JP2003529610A - 血栓症を抑制するためのp−セレクチン糖タンパク質リガンド−1(psgl−1)およびそのフラグメント - Google Patents

血栓症を抑制するためのp−セレクチン糖タンパク質リガンド−1(psgl−1)およびそのフラグメント

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、P−セレクチンアンタゴニストを投与することによって、被験体中で、血栓症を調節するための方法および組成物に関する。本発明はさらに、被験体において、可溶性P−セレクチンリガンドもしくはそのフラグメント、抗P−セレクチンリガンド抗体または抗P−セレクチン抗体を投与することによって、白血球の補充、細胞移動、白血球ローリング速度、細胞間接着、および血管との細胞接着を調節するための方法を提供する。本発明はまた、血栓症を調節し得る組成物を同定するための方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (関連出願) 本願は、米国仮出願第60/193,787号(2000年3月31日出願)
の優先権を主張し、これは、その全体が本明細書において参考として援用される
【0002】 (発明の背景) 血栓症は、静脈中の血流を部分的または完全のいずれかで遮断し得る、血管中
での血餅または血栓の形成および発生である。深静脈血栓症(DVT)は、深静
脈での血栓の形成である。血栓症は、血管を遮断し得、そして器官または他の体
の部分に供給する血液を停止し得る。この血栓が剥離する場合、この血栓は塞栓
となり、そして起点から遠い血管を閉塞するか、または肺塞栓を引き起こし得る
。DVTは、医学的または外科的な病気の結果として比較的長期間固定される患
者、または複数の外傷もしくは悪性疾患を有する患者において通常である。CV
Tはまた他にも、健康的なヒトにおいて、長時間座っていることまたは固定され
たことの後にも発生し得る。白血球接着、経内皮の移動、およびうっ血は、DV
Tの病理における重要な要素である(EppihimerおよびSchaub(
2000)Arteriosclerosis Thromb Vasc Bi
ol 20:2483)。
【0003】 血栓症は、深刻な状態であり、これは組織損傷を起こし得、そして処置しなけ
れば、最終的に死に至り得る。血栓症は、部分的に、凝血原と抗血液凝固機構と
の間の不均衡を反映し(GrossおよびAird(2000)Semin T
hromb Hemostat 26:463)、そして血栓形成は、血小板お
よび白血球の凝集に依存する。この血小板の、他の血小板および損傷した血管の
内皮表面との相互作用は、血栓の発生において重要な要素である。動脈壁の物理
的な損傷は、経皮的経管的冠状動脈形成術(PTCA)または冠状動脈バイパス
手術のような血管介入手順の結果として生じ得、血栓再閉塞の形成を引き起こす
。または、血栓症は、例えばアテローム性動脈硬化症のような自然の疾患の進行
の結果として生じ得る。冠状動脈におけるアテローム性動脈硬化症領域で形成す
る血栓は、心筋虚血およびアテローム性動脈硬化症の進行が原因である(Rau
chら、(2001)Annals of Internal Medicin
e134(3):224)。さらに、高血圧の主要な合併症の根底にある基礎病
態生理学的なプロセス(すなわち、心臓発作および脳卒中)が、血栓形成である
(Lip(2000)J Hum Hypertension 14:687)
【0004】 可溶性P−セレクチンは、血管および血栓性疾患と関連する前凝固性の活性の
直接的な誘導因子として同定された(Andreら(2000)Proc.Na
tl.Acad.Sci.USA 97:13835)。セレクチン(例えば、
P−セレクチン、E−セレクチン、およびL−セレクチンが、標的細胞の表面(
例えば、血小板および白血球)に存在するリガンドと特定の相互作用を介して細
胞間接着を介在すると考えられる。一般に、セレクチンのリガンドは、少なくと
も部分的に炭水化物部分(例えば、シアリルLewis(sLe)およびシ
アリルLewis(sLe))含む。P−セレクチンは、Lewis血液
群抗原の非シアル酸形態に、より高い親和性のシアル酸Lewisと共に結合
する。またE−セレクチンおよびL−セレクチンと結合し得るP−セレクチン糖
タンパク質リガンド−1(PSGL−1)すなわち高親和性P−セレクチンリガ
ンドは、白血球および白血球、血小板、および内皮細胞型の間の介在性細胞接着
によって発現される(米国特許第5,843,707号および米国特許第5,8
27,817号)。
【0005】 (発明の要旨) 本発明は、血栓症の調節(例えば、予防、抑制、または処置)のための方法お
よび組成物を提供する。本発明は、少なくとも一部において、P−セレクチンア
ンタゴニスト(P−セレクチンリガンド分子(またはP−セレクチンリガンド活
性を有するそれらのフラグメント(例えば、可溶性PSGL−1もしくは可溶性
組換えPSGL融合タンパク質(例えば、2量体PSGL−1)、抗P−セレク
チン抗体、および抗P−セレクチンリガンド抗体を含む)によるP−セレクチン
拮抗作用の発見に基づき、そして抗P−セレクチンリガンド抗体は、細胞接着を
抑制し(例えば、細胞と細胞との接着、例えば、白血球−内皮もしくは白血球−
血小板接着)ならびに血管との細胞(例えば、血小板または白血球)接着)、血
管に関する細胞(例えば、白血球もしくは血小板)の移動を調節(例えば、増加
)し、そして白血球ローリング速度を増加し、それによって血栓の形成を抑制す
る。本発明のP−セレクチンリガンド分子は、本明細書中でelecti
lycoprotein igand−1(P−セレクチン糖タンパク
質リガンド−1:PSGL−1)分子と称される。
【0006】 1つの局面において、本発明は、被験体に組成物(P−セレクチンアンタゴニ
ストの有効量を含む)を投与することによって、血栓症を調節(例えば、予防、
抑制または処置)するための方法を提供する。1つの実施形態において、P−セ
レクチンアンタゴニストは、P−セレクチンリガンドタンパク質である。別の実
施形態において、P−セレクチンリガンドタンパク質は、ヒトP−セレクチンリ
ガンドタンパク質である。好ましい実施形態において、P−セレクチンアンタゴ
ニストは、可溶性P−セレクチンリガンドタンパク質、またはP−セレクチンリ
ガンド活性を有するそれらのフラグメント(例えば、可溶性PSGL−1もしく
は可溶性組換えPSGL融合タンパク質(例えば、2量体PSGL−1もしくは
組換えPSGL−Ig))である。別の実施形態において、P−セレクチンアン
タゴニストは、抗P−セレクチン抗体もしくはそれらの生物学的に活性なフラグ
メント、または抗P−セレクチンリガンド抗体もしくは生物学的に活性なそれら
のフラグメントである。さらに別の実施形態において、この組成物は、さらに薬
学的に受容可能なキャリアを含む。
【0007】 1つの実施形態において、この被験体は哺乳動物(例えば、ヒト)である。別
の実施形態において、本発明の方法は、P−セレクチンリガンドタンパク質の細
胞外ドメイン(例えば、配列番号2で示されるアミノ酸配列のアミノ酸42から
アミノ酸60まで、42から88まで、42から118まで、42から189ま
で、または42から310まで)の少なくとも一部分を含む可溶性P−セレクチ
ンリガンドタンパク質を投与する工程を包含する。別の実施形態において、この
タンパク質は、配列番号2で示されるP−セレクチンリガンドタンパク質の細胞
外ドメインを少なくとも含む、可溶性P−セレクチンリガンドタンパク質である
。さらなる実施形態において、本発明は、免疫グロブリン(例えば、ヒトIgG
)のFc部分をさらに含む可溶性タンパク質を提供する。関連する実施形態にお
いて、この可溶性タンパク質は、可溶性P−セレクチンリガンドタンパク質(免
疫グロブリンのFc部分とその配列のC末端で融合する、配列番号2のアミノ酸
42からアミノ酸60までのアミノ酸配列を含む。関連する実施形態において、
この可溶性タンパク質は、可溶性P−セレクチンリガンドタンパク質(免疫グロ
ブリンのFc部分とその配列のC末端で融合する、配列番号2のアミノ酸42か
らアミノ酸88までのアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態において、免疫グ
ロブリンのこのFc部分は、連結配列を介してP−セレクチンリガンドタンパク
質と融合される。
【0008】 本発明の別の局面は、被験体において、P−セレクチンアンタゴニスト(例え
ば、可溶性PSGL−1もしくは可溶性組換えPSGL融合タンパク質(例えば
、2量体PSGL−1))または抗P−セレクチン抗体または生物学的に活性な
それらのフラグメントを投与することによって、血管に関連する細胞(例えば、
白血球もしくは血小板)移動を調節(例えば、増加)、あるいは白血球ローリン
グ速度を増加するための方法を提供する。さらに本発明の別の局面は、被験体に
おいて、P−セレクチンアンタゴニスト(例えば、可溶性PSGL−1もしくは
可溶性組換えPSGL融合タンパク質(例えば、2量体PSGL−1または組換
えPSLG−1、抗セレクチンリガンド抗体またはそれらの生物学的に活性なフ
ラグメント))または抗P−セレクチン抗体または生物学的に活性なそれらのフ
ラグメントを投与することによって、細胞と細胞との接着を抑制するための方法
を提供する。1つの実施形態において、この接着性の細胞は、白血球、血小板、
および内皮細胞から選択される。本発明のさらなる局面は、被験体において、P
−セレクチンアンタゴニスト(例えば、可溶性PSGL−1もしくは可溶性組換
えPSGL融合タンパク質(例えば、2量体PSGL−1または組換えPSLG
−1、抗セレクチンリガンド抗体またはそれらの生物学的に活性なフラグメント
))または抗P−セレクチン抗体または生物学的に活性なそれらのフラグメント
を投与し、それによって血管に対する細胞接着を抑制することによって、血管に
対する細胞接着を抑制する方法を提供する。1つの実施形態において、この接着
性の細胞は、白血球、血小板および内皮細胞からなる群から選択される。
【0009】 さらに別の実施形態において、本発明は、PSGL−1ポリペプチド活性を調
節する組成物の能力がアッセイされる、血栓を調節し得る組成物を同定するため
の方法を提供する。1つの実施形態において、PSGL−1ポリペプチド活性を
調節する組成物の能力は、細胞接着(例えば、細胞間接着(例えば、白血球−内
皮細胞または白血球−血小板接着)、ならびに血管への細胞(例えば、血小板ま
たは白血球)の接着)における減少を決定することによって決定される。別の実
施形態において、PSGL−1ポリペプチド活性を調節する組成物の能力は、血
管と比較する細胞移動における増加を検出することによって決定される。
【0010】 本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から
明らかとなる。
【0011】 (発明の詳細な説明) 本発明は、インビボにおいて、P−セレクチンアンタゴニスト(例えば、可溶
性PSGL−1もしくは可溶性組換えPSGL融合タンパク質(例えば、2量体
PSGL−1)、抗P−セレクチンリガンド抗体もしくは生物学的に活性なそれ
らのフラグメントまたは抗P−セレクチン抗体または生物学的に活性なそれらの
フラグメントを投与することによって、血栓症の調節(例えば、予防、抑制また
は処置)のための方法および組成物を提供する。本発明の方法において使用され
るP−セレクチンリガンドタンパク質は、本明細書中でelectin lycoprotein igand−1(P−セレクチン糖タンパク質リ
ガンド−1:PSGL−1)分子と称される。
【0012】 本発明は、少なくとも一部において、血栓誘導因子(例えば、ロイコトリエン
(LTC)、の効果を抑制する可溶性P−セレクチンリガンド(例えば、
2量体PSGL−1)分子が、LTC誘導の減少された白血球ローリング速度
の抑制し、引き続いて細胞接着を弱め、そして深静脈血栓症(DVT)の動物モ
デルにおける血栓症を抑制するという発見に基づく(実施例2を参照のこと)。
【0013】 本明細書中で使用される場合、血栓症誘導因子は、血管中に血餅、または血栓
の形成を誘導する、任意の因子である。血栓症誘導因子はまた、細胞接着、血管
に関連する細胞移動もしくは細胞の運動の減少、または白血球ローリングの減少
を誘導し、それによって血管中で血栓形成を誘導する因子を含む。血栓症誘導因
子の例としては、限定されないが、薬学的組成物、体内で産生されるかまたは被
験体に投与される天然に存在する因子、および血管の損傷を引き起こす因子(例
えば、外科的手順)が挙げられる。
【0014】 細胞と細胞との接着(例えば、白血球−内皮細胞、もしくは白血球−血小板接
着)、うっ血、血管に関係する細胞(例えば、白血球および血小板)の運動の抑
制、ならびに白血球ローリング速度の減少は、血栓症または血栓症の形成に寄与
する。さらに、血管損傷後、P−セレクチンおよびE−セレクチンとP−セレク
チンリガンド(例えば、PSGL−1)との結合を介して、白血球は、損傷血管
(例えば、内皮細胞)と接着し、これは白血球において発現され、血栓症の形成
を生じる。本発明の1つの局面において、例えば、可溶性P−セレクチンリガン
ドタンパク質またはP−セレクチンリガンド活性を有するそれらのフラグメント
(例えば、可溶性PSGL−1)または可溶性組換えPSGL−融合タンパク質
(例えば、2量体PSGL−1)、抗P−セレクチンリガンド抗体、または抗P
−セレクチン抗体によるP−セレクチンの拮抗作用は、損傷動脈セグメントの白
血球接着を抑制し、細胞接着(例えば、細胞間接着(例えば、白血球−内皮細胞
接着もしくは白血球−血小板接着)ならびに血管への細胞(例えば、血小板もし
くは白血球)接着を調節し、血小板および内皮細胞に対する白血球の補充の調製
、細胞(例えば、白血球もしくは血小板)移動の調製、血管に関連する細胞の運
動の調整、ならびに白血球ローリング速度を調節(例えば、増加)して、それに
よって血栓症を調節(例えば、予防、抑制もしくは処置)する。
【0015】 本明細書中で使用される場合、「P−セレクチンアンタゴニスト」とは、P−
セレクチンおよび/またはE−セレクチンを拮抗作用し得る(例えば、P−セレ
クチンもしくはE−セレクチンとP−セレクチンリガンドタンパク質との間の相
互作用を抑制することによって、例えば、P−セレクチンもしくはE−セレクチ
ン発現内皮細胞とPSGL−1発現白血球で活性化された血小板との相互作用を
抑制することによって)、任意の因子を含む。例えば、P−セレクチンアンタゴ
ニストとしては、P−セレクチンリガンド分子もしくはP−セレクチンリガンド
活性をを有するそれらのフラグメント(例えば、可溶性PSGL−1)、または
可溶性組換えPSGL融合タンパク質(例えば、組換えPSGL−Ig)、なら
びに低分子、抗P−セレクチン抗体および抗P−セレクチンリガンド抗体が挙げ
られる。血栓症の抑制における使用のためのP−セレクチンアンタゴニストは、
本明細書中に記載されるように、好ましくは4量体P−セレクチンリガンド分子
(tetPSGL−1分子)(本明細書中に記載されるように)、または、イン
ビトロで白血球の間の交差結合を増加する他のアンタゴニストを含まず、それに
よって血栓形成を増加する。
【0016】 本明細書中で交換可能に使用されるように、「P−セレクチンリガンド活性」
「PSGL−1活性」「PSGL−1の生物学的活性」もしくは「PSGL−1
の機能的活性」としては、PSGL−1応答細胞(例えば、血小板、白血球もし
くは内皮細胞)に対して、標準的な技術に従ってインビボもしくはインビトロで
決定されるように、PSGL−1タンパク質、ポリペプチドまたは核酸分子によ
って及ぼされる活性が挙げられる。PSGL−1活性は、PSGL−1標的分子
(例えば、P−セレクチンまたはE−セレクチン)と関連するような、直接的な
活性であり得る。本明細書中で使用される場合、「基質」もしくは「標的分子」
または「結合パートナー」は、分子(例えば、P−セレクチンもしくはE−セレ
クチン)であり、PSGL−1タンパク質は、天然で、このようなPSGL−1
介在機能(例えば、細胞の移動もしくは接着)が達成されるように、結合または
相互作用する。PSGL−1標的分子は、非PSGL−分子またはPSGL−1
タンパク質もしくはPSGL−1ポリペプチドであり得る。このような標的分子
の例としては、PSGL−1タンパク質(例えば、P−セレクチン結合の調節を
包含する経路におけるPSGL−1タンパク質の、上流(活性の刺激因子および
インヒビターを含む)または下流を機能し得るタンパク質)として、同じシグナ
ル伝達経路中のタンパク質が挙げられる。あるいは、PSGL−1活性は、非直
接的な活性であり、これは、例えばPSGL−1タンパク質のPSGL−1標的
分子(例えば、P−セレクチンまたはE−セレクチン)との相互作用によって介
在される細胞シグナル伝達活性などである。PSGL−1の生物学的活性は本明
細書中に記載され、そして、1つ以上の以下の活性を含む:1)P−セレクチン
もしくはE−セレクチンと結合または相互作用する活性;2)P−セレクチンも
しくはE−セレクチンの結合を調節する活性;3)細胞接着(例えば、細胞間接
着(白血球−内皮細胞接着または白血球−血小板接着)、血管に対する、細胞(
例えば、血小板もしくは白血球)接着を調節する活性;4)血小板および内皮細
胞に対する白血球の補充を調節する活性;5)細胞(例えば、血小板もしくは白
血球)移動を調節する活性;6)血管に関連する細胞の運動を調節する活性;7
)白血球ローリング速度を調節(例えば、増加)する活性;ならびに8)血栓症
を調節(例えば、抑制、処置または予防する活性)。
【0017】 本明細書中で使用される場合、「血栓症」は、血管内の1以上の血塊または血
栓の形成または発生を含む。本明細書中で使用される場合、血栓症はまた、「深
静脈血栓症」(DVT)を含み、これは、(例えば、脚の)深静脈内の血栓の形
成である。一旦形成されると、血栓は、血管において血流を部分的にブロックす
るかまたは完全にブロックするかのいずれかであり得る。血栓の形成は、少なく
とも部分的には、細胞と細胞との接着(例えば、白血球−内皮細胞または白血球
−血小板接着)、血管への細胞接着(例えば、創傷血管)、血管に関する細胞(
例えば、白血球または血小板)の動き(movement)または移動(mig
ration)の減少(例えば、白血球もしくは血小板)および/あるいは白血
球のローリング速度の減少によって生じる。
【0018】 血栓症の危険性のあり得る被験体は、心血管疾患または障害(例えば、アテロ
ーム硬化症または高血圧)を被る被験体である。血栓症の危険性のあり得る被験
体はまた、心血管もしくは一般の血管手順または介入(例えば、任意の血管(例
えば、頚動脈、大腿、冠状などの)の血管形成術;外科的血管再生(例えば、バ
ルーン血管形成術、レーザー血管形成術、経皮的経管的冠状動脈形成術(PTC
A)、冠状動脈バイパス移植、回転性のアテレクトノミーもしくは冠状動脈ステ
ント)、または血管の創傷を生じ得る外科的もしくは非外科的な他の介入を経た
被験体である。被験体はまた、任意の外科的手順の後に血栓症の危険性があり得
る。さらに、被験体が長期間にわたって不動化される場合(例えば、入院中の患
者)、被験体は、血栓症(例えば、DVT)の危険性を有し得る。健康な個体も
また、長期の不動化(例えば、長時間の旅行中の長座)に起因する危険性を有し
得る。血栓症を調節するP−セレクチンアンタゴニストの投与は、創傷の前、介
入手順の間、または創傷もしくは介入が生じた後であり得る。好ましい実施形態
において、P−セレクチンアンタゴニストの投与は、外科的介入、創傷、または
血栓形成の開始の前である。
【0019】 本発明の方法において使用されるPSGL−1分子は、米国特許第5,827
,817号に記載され、この特許の内容は、本明細書中で参考として援用される
【0020】 本発明の方法において使用されるPSGL−1分子は、以下の末端糖質の1以
上を含み得る糖タンパク質である:
【0021】
【化1】 ここで、Rは、糖質鎖の残りであり、P−セレクチンリガンドタンパク質または
P−セレクチンリガンドタンパク質に共有結合する脂質部分のいずれかに直接共
有結合し得る。本発明の方法において使用されるP−セレクチンリガンド糖タン
パク質はさらに、硫酸化されるかまたは翻訳後に改変される。COS細胞および
CHO細胞において発現される場合、全長のP−セレクチンリガンドタンパク質
(配列番号2のアミノ酸1〜402)または成熟P−セレクチンリガンドタンパ
ク質(配列番号2のアミノ酸42〜402)は、非還元SDS−ポリアクリルア
ミドゲル電気泳動によって示されるように、220kDの明らかな分子量を有す
る、ホモ二量体または二価のタンパク質である。
【0022】 PGSL−1は、内皮細胞および血小板上でP−セレクチンおよびE−セレク
チンのリガンドとして作用する糖タンパク質である。PSGL−1のDNA配列
は、配列番号1に示される。PGSL−1の完全アミノ酸配列(すなわち、成熟
ペプチド+リーダー配列)は、配列番号2に示されるアミノ酸配列のアミノ酸1
〜アミノ酸402によって特徴付けられる。成熟PSGL−1タンパク質は、配
列番号2に示されたアミノ酸配列のアミノ酸42〜アミノ酸402によって特徴
付けられる。
【0023】 本明細書中で使用する場合、「可溶性PSGL−1タンパク質」または「可溶
性P−セレクチンリガンドタンパク質」は、可溶性P−セレクチンリガンド糖タ
ンパク質(例えば、可溶性PSGL−1、またはP−セレクチンリガンド活性を
有するそのフラグメント)をいい、sLeを含む糖質を含む。本発明の方法に
おいて使用される可溶性P−セレクチンリガンドタンパク質は、好ましくは、少
なくともPSGL−1の細胞外ドメイン(配列番号2の約アミノ酸18〜約アミ
ノ酸310)、またはその生物学的に活性なフラグメントを含む。P−セレクチ
ンリガンド分子の他の可溶性形態は、配列番号2に示されるアミノ酸配列(例え
ば、アミノ酸42〜310)またはその生物学的に活性なフラグメントによって
特徴付けられる。PSGL−1の細胞外ドメインの生物学的に活性なフラグメン
トは、例えば、配列番号2に示されたアミノ酸配列のアミノ酸42〜60、42
〜88、42〜118および42〜189を含む。本発明の方法において使用さ
れる可溶性PSGL−1タンパク質は、好ましくは、PSGL−1タンパク質の
単量体または二量体である。
【0024】 本発明の方法の1つの実施形態において、本発明の方法のP−セレクチンリガ
ンド分子の可溶性形態は、「リンカー」配列を介して免疫グロブリン(例えば、
IgG分子)のFc部分と融合して、融合タンパク質を形成し得る。他の免疫グ
ロブリンアイソタイプがまた使用されて、このような融合タンパク質を生成し得
るが、ただし、生じる融合タンパク質は、単量体または二量体のいずれかである
【0025】 本発明の別の実施形態において、可溶性P−セレクチンリガンドタンパク質は
、PSGL−1タンパク質分子の細胞外ドメイン、sLeを含む糖質からなり
、そしてヒトIgGのFc部分にリンカー配列を介して融合されるキメラ分子で
ある。
【0026】 PSGL−1の単量体形態は、例えば、PSGL−1のアミノ酸配列を改変し
することによって生成され得、その結果、配列番号2の310位でのシステイン
が、セリンまたはアラニンによって置換されるか、あるいは当該分野で公知の他
の方法によって生成され得る。
【0027】 好ましい実施形態において、二量体PSGL−1(dimPSGL−1)融合
タンパク質は、ネイティブPSGL−1のNH47アミノ酸を短縮することに
よって生成され、それによって、P−セレクチンに対する高親和性を維持するが
L−セレクチンおよびE−セレクチンへの結合を減少させる(図1を参照のこと
)。PSGL−1のNH47アミノ酸は、ヒト免疫グロブリン−1(IgG )のFc部分に結合され、それによって、ネイティブのPSGL−1において観
察された二価の提示を回復した。最後に、不溶性Fcレセプター結合および補体
固定の効果または機能を無効にするために、IgG−Fc領域の2つのアミノ酸
は、変異される(実施例1を参照のこと)。
【0028】 P−セレクチンアンタゴニストの親和性を増大させるために、PSGL−1の
四量体形態を、ネイティブPSGL−1のNH47アミノ酸を短縮してヒトI
gGのFc部分の軽鎖領域および重鎖領域の両方に融合させることによって構
築し得る(図1を参照のこと)。四量体PSGL−1(tetPSGL−1)は
、dimPSGL−1と比較して、P−セレクチンに対する5〜10倍大きい親
和性を有することが示された。しかし、本明細書中に記載される実験においては
、PSGL−1の四量体形成は、細胞接着、内皮細胞創傷、および静脈うっ血の
間の血栓症を(おそらく、この実験においては白血球の架橋を介して)悪化させ
ることが見出された(実施例2を参照のこと)。四量体PSGL−1の高用量は
、白血球の移動における上昇および移動速度における減少によって特徴付けられ
る炎症応答の基準線を誘導する。従って、PSGL−1の四量体形態は、血栓症
の阻害、処置または予防が所望される本発明の方法における使用には好ましくな
い。
【0029】 本発明の方法は、配列番号1に示されたヌクレオチド配列とは異なる核酸分子
の使用を包含し、このヌクレオチド配列は、遺伝コードの縮重に起因して、そし
て従って、配列番号1に示されるヌクレオチド配列によってコードされるPSG
L−1タンパク質と同じPSGL−1タンパク質をコードする。別の実施形態に
おいて、本発明の方法に含まれる単離された核酸分子は、配列番号2に示された
アミノ酸配列を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を有する。
【0030】 本発明の方法はさらに、ヒトPSGL−1の対立遺伝子改変体(例えば、機能
的または非機能的な対立遺伝子改変体)の使用を含む。機能的な対立遺伝子改変
体は、ヒトPSGL−1タンパク質の天然に存在するアミノ酸配列改変体であり
、本明細書中に記載されるようなPSGL−1活性(例えば、P−セレクチンま
たはE−セレクチン結合)を保持する。機能的な対立遺伝子改変体は、代表的に
、配列番号2の1つ以上のアミノ酸の保存的置換のみ、またはこのタンパク質の
重要ではない領域における重要ではない残基の置換、欠失または挿入を含む。非
機能的な対立遺伝子改変体は、PSGL−1活性を有さない、ヒトPSGL−1
タンパク質の天然に存在するアミノ酸配列改変体である。非機能的対立遺伝子改
変体は、代表的に、配列番号2のアミノ酸配列の非保存的置換、欠失もしくは挿
入、または未熟な短縮、あるいはこのタンパク質の重要な残基もしくは重要な領
域における置換、挿入、または欠失を含む。
【0031】 本発明の種々の局面は、以下の小節においてより詳細に記載される。
【0032】 (I.本発明の方法において使用される単離されたPSGL−1タンパク質、
抗PSGL−1抗体、および抗P−セレクチン抗体) 本発明の1つの局面は、単離されたP−セレクチンリガンドタンパク質(例え
ば、PSGL−1タンパク質)およびその生物学的に活性な部分、ならびに抗P
−セレクチンリガンド抗体を惹起するための免疫原としての使用に適切なポリペ
プチドフラグメントに関する。1つの実施形態において、ネイティブなPSGL
−1タンパク質は、標準的タンパク質精製技術を用いて適切な精製スキームによ
って細胞または組織供給源から単離され得る。別の実施形態において、PSGL
−1タンパク質は、組み換えDNA技術によって産生され得る。組み換え発現に
代えて、PSGL−1タンパク質またはポリペプチドは、標準的ペプチド合成技
術を用いて、化学的に合成され得る。
【0033】 本明細書中で使用される場合、PSGL−1タンパク質の「生物学的に活性な
部分」は、PSGL−1活性を有するPSGL−1タンパク質のフラグメントを
含む。PSGL−1タンパク質の生物学的に活性な部分は、PSGL−1タンパ
ク質のアミノ酸配列と十分に同一であるかまたはPSGL−1タンパク質のアミ
ノ酸配列に由来するアミノ酸配列(例えば、配列番号2に示されるアミノ酸配列
)を含むペプチドを含み、これは、全長のPSGL−1タンパク質よりも少ない
アミノ酸を含み、そしてPSGL−1タンパク質の少なくとも1つの活性を示す
。代表的に、生物学的に活性な部分は、PSGL−1タンパク質の少なくとも1
つの活性を有するドメインまたはモチーフを含む(例えば、P−セレクチンおよ
び/またはE−セレクチンと相互作用し得るPSGL−1の細胞外ドメインある
いはそのフラグメントを含むフラグメント)。PSGL−1タンパク質の生物学
的に活性な部分は、例えば、18、20、22、25、50、75、100、1
25、150、175、200、250、300以上のアミノ酸長であるポリペ
プチドであり得る。PSGL−1タンパク質の生物学的に活性な部分は、PSG
L−1活性を調節する因子を発生させるための標的として用いられ得る。
【0034】 好ましい実施形態において、本発明の方法において使用されるPSGL−1タ
ンパク質は少なくとも、配列番号2に示されるアミノ酸配列の細胞外ドメインま
たはPSGL−1の細胞外ドメインのP−セレクチン結合フラグメントあるいは
配列番号2の細胞外ドメインを有する。他の実施形態において、PSGL−1タ
ンパク質は、配列番号2と実質的に同一であり、以下の小節IIに詳細に記載さ
れるように、天然の対立遺伝子改変体または突然変異誘発に起因してアミノ酸配
列を異にするが、配列番号2のタンパク質の機能的活性を保持している。従って
、別の実施形態において、本発明の方法において使用されるPSGL−1タンパ
ク質は、配列番号2と少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、
75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、
96%、97%、98%、99%以上同一のアミノ酸配列を含むタンパク質であ
る。
【0035】 好ましい実施形態において、本発明の方法において使用されるPSGL−1タ
ンパク質は、可溶性P−セレクチンリガンドタンパク質である。P−セレクチン
リガンドタンパク質の可溶性形態をコードするDNAは、P−セレクチンリガン
ドタンパク質の膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインをコードする領域が欠失さ
れ、ならびに/または、終止コドンが細胞外ドメインのカルボキシ末端でアミノ
酸のコドンに対して3’に導入される、改変されたDNAの発現によって調製さ
れ得る。例えば、疎水性分析は、配列番号2に示されたP−セレクチンリガンド
タンパク質が、配列番号2のアミノ酸311〜332からなる膜貫通ドメイン、
および配列番号2のアミノ酸333〜402からなる細胞質ドメインを有するこ
とを予測した。上記のような改変DNAは、当該分野で公知の部位特異的変異誘
発法を含む標準的な分子生物学的技術または適切なオリゴヌクレオチドプライマ
ーを使用するポリメラーゼ連鎖反応によって作製され得る。種々の可溶性P−セ
レクチンリガンドタンパク質をコードするいくつかのDNAを生成するための方
法は、本明細書中で参考として援用される米国特許第5,827,817号に示
される。
【0036】 2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列の間の同一性パーセントを決定する
ため、この配列を至適比較目的で整列させる(例えば、ギャップは、至適アライ
メントのために第一および第二のアミノ酸配列または第一および第二の核酸配列
の1つまたは両方において導入され得、そして同一でない配列は、比較目的のた
めに無視され得る)。好ましい実施形態において、比較目的のために整列された
参照配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、好ましくは少なくとも
40%、より好ましくは少なくとも50%、なおより好ましくは少なくとも60
%、そしてなおより好ましくは少なくとも70%、80%、または90%の長さ
である(例えば、400アミノ酸残基を有する配列番号2のPSGL−1アミノ
酸配列に対して第二の配列を整列する場合、少なくとも280、好ましくは少な
くとも240、より好ましくは少なくとも200、なおより好ましくは少なくと
も160、そしてなおより好ましくは少なくとも120、80または40以上の
アミノ酸残基が整列される)。次いで、対応するアミノ酸の位置またはヌクレオ
チドの位置で、アミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。第一の配列におけ
る位置が、第二の配列における対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオ
チドによって占有される場合、この分子は、その位置で同一である(本明細書中
で用いられる場合、アミノ酸または核酸の「同一性」は、アミノ酸または核酸の
「相同性」と等価である)。2つの配列の間の同一性パーセントは、ギャップの
数および各ギャップの長さを考慮した、これらの配列によって共有される同一の
位置の数の関数である(ギャップの数および各ギャップの長さは、2つの配列の
至適アラインメントのために導入される必要がある)。
【0037】 配列の比較および2つの配列間の同一性パーセントの決定は、数学アルゴリズ
ムを使用して達成され得る。好ましい実施形態では、2つのアミノ酸配列間の同
一性パーセントを決定するにあたり、GCGソフトウェアパッケージ(http
://www.gcg.comで利用可能)中のGAPプログラムに組みこまれ
たNeedlemanおよびWunsch(J.Mol.Biol.48:44
4〜453(1970))のアルゴリズムを使用し、Blosum62マトリッ
クスまたはPAM250マトリックスのいずれかを使用し、かつギャップ量を1
6、14、12、10、8、6または4とし、長さ量を1、2、3、4、5また
は6にしている。さらに別の好ましい実施形態で、2つのヌクレオチド配列間の
同一性パーセントを決定するにあたり、GCGソフトウェアパッケージ(htt
p://www.gcg.comで利用可能)中のGAPプログラムを使用し、
NWSgapdna.CMPマトリックスを使用し、かつギャップ重量を40、
50、60、70または80とし、長さ重量を1、2、3、4、5または6にし
ている。別の実施形態において、2つのアミノ酸配列間または2つのヌクレオチ
ド配列間の同一性パーセントは、E.MeyersおよびW.Miller(C
omput.Appl.Biosci.4:11〜17(1988))のアルゴ
リズムを使用して決定され、このアルゴリズムは、ALIGNプログラム(バー
ジョン2.0または2.0U)中に組み込まれており、PAM120ウェイト残
基表(weight residue table)、ギャップ長ペナルティー
12、およびギャップペナルティー4が使用される。
【0038】 本発明の方法はまた、PSGL−1キメラタンパク質または融合タンパク質を
使用し得る。本明細書において使用される、PSGL−1「キメラタンパク質」
または「融合タンパク質」は、非PSGL−1ポリペプチドに作動可能に結合さ
れたPSGL−1ポリペプチドを含む。「PSGL−1ポリペプチド」は、PS
GL−1分子に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドをいうが、「非PS
GL−1ポリペプチド」は、PSGL−1タンパク質に実質的に相同ではないタ
ンパク質(例えば、PSGL−1タンパク質と異なり、かつ同一または異なる生
物由来のタンパク質)に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドをいう。P
SGL−1融合タンパク質の範囲内で、PSGL−1ポリペプチドは、PSGL
−1タンパク質の全てまたは一部に対応し得る。好ましい実施形態で、PSGL
−1融合タンパク質は、PSGL−1タンパク質の少なくとも1つの生化学的に
活性な部分(例えば、PSGL−1の細胞外ドメインまたはそのP−セレクチン
結合フラグメント)を含む。別の好ましい実施形態において、PSGL−1融合
タンパク質は、PSGL−1タンパク質の少なくとも2つの生物学的に活性な部
分を含む。融合タンパク質の範囲内で、用語「作動可能に結合された」は、PS
GL−1ポリペプチドおよび非PSGL−1ポリペプチドが相互にインフレーム
で融合することを示すことが意図される。非PSGL−1ポリペプチドは、PS
GL−1ポリペプチドのN末端またはC末端に融合され得る。
【0039】 例えば、1つの実施形態において、この融合タンパク質は、PSGL−1タン
パク質の組換え可溶性形態であり、ここでPSGL−1分子の細胞外ドメインは
、ヒトIgGに融合される(例えば、可溶性rPSGL−Ig)。
【0040】 別の実施形態において、この融合タンパク質は、そのN末端で、異種シグナル
配列を含むPSGL−1タンパク質である。特定の宿主細胞(例えば、哺乳動物
宿主細胞)において、PSGL−1の発現および/または分泌は、異種シグナル
配列の使用によって増大され得る。
【0041】 本発明の方法において使用される可溶性PSGL−1融合タンパク質(例えば
、rPSGL−Ig)は、薬学的組成物中に取り込まれて、インビボで被験体に
投与され得る。可溶性PSGL−1融合タンパク質を使用して、PSGL−1基
質(例えば、P−セレクチンまたはE−セレクチン)のバイオアベイラビリティ
ーに影響を与え得る。
【0042】 さらに、本発明の方法において使用されるPSGL−1融合タンパク質を、免
疫原として用いて、被験体中で抗P−セレクチンリガンド抗体を産生し得、P−
セレクチンリガンドを精製し得、そしてスクリーニングアッセイにおいてP−セ
レクチンリガンド分子とP−セレクチン分子との相互作用を阻害する分子を同定
し得る。
【0043】 好ましくは、本発明の方法において使用されるPSGL−1キメラタンパク質
または融合タンパク質は、標準的な組み換えDNA技術によって生成され得る。
例えば、異なるポリペプチド配列をコードするDNAフラグメントは、例えば、
連結のための平滑末端またはずれた末端、適切な末端を提供するための制限酵素
消化、必要に応じて粘着性末端の充填、所望されない接続を回避するためのアル
カリホスファターゼ処理、および酵素的ライゲーション(連結)を使用して、従
来の技術に従ってインフレームで一緒に連結される。別の実施形態では、融合遺
伝子は、自動DNA合成器を含む従来の技術によって合成され得る。あるいは、
遺伝子フラグメントのPCR増幅は、2つの保存的遺伝子フラグメントの間の相
補的オーバーハングを生じる、アンカープライマーを用いて実行され得る。この
遺伝子フラグメントは、引き続いてキメラ遺伝子配列を生成するためにアニーリ
ングおよび再増幅され得る(例えば、Current Protocols i
n Molecular Biology、Ausubelら編、John W
iley & Sons:1992、を参照のこと)。さらに、既に融合部分(
例えば、GSTポリペプチド)をコードしている多くの発現ベクターが、市販さ
れている。PSGL−1コード核酸は、融合部分がPSGL−1タンパク質にイ
ンフレームで連結されるように、このような発現ベクター中にクローニングされ
得る。
【0044】 本発明はまた、PSGL−1アゴニスト(模倣物)またはPSGL−1アンタ
ゴニストのいずれかとして機能する、PSGL−1タンパク質の改変体の使用に
関する。PSGL−1タンパク質の改変体は、変異誘発(例えば、別個の点変異
またはPSGL−1タンパク質の短縮)によって生成し得る。PSGL−1タン
パク質のアゴニストは、天然に存在する形態のPSGL−1タンパク質の生物学
的活性と実質的に同じか、またはそのサブセットの活性を維持し得る。PSGL
−1タンパク質のアンタゴニストは、例えば、PSGL−1タンパク質の、PS
GL−1媒介性の活性を競合的に調節することによって、天然に存在する形態の
PSGL−1タンパク質の活性の1つ以上を阻害し得る。従って、特定の生物学
的効果が、制限された機能の改変体での処理によって、誘発され得る。1つの実
施形態において、天然に存在する形態のタンパク質の生物学的活性のサブセット
を有する改変体での、被検体の処置は、天然に存在する形態のPSGL−1タン
パク質での処置と比較して、被験体における副作用がより少ない。
【0045】 1つの実施形態において、PSGL−1アゴニスト(模倣物)またはPSGL
−1アンタゴニストのいずれかとして機能する、PSGL−1タンパク質の改変
体は、PSGL−1タンパク質の変異体(例えば、短縮変異体)のコンビナトリ
アルライブラリーを、PSGL−1タンパク質のアゴニスト活性またはアンタゴ
ニスト活性についてスクリーニングすることによって、同定され得る。1つの実
施形態において、PSGL−1改変体の異型ライブラリーが、核酸レベルでのコ
ンビナトリアル変異誘発によって生成され、そして異型遺伝子ライブラリーによ
ってコードされる。PSGL−1改変体の異型ライブラリーは、例えば、合成オ
リゴヌクレオチドの混合物を遺伝子配列に酵素的に連結させることによって作製
され得、その結果、潜在的なPSGL−1配列の変性のセットが、個々のポリペ
プチドとしてか、あるいは本明細書中のPSGL−1配列のセットを含むより大
きな融合タンパク質(例えば、ファージディスプレイに関して)のセットとして
表現可能である。変性オリゴヌクレオチド配列から潜在的なPSGL−1改変体
のライブラリーを作製するために使用され得る、種々の方法が存在する。変性遺
伝子配列の化学合成が、自動化DNA合成機において実施され得、次いで合成遺
伝子が、適切な発現ベクターに連結され得る。遺伝子の変性セットを使用するこ
とによって、1つの混合物において、所望のセットの潜在的なPSGL−1配列
をコードする配列の全てを提供することが、可能となる。変性オリゴヌクレオチ
ドを合成するための方法は、当該分野において公知である(例えば、Naran
g,S.A.(1983)Tetrahedron 39:3;Itakura
ら(1984)Annu.Rev.Biochem.53:323;Itaku
raら(1984)Science 198:1056;Ikeら(1983)
Nucleic Acid Res.11:477を参照のこと)。
【0046】 さらに、PSGL−1タンパク質コード配列のフラグメントのライブラリーを
使用して、PSGL−1タンパク質の改変体のスクリーニングおよび引き続く選
択のための、PSGL−1フラグメントの異型集団を生成し得る。1つの実施形
態において、コード配列フラグメントのライブラリーは、PSGL−1コード配
列の二本鎖PCRフラグメントを、ヌクレアーゼで、ニックが1分子あたり約1
回のみ起こる条件下で処理し、この二本鎖DNAを変性し、このDNAを再生し
て異なるニック産物由来のセンス/アンチセンス対を含み得る二本鎖DNAを形
成し、S1ヌクレアーゼでの処理によって、再形成した二重鎖から一本鎖部分を
除去し、そして得られるフラグメントライブラリーを発現ベクターに連結するこ
とによって、生成され得る。この方法によって、PSGL−1タンパク質のN末
端、C末端、および種々の大きさの内部フラグメントをコードする、発現ライブ
ラリーが誘導され得る。
【0047】 点変異または短縮によって作製したコンビナトリアルライブラリーの遺伝子産
物をスクリーニングするため、および選択された特性を有する遺伝子産物につい
てcDNAライブラリーをスクリーニングするための、いくつかの技術が当該分
野において公知である。このような技術は、PSGL−1タンパク質のコンビナ
トリアル変異誘発によって生成した遺伝子ライブラリーの迅速なスクリーニング
のために、適合可能である。高スループット分析に耐え得る、大きな遺伝子ライ
ブラリーをスクリーニングするために最も広く使用される技術は、代表的に、こ
の遺伝子ライブラリーを複製可能な発現ベクターにクローニングする工程、生じ
たベクターのライブラリーで適切な細胞を形質転換する工程、およびこのコンビ
ナトリアル遺伝子を、以下の条件下で発現させる工程を包含する:所望の活性の
検出が、産物が検出された遺伝子をコードするベクターの単離を容易にする条件
。反復的な集団変異誘発(REM)(ライブラリーにおける機能的な変異体の頻
度を増強する新技術)を、スクリーニングアッセイと組み合わせて使用して、P
SGL−1改変体を同定し得る(ArkinおよびYourvan(1992)
Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:7811−7815;
Delgraveら(1993)Protein Engineering 6
(3):327−331)。
【0048】 本発明の方法はさらに、抗PSGL−1抗体および抗P−セレクチン抗体の使
用を含む。単離されたPSGL−1タンパク質またはP−セレクチンタンパク質
、あるいはそれらの部分またはフラグメントが免疫原として使用されて、ポリク
ローナルおよびモノクローナル抗体の調製のための標準的な技術を使用して、P
SGL−1またはP−セレクチンを結合する抗体を生成し得る。P−セレクチン
リガンド抗体は、例えば、米国特許第5,852,175号において記載される
。P−セレクチンに特異的な抗体は、例えば、Kurome,T.ら(1994
)J.Biochem.115(3)、608−614に記載される。
【0049】 全長PSGL−1タンパク質またはP−セクレチンタンパク質は、免疫原とし
て使用され得、あるいはPSGL−1またはP−セクレチンの抗原性ペプチドフ
ラグメントは、免疫原として使用され得る(Johnstonら、(1989)
Cell 56:1033−1044)。PSGL−1の抗原性ペプチドは、配
列番号得2に示されるアミノ酸配列の少なくとも8個のアミノ酸残基を含みかつ
PSGL−1のエピトープを含み、その結果、ペプチドに対して惹起される抗体
が、PSGL−1タンパク質と特異的な免疫複合体を形成する。好ましくは、抗
原性ペプチドは、少なくとも10個のアミノ酸残基、さらに好ましくは少なくと
も15個のアミノ酸残基、なおさらに好ましくは少なくとも20個のアミノ酸残
基および最も好ましくは少なくとも30個のアミノ酸残基を含む。
【0050】 抗原性ペプチドによって含まれる好ましいエピトープは、タンパク質の表面上
に位置するPSGL−1の領域(例えば、親水性領域および高度な抗原性を有す
る領域)である。
【0051】 典型的には、PSGL−1またはP−セクレチン免疫原を使用して、この免疫
原で適切な被験体(例えば、ウサギ、ヤギ、マウス、または他の哺乳動物)を免
疫することによって抗体を調製する。適切な免疫原性調製物には、例えば、組換
え的に発現されたPSGL−1タンパク質もしくはP−セクレチンタンパク質ま
たは化学的に合成されたPSGL−1ポリペプチドもしくはP−セクレチンポリ
ペプチドを含み得る。この調製物はさらに、フロイント完全アジュバントまたは
不完全アジュバントのようなアジュバント、あるいは同様の免疫刺激性因子を含
み得る。適切な被験体の免疫原性PSGL−1調製物による免疫は、ポリクロー
ナル抗PSGL−1抗体または抗P−セクレチン抗体の応答を誘導する。
【0052】 本明細書中で使用される場合、用語「抗体」は、免疫グロブリン分子および免
疫グロブリン分子の免疫学的に活性部分(すなわち、抗原(例えば、PSGL−
1またはP−セクレチン)に特異的に結合する(免疫反応する)抗原結合部位を
含む分子)をいう。免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分の例は、抗体を
酵素(例えば、ペプシン)によって処理することによって生成され得るF(ab
)およびF(ab’)フラグメントを含む。本発明は、PSGL−1に結合す
るポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を提供する。用語「モノクロー
ナル抗体」および「モノクローナル抗体組成物」は、本明細書中で用いられる場
合、PSGL−1の特定のエピトープと免疫反応し得る抗原結合部位の1つの種
のみを含む、抗体分子の集団をいう。従って、モノクローナル抗体組成物は、代
表的には、免疫反応する特定のPSGL−1タンパク質またはP−セクレチンに
対する単一の結合親和性を表する。
【0053】 ポリクローナル抗PSGL−1抗体または抗P−セクレチン抗体は、前記のご
とく適切な被験体をPSGL−1またはP−セクレチン免疫原で免疫することに
より調製され得る。免疫化被験体における抗PSGL−1抗体または抗P−セク
レチン抗体の力価は、標準的な方法、例えば、固定化PSGL−1またはP−セ
クレチンを使用する酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)で長期にわたりモニ
タされ得る。所望であれば、いずれかの抗原に対する抗体分子は、哺乳動物(例
えば、血液)から単離され得、さらに周知の方法(例えば、IgG画分を得るた
めのプロテインAクロマトグラフィー)で精製され得る。免疫化後の適切な時点
で、例えば、抗体力価が最高の場合に、抗体産生細胞が、被験体から取得され得
、そしてこれを使用して標準的技術(例えば、KohlerおよびMilste
in(1975),Nature 256:495−497)によって初めて記
載されたハイブリドーマ技術(Brownら(1981)J.Immunol.
127:539−46;Brownら(1980)J Biol.Chem.2
55:4980−83;Yehら(1976)Proc.Natl.Acad.
Sci.USA 76:2927−31;およびYehら(1982)Int.
J.Cancer 29:269−75もまた参照のこと)、より最近のヒトB
細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら(1983)Immunol Tod
ay 4:72)、EBVハイブリドーマ技術(Coleら(1985),Mo
noclonal Antibodies and Cancer Thera
py,Alan R.Liss,Inc.,pp77−96)、あるいはトリオ
ーマ技術によってモノクローナル抗体を調製し得る。モノクローナル抗体ハイブ
リドーマを生産する方法は、周知である(概して、R.H.Kenneth,i
n Monoclonal Antibodies:A New Dimens
ion In Biological Analyses,Plenum Pu
blishing Corp.,New York,New York(198
0);E.A.Lerner(1981)Yale J.Biol.Med.,
54:387−402;M.L.Gefterら(1977)Somatic
Cell Genet.,3:231−36を参照のこと)。概略すれば、不死
化細胞株(典型的には、ミエローマ)は、上記のような免疫原で免疫された哺乳
動物由来のリンパ球(典型的には、脾細胞)に融合され、そして生じたハイブリ
ドーマ細胞の培養上清をスクリーニングして、PSGL−1またはP−セクレチ
ンに結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを同定する。
【0054】 リンパ球と不死化細胞株を融合するのに使用される多数の周知のプロトコール
のいずれかは、抗PSGL−1モノクローナル抗体またはP−セレクチンモノク
ローナル抗体を生成する目的に適用され得る(例えば、G.Galfreら(1
977)Nature 266:55052;Gefterら(上記で引用);
Lerner,(上記で引用);Kenneth,(上記で引用)を参照のこと
)。さらに当業者は、このような方法の変型で有用なものが多数存在することを
理解する。典型的には、不死化細胞株(例えば、ミエローマ細胞株)は、リンパ
球と同一の哺乳動物種から誘導される。例えば、マウスのハイブリドーマが、本
発明の免疫原性調製物で免疫されたマウス由来のリンパ球を不死化マウス細胞株
と融合することによって作製され得る。好ましい不死化細胞株は、ヒポキサンチ
ン、アミノプテリンおよびチミジン含有の培養培地(「HAT培地」)に感受性
であるマウスのミエローマ細胞株である。多数のミエローマ細胞株(例えば、P
3−NS1/1−Ag4−1、P3−x63−Ag8.653、あるいはSp2
/O−Ag14ミエローマ系のいずれか)は、標準的な技術に従って融合パート
ナーとして使用され得る。これらのミエローマ株はATCCから入手可能である
。典型的には、HAT感受性マウスミエローマ細胞は、ポリエチレングリコール
(「PEG」)を使用してマウス脾細胞に融合される。次いで、融合により得ら
れたハイブリドーマ細胞は、HAT培地を使用して選択される。この培地は、非
融合ミエローマ細胞、および産生性のない融合ミエローマ細胞を殺滅する(非融
合の脾細胞は形質転換されていないので、数日後に死滅する)。本発明のモノク
ローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞は、例えば標準的なELISAアッ
セイを使用して、PSGL−1分子を結合する抗体についてハイブリドーマ培養
上清をスクリーニングすることによって検出される。
【0055】 モノクローナル抗体−スクリーニング(secreting)ハイブリドーマ
を調製するための代わりとして、モノクローナル抗−PSGL−1抗体または抗
P−セクレチン抗体は、組換えコンビナトリアル免疫グロブリンライブラリー(
例えば、抗体ファージディスプレイライブラリー)をPSGL−1またはP−セ
クレチンを用いてスクリーニングすることによって、同定および単離して、これ
により、PSGL−1または抗P−セクレチンと結合する免疫グロブリンライブ
ラリーメンバーを単離し得る。ファージディスプレイライブラリーを生成および
スクリーニングするためのキットは、市販されている(例えば、the Pha
rmacia Recombinant Phage Antibody Sy
stem,Catalog No.27−9400−01;およびthe St
ratagene SurfZAPTM Phage Display Kit
,Catalog No.240612)。さらに、抗体ディスプレイライブラ
リーを生成およびスクリーニングするのに使用するために特に受け入れ可能な方
法および薬剤の例としては、例えば、以下に見出され得る:Ladnerら、米
国特許第5,223,409号;Kangら、PCT国際出願WO92/186
19;Dowerら、PCT国際出願WO91/17271;Winterら、
PCT国際出願WO92/20791;Marklandら、PCT国際出願W
O92/15679;Breitlingら、PCT国際出願WO93/012
88;McCaffertyら、PCT国際出願WO92/01047;Gar
rardら、PCT国際出願WO92/09690;Ladnerら、PCT国
際出願WO90/02809;Fuchら、(1991)Bio/Techno
logy 9:1370−1372;Hayら、(1992)Hum.Anti
bod.Hybridomas 3:81−85;Huseら、(1989)S
cience 246:1275−1281;Griffithsら、(199
3)EMBO J 12:725−734;Hawkinsら、(1992)J
.Mol.Biol.226:889−896;Clarksonら、(199
1)Nature 352:624−628;Gramら、(1992)Pro
c.Natl.Acad.Sci USA 89:3576−3580;Gar
radら、(1991)Bio/Technology 9:1373−137
7;Hoogenboomら、(1991)Nuc.Acid.Res.19:
4133−4137;Barbasら、(1991)Proc.Natl.Ac
ad.Sci.USA 88:7978−7982;およびMcCaffert
yら、Nature(1990)348:552−554。
【0056】 さらに、ヒトおよび非ヒト部分の両方を含む、組換え抗−PSGL−1抗体ま
たは抗P−セクレチン抗体(例えば、キメラモノクローナル抗体およびヒト化モ
ノクローナル抗体)(これは、組換えDNAの標準的な技術を使用して作製され
得る)は、本発明の範囲内である。このようなキメラモノクローナル抗体および
ヒト化モノクローナル抗体は、例えば、以下に記載される方法を使用して、当該
分野で公知の組換えDNA技術によって産生され得る:Robinsonら、国
際出願PCT/US86/02269;Akiraら、欧州特許出願184,1
87;Taniguchi,M.,欧州特許出願171,496;Morris
onら、欧州特許出願173,494;Neubergerら、PCT出願WO
86/01533;Cabillyら、米国特許第4,816,567号;Ca
billyら、欧州特許出願125,023;Betterら、(1988)S
cience 240:1041−1043;Liuら、(1987)Proc
.Natl.Acad.Sci.USA 84:3439−3443;Liuら
、(1987)J.Immunol.139.3521−3526;Sunら、
(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:214−
218;Nishimuraら、(1987)Canc.Res.47:999
−1005;Woodら、(1985)Nature 314:446−449
;およびShawら、(1988)J.Natl.Cancer Inst.8
0:1553−1559);Morrison,S.L.(1985)Scie
nce 229:1202−1207;Oiら、(1986)BioTechn
iques 4:214;Winter 米国特許第5,225,539号;J
onesら、(1986)Nature 321:552−525;Verho
eyanら、(1988)Science 239:1534;ならびにBei
dlerら、(1988)J.Immnunol.141:4053−4060
【0057】 本明細書中に記載される抗体を使用して、PSGL−1タンパク質またはP−
セクレチン(例えば、細胞溶解物または細胞上清中の)を検出して、タンパク質
発現の発現量およびパターンを評価し得る。このような抗体を診断において使用
して、組織におけるタンパク質レベルを臨床試験手順の一部としてモニタリング
して、例えば、所定の処置レジメンの効力を決定し得る。検出は、抗体を検出可
能な物質に結合する(すなわち、物理学的に連結する)ことにより容易となり得
る。検出可能な物質の例としては、種々の酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物
質、生物発光物質および放射性物質が挙げられる。適切な酵素の例としては、西
洋わさびペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、
またはアセチルコリンエステラーゼが挙げられ;適切な補欠分子族の複合体の例
としては、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが挙げられ
;適切な蛍光物質の例としては、ウンベリフェロン(umbelliferon
e)、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジク
ロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシルまたはフィコエリトリン
が挙げられ;発光物質の例としては、ルミノールが挙げられ;生物発光物質の例
としては、ルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびエクオリンが挙げられ、そして
適切な放射性物質の例としては、125I、131I、35SまたはHが挙げ
られる。
【0058】 (II 本発明の方法において使用される単離された核酸分子) 単離されたヒトPSGL−1 cDNAのコード配列およびヒトPSGL−1
ポリペプチドのアミノ酸配列を、それぞれ、配列番号1および配列番号2に示す
。PSGL−1配列はまたは、米国特許第5,827,817号および同第5,
843,707号に記載される(これらの内容は、参考として本明細書中で援用
される)。
【0059】 本発明の方法は、PSGL−1タンパク質またはその生物学的に活性な部分を
コードする単離された核酸分子、PSGL−1コード核酸分子(例えば、PSG
L−1 mRNA)ならびにPSGL−1核酸分子の増幅または変異のためのP
CRプライマーとして使用するためのフラグメントを同定するために、ハイブリ
ダイゼージョンプローブとして使用するのに十分な核酸フラグメントをコードす
る。本明細書中で使用される場合、用語「核酸分子」は、DNA分子(例えば、
cDNAまたはゲノムDNA)およびRNA分子(例えば、mRNA)ならびに
ヌクレオチドアナログを使用して生成されたDNAまたはRNAのアナログを含
むことが意図される。この核酸分子は、一本鎖または二本鎖であり得るが、好ま
しくは二本鎖DNAである。
【0060】 本発明の方法において使用される核酸分子(例えば、配列番号1のヌクレオチ
ド配列を有する核酸分子またはその一部)は、標準的な分子生物学技術および本
明細書中に提供される配列情報を使用して単離され得る。配列番号1の核酸配列
の全てまたは部分をハイブリダイゼーションプローブとして使用して、PSGL
−1核酸分子は、標準的なハイブリダイゼーション技術およびクローニング技術
を使用して単離され得る(例えば、Sambrook、J.、Fritsh、E
.F.およびManiatis、T.Molecular Cloning:A
Laboratory Manual.第2版、Cold Spring H
arbor Laboratory、Cold Spring Harbor
Laboratory Press、Cold Spring Harbor、
NY、1989に記載のように)。
【0061】 さらに、配列番号1の全てまたは一部を含む核酸分子は、配列番号1の配列に
基づいて設計された、合成オリゴヌクレオチドプライマーを使用してポリメラー
ゼ連鎖反応(PCR)によって単離され得る。
【0062】 本発明の核酸は、cDNA、mRNA、あるいはゲノムDNAを鋳型として使
用し、そして標準的なPCR増幅技術に従った適切なオリゴヌクレオチドプライ
マーを使用して、増幅され得る。このように増幅された核酸は、適切なベクター
中にクローニングされ得、そしてDNA配列決定分析によって特徴付けられる。
さらに、PSGL−1ヌクレオチド配列に対応するオリゴヌクレオチドは、標準
的な合成技術によって、例えば、自動化されたDNA合成機を使用して調製され
得る。
【0063】 好ましい実施形態において、本発明の方法において使用される単離された核酸
分子は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列、配列番号1に示されるヌクレ
オチド配列の相補体またはこれらのヌクレオチド配列の任意の一部を含む。配列
番号1に示されるヌクレオチド配列に相補的である核酸分子は、配列番号1に示
されるヌクレオチド配列に十分に相補的なものの1つであり、その結果、これは
、配列番号1に示されるヌクレオチド配列にハイブリダイズし、それによって安
定な二重鎖を形成し得る。
【0064】 なおさらに別の好ましい実施形態において、本発明の単離された核酸分子は、
配列番号1に示されるヌクレオチド配列の全長とか、またはこれらのヌクレオチ
ド配列のいずれかの一部と、少なくとも約55%、60%、65%、70%、7
5%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、9
6%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である、ヌクレオチド配列を
含む。
【0065】 さらに、本発明の核酸分子は、配列番号1の核酸配列の一部のみ(例えば、プ
ローブまたはプライマーとして使用され得るフラグメントあるいはPSGL−1
タンパク質の生物学的に活性な一部をコードするフラグメント)を含み得る。こ
のプローブ/プライマーは、代表的には、実質的に精製されたオリゴヌクレオチ
ドを含む。このオリゴヌクレオチドは、代表的には、配列番号1のセンス配列の
、配列番号1のアンチセンス配列の、あるいは配列番号1の天然に存在する対立
遺伝子改変体もしくは変異体の少なくとも約12または15、好ましくは約20
または25、より好ましくは約30、35、40、45、50、55、60、6
5、もしくは75の連続するヌクレオチドに、ストリンジェントな条件下でハイ
ブリダイズするヌクレオチド配列の領域を含む。1つの実施形態において、本発
明の方法において使用される核酸分子は、100、100〜200、200〜3
00、300〜400、400〜500、500〜600、600〜700、7
00〜800、800〜900、900〜1000、1000〜1100、11
00〜1200、1200〜1300、1300〜1400、1400〜150
0、1500〜1600またはそれ以上のヌクレオチド長であるヌクレオチド配
列を含み、配列番号1の核酸分子にストリンジェントなハイブリダイゼージョン
条件下でハイブリダイズする。
【0066】 本明細書において使用される場合、用語「ストリンジェントな条件下でハイブ
リダイズする」とは、互いに対して実質的に同一かまたは相同であるヌクレオチ
ド配列が代表的には互いにハイブリダイズしたままである、ハイブリダイゼーシ
ョンおよび洗浄のための条件を記載するように意図される。好ましくは、その条
件は、互いに対して少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%、
なおより好ましくは少なくとも約85%もしくは90%相同である配列が、互い
にハイブリダイズしたままであるようである。そのようなストリンジェントな条
件は、当業者に公知であり、そしてCurrent Protocols in
Molecular Biology、Ausbelら編、John Wil
ey & Sons Inc.(1995)、第2、4および6節中に見出され
得る。さらなるストリンジェントな条件は、Molecular Clonin
g:A Laboratory Manual、Sambrookら、 Col
d Spring Harbor Press、Cold Spring Ha
rbor、NY(1989)、第7、9および11章中に見出され得る。ストリ
ンジェントなハイブリダイゼーション条件の好ましく非限定的な例は、約65〜
70℃で4×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中でのハイブリダ
イゼーション(または4×SSCおよび50%ホルムアミドで約42〜50℃で
のハイブリダイゼーション)、その後、約65〜70℃で1×SSC中での1回
以上の洗浄である。高いストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の好ま
しく非限定的な例は、約65〜70℃で1×SSC中でのハイブリダイゼーショ
ン(または1×SSCおよび50%ホルムアミドで約42〜50℃でのハイブリ
ダイゼーション)、その後、約65〜70℃で0.3×SSC中での1回以上の
洗浄である。減少したストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の好まし
く非限定的な例は、約56〜60℃で4×SSC中でのハイブリダイゼーション
(またあるいは6×SSCおよび50%ホルムアミドで約42〜50℃でのハイ
ブリダイゼーション)、その後、約50〜60℃で2×SSC中での1回以上の
洗浄である。上記の値の中間の範囲(例えば、65〜70℃または42〜50℃
もまた、本発明によって包含されることが意図される。ハイブリダイゼーション
緩衝液および洗浄緩衝液中のSSPE(1×SSPEは、0.15MのNaCl
、10mMのNaHPO、および1.25mMのEDTA、pH7.4であ
る)が、SSC(1×SSCは、0.15MのNaClおよび15mMのクエン
酸ナトリウムである)に代わって置換され得る;洗浄は、ハイブリダイゼーショ
ンが完了した後に、それぞれ15分間実施される。ハイブリッドのためのハイブ
リダイゼーション温度は、50塩基対長未満は、そのハイブリッドの融解温度(
)よりも5〜10℃低いべきであると予期され、ここで、Tは、以下の式
に従って決定される。18塩基対長未満のハイブリッドについて、T(℃)=
2(A+T塩基の数)+4(G+C塩基の数)である。18塩基対長と49塩基
対長との間のハイブリッドについて、Tm(℃)=81.5+16.6(log
10[Na])+0.41(%G+C)−(600/N)であり、ここで、N
は、ハイブリッドにおける塩基の数であり、[Na]は、ハイブリダイゼーシ
ョン緩衝液中のナトリウムイオンの濃度である(1×SSCについて、[Na ]は0.165Mである)。さらなる試薬が、核酸分子の膜(例えば、ニトロセ
ルロース膜またはナイロン膜)への非特異的なハイブリダイゼーションを減少す
るために、ハイブリダイゼーション緩衝液および/または洗浄緩衝液に添加され
得、これには、限定されないが、ブロッキング剤(例えば、BSA、またはサケ
もしくはニシンの精子DNA)、界面活性剤(例えば、SDS)、キレート剤(
例えば、EDTA)、フィコール、PVPなどが挙げられることもまた、当業者
によって理解される。ナイロン膜を使用する場合、特に、ストリンジェントなハ
イブリダイゼーション条件のさらなる好ましい非限定的な例は、0.25〜0.
5MのNaHPO、7%のSDS中で65℃でのハイブリダイゼーション、
その後0.02MのNaHPO、1%のSDS中で65℃(またはあるいは
、0.2×SSC、1%のSDS)で1回以上の洗浄である(例えば、Chrc
hおよびGilbert(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.
USA 81:1991〜1995を参照のこと)。
【0067】 好ましくは、配列番号1の配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズ
する、本発明の単離された核酸分子は、天然に存在する核酸分子に対応する。本
明細書中で使用される場合、「天然に存在する」核酸分子とは、天然で存在する
ヌクレオチド配列を有する(例えば、天然のタンパク質をコードする)、RNA
分子またはDNA分子をいう。
【0068】 好ましい実施形態において、このプローブはさらに、それに連結された標識基
を含む(例えば、この標識基は、放射性同位体、蛍光化合物、酵素、または酵素
補因子であり得る)。このようなプローブは、細胞または組織、特に上皮細胞ま
たは組織、特にPSGL−1タンパク質を誤って発現する上皮細胞または組織を
同定するための診断試験キットの一部として、例えば、被験体由来の細胞のサン
プルにおいてPSGL−1をコードする核酸のレベルを測定することによって(
例えば、PSGL−1mRNAレベルを検出し、またはゲノムPSGL−1遺伝
子が変異されているかもしくは欠失されているかを決定することによって)使用
され得る。
【0069】 本発明の方法は、ヒトPSGL−1タンパク質の非ヒトオルソログを使用し得
る。ヒトPSGL−1タンパク質のオルソログは、非ヒト生物体から単離され、
そして同じPSGL−1活性を有するタンパク質である。
【0070】 本発明の方法は、変異が導入されている、配列番号1のヌクレオチド配列また
はその一部を含む核酸分子の使用をさらに含む。この変異は、「必須ではない」
アミノ酸残基または「必須の」アミノ酸残基におけるアミノ酸置換を導き得る。
「必須ではない」アミノ酸残基は、生物学的な活性を変更にPSGL−1の野生
型の配列(例えば、配列番号2の配列)から変更され得る残基である。ところが
、「必須の」アミノ酸残基は、生物学的な活性を必要とする。例えば、P−セク
レチンと相互作用し得るフラグメントまたはP−セクレチン媒介細胞接着または
細胞移動を阻害し得るフラグメントを含むアミノ酸残基は、変更に受け入れる可
能性が低い。
【0071】 標準的技術(例えば、部位特異的変異誘発およびPCR媒介変異誘発)によっ
て、配列番号1に、変異が導入され得る。好ましくは、保存的アミノ酸置換が、
1つ以上の非必須アミノ酸残基でなされる。「保存的アミノ酸置換」は、そのア
ミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基によって置換される置換である
。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該分野で規定されている
。これらのファミリーには、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチ
ジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖
(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシ
ン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロ
イシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β−分
枝側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖(例
えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が挙げられ
る。従って、PSGL−1タンパク質における非必須アミノ酸残基は、好ましく
は、同じ側鎖ファミリーからの別のアミノ酸残基で置換される。あるいは、別の
実施形態において、PSGL−1コード配列のすべてまたは一部に沿ってランダ
ムに、例えば、飽和(saturation)変異誘発によって、変異が導入さ
れ得、そして生じた変異体が、PSGL−1の生物学的活性についてスクリーニ
ングされ得、機能的活性を保持する変異体が同定され得る。配列番号1の変異誘
発後、コードされるタンパク質が、組換え発現され得、そしてそのタンパク質の
活性が、決定され得る。
【0072】 本明細書に開示されるPSGL−1をコードするコード鎖配列を考慮すると、
本発明のアンチセンス核酸は、ワトソン−クリックの塩基対形成の法則に従って
設計され得る。このアンチセンス核酸分子は、PSGL−1 mRNAのコード
領域全体に相補的であり得るが、PSGL−1 mRNAのコード領域または非
コード領域の一部分のみに対するアンチセンスであるオリゴヌクレオチドである
ことがより好ましい。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、PSGL−
1 mRNAの翻訳開始部位周辺の領域に相補的であり得る。アンチセンスオリ
ゴヌクレオチドは、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40
、45または50ヌクレオチド長であり得る。本発明のアンチセンス核酸は、当
該分野で公知の手順を用いる化学合成および酵素的連結反応を用いて構築され得
る。例えば、アンチセンス核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)は
、天然に存在するヌクレオチドを使用して化学合成され得るか、またはその分子
の生物学的安定性を増加するようにか、もしくはそのアンチセンス核酸分子とセ
ンス核酸分子との間に形成される二重鎖の物理的安定性を増加するように設計さ
れた、種々に改変されたヌクレオチドを使用して化学合成され得る(例えば、ホ
スホロチオエート誘導体およびアクリジン置換ヌクレオチドが使用され得る)。
アンチセンス核酸を生成するために用いられ得る改変されたヌクレオチドの例と
しては、以下が挙げられる:5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−
クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン(xant
ine)、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラ
シル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシ
メチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β−D−ガラクシルキューオ
シン(β−D−galactosyl queosine)、イノシン、N6−
イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−
ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシト
シン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチル
アミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチルー2−チオウラシル、β−D
−マンノシルキューオシン、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メ
トキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−
5−オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン(wybutoxosine)、プソ
イドウラシル、キューオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシ
ル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5
−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−
2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラ
シル、(acp3)w、および2,6−ジアミノプリン。あるいは、このアンチ
センス核酸は、核酸がアンチセンス方向(すなわち、挿入された核酸から転写さ
れるRNAが、目的の標的核酸に対してアンチセンス方向である(以下の小節で
さらに説明される))にサブクローニングされた発現ベクターを使用して、生物
学的に作製され得る。
【0073】 なお別の実施形態において、本発明において使用されるPSGL−1核酸分子
は、例えば、その分子の安定性、ハイブリダイゼーション、または可溶性を改善
するために、塩基部分、糖部分またはリン酸骨格にて改変され得る。例えば、そ
の核酸分子のデオキシリボースリン酸骨格が、ペプチド核酸を生成するように改
変され得る(Hyrup B.ら(1996)Bioorganic & Me
dicinal Chemistry 4(1):5〜23を参照のこと)。本
明細書中で使用される場合、用語「ペプチド核酸」または「PNA」は、デオキ
シリボースリン酸骨格がプソイドペプチド骨格によって置換され、4つの天然の
核酸塩基のみが保持されている、核酸模倣物(例えば、DNA模倣物)をいう。
PNAの天然の骨格は、低イオン強度条件下でのDNAとRNAとの特異的ハイ
ブリダイゼーションを可能にすることが示されている。PNAオリゴマーの合成
は、Hyrup B.ら(1996)前出;Perry−O’Keefeら(1
996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:14670〜
675に記載される、標準的固相ペプチド合成プロトコールを使用して実施され
得る。
【0074】 PSGL−1核酸分子のPNAは、本明細書中明細に記載される治療適用およ
び診断適用にて使用され得る。例えば、PNAは、例えば、転写もしくは翻訳の
停止を誘導することによってかまたは複製を阻害することによって、遺伝子発現
の配列特異的調節のためのアンチセンス剤またはアンチジーン(antigen
e)剤として使用され得る。PSGL−1核酸分子のPNAはまた、(例えば、
PNA指向的PCRクランピング(PNA−directed PCR cla
mping)による)遺伝子中の一塩基対変異の分析においてか;他の酵素(例
えば、S1ヌクレアーゼ(Hyrup B.(1996)前出))と組み合わせ
て使用した場合に「人工的制限酵素」としてか;またはDNA配列決定もしくは
ハイブリダイゼーションのためのプローブまたはプライマーとして(Hyrup
B.ら(1996)前出;Perry−O’Keefe、前出)、使用され得
る。
【0075】 別の実施形態において、PSGL−1のPNAは、(例えば、その安定性また
は細胞の取込みを増強するために)PNAに親油性基または他のヘルパー基を結
合することによってか、PNA−DNAキメラの形成によってか、またはリポソ
ームの使用もしくは当該分野で公知の他の薬物送達技術の使用によって、改変さ
れ得る。例えば、PNAおよびDNAの有利な特性を兼ね備え得る、PSGL−
1核酸分子のPNA−DNAキメラが、作製され得る。このようなキメラは、そ
のPNA部分が高い結合親和性および結合特異性を提供しながら、DNA認識酵
素(例えば、RNアーゼHおよびDNAポリメラーゼ)がそのDNA部分と相互
作用することを可能にする。PNA−DNAキメラは、塩基スタッキング、核酸
塩基間の結合数、および方向に関して選択された適切な長さのリンカーを使用し
て、連結され得る(Hyrup B.(1996)前出)。PNA−DNAキメ
ラの合成は、Hyrup B.(1996)前出およびFinn P.J.ら(
1996)Nucleic Acids Res.24(17)3357〜63
に記載されるように実施され得る。例えば、DNA鎖は、標準的ホスホルアミダ
イト結合化学を使用して、固体支持体上で合成され得、そして改変型ヌクレオシ
ドアナログ(例えば、5’−(4−メトキシトリチル)アミノ5’−デオキシ−
チミジンホスホルアミダイト)が、PNAとDNAの5’末端との間で使用され
得る(Mag,M.ら(1989)Nucleic Acid Res.17:
5973〜88)。次いで、PNAモノマーが、5’PNAセグメントおよび3
’DNAセグメントを有するキメラ分子を生成するように、段階様式で結合され
る(Finn P.J.ら(1996)前出)。あるいは、5’DNAセグメン
トおよび3’PNAセグメントを用いてキメラ分子は、合成され得る(Pete
rser,K.H.ら(1975)Bioorganic Med.Chem.
Lett.5:1119〜11124)。
【0076】 他の実施形態において、この本発明の方法において使用されるオリゴヌクレオ
チドは、ペプチドのような他の付加基(例えば、インビボで宿主細胞レセプター
を標的するため)、または細胞膜)を横切る輸送を促進する因子(例えば、Le
tsingerら(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA
86:6553〜6556;Lemaitreら(1987)Proc.Na
tl.Acad.Sci.USA 84:648〜652;PCT公開番号WO
88/09810を参照のこと)または血液脳関門(例えば、PCT公開番号W
O89/10134を参照のこと)を横切る輸送を促進する因子を含み得る。さ
らに、オリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション誘因切断剤(例えば、K
rolら(1988)Bio−Techniques 6:958〜976を参
照のこと)またはインターカレート剤(例えば、Zon(1988)Pharm
.Res.5:539〜549を参照のこと)で改変され得る。この目的のため
に、このオリゴヌクレオチドは、別の分子(例えば、ペプチド、ハイブリダイゼ
ーション誘因架橋剤、輸送因子、またはハイブリダイゼーション誘因切断剤)と
結合体化され得る。
【0077】 本発明の方法で使用されたP−セレクチンリガンドタンパク質の他のフラグメ
ントおよび改変された形態をコードするDNAを、修飾されたDNAの発現によ
って調製し得る。この修飾されたDNAにおける全長配列の部分は、欠失または
改変された。P−セレクチンリガンドタンパク質配列の実質的な欠失が、P−セ
レクチンリガンドタンパク質の活性を保持される一方で、なされ得る。例えば、
配列番号2のアミノ酸42からアミノ酸189の配列、配列番号2のアミノ酸4
2からアミノ酸118の配列、または配列番号2のアミノ酸42からアミノ酸8
9の配列を含むP−セレクチンリガンドタンパク質の各々は、P−セレクチンタ
ンパク質結合活性およびE−セレクチンへの結合能力を保持する。1つ以上のN
−結合グリコシル化部位(例えば、SEQ ID NO:2のアミノ酸65、1
11、292におけるN−結合グリコシル化部位)が他のアミノ酸に変化したか
または欠失したP−セレクチンリガンドタンパク質はまた、P−セレクチンタン
パク質結合活性およびE−セレクチンへの結合能力を保持する。配列番号2のア
ミノ酸42からアミノ酸60を含むP−セレクチンリガンドタンパク質(これは
、配列番号2のアミノ酸45からアミノ酸58のタンパク質の高い陰イオン性の
領域を含む)はまた、P−セレクチンリガンドタンパク質活性を保持する;しか
しこのような配列に限定されたP−セレクチンリガンドタンパク質は、E−セレ
クチンに結合しない。好ましくは、P−セレクチンリガンドタンパク質は、少な
くとも1つ(好ましくは少なくとも2つ、そして最も好ましくは3つ全て)の配
列番号2のアミノ酸46、48、および51に見出されるチロシン残基、P−セ
レクチンリガンドタンパク質活性に寄与する硫酸化を保持する。これらおよびP
−セレクチンリガンドタンパク質の他の活性フラグメントまたは改変形態をコー
ドするDNAの構築は、当業者に公知の方法に従って達成される。
【0078】 本発明の方法で使用された単離されたDNAは、組換え的にP−セレクチンリ
ガンドを産生するために、Kaufmanら、Nucleic Acids R
es.19、4485−4490(1991)において開示されたpMT2発現
ベクターまたはpED発現ベクターのような発現調節配列に作動可能に連結し得
る。多くの適切な発現調節配列はまた、当該分野で公知である。組換えタンパク
質を発現する一般的な方法はまた、公知であり、そしてR.Kaufman、M
ethod in Enzymology 185、537−566(1990
)において例示される。本明細書中の定義されるように、「作動可能に連結する
」とは、酵素的に、または化学的に連結することを意味し、P−セレクチンリガ
ンドタンパク質が、連結されたDNA/発現調節配列と共に形質転換された(ト
ランスフェクトされた)宿主細胞によって発現されるような方法で本発明の単離
されたDNAと発現調節配列との間の共有結合を形成する。
【0079】 前駆体ペプチドをアミノ酸対配列(例えば、Lys−Arg−およびArg−
Arg−)のカルボキシル側を切断し成熟タンパク質を生成する、いくつかのエ
ンドタンパク質加水分解酵素(endoproteolytic enzyme
)は公知である。このような酵素は一般に、塩基性アミノ酸対変換酵素(pai
red basic amino acid converting enzy
me)すなわちPACEとして公知のであり、そして成熟ペプチドの組換え産生
におけるこれらの使用は、WO92/09698号および米国出願番号07/8
85,972号において広範囲に開示されており、これらの両方は本明細書中で
参考として援用されている。酵素のPACEファミリーは、組換え宿主細胞中の
前駆体ポリペプチドの蛋白分解プロセッシングの有効性を増大させる。上述した
ように、本発明のP−セレクチンリガンドタンパク質は、このようなPACE切
断部位を含む。
【0080】 本発明の方法で使用される可溶性成熟P−セレクチンリガンドタンパク質は、
本明細書中に記載のような任意の可溶性P−セレクチンリガンドタンパク質をコ
ードするDNA配列ならびにWO92/09698および米国出願番号07/8
85,972号(これらは参考として援用される)に記載のようなPACEをコ
ードするDNA配列を含む宿主細胞によって作製され得る。このような宿主細胞
は、可溶性P−セレクチンリガンドタンパク質DNAおよびPACE DNAを
それぞれ含む別個の発現ベクターの同時形質転換または連続した形質転換の結果
としてのDNAを含み得る。3/4FTをコードする第3のDNAはまた、P−
セレクチンリガンドタンパク質およびPACEをコードするDNAで、また同時
トランスフェクトし得る。あるいは、宿主細胞は、P−セレクチンリガンドタン
パク質DNAおよびPACE DNAの両方を含む、単一の発現ベクターの形質
転換の結果としてのDNAを含む。
【0081】 PACEをコードする多くのDNA配列は公知である。例えば、PACEの1
つの形態をコードするDNA(フリン(furin)として公知)はA.M.W
van den Ouweland、Nucl.Acid Res.18、6
64(1990)において開示され、これは参考として本明細書中に援用される
。PACEの可溶性形態をコードするcDNA(PACESOLとして公知)は
、配列番号5として示される。PACEの他の形態をコードするcDNAもまた
存在し、そして任意のこのようなPACEをコードするDNAを使用して、PA
CEがP−セレクチンリガンドタンパク質のアミノ酸38〜41で切断すること
が可能である、PACE可溶性成熟P−セレクチンリガンドタンパク質を生成す
るために使用し得る。好ましくは、PACE可溶性形態をコードするDNAを使
用して、本発明のP−セレクチンリガンドタンパク質を生成する。
【0082】 P−セレクチンリガンドタンパク質およびPACE可溶性形態を別個に、また
は一緒にコードするDNAは、PACE切断可溶性P−セレクチンリガンドを組
換え的に産生するために、作動可能に発現調節配列(例えば、上述した、pMT
2発現ベクターまたはpED発現ベクター中に含まれる発現調節配列)に連結し
得る。
【0083】 (III 組換え発現ベクターおよび本発明に使用される宿主細胞) 本発明の方法(例えば、本明細書中に記載のスクリーニングアッセイ)は、P
SGL−1タンパク質(またはこれらの部分)をコードする核酸を含む、ベクタ
ー、好ましくは発現ベクターの使用を含む。本明細書中で用いられる場合、用語
「ベクター」とは、連結されている別の核酸を輸送し得る核酸分子をいう。ベク
ターの1つの型は、「プラスミド」であり、これは、さらなるDNAセグメント
が連結され得る環状二重鎖DNAループをいう。ベクターの別の型は、ウイルス
ベクターであり、ここで、さらなるDNAセグメントが、ウイルスゲノムへと連
結され得る。特定のベクターは、導入される宿主細胞内で自律的に複製し得る(
例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクターおよびエピソーム哺乳動物ベクタ
ー)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞へ
と導入される際に宿主細胞のゲノムへと組み込まれ、そしてそれによって、宿主
ゲノムと共に複製される。さらに、特定のベクターは、作動可能に連結される遺
伝子の発現を指向し得る。このようなベクターは、本明細書中で、「発現ベクタ
ー」といわれる。一般に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターは、し
ばしば、プラスミドの形態である。本明細書中で、「プラスミド」および「ベク
ター」は、交換可能に用いられ得る。なぜならば、プラスミドがベクターの最も
一般に用いられる形態であるからである。しかし、本発明は、ウイルスベクター
(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウィルス、およびアデノ随伴ウイル
ス)(これらは、等価な機能を果たす)のような、発現ベクターの他の形態を含
むことを意図する。
【0084】 本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞における核酸の発現に適切な形態で
本発明の核酸を含み、これは、この組換え発現ベクターが、発現のために使用さ
れる宿主細胞に基づいて選択された1つ以上の調節配列を含むことを意味し、こ
れは発現される核酸配列に作動可能に連結される。組換え発現ベクター内におい
て、「作動可能に連結された」とは、目的のヌクレオチド配列が、そのヌクレオ
チド配列の発現を可能にする様式で調節配列に連結されることを意味することが
意図される(例えば、インビトロ転写/翻訳系において、またはベクターが宿主
細胞に導入される場合には、宿主細胞において)。用語「調節配列」は、プロモ
ーター、エンハンサーおよび他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化
シグナル)を含むことが意図される。このような調節配列は、例えば、Goed
del;Gene Expression Technology:Metho
ds in Enzymology 185:3−7,Academic Pr
ess,San Diego,CA(1990)に記載される。調節配列として
は、多くのタイプの宿主細胞におけるヌクレオチド配列の構成的発現を指向する
配列、および特定の宿主細胞のみにおいてヌクレオチド配列の発現を指向する配
列(例えば、組織特異的調節配列)が挙げられる。発現ベクターの設計は、形質
転換される宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベルなどのような因子に
依存し得ることが当業者によって理解される。本発明の発現ベクターは、宿主細
胞に導入され得、それにより、本明細書中で記載されるような核酸によってコー
ドされるタンパク質またはペプチド(融合タンパク質または融合ペプチドを含む
)(例えば、PSGL−1タンパク質、PSGL−1タンパク質の変異形態、融
合タンパク質など)を産生し得る。
【0085】 本発明の方法において使用される組換え発現ベクターは、原核生物細胞または
真核生物細胞におけるP−セレクチンリガンドタンパク質の発現のために設計さ
れ得る。例えば、PSGL−1タンパク質は、細菌細胞(例えば、E.coli
)、昆虫細胞(バキュロウイルス発現ベクターを使用する)、酵母細胞または哺
乳動物細胞において発現され得る。適切な宿主細胞は、Goeddel(199
0)前出でさらに議論される。あるいは、組換え発現ベクターは、例えば、T7
プロモーター調節配列およびT7ポリメラーゼを使用して、インビトロで転写お
よび翻訳され得る。
【0086】 原核生物におけるタンパク質の発現は、融合タンパク質または非融合タンパク
質のいずれかの発現を指向する構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターを
含むベクターを用いて、E.coliにおいて最も頻繁に行われる。融合ベクタ
ーは、多数のアミノ酸を、ここでコードされるタンパク質、通常は、組換えタン
パク質のアミノ末端に付加する。このような融合ベクターは、代表的には、以下
の3つの目的を果たす:1)組換えタンパク質の発現の増加;2)組換えタンパ
ク質の溶解性の増加;および3)親和性精製においてリガンドとして作用するこ
とによる組換えタンパク質の精製の補助。しばしば、融合発現ベクターにおいて
、融合タンパク質の精製に続いて融合部分から組換えタンパク質を分離すること
を可能にするために、タンパク質分解切断部位が融合部分および組換えタンパク
質の接合部に導入される。このような酵素、およびそれらの同族認識配列として
は、第Xa因子、トロンビンおよびエンテロキナーゼが挙げられる。代表的な融
合発現ベクターとしては、pGEX(Pharmacia Biotech I
nc;Smith,D.B.およびJohnson,K.S.(1988)Ge
ne 67:31−40)、pMAL(New England Biolab
s,Beverly,MA)、およびグルタチオンS−トランスフェラーゼ(G
ST)を融合するpRIT5(Parmacia,Piscataway,NJ
)、マルトースE結合タンパク質、またはタンパク質A(それぞれ、標的組換え
タンパク質に対する)が挙げられる。
【0087】 精製された融合タンパク質は、例えば、PSGL−1活性アッセイ(例えば、
直接アッセイまたは以下に詳述される競合アッセイ)において、またはPSGL
−1タンパク質に特異的な抗体を作製するために使用され得る。
【0088】 別の実施形態において、本発明の核酸は、哺乳動物発現ベクターを使用して、
哺乳動物細胞において発現される。哺乳動物発現ベクターの例としては、pCD
M8(Seed,B.(1987)Nature 329:840)、およびp
MT2PC(Kaufmanら、(1987)EMBO J.6:187−19
5)が挙げられる。哺乳動物細胞において使用する場合、この発現ベクターの制
御機能は、しばしば、ウイルス調節エレメントによって提供される。例えば、一
般的に使用されるプロモーターは、ポリオーマ、アデノウィルス2、サイトメガ
ロウイルスおよびシミアンウイルス40由来である。原核生物細胞および真核生
物細胞の両方に適切な他の発現系については、Sambrook,J.,Fri
tsh,E.F.ならびにManiatis,T.Molecular Clo
ning:A Laboratory Manual.第2版、Cold Sp
ring Harbor Laboratory,Cold Spring H
arbor Laboratory Press,Cold Spring H
arbor,NY,1989の第16および17章を参照のこと。
【0089】 別の実施形態において、組換え哺乳動物発現ベクターは、核酸の発現を特定の
細胞型において優先的に指向する(例えば、組織特異的エレメントを使用して、
この核酸を発現する)。
【0090】 本発明の方法はさらに、アンチセンス配向で発現ベクター中にクローン化され
た本発明のDNA分子を含む組換え発現ベクターを提供する。すなわち、このD
NA分子は、PSGL−1 mRNAに対してアンチセンスであるRNA分子の
(このDNA分子の転写による)発現を可能にする様式で調節配列に作動可能に
連結される。アンチセンス配向でクローン化された核酸に作動可能に連結された
調節配列が選択され得、これらは、種々の細胞型におけるアンチセンスRNA分
子の連続的発現を指向する。例えば、アンチセンスRNAの構成的、組織特異的
または細胞型特異的な発現を指向する、ウイルスプロモーターおよび/もしくは
エンハンサー、または調節配列が選択され得る。アンチセンス発現ベクターは、
組換えプラスミド、ファージミドまたは弱毒化ウイルスの形態であり得、ここで
アンチセンス核酸は、高効率調節領域の制御下で産生され、その活性は、ベクタ
ーが導入される細胞型により決定され得る。アンチセンス遺伝子を使用する遺伝
子発現の調節の考察については、Weintraub,H.ら,Antisen
se RNA as a molecular tool for genet
ic analysis,Reviews−Trends in Geneti
cs,第1巻(1) 1986を参照のこと。
【0091】 本発明の別の局面は、本発明のPSGL−1核酸分子が導入された宿主細胞に
関する(例えば、組換え発現ベクターまたは宿主細胞のゲノムの特異的な部位に
相同的に組換わることを可能にする配列を含むPSGL−1核酸分子中のPSG
L−1核酸分子)。用語「宿主細胞」および「組換え宿主細胞」は、本明細書中
において交換可能に使用される。このような用語は、特定の対象細胞だけでなく
、このような細胞の子孫または潜在的な子孫をいうことが理解される。変異また
は環境の影響のいずれかに起因して、特定の改変が継承世代において起こり得る
ので、このような子孫は、実際、親細胞と同一でなくてもよいが、本明細書にお
いて使用される場合の用語の範囲内には含まれる。
【0092】 宿主細胞は、任意の原核生物細胞または真核生物細胞であり得る。例えば、P
SGL−1タンパク質は、E.coliのような細菌細胞、昆虫細胞、酵母また
は哺乳動物細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)またはC
OS細胞)において発現され得る。他の適切な宿主細胞は、当業者に公知である
【0093】 数多くの細胞型が、P−セレクチンリガンドタンパク質の発現について適切な
宿主細胞として作用する。適切な宿主細胞は、機能的P−セレクチンリガンドタ
ンパク質の特徴である炭水化物側鎖と付着し得る。このような能力は、(天然に
存在するか、化学的突然変異生成によってか、またはグリコシル化酵素をコード
するDNA配列を含む適切な発現プラスミドと共にトランスフェクトされること
を通して誘導される)宿主細胞内の適切なグリコシル化酵素の存在の恩恵を受け
て生じ得る。宿主細胞としては、例えば、サルCOS細胞、チャイニーズハムス
ター卵巣(CHO)細胞、ヒト腎臓293細胞、ヒト表皮A431細胞、ヒトC
olo205細胞、3T3細胞、CV−1細胞、他の形質転換された霊長類細胞
系、正常二倍体細胞、1次組織のインビトロ培養物由来の細胞株、1次移植片、
HeLa細胞、マウスL細胞、BHK,HL−60、U937またはHak細胞
が挙げられる。
【0094】 P−セレクチンリガンドタンパク質はまた、本発明の単離されたDNAおよび
適切なグリコシル化酵素をコードする1つ以上のDNAを、1つ以上の昆虫発現
ベクターにおける調節配列に対して作動可能に連結すること、および昆虫発現系
を使用することによって生成される。バキュロウイルス/昆虫細胞発現系に対す
る物質および方法は、キット形態で、例えばInvitrogen、San D
iego、Calfonia、U.S.A.(the MaxBac(登録商標
)キット)から市販されていおり、およびこのような方法は、当該分野で公知で
あり、SummerおよびSmith、Texas Agriculture
Experiment Station Bulletin No.1555(
1987)の中に記載されている。P−セレクチンリガンドタンパク質の可溶形
態はまた、上記のように適切に単離されたDNAを用いて昆虫細胞中で生成され
る。PACEの形態をコードするDNAはさらに、昆虫宿主細胞中でさらに同時
発現され、PACE切断形態のP−セレクチンリガンドタンパク質を生成する。
【0095】 あるいは、P−セレクチンリガンドタンパク質を下等な真核生物(例えば、酵
母)または細菌のような原核生物中で生成することが可能である。潜在的に適切
な酵母株はSaccharomyces cerevisiae、Schizo
saccharomyces pombe、Kluyveromyces st
rainmCandida、または異種タンパク質の発現が可能な任意の酵母株
。潜在的に適切な細菌株は、Escherichia coli、Bacill
us subtilis、Salmonella typhimurium、ま
たは異種タンパク質の発現が可能な任意の細菌株。P−セレクチンリガンドタン
パク質が、酵母または細菌中で作製された場合、適切な炭化水素を、グリコシル
化P−セレクチンリガンドタンパク質を得るために、タンパク質の部分の適切な
部位に共有結合的に付着することが必要である。このような共有結合付着は、公
知の化学的または酵素的な方法を使用して達成され得る。
【0096】 ベクターDNAは、従来の形質転換技術またはトランスフェクト技術を介して
原核細胞または真核細胞へ導入される。本明細書中で使用される場合、用語「形
質転換」および「トランスフェクション」は、種々の当該分野で認識される、外
来核酸(例えば、DNA)を宿主細胞に導入するための技術(リン酸カルシウム
または塩化カルシウム共沈降、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクショ
ン、リポフェクション、またはエレクトロポレーションを含む)をいうことが意
図される。宿主細胞を形質転換またはトランスフェエクトするための適切な方法
は、Sambrookら(Molecular Cloning:A Labo
ratory Manual.第2版,Cold Spring Harbor
Laboratory,Cold Spring Harbor Labor
atory Press,Cold Spring Harbor,NY,19
89)、およびその他の実験マニュアルに見出され得る。
【0097】 本発明の方法において使用される宿主細胞(例えば、培養物中の原核生物宿主
細胞または真核生物宿主細胞)を使用して、PSGL−1タンパク質を産生(す
なわち、発現)し得る。従って、本発明はさらに、本発明の宿主細胞を使用して
、PSGL−1タンパク質を産生するための方法を提供する。1つの実施形態に
おいて、この方法は、PSGL−1タンパク質が産生されるように、本発明の宿
主細胞(この細胞にPSGL−1タンパク質をコードする組換え発現ベクターが
導入されている)を適切な培地中で培養する工程を包含する。別の実施形態にお
いて、この方法は、この培地または宿主細胞からPSGL−1タンパク質を単離
する工程をさらに包含する。
【0098】 (IV.血栓症の処置方法または予防方法) 本発明は、DVTを含む血栓症の危険性のある(罹りやすい)被験体(例えば
、ヒト)を処置する予防方法および治療方法を提供する。処置の予防法および治
療法の両方に関して、このような処置は、薬理ゲノム学の分野から得られる知識
に基づいて、特に変更または改変され得る。「薬理ゲノム学」は、本明細書中で
使用される場合、臨床開発中および販売中の薬物に対する、ゲノム学技術(例え
ば、遺伝子配列決定、統計遺伝学、および遺伝子発現分析)の適用をいう。より
詳細には、この用語は、患者の遺伝子がどのように薬物に対する患者の応答を決
定するか(例えば、患者の「薬物応答表現型」または「薬物応答遺伝子型」)の
研究をいう。
【0099】 従って、本発明の別の局面は、本発明のP−セレクチンアンタゴニスト、また
はその個体の薬物応答遺伝子型に従うP−セレクチンリガンドモジュレーターの
いずれかによる個体の予防処置または治療処置を変更するための方法を提供する
。薬理ゲノム学により、臨床医または医師が、予防処置または治療処置を、その
処置から最も利益を受ける患者に向けること、および毒性薬物関連副作用を受け
る患者の処置を回避することが、可能になる。
【0100】 (A.予防的方法および治療的方法) 1つの局面において、本発明は、PSGL−1発現またはPSGL−1活性を
調節する(例えば、P−セレクチンまたはE−セレクチン結合を調節し、細胞接
着(細胞対細胞接着(例えば、白血球内皮細胞または白血球−血小板接着)およ
び血管への細胞(血小板または白血球)接着)を調節し、細胞(血小板または白
血球)移動(例えば、血管に対する移動)を調節し、白血球ローリング速度を調
節し、そして血栓を調節する)因子を含む被験体に対して組成物を投与すること
によって、被験体中の血栓症を調節する(例えば、阻害する、処置する、または
予防する)。血栓症の危険性がある被験体を、例えば、本明細書中に記載されて
いるか、または当業者に公知の診断アッセイおよび予後アッセイのいずれかまた
は組み合わせ同定し得る。特に、血栓症の危険性がある被験体はまた、心臓血管
疾患を罹患した個体である。血栓症の危険性がある被験体はまた、心臓血管処置
および一般の血管の処置(例えば、外科的血管再開通術、ステント(stent
ing)、PCTAまたは他の介入、外科的または非外科的であり、血管損傷を
生じる)を経験した被験体を含む。血栓症(深静脈血栓症を含む)の危険性があ
る患者は、任意の型の外科的処置を経験した被験体を含む。さらに、血栓症の危
険性がある患者は、長期間の固定に供された患者を含む。
【0101】 被験体を血栓症の危険にさらし、そしてこの被験体を本発明のP−セレクチン
アンタゴニストで処置するための標的にする、心臓血管の疾患および障害として
は、以下が挙げられる:動脈硬化症、虚血性再灌流障害、動脈性炎症、高頻度心
室性ペーシング(rapid ventricular pacing)、大動
脈屈曲、血管心臓疾患、心房性細動、うっ血性心不全、洞房結節機能不全、アン
ギナ、心不全、高血圧症、心房性細動、心房粗動、または心筋症(例えば、拡張
型心筋症および特発性心筋症)、心筋梗塞、冠状動脈疾患、冠状動脈痙縮、なら
びに不整脈。
【0102】 予防剤または治療剤(例えば、P−セレクチンリガンド分子、またはP−セレ
クチンリガンド活性を有するそのフラグメント(例えば、可溶性PSGL−1ま
たは可溶性組換えPSGL融合タンパク質(例えば、二量体PSGL−1(本明
細書中でrPSGL−Igとも称される)))、抗P−セレクチン抗体または生
物学的に活性なそれらのフラグメント、あるいは抗P−セレクチンリガンド抗体
または生物学的に活性なそれらのフラグメント)の投与を、血栓症の発現前に行
い得る。その結果、血栓症が阻害されるか、あるいはその進行が遅廷される。
【0103】 被験体にP−セレクチンアンタゴニスト(例えば、抗P−セレクチン抗体、抗
P−セレクチンリガンド抗体、可溶性P−セレクチンリガンド、可溶性PSGL
−1またはそれらのフラグメント、あるいは可溶性rPSGL−Ig)を投与し
て血栓症を予防または処置する方法としては、以下の方法が挙げられるが、これ
らに限定されない。
【0104】 本発明の可溶性P−セレクチンアンタゴニストは、このような投与に適した薬
学的組成物の形態で被験体に投与される。このような組成物は、代表的には、活
性化剤(例えば、タンパク質、または抗体)、および薬学的に受容可能なキャリ
アの有効量を含む。本明細書中で使用される場合において、「薬学的に受容可能
なキャリア」という用語は、薬学的な投与と適合性である、任意のおよび全ての
溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤、および抗真菌剤、等張剤、および吸収
遅延剤などを含むように意図される。薬学的に活性な物質についてのこのような
媒体および薬剤の使用は、当該分野で既知である。任意の従来の媒体または薬剤
が活性化合物と不適合である範囲を除いて、組成物中でのそれらの使用が意図さ
れる。追加の活性化合物もまた、組成物中に取り込まれ得る。
【0105】 本発明の治療方法において使用される薬学的組成物は、その意図される投与経
路と適合性であるように処方される。投与経路の例として、非経口(例えば、静
脈内投与、皮内投与、皮下投与、経口投与(例えば、吸入)、経皮投与(局所的
)、経粘膜投与、および直腸投与)による投与が挙げられる。非経口、皮内、ま
たは皮下での適用のために使用される溶液または懸濁物は、以下の成分を含有し
得る:滅菌の希釈剤(例えば、注射のための水、生理食塩溶液、不揮発性の油、
ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の合成
の溶媒);抗菌剤(例えば、ベンジルアルコール、またはメチルパラベン);酸
化防止剤(例えば、アスコルビン酸、または重亜硫酸ナトリウム);キレート化
剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸);緩衝液(例えば、アセテート、シトレ
ート、またはホスフェート)、および張性の調整のための薬剤(例えば、塩化ナ
トリウム、またはデキストロース)。pHは、酸または塩基(例えば、塩酸、ま
たは水酸化ナトリウム)を用いて調整され得る。非経口的な調製物は、ガラスま
たはプラスチックで作られた、アンプル、使い捨てのシリンジ、または複数の用
量バイアル中に封入され得る。
【0106】 注射可能な用途に適切な薬学的組成物としては、滅菌の水溶液(水溶性である
場合)、または滅菌の注射用溶液もしくは分散剤の即座の調製のための分散剤お
よび滅菌散剤が挙げられる。静脈内投与については、適切なキャリアとして、生
理食塩水、静菌性水、Cremophor ELTM(BASF,Parsip
pany,NJ)、またはリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)が挙げられる。全
ての場合において、組成物は滅菌でなければならず、そして容易な注射可能性が
存在する程度に流動性であるべきである。これは、製造および貯蔵の条件下で安
定でなければならず、そして細菌および真菌のような微生物の混入作用に対して
保護されなければならない。キャリアは、例えば、水、エタノール、ポリオール
(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体のポリエチレング
リコールなど)、およびそれらの適切な混合物を含有している、溶媒または分散
媒体であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティングの使
用によって、分散の場合においては必要とされる粒子の大きさの維持によって、
そして界面活性剤の使用によって、維持され得る。微生物の作用の防止は、種々
の抗菌剤および抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、
アスコルビン酸、チメロサールなど)によって達成され得る。多くの場合におい
ては、組成物中に等張剤(例えば、糖、ポリアルコール(例えば、マンニトール
)、ソルビトール、塩化ナトリウム))を含むことが、好ましい。注射用組成物
の持効性吸収は、吸収を遅らせる試薬(例えば、モノステアリン酸アルミニウム
およびゼラチン)を組成物中に含むことによって、もたらされ得る。
【0107】 滅菌の注射用溶液は、上記に列挙される成分の1つまたは組合せを有する適切
な溶媒中に、必要とされる量のPSGL−1活性を調節する因子(例えば、可溶
性PSGL−1タンパク質のフラグメント)を取りこむことによって、必要に応
じて続いて濾過滅菌することによって調製され得る。一般的には、分散剤は、活
性化合物を、塩基性分散媒体および上記に列挙されているもの由来の必要な他の
成分を含有している滅菌のビヒクル中に取りこむことによって、調製される。滅
菌の注射用溶液の調製のための滅菌粉末剤の場合においては、好ましい調製方法
は、真空乾燥および凍結乾燥であり、これによって、活性成分およびその予め滅
菌濾過された溶液から任意のさらなる所望の成分の散剤を生じる。
【0108】 経口用の組成物は、一般的には、不活性な希釈剤または食用のキャリアを含む
。これらは、ゼラチンカプセル中に封入され得るか、または錠剤に圧縮され得る
。経口的な治療の投与の目的のためには、活性化合物は、賦形剤とともに取り込
まれ、そして錠剤、トローチ、またはカプセルの形態で使用され得る。経口用の
組成物はまた、口内洗浄剤としての使用のための流体のキャリアを使用して調製
され得る。ここでは、流体のキャリア中の化合物は、経口によって適用され、そ
して舐め回され(swished)、そして吐き出されるか、または飲みこまれ
得る。薬学的に適合性の結合剤、および/またはアジュバント材料は、組成物の
一部として含まれ得る。錠剤、丸剤、カプセル、トローチなどは、任意の以下の
成分、または同様の性質の化合物を含有し得る:結合剤(例えば、微晶質セルロ
ース、トラガカントガム、またはゼラチン);賦形剤(例えば、デンプン、また
はラクトース)、崩壊剤(例えば、アルギン酸、Primogel、またはコー
ンスターチ);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、またはStero
tes);滑沢剤(glidant)(例えば、コロイド状の二酸化ケイ素);
甘味剤(例えば、スクロース、またはサッカリン);あるいは香料(例えば、ペ
パーミント、サリチル酸メチル、またはオレンジ香料)。
【0109】 吸入による投与のためには、化合物は、適切な推進剤(例えば、二酸化炭素の
ような気体)を含有している加圧された容器またはディスペンサー、あるいはネ
ブライザーからのエアゾールスプレーの形態で送達される。
【0110】 全身的な投与はまた、経粘膜または経皮的な手段により得る。経粘膜または経
皮的な投与については、浸透されるバリアについて適切な浸透剤が、処方物中で
使用される。このような浸透剤は、一般的には、当該分野で公知であり、例えば
、経粘膜的な投与については、界面活性剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体
が挙げられる。経粘膜的な投与は、鼻腔スプレーまたは坐剤の使用を通じて達成
され得る。経皮的な投与については、活性化合物は、当該分野で一般的に公知で
あるように、軟膏、膏薬、ゲル、またはクリーム中に処方される。
【0111】 PSGL−1活性を調節する因子はまた、坐剤(例えば、ココアバターおよび
他のグリセリドのような従来の坐剤基剤を用いる)または直腸送達のための保持
浣腸剤の形態に、調製され得る。
【0112】 一実施形態においては、PSGL−1活性を調節する因子は、体からの迅速な
排泄に対して化合物を防御するキャリアを用いて調製される(例えば、インプラ
ントおよび微小カプセル化送達システムを含む、制御放出処方物)。生体分解性
の、生体適合性のポリマー(例えば、エチレンビニルアセテート、ポリ無水物、
ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸)が、使
用され得る。このような処方物の調製のための方法は、当業者に明らかである。
材料はまた、Alza Corporation and Nova Phar
maceuticals,Inc.から商業的に入手することが可能である。リ
ポソーム懸濁物(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体で感染させられた細
胞に対して標的化されたリポソームを含む)もまた、薬学的に受容可能なキャリ
アとして使用され得る。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号に
記載されているように、当業者に既知の方法に従って調製され得る。
【0113】 投与の容易さおよび投与量の均質性のために、投薬量単位形態で、経口または
非経口組成物を処方することが、特に有利である。本明細書中で使用される投薬
量単位形態は、処置される被験体についての単位投薬量として適切な、物理的に
独立した単位を指す;それぞれの単位は、必要な薬学的なキャリアと関係して、
所望の治療効果を生じるように計算された予め決定された量の活性化合物を含有
している。本発明の投薬量単位形態についての説明は、PSGL−1活性を調節
する因子の特有の特徴、および達成される特定の治療効果、ならびに被験体の処
置のための因子のような化合物の分野での本来の限定によって指示され、そして
それらに直接依存する。
【0114】 このような因子の毒性および治療効果は、例えば、LD50(集団の50%の
致死量)およびED50(集団の50%における治療有効量)を決定するための
、細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手順によって決定され得る。
毒性と治療効果との間での用量比は、治療指数であり、そしてこれは、比LD5
0/ED50として表され得る。大きな治療指数を示す因子が好ましい。毒性の
副作用を示す因子が使用され得るが、治療は、感染していない細胞に対する可能
性のある損傷を最小にし、それによって副作用が減少するように、患部組織の部
位に対してそのような因子を標的化する送達システムを設計するように、行われ
るべきである。
【0115】 細胞培養アッセイおよび動物実験によって得られたデータは、ヒトでの使用の
ための投与量の範囲を処方する際に使用され得る。このようなPSGL−1調節
剤の投与量は、好ましくは、わずかな毒性を有するかまたは毒性を全く有さない
でED50を含む、流動濃度の範囲内である。投与量は、使用される投薬量形態
および利用される投与の経路に依存して、この範囲内で変化し得る。本発明の治
療方法において使用される任意の因子について、治療有効用量は、細胞培養アッ
セイから最初に概算され得る。用量は、細胞培養物中で決定されるような、IC
50(すなわち、症状の最大半減の抑制を達成する試験化合物の濃度)を含む流
動血漿濃度の範囲を達成するように、動物モデルにおいて処方され得る。このよ
うな情報は、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定するために使用され得る
。血漿中でのレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって測定され
得る。
【0116】 本明細書中で定義される場合には、タンパク質またはポリペプチドの治療有効
量(すなわち、有効用量)は、約0.001から30mg/kg体重まで、好ま
しくは約0.01から25mg/kg体重まで、より好ましくは約0.1から2
0mg/kg体重まで、およびさらにより好ましくは約1から10mg/kgま
で、2から9mg/kgまで、3から8mg/kgまで、4から7mg/kgま
で、または5から6mg/kg体重までの範囲である。疾患または障害の重篤度
、事前の処置、被験体の一般的な健康状態および/または年齢、ならびに他の疾
患の存在を含むがこれらに限定されない特定の因子が、被験体を有効に処置する
ために必要な投与量に影響を与え得ることが、当業者に明らかである。さらに、
治療有効量のタンパク質、ポリペプチドまたは抗体での被験体の処置は、単回の
処置を含み得るか、または好ましくは、一連の処置を含み得る。
【0117】 好ましい例においては、被験体は、約0.1から20mg/kg体重の間の範
囲の抗体、タンパク質またはポリペプチドを用いて、約1から10週間の間、好
ましくは2から8週間の間、より好ましくは約3から7週間の間、およびさらに
より好ましくは約4、5、または6週間の間、1週間に1回、処置される。処置
のために使用される抗体、タンパク質またはポリペプチドの有効投与量が、特定
の処置の経過にわたって増大し得るかまたは減少し得ることもまた、明らかであ
る。投与量の変更は、本明細書中に記載されているような診断アッセイの結果か
ら生じ得、そして明らかとなる。
【0118】 本発明は、発現または活性を調節する因子を包含する。因子とは、例えば、低
分子であり得る。例えば、このような低分子としては、1モルあたり約10,0
00グラム未満の分子量を有する、ペプチド、ペプチド模倣物、アミノ酸、アミ
ノ酸アナログ、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドアナログ、ヌクレオチド、
ヌクレオチドアナログ、有機化合物または無機化合物(すなわち、異種有機化合
物および有機金属化合物を含む)、1モルあたり約5,000グラム未満の分子
量を有する有機化合物または無機化合物、1モルあたり約1,000グラム未満
の分子量を有する有機化合物または無機化合物、1モルあたり約500グラム未
満の分子量を有する有機化合物または無機化合物、ならびにこのような化合物の
塩、エステルおよび他の薬学的に受容可能な形態が挙げられるがこれらに限定さ
れない。低分子因子の適切な用量は、当該分野の医師、獣医師または研究者の理
解の範囲内の多数の因子に依存することが理解される。低分子の用量は、例えば
、処理されている被験体またはサンプルの同一性、サイズおよび条件に依存して
、さらに、該当する場合、この組成物が投与される経路、そして実施者が、本発
明の核酸またはポリペプチドに対してこの低分子が有することを所望する効果に
依存して、変化する。
【0119】 例示的な用量としては、被験体重量またはサンプル重量のキログラムあたり、
ミリグラムまたはマイクログラムの量の低分子が挙げられる(例えば、約1μg
/kg〜約500mg/kg、約100μg/kg〜約5mg/kg、または約
1μg/kg〜約50μg/kg)。低分子の適切な用量は、調節されるべき発
現または活性に関して、低分子の力価に依存することがさらに理解される。この
ような適切な用量は、本明細書で記載のアッセイを用いて決定され得る。本発明
のポリペプチドまたは核酸の発現または活性を調節するため、動物(例えば、ヒ
ト)に対して、これらの低分子の1つ以上が投与されるべき場合、医師、獣医師
または研究者は、例えば、最初は、比較的低用量を処方し、適切な応答が得られ
るまで、用量を徐々に増加させることができる。さらに、任意の特定の動物被験
体について特定の用量レベルは、使用される特定の化合物の活性、被験体の年齢
、体重、健康状態、加齢、および食餌、投与時間、投与経路、排泄速度、なんら
かの薬物併用、ならびに調節されるべき発現または活性の程度を含む、種々の因
子に依存することが理解される。
【0120】 さらに、抗体(またはそのフラグメント)は、治療剤、または放射性金属イオ
ンのような治療部分と結合体化され得る。治療剤としては、代謝拮抗剤(例えば
、メトトレキセート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、
5−フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン
、チオエパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)およびロ
ムスチン(CCNU)、シクロホスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニト
ール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、およびシス−白金(II)ジク
ロロジアミン(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノ
ルビシン(以前はダウノマイシン)、およびドキソルビシン)、抗生物質(例え
ば、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマ
イシン、およびアントラマイシン(AMC))、ならびに抗分裂剤(例えば、ビ
ンクリスチンおよびビンブラスチン)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0121】 本発明の結合体は、所定の生物学的応答を改変するために用いられ得る。この
薬物部分は、古典的な化学的治療剤に限定されると解釈されるべきではない。例
えば、この薬物部分は、所望の生物学的活性を処理するタンパク質またはポリペ
プチドであり得る。このようなタンパク質としては、例えば、以下が挙げられる
:毒素(例えば、アブリン、リシンA、シュードモナス外毒素、またはジフテリ
ア毒素);タンパク質(例えば、腫瘍壊死因子)、αインターフェロン、βイン
ターフェロン、神経成長因子、血小板由来増殖因子、組織プラスミノゲン活性化
因子);または生物学的応答改変因子(例えば、リンホカイン、インターロイキ
ン−1(「IL−1」)、インターロイキン−2(「IL−2」)、インターロ
イキン−6(「IL−6」)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(「GM
−CSF」)、顆粒球コロニー刺激因子(「G−CSF」)、もしくは他の増殖
因子。
【0122】 抗体に対してこのような治療部分を結合体化するための技術は、周知である。
例えば、Arnonら「Monoclonal Antibodies For
Immunotargeting Of Drugs In Cancer
Therapy」in Monoclonal Antibodies And
Cancer Therapy,Reisfeldら編,(1985)Ala
n R.Liss,Inc.pp.243−256;Hellstromら(1
987)「Antibodies For Drug Delivery」in
Controlled Drug Delivery、第2版、Robins
onら編,pp.623−653(Marcel Dekker,Inc.19
87);Thorpe「Antibody Carriers Of Cyto
toxic Agents In Cancer Therapy:A Rev
iew」in Monoclonal Antibodies ’84:Bio
logical And Clinical Applications,Pi
ncheraら編,pp.475−506(1985);「Analysis,
Results,And Future Prospective Of Th
e Therapeutic Use Of Radiolabeled An
tibody In Cancer Therapy」in Monoclon
al Antibodies For Cancer Detection A
nd Therapy,Baldwinら編,pp.303−316(Acad
emic Press 1985);およびThorpeら、「The Pre
paration And Cytotoxic Properties Of
Antibody−Toxin Conjugates」Immunol.R
ev.62:119−158(1982)を参照のこと。あるいは、抗体は、S
egalの米国特許出願第4,676,980号に記載のように、二次抗体と結
合体化されて、抗体異種結合体を形成し得る。
【0123】 本発明の方法において使用される核酸分子は、ベクター中に挿入されて、遺伝
子治療ベクターとして用いられ得る。遺伝子治療ベクターは、例えば、静脈注射
、局所投与(米国特許第5,328,470号を参照のこと)によって、または
定位注入(例えば、Chenら(1994)Proc.Natl.Acad.S
ci.USA 91:3054〜3057を参照のこと)によって、被験体に送
達され得る。遺伝子治療ベクターの薬学的調製物は、受容可能な希釈剤中に遺伝
子治療ベクターを含み得るか、または徐放性マトリックス(ここに遺伝子送達ビ
ヒクルが含まれる)を含み得る。あるいは、完全な遺伝子送達ベクターが、組み
換え細胞からインタクトで生成され得る場合(例えば、レトロウイルスベクター
)、薬学的調製物は、遺伝子送達系を生成する1つ以上の細胞を含み得る。
【0124】 (B.薬理ゲノム学(Pharmacogenomics) 本発明の治療方法と合わせて、薬理ゲノム学(すなわち、被験体の遺伝子型と
外来化合物または薬物に対するその被験体の応答との間の関係についての研究)
が、考慮され得る。治療剤の代謝における差異は、薬理学的に活性な薬物の用量
と血中濃度との間の関係を変更することによって、重篤な毒性または治療の失敗
を導き得る。従って、医師または臨床家は、P−セレクチンアンタゴニスト(例
えば、可溶性PSGL−1)を投与するか否か、PSGL−1活性を調節する薬
剤を用いる投薬および/または処置の治療レジメンを変更するか否かを決定する
際に、関連する薬理ゲノム学研究で得られた知識を適用することを考慮し得る。
【0125】 薬理ゲノム学は、罹患されたヒトにおける変更された薬物の性質および異常な
作用に起因して、薬物への応答における臨床的に有意な遺伝性変更を扱う。例え
ば、Eichelbaum,Mら(1996)、Clin.Exp.Pharm
acol.Physiol.23(10−11):983〜985およびLin
der,M.W.ら、(1997)、Clin.Chem.43(2):254
〜266を参照のこと。一般に、2つの型の薬理ゲノム学状態が、区別され得る
。薬物が身体に作用する方法を変更する1つの因子として伝達される遺伝的状態
(変更された薬物作用)、または身体が薬物に作用する方法を変更する1つの因
子として伝達される遺伝的状態(変更された薬物代謝)。これらの薬理ゲノム学
状態は、稀な遺伝的欠損としてか、または天然に存在する多型としてのいずれか
で生じ得る。例えば、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ欠損(G6PD
)は、一般的な遺伝性酵素病であり、この主な臨床的合併症は、酸化剤薬物(抗
マラリア剤、スルホンアミド、鎮痛薬、ニトロフラン)の摂取およびソラマメの
消費後の溶血である。
【0126】 「ゲノム広域会合(genome−wide association)」と
して知られる、薬物応答を予測する遺伝子を同定するための1つの薬理ゲノム学
的アプローチは、既に既知の遺伝子関連マーカー(例えば、ヒトゲノム上の60
,000〜100,000の多型または可変部位からなる「二対立」遺伝子マー
カーマップ、これらの各々は、2つの改変体を有する)からなるヒトゲノムの高
分解能マップに主に依存する。このような高分解遺伝子マップは、特定の観測さ
れた薬物応答または副作用に関係するマーカーを同定するために、II/III
期薬物試験に関係する、統計学的に有意な数の患者の各々のゲノムのマップと比
較され得る。あるいは、このような高分解マップは、ヒトゲノムにおける数千万
の既知の単一ヌクレオチド多型(SNP)の組み合わせから生成され得る。本発
明中で使用される場合、「SNP」は、DNAのストレッチにおいて、単一ヌク
レオチド塩基において生じる一般的な改変である。例えば、SNPは、DNAの
1000塩基ごとに1回起こり得る。SNPは、疾患プロセスに関係し得るが、
大部分は、疾患に関係しなくてもよい。このようなSNPの存在に基づく遺伝子
マップが与えられると、個体は、それらの個々のゲノムSNPの特定のパターン
に依存して遺伝子カテゴリーに分類され得る。このような様式において、処置レ
ジメンが、このような遺伝子的に類似の個体の間で共通であり得る特徴を考慮し
て、遺伝子的に類似の個体の群に対して、変更され得る。
【0127】 あるいは、「候補遺伝子アプローチ」と称される方法が、薬物応答を予測する
遺伝子を同定するために、利用され得る。この方法に従って、薬物標的をコード
する遺伝子が既知である場合(例えば、本発明のPSGL−1タンパク質)、こ
の遺伝子の全ての共通の改変体が、その集団においてかなり容易に同定され得、
そして別の遺伝子のバーションに対してある遺伝子のバージョンを有することが
、特定の薬物応答に関係する場合、それが決定され得る。
【0128】 例示的な実施形態として、薬物代謝酵素の活性は、薬物作用の強度および持続
期間の両方の主要な決定因子である。薬物代謝酵素(例えば、N−アセチルトラ
ンスフェラーゼ2(NAT2)およびシトクロムP450酵素CYP2D6およ
びCYP2C19)の遺伝的多型の発見は、幾人かの患者が予期される薬物効果
を得ないか、または標準的かつ安全な用量の薬物を摂取した後に過大な薬物応答
および深刻な毒性を示すことに関しての説明を提供した。これらの多型は、集団
において2つの表現型(高い代謝能を持つ人(extensive metab
olizer)(EM)および低い代謝能を持つ人(poor metabol
izer)(PM))で表現される。PMの有病率は、異なる集団の間で異なる
。例えば、CYP2D6をコードする遺伝子は高度に多型であり、そしていくら
かの変異がPMにおいて同定されており、この全ては機能的CYP2D6の非存
在に至る。CYP2D6およびCYP2C19の低い代謝能を持つ人は、彼らが
標準的な用量を受ける場合に、かなり頻繁に過大な薬物応答および副作用を経験
する。代謝産物が活性な治療的部分である場合、そのCYP2D6形成代謝産物
であるモルヒネによって媒介されるコデインの鎮痛効果について実証されるよう
に、PMは治療的応答を示さない。他の極端なものは、標準的な用量に応答しな
い、いわゆる超迅速な代謝能を持つ人である。最近、超迅速な代謝の基準となる
分子は、CYP2D6遺伝子増幅に起因していることが同定されている。
【0129】 あるいは、「遺伝子発現プロフィール」と称される方法が、薬物応答を予測す
る遺伝子を同定するために使用され得る。例えば、薬物(例えば、本発明のPS
GL−1分子またはP−セレクチンアンタゴニスト)を投与された動物の遺伝子
発現は、毒性に関係する遺伝子経路が作動されたか否かの指標を与え得る。
【0130】 1以上の上記の薬理ゲノム学アプローチから生じた情報は、被験体の予防処置
または治療処置のための適切な投薬量または処置レジメンを決定するために使用
され得る。この知識は、投薬または薬物選択に適用される場合、有害な反応また
は治療の失敗を回避し得、従って、PSGL−1活性を調節する因子で血栓症を
処置または予防する場合に、治療または予防効率を増強する。
【0131】 (V.スクリーニングアッセイ) 本発明は、モジュレーター(すなわち、候補化合物もしくは試験化合物または
因子(例えば、ペプチド、ペプチド模倣物、低分子リボザイムまたはPSGL−
1アンチセンス分子))を同定するための方法(本明細書中では「スクリーニン
グアッセイ」とも呼ばれる)を提供し、このモジュレーターは、PSGL−1タ
ンパク質に結合し、例えば、PSGL−1発現またはPSGL−1活性に対して
刺激効果または阻害効果を有するか、またはPSGL−1標的分子(例えば、P
−セレクチンまたはE−セレクチン)の発現または活性に対して刺激効果または
阻害効果を有するか、またはPSGL−1標的分子を発現する細胞(例えば、内
皮細胞および活性化血小板)に効果(例えば、細胞の遊走または接着の阻害)を
有する。本明細書に記載されるアッセイを用いて同定された化合物は、血栓症を
改変するのに有用であり得る。
【0132】 候補/試験化合物は、例えば以下を含む、1)可溶性ペプチドのようなペプチ
ド(Igを末尾にした融合ペプチドおよびランダムペプチドライブラリーのメン
バーを含む)(例えば、Lam、K.S.ら、(1991)Nature 35
4:82〜84;Hougten,Rら(1991)Nature 354:8
4〜86)およびD−および/またはL−アミノ酸から作られるコンビナトリア
ルケミストリー由来の分子ライブラリー;2)リン酸ペプチド(例えば、ランダ
ムおよび部分的に変性したリン酸ペプチドライブラリーのメンバー(例えば、S
ongyang、Z.ら、(1993)Cell 72:767〜778を参照
));3)抗体(例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化抗
体、抗イディオタイプ抗体、キメラ抗体、および単鎖抗体、およびFab、F(
ab’)、Fab発現ライブラリーフラグメント、および抗体のエピトープ結
合フラグメント);ならびに4)小有機分子および無機分子(例えば、コンビナ
トリアル産物ライブラリーおよび天然産物ライブラリーから得られる分子)。
【0133】 本発明の試験化合物は、当該分野で公知のコンビナトリアルライブラリー方法
における多数のアプローチのいずれかを使用して得られ得る。これらのライブラ
リーとしては、以下が挙げられる:生物学的ライブラリー;空間的にアドレス可
能な並行固相または溶液相ライブラリー;逆重畳を必要とする合成ライブラリー
方法;「1ビーズ1化合物」ライブラリー法;およびアフィニティクロマトグラ
フィー選択を使用する合成ライブラリー方法。生物学的ライブラリーアプローチ
は、ペプチドライブラリーに限定されるが、その他の4つのアプローチは、ペプ
チド、非ペプチドオリゴマーまたは化合物の低分子ライブラリーに適用可能であ
る(Lam,K.S.,1997,Anticancer Drug Des.
12:145)。
【0134】 分子ライブラリーの合成のための方法の例は、当該分野において例えば、De
Wittら,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.
90:6909;Erbら,1994,Proc.Natl.Acad.Nci
.USA 91:11422;Zuckermannら,1994,J Med
.Chem.37:2678;Choら,1993,Science 261:
1303;Carrellら,1994,Angew.Chem.Int.Ed
.Engl.33:2059;Carellら,1994,Angew.Che
m.Int.Ed.Engl.33:2061;およびGallopら,199
4,J.Med.Chem.37:1233に見出され得る。
【0135】 化合物のライブラリーは、溶液で(例えば、Houghten,1992,B
iotechniques 13:412−421)、またはビーズ上(Lam
,1991,Nature 354:82−84)、チップ上(Fodor,1
993,Nature 364:555−556)、細菌(Ladner US
P 5,223,409)、胞子(Ladner USP ’409)、プラス
ミド(Cullら,1992,Proc Natl Acad Sci USA
89:1865−1869)またはファージ上(ScottおよびSmith
,1990,Science 249:386−390;Devlin,199
0,Science 249:404−406;Cwirlaら,1990,P
roc.Natl.Acad.Sci.87:6378−6382;Felic
i,1991,J.Mol.Biol.222:301−310;Ladner
、前出)に存在し得る。
【0136】 PSGL−1活性およびP−セレクチン活性を改変する化合物を同定するのに
利用し得るアッセイは、51Cr標識した細胞(例えば、白血球)を用いた細胞
接着に対するアッセイを含み(例えば、Kennedyら(2000)、Br
J Pharmacology 130(1):95に記載される)、細胞遊走
(例えば、血小板、好中球、および白血球の遊走)についてのアッセイ(例えば
、Kogakiら(1999)、Cardiovascular Res 43
(4):968およびBengtssonら(1999)、Scand J C
lin Lab Invest 59(6):439に記載される)を含む。
【0137】 1つの局面において、アッセイは細胞ベースのアッセイであり、ここではPS
GL−1タンパク質またはその生物学的に活性な部分(これは、P−セレクチン
(例えば、配列番号2のアミノ酸残基42〜60)、またはE−セレクチンの結
合に関与すると考えられる)を発現する細胞は、試験化合物と接触されて、そし
てこの試験化合物がPSGL−1活性を調節する能力が決定される。好ましい実
施例において、PSGL−1タンパク質の生物学的活性部分は、P−セレクチン
と相互作用し得るか、細胞接着を媒介するP−セレクチンを阻害するドメインま
たはモチーフを含む。この試験化合物がPSGL−1活性を調節する能力を決定
することは、細胞接着または細胞遊走をモニタリングすることによって達成され
得る。例えば、この細胞は、哺乳動物起源の細胞、例えば、内皮細胞または白血
球であり得る。
【0138】 試験化合物が基質に対するPSGL−1結合を調節する能力またはPSGL−
1に結合する能力もまた決定され得る。試験化合物が基質に対するPSGL−1
結合を調節する能力を決定することは、例えば、PSGL−1基質のPSGL−
1に対する結合が、複合体中の標識PSGL−1基質を検出することによって決
定され得るように、PSGL−1基質を放射性同位体または酵素標識とカップリ
ングさせることによって達成され得る。あるいは、PSGL−1は、試験化合物
が複合体中のPSGL−1基質に対するPSGL−1結合を調節する能力をモニ
タリングするために放射性同位体または酵素標識にカップリングされ得る。試験
化合物がPSGL−1を結合する能力を決定することは、例えば、PSGL−1
に対するこの化合物の結合が、複合体中の標識PSGL−1化合物を検出するこ
とによって決定され得るように、この化合物を放射性同位体または酵素標識とカ
ップリングさせることによって達成され得る。例えば、PSGL−1基質は、 25 I、35S、14C、またはHを用いて直接的または間接的のいずれかで
標識され得、そしてこれらの放射性同位体は、電波放出の直接計数またはシンチ
レーション計数によって検出され得る。あるいは、化合物は、例えば、西洋ワサ
ビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼまたはルシフェラーゼを用いて酵
素的に標識され得、そして酵素標識は、適切な基質の産物への転化を決定するこ
とで検出され得る。
【0139】 どの相互作用因子の標識も行うこともなく、化合物がPSGL−1と相互作用
する能力を決定することもまた、本発明の範囲内である。例えば、化合物もPS
GL−1もいずれも標識することなく、マイクロフィジオメーター(micro
physiometer)を使用して、化合物とPSGL−1との相互作用を検
出し得る(McConnell,H.M.ら(1992)Sience 257
:1906−1912)。本明細書中で使用される場合、「マイクロフィジオメ
ーター」(例えば、Cytosensor)は、細胞がその環境を酸性化する速
度を、光位置付け可能電位差センサー(light−addressable
potentiometric sensor)(LAPS)を使用して測定す
る分析機器である。この酸性化速度における変化は、化合物とPSGL−1との
間の相互作用の指標として使用され得る。
【0140】 なお別の実施形態では、本発明のアッセイは、PSGL−1タンパク質または
その生物学的に活性な部分(例えば、P−セレクチンを結合し得るPSGL−1
タンパク質のフラグメント)を試験化合物と接触させ、そして試験化合物がPS
GL−1タンパク質またはその生物学的に活性な部分に結合するか、またはその
活性を調節(例えば、刺激または阻害)する能力が決定される、無細胞アッセイ
である。本発明のアッセイに用いられるPSGL−1タンパク質の好ましい生物
学的に活性な部分は、非PSGL−1分子との相互作用に関与するフラグメント
(例えば、高い表面確率スコアを有するフラグメント)を含む。試験化合物のP
SGL−1タンパク質への結合は、上記のように直接または非直接のいずれかで
決定され得る。PSGL−1タンパク質が試験化合物に結合する能力を決定する
ことはまた、リアルタイムBiomolecular Interaction
Analysis(BIA)のような技術を用いて達成され得る(Sjola
nder,S.およびUrbaniczky,C.(1991)Anal.Ch
em.63:2338−2345およびSzaboら(1995)Curr.O
pin.Struct.Biol.5:699−705)。本明細書中で使用さ
れる場合、「BIA」は、いずれの反応体(例えば、BIAcore)も標識す
ることなく、リアルタイムで生物特異的相互作用を研究するための技術である。
表面プラズモン共鳴(SPR)の光学的現象における変化は、生物学的分子間の
リアルタイム反応の指標として使用され得る。
【0141】 本発明の方法の上記のアッセイ方法の1より多くの実施形態では、PSGL−
1またはP−セレクチンのいずれかを固定して、一方または両方のタンパク質の
非複合体化形態からの複合体化形態の分離を容易にすること、ならびにアッセイ
の自動化に適応させることが所望され得る。試験化合物の存在下および非存在下
でのPSGL−1タンパク質に対する試験化合物の結合またはPSGL−1タン
パク質とP−セレクチンとの相互作用は、反応物を接触させるに適した任意の容
器中で達成され得る。このような容器の例としては、マイクロタイタープレート
、試験管および微量遠心管が挙げられる。1つの実施形態では、一方または両方
のタンパク質がマトリクスに結合するのを可能にするドメインを付加する融合タ
ンパク質が提供され得る。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/P
SGL−1融合タンパク質またはグルタチオン−S−トランスフェラーゼ/標的
融合タンパク質は、グルタチオンセファロースビーズ(Sigma Chemi
cal,St.Louis,MO)またはグルタチオン誘導体化マイクロタイタ
ープレート上に吸着され得、次いでこれらは試験化合物または試験化合物および
非吸着標的タンパク質またはPSGL−1タンパク質のいずれかと合わされ、そ
してこの混合物は、複合体形成に有利な条件下(例えば、塩およびpHに関して
生理学的な条件)でインキュベートされる。インキュベーション後、ビーズまた
はマイクロタイタープレートウェルを洗浄して、あらゆる未結合成分を除去し、
ビーズの場合はマトリクスを固定し、複合体形成を例えば上記のように直接的ま
たは間接的のいずれかで決定する。あるいは、複合体は、マトリクスから解離さ
れ得、そしてPSGL−1結合またはPSGL−1活性のレベルが標準的技術を
用いて決定され得る。
【0142】 タンパク質をマトリクスに固定するための他の技術もまた本発明のスクリーニ
ングアッセイにおいて用いられ得る。例えば、PSGL−1タンパク質またはP
P−セレクチン分子のいずれかは、ビオチンおよびストレプトアビジンの結合体
化を利用して固定され得る。ビオチン化したPSGL−1タンパク質またはP−
セレクチンは、ビオチン−NHS(N−ヒドロキシ−スクシンイミド)から、当
該分野で公知の技術(例えば、ビオチン化キット、Pierce Chemic
als,Rockford,IL)を用いて調製され得、そしてストレプトアビ
ジンでコーティングした96ウェルプレート(Pierce Chemical
)のウェルに固定され得る。あるいは、PSGL−1タンパク質またはP−セレ
クチンと反応性であるがPSGL−1タンパク質のその標的分子に対する結合を
妨害しない抗体は、このプレートのウェルに誘導体化され得、そしてウェルに未
結合の標的またはPSGL−1タンパク質が抗体結合体化によってウェルに捕獲
され得る。このような複合体を検出するための方法としては、GST固定化複合
体に関する上記の方法に加えて、PSGL−1タンパク質またはP−セレクチン
と反応性である抗体を用いた複合体の免疫検出、ならびにPSGL−1タンパク
質またはP−セレクチンに関連した酵素活性を検出することによる酵素結合アッ
セイが挙げられる。
【0143】 本発明のなお別の局面では、PSGL−1タンパク質またはそのフラグメント
(例えば、P−セレクチンまたはE−セレクチンを結合し得るフラグメント)を
ツーハイブリッドアッセイまたはスリーハイブリッドアッセイ(例えば、米国特
許第5,283,317号;Zervosら(1993)Cell 72:22
3−232;Maduraら(1993)J.Biol.Chem.268:1
2046−12054;Bartelら(1993)Biotechnique
s 14:920−924;Iwabuchiら(1993)Oncogene
8:1693−1696;およびBrent WO94/10300を参照の
こと)において「ベイト(bait)タンパク質」として使用して、PSGL−
1に結合もしくは相互作用し、そしてPSGL−1活性に関与する他のタンパク
質(「PSGL−1結合タンパク質」または「PSGL−1−bp」)を同定し
得る。このようなPSGL−1結合タンパク質もまた、例えば、PSGL−1媒
介シグナル伝達経路の下流エレメントとして、PSGL−1タンパク質またはP
SGL−1標的によるシグナルの増幅に関与するようである。あるいは、このよ
うなPSGL−1結合タンパク質はPSGL−1インヒビターであるようである
【0144】 ツーハイブリッドシステムは、大部分の転写因子のモジュラーとしての性質に
基づき、これらの因子は、分離可能なDNA結合ドメインと活性化ドメインとか
らなる。手短には、このアッセイは、2つの異なるDNA構築物を利用する。一
方の構築物において、PSGL−1タンパク質をコードする遺伝子は、既知の転
写因子(例えば、GAL−4)のDNA結合ドメインをコードする遺伝子に融合
される。他方の構築物では、未同定のタンパク質(「プレイ(prey)」また
は「サンプル」)をコードする、DNA配列のライブラリー由来のDNA配列は
、その既知の転写因子の活性化ドメインをコードする遺伝子に融合される。「ベ
イト」タンパク質と「プレイ」タンパク質とがインビボで相互作用してPSGL
−1依存性複合体を形成し得る場合、その転写因子のDNA結合ドメインと活性
化ドメインとは、極めて接近することになる。この接近することによって、この
転写因子に応答性である転写調節部位に作動可能に連結されたレポーター遺伝子
(例えば、LacZ)の転写が可能になる。レポーター遺伝子の発現が検出され
得、そして機能的な転写因子を含む細胞コロニーが単離され得、そしてこれを用
いて、PSGL−1タンパク質と相互作用するタンパク質をコードするクローン
化遺伝子が獲得され得る。
【0145】 別の局面では、本発明は、本明細書中に記載されるアッセイのうちの2つ以上
の組合せに関する。例えば、調節因子は、細胞ベースのアッセイまたは無細胞ア
ッセイを用いて同定され得、そしてこの因子がP−セレクチンリガンドアンタゴ
ニストの活性を改変する能力がインビボで(例えば、血栓症についての動物モデ
ルのような動物において)確認され得る。血栓症についての動物モデルは、少な
くとも、例えば、Leadleyら(2000)、J Pharmacol T
oxicol Methods 43:101、およびDorffler−Me
llyら(2000)、Basic Res Cardiol 95:503に
記載されるものを含む。
【0146】 さらに、本明細書中に記載の通りに同定されたPSGL−1モジュレーター(
例えば、アンチセンスPSGL−1核酸分子、PSGL−1特異抗体、または低
分子)を動物モデルにおいて用いて、このようなモジュレーターを用いた処置の
効力、毒性または副作用を決定し得る。あるいは、本明細書中に記載された通り
に同定されたPSGL−1モジュレーターを動物モデルにおいて用いて、このよ
うなモジュレーターの作用機構を決定し得る。
【0147】 さらに、本発明は、以下の実施例によって例示され、これは、限定と解釈すべ
きでない。本明細書を通して援用されるすべての参考文献、特許、および公開特
許出願の内容、ならびに図および配列表は、本明細書中で参考文献によって援用
される。
【0148】 (実施例) (実施例1:P−セレクチンリガンドタンパク質の融合) 本実施例は、2量体P−セレクチンリガンドの融合タンパク質(また本明細書
中でrPSGL−Igという)の産生を記載する。シグナルペプチド、ヒトIg
の成熟Fc領域に、天然型Fc配列のHis224で融合した成熟P−セレ
クチンリガンド配列のPACE切断部位および最初の47アミノ酸をコードする
cDNAを構築した。cDNA構築物の配列は、配列番号3として報告される。
融合点は、ヌクレオチド261の新たなNotI部位である。このcDNA構築
物にコードされるアミノ酸配列は、配列番号4として報告される。コードされた
融合タンパク質の成熟アミノ酸配列は、配列番号4のアミノ酸42で始まる。F
c部位の変異体は、天然Fc配列のLeu234およびGly237のAlaへ
の変換である。
【0149】 (実施例2:深部静脈血栓(deep vein thrombosis)(
DVT)のモデルに置ける可溶性P−セレクチングリコプロテインリガンド−1
の効果) (材料と方法) (DVTに対する実験的プロトコール) オスの22匹の家ネコのショートへアーキャット(1.8kg〜3.2kg)
を18〜24時間絶食して、塩酸ケタミンを35mg/kgの用量で筋肉内注射
(i.m)した。動物に3〜0ゲージの気管内チューブを挿管して、1ml/分
の流速の1〜2%イソフランで麻酔した。手術の前に動物に生理食塩水(ビヒク
ル)(n=7)、3mlの生理食塩水中4mg/kgのdimPSGL−1(n
=5)、または4mg/kgのtetPSGL−1(n=5)のいずれかを静脈
内投与した。動物の頚部を剃って切開し、下にある頚静脈を露出した。反対側の
頚静脈は、処置しなかった。頚静脈を周りの結合組織から、平らな解剖刀(bl
unt dissection)を用いて丁寧に離した。露出後に、頚静脈を血
管用クランプで2時間閉塞した。2時間の麻酔の後に、特に処置をしなかったコ
ントロールの静脈(n=5)を動物から得た。静脈を止めた後、静脈の側鎖およ
び遠位端を絹の縫合糸で縛って血行を止め、静脈をCa++−Mg不含のTy
rodes緩衝液で灌流して、非接着血球細胞を除去した。続いて、静脈を再び
閉塞し,血球細胞の再進入を予防した。その直後に、静脈を1%グルタルアルデ
ヒド(Ca++−Mg不含のTyrodes緩衝液中)で灌流し、生理学的な
圧の下で縛った。静脈を収集し、走査型電子顕微鏡(SEM)のために調製した
。静脈セグメントの30〜50の領域を観察し、そして炎症の組織学的スコアを
以下のように与えた: 0−白血球および/または血小板の接着のないインタクトな内皮細胞 1−いくつかの白血球および/または血小板の接着のあるインタクトな内皮細胞
2−白血球および/または血小板の接着を伴う限局的な内皮細胞の損傷 3−表面の血栓および/または遊走白血球を伴う限局的な内皮細胞の損傷 4−遊走白血球、白血球の接着および/または血小板の接着および/またはフィ
ブリンの接着を伴う限局的な内皮細胞の損傷 5−遊走白血球、白血球の接着および/または血小板の接着および/またはフィ
ブリンの接着を伴う広範な内皮細胞の損傷 (生体内の鏡検) オスの家ネコのショートへアーキャット(n=22、体重=1.8kg〜3.
2kg)を術前に18〜24時間絶食した。はじめに動物を塩酸ケタミン(50
mg/kg、i.m.)で鎮静させた。動物を3〜0ゲージの気管内チューブで
1ml/分の流速の1〜2%イソフランで麻酔した。動物の体温を加熱した水循
環ブランケット(heated circulating water bla
nket)で37℃に維持した。右頚動脈および左頚静脈に全身の動脈圧の測定
(Stratham P10EZおよびGrass physiologica
l recorder)および薬剤の投与の各々のためにポリエチレンチューブ
(PE−190)をカニューレ挿入した。開腹する前に、全ての動物に20mg
/kgのクロモリンナトリウム20mg/kgを静脈内投与して、白血球のロー
リングの基準におけるマスト細胞の任意の影響を減じた。動物を仰臥位に置き、
腹正中線を切開した。小腸のセグメントを丁寧に体外に出し、光学的に透明な窓
の上において、37℃の重炭酸緩衝化食塩水(BBS)(pH=7.4)で灌流
した。全ての露出した組織をBBS浸潤ガーゼで覆い、サランラップで覆い、蒸
発を防いだ。調製した腸管膜を40倍(NA 0.75)水浸レンズおよび10
倍の接眼レンズで生体内顕微鏡(Zeiss Axioscope FS)を通
して観察した。白血球のローリングおよび接着のオフライン分析について、毛細
管のイメージをビデオカメラ(Panasonic GP−KR222)および
ビデオカセットレコーダー(Sony SVT−S3100)で記録した。
【0150】 1つの分枝していない腸間膜の細静脈(直径20〜45nm)を研究のため選
択した。細静脈の直径(Dven)および赤血球(RBC)の速度(VRBC
をイメージ剪断および2つのスリットの測光技術の各々を用いて決定した。平均
血液速度(Vmean)およびニュートンの壁剪断速度(Newtonian
wall shear rate)(γwall)を(VRBC/1.6および
mean/Dven)の8倍(それぞれについて)として決定した。白血球の
ローリングおよび接着の数をビデオテープのイメージの再生の間にオフラインで
決定した。ローリングする白血球を所定の容器中でRBCの速度より遅い速度で
移動する白血球として規定し、フレーム−バイ−フレーム(frame−by−
frame)分析で決定した。ローリング白血球の数(流量)は、5分間にわた
って血管方向に対し垂直面に通る全ての可視の細胞をカウントすることによって
決定した。ローリング白血球の速度は、白血球が所定の距離をローリングするの
に必要な時間を測定することによって評価し、静脈あたり10個の白血球の平均
をとった。任意の時間における細静脈中に存在するローリングする白血球の数を
流量/Vwbcで計算し、100μmの細静脈あたりのローリングする白血球の
数で表した。白血球が30秒以上内皮に静止してとどまる場合に、白血球を接着
したものと規定した。接着した白血球の総数を5分以上にわたって決定した。
【0151】 開腹前に、動物に20mg/kgのクロモリンおよび生理食塩水(コントロー
ル)(n=12)、1mg/kgのdimPSGL−1(n=5)、0.5mg
/kgのtetPSGL−1(n=3)、または0.1mg/kgのtetPS
GL−1(n=5)のいずれかを静脈内投与した。腸間膜を外に出した後、30
分間固定した。引き続いて観察しながら細静脈を5分間ビデオテープで記録し、
白血球のローリングおよび接着の基準の測定値を得た。さらに、MAPの基準の
測定値(VRBCおよびDVEN)を得た。この直後に、腸間膜を500pMロ
イコトリエンC(LTC)含有BBSで30分間灌流し、細静脈を5分間ビ
デオテープで記録し、白血球のローリングおよび接着の変化を記録した。5分間
の記録の後に、MAP、VRBCおよびDVENの測定値を得て、LTCの影
響を評価した。
【0152】 (結果) SEM顕微鏡写真を4量体P−セレクチンアンタゴニストの存在下で、2時間
静脈閉塞されたネコ、およびコントロールのネコから採った。コントロールの動
物において、白血球および血小板の名目上の接着を静脈上皮および静脈弁の周り
に観察された。静脈上皮がインタクトを維持することが明白であっても、一部の
白血球の接着が存在する(それぞれ、61倍および1270倍)。
【0153】 未処置ネコにおいて2時間の静脈閉塞の後、低倍率の観察は、白血球および血
小板の接着の領域を例示する。白血球および血小板の接着は、内皮細胞の蒼蓋を
生じる(750倍)。高倍率での観察は、白血球の遊出および内皮細胞の障害を
示し、基底細胞膜の曝露および血小板接着を生じていることを示す(2700倍
)。
【0154】 4mg/kgのdimPSGL−1で処置した動物は、2時間の閉塞後に白血
球および血小板の接着、または内皮細胞障害に影響がなかった。4mg/kgの
tetPSGL−1で処置した動物に由来する頚静脈は、静脈弁に大きな血栓の
存在を示す(それぞれ、30倍および61倍)。4mg/kgのtetPSGL
−1で処置した動物に由来する頚静脈はまた、血栓の内および周辺に白血球−血
小板の凝集を示す(3660倍)。4mg/kgのtetPSGL−1で処置し
た動物に由来する頚静脈はまた、多数の白血球および血小板が障害を受けた上皮
に接着したことを示す(1810倍)。
【0155】 図3は、静脈閉塞後の静脈壁の炎症においてのdimPSGL−1およびte
tPSGL−1の影響を示す。(A)2時間の閉塞の後に、コントロールに比べ
て炎症レベルの有意な増大が観察され(p<0.05)、dimPSGL−1の
投与で不変であった。tetPSGL−1で処置された動物において、炎症は、
コントロールおよび2時間閉塞したものに比べて、憎悪することが観察された(
p<0.05)。生理食塩水およびdimPSGL−1処置の動物においての血
栓の非存在に比較して、大きな血栓は、4mg/kgのtetPSGL−1で処
置した動物全てに見られた。*は、コントロールに比較して有意に異なる値(p
<0.05)を示す。♯は、2時間閉塞後に生理食塩水で処置した動物に比較し
て有意に異なる値(p<0.05)を示す。示される値は、平均±SEである。
【0156】 図4は、基底状態での白血球ローリングにおいてのdimPSGL−1および
tetPSGL−1の影響を示す。(A)白血球ローリングの流量は、生理食塩
水処置ネコにおいて約60細胞/分であり、dimPSGL−1および0.1m
g/kgのtetPSGL−1の投与で不変であった。ローリングの流量は、生
理食塩水処置動物に比較して、0.5mg/kgのtetPSGL−1を投与さ
れた動物において有意に上昇した(p<0.05)。(B)dimPSGL−1
は、基準の白血球ローリング速度に影響を与えないが、0.1および0.5mg
/kgのtetPSGL−1は、白血球ローリング速度を生理食塩水処置動物に
比較して、各々35および50%に減じた(p<0.05)。(C)0.5mg
/kgのtetPSGL−1の投与によって誘導される白血球ローリング流量お
よび速度の変化は、100μm当たりローリング白血球の数を7倍に増大する(
p<0.05)。(D)生理食塩水、dimPSGL−1、およびtetPSG
L−1の静脈内の壁剪断速度は、互いに有意に異ならず、白血球ローリング挙動
の変化は、静脈の血行力学における変化に起因しないことが示唆された。*は、
生理食塩水に比較して有意に異なる値(p<0.05)を示す。示される値は、
平均±SEである。
【0157】 図5は、LTCに曝露後の白血球ローリングにおいてのdimPSGL−1
およびtetPSGL−1の影響を示す。(A)LTCに曝露後に、白血球ロ
ーリング流量は、基準値に比較して、生理食塩水およびdimPSGL−1処置
動物において2〜3倍に増加した(p<0.05)。(B)LTCは、生理食
塩水およびtetPSGL−1処置動物において、基準値に比較して、約50%
減少した。しかし、dimPSGL−1は、白血球ローリング速度においてLT
誘導性の減少を破壊することに影響した。(C)LTCによって誘導され
る白血球ローリング流量および速度の変化は、100μm当たりローリング白血
球の数を約8倍に増大する(p<0.05)。100μm当たりローリング白血
球の数は、LTCを曝露後のdimPSGL−1処置動物において有意に増大
せず、これは、白血球ローリング流量におけるdimPSGL−1の影響に主に
起因する。(D)生理食塩水、dimPSGL−1、およびtetPSGL−1
の静脈内の壁剪断速度は、LTCに曝露後に減少するが、壁剪断速度の値は、
処置群の間で有意に異ならなかった。*は、コントロールと有意に異なる値(p
<0.05)を示す。示される値は、平均±SEである。
【0158】 図6は、LTCに曝露後の白血球接着においてのdimPSGL−1および
tetPSGL−1の影響を示す。白血球接着は、基底状態下で1WBC/10
0mm未満であることが観察され、処置群の間で不変であった。LTCに曝露
後に、白血球接着は、生理食塩水およびtetPSGL−1処置動物において、
100mmあたり有意に8個の白血球に増加した。dimPSGL−1の投与は
、LTC誘導性の白血球接着を60%減じた(p0.05)。*は、コントロ
ールに比較して有意に異なる値を示す。P−.05。♯は、LTCと有意に異
なる値(p<0.05)を示す。示される値は、平均±SEである。
【0159】 (等価物) 当業者は、ただの慣例的な実験を使用することによって、本明細書中に記載さ
れる本発明の特定の実施形態に対する多数の等価物を認識するかまたは確認し得
る。このような等価物は、上記の特許請求の範囲によって包含されることを意図
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、PSGL−1分子の構造の略図である。
【図2】 図2は、静脈閉塞に続く静脈壁の炎症に対する、dimPSGL−1(2量体
PSGL−1)およびtetPSGL−1(4量体PSGL−1)の効果を示し
たグラフである。
【図3】 図3は、基本条件下で白血球ローリングに対するdimPSGL−1およびt
etPSGL−1の効果を示したグラフである。
【図4】 図4は、LTCに曝露された後の白血球ローリングに対するdimPSGL
−1およびtetPSGL−1の効果を示したグラフである。
【図5】 図5は、LTCに曝露された後の白血球接着に対するdimPSGL−1お
よびtetPSGL−1の効果を示したグラフである。
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 16/00 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE ,DK,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD, GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,I S,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK ,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG, MK,MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,P T,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL ,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,UZ, VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 スカウブ, ロバート ジー. アメリカ合衆国 ニューハンプシャー 03076, ペルハム, ジェレミー ヒル ロード 118 (72)発明者 ハリス, アラン エス. アメリカ合衆国 マサチューセッツ 01810, アンドーバー, ハゲッツ ポ ンド ロード 197 Fターム(参考) 4C084 AA02 AA03 AA17 BA01 BA02 BA18 BA19 BA20 BA21 BA22 BA23 BA34 BA41 CA53 DA39 NA14 ZA542 ZC412 4H045 AA30 BA41 BA53 CA40 DA65 EA23

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被験体において、血栓症を処置または抑制する方法であって
    、該方法は、有効量のP−セレクチンアンタゴニストを含む組成物を投与する工
    程を包含する、方法。
  2. 【請求項2】 前記P−セレクチンアンタゴニストが、可溶性PSGL−1
    タンパク質またはP−セレクチンリガンド活性を有するそのフラグメントである
    、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記可溶性PSGL−1タンパク質が、ヒトPSGL−1で
    ある、請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記可溶性PSGL−1タンパク質が、組換えタンパク質で
    ある、請求項2に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記可溶性PSGL−1タンパク質が、免疫グロブリンのF
    cタンパク質を含む、請求項2に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記免疫グロブリンが、ヒトIgGである、請求項5に記
    載の方法。
  7. 【請求項7】 前記可溶性PSGL−1タンパク質が、組換えヒトPSGL
    −Ig融合タンパク質である、請求項2に記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記可溶性PSGL−1タンパク質が、P−セレクチンリガ
    ンド活性を有する、ヒトPSGL−1タンパク質の細胞外ドメイン、またはその
    フラグメントを有する、請求項2に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記フラグメントが、配列番号2におけるアミノ酸42から
    アミノ酸60までに示されるアミノ酸配列を含む、請求項8に記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記フラグメントが、配列番号2におけるアミノ酸42か
    らアミノ酸88までに示されるアミノ酸配列を含む、請求項8に記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記フラグメントが、配列番号2におけるアミノ酸42か
    らアミノ酸118までに示されるアミノ酸配列を含む、請求項8に記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記フラグメントが、配列番号2におけるアミノ酸42か
    らアミノ酸189までに示されるアミノ酸配列を含む、請求項8に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記フラグメントが、配列番号2におけるアミノ酸42か
    らアミノ酸310までに示されるアミノ酸配列を含む、請求項8に記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記可溶性PSGL−1タンパク質が、配列番号2におけ
    るアミノ酸42からアミノ酸88までに示されるアミノ酸配列を含み、該アミノ
    酸配列は、そのC末端で、免疫グロブリンのFc部分に融合する、請求項2に記
    載の方法。
  15. 【請求項15】 前記可溶性PSGL−1タンパク質が、免疫グロブリンの
    Fc部分をさらに含む、請求項8に記載の方法。
  16. 【請求項16】 前記被験体がヒトである、請求項1に記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記P−セレクチンアンタゴニストが、血栓形成の前に前
    記被験体に投与される、請求項1に記載の方法。
  18. 【請求項18】 前記可溶性PSGL−1タンパク質またはそのフラグメン
    トの有効量が、約0.1mg/kgと約10mg/kgとの間である、請求項2
    に記載の方法。
  19. 【請求項19】 前記可溶性PSGL−1タンパク質の有効量が、およそ1
    mg/kgである、請求項18に記載の方法。
  20. 【請求項20】 前記可溶性PSGL−1タンパク質の有効量が、0.1
    mg/kg、0.25mg/kg、0.5mg/kg、0.75mg/kg、1
    .0mg/kg、1.25mg/kg、1.5mg/kg、1.75mg/kg
    、2.0mg/kg、2.25mg/kg、2.5mg/kg、3.0mg/k
    g、および3.5mg/kgからなる群から選択される、請求項19に記載の方
    法。
  21. 【請求項21】 被験体において、血管に対する細胞接着を抑制する方法で
    あって、該方法は、有効量の可溶性PSGL−1タンパク質またはP−セレクチ
    ンリガンド活性を有するそのフラグメントを含む組成物を投与する含む、方法。
  22. 【請求項22】 前記細胞が、白血球および血小板からなる群から選択され
    る、請求項21に記載の方法。
  23. 【請求項23】 被験体において、血管に関係する細胞の移動を増加する方
    法であって、該方法は、有効量の可溶性PSGL−1タンパク質またはP−セレ
    クチンリガンド活性を有するそのフラグメントを含む組成物を投与する含む、方
    法。
  24. 【請求項24】 前記細胞が、白血球および血小板からなる群から選択され
    る、請求項23に記載の方法。
  25. 【請求項25】 被験体において、血栓誘導因子の効果を抑制する方法であ
    って、該方法は、有効量の可溶性PSGL−1タンパク質またはP−セレクチン
    リガンド活性を有するそのフラグメントを含む組成物を投与する含む、方法。
  26. 【請求項26】 前記細胞が、白血球および血小板からなる群から選択され
    る、請求項25に記載の方法。
  27. 【請求項27】 前記血栓誘導因子が、LTCである、請求項25に記載
    の方法。
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