JP2003523820A - フィルターカートリッジおよびブロワホイールとフィルターカートリッジとの組合せ - Google Patents

フィルターカートリッジおよびブロワホイールとフィルターカートリッジとの組合せ

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Abstract

(57)【要約】 フィルターカートリッジは、中央開口部とフィルター媒体を収めた複数の隔室と隔室間の空間とを備える略環状円筒を形成するメッシュ構造物を備える。隔室間の空間は、フィルター媒体が飽和状態にあるときでさえも空気の流れを可能にする実質的に妨げられない空気流路を構成する。濾過システムは、ブロワホイールとフィルターカートリッジの組合せよりなり、それにより、フィルターカートリッジはブロワホイールと連係して回転する。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】 発明の分野 本発明は、ＨＶＡＣシステムにおいてブロワホイールに解除自在に取り付ける
ことができる濾過システムに関する。特に、本発明は、フィルター媒体を収める
複数の隔室を備え、更にフィルター媒体が飽和状態にあるときでさえも高流量を
維持できる、複数の実質的に妨げられていない空気流路を備えたフィルターカー
トリッジに関する。
【０００２】 発明の背景 大気の質に関する関心が高まるに連れて、建物や車両用のＨＶＡＣ（暖房・換
気・冷房）システムのような、既存および新規の空気循環システムの濾過容量を
高めるための革新的な解決策が求められている。例えば、ほとんどの車両のＨＶ
ＡＣシステムは、エアフィルターを備えていない。大抵の場合、これらのＨＶＡ
Ｃシステムにフィルターを組み込むため最小限の空間がある。更に、空気吸引用
フィルターに加えて、乗客隔室内の空気循環用の第二フィルターが必要なことも
あろう。新しい車両の場合でさえ、ＨＶＡＣシステム内の空間は貴重であり、適
当なフィルター用スペースを確保することが困難な製造者もいる。
【０００３】 フィルター用の十分なスペースを見出すことが困難であることに加えて、殆ど
のフィルター媒体には、機能不全という問題がある。時間の経過に連れて、環境
汚染物質がフィルター内に蓄積されて、一般的に、空気循環システムの空気流量
が低下する。フィルター媒体を定期的に交換しないと、フィルターでの空気静圧
低下量が増大し、空気循環システムの効率が低下する。フィルターに環境汚染物
質が蓄積すると、ＨＶＡＣシステムの霜取りシステムの運転のための空気流量が
不十分になるなど、安全が脅かされることもあろう。
【０００４】 車両のＨＶＡＣシステムにエアフィルターを組み込む方法が米国特許第５，６
８３，４７８号（Ａｎｏｎｙｃｈｕｋ）に開示されている。このエアフィルター
は、ブロワモーター・アセンブリー内のキャビティの中にぴったり合うようなサ
イズと形状を与えられている。エアフィルターの底部に外向きに延びる縁が設け
られていて、自動車のファンの下方のリムに固定される。ブロワモーター・アセ
ンブリーのファンは、静止フィルターの回りを回転する。空気流を妨げることな
くして濾過効率を確保することの必要性を米国特許第５，６８３，４７８号は認
識しているが、環境汚染物質がフィルターに蓄積すると、必然的に空気流量が低
下する。フィルターエレメントの機能不全によって、ブロワモーター・アセンブ
リー内の空気流量が許容限度を超えて低下することもあろう。
【０００５】 米国特許第５，２６５，３４８号（Ｆｌｅｉｓｈｍａｎ等）は、騒音を低減せ
しめるために、ロータリーファンの上に回転する泡状物質を用いることを開示し
ている。
【０００６】 ブロワホイール用の様々なフィルターが同一出願者による米国特許出願第０９
／１２６，１８９号「ＨＶＡＣ適用のための濾過システム」、第０９／１２６，
１９０号「可動吸着剤フィルター装置」、第０９／１２６，１８１号「流路付き
フィルターエレメントを備えた可動フィルター装置および空気濾過方法」（３件
とも１９９８年７月３０日に出願）に開示されている。
【０００７】 発明の要約 本発明は、ＨＶＡＣシステムのブロワホイールに取り付けることができる濾過
システムに関する。本発明の濾過システムは、特に、ＨＶＡＣシステムにフィル
ターを備えていない車両の客室の空気を濾過するに有用である。ブロワの運転中
に、ブロワホイールと共にフィルターカートリッジが動いて、それによって濾過
効率が高められる。本発明の可動フィルターカートリッジは、殆どの既存のブロ
ワホイールに組み込むことができる。このフィルターカートリッジは、ブロワホ
イールの外周または内周に脱着できる。
【０００８】 本発明の濾過システムの利点は、殆どの既存の車両の中に組み込めることであ
る。殆どの車両がブロワホイールを備えているので、本発明のフィルターカート
リッジを取り付けるスペースが存在している。他方、空きスペースが限られてい
るので、従来の客室用エアフィルターを車両に取り付けることは困難である。フ
ィルターカートリッジをブロワホイールに取り付けることによって、ＨＶＡＣシ
ステムに取り入れられる外部空気とＨＶＡＣシステム内の循環空気の両方を濾過
することができる。殆どの客室エアフィルターは、空気が車両に取り入れられる
時にのみ、同空気を濾過する。
【０００９】 本発明のフィルターカートリッジは、フィルター媒体を収める複数の隔室を備
え、更にフィルター媒体に完全に大気汚染物質が集積した状態においても高流量
を維持できるようなサイズ、密度、形状の空気流路を備えている。フィルターカ
ートリッジの回転運動によって、空気が流路を通過する時に、隔室内のフィルタ
ー媒体から空気に衝撃が与えられる。流路故の濾過効率の損失の幾分かは、ブロ
ワホイールと共にフィルターカートリッジが運動することによる効率の利得によ
って補われる。
【００１０】 本発明の濾過システムは、ブロワホイールと連係して回転する。ブロワホイー
ルは、ブロワのキャビティの周りに間隔を置いて、放射状に配置された複数のフ
ァンの羽根を有している。ブロワホイールは、回転中、ブロワのキャビティから
ファンの羽根を通過して外側へ放射状に延びる流路を形成する。本発明の濾過シ
ステムは、ブロワホイールの空気流量を低減でき、それによって電動機の電力消
費量を低減できる。電力と流量の関係は、三次関数である。負荷（即ち、電力消
費量）を低減することによって、電動機の寿命が延びる。
【００１１】 一実施形態においては、フィルターカートリッジが概して環状の円筒を構成す
るメッシュ構造物を備えている。この概して環状の円筒は、中央開口部、フィル
ター媒体を収めた複数の隔室、隔室間の空間から成っている。これらの隔室間空
間は、実質的に妨げられていない空気流路を構成しており、フィルター媒体が飽
和状態にある時にも、これらの空気流路を空気が流れることができる。
【００１２】 隔室が放射状に、中央開口部の中に延在してもよい。一実施形態においては、
隔室が一つ又は複数のメッシュ層における畝または襞の一つから成っている。隔
室がファンの羽根として動作するように形作られてもよい。典型的な隔室は、別
個のポケットである。典型的なメッシュは、エキスパンデッドメタルの網である
。一実施形態においては、メッシュ材が環状円筒の上端の開口部を横断して延在
している。フィルター媒体は、エレクトレット帯電媒体、微粒子状媒体、吸着剤
媒体、炭素集塊、またはそれらの組合せからなる群から選択できる。
【００１３】 フィルターカートリッジは、少なくとも一つの端部キャップを備えている。任
意選択によって、一つの空気流路が少なくとも一つの端部キャップを通過して延
在してもよい。端部キャップに重量平衡化キャビティおよび／又は取り外し可能
な重量平衡化タブが備えられてもよい。
【００１４】 別の実施形態においては、フィルターカートリッジが複数の隆起部を有する第
１メッシュ層および第１メッシュ層と係合する第２メッシュ層から成り、隆起部
が隔室を構成している。フィルター媒体が隔室内に保持されている。隔室間の空
間が実質的に妨げられていない空気流路を構成しており、フィルター媒体に大気
汚染物質が完全に集積した時にも、これらの空気流路に空気が流れる。ディーゼ
ルエンジンの排気ガス、自動車の排気ガス、都市の臭いや農園の臭い、一酸化炭
素、オゾンなどの臭いやガスを空気から除去する活性炭素やその他の吸着性物資
のような集塊状炭素またはその他のフィルター媒体を本発明のフィルター媒体と
して用いることが好ましい。
【００１５】 発明の詳細な説明 図１、図１ａ、図２ａは、本発明のフィルターカートリッジ２０の例図である
。フィルターカートリッジ２０は、内部フィルター面２４を画成する第１メッシ
ュ層２２および外部フィルター面２８を画成する第２メッシュ層２６を有してい
る。第１メッシュ層２２は、フィルターカートリッジ２０の中央開口部３２の中
へ突出する複数の隆起部３０を有している。第１メッシュ層２２の隆起部３０の
間の間隙または空間３４が第２メッシュ層２６と境を接しており、かくて隆起部
３０が複数の隔室４０を形成している。隔室４０にフィルター媒体４２が充填さ
れることが好ましい（図１ａを参照）。図示されている実施形態においては、各
隔室４０が隣接する隔室と通じ合っていない、分離しているポケットの範囲を画
成している。代替的な実施形態においては、第２メッシュ層を無くして、一枚の
メッシュ層によって隔室４０が構成されてもよい。
【００１６】 隔室４０の間の間隙または空間３４が空気流路４４を構成している。この空気
流路４４がフィルターカートリッジ２０の高い初期空気流量を確保する。当該空
気流量は、時間の経過と共に低下するものではない。即ち、フィルター媒体４２
が飽和状態にあっても、空気流路４４は実質的に妨げられない。
【００１７】 フィルターカートリッジ２０は、上部キャップ５０と底部キャップ５２を有し
ている。図２ａに最もよく示されているように、これらのキャップ５０、５２は
、第１メッシュ層２２と第２メッシュ層２６を一緒にしっかりと固定している。
これらのキャップ５０、５２は、フィルター媒体４２をフィルターカートリッジ
２０の中に保持するためにも用いることができる。これらのキャップ５０、５２
は、プラスチゾルなどの様々な材料で構成され得る。プラスチゾル又はその他の
弾性材で構成された柔軟なキャップは、フィルターカートリッジ２０の適合性を
高め、そしてブロワホイールとの摩擦嵌合いを可能にする。
【００１８】 第１メッシュ層２２と第２メッシュ層２６は、様々なポリマーや金属の網やス
クリムで構成できる。図１の実施形態においては、第１メッシュ層２２と第２メ
ッシュ層２６がエキスパンデッドメタルで構成されている。第１メッシュ層２２
と第２メッシュ層２６は、約７０％以上の実質的な開口面積を有している。第１
メッシュ層２２のギャップ３４と第２メッシュ層２６の間の接触面３３は、接着
剤やスポット溶接やその他の様々な手法で接合できる。
【００１９】 ばらの粒子状のフィルター媒体４２を用いる場合は、第１メッシュ層２２と第
２メッシュ層２６の開口のサイズ又は直径が粒子の最小寸法より小さいことが好
ましい。あるいは、塊状炭素を隔室４０に入れ、熱固化して、ユニット化された
吸着塊を形成してもよい。その結果として、第１メッシュ層２２と第２メッシュ
層２６の開口面積を劇的に広げることができる。本発明のフィルターカートリッ
ジ２０に使用するのに適した成型炭素粒子集塊が米国特許第５，３３２，４２６
号（Ｔａｎｇ等）に開示されている。
【００２０】 図１ｂには、第１メッシュ層２２’の輪郭に沿うウェブ３５’を有するフィル
ターカートリッジ２０’の代替的実施形態が例示されている。ウェブ３５’は、
フィルター媒体４２’を隔室４０’内に保持するのを助ける粒子用フィルター又
はスクリムであってもよい。例えば、ウェブ３５’は、隔室４０’内にばら状態
の炭素を保持するに有用であろう。フィルター媒体４２’が隔室４０’から漏れ
るのを防止することは、使用中にフィルターカートリッジ２２’が重量的に不平
衡になるのを防ぐために重要である。別の実施形態においては、ウェブ３５’が
隔室４０’のほぼ中央に配された粒子用フィルターであって、フィルター媒体４
２’によって実質的に取り囲まれている。更に別の実施形態においては、ウェブ
３５’が第１メッシュ層２２’の外側表面上に配されている。
【００２１】 フィルターカートリッジ２０’は、様々な技法を用いて構成できる。例えば、
隆起部３０’の形成前または形成後に、第１メッシュ層２２’にウェブ３５’を
接合するか又はウェブ３５’の薄層を貼り付けることができる。一旦、隆起部３
０’が形成されると、ウェブ３５’の、間隙３４’に沿う部分が機械的にあるい
は熱的処理によって除去される。その結果として、第２メッシュ層２６’が第１
メッシュ層２２’に対して直接的に配置される。かくて、空気流路４４’がウェ
ブ３５’によって実質的に妨げられることがない。別の実施形態においては、ウ
ェブ３５’が十分に多孔性であることを条件として、ウェブ３５’の、間隙３４
’に沿う部分が除去されない。即ち、ウェブ３５’がフィルターカートリッジ２
０’の周りに連続的な層を形成し得る。
【００２２】 図２ｂには、一つ又は複数の空気流路８０、８１を有し、上部キャップ７２を
備えた代替的なフィルターカートリッジ７０の断面が示されている。空気流路８
０は、フィルターカートリッジ７０の上部メッシュ材７４と外部メッシュ層８４
を通っている。空気流路８１は、内部メッシュ７７と外部メッシュ８４を通って
いる。上部キャップ７２は、外部メッシュ層８４を上部メッシュ材７４にしっか
りと固定する弾性材で構成される。フィルターカートリッジ７０の構造上の完全
さを高めるために、内部メッシュ層７７の回りに巻き付けられ、そして同層７７
に任意選択的にくっつけられているタブ７５を上部メッシュ材７４が備えている
。
【００２３】 図２ｃには、実質的に図２ｂに示されているような、一つ又は複数の空気流路
８０’、８１’を有し、上部キャップ７２’を備えた代替的なフィルターカート
リッジ７０’の断面が示されている。空気流路８０は、フィルターカートリッジ
７０’の上部メッシュ材７４’と外部メッシュ層８４’を通っている。上部キャ
ップ７２’は、外部メッシュ層８４’を上部メッシュ材７４’にしっかりと固定
する。図２ｃの実施形態において、フィルターカートリッジ７０’内に漂積物が
溜まるのを防止するために、上部メッシュ材７４’は中央開口部８６を横断して
延在する。
【００２４】 図３は、本発明のフィルターカートリッジ１００とブロワシステム（概略）１
０４の分解図である。フィルターカートリッジは、内部メッシュ層１１２と外部
メッシュ層１１４を備えているが、端部キャップを備えていない。図３の実施形
態において、摩擦、接着剤および／又はその他の様々なメカニズムによってフィ
ルター媒体（図示せず）が隔室内に保持されている。例えば、スクリム又はその
他の多孔性材料で構成された小袋または袋の中にフィルター媒体を保持できる。
【００２５】 外部フィルター表面１０８とブロワホイール１０２のファンの羽根１１０が摩
擦嵌合するように、フィルターカートリッジ１００をブロワのキャビティ１０６
内に配することができる。あるいは、クリップ、フック、フック／ループ式ファ
スナーおよび／又は保持タブなどの機械的なファスナーを含む、能動的な取り外
し可能な固定手法によって、フィルターカートリッジ１００をブロワホイール１
０２に対して保持してもよい。
【００２６】 ブロワホイール１０２と取り付けられたフィルターカートリッジ１００が回転
すると、ファンの羽根１１０が減じられた圧力条件を作り出し、空気が流路１１
６に沿って中央開口部１１８の中へ引き込まれる。圧力差によって、空気がフィ
ルターカートリッジ１００を通して吸い込まれ、そしてファンの羽根１１０を通
して放射状に外部へ、ハウジング１２０の中へと吐き出される。ハウジング１２
０内の圧力が高まると、空気出口１２２を通過する流路１１６’に沿って空気が
続く。
【００２７】 本発明のフィルターカートリッジ１００は、米国特許第５，６８３，４７８号
（Ａｎｏｎｙｃｈｕｋ）に開示されているようなＨＶＡＣシステム用の在来型イ
ンライン・フィルターとして用いられてもよい。あるいは、図３に示されている
ように、フィルターカートリッジ１００をブロワホイール１０２に取り付けても
よい。ブロワホイール１０２は、概して如何なる籠形回転子や遠心回転子などで
あってもよい。１９９８年６月３０日に出願された、同一出願人による米国特許
第０９／１２６，１８９号「ＨＶＡＣ適用のための濾過システム」に開示されて
いるように、クリップまたはファスナーを用いてフィルターカートリッジ１００
をブロワホイール１０２に取り付けてもよい。フィルターカートリッジ１００の
高さは概してブロワホイール１０２の高さに等しい。フィルターカートリッジ１
００の高さがブロワホイール１０２のそれより小さい実施形態においては、高さ
の隔たり部分が流路を画成し、当該流路によってブロワシステム１０４を流れる
空気の一部がフィルターカートリッジ１００を迂回する。
【００２８】 図４は、ブロワホイール１３２に係合している、本発明のフィルターカートリ
ッジ１３０の断面図である。矢印１３１は、ブロワホイール１３２とフィルター
カートリッジ１３０のアセンブリーの回転方向を示している。成形された内部メ
ッシュ層１３４は、間隙１４０によって分け隔てられた一連の隆起部１３６を有
している。放射状の隔室１４４を形成すべく、外部メッシュ層１３８が内部メッ
シュ層１３４に対向して配されている。外部メッシュ層１３８に境を接する隆起
部１３６によって形成された放射状隔室１４４の中にフィルター媒体１４２が配
されている。隔室１４４の数は、ブロワホイール１３２の羽根の数と同じでも、
以上でも、以下でもよい。
【００２９】 間隙１４０がフィルターカートリッジ１３０を通る空気流路１４６を形成して
いる。その結果として、フィルター媒体１４２が飽和状態であるときに、実質的
に妨げられていない空気流路１４６がフィルターカートリッジ１３０を通過する
十分な空気流量を維持する。フィルターカートリッジ１３０は、ブロワホイール
１３２の外周または内周に、解除可能に取り付けられる（図６と図６ａ）。
【００３０】 図５は、ブロワホイール１６２に係合している、本発明の代替的フィルターカ
ートリッジ１６０の断面図である。矢印１６１は、ブロワホイール１６２とフィ
ルターカートリッジ１６０のアセンブリーの回転方向を示している。図５の実施
形態において、内部メッシュ層１６６内に形成された隆起部１６４が傾いており
、その結果、隔室１６５がファンの羽根１６８の延長部として機能する。フィル
ターカートリッジ１６０と直角を成す軸１６３に対する約４５度未満の傾斜角１
６７に隆起部１６４を傾斜させてもよい。幾つかの適用においては、軸１６３に
対する−４５度の傾斜も可能である。フィルターカートリッジ１６０がブロワホ
イール１６２の外周に取り付けられる実施形態においては、傾斜角１６７が逆に
なる（フィルターカートリッジ１６０が裏返される）。
【００３１】 車両の客室を効果的に暖房あるいは冷房するには、ブロワシステムの高い空気
流量を維持することが極めて重要である。隆起部１６４の形状と傾斜がフィルタ
ーカートリッジ１６０とブロワホイール１６２を通過する空気流量を高める。図
５の実施形態において、隆起部１６４がファンの羽根１６８に対して中心線が揃
えられ、同期化されている。例４で論じられるように、ファンの羽根１６８に対
して隆起部１６４を同期させなくても、即ちオフセットしても、空気流量が大幅
に低下することはない。
【００３２】 図６は、ブロワホイール１８２に係合している、本発明の代替的フィルターカ
ートリッジ１８０の断面図である。図６の実施形態は、隆起部１８４が外部メッ
シュ層１８６上に形成されていることを除いて、図４の実施形態と概して一致す
る。隆起部１８４を取り囲んで隔室１８９を形成する内部メッシュ層１８８は、
円筒状である。代わりの実施形態においては、外部メッシュ層１８６上の隆起部
１８４に中心線が揃えられるか又は揃えられていない隆起部を内部メッシュ層１
８８が備えていてもよい。
【００３３】 図６ａは、ブロワホイール１８２’の外周に係合している、本発明の代替的フ
ィルターカートリッジ１８０’の断面図である。隆起部１８４’が外部メッシュ
層１８６’上に形成されている。内部メッシュ層１８８’が隆起部１８４’を取
り囲んで隔室１８９’を形成し、そしてブロワホイール１８２’の外周と係合し
ている。
【００３４】 図７は、ブロワホイール１９２に係合している、本発明のフィルターカートリ
ッジ１９０の平面図である。上部キャップ１９４は一連の取り外し可能な重量平
衡化タブ１９６を備えており、ブロワホイール１９２とフィルターカートリッジ
１９０のアセンブリーを平衡させるために、これらのタブ１９６を刈り込むかあ
るいは完全に取り外すことができる。あるいは、上部キャップ１９４に既知の量
の、複数のギャップ１９８が設けられてもよい。ギャップ１９８の中に既知の密
度の物質を堆積させることによって、同様に平衡化できる。
【００３５】 フィルター媒体として好ましい物質は、好ましいレベルの気体透過性を有し、
また同時に粒子および／又は煙霧質の透過または通過に対する実用的なレベルの
抵抗性を有する物質である。粒子および／又は煙霧質の透過または通過に対する
抵抗は、粒子の保持（濾過）を確定することによって測定され、そしてＡＮＳＩ
規格ＡＣ−１−１９８８に定義されている清浄空気配送率（ＣＡＤＲ）として表
現できる。
【００３６】 フィルター媒体は、紙、熱可塑性または熱硬化性物質の多孔性フィルム、合成
または天然繊維の不織ウェブ、スクリム、織物または編み物、泡状物質、エレク
トレット、静電気帯電物質であってよい。フィルター媒体が吸着剤、触媒および
／又は活性炭素（細粒、繊維、織物、成形物）を含んでもよい。再発行米国特許
第Ｒｅ．３０，７８２号に記述されている微小繊維化帯電スプリットファイバー
でエレクトレット・フィルターウェブを構成してもよい。従来の手法を用いて、
これらの帯電繊維で不織ウェブを構成でき、また米国特許第５，２３０，８００
号に開示されているように、任意選択によって、これらの帯電繊維を支持スクリ
ムに結合して、外部支持層を形成してもよい。この支持スクリムは、スパンボン
ド・ウェブ、網細工、クラフ・ウェブなどであってよい。あるいは、不織繊維状
フィルターウェブが米国特許第４，８１７，９４２号に開示されているようなメ
ルトブローン微小繊維の不織ウェブであってもよい。この不織繊維状フィルター
ウェブは、前記米国特許に開示されているように、ウェブ形成中に支持層に結合
できるが、ウェブ形成後に様々な従来の手法で支持層に結合してもよい。
【００３７】 実施例 実施例１ 本フィルターカートリッジの性能が試験され、３Ｍ社により製造される従来の
固定式客室エアフィルターと比較された。図８は、従来のフィルターと、従来の
客室エアフィルターと比較した本発明による二つのフィルターカートリッジの、
ガス除去効率の比較を示す。従来のフィルターは約８２グラムの炭素を有してい
た。直径約１２．９５センチ（５．１インチ）のブロワフィルタは、約５５グラ
ムの炭素を有し、直径１１．４センチ（４．５インチ）のブロワフィルターは、
約２０グラムの炭素を有した。ブロワフィルターの各々は、ブロワホイール上の
ファン羽根の数に等しい約４４の隔室の間で概して均等に分割された炭素を有し
た。これらの隔室は、概して図４に示されるように、ブロワホイールの中央開口
内へ放射状に延在する。
【００３８】 試験は、気化器内でトルエンを気化し、気化されたトルエンを搬送流によりフ
ィルターカートリッジを有しないブロワシステムに噴出することにより実施され
た。ブロワホイールを通して約２００立方メートル／ｈ（１１７ｃｆｍ）の流量
で８０ｐｐｍの濃度のものを噴出するのに必要なトルエンの量が決定された。ト
ルエンの濃度が決定された後、上記のフィルターカートリッジの一つがブロワホ
イールに挿入された。
【００３９】 フィルターカートリッジの各々は、約２００立方メートル／ｈ（１１７ｃｆｍ
）の流量で約８０ｐｐｍの濃度のトルエンに晒された。この加速試験は、約１５
分が車での一年分の使用にほぼ相当する。ブロワフィルターによる初期の空気流
量の減少は、従来の客室エアフィルターの２２％の流量減少にほぼ相当する。し
かしながら、従来のフィルターの空気流量は時間の経過と共に減少したが、ブロ
ワフィルターの流量は、詰まらない空気流路のために、減少しなかった。すなわ
ち、従来のエアフィルターは空気流量の減少という機能不全をもたらし、本ブロ
ワフィルターは、フィルター媒体が飽和状態にあるときにも空気流量を維持する
。
【００４０】 実施例２ フィルターのサイズとその中の媒体の量がフィルターの性能に大いに影響を与
える。わずかに大きな直径のブロワフィルターを用いることにより、従来型の客
室エアフィルターに匹敵する性能が得られる。しかしながら、ブロワフィルター
の設計あるいは最適化の際に、幾つかの他の要因が性能に影響を与えることが判
明し、その中には空気流量を改善する成形ポケットの使用と、空気流量とガス除
去効率を改善する開口頂部とが含まれる。
【００４１】 放射状炭素羽根と傾斜炭素羽根を用いた様々なブロワ電圧における空気流量の
比較が図９に示されている。成形羽根の傾斜角は、フィルターカートリッジと直
角を成す軸に対して約２５度であった（流路に沿って放射状内向き）。数値の範
囲を示すバーが、棒グラフの上端に表示されている。すべてのブロワ電圧におい
て、前傾した成形炭素羽根は放射状炭素羽根や後方湾曲炭素羽根よりも本発明の
濾過システムを通過するより多くの空気流量をもたらしている。図２および図２
ａに関連して論じられたように、上部キャップを通って延びる流路を有するフィ
ルターカートリッジを用いることにより最大の空気流量が実現された。
【００４２】 実施例３ 図１０は、空気流量に対する成形炭素羽根の傾斜すなわち傾きの方向の影響を
判断する試験の結果を示す。成形羽根の傾斜角はフィルターカートリッジと直角
を成す軸に対して約２５度であった。数値の範囲を示すバーが、棒グラフの上端
に表示されている。両方の試験において同一のフィルターが用いられた。このフ
ィルターが、炭素ポケットが後方湾曲（ＢＣ）形状に傾くようにブロワホイール
内に置かれた。同じフィルターが、次に、炭素ポケットが前方湾曲（ＦＣ）形状
を形成するように裏返された。前方湾曲形状は、後方湾曲形状に比べて空気流量
を１８％改善した（３３％減少対２７％）。この試験は、炭素羽根の方向性に対
する空気流量の比例感度を明確に示している。
【００４３】 実施例４ 炭素羽根のブロワホイールとの位置合わせに対する空気流量の比例感度を判定
する試験が行われた。成形羽根の傾斜角はフィルターカートリッジと直角を成す
軸に対して約２５度であった。ある事例において、フィルターの炭素羽根は、ブ
ロワホイールの羽根に対して中心線が揃えられ、同期化された。第二の事例にお
いて、フィルターの羽根はブロワホイールの羽根に対して約１／８８回転分ずれ
ていた。中心線を揃え、同期化した事例では、空気流量が約１％改善された。本
試験では、フィルターカートリッジをブロワホイールの羽根の中心線と一致させ
る特徴を供する必要はないということが立証された。
【００４４】 実施例５ フィルターをブロワ内に配置し、炭素を定位置に維持するためにある種の上部
キャップが一般に必要とされるが、それは必ずしも閉じたリングでなくてもよい
。図１１は、多孔キャップと中実キャップをフィルターカートリッジ上で用いる
ことによる各々の空気流量の減少を示している。フィルターカートリッジは１１
．４センチ（４．５インチ）の直径を有し、約２０グラムの炭素を含んでいた。
成形羽根の傾斜角は、フィルターカートリッジと直角を成す軸に対して約２５度
であった。数値の範囲を示すバーが棒グラフの上端に表示されている。多孔性の
金属キャップ（約７０％開口）を用いることにより、フィルターの空気流量は様
々なブロワ電圧において約４％増大した。
【００４５】 実施例６ 実施例６は、実施例５で試験されたフィルターカートリッジのガス除去効率の
評価に向けられている。図１２に示されるように、多孔性キャップのデザインの
ガス除去効率は中実キャップデザインのそれよりも約４〜７％高い。ガス試験で
は、実施例１に記載のごとく、濃度約８０ｐｐｍ、流量約２００立方メートル／
ｈ（１１７ｃｆｍ）のトルエンが用いられた。この試験は、数回実施され、結果
は同じであった。
【００４６】 実施例７ 中実キャップのデザインの低効率性に対する一つの考え得る説明は、中実キャ
ップの真下に位置する炭素は多くの空気流量に晒されないというものである。そ
れが事実かどうかを判定するために、２０グラムの炭素を有する直径１１．４セ
ンチ（４．５インチ）のフィルターに対して試験が行われた。成形羽根の傾斜角
はフィルターカートリッジと直角を成す軸に対して２５度であった。同一のフィ
ルターが上部キャップがある場合とない場合の両方の試験に用いられた。フィル
ターは、最初に、上部キャップ無しで試験された。幅約２．５４ミリ（０．１０
インチ）の一連のマスクテープ片がフィルターの外周に上端から巻かれた。上部
開口フィルターは、テープの漸増する幅がフィルターを覆うにしたがい、流量に
おける線形の減少を示した。その結果が図１３に示されている。
【００４７】 次に、同じフィルターにキャップが取り付けられ、試験が繰り返された。この
試験は、キャップ付きフィルターの上部約５．１ミリ（０．２０インチ）の遮蔽
は空気流量に影響を与えないということを示し、キャップが、空気がフィルター
のこの領域を通るのを妨げていたことを示唆した（図１３参照）。キャップフィ
ルターの下の領域に位置する炭素は流量不足のために明らかに濾過を行っていな
かった。約２０グラムの炭素を有するフィルターにおいて、キャップは、炭素の
約２．５グラム（１０％より多くの）分だけ塞いでいる可能性もある。したがっ
て、開いたキャップのデザインは、中実キャップを有する同じデザインのものよ
りも更に高い空気流量と効率を有するようである。
【００４８】 すべての特許、特許出願、および公開の完全なる開示内容が、個々に組み入れ
られているが如く参照により本明細書に援用されている。本発明の範囲および精
神から逸脱することなく、本発明の様々な修正および変更が当業者には明らかと
なろう。そして、本発明は明細書に記載された例示的実施形態に不当に限定され
るものではないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明によるフィルターカートリッジの斜視図である。
【図１ａ】 図１のフィルターカートリッジの断面平面図である。
【図１ｂ】 本発明による代替的なフィルターカートリッジの断面平面図で
ある。
【図２ａ】 図１のフィルターカートリッジの断面図である。
【図２ｂ】 本発明による代替的なフィルターカートリッジの断面図である
。
【図２ｃ】 本発明によるもう一つの代替的なフィルターカートリッジの断
面図である。
【図３】 ブロワホイールと係合している、本発明によるフィルターカート
リッジの斜視図である。
【図４】 ブロワホイールと係合している、本発明によるフィルターカート
リッジの断面図である。
【図５】 ブロワホイールと係合している、本発明による代替的なフィルタ
ーカートリッジの断面図である。
【図６】 ブロワホイールと係合している、本発明によるもう一つの代替的
なフィルターカートリッジの断面図である。
【図６ａ】 ブロワホイールの外周と係合している、本発明によるフィルタ
ーカートリッジの断面図である。
【図７】 ブロワホイールと係合している、本発明によるフィルターカート
リッジの平面図である。
【図８】 本発明のフィルターカートリッジと従来のフィルターカートリッ
ジのガス除去効率に関するデータのグラフである。
【図９】 空気の流れの性能に関する成形羽根の傾斜角に関するデータのグ
ラフである。
【図１０】 空気の流れの性能に関する成形羽根の指向性に関するデータの
グラフである。
【図１１】 空気の流れの性能に関するフィルターカートリッジのキャップ
の透過性に関するデータのグラフである。
【図１２】 ガス除去効率に関するフィルターカートリッジのキャップの透
過性に関するデータのグラフである。
【図１３】 空気の流れの性能に関するフィルターカートリッジのキャップ
の透過性に関するデータのグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 ＦＩ テーマコート゛(参考） Ｂ０１Ｄ 53/06 Ｂ０１Ｄ 53/06 Ａ Ｂ０３Ｃ 3/28 Ｂ０３Ｃ 3/28 Ｂ６０Ｈ 3/06 ６３１ Ｂ６０Ｈ 3/06 ６３１ Ｆ２４Ｆ 7/013 １０２ Ｆ２４Ｆ 7/013 １０２Ｄ (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，Ｉ Ｔ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ ，ＣＦ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＧＷ，ＭＬ， ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，ＧＭ，Ｋ Ｅ，ＬＳ，ＭＷ，ＭＺ，ＳＤ，ＳＬ，ＳＺ，ＴＺ，ＵＧ ，ＺＷ)，ＥＡ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ， ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ)，ＡＥ，ＡＧ，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ， ＡＵ，ＡＺ，ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＢＺ，Ｃ Ａ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＲ，ＣＵ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＤＭ ，ＤＺ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＤ，ＧＥ，ＧＨ， ＧＭ，ＨＲ，ＨＵ，ＩＤ，ＩＬ，ＩＮ，ＩＳ，ＪＰ，Ｋ Ｅ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＳ ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＡ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，ＭＮ， ＭＷ，ＭＸ，ＭＺ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，Ｒ Ｕ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，ＳＬ，ＴＪ，ＴＭ ，ＴＲ，ＴＴ，ＴＺ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＺ，ＶＮ，ＹＵ， ＺＡ，ＺＷ Ｆターム(参考） 4C080 AA05 BB02 BB10 CC02 CC12 HH05 JJ03 LL10 MM05 QQ01 QQ03 QQ11 QQ16 QQ17 4D012 CA10 CC06 CG01 4D054 AA11 BC16 BC28 4D058 JA60 JB04 JB32 JB41 KA01 KA18 KA25 KC43 QA21 SA20 TA02 TA03 TA04 TA11 UA08

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 中央開口部と、フィルター媒体を収めた複数の隔室と、該隔
    室間の空間と、を備える略環状の円筒を形成するメッシュ構造物を備えるフィル
    ターカートリッジであって、該隔室間の前記空間が、前記フィルター媒体が飽和
    状態にあるときでさえも空気の流れを可能にする実質的に妨げられない空気流路
    を構成する、フィルターカートリッジ。
  2. 【請求項２】 前記隔室が前記中央開口部に向かい略放射状に延在する、請
    求項１のシステム。
  3. 【請求項３】 前記隔室がファンの羽根として動作するように形作られてい
    る、請求項１のシステム。
  4. 【請求項４】 前記隔室が離散ポケットを備える、請求項１のシステム。
  5. 【請求項５】 前記フィルターカートリッジが、空気流路が通過して延在す
    る少なくとも一つの端部キャップを備え、該少なくとも一つの端部キャップが重
    量平衡化キャビティを備える、請求項１のシステム。
  6. 【請求項６】 前記少なくとも一つの端部キャップが取り外し可能な重量平
    衡化タブを備える、請求項６のシステム。
  7. 【請求項７】 前記フィルター媒体が、エレクトレット帯電媒体、微粒子状
    媒体、吸着剤媒体、炭素集塊またはそれらの組合せからなる群から選択される、
    請求項１のシステム。
  8. 【請求項８】 前記環状円筒の上部開口を横断して延在するメッシュ材を備
    える、請求項１のシステム。
  9. 【請求項９】 複数の隆起部を有する第１メッシュ層と、前記隆起部が隔室
    を構成するように前記第１メッシュ層と係合する第２メッシュ層とを備える、中
    央開口部を有する略環状の円筒を形成するメッシュ構造物と、 前記隔室内に収められたフィルター媒体と、 該フィルター媒体が飽和状態にあるときでさえも空気の流れを可能にする、実
    質的に妨げられない空気流路を構成する前記隆起部間の空間と、 を備えるフィルターカートリッジ。
  10. 【請求項１０】 回転中にブロワ・キャビティからファンの羽根を通過して
    外側へ放射状に延びる流路を画成するように前記ブロワ・キャビティの周りに間
    隔を置いて放射状に配置された複数のファンの羽根を有するブロワホイールと連
    繋して回転する濾過システムであって、 中央開口部と、概して前記ファンの羽根と接し、係合の際に少なくとも前記流
    路の一部を横断して延在するように構成されたメッシュ面と、を有するメッシュ
    構造物を備える、前記ブロワホイールに解除自在に取り付けることができるフィ
    ルターカートリッジを備え、前記メッシュ構造物が、フィルター媒体を収めた複
    数の隔室と、前記フィルター媒体が飽和状態にあるときでさえも空気の流れを可
    能にする複数の実質的に妨げられない空気流路とを備える、濾過システム。
  11. 【請求項１１】 前記メッシュ構造物が、複数の隆起部を有する第１メッシ
    ュ層と、前記隆起部が前記隔室を構成し前記隆起部間の空間が前記空気流路を構
    成するように前記第１メッシュ層と係合する第２メッシュ層と、を備える、請求
    項１０のシステム。
  12. 【請求項１２】 前記フィルターカートリッジが、空気流路が通過して延在
    する少なくとも一つの端部キャップを有する環状の円筒を備える、請求項１５の
    システム。
  13. 【請求項１３】 前記少なくとも一つの端部キャップが重量平衡化キャビテ
    ィを備える、請求項１２のシステム。
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