JP2003525593A - コリネバクテリウム−グルタミカム遺伝子をコードするストレス、耐性および寛容性タンパク質 - Google Patents

コリネバクテリウム−グルタミカム遺伝子をコードするストレス、耐性および寛容性タンパク質

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Abstract

(57)【要約】 単離された核酸分子、指示されたSRT核酸であって、コリネバクテリウム−グルタミカム由来の新規SRTタンパク質をコードするものが記載されている。本発明は、アンチセンス核酸分子、SRT核酸分子を含む組み換え発現ベクター、および発現ベクターが導入される宿主細胞も提供する。本発明はさらに単離されたSRTタンパク質、突然変異させられたSRTタンパク質、融合タンパク質、抗原性ペプチド、およびC.グルタミカムからの、この生物のSRT遺伝子の遺伝子操作に基づく所望の化合物の製造を改善するための方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 [関連出願] 本願は、1999年6月25日出願米国仮出願第60/141031号明細書、199
9年6月1日出願米国仮出願第60/142692号明細書および1999年8月27日
出願米国仮出願第60/151214号明細書を優先権の基礎とするものである。更に本
願は1999年7月1日出願ドイツ特許出願第19930429.7号明細書、 1999
年7月8日出願ドイツ特許出願第19931413.6号明細書、1999年7月8日出願
ドイツ特許出願第19931457.8号明細書、1999年7月8日出願ドイツ特許出願
第19931541.8号明細書、1999年7月9日出願ドイツ特許出願第19932209.0出
願、1999年7月9日出願ドイツ特許出願第19932230.9号明細書、1999年
7月14日出願ドイツ特許出願第.19932914.1号明細書、1999年8月2日出
願ドイツ特許出願第19940764.9号明細書、および1999年8月31日出願ドイ
ツ特許出願第.19941382.7号明細書を優先権の基礎とする。上記出願の全内容は
、参考のため本明細書に全て組み込まれているものとする。
【0002】 [発明の背景] 細胞内の天然の代謝工程による産物および副産物は食品、飼料、化粧品および
医薬業を含む多種産業で用いられる。集合的に「ファインケミカル」と呼ばれる
これらの分子には、有機酸、タンパク質源および非タンパク質源のアミノ酸、核
酸、ヌクレオシド、脂質および脂肪酸、ジオール、炭水化物、芳香族化合物、ビ
タミン類、補助因子(コファクター)および酵素が含まれる。これらの生産は、
所望の分子を大量に生産および分泌させるために開発されたバクテリアの大規模
な培養により最も簡便に行われる。この目的における特に有用な生物の一種に、
グラム陽性、非病原性のバクテリアであるコリネバクテリウム−グルタミカム(
コリネバクテリウム−グルタミカム)がある。株(菌種)を選択することにより
、多数の変異株が開発されており、これらにより一連の所望の化合物が産生する
。しかしながら、特定分子生産のための改良された株の選択は時間のかかる困難
な作業である。
【0003】 [発明の要約] 本発明によると、新規バクテリア核酸分子が提供され、種々の用途に用いられ
る。用途の例としては、ファインケミカルを生産するために使用される微生物の
識別、C.グルタミカムまたは関連するバクテリアにおけるファインケミカル生
産調整、C.グルタミカムまたは関連するバクテリアの分類または識別、C.グ
ルタミカムゲノムマップ作成のための参照点としての使用、および形質転換の標
識としての使用が挙げられる。これらの新規核酸分子は、本明細書でストレス、
耐性、寛容性(SRT)タンパク質と呼ぶタンパク質をコードするものである。
【0004】 C.グルタミカムは、グラム陽性の好気性バクテリアであり、種々のファイン
ケミカルの大量生産を行う産業分野において、および炭化水素(例えば石油中)
の分解およびテルペイドの酸化に一般的に使用されている。本発明のSRT核酸
分子の発現の調節または同SRT核酸分子の配列の修飾は、微生物から得られる
1種類以上のファインケミカルの生産を調節するため(例えばコリネバクテリウ
ム(Corynebacterium)またはブレビバクテリウム(Brefibacterium)種からの1
種類以上のファインケミカルの終了または生産を向上させるため)に行われる。
【0005】 本発明のSRT核酸はコリネバクテリウム−グルタミカムまたはこれに密接に
関連する微生物を識別するため、または微生物の混合集団におけるC.グルタミ
カムまたはこれに密接に関連する微生物の存在を認識するために用いられる。本
発明は、多数のC.グルタミカム遺伝子の核酸の配列を提供するものであり、こ
の配列は、緊縮(ストリンジェント)条件下で、微生物の単独培養体または微生
物の混合集団培養体から抽出されたゲノムDNAを、C.グルタミカムに特有の
プローブ領域のスパニングにより検出し、目的の生物が存在するか否かを評価す
るものである。コリネバクテリウム−グルタミカム自体は非病原性であるが、ヒ
トにおける病原体種、例えばコリネバクテリウム−ジフテリア(ジフテリアの原
因物質)に関連する。従って、このような微生物の検出は重要な臨床関連性を有
する。
【0006】 本発明のSRT核酸分子は、C.グルタミカムのゲノムまたは関連する微生物
のゲノムの染色体地図作製の参照点としての作用も有する。
【0007】 同様に、これらの分子、これらの変異体または一部は、遺伝子工学的に得られ
たコリネバクテリウムまたはブレビバクテリウム種の標識としての作用も有する
【0008】 本発明の新規核酸分子によりコードされるSRTタンパク質は、例えばC.グ
ルタミカムを、この微生物にとって化学的または環境的に有害な条件下で耐えう
るようにすることが可能である。コリネバクテリウム−グルタミカムに用いられ
るクローニングベクターの有効性は、例えばSinskey等、米国特許第4,649,119号
、C.グルタミカムおよび関連のブレビバクテリウム種(例えばlactofermentum
)の遺伝的複製技術(例えばlactofermentum)(Yoshihama等著、J. Bacteriol. 16
2: 591-597(1985); Katsumata等著、J. Bacteriol. 159: 306-311 (1984); and
Santamaria等著、 J. Gen. Microbiol. 130: 2237-2246 (1984))に記載されてい
る。本発明の核酸分子は、この生物の遺伝子操作に用いられてもよく、これによ
り1種類以上のファインケミカルの生産が改良されるか、または更に効率的な製
造が行われる。これは、通常は生物の生長を阻止する環境下、例えば大規模な発
酵性生長の間に受けやすい条件下にいてもなお得られる、同タンパク質のC.グ
ルタミカムを生長および複製させる(および1種類以上のファインケミカルを連
続的に製造する)能力によるものである。例えば、熱ショック誘発プロテアーゼ
分子の過剰発現または活性最適化処理により、バクテリアを高温で刺激すると、
誤った折りたたみ構造のタンパク質を分解するバクテリアの能力を上昇させるこ
とが可能となる。誤った構造を有する(または誤調節または非機能性)タンパク
質が少なく、これらが細胞内の正常な反応機構を妨害することが少なければ、こ
の細胞は、培養体中で正常に機能する能力を向上させ、更に生存能力(生命維持
能力)が増大する。これにより、改善された生存能力と活性を有する培養体内の
細胞の数が全体的に増加すれば、1種類以上の所望のファインケミカルの収量、
生産および/または生産効率が向上する。これは、培養体中にこの様なファイン
ケミカルを生産する比較的多数の細胞が存在することに多少なりとも起因してい
る。
【0009】 本発明によると、C.グルタミカムに、化学的または環境的に有害な条件への
耐性付与可能なSRTタンパク質をコードする新規SRT核酸分子が提供される
。本明細書では、SRTタンパク質をコードしている核酸分子をSRT核酸分子
という。好ましい実施の形態において、SRTタンパク質は、C.グルタミカム
を化学的または環境的に有害な条件に耐えるようにする代謝経路に関与する。こ
の様なタンパク質の例は、表1に記載の遺伝子によりコードされるものを含む。
【0010】 本発明は更に、SRTタンパク質をまたはこのうちの生物学的に活性なタンパ
ク質をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子(例えばcDNA
、DNA、RNA)、およびSRTをコードする核酸(例えばDNAまたはmR
NA)の検出または増幅のためのプライマーまたはハイブリダイゼーションプロ
ーブとして適する核酸フラグメントを含む。特に好ましい実施の形態において、
単離された核酸分子は、配列表中の奇数のSEQ ID NOの配列(例えばSE
Q ID NO:1、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:7...)により示されるヌ
クレオチド配列のいずれか、またはこの様なヌクレオチド配列におけるコード領
域または相補性領域を含むものである。他の特に好ましい実施の形態では、本発
明の単離された核酸分子が、配列表中の奇数のSEQ ID NO(例えばSEQ
ID NO:1, SEQ ID NO:3, SEQ ID NO:5, SEQ ID NO:7...)として示されている
ヌクレオチド配列にハイブリダイズするか、もしくは少なくとも約50%、好ま
しくは少なくとも約60%、更に好ましくは少なくとも約70%、80%または
90%、および更に好ましくは約95%、96%、97%、98%、または99
%以上相同なヌクレオチド配列またはその一部を含む。好ましい実施の形態では
、単離された核酸分子が、偶数のSEQ ID NO(例えばSEQ ID NO:2, SEQ
ID NO:4, SEQ ID NO:6, SEQ ID NO:8...)に示されたアミノ酸配列のいずれか
をコードする。この好ましいSRTタンパク質は、本明細書に記載のSRT活性
の少なくとも1種類を有することが好ましい。
【0011】 他の実施の形態において、単離された核酸分子はタンパク質またはタンパク質
の一部をコードするが、この場合のタンパク質またはその一部には本発明のアミ
ノ酸配列(例えば配列表中の、偶数のSEQ ID NOの配列)に十分に相同
な、例えばタンパク質またはその一部がSRT活性を維持するに十分な程度に相
同なアミノ酸配列を含む。上述の核酸によりコードされたタンパク質またはその
一部は、化学的または環境的に有害な条件においてC.グルタミカムの存続能力
を向上する能力を維持していることが好ましい。好ましい実施の形態において、
核酸分子にコードされたタンパク質は、本発明のアミノ酸配列(例えば配列表中
の偶数のSEQ ID NOの配列から選択されるアミン酸配列全体)に対して
少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約60%、更に好ましくは少なくと
も約70%、80%または90%、および更に好ましくは約95%、96%、9
7%、98%または99%以上相同である。他の好ましい実施の形態においては
、このタンパク質は本発明のアミノ酸配全体に対して実質的に相同なC.グルタ
ミカムタンパク質全体である(配列表中の奇数のSEQ ID NOに対応する
オープンリーディングフレームによりコードされたもの(例えばSEQ ID
NO:1、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:5、SEQ ID
NO:7...)。
【0012】 他の好ましい実施の形態において、単離された核酸分子はC.グルタミカム由
来のものであり、本発明のアミノ酸配列(例えば配列表中の偶数のSEQ ID
NOのいずれかの配列)のいずれかに少なくとも約50%以上相同な生物学的
に活性なドメインを含むタンパク質(例えばSRT融合タンパク質)をコードし
、かつ化学的または環境的に有害な条件下におけるC.グルタミカムの生存を増
加させる(延長させる)能力を有するか、または表1に記載の1種類以上の活性
を有するものである。この場合の核酸分子は、非相同のポリペプチドまたは調節
領域をコードする非相同核酸配列も含まれる。
【0013】 他の実施形態において、単離された核酸分子の長さは少なくとも15ヌクレオ
チドであり、この核酸分子は本発明のヌクレオチド配列を含む核酸分子と緊縮条
件下でハイブリダイズする(例えば配列表中の奇数のSEQ ID NOの配列
)。単離された核酸分子は、天然に発生する核酸分子に対応するものであること
が好ましい。単離された核酸が、天然に発生するC.グルタミカムSRTタンパ
ク質またはその生物学的に活性な部分をコードしていると更に好ましい。
【0014】 更に、本発明はベクター、例えば本発明の核酸分子を含む組換え発現ベクター
、およびこの様なベクターが組み込まれた宿主細胞を含む。一実施の形態におい
ては、宿主細胞は、この様な宿主細胞を適当な培地で培養することによりSRT
タンパク質を製造するため用いられる。このように製造されたSRTタンパク質
は培地または宿主細胞から単離される。
【0015】 更に、本発明はSRT遺伝子が導入されているか、または変化している遺伝的
に変化した微生物を含むものである。一実施の形態では、この微生物のゲノムを
、野生型または変異型SRT配列をコードする本発明の核酸分子をトランス遺伝
子として導入することにより変化させておく。他の実施の形態では微生物のゲノ
ム中の内因性SRT遺伝子に対して、改変されたSRT遺伝子のとの相同組換え
により例えば機能的に混乱させる等の変性が行なわれる。他の実施の形態では、
微生物中の内因性または誘導されたSRT遺伝子が、1カ所以上の点変異、欠失
、逆位により変化しているにもかかわらず機能性SRTタンパク質をコードして
いる。更に他の実施の形態では、微生物のSRT遺伝子の1種類以上の領域(例
えばプロモーター、リプレッサー、インデューサー)がSRT遺伝子の発現が調
節されるように変化している(例えば欠失、切断、逆位、点変異による)。この
微生物がコリネバクテリウムまたはブレビバクテリウム属に属していると好まし
く、コリネバクテリウム−グルタミカムに属していると更に好ましい。好ましい
実施の形態では、この微生物を、所望の化合物、例えばアミノ酸、特にリジンの
製造に使用することが好ましい。
【0016】 更に、本発明は、コリネバクテリウム−ジフテリア(Corynebacterium diphter
iae)の存在または活性を認識する方法を提供するものである。この方法は、被検
体中の本発明の核酸またはアミノ酸分配列(例えば配列表中SEQ ID NO
.1〜304に示された配列)の1種類以上の検出を含み、これにより、被検体
中のコリネバクテリウム−ジフテリアの存在または活性が検出される。
【0017】 また、本発明は単離されたSRTタンパク質またはその一部、例えば生物学的
に活性な部分を含む。好ましい実施の形態においては単離されたSRTタンパク
質またはその一部は化学的または環境的に有害な条件に対するC.グルタミカム
の耐性を向上させる能力を有する。他の好ましい実施の形態では、単離されたS
RTタンパク質またはその一部が、本発明のアミノ酸配列は(例えば配列表中の
偶数のSEQ ID NOの配列)に対して、このタンパク質またはその一部が
、化学的または環境的に有害な条件下でC.グルタミカムの生存能力を向上させ
る能力を維持する程度に、十分に相同である。
【0018】 更に、本発明によると単離されたSRTタンパク質の製造法が提供される。好
ましい実施の形態では、SRTタンパク質が本発明のアミノ酸配列(例えば配列
表中の偶数のSEQ ID NOの配列)を含む。他の好ましい実施の形態にお
いて、本発明は、本発明の全アミノ酸配列(例えば配列表中の偶数のSEQ I
D NOの配列)(配列表中の奇数のSEQ ID NOに示されたオープンリ
ーディングフレームによりコードされている)に実質的に相同な、単離されたタ
ンパク質全体を含む。更に他の実施の形態では、タンパク質は、本発明のアミノ
酸配列(例えば配列表中の偶数のSEQ ID NOの配列)に対して少なくと
も50%、好ましくは少なくとも60%、更に好ましくは少なくとも70%、8
0%または90%、および更に好ましくは少なくとも約95%、96%、97%
、98%または99%以上相同である。他の好ましい実施の形態において、単離
されたSRTタンパク質は、本発明のアミノ酸配列(例えば配列表中の偶数のS
EQ ID NOのいずれかの配列)のいずれかに少なくとも約50%以上相同
アミノ酸配列であり、微生物に化学的または環境的に有害な条件下でのC.グル
タミカムの存在割合を増加させることができるか、または表1に記載の1種類以
上の活性を有するものである。
【0019】 更に、単離されたSRTタンパク質は、例えば緊縮条件下で配列表に記載され
た偶数のSEQ ID NOのいずれかのヌクレオチド配列にハイブリダイズす
るヌクレオチド配列によりコードされているか、または少なくとも約50%、好
ましくは少なくとも約60%、更に好ましくは約70%、80%、90%、更に
好ましくは少なくとも約95%、96%、97%、98%または99%以上相同
なヌクレオチド配列によりコードされたアミノ酸配列を含んでもよい。SRTタ
ンパク質は本明細書に記載の1種類以上のSRT生物学的活性を有するモノであ
ることが好ましい。
【0020】 SRTポリペプチド、またはこのペプチドの生物学的に活性な部分は、非SR
Tポリペプチドと協同的に結合して、融合タンパク質を形成する。好ましい実施
の形態では、融合タンパク質はSRTタンパク質単独の場合と異なる活性を有す
る。他の好ましい実施の形態では、この融合タンパク質により、C.グルタミカ
ム由来の所望のファインケミカルの収率、生産および/または生産効率が向上す
る。特に好ましい実施の形態では、この融合タンパク質を宿主細胞に導入するこ
とにより、細胞からの所望の化合物の生産が調節される。
【0021】 更に、本発明は、タンパク質自体、基質もしくはSRTタンパク質の結合対象
との相互作用により、または本発明のSRT核酸分子の転写または翻訳を調節す
ることにより、SRTタンパク質の活性を調節する分子をスクリーニングする方
法を提供する。
【0022】 更に本発明は、ファインケミカルの製造法を含む。この方法では、本発明のS
RT核酸分子の発現を支配するベクターを含む細胞を培養し、これによりファイ
ンケミカルを製造するものである。好ましい実施の形態によると、同製造法には
この様なベクターを含む細胞を得る工程が含まれ、この工程でSRT核酸の発現
を支配するベクターを細胞に移入する。他の好ましい実施の形態においては、こ
の方法は、培養体から得られたファインケミカルを回収する工程を更に含む。好
ましい実施の形態では、細胞がコリネバクテリウムまたはブレビバクテリウム種
由来であるか、表3に記載された株から選択されたものである。
【0023】 更に、本発明の方法は、微生物由来の分子の製造を調節する方法を含む。この
方法では、細胞をSRTタンパク質活性またはSRT核酸発現を調節する薬剤と
接触させて、細胞に関連する活性を、この薬剤を用いない場合の活性に対して変
化させる。この場合、細胞が1種類以上の毒性化学物質に対して耐性を有するか
、1種類以上の環境ストレスに耐性を示し、微生物による所望のファインケミカ
ルの収率または製造速度が向上することが好ましい。SRTタンパク質活性を調
節する薬剤としては、SRTタンパク質の活性またはSRT核酸の発現を刺激す
る薬剤が使用可能である。SRTタンパク質の活性またはSRT核酸の発現を刺
激する薬剤の例には小さい分子、活性SRTタンパク質、およびSRTタンパク
質をコードする細胞中に導入された核酸がある。SRT活性または発現を阻害す
る薬剤の例には、小さい分子、アンチセンスSRT核酸分子がある。
【0024】 更に本発明は、別のプラスミドに存在するか、または宿主細胞のゲノムに組み
込まれた、野生型もしくは変異型SRT遺伝子を導入して得られた細胞からの所
望の化合物の収率を調整する方法を含む。ゲノムに組み込まれる場合の導入はラ
ンダムであってもよい。また、天然の遺伝子が導入されたコピーにより代替され
るように相同な組換えを行うことも可能である。これにより、調節されるべき細
胞から所望の化合物が製造される。好ましい実施の形態においては、収率が上昇
する。特に好ましい実施の形態において得られるファインケミカルはアミノ酸で
ある。アミノ酸がL−リジンであると特に好ましい。
【0025】 [発明の詳細な説明] 本発明は、C.グルタミカムを化学的または環境的に有害な条件下に暴露した場
合に耐性を有する(生き残る)SRT核酸およびタンパク質分子を提供する。本
発明の分子は、微生物からのファインケミカルの製造調節に使用可能である。こ
れはSRTタンパク質が、大規模な発酵性培養において被りやすい毒性を有する
化学物質の存在下または有害な環境条件下でのC.グルタミカムの継続的な培養
(成長)および複製を行うための手段を有するものである。毒性ではなくとも、
不十分な条件下での成長速度を向上させるか、少なくとも通常の成長速度を維持
することにより、培養体におけるファインケミカルを製造する比較的多数の細胞
が得られ、これにより培養体からの1種類以上の化学物質の収率、製造および/
または製造効率を増加させることが可能となる。本発明について、以下に更に詳
細に説明する。
【0026】 [1.ファインケミカル] 「ファインケミカル」という用語は従来の認識どおり、生物から生産され、種
々の産業、例えば医薬、農業、化粧品産業(これらに限定されるものではない)
に用いられる分子を意味する。この様な化合物の例には、有機酸、例えば酒石酸
、イタコン酸、ジアミノピメリン酸、タンパク質原またはタンパク質原以外のア
ミノ酸、プリンおよびピリミジン塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチド(Kuninaka
, A.著、(1996) Nucleotides and related compounds, p. 561-612、(Biotechn
ology第6巻における論考、Rehm等著、VCH編、Weinheim、および同文献中に記載
された参考文献)、脂質、飽和および不飽和脂肪酸(例えばアラキドン酸)、ジ
オール(例えばプロパンジオールおよびブタンジオール)、炭水化物(例えばヒ
アルロン酸およびトレハロース)、芳香族化合物(例えば芳香族アミン、バニリ
ンおよびインジゴ)、ビタミン類および補助因子(Ullmann's Encyclopedia of
Industrial Chemistry, 第A27巻、“Vitamins”, p.443-613 (1996) VCH: Weinh
eimおよび同文献中に記載された参考文献、Ong, A.S., Niki, E. & Packer, L.
著、(1995) “Nutrition, Lipids, Health, and Disease “Proceedings of the
UNESCO/Confederation of Scientific and Technological Associations in Ma
laysia, and the Society for Free Radical Research-Asia(マレーシア、ペナ
ンにおいて1994年9月1〜3日に開催)、(1995))、 酵素、ポリケタイド(
Cane等 (1998) Science 282: 63-68)、およびGutcho (1983) Chemicals by Ferm
entation, Noyes Data Corporation, ISBN: 0818805086および同文献中に挙げら
れた参考文献中に記載されている他の全ての化学物質がある。これらのファイン
ケミカルの代謝および所定の使用法について以下に詳細に説明する。
【0027】 A.アミノ酸代謝および使用法 アミノ酸はあらゆるタンパク質の塩基性構造単位であるため、全生物の正常な
細胞機能に重要である。「アミノ酸」の用語は従来より公知である。タンパク質
源となるアミノ酸は20種類存在し、タンパク質の構造単位としての役割を有し
、ペプチド結合により結合する。一方、タンパク質原以外のアミノ酸(100種
類が公知である)がタンパク質内に一般的に見出される(Ulmann's Encyclopedi
a of Industrial Chemistry, 第A2巻、p. 57-97 VCH: Weinheim (1985)参照)。
アミノ酸−は、D−またはL−光学的立体配置を有し、天然に発生するタンパク
質には通常L−アミノ酸のみが存在する。20種類のタンパク質原アミノ酸の各
生合成および分解経路は、原核細胞および真核細胞(例えばStryer, L. Biochem
istry第3版、578-590頁、(1988)参照)の双方において顕著な特徴を有する。必
須アミノ酸(ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェ
ニルアラニン、スレオニン、トリプトファンおよびバリン)は、これらが通常、
複雑な生合成における栄養的必須成分であるためにこのように呼ばれるものであ
り、簡単な生合成経路により残りの11種類の「非必須」アミノ酸(ヒスチジン
、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニ
ン、トリプトファンおよびバリン)に変換される。高等動物は、これらのアミノ
酸の幾つかを合成する能力を保持するが、必須アミノ酸は食事から供給されなけ
ればならず、これにより、正常なタンパク質合成が起こる。
【0028】 タンパク質合成における機能は別に、これらのアミノ酸は、本来重要な化学物
質であり、多くは食品、飼料、化学、化粧品、農業、医薬の各業界で様々に使用
されている。リジンはヒトのみならず、単胃動物、例えば飼鳥類および豚におい
ても栄養的に重要である。グルタミン酸塩は最も一般的に使用される香味添加物
であり(グルタミン酸ソーダ、MSG)、アスパラギン酸塩、フェニルアラニン
、グリシンおよびシステインと同様に食品業界全体で広く使用されている。グリ
シン、L−メチオニンおよびトリプトファンは、化粧品業界で全て使用されてい
る。グルタミン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、アルギニン、
プロリン、セリンおよびアラニンは医薬品および化粧品業界の双方で使用されて
いる。スレオニン、トリプトファンおよびD/Lメチオニンは一般的な飼料添加
剤である(Leuchtenberger, W.著、(1996) Amino aids-technical production a
nd use, p. 466-502 (Rehm等著 (編) Biotechnology第6巻、第14a章, VCH: Wei
nheim)。更に、これらのアミノ酸は合成アミノ酸およびタンパク質合成の前駆
体、として使用されることがわかっている。この例にはN−アセチルシステイン
、S−カルボキシメチル−L−システイン、(S)−5−ヒドロキシトリプトフ
ァンおよび(Ulmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 第A2巻、p. 57
-97, VCH: Weinheim 1985)に記載の他の物質がある。
【0029】 生物、例えばバクテリアにより製造される天然のアミノ酸は顕著な特徴を有す
る(bacterial amion biosynthesis and regulation thereof, Umbarger, H. E.
著、(1978) Ann. Rev. Biochem. 47:533-606参照)。グルタミン酸塩は、クエン
酸回路の中間体であるα−ケトグルタル酸の還元的アミン化により合成される。
次いで、グルタミンからグルタミン、プロリン、アルギニンがそれぞれ製造され
る。セリンの生合成は、3−ホスホグリセレート(解糖の中間体)を出発物質と
して3工程から成り、酸化、アミノ基転移、および加水分解工程を経てこのアミ
ノ酸が得られる。システインおよびグリセリンの双方はセリンから生産され、前
者はホモシステインとセリンの縮合により、後者は側鎖β−炭素原子が、トラン
スヒドロキシメチラーゼにより触媒される反応において、テトラヒドロ葉酸塩に
伝達されることにより製造される。
【0030】 フェニルアラニンおよびチロシンは、プレフェネート合成後の最後の2工程の
みが異なる9工程の生合成経路において、解糖経路およびペントースリン酸経路
の前駆体、エリトロース4−リン酸およびホスホエノールピルビン酸から合成さ
れる。トリプトファンもこれらの2つの主要な分子から製造されるが、合成は1
1工程の経路によるものである。チロシンは、フェニルアラニンヒドロキシラー
ゼにより触媒される反応においてフェニルアラニンから合成可能である。アラニ
ン、バリンおよびロイシンは、全て、解糖の最終生成物であるピルビン酸の生合
成産物である。アスパラギン酸塩は、クエン酸回路の中間体であるオキサロ酢酸
から製造される。イソロイシンはスレオニンから生成する。複雑な9工程の経路
により、活性化された糖の5−ホスホリボシル−1−ピロリン酸からヒスチジン
が製造される。
【0031】 細胞のタンパク合成に必要な分を上回るアミノ酸は貯蔵されずに劣化し、細胞
の主要な代謝経路における中間体を提供する(Stryer, L. Biochemistry、第3
版、 21章、“Amino Acid Degradation and the Urea Cycle” p. 495-516 (198
8)参照)。細胞は不必要なアミノ酸を有用な代謝中間体に変換することができる
が、合成によるアミノ酸合成ではエネルギー、前駆物質分子および必要な酵素に
おいて高コストとなる。すなわち、アミノ酸生合成がフィードバック阻害により
調節されていることは驚くべきことではなく、特別なアミノ酸の存在により、製
造速度が低下したり、完全に停止する(アミノ酸生合成経路におけるフィードバ
ックメカニズムについてはUllman's Encyclopedia of Industrial Chemistry,
“Vitamins” 、第A27巻、p. 443-613, VCH: Weinheim, 1996を参照のこと)。
従って、特定のアミノ酸の放出は、そのアミノ酸の細胞内における存在量により
制御されている。
【0032】 B.ビタミン、補助因子、および機能性食品の代謝および使用法 ビタミン、補助因子、および機能性食品には他の種類の分子が含まれ、バクテ
リア等の生物はこれらを簡単に合成することができるが、高等動物はその合成能
力を失い、摂取する必要がある。これらの分子は、生物学的に活性な物質そのも
のであるか、または種々の代謝経路における電子の担体および中間体として作用
する。これらの化合物は栄養的な価値とは別に、着色剤、酸化防止剤、触媒また
は他の加工助剤としての重要な工業的価値を有する(これらの化合物の構造、活
性および工業的用途についは例えばUllmann's Encyclopedia of Industrial Che
mistry、第A27巻、“Vitamins”, p.443-613 (1996) を参照のこと)。「ビタミ
ン」という用語は従来より認識されているとおりであり、この物質は生物が通常
の機能を得るために必要であるが、生物自身は合成不能な栄養分を含む。ビタミ
ンは補助因子および機能性食品化合物を含む。補助因子(コファクター)という
用語は、通常必要な酵素活性を得るための非タンパク質原化合物を含む。このよ
うな化合物は、有機物でも、無機物でもよいが、本発明のコファクター分子は有
機物であると好ましい。「機能性食品化合物」という用語には動植物、特に動物
の健康に利益を与える補助食品が含まれる。この様な分子の例はビタミン、酸化
防止剤、および所定の脂質(例えば多価不飽和脂肪酸)である。
【0033】 これらの物質を製造することが可能な生物、例えばバクテリアにおけるこれら
の物質の生合成は、顕著な特徴を有する(Ullman's Encyclopedia of Industrial
Chemistry, “Vitamins” 第A27巻, p. 443-613, VCH: Weinheim, 1996; Micha
l, G. (1999) Biochemical Pathways: An Atlas of Biochemistry and Molecula
r Biology, John Wiley & Sons; Ong, A.S., Niki, E. & Packer, L.著、(1995)
“Nutrition, Lipids, Health, and Disease” Proceedings of the UNESCO/Co
nfederation of Scientific and Technological Associations in Malaysia, お
よびthe Society for Free Radical Research Asia(マレーシア、ペナンにお
いて1994年9月1〜3日に開催 )、AOCS Press: AOCS Press, Champaign,
IL X, 374 S)。
【0034】 チアミン(ビタミンB)は、ピリミジンとチアゾール部分の化学的結合によ
り製造される。リボフラビン(ビタミンB)は、グアノシン−5’−三リン酸
(GTP)およびリボース−5’−リン酸から合成される。リボフラビンはフラ
ビンモノヌクレオチド(FMN)およびフラビンアデニンジヌクレオチド(FA
D)の合成に使用される。集合的に「ビタミンB」と呼ばれる化合物のファミ
リー(例えばピリドキシン、ピリドキシアミン、ピリドオキサ−5’−リン酸、
および慣用の塩酸ピリドキシン)の全ては、一般的な構造単位である5−ヒドロ
キシ−6−メチルピリジンの誘導体である。パントテネート(パントテン酸、(
R)−(+)−N−(2,4−ジヒドロキシ−3,3−ジメチル−1−オキソブ
チル)−β−アラニン)は、化学合成または発酵のいずれかにより製造される。
パントテン酸生合成の最終工程は、β−アラニンとパントイン酸のATPにより
稼働する縮合である。パントイン酸またはアラニンへの変換、およびパントテン
酸への縮合における生合成工程にかかわる酵素は公知である。パントテン酸の代
謝活性形は補酵素Aであり、これを得るために、酵素による5工程の生合成が起
こる。パントテン酸、ピリドキサル−5’−リン酸、システインおよびATPは
補酵素Aの前駆体である。これらの酵素はパントタン酸の生成を触媒するのみで
はなく、(R)−パントン酸、(R)−パントラクトン、(R)−パンテノール
(プロビタミンB5)、パンテテイン(およびその誘導体)および補酵素Aも製
造する。
【0035】 微生物中の前駆体物分子、ピメロイル−CoAからのビオチン生合成は、詳細
に研究されており、関与する数種類の遺伝子が認識されている。対応のタンパク
質の多くが、Feクラスター合成に関与することわかっており、nifSタンパ
ク質のメンバーである。リポ酸は、オクタン酸から誘導され、エネルギー代謝の
補酵素として作用し、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体およびα−ケトグルタ
ル酸デヒドロゲナーゼ複合体の一部を構成している。葉酸塩(folate)は葉酸か
ら誘導された全ての誘導体から構成される物質であり、葉酸はL−グルタル酸、
p−アミノ安息香酸および6−メチルプテリンから誘導される。葉酸およびこの
誘導体の生合成は代謝中間産物であるグアノシン−5’−酸リン酸(GTP)、
L−グルタル酸およびp−アミノ安息香酸については特定の微生物において詳細
に研究されている。
【0036】 コリノイド(例えばコバラミンおよび特にビタミンB12)およびポルフィリ
ンは、テトラピロール環系により特徴づけられた化学物質の種類に属する。ビタ
ミンB12の生合成は、非常に未だ完全に特徴が把握されていない程複雑である
が、これに関連する酵素および物質が公知である。ニコチン酸(ニコチン酸塩)
およびニコチンアミドは、「ナイアシン」とも呼ばれるピリジン誘導体である。
ナイアシンは、重要な補酵素NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)
およびNADP(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)およびその還
元形態の前駆物質である。
【0037】 これらの化合物の大量生産は細胞を含まない化学合成に大きく依存している。
しかしながら、これらの化学物質の一部、例えばリボフラビン、ビタミンB
パントテン酸およびビオチン等は微生物の大規模培養によっても製造される。ビ
タミンB12は、合成が複雑なことから発酵によってのみ製造される。In vitro
の方法では、相当な材料と時間が必要であり、費用が嵩む場合も多い。
【0038】 C.プリン、ピリミジン、ヌクレオシドおよびヌクレオチドの代謝および使用法
プリンおよびピリミジン代謝遺伝子およびこれに対応するタンパク質は腫瘍によ
る疾病およびウイルス感染の治療法に用いられる重要な標的である。「プリン」
または「ピリミジン」という用語には、核酸、補酵素およびヌクレオチドの構成
単位である窒素含有塩基が含まれる。「ヌクレオチド」とは核酸分子の塩基性構
造単位であり、窒素含有塩基、五炭糖(RNAの場合の糖はリボースであり、D
NAの場合のD−デオキシリボースである)およびリン酸から構成される。「ヌ
クレオシド」はヌクレオチドの前駆体として作用し、ヌクレオチドが有するリン
酸部分を有さない分子である。これらの分子の生合成または核酸分子の代謝を阻
害することにより、RNAおよびDNAの合成を阻害することが可能である。例
えばガン細胞におけるこの様な活性が阻害されれば、ガン細胞の分裂と複製の能
力を阻害することが可能であると考えられている。更に、核酸分子を形成しない
が、エネルギー源(例えばAMP)または補酵素(例えばFADおよびNAD)
として作用するヌクレオチドが存在する。
【0039】 複数の文献に、プリンおよび/またはピリミジン代謝に影響を与えることによ
りこれらの医薬用化学物質を使用する方法が記載されている(例えば、Christop
herson, R.I.およびLyons, S.D. 著、(1990) “Potent inhibitors of de novo
pyrimidine and purine biosynthesis as chemotherapeutic agents.” Med. Re
s. Reviews 10: 505-548)。プリンおよびピリミジン代謝に関与する酵素の研究
では、例えば免疫抑制剤または抗増殖剤として使用される新しい薬剤の開発が主
に取り上げられている(Smith, J.L., (1995) “Enzymes in nucleotide synthes
is.” Curr. Opin. Struct. Biol. 5:752-757; (1995) Biochem Soc. Transact.
23: 877-902)。しかしながら、プリン、ピリミジン塩基、ヌクレオシドおよび
ヌクレオチドは、数種類のファインケミカルの生合成の中間体として(例えば、
チアミン、S−アデノシルメチオニン、葉酸またはリボフラビン)、または細胞
へのエネルギー担体(例えばATPまたはGTP)として、または調味料として
一般に使用される薬剤そのもの(例えばIMPまたはGMP)として、または複
数の医学的用途に(例えば、Kuninaka, A.著(1996) Nucleotides and Related C
ompounds in Biotechnology 第6巻, Rehm等編 VCH: Weinheim, p. 561-612)と
しての用途がある。更に、プリン、ピリミジン、ヌクレオシドおよびヌクレオチ
ド代謝に関与する酵素も標的として、これに対する農作物保護用の化学物質、例
えば殺菌剤、除草剤および殺虫剤の開発が進んでいる。
【0040】 バクテリアにおけるこれらの化合物の代謝は、顕著な特徴を有する(例えば、
Zalkin, H. およびDixon, J.E.著、 (1992) “de novo purine nucleotide bio
synthesis”(Progress in Nucleic Acid Research and Molecular Biology、第
42巻、Academic Pressにおける論考、p. 259-287;、Michal, G.著、(1999) “Nu
cleotides and Nucleosides”, 第8章(Biochemical Pathways: An Atlas of B
iochemistry and Molecular Biology, Wiley: New Yorkにおける論考)参照)。
プリン代謝は集中的な研究対象であり、細胞の正常な機能にとって重要なもので
ある。高等生物のプリン代謝が悪影響を受けると、痛風などの深刻な疾患が生ず
る。プリンヌクレオチドはリボース−5−リン酸から、中間体化合物イノシン−
5’−リン酸(IMP)から複数工程を経て、グアノシン−5’−一リン酸(G
MP)またはアデノシン−5’−一リン酸(AMP)が製造され、これらからヌ
クレオチドとして使用される三リン酸が迅速に生成する。これらの化合物はエネ
ルギー源としても利用される。三リン酸は分解されて細胞内の種々の生合成経路
にエネルギーをもたらすものである。
【0041】 ピリミジン生合成は、リボース−5−リン酸からのウリジン−5’−モノリン
酸(UMP)の生成により行われる。このUMPは、次いでシチジン−5’−三
リン酸(CTP)に変換される。これらの全てのヌクレオチドのデオキシ形態は
、ヌクレオチドの二リン酸リボースからヌクレオチドの二リン酸デオキシリボー
スへの一工程の還元反応により行われる。これらの分子は加リン酸反応において
DNA合成に関与することがある。
【0042】 D.トレハロースの代謝および使用法 トレハロースはα,α−1,1結合により結合する2個のグルコース分子から
構成される。トレハロースは食品産業において、甘味料、乾燥または冷凍食品に
おける添加剤、および飲料用に使用される。しかしながら、トレハロースには医
薬品、化粧品およびバイオテクノロジー業界での用途もある(例えばNishimoto
等、(1998) 米国特許第5,759,610号明細書、Singer, M.A. およびLindquist, S.
著、 (1998) Trends Biotech. 16: 460-467、Paiva, C.L.A. およびPanek, A.D.
著、(1996) Biotech. Ann. Rev. 2: 293-314、およびShiosaka, M.著、 (1997)
J. Japan 172: 97-102参照)。トレハロースは多種微生物から酵素により産生し
、周辺の媒体に自然に放出されるものであり、これを公知方法により回収する。
【0043】 [II.化学物質、環境ストレスおよび抗生物質からの障害に対する耐性] ファインケミカルの製造は、通常、この様な分子を産生して大量に放出するよ
うに開発されたバクテリアの大規模な培養により行われる。しかしながら、この
種の大規模な発酵では微生物を種々のストレスに曝すことになる。この様なスト
レスには環境ストレスと化学ストレスが含まれる。
【0044】 A.環境ストレスへの耐性 大規模な発酵培養系において通常考えられる環境ストレスの例には、機械的スト
レス、熱ストレス、酸素欠乏によるストレス、酸素ラジカルによるストレス、p
Hストレス、浸透圧ストレスがある。最大規模の発酵装置で用いられる培養体へ
の吸気のための攪拌機構は熱を発生するため、これにより培養体の温度が上昇す
る。温度上昇が起こると、顕著な熱ショック応答が誘発され、高温に暴露された
バクテリアが生命を維持するためのみならず、他の多数の環境ストレスに応答し
て生存数(または期間)を増加させるため、一連のタンパク質が発現する(Neid
hardt. F.C., 等編、(1996) 、E. coli and Salmonella. ASM Press: Washingto
n, D.C., p.1382-1399; Wosten, M.M. 等著、(1998) FEMS Microbiology Revi
ews 22(3): 127-50、 Bahl, H. 等著、(1995) FEMS Microbiology Reviews 17(3
): 341-348; Zimmerman, J.L.著、Cohill, P.R. (1991) New Biologist 3(7): 6
41-650; Samali, A.およびOrrenius, S.共著、(1998) Cell. Stress Chaperones
3(4): 228-236、およびこれらの文献中の参考文献参照)。バクテリアの熱ショ
ックの調節は、遺伝子発現の特異的σ因子および他の細胞のレギュレーターによ
り機能する(Hecker, M., Volker, U (1998). Molecular Microbiology 29(5):
1129-1136)。高温に暴露された細胞が受ける最大の問題の一つは、タンパク質
の折りたたみ構造に損傷を受けることである。発生期のタンパク質は高温環境下
で十分な運動エネルギーを受けるため、成長中のポリペプチド鎖は適切な折りた
たみを有するために十分な長さの安定な立体配置を保つことが困難である。従っ
て熱ショック応答の間に発現される主な2種類のタンパク質は、シャペロン(他
のタンパク質の折りたたみを手伝うタンパク質−例えばFink, A.L. (1999) Phys
iol. Rev. 79(2): 425-449参照)およびプロテアーゼ(不的確に折りたたまれた
タンパク質を破壊する)である。熱ショック応答の間に発現するシャペロンの例
はGroEL、DNAK 、熱ショックに対する細胞反応の間に発現されるとして公知のプ
ロテアーゼは、例えばLon、FtsH、およびClpBである。
【0045】 熱の他の環境ストレスがストレス応答を誘発することもある。発酵培養器の攪
拌工程は、培養体に酸素を導入する意味を有するが、特に培養体の成長が進み、
これにより培養体の酸素の必要量が増大した場合には酸素の供給量が限られ、不
十分な酸素の供給が微生物に対する他のストレスとなる。発酵培養体の細胞は、
特に培養体に栄養を添加した場合に多種の浸透圧ストレスを受け、これらの分子
の細胞外濃度が高く、細胞内濃度が低くなる。更に、これらの培養生物により製
造される大量の所望の分子はバクテリアに浸透圧ストレスを与えることになる。
また、C.グルタミカムにより行われているような有気性(エアロビック)代謝
により、排出物として二酸化炭素が得られている。この分子の分泌は、同分子の
カルボン酸への変換により培地を酸化させることがある。これにより、培養体中
のバクテリアが酸性pHストレスに暴露される。この逆も成り立ち、塩基性排出
物、例えばアンモニウムが培地に高レベルで存在する場合には、培養体中のバク
テリアが塩基性ストレスに曝される。
【0046】 この様な環境ストレスに対応するため、バクテリアは、上記熱ショック系のよ
うな1種類以上のストレスに暴露された時に発現する精密かつ簡潔な遺伝子シス
テムを有する。浸透圧ストレスに対して発現する遺伝子は、例えば適合する溶質
を移送または合成することが可能なタンパク質をコードし、特定分子の浸透圧性
取り込みと排出を管理可能な水準に低速化させる。ストレス誘発によるバクテリ
アタンパク質の他の例は、トレハロース生合成に関連するもの、ppGpp代謝
に関与する酵素をコードするもの、情報伝達に関与するもの、特に浸透圧に敏感
な二成分系をコードするもの、および多種ストレス因子に応答する転写因子をコ
ードするもの(RssB類似体および/またはσ因子)。この様な他の遺伝子お
よびこれらのタンパク質産物は従来より公知である。
【0047】 B.化学応答に対する耐性 環境ストレスとは別に、細胞は多種の化学ストレスを受け得る。これらは2つ
のカテゴリーに分類される。第一のカテゴリーは代謝と他の細胞の工程とにより
細胞から周辺媒体に放出される自然排出物である。第二のカテゴリーは細胞に由
来しない細胞外媒体(培地)に存在する化学物質である。一般に、細胞が、細胞
内の濃縮された細胞質から、これと比較して相当に希薄な細胞外媒体に毒性の排
出物を分泌する場合、これらの排出物は毒性化合物の細胞外レベルが極めて低く
なるように放散される。しかしながら、バクテリアの大量の発酵培養において、
このようなことは起こらず、比較的狭い環境中で多くのバクテリアが成長し、排
出物が培地中に毒性レベルでに堆積してしまうような速い速度で代謝が行われる
。この場合の排出物の例は二酸化炭素、金属イオン、活性酸素種、例えば過酸化
水素である。これらの化合物は細胞表面の分子の活性または構造と干渉したり、
細胞内に再び入り込むこともあり、タンパク質および核酸等に深刻な悪影響を与
えることがある。細胞の正常な機能に有害な他の化学物質が細胞外媒体において
天然に見出される場合もある。例えば、水銀、カドミウム、ニッケル、銅等の金
属イオンが水源で検出されることも少なくなく、細胞の酵素と強固な複合体を形
成してこれらのタンパク質の正常な機能を妨害する場合もある。
【0048】 C.抗生物質に対する耐性 研究者の関与により得られるか、または他の生物からの天然産物として得られ
た、殺バクテリア作用を有するタンパク質および抗生物質が細胞外環境に見出さ
れることがあり、拮抗的作用を得るために活用されている。微生物には抗微生物
化学物質から自らを保護するための多種の公知の機構が存在する。細胞に対して
有害な化合物の分解、修飾および取り込みは、通常の方法であり、これにより微
生物が抗生物質を排除または解毒する。細胞質の「エフラックス−ポンプ」は複
数種類の原核生物において公知であり、高等な真核生物由来のいわゆる「多剤耐
性(多数の薬剤に対する耐性)」を有するタンパク質と類似性を示す(Neyfakh,
A.A.等著、 (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 4781-4785)。この様なタ
ンパク質の例にはE.Coli由来のenrAB (Lomovskaya, O. およびK. Lewis著、(19
92) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 8938-8942)B.subtilis由来のlmrB、(Kuma
no, M. 等、(1997) Microbiology 143: 2775-2782)、S.aureus由来のsmr (Grini
us, L.G. et al. (1992) Plasmid 27: 119-129)、C.グルタミカム由来のcmr (
Kaidoh, K. 等、(1997) Micro. Drug Resist. 3:345-350)がある。C.グルタミ
カム自体は、他のコリネバクテリウム種、例えばC. ジフテリアまたは偽性結核
(C. pseudotuberculosis)と異なり病原性はない。複数種類の病原性コリネバ
クテリアが、多種抗体、例えばC. jeikeiumおよびC. urealyticumに対して複数
の耐性を有することが公知である(Soriano, F. 等著、(1995) Antimicrob. Age
nts Chemother. 39: 208-214)。
【0049】 リンコスアミド(lincosamide)は、コリネバクテリウム種に対する有効な抗体
として認識されている(Soriano, F. 等著 (1995) Antimicrob. Agents Chemoth
er. 39: 208-412)。本発明の予想外の結果には、リンコスアミド耐性タンパク
質をコードする遺伝子を同定したことがある(特にリンコマイシン耐性タンパク
質)。C.グルタミカム由来のLMRBタンパク質は、CLUSTALWプログラム、バージ
ョン1.7(Thompson, J.D., Higgins, D.G., Gibson, T.J. 著、(1994) Nucl.
Acids Res. 22: 4673-4680)により、標準パラメータ(ペアワイズアライメントパ
ラメータ:スロー/精密アライメント、ギャップ・オープン・ペナルティ = 10.0
0,ギャップ・エクステンション・ペナルティ = 0.10, タンパク質ウエイトマト
リックス = BLOSUM 30、DNAウエイトマトリックス = IUB, ファースト/通常
アライメント: ギャップ・ペナルティ= 3、K-tuple (word) サイズ = 1, トッ
プダイアゴナルNo.= 5, ウインドウサイズ= 5, トグルスロー/ファーストペ
アワイズアライメント=スロー。マルチプルアライメントパラメータ:ギャップ
・オープン・ペナルティ= 10.00、ギャップ・エクステンション・ペナルティ= 0
.05、ディレイ・ディヴァージェント配列 = 40%、DNAトランジション質量= 0.50
, タンパク質ウエイトマトリックス、DNAウエイトマトリックス= IUB, ユースネ
ガティブマトリックス= OFF)を用いて計算を行ったところ、B.subtilis由来のl
mrB(Genbank認証番号AL009126)の産物に40%相同であった。
【0050】 環境ストレス、化学ストレス、抗体ストレスまたは他の抗菌性ストレスは、発
酵培養における微生物の挙動に影響を与えることがあり、これらの生物からの所
望の化合物の製造に衝撃を与える可能性がある。例えば微生物の浸透圧ストレス
により、1種類以上の化合物の不適当な、または不適当に迅速な取り込みが生じ
、最終的には浸透圧ショックによる細胞の損傷または細胞死がもたらされる。同
様に、培養体中に存在する化学物質は、外的添加されたもの(例えば不要な微生
物を排除するための抗微生物化合物)またはバクテリアから産生されたもの(例
えば重金属または酸素ラジカル等の排出化合物または抗バクテリア化合物)のい
ずれかであり、ファインケミカル産生を阻害し、微生物の死をもたらすこともあ
る。本発明の遺伝子は、環境ストレスまたは化学ストレスの原因または効果を特
異的に打ち消すことにより細胞の損傷または死を回避する作用を有するC.グル
タミカムタンパク質をコードする。
【0051】 [III.本発明の要素および方法] 本発明は新規分子(SRT核酸およびタンパク質分子という)に基づくもので
あり、これによりC.グルタミカムが化学的または環境的に有害な条件下で生命
を維持する能力を向上させる。一実施の形態において、SRT分子はC.グルタ
ミカムに対する1種類以上の化学または環境ストレスに耐性を付与する機能を有
する。好ましい実施の形態では、本発明のSRT分子の活性はこの生物による所
望のファインケミカルの製造に影響をあたえる。特に好ましい実施の形態におい
て、C.グルタミカムからの1種類以上のファインケミカルの収率、製造および
/または製造効率が調節されるように、本発明のSRT分子の活性が調節される
【0052】 「SRTタンパク質」または「SRTポリペプチド」という表現は、C.グル
タミカムの1種類以上の環境ストレスまたは化学ストレスに対する耐性に関連す
るタンパク質を意味している。SRTタンパク質の例には、表1に記載されてい
るか、または奇数のSEQ ID NOにより示されているSRT遺伝子にコードされる
タンパク質を含む。「SRT遺伝子」または「SRT核酸配列」とは、SRTタ
ンパク質をコードする核酸配列と、対応の未翻訳5’および3’配列領域とから
成る。SRT遺伝子の例は表1に記載のものを含む。「製造」および「生産性」
とは従来より理解されているとおりであり、所定時間内に所定発酵量(例えば生
成物(kg)/時間/リットル)得られた発酵産物(例えば所望のファインケミ
カル)の濃度を含む。「製造効率」とは、所定量の生産が行われるために必要な
時間を意味する(例えば細胞がファインケミカルを所定の割合で産生するに至る
までの所用時間)。「収率(収量)」または「生成物(産物)/炭素収率」とは
、従来より理解されているとおりであり、炭素源が生成物(すなわちファインケ
ミカル)に変換される効率を意味する。これは通常、例えば生成物(kg)/炭
素源(kg)と表記される。化合物の収量または製造を増加させることにより、
所定時間に所定量の培養体から回収された分子または回収された分子のうちの有
用なものの量が増加する。「生合成」または「生合成経路」という表現は従来よ
り理解されているとおりであり、細胞による、中間体化合物からの、多工程(等
)の高度な制御(等)による、化合物、特に有機化合物の合成を意味する。「分
解」および「分解経路」とは従来より理解されているとおりであり、細胞による
、化合物、特に有機化合物の、多工程(等)の高度な制御(等)による、分解生
成物(一般には小さいまたは複雑さの低下した分子)への分解を意味する。「代
謝」とは、従来より理解されているとおりであり、生物中で起こる生体反応の全
体を意味する。所定化合物の代謝(例えばアグリシン等のアミノ酸の代謝)とは
、この化合物に関連する細胞内での相対的な全体的な生合成、修飾、および分解
経路を意味する。「耐性」および「寛容性」とは従来より理解されているとおり
であり、これらの生物の、通常では正常な機能に有害なはずの化学的および環境
的条件により影響を受けない、細胞の能力を意味する。「ストレス」および「有
害」とは、C.グルタミカム等の細胞の正常な機能に悪影響を与える要因を意味
する。ストレスの例には、細胞に悪影響を与える1種類以上の化学物質に細胞を
暴露した場合の「化学ストレス」、および細胞を適応できない環境条件に暴露し
た場合の「環境ストレス」が含まれる。化学ストレスは、天然の代謝排出物、例
えば活性酸素種または二酸化炭素(これらに限定されない)、環境に存在する化
学物質、例えば重金属イオンまたは抗生物質等の殺バクテリアタンパク質(これ
らに限定されない)である。環境ストレスは、通常の範囲以外の温度、最適以外
の酸素量、浸透圧または過剰なpH等(これらに限定されるものではない)によ
る。
【0053】 他の実施の形態において、本発明のSRT分子は、所望の分子、例えばファイ
ンケミカルのC.グルタミカム等の微生物中での産生を調節することが可能であ
る。遺伝子組換え技術により、本発明のSRTタンパク質の1個以上が、機能が
調節されるように操作される。細胞の1種類以上のストレスに対する寛容性が増
大するようにストレス応答、耐性、寛容性を有する遺伝子の活性を変化させるこ
とにより、大規模な発酵培養体の比較的ストレスの多い条件下で細胞を成長およ
び増幅する能力が上昇する。例えば、熱ショック誘発シャペロン分子の活性が最
適化されるように過剰発現または加工することにより、不適当な温度条件下でタ
ンパク質を正しく折りたたむバクテリアの能力を上昇させることができる。不適
切な折りたたみ(および調節の不具合または機能の不具合)が少なければ、細胞
は培養体中で正常に機能する能力を増大し、これに伴い生存能力が増大する。培
養体中でより大きな生存能力および活性を有する細胞の全体数が増加することに
より、培養体中で比較的多くの細胞がこれらの化学物質を産生するため、1種類
以上の所望の所望のファインケミカルの収率、製造および/または製造効率が増
大することになる。
【0054】 本発明の単離された核酸配列は、ATCC 13032として認識される、American Typ
e Culture Collectionにより市販されているコリネバクテリウム−グルタミカム
のゲノム内に含まれている。単離されたC.グルタミカムSRT DNAのヌク
レオチド配列が奇数のSEQ ID NOとして、C.グルタミカムSRTタンパク質に
おいて予想された(predicted)アミノ酸配列が偶数のSEQ ID NOとしてそれぞれ
示されている。
【0055】 コンピュータ分析を行い、上記ヌクレオチド配列を、化学および環境ストレス
、耐性および寛容性タンパク質をコードする配列として分類および/または同定
した。
【0056】 本発明は、本発明のアミノ酸配列に実質的に相同なアミノ酸配列(例えば配列
表中の偶数のSEQ ID NOによる配列)を有するタンパク質を含む。本明細書では
、選択されたアミノ酸配列に対して実質的に相同なアミノ酸配列を有するタンパ
ク質は、選択されたアミノ酸配列、例えば全体が選択されたアミノ酸配列に対し
て少なくとも50%相同である。選択されたアミノ酸配列に対して実質的に相同
なアミノ酸配列を有するタンパク質は、選択されたアミノ酸配列に対して少なく
とも約50〜60%、好ましくは少なくとも約60〜70%、更に好ましくは少
なくとも約70%〜80&、80%〜90%、または90%〜95%、および更
に好ましくは少なくとも約96%、97%、98%または99%以上相同である
。上記各値の中間値により示される値の範囲(例えば75%〜80%同一、85
〜87%同一、91〜92%同一)も本発明に含まれる。例えば、上限値および
/または下限値として記載された上述の値のいずれを組み合わせて値の範囲を構
成してもよい。
【0057】 本発明のSRTタンパク質または生物学的に活性なタンパク質またはそのフラ
グメントは、1種類以上の化学または環境ストレスに対して耐性または寛容性を
付与するか、表1に記載の1種類以上の活性を有する。
【0058】 本発明の詳細を更に以下に説明する。
【0059】 A.単離された核酸分子 本発明はSRTポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分をコードする単離
された核酸分子、SRTをコードする核酸(SRT DNA)の認識(同定)または増
幅のために用いられるハイブリダイゼーションプローブまたはプライマーとして
使用可能な核酸分子フラグメントを含む。本明細書では、「核酸分子」とはDN
A分子(例えばcDNAまたはゲノムDNA)およびRNA分子(例えばmRN
A)およびヌクレオチドの類似体を用いて生成したDNAおよびRNAの類似体
を含むものとする。この用語は、遺伝子のコード領域の3’および5’末端双方
に存在する未翻訳の配列、すなわち遺伝子のコード領域の5’末端から上流の少
なくとも約100ヌクレオチドの配列、および遺伝子のコード領域の3’末端か
ら下流の少なくとも約20ヌクレオチドの配列も含む。ヌクレオチド分子は1本
鎖または2本鎖であるが、2本鎖のDNAであることが好ましい。「単離された
」核酸分子は、核酸の天然源に存在する他の核酸分子から分離されたものである
。「単離された」核酸分子は、生物のゲノムDNAに由来し、天然にはこのゲノ
ムDNAの核酸の側方に位置する配列(すなわち5’末端および3’末端に配置
された配列)を有さないことが好ましい。例えば、種々の実施の形態において、
単離されたSRT核酸分子は、天然の状態では、この核酸が得られた細胞(例え
ばC.グルタミカム細胞)のゲノムDNAの側方に位置し、約5kb、4kb、
3kb、2kb、1kb、0.5kbまたは0.1kb未満の長さのヌクレオチ
ド配列から成る。更に、「単離された」核酸分子、例えばDNA分子は、他の細
胞材料、組換え技術により製造された場合に用いられた培地を含まず、また化学
的に合成された場合も化学的前駆体や他の化学物質を含まない。
【0060】 本発明の核酸分子、例えば配列表の奇数のSEQ ID NOのヌクレオチド配列を有
する核酸分子またはその一部は、標準的な分子生物学による技術により単離され
、その情報は本明細書に記載する。例えばC.グルタミカムSRT DNAは、配列表
の奇数のSEQ ID NO配列のいずれかの全体または一部と標準的なハイブリダイゼ
ーション技術を用いてC.グルタミカムライブラリから単離可能である。 (例えば、Sambrook, J., Fritsh, E.F., 、Maniatis, T. 共著、Molecular Clon
ing: A Laboratory Manual. 第2版., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold S
pring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989)。更に、本発
明の核酸配列のいずれか(例えば奇数のSEQ ID NO)の、全体または一部を含む
核酸分子を、この配列に基づき設計されたオリゴヌクレオチドプライマーを用い
たポリメラーゼ連鎖反応により単離する(例えば本発明の核酸配列のいずれか(
例えば奇数のSEQ ID NO)の、全体または一部を含む核酸分子は、同様の配列に
基づき設計されたオリゴヌクレオチドプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応
により単離可能である)。例えば、mRNAは、通常の内皮細胞から単離され(
例えばChirgwin 等著、 (1979) Biochemistry 18: 5294-5299に記載のグアニジ
ニウム−チオシアン酸抽出操作による)、DNAは逆転写酵素を用いて製造され
る(例えばGibco/BRL、Bethesda, MD製、Moloney MLV 逆転写酵素、または Seik
agaku America, Inc、AMV, St. Petersburg, FL製AMV、逆転写酵素)。ポリ
メラーゼ連鎖反応による増幅に用いられる合成オリゴヌクレオチドは配列表に記
載のいずれかのヌクレオチド配列に基づき設計される。本発明の核酸は、テンプ
レートとしてのcDNAまたはゲノムDNAと、標準的なPCR増幅技術におい
て適当とされるオリゴヌクレオチドプライマーを用いて増幅される。このように
増幅された核酸は、適当なベクターにクローンされ、DNA配列分析により特徴
付けが行われる。更に、SRT核酸配列に対応するオリゴヌクレオチドは、標準
的合成技術により、例えば自動DNA合成機器を用いて製造される。
【0061】 好ましい実施の形態において、本発明の単離された核酸分子は、配列表に記載
されたヌクレオチド配列のいずれかを含む。配列表に記載された本発明の核酸配
列は本発明のコリネバクテリウム−グルタミカムSRT DNAに相当する。こ
のDNAにはSRTタンパク質をコードする配列(すなわち配列表における奇数
のSEQ ID NOの配列に示されている「コード領域」)、並びに配列表の奇数のSEQ
ID NOの配列に示されている5’未翻訳配列および3’未翻訳配列を含む。また
、この核酸分子は、配列表の核酸配列のいずれかのコード領域のみを含むもので
あってもよい。
【0062】 本発明において、配列表に記載された全ての核酸およびアミノ酸配列には、「
RXA」、「RXN」または「RXS」の表示と、その後の5桁の数値とを含む
識別用のRXA、RXN、RXS番号が付けられている(例えば、RXA01524, RXN
00493, またはRXS01027)。各核酸配列は、3個までの部分、すなわち5’上流領
域、コード領域、下流領域を含む。これらの3領域は、混乱を防ぐため、それぞ
れ共通のRXA、RXN、RXS表示により識別される。「配列表の奇数の配列
のいずれか」という表現は、異なるRXA、RXN、RXS表示により認識可能
な、配列表中の核酸配列のいずれかであることを示している。各配列のコード領
域は、配列表に偶数のSEQ ID NOとして、対応する核酸配列のすぐ下に記載され
ている対応のアミノ酸配列に翻訳される。例えば、RXA01524のコード領域はSEQ
ID NO: 1に示され、これがコードするアミノ酸配列はSEQ ID NO: 2に記載されて
いる。本発明の核酸配列は、これらがコードするアミノ酸分子と同じRXA、RXN、
RXSの表示により示されており、相関性が容易に読みとれる。例えば、RXA01524
と表示したアミノ酸配列は、核酸分子RXA01524 のヌクレオチド配列のコード領
域を翻訳したものであり、RXN00034 と表示したアミノ酸配列は、核酸分子RXN00
034のヌクレオチド配列におけるコード領域を翻訳したものであり、更にRXS0056
8と表示したアミノ酸配列は、核酸分子RXS00568のヌクレオチド配列におけるコ
ード領域を翻訳して得られたものである。本発明のRXA、RXNおよびRXSによるヌ
クレオチド配列およびアミノ酸配列、並びにこれらの割り当てられたSEQ ID NO
との対応関係は表1に示されている。
【0063】 本発明における数種類の遺伝子は「F表示(指示)遺伝子(F-designated gen
es)」である。F表示遺伝子は、RXA、RXNまたはRXSの表示の前に「F
」を有し、表1に記載の遺伝子を含む。例えば表1に記載されているようにSEQ
ID NO: 7 は、「F RXA00498」というF表示遺伝子であり、SEQ ID NO:25、33、3
7もF表示遺伝子である(表1にそれぞれF RXA01345、F RXA02543、F RXA02282
と記載されている)。
【0064】 一実施の形態において、本発明の核酸分子は、表2に記載されたもものは含ま
なくてもよい。dapD遺伝子の配列はWehrmann, A.等著、(1998) J. Bacteriol. 1
80(12): 3159-3165により発表された。しかしながら、本発明者により得られた
配列は、上記文献により発表されたものよりもかなり長い。また上記文献に発表
された配列では、開始コドンが不正確であるために、実際のコード領域のみのフ
ラグメントが示されているものと考えられる。
【0065】 他の好ましい実施の形態では、本発明の単離された核酸分子は、本発明のヌク
レオチド配列(例えば配列表の奇数のSEQ ID NOの配列またはその一部)に相補
性を有する核酸分子を含む。本発明のヌクレオチド配列のいずれかに相補性な核
酸分子は、配列表に示されたヌクレオチド配列のいずれか(例えば配列表中奇数
のSEQ ID NOの配列)に対し十分な相補性を有し、これにハイブリダイズし、安
定な二本鎖を形成する。
【0066】 更に他の実施の形態では、本発明の単離された核酸分子は、少なくとも約50
%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、または60%、好ましく
は少なくとも61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、または70%、更
に好ましくは少なくとも約71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、ま
たは80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、または 90%、または
91%、92%、93%、94%、 更に好ましくは少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%以
上、本発明のヌクレオチド分子(配列表の奇数のSEQ ID NOの配列)またはその
一部に相同である。上記各値の中間値により示される値の範囲(例えば75%〜
80%同一、85〜87%同一、91〜92%同一)も本発明に含まれる。例え
ば、上限値および/または下限値として記載された上述の値のいずれを組み合わ
せて値の範囲としてもよい。更に他の好ましい実施の形態では、本発明の単離さ
れた核酸分子がハイブリダイズする、例えば緊縮条件下で、本発明の核酸分子ま
たはその一部のいずれかとハイブリダイズする、ヌクレオチド配列を含む。
【0067】 更に、本発明の核酸分子は、配列表の奇数のSEQ ID NOのいずれかの配列にお
けるコード領域の一部のみ、例えばプローブもしくはプライマー用フラグメント
、またはSRTタンパク質の生物学的に活性な部分をコードするフラグメントの
みから成ってもよい。C.グルタミカム由来のSRT遺伝子のクローニングによ
り決定されたヌクレオチド配列により、他種の細胞および生物に相同なSRTお
よび他のコリネバクテリアまたは関連種からのSRT類似体を認識および/また
はクローニングするための、プローブまたはプライマーの生成が行われる。プロ
ーブ/プライマーは通常、実質的に精製されたオリゴヌクレオチドを含む。この
オリゴヌクレオチドは、一般に、緊縮条件下で少なくとも約12、好ましくは約
25、更に好ましくは40、50または75の連続した、本発明のヌクレオチド
配列のいずれか(例えば配列表の奇数のSEQ ID NOのいずれかの配列)における
センス鎖ヌクレオチドとハイブリダイズするヌクレオチド配列部分、配列表のい
ずれかにおけるアンチセンス配列または天然に発生するこれらの変異体を含む。
本発明のヌクレオチド配列に基づくプライマーは、PCR反応に使用可能であり、
SRT相同体のクローンが行われる。SRTヌクレオチド配列に基づくプローブ
は、転写により得られた配列、または同配列または相同なタンパク質をコードす
るゲノム配列を検出する。好ましい実施の形態において、プローブは、更にラベ
ルグループを有している。ラジオグループの例は放射性同位体、紫外線化合物、
酵素、酵素補助因子である。この様なプローブは、例えば細胞サンプル中のSR
Tコード核酸のレベルを、例えばSRTmRNAレベルの検出またはゲノムSR
T遺伝子の変異または欠失を確認して測定することにより、SRTタンパク質の
誤発現を行う細胞を調べるための医療用テストキットの一部として使用される。
【0068】 一実施の形態において、本発明の核酸分子は本発明のアミノ酸配列(例えば配
列表の偶数のSEQ ID NOの配列)に、タンパク質またはその一部がC.グルタミ
カムの1種類以上の化学ストレスまたは環境ストレスに対する耐性または寛容性
を付与する能力を維持するために十分な程度に相同なアミノ酸配列によるタンパ
ク質またはタンパク質部分をコードする。本明細書における「十分に相同」とい
う表現は、本発明のアミノ酸配列と同一または等価(例えば配列表の偶数のSEQ
ID NOのいずれかの配列におけるアミノ酸残基と類似する側鎖を有するアミノ残
基)な最小数のアミノ酸残基を有するタンパク質またはタンパク質部分を有し、
このタンパク質またはタンパク質部分が1種類以上の化学ストレスまたは環境ス
トレスに対するC.グルタミカムの耐性に関与することが可能であることを意味
する。この様な代謝経路のタンパク質メンバーは、本明細書に記載のとおり、1
種類以上の環境的または化学的な悪影響またはストレスに対する耐性または寛容
性を向上させる機能を有する。「SRTタンパク質の機能」はC.グルタミカム
の正常な成長または機能を妨害する環境中の要素に対する総合的な耐性に関与し
、および/または1種類以上の化学物質の収率、製造および/または製造効率に
直接的または間接的に関与するものである。SRTタンパク質活性の例を表1に
記載する。
【0069】 他の実施の形態において、タンパク質は、本発明のアミノ酸の配列全体(例え
ば配列表の偶数のSEQ ID NOによる配列)に対して少なくとも約50-60%、好まし
くは約60-70%、更に好ましくは少なくとも約70-80%、80-90%、90-95%、および特
に好ましくは少なくとも約96%、97%、98%、99%以上相同である。上記各値の中間
値により示される値の範囲(例えば75%〜80%同一、85〜87%同一、9
1〜92%同一)も本発明に含まれる。例えば、上限値および/または下限値と
して記載された上述の値のいずれを組み合わせて値の範囲としてもよい。
【0070】 本発明のSRT核酸分子によりコードされたタンパク質部分は、SRTタンパ
ク質のいずれかにおける生物学的に活性な部分であることが好ましい。本明細書
中、「SRTタンパク質の生物学的に活性な部分」という表現は、1種類以上の
化学もしくは環境ストレスもしくは障害に対する耐性もしくは寛容性を付与する
ことが可能であり、または表1に記載の活性を有する部分、例えばSRTタンパ
ク質のドメイン/モチーフを含むものである。SRTタンパク質またはその生物
学的に活性な部分が1種類以上の化学または環境ストレスまたは悪影響に対する
耐性または寛容性を向上させることができるかどうかを判断するために、酵素活
性の評価を行う。この様な評価方法は、当業者に公知であり、その具体例は実施
例8に詳細に記載されている。
【0071】 SRTタンパク質の生物学的に活性な部分をコードしている他の核酸フラグメ
ントは、本発明のアミノ酸配列(例えば配列表の偶数のSEQ ID NO)のいずれか
の一部を単離することにより製造され、SRTタンパク質またはペプチドのコー
ドされた部分を発現し(例えばin vitroでの組換え発現による)、SRTタンパ
ク質またはペプチドのコードされた部分の活性を評価する。
【0072】 遺伝子コードの変化(ディジェネラシー)により本発明の核酸配列(例えば配
列表の奇数のSEQ ID NOの配列)(およびその一部)とは異なる配列を有し、本
発明の核酸配位列によりコードされていると同じSRTタンパク質をコードして
いる核酸分子を含む。他の実施の形態では、本発明の単離された核酸分子が配列
表に記載のアミノ酸配列(例えば偶数のSEQ ID NO)を有するタンパク質をコード
するヌクレオチド配列であると好ましい。更に他の実施の形態では、本発明の単
離された核酸分子は、本発明のアミノ酸配列に実質的に相同なC.グルタミカム
タンパク質の全体をコードする(例えば配列表中の奇数のSEQ ID NOに
示されたオープンリーディングフレームによりコードされている)。
【0073】 一実施の形態において、本発明の配列は、本発明より以前に得られた表2また
は4に記載のBenbank配列等は含まないことは当業者には明白である。一実施の
形態において、本発明は、従来技術による配列(例えば表2または4に記載のGe
nbank配列(またはこの配列によりコードされるタンパク質))よりも本発明の
ヌクレオチドまたはアミノ酸配列に同一な部分の割合が大きいヌクレオチド配列
およびアミノ酸配列を含む。例えば、本発明は、RXA00084という表示によるヌク
レオチド配列(SEQ ID NO: 189)に39%以上、RXA00605という表示によるヌク
レオチド配列(SEQ ID NO: 11)に56%以上、およびRXA00886という表示による
ヌクレオチド配列(SEQ ID NO: 39)に50%以上同一なヌクレオチド配列を含
む。当業者は、本発明の所定の配列に対する同一性の割合の下限は、この所定配
列についてヒットした表4に記載の上位3データからGAPにより計算された同
一性スコアを検討し、GAPにより計算された最高の同一割合の値(%)を10
0%から差し引くことにより、計算により求めることができる。このように計算
された下限値よりも同一な割合の高い核酸およびアミノ酸配列(例えば少なくと
も50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、または60%、好
ましくは少なくとも約61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、または
70%、更に好ましくは少なくとも約71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、
79%、または80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、または 90%
、または91%、92%、93%、94%、更に好ましくは少なくとも約95%、96%、97%、98%
、99%以上同一)が本発明に含まれることは、当業者には明白に理解される。
【0074】 奇数のSEQ ID NOとして配列表に記載されているC.グルタミカムSRT核酸
配列の他に、個体群(C.グルタミカム個体群)中にSRTタンパク質のアミノ
酸配列の変化を起こすDNA配列多形性(polymorphism)が存在し得ることも当
業者には理解される。SRT遺伝子におけるこの様な遺伝的多形性は、天然の変
異により存在することもある。本明細書で用いられる「遺伝子」および「組換え
遺伝子」という用語はSRTタンパク質、好ましくはC.グルタミカムSRTタ
ンパク質をコードするオープン・リーディング・フレームを含む核酸分子を意味
する。この様な天然の変異はSRT遺伝子のヌクレオチド配列において、通常は
1〜5%変動する。SRTにおける、上述のような、または他の全てのヌクレオ
チドの変動およびこれにより得られるアミノ酸の多形性は天然の変異の結果であ
り、SRTタンパク質の機能的活性を変化させるものではなく、本発明に含まれ
るものである。
【0075】 本発明のC.グルタミカムSRT DNAの天然の変異体およびおよび非−C
.グルタミカム相同体に対応する核酸分子は、C.グルタミカム、またはこれら
の一部に関して上述したC.グルタミカムSRT核酸に対する相同性に基づいて
、緊縮ハイブリダイゼーション条件下の標準的ハイブリダイゼーション技術によ
りハイブリダイゼーションプローブとして単離される。従って、他の実施の形態
では、本発明の単離された核酸分子は15以上のヌクレオチドから成り、配列表
の奇数のSEQ ID NOのヌクレオチド配列を含む核酸分子に対し、緊縮条件下でハ
イブリダイズする。他の実施の形態では、核酸分子は、少なくとも30、50、
100、または250以上のヌクレオチドを有する。「緊縮条件下でハイブリダ
イズする」とは、相互に60%以上相同なヌクレオチドが相互にハイブリッドし
た状態を保つ、ハイブリダイゼーションとウォッシングの条件を示している。こ
の条件は、少なくとも約65%、更に好ましくは少なくとも約70%、および更
に好ましくは少なくとも約75%以上相互に相同な配列が相互にハイブリッドし
た状態を保つ条件であることが好ましい。この様な緊縮条件は、当業者に公知で
あり、Ausubel 等著、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley &
Sons, N.Y. (1989), 6.3.1-6.3.6.に記載されている。緊縮ハイブリダイゼーシ
ョン条件の好ましい例(これに限定されない)は、6X塩化ナトリウム/クエン
酸ナトリウム(SSC)にて約45℃でハイブリダイズした後、0.2 X SSC、0.1
% SDS で、50〜65℃にて1回以上洗浄したことによるハイブリダイゼーションで
ある。緊縮条件下で本発明の核酸配列にハイブリダイズする本発明の単離された
核酸分子は、天然に発生する核酸分子に対応していることが好ましい。本明細書
で、「天然に発生する」核酸とは、天然に起こるヌクレオチド配列を有するRN
AまたはDNA分子(例えば天然のタンパク質をコードしている)を意味する。
一実施の形態において、本発明の核酸は天然のC.グルタミカムSRTタンパク
質をコードするものである。
【0076】 個体群中に存在する可能性のあるSRT配列の天然に発生する変異体の他に、
本発明のヌクレオチド配列に変異による変化が生じ、これからコードされたSR
Tタンパク質アミノ酸配列に変化が生じ、SRTタンパク質の機能上の能力には
変化が起こらないことも、当業者には理解される。例えば、「非必須」アミノ酸
残基におけるアミノ酸の置換を引き起こすヌクレオチドの置換は、本発明のヌク
レオチド配列中で起こり得る。「非必須」アミノ酸残基は、SRTタンパク質の
いずれかの野生型の配列(例えば配列表の偶数のSEQ ID NO)から変化が生じた
残基であり、SRTタンパク質の活性には変化のないものである。一方、「必須
」アミノ酸残基は、SRTタンパク質活性に必要なアミノ酸残基である。しかし
ながら、他のアミノ酸残基(例えばSRT活性を有するドメインで保存されてい
ないか、または半保存状態であるアミノ酸)は活性に必須でないこともあるため
、SRT活性に変化のない状態で変化を受けやすい。
【0077】 従って、更に本発明は、SRT活性に必須ではないアミノ酸残基中に変化を含
むSRTタンパク質を含む核酸分子を含むものである。この様なSRTタンパク
質のアミノ酸配列は、配列表の偶数のSEQ ID NOの配列とは異なるが、本明細書
中に記載した1種類以上のSRT活性を含むものである。一実施の形態において
、単離された核酸分子とは、本発明のアミノ酸配列に少なくとも50%相同なア
ミノ酸配列を含み、かつ1種類以上の環境または化学ストレスに対するC.グル
タミカムの耐性または寛容性を増大させるか、または表1に記載の1種類以上の
活性を向上させるタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。核酸分子に
コードされるタンパク質は、配列表の奇数のSEQ ID NOのいずれかのアミノ酸配
列に少なくとも約50〜60%、好ましくは少なくとも約60〜70%、更に好
ましくは約70〜80%、80〜90%、90〜95%、特に好ましくは少なく
とも約96%、97%、98%または99%相同なアミノ酸配列を有することが
好ましい。
【0078】 2種類のアミノ酸配列(例えば、本発明のアミノ酸配列のいずれかと、この変
異形)または2種類の核酸の相同な割合を測定するため、最適な比較が可能なよ
うに配列が決定される(一方のタンパク質または核酸と他方のタンパク質または
核酸との最適な位置(アライメント)を得るためにギャップを設けることができ
る)。アミノ酸残基または核酸との、対応するアミノ酸位置または核酸位置同士
を比較する。一方の配列の位置(例えば本発明のアミノ酸配列の一つ)に、他方
の配列(例えばアミノ酸配列の変異形)の対応する位置と同一のアミノ酸残基ま
たはヌクレオチドが存在する場合、この位置で分子は相同である(すなわち、本
発明ではアミノ酸または核酸の「相同性」は、アミノ酸または核酸の「同一性」
と等価である)。2つの配列の間の相同性の割合は、これらの配列間で同一な位
置の数の関数である(すなわち相同性(%)=同一位置の数/位置の総数×10
0)。
【0079】 本発明のタンパク質配列(例えば配列表の偶数のSEQ ID NOの配列)に相同な
SRTタンパク質をコードしている単離された核酸分子は、本発明のヌクレオチ
ド配列に1個以上のヌクレオチドの置換、付加または欠失が起こり、これにより
コードされたタンパク質の1個以上のアミノ酸の置換、付加、欠失が生ずること
により生成する。標準的方法、例えば特定部位の突然変異誘発およびPCR仲介突
然変異等により、本発明のいずれかのヌクレオチド配列の変異が生ずる。保存的
アミノ酸置換が1種類以上の予測された非必須アミノ酸残基上で起こる。「保存
的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基により
置換されることを意味する。類似する側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは
この分野で定義されている。これらのファミリーには塩基性側鎖を有するアミノ
酸(例えばリジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例
えばアスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸(例え
ばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、シス
テイン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えばアラニン、バリン、ロイシン、
イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、
β−分岐側鎖を有するアミノ酸(例えばスレオニン、バリン、イソロイシン)、
および芳香性側鎖を有するアミノ酸(例えばチロシン、フェニルアラニン、トリ
プトファン、ヒスチジン)が含まれる。SRTタンパク質中の予測された非必須
アミノ酸が同じ側鎖ファミリーに属する他のアミノ酸残基により代替されること
が好ましい。他の好ましい実施の形態においては、SRTコード配列の全てまた
は一部に対して、飽和変異生成(saturation mutagenesis)等によりランダムに変
異を導入することができる。得られた変異体の上記SRT活性をスクリーニング
し、変異体がSRT活性を保持していることを確認する。配列表の奇数のSEQ ID
NOのいずれかのヌクレオチド配列の変異生成により、これによりコードされた
タンパク質は組換えによる発現を行うため、このタンパク質の活性を、例えば本
明細書に記載の(具体例として実施例8を参照)評価法により評価する。
【0080】 上述のSRTタンパク質をコードする核酸分子の他に、本発明は、これに対し
てアンチセンスな、単離された核酸分子を含む。「アンチセンス」な核酸とは、
所定のタンパク質をコードする「センス」核酸に相補性を有するヌクレオチド配
列、例えば2本鎖DNA分子のコードストランドまたはmRNA配列に相補性を
有するヌクレオチド配列を意味する。従って、アンチセンス核酸はセンス核酸に
水素結合することができる。アンチセンス核酸は全SRTコードストランドに相
補性を有することも、その一部に相補性を有することも可能である。一実施の形
態において、アンチセンスヌクレオチド分子はSRTタンパク質をコードするヌ
クレオチド配列のコードストランドの「コード領域に」アンチセンスである。「
コード領域」とはアミノ酸残基に翻訳されるコドンを含むヌクレオチド配列の領
域を意味する(例えばSEQ ID NO.: 120(RXA00600)のコード領域はヌクレオチド
1〜1098を含む)。他の実施の形態において、アンチセンス核酸分子はSR
Tをコードするヌクレオチド配列のコード鎖(コードストランド)の「非コード
領域」にアンチセンスである。「非コード領域」とは、アミノ酸に翻訳されない
、コード領域の側方に存在する5’および3’配列を意味する(5’および3’
未翻訳領域ともいう)。
【0081】 本発明におけるSRTをコードするコード鎖(例えば配列表の奇数のSEQ ID N
Oに示された配列)として、本発明のアンチセンス核酸は、ワトソンとクリック
による塩基対のルールにより設計することができる。アンチセンス核酸分子は、
SRTmRNAの全コード領域に相補性を有してもよいが、SRTmRNAのコ
ード領域または非コード領域の一部のみにアンチセンスなオリゴヌクレオチドで
ると好ましい。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、SRTmRNAの
翻訳開始サイトを取り巻く領域に相補性を有することもある。アンチセンスオリ
ゴヌクレオチドは、例えば約5、10、15、20、25、30、35、40、45または50ヌ
クレオチド長とされる。本発明のアンチセンスヌクレオチドは、この分野で公知
の手法により化学合成および酵素的結紮反応により構成される。例えばアンチセ
ンス核酸(例えばアンチセンスオリゴヌクレオチド)は、天然に発生するヌクレ
オチドを用いて化学的に合成することができるが、分子の生物学的安定性を向上
させるため、もしくはアンチセンスとセンス核酸、例えばホスホロチオエート誘
導体とアクリジン置換ヌクレオチドとの間の2本鎖の物理的安定性を向上させる
ために設計された種々の修飾を有するヌクレオチドを使用してもよい。アンチセ
ンス核酸の生成に使用される修飾されたヌクレオチドの例は、5−フルオロウラ
シル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキ
サンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシメ
チル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−
カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β−D−ガラクト
シルキノシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン
、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−
メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、
7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメ
チル−2−チオウラシル、β−D−マンノシルキノシン、5´−メトキシカルボ
キシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペン
テニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン(wybuto
xosine)、プソイドウラシル、キノシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−
チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウ
ラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5
−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロ
ピル)ウラシル、(acp3)wおよび2,6−ジアミノプリンである。この他
、アンチセンス核酸は、所定の核酸を発現ベクターにアンチセンス方向にサブク
ローニングしたものを用いて生物学的に製造することもできる(すなわち、挿入
された核酸から転写されたRNAは、目的の核酸に対してアンチセンスな方向に
配置される。これについては以下に更に詳細に説明する。)。
【0082】 本発明のアンチセンスな核酸分子は、SRTタンパク質をコードする細胞のm
RNAおよび/またはゲノムDNAとハイブリッドまたは結合するように、一般
的には細胞に投入されるか、または現場で生成され、転写および/または翻訳を
阻害する等によりタンパク質の発現が阻害される。このハイブリダイゼーション
は、安定な2本鎖を形成する本来のヌクレオチドの相補性により行うことができ
るが、DNA2本鎖に結合するアンチセンス核酸分子の場合等には二重らせんに
結合する主溝での特異的相互作用により行ってもよい。アンチセンス分子は、所
定の細胞表面の受容体または同細胞表面で発現する抗原に特異的に結合するよう
に、細胞表面上の受容体または抗原と結合するペプチドまたは抗体と予め結合す
るなどして修飾される。抗原核酸分子を、例えばベクターを用いて細胞に導入す
ることも可能である。アンチセンス分子の十分な細胞内濃度を得るために、原核
細胞、ウイルスまたは真核細胞プロモータの強力な制御下にアンチセンス核酸分
子が配置されたベクター構成体が好ましく用いられる。
【0083】 他の実施の形態において、本発明のアンチセンス核酸分子として、α−アノマ
ー核酸分子が用いられる。α−アノマー核酸分子は、相補性RNAと特異的な2
本鎖ハイブリッドを形成する。この場合は通常のβユニットとは異なり、核スト
ランドが互いに平行に伸長する(Gaultier等著、(1987) Nucleic Acids. Res. 1
5: 6625-6641)。アンチセンス核酸分子は、2’−o−メチルリボヌクレオチド
(Inoue等著、(1987) Nucleic Acids Res. 15: 6131-6148)、またはキメラRNA-
DNA類似体(Inoue等著、(1987) FEBS Lett. 215: 327-330)を含んでもよい。
【0084】 他の実施の形態では、本発明のアンチセンス核酸がリボザイムであってもよい
。リボザイムは触媒活性を有するRNA分子であり、相補性領域を有する1本鎖
核酸、例えばmRNAを切断することが可能なリボヌクレアーゼ活性を有する。
リボザイム(例えばハンマーヘッドリボザイム(HaselhoffおよびGerlach著、 (
1988) Nature 334: 585-591に記載))を用いてSRTmRNAの転写体を触媒
的に切断し、SRTmRNAの翻訳を阻害することができる。SRTコード核酸
に対する特異性を有するリボザイムは、本明細書に記載のSRTcDNA(例え
ばSEQ ID NO: 119 (RXA00600)のヌクレオチド配列に基づき設計可能である。例
えばテトラヒメナL-19 IVS RNAは、活性部分のヌクレオチド配列がSRTコード
mRNAにおいて切断可能なヌクレオチド配列に対して相補性を有する構成とさ
れる。これについては例えばCech等、米国特許第4,987,071号、およびCech等、
米国特許第5,116,742号各明細書に記載されている。更に、SRTmRNAを用
いて、RNA分子のプール中の特異的リボヌクレアーゼ活性を有する触媒活性R
NAを選択することもできる。これについてはBartel, D.およびSzostak, J.W.
共著、(1993) Science 261: 1411-1418が参考となる。
【0085】 また、SRTヌクレオチド配列の調節領域(例えばSRTプロモーターおよび
/またはエンハンサー)に相補性を有するヌクレオチド配列を標的とすることに
よりSRT遺伝子の発現を阻害することができる。これについては、Helene, C.
(1991) Anticancer Drug Des. 6(6): 569-84; Helene, C. 等著、(1992) Ann.
N.Y. Acad. Sci. 660: 27-36、および Maher, L.J.等著(1992) Bioassays 14(12
): 807-15を参照されたい。
【0086】 B.組換え発現ベクターおよび宿主細胞 本発明は、更にSRTタンパク質(またはその一部)をコードする核酸を含むベ
クター、好ましくは発現ベクターを含む。ここで、「ベクター」とは、核酸分子
であって、この核酸分子が結合している他の核酸を運搬する能力のある分子を意
味する。ベクターの一例には「プラスミド」があるが、これは、他のDNA部分
を結紮することが可能な環状の2本鎖DNAループである。ベクターの他の例は
ウイルスベクターであり、このウイルスゲノムに他のDNAセグメントを結紮す
ることが可能である。所定のベクターを宿主細胞に導入すると、この宿主細胞に
おいて自律的な複製が可能とされる(例えば複製によるバクテリア由来のバクテ
リアベクターおよびエピソーム上の哺乳類ベクター)。他のベクター(例えばエ
ピソーム以外の哺乳類ベクター)を、宿主細胞に導入することにより宿主細胞の
ゲノムに導入し、宿主ゲノムと共に複製する。更に、ある種のベクターは、これ
が協同的に結合している遺伝子の発現を支配することが可能である。これらのベ
クターを、ここでは「発現ベクター」という。一般に、DNA組換え技術におい
て使用される発現技術はプラスミドの形態をとることが多い。本明細書において
は、「プラスミド」と「ベクター」は相互変換可能に用いられ、プラスミドがベ
クターの最も頻繁に使用される形態とされる。しかしながら、本発明は、同様の
機能を有する他の形態の発現ベクター、例えばウイルスベクター(例えば複製欠
陥レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)を含む。
【0087】 本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞中での発現に適する形態で核酸を含
む。組換え発現ベクターは、発現に使用される宿主細胞を基準に選択された1種
類以上の調節配列を含み、発現すべき核酸配列に協同的に結合されている。組換
え発現ベクターにおいて、「協同的に結合された」とは、ヌクレオチド配列の発
現が可能なように調節配列に(例えばin vitro転写/翻訳系で、または宿主細胞
にベクターが導入される場合は宿主細胞中で)結合されていることを意味する。
この「調節配列」とはプロモーター、エンハンサー、および他の発現調節要素(
例えばポリアデニル化シグナル)を含むものである。この様な調節配列について
は、例えばGoeddel; Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185
, Academic Press, San Diego, CA (1990)に記載されている。好ましい調節配列
は、例えばcos-, tac-, trp-, tet-, trp-tet-, lpp-, lac-, lpp-lac-, lacIq,
T7-, T5-, T3-, gal-, trc-, ara-, SP6-, arny, SPO2, λ-PR- または λ-PL
等のプロモーターであり、これらはバクテリアにおいて好ましく使用される。他
の調節配列の例は、ADC1、MFα、AC、P-60、CYC1、GAPDH、TEF、rp28、ADH等の
酵母および菌類由来のプロモーター、CaMV/35S、SSU、OCS、lib4、usp, STLS1,
B33等の植物由来のプロモーター、nosまたはユビキチン−およびファセオリン−
プロモーターである。人工のプロモーターを使用することも可能である。発現ベ
クターの設計は、形質転換すべき宿主細胞の選択等の要因、所望のタンパク質の
発現程度等により変化することは、当業者に理解されることである。本発明の発
現ベクターは宿主細胞に導入可能であり、これにより、核酸によりコードされた
融合タンパク質またはペプチドを含むタンパク質またはペプチド(例えばSRT タ
ンパク質、SRTタンパク質の変異形、融合タンパク質等)が製造される。
【0088】 本発明の組換え発現ベクターは、原核生物または真核生物の各細胞におけるS
RTタンパク質の発現を行うために設計される。例えばSRT遺伝子は、C.グ
ルタミカム等のバクテリア細胞、昆虫細胞(バキュロウイルス発現ベクター使用
による)、酵母および他の菌類の細胞(Romanos, M.A. 等著、(1992) “Foreign
gene expression in yeast: a review”, Yeast 8: 423-488; van den Hondel
、 C.A.M.J.J. 等著、(1991) “Heterologous gene expression in filamentous
fungi” (More Gene Manipulations in Fungiにおける論考、J.W. Bennet &
L.L. Lasure編、p. 396-428: Academic Press: San Diego, およびvan den Hond
el, C.A.M.J.J. & Punt, P.J. (1991) “Gene transfer systems and vector de
velopment for filamentous fungi(Applied Molecular Genetics of Fungiにお
ける論考)Peberdy J.F. 等編、p. 1-28, Cambridge University Press: Cambri
dge参照)、藻類および多細胞植物(Schmidt, R. 、Willmitzer, L.共著 (1988)
High efficiency Agrobacterium tumefaciens mediated transformation of A
rabidopsis thaliana leaf and cotyledon explants” Plant Cell ReP.: 583-5
86参照)、または哺乳類細胞において発現可能である。適する宿主細胞について
はGoeddel, Gene Expression Technology: Method in Enzymology185, Academic
Press, San Diego, CA (1990)に詳細な説明がある。更に、組換え発現ベクター
は、例えばT7プロモータ調節配列およびT7ポリメラーゼ等を用いることによ
り、in vitroで転写、翻訳することもできる。
【0089】 原核生物におけるタンパク質の発現は、融合タンパク質または非融合タンパク
質の発現を支配する構成性または誘導性プロモーターを含むベクターにより行わ
れるのが最も一般的である。融合ベクターは、コードされるタンパク質に対して
、通常は組換えタンパク質のアミノ末端に、多数のアミノ酸数を付加する。この
様な結合ベクターは3つの役割を果たす。すなわち、1)組換えタンパク質の発
現を増大させる、2)組換えタンパク質の溶解性を向上させる、および3)親和
精製におけるリガンドとして作用することにより組換えタンパク質の精製を補助
する。融合発現ベクターにおいて、融合部分と組換えタンパク質の結合部分に蛋
白分解切断部位を導入し、融合タンパク質の精製を行うことにより融合部分を組
換え部分から分離することを可能とすることも頻繁に行われている。この様な酵
素およびそのコグネイト認識部位の例には、Xa因子、トロンビンおよびエンテ
ロキナーゼがある。
【0090】 典型的な融合発現ベクターの例は、pGEX (Pharmacia Biotech Inc; Smith, D.
B.、Johnson, K.S.共著、(1988) Gene 67: 31-40)、pMAL (New England Biolabs
, Beverly, MA) およびpRIT5 (Pharmacia, Piscataway, NJ)であり、それぞれグ
ルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、マルトーゼE結合タンパク質、
タンパク質Aを組換えタンパク質に融合させる。一実施の形態において、SRT
タンパク質のコード配列はpGEX発現ベクターにクローンされ、N末端からC
末端に向かって、GST−トロンビン切断部位−Xタンパク質を順に含む、融合
タンパク質をコードするベクターが製造される。融合タンパク質は、グルタチオ
ン−アガロース樹脂を用いたアフィニティー・クロマトグラフィーにより精製さ
れる。GSTとの融合から除去された組換えSRTタンパク質は、融合タンパク
質の、トロンビンによる切断により回収される。
【0091】 適する誘導性非融合E.coli発現ベクターの例には、pTrc (Amann 等著、(1988)
Gene 69: 301-315) pLG338、 pACYC184、 pBR322、 pUC18、 pUC19、 pKC30、
pRep4、 pHS1、 pHS2、 pPLc236、 pMBL24、 pLG200、 pUR290、 pIN-III 113-B
1、λgt11、 pBdC1、およびpET11d (Studier等著、Gene Expression Technology
: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, California (1990
) 60-89、およびPouwels等編、 (1985) Cloning Vectors. Elsevier: New York
IBSN 0 444 904018)がある。pTrcベクターによる標的遺伝子の発現は、ハイブリ
ッドtrp-lac融合プロモーターからの宿主RNAポリメラーゼ転写により行われ
る。pET11dベクターによる標的の遺伝子の発現は、協同発現するウイルスRNA
ポリメラーゼ(T7 gnl)により仲介されたT7 gn10-lac融合プロモータによる転写
により行われる。このウイルスポリメラーゼは、lacUV5プロモータの転写支配下
にT7gn1遺伝子を含む定住λファージによる宿主株 BL21(DE3) またはHMS174(DE3
) から供給される。他の多種のバクテリアの形質転換には、適するベクターを選
択することが可能である。例えばプラスミドpIJ101、 pIJ364、 pIJ702 および
pIJ361はストレプトマイセスの形質転換に有効であることが公知であり、プラス
ミドpUB110、 pC194またはpBD214はバキュラス種の形質転換に適している。遺伝
情報をコリネバクテリウムに移送するために使用される数種類のプラスミドの例
はpHM1519、 pBL1、 pSA77 またはpAJ667 (Pouwels等編、(1985) Cloning Vecto
rs. Elsevier: New York IBSN 0 444 904018)である。
【0092】 組換えタンパク質の発現を最大限に行う1つの方法は、組換えタンパク質の蛋
白分解的切断を行う能力に欠陥を有する宿主バクテリア中でタンパク質を発現さ
せることである(Gottesman, S.著、Gene Expression Technology: Methods in E
nzymology 185, Academic Press, San Diego、California (1990) 119-128)。
他の方法は、発現ベクターに挿入されるべき核酸の核酸配列を変化させ、各アミ
ノ酸に対応するコドンの発現に用いられる所定のバクテリア、C.グルタミカム
で優先的に使用することである(Wada等、(1992) Nucleic Acids Res. 20: 2111
-2118)。この様な核酸配列の変更は、標準的なDNA合成技術により行われる。
【0093】 他の実施の形態においては、SRTタンパク質発現ベクターとして酵母発現ベ
クターが用いられる。酵母S. cerevisiaeにおける発現を行うベクターの例とし
ては、pYepSec1 (Baldari等、(1987) Embo J. 6: 229-234)、2μ、pAG-1、Yep6
、 Yep13、pEMBLYe23、pMFa(Kurjan、Herskowitz共著、(1982) Cell 30: 933-94
3)、pJRY88 (Schultz等著、(1987) Gene 54: 113-123),およびpYES2 (Invitroge
n Corporation, San Diego, CA)が挙げられる。繊維状細菌等の他の菌類に好ま
しく使用されるベクターを構成するために用いるベクターおよび方法については
、van den Hondel, C.A.M.J.J. & Punt, P.J. (1991) “Gene transfer systems
and vector development for filamentous fungi、(Applied Molecular Genet
ics of Fungi)J.F. Peberdy等編、p. 1-28, Cambridge University Press: Ca
mbridge、およびPouwels等編、(1985) Cloning Vectors. Elsevier: New York (
IBSN 0 444 904018)に詳細に記載されている。
【0094】 更に、本発明のSRTタンパク質は、バキュロウイルス発現ベクターを用いて
、昆虫細胞において発現する。培養された昆虫細胞(例えばSf9細胞)におけ
るタンパク質の発現が可能なバキュロウイルスベクターの例は、pAc系(Smith等
著、(1983) Mol. Cell. Biol. 3:2156-2165)およびpVL系(Lucklow およびSumm
ers著、(1989) Virology 170: 31-39)である。
【0095】 他の実施の形態において、本発明のSRTタンパク質は、単細胞植物細胞(例
えば藻類)または高等植物由来の植物細胞(例えば農作物等の種子植物)におい
て発現可能である。植物発現ベクターの例については、Becker, D., Kemper, E.
, Schell, J. およびMasterson, R.著、(1992) “New plant binary vectors wi
th selectable markers located proximal to the left border”, Plant Mol.
Biol. 20: 1195-1197、Bevan, M.W.著、(1984) “Binary Agrobacterium vector
s for plant transformation”, Nucl. Acid. Res. 12: 8711-8721に詳細に記載
されており、更にpLGV23、pGHlac+、pBIN19、pAK2004、およびpDH51 (Pouwels等
編、(1985) Cloning Vectors. Elsevier: New York IBSN 0 444 904018)が、例
として挙げられる。
【0096】 他の実施の形態では、本発明の核酸は、哺乳類発現ベクターを用いて哺乳類細
胞において発現される。哺乳類発現ベクターの例は、pCDM8 (Seed, B. (1987) N
ature 329:840) およびpMT2PC (Kaufman 等著、(EMBO J. 6: 187-195)である。
哺乳動物の細胞中で使用される場合の発現ベクターの制御機能は、ウイルスの調
節要素により提供されることが多い。例えば、通常使用されるプロモーターはポ
リオーマウイルス属、アデノウイルス2、サイトメガロウイルス、およびシミア
ンウイルス40由来のものである。原核細胞および真核細胞の双方における他の
適する発現システムについては、Sambrook, J., Fritsh, E.F.およびManiatis,
T.著、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第二版、第16 、17章、Cold
Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spri
ng Harbor, NY, 1989を参照されたい。
【0097】 他の実施の形態では、組換えによる哺乳類発現ベクターは、所定細胞種に選択
的な核酸の発現を支配することが可能である(例えば、この様な核酸の発現には
組織特異的調節要素が用いられる)。組織特異的調節要素はこの分野で公知であ
る。組織特異的プロモータの例としては、アルブミンプロモーター(肝臓特異的
: Pinkert等著、(1987) Genes Dev. 1: 268-277)、リンパ系特異的プロモータ
ー(Calame、Eaton共著、(1988) Adv. Immunol. 43: 235-275)、特にT細胞受容
体の特異的プロモーター(Winoto、Baltimore共著、(1989) EMBO J. 8: 729-733)
、免疫グロブリン(Banerji等著、(1983) Cell 33: 729-740、Queen、Baltimore
著、(1983) Cell 33: 741-748)、ニュウロン特異的プロモータ(例えばニュウロ
フィラメントプロモーター、ByrneおよびRuddle 著、(1989) PNAS 86: 5473-547
7)、膵臓特異的プロモーター(Edlund 等著、(1985) Science 230: 912- 916)、
乳腺特異的プロモータ(例えば乳漿プロモーター、米国特許第4,873,316号明細
書およびヨーロッパ特許出願公開第264,166号公報)が挙げられるが、これらに限
定されるものではない。発育中に調節されるプロモーターの例としては、ネズミ
(マウス)のホックスプロモーター(Kessel、Gruss著、(1990) Science 249: 37
4-379)およびα−フェトプロテインプロモーター(Campes、Tilghman 著、(1989)
Genes Dev. 3: 537-546)が挙げられる。
【0098】 本発明は、更に、発現ベクターにアンチセンス方向にクローニングされた本発
明のDNAベクターを含む組換え発現ベクターを提供するものである。すなわち
、DNA分子は、SRTmRNAにアンチセンスなRNA分子の(DNA分子の
転写による)発現が可能なように、調節配列に協同的に結合している。例えばア
ンチセンス方向にクローンされた核酸に協同的に結合する調節配列が選択され、
これが種々の細胞種におけるアンチセンスRNA分子の連続的な発現を支配する
。調節配列の例には、ウイルスプロモーターおよび/またはエンハンサーがある
。或いは、アンチセンスRNAの構成性の組織特異的または細胞種類に特異的な
発現を支配する調節配列を選択してもよい。アンチセンス発現ベクターは、アン
チセンス核酸を高効率の調節領域の支配下に産生する組換えプラスミド、ファー
ジミドまたは弱毒化ウイルスの形態であってもよい。この場合の活性はベクター
が導入された細胞の種類によって決定する。アンチセンス遺伝子の発現の調節に
関してはWeintraub, H.等、Antisense RNA as a molecular tool for genetic a
nalysis, Reviews Trends in Genetics, Vol. 1(1) 1986に詳述されている。
【0099】 更に、本発明は、本発明の組換え発現ベクターが導入された宿主細胞を含む。
「宿主細胞」および「組換え宿主細胞」の双方の表現は、本明細書では相互変換
可能である。これらの表現は、特定の細胞のみならず、次世代細胞および後世代
の細胞に発達する可能性のあるものに対しても用いる。変異または環境的な影響
のいずれかにより後の世代に修飾が起こる可能性があるため、この様な後の世代
は実際には親細胞とは同一ではないこともあるが、この場合も上述の表現に含ま
れるものとする。
【0100】 宿主細胞はいかなる原核細胞または真核細胞であってもよい。例えばSRTタ
ンパク質はC.グルタミカム等のバクテリア細胞、昆虫細胞、酵母または哺乳動
物細胞(例えばチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)またはCOS細胞)
で発現される。他の適当な宿主細胞は、当業者に公知のものである。従来の宿主
細胞として使用可能とされた、本発明の核酸およびタンパク質分子分子に用いら
れる、従来の宿主細胞として用いられていたコリネバクテリウム−グルタミカム
に関連する微生物を表3に記載する。
【0101】 慣用の形質転換または形質移入技術によりベクターDNAが原核細胞または真
核細胞に導入可能である。本明細書で、形質転換(トランスフォーメーション)
または形質移入(トランスフェクション)とは、外来核酸(例えば鎖状DNAま
たはRNA(例えば直鎖化ベクターまたはベクターを有さない遺伝子構成部分の
み)またはベクター状の核酸(例えばプラスミド、ファージ、ファスミド、ファ
ージミド、トランスポロンまたは他のDNA))を宿主細胞に導入する種々の公
知技術、例えばリン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共同沈降法、DEAE−
デキストラン仲介トランスフェクション、リポフェクション、またはエレクトロ
ポレーションを示す。宿主細胞の形質転換または形質移入についての適当な方法
は、Sambrook等著、(Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第二版、Cold
Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spri
ng Harbor, NY, 1989)、および他の研究マニュアルに記載されている。
【0102】 哺乳類細胞の安定な形質移入では、使用する発現ベクターと形質移入技術によ
り、細胞の小部分により外来DNAがゲノム中に統合されることもあることが公
知である。これらの構成要素全体を認識し選択するため、選択可能なマーカーを
コードする遺伝子(例えば抗生物質に対する耐性)を所望の遺伝子と共に宿主細
胞に導入する。適するマーカーの例には、薬剤に対して耐性を付与するもの、例
えばG418、ハイグロマイシン、メトトレキセートがある。選択可能なマーカ
ーをコードする核酸は、宿主細胞中の、SRTタンパク質をコードするベクター
と同一のベクターに導入可能であるが、他のベクターに導入することもできる。
導入された核酸により安定に形質移入された細胞は薬物の選択により認識される
(例えば選択可能なマーカー遺伝子が導入された細胞は維持され、他の細胞は死
滅する)。
【0103】 相同な組換え微生物を得るためには、欠失、付加、置換が導入されたSRT遺
伝子の少なくとも一部を含むベクターを製造し、これによりSRT遺伝子を、例
えば機能的な混乱等により変化させる。このSRT遺伝子はコリネバクテリウム
−グルタミカムSRT遺伝子であることが好ましいが、関連するバクテリアまた
は哺乳動物、酵母または昆虫に相同なものであってもよい。好ましい実施の形態
において、ベクターは相同な組換えの上、内因性SRT遺伝子が機能的に混乱す
るように設計されていることが好ましい(すなわち、機能的タンパク質をコード
しないように設計される。これは「ノックアウト」ベクターとも呼ばれる)。あ
るいは、相同な組換えの後、内因性SRT遺伝子が変異または変化しているが、
機能性タンパク質をコードしている状態を保つ(例えば上流の調節領域が変化し
、これにより内因性SRTタンパク質の発現を変化させる)ようにベクターを設
計することも可能である。相同な組換えベクターにおいて、SRT遺伝子の5’
および3’末端側方に付加的な核酸が配置し、改変部分が得られる。このベクタ
ーによりもたらされた外因性SRT遺伝子と微生物における内因性SRTの間で
相同組換えが可能とされる。この付加的に側方に位置するSRT核酸は十分な長
さを有し、外来遺伝子による十分に相同な組換えを可能としている。通常は、数
kbの側方配置DNA(5’末端および3’末端の双方において)がベクターに
含まれている(Thomas, K.R.およびCapecchi, M.R.共著、(1987) Cell 51: 503
for a description of homologous recombination vector)。ベクターが微生物
に導入され(例えばエレクトロポレーション)、導入されたSRT遺伝子と内因
性SRT遺伝子との組み合わせを有する細胞が公知技術により選択される。
【0104】 他の実施の形態においては、導入された遺伝子の調節された発現を可能とする
選択された系を有する組換え微生物が製造される。SRT遺伝子をベクター上に
、lacオペロンの支配下に導入することにより、IPTGが存在する場合のみSRT
遺伝子の発現を行うことが可能となる。この様な調節システムは従来技術より公
知である。
【0105】 他の実施の形態では、宿主細胞における内因性SRT遺伝子を、これから得ら
れたタンパク質産物が発現しないように混乱させる(相同組換えまたは従来技術
による他の遺伝子上の手段による)。他の実施の形態では、宿主細胞中の内因性
または導入されたSRT遺伝子が1カ所以上の点変異、欠失または逆位により変
化しているが、機能性SRTタンパク質をコードしている。更に他の実施の形態
では、微生物におけるSRT遺伝子の1カ所以上の調節領域(例えばプロモータ
ー、リプレッサー、またはインデューサー)が、SRT遺伝子の発現が調節され
るように変化させられている(例えば欠失、切断、逆位、点変異による)。当業
者にいると、1種類以上の上述のSRT遺伝子とタンパク質の修飾を有する宿主
細胞は、本発明の方法により簡単に製造され、これらも本発明に含まれるもので
あることが容易にわかる。
【0106】 本発明の宿細胞、例えば培養体における原核細胞または真核細胞を用い、SR
Tタンパク質を製造する(すなわち発現させる)ことができる。従って、本発明
は、更に本発明の宿主細胞を使用してSRTタンパク質を製造する方法を提供す
るものである。好ましい実施の形態において、この方法では、SRTタンパク質
が得られるまで本発明の細胞(SRTタンパク質をコードしている組換え発現ベ
クターが導入されているか、ゲノムが導入され、野生型または改変型SRTタン
パク質をコードしている細胞)を適する培地中で培養する。他の実施の形態にお
いて、本発明の方法では培地または宿主細胞からSRTタンパク質を単離する工
程を含んでいる。
【0107】 C.単離されたSRTタンパク質 本発明は、更に単離されたSRTタンパク質、およびその生物学的に活性な一
部を含む。「単離された」または「精製された」タンパク質またはその生物学的
に活性は部分は、組換えDNA技術で製造された場合に細胞質材料を実質的に含
まず、化学的に合成された場合には化学的前駆体または他の化学物質を実質的に
含まない。「細胞材料を実質的に含まない」とは、天然または組換え技術により
製造された、細胞における細胞成分から分離したSRTタンパク質の調製を意味
する。一実施の形態において、「細胞材料を実質的に含まない」とは、非SRT
タンパク質(「汚染タンパク質」(contamining protein)ともいう)を約30
%未満(乾重量で)、好ましくは約20%未満、更に好ましくは約10%未満、
特に好ましくは5%未満含むSRTタンパク質の調製を意味する。SRTタンパ
ク質またはこの生物学的に活性な部分が組換えにより製造可能である場合、培地
を実質的に含まないことが好ましい。すなわち培地がタンパク質製造の容量の2
0%未満、更に好ましくは約10%未満、特に好ましくは約5%未満であること
が好ましい。一実施の形態では、「化学的前駆体または他の化学物質を実質的に
含まない」という表現は、「約30%(乾重量)未満、好ましくは約20%未満
、更に好ましくは約10%未満、特に好ましくは約5%未満の化学的前駆体また
は非SRT化学物質を含むSRTタンパク質の調製を意味する。単離されたタン
パク質またはこの生物学的に活性な部分は、このSRTタンパク質が誘導された
と同じ生物からの汚染(源)タンパク質を含まないことが好ましい。一般に、こ
の様なタンパク質は、C.グルタミカム等の微生物におけるC.グルタミカムS
RTタンパク質等の組換え発現により製造される。
【0108】 本発明の単離されたSRTタンパク質またはその一部は、C.グルタミカムの
1種類以上の化学ストレスもしくは悪影響または環境ストレスもしくは悪影響に
対する耐性または寛容性を付与するか、または表1に記載の活性を有する。タン
パク質またはその一部は、本発明の配列(例えば配列表中の偶数のSEQ ID NOに
よる配列)に十分に相同なアミノ酸配列を含み、このタンパク質または上述の一
部が、C.グルタミカムの1種類以上の化学ストレスもしくは悪影響または環境
ストレスもしくは悪影響に対する耐性または寛容性を調節する能力を維持してい
ることが好ましい。タンパクの一部が、上述の生物学的な活性を有する部分であ
ると好ましい。他の好ましい実施の形態では、本発明のSRTタンパク質は、配
列表中の偶数のSEQ ID NOによるアミノ酸配列を有している。他の好ましい実施
の形態では、SRTタンパク質は本発明のヌクレオチド配列(例えば配列表中の
奇数のSEQ ID NOによる配列)とハイブリダイズする、例えば緊縮条件下でハイ
ブリダイズするヌクレオチド配列によりコードされている。更に他の好ましい実
施の形態では、SRTタンパク質は、本発明の核酸配列またはその一部に対して
、少なくとも約50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%または60%
、好ましくは少なくとも約61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、ま
たは70%、更に好ましくは少なくとも約71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78
%、79%、または80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%または90%
、91%、92%、93%、94%、特に好ましくは少なくとも約95%、96%、97%、 98%、99
%以上相同なヌクレオチド配列によりコードされているアミノ酸配列を有する。
上記各値の中間値により示される値の範囲(例えば70〜90%同一または80
〜95%同一)も本発明に含まれる。例えば、上限値および/または下限値とし
て記載された上述の値のいずれを組み合わせて値の範囲としてもよい。本発明の
SRTタンパク質は、本明細書に記載された少なくとも1種類のSRT活性を有
することが好ましい。例えば、本発明のSRTタンパク質は、本発明の核酸配列
に、ハイブリダイズする、例えば緊縮条件下でハイブリダイズするヌクレオチド
配列によりコードされたアミノ酸配列と実質的に相同であり、1種類以上の化学
ストレスもしくは悪影響または環境ストレスもしくは悪影響に対するC.グルタ
ミカムの耐性または寛容性を向上させるか、表1に記載の1種類以上の活性を有
することが好ましい。
【0109】 好ましい実施の形態では、SRTタンパク質は、上述の第I欄で詳細に記載し
たように、本発明のアミノ酸配列(例えば配列表中の偶数のSEQ ID NOによる配
列)と実質的に相同であり、天然の変化、変異生成によるアミノ酸配列が異なる
ものの、タンパク質の機能的活性を保持するものである。他の実施の形態では、
SRTタンパク質は、本発明のアミノ酸配列の全体に対して、少なくとも約50%
、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%または60%、好ましくは少なく
とも約61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、または70%、更に好まし
くは少なくとも約71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、または80%、
81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%または90%、91%、92%、93%、94
%、特に好ましくは少なくとも約95%、96%、97%、 98%、99%以上相同なアミノ酸
配列を含み、上述のSRT活性のいずれかを含むタンパク質である。上記各値の
中間値により示される値の範囲(例えば70〜90%同一または80〜95%同
一)も本発明に含まれる。例えば、上限値および/または下限値として記載され
た上述の値のいずれを組み合わせて値の範囲としてもよい。本発明は、本発明の
アミノ酸配列の全体に対して実質的に相同なC.グルタミカムタンパク質の全体
を含む。
【0110】 SRTタンパク質の生物学的に活性な部分は、SRTタンパク質のアミノ酸配
列から誘導されたアミノ酸配列(例えば配列表中の偶数のSEQ ID NOによるアミ
ノ酸配列)、またはSRTタンパク質に相同なタンパク質のアミノ酸配列から誘
導されたアミノ酸配列(SRTタンパク質に全体よりも少ないアミノ酸を含むか
、SRTタンパク質に相同なタンパク質全体を含む)を含み、SRTタンパク質
の少なくとも1種類の活性を示す。
【0111】 一般的に、生物学的に活性な部分(ペプチド、例えば5、10、15、20、30、35
、 36、37、38、39、40、50、100以上のアミノ酸長のペプチド)は、SRTタン
パク質の少なくとも1種類の活性を有するドメインまたはモチーフを含む。更に
、タンパク質の他の部分が欠失している、生物学的に活性な他のタンパク質を組
換え技術により製造し、本明細書に記載された1種類以上の活性についての評価
を行うことも可能である。SRTタンパク質の生物学的に活性な部分は、生物学
的活性を有する1種類以上の選択されたドメイン/モチーフまたはその一部であ
る。
【0112】 SRTタンパク質は、組換えDNA技術により製造されることが好ましい。例
えばタンパク質をコードしている核酸分子を発現ベクターにクローンし(上記参
照)、この発現ベクターを宿主細胞に導入し(上記参照)、このSRTタンパク
質を宿主細胞中で発現させる。SRTタンパク質は、標準的なタンパク質精製技
術を用いた適当な精製方法により細胞から単離される。組換え発現以外の方法で
は、標準的なペプチド合成法を用い、SRTタンパク質、ポリペプチド、または
ペプチドを化学的に合成する。更に、例えば本発明のSRTタンパク質またはそ
のフラグメントを用いて標準的な技術により製造された抗SRT抗体を使用して
未変性SRTタンパク質を細胞(例えば内皮細胞)から単離することができる。
【0113】 本発明は、更に、SRTキメラタンパク質または融合タンパク質を提供する。
ここで、SRT「キメラタンパク質」または「融合タンパク質」とは、非SRT
ポリペプチドに協同的に結合するSRTポリペプチドを含む。SRT「ポリペプ
チド」とはSRTに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドを意味し、「非
SRTポリペプチド」とはSRTタンパク質に実質的な相同性を有さないタンパ
ク質、例えばSRTタンパク質と異なり、同一または異なる生物から誘導された
タンパク質に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドを意味する。融合タン
パク質に関して、「協同的に結合した」とは、SRTポリペプチドと非SRTポ
リペプチドがインフレームで相互に融合していることを意味している。非SRT
ポリペプチドはSRTポリペプチドのC末端またはN末端に融合可能である。例
えば、融合タンパク質の例には、SRT配列がGST配列のC末端に結合したG
ST−SRT融合タンパク質がある。この様な融合タンパク質は、組換えSRT
タンパク質の精製に有効に用いられる。他の実施の形態では、融合タンパク質と
して、N末端に非相同のシグナル配列を含むSRTが用いられる。所定の宿主細
胞(例えば哺乳動物宿主細胞)では、SRTタンパク質の発現および/または分
泌は、非相同シグナル配列を使用することにより改善される。
【0114】 本発明のSRTキメラタンパク質または融合タンパク質は標準的組換えDNA
技術により製造される。例えば、異なるポリペプチド配列をコードしているDN
Aフラグメントは、慣用の技術により相互に結紮される。例えば、結紮に平滑末
端または付着末端を用いた処理、好ましい末端を得るための制限酵素による消化
、適当な粘着末端を得るための充填、不適当な結合を回避するためのアルカリホ
スファターゼ処理、および酵素による結紮により行われることが好ましい。他の
実施の形態では、融合遺伝子は自動DNA合成機の使用等による慣用の技術によ
り合成される。この他の場合には、2本の平行する遺伝子フラグメントの間に相
補的オーバーハングを生じさせるアンカープライマーを用いて遺伝子フラグメン
トのPCR増幅を行う。この場合の2本の遺伝子フラグメントは、後にアニーリ
ングし、再増幅してキメラ遺伝子配列を生成する(例えば、Molecular Biology
、Ausubel等編、John Wiley & Sons: 1992)。更に、予め融合部分をコードして
いる多種の発現ベクターが市販されている(例えばGSTポリペプチド)。SR
Tをコードしている核酸は、上述のような発現ベクターに、融合部分がSRTタ
ンパク質に対してインフレームに結合するようにクローンされる。
【0115】 SRTタンパク質の相同体は変異生成、例えばSRTタンパク質の散在点変異
または切断により生成する。本明細書では、「相同体」という用語は、SRTタ
ンパク質活性のアゴニストまたはアンタゴニストとして作用するSRTタンパク
質の変異形を意味する。SRTタンパク質のアゴニストは、SRTタンパク質と
同等の生物学的活性またはサブセットを維持することができる。SRTタンパク
質のアンタゴニストは、SRTタンパク質を含むSRTシステムの下流または上
流メンバーに競争的に結合することにより、SRTタンパク質の天然に発生する
形態での1種類以上の活性を阻害することができる。従って、本発明のC.グル
タミカムSRTタンパク質およびその相同体は、1種類以上の化学的ストレスま
たは環境ストレスに対するC.グルタミカムの耐性または寛容性を向上させるこ
とができる。
【0116】 他の実施の形態において、SRTタンパク質の相同体は、SRTタンパク質ア
ゴニストまたはアンタゴニスト活性を得るための、SRTタンパク質の変異体、
例えば切断による変異体の組合わせライブラリーをスクリーニングすることによ
り同定される。一実施の形態において、SRT変異体の異形ライブラリは、核酸
レベルでの組合わせ変異生成により得られ、異形遺伝子ライブラリによりコード
される。SRT変異体の異形ライブラリは、例えば合成オリゴヌクレオチドの混
合物を遺伝子配列中に、SRT配列を構成する可能性のある一連の変性体が個々
のポリペプチドとして、或いは一連のSRT配列を含む大きな融合タンパク質(
例えばファージディスプレー)として発現可能であるように、酵素的結紮により
製造される。分解されたオリゴヌクレオチド配列からSRT相同体を構成する可
能性のあるライブラリーを形成するためは、種々の方法が使用される。分解した
遺伝子配列の化学的合成は、自動DNA合成機中で行われ、合成された遺伝子は
適当な発現ベクターに結紮させられる。分解された遺伝子をセットとして使用す
ることにより、SRT配列を構成する可能性のある所望のセットをコードする全
ての配列が混合物として提供される。分解されたオリゴヌクレオチドを合成する
方法は従来技術により公知である(例えばNarang, S.A. 著、(1983) Tetrahedro
n 39: 3、Itakura等著、(1984) Annu. Rev. Biochem. 53: 323、Itakura 等著、
(1984) Science 198: 1056、Ike等著、(1983) Nucleic Acid Res. 11: 477)。
【0117】 更に、SRTタンパク質コードのフラグメントライブラリを用いて、SRTタ
ンパク質の相同体のスクリーニングと選択を行う、SRTフラグメントの異形個
体群を製造することが可能である。他の実施の形態では、コード配列フラグメン
トのライブラリーは、以下の方法で得られる。すなわち、SRTコード配列の2
本鎖PCRフラグメントを、分子ごとに約1回だけニッキングが起こる条件下で
、ヌクレア―ゼで処理し、2本鎖DNAを変性させ、異なるニッキングを起こし
た産物からセンス/アンチセンス対を含むDNAが2本鎖DNAを形成するよう
に復元し、再形成された2本鎖から、S1ヌクレアーゼでの処理により1本鎖タ
ンパク質を除去し、得られたフラグメントライブラリを発現ベクターに結紮する
。この方法により、発現ライブラリーは、種々の大きさSRTタンパク質のN末
端、C末端および内部フラグメントをコードする発現ライブラリーが得られる。
【0118】 点変異または切断により得られた組合わせライブラリの遺伝子産物をスクリー
ニングし、所定の性質を有する遺伝子産物のcDNAライブラリのスクリーニン
グを行うための複数の技術が公知である。この様な技術はSRT相同体の組合わ
せ変異生成により得られた遺伝子ライブラリの迅速なスクリーニングに用いられ
る。この最も広く用いられている方法は、大きな遺伝子ライブラリのスクリーニ
ングを行うための高速処理分析に用いられる。この方法では、一般に、遺伝子ラ
イブラリを複製可能な発現ベクターにクローニングし、適当な細胞を形質転換し
てベクターのライブラリーを得、所望の機能の検出により遺伝子をコードするベ
クターが単離され、遺伝子からの産物が検出される条件下で、組換え遺伝子を発
現させる。ライブラリにおける帰納的変異体の発生率を向上させる新しい技術、
すなわち帰納的集合変異生成(REM: recursive ensemble mutagenesis)を、SR
T相同体を同定するためのスクリーニング法と組み合わせて用いることができる
(Arkin、Yourvan共著 (1992) PNAS 89: 7811-7815、Delgrave等著、(1993) Pro
tein Engineering 6(3): 327-331)。
【0119】 他の実施の形態では、細胞を基準とする分析が行われ、公知方法を用いて異形
SRTライブラリを分析することができる。
【0120】 D.本発明の方法および使用法 本明細書に記載されている核酸分子、タンパク質、タンパク質相同体、相同タン
パク質、プライマー、ベクター、および宿主細胞は、以下温1種類以上の方法に
より用いられる。すなわち、C.グルタミカムおよび関連する生物の同定(認識
)、C.グルタミカムに関連する生物のマップ作成、所望のC.グルタミカムの
同定および存在位置の確認、進化の研究、機能を得るために必要なSRTタンパ
ク質領域の決定、SRTタンパク質活性の調節、SRT経路の活性調整、所望の
化合物、例えばファインケミカルの細胞による産生の調節において用いられる。
【0121】 本発明のSRT核酸分子は種々の用途を有する。まず、同分子はコリネバクテ
リウム−グルタミカムまたはこれに密接に関連する生物を同定するために使用さ
れる。更に、SRT核酸分子は、微生物の混合個体群におけるC.グルタミカム
またはこれに密接に関連する生物の存在を認識するために使用される。更に、本
発明は、微生物の単独種類の個体群または混合個体群の培養体中の抽出されたゲ
ノムDNAを、緊縮条件下で、C.グルタミカム遺伝子特有の領域をスパニング
するプローブを用いて調べることにより、この生物の存在を確認する。
【0122】 コリネバクテリウム−グルタミカム自体には病原性はないが、コリネバクテリ
ウム−ジフテリア等の病原性種に関連を有する。コリネバクテリウム−ジフテリ
アはジフテリアの原因物質であり、急速に成長し、局所的および全身性病状の双
方に関連する急性かつ熱性の感染を起こす。この疾病では、局所的障害が上部気
道におよび壊死性損傷を内皮細胞まで到達させ、桿菌がトキシンを分泌し、障害
が体の遠位の敏感な組織まで広がる。これらの組織、例えば心臓、筋肉、末梢神
経、副腎、腎臓、肝臓および脾臓におけるタンパク質合成の阻害により変形性変
化が生じ、この結果、疾病の全身性病状が示されるようになる。世界の多くの地
域、例えばアフリカ、アジア、東ヨーロッパおよび旧ソビエト連邦から独立した
国々において、ジフテリアは高発生率を示している。最後に挙げた2つの地域で
続くジフテリアの流行により、1990年以来5000人の死亡者が出る結果と
なった。
【0123】 一実施の形態において、本発明によると、被検体(被検者/患者)におけるコ
リネバクテリウム−ジフテリアの活性の存在を認識(同定)する方法が提供され
る。この方法では、本発明の核酸またはアミノ酸配列(例えば配列表の奇数また
は偶数ののSEQ ID NOのヌクレオチド配列)の1種類以上の活性の存在を被検体
より検出し、これによりコリネバクテリウム−ジフテリアの存在または活性を検
出する。C.グルタミカムとC.ジフテリアとは関連するバクテリアであり、C
.グルタミカムの核酸およびタンパク質分子の多くがC.ジフテリアの核酸およ
びタンパク質分子と相同であるため、この方法は被検体C.ジフテリアの検出に
も使用可能である。
【0124】 本発明の核酸およびタンパク質分子は、ゲノムの特定領域のマーカーとしての
役割も果たす。これはゲノム地図作製のみならず、C.グルタミカムタンパク質
の機能に関する研究にも利用される。例えば、特定のC.グルタミカムDNA−
結合タンパク質が結合するゲノムの領域を同定するために、C.グルタミカムゲ
ノムを消化することが可能であるが、フラグメントはDNA−結合タンパク質と
インキュベートされる。タンパク質と結合する領域を、本発明の核酸に好ましく
は検出が容易なラベルを付けたものを用いて詳細に調べることも可能であり、こ
の様な核酸の遺伝子フラグメントに対する結合により、C.グルタミカムのゲノ
ム地図におけるフラグメントの位置特定が可能となり、更に種々の酵素により複
数回試行すれば、タンパク質が結合している核酸配列が迅速に決定される。更に
、本発明の核酸分子は、関連種の配列に十分な相同性を有するため、関連するバ
クテリア、例えばブレビバクテリウム−ラクトフェルメントムにおけるゲノムマ
ップ構造のマーカーとして作用する。
【0125】 本発明のSRTタンパク質分子は進化論的およびタンパク質構造学においても
有用である。本発明の分子が関連する耐性の過程は、本発明の核酸分子の配列を
他の生物から得られた同様の酵素をコードする分子の配列と比較し、この生物の
進化上の関連性を評価することにより種々の細胞で使用される。同様に、この様
な比較により、配列のどの部分が変換され、どの部分が変換されないかの評価が
可能となり、酵素の機能に重要なタンパク質領域の特定に利用される。この様な
特定方法は、タンパク質工学において重要であり、機能を失なわずに変異を行う
タンパク質の変異生成では、何に対する耐性が得られるかの指標となる。
【0126】 化学的もしくは環境的耐性もしくは寛容性(例えば1種類以上の抗生物質) をコードしている、本発明のLMRB (SEQ ID NO: 1)をコードしている遺伝子また
は他の遺伝子は、C.グルタミカムまたは他のバクテリア種等の生物の遺伝的形
質転換(例えば遺伝子を更に移動すること、または予め存在する遺伝子の混乱(
配列を変化させること))の遺伝子マーカーとして使用される。この様な核酸の
使用により、これを使用しない場合には不都合または有害な環境において生物の
存続を可能とする形質により(例えば抗微生物化合物の存在下に)、所定の形質
転換カセット(例えばプラスミド、ファージ、ファスミド、ファージミド、トラ
ンスポゾン、または他の核酸要素)が導入された微生物の効率的な選択が可能と
される。本発明の1種類以上の遺伝子を遺伝子マーカーとして使用することによ
り、形質転換された好ましい形質を有する生物が設計され、単離する速度と容易
性が向上する(例えばファインケミカルの製造が調節される)。本発明の遺伝子
を、形質転換されたC.グルタミカムおよびこれに関連するバクテリアの選択に
用いることは有効であるが、本明細書に記載したように、所望の活性を保持する
相同体(例えば他の微生物の相同体)、対立変異体または遺伝子のフラグメント
を使用することも可能である。更に本発明の遺伝子の5’および3’調節要素を
上述のように修飾し(例えば核酸の置換、挿入、欠失、更に望ましい遺伝的要素
での代替による)、遺伝子の転写を調節することが可能である。例えば、−1〜
−2005’から開始コドンまでの領域のヌクレオチド配列を変化させて、LM
RBの転写および/または翻訳を調節した(好ましくは改善した)LMRB変異
体が使用可能である。また、本発明の遺伝子(例えばLMRB遺伝子 (SEQ ID N
O: 1)が遺伝子発現の調節のための1個以上の調節シグナル(例えばインデュー
サまたはリプレッサー結合配列)に機能的に結合した構成物も得られる。同様に
、本発明の遺伝子の1種類を超過する(機能性または不活性)複製物(コピー)
を使用してもよい。
【0127】 また、本発明の遺伝子(例えばLMRB(SEQ ID NO: 1)または他の薬剤または
構成物質に対して耐性を有する遺伝子)の他の適用法は、コリネバクテリアおよ
び/または他のバクテリアに対して活性な新規抗生物質の発見に関連する。例え
ば、本発明の遺伝子は、適する宿主において発現(または過剰発現)しても良く
、これにより1種類以上の薬剤または抗生物質に対する耐性の向上した生物が得
られる(LMRBの場合、特にリンコスアミド、リンコマイシン)。このような
耐性を有する宿主を、静菌作用および/または殺バクテリア作用を有する化学物
質、例えば新規抗生物質化合物のスクリーニングに用いることができる。特に、
本発明の遺伝子(例えばLMRB遺伝子)を用いて、既に標準的な抗生物質化合
物に耐性を有し、さらに上述の微生物に対して活性とされた、新規抗生物質を同
定するために使用することが可能である。
【0128】 本発明は、SRTタンパク質の活性を、このタンパク質自体、基質またはSR
Tタンパク質の結合対象との相互作用か、または本発明のSRT核酸分子の転写
または翻訳の調節による分子のスクリーニング方法を提供する。この方法では、
本発明の1種類以上のSRTタンパク質を発現する微生物を1種類以上の被検化
合物と接触させ、各被検化合物の、SRTタンパク質の活性または発現水準につ
いての効果を評価する。
【0129】 本発明のSRT核酸分子が複製されると、野生型SRTタンパク質とは機能の
異なるSRTタンパク質が製造される。これらのタンパク質は、効率または活性
が改善されていることも、通常より細胞の数が多いことも、または効率または活
性が抑えられていることもある。この様な複製の目的は、大規模な発酵培養に伴
いがちな、環境または化学ストレスまたは不都合下に暴露された細胞の生存能力
および活性を増大させることである。従って、熱ショック調節されたプロテアー
ゼの活性または複製数を増大させることにより、不正確に折りたたまれ、正常な
細胞の機能に悪影響を与える可能性のあるタンパクを細胞が破壊する能力が増大
する(例えばタンパク質がこれらの分子上で好ましく作用する活性を欠くにもか
かわらず、結合基質またはコファクターを結合しつづける)。同様に、熱ショッ
クまたは低温ショックにより誘発された1種類以上のシャペロン分子の活性の過
剰発現または最適化も起こる。この様なタンパク質は発生期のポリペプチド鎖が
正しく折りたたまれることを補助し、このタンパク質の作用の向上または存在数
の増大により細胞中の正しく折り畳まれたタンパク質の割合を増大させ、更に培
養体における細胞の総合的な代謝効率および生存率を向上させることになる。浸
透圧ショックにより活性化された輸送体分子の過剰発現または最適化により、細
胞の一部分の能力を増大させ、細胞内ホモスタシスを維持し、培養体における細
胞の存続能力を向上させる。同様に、種々の化学ストレスに対する細胞の耐性増
大(例えば細胞からの有害な化学物質の輸送、または有害性の低い物質に対する
化学物質の修飾による)に関連するタンパク質変異体の過剰生産または活性の向
上により、有害物質を含む環境(すなわち大規模発酵培養系)における生物の適
合性を増大し、これにより比較的多数の細胞がこのような培養体中で生命を維持
するようになる。この様な変異生成法全体から得られる正味の効果は、培養体中
でのファインケミカル製造化合物の量が増大することであり、小レンより培養体
からの1種類以上の所望温ファインケミカルの収率、製造および/または製造効
率が増大する。
【0130】 所望の化合物の収率を増大させるSRTタンパク質の変異生成は、上述の事項
に限定されるものではなく、これらの変異生成法を変形可能であることは当業者
には明白である。これらのメカニズムにより、本発明の核酸およびタンパク質分
子は、C.グルタミカムまたは変異SRT核酸およびタンパク質分子を発現する
関連バクテリア株が、所望の化合物の収率、製造および/または製造効率が向上
した状態で得られる。この所望の化合物はC.グルタミカムの天然産物であって
もよく、その例には生合成経路の最終産物、天然発生代謝経路の中間産物、また
はC.グルタミカムの代謝において天然には発生しないが本発明のC.グルタミ
カム株により製造される分子が含まれる。
【0131】 以下に本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。本明細書に記載の参考文献、特許出願、特許、特許公報、表および配列表は
、参考のため本明細書に組みこまれているものである。
【0132】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【表21】
【表22】
【表23】
【表24】
【表25】
【表26】
【表27】
【表28】
【表29】
【表30】
【0133】 [実施例] 実施例1:コリネバクテリウム−グルタミカム ATCC13032の全ゲノムDNAの製
造 コリネバクテリウム−グルタミカム (ATCC13032)の培養は、激しく攪拌したB
HI媒体(Difco)中で、30℃で終夜行なわれた。細胞は遠心分離により
回収され、上澄みを処分し、細胞は、5mlの緩衝液I(最初の培養容積の5%
、すべての示された容積は、100mlの培養容積のために計算されたものであ
る。)中再懸濁された。緩衝液Iの組成は、140.34g/lのショ糖、2.
46g/lのMgSOx7HO、10ml/lのKHPO溶液(100
g/l、KOHでpH6.7に調整)、50ml/lのM12濃縮物(10g/
lの(NHSO、1g/lのNaCl、2g/lのMgSOx7H O、0.2g/lのCaCl、0.5g/lの酵母抽出物(Difco)、1
0ml/lのトレース−エレメンツ−ミックス(200mg/lのFeSO
O、10mg/lのZnSOx7HO、3mg/lのMnClx4H O、30mg/lのHBO、20mg/lのCoClx6HO、1m
g/lのNiClx6HO、3mg/lのNaMoOx2HO、50
0mg/lの錯化剤(EDTAまたはクエン酸)、100ml/lのビタミン−
ミックス(0.2mg/lのビオチン、0.2mg/lの葉酸、20mg/lの
p−アミノ安息香酸、20mg/lのリボフラビン、40mg/lのパントテン
酸カルシウム、140mg/lのニコチン酸、40mg/lの塩酸ピリドキソー
ル、200mg/lのミオ−イノシトール)である。リゾチームを最終濃度が2
.5mg/mlになるまで懸濁液に加えた。約4時間、37℃での培養の後、細
胞壁を劣化させ得られたプロトプラストを遠心分離によって回収した。ペレット
を5mlの緩衝液Iで一度、5mlのTE緩衝液(10mMのトリスHCl、1
mMのEDTA、pH8)で一度洗浄した。ペレットを4mlのTE緩衝液に再
懸濁し、0.5mlのSDS溶液(10%)と0.5mlのNaCl溶液(5M
)を加えた。プロテイナーゼKを最終濃度200μg/mlになるまで加えた後
、懸濁液を約18時間、37℃で培養した。DNAを標準的な操作で、フェノー
ル、フェノール−クロロホルム−イソアミルアルコールおよびクロロホルム−イ
ソアミルアルコールによる抽出により精製した。それから、DNAを1/50容
積の3M酢酸ナトリウムおよび2容積のエタノールを加えて析出させ、次いで3
0分間、−20℃でインキュベートし、SS34ローター(Sorvall)を
使用した高速遠心分離機で12000rpmで遠心分離を30分間行なった。D
NAを20μg/mlのRNアーゼAを含む1mlのTE緩衝液に溶解し、4℃
で、少なくとも3時間1000mlのTE緩衝液に対して透析した。この間、緩
衝液を3度交換した。透析したDNA溶液の0.4mlの部分に、0.4mlの
2MLiClと0.8mlのエタノールを加えた。30分間、−20℃でインキ
ュベートした後、遠心分離(13000rpm、Biofuge Fresco
,Heraeus,Hanau,Germany)によりDNAを集めた。DN
AペレットをTE緩衝液に溶解した。この操作により製造されたDNAは、すべ
ての目的、サザンブロット法またはゲノムライブラリーの構築に使用することが
できた。
【0134】 実施例2:コリネバクテリウム−グルタミカム ATCC13032のEscherichia Coliに
おけるゲノムライブラリーの構築 実施例1に記載したように製造されたDNAを用いて、コスミッドおよびプラ
スミドライブラリーが、公知で、よく確立された方法に従って構築された(例え
ば、Sambrook,Jら、(1989)'Molecular Cloning:A Laboratory Manual', Cold Sp
ring Harbor Laboratory PressまたはAusubel,F.Mら(1994) 'Current Protocols
in Molecular Biology', John Wiley and Sons.を参照)。
【0135】 どんなプラスミドまたはコスミッドでも使用することができた。特別に、プラ
スミドpBR322(Sutcliffe, J.G.(1979) Proc.Natl.Acad.Sci.USA,75:3737-3741)
;pACYC177 (Change とCohen(1978) J.Bacteriol 134:1141-1156),pBSの系列のプ
ラスミド(pBSSK+,pBSSK-およびその他;Stratagene LaJolla,USA),またはSuperC
os1(Stratagene LaJolla,USA)、Lorist6(Gibson,T.J.,Rosenthal A.およびWate
rson,R.H.(1987) Gene 53:283-286)のコスミッドが使用された。特にC.glutamic
umにおいて使用するためのジーンライブラリーは、プラスミドpSL109( Lee,H.S.
およびA.J.Sinskey(1994) J.Microbiol.Biotechnol.4:256-263)を用いて構築す
ることができる。
【0136】 実施例3:DNAシーケンスとコンピューターによる機能解析 実施例2に記載されたゲノムライブラリーを標準的な方法、特にABI377
シーケンスマシーンを用いた鎖成長停止反応法(例えばFleischman,R.D.ら(1995
)'Whole-genome Random Sequencing and Assembly of Haemophilus Influenzae
Rd.',Science, 269:496-512参照)に従ったDNAシーケンスに使用した。以下
のヌクレオチド配列のシーケンスプライマーが使用された:5'-GGAAACAGTATGACC
ATG-3'または5'-GTAAAACGACGGCCAGT-3'。
【0137】 実施例4:生体内突然変異誘発 コリネバクテリウム−グルタミカムの生体内突然変異誘発が、E.coliまたは他
の微生物(例えばBacillus spp.またはSaccharomyces cerevisiaeなどの酵母)で
あってその遺伝子情報の完全性を保つための能力が減じられているものを通して
、プラスミド(または他のベクター)の通過により行なうことができる。典型的
なミューテーター株は、DNA修復システム(例えばmutHLS,mutD,mutTその他;
Rupp,W.D.(1996) DNA repair mechanisms,Escherichia coli and Salmonella,p2
277-2294,ASM:Washington参照)の遺伝子に変異を持っている。このような株は
当業者によく知られている。このような株の使用は、例えばGreener,A.およびCa
llahan,M.(1994) Strategies 7:32-34に記載されている。
【0138】 実施例5:Escherichia coli および コリネバクテリウム−グルタミカムの間の
DNA転換 いくつかのコリネバクテリウムとブレビバクテリウム種は自律的に複製する(
例えば、Martin, J.F.ら(1987) Biotechnology, 5:137-146参照)内因性プラス
ミド(例えばpHM1519またはpBL1)を含む。Escherichia coliとCorynebacuterium
glutamicumのシャトルベクターは、E.coliの標準ベクター(Sambrook,J.et al.
(1989),'Molecular Cloning:A Laboratory Manual',Cold Spring Harbor Labora
tory PressまたはAusubel,F.M.et al.(1994)'Current Protocols in Molecular
Biology', John Wiley and Sons)を用いて、これに、開始または複製のおよび適
当なコリネバクテリウム−グルタミカム由来のマーカーを加えることで容易に構
築することができる。このような複製の開始点は、好ましくはコリネバクテリウ
ムとブレビバクテリウム種から単離された内因性プラスミドからもたらされる。
これらの種の形質転換マーカーとして、カナマイシン耐性の遺伝子(Tn5また
はTn903トランスポゾンから誘導されたもの)またはクロラムフェニコール
耐性遺伝子(Winnacker,E.L.(1987)'From Genes to Clones-Introduction to Ge
ne Technology,VCH,Weinheim)が特に用いられる。E.coli とC.glutamicumの双方
でおいて複製するシャトルベクターの広範囲の構築の文献は数多く例があり、遺
伝子過剰発現を含むいくつかの目的に使用することができる(例えば、Yoshiham
a,M.et al.(1985) J.Bacteriol. 162:591-597, Martin,J.F.et al.(1987) Biote
chnology,5:137-146 およびEikmanns,B.J.et al.(1991) Gene, 102:93-98参照)
【0139】 標準的な方法を用いて、上述のように注目の遺伝子をシャトルベクターの一つ
ヘクローンすることが可能であり、またこのようなハイブリッドベクターをコリ
ネバクテリウム−グルタミカム株に導入することが可能である。C.glutamicumの
形質転換を、プロトプラスト形質転換(Kastsumata,R.et al.(1984) J.Bacterio
l. 159306-311),エレクトロポレーション(Liebl,E.et al.(1989)FEMS Microbio
l.Letters,53:399-303)そして特別のベクターが用いられた場合には、接合(例
えば Schaefer,A et al.(1990)J.Bacteriol.172:1663-1666に記載)によって達
成することができる。C.glutamicumからのプラスミドDNAの製造(周知の標準
的な方法を用いて)およびそのE.Coliへの形質転換によるC.glutamicumからE.co
liへのシャトルベクターの転換も可能である。この形質転換の段階は、標準的な
方法を用いて行なうことができるが、Mcr−不足E.coli株、例えばNM522
(Gough and Murray(1983)J.Mol.Biol.166:1-19)を使用することが有利である。
【0140】 遺伝子は、pCG1(U.S.patent No.4617267)またはその断片、任意でTN9
03(Grindley,N.D.and Joyce,C.M.(1980)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77(12):717
6-7180)からのカナマイシン耐性遺伝子を含むプラスミドを用いたC.glutamicum
株中に過剰発現させることができる。加えて、遺伝子は、プラスミドpSL10
9(Lee,H.S and A.J.Sinskey(1994) J.Microbiol Biotechnol.4:256-263)を用
いてC.Glutamicum株中に過剰発現することができる。
【0141】 複製プラスミドに加えて、遺伝子の過剰発現は、ゲノムへの組み込みによって
達成することができる。C.glutamicum または他のコリネバクテリウムまたはブ
レビバクテリウム種における遺伝子組み込みは、周知の方法、例えばゲノム領域
での相同性組換え、制限エンドヌクレアーゼ仲介の組み込み(REMI)(例え
ばDE patent 19823834)またはトランスポゾンの使用などによって達成すること
ができる。調節領域(例えば、プロモーター、レプレッサー、および/またはエ
ンハンサー)を配列の修飾、挿入、サイト−ダイレクテド法(例えば相同性組換
え)による削除、またはランダムイベントに基づく方法(例えばトランスポゾン
突然変異誘発またはREMI)により変形することにより、注目遺伝子の活性を
変化させることもできる。転写ターミネーターとして機能する核酸配列は、本発
明の一以上の遺伝子のコード領域へ3’挿入されることもできる。このようなタ
ーミネーターは、周知であり、例えばWinnacker, E.L. (1987)From Genes to Cl
ones-Introduction to Gene Technology. VCH: Weinheim中に記載されている。
【0142】 実施例6:変異タンパクの発現の評価 形質転換された宿主細胞中の変異タンパクの活性の観察は、変異タンパクが、
野生種のタンパクと類似した形態と類似した量で発現されるという事実に基づい
ている。変異遺伝子(遺伝子産物に対する転写に用いられるmRNAの量のイン
ジケーター)の転写のレベルを確認するために有用な方法は、ノーザン・ブロッ
ト法(Ausubel et al.(1988) Current Protocols in Molecular Biology, Wile
y: New York参照)であり、注目遺伝子に結合するように設計されたプライマーが
、検出タグ(通常放射性または化学ルミネセンス)により、生物の培養の総RN
Aを抽出し、ゲルに流し、安定マトリックスに移動させ、このプローブでインキ
ュベートする場合に、プローブの結合および結合の量が、この遺伝子のmRNA
の存在と量を示すようにラベルされている。この情報は、変異遺伝子の転写の程
度の証拠である。全部の細胞のRNAは、いくつかの周知の方法、例えば、 Bor
mann, E.R. et al. (1992) Mol. Microbiol. 6:317-326に記載された方法により
、コリネバクテリウム−グルタミカムから製造することができる。
【0143】 このmRNAから翻訳されたタンパクの存在と比較量の評価のために、ウェス
タン・ブロッド法などの標準的な技術が使用され得る(例えばAusubel et al. (1
988) Current Protocols in Molecular Biology, Wiley: New York参照)。この
方法では、全部の細胞のタンパクは、抽出され、ゲル電気泳動により分離され、
ニトロセルロースのようなマトリックスに移され、設計されたタンパクに特異的
に結合する抗体などのプローブとともにインキュベートされる。このプローブは
、一般に容易に検出可能な化学ルミネセンスまたは比色のラベルでタグがつけら
れている。観察されたラベルの存在と量は、細胞中の所望の変異タンパクの存在
と量を示す。
【0144】 実施例7:遺伝子的に修飾されたCorynebacteriaの成長−媒体および培養条件 遺伝子的に修飾されたコリネバクテリウム−グルタミカムは、合成または天然
成長媒体中で培養される。Corynebacteriaの異なった成長媒体の多くはどちらも
知られており、容易に入手可能である(Lieb et al. (1989) Appl. Microbiol. B
iotechnol., 32:205-210; von der Osten et al. (1998) Biotechnology Letter
s, 11:11-16; Patent DE 4,120,867; Liebl (1992)'The Genus Corynebacterium
, in: The Procaryotes, Volume II, Balows, A. et al., eds. Spring-Verlag)
。これらの媒体は、一種以上の炭素源、窒素源、無機塩、ビタミンおよび痕跡の
要素からなる。好ましい炭素源は、モノ−、ジ−またはポリサッカライドなどの
砂糖である。例えば、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、
リボース、ソルボース、リブロース、ラクトース、マルトース、スクロース、ラ
フィノース、デンプンまたはセルロースが非常によい炭素源として働く。糖蜜ま
たは他の砂糖精製の副生成物のような複合化合物によって媒体に砂糖を供給する
ことも可能である。異なった炭素源の混合物を供給することも有利である。他の
可能な炭素源は、メタノール、エタノール、酢酸、乳酸などのアルコールおよび
有機酸である。窒素源は通常有機または無機の窒素化合物か、またはこれらの化
合物を含む材料である。窒素源として例えば、アンモニアガス、アンモニウム塩
(例えばNHClまたは(NHSO)、NHOH、硝酸塩、尿素、
アミノ酸、コーンスティープリカー、大豆粉、大豆タンパク、酵母抽出物、肉抽
出物などの複合窒素源が含まれる。
【0145】 媒体に含まれる無機塩化合物は、クロリド−、リン酸、硫酸のカルシウム塩、
マグネシウム塩、ナトリウム塩、コバルト塩、モリブデン塩、カリウム塩、マグ
ネシウム塩、亜鉛塩、銅塩、鉄塩を含む。金属イオンを溶液中に保持するために
媒体中にキレート化合物を加えることができる。特に有用なキレート化合物は、
カテコールやプロトカテチュエートなどのジヒドロキシフェノールまたはクエン
酸などの有機酸を含む。ビタミンなどの成長因子または成長促進剤、例えばビオ
チン、リボフラビン、チアミン、葉酸、ニコチン酸、パントテン酸塩、ピリドキ
シンなどを含む媒体が典型的である。成長因子および塩はしばしば酵母抽出物、
糖蜜、コーンスティープリカーなどの複合媒体成分に由来する。正確な媒体化合
物の組成は、直接の実験に強く依存し、各々の特定の場合に個々に決定される。
媒体の最適化の情報は、テキストブックApplied Microbiol. Physiology, A Pra
ctical Approach (eds. P.M. Rhodes, P.F. Stanbury, IRL Press (1997) pp.53
-73, ISBN 019 963577 3) から入手可能である。成長媒体を市販品、例えば標準
1(Merck)またはBHI(grain heart infusion, DIFCO)などから選定することも可能
である。
【0146】 すべての媒体成分は、熱(1.5×10Pa、121℃で20分間)または
ろ過殺菌法のいずれかにより殺菌される。成分は、一緒に、または所望により分
割して殺菌することができる。すべての媒体成分は、成長の初期に存在させるか
、または任意に連続的にまたは回分式に加えることができる。
【0147】 培養条件は各々の実験のために分けて定義される。温度は、15℃から45℃
の範囲であるべきである。温度を一定に保つか、実験中に変えることができる。
媒体のpHは、5から8.5、好ましくは7.0前後の範囲であるべきであり、
媒体に緩衝液を添加することで一定に保つことができる。この目的のための緩衝
液の例は、リン酸カリウム緩衝液である。MOPS, HEPES, ACESその他の合成緩衝
液を代わりに、または同時に使用することができる。成長の間にNaOHまたは
NHOHを添加することより一定の培養pHを保つことも可能である。酵母抽
出物などの複合媒体成分が使用される場合、多くの複合成分は高い緩衝能力があ
るという事実によって、追加の緩衝液が必要ないかもしれない。微生物の培養に
発酵槽を使用する場合、pHはアンモニアガスにより制御することもできる。
【0148】 インキュベート時間は通常数時間から数日の範囲である。この時間は、ブロス
の中に蓄積される生成物を最大にするように選択される。開示された成長実験は
、種々の容器、例えばミクロタイター板、ガラス管、ガラスフラスコ、または種
々のサイズのガラスまたは金属発酵槽等の中で行なうことができる。多数のクロ
ーンのスクリーニングのために、微生物をミクロタイター板、ガラス管、振とう
フラスコ中、バッフル付きで、またはなしで培養すべきである。好ましくは10
0mlの振とうフラスコを使用し、所望の成長媒体の10容積%で満たす。フラ
スコを100から300rpmの速さの範囲を使用して、ロータリーシェーカー
(ふり幅25mm)で振とうすべきである。蒸発ロスは湿潤雰囲気中に保つこと
によって少なくすることができる。代わりに、蒸発ロスの数学的補正が行なわれ
るべきである。
【0149】 遺伝子的に修飾されたクローンを試験した場合、修飾されていないコントロー
ルのクローンまたはいかなる挿入もなされていない基本的なプラスミドを含むコ
ントロールのクローンも試験するべきである。媒体を寒天平板上、例えばCMプ
レート(10g/lのグルコース、2.5g/lのNaCl、2g/lの尿素、10g/lのポリペプトン
、5g/lの酵母抽出物、5g/lの肉抽出物、22g/lの寒天、2M NaOHによるpH6.8
としたもの)を30℃でインキュベートしたもので成長させた細胞を用いて0.
5−1.5のOD600まで接種する。媒体の接種は、CMプレートからのC.gl
utamicum細胞のサリーン懸濁液の導入、またはこのバクテリアの前培養液の添加
のいずれかによりなされる。
【0150】 実施例8:変異タンパクの機能のインビトロ解析 酵素の活性と速度論的パラメーターの決定は、先行技術でよく確立されている。
得られた改変された酵素の活性決定のための実験は、当業者の能力の範囲内で、
野生種酵素の比活性に対して行なわれなければならない。一般に酵素についての
概要は、構造、速度論的、原理、方法、適用および多数の酵素の活性の決定例に
関する特定の詳細と同様に、例えば以下の参照に見出される:Dixon, M., and W
ebb, E.C., (1979) Enzymes. Longmans: London; Fersht, (1985) Enzyme Struc
ture and Mechanism. Freeman: New York; Walsh, (1979) Enzymatic Reaction
Mechanisms. Freeman: San Francisco; Price, N.C., Stevens, L. (1982) Fun
damentals of Enzymology. Oxford Univ. Press:Oxford; Boyer, P.D., ed(1983
) The Enzymes, 3rd ed. Academic Press: New York; Bisswanger, H., (1994)
Enzymkinetic, 2nd ed. VCH: Weinheim (ISBN 3527300325), Bergmeyer, H.U.,
Bergmeyer, J., Grassl, M., eds. (1983-1986) Methods of Enzymatic Analysi
s, 3rd ed., vol. I-XII, Verlag Chemie: Weinheim; and Ullmann's Encyclope
dia of Industrial Chemistry (1987) vol. A9, 'Enzymes'. VCH: Weinheim, p.
352-363.。
【0151】 DNAと結合するタンパクの活性は、数種のよく確立された方法、例えばDN
Aバンド−シフトアッセイ(ゲル遅延アッセイとも呼ばれる)により測定するこ
とができる。他の分子の発現におけるこのようなタンパクの効果は、レポーター
遺伝子アッセイ(例えばKolmar, H. et al. (1995) EMBO J. 14: 3895-3904およ
び引用文献に記載されたような) を用いて測定される。レポーター遺伝子試験
系は、周知であり、ベータ−ガラクトシダーゼ、緑蛍光性タンパクおよびその他
数種の酵素を用いて、原核および真核細胞のどちらにでも適用が確立されている
【0152】 膜輸送タンパクの活性の決定は、例えばGennis, R.B. (1989) 'Pores, Channe
ls and Transporters', in Biomembranes, Molecular Structure and Function,
Springer; Heidelberg, p. 85-137; 199-234; and 270-322に記載されたような
技術に従って行なわれる。
【0153】 実施例9:所望の製造物の製造における変異タンパクの感化の解析 所望の化合物(例えばアミノ酸)の製造におけるC.Glutamicumの遺伝子修飾の
効果は、適当な条件(例えば上述の)下の改変された微生物成長および媒体及び
/または細胞成分の増加した所望の製造物(即ちアミノ酸)の生成の解析によっ
て評価することができる。このような解析法は当業者に周知であり分光法、薄層
クロマトグラフィー、種々の染色法、酵素的および微生物学的方法、高速液体ク
ロマトグラフィーのような解析クロマトグラフィー(例えばUllman, Encycloped
ia of Industrial Chemistry, vol. A2, p. 89-90 and p. 443-613, VCH: Weinh
eim (1985); Fallon, A. et al., (1987) 'Applications of HPLC in Biochemistry 'in: Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology, vol. 17; Rehm et al. (1993) Biotechnology, vol. 3, Chapter III:
'Product recovery and purification', page 469-714, VCH: Weinheim; Belte
r, P.A. et al. (1988) Bioseparations: downstream processing for biotechn
ology, John Wiley and Sons; Kennedy, J.F. and Cabral, J.M.S. (1992) Reco
very processes for biological materials, John Wiley and Sons; Shaeiwitz,
J.A. and Henry, J.D.(1988) Biochemical separations, in: Ullmann's Encyc
lopedia of Industrial Chemistry, vol. B3, Chapter 11, page 1-27, VCH: We
inheim; and Dechow, F.J. (1989) Separation and purification techniques i
n biotechnology, Noyes Publications参照)を含む。
【0154】 最終発酵生成物の測定に加えて、所望の化合物の生産に使用された代謝経路の
他の成分、例えば中間体、副生成物を、全収率、製造、および/または化合物の
製造の効率を決定するために解析することもできる。解析法は、媒体中の栄養剤
(例えば砂糖、炭化水素、窒素源、ホスファートおよび他のイオン)のレベルの
測定、バイオマス組成物と成長の測定、通常の生合成経路の代謝物の製造の解析
、発酵の間に生成したガスの測定を含む。これらの測定のための標準的な方法は
、Applied Micro Physiology, A Practical Approach, P.M. Rhodes and P.F. S
tanbury, eds., IRL Press, p. 103-129; 131-163; and 165-192 (ISBN: 019963
5773) および引用文献に概説してある。
【0155】 実施例10:C.glutamicum培養からの所望の製造物の精製 C.glutamicum細胞からまたは上述の培養物の上澄みからの所望の製造物の回収
は、周知の種々の方法により行なうことができる。所望の製造物が細胞から隠さ
れていない場合、細胞を培養物から低速遠心分離により回収することができ、細
胞を機械的力または超音波のような標準的な方法で溶解することができる。細胞
の破片を遠心分離で取り除き、可溶性タンパクを含む上澄み画分を所望の化合物
のさらなる精製のために保持する。製造物がC.glutamicum細胞から隠されている
場合、細胞を培養物から低速遠心分離により取り除き、上澄み画分をさらなる精
製のために保持する。
【0156】 双方の精製法からの上澄み画分を、適当なレジンであって、所望の分子がクロ
マトグラフィーレジンに保持され、サンプル中の多くの不純物が保持されないか
、または不純物がレジンにより保持され、サンプルが保持されないようなレジン
を用いたクロマトグラフィーで処理する。このようなクロマトグラフィーの工程
は、必要に応じて、同じまたは異なるクロマトグラフィーレジンを用いて繰り返
すことができる。当業者は、適当なクロマトグラフィーレジンの選択と、精製さ
れる特別の分子への最も効率的な適用に精通しているであろう。精製された製造
物はろ過または限外ろ過により濃縮し、製造物の安定性が最も大きくなる温度で
保存することができる。
【0157】 広い範囲の精製法が周知であり、前述した精製法は範囲の減縮を意味しない。
このような精製法が、例えば Bailey, J.E. & Ollis, D.F. Biochemical Engine
ering Fundamentals, McGraw-Hill: New York (1986)に記載されている。
【0158】 単離した化合物の同定と純度が、先行技術で標準的な方法で評価される。これ
らは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、分光学的方法、染色法、薄層
クロマトグラフィー、NIRS、酵素的または微生物学的アッセイを含む。この
ような解析方法は、Petek et al. (1994) Appl. Environ. Microbiol. 60: 133-
140; Malakhova et al.(1996) Biotekhnologiya 11: 27-32; and Schmidt et al
. (1988) Bioprocess Engineer. 19: 67-70. Ulmann's Encyclopedia of Indust
rial Chemistry, (1996) vol. A27, VCH: Weinheim, p. 89-90, p. 521-540, p.
540-547, p. 559-566, 575-581 and p. 581-587; Michal, G. (1999) Biochemic
al Pathways: An Atlas of Biochemistry and Molecular Biology, John Wiley
and Sons; Fallon, A. et al. (1987) Applications of HPLC in Biochemistry
in: Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology, vol. 17
に記載されている。
【0159】 実施例11:レポーター遺伝子アプローチを用いたリンコマイシン耐性に含まれ
るコリネバクテリウム−グルタミカム遺伝子のクローニング A. LMRBタンパクをコードする遺伝子の同定 プラスミドpSL130が、C.glutamicumのaceBプロモーター領域(pa
ceB)(Kim, H.J. et al. (1997) J. Microbiol. Biotechnol. 7: 287-292)の
、プロモーターを欠くlacオペロン フュージョンベクターpRS415(Sim
on, R.W. et al. (1987) Gene 53: 85-96)のポリリンカーへの結さつにより構築
された。プラスミドpSL145が、得られたpaceB-lac領域の、E.coliクロー
ニングベクターpACYC184への結さつにより構築された。E.coli DH5αF
’を、pSL145とともに形質転換し、得られた株をC.glutamicumのゲノムラ
イブラリー(pSL中)のスクリーニングのための宿主細胞として使用した。
【0160】 形質転換体は、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクト
ピラノシド(X−Gal)を含む寒天培地上での成長によってスクリーニングさ
れた。lacZの発現に影響を与えるDNAを含む白色のコロニーを、さらなる
解析のために選定した。このクローンは、遺伝子ライブラリーの4kBフラグメ
ントを含むことがわかった。サブクローンが、pSL109中で構築され、X−
Gal板上で白色の表現型を保っているサブクローンが同定された。このサブク
ローンは、2.6kB BamH1-XhoIフラグメント(プラスミドpSL149−5
)を含むことが分かった。このフラグメントは、シーケンスされ、膜タンパクを
コードする遺伝子(LMRB遺伝子)として同定された。
【0161】 LMRB遺伝子のコードシーケンスの1442のヌクレオチドは、疎水性アミ
ノ酸の高いパーセンテージを持った481のアミノ酸残基のポリペプチドをコー
ドする。遺伝子バンクの探索により、LMRBタンパクが、Bacillus subtilis
からのlmrB遺伝子(遺伝子バンク受け入れ物AL009126、TREMB
LE受け入れ物P94422)のタンパク生成物と40%一致することを、CL
USTAL W解析(標準パラメーターを用いた)を用いて決定した。
【0162】 LMRNタンパクは、以下のシーケンスパターンを含む:158-A-P-A-L-G-P-T-
L-S-G-167 (SEQ ID NO: 301)。このパターンは、多剤耐性タンパクのコンセンサ
スモチーフとして知られるG-X-X-X-G-P-X-X-G-G(SEQ ID NO: 302) (Paulsen, I.
T., and Skurray, R.A. (1993) Gene 124: 1-11)と類似する。従って、LMRB
タンパクは、薬剤耐性タンパクとしてクラス分けされた。
【0163】 B.lmrB機能のインビボ解析 lmrB遺伝子をC-glutamicum ASO19E12 (Kim, H.J. et al. (1997) J. Micr
obiol. Biotechnol. 7: 287-292)中でプラスミドpSL149−5を用いて、
上述の通り過剰発現させた。
【0164】 LMRB遺伝子の破壊が、ベクターpSL18−lmrBの使用により行なわ
れた。このベクターは、以下のように構築された:LMRB遺伝子の内部フラグ
メントを、標準的な条件下で、プライマー 5’-CTCCAGGATTGCTCCGAAGG-3’(SEQ
ID NO: 303) 及び 5’-CACAGTGGTTGACCACTGGC-3’ (SEQ ID NO: 304)を用いた
PCR法により増幅した。得られたPCR産物をT7 DNAポリメラーゼとT
7ポリヌクレオチドキナーゼで処理し、プラスミドpSL18のSmaIサイト
へクローンした(Kim, Y.H. and H.-S. Lee (1996) J. Microbiol. Biotechnol.
6: 315-320)。C.glutamicum ASO19E12中のLMRB遺伝子の破壊が、前に記載し
たように(Schwarzer and Puhler (1991) Bio/Technology 9:84-87)、接合により
行なわれた。
【0165】 pSL149−5により形質転換されたC.glutamicum細胞は、形質転換されて
いない細胞と、エリスロマイシン、ペニシリンG、テトラサイクリン、クロラム
フェニコール、スペクチノマイシン、ナリジクス酸、ゲンタマイシン、ストレプ
トマイシン、エチジウムブロミド、カルボニルシアニド、m−クロロフェニルヒ
ドラゾン(CCCP)、およびドデシル硫酸ナトリウムに対する耐性が類似して
いた。しかし、形質転換された細胞とされていない細胞は、リンコマイシンに対
する耐性の点で、明らかな違いが観察された。
【0166】 LMRB−過剰発現C.glutamicum細胞は、20μg/mlのリンコマイシンの
存在下で発育可能であることが分かった。対照的に、LMRBを過剰発現してい
ない細胞(またはLMRBが破壊されている細胞)は、5μg/mlのリンコマ
イシンを含む寒天培地上で成長することができなかった。この効果は、液体培地
中で明らかに目視された。LMRB過剰発現により、リンコマイシンに対して(
野生種と比較して)9位折りたたみの耐性が上昇し、LMRBの破壊によりこの
抗生物質に対して耐性が減少した(野生種の28%)。
【0167】 実施例12:本発明の遺伝子配列の解析 配列の比較と、2個の配列の間の相同性の百分率の決定は、公知の技術であり
、数学的アルゴリズム、例えばKarlin and Altschul (1990) Proc. Natl. Acad.
Sci. USA. 87: 2264-68のアルゴリズムで、Karlin and Altschul (1993) Proc.
Natl. Acad. Sci. USA 90: 5873-77に記載のように変形されたものなどを使用
して行なうことができる。このようなアルゴリズムは、Altschul, et al. (1990
) J. Mol. Biol. 215: 403-10のNBLASTおよびXBLASTプログラム(
バージョン2.0)に組み入れられている。BLASTヌクレオチド探索は、N
BLASTプログラム、スコア=100、語長=12によって、本発明のSRT
核酸分子に対するヌクレオチド配列の相同性を得るために行なうことができる。
BLASTタンパク探索は、XBLASTプログラム、スコア=50、語長=3
によって、本発明のSRTタンパク分子に対するアミノ酸配列の相同性を得るた
めに行なうことができる。比較の目的で、間隙のあけられたアライメントを得る
ために、ギャップドBLASTをAltschul et al., (1997) Nucleic Acids Res.
25(17):3389-3402に記載のように使用することができる。BLASTおよびギ
ャップドBLASTプログラムの使用に際して、当業者はプログラム(例えばX
BLASTおよびNBLAST)のパラメーターの、解析される特定の配列のた
めの最適化の方法についてよく知っている。
【0168】 配列の比較に使用される数学的アルゴリズムの他の例は、Meyers とMiller (
(1988) Comput. Appln. Biosci. 4: 11-17)のアルゴリズムである。このような
アルゴリズムは、GCGシーケンスアライメントソフトウェアパッケージの一部
であるALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み入れられている。AL
IGNプログラムをアミノ酸配列の比較のために使用する場合、PAM120重
量残渣表、12のギャップ長さペナルティー、4のギャップペナルティーを使用
することができる。さらに配列解析に使用されるアルゴリズムが公知であり、A
DVANCEおよびADAM(Torelli and Robotti (1994) Comput. Appl. Bio
sci. 10:3-5に記載)および FASTA( Pearson and Lipman (1988) P.N.A.S. 85:
2444-8に記載)を含む。
【0169】 2本のアミノ酸配列の間の相同性の百分率は、GCGソフトウェアパッケージ
中のGAPプログラム(http: //www.gcg.comで入手可能)を用い、Blosu
m62マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれか、12、10、
8、6、または4の間隙重さ、2、3または4の長さ重さを用いて行なうことが
できる。2本の核酸配列の間の相同性の百分率は、標準的なパラメーター、例え
ば間隙重さが50、および長さ重さが3などを用いて、GCGソフトウェアパッ
ケージ中のGAPプログラムを用いて決定することができる。
【0170】 本発明の遺伝子配列と、遺伝子バンクに存在する配列の比較解析が先行技術に
おいて公知の技術を用いて行なわれた(例えばBexevanis and Ouellette, eds.
(1998) Bioinformatics: A Practical Guide to the Analysis of Genes and Pr
oteins. John Wiley and Sons: New York参照)。本発明の遺伝子配列が、遺伝子
バンクに存在する遺伝子と、3段階の工程で比較された。第一段階で、遺伝子バ
ンクに存在するヌクレオチド配列に対する本発明の配列の各々について、BLA
STN解析(例えばローカルアライメント解析)が行なわれた。最初にヒットし
た500個についてさらに解析が続けられた。次いでFASTA探索(例えば、
結合されたローカルおよびグローバルアライメント解析で、配列の限定された領
域を整列させる)が、これらの500個について行われた。各々の本発明の遺伝
子配列は次いで全体的に、FASTAの頭の3個のヒットの各々について、GC
Gソフトウェアパッケージ中のGAPプログラムを用いて(標準的なパラメータ
ーを使用して)整列させられる。正しい結果を得るために、遺伝子バンクから抽
出された配列の長さは、周知の方法により質問の配列の長さに調整された。この
解析の結果は、表4にまとめられている。得られた結果は、遺伝子バンクの参照
の各々と比較した本発明の遺伝子の各々においてGAP(グローバル)解析を単
独で行なったときに得られるであろう結果と一致したが、このようなデータベー
スを広げて行なったGAP(グローバル)解析と比較して明らかに計算時間が短
縮された。切り捨て値を上回るアライメントが得られなかった本発明の配列を、
アライメントの情報なく表4に示した。表4に、’%相同性(GAP)’の見出
しで記載されたGAPアライメント相同性百分率は、’,’は小数点を表すヨー
ロッパの数の形式で、並べられているということは、当業者によってさらに理解
されるであろう。例えば、このカラム中の’40,345’の値は、40.34
5%を表す。
【0171】 実施例13:DNAマイクロアレイの構築と操作 本発明の配列を追加で、DNAマイクロアレイ(デザイン、方法論、DNAア
レイの使用は周知であり、例えばSchena, M. et al. (1995) Science 270: 467-
470; Wodicka, L. et al. (1997) Nature Biotechnology 15:1359-1367; DeSaiz
ieu, A. et al. (1998) Nature Biotechnology 16: 45-48; and DeRisi, J.L. e
t al. (1997) Science 278: 680-686に記載されている。)の構築と適用に使用す
ることができる。
【0172】 DNAマイクロアレイは、ニトロセルロース、ナイロン、ガラス、シリコーン
または他の材料からなる固体または柔軟性のある支持体である。核酸分子を、注
文された方法で表面に取り付けることができる。適当なラベリングのあと、他の
核酸または核酸混合物を固定された核酸分子にハイブリダイズすることができ、
限定された領域でハイブリダイズされた分子の個々の信号強度を検知し、測定す
るためにラベルを使用することができる。この方法論は、適用された核酸サンプ
ルまたは混合物中のすべてあるいは選択された核酸の相対量または絶対量を同時
に定量化することを可能にする。このためDNAマイクロアレイは、並行して多
数の(6800以上)核酸の発現を解析することを可能とする(Schena, M. (19
96) BioEssays 18(5): 427-431参照)。
【0173】 本発明の配列は、ポリメラーゼ連鎖反応のような核酸増幅反応によって、1種
以上のC.glutamicum遺伝子の限定された領域を増幅することができるオリゴヌク
レオチドプライマーの設計に使用することができる。5’または3’オリゴヌク
レオチドプライマーあるいは適当なリンカーの選択と設計は、上述の支持媒体(
例えばSchena, M. et al. (1995) Science 270: 467-470にも記載されている。
)の表面に対する、得られたPCR産物の共有結合を可能とする。
【0174】 核酸マイクロアレイは、Wodicka,L.et al.(1997) Nature Biotechnology 15:1
359-1367に記載されたようにその場のオリゴヌクレオチド合成によっても構築す
ることができる。写真平板法により、マトリックスの正確に限定された領域が露
光される。光不安定な保護基はこれによって活性化され、ヌクレオチド付加が進
行し、一方光からマスクされた領域はいかなる修飾も進行しない。続く保護と光
活性化のサイクルは、限定された位置における異なったオリゴヌクレオチドの合
成を可能とする。小さい、限定された本発明の遺伝子の領域は、マイクロアレイ
上で、固相オリゴヌクレオチド合成により合成することができる。
【0175】 ヌクレオチドのサンプルまたは混合物の中に存在する本発明の核酸分子は、マ
イクロアレイに対してハイブリダイズすることができる。これらの核酸分子は標
準的な方法でラベルすることができる。要するに、核酸分子(例えば、mRNA
分子またはDNA分子)は、例えば、逆転写またはDNA合成の間、放射性同位
元素によりまたは蛍光によりラベルされたヌクレオチドの組み込みによりラベル
される。ラベルされた核酸のマイクロアレイに対するハイブリダイゼーションは
、例えば Schena, M. et al. (1995) supra; Wodicka, L. et al. (1997), supr
a; and DeSaizieu A. et al (1998), supraに記載されている。ハイブリダイズ
された分子の検出と定量化は、特定の組み込まれたラベルにより行なわれる。放
射性のラベルは例えばSchena, M. et al. (1995) supraに記載されたように検出
することができ、蛍光ラベルは例えばShalon et al. (1996) Genome Research 6
: 639-645の方法により検出することができる。
【0176】 本発明の配列のDNAマイクロアレイ技術に対する適用は、上述したように、
C.glutamicumまたは他のCorynebacteriaの異なった株の比較解析を可能とする。
例えば、個々の転写の特徴に基づく内部株の変種の研究および特定するために重
要な遺伝子の同定および/または所望の株の特性、例えば病原性、生産性、およ
びストレス寛容などの同定は、核酸アレイ方法論により促進される。発酵反応の
進行の間の、本発明の遺伝子の発現の特徴の比較は、核酸アレイ技術を用いるこ
とで可能である。
【0177】 実施例14:細胞タンパクポピュレーションの動力学的解析(プロテオミクス) 本発明の遺伝子、組成、方法は、タンパクのポピュレーションの相互作用およ
び動力学(プロテオミクスと定義する)の研究に適用することができる。注目の
タンパクポピュレーションは、C.glutamicum(例えば他の生物のタンパクポピュ
レーションと比較して)、特定の環境または代謝条件下(例えば高いまたは低い
温度で、または高いまたは低いpHでの発酵の間)で活性なタンパクまたは特定
の成長および発達の相の間に活性なタンパクの総タンパクポピュレーションを含
むが、これに限定されない。
【0178】 タンパクポピュレーションは、種々の周知の技術、例えばゲル電気泳動などに
より解析することができる。細胞タンパクは、例えば細胞溶解または抽出により
得られ、種々の電気泳動技術を用いて互いに分離することができる。ドデシル硫
酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)は、タンパ
クをその分子量に基づいて大部分分離する。等電点のポリアクリルアミドゲル電
気泳動(IEF−PAGE)は、タンパクをその等電点(アミノ酸配列を反映す
るのみならずタンパクの後翻訳修飾も反映する)により分離する。他の、さらに
好ましいタンパク解析の方法は、2−D−ゲル電気泳動(例えばHermann et al.
(1998) Electrophoresis 19: 3217-3221; Fountoulakis et al. (1998) Electr
ophoresis 19: 1193-1202; Langen et al. (1997) Electrophoresis 18: 1184-1
192; Antelmann et al. (1997) Electrophoresis 18: 1451-1463に記載されてい
る)として知られるIEF−PAGEとSDS−PAGEの連続する組み合わせ
である。他の分離技術、例えばキャピラリーゲル電気泳動などもタンパクの分離
に利用することができ、このような技術は、周知である。
【0179】 これらの方法論により分離されたタンパクは、標準的な技術、例えば染色また
はラベリングにより可視化することができる。適当な染色は公知であり、Coomas
sie ブリリアントブルー、銀染色、蛍光染料、例えばSypro Ruby(M
olecular Probes)を含む。C.glutamicumの媒体中にある、放射
性物質によりラベルされたアミノ酸またはその他のタンパク前駆体(例えば35 S−メチオニン、35S−システイン、14C−ラベルされたアミノ酸、15
−アミノ酸、15NOまたは15NH またはC13ラベルされたアミノ酸
)の含有物は、分離に先立ってこれらの細胞からタンパクをラベルすることを可
能とする。同様に、蛍光ラベルを使用することができる。これらのラベルされた
タンパクは、抽出され、単離され、前述した技術に従って分離される。
【0180】 これらの技術により可視化されたタンパクはさらに、使用された染料またはラ
ベルの量を測定することにより解析することができる。得られたタンパクの量は
、定量的に、例えば光学的方法を用いて決定することができ、同様のゲルまたは
他のゲル中の他のタンパクの量と比較することができる。ゲル上のタンパクの比
較は、例えば光学的比較、分光学的、ゲルのイメージスキャンおよび解析、また
は写真フィルムおよびスクリーンの使用を通じて行なうことができる。このよう
な技術は周知である。
【0181】 得られたタンパクを同定するために、直接シーケンスまたは他の標準的な技術
を使用することができる。例えば、N−および/またはC末端アミノ酸シーケン
ス(例えばエドマン分解)を、マススペクトロメトリー(特にMALDIまたは
ESI技術(例えばLangen et al. (1997) Electrophoresis 18: 1184-1192参照
))として使用することができる。ここで提供されたタンパク配列を、これらの
技術によりC.glutamicumタンパクの同定のために使用することができる。
【0182】 これらの方法により得られた情報は、タンパクの存在、活性、種々の生物学的
条件(例えば、異なった生物、発酵の時点、媒体条件、または異なったビオトー
プ、その他)からの異なったサンプルの間の修飾の様式の比較に使用することが
できる。このような実験から単独で、または他の技術との組み合わせにより得ら
れたデータは、様々な適用、例えば与えられた(例えば代謝的)状況にある種々
の生物の挙動の比較、ファインケミカルを産出する株の生産性の上昇、またはフ
ァインケミカルの製造の効率の上昇などに使用することができる。
【0183】 同等物 当業者は、わずかの型にはまった実験を用いて、ここに記載された発明の特定
の態様に対する多くの同等物を認識するか、確認することができるであろう。こ
のような同等物は、請求の範囲に含まれる。
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 5/10 C12P 13/04 C12P 1/04 21/02 C 13/04 C12Q 1/04 21/02 1/68 A C12Q 1/04 G01N 33/53 M 1/68 33/569 F G01N 33/53 37/00 102 33/569 C12R 1:16 37/00 102 1:13 //(C12N 1/21 1:15 C12R 1:16) C12N 15/00 ZNAA (C12P 1/04 5/00 A C12R 1:13) (C12P 1/04 C12R 1:15) (C12P 13/04 C12R 1:13) (C12P 13/04 C12R 1:15) (C12P 21/02 C12R 1:15) (C12Q 1/04 C12R 1:15) (C12Q 1/68 C12R 1:15) (31)優先権主張番号 199 30 429.7 (32)優先日 平成11年7月1日(1999.7.1) (33)優先権主張国 ドイツ(DE) (31)優先権主張番号 199 31 541.8 (32)優先日 平成11年7月8日(1999.7.8) (33)優先権主張国 ドイツ(DE) (31)優先権主張番号 199 31 413.6 (32)優先日 平成11年7月8日(1999.7.8) (33)優先権主張国 ドイツ(DE) (31)優先権主張番号 199 31 457.8 (32)優先日 平成11年7月8日(1999.7.8) (33)優先権主張国 ドイツ(DE) (31)優先権主張番号 199 32 230.9 (32)優先日 平成11年7月9日(1999.7.9) (33)優先権主張国 ドイツ(DE) (31)優先権主張番号 199 32 209.0 (32)優先日 平成11年7月9日(1999.7.9) (33)優先権主張国 ドイツ(DE) (31)優先権主張番号 199 32 914.1 (32)優先日 平成11年7月14日(1999.7.14) (33)優先権主張国 ドイツ(DE) (31)優先権主張番号 60/151,214 (32)優先日 平成11年8月27日(1999.8.27) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 199 40 764.9 (32)優先日 平成11年8月27日(1999.8.27) (33)優先権主張国 ドイツ(DE) (31)優先権主張番号 199 41 382.7 (32)優先日 平成11年8月31日(1999.8.31) (33)優先権主張国 ドイツ(DE) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,UZ,VN,YU, ZA,ZW (72)発明者 シュレダー,ハルトヴィッヒ ドイツ、D−69226、ヌスロッホ、ゲーテ シュトラーセ、5 (72)発明者 ツェルダー,オスカル ドイツ、D−67346、シュパイァ、ロスマ ルクトシュトラーセ、27 (72)発明者 ハーバーハウエル,グレーゴル ドイツ、D−67117、リムブルガーホーフ、 モーゼルシュトラーセ、42 (72)発明者 リー,ホイング−シック 大韓民国、136−701、ソウル、サングブッ ク−グ、アナム ドング、韓国大学大学院 生命工学専攻 (72)発明者 キム,ヒュング−ユーン 大韓民国、136−701、ソウル、サングブッ ク−グ、アナム ドング、韓国大学大学院 生命工学専攻 Fターム(参考) 4B024 AA03 AA05 AA13 AA20 BA72 BA73 BA74 BA75 CA03 CA04 CA07 CA09 CA12 DA10 EA04 FA15 GA14 GA21 HA01 HA12 4B063 QA01 QA18 QA19 QQ03 QQ06 QQ43 QR39 QR48 QR56 QS34 4B064 AB07 AD01 AE03 AF01 AF27 AG01 CA02 CC24 DA10 DA13 DA15 4B065 AA24X AA24Y AA26X AA57X AA58X AA72X AA83X AA87X AB01 BA02 BA03 BA10 CA05 CA10 CA13 CA19 CA23 CA24 CA27 CA41 CA43 CA44 CA46 CA50 4H045 AA10 AA20 AA30 BA09 BA41 CA11 EA01 EA50 FA74

Claims (38)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】核酸分子が表1に記載されたF−指示遺伝子のいずれも含まな
    い、ストレスに対する耐性、耐性または寛容性を有する遺伝子をコードするコリ
    ネバクテリウム−グルタミカムから単離された核酸分子またはその一部。
  2. 【請求項2】前記ストレスに対する耐性、耐性または寛容性を有する遺伝子
    が、温度ストレス、pHストレス、酸素ストレス、浸透圧ストレス、有害化合物
    、酸素ラジカル、抗生物質、またはリンコマイシンに対するストレス応答、寛容
    性または耐性に関与する核酸分子からなる群から選択された請求項1に記載の単
    離された核酸分子。
  3. 【請求項3】核酸分子が表1に記載されたF−指示遺伝子のいずれも含まな
    い、配列表の奇数の番号付けがされた配列番号(SEQ ID NO)に示された配列から
    なる群より選択された、単離されたコリネバクテリウム−グルタミカムの核酸分
    子またはその一部。
  4. 【請求項4】核酸分子が表1に記載されたF−指示遺伝子のいずれも含まな
    い、配列表の偶数の番号付けがされた配列番号(SEQ ID NO)に示された配列から
    なる群より選択されたポリペプチド配列をコードする単離された核酸分子。
  5. 【請求項5】核酸分子が表1に記載されたF−指示遺伝子のいずれも含まな
    い、配列表の偶数の番号付けがされた配列番号(SEQ ID NO)に示された配列から
    なるアミノ酸配列の群から選択された、ポリペプチドの自然に発生する対立性変
    異体をコードする単離された核酸分子。
  6. 【請求項6】核酸分子が表1に記載されたF−指示遺伝子のいずれも含まな
    い、配列表の奇数の番号付けがされた配列番号(SEQ ID NO)に示された配列から
    なる群より選択されたヌクレオチド配列に対し、少なくとも50%の相同性を持
    つヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子またはその一部。
  7. 【請求項7】核酸分子が表1に記載されたF−指示遺伝子のいずれも含まな
    い、配列表の奇数の番号付けがされた配列番号(SEQ ID NO)に示された配列から
    なる群より選択されたヌクレオチド配列を含み、少なくとも15個のヌクレオチ
    ドの核酸フラグメントを含む、単離された核酸分子。
  8. 【請求項8】緊縮条件下で請求項1から7のいずれかに記載の核酸分子とハ
    イブリダイズする単離された核酸分子。
  9. 【請求項9】請求項1から8のいずれかに記載の核酸分子またはその部分、
    および異種ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸。
  10. 【請求項10】請求項1から9のいずれかに記載の核酸分子を含むベクター
  11. 【請求項11】発現ベクターである、請求項10に記載のベクター。
  12. 【請求項12】請求項11に記載の発現ベクターによりトランスフェクショ
    ンされた宿主細胞。
  13. 【請求項13】前記細胞が微生物である請求項12に記載の宿主細胞。
  14. 【請求項14】前記細胞が、コリネバクテリウム属またはブレビバクテリウ
    ム属に属する請求項13に記載の宿主細胞。
  15. 【請求項15】前記核酸分子の発現により、前記細胞からのファインケミカ
    ルの製造が調節される請求項12に記載の宿主細胞。
  16. 【請求項16】ファインケミカルが、有機酸、タンパク原アミノ酸および非
    タンパク原アミノ酸、プリンおよびピリミジン塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチ
    ド、脂質、飽和および不飽和の脂肪酸、ジオール、炭水化物、芳香族化合物、ビ
    タミン、補助因子、ポリケチド、および酵素からなる群より選択される請求項1
    5に記載の宿主細胞。
  17. 【請求項17】適当な培地中で請求項12に記載の宿主細胞を培養し、これ
    によりポリペプチドを製造することを含む、ポリペプチドの製造方法。
  18. 【請求項18】コリネバクテリウム−グルタミカム由来の単離されたストレ
    スに対する耐性、耐性または寛容性を有するポリペプチドまたはその一部。
  19. 【請求項19】ストレス、耐性または寛容性ポリペプチドが、温度ストレス
    、pHストレス、酸素ストレス、浸透圧のストレス、有害化合物、酸素ラジカル
    、抗生物質、またはリンコマイシンに対するストレス応答、寛容性または耐性に
    含まれるタンパクからなる群から選択された、請求項18に記載のタンパク質。
  20. 【請求項20】アミノ酸配列が、表1に記載されたF−指示遺伝子のいずれ
    によってもコードされていない、配列表の偶数の番号付けがされた配列番号(SE
    Q ID NO)に示された配列からなる群より選択されたアミノ酸配列を含む、単離さ
    れたポリペプチド。
  21. 【請求項21】アミノ酸配列が、表1に記載されたF−指示遺伝子のいずれ
    によってもコードされていない、配列表の偶数の番号付けがされた配列番号(SE
    Q ID NO)に示された配列からなる群より選択されたアミノ酸配列を含むポリペプ
    チドの、自然に発生する対立性変異体を含む単離されたポリペプチドおよびその
    部分。
  22. 【請求項22】さらに異種アミノ酸配列を含む、請求項18から21のいず
    れかに記載の単離されたポリペプチド。
  23. 【請求項23】核酸分子が表1に記載されたF−指示遺伝子のいずれも含ま
    ない、配列表の奇数の番号付けがされた配列番号(SEQ ID NO)に示された配列か
    らなる群より選択された核酸に対し、少なくとも50%の相同性を持つヌクレオ
    チド配列を含む核酸分子によりコードされた単離されたポリペプチド。
  24. 【請求項24】アミノ酸配列が、表1に記載されたF−指示遺伝子のいずれ
    によってもコードされていない、配列表の偶数の番号付けがされた配列番号(SE
    Q ID NO)に示された配列からなる群より選択されたアミノ酸配列に対し、少なく
    とも50%の相同性を持つアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチド。
  25. 【請求項25】請求項12に記載のベクターを含む細胞を培養してファイン
    ケミカルを製造する、ファインケミカルの製造方法。
  26. 【請求項26】さらに培養物からファインケミカルを回収する工程を含む、
    請求項25に記載の方法。
  27. 【請求項27】さらに請求項11に記載のベクターで細胞をトランスフェク
    ションし、ベクターを含む細胞を得る工程を含む請求項25に記載の方法。
  28. 【請求項28】細胞が、コリネバクテリウム属またはブレビバクテリウム属
    に属する、請求項25に記載の方法。
  29. 【請求項29】当該細胞が、コリネバクテリウム−グルタミカム, コリネバ
    クテリウム−ヘルキュリス、コリネバクテリウム−リリウム、コリネバクテリウ
    ム−アセトアシドフィリウム、コリネバクテリウム−アセトグルタミカム、コリ
    ネバクテリウム−アセトフィリウム、コリネバクテリウム−アンモニアゲン、
    コリネバクテリウム−フジオケンス、コリネバクテリウム−ニトリロフィリウス
    、 ブレビバクテリウム−アンモニアゲン、ブレビバクテリウム−ブタニカム、
    ブレビバクテリウム−ジバリカツム、ブレビバクテリウム−フラビン、ブレビバ
    クテリウム−ヘアリ、ブレビバクテリウム−ケトグルタミカム、ブレビバクテリ
    ウム−ケトソレダクタアム、ブレビバクテリウム−ラクトフェルメンツム、ブレ
    ビバクテリウム−リネンス、ブレビバクテリウム−パラフィノリツカム、および
    表3に記載の株からなる群より選択される、請求項25に記載の方法。
  30. 【請求項30】前記ベクターによる核酸分子の発現により、前記ファインケ
    ミカルの製造の調節される請求項25に記載の方法。
  31. 【請求項31】当該ファインケミカルが、有機酸、タンパク質原アミノ酸お
    よびタンパク質原アミノ酸、プリンおよびピリミジン塩基、ヌクレオシド、ヌク
    レオチド、脂質、飽和および不飽和の脂肪酸、ジオール、炭水化物、芳香族化合
    物、ビタミン、共同因子、ポリケチド、および酵素からなる群より選択される、
    請求項25に記載の方法。
  32. 【請求項32】ファインケミカルがアミノ酸である、請求項25に記載の方
    法。
  33. 【請求項33】アミノ酸が、リジン、グルタマート、グルタミン、アラニン
    、アスパルタート、グリシン、セリン、トレオニン、メチオニン、システイン、
    バリン、ロイシン、イソロイシン、アルギニン、プロリン、ヒスチジン、チロシ
    ン、フェニルアラニン、およびトリプトファンから成る群より選択される、請求
    項32に記載の方法。
  34. 【請求項34】請求項1から9のいずれかに記載の核酸分子の含有によって
    ゲノムDNAが変異した細胞を培養する工程を含むファインケミカルの製造方法
  35. 【請求項35】配列が表1に記載のF−指示配列のいずれでもなく、F−指
    示配列のいずれにもコードされていない、配列表の1から304の配列番号(SE
    Q ID NO)の1種以上の存在を患者から検出する工程を含み、これにより患者のコ
    リネバクテリウム−ジフテリアの存在または活性を診断する、コリネバクテリウ
    ム−ジフテリアの存在または活性を診断する方法。
  36. 【請求項36】配列表の奇数の番号付けがされた配列番号(SEQ ID NO)に示
    された核酸分子からなる群より選択される核酸分子を含み、核酸分子が混乱して
    いる宿主細胞。
  37. 【請求項37】配列表の奇数の番号付けがされた配列番号(SEQ ID NO)に示
    された核酸分子からなる群より選択される核酸分子を含み、核酸分子が配列表の
    奇数の番号付けがされた配列番号に示された配列からの1個以上の核酸の修飾を
    含む宿主細胞。
  38. 【請求項38】配列表の奇数の番号付けがされた配列番号(SEQ ID NO)に示
    された核酸分子からなる群より選択される核酸分子を含み、核酸分子の調節領域
    が、分子の野生型の調節領域と関連して修飾されている宿主細胞。
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