
【化28】
【0102】
【化29】
【0103】
【化30】
【0104】
【化31】
【0105】
【化32】
【0106】
【化33】
【0107】
【化34】
【0108】
【化35】
【0109】
【化36】
【0110】
【化37】
【0111】
【化38】
【0112】
(合成例4)モノマー(2−24)の合成
9.9gの中間体1をメタノール100mlに溶解し、5質量%パラジウム炭素1.0gを添加し接触水素添加反応を行った。反応終了後に触媒をろ過し、溶媒を減圧留去して中間体2を8.2gを得た。次に、8.2gの中間体2に水160mlと化合物A6.50gを加え10℃以下で撹拌した。次に水酸化ナトリウム10.8gを水100mlに溶解した水溶液を10℃以下で添加し、更にエタノール250mlを加え完溶させた。その後、過硫酸アンモニウム13.7gを水60mlに溶解したものを30分かけて滴下した。滴下と同時に結晶が析出し始めたが滴下終了後、1時間室温で撹拌した後、ろ過し、エタノール50ml−水150mlの混合液で洗浄した。ろ過物をアセトニトリルから再結晶し、モノマー(2−24)10.3gを得た。構造はMASS、H−NMR、IRスペクトルによって同定した。
【0113】
【化39】
【0114】
他の一般式(2)で表されるモノマーも上記に準じて合成することができる。次に、一般式(2)で表されるモノマーと重縮合または重付加反応させるモノマーとして代表的なものを以下に示す。
【0115】
ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ジメチルマロン酸、アジピン酸、ピメリン酸、α,α−ジメチルコハク酸、アセトンジカルボン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2−ブチルテレフタル酸、テトラクロロテレフタル酸、アセチレンジカルボン酸、ポリ(エチレンテレフタレート)ジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ω−ポリ(エチレンオキシ)ジカルボン酸、p−キシリレンジカルボン酸等を挙げることができる。
【0116】
テトラカルボン酸としては、ピロメリト酸、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ジフェニルメタンテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,3′,4,4′−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸等のテトラカルボン酸等を挙げることができる。
【0117】
これらジ及びテトラカルボン酸の代わりに、それらの酸クロリド、エステル、酸無水物もより好ましく使用できる。
【0118】
ジアミンとしては、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,2−プロパンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、4,4′−ジアミノフェニルエーテル、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン、キシリレンジアミン、ベンジジン等、またテトラアミンとしては、ビフェニル−3,4,3′,4′−テトラアミン等が挙げられる。
【0119】
ジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2,2,−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2−プロピル1,3−プロパンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール(平均分子量=200、300、400、600、1000、1500、4000)、ポリプロピレングリコール(平均分子量=200、400、1000)、ポリエステルポリオール、4,4′−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパン、4,4−ジヒドロキシフェニルスルホン等が挙げられる。
【0120】
多価アルコールとしては、ジグリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール等が挙げられる。
【0121】
ジイソシアネート化合物としては、エチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、1,3−キシレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3′−ジメチル−4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3′−ジメチルビフェニレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)等が挙げられる。
【0122】
前記一般式(2)で表されるモノマーと重縮合または重付加反応させるモノマーとしては好ましくはジカルボン酸のジクロリドである。また、モノマーは形成される共重合体の物理的性質及び/または化学的性質、例えば、溶解度、添加剤(高沸点溶剤、ポリマー等)との相溶性、その可とう性、熱安定性が好影響を受けるように選択することができる。
【0123】
次に、本発明のモノマーを用いた重合体の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0124】
【表2】
【0125】
以下に、本発明の重合体の合成例を示すが本発明はこれに限定されるものではない。
【0126】
(合成例5)色素ポリマー(II−10)の合成
攪拌機、窒素導入管を備えた容器に、窒素雰囲気下において色素モノマー(2−24)6.68gと、N−メチル−2−ピロリドン70gを加え溶解させた後、トリエチルアミン3.04g(0.030モル)を添加し、−15℃に冷却した。その後、撹拌を強め、テレフタル酸ジクロライド3.05gを添加し、0℃で2時間、さらに室温で1時間撹拌した。得られた粘稠なポリマー溶液をろ過し、激しく攪拌されたメタノール中に1滴ずつ滴下して再沈殿させた。これをろ別後メタノールで洗浄し、50℃で12時間減圧乾燥しての色素ポリマー(II−10)を得た。
【0127】
表2に示すその他の重合体も上記に準じて合成することができる。
次に一般式(3)で表されるモノマーの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0128】
【化40】
【0129】
【化41】
【0130】
【化42】
【0131】
【化43】
【0132】
【化44】
【0133】
【化45】
【0134】
【化46】
【0135】
【化47】
【0136】
【化48】
【0137】
【化49】
【0138】
(合成例6)色素モノマー(3−1)及び中間体2の合成
モノマー(3−1)の合成
15.9gの中間体1にメタノール140mlと42.4mlのトリエチルアミンを加え撹拌溶解させた。次に過硫酸アンモニウム26.0gを水40mlに溶解したものを加え、更に化合物A9.04gを水40ml−メタノール40mlに溶解したものを20分かけて撹拌しながら滴下した。滴下終了後、1時間室温で撹拌した後、ろ過して析出する無機塩をろ過し、メタノールで洗浄した。ろ液を濃縮後、酢酸エチル300mlに溶解し1mol/L塩酸を加えpH=1とし、分液した後、中和、水洗し濃縮した。濃縮物をアセトニトリルから再結晶し、モノマー(3−1)18.1gを得た。構造はMASS、H−NMR、IRスペクトルによって同定した。
【0139】
中間体2の合成
トルエン50mlに色素モノマー(3−1)15.0g、DMF0.1mlを加え塩化チオニル11.9mlを滴下して加熱還流し4時間反応させた。反応終了後、溶媒と過剰の塩化チオニルを減圧留去し、更にトルエンを加え再度減圧留去し、中間体2を16.7g得た。
【0140】
【化50】
【0141】
他の一般式(3)で表されるモノマーも上記に準じて合成することができる。一般式(3)と反応させる水酸基を含有するポリマーとは、具体的にはポリ酢酸ビニルの部分けん化物のように部分的に水酸基が置換されているポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマーの加水分解物のように、コポリマーの1成分に水酸基を有しているポリマー等が挙げられる。さらに好ましくはポリビニルブチラール樹脂、及びポリビニルアルコール樹脂が挙げられる。ポリビニルブチラール樹脂として具体的には電気化学工業(株)製の#2000−L、#3000−1、#3000−2、#3000−4、#3000−K、#4000−1、#4000−2、#5000−A、#6000−C、#6000−EP、または積水化学工業(株)製のBL−1、BL−1H、BL−2、BL−2H、BL−5、BL−10、BL−S、BL−SH、BX−10、BX−L、BM−1、BM−2、BM−5、BM−S、BM−SH、BH−3、BH−6、BH−S、BX−1、BX−3、BX−5、KS−10、KS−1、KS−3、KS−5等がある。ポリビニルアルコール樹脂としてはクラレ(株)製のポバールPVA−102、PVA−117、PVA−CSA、PVA−617、PVA−505等のほか、特殊銘柄のサイズ剤用PVA、熱溶融成形用PVA等がある。水酸基を有するポリマーの水酸基1モル当たりの一般式(3)で表される化合物導入量は好ましくは0.005〜1モルであるが、より好ましくは0.1〜0.8モルである。
【0142】
次に本発明の一般式(3)と水酸基を有するポリマーとの反応により得られる高分子化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0143】
【表3】
【0144】
以下、本発明の高分子化合物の合成例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0145】
(合成例7)色素ポリマー(III−1)の合成
PVA重合度450、水酸基36mol%のポリビニルブチラール7.0gをTHFに溶解し、ピリジン4.76mlを加えた。氷水冷し、内温を0〜5℃に保ちながら16.7gの中間体2をTHF40mlに溶解したものを30分かけて滴下した。室温に戻した後、5時間撹拌し反応溶液に酢酸エチルと水を加え1N塩酸でpH=2となるまで洗浄した。更に10質量%炭酸水素ナトリウム水溶液でpH=9〜10になるまで同様に洗浄した後、中和、水洗し硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で溶媒を除去した。得られたポリマーをTHFに溶解し、激しく撹拌したn−ヘキサン中へ1滴ずつ滴下し再沈殿を行った。滴下終了後、1時間撹拌した後にろ過した。ろ過物を40℃、665Pa以下で減圧乾燥し例示化合物(III−1)13.4gを得た。
【0146】
一般式(1)で表されるモノマーから誘導される単独重合体または共重合体、一般式(2)で表されるモノマーから誘導される単独重合体または共重合体、及び一般式(3)と水酸基を含有するポリマーとを反応させることにより得られる高分子化合物(以下本発明の色素ポリマーと総称する。)は、実質的に水不溶性、かつ有機溶媒に可溶性であることが好ましい。本発明において実質的に水不溶性とは、水に対する溶解度が0〜0.1質量%であることを表し、0〜0.01質量%であることがより好ましい。実質的に有機溶媒可溶性とは、有機溶媒に対する溶解度が1.0〜100質量%であることを表す。好ましくは5.0〜100質量%である。有機溶媒としては、具体的にトルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン等が挙げられ、中でも好ましくは酢酸エチルである。
【0147】
次に、本発明の着色微粒子の水分散体について詳述する。本発明においては、色素ポリマーのみで着色微粒子を形成してもよいし、支持ポリマーを含有せしめてもよい。本発明においては色素自体がポリマーであるため支持ポリマーがない場合でも良好な分散性、高い色濃度、良好な色再現性を有する着色微粒子の水分散体を得ることができる。支持ポリマーを含有せしめることはさらに良好な分散性、最終画像のより良好な耐光性を得るための好ましい態様の一つである。本発明のポリマーとしては、その数平均分子量が500〜100,000であることが、印刷後のインクの耐久性及びサスペンションの形成性の点から好ましい。本発明では複数のポリマーを使用することが可能であるが、用いるポリマーのうち少なくとも1種はガラス転移温度(Tg)が10〜200℃であることが好ましい。
【0148】
上記ポリマーについては、その種類、物性等が、例えばPOLYMER HANDBOOK,第4版(JOHN WILEY&SONS,INC.)に記載されている。具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸(メタクリル酸)エステル、ポリアクリロニトリル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、アルキド樹脂、マレイン酸樹脂、ウレタンゴム、ポリカーボネート、ナイロン、ポリウレタン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリホルムアルデヒド、エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも好ましくはポリビニルブチラールである。ポリビニルブチラールは、色素を含有する着色微粒子の水系分散体の分散安定性がより向上するので、本発明にとって好ましい態様の一つである。これらのポリマーは置換基を有していてもよく、その置換基は直鎖状、分岐、あるいは環状構造を採ってもよい。
【0149】
特定の官能基を有するポリマーは、各種のものが市販されているが、常法によって合成することもできる。また、これらの共重合体は、例えば一つのポリマー分子中にエポキシ基を導入しておき、後に他のポリマーと縮重合させたり、光や放射線を用いてグラフト重合を行っても得られる。
【0150】
以下に、ビニルポリマーの具体例PA−1〜PA−41を列挙する。括弧内の比は質量比を表す。なお、本発明は、これらの具体例に何ら限定されるものではない。
【0151】
PA−1:メチルメタクリレート−エチルアクリレート共重合体
(50:50)
PA−2:ブチルアクリレート−スチレン共重合体(50:50)
PA−3:ポリn−ブチルメタクリレート
PA−4:ポリイソプロピルメタクリレート
PA−5:ポリ(4−tert−ブチルフェニルアクリレート)
PA−6:n−ブチルメタクリレート−N−ビニル−2−ピロリドン共重合体(90:10)
PA−7:メチルメタクリレート−塩化ビニル共重合体(70:30)
PA−8:イソブチルメタクリレート−ブチルアクリレート共重合体
(55:45)
PA−9:酢酸ビニル−アクリルアミド共重合体(85:15)
PA−10:n−ブチルアクリレート−メチルメタクリレート−n−ブチルメタクリレート共重合体(35:35:30)
PA−11:エチルメタクリレート−n−ブチルアクリレート共重合体
(70:30)
PA−12:tert−ブチメタクリルアミド−メチルメタクリレート−アクリル酸共重合体(60:30:10)
PA−13:n−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体(80:20)
PA−14:sec−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体
(85:15)
PA−15:イソプロピルアクリレート−アクリル酸共重合体(90:10)PA−16:ブチルメタクリレート−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−アクリル酸共重合体(85:5:10)
PA−17:イソブチルメタクリレート−テトラヒドロフルフリルアクリレート−アクリル酸共重合体(60:30:10)
PA−18:n−ブチルメタクリレート−1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルアクリレート−アクリル酸共重合体(75:20:5)
PA−19:メチルメタクリレート−n−ブチルアクリレート−アクリル酸
共重合体(50:45:5)
PA−20:3−メトキシブチルメタクリレート−スチレン−アクリル酸
共重合体(35:50:15)
PA−21:エチルアクリレート−フェニルメタクリレート−アクリル酸
共重合体(72:25:13)
PA−22:イソブチルメタクリレート−ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(エチレンオキシ鎖繰り返し数23)のメタクリル酸エステル−アクリル酸共重合体(70:20:10)
PA−23:エチルメタクリレート−アクリル酸共重合体(95:5)
PA−24:イソブチルアクリレート−メトキシスチレン−アクリル酸
共重合体(75:15:10)
PA−25:イソブチルアクリレート−N−ビニルピロリドン−アクリル酸
共重合体(60:30:10)
PA−26:2,2,2−テトラフルオロエチルメタクリレート−メチル
メタクリレート−メタクリル酸共重合体(25:60:15)
PA−27:エチルメタクリレート−2−エトキシエチルメタクリレート−
メタクリル産共重合体(75:15:15)
PA−28:tert−オクチルアクリルアミド−プロピルメタクリレート−メタクリル酸共重合体(20:65:15)
PA−29:n−ブチルメタクリレート−ジフェニル−2−メタクリロイル
オキシジエチルホスホネート−メタクリル酸共重合体(80:5:15)
PA−30:n―ブチルメタクリレート−フェニルアクリルアミド−メタクリル酸共重合体(70:15:15)
PA−31:n−ブチルメタクリレート−N−ビニルピロリドン−メタクリル酸共重合体(70:15:15)
PA−32:n−ブチルメタクリレート−スチレンスルホン酸共重合体
(90:10)
PA−33:イソブチルメタクリレート−スチレンスルホン酸共重合体
(90:10)
PA−34:n−ブチルメタクリレート−2−アクリルアミド−2−メチル
エタンスルホン酸共重合体(90:10)
PA−35:イソブチルアクリレート−n−ブチルメタクリレート−2−
アクリルアミド−2−メチルエタンスルホン酸共重合体(70:20:10)
PA−36:エチルアクリレート−tert−ブチルメタクリレート−2−
アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体(60:30:10)PA−37:tert−ブチルアクリレート−テトラヒドロフルフリルアクリレート−2−メチルプロパンスルうホン酸共重合体(50:40:10)
PA−38:tert−ブチルアクリレート−ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(エチレンオキシ鎖繰り返し数23)のメタクリル酸エステル−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体
(60:30:10)
PA−39:イソブチルアクリレート−N−ビニルピロリドン−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体(60:30:10)
PA−40:n−ブチルメタクリレート−2−アクリルアミド−2−メチル
プロパンスルホン酸ソーダ共重合体(98:12)
PA−41:n−ブチルメタクリレート−tert−ブチルメタクリレート−2−アクリルアミド−2−メチルブタンスルホン酸ソーダ共重合体
(50:35:15)
前記縮合系ポリマーの具体例について、原料モノマーの形で以下に例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。各ポリマーにおける酸性基は全て非解離形で表す。また、ポリエステル、ポリアミド等の縮合反応により生成するものについては、構成成分は原料の如何にかかわらず、全てジカルボン酸、ジオール、ジアミン、ヒドロキシカルボン酸、アミノカルボン酸等で表記する。括弧内の比は各成分のモル百分率比を意味する。
【0152】
PC−1:トルエンジイソシアネート/エチレングリコール/1,4−ブタンジオール(50/15/35)
PC−2:トルエジイソシアネート/ヘキサメチレンジイソシアネート/エチレングリコール/ポリエチレングリコール(Mw=600)1,4−ブタンジオール(40/20/10/20)
PC−3:4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート/ヘキサメチレンジイソシアネート/テトラエチレングリコール/エチレングリコール/2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(40/10/20/20/10)
PC−4:1,5−ナフタレンジイソシアネート/ブタンジオール/4,4′−ジヒドロキシ−ジフェニル−2,2′−プロパン/ポリプロピレングリコール(Mw=400)/2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(50/20/5/10/15)
PC−5:イソホロンジイソシアネート/ジエチレングリコール/ネオペンチルグリコール/2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(50/20/20/10)
PC−6:ジフェニルメタンジイソシアネート/ヘキサメチレンジイソシアネート/テトラエチレングリコール/ブタンジオール/2,4−ジ(2−ヒドロキシ)エチルオキシカルボニルベンゼンスルホン酸(40/10/10/33/7)
PC−7:テレフタル酸/イソフタル酸/シクロヘキサンジメタノール/1,4−ブタンジオール/エチレングリコール(25/25/25/15/10)
PC−8:テレフタル酸/イソフタル酸/4,4′−ジヒドロキシ−ジフェニル−2,2−プロパン/テトラエチレングリコール/エチレングリコール(30/20/20/15/15)
PC−9:テレフタル酸/イソフタル酸/4,4′−ベンゼンジメタノール/ジエチレングリコール/ネオペンチルグリコール(25/25/25/15/10)
PC−10:テレフタル酸/イソフタル酸/5−スルホイソフタル酸/エチレングリコール/ネオペンチルグリコール(24/24/2/25/25)
PC−11:11−アミノウンデカン酸(100)
PC−12:ポリ(12−アミノドデカン酸)と無水マレイン酸との反応物
PC−13:ヘキサメチレンジアミン/アジピン酸(50/50)
PC−14:N,N−ジメチルエチレンジアミン/アジピン酸/シクロヘキサンジカルボン酸(50/20/30)
PC−15:トルエンジイソシアネート/4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート/ヘキサメチレンジアミン(30/20/50)
PC−16:ヘキサメチレンジアミン/ノナメチレンジアミン/尿素(25/25/50)
本発明の着色微粒子の水系分散体は、本発明の色素ポリマーのサスペンションから成り、サスペンションは各種乳化法で製造することができる。それら乳化法の例は、例えば「機能性乳化剤・乳化技術の進歩と応用展開;シーエムシー」の86頁の記載に纏められている。特に、超音波、高速回転剪断、高圧による乳化分散装置を使用することが好ましい。
【0153】
超音波による乳化分散では、所謂バッチ式と連続式の2通りが使用可能である。バッチ式は比較的少量の作製に適し、連続式は大量の作製に適する。連続式では、例えばUH−600SR(エスエムテー社製)のような装置を用いることが可能である。このような連続式の場合、超音波の照射時間は、分散室容積/流速×循環回数で求めることができる。超音波照射装置が複数ある場合は、それぞれの照射時間の合計として求められる。超音波の照射時間は、実際上、3秒以上が必要であり、それ以内で乳化が完了するのであれば、超音波乳化分散装置を必要としない。また、10,000秒以上必要であると、工程の負荷が大きく、実際上は、乳化剤の再選択等により乳化分散時間を短くする必要がある。そのため10,000秒以上は必要でない。更に好ましくは10〜2000秒である。
【0154】
高速回転剪断による乳化分散装置としては、「機能性乳化剤・乳化技術の進歩と応用展開」(前出)の255〜256頁に記載されるようなディスパーミキサーや、251頁に記載されるようなホモミキサー、256頁に記載されるようなウルトラミキサー等が使用できる。これらの型式は、乳化分散時の液粘度によって使い分けることができる。これらの高速回転剪断による乳化分散機では、撹拌翼の回転数が重要である。ステーターとのクリアランスは、通常、0.5mm程度で、極端に狭くはできないので、剪断力は主として撹拌翼の周速に依存する。周速が5〜150m/secであれば、本発明の乳化・分散に使用できる。周速が遅い場合、乳化時間を延ばしても小粒径化が達成できない場合が多く、150m/secにするには、モーターの性能を極端に上げる必要がある。更に好ましくは20〜100m/secである。
【0155】
高圧による乳化分散では、LAB2000(エスエムテー社製)等が使用できるが、その乳化・分散能力は、試料に掛けられる圧力に依存する。圧力は9.8×106〜4.9×108Paが好ましい。また、必要に応じて、数回、乳化・分散を行い、目的の粒径を得ることができる。圧力が低すぎる場合、何度、乳化分散を行っても目的の粒径は達成できない場合が多く、一方、圧力が高すぎる場合、装置に大きな負荷が掛かり実用的ではない。
【0156】
これらの乳化・分散装置は単独で用いてもよいが、必要に応じて組み合わせて使用することも可能である。コロイドミルや、フォロージェットミキサー等も、単独では本発明の目的を達成できないが、上記各種分散装置との組合せにより、短時間で乳化・分散を可能にする等、本発明の効果を高めることが可能である。
【0157】
また、本発明の着色微粒子の水系分散体は、上記の装置を用いる他、いわゆる転相乳化によって製造することが可能である。ここで、転相乳化とは、本発明の色素ポリマーまたは本発明の支持ポリマーをエステル、ケトン等の有機溶媒に溶解させ、必要に応じて中和剤を加えて該ポリマー中のカルボキシル基をイオン化し、次いで水相を加えた後、上記有機溶媒を溜去して水系に転相することから成る。転相が完了した後、系を減圧下に加熱することにより、上記エステル、ケトン系溶剤を除去すると共に所定量の水も除去して、所望の濃度を有する本発明に係る着色微粒子の水系分散体を得ることができる。
【0158】
本発明の着色微粒子の体積平均粒子径は5〜500nmが好ましく、20〜200nmが本発明にとって特に好ましい態様である。
【0159】
体積平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)写真の投影面積(少なくとも100粒子以上に対して求める)の平均値から得られた円換算平均粒径を、球形換算して求められる。体積平均粒子径とその標準偏差を求め、標準偏差を体積平均粒子径で割ることで変動係数を求められる。あるいは、動的光散乱法を利用して変動係数を求めることもできる。例えば、大塚電子社製レーザー粒径解析システムやマルバーン社製ゼータサイザーを用いて求めることができる。
【0160】
次に本発明の高沸点有機溶媒について詳述する。
本発明の着色微粒子に高沸点有機溶媒を含有せしめることは好ましい態様の一つである。高沸点有機溶媒の沸点としては、150℃以上であることが必要であり、170℃以上が好ましい。高沸点有機溶媒の誘電率としては、3〜12であることが好ましく、4〜10がより好ましい。ここでいう誘電率とは、25℃における真空中に対する比誘電率を表す。
【0161】
本発明の高沸点有機溶媒は、本発明の色素の1〜1000質量%、好ましくは10〜400質量%を用いる。
【0162】
高沸点有機溶媒を用いることで、驚くべきことに色調が良好となり、分散安定性がより改良されることが判った。
【0163】
高沸点有機溶媒としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記式(S−1)〜(S−9)で表される化合物が特に好ましい。
【0164】
【化51】
【0165】
式(S−1)において、R30、R31及びR32は、各々独立に脂肪族基またはアリール基を表す。a、b及びcは、各々独立に0または1を表す。
【0166】
式(S−2)において、R33及びR34は、各々独立に脂肪族基またはアリール基を表す。R35はハロゲン原子(弗素、塩素、臭素、沃素、以下同じ)、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基またはアリールオキシカルボニル基を表し、dは0〜3の整数を表す。dが2以上の時、複数のR35は同じでも異なってもよい。
【0167】
式(S−3)において、Arはアリール基を表し、eは1〜6の整数を表す。R36はe価の炭化水素基またはエーテル結合で互いに結合した炭化水素基を表す。
【0168】
式(S−4)において、R37は脂肪族基を表し、fは1〜6の整数を表す。R38はf価の炭化水素基またはエーテル結合で互いに結合した炭化水素基を表す。
【0169】
式(S−5)において、gは2〜6の整数を表し、R39はg価の炭化水素基(ただし、アリール基を除く)を表す。R40は脂肪族基またはアリール基を表す。
【0170】
式(S−6)において、R41、R42及びR43は、各々独立に水素原子、脂肪族基またはアリール基を表す。X0は−CO−またはSO2−を表す。R41とR42またはR42とR43とは、互いに結合して環を形成してもよい。
【0171】
式(S−7)において、R44は脂肪族基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アリール基またはシアノ基を表す。R45はハロゲン原子、脂肪族基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表し、hは0〜3の整数を表す。hが2以上の時、複数のR45は同じでもよいし、異なってもよい。
【0172】
式(S−8)において、R46及びR47は、各々独立に脂肪族基またはアリール基を表す。R48はハロゲン原子、脂肪族基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表し、iは0〜4の整数を表す。iが2以上の時、複数のR48は、同じでもよいし、異なってもよい。
【0173】
式(S−9)において、R49及びR50は、各々独立に脂肪族基またはアリール基を表す。jは1または2を表す。
【0174】
以下に、本発明の高沸点有機溶媒の具体例として、式(S−1)で表される化合物としてS−1〜23、式(S−2)で表される化合物としてS−24〜39、式(S−3)で表される化合物としてS−40〜44、式(S−4)で表される化合物としてS−45〜50、式(S−5)で表される化合物としてS−51〜58、式(S−6)で表される化合物としてS−59〜67、式(S−7)で表される化合物としてS−68〜75、式(S−8)で表される化合物としてS−76〜79、及び式(S−9)で表される化合物としてのS−80、81を示す。
【0175】
【化52】
【0176】
【化53】
【0177】
【化54】
【0178】
【化55】
【0179】
【化56】
【0180】
【化57】
【0181】
高沸点有機溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、例えばトリクレジルホスフェートとジブチルフタレート、トリオクチルホスフェートとジ(2−エチルヘキシル)セバケート、ジブチルフタレートとポリ(N−t−ブチルアクリルアミド)の併用等が挙げられる。
【0182】
高沸点有機溶媒の上記以外の化合物例としては、例えば米国特許2,322,027号、同2,533,514号、同2,772,163号、同2,835,579号、同3,594,171号、同3,676,137号、同3,689,271号、同3,700,454号、同3,748,141号、同3,764,336号、同3,765,897号、同3,912,515号、同3,936,303号、同4,004,928号、同4,080,209号、同4,127,413号、同4,193,802号、同4,207,393号、同4,220,711号、同4,239,851号、同4,278,757号、同4,353,979号、同4,363,873号、同4,430,421号、同4,430,422号、同4,464,464号、同4,483,918号、同4,540,657号、同4,684,606号、同4,728,599号、同4,745,049号、同4,935,321号、同5,013,639号、欧州特許276,319A号、同286,253A号、同289,820A号、同309,158A号、同309,159A号、同309,160A号、同509,311A号、同510,576A号、東独特許147,009号、同157,147号、同159,573号、同225,240A号、英国特許2,091,124A号、特開昭48−47335号、同50−26530号、同51−25133号、同51−26036号、同51−27921号、同51−27922号、同51−149028号、同52−46816号、同53−1520号、同53−1521号、同53−15127号、同53−146622号、同54−91325号、同54−106228号、同54−118246号、同55−59464号、同56−64333号、同56−81836号、同59−204041号、同61−84641号、同62−118345号、同62−247364号、同63−167357号、同63−214744号、同63−301941号、同64−9452号、同64−9454号、同64−68745号、特開平1−101543号、同1−102454号、同2−792号、同2−4239号、同2−43541号、同4−29237号、同4−30165号、同4−232946号、同4−346338号等に記載されている。
【0183】
次に、請求項1〜6のいずれか1項に記載の着色微粒子をコアとし、この周りにさらにシェルを形成した請求項7に記載の着色微粒子(以下コア/シェル着色微粒子と略称する)の水系分散体について詳述する。
【0184】
本発明において、着色微粒子は、(1)微粒子全体が単一組成であってシェルを有さない場合(コアのみの場合と称することもできる)と、(2)微粒子が第1の組成を有するコアと、コアが第2の組成を有するシェルで被覆されたコア/シェル構造である場合とが考えられるが、水系インク、特にインクジェットインクの性能上の観点から、コア/シェル構造であることが好ましい。
【0185】
我々は鋭意研究の結果、ポリマーコアが主として色素ポリマーを包含し、その堅牢性や色調を保持するのに寄与し、ポリマーシェルは着色微粒子の水系分散体及び該分散体を含有するインクジェット記録用水系インクの安定性を増すことに寄与し、更に、記録メディア上での色素の定着を促進し、凝集を防止し、かつ画質の向上に寄与することを見い出した。また、色素の堅牢性、色調の保持にも貢献することを併せて見い出した。
【0186】
コアとなるポリマー粒子に含有される支持ポリマーとしては、官能基としてアセタールを含有するポリマーが好ましい態様の一つである。官能基としてアセタールを含有するポリマーの具体例はポリビニルブチラール樹脂である。これらは、市販品を入手することもでき、例えば電気化学工業(株)製の#2000−L,#3000−1,#3000−2,#3000−4,#3000−K,#4000−1,#4000−2,#5000−A,#6000−C,#6000−EP、または積水化学工業(株)製のBL−1,BL−1H,BL−2,BL−2H,BL−5,BL−10,BL−S,BL−SH,BX−10,BX−L,BM−1,BM−2,BM−5,BM−S,BM−SH,BH−3,BH−6,BH−S,BX−1,BX−3,BX−5,KS−10,KS−1,KS−3,KS−5、及び三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製のユピタールシリーズ等がある。
【0187】
本発明においては、シェルに用いられるポリマー量が、総ポリマー量の5〜95質量%であることが好ましい。色素ポリマーの総量は、総ポリマー量に対して20〜1,000質量%であることが好ましい。
【0188】
本発明のコア/シェル構造を有する着色微粒子の水系分散体は、最初に色素ポリマーを含有するポリマーコアを作製した後、ポリマーシェルを設ける方法と、コアとシェルを同時に設ける手法等が好ましく用いられる。
【0189】
(コア作製後にシェルを設ける手法)
ポリマーコアは各種の方法で調製することができる。例えば、モノマー中に色素ポリマーを溶解させ、水中で乳化後、重合により支持ポリマー中に染料を封入する方法、支持ポリマーと色素ポリマーを有機溶媒中に溶解し、水中で乳化後、有機溶媒を除去する方法、色素ポリマーに多孔質ポリマー粒子を添加し、色素ポリマーを粒子に吸着、含浸させる方法、色素モノマーを有機溶媒中に溶解し、水中で乳化後、重合して本発明の色素ポリマーからなる着色微粒子を形成し、その後有機溶媒を除去する方法、及び色素モノマーと支持ポリマーを有機溶媒中に溶解し、水中で乳化後、重合して本発明の色素ポリマー及び支持ポリマーからなる着色微粒子を形成し、その後有機溶媒を除去する方法等がある。コアの作製方法として好ましくは色素モノマーを有機溶媒中に溶解し、水中で乳化後、重合して本発明の色素ポリマーからなる着色微粒子を形成し、その後有機溶媒を除去する方法、及び色素モノマーと支持ポリマーを有機溶媒中に溶解し、水中で乳化後、重合して本発明の色素ポリマー及び支持ポリマーからなる着色微粒子を形成し、その後有機溶媒を除去する方法が挙げられる。本方法により安定性が高く、好ましい体積平均粒径を有し、色濃度の高いポリマーコアを得ることができる。
【0190】
それにポリマーシェルを設ける手法としては、ポリマーコアの水系分散物に水溶性のポリマー分散剤を添加し吸着させる手法、モノマーを徐々に滴下し、重合と同時にコア表面に沈着させる方法、または、有機溶媒に溶解したポリマーを徐々に滴下し、析出と同時にコア表面に吸着させる方法等がある。あるいは、顔料をポリマーと混練し、その後、水系で分散してポリマー被覆顔料コアを作製し、更に上記の方法によりシェル化を行うことも可能である。
【0191】
(コアとシェルを同時に設ける手法)
コアとなる色素ポリマーと支持ポリマーを、重合後にシェルとなるモノマーに溶解または分散し、水中で懸濁後重合する手法や、その液を活性剤ミセルを含有する水中に徐々に滴下しながら乳化重合していく手法等がある。モノマーがコア、ポリマーがシェルとなってもよい。あるいは、重合後にコアとなり得るモノマーとシェルとなり得るモノマー混合液に、色素モノマーまたは色素ポリマーを溶解または分散し、懸濁重合あるいは乳化重合する手法がある。
【0192】
本発明のコア/シェル構造を有する着色微粒子の体積平均粒子径は5〜500nmが好ましく、20〜200nmが本発明にとって特に好ましい態様である。
【0193】
望ましい粒子径を得るには、処方の最適化と適当な乳化法の選定が重要である。処方は用いる色素ポリマー、支持ポリマーによって異なるが、水中の分散物であるので、コアを構成するポリマーよりシェルを構成するポリマーの方が一般的に親水性が高いことが必要である。また、シェルに含有される色素ポリマーは、前記のようにコアに含有される色素ポリマー量より少ないことが好ましく、色素ポリマー自身もシェルを構成するポリマーよりも親水性が低いことが必要である。親水性、疎水性は、例えば溶解性パラメータ(SP)を用いて見積もることができる。溶解性パラメータは、その値や、測定、計算法が「POLYMER HANDBOOK」第4版(JOHN WILEY & SONS,INC.)675頁からの記載が参考になる。
【0194】
また、本発明のコア/シェル構造を有する着色微粒子で用いられる支持ポリマーは、その数平均分子量が500〜100,000、特に1,000〜30,000であることが、印刷後の製膜性、その耐久性及び分散物の形成性の点から好ましい。支持ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、各種用いることが可能であるが、用いる支持ポリマーのうち少なくとも1種以上はTgが10℃以上であるものを用いる方が好ましい。
【0195】
次に、本発明のインクジェット記録用水系インクについて詳述する。
本発明のインクジェット記録用水系インクは、本発明の着色微粒子の水系分散体を含んでなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、例えば乾燥防止剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防黴剤、pH調節剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知添加剤が挙げられる。
【0196】
乾燥防止剤は、インクジェット記録方法に用いるノズルのインク噴射口において該インクが乾燥することによる目詰まりを防止する目的で好適に使用される。乾燥防止剤としては、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶媒が好ましい。乾燥防止剤の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,3−ヘキサトリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類;エチレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(またはブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類;スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物;ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物;尿素誘導体等が挙げらる。これらの内、グリセリンジエチレングリコール等の多価アルコールがより好ましい。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してよい。これらの乾燥防止剤は、インク中に10〜50質量部含有することが好ましい。
【0197】
浸透促進剤としては、例えばエタノール、i−プロパノール、ブタノール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール等のアルコール類やラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムや乳化分散用界面活性剤としてのノニオン性界面活性剤等が挙げられる。これらは、インクジェット用インク中に10〜30質量%添加されれば十分な効果があり、印字の滲み、紙抜け(プリントスルー)を起こさない範囲で添加される。
【0198】
紫外線吸収剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用され、例えば特開昭58−185677号、同61−190537号、特開平2−782号、同5−197075号、同9−34057号等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号、特開平5−194483号、米国特許3,214,463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号、同56−21141号、特開平10−88106号等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号、同8−53427号、同8−239368号、同10−182621号、特表平8−501291号等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャ(RD)24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンゾオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤等も挙げられる。
【0199】
酸化防止剤は画像の保存性を向上させる目的で使用され、例えば各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤が好適に挙げられる。有機系の褪色防止剤としては、例えばハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、複素環類等が挙げられる。金属錯体系の褪色防止剤としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体等が挙げられ、具体的には、RD7643のVIIのI〜J項、同15162、同18716の650頁左欄、同36544の527頁、同307105の872頁、同15162に引用された特許に記載された化合物や、特開昭62−215272号の127〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物等が好適に挙げられる。
【0200】
防黴剤としては、例えばデヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン及びその塩等が挙げられる。これらはインク中に0.02〜1.00質量%使用するのが好ましい。
【0201】
pH調整剤としては、例えば水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩、酢酸カリウム、珪酸ナトリウム、燐酸二ナトリウム等の無機塩基、N−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機塩基が挙げられる。
【0202】
表面張力調整剤としては、例えばノニオン、カチオンまたはアニオン界面活性剤が挙げられる。例えば上記の乳化分散に用いる界面活性剤を用いることができるが、ここで用いられる界面活性剤は25℃での水に対する溶解度が0.5%以上のものが好ましい。
【0203】
分散剤及び分散安定剤としては、上述のカチオン、アニオン、ノニオン系の各種界面活性剤等が好適に挙げられる。前記消泡剤としては、弗素系、シリコーン系化合物やEDTA(エチレンジアミン四酢酸)に代表されるキレート剤等が挙げられる。
【0204】
なお、インクジェット用インクのpHとしては、保存安定性向上の点で6〜10が好ましく、7〜10がより好ましい。また、インクジェット用インクの表面張力としては20〜60mN/mが好ましく、25〜45mN/mがより好ましい。インクジェット用インクの粘度としては30mPa・s以下が好ましく、20mPa・s以下がより好ましい。
【0205】
本発明の着色微粒子は、総固形分として本発明のインクジェット記録用水系インク中に0.5〜50質量%配合されることが好ましく、0.5〜30質量%配合されることが更に好ましい。総固形分が0.5質量%に満たないと色素の保護能が十分でなく、50質量%を超えると分散物のインクとしての保存安定性が低下したり、ノズル先端部でのインク蒸発に伴うインクの増粘や分散物の凝集が起こることによりプリンタヘッドの目詰りが起こる場合があるので、上記範囲内とすることが好ましい。
【0206】
次に、本発明のインクジェット記録用水系インクの製造方法について詳述する。
【0207】
本発明の水系インクの製造方法においては、低沸点有機溶媒を併用することが好ましい態様の一つである。低沸点有機溶媒とは、常圧で沸点150℃未満(通常、約30℃以上)の有機溶媒であり、例えばアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノ−ル、1−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール系溶媒;クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤;ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル等のエステル系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコール系溶媒等が挙げられる。好ましくは酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−i−プロピル等のエステル系溶媒である。低沸点有機溶媒は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、水との混合溶剤であってもよい。
【0208】
我々は、低沸点有機溶媒を用いることにより、本発明のインクジェット記録用水系インクの停滞安定性がより向上し、より好ましい色相と印字後の色素画像の高い堅牢性が得られることを見い出した。
【0209】
低沸点有機溶媒の使用量としては、本発明の効果を害しない範囲内であれば特に制限はないが、本発明の色素ポリマー100質量部に対し10〜2000質量部が好ましく、100〜1000質量部がより好ましい。有機溶媒の使用量が10質量部未満であると、インクジェット記録用水系インクの安定な製造が困難となる傾向にあり、2000質量部を超えると、前記有機溶媒を除去するための脱溶媒と濃縮の工程が必須かつ煩雑となり、配合設計上余裕がなくなる傾向がある。
【0210】
本発明の水系インクの製造方法においては、支持ポリマー及び色素ポリマーまたは色素ポリマー単独を低沸点有機溶媒中に溶解させた油層を水性媒体中に乳化分散し、その後、低沸点有機溶媒を除去する工程を経ることが好ましい態様の一つである。乳化分散法としては、ポリマーと色素を含有する低沸点有機溶媒に水を添加すること、及び水中に該有機溶媒を添加すること、の何れかによって該有機溶媒を乳化させ微粒子化させる方法がより好ましい。
【0211】
低沸点有機溶媒は、水に対する溶解度が10質量%以下である場合、あるいは有機溶媒の蒸気圧が水より大きい場合には、本発明の水系インクの安定性の点から除去されるのが好ましい態様の一つである。溶媒の除去は、常圧〜減圧条件において10〜100℃で行うことができ、常圧条件において40〜100℃、あるいは減圧条件下において10〜50℃で行うのが好ましい。
【0212】
本発明のインクジェット記録用水系インクは、例えば一般の万年筆、ボールペン、サインペン等の筆記具用のインクとしても使用可能である。本発明の水系インクを乾燥し、微粒の粉体を得ることもできる。得られた粉体は、電子写真のトナー等にも使用可能である。
【0213】
【実施例】
実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかし、本発明はかかる実施例のみに限定されるものでない。
【0214】
実施例1
〈着色微粒子分散物(A−1)の調製〉
本発明の色素ポリマー(I−1)10g及び酢酸エチル150gをセパラブルフラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換後、攪拌して上記色素ポリマーを完全溶解させた。引き続き、更にラウリル硫酸ナトリウム3gを含む水溶液150gを滴下して撹拌した後、超音波分散機(UH−150型、株式会社エスエムテー製)を用いて300秒間乳化した。その後、減圧下で酢酸エチルを除去し、着色微粒子分散物(A−1)を調製した。
【0215】
〈着色微粒子分散物(A−2)の調製〉
本発明の色素ポリマー(I−2)10g、酢酸エチル100g及びイソプロピルアルコール50gをセパラブルフラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換後、撹拌して上記色素ポリマーを完全溶解させた。引き続き、更にラウリル硫酸ナトリウム3gを含む水溶液150gを滴下して撹拌した後、高速撹拌型乳化分散機TKロボミックスAG−03型(特殊機化工業社製)を用い、ステーターとタービンを有する撹拌部において15000rpmで20分間乳化した。その後、減圧下で酢酸エチル及びイソプロピルアルコールを除去し、着色微粒子分散物(A−2)を調製した。
【0216】
〈着色微粒子分散物(A−3)の調製〉
着色微粒子分散物(A−1)の調製において、本発明の色素ポリマー(I−3)10gを用いた以外は、着色微粒子分散物(A−1)と同様の操作により着色微粒子分散物(A−3)を得た。
【0217】
〈着色微粒子分散物(A−4)〜(A−20)の調製〉
色素ポリマーを表4に示すように変化させて、着色微粒子分散物(A−2)の調製法と同様にして着色微粒子分散物(A−6)、(A−12)、(A−20)を、それ以外は着色微粒子分散物(A−1)の調製法と同様にして着色微粒子分散物を調製した。
【0218】
〈着色微粒子分散物(B−1)〜(B−5)の調製〉
支持ポリマーとしてPA−14(sec−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体)15g、比較の色素(H−1)10g及び酢酸エチル150gをセパラブルフラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換後、攪拌して上記ポリマー及び染料を完全溶解させた。引き続き、更にラウリル硫酸ナトリウム3gを含む水溶液150gを滴下して撹拌した後、超音波分散機(UH−150型、株式会社エスエムテー製)を用いて300秒間乳化した。その後、減圧下で酢酸エチルを除去し、着色微粒子分散物(B−1)を調製した。
【0219】
また、支持ポリマー及び比較の色素を表4に示すように変化させて、着色微粒子分散物(B−1)の調製法と同様にして比較の分散物(B−2)〜(B−5)を調製した。表4に示す粒子径は、大塚電子(株)製レーザー粒径解析システムを用いて行った体積平均粒子径である。以上の結果をまとめて表4に示す。
【0220】
【化58】
【0221】
【化59】
【0222】
【表4】
【0223】
次に、得られた着色微粒子分散物を150μmの厚さを有する合成紙(ユポFPG−150:王子油化社製)上に、それぞれウェット膜厚60μmで塗布・乾燥し、塗布試料を作製した。
【0224】
これら塗布試料について下記性能を評価した。
《耐光性》
キセノンフェードメーターにて120時間曝射した後の、試料の未曝射試料からの可視領域の極大吸収波長における反射スペクトル濃度の低下率を評価した。
【0225】
耐光性(%)=(曝射試料の極大吸収波長濃度/未曝射試料の極大吸収波長濃度)×100
に従って求め、以下の評価基準に基づいて4段階評価した。○以上であれば実用上問題ない。
【0226】
◎:耐光性が95%以上
○:耐光性が90%以上、95%未満
△:耐光性が80%以上、90%未満
×:耐光性が80%未満
《色調》
各塗布試料について、以下の評価基準に基づいて3段階目視評価を行った。○以上であることが望ましい。
【0227】
○:鮮やかな色
△:くすんだ色
×:濁った色
評価結果を表5に示す。
【0228】
【表5】
【0229】
〈インクの作製〉
前記調製した着色微粒子分散物(A−1)〜(A−20)及び(B−1)〜(B−5)をそれぞれ、染料の含有量が仕上がりインクとして、2質量%になる量を秤量し、エチレングリコール15質量%、グリセリン15質量%、サーフィノール465(日信化学工業社製)0.3質量%、残りが純水になるように調製し、更に2μmのメンブランフィルターによって濾過し、ゴミ及び粗大粒子を除去して表6に示すようなインクジェット用インク(I−1)〜(I−20)及び比較のインク(IH−1)〜(IH−5)を得た。
【0230】
各インクをエプソン(株)製インクジェットプリンター(PM800)を用いてコニカフォトジェットペーパーPhotolikeQP光沢紙(コニカ(株)製)にプリントし、得られた画像の耐光性、色調、耐水性について評価した。耐光性、色調については前記と同じ方法で、耐水性については以下の方法で評価した。
【0231】
《耐水性》
マイクロピペットにて、得られた各プリント上に水を滴下し、1分後指で擦ってプリントに乱れが生じたか否かを以下の評価基準に基づいて3段階目視にて判定した。
【0232】
◎:実質的に全く変化が見られない
○:乱れていても画像が識別できる(許容レベル)
×:識別できないほどに画像が乱れている
評価結果を表6に示す。
【0233】
【表6】
【0234】
表5及び表6で示されるように、本発明の着色微粒子分散物、インクジェット記録用水系インクは耐光性及び色調に優れているといえる。
【0235】
実施例2
〈着色微粒子分散物(A−50)の調製〉
支持ポリマーとして、ポリビニルブチラール(積水化学(株)製BL−S、平均重合度350)15g、本発明の色素ポリマー(化合物例I−9)10g及び酢酸エチル150gの混合液をセパラブルフラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換後、攪拌して上記ポリマー及び色素を完全溶解させた。引き続き、更にラウリル硫酸ナトリウム3gを含む水溶液150gを滴下して撹拌した後、超音波分散機(UH−150型、株式会社エスエムテー製)を用いて300秒間乳化した。その後、減圧下で酢酸エチルを除去し、着色微粒子分散物(A−50)を調製した。
【0236】
〈着色微粒子分散物(A−51)の調製〉
高沸点有機溶媒(S−2)10g及び本発明の色素ポリマー(化合物例I−3)10g、及びイソプロピルアルコール40g、tert−ブタノール60gの混合液をセパラブルフラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換後、撹拌して上記高沸点有機溶媒及び色素を完全溶解させた。引き続き、更にラウリル硫酸ナトリウム3gを含む水溶液150gを滴下して撹拌した後、高速撹拌型乳化分散機TKロボミックスAG−03型(特殊機化工業(株)製)を用い、ステーターとタービンを有する撹拌部において15000rpmで20分間乳化した。その後、減圧下でイソプロピルアルコール及びtert−ブタノールを除去し、着色微粒子分散物(A−51)を調製した。
【0237】
〈着色微粒子分散物(A−52)の調製〉
支持ポリマーとして、ポリビニルブチラール(積水化学(株)製BL−S、平均重合度350)10g、本発明の色素ポリマー(化合物例I−18)10g及び酢酸エチル150g、及び高沸点有機溶媒(S−2)5gの混合液をセパラブルフラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換後、攪拌して上記ポリマー及び色素を完全溶解させた。引き続き、更にラウリル硫酸ナトリウム3gを含む水溶液150gを滴下して撹拌した後、超音波分散機(UH−150型、(株)エスエムテー製)を用いて300秒間乳化した。その後、減圧下で酢酸エチルを除去し、着色微粒子分散物(A−52)を調製した。
【0238】
〈着色微粒子分散物(A−53)〜(A−80)の調製〉
支持ポリマー、色素ポリマー、高沸点有機溶媒、及びその比率(質量比)を表7に示すように変化させて、着色微粒子分散物(A−50)の調製法と同様にして着色微粒子分散物(A−53)〜(A−60)を、着色微粒子分散物(A−51)の調製法と同様にして着色微粒子分散物(A−61)〜(A−68)を、着色微粒子分散物(A−52)の調製法と同様にして着色微粒子分散物(A−69)〜(A−80)を調製した。
【0239】
また、支持ポリマー及び比較の色素ポリマーを表7に示すように用いて、着色微粒子分散物(A−52)の調製法と同様にして比較の着色微粒子分散物(B−6)〜(B−10)を調製した。
【0240】
表7に示す粒子径は、大塚電子(株)製レーザー粒径解析システムを用いて行った体積平均粒子径である。以上の結果をまとめて表7に示す。
【0241】
【化60】
【0242】
【表7】
【0243】
〈インクの作製〉
前記調製した着色微粒子分散物を、色素の含有量が仕上がりインクとして、2質量%になる量に秤量し、エチレングリコール15%、グリセリン15%、サーフィノール465(日信化学工業(株)製)0.3%、残りが純水になるように調整し、更に2μmのメンブランフィルターによって濾過し、ゴミ及び粗大粒子を除去して表8に示すようなインクジェット用インク(I−50)〜(I−80)及び比較インク(IH−6)〜(IH−10)を得た。
【0244】
得られたインクの分散安定性について以下に示す方法で評価した。
《分散安定性》
インクを60℃で7日間保管後、下記の通り評価した。○以上であれば実用上問題ない。
【0245】
◎:粒子径変化率が5%未満
○:粒子径変化率が5%乃至10%未満
×:10%以上
また、各インクをエプソン(株)製インクジェットプリンター(PM−800)を用いてコニカフォトジェットペーパーPhotolikeQP光沢紙(コニカ(株)製)にプリントし、得られた画像の色調ついて評価した。色調については前記実施例1と同様に評価した。上記評価結果をまとめて表8に示す。
【0246】
【表8】
【0247】
表8から本発明のインクジェット記録用水系インクは、安定した分散性を示し、色調にも優れていることが判る。
【0248】
実施例3
〈着色微粒子分散物(A−100)の調製〉
本発明の色素ポリマー(化合物例I−6)15g、酢酸エチル150gをセパラブルフラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換後、撹拌して上記ポリマー及び色素を完全に溶解させた。ラウリル硫酸ナトリウム6gを含む水溶液200gを滴下後、超音波分散機(UH−150型、(株)エスエムテー製)を用いて300秒間乳化した。その後、減圧下で酢酸エチルを除去し、色素を含浸する着色微粒子分散物を得た。この分散液に0.45gの過硫酸カリウムを加えて溶解し、ヒーターを付して70℃に加温後、更に6gのスチレン及び3gの2−ヒドロキシエチルメタクリレートの混合液を滴下しながら7時間反応させてコアシェル型の着色微粒子を得た。平均粒子径は81nmであった。なお、粒子径は大塚電子(株)製レーザー粒径解析システムを用いて測定した体積平均粒子径である。
【0249】
〈着色微粒子分散物(A−101)の調製〉
支持ポリマーとして、15gのポリビニルブチラール(積水化学(株)製BL−S、平均重合度350)、本発明の色素ポリマー(化合物例I−3)15g、酢酸エチル150gをセパラブルフラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換後、撹拌して支持ポリマー及び色素ポリマーを完全に溶解させた。ラウリル硫酸ナトリウム6gを含む水溶液200gを滴下後、超音波分散機(UH−150型、(株)エスエムテー製)を用いて300秒間乳化した。その後、減圧下で酢酸エチルを除去し、色素ポリマーを含浸する着色微粒子分散物を得た。この分散液に0.45gの過硫酸カリウムを加えて溶解し、ヒーターを付して70℃に加温後、更に6gのスチレン及び3gのポリエチレングリコールメタクリレートの混合液を滴下しながら7時間反応させてコアシェル型の着色微粒子を得た。平均粒子径は91nmであった。なお、粒子径は大塚電子(株)製レーザー粒径解析システムを用いて測定した体積平均粒子径である。
【0250】
〈着色微粒子分散物(A−102)の調製〉
ポリウレタン(モートンケミカル社製CA118)8g、ポリビニルブチラール(積水化学(株)製BL−S、平均重合度350)2g、ジョンクリル67(ジョンソンポリマー(株)製)5g、本発明の色素ポリマー(化合物例I−10)10g及び酢酸エチル150gをセパラブルフラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換後、攪拌して支持ポリマー及び色素ポリマーを完全溶解させた。引き続き、更に、ジョンクリル67を中和するのに必要量の水酸化ナトリウム及びラウリル硫酸ナトリウム3gを含む水溶液150gを滴下して撹拌した後、超音波分散機(UH−150型、(株)エスエムテー製)を用いて70℃、300秒間乳化した。その後、減圧下で酢酸エチルを除去し、色素を含浸する着色微粒子分散物を得た。(シェルポリマー:ジョンクリル、25%)
以下、表中シェルとして添加したポリマーを下記記号で示す。
【0251】
P:スチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート
Q:スチレン/ポリエチレングリコールメタクリレート
R:ジョンクリル67
次いで、シェルポリマーとしてPを用いたものはA−100と、Qを用いたものはA−101と、Rを用いたものはA−102と同様の方法を用い、またコアとして用いた着色微粒子分散物の調製に用いた支持ポリマー、色素ポリマー、シェルのポリマーの種類及び比率(質量比)を表9に記載のように変化させてコア/シェル構造を有する着色微粒子分散物(A−103)〜(A−130)及び(B−11)〜(B−15)を調製した。なお、コアの支持ポリマー、色素及びシェルを構成するポリマーの質量比は各分散物について表9に示した。
【0252】
【表9】
【0253】
〈インクの作製〉
前記調製した着色微粒子分散物(A−100)〜(A−130)及び(B−11)〜(B−15)をそれぞれ色素の含有量が仕上がりインクとして、2質量%になる量を秤量し、エチレングリコール15%、グリセリン15%、サーフィノール465(日信化学工業(株)製)0.3%、残りが純水になるように調整し、更に2μmのメンブランフィルターによって濾過し、ゴミ及び粗大粒子を除去して表10に示すようなインクジェット用インク(I−100)〜(I−130)及び比較インク(IH−11)〜(IH−15)を得た。
【0254】
インクの分散安定性について、前記と同様の試験を行ったほか、各インクをエプソン(株)製インクジェットプリンター(PM−800)を用いてコニカフォトジェットペーパーPhotolikeQP光沢紙(コニカ(株)製)にプリントし、得られた画像の色調、耐光性について前記と同様に評価し、また吐出安定性についても評価した。
【0255】
《吐出安定性》
プリンターで連続射出する際、下記の通り評価した。
【0256】
○:10分以上ノズル欠が出ない
×:上記未満でノズル欠がある
評価の結果を表10に示す。
【0257】
【表10】
【0258】
表10から本発明のインクジェット用インクは、画像の色調、耐光性がよく、安定した分散性を示し、インク吐出性にも優れていることが分かる。
【0259】
【発明の効果】
本発明により、保存安定性に優れ、色画像の耐光性が高く、高濃度で、良好な色再現性のための色調に優れた着色微粒子の水系分散体、これを用いた色再現性及び安定性に優れたインクジェット記録用水系インク及び着色微粒子の水系分散体の製造方法を提供することができる。
Claims (9)
- Dで表される色素残基が下記一般式(4)で表されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の着色微粒子の水系分散体。
- 高沸点有機溶媒を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の着色微粒子の水系分散体。
- 支持ポリマーを含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の着色微粒子の水系分散体。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の着色微粒子の水系分散体に含まれる着色微粒子をコアとし、この周りにシェルを形成することを特徴とする着色微粒子の水系分散体。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の着色微粒子の水系分散体を含有することを特徴とするインクジェット記録用水系インク。
- 低沸点有機溶媒を含む油状物を水系媒体中に乳化分散し、その後該低沸点有機溶媒を除去する工程を経て製造することを特徴とする着色微粒子の水系分散体の製造方法。
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