JP2003531584A - ニューモコッカス莢膜多糖類の調整的製造 - Google Patents
ニューモコッカス莢膜多糖類の調整的製造Info
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Abstract
Description
I44231)により一部支援され、したがって米国政府が本発明において一定
の権利を有する。
lar porlysaccharide)物質の産生、およびかかる物質を用いたワクチンの製造
に関する。 ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)は、肺炎球
菌(pneumococcus)と呼ばれる場合もあるが、一般に、ヒト鼻咽腔の粘膜表面に
コロニーを形成する共生生物である。生物が下部気道に近づくことを宿主因子が
許容する場合、結果として強力な炎症応答が起こり、肺胞空気腔が滲出液で満た
されるので濃密な硬変に至る。この状態は一般的に肺炎と呼ばれる(Tuomanenら
、1995)。肺炎球菌感染症の最も重篤な発現は菌血症であり、これは敗血症
、髄膜炎またはその両方を併発し得る。成人における菌血症は通常、肺炎の合併
症である(Razら、1997)。
対抗する肺炎球菌の能力は、生物の主な毒性因子の発現を必要とし、これは多糖
類莢膜である(Averyら、1931;Watsonら、1990)。肺炎球菌は90を
下回らない構造的に独自の莢膜多糖類(CPS)を合成することができる。 肺炎球菌CPSは、食作用阻止特性を示し、保菌(carriage)の重要な段階(
すなわち、感染しているが、症状が現れている必要はない個体から生物が次々と
広がること)であり、おそらくは後に疾患の病因となる宿主細胞への接着を抑制
する(Ringら、1998)。他の被包性種(例えば、ヘモフィルス・インフルエ
ンゼ(Haemophilus influenzae)、ナイセリア・メニンジティディス(Neisser
ia meningitidis)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogene
s)、およびストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae
)における同様の発見が、宿主細胞との接着的相互作用および体液性免疫に対す
る耐性の両方を許容するためにどれくらいの量のCPSを一時的に変えなければ
ならないかの理解につながった(Hammerschmidtら、1996;Levinら、199
8;Schragerら、1996;Sellinら、1995;St. Geme IIIら、1991)
。
変化する。CPS発現を調節する調節メカニズムは、以前にはあまりよく理解さ
れていなかった。ほとんどの肺炎球菌単離菌は少なくとも2形態で表現型の変異
を受け、これはコロニーの不透明度により区別することができる(Weiser、19
98;Weiserら、1994)。不透明な(O)コロニーは、同じ菌株の透明な(
T)変種とは合成されるCPSの量が異なり、O形は一般により多量のCPSを
産生する(Kimら、1998)。
に対して大きな影響を及ぼし得る(MacLeodら、1950)。T−形コロニーと
比較してO−形態コロニーにより産生される1.2〜5.6倍高いCPSの量は
、免疫血清を用いたオプソニン食菌作用に対する肺炎球菌の耐性の増大と相関す
る(Kimら、1999)。全身性感染のネズミモデルにおいて、いくつかの肺炎
球菌株のO−変種だけが敗血症を引き起こした(Kimら、1998)。対照的に
、T形はさらに多量の他の細胞表面多糖類、テイコ酸(teichoic acid)を発現
する。肺炎球菌細胞壁テイコ酸はCPSと共有結合し、珍しい宿主様成分、ホス
ホリルコリンを含む。この多糖類は、血小板活性化因子の受容体を介した肺炎球
菌の上皮細胞との接着に貢献する(Cundellら、1995;Cundellら、1995
;Kimら、1998)。T形はさらに、接着およびコロニー形成を促進するよう
に作用するCbpAを含む細胞表面コリン結合蛋白の変更された分布を示す(Ro
senowら、1997)。未成熟ラットモデルにおける保菌中、OでなくT表現型
を示す肺炎球菌変種の選択が存在する(Weiserら、1994)。これらの観察は
、肺炎球菌は高い接着性および保菌を示す形態(すなわち、T−形)と侵襲性感
染における生存物により効果的に適用される非接着形態(すなわち、O−形)間
では異なることを示唆する。
エ変種の区分に用いられる診断法の基礎を形成する。異なる変種は異なる生理学
的特性(例えば、抗菌剤に対する感受性または肺炎の開始または発症の特徴的速
度)を示し得るので、肺炎球菌変種を区分できることは医学的に有利である。さ
らに、ヒト(または他の脊椎動物)の免疫系が各変種の肺炎球菌変種を認識し、
攻撃する能力は各変種のCPSを特異的に認識する能力に依存するので、肺炎球
菌変種特異性CPSが得られることは、肺炎球菌感染症と関連する疾患を軽減す
るための治療法および予防法および組成物の開発に著しく影響を及ぼす。例えば
、公知の肺炎球菌ワクチンは、多くの肺炎球菌変種から得られるCPSを含む。
組成物および方法が依然として非常に必要とされている。これらの組成物および
方法の多くは、単離された肺炎球菌CPSを含み、利用し、あるいはその開発の
ために依存する。CPSを肺炎球菌から単離するための従来公知の方法は、一般
に低収率を特徴とする。本発明は、肺炎球菌変種から得ることができるCPSの
収率を向上させる方法を含み、診断、予知、治療、および予防用組成物の産生お
よび使用および肺炎球菌感染症に関連する方法を向上させる。
糖類を産生する方法の改良法に関する。一の態様において、改良は、大気より低
い濃度の酸素を有する気体を増殖培地と接触した状態に維持することを含む(例
えば、酸素濃度が約16%以下、または約0.1%以下)。肺炎球菌はストレプ
トコッカス属の生物、例えば、ストレプトコッカス・ニューモニエ種の生物(例
えば、エス・ニューモニエ変種6A、6B、18C、および9V)であり得る。
もう一つの態様において、改良法は、大気より高い濃度(例えば、少なくとも約
3%または10%)の二酸化炭素を有する気体を増殖培地と接触した状態維持す
ることを含む。第三の態様において、改良は、大気より高い濃度の二酸化炭素と
、大気より低い濃度の酸素を有する気体を増殖培地と接触した状態に維持するこ
とを含む。さらにもう一つの態様において、改良法は、増殖培地の二酸化炭素濃
度を、同じ温度で5%二酸化炭素を含む気体と平衡させた同じ増殖培地中の二酸
化炭素の濃度と少なくとも等しいレベルに維持することを含む。
方法は、動物(例えば、少なくとも動物の肺)を大気より高い濃度(例えば、2
5%、50%、または100%)の酸素を有する気体と接触した状態に維持する
ことを含む。この方法により軽減することができる感染症の例としては、肺炎、
菌血症、敗血症、および髄膜炎が挙げられる。 本発明はさらに、肺炎球菌感染症を発症する危険性のある動物に対して投与す
るための免疫原性調製物を製造する方法にも関する。この方法は、同じ温度で標
準的な空気と平衡させた同じ培地よりも低い酸素濃度を有する増殖培地中に肺炎
球菌細胞を維持し、該細胞から該細胞により産生される莢膜多糖類を単離するこ
とを含む。単離された多糖類は、免疫原性調製物を構成する。
的な空気と同じ温度で平衡させた同じ培地よりも低い酸素含量を有する増殖培地
、例えば、実質的に酸素を含まない培地中に肺炎球菌細胞を維持することを含む
。一例において、培地は、標準的な空気と同じ温度で平衡させた同じ培地よりも
低い二酸化炭素濃度を有し、例えば、二酸化炭素で飽和させた培地あるいは炭酸
塩または重炭酸塩を含む培地である。 本発明は、試験化合物が動物における肺炎球菌感染症を軽減するために有用で
あるかどうかを評価する方法を包含する。この方法は、 (a)試験化合物の存在下で維持された肺炎球菌細胞におけるCpsDのリン酸
化反応の程度および (b)試験化合物の非存在下で維持された同じ種類の細胞におけるCpsDのリ
ン酸化反応の程度を比較することを含む。 試験化合物の存在下で維持された細胞におけるCpsDのリン酸化反応の程度が
試験化合物の非存在下で維持された細胞におけるCpsDのリン酸化反応の程度
よりも低いならば、該試験化合物は該感染症の軽減に有用である。CpsDのリ
ン酸化反応の程度は、例えば、CpsDにおいて存在するリン酸化されたチロシ
ン残基の数を評価するか、または少なくとも1個のリン酸化チロシン残基を有す
るCpsDのフラクションを評価することにより評価することができる。
グ反応(Quellung reaction)を用いて評価された、周囲の酸素および二酸化炭
素濃度がコロニーの形態および莢膜の大きさに及ぼす影響を示す一連の画像であ
る。タイプ6A肺炎球菌分離菌の不透明(図1Ai,1Aii,1Aiii,1
Bi,1Bii,および1Biii)および透明(図1Aiv,1Av,1Av
i,1Biv,1Bv,および1Bvi)変種を、カタラーゼを補足したT栄養
寒天上で16時間37℃で、大気条件下(図1Ai,1Aiv,1Bi,および
1Biv)、二酸化炭素濃度を増大させた大気条件下(図1Aii,1Av,1
Bii,および1Bv)、および二酸化炭素濃度を増大させた嫌気性条件下(図
1Aiii,1Avi,1Biii,および1Bvi)で成長させた。図1Ai
〜1Aviにおける画像は傾斜透過照明を用いて可視化され、56×の倍率で示
す。図1Bi〜1Bviにおける画像における莢膜性物質は、クエルング反応お
よび型特異性抗血清を用いて可視化され、4000×の倍率で示す。
た単位蛋白あたりに基づく周囲の酸素と二酸化炭素濃度および不透明な表現型の
CPS産生に対する効果を示す4枚組の棒グラフである。4種の肺炎球菌の分離
菌(図2Aiおよび2Aiiにおける変種6B;図2Biおよび2Biiにおけ
る変種6A;図2Ciおよび2Ciiにおける変種18C;図2Diおよび2D
iiにおける変種9V)の不透明(図2Ai、2Bi、2Ci、および2Di)
および透明(図2Aii、2Bii、2Cii、および2Dii)変種を前記グ
ラフの酸素および二酸化炭素濃度でmid−log期(黒)または定常期(斜線
)まで成長させた。CPS産生を音波処理された細胞ペレットおよび培養上清中
で測定し(文目付)、全細胞蛋白の量と比較して表す。「*」はこの変種がこの
条件下で成長しなかったことを示す。値は、2回繰り返した2つの別の実験の平
均値を表す。
二酸化炭素濃度および不透明表現型のCpsDのチロシンリン酸化反応に対する
影響を示す一対の画像である。固形培地上で成長させ、等しい濃度に調節した後
に、肺炎球菌変種P303のO(レーン1〜4)およびT(レーン5〜8)形の
全細胞溶解物を除去した。図3Aの画像は、SDS−PAGEにより分離され、
膜に移され、リン酸化チロシンと特異的に結合する4G10で表されるモノクロ
ーナル抗体でイムノブロットされたこれらのサンプルにおける蛋白を表す。図3
Bの画像は、等しいローディングを示すために、全肺炎球菌に対して成長させた
抗血清を用いてイムノブロットされた二重膜を表す。溶解させ、レーンにかけら
れた細胞に対応する成長条件は次の通りであった:レーン1および5において、
<0.1%O2/10%CO2;レーン2および6において、16%O2/3%
CO2;レーン3および7において、21%O2/<0.1%CO2;レーン4
および8において、19%O2/10%CO2。図3Aにおける矢印は、25k
DのCpsDバンドの位置を示す。サイズマーカーはキロダルトンで表す。
素濃度および不透明表現型のcpsDの転写に対する影響を示す。肺炎球菌変種
P303のO(レーン1および2)またはT(レーン3および4)形から得られ
た全RNAをホルムアミドゲル上で分離し、血清型4肺炎球菌から得たcpsD
の放射標識されたフラグメントを用いてプローブした。RNAが単離される細菌
を<0.1%O2/10%CO2(レーン1および3)または21%O2/<0.
1%CO2(レーン2および4)下で成長させた。サイズマーカーはキロダルト
ンで表されたRNA基準である。
維持される培地の酸素および二酸化炭素濃度を調節することにより調節すること
ができるという本発明者による発見に関する。ストレプトコッカス・ニューモニ
エにおけるCPS産生はCpsD蛋白の存在およびこの蛋白の翻訳後修飾により
調節されるということも本発明者が発見した。これらの発見に基づいて、本発明
は肺炎球菌によるCPS産生を調節する方法(例えば、抗肺炎球菌ワクチンおよ
び他の免疫原性調製物の産生において使用するため)、肺炎球菌感染症を軽減す
るための方法、および肺炎球菌感染症を軽減するために有用な薬剤を同定するた
めの方法を包含する。
意味を有する。 冠詞「a」および「an」は本明細書において用いられる場合、1または1以
上の(すなわち、少なくとも1の)該冠詞の文法上の対象を意味する。例として
、「an」は1または1より多くの成分を意味する。 「標準的な」空気とは、湿度に関係なく(すなわち、乾燥基準)選択された位
置で大気のほぼ平均的な含量を有する気体を意味する。大気の平均的含量は約7
8N2、21%O2、1%Ar、および0.04%未満のそれぞれCO2、H2 、He、Ne、Kr、およびXeである。
素および二酸化炭素の存在および濃度により影響を受けることが見出された。特
に、周囲の酸素含量が減少するにつれ、CPSの産生は増大し;周囲の二酸化炭
素含量が増大するにつれ、CPSの産生量も増大する。これらは、ストレプトコ
ッカス・ニューモニエの培養物を用いて観察されたが、他のストレプトコッカス
種(たとえば、ストレプトコッカス・アガラクティエ)などの肺炎球菌に類似し
た莢膜および莢膜遺伝子特性を示す生物、スタフィロコッカス・アウレウス(St
aphylococcus aureus)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)
、およびアシネトバクター・ジョンソンニ(Acinetobacter johnsonii)などの他
の被包性生物、ならびにこれらのうちの1またはそれ以上に対して表現型類似性
、遺伝子型類似性、または両方を示す生物に対しても適用することができる。生
物がストレプトコッカス・ニューモニエである場合、これは6A、6B、18C
、および9Vのうちの一つなどのそのCPSの同一性により特徴づけられる変種
を包含する公知のものまたは今後発見されるその変種であってもよい。
により減少)させるために、これらの観察を、肺炎球菌を培養する任意の公知方
法、または今後開発される任意の方法と関連させて用いることができる。本発明
は、公知方法に従って肺炎球菌を培養することにより得られるCPSの収率を増
大させる方法を包含する。該改良法は、肺炎球菌がその中または上に維持される
培地の酸素含量を、肺炎球菌の培養中の培地における通常の酸素含量と比べて減
少させることを含む。たとえば、肺炎球菌をゼラチン状または半固形培地上ある
いは液体培地中で培養するのが一般的であり、該培地は濾過された(または別の
方法で滅菌された)標準的な空気と接触した状態に維持される。
含量を減少させる(乾燥基準)ことにより増大させることができる。酸素含量を
減少させる程度は重要ではないが、一般的にいって、酸素含量の減少が大きいほ
どCPSの収率の増大が大きくなる。気体の酸素含量は好ましくは<16%であ
るか、または気体が実質的に嫌気性(たとえば、<0.1%O2を含有)になる
地点まで減少させる。気体の酸素含量を減少させる方法は重要ではない。気体の
酸素含量を標準的な空気の酸素含量よりも低くなるように減少させる適切な方法
は、培養容器を所望の酸素含量を有する気体でフラッシュする(少なくともはじ
めに、別法として、断続的、周期的、または連続的に)ことを含む。たとえば、
約71%N2、19%O2、および10%CO2を含む気体混合物、または95
%Arおよび5%CO2を含む混合物で培養容器をフラッシュすることができる
。
培地と接触した状態に維持される気体の二酸化炭素の含量を増大させることによ
っても増大させることができる。該気体の二酸化炭素含量を増大させる程度は重
要ではないが、一般的にいって、二酸化炭素含量の増加が大きいほど、CPSの
収率の増加が大きくなる。該気体の二酸化炭素含量は好ましくは少なくとも5%
、または少なくとも約10%であるが、培地が二酸化炭素で飽和するほど高くて
もよい。前記のように、肺炎球菌が培養される容器を所望の二酸化炭素含量を有
する気体でフラッシュすることにより、所望の二酸化炭素含量を達成することが
できる。別法として、炭酸塩または重炭酸塩を培地中に組み入れることによるか
、または塩などを培地に添加することにより、二酸化炭素を培地に提供すること
ができる。
ことによるか、該培地と接触する気体の二酸化炭素含量を増加させるか、該培地
の酸素含量を減少させることによるか、該培地と接触する気体の酸素含量を減少
させることによるか、またはこれらの任意の組み合わせにより、肺炎球菌による
CPS産生を増加させる方法を包含する。一例において、培地(または培地と接
触する気体)のO2/CO2含量は、一期中の肺炎球菌細胞の収率を最大にする
ように調整することができ、その後、第二期中のCPSの産生を最大にするため
に再調節することができる。
体の平衡化のために、その上またはその中で肺炎球菌が維持される培地の酸素含
量が減少する。気体の二酸化炭素含量を変更することも同様の効果がある。気体
が培地中に溶解する速度および非溶解気体が平衡化する速度は、たとえば、培地
−気体界面の表面積、培地の粘度、および培地の攪拌程度を包含する当該分野に
おいて公知の多くの要素に依存する。
相間の界面がもしあるならば最小限に抑えられる。かかる培養系において、気相
の含量を変更することは、気相から液体中への気体の拡散が限定されているため
に、気相の含量を変更することは、液体培地の気体含量に対する影響が比較的小
さい。かかる系において、液体培地の気体含量は、該培地を調製するために用い
られる方法により影響を受ける可能性がある。たとえば、実質的に嫌気性である
液体培地は、液体培地を調製し、これをオートクレーブ(その熱により実質的に
すべての酸素を液体から追い出す)内で滅菌し、加圧滅菌された培地を、無酸素
気体の定常流を通した密閉容器中などの無酸素雰囲気中で冷却することにより調
製できる。適当な無酸素気体の例としては、純粋なアルゴン、5〜10%CO2 と混合されたアルゴン、純粋な窒素、またはN2、ArおよびCO2の組み合わ
せが挙げられる。非常に高度の嫌気性が望ましい場合([O2]<<0.1%)
、当該分野において一般的な方法を用いて、冷却しながら培地上を通過する無酸
素気体を加熱された銅コイルまたは網を通してまたはその上を通すことができる
。もちろん、所望の気体含量を有する固体、ゼラチン状、および半固形培地の調
製に同様の方法を用いることができる。
ために用いられる接種物として適当な肺炎球菌変種および形態を選択することに
よってもCPS産生を向上させることができる。肺炎球菌の異なる変種は構造的
に異なるCPSを産生することができると理解される。本明細書において記載す
る方法は、任意の肺炎球菌変種を用いてCPS産生を向上させるために用いるこ
とができる。さらに、多くの肺炎球菌は少なくとも2の表現型を示すと理解され
る。これらの形態は、不透明(O)形および透明(T)形を包含し、不透明形は
一般に、より多量のCPSを産生することを特徴とする。従って、CPS産生は
、接種物としてより高いCPS産生により特徴づけられる肺炎球菌の変種の一形
態を選択することによりさらに向上させることができる。
調製物を調製するために、本明細書において記載される1またはそれ以上の方法
を用いて産生されるCPSを(単独または他の肺炎球菌CPS種と組み合わせて
)用いることができる。かかる方法は、一般的に、肺炎球菌細胞からCPSを分
離し、所望により残存する肺炎球菌細胞を殺し、CPSを医薬的に許容される担
体(および所望により免疫学的アジュバント)と組み合わせることを含む。かか
る調製物は、肺炎球菌による感染症に対する動物の免疫反応を向上させる目的で
動物に投与することができる。
ることを可能にすると考えられるので、CPS産生を抑制する方法は、動物にお
ける肺炎球菌感染症を軽減するために用いることができる。この方法で軽減する
ことができる肺炎球菌感染症(およびこれから生じる合併症)としては、肺炎(
特に肺炎双球菌性肺炎)、菌血症、敗血症、髄膜炎、細菌性心内膜炎、連鎖球菌
性分泌性咽頭炎、蜂巣炎、および内臓膿瘍が挙げられる。 環境における酸素含量を増加させることにより肺炎球菌CPS産生が減少し、
これにより免疫系に対する肺炎球菌の感受性が増大することが見出された。同様
に、環境における二酸化炭素含量を減少させることにより肺炎球菌CPS産生が
減少することが見出された。
る動物を大気より高い濃度の酸素を有する気体と接触した状態に維持すことによ
り軽減することができる。別法として、感染部位での酸素圧力は、該部位での通
常の酸素圧力と比べて増大させることができる(たとえば、純粋な酸素または滅
菌空気を直接、動物の体内にある感染部位{たとえば、肺炎球菌を含む内臓膿瘍
}に提供することによる)。たとえば、身体部位が肺である場合(たとえば、肺
炎球菌性肺炎に関して)、通常の酸素圧力は通常の空気の圧力である。肺炎球菌
性肺炎は、たとえば人工呼吸装置または標準的酸素マスクを用いて大気より高い
濃度の酸素を患者の肺に提供することにより軽減することができる。
二酸化炭素圧力をかかる感染部位での通常の二酸化炭素圧力よりも低く、好まし
くは肺炎球菌感染症の非存在下でも身体部位での通常の二酸化炭素圧力よりも低
く減少させることによっても軽減することができる。肺以外の体内の部位での二
酸化炭素圧力を減少させることは、身体部位を通して、その上、またはその上方
に滅菌気体流を提供することを含むことができる。感染部位が肺である場合、患
者の自発的動作によるかまたは人工的に(たとえば、ベンチレーターまたは呼吸
促進剤を使用して)吸入速度を増加させることにより二酸化炭素圧力を低下させ
ることができる。
は、cpsD遺伝子の低い発現およびCpsD蛋白のリン酸化反応の程度が低い
ことと相関する。CPSの産生は、従って、cpsDの発現を増加させるか、C
psDのリン酸化反応の程度を増加させるか、またはその両方である薬剤により
向上させることができる。反対に、CPSの産生は、cpsDの発現を抑制また
は減少させるか、CpsDのリン酸化反応を抑制するか、リン酸化した肺炎球菌
の脱リン酸化反応を向上させるか、またはこれらの組み合わせである薬剤により
抑制することができる。前記のように、動物における感染症に関与する肺炎球菌
におけるCPS産生を減少させることにより、これらの肺炎球菌を動物の免疫系
による攻撃をさらに受けやすくすることができる。
する方法および試験化合物が肺炎球菌CPS産生のエンハンサーであるかどうか
を評価する方法を包含する。これらの方法のそれぞれにおいて、肺炎球菌細胞は
試験化合物の存在下で維持され、試験化合物の非存在下で別々に、好ましくは同
様に維持される。試験化合物のCPS産生に対する直接的影響は、試験化合物の
存在下および非存在下で細胞により産生されるCPSの量を評価することにより
評価することができる。別法として、cpsDの発現のレベル(対応するRNA
または対応する蛋白のいずれかの産生を測定することにより評価)またはCps
Dのリン酸化反応の程度(CpsD中に存在するリン酸化チロシン残基の数また
は少なくとも1個のリン酸化チロシン残基を有するCpsDのフラクションのい
ずれかを測定することにより評価)を前記のように評価し、CPS産生の抑制ま
たは向上と相関させる。
供され、本発明はこの実施例に限定されず、むしろ本明細書に提供された記載の
結果として明らかであるすべてのバリエーションを包含する。ストレプトコッカス・ニューモニエによる莢膜多糖類発現の酸素依存性はCps Dの翻訳後修飾と関連する この実施例において行われた実験は、肺炎球菌間の不透明表現型における違い
(すなわち、O−形対T−形)は酸素の環境濃度により影響を受け、嫌気性成長
条件、例えば、肺炎におけるものはO−形肺炎球菌のCPSの発現を増大させ、
免疫クリアランスを回避する能力に影響を及ぼす。
する。細菌種および成長条件 この研究において使用したエス・ニューモニエの株を表Iに示し、記載されて
いるように、これらはすでに記載した臨床分離菌P303(6A型)、P324
(6B型)、P68(18C型)およびP10(9V型)のOおよびT変種を含
んでいた(Kimら、1998;Weiserら、1994)。細菌を密封されていない
容器中で、半合成(C+Y培地、pH8.0)またはトリプシン大豆培地中で記
載されているようにして振とうせずに37℃で成長させた(Tomasz, 1964)。ブロ
ス培養物を、1%(w/w)寒天を含む標準的トリプシン大豆寒天(TSA)プ
レート上にプレートし、その上に5000単位のカタラーゼ(Worthington Bioc
hemical, Freehold, NJから入手)を広げた。接種された培地を特に記載しない
限りろうそく消光瓶中で37℃でインキュベートした。コロニーの形態をこのT
SA培地上で、記載されているような倍率および傾斜透過照明下で測定した(Wi
serら、1994)。
ーナル抗体との反応性 7 各株/変種について、酸素の存在下で成長させたO表現型を試験した。 「+」は25〜27kDの単一のバンドとの反応性を示す。
した。嫌気性成長条件は、BBL GasPakシステムを用いて、製造業者の
指示に従って得た(Becton Dickinson,Cockeysville,MD)。いくつかの実験におい
ては、10%二酸化炭素雰囲気を得るためにシステムの重炭酸ナトリウム成分を
用い、また他の実験においては用いなかった。細菌を収穫した後、増殖培地のp
Hを測定して、これらの異なる培養条件により影響を受けなかったことを確認し
た。
人の患者すべてを調査し、その約20%が細菌学的に肺炎球菌性髄膜炎であるこ
とが判明した。肺炎球菌性髄膜炎の臨床的診断の予測を行った患者から鼻咽頭ス
ワブサンプルを集めた。このサンプルを5%ヒツジ血液寒天および5000単位
のカタラーゼを含むトリプシン大豆寒天上に直接プレートし、該プレートを5%
CO2を含む空気雰囲気中で37℃でインキュベートした。脳脊髄液(CSF)
サンプルも血液寒天および透明プレート上にプレートし、48時間まで標準的好
気性インキュべーションした後に肺炎球菌が観察された培養された患者の血液サ
ンプルも培養した。最初に、血液寒天上で典型的な形態を示した分離菌をGra
m染色およびクエルング反応により肺炎球菌であることを確認した。すべての分
離菌を−80℃で細菌プレザーバー中に保存し、コロニーの形態を本明細書に記
載したようにして確認した。鼻咽頭および侵襲性部位培養物におけるTおよびO
表現型の比率の統計的相違をフィッシャーの完全試験(Fisher's Exact Test)
を用いて調べた。
対して免疫反応を起こし得るようにした(Weiserら、1999)。エリスロマイ
シンを含む培地(1ミリリットルあたり1マイクログラム)からコロニーを選択
することにより、二成分シグナル変換システム(TCSTS)における突然変異
をP303株中に形質転換した。被包性形質転換体を変更されたコロニーの形態
についてスクリーンし、CPSの発現を型特異性抗血清(Statens Seruminstitu
t, copenhagen, Denmarkから入手)を用いたクエルング反応により確認した。
させた細菌において可視化させた。クエルング反応のために、等体積の培養物お
よびタイプ6の抗血清およびStatens Seruminstitute(Copenhagen, Denmark)か
ら入手した1%(w/v)メチレンブルーを含む組成物を記載されているように
してスライドガラス上で1分間混合した(Neufeld, 1902)。CPSの定量 O−およびT−形肺炎球菌変種を半合成培地中でmid−log期(A620 =0.3)まで、または16時間(この時点で細胞は定常期にあった)成長させ
た。2000×gでの遠心分離により細胞を収穫し、リン酸塩緩衝塩溶液(PB
S)中で洗浄し、0℃で10秒間隔で3回音波処理し、−20℃で貯蔵した。記
載されているようにして、選択された条件下で成長させた変種中に存在するCP
Sの量を定量するために、捕獲ELISA技術を用いた(Kimら、1998)。
型特異性ウサギ抗血清(Statens Seruminstitute, Copenhagen, Denmarkから入
手)を1モル濃度Na2CO3(pH9.6)中1:5000の希釈度で用い、
室温で一夜マイクロタイタープレート中のウェルの壁に固定した。各インキュべ
ーション段階間で、プレートをTris緩衝液(10ミリモルTris、150
ミリモルNaCl、0.05%Brij35、および0.02%(w/v)アジ
化ナトリウムを含む)で5回洗浄した。Brij35(ポリオキシエチレン(2
3)ラウリルエーテルC12H25(OCH2CH2)23OH)は界面活性剤
である。タイプ6B、6A、18Cまたは9V肺炎球菌から得られる精製CPS
は公知濃度で使用し、標準として使用するためにAmerican Type Tissue Collect
ion(Rockville, MD)から購入した。音波処理された細胞サンプルにおけるCP
Sを、HASP4(タイプ6Aおよび6BのCPSと特異的に結合する)、HA
SP22(タイプ18CのCPSと特異的に結合する)およびHASP33(タ
イプ9VのCPSと特異的に結合する)と称するモノクローナル抗体を用いて検
出し、パイロット試験において決められた濃度で使用した。マウスIgMと特異
的に反応し、アルカリホスファターゼと接合する抗血清を用いて、モノクローナ
ル抗体とCPSの結合を検出した。この試薬を記載されているように使用した(
KimおよびWeiser、1998)。全細胞蛋白定量を、音波処理された細胞抽出物
についてミクロ−ビシンコニニン酸キットを用いて製造業者の指示に従って全細
胞蛋白定量を行った (Pierce Chemical Co., Rockford, IL)。上清フラクション
中のCPSの量は対応する細胞音波処理フラクション中の蛋白濃度に基づく(す
なわち、単位蛋白あたりにもとづいてCPS含量を標準化するため)。 細胞音波処理物中の全テイコン酸の量を比較するために使用した捕獲ELIS
A法はすでに記載されている(Kimら、1998)。すべての実験は二重反復試験に
おいて行い、少なくとも3回繰り返した。結果を全細胞蛋白濃度あたりの平均値
として表す。
。選択された条件下で、37℃で16時間成長させた後、滅菌Dacronスワ
ブを用いて細胞を表面から除去し、PBS中に再懸濁させ、A620=0.5と
なるように細胞密度を調節するためにPBS中で洗浄した。遠心分離後、ペレッ
ト化された細胞をLaemmliゲル添加緩衝液中に再懸濁させ、100℃まで
5分間加熱した。サンプルを12.5%(w/v)ポリアクリルアミドゲル上S
DS−PAGEにより分離し、その後、記載されているようにImmobilo
n−P膜に移した(Waniら、1996)。 4G10と称するモノクローナル抗体(Upstate Biotechnology Inc., Waltha
m,MA)を1:2000の希釈度でTSBP緩衝中用いてイムノブロッティングを
行い(Waniら、1996)、ブロットされたサンプルのこの抗体との反応性を、
記載されているようにしてアルカリホスファターゼと接合したマウスIgG抗血
清を用いて検出した(Kimら、1999)。ほぼ同数の細菌のローディングを、
すでに記載されている全肺炎球菌に対して成長させた抗血清を用いて二重膜のイ
ムノブロッティングにより確認した(Waniら、1996)。
−log期まで成長させたP303株細胞のOおよびT変種から全RNAを単離
し、精製した(Weyandら、2000)。ホルムアミドゲル上でRNAを分離した
後、エチジウムブロミド染色されたRNAを撮影し、RNAサイズマーカーと比
較するために画像をデジタル化した。VacuGene XLシステムを用いて
製造業者の指示に従ってRNAを膜に移した(Pharmacia LKB Biotechnology, U
ppsala, Sweden)。0.5モルNaPO4(pH7.2)、1.5ミリモルED
TA、および7%(w/v)SDSを含む溶液中、65℃で15分間、膜を予備
ハイブリッド形成させた。cps4D遺伝子の内部フラグメントからプローブを
調製し、次の配列: 5’−CCGGAATTCGTACAAATATACAGTTGAGCGGAG
ATAAAC−3’(配列番号1)および 5’−CGCGGATCCTGTTGCTGTTACCAAGATGGACG−
3’(配列番号2) を有するプライマーを用いてPCRにより増幅し、タイプ4株からゲノムDNA
を得た。該株はInstitute for Genomic Researchによる全ゲノム配列決定におい
て使用されたものと同じ株である。制限エンドヌクレアーゼBamHIおよびE
coRIを用いてPCR産物を消化し、その後、ポリリンカーと隣接する転写タ
ーミネーターを有するベクター中にクローンして、連鎖球菌配列のクローニング
を許容した。このベクターは、pUK4Kの平滑末端カナマイシン耐性カセット
(Pharmacia, Upsalla, Sweden)を平滑末端ClaI部位中に挿入して、イー・
コリにおけるこのマーカーの選択を許容することによりpJDC9から構築した
(ChenおよびMorrison、1988)。cps4DフラグメントをBamHIおよ
びEcoRI消化ベクター中に挿入し、イー・コリDH5α株中に形質転換した
。全RNAを、大気および嫌気性条件下でトリプシン大豆培地中mid−log
期まで成長させたP303株の肺炎球菌OおよびT変種から抽出した。
起こるかどうかを試験するために、同じ血清型の対になった分離菌を敗血症の徴
候を示している患者の鼻咽腔および血液から入手した。不透明度と関連性のない
コロニー形態における株間の異種性のために、対になった分離菌を得ることが必
要であった。いったん抗生物質治療が開始されると、肺炎球菌を菌血症の患者の
鼻咽腔から単離することができなかった。鼻咽腔および血液の培養物は従って実
質的に同時に入手した。この制約のために、十分な数の対になった分離菌を得る
ために、実験を肺炎球菌性菌血症の発生率が高い地域において行うことが必要と
された。
入手し、分離菌がその後、型特異性抗血清を用いたクエルング反応により同じタ
イプのものであることが証明されれば、対になった分離菌と見なした。対になっ
た分離菌のほとんどは1型であり、これは表IIにおいて示すように、この地域
における最も一般的なタイプである。患者のほとんどはヒト免疫不全ウイルスで
の感染についても試験すると陽性であり、これはこれらの患者の間で侵襲性肺炎
球菌性疾患の発生率が高いためであると考えられる。19対の分離菌のうち、1
7(89%)が鼻咽腔中のT表現型のものであり、一方12(63%)が血液中
のO表現型のものであった。2部位から入手される肺炎球菌の表現型が一致しな
かった10対の分離菌のすべてが鼻咽腔においてよりT−様の表現型を示した(
p<0.001)。このことは一般に、自然の菌血症感染において鼻咽腔におけ
る優勢なT−様集団の中から得られるよりO−様な表現型が血液中に存在する結
果となる表現型の変種が選択されることを立証する。
クターを調査した。硬化した肺において起こるような低い酸素圧力はTからO表
現型への変化を促進するという仮説が立てられた。タイプ6A臨床分離菌P30
3の低酸素濃度における成長は、T−からO−形への自発的なスイッチング速度
に影響を及ぼさなかった。しかしながら、嫌気性条件下(すなわち、高濃度の二
酸化炭素の存在下)での成長は、より大きく、より多くの粘液性コロニー形態へ
の移行と関連し、これは図1Aにおいて示されるようにO変種について特に顕著
であった。
するので、O形に関連するコロニーの大きさが大きいほど、この物質の産生が増
大する結果となる可能性があると考えられた(Kimら、 1998)。初期の研究にお
いて、細菌コロニーを取り巻くCPSの屈折領域は、図1Bに示されるように、
クエルング反応およびタイプ6抗血清を用いて可視化された。この領域は、嫌気
性条件下で、10%の二酸化炭素の存在下で成長させたO変種については、酸素
の存在下での同じ表現型の成長または酸素の非存在下を含む試験された任意の条
件下でのT変種の成長のいずれかよりも大きかった。対照的に、細菌が大気条件
下で培養された場合、莢膜物質の領域はT−形肺炎球菌のコロニーのまわりには
検出することができなかった。この結果から、O形の増大した量のCPSを合成
する能力が確認され、酸素圧力の低下、より高い二酸化炭素圧力、またはその両
方によりCPS産生の増大が促進されることがわかった。
の量を測定するために開発された分析法を用いて定量的に評価した(Kimら、199
8)。全細胞蛋白1ミリグラムあたりのCPSの量は、本明細書に記載された捕
獲ELISAを用いて評価すると、表IIIに示すように、コロニー表面積およ
びクエルング反応を用いた領域の可視化に基づいてコロニー表面積に関して計算
された莢膜体積値と相関する。mid−log期または定常期成長のいずれかの
O形細菌はT−形生物と比較して細胞関連CPSの量が増大していた。嫌気性条
件下、10%CO2の存在下でのOタイプ6A変種の成長は、大気条件下で培養
された同じ細胞におけるCPS産生と比べて、産生されるCPSの量において7
.9倍の上昇を起こした。嫌気性条件下、10%CO2の存在下で成長させたT
変種と比較して、O変種は29倍のCPSを産生した。2つの関連性のない臨床
分離菌(すなわち、タイプ6Bおよび18Cを使用)から得られたOおよびT分
離株を用いて同様の結果が得られた。
単一のウェルの単離されたコロニーを用いて行われた測定の平均を表す。 5 これらの値はクエルング反応および長円体の体積についての公式V=(π/
6)LW2を用いて明らかにされる莢膜物質に基づく。値は、単一の細胞に対応
させるために2で割った3の双菌形態についての測定値の平均を表す。「UD」
は莢膜性物質の領域が検出できなかったことを意味する。 6 これらの値はmid−log期で液体培地中で成長させた生物の捕獲ELI
SA評価に基づく。値は2回の別個の測定の平均である。
炎球菌について評価した。酸素濃度が減少し、二酸化炭素濃度が増大するにつれ
、より多量の多糖類がO−形変種の培養上清において産生されたという観察から
、 CPS産生の増大が、増大した酸素/減少した二酸化炭素条件下での細胞か
らのCPSの放出の減少のためではなく、減少した酸素/増大した二酸化炭素条
件下での細胞によるCPSの合成の増大によることがわかる。CPSの合成の増
大が減少した酸素または増大した二酸化炭素によるかを確認するために、タイプ
9Vの分離菌を用いた。10%二酸化炭素の存在下で定常期まで成長させたタイ
プ9V細菌は、10%二酸化炭素の存在下、酸素の存在下で成長させた同じ細胞
よりも、酸素の非存在下で12倍高いCPS産生を示した。このことから、二酸
化炭素圧力ではなく酸素圧力がCPS産生の程度に影響をおよぼす主な環境的要
因であることが確認された。
素圧力/存在を感知し、変換するための二成分シグナル変換システムを含むこと
を試験した。タイプ3分離菌のゲノムにおいて見られる二成分シグナル変換シス
テムの12のうちの11においてすでに記載された顕著な突然変異が、記載され
ているようにP303株中に形質転換された(Throupら、2000)。反応調節
ホモログにおいて突然変異を有する10の構造物を調製し、ヒスチジンキナーゼ
ホモログにおいて突然変異を有する7の構築物も同様に調製した。P303にお
いて試験された17の突然変種ホモログのそれぞれについて、クエルング反応を
用いて評価すると、細胞を嫌気性条件下で成長させた実験において、増大したコ
ロニーの大きさまたは莢膜形成の領域に対して影響はなかった。この結果から、
酸素の影響がTCSTSにより媒介されることは起こりえないことがわかるが、
遺伝子は必須と思われるので、肺炎球菌におけるこれらのシステムのうちのひと
つを調べることができなかった。
験した。CPSの量に対する酸素の効果は、複数の種類の株において観察された
ので、異なる種間で保存された遺伝子は最も可能性のある候補であると考えられ
た。莢膜部位における遺伝子のうち、最初の4つ、cpsA−Dだけが異なる種
の肺炎球菌について共通である(Iannelliら、1999)。タイプ3の肺炎球菌
は、表Iに示すように、大気条件下で成長させた場合に、粘液性コロニーを形成
し、クエルング反応により評価すると、大きな莢膜を有することが知られている
(Knechtら、1970)。試験した他のすべての肺炎球菌タイプと異なり、タイ
プ3株は嫌気性条件下で培養された場合に、大気条件下で培養された場合のサイ
ズと比較して、コロニーまたは莢膜のサイズの増大を示さなかった。この観察に
基づいて、タイプ3と他のタイプの座間のcpsA−Dにおける差を確認した。
機能を有する蛋白をコード化するcpsBがタイプ3カプセル化位置に存在する
(Genbank受入番号Z47210;Arrecubieta、1995)。血清型2において
CpsCをコード化する遺伝子はタイプ3カプセル化位置において高度に保存さ
れるが、血清型3肺炎球菌において予想されるCpsDはアミノ酸69以降(2
26のうち)が切断されている。CpsCおよびCpsDは肺炎球菌莢膜の発現
に必要とされ、ともに鎖長調節およびコラン酸と称する細胞外多糖類の流出に関
与するエシェリキア・コリ(Eschelichia coli)において発現される単一の蛋白
(Wzc)に対して相同性である(Moronaら、1999;Stevensonら、199
6)。
る(Vincentら、1999)。ウェスタン分析によりリン酸化チロシンが肺炎球
菌において存在することを確認するために、リン酸化チロシン残基と特異的に結
合する4G10と称するモノクローナル抗体を用いた。約26kDの1本のバン
ドは、CpsDの大きさの推定値であるが、タイプ6A分離株の全細胞溶解物に
おいて存在していた。おなじ大きさの1本のバンドも、この実験において用いら
れたタイプ6B、18C、および9V株の全細胞溶解物においてみられたが、タ
イプ3肺炎球菌(切断されたCpsDを有する)においては存在しなかった。こ
れらの観察から、CpsDはチロシン残基でリン酸化可能であることがわかった
。さらに、D39株(非被包性突然変種)とR6x(7504塩基対欠失cps
2A−Hを有し、そのうちのA−Dのみが他のタイプと共通である株;Iannelli
ら、 1999)を比較することにより、4G10がリン酸化チロシン残基を有
するCpsDを認識する証拠が得られた。R6xタイプの肺炎球菌における突然
変異をある実験において、(タイプ2)D39親株またはタイプ3株のいずれか
から得られたDNAを用いて細菌を形質転換してD39タイプ2遺伝子バックグ
ラウンドにおいてタイプ3または2のいずれかの莢膜を有する被包性株を得るこ
とにより補正した。
びタイプ2のR6x形質転換体との抗体の反応により、このバンドに対応する蛋
白の発現は、カプセル化部位における最初の4個の共通な遺伝子のうちの1個お
よびcpsDの完全なコピーを必要とすることが確認された。4G10反応性蛋
白はサイズに基づいてCpsAまたはBと似ていないことが確認された。タイプ
2および3CpsCでわずか15個の保存アミノ酸変化しか存在せず、どれもチ
ロシンを含まない。タイプ3株において4G10反応性バンドがないことは、4
G10反応性蛋白はCpsCでないことを示す。従って、CpsD蛋白は肺炎球
菌においてリン酸化可能なチロシン残基を含むと結論づけることができる。
に対して及ぼす影響を試験した。様々な酸素および二酸化炭素濃度で成長させた
P303と称するタイプ6Aの肺炎球菌分離菌のOおよびT形の全細胞の溶解物
を等密度に調製し、ホスホチロシン特異性モノクローナル抗体4G10を用いて
ウェスタン分析により試験した。これらの実験の結果を図3に示す。CpsDに
ついて予想される大きさの単一のバンドを酸素の存在下で成長させたO変種にお
いて検出した。図3のレーン1において示されるように、嫌気的に成長させたほ
ぼ同数の細胞から得られた抽出物と反応しなかった。図3のレーン2〜4におけ
る結果により示されるように、<0.1〜10%の二酸化炭素圧力における差の
明らかな効果はなかった。試験したすべての条件下(酸素<0.1%〜21%、
二酸化炭素<0.1%〜10%)で、抗体のT変種の細胞抽出物との反応性はわ
ずかであった。同様の結果が他の株を用いても得られた。従って、CpsDのチ
ロシンリン酸化反応は不透明な表現型により影響を受けず、酸素の存在下での成
長が必要とされると結論づけられた。
存在下でのO肺炎球菌におけるCPSの発現の減少の原因である。嫌気的に成長
させたOまたはT肺炎球菌のいずれもリン酸化チロシンを発現しないが、2つの
表現型はCPS産生の程度において大きな差を示す。 OおよびT変種位間の違いがcpsDの転写のレベルの差によるかどうかを確
認するためにノザン分析を用いた。結果を図4に示す。全細胞性RNAが大気条
件下または10%二酸化炭素の存在下で嫌気的に成長させた肺炎球菌P303株
のOおよびT形から得られた。cpsDのクローンされたフラグメントを用いて
RNAをプローブした。転写活性における定量的な差を、mRNAにおいてcp
sDと放射標識されたプローブのハイブリダイゼーションを評価し、これらの値
をハイブリダイゼーション分析混合物中に存在するRNAの全量について調節す
ることにより定量した。これらの実験から、酸素濃度はcpsD転写のレベルに
実質的な影響を及ぼさないことがわかった。しかしながら、cpsDはO−形細
胞と比較して、T−形細胞において3.4倍高いレベルで転写された。従って、
cpsDの転写の調節により、肺炎球菌の不透明表現型が決まると結論づけられ
た。
節すると考えられる。CpsDのチロシンリン酸化反応の程度においてみられる
差とCPS産生における差の間の相関性は、この理論を支持する。鎖長調節およ
び細胞外多糖類コラン酸の流出に関与するイー・コリにおけるチロシン自己リン
酸化酵素に対するそのアミノ酸配列類似性に一部基づいて、CpsDはチロシン
キナーゼとして機能すると考えられる。Cps23FDはWzcに対して229
アミノ酸のうちの188について30%の同一性および49%の類似性を有する
。血清型23f肺炎球菌のCpsDは通常でないカルボキシル末端アミノ酸配列
(YGSYGNYGNYGKNKK;配列番号:3)を含み、これはチロシン残
基を含む繰り返し特性(YGX)4を含む。このカルボキシル末端は、CpsD
の残りよりも肺炎球菌変種のうちでかなり大きなアミノ酸配列異種性を示す。肺
炎球菌株間でのCPS産生における多様性は、株間のこのカルボキシル末端部分
の多様性に起因すると考えられ、配列の多様性は蛋白のリン酸化反応適性に影響
を及ぼす。他の多くの細菌蛋白キナーゼが同定され、これらは共通にチロシン豊
富な繰り返し特性を有するC−末端を有する(Ilanら、1999)。CPSを産
生する能力を維持しながらcpsDにおいて突然変異を有する肺炎球菌株を生成
できないことは、CPSおよび莢膜産生におけるこの遺伝子の重要性のさらなる
証拠である。
次のメカニズムのモデルが提案される。該モデルは、cpsDの転写調節および
CpsDの翻訳後修飾を含む。 CpsDは負の調節因子であり、これは肺炎球菌型特異性CPSの生合成に関
与する遺伝子に対して作用する。比較的低いcpsD転写は、嫌気性条件下でO
−タイプの肺炎球菌において発現された比較的多量のCPSの原因である。高い
割合のCPS発現調節の原因であるcpsDの転写調節に加えて、第二のレベル
の調節、すなわち、CpsD上のチロシン残基のリン酸化反応または自己リン酸
化反応が関与する。CpsDのリン酸化反応は、O変種にのみ影響を及ぼし、好
気性条件下での成長を必要とする。1またはそれ以上のチロシン残基でリン酸化
されたCpsDの検出可能性は、T肺炎球菌におけるホスファターゼ活性の増大
のためである。チロシンリン酸化反応は、CpsDの負の調節活性を増大させる
ので、リン酸化されたCpsDは好気性条件下でのCPSの合成を減少させる。
結果として、好気性条件下では、嫌気性成長条件下よりもO変種により産生され
るCPSは少ない。感知できるCpsDのチロシンリン酸化反応が存在しない場
合でさえも、T−形肺炎球菌における比較的低いCPSの産生は、T−形肺炎球
菌におけるcpsDの発現の増大が原因である。
したCPS合成の影響であり、より大きなコロニーが得られる(Modde、197
8)。 Wzcに対してより高い類似性を有するCpsDのホモログが表面多糖類を発
現する多くの他の細菌種において存在する。かかる種の例としては、ストレプト
コッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)、スタフィロコッカス
・アウレウス(Staphylococcus aureus)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebs
iella pneumoniae)、およびアシネトバクター・ジョンソンニ(Acinetobacter
johnsonii)が挙げられる。莢膜およびその大きさは毒性の重要な決定因子であ
るので、このクラスの遺伝子/蛋白の転写及び翻訳後修飾に基づいてCPSの量
を調節できることは、被包性細菌がコロニー形成および感染の異なる要件に適用
される能力を助長するのに重要である。
、出典明示によりその内容全体を本明細書に引用したものとする。 本発明は具体例を参照して開示したが、本発明の精神および範囲を逸脱するこ
となく本発明の様々な修正および変更が当業者によりできることは明らかである
。添付のクレームは、かかる例およびその等価な変更をすべて包含する。
て評価された、周囲の酸素および二酸化炭素濃度がコロニーの形態および莢膜の
大きさに及ぼす影響を示す一連の画像である。
に基づく周囲の酸素と二酸化炭素濃度および不透明な表現型のCPS産生に対す
る効果を示す4枚組の棒グラフである。
化炭素濃度および不透明表現型のCpsDのチロシンリン酸化反応に対する影響
を示す一対の画像である。
および二酸化炭素濃度および不透明表現型のcpsDの転写に対する影響を示す
。
Claims (26)
- 【請求項1】 肺炎球菌を増殖培地中に維持することにより肺炎球菌から莢
膜多糖類を産生する方法において、大気より低い濃度の酸素を有する気体を増殖
培地と接触した状態に維持することを含む改良方法。 - 【請求項2】 気体が約16%より高くない酸素濃度を有する請求項1記載
の改良法。 - 【請求項3】 気体が約0.1%より高くない酸素濃度を有する請求項2記
載の改良法。 - 【請求項4】 肺炎球菌がストレプトコッカス属の生物である請求項1記載
の改良法。 - 【請求項5】 肺炎球菌がストレプトコッカス・ニューモニエ種の生物であ
る請求項4記載の改良法。 - 【請求項6】 肺炎球菌が、変種6A、6B、18Cおよび9Vからなる群
から選択されるストレプトコッカス・ニューモニエ種の変種である請求項5記載
の改良法。 - 【請求項7】 肺炎球菌を増殖培地中に維持することにより肺炎球菌から莢
膜多糖類を産生する方法において、大気より高い濃度の二酸化炭素を有する気体
を増殖培地と接触した状態に維持することを含む改良方法。 - 【請求項8】 気体が少なくとも約3%の二酸化炭素濃度を有する請求項7
記載の改良法。 - 【請求項9】 気体が少なくとも約10%の二酸化炭素濃度を有する請求項
8記載の改良法。 - 【請求項10】 気体が大気より低い濃度の酸素を有する請求項7記載の改
良法。 - 【請求項11】 動物における肺炎球菌感染症を軽減する方法であって、該
動物を大気より高い濃度の酸素を有する気体と接触した状態に維持することを含
む方法。 - 【請求項12】 動物の肺が気体と接触した状態に維持される請求項11記
載の方法。 - 【請求項13】 気体が少なくとも約25%の酸素濃度を有する請求項11
記載の方法。 - 【請求項14】 気体が少なくとも約50%の酸素濃度を有する請求項13
記載の方法。 - 【請求項15】 気体が実質的に純粋な酸素である請求項14記載の方法。
- 【請求項16】 感染症が、肺炎、菌血症、敗血症および髄膜炎からなる群
から選択される請求項11記載の方法。 - 【請求項17】 肺炎球菌感染症を発症する危険性のある動物に投与するた
めの免疫原性調製物を製造する方法であって、 標準的な空気と同じ温度で平衡状態にした同じ培地よりも低い酸素含量を有す
る増殖培地中に肺炎球菌細胞を維持し; 該細胞が産生した莢膜多糖類を該細胞から単離し、これにより単離された多糖
類が免疫原性調製物を構成することを含む方法。 - 【請求項18】 肺炎球菌を増殖培地中に維持することにより肺炎球菌から
莢膜多糖類を産生する方法において、増殖培地の二酸化炭素濃度を同じ温度で5
%の二酸化炭素を含む気体と平衡状態にした同じ増殖培地中の二酸化炭素濃度と
少なくとも等しいレベルに維持することを含む改良方法。 - 【請求項19】 肺炎球菌多糖類を製造する方法であって、標準的な空気と
同じ温度で平衡状態にした同じ培地よりも低い酸素含量を有する増殖培地中に肺
炎球菌細胞を維持することを含む方法。 - 【請求項20】 培地が実質的に酸素を含まない請求項19記載の方法。
- 【請求項21】 培地が標準的な空気と同じ温度で平衡状態にした同じ培地
よりも高い二酸化炭素含量を有する請求項19記載の方法。 - 【請求項22】 培地が二酸化炭素で飽和している請求項21記載の方法。
- 【請求項23】 培地が炭酸塩または重炭酸塩を含む請求項21記載の方法
。 - 【請求項24】 試験化合物が動物における肺炎球菌感染症の軽減に有用で
あるかどうかを評価する方法であって、 試験化合物の存在下で維持された肺炎球菌細胞におけるCpsDのリン酸化反
応の程度および 試験化合物の存在しない下で維持された同じ型の細胞におけるCpsDのリン
酸化反応の程度を比較することを含み、 試験化合物の存在下で維持された細胞におけるCpsDのリン酸化反応の程度
が試験化合物の存在しない下で維持された細胞におけるCpsDのリン酸化反応
の程度よりも低いならば、その試験化合物は感染症の軽減に有用であるとする方
法。 - 【請求項25】 CpsDのリン酸化反応の程度が、CpsDにおいて存在
するリン酸化チロシン残基の数を評価することにより評価される請求項24記載
の方法。 - 【請求項26】 CpsDのリン酸化反応の程度が、少なくとも1個のリン
酸化チロシン残基を有するCpsDのフラクションを評価することにより評価さ
れる請求項24記載の方法。
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