JP2004002199A - 電極被覆用ガラスおよびプラズマディスプレイパネル - Google Patents
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Abstract
【課題】電極等との反応性が小さく、かつ、電極被覆ガラス層の透明性を高くできる電極被覆用ガラスを得る。
【解決手段】モル%表示で、PbO:25〜41%、Bi2O3:0〜5%、B2O3:35〜42%、SiO2:2.6〜10%、Al2O3:2.6〜6.5%、ZnO:7〜15%、CuO:0.2〜0.8%、In2O3:0.5〜1%、SnO2:0〜1%、CeO2:0〜1%、からなる電極被覆用ガラス。プラズマディスプレイパネル前面基板のガラス基板上に形成された透明電極の被覆に好適である。
【選択図】図1
【解決手段】モル%表示で、PbO:25〜41%、Bi2O3:0〜5%、B2O3:35〜42%、SiO2:2.6〜10%、Al2O3:2.6〜6.5%、ZnO:7〜15%、CuO:0.2〜0.8%、In2O3:0.5〜1%、SnO2:0〜1%、CeO2:0〜1%、からなる電極被覆用ガラス。プラズマディスプレイパネル前面基板のガラス基板上に形成された透明電極の被覆に好適である。
【選択図】図1
Description
本発明は、電極、特にITO(スズがドープされた酸化インジウム)または酸化スズ等の透明電極を絶縁被覆するのに適したガラス、およびプラズマディスプレイパネルに関する。
近年、薄型の平板型カラー表示装置が注目を集めている。このような表示装置においては、画像を形成する画素における表示状態を制御するために各画素に電極を形成しなければならない。画像の質の低下を防ぐために、前記電極として透明電極が用いられている。透明電極としては、ガラス基板上に形成されたITOまたは酸化スズの薄膜が多く用いられている。ここでいう酸化スズは、フッ素、アンチモン、等がドープされた酸化スズを含む。
前記表示装置の表示面として使用されるガラス基板の表面に形成される透明電極は、精細な画像を実現するために細い線状に加工される。そして各画素を独自に制御するためには、このような微細に加工された透明電極相互の絶縁性を確保する必要がある。しかし、ガラス基板の表面に水分が存在する場合やガラス基板中にアルカリ成分が存在する場合、このガラス基板の表面を介して若干の電流が流れることがある。このような電流を防止するには、透明電極間に絶縁層を形成することが有効である。また、透明電極間に形成される絶縁層による画像の質の低下を防ぐためには、この絶縁層は透明であることが好ましい。このような絶縁層を形成する絶縁材料としては種々のものが知られているが、なかでも、透明であり信頼性の高い絶縁材料であるガラス材料が広く用いられている。
最近大型平面カラーディスプレイ装置として期待されているプラズマディスプレイパネル(以下PDPという。)においては、典型的には、表示面として使用される前面基板、背面基板および隔壁によりセルが区画形成されており、該セル中でプラズマ放電を発生させることにより画像が形成される。前記前面基板の表面には透明電極が形成されており、この透明電極をプラズマから保護するために、プラズマ耐久性に優れたガラスにより前記透明電極を被覆することが必須である。
このような電極被覆に用いられるガラスは、通常はガラス粉末にして使用される。たとえば、前記ガラス粉末に必要に応じてフィラー等を添加後ペースト化し、このようにして得られたガラスペーストを、透明電極が形成されているガラス基板に塗布、焼成することによって前記透明電極を被覆する。
また、PDPの前面基板において、ITOまたは酸化スズ等の透明電極のみでは電気抵抗が高すぎる場合、これら透明電極上にAg、Al、三層構造のCr−Cu−Cr等の金属層(以下、この金属層を金属電極という。)を形成する場合がある。この場合、前記ガラスペーストは金属電極上にも塗布、焼成される。
このような電極被覆用ガラスには、電気絶縁性の他に、電極(透明電極、金属電極等)、ガラス基板等との反応性が小さいこと、焼成して得られる電極被覆ガラス層の透明性が高いこと、等が求められており、種々のガラスが従来より提案されている。たとえば、特許文献1には、ITOからなる透明電極とその電極被覆ガラス層との反応を抑制するためにIn2O3が添加された電極被覆用ガラスが開示されている。その実施例1〜11の電極被覆用ガラスの組成は、質量百分率表示で、PbO:36.0〜59.5%、B2O3:17.0〜25.0%、SiO2:2.5〜4.0%、Al2O3:0〜2.5%、ZnO:9.5〜18.5%、In2O3:0〜3.0%、SnO2:0〜1.5%、CaO:0〜5.0%、SrO:0〜9.0%、BaO:0〜16.5%の範囲にある。
しかし、電極、ガラス基板等との反応性、および、電極被覆ガラス層の透明性に関する要求は、近年、より厳しくなり、従来の電極被覆用ガラスによってこれら反応性および透明性に関する要求を同時に満たすことは困難であった。本発明は、これら要求を同時に満たす電極被覆用ガラスおよびPDPの提供を目的とする。
本発明は、下記酸化物基準のモル%表示で、実質的に、
PbO 25〜41%、
Bi2O3 0〜5%、
B2O3 35〜42%、
SiO2 2.6〜10%、
Al2O3 2.6〜6.5%、
ZnO 7〜15%、
CuO 0.2〜0.8%、
In2O3 0.5〜1%、
SnO2 0〜1%、
CeO2 0〜1%、
からなる電極被覆用ガラスを提供する。
PbO 25〜41%、
Bi2O3 0〜5%、
B2O3 35〜42%、
SiO2 2.6〜10%、
Al2O3 2.6〜6.5%、
ZnO 7〜15%、
CuO 0.2〜0.8%、
In2O3 0.5〜1%、
SnO2 0〜1%、
CeO2 0〜1%、
からなる電極被覆用ガラスを提供する。
また、本発明は、前面基板を有するPDPであって、該前面基板を構成するガラス基板上の透明電極が前記電極被覆用ガラスにより被覆されているPDPを提供する。
本発明のガラスを用いることにより、ガラス基板上の透明電極を被覆するガラス層の透明性を高くでき、PDPの画質向上が可能となるとともに、電極、ガラス基板等との反応性を抑制でき、たとえば透明電極の電気抵抗上昇を抑制できる。また、前記ガラス層中の炭素含有不純物残存量が減少しPDPにおける輝度低下が起りにくくなる。
本発明のPDPは、前面基板の透過率が高く、画質が優れている。
本発明のPDPは、前面基板の透過率が高く、画質が優れている。
本発明のガラスは、通常は粉末状にして使用される。本発明のガラスの粉末は、たとえば、印刷性を付与するための有機ビヒクル等を用いてガラスペーストとされ、これを、ガラス基板上に形成された電極上に塗布、焼成して電極を被覆する。ここでいう有機ビヒクルは、エチルセルロース等のバインダをα−テルピネオール等の有機溶剤に溶解したものである。PDPにおいては、本発明のガラスは前面基板の透明電極の被覆に好適に使用され、前記焼成温度は典型的には580℃である。
本発明のガラスの粉末は前記ガラスペーストとしてのみ使用されるものではない。たとえば、グリーンシートとしても使用される。この場合、本発明のガラスの粉末は樹脂と混練され、得られた混練物はポリエチレンフィルム等の支持フィルムの上に塗布されてグリーンシートとされ、該グリーンシートはガラス基板上に形成された電極上に転写後、焼成され、電極を被覆する。
前記粉末の平均粒径は0.5μm以上であることが好ましい。0.5μm未満では、焼成して得られた電極被覆ガラス層中の気泡が多くなり透明性が低下するおそれがあり、また、粉末状にするために要する時間が顕著に増加するおそれがある。より好ましくは0.7μm以上である。また、前記平均粒径は3μm以下であることが好ましい。
また、前記粉末の最大粒径は35μm以下であることが好ましい。PDPにおける前記電極被覆ガラス層の厚さは通常40μm以下であるが、前記最大粒径が35μm超ではこの電極被覆ガラス層の表面に凹凸が発生しPDPの画像がゆがむおそれがある。前記最大粒径は、より好ましくは20μm以下である。
本発明のガラスは、その粉末を加圧成形したものを580℃に5時間保持したときにその表面に結晶が析出していないものであることが好ましい。結晶が析出するものであると、電極被覆ガラス層の透明性が低下するおそれがある。なお、前記結晶が析出しているか否かは光学顕微鏡によって調べる。
本発明のガラスのガラス転移点TGは400℃以上であることが好ましい。400℃未満ではPDPの前面基板と背面基板を対向させてシールする工程において酸化マグネシウム層にクラックが発生するおそれがある。より好ましくは405℃以上である。なお、前記工程の典型的な温度は410℃であり、前記酸化マグネシウム層は電極被覆ガラス層上に形成されている。
本発明のガラスの軟化点TSは500℃以下であることが好ましい。500℃超では焼成時に充分流動しなくなるおそれがある、または焼成時に発生した気泡が浮上脱泡しにくくなるおそれがある。より好ましくは495℃以下、特に好ましくは490℃以下である。
また、TGが400℃以上であり、かつTSが500℃以下であることが好ましい。
また、TGが400℃以上であり、かつTSが500℃以下であることが好ましい。
本発明のガラスの50〜350℃における平均線膨張係数αは75×10-7〜85×10-7/℃の範囲にあることが好ましい。この範囲外では、前記平均線膨張係数が80×10-7〜90×10-7/℃である従来のガラス基板との膨張特性マッチングが困難となるおそれがある。より好ましくは、αは77×10-7/℃以上であり、また83×10-7/℃以下である。
次に、本発明のガラスについてモル%表示の含有量を%で示して説明する。
PbOはTSを低下させる効果を有し、必須である。25%未満では前記効果が小さい。41%超では、TGが低下する、透明電極と反応しやすくなる、またはαが大きくなる。好ましくは39%以下、特に好ましくは38%以下である。
Bi2O3は必須ではないが、TSを低下させるために5%まで含有してもよい。5%超ではガラスが黄色に着色したり、比誘電率が大きくなりすぎたりするおそれがある。好ましくは3%以下である。また、PbOの含有量とBi2O3の含有量の合計は33%以上であることが好ましい。33%未満ではTSが低下するおそれがある。より好ましくは34%以上である。
PbOはTSを低下させる効果を有し、必須である。25%未満では前記効果が小さい。41%超では、TGが低下する、透明電極と反応しやすくなる、またはαが大きくなる。好ましくは39%以下、特に好ましくは38%以下である。
Bi2O3は必須ではないが、TSを低下させるために5%まで含有してもよい。5%超ではガラスが黄色に着色したり、比誘電率が大きくなりすぎたりするおそれがある。好ましくは3%以下である。また、PbOの含有量とBi2O3の含有量の合計は33%以上であることが好ましい。33%未満ではTSが低下するおそれがある。より好ましくは34%以上である。
Bi2O3を実質的に含有しない場合、すなわち、その含有量が不純物レベル以下である場合、PbOの含有量は、より好ましくは35%以上、特に好ましくは37%以上である。前記不純物レベルのBi2O3含有量とは、典型的には0.2%以下、より典型的には0.05%以下である。
B2O3はガラスを安定化させる効果を有し、必須である。35%未満では前記効果が小さくなり、たとえば、それを補償するためのSiO2の増加、さらにそれに伴なうTS上昇を抑制するためのPbOの増加が必要となり、その結果透明電極と反応しやすくなる、またはαが大きくなるおそれがある。また、35%未満ではαが大きくなるおそれがある。好ましくは37%以上である。42%超ではTSが高くなる、または、焼成時に結晶が析出しやすくなる。好ましくは41%以下である。
SiO2はガラスを安定化させる効果を有し、必須である。2.6%未満では、前記効果が小さくなり、たとえば、それを補償するためにB2O3を42%超含有しなければならなくなるおそれがある。好ましくは3%以上、より好ましくは4%以上である。10%超ではTSが高くなる、またはTS上昇を抑制するためのPbOの増加が必要となり、その結果透明電極と反応しやすくなる、またはαが大きくなるおそれがある。好ましくは8%以下、より好ましくは6%以下である。
Al2O3はガラスを安定化させ、またIn2O3と併存することにより透明電極との反応を抑制する効果を有し、必須である。2.6%未満では前記効果が小さくなり、たとえば、先にB2O3が35%未満の場合について述べた現象が起るおそれがある。好ましくは3%以上である。6.5%超ではTSが高くなる、またはTS上昇を抑制するためのPbOの増加が必要となり、その結果透明電極と反応しやすくなる、またはαが大きくなる。好ましくは6%以下、より好ましくは5.5%以下である。
ZnOは、透明電極との反応を抑制する、またはαを小さくする効果を有し、必須である。7%未満では前記効果が小さい。好ましくは10%以上である。15%超ではTSが高くなる、または焼成時に結晶が析出しやすくなる。好ましくは14%以下である。
CuOは焼成時に発生した気泡の脱泡を促進する効果を有し、必須である。0.2%未満では前記効果が小さい。好ましくは0.3%以上である。0.8%超では着色が顕著となる、または該着色による透明性低下が顕著となる。好ましくは0.7%以下である。
In2O3は透明電極との反応を抑制する効果を有し、必須である。0.5%未満では前記効果が小さい。好ましくは0.6%以上、より好ましくは0.7%以上である。1%超では焼成時に発生した気泡が浮上脱泡しにくくなる。好ましくは0.9%以下、より好ましくは0.8%以下である。
SnO2は必須ではないが、有機ビヒクル等に含まれる炭素含有不純物に起因する着色を抑制するために1%まで含有してもよい。好ましくは0.8%以下、より好ましくは0.6%以下である。SnO2を含有する場合、その含有量は好ましくは0.2%以上、より好ましくは0.4%以上である。
CeO2は必須ではないが、有機ビヒクル等に含まれる炭素含有不純物に起因する着色を抑制するために1%まで含有してもよい。1%超では黄色着色が顕著になるおそれがある。好ましくは0.8%以下、より好ましくは0.6%以下である。着色をより抑制したい場合、実質的に含有しないこと、たとえば0.1%以下とすることが好ましい。
なお、SnO2およびCeO2を含有する場合、これらの含有量の合計SnO2+CeO2は1%以下であることが好ましい。
なお、SnO2およびCeO2を含有する場合、これらの含有量の合計SnO2+CeO2は1%以下であることが好ましい。
Bi2O3を実質的に含有しない場合、PbOは35〜39%、SiO2は3〜6%、Al2O3は3〜5.5%、ZnOは10〜14%、SnO2+CeO2は0〜1%であることが好ましい。
本発明のガラスは実質的に上記成分からなるが、その他の成分を本発明の目的を損なわない範囲で含有してもよい。なお、前記「その他の成分」の含有量の合計は、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下である。
前記「その他の成分」として、MgO、CaO、SrO、BaO、TiO2、ZrO2、La2O3、Li2O、Na2O、K2O、F等が例示される。
前記「その他の成分」として、MgO、CaO、SrO、BaO、TiO2、ZrO2、La2O3、Li2O、Na2O、K2O、F等が例示される。
MgO、CaO、SrOまたはBaOはαを大きくする等のための成分であるが、それらの含有量はそれぞれ5%以下、5%以下、5%以下、5%以下であることが好ましい。
TiO2、ZrO2またはLa2O3は耐水性を高くする等のための成分であるが、それらの含有量はそれぞれ3%以下、3%以下、2%以下であることが好ましい。
Li2O、Na2O、K2O等のアルカリ金属酸化物、または、F等のハロゲンは、TSを低下させるための成分であるが、ガラスの絶縁性を低下させるおそれがあり、アルカリ金属酸化物についてはその含有量の合計は5%以下、ハロゲンについてはその含有量の合計は2%以下であることがそれぞれ好ましい。
本発明のPDPの前面基板においては、ガラス基板の上に透明電極が形成されており、該透明電極が形成されているガラス基板の表面が本発明のガラスにより被覆されている。
前面基板に用いられるガラス基板の厚さは通常2.8mmであり、このガラス基板自体の標準C光源を用いた可視光透過率(以下単に可視光透過率という。)は典型的には92%である。
また、透明電極は、たとえば幅0.5mmの帯状であり、それぞれの帯状電極が互いに平行となるように形成される。各帯状電極中心線間の距離は、たとえば0.83〜1.0mmである。
本発明のPDPの前面基板については、可視光透過率は80%以上であることが好ましい。80%未満ではPDPの画質が低下するおそれがある。より好ましくは82%以上である。
本発明のPDPは、たとえば交流方式のものであれば次のようにして製造される。
図1に示すように、ガラス基板1aの表面にパターニングされた透明電極2およびバス線(図示せず)を形成したのち、本発明のガラスの粉末を塗布・焼成してガラス層3を形成し、最後に保護膜として酸化マグネシウム層(図示せず)を形成し、前面基板10とする。一方、ガラス基板1bの上には、パターニングされたアドレス用電極5を形成したのち、ストライプ状に隔壁6を形成し、さらに蛍光体層4を印刷・焼成して背面基板20とする。
図1に示すように、ガラス基板1aの表面にパターニングされた透明電極2およびバス線(図示せず)を形成したのち、本発明のガラスの粉末を塗布・焼成してガラス層3を形成し、最後に保護膜として酸化マグネシウム層(図示せず)を形成し、前面基板10とする。一方、ガラス基板1bの上には、パターニングされたアドレス用電極5を形成したのち、ストライプ状に隔壁6を形成し、さらに蛍光体層4を印刷・焼成して背面基板20とする。
前面基板10と背面基板20の周縁にシール材(図示せず)をディスペンサで塗布し、透明電極2とアドレス用電極5が対向するように組み立てた後、焼成してPDPとする。そしてPDP内部を排気して、放電空間7にNeやHe−Xeなどの放電ガスを封入する。
なお、上記の例は交流方式のものであるが、本発明は直流方式のものにも適用できる。
なお、上記の例は交流方式のものであるが、本発明は直流方式のものにも適用できる。
表1、2のPbOからSnO2までの欄にモル%表示で示す組成となるように、原料を調合して混合し、1000〜1300℃の電気炉中で白金ルツボを用いて1時間溶融し、薄板状ガラスに成形した後、ボールミルで粉砕し、ガラス粉末(平均粒径=1μm、最大粒径≦13μm)を得た。
例1〜6は実施例、例7〜13は比較例であり、そのうち、例12、13はそれぞれ特開平10−316451号公報の表1中の実施例2、3に記載されているガラスである。
これらガラス粉末のTG(単位:℃)、TS(単位:℃)およびα(単位:10-7/℃)を測定した。結果を表1、2に示す。なお、例12、13についてはTGおよびTSのみ測定した。また、例1〜11については、先に述べた方法で結晶析出の有無は認められなかった(例12、13は調べなかった。)。
これらガラス粉末100gを有機ビヒクル25gと混練し、ガラスペーストを作製した。前記有機ビヒクルは、α−テルピネオールまたはジエチレングリコールモノブチルエーテルモノアセテートにエチルセルロースを質量百分率表示で10%溶解したものである。
次に、大きさ50mm×75mm、厚さ2.8mmのガラス基板を用意した。該ガラス基板は、質量百分率表示の組成が、SiO2:58%、Al2O3:7%、MgO:2%、CaO:5%、SrO:7%、BaO:8%、ZrO2:3%、Na2O:4%、K2O:6%であるガラスA(50〜350℃における平均線膨張係数:87×10-7/℃)からなり、その上には帯状のITO透明電極が形成されており、さらに該ITO透明電極上の一部にCr−Cu−Cr層(金属電極)が形成されている。
このガラス基板のITO透明電極が形成されている面全面に、前記ガラスペーストを均一にスクリーン印刷後、120℃で10分間乾燥した。このガラス基板を昇温速度10℃/分で580℃になるまで加熱し、さらにその温度に15分間保持して、焼成した。透明電極を被覆するガラス層の厚さは30μmであった。
前記焼成後のガラス基板のITO透明電極が形成されていない部分、金属電極が形成されていないITO透明電極部分、金属電極縁部分をそれぞれ光学顕微鏡によって観察し、電極被覆ガラス層中の気泡の残存状況を観察した。結果を表1、2の「ガラス基板上」、「透明電極上」、「金属電極縁」の欄にそれぞれ示す。○は残存気泡がゼロまたは少、×は残存気泡が多、△はその中間であり、○または△であることが好ましく、○であることがより好ましい。
さらに、ITO透明電極の電極被覆ガラス層による侵食状況を光学顕微鏡によって観察した。結果を表1、2の「透明電極侵食」の欄に示す。○は侵食が認められないまたはわずか、×は侵食が顕著、△はその中間であることをそれぞれ示し、○または△であることが好ましく、○であることがより好ましい。
また、前記ガラスAからなる大きさ50mm×50mm、厚さ2.8mmの、ITO透明電極がべた状に形成されたガラス基板を用意し、その上の45mm×50mmの部分に前述と同様にして厚さ30μmの電極被覆ガラス層をべた状に形成した。なお、電極被覆ガラス層が形成されていない部分はガラス基板の両端の幅2.5mm×2の部分とした。この両端の、電極被覆ガラス層が形成されていない部分に電圧を印加し、電気抵抗(単位:Ω/cm2)を測定した。電圧印加部分間の距離は48mmであった。結果を表1、2に示すが、該電気抵抗は250Ω/cm2以下であることが好ましい。より好ましくは200Ω/cm2以下、特に好ましくは150Ω/cm2以下、最も好ましくは100Ω/cm2以下である。
さらに、前記「べた状に電極被覆ガラス層が形成されたガラス基板」の可視光透過率(単位:%)を測定した。結果を表1、2に示すが、80%以上であることが好ましい。例5、8、9、10については測定しなかった。
前記可視光透過率は、580℃に15分間保持する焼成を行った場合についてのものであるが、例1、12、13については、580℃に30分間、590℃に15分間、30分間保持する焼成を行った場合についても可視光透過率を測定した。
前記可視光透過率はITO透明電極がべた状に形成されたガラス基板についてのもの(電極被覆ガラス層の下層が透明電極であるもの)であるが、さらに、ガラス基板に電極被覆ガラス層を直接べた状に形成したもの(電極被覆ガラス層の下層がガラス基板であるもの)についても同様に可視光透過率を測定した。すなわち、前記ガラスAからなる大きさ50mm×50mm、厚さ2.8mmのガラス基板を用意し、その上の45mm×50mmの部分に前述と同様にして厚さ30μmの電極被覆ガラス層をべた状に形成し、可視光透過率を測定した。焼成は、580℃または590℃に、15分間または30分間保持して行った。
可視光透過率(単位:%)の測定結果を表3に示す。
下層が透明電極のものと下層がガラス基板のものとを同じ焼成条件で比較したときに、前者の可視光透過率が後者の可視光透過率より小さいのは、前者においては電極被覆ガラス層と透明電極の反応が起っているためと考えられる。下層が透明電極のものの可視光透過率と下層がガラス基板のものの可視光透過率の差は、本発明のガラスである例1、比較例である例13においてはいずれも1〜7%であるのに対し、比較例である例12は8〜15%である。したがって、例12においては例1、例13に比べて、電極被覆ガラス層と透明電極の反応が顕著に起っていると考えられる。
下層が透明電極のものと下層がガラス基板のものとを同じ焼成条件で比較したときに、前者の可視光透過率が後者の可視光透過率より小さいのは、前者においては電極被覆ガラス層と透明電極の反応が起っているためと考えられる。下層が透明電極のものの可視光透過率と下層がガラス基板のものの可視光透過率の差は、本発明のガラスである例1、比較例である例13においてはいずれも1〜7%であるのに対し、比較例である例12は8〜15%である。したがって、例12においては例1、例13に比べて、電極被覆ガラス層と透明電極の反応が顕著に起っていると考えられる。
また、下層が透明電極のものの可視光透過率は、例1が82〜83%である、すなわち80%以上であるのに対し、例12は63〜70%、例13は42〜49%であり、いずれも80%未満である。例12において前記可視光透過率が低いのは、主に電極被覆ガラス層と透明電極の反応によるものと考えられる。例13において前記可視光透過率が低いのは、前記反応によるものというよりも電極被覆ガラス層内の焼成時の脱泡が不充分なためと考えられる。
以上のことから、本発明のガラスである例1においては電極被覆ガラス層と透明電極の反応は少なく、また、焼成時の脱泡も充分行われており、その結果、電極被覆ガラス層の透明性が優れていると考えられる。
1a:ガラス基板
1b:ガラス基板
2:透明電極
3:ガラス層
4:蛍光体層
5:アドレス用電極
6:隔壁
7:放電空間
10:前面基板
20:背面基板
1b:ガラス基板
2:透明電極
3:ガラス層
4:蛍光体層
5:アドレス用電極
6:隔壁
7:放電空間
10:前面基板
20:背面基板
Claims (8)
- 下記酸化物基準のモル%表示で、実質的に、
PbO 25〜41%、
Bi2O3 0〜5%、
B2O3 35〜42%、
SiO2 2.6〜10%、
Al2O3 2.6〜6.5%、
ZnO 7〜15%、
CuO 0.2〜0.8%、
In2O3 0.5〜1%、
SnO2 0〜1%、
CeO2 0〜1%、
からなる電極被覆用ガラス。 - PbOは35〜39%であり、SiO2は3〜6%であり、Al2O3は3〜5.5%であり、ZnOは10〜14%であり、SnO2+CeO2は0〜1%であり、かつ、Bi2O3を実質的に含有しないことを特徴とする請求項1に記載の電極被覆用ガラス。
- ガラス転移点が400℃以上であり、かつ軟化点が500℃以下である請求項1または2に記載の電極被覆用ガラス。
- 50〜350℃における平均線膨張係数が75×10-7〜85×10-7/℃の範囲にある請求項1、2または3に記載の電極被覆用ガラス。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の電極被覆用ガラスであって、プラズマディスプレイパネル前面基板の透明電極の被覆に用いられる電極被覆用ガラス。
- 透明電極がガラスによって被覆され可視光透過率が80%以上であるプラズマディスプレイパネル前面基板の前記ガラスとして用いられる請求項5に記載の電極被覆用ガラス。
- 前面基板を有するプラズマディスプレイパネルであって、該前面基板を構成するガラス基板上の透明電極が請求項1〜6のいずれかに記載の電極被覆用ガラスにより被覆されているプラズマディスプレイパネル。
- 前記前面基板の可視光透過率が80%以上である請求項7に記載のプラズマディスプレイパネル。
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- 2003-07-16 JP JP2003275210A patent/JP2004002199A/ja active Pending
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