JP2003521878A - 示差的遺伝子発現を使用して甲状腺癌を分類する方法 - Google Patents

示差的遺伝子発現を使用して甲状腺癌を分類する方法

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ボニー イー. グールド−ロスバーグ,
ルカ ラステリ,
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Abstract

(57)【要約】 示差的な遺伝子発現を使用して転移性の甲状腺癌を含む、癌を診断および処置する方法が提供される。転移性の甲状腺癌および非転移性の甲状腺癌において、その発現が示差的に調節される新規な核酸配列もまた開示される。本発明は、以下:a)被験体から試験細胞集団を提供する工程;b)該試験細胞集団における1以上の該核酸配列の発現を測定する工程;c)該核酸配列の発現を参照細胞集団における該核酸配列の発現と比較する工程;およびd)該試験細胞集団および参照細胞集団におけるMTC配列の発現レベルにおける差異を、もし存在する場合に、同定する工程を包含し、これによって、該被験体における該甲状腺癌を分類する方法、を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、一般に核酸に関し、そしてより詳細には、転移性甲状腺癌種および
非転移性甲状腺癌種において示差的に発現される遺伝子の使用に関する。
【0002】 (発明の背景) 甲状腺は、身体機能の恒常性調節に関する内分泌腺である。その基本的な形態
形成単位は小胞(これは、2つの主要な柔細胞型(小胞細胞および傍濾胞細胞)
を含む)である。
【0003】 甲状腺を冒す疾患は、良性および悪性として分類され得る。良性の疾患は、び
まん性甲状腺腫(例えば、グレーヴズ病)、および結節性甲状腺腫(例えば、結
節性前立腺過形成)を含み得る。他の良性甲状腺障害は、甲状腺炎および良性新
形成(例えば、腺腫)を含む。
【0004】 甲状腺癌は、一般的な内分泌腫瘍である。甲状腺癌の既報の発生率は、およそ
100,000人あたり4人(罹患した男性と女性の数(2:1の相対比で発生
する))である。甲状腺癌は、前立腺悪性腫瘍と同様に、最も代表的には、剖検
の間の潜在性腫瘍として見出されるので、甲状腺癌の実際の発生率はより高いこ
とが考えられる。
【0005】 甲状腺癌は、代表的には、細胞起源および分化のレベルに従って分類される。
例えば、小胞細胞は、十分に分化した癌腫および未分化の癌腫を生成するが、傍
濾胞細胞は髄質性甲状腺癌種を生成する。甲状腺に関する他の癌は、甲状腺の間
質細胞に由来する肉腫、および甲状腺に関する免疫細胞に由来するリンパ腫を含
む。
【0006】 大多数の甲状腺の悪性腫瘍は、十分に分化し、増殖が遅く、そして甲状腺に局
在する。甲状腺の除去の後の、任意の残余の甲状腺組織の125Iγ線照射は、代
表的には、癌が甲状腺から伝播しない患者について、良好な応答および良好な予
後をもたらす。隣接する頸部組織または甲状腺からより遠い部位への腫瘍の拡大
は、有意に悪い予後に関連する。リンパ節の領域におけるリンパ節への局在転移
の予後の有意性は、あまり明らかではない。
【0007】 甲状腺癌が、身体の遠い部位に転移する機構は、完全に理解されていない。例
えば、発現レベルが甲状腺転移に応答して変化する全ての遺伝子が、同定されて
いるわけではない。転移性の遺伝子を処置するために用いられ得る転移性組織に
おいて潜在的標的を提供することに加えて、このような遺伝子はまた、転移性組
織を診断するために用いられ得る。
【0008】 (発明の要旨) 本発明は、発現レベルが、甲状腺細胞における1つ以上の転移性癌状態に関す
る遺伝子の発見に一部基づく。サンプル細胞集団におけるこれらの遺伝子の発現
レベルを測定することは、サンプル中の細胞の型および腫瘍の病期を決定するこ
とを可能にする。
【0009】 従って、1つの局面では、本発明は、非転移性甲状腺癌に対して転移性甲状腺
癌において示差的に発現される遺伝子に関する。これらの示差的に発現される遺
伝子は、「転移性甲状腺癌」遺伝子(「MTC遺伝子」)と、本明細書中で総称
される。対応する遺伝子産物は、「MTC産物」および/または「MTCタンパ
ク質」といわれる。MTC遺伝子としては、以下が挙げられる:Eカドヘリン、
α−1−抗トリプシン、マンガンスーパーオキシド、サイログロブリン、フィブ
ロネクチン、CD18、カルパイン、クラステリン(clusterin)、カ
テプシンE、シスタチンB、RIG−E、転移1(metastasis 1)
のp8−候補(p8−candidate)、ペリプラキン(periplak
in)、ニューロピリン(neuropilin)、プロテオソームサブユニッ
トHC5、NET−1、rasGTPase−活性化様タンパク質(IQGAP
1)、DUSP6二重特異性MAPキナーゼホスファターゼ、SET結合因子(
SBF)、5−リポキシゲナーゼ、リポコルチンI、リポコルチンII、アネキ
シンII、カルギザリン(calgizzarine)、スペルミジン/スペル
ミンN1−アセチルトランスフェラーゼ(SSAT)、ダウノルビシン結合タン
パク質−アルデヒドデヒドロゲナーゼ2、ゲルソリン、インテグリンα−3、I
V型コラゲナーゼ、抗ロイコプロテアーゼ、STE20−様タンパク質キナーゼ
3(STK3)、ペフリン(peflin)、およびキネクチン。
【0010】 種々の局面において、本発明は、甲状腺新形成を分類する方法、甲状腺癌種を
診断する方法、被験体における甲状腺癌種の処置の効果を評価する方法、甲状腺
癌種を有する被験体の予後を評価する方法を含む。これらの方法の各々は、MT
C配列といわれる1つ以上の転移性甲状腺癌種核酸配列を発現し得る被験体由来
の試験細胞集団を提供する工程、試験細胞集団におけるこれらのMTC配列の発
現を測定する工程、および試験細胞集団における発現のレベルを、甲状腺癌種の
病期が知られている参照細胞集団における発現レベルと比較する工程を包含する
【0011】 さらなる局面では、本発明は、特定の被験体に適切な個別化した治療薬を選択
する方法を含む。この方法は、1つ以上のMTC配列を発現し得る細胞を含む試
験細胞集団を被験体から用意する工程、試験細胞集団を治療薬と接触させる工程
、および試験細胞集団におけるMTC配列の発現を、甲状腺癌種の病期が知られ
ている参照細胞集団における発現レベルと比較する工程を包含する。
【0012】 別の局面では、本発明は、甲状腺癌種を治療するための候補治療薬を同定する
方法を提供する。この方法は、1つ以上のMTC配列を発現し得る試験細胞集団
を提供する工程、試験細胞集団を候補治療薬と接触させる工程、およびMTC配
列の発現を、甲状腺癌種の病期が知られている参照細胞集団における発現と比較
する工程を包含する。
【0013】 本発明はさらに、転移性癌を処置する方法を提供する。1つの実施形態では、
この方法は、転移性癌に罹患した、または発症するする危険性のある患者に、非
転移性癌に対して転移性癌をダウンレギュレートする1つ以上のMTC配列の発
現を増加させる薬剤を投与する工程を包含する。別の実施形態では、本方法は、
非転移性癌に対して転移性癌をアップレギュレートする1つ以上のMTC配列の
発現を減少させる薬剤を投与する工程を包含する。
【0014】 2つ以上のMTC核酸配列の存在を検出するための1つ以上の試薬、および2
つ以上のMTC核酸配列を検出し得るプローブ核酸のアレイを含むキットもさら
に提供される。
【0015】 非転移性甲状腺癌に対して転移性甲状腺癌において示差的に発現される単離さ
れた核酸分子、ならびにMTC配列におけるヌクレオチド多型、およびMTC単
一ヌクレオチド多型を用いる方法もまた提供される。
【0016】 他に定義されない限り、本明細書中で用いられる全ての技術用語および科学用
語は、本発明が属する当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
本明細書中の開示されるものと同じまたは等価な方法および材料は、本発明の実
施または試験において用いられ得るが、適切な方法および材料は以下に記載され
る。本明細書中で言及される全ての文献、特許出願、特許、および他の参考文献
は、その全体が参考として援用される。競合する場合は、定義を含めて本明細書
が優先する。さらに、材料、方法、および実施例は、例示のみのものであり、限
定を意図しない。
【0017】 本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範
囲から明らかである。
【0018】 (発明の要旨) 本発明は、非転移性甲状腺小胞腺癌における複数の核酸配列の発現パターンに
対する転移性甲状腺乳頭状癌における複数の核酸配列の発現パターンの変化の発
見に一部基づく。発現における変化は、以前に記載されていない核酸配列および
以前に同定された核酸配列の両方において観察されている。種々の薬剤に対する
1つ以上のこれらの核酸配列の発現を測定することにより、癌を処置するための
薬剤が同定され得る。さらに、1つ以上のこれらの配列の発現プロフィールの測
定は、予後を評価するため、および新生物処置の効果をモニターするために、例
えば、新生物の診断、新生物の分類をするための用いられ得る。
【0019】 本発明に従う示差的に発現された遺伝子を同定するために、新鮮な凍結された
外科用標本を、3つの小胞状腺腫および3つの転移性甲状腺乳頭状癌から得た。
3つのサンプルを、米国特許第5,871,697号およびShimketsら
、Nature Biothechnology 17:798−803(19
99)に記載のように、GENECALLINGTM示差的発現分析を介してプロ
セスした。GENECALLINGTM技術は、定量的発現分析(Quantit
ative Expression Analysis)に依存して、所定のサ
ンプルの遺伝子発現プロフィールを生成し、次いで、添加物を含まないコントロ
ールのこれらのプロフィールとの2つ1組の比較の示差的発現分析をする。示差
的発現を示すポリヌクレオチドは、検出されたものからの増幅を妨げる競合的非
標識プライマーの添加を用いる、GENECALLINGTMプロトコルに従うP
CR反応を行うことにより確認される。
【0020】 2つのサンプルをお互いに(処置群の間または処置群のいずれか)比較するこ
とは、サンプル間で10%の差分率を示した。この差異は、新生物増殖の高い可
変特性および高いレベルの個々の変動の両方を強調する。過形成性無体腔状態と
転移性癌腫状態との間で示差的に発現されるこれらの遺伝子を同定するために、
3つの胞状腺腫(1つの群として)を、3つの乳頭状癌(1つの群として)に対し
て比較した。差異は、これらが全ての腺癌にわたって一貫した性質を示し、そし
て全ての癌腫と有意に異なったか否かで確認された。このストラテジーは、数を
、80(0.5%)までの有意な差異へと低下させた。51の遺伝子が、示差的
に発現されたと確認した。便宜上および参照を容易にするため、これらの遺伝子
をMTC:1−51と命名した。
【0021】 示差的に発現された配列の概要を表1に示す。この表の3つの列は、これらの
配列について記載された情報を提供する。特に、列1は、遺伝子の各々の一般名
を提供し、列2は以前から公知の配列についての配列データベース参照番号を列
挙し、そして列3は、新規に発見された核酸配列についての配列番号(SEQ
ID NO)を提供する。列4は、非転移性甲状腺癌種と比較した場合の転移性
甲状腺癌腫において観察される各配列の発現レベルにおける変化を示す。列5は
、参照を容易にするために、示差的に発現される遺伝子の各々に対して割り当て
られたMTCX番号を提供する。
【0022】 示差的に発現される遺伝子は、以下のように表1の中の群へと細分される:以
前から、発現が、転移性甲状腺癌と相関関係にある遺伝子;新規に、発現が、転
移性甲状腺癌と相関関係にある遺伝子;および新規に、本明細書中に記載される
核酸配列。
【0023】 当業者は、表1の中の情報が特定のMTC配列を同定するために用いられ得る
ことを認識する。例えば、特定の核酸配列のデータベース参照番号は公知であり
、この参照番号は特定のMTC配列を同定するために用いられ得る。所定のMT
C配列に関して、その発現は、当該分野で一般的に公知の任意の方法を用いるこ
とにより測定され得る。この全てに基づいて、当業者は、本明細書中に記載され
る方法の各々により必要とされる場合、各MTC核酸配列の発現を検出および測
定するのに必要な情報を導き出し得る。
【0024】
【表1】 以下に、発現レベルが転移性甲状腺癌と非転移性甲状腺癌との間で変化するい
くつかの配列についての手短な記載が続く。いくつかの配列について、SAGE
発現分析の要約がまた、以下に提示される。この情報を使用して、当業者は、M
TC配列が、それらが発現される細胞または組織において核酸配列発現を検出す
るために使用され得る。
【0025】 (発現が転移性甲状腺癌と以前において関連付けられた遺伝子) 本発明に導く研究において示差的に発現されるとして同定される遺伝子には、
フィブロネクチン、E−カドヘリン、α−1−抗トリプシン、マンガン超酸化物
、サイログロブリン、およびCD18が挙げられる。これらの遺伝子は、転移性
甲状腺癌および非転移性甲状腺癌において示差的に発現されるとして以前に記載
されている。これらの遺伝子は、以下に手短に記載される。
【0026】 (フィブロネクチン(MTC1)) フィブロネクチン(genBank番号X02761 K00055 K00
799 K02273 X00307 X00739)は、2つの形態で存在す
る430,000ダルトンの二量体糖タンパク質であり、これらは、細胞性フィ
ブロネクチンおよび血漿フィブロネクチンと名づけられる。細胞性フィブロネク
チンは、多くの細胞の主要な細胞表面糖タンパク質である。フィブロネクチンの
主要な機能は、固体基質(substrata、matrices)のような細
胞外物質への細胞の接着を促進することである。フィブロネクチンが転移性甲状
腺癌において上方制御される間、これが腫瘍細胞に起因するかまたは浸潤性線維
芽細胞に起因するかはまだ完全には理解されていない(Takanoら、J.C
lin Edocrinol Metab85(2):765−8を参照のこと
)(2000)。GENECALLINGTM分析は、フィブロネクチンが非転移
性甲状腺癌に対して転移性甲状腺癌において上方制御される。
【0027】 (サイログロブリン(MTC2)) サイログロブリン(genBank番号X05615)は、甲状腺ホルモンサ
イロキシン(T4)およびトリヨードサイロニン(T3)の糖タンパク質前駆体
である。新規に合成されたサイログロブリンは、ヨウ素化の部位へのその輸出の
前に、小胞体(ER)において折り畳まれ、ホモ二量体化され、ここで、これは
、甲状腺ホルモン合成の前駆体として役立つ。サイログロブリンは、十分に分化
された甲状腺癌(「WDTC」)有する患者の確実な腫瘍マーカーである。サイ
ログロブリンの低レベルは、臨床段階および転移の可能性と相関する。GENE
CALLINGTM分析は、サイログロブリンが、非転移性甲状腺癌に対して転移
性甲状腺癌において下方制御されることを明らかにする。
【0028】 (α−1−抗トリプシン(MTC3)) α−1−抗トリプシン(GenBank番号M11465)は、主要な血漿セ
リンプロテアーゼインヒビターである。以前の報告は、α−1−抗トリプシンが
10個の甲状腺乳頭状癌のうちの9個において存在したが、それぞれの腫瘍の近
傍において存在する正常な甲状腺組織が染色を示さないことを示す(Poble
teら、Am J Surg Pathol 20(8):956−63(19
96)を参照のこと)。GENECALLINGTM分析は、α−1−抗トリプシ
ンが非転移性甲状腺癌に対して転移性甲状腺癌において上方制御されることを明
らかにする。
【0029】 (E−カドヘリン(MTC4)) E−カドヘリン(ウボモルリン)(genBank番号CAA79356、Z
18923)、正常な上皮機能に必要とされるCa(2+)依存性細胞接着分子
の損失は、腫瘍浸潤における病原性の役割に起因する。以前の報告は、定常状態
EカドヘリンmRNAレベルおよび免疫染色が、甲状腺癌において減少するかま
たは失われたことを示した。Eカドヘリンは、進行時に原発腫瘍段階4(pT4
)腫瘍におおいに減少され、そしてこの減少は、転移の可能性に関連する(Sc
heummanら、J Clin Endocrinol Metab80(7
):2168−72(1995)を参照のこと)。GENECALLINGTM
析は、E−カドヘリンが非転移性甲状腺癌に対して転移性甲状腺癌において下方
制御されることを明らかにする。
【0030】 (マンガンスーパーオキシドジスムターゼ(MnSOD)(MTC5) マンガンスーパーオキシドジスムターゼ(GenBank番号X65965)
は、スーパーオキシドアニオンのH22への不均化を触媒する金属結合酵素のフ
ァミリーのメンバーである。MnSODは、核染色質によってコードされ、細胞
質ゾルにおいて合成され、そして糸粒体基質に翻訳後修飾的に移入される。Mn
SOD濃度は、乳頭状癌または乳頭状増殖細胞において増加する(Iwaseら
、Acta Endocrinol(Copenh)129(6):573−8
(1993)を参照のこと)。GENECALLINGTM分析は、MnSODが
非転移性甲状腺癌に対して転移性甲状腺癌において上方制御されることを明らか
にする。
【0031】 (インテグリンβ−2、CD−18(ITGB2)(MTC6)) インテグリンβ−2はまた、ヒト細胞表面接着糖タンパク質LFA−1/CR
3/P150、95β−サブユニット(genBank番号M15395)とし
て公知である。この白血球細胞接着分子は、インテグリンとして公知の細胞膜糖
タンパク質のクラスに属し、これは、α−βヘテロダイマーである。αサブユニ
ットは、120〜180kDの大きさで変化し、そしてそれぞれは、非共有的に
βサブユニットと会合する(90〜110kD)。発現は、自己免疫甲状腺障害
、グレーヴズ病(GD)、および橋本甲状腺炎(HT)を有する患者由来の甲状
腺における脈管内皮および浸潤リンパ球において増殖する。GENECALLI
NGTM分析は、ITGB2が非転移性甲状腺癌に対して転移性甲状腺癌において
上方制御されることを明らかにする。これらの癌は、高レベルの浸潤リンパ球を
有する。
【0032】 (ネブリン(MTC7)) ネブリン(genBank番号X83957)が、骨格筋の肉腫内で厚いフィ
ラメントおよび薄いフィラメントとともに存在する細胞骨格基質の巨大タンパク
質成分である。大部分の脊椎動物において、ネブリンは、全筋原線維タンパク質
の3〜4%を占める。その大きさは、組織特異的、種特異的および発達段階特異
的である様式で、600〜800kDで変化する。GENECALLINGTM
析は、ネブリンが非転移性甲状腺癌に対して転移性甲状腺癌において上方制御さ
れることを明らかにする。
【0033】 ネブリンは、グレーヴズ病を有する患者の末梢血に存在する自己抗原の一つで
ある(Kiljanskiら、Clin Exp Rheumatol 14
Suppl 15:S69−76(1996)を参照のこと)。ネブリンの過剰
発現が、免疫応答に関連する甲状腺疾患の一般的な特徴であることがあり得る。
【0034】 (発現が転移性甲状腺癌と新規に関連付けられた遺伝子) 本発明に導く研究において示差的に発現されるとして同定されるさらなる遺伝
子には、IV型コラーゲナーゼ、ニューロピリン1(neuropilin 1
)、カルパイン、クルステリン(clusterin)、カテプシンE、シスタ
チンB(cystatin B)、リポコルチンI、RIG−E、p8=転移1
の候補物、およびタンパク質ホスファターゼ−1 γ1が挙げられる。
【0035】 正確な調節を用いたそれらの同定は、体内の異なる組織または部位由来の転移
性腫瘍細胞が、遺伝子発現の基礎にある通常の分子経路を有し得ることを示す。
このような通常の経路の発見は、全ての器官の転移性の癌の診断および処置につ
いての重要な意味を有する。診断、スクリーニング、および治療用途が以下に詳
細に議論される。さらに、このリストに基づいて開発されたこれらの遺伝子およ
び処置(組換えタンパク質薬剤、抗体薬剤および小分子薬剤)が、甲状腺癌以外
の転移性癌において診断的役割を有し得る。
【0036】 (IV型コラーゲナーゼ(MTC8)) IV型コラーゲナーゼ(genBank番号J03210)は、IV型コラー
ゲン(基底膜の主要な構造要素)を特異的に切断する金属結合タンパク質である
。これはまた、基質メタロプロテイナーゼ−2およびゼラチナーゼAとして公知
である。基底膜におけるIV型コラーゲンの分解が、腫瘍細胞の侵襲性/転移性
挙動における必須の工程である。従って、IV型コラーゲナーゼ、MMP−2お
よびMMP−9の高い発現またはそれらのインヒビター、TIMP−1およびT
IMP−2の欠如は、いくつかの実験モデルならびにヒト腫瘍において腫瘍侵襲
および転移可能性に関連している。MMP−2およびMMP−9のインヒビター
は、動物モデルにおける腫瘍増殖および侵襲を妨げる(Koivunenら、N
at Biotechnol 17(8);768−74(1999)を参照の
こと)。GENECALLINGTM分析は、IV型コラーゲナーゼが非転移性甲
状腺癌に対して転移性甲状腺癌において上方制御されることを明らかにする。
【0037】 (ニューロピリン1(MTC9)) ニューロピリン1(genBank#NM 003873)は、ニューロン中
の軸索化学駆散性(chemorepellent)SemaphorinII
Iに対するレセプターである。それは、内皮細胞および腫瘍細胞において、脈管
内皮増殖因子(「VEGF」)に対するイソ型特異的レセプターである。それは
、そのレセプターKDRに結合するVEGFおよび後の生物活性を調節すること
によって、作用する。(Sokerら、Int J Oncol 16(2):
253−60(2000)を参照のこと)。天然の可溶性形態は、強力なVEG
Fアンタゴニストとして作用し、そして抗腫瘍活性を有する。GENECALL
INGTM分析は、ニューロピリン1が、転移性甲状腺癌 対 非転移性甲状腺癌
において上方制御されることを明らかにする。
【0038】 (Ca2活性化中性プロテアーゼラージサブユニット(CANP)(MTC1
0)) Ca2活性化中性プロテアーゼラージサブユニットはまた、カルパインとして
公知である(genBank# M23254)。これは、細胞内細胞質(cy
toplasmatic)非リソソームシステインエンドペプチダーゼであり、
活性のためにカルシウムイオンを必要とする。カルパインイソエンザイムの多く
の基質(転写因子(c−Fosおよびc−Jun)、腫瘍サプレッサータンパク
質p53、プロテインキナーゼC、pp60c−src、および接着分子インテ
グリン)は、異なるヒト腫瘍の病因に関係している。このことは、悪性疾患いお
いてカルパインに対する重要な役割を示唆する。腎細胞癌において、より高度の
カルパインI発現の悪性増加との相関が存在する。明細胞癌サブセットにおいて
、結節性状態を有する腫瘍サンプル(N1およびN2)は、局所リンパ節への転
移がない腫瘍よりも有意に高いレベルのカルパインI発現を示した。(Brau
nら,Int J Cancer 84(1):6−9(1999)を参照のこ
と)。カルパインのインヒビターは、用量依存性様式で、慢性骨髄性白血病組織
由来のヒト腫瘍細胞に対して選択的に細胞毒性であり、そしてまた、Walke
rラット腫瘍細胞に対して細胞毒性である。GENECALLINGTM分析は、
カルパインが、転移性甲状腺癌 対 非転移性甲状腺癌において上方制御される
ことを明らかにする。
【0039】 (クラステリン(Clusterin)(MTC11)) クルスタリンはまた、補体溶解インヒビター(SP−40、40)、硫酸化糖
タンパク質2、テステステロン抑制前立腺メッセージ2、およびアポリポ蛋白J
(genBank#NP 001822)として公知である。硫酸化糖タンパク
質−2(SGP−2)は、セルトーリ細胞の主要な分泌産物である。それは、多
分、精子形成において重要な役割を果たす。クラステリンは、補体カスケードの
制御機構として作用する。具体的に、それは、C5b−C7錯合体の標的細胞の
膜への結合を妨げ、そしてこのようにして、補体媒介細胞溶解を阻害する。アポ
リポ蛋白Jは、アルツハイマー病またはピック病を羅患する個体由来の変質海馬
において高レベルで合成される。
【0040】 クラステリンは、プログラムされた細胞死において活性である自殺遺伝子であ
り得る。増殖因子β−1を形質転換することは、甲状腺上皮細胞においてクラス
テリン合成を上方制御し、そしてTGFβ媒介甲状腺細胞の脱分化のマーカーで
あり得る。(Wegrowskiら、Exp Cell Res 247(2)
:475−83(1999)を参照のこと)。クラステリン発現は、前立腺癌悪
性度と相関する。具体的に、クラステリンを発現する細胞は、アンドロゲン剥離
よおびアポトーシス刺激に対してより耐性である。
【0041】 GENECALLINGTM分析は、クラステリンが、転移性甲状腺癌 対 非
転移性甲状腺癌において上方制御されることを明らかにする。
【0042】 (カテプシンE(MTC12)) カテプシンE(geneBank#J05036)は、胃腸管において見出さ
れる免疫学的に個別のアスパラギン酸プロテアーゼである。これは、膵臓癌にお
いて過剰発現され、そして頚部上皮内新形成における細胞脱分化と関連している
。カテプシン陽性炎症性細胞は、癌組織において、または癌組織の周りで浸潤さ
れる。激しく染色された炎症性細胞は、しばしば、癌組織の辺縁における間質に
位置した。激しく染色された癌細胞のこの独特の配置の頻度は、癌組織の進行と
有意に相関した。(Matsuoら、Hurn Pathol 27(2):1
84−90(1996)を参照のこと)。
【0043】 GENECALLINGTM分析は、カテプシンEが、転移性甲状腺癌 対 非
転移性甲状腺癌において上方制御されることを明らかにする。
【0044】 (シスタチンB(MTC13)) シスタチンB(ステフィン(Stefin)Bとしても公知である)(gen
eBank#U46692)は、システインプロテアーゼのスーパーファミリー
のメンバーであり、主としてカテプシンLを阻害する。カテプシンとシスタチン
との間の不均衡は、正常および良性の組織対応物と比較して悪性ヒト腫瘍組織に
おいて種々のレベルで観測されている。これらの変化は、生存の長さについて高
度に予測的であり、そして胸部、肺、脳、頭部および頚部、卵巣、子宮、メラノ
ーマならびに結腸直腸の癌について、再発および死の危険の評価のために使用さ
れ得る。具体的に、結腸直腸癌におけるシステチンBの過剰発現は、デュークス
の段階と有意に相関する。そのレベルは、段階Dにおいて最大である。(Kos
ら、Clin Cancer Res6(2):505−11(2000)を参
照のこと)。GENECALLINGTM分析は、シスタチンBが、転移性甲状腺
癌 対 非転移性甲状腺癌において上方制御されることを明らかにする。
【0045】 (リポコルチンI(MTC14)) リポコルチンは、ホスホリパーゼA2阻害活性を有するカルシウム依存性リン
脂質結合タンパク質のファミリーである。それらはまた、アネキシンとして公知
である。なぜなら、それらは、リン脂質へのCa(2+)依存性結合を起こし、
このリン脂質は、形質膜の細胞質ゾル面上に優先的に位置する。リポコルチンI
(geneBank#x05908)は、ヒト肝細胞癌(HCC)において過剰
発現される。(Masakiら、Hepatology 24(1):72−8
1(1997)を参照のこと)。これはまた、胸部腫瘍において過剰発現され、
ここで、それは、悪性度と相関し得る。(Ahnら、Clin Exp Met
astasis 15(2):151−6(1997)を参照のこと)。GEN
ECALLINGTM分析は、リポコルチンIが、転移性甲状腺癌 対 非転移性
甲状腺癌において上方制御されることを明らかにする。
【0046】 (リポコルチンII(MTC15)) リポコルチンは、ホスホリパーゼA2阻害活性を有するカルシウム依存性リン
脂質結合タンパク質のファミリーである。それらはまた、アネキシンとして公知
である。なぜなら、それらは、リン脂質へのCa(2+)依存性結合を起こし、
このリン脂質は、形質膜の細胞質ゾル面上に優先的に位置する。アネキシンII
(geneBank#d00017)は、SRCオンコジーンによってコードさ
れるチロンシンキナーゼの主要細胞基質である。これが、膜上で曝露される場合
、それは、組織型プラスミノゲン活性化因子および内皮細胞中のテネイシン(こ
こで、それは、有糸分裂誘発、細胞移動、および限局的な接着の損失を媒介する
)に対するレセプターである。(Chungら、Mol Biol Cell
7(6):883−92(1996)を参照のこと)。アネキシンIのレベル増
加は、種々の癌細胞および組織において観測され、そしてこの分子は、インビボ
で悪性度のマーカーとして提唱されている。GENECALLINGTM分析は、
リポコルチンIIが、転移性甲状腺癌 対 非転移性甲状腺癌において上方制御
されることを明らかにする。
【0047】 (レチノイン酸誘導RIG−E前駆体(RIG−E)(MTC16)) レチノイン酸誘導RIG−E前駆体(geneBank# U42376)。
Ly−4Agファミリーは、約15kDaの分子量を有するグリコシル−ホスフ
ァチジルイノシトール固定表面タンパク質からなるファミリーである。RIG−
Eの発現は、脊髄性脱分化に制限されておらず、他のLy−6ファミリーメンバ
ー同様、それはまた、異なるレベルで胸腺細胞および多くの他の組織に存在する
。RIG−Eの低い発現は、悪性の潜在性の肝細胞癌と相関された。(Kond
ohら、Cancer Res 9(19):4990−6(1999)を参照
のこと)。GENECALLINGTM分析は、RIG−Eが、サンプルが群どう
しせ比較される場合、転移性甲状腺癌 対 非転移性甲状腺癌において上方制御
されること、サンプルが、中毒反応において1つずつ比較される場合、それが下
方制御されることを明らかにする。
【0048】 (P8(転移の候補1)(MTC17)) P8(geneBank# AF069073またはNM 012385)は
、へリックス−ターン−へリックス型の推定DNA結合タンパク質をコードする
。それは、胸部腫瘍転移の動物モデルにおいて上方制御される。このモデルにお
いて、転移の候補1の構成的な発現は、転移の潜在性を有する乳癌細胞を、転移
の潜在性のない細胞から区別するようであった。(Reeら、Cancer R
es 59(18):4675−80(1999)を参照のこと)。それは、血
清飢餓によって誘導され、そしてマイトジェンである。(Vasseurら、E
ur J Biochem 259(3):670−5(1999)を参照のこ
と)。
【0049】 GENECALLINGTM分析は、P8が、転移性甲状腺癌 対 非転移性甲
状腺癌において下方制御されることを明らかにする。
【0050】 (プロテインホスファターゼ−1γ1(MTC18)) プロテインホスファターゼ−1γ1(geneBank# L07395)は
、ラット腹水ヘパトームにおいて約50%増加した。これは、脂肪腫よりも悪性
脂肪肉腫において、非悪性線維性細胞組織腫の腫瘍状領域よりも腫瘍状領域にお
いて、有意に高い。(Sogawaら、Res Commun Mol Pat
hol Pharmacol 93(1):33−42(1996)を参照のこ
と)。PP1触媒性サブユニットイソ型PP1γ1に対する抗血清とともに陽性
に染色された細胞のパーセントは、良性腫瘍(骨軟骨腫、骨芽細胞腫、一過性線
維腫、内軟骨腫および脂肪腫)においてよりも、悪性骨原性腫瘍(軟骨肉腫、骨
肉腫、およびユーイング肉腫)および悪性軟部組織腫瘍(脂肪肉腫および悪性線
維性組織球腫(MFH))において有意に高かった。それは、GA3P(リンパ
系細胞株および骨髄性細胞株においてアポトーシスを誘導する細胞外多糖)によ
って下方制御され、そして生存における潜在的な役割を有する。GENECAL
LINGTM分析は、プロテインホスファターゼ−1γ1が、転移性甲状腺癌 対 非転移性甲状腺癌において上方制御されることを明らかにする。
【0051】 先の遺伝子に加えて、その発現が転移性甲状腺癌と新たに相関し、そして癌転
移に型に以前には関連していなかった遺伝子はまた、転移性甲状腺癌 対 非転
移性甲状腺癌において示差的に発現された。これらの遺伝子には、以下が挙げら
れる:テトラスパンNET−1、ペリプラキン(periplakin)、プロ
テアソームサブユニットHC5、ras GTPase活性化様タンパク質(I
QGAP1)、DUSP6二重特異性MAPキナーゼホスファターゼ、SET結
合因子(SBF1)、5−リポキシゲナーゼ、カルジザリン(calgizza
rin)、スペルミジン/スペルミンN1−アセチルトランスフェラーゼ(SS
AT)、アルデヒドデヒドロゲナーゼ2、ゲルソリン、インテグリンα−3、K
IAA0937、KIAA1131、抗ロイコプロテアーゼ、DAP12、脳特
的STE20様プロテインキナーゼ3(MST−3b)、ペフリン(pefli
n)、キネクチン(kinectin)、プロスタグランジントランスポーター
hPCT、リボホリンII、PRO302、誘導相互作用因子、イズロネート2
−スルファターゼ、ミトコンドリアプロテオリピド68MP、増殖停止特異性転
写物2遺伝子、ラクテートデヒドロゲナーゼ−A、26kDa表面タンパク質T
APA−1 mRNA、およびナトリウム依存性ホスフェートトランスポーター
イソ型NaPi−3b。
【0052】 これらの遺伝子は、腫瘍組織、ヒト腫瘍の動物モデル、またはヒト腫瘍由来の
細胞株において示差的に発現されることが示されているが、利用可能な文献は、
この発現と癌進行および/または転移の潜在性との間の相関を記述していない。
これらの遺伝子は、転移性甲状腺癌の分子的表現型、および上記のように、一般
的な転移性癌の表現型に寄与するようである。この群の遺伝子は、全ての転移性
癌における診断的な役割を有し得る。処置は、全ての転移性癌の処置において有
用であり得る。
【0053】 (テトラスパンNET−1(MTC19)) テトラスパンNET−1(genaBank#AF065388)のようなテ
トラスパニンは、膜を4回橋掛けする細胞表面タンパク質をコードし、2つの細
胞外ループを形成する。それらは、特定の細胞表面タンパク質を分類することに
よって、「分子ファシリテーター」として作用し、従って、機能性シグナル伝達
錯合体の形成よおび安定性を増加させる。NET−1は、Serruら、Bio
chim Biophys Acta 1478(1):159−163(20
00)に記載されている。この配列は、特許を受け、そしてこの特許は、それが
、前立腺癌によって発現され、そしてこれらの患者において免疫原性であること
を記載している。GENECALLINGTM分析は、テトラスパンNEAT−1
が、転移性甲状腺癌 対 非転移性甲状腺癌において上方制御されることを明ら
かにする。
【0054】 (ペリプラキン(MTC20)) 角質化した包は、トランスグルタミナーゼ架橋タンパク質の層であり、この層
は、表皮の最も外側の層におけるケラチノサイトの形質膜の下で構築される。ケ
ラチノサイトの中間糸状細胞骨格(組織および分化状態に従って、特定の発現対
において発現されるケラチンからなる)は、デスモソームと呼ばれる膜貫通タン
パク質複合体を通して相互接続される。それらは、半接着斑を介して基底膜と接
続する。ケラチノサイトの中間フィラメントと接触させると考えられるタンパク
質は、栓球素として知られているタンパク質のファミリーに属する。腫瘍随伴性
天疱瘡は、まれな自己免疫水疱性皮膚疾患であり、そしてこれらの患者からの血
清は、ペリプラキン(geneBank# AF013717)およびエンボプ
ラキン(envoplakin)を認識する。腫瘍随伴性天疱瘡に関連した癌は
、血液学的疾患(例えば、非ホジキンリンパ腫および慢性リンパ性白血病)であ
る。GENECALLINGTM分析は、ペリプラキンが、転移性甲状腺癌 対
非転移性甲状腺癌において上方制御されることを明らかにする。
【0055】 (プロテアソームサブユニットHC5(MTC21)) プロテアソームサブユニットHC5(geneBank# D00761)は
、20Sプロテアソームの一部分である。プロテアソームは、非同一ポリペプチ
ド成分のセットからなる多触媒性プロテイナーゼ複合体である。この20Sは、
癌を羅患した患者からの骨格筋において増加する。(Williamsら、Su
rgey 126(4):744−9(1999)を参照のこと)。GENEC
ALLINGTM分析は、プロテアソームサブユニットHC5が、転移性甲状腺癌 対 非転移性甲状腺癌において上方制御されることを明らかにする。
【0056】 (Ras GTPase活性化様タンパク質(IQGAP1)(MTC22)
) Ras GTPase活性化様タンパク質(IQ GAP1)(genBan
k#NP_003861)は、cdc42HsおよびracのGTPase活性
を阻害し、一方、rasとの相互作用は検出されなかった。これは、細胞骨格と
相互作用し、そしてアクチン、Rhoファミリーのメンバー、およびE−カドヘ
リンに結合する。カルモジュリンは、IQGAP1に結合し、そしてそのCdc
42およびアクチンとの結合を調節する。カルモジュリンのIQGAP1への結
合の崩壊は、細胞−細胞接合点でのIQGAP1のカドヘリン−カテニン複合体
成分への結合を増大し、障害性のE−カドヘリン機能を生じる。変異体IQGA
P1マウスは、遅発性の胃の過形成において、同じ遺伝的背景の野生型動物に対
して有意な増加(P<0.0001)を示す。GENECALLINGTM分析は
、IQ GAP 1が転移性甲状癌対非転移性甲状癌において上方制御されるこ
とを明らかにする。
【0057】 (DUSP6二重特異性MAPキナーゼホスファターゼ(MTC23)) DUSP6はまた、PYST1(genBank# AB013382)とし
ても公知である。マイトジェンで活性化されたタンパク質(MAP)キナーゼフ
ァミリーのメンバーは、細胞のシグナル伝達において、中心的役割を果たす。こ
の二重特異性ホスファターゼは、重大なホスホチロシンおよびホスホチロシン残
基の脱リン酸によって、MAPキナーゼ活性化を無効にし得る。DUSP6は、
12q21(膵臓癌における対立遺伝子を頻繁に損失する領域の1つ)上に局在
化される。全長転写物の減少した発現は、いくつかの膵臓癌細胞株において観察
された(Furukawaら、Cytogenet Cell Genet 8
2(3−4):156−9(1998)を参照のこと)。GENECALLIN
TM分析は、DUSP6が転移性甲状癌対非転移性甲状癌において上方制御され
ることを明らかにする。この結果は、膵臓細胞株における減少した発現に一致し
ないが、別のMAPキナーゼホスファターゼ、MKP−1が前立腺癌において過
剰発現され、そしてFasリガンド(FasL)で誘導されるアポトーシスをブ
ロックするという証拠が存在する(Srikanthら、Mol Cell B
iochem 199(1−2):169−78(1999)を参照のこと)。
DUSP6は、甲状癌において同様の活性を有し得る。
【0058】 (SET結合因子1(SBF1)(MTC24)) SET結合因子1(genBank#U93181)は、遺伝子調節の連続的
発現機構に関連した、高度に保存性のモチーフ、Suvar3−9様タンパク質
、Enhancer−of−zeste、Trithoraxに共通のSETド
メインと相互作用するその長所によって本来発見された(Cuiら、Nat G
enet 18(4):331−7(1998)を参照のこと)。SETドメイ
ンは、二重特異性ホスファターゼ(dsPTPases)と類似性を示すタンパ
ク質の特定のファミリーとの保存性相互作用を仲介する。SBF1は、dsPT
Paseミオチューブラリン(myotubularin)のホモログであるが
、これは、インビトロでホスホチロシンおよびセリン含有ペプチドを脱リン酸す
る機能性触媒的ドメインを欠く。SBF1が、その標的キナーゼについてdsP
TPaseに競合することによって作用し得る。SBF1が癌遺伝子として振舞
うという証拠がある。なぜなら、SBF1の過剰発現は、形質転換または増殖の
利点を誘導し得るためである。GENECALLINGTM分析は、SBF1が転
移性甲状癌対非転移性甲状癌において下方制御されることを明らかにする。この
結果は、上記の甲状の状況における活性とは一致しないが、SBF1の機能は、
dsPTPase DUSP6の上方制御が観察される場合に、DUSP6およ
び転移性腫瘍に転換するのに重要な他のdsPTPasesの活性を抑制し得る
【0059】 (5−リポキシゲナーゼ(MTC25)) 酵素5−リポキシゲナーゼ(genBank#J03571)は、ロイコトリ
エンの形成において2つの反応を触媒する。このロイコトリエンは、炎症および
即時型過敏症における生物学的活性を有するアラキドン酸誘導体化合物のグルー
プを構成する。現在、5つのリポキシゲナーゼ生成物、5−HETEが、前立腺
癌細胞の生存のために重要であることが示されている(Ghoshら、Proc
Natl Acad Sci U S A 95(22):13182−7(
1998)を参照のこと)。GENECALLINGTM分析は、5−リポキシゲ
ナーゼが、転移性甲状癌対非転移性甲状癌において上方制御されることを明らか
にする。
【0060】 (カルギザリン(calgizzarin)(MTC26)) カルギザリン(genBank#d38583)は、そのアネキシンIとのC
A2+依存性相互作用を介する細胞骨格機能の調節において関連するS100フ
ァミリーのCA2+結合タンパク質である。カルギザリンの発現は、正常な直腸
結腸粘膜における発現と比較して、直腸結腸癌において著しく増強された(Ta
nakaら、Cancer Lett 89(2):195−200(1995
)を参照のこと)。カルギザリンは、角質化した包膜(CE)様のペリプラキン
(periplakin)およびアネキシンI、本発明において記載される2つ
の他の遺伝子の一部分である。GENECALLINGTM分析は、ペリプラキン
およびアネキシンIである場合、カルギザリンが転移性甲状癌対非転移性甲状癌
において上方制御されることを明らかにする。この結果は、これらが転移性の細
胞において活性化された共通の経路の一部であり得ることを示す。
【0061】 (スペルミジン/スペルミンN1−アセチルトランスフェラーゼ(SSAT)
(MTC27)) ジアミンアセチルトランスフェラーゼおよびプトレシンアセチルトランスフェ
ラーゼ(genBank#m77693)としてもまた公知である。これは、ポ
リアミン代謝の異化経路における律速酵素である。これは、スペルミジンおよび
スペルミンのN(1)−アセチル化を触媒し、そしてポリアミンオキシダーゼの
継続的な活性によって、スペルミンはスペルミジンに転換され得、そしてスペル
ミジンはプトレシンに転換され得る。これは前立腺癌において上方制御され、そ
してこの上方制御は悪性度に関連する(Saverioら、Cancer Re
s 60(1):28−3400(2000))。GENECALLINGTM
析は、SSATが転移性甲状癌対非転移性甲状癌において上方制御されることを
明らかにする。
【0062】 興味深いことに、治療的考察について、SSATの増加した転写および最終的
なさらなる誘導は、いくつかの新しい抗腫瘍ポリアミンアナログの抗悪性腫瘍活
性に関連する(Alhonenら、Mol Pharmacol 55(4):
693−8(1999)を参照のこと)。潜在的に、ポリアミンアナログは、転
移性甲状癌の処置において特定の用途を有し得る。
【0063】 (アルデヒドデヒドロゲナーゼ2(ALDH−2)(MTC28)) アルデヒドデヒドロゲナーゼ2(genBank#k03001)は、このア
ルコール代謝酵素のミトコンドリア形態をコードする。不活性なALDH2は、
アルコール依存症患者の個体によって生成されるアセトアルデヒドのより高い量
のために、アルコール依存症患者における食道の多発性悪性腫瘍についての危険
因子である。ALDH2が、腫瘍細胞株およびウレタン誘導マウス肝腫瘍におい
て、下方制御されるか、または存在しないこともまた示された(Banfiら、
Mol Pharmacol 46(5):896−900(1994)を参照
のこと)。GENECALLINGTM分析は、ALDH−2が転移性甲状癌対非
転移性甲状癌において下方制御されることを明らかにする。
【0064】 (ゲルソリン(MTC29)) ゲルソリン(genBank#X04412)は、1マイクロモラー未満のカ
ルシウム濃度の存在下で、アクチンフィラメントを切断する。ゲルソリンの循環
形態は、循環からアクチンを溶解し、次いで除去するために作用する。血漿およ
び細胞質のゲルソリンは、単一の遺伝子によってコードされる。ゲルソリンは、
皮膚線維芽細胞の運動性のためのRacの必須の下流エフェクターである。これ
は、ホスホイノシチドのシグナル伝達経路およびインビボイオンチャネル機能を
調節し、そしてアポトーシスのレギュレータおよびエフェクターの両方として作
用する。これは、多くの形質転換された細胞株および腫瘍組織において、非常に
減少している。この減少は、胸部腫瘍における悪性度に関連する。GENECA
LLINGTM分析は、ゲルソリンが転移性甲状癌対非転移性甲状癌において上方
制御されることを明らかにする。これは上記のデータと一致しないが、同時に、
Tsc2異型接合性マウスにおいて、腎臓嚢腺腫が、高レベルでゲルソリンを発
現する皮質性集合管のインターカレートされた細胞から発生するという証拠があ
る(Ondaら、J Clin Invest 104(6):687−95(
1999)を参照のこと)。
【0065】 (インテグリンα−3(MTC30)) インテグリンは、細胞表面分子のファミリーを含み、これは細胞−細胞および
細胞−細胞外マトリックスの相互作用において重大な役割を果たす。これらは、
通常αおよびβ鎖からなるヘテロ二量体の膜貫通糖タンパク質として組織化され
る。インテグリンα−3(genBank#AAA3612)は、β1(VLA
−3)と一緒に、フィブロネクチン、ラミニン、およびコラーゲンのレセプター
として機能する。GENECALLINGTM分析は、フィブロネクチンの場合、
インテグリンα−3が転移性甲状癌対非転移性甲状癌において上方制御されるこ
とを明らかにする。フィブロネクチンおよびそのレセプター、インテグリンα−
3の転移性甲状癌における上方制御が、これらの腫瘍が細胞外マトリックスに移
動する能力について重要であり得る。
【0066】 (KIAA0937(MTC31)) KIAA0937(genBank#AB023154)は、Notchシグ
ナル伝達経路のメンバーであるヒトDeltex(DTX1)のホモログである
。これはRINGフィンガーを含み、これはタンパク質−タンパク質相互作用ま
たはDNA結合に関連するドメインである。Sbaseは、これがいくつかの転
写因子、およびレチノイン酸レセプター、ならびにセリンプロテアーゼに対して
相同性を有することを示す。タンパク質はレセプター様ノッチ(notch)に
結合し得、これはプロセスによって活性化され、次いで転写を活性化するために
核に転座される。推定のニワトリオルソログは、神経管、移動性神経堤細胞、上
皮性プラコード、脳神経節、ならびに眼および耳の小胞のような多くの神経構造
および感覚性構造において発現される(Frolovaら、Mech Dev
92(2):285−289(2000)を参照のこと)。GENECALLI
NGTM分析は、KIAA0937が転移性甲状癌対非転移性甲状癌において上方
制御されることを明らかにする。SAGE分析は、この遺伝子が、結腸癌細胞株
および腫瘍、グリア芽細胞腫多型、乳癌、ならびに卵巣腫瘍細胞株においてもま
た発現されることを明らかにする。これは、この遺伝子の過剰発現が、腫瘍形成
において一般的な役割を有し得ることを示す。
【0067】 (KIAA1131(MTC32)) KIAA1131(genBank#AB032957)は、Hirosaw
aら、DNA Res.6:329−336(1999)に記載される。この遺
伝子は、Deltexのサプレッサーのおよび他のユビキチンリガーゼ酵素に対
して相同性を有する。この相同性は、甲状癌および他の転移性癌における潜在的
な役割に非常に関連する。哺乳類細胞において、ノッチは生存および腫瘍形成に
おいて重要であることが示されてきた。DeltexおよびDeltexのサプ
レッサーは、そのNotchとの相互作用において、互いに拮抗する。従って、
おそらくKIAA0937およびKIAA1131は、DeltexおよびDe
ltexのサプレッサーに対して機能的に等価である。これらは、細胞の生存お
よび転移の可能性において重要な新しいNotchシグナル伝達経路を同定する
。GENECALLINGTM分析は、KIAA1131が転移性甲状癌対非転移
性甲状癌において下方制御されることを明らかにする。SAGE分析は、この遺
伝子が正常な前立腺と比較して前立腺腫瘍において下方制御されることを明らか
にし、癌におけるKIAA1131の下方制御のより一般的な役割を示す。
【0068】 (抗ロイコプロテアーゼ(MTC33)) 抗ロイコプロテアーゼはまた、分泌性白血球プロテアーゼインヒビター(ge
nBank#X04470)としてもまた公知である。これは、トリプシンおよ
びキモトリプシン、ならびに好中球リソソームエラスターゼおよびカテプシン−
Gに対して強い親和性を有する、酸安定プロテイナーゼインヒビターである。こ
れは、精液血漿、頚部粘液、気管支および鼻の分泌物、ならびに涙のような粘液
性流体中に存在する。これは、肺、胸部、口咽頭、膀胱、子宮内膜、卵巣、およ
び直腸結腸の悪性腫瘍において発現することが見出された(Garverら、G
ene Ther(1):46−50(1994)を参照のこと)。GENEC
ALLINGTM分析は、抗ロイコプロテアーゼが転移性甲状癌対非転移性甲状癌
において上方制御されることを明らかにする。SAGE分析は、抗ロイコプロテ
アーゼが卵巣腫瘍において上方制御されることを示す。
【0069】 (DAP12(MTC34)) DAP12(genBank#AF019562)は、ITIM(免疫レセプ
ターチロシンベースの抑制性モチーフ)配列を欠いたナチュラルキラー(NK)
細胞レセプターである。DAP12は、NK細胞を、阻害よりもむしろ活性化し
得るということが提唱されてきた。DAP12は、その細胞質ドメインにITI
Mを有さずに、キラー細胞抑制性レセプター(KIR)ファミリーの膜糖タンパ
ク質に非共有結合的に結合する。KIR−DAP12複合体の架橋は、細胞の活
性化を生じる。リン酸化されたDAP12ペプチドは、ZAP−70およびSy
kタンパク質チロシンキナーゼに結合し、活性化経路がTおよびB細胞の高原レ
セプターのものと類似していることを示唆する。GENECALLINGTM分析
は、DAP12が転移性甲状癌対非転移性甲状癌において上方制御されることを
明らかにする。この上方制御は、おそらく転移性甲状癌のリンパ球浸潤に起因す
る。SAGE分析は、この上方制御が、グリア芽細胞腫多型および卵巣腫瘍のよ
うな他の癌にも共通であることを示す。
【0070】 (脳特異的STE20様プロテインキナーゼ3(MST−3b)(MTC35
)) セリン−スレオニンキナーゼのSterile−20(Ste20)ファミリ
ーは、ストレス活性化プロテインキナーゼ経路の活性化に関係する。MST3b
(genBank#AAD42039)mRNAは、脳に限定される。MST3
ではなくMST3bは、インビボおよびインビトロの両方のアッセイにおいて、
サイクリックAMP依存性プロテインキナーゼ(PKA)の活性化によって、効
率的にリン酸化される(Zhouら、J Biol Chem 275(4):
2513−9(2000)を参照のこと)。GENECALLINGTM分析は、
MST−3bが転移性甲状癌対非転移性甲状癌において上方制御されることを明
らかにする。SAGE分析は、MST−3bが卵巣腫瘍においても上方制御され
ること示す。
【0071】 (ペフリン(Peflin)(MCT36)) ペフリン(genBank番号BAA85163)は、5−EF−ハンドのC
a(2+)−結合タンパク質ファミリー(five−EF−hand,Ca(2
+)−binding protein family)のメンバーである。こ
れは、アポトーシス関連遺伝子2(ALG−2)(Kitauraら、Bioc
hem.Biophys.Res.Commun.263(1):68−75(
1999)を参照のこと)に類似する。ALG−2はアポトーシスに必要とされ
、そしてALG−2枯渇は、いくつかの刺激(例えば、合成糖質コルチコイド、
TCR、およびFasトリガリング(Fas triggering)(Lac
anaら、J.Immunol.158(11):5129−35(1997)
を参照のこと)によって誘導されるプログラム細胞死から、マウスT細胞ハイブ
リドーマ3DOを保護する。GENECALLINGTM分析は、Peflinが
、非転移性甲状腺癌に対して転移性甲状腺癌においてダウンレギュレートされる
ことを明らかにしている。このことは、ペフリンの腫瘍でのダウンレギュレーシ
ョンが、アポトーシスに対するそれらの耐性を増加させ得ることを示唆する。S
AGE分析は、このダウンレギュレーションがまた、正常な乳房上皮に対してイ
ンサイチュの乳房腺管癌において観察され、そして正常な結腸に対して結腸癌に
おいて観察されることを明らかにしている。
【0072】 (キネクチン(Kinectin)(MTC37)) キネクチン(genBank番号NM_004986)は、分子モーターであ
るキネシンに対するレセプターであり、キネシンは、微小管に基づく小胞運搬お
よび膜輸送に決定的に関与する。GENECALLINGTM分析は、キネクチン
が、非転移性甲状腺癌に対して転移性甲状腺癌においてアップレギュレートされ
ることを明らかにしている。これは、アポトーシス刺激に供される細胞において
、カスパーゼ(caspase)7によって分割(cleave)される。従っ
て、そのアップレギュレーションは、生存と関連付けられ得る。この仮説は、S
AGE分析によって確認されている。これは、VEGF(ヒト微小血管内非細胞
中の生存因子)および低酸素によって、アップレギュレートされる。照射および
化学療法で処置された患者から得られた、悪性滲出、エストロゲンレセプターネ
ガティブを伴うヒト乳癌由来のMDA453において、これは高度にアップレギ
ュレートされる。甲状腺癌におけるキネクチンのアップレギュレーションと合わ
せて、この証拠は、生存および転移性能力を促進するにおける一般的役割を示す
【0073】 (プロスタグランジン輸送体hPGT(MTC38)) プロスタグランジン(PG)は、ヒトの健康および疾患において多様かつ重要
な役割を果たす。詳細には、プロスタグランジンレベルの上昇は、腫瘍と関連し
、そして腫瘍の進行を促進し得る。PGT(genBank番号u70867)
は、多様なヒト組織において、PGの輸送および/または代謝クリアランスにお
いて役割を有するようである。GENECALLINGTM分析は、hPTGが、
非転移性甲状腺癌に対して転移性甲状腺癌においてダウンレギュレートされるこ
とを明らかにしている。転移性甲状腺癌細胞によるhPTGのダウンレギュレー
ションは、腫瘍進行に有利なプロスタグランジンの局所的高濃度を生じさせる可
能性がある。
【0074】 (リボホリンII(MTC39)) リボホリンII(genBank番号00282)は、リボホリンI(RI)
およびOST48と共に、オリゴサッカリルトランスフェラーゼ(OST)の部
分であり、これは、小胞体(ER)の管腔面に露出されるその活性部位を有し、
そして初期ポリペプチドの特定のアスパラギン残基において予めアセンブルされ
た(preassemble)高マンノースオリゴサッカリドの転移を触媒する
。近年、アポトーシス細胞死に対するディフェンダー(defender)であ
るDAD1は、この複合体のメンバーであることが示された。DAD1は、最初
に、プログラム細胞死のネガティブレギュレーターとして同定された。このこと
は、OSTおよび従って、リボホリンIIが、細胞生存において役割を有すると
いう可能性を示す。GENECALLINGTMは、リボホリンIIが、非転移性
甲状腺癌に対して転移性甲状腺癌においてアップレギュレートされることを明ら
かにしている。リボホリンIIが原発性結腸直腸癌において過剰発現されるとい
う証拠(Hufton、FEBS Lett 463(1〜2):77−82(
1999))と合わせて、この結果は、リボホリンIIの過剰発現が、細胞の生
存能力を増加させることによって転移表現型を促進することを示す。
【0075】 (Pro302(MTC40)) この遺伝子は、分泌タンパク質である卵黄形成性カルボキシペプチダーゼをコ
ードする。このタンパク質は、抗新脈管形成活性を有し、この活性は、他の疾患
の中でも癌の処置において有用である。GENECALLINGTM分析は、Pr
o302が、非転移性甲状腺癌に対して転移性甲状腺癌においてダウンレギュレ
ートされることを明らかにしている。このダウンレギュレーションは、抗新脈管
形成性および抗腫瘍性の役割と一致する。従って、これらの研究は、転移性甲状
腺癌の処置におけるPro302の特定の用途を示す。
【0076】 (刺激(stimulated)トランス作用因子(50kDa)(MTC4
1)) 刺激トランス作用因子(50kDa)(Staf50)(genBank番号
X82200)は、Ringフィンガーファミリーのメンバーである。これは、
遺伝子誘導の第2カスケードを開始させ得る転写レギュレーターの特徴のすべて
を含む。これは、種々の細胞株においてI型IFNおよびII型IFNの両方に
よって誘導される(Tissotら、J.Biol.Chem.270(25)
:14891−8(1995)を参照のこと)。GENECALLINGTM分析
は、Staf50が、非転移性甲状腺癌に対して転移性甲状腺癌においてアップ
レギュレートされることを明らかにしている。これは、転移性乳頭状癌の高レベ
ルのリンパ球浸潤の反映であり得る。
【0077】 (イズロネート2−スルファターゼ(Iduronate 2−sulfat
ase)(MTC42)) GENECALLINGTM分析は、イズロネート2−スルファターゼ(gen
Bank番号M583420)が、非転移性甲状腺癌に対して転移性甲状腺癌に
おいてアップレギュレートされることを明らかにしている。
【0078】 (ミトコンドリアプロテオリピド68MP(MTC43)) ミトコンドリアプロテオリピド68MP(genBank番号AF05417
5)は、ヒトCD34(+)造血幹細胞/前駆細胞によって発現される(Mao
ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95(14):8175
−8180(1998)を参照のこと)。GENECALLINGTM分析は、6
8MPが、非転移性甲状腺癌に対して転移性甲状腺癌においてダウンレギュレー
トされることを明らかにしている。この遺伝子のダウンレギュレーションは、転
移性腫瘍における細胞が、その分化状態を喪失し、そして幹細胞/前駆細胞に類
似するようになることを示す。
【0079】 (成長阻害特異的転写物5遺伝子(MTC43)) 成長阻害特異的転写物5(GAS5)(genBank番号AF141346
)は最初に、増殖阻害の間に高レベルで発現される潜在的癌抑制遺伝子について
のスクリーニングにおいて発見された。GAS5は、UHG(U22ホスト遺伝
子(host gene))に類似する、非タンパク質コード複数小核小体(n
on−protein−coding multiple small nuc
eolar)RNA(snoRNA)ホスト遺伝子である。マウスGAS5遺伝
子の11個のイントロンにおいてコードされるのは、rRNAの2’−O−メチ
ル化において機能すると推定される9個(ヒトにおいては10個)のボックスC
/DsnoRNAである。増殖中の細胞における活性な転写は、スプライスされ
たGAS5 RNAの急速な崩壊へと導くが、翻訳の阻害は、GAS5転写物の
レベル上昇を引き起こす。増殖阻害細胞においても同様に、スプライスされたG
AS5 RNAが蓄積する。これは明らかに、mRNP粒子中に隔離され、そし
て翻訳されないからである。GENECALLINGTM分析は、GAS5が、非
転移性甲状腺癌に対して転移性甲状腺癌においてアップレギュレートされること
を明らかにしている。転移性甲状腺癌におけるGAS5の示差的発現は、これら
の細胞のストレス生存能力の増加に関連し得る。
【0080】 (乳酸デヒドロゲナーゼA(MTC45)) GENECALLINGTM分析は、乳酸デヒドロゲナーゼA(genBank
番号X02152)が、非転移性甲状腺癌に対して転移性甲状腺癌においてアッ
プレギュレートされることを明らかにしている。
【0081】 (26kDa細胞表面タンパク質TAPA−1 mRNA、完全cds;CD
81(MTC46)) GENECALLINGTM分析は、CD81(genBank番号M3368
0)が、非転移性甲状腺癌に対して転移性甲状腺癌においてダウンレギュレート
されることを明らかにしている。
【0082】 (ナトリウム依存性ホスフェート輸送体アイソフォーム(sodium de
pendent phosphate trasnporter isofor
m)NaPi−3b AF111856(hs640_0)(MTC47)) GENECALLINGTM分析は、ナトリウム依存性ホスフェート輸送体アイ
ソフォームNaPi−3b(genBank番号AF111856)が、非転移
性甲状腺癌に対して転移性甲状腺癌においてアップレギュレートされることを明
らかにしている。
【0083】 (本明細書において新たに記載された核酸配列) (MTC48) 本発明に従うMTC48核酸配列は、アセンブルされた配列d0l0−145
.3または88098062を含む。GENECALLINGTM分析は、これが
、非転移性甲状腺癌に対して転移性甲状腺癌においてアップレギュレートされる
ことを明らかにしている。
【0084】 本発明に従うヒトMTC48核酸配列(配列番号1)を、そのコードするアミ
ノ酸配列(配列番号2)と共に、以下に提供する:
【0085】
【化1】 アミノ酸配列(配列番号2)
【0086】
【化2】 本発明に従うマウスMTC48核酸配列(配列番号3)を、そのコードするア
ミノ酸配列(配列番号4)と共に、以下に提供する:
【0087】
【化3】 マウスアミノ酸配列(配列番号4)
【0088】
【化4】 図1は、本発明に従うヒトMTC48アミノ酸配列とマウスMTC48アミノ
酸配列との間の配列相同性を示す。各アミノ酸配列において保存された領域を、
黒色で強調する。
【0089】 Psort分析は、これが膜貫通タンパク質であることを示す。この値は、ミ
トコンドリア内膜P=0.8207であり、そして形質膜P=0.7000であ
る。この値は大変類似しているので、決定的な細胞性位置はなお、推定され得な
い。
【0090】 Pfam分析は、このタンパク質における2つの免疫グロブリン様ドメインの
存在を示す。1つはアミノ酸23〜アミノ酸81に広がり、そして他方は、アミ
ノ酸121〜アミノ酸216を含む。これらの領域はまた、Sbase分析を使
用して同定される。Sbase分析はまた、コードされるMET48ポリペプチ
ドが、HB−EGF様ファミリーのCOOH領域に対する相同性を有することを
示す。Blocks分析は、酸素運搬または電子伝達に関与する金属結合蛋白、
およびGタンパク質共役レセプターに対する相同性を見出す。
【0091】 図2は、ヒトMTC48ポリペプチドの疎水性分析を示す。膜貫通ドメインが
、アミノ酸260と300との間に存在する。形質膜上に露出される場合、この
領域は、免疫療法のための所望される標的を提示する。MMTC48は、GPC
Rまたは酵素活性に関与するタンパク質であり、これは潜在的に、低分子療法(
small molecule therapy)のための標的である。
【0092】 (MTC49) 本発明に従うMTC49核酸配列は、ヒト17番染色体に由来するAC024
267配列ならびに甲状腺に発現する配列を用いて組立てた。組立てた配列は、
非転移性癌細胞に対して転移性癌細胞において、ダウンレギュレートされる。甲
状腺由来の配列の存在は、この遺伝子が通常甲状腺に発現し、そして転移性甲状
腺腫瘍においてダウンレギュレートされるという仮説を支持する。
【0093】 本発明に従うヒトMTC49核酸配列(配列番号5)が、コードするアミノ酸
(配列番号6)と共に以下に提供される。
【0094】 ヒトMTC49cDNA(配列番号5)
【0095】
【化5】 ヒトMET49ポリペプチド(配列番号6)
【0096】
【化6】 本発明に従うマウスMTC49核酸配列(配列番号7)が、コードするアミノ
酸配列(配列番号8)と共に以下に提供される。
【0097】 マウスcDNA(配列番号7)
【0098】
【化7】 マウスペプチド(配列番号8)
【0099】
【化8】 図3は、本発明に従う、ヒトMTC49アミノ酸配列とマウスMTC49アミ
ノ酸配列との間の配列相同性を示す。各アミノ酸配列における保存領域を黒で強
調する。
【0100】 MTC49は、たぶん新規転写因子をコードするようである。この結論は、核
局在を示唆するPsort分析によって支持される(核 P=0.6000)。
コードされるMTC49ポリペプチドに関する核局在はまた、O60129フォ
ークヘッドタンパク質型転写因子へのこのコードされるポリペプチドの相同性(
96〜191aaの間の領域で46%ID)およびホメオボックスタンパク質に
対する弱い相同性の観点から、有りそうなことである。
【0101】 FHAドメインを有するポリペプチドをコードする核酸がまた、本発明に含ま
れる。FHAドメインは、タンパク質キナーゼおよび転写因子に見出される推定
核シグナル伝達ドメインである。この配列は、本明細書中に記載されるGENE
CALLINGTM分析中でアップレギュレートされる。このヌクレオチド配列を
配列番号9に提供する。
【0102】
【化9】 (MTC50) 本発明に従うMTC50核酸が組立てられ、そして95199195と命名さ
れた。GENECALLINGTM分析によって、この遺伝子が、非転移性甲状腺
癌に対して転移性甲状腺癌において、アップレギュレートされることが明らかに
された。組立てられた配列は、II型イノシン−5’モノホスフェートデヒドロ
ゲナーゼに割り当てられたゲノム領域の一部であるが、これは、Zimmerm
annら(Zimmermannら、J Biol Chem 272(36)
:22913−23(1997)を参照のこと)によって考察されるように異な
る遺伝子を表す。Zimmermanらは、II型IMPDH遺伝子に関して末
端−末端(tail to tail)方向で配向された2kbの遺伝子が存在
し、そしてこれが、II型 IMPDH遺伝子の1〜3kbで終結することを示
した。
【0103】 95199195の逆相補鎖に対応する本発明に従うMTC50ヌクレオチド
配列(配列番号10)が、以下に提供される。MTCポリペプチドのアミノ酸配
列(配列番号11)もまた、提供される。
【0104】
【化10】 アミノ酸配列(配列番号11)
【0105】
【化11】 コードされるMTC50アミノ酸ポリペプチドは、公共のデータベースに存在
するQ9Y3Z0と命名される推定タンパク質に類似する。これらの2つの配列
のアラインメントによって、これらは、そのCOOH末端において同一であるが
、(190アミノ酸の中の)最初の50アミノ酸において異なることが明らかに
なった。
【0106】 図4は、ヒトMTC50アミノ酸配列と推定タンパク質Q9Y2Z0との間の
配列相同性を示す。各アミノ酸配列の保存領域を、黒で強調する。
【0107】 この配列は、ラット遺伝子E3−3(AAB54063)(データベース中の
精巣に優先的に発現する新規核タンパク質として注釈される登録)と類似する。
Psortは、ミトコンドリアマトリックス領域において、P=0.8414と
評価する。データベースに対するBlastPにより、いくつかの真核生物推定
タンパク質および細菌膜タンパク質に対する相同性が見出される。ブロック分析
により、このポリペプチドが、NH末端において酸ホスファターゼへ、そしてC
OOH末端においてシクロフィリン型PPIASEファミリーへ相同性を有する
ことが示される。SbaseおよびProdomにより、NH末端がフマル酸ヒ
ドラターゼの輸送ペプチド(ミトコンドリア膜に局在する別のゲノム的に(ge
nomically)コードされるタンパク質)に類似することが見出される。
Sbaseはまた、ラットセロトニン(5−HT6)レセプター(Gタンパク質
結合レセプター)との類似性(タンパク質長にわたって48%)を示す。
【0108】 図5は、ヒトMTC50アミノ酸配列とラット遺伝子E3−3(AAB540
63)との間の配列相同性を示す。各アミノ酸配列の保存領域は、黒で強調する
【0109】 シクロフィリンは、ストレス関連応答に関与することが公知であり、そして癌
でアップレギュレートされる。この配列は、ミトコンドリア膜に局在するこのフ
ァミリーの新規メンバーを示すのかもしれない。このタンパク質のPpiase
活性の阻害は、癌の処置に有用であり得る。
【0110】 (MTC51) MTC51核酸のヌクレオチド配列(配列番号12)を、以下に提供する。 GENECALLINGTM分析によって、この配列は、非転移性甲状腺癌に対し
て転移性甲状腺癌においてアップレギュレートされることが明らかとなった。こ
の配列は、いずれのデータベースにおける配列とも一致または類似性を見出さな
い。
【0111】 核酸配列(配列番号12)
【0112】
【化12】 この核酸配列の概念の翻訳によって、この配列が2つのオープンリーディング
フレーム(「ORF」)をコードし得ることが明らかにされた。これにより、こ
の配列が新規遺伝子のコード領域のフラグメントを表し得るという可能性が示さ
れる。
【0113】
【化13】 (MTC配列を用いた一般的なスクリーニング方法および診断方法) 各MTC核酸配列の発現は、上記に提供された情報を使用することによって同
定され得る。いくつかの実施形態において、MTC核酸は、各MTC配列に関し
て開示された種々の配列(配列番号として上記に参照される)を含む核酸に対応
する。
【0114】 その種々の局面および実施形態において、本発明は、1つ以上の配列MTC1
−51を発現可能な少なくとも1つの細胞を含む試験細胞集団を提供することを
含む。「発現可能な」とは、核酸配列が細胞内でインタクトな形態で存在し、そ
して発現され得ることを意味する。MTC配列の1つ、数個または全ての発現は
、検出され、そして存在する場合、好ましくは測定される。公知の配列に関する
データベース登録によって提供される配列情報または以前に未知である配列に関
して本明細書中に提供される配列情報を使用して、MTC配列の発現が、検出さ
れ得、そして存在する場合、当業者に周知の技術を用いて測定され得る。例えば
、MTC配列に関する公共の配列データベース登録内または本明細書中に開示さ
れる新規配列内の配列は、例えば、ノーザンブロットハイブリダイゼーション分
析においてMTC RNA配列を検出するためのプローブを構築するために使用
され得る。あるいは、この配列は、例えば、増幅ベースの検出方法(逆転写ベー
スのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)など)においてMTC配列を特異的に増幅
するプライマーを構築するために使用され得る。
【0115】 次いで、試験細胞集団における1つ以上のMTC配列の発現レベルが、参照細
胞集団由来の1つ以上の細胞における配列の発現レベルと比較される。参照細胞
集団は、比較されたパラメーターまたは条件が既知である1つ以上の細胞を含む
。参照細胞集団の組成は、遺伝子発現プロフィールの比較が、測定されるパラメ
ーターまたは条件の、存在または非存在を示すか否かを決定する。
【0116】 参照細胞集団と比較して、試験細胞集団における発現の変化は、試験細胞集団
中の測定されたパラメーターまたは条件が、参照細胞の測定されたパラメーター
または条件と異なることを示す。参照細胞集団と比較して、試験細胞集団の発現
変化がないということは、試験細胞集団中の測定されたパラメーターまたは条件
が、参照細胞の測定されたパラメーターまたは条件と同じであることを示す。例
として、参照細胞集団が非癌性細胞を含む場合、試験細胞集団における類似した
遺伝子発現プロフィールは、試験細胞もまた非癌性であることを示し、一方、異
なるプロフィールは、試験細胞が癌性であることを示す。同様に、参照細胞集団
が癌性細胞から構成される場合、試験細胞集団における類似した発現プロフィー
ルは、試験細胞集団もまた癌性細胞であることを示し、そして異なる発現プロフ
ィールは、試験細胞が非癌性であることを示す、ということを表す。
【0117】 いくつかの実施形態において、試験細胞集団は、複数の参照細胞集団と比較さ
れる。複数の参照細胞集団の各々は、公知のパラメーターにおいて異なり得る。
例えば、試験細胞集団は、非転移性癌性細胞を含む参照細胞集団、ならびに転移
性癌性細胞を含むことが既知の第2の参照細胞集団と比較され得る。
【0118】 試験細胞集団は、新生物を含むことが既知であり得るか、または新生物を含む
と疑われ得る。いくつかの実施形態において、試験細胞は、甲状腺小胞状腺腫を
含むことが既知か、または甲状腺小胞状腺腫を含むと疑われる細胞サンプルの中
に含まれる。他の実施形態において、試験細胞サンプルは、転移性乳頭状癌を含
むことが既知か、または転移性乳頭状癌を含み得ると疑われている領域に由来す
る。他の実施形態において、試験細胞集団は、甲状腺小胞状腺腫および転移性乳
頭状癌を含むことが既知であり得るか、または甲状腺小胞状腺腫および転移性乳
頭状癌を含むことが疑われ得る。
【0119】 試験細胞は、既知のサンプルまたは腫瘍を含むを思われるサンプルから選ばれ
得るか、または血液、血清、尿、唾液、乳、管液、または涙液を含む体液または
生物学的液体から選ばれ得る。多くの適用(例えば、新生物の分類、処置の効力
の評価、または患者における新生物の診断)について、体液中に存在する細胞は
、一次病巣由来の細胞の変わりに試験され得る。従って、既知または疑わしい新
生物からの生検を行う必要性は、取り除かれ得る。
【0120】 好ましくは、参照細胞集団における細胞は、可能な限り試験細胞集団に類似の
組織型由来である。例えば、参照細胞集団は、甲状腺組織に由来し得る。いくつ
かの実施形態において、参照細胞は、試験細胞集団の起源の領域の近傍の領域に
由来し得る。
【0121】 被験体は好ましくは、哺乳動物である。例えば、哺乳動物細胞は、ヒト、非ヒ
ト霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマ、またはウシであり得る。
【0122】 いくつかの実施形態において、参照細胞集団は、複数の細胞に由来し得る。参
照細胞集団は、発現パターンのデータベースであり得る。このデータベースは、
アッセイされたパラメーターまたは条件の1つが既知である、以前に試験された
細胞からの発現パターンのデータベースである。
【0123】 種々の実施形態において、MTC1〜51によって表される1〜51以上の配
列の発現が測定される。所望の場合、これらの配列の発現は、他の配列と一緒に
測定され得る。この他の配列は、その発現が、本明細書中に記載されるパラメー
ターまたは条件の1つに従って変化されることが公知である。「変化される」に
よって、参照細胞集団における発現レベルと比較して1以上の核酸配列の発現が
増加するか、または減少することを意味する。あるいは、試験細胞集団の発現プ
ロフィールは、参照細胞集団のプロフィールと同じであり得る。
【0124】 本明細書中に開示される配列の発現は、当該分野で公知の任意の方法によって
RNAで測定され得る。例えば、1以上のこれらのMTC配列を特異的に認識す
るプローブを使用するノーザンブロットハイブリダイゼーション分析は、遺伝子
発現を決定するために使用され得る。あるいは、核酸配列の発現は、逆転写に基
づいたPCRアッセイ(例えば、MTC:1〜51と呼ばれる示差的に発現され
た配列に特異的なプライマーを使用する)を使用して測定され得る。
【0125】 発現はまた、例えば、本明細書中に記載される遺伝子産物によってコードされ
るポリペプチドのレベルを測定することによってタンパク質レベルで測定され得
る。ポリペプチドのレベルを測定する方法は、当該分野で周知である。例えば免
疫アッセイは、核酸配列によってコードされるタンパク質に対する抗体に基づい
て設計され得る。
【0126】 核酸配列の発現における変化が、遺伝子増幅または欠失に関連する場合、試験
細胞集団と参照細胞集団における配列比較は、試験細胞集団および参照細胞集団
の両方における試験された核酸配列の相対レベルを比較することによってなされ
る。
【0127】 (甲状腺癌の段階の分類) 1つの局面において、本発明は、被験体における甲状腺癌の段階を分類する方
法を提供する。「甲状腺癌の段階を分類」によって、甲状腺癌の転移段階の決定
を意味する。すなわち、被験体の甲状腺癌が、非転移に反対の転移性であるか否
かを決定する。
【0128】 この方法は、被験体から細胞を準備する工程および細胞において1以上の核酸
配列MTC:1〜51の発現レベルを検出する工程を包含する。
【0129】 次いで、核酸配列の発現は、参照細胞集団における発現のレベルに比較される
。一般的に、任意の参照細胞集団は、甲状腺癌の段階が既知である限り使用され
得る。いくつかの実施形態において、参照細胞集団は、非転移性甲状腺癌細胞を
構成する。このような参照細胞集団の発現プロフィールに類似の試験細胞の発現
プロフィールは、試験細胞集団はまた非転移性甲状腺癌細胞からなることを示す
。逆に、非転移性甲状腺癌集団とは異なる試験細胞の発現プロフィールは、転移
性甲状腺癌試験細胞集団を示す。他の実施形態において、参照細胞集団は、転移
性甲状腺癌細胞を含む。このような実施形態において、参照細胞に類似の試験細
胞の発現プロフィールは、転移性甲状腺癌を示すが、異なる発現パターンは、非
転移性甲状腺癌を示す。
【0130】 所望の場合、試験細胞集団および参照細胞集団内の相対発現レベルは、被験体
における甲状腺癌の段階によって異ならない核酸配列の発現レベルに照会するこ
とよって基準化され得る。
【0131】 (新生物の診断) 本発明は、新生物(例えば、甲状腺癌)の診断方法をさらに提供する。新生物
は、腫瘍を含むと疑われる試験細胞集団からの1以上のMTC核酸配列の発現を
検査することによって診断される。試験細胞の集団は、原発腫瘍(例えば、甲状
腺組織)を含み得るか、あるいは原発腫瘍が広まった細胞(血液またはリンパ体
液)を含み得る。
【0132】 1以上のMTC配列(MTC:1〜51)の発現は、試験細胞において測定さ
れ、そして参照細胞集団におけるこれらの配列の発現に比較される。参照細胞集
団は、腫瘍性条件が既知である少なくとも1つの細胞を含まなければならない。
例えば、参照細胞集団の甲状腺癌の段階は、既知でなければならない。参照細胞
が腫瘍性細胞を含まない場合、次いで(than)、試験細胞集団と参照細胞集
団との間のMTC配列の発現における類似性は、試験細胞集団が同様に任意の腫
瘍性細胞を含まないことを示す。一方で、試験細胞集団と参照細胞集団との間の
MTC配列の発現における差は、試験細胞集団が腫瘍性細胞を含むことを示す。
【0133】 逆に、参照細胞集団が少なくとも1つの腫瘍性細胞を含む場合、MTC発現パ
ターンにおける類似性は、試験細胞集団がまた腫瘍性細胞を含むことを示す。あ
るいは、示差的発現パターンは、試験細胞集団が非腫瘍性細胞を含むことを示す
【0134】 (被験体における新生物の処置の効率の評価) 本明細書中で同定された示差的に発現されたMTC配列はまた、新生物(例え
ば、甲状腺癌)の処置の過程がモニターされることを可能にする。この方法にお
いて、試験細胞集団は、新生物の処置を受けている被験体より準備される。所望
の場合、試験細胞集団は、処置前、最中、および後の種々の時点で、被験体から
採取され得る。次いで、試験細胞集団における1以上のMTC:1〜51の発現
が、測定され、そして新生物(例えば、甲状腺癌)の段階が既知である細胞を含
む参照細胞集団に比較される。好ましくは、参照細胞は、処置を受けていない。
【0135】 参照細胞集団が、腫瘍性細胞を含まない場合、試験細胞集団と参照細胞集団と
の間の発現における類似性は、この処置が有効であることを示す。しかし、発現
パターンにおける差は、この処置が有効でないことを示す。
【0136】 「有効である」によって、この処置が被験体の新生物のサイズの減少または転
移の可能性、またはより発達していない段階への腫瘍の段階のシフトにつながる
こと意味する。処置が予防的に適用される場合、「有効である」は、処置が、被
験体における新生物の形成を遅らせるか、または予防することを意味する。
【0137】 参照細胞集団が腫瘍性細胞を含む場合、類似の発現パターンは、この処置が有
効でないことを示し、ここで、異なる発現パターンがこの処置が有効でないこと
を示す。
【0138】 効率は、特定の新生物を処置する任意の方法と関連して決定され得る。
【0139】 (新生物を処置するために個別化された治療薬剤の同定) 個々の被験体における遺伝的差は、種々の薬剤を代謝する異なる能力を生じ得
る。被験体において抗腫瘍性薬剤として作用する代謝される薬剤は、非腫瘍性状
態のパターン特性からの被験体の細胞における遺伝子発現パターンにおける変化
を誘導することによってそれ自身を表し得る。従って、本明細書中で開示された
示差的に発現されたMTC配列は、推定治療的薬剤または予防的抗腫瘍性薬剤が
、細胞集団において、この薬剤が被験体における適切な抗腫瘍性薬剤であるか否
かを決定するために試験されることを可能にする。
【0140】 本発明のこの方法によると、被験体由来の試験細胞集団は、治療薬剤に曝露さ
れる。1以上のMTC配列の発現が、次いで測定される。
【0141】 いくつかの実施形態において、試験細胞集団は、腫瘍細胞が広がった原発腫瘍
(例えば、甲状腺癌)または体液(例えば血液またはリンパ)を含む。他の実施
形態において、薬剤は、細胞抽出物(例えば、肝細胞抽出物)とはじめに混合さ
れる。この細胞抽出物は、活性化形態に薬剤を代謝する酵素を含む。次いで、活
性化形態の薬剤は、試験細胞集団と混合され、遺伝子発現が測定される。好まし
くは、細胞集団を、エキソビボでこの薬剤またはその活性化形態と接触する。
【0142】 「個別化」によって、選択された特定の治療薬剤が、個々の遺伝的構成にける
差を考慮することを意味する。それは、選択された薬剤が特定の患者において治
療的であることを確認することによってである。
【0143】 次いで、試験細胞集団におけるMTC配列の発現は、参照細胞集団の発現パタ
ーンと比較される。再び、参照細胞集団は、腫瘍性(すなわち、甲状腺癌)の段
階が既知である少なくとも1つの細胞を含む。参照細胞が非癌性である場合、類
似の遺伝子発現パターンは、この薬剤が被験体における新生物の処置に適切であ
ることを示す。パターンが異なる場合、次いで、特定の薬剤は、特定の患者にお
ける新生物を処置するために適切でない。
【0144】 一方で、参照細胞が癌性である場合、類似の配列発現パターンは、薬剤が被験
体の処置に適切でないことを示す。逆に、異なるMTC発現は、薬剤が被験体の
処置に適切であることを示す。
【0145】 試験薬剤は、任意の化合物または組成物であり得る。いくつかの実施形態にお
いて、薬剤は、抗癌薬剤であることが既知である化合物または組成物であり得る
。他の実施形態において、薬剤は、抗癌薬剤であることが以前に既知でない化合
物または組成物である。
【0146】 (新生物を処置または予防するための候補治療薬剤の同定のためのスクリーニ
ングアッセイ) 本明細書中に開示された示差的に発現されたMTC配列はまた、新生物(例え
ば、甲状腺癌)を処置するための候補治療薬剤を同定するために使用され得る。
この方法は、MTC:1〜51の発現プロフィールを転換するか否かを決定する
ための候補治療薬剤のスクリーニングに基づく。MTCは、非癌性状態を示すパ
ターンに対する癌性状態の特徴である。
【0147】 この方法において、試験細胞集団は、連続してか、または同時かのいずれかで
試験薬剤または試験薬剤の組み合わせに曝露される。1以上のMTC配列の発現
が測定される。次に、試験細胞集団におけるMTC配列の発現は、試験薬剤に曝
露されていない参照細胞集団におけるMTC配列の発現レベルに比較される。
【0148】 適切な試験薬剤候補は、MTC配列(癌性細胞において下方制御される)の発
現を増加するか、および/またはそれらのMTC配列(癌性細胞において上方制
御される)の発現を減少する。
【0149】 いくつかの実施形態において、参照細胞集団は、癌性細胞を含む。このような
参照細胞集団が使用される場合、薬剤の非存在下の参照細胞集団の発現パターン
由来の試験薬剤の存在下での核酸配列の発現における変化は、薬剤が新生物の処
置のための候補治療薬剤であることを示す。
【0150】 この方法において使用される試験薬剤(単数または複数)は、以前に記載され
ていない化合物であり得るか、または抗腫瘍性薬剤であることが示されていない
既知の化合物である。
【0151】 十分に発現されていない(underexpressed)遺伝子の発現を刺
激する際、または過剰発現された遺伝子の発現を抑制する際に有効である薬剤は
、腫瘍の増殖を防ぐためのその能力についてさらに試験され得る。このような薬
剤はまた、腫瘍の処置のために潜在的に有用である。所定の化合物の臨床的な有
用性のさらなる分析は、抗癌薬剤の毒性および臨床的な有効性を評価する標準方
法を使用して行われ得る。
【0152】 (新生物の分類) 試験細胞集団と参照細胞集団におけるMTCの発現パターンの比較は、被験体
の新生物を分類するために使用され得る。例えば、このような比較は、被験体に
おける甲状腺癌を分類するために使用され得る。
【0153】 この方法は、被験体から少なくとも1つの腫瘍性細胞を含む試験細胞集団を準
備する工程、およびこの試験細胞において1以上のMTC配列の発現を測定する
工程を包含する。この試験細胞集団における核酸配列の発現は、腫瘍性状態おお
び分類が既知である少なくとも1つの細胞を含む参照細胞集団における核酸配列
の発現に比較される。発現パターンにおける類似性は、試験細胞集団における癌
性細胞が、参照細胞集団が有する腫瘍性分類と同じ腫瘍性分類を有することを示
す。
【0154】 「分類」によって、所定の新生物の腫瘍性状態を意味する。すなわち、新生物
は転移性であるか、または非転移性である。転移性新生物の場合には、「新生物
を分類」は、転移の程度を決定することを意味し得る。
【0155】 (新生物を有する被験体の予後の評価) また提供されるのは、試験細胞集団(少なくとも1つの癌性細胞を含む)にお
ける1以上のMTC配列の発現を、参照細胞集団における配列の発現に比較する
ことによる新生物(例えば、甲状腺癌)を有する被験体の予後の評価方法である
。1以上のMTC配列の遺伝子発現プロフィールを比較することによって、被験
体の予後が評価され得る。
【0156】 代替の実施形態において、参照細胞集団は、原発非癌性細胞または原発癌性細
胞を含む。参照細胞が、原発非癌性細胞を含む場合、MTC配列(転移性癌状態
において過剰発現される)の発現における増加またはMTC配列(転移性状態に
おいて十分に発現されない)の発現における減少は、より好ましくない予後を示
唆する。具体的には、非癌性参照細胞に比較された任意の1以上のMTC:1、
3、5〜16、18〜23、25〜27、29〜31、33〜35、37、39
、41〜42、44〜45、48または50における増加、または任意の1以上
のMTC:2、4、17、24、28、32、36、40、43、または46に
おける減少は、より好ましい予後を示す。
【0157】 参照細胞集団が、原発癌性細胞を含む場合、MTC配列(転移状態で過剰発現
される)の発現における減少、またはMTC配列(転移性状態で十分に発現され
ない)の発現における増加は、好ましい予後を示唆する。従って、癌性参照細胞
集団に比較された任意の1以上のMTC:1、3、5〜16、18〜23、25
〜27、29〜31、33〜35、37、39、41〜42、44〜45、48
または50の発現における減少、または任意の1以上のMTC:2、4、17、
24、28、32、36、38、40、43、または46の発現における増加は
、被験体の好ましい予後を示す。
【0158】 (転移性癌の処置) また提供されるのは、発達中の転移性癌に罹患する患者またはその危険にある
患者における転移性癌(転移性甲状腺癌)を処置するための方法である。「発達
する危険にある」によって、被験体の予後が、より好ましくなく、かつ被験体が
転移性癌を発達する増加した可能性を有することを意味する。この方法は、1以
上のMTC配列の発現を調節する薬剤を、処置の必要な患者に投与する工程を包
含する。投与は、予防的または治療的であり得る。
【0159】 1つの実施形態において、この方法は、MTC:2、4、17、24、28、
32、36、38、40、43、および46からなる群より選択される1以上の
核酸配列の発現を増加する薬剤を、患者に投与する工程を包含する。これらのM
TC配列は、非転移性状態に比較される転移性状態において十分に発現されない
。被験体は、被験体において十分に発現されない核酸配列の量を増加する有効量
の化合物で処置され得る。投与は、全身または局所(例えば、被験体の癌性細胞
の直ぐ近傍)であり得る。この薬剤は、例えば十分に発現されない遺伝子のポリ
ペプチド産物またはその生物学的に活性なフラグメント、十分に発現されない遺
伝子をコードし、かつ癌細胞における発現を可能にする発現調節エレメントを有
する核酸、またはこの遺伝子の発現の内因性レベルを増加する薬剤であり得る。
【0160】 別の実施形態において、この方法は、MTC:1、3、5〜16、18〜23
、25〜27、29〜31、33〜35、37、39、41〜42、44〜45
、48および50からなる群より選択される1以上の核酸配列の発現を減少する
薬剤を投与する工程を包含する。これらのMTC配列は、転移性癌性状態におい
て過剰発現される。再び、被験体における過剰発現された核酸の量を減少する有
効量の化合物で、被験体は処置され得る。上記の議論のように、投与は全身また
は局所であり得る。発現は、当該分野で公知の任意のいくつかの方法で阻害され
得る。例えば、被験体に、過剰発現された遺伝子(単数または複数)の発現を阻
害またはアンタゴナイズする核酸を投与することによって発現は阻害され得る。
1つの実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、内因性遺伝子(
単数または複数)の発現を中断するために投与され得る。
【0161】 代替的な実施形態では、患者は、転移状態のみでか、または転移状態で過剰発
現されるこれらのMTC配列の発現を増大する1以上の薬剤と一緒に過剰発現さ
れる、これらのMTC配列の発現を減少する1以上の薬剤で処置され得る。
【0162】 予防剤の投与は、異所性遺伝子発現の症状の特徴の徴候の前に行われ得、その
結果、疾患または障害は、予防されるかあるいはその進行において遅延される。
検出される異所性発現のタイプに依存して、この薬剤は被験体を処置するために
使用され得る。適切な薬剤は、本明細書中に記載されるスクリーニングアッセイ
に基づいて決定され得る。化合物の有効量の決定は、当業者の範囲内である。
【0163】 いくつかの実施形態では、被験体(例えば、ヒト)は、分泌ポリペプチドもし
くは膜結合ポリペプチドをコードする遺伝子またはコードされるポリペプチドで
処置される。これらの遺伝子としては、例えば、α−1−アンチトリプシン、N
europilin、NET−1、Lipocortin II インテグリン
α−3 TypeIV コラゲナーゼ Antileukoprotease
Periplakin Clusterin DAP12が挙げられる。これら
の分泌タンパク質または膜結合タンパク質は、転移性甲状腺癌において上方制御
される。従って、これらはまた、抗体スクリーニングおよび抗体結合治療のため
の所望の候補物である。
【0164】 他の実施形態では、患者は、転移性甲状腺癌において下方制御される膜タンパ
ク質もしくは分泌タンパク質をコードする遺伝子かまたはそのコードされるポリ
ペプチドで処置される。これらの遺伝子としては、例えば、RIG−E、PRO
302が挙げられる。容易に誘導体化され得るこれらの分泌タンパク質または膜
タンパク質は、転移性甲状腺癌の処置のための組換え可溶性タンパク質として、
罹患した患者に戻される。
【0165】 (新生物を処置するための薬学的組成物) 別の局面では、本発明は、本明細書中に記載される1つ以上の治療化合物を含
む薬学的組成物かまたは治療組成物を含む。薬学的処方物は、経口投与、直腸投
与、鼻投与、局所投与(口腔内および舌下を含む)、膣内投与または非経口(筋
肉内、皮下および静脈内)投与、または吸入またはガス注射による投与に適切な
薬学的処方物を含み得る。この処方物は、適切な場合、個々の投与単位中に都合
よく存在し得、そして薬学分野において周知である方法のいずれかにより調製さ
れ得る。全てのこのような薬学的方法は、活性化合物と液体キャリアもしくは細
かく分割した固体キャリアまたは両方と合わせる工程を包含する。次いで、所望
ならば、生成物を所望の処方物へ成形する。
【0166】 経口投与に適切な薬学的処方物は、個々の単位(例えは、カプセル、カシェ剤
または錠剤)として都合よく提示され得る。各々は、粉末もしくは顆粒または溶
液、懸濁液もしくは乳濁液として予め決定された量の活性生物を含む。活性成分
はまた、ボーラス舐剤、またはペーストとして提示され得、かつ純粋形態であり
得る(すなわち、キャリアを有さない)。経口投与のための錠剤およびカプセル
は、従来の賦形剤(例えば、結合剤、充填材、潤滑剤、崩壊剤または湿潤剤)を
含み得る。錠剤は、必要に応じて1以上の製剤成分と共に圧縮または鋳造により
作製され得る。圧縮された錠剤は、必要に応じて、結合剤、潤滑剤、不活性希釈
剤、潤滑剤、表面活性剤または分散剤と混合されて、適切な機械中でを粉末また
は顆粒のような流動形態の活性成分を圧縮することにより調製され得る。鋳造さ
れた錠剤は、適切な機械中で不活性は液体希釈剤で湿らされた粉末化合物の混合
物を鋳造することにより、作成され得る。この錠剤は、当該分野で周知の方法に
従ってコーティングされ得る。経口流体調製物は、例えば、水性または油性の懸
濁液、溶液、乳濁液、シロップまたはエリキシルの形態であるり得か、またはこ
れらは、使用の前の水もしくは他の適切なビヒクルを用いる構成のための乾燥生
成物として、提示され得る。このような液体調製物は、従来の添加剤(例えば、
懸濁剤、乳濁剤、非水溶性のビヒクル(これは、食用油を含む)または保存料)
を含み得る。錠剤は、その中の活性成分の遅い放出または徐放を提供するために
必要に応じて処方され得る。
【0167】 非経口投与のための組成物としては、水性および非水性の滅菌注射溶液(これ
は、抗酸化剤、緩衝液、制菌剤、および溶媒(これは、組成物を、意図される被
験体の血液と等張にする)を含み得る);ならびに水性および非水性の滅菌懸濁
液(これは、懸濁剤および増量剤を含み得る)が挙げられる。この処方物は、単
位用量で、または複数の用量の容器(例えば、シールされたアンプルおよびバイ
アル)で提示され得、そして使用の直前の滅菌液体キャリア(例えば、生理食塩
水、注射のための水)の添加のみを必要とする凍結−乾燥された(凍結乾燥され
た)状態で保存され得る。あるいは、処方物は、一連の注入のために提示され得
る。即時的な注射溶液および懸濁液は、以前に記載されている種類の滅菌の散剤
、顆粒剤、および錠剤から調製され得る。
【0168】 直腸投与のための処方物は、通常のキャリア(例えば、ココアバターまたはポ
リエチレングリコール)を有する坐薬として提示され得る。口内の局所投与(例
えば、口腔内または舌下)のための処方物としては、芳香付けられたベース中に
活性成分を含む(例えば、スクロースおよびアカシアまたはトラガカント)ロゼ
ンジ、ならびにゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアの
ようなベース中に活性成分を含む錠剤が挙げられる。鼻腔内投与について、本発
明の化合物は、液体噴霧もしくは分散粉末として、またはドロップの形態で使用
され得る。ドロップは、1以上の分散剤、可溶化剤または懸濁剤をも含む水性ま
たは非水性ベースと共に処方され得る。液体噴霧は、加圧パックから都合よく送
達される。
【0169】 吸入による投与に関して、化合物は、吸入器、噴霧器、加圧パックまたは他の
都合のよいエアロゾル噴霧を送達する手段から都合よく送達され得る。加圧パッ
クは、適切な噴霧剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロ
メタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切な気体)を
含み得る。加圧パックの場合、用量単位は、計量された量を送達するためのバル
ブを提供することにより決定され得る。
【0170】 あるいは、吸入またはガス注入による投与に関して、化合物は、乾燥粉末組成
物(例えば、化合物と適切な散剤ベース(例えば、ラクトースまたはデンプン)
の粉末混合物)の形態をとり得る。この粉末組成物は、粉末が噴霧剤または注入
器の補助で投与され得る単位投与形態(例えば、カプセル、カートリッジ、ゼラ
チンまたはブリスター包装)で提示され得る。
【0171】 所望の場合、活性成分の持続性放出を与えるために適用される上記処方物が使
用され得る。薬学的組成物はまた、他の活性成分(例えば、抗菌剤、免疫抑制剤
または防腐剤)を含み得る。
【0172】 本発明の処方物が、特に上記列挙される成分に加え、問題の処方のタイプを考
慮して(例えば、経口投与に適切な成分が芳香剤を含み得る)、当該分野で都合
のよい他の薬剤を含み得ることは理解されるべきである。
【0173】 好ましい単位用量処方物は、以下に引用されるような活性成分の有効量を含む
処方物、またはそれらの適切な画分を含む処方物である。
【0174】 各々の上記の状態に対して、組成物は、1日あたり約0.1〜約250mg/
kgの用量で経口的にかまたは注射を介して投与され得る。成人ヒトのための用
量範囲は、一般に1日あたり約5mg〜約17.5gであり、好ましくは、1日
あたり約5mg〜約10gであり、そして最も好ましくは、1日あたり約100
mg〜約3gである。個々の単位中に提供される提示の錠剤または他の単位投与
形態は、このような用量または複数の用量(例えば、約5mg〜約500mg、
通常約100mg〜約500mgを含む単位)で有効である量を都合よく含み得
る。
【0175】 薬学的組成物は、好ましくは、経口的に投与されるか、または注射(静脈内ま
たは皮下に)により投与される。そして被験体に投与され得る厳密な量は、主治
医の責任である。しかし、使用される用量は、薬剤の数(被験体の年齢および性
別、処置されている詳細な障害およびその重症度が挙げられる)に依存する。投
与の経路もまた、状態およびその重症度に依存して変化し得る。適切な用量およ
び投与の経路の決定は、当業者の範囲内である。
【0176】 本発明の核酸分子(例えば、MTC:48〜51のいずれかのヌクレオチド配
列を有する核酸分子、またはこれらのヌクレオチド配列のいずれかの相補体)は
、標準的な分子生物学技術および本明細書中に提供された配列情報を用いて単離
され得る。これらの核酸配列の全てまたは一部をハイブリダイゼーションプロー
ブとして用いて、MTC核酸配列は、標準的なハイブリダイゼーションおよびク
ローニングの技術を用いて単離され得る(例えば、Sambrookら編、MO
LECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL第
2版、Cold Spring Harbor Laboratory Pre
ss、Cold Spring Harbor、NY、1989;およびAus
ubelら編、CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULA
R BIOLOGY、John Wiley & Sons、New York
、NY、1993に記載される)。
【0177】 本発明の核酸は、標準的なPCR増幅技術に従って、テンプレートおよび適切
なオリゴヌクレオチドプライマーとして、cDNA、mRNA、または代替的に
ゲノムDNAを用いて増幅され得る。そのように増幅された核酸は、適切なベク
ターにクローニングされ、そしてDNA配列分析によって特徴づけされ得る。さ
らに、MTCヌクレオチド配列に対応するオリゴヌクレオチドは、標準的な合成
技術によって(例えば、自動化DNA合成機を用いて)調製され得る。
【0178】 本明細書中で使用される用語「オリゴヌクレオチド」は、一連の連結されたヌ
クレオチド残基をいう。このオリゴヌクレオチドは、PCR反応で使用されるの
に十分な数のヌクレオチド塩基を有する。短いオリゴヌクレオチド配列は、ゲノ
ムまたはcDNA配列に基づき得、またはこれから設計され得、そして特定の細
胞または組織における同一、類似、または相補的なDNAもしくはRNAの存在
を増幅するか、確認するか、または明らかにするために使用される。オリゴヌク
レオチドは、少なくとも約10ntであって、そして50nt程度の大きさを有
する(好ましくは、約15nt〜30ntを有する)核酸配列の部分を含む。そ
れらは、化学合成され得、そしてプローブとして使用され得る。
【0179】 別の実施形態では、本発明の単離された核酸分子は、MTC:48〜51に示
されるヌクレオチド配列の相補体である核酸分子を含む。別の実施形態では、本
発明の単離された核酸分子は、これらの配列のいずれかに示されるヌクレオチド
配列の相補体またはこれらのヌクレオチド配列のいずれかの部分である核酸分子
を含む。MTC:48〜51の示されるヌクレオチド配列に相補的である核酸分
子は、示されるヌクレオチド配列に十分に相補的である1つの配列であり、その
結果、これらは、少しもミマッチを有さずに水素結合し得、これにより安定な二
重鎖を形成する。
【0180】 本明細書中で使用される用語「相補的」は、核酸分子のヌクレオチド単位間の
Watson−Crick塩基対合またはHoogsteen塩基対合をいい、
そして用語「結合」は、2つのポリペプチドもしくは化合物、または会合ポリペ
プチドもしくは化合物あるいはそれらの組み合わせの間の物理的または化学的な
相互作用を意味する。結合は、イオン性相互作用、非イオン性相互作用、ファン
デルワールス相互作用、疎水性相互作用などを包含する。物理的相互作用は、直
接的または間接的のいずれかであり得る。間接的相互作用は、別のポリペプチド
または化合物の効果を通じて、またはそれらの効果に起因し得る。直接結合とは
、別のポリペプチドまたは化合物の効果を通じて、またはそれらの効果に起因し
て起こるのではなく、それどころか他の実質的な化学中間体のない相互作用をい
う。
【0181】 さらに、本発明の核酸分子は、プローブもしくはプライマーまたはMTCの生
物学的に活性な部分をコードするフラグメントとして使用され得るMTC:48
〜51の核酸配列の一部のみ(例えば、フラグメント)を含む。本明細書中で提
供されるフラグメントは、少なくとも6つの(連続した)核酸または少なくとも
4つの(連続した)アミノ酸の配列として定義される。これらの長さは、各々、
核酸の場合、特異的なハイブリダイゼーション、アミノ酸の場合、エピトープの
特異的認識を可能にするのに十分であり、そしてこれらは、せいぜい全長配列未
満のいくつかの部分である。フラグメントは、選択した核酸またはアミノ酸配列
の任意の連続する部分に由来し得る。誘導体は、直接的にまたは修飾もしくは部
分置換によってのいずれかで、ネイティブ化合物から形成された核酸配列または
アミノ酸配列である。アナログは、ネイティブ化合物に類似であるが同一ではな
く、特定の成分または側鎖に関して異なる構造を有する、核酸配列またはアミノ
酸配列である。アナログは、合成であり得るか、または異なる進化起源に由来し
得、そして野生型に比較して類似または反対の代謝活性を有し得る。
【0182】 誘導体およびアナログは、以下に記載のように、誘導体またはアナログが、修
飾された核酸またはアミノ酸を含む場合、全長、または全長以外のものであり得
る。本発明の核酸またはタンパク質の誘導体またはアナログは、種々の実施形態
において、本発明の核酸もしくはタンパク質に、同一の大きさの核酸またはアミ
ノ酸配列にわたって、または整列した配列に比較した場合(この整列は、当該分
野で公知であるコンピューター相同性プログラムによって実施される)、少なく
とも約45%、50%、70%、80%、95%、98%、もしくは99%もの
同一性(好ましい同一性は、80〜99%)で実質的に相同であるか、あるいは
そのコードする核酸がストリンジェントの、中程度にストリンジェントの、また
は低いストリンジェントの条件下で上記のタンパク質をコードする配列の相補体
にハイブリダイズし得る、領域を含む分子を包含するが、これらに限定されない
。例えば、Ausubelら、CURRENT PROTOCOLS IN M
OLECULAR BIOLOGY、John Wiley & Sons、N
ew York、NY、1993、および以下を参照のこと。例示のプログラム
は、Gapプログラム(Wisconsin Sequence Analys
is Package、Version 8 for UNIX(登録商標)、
Genetics Computer Group、University R
esearch Park、Madison、WI)(デフォルト設定を使用;
これは、SmithおよびWatermanのアルゴリズム(Adv.Appl
.Math.、1981、2:482−489、これらは、その全体が参考とし
て本明細書中に援用される)を使用する)である。
【0183】 「相同な核酸配列」もしくは「相同なアミノ酸配列」、またはその改変体とは
、上記で考察したように、ヌクレオチドレベルまたはアミノ酸レベルにおける相
同性によって特徴付けられる配列をいう。相同なヌクレオチド配列は、MTCポ
リペプチドのアイソフォームをコードする配列をコードする。アイソフォームは
、例えば、RNAの選択的スプライシングの結果として、同一の器官の異なる組
織において発現され得る。あるいは、アイソフォームは、異なる遺伝子によって
コードされ得る。本発明において、相同なヌクレオチド配列は、ヒト以外の種(
哺乳動物が挙げられるが、これに限定されず、従って、例えば、マウス、ラット
、ウサギ、イヌ、ネコ、ウマおよび他の生物が挙げられ得る)のMTCポリペプ
チドをコードするヌクレオチド配列を含む。相同なヌクレオチド配列はまた、天
然に存在する対立遺伝子改変体および本明細書に記載されるヌクレオチド配列の
変異体が挙げられるが、これらに限定されない。しかし、相同ヌクレオチド配列
は、ヒトMTCタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含まない。相同核酸
配列は、MTCポリペプチド中の保存的アミノ酸置換(以下を参照のこと)およ
びMTC活性を有するポリペプチドをコードするこれらの核酸配列を含む。相同
アミノ酸配列は、ヒトMTCポリペプチドのアミノ酸配列をコードしない。
【0184】 ヒトMTC遺伝子のクローニングから決定されるヌクレオチド配列は、他の細
胞型(例えば、他の組織由来)におけるMTCホモログ、ならびに他の哺乳動物
由来のMTCホモログの同定および/またはクローニングにおける使用のために
設計されたプローブおよびプライマーの生成を可能にする。このプローブ/プラ
イマーは、典型的には、実質的に精製されたオリゴヌクレオチドを含む。このオ
リゴヌクレオチドは、典型的には、少なくとも約12、25、50、100、1
50、200、250、300、350または400連続するMTC配列を含む
核酸のセンス鎖ヌクレオチド配列、またはMTC配列を含む核酸もしくはこれら
の配列の天然に存在する変異体のアンチセンス鎖ヌクレオチド配列にストリンジ
ェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列の領域を含む。
【0185】 ヒトMTCヌクレオチド配列に基づくプローブは、転写物またはMTCタンパ
ク質または相同タンパク質をコードする遺伝子配列を検出するために使用され得
る。種々の実施形態では、プローブはさらに、それらに付加される標識群(例え
ば、この標識群は、放射性同位体、蛍光化合物、酵素または酵素の補助薬剤であ
り得る)を含む。このようなプローブは、例えば、MTCのmRNAレベルを検
出するか、またはゲノムMTC遺伝子が変異されているのかまたは欠失されてい
るのかを決定して、例えば、被験体由来の細胞のサンプル中のMTCコード核酸
のレベルを測定することによりMTCタンパク質を異常発現する細胞または組織
を同定するための診断試験キットの一部として使用され得る。
【0186】 「MTCの生物学的に活性な部分を有するポリペプチド」とは、本発明のポリ
ペプチドの活性に類似の活性を示すが本質的に同一ではないポリペプチドをいう
。これには、用量依存的にかまたは用量非依存的に特定の生物学的アッセイにお
いて測定された成熟形態を含む。「MTCの生物学的に活性な部分」をコードす
る核酸フラグメントは、MTCの生物学的活性を有するポリペプチドをコードす
るMTC:48〜51の部分を単離することにより調製され得、これらは、(例
えば、インビトロ組換え発現により)MTCタンパク質のコード部分を発現し、
そしてMTCの部分のコード部分の活性を評価する。例えば、MTCポリペプチ
ドの生物学的に活性な部分をコードする核酸フラグメントは、必要に応じてAT
P結合ドメインを含む。別の実施形態では、MTCの生物学的に活性な部分をコ
ードする核酸フラグメントは、1以上の領域を含む。
【0187】 (MTC改変体) 本発明はさらに、遺伝コードの縮重に起因する開示されるかまたは参照される
MTCヌクレオチド配列とは異なる核酸分子を含む。従って、これらの核酸は、
例えば、MTC48〜51に示されるようなMTC核酸を含むヌクレオチド配列
によりコードされるような同じMTCタンパク質をコードする。
【0188】 MTC:48〜51について開示されるMTCヌクレオチド配列に加えて、M
TCポリペプチドのアミノ酸配列における変化を生じるDNA配列多型が集団(
例えば、ヒト集団)内に存在し得ることは、当業者により理解される。MTC遺
伝子中のこのような遺伝的多型は、天然の対立遺伝子改変体に起因して集団内の
固体の中に存在し得る。本明細書中で使用される場合、用語「遺伝子」および「
組換え遺伝子」とは、MTCタンパク質、好ましくは哺乳動物MTCタンパク質
をコードするオープンリーディングフレームを含む核酸分子をいう。このような
天然の対立遺伝子改変体は、典型的には、MTC遺伝子のヌクレオチド配列中に
1〜5%のばらつきを生じる。天然の対立遺伝子遺伝子改変体の結果であり、そ
してMTCの機能活性を変化しない任意および全てのこのようなヌクレオチド改
変体および生じるアミノ酸の多型は、本発明の範囲内であることを意図される。
【0189】 さらに、他の種由来のMTCタンパク質をコードし、そしてこれによりMYC
48〜51のヒト配列とは異なるヌクレオチド配列を有する核酸分子は、本発明
の範囲内であることを意図される。本発明のMTC DNAの天然の対立遺伝子
遺伝子改変体およびホモログに対応する核酸分子は、ストリンジェントなハイブ
リダイゼーション条件下での標準的なハイブリダイゼーション技術に従うハイブ
リダイザーションプローブとして、ヒトcDNAまたはそれらの一部を使用して
、本明細書中で開示されるヒトMTC核酸に対する相同性に基づいて単離され得
る。例えば、可溶性ヒトMTC DNAは、ヒトの膜結合MTCに対するその相
同性に基づいて単離され得る。同様に、膜結合ヒトMTC DNAは、可溶性ヒ
トMTCに対するその相同性に基づいて単離され得る。
【0190】 従って、別の実施形態実において、本発明の単離された核酸分子は、長さが少
なくとも6ヌクレオチドであり、かつMTC:48〜51のヌクレオチド配列を
含む核酸分子にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする。別の実施形態
において、この核酸は、長さが少なくとも10ヌクレオチド、25ヌクレオチド
、50ヌクレオチド、100ヌクレオチド、250ヌクレオチドまたは500ヌ
クレオチドである。別の実施形態において、本発明の単離された核酸分子は、そ
のコード領域にハイブリダイズする。本明細書中で使用される場合、用語「スト
リンジェントな条件下でハイブリダイズする」とは、互いに少なくとも60%相
同なヌクレオチド配列が代表的には互いにハイブリダイズしたままである、ハイ
ブリダイゼーションおよび洗浄のための条件を記載することが、意図される。
【0191】 ホモログ(すなわち、ヒト以外の種由来のMTCタンパク質をコードする核酸
)または他の関連配列(例えば、パラログ)が、核酸ハイブリダイゼーションお
よびクローニングのための当該分野で周知の方法を使用して、特定のヒト配列の
すべてまたは一部をプローブとして用いる、低ストリンジェンシー、中程度のス
トリンジェンシーまたは高ストリンジェンシーのハイブリダイゼーションによっ
て、得られ得る。
【0192】 本明細書中で使用される場合、句「ストリンジェントなハイブリダイゼーショ
ン条件」とは、プローブ、プライマーまたはオリゴヌクレオチドがその標的配列
にハイブリダイズするが、他のどの配列にもハイブリダイズしない、条件をいう
。ストリンジェントな条件は、配列依存性であり、そして異なる環境において異
なる。比較的長い配列は、もっと短い配列よりも高い温度で特異的にハイブリダ
イズする。一般的には、ストリンジェントな条件は、規定されたイオン強度およ
びpHでの特定の配列についての熱融点(Tm)より約5℃低いように選択され
る。このTmは、(規定されたイオン強度、pHおよび核酸濃度の下で)その標
的配列に相補的なプローブの50%がその標的配列に平衡してハイブリダイズす
る温度である。その標的配列が一般的に過剰に存在する場合、Tmにて、そのプ
ローブの50%が平衡状態にある。代表的には、ストリンジェントな条件は、そ
の塩濃度が、pH7.0〜8.3で、約1.0Mナトリウムイオン未満、代表的
には約0.01〜1.0Mナトリウムイオン(または他の塩)であり、かつその
温度が、短いプローブ、プライマーまたはオリゴヌクレオチド(例えば、10n
t〜50nt)については少なくとも約30℃でありそしてもっと長いプローブ
、プライマーおよびオリゴヌクレオチドについては少なくとも約60℃である、
条件である。ストリンジェントな条件はまた、ホルムアミドのような不安定化剤
の添加によっても達成され得る。
【0193】 ストリンジェントな条件は、当業者に公知であり、かつCURRENT PR
OTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY、John Wi
ley & Sons、N.Y.(1989)6.3.1〜6.3.6にて見出
され得る。好ましくは、この条件は、互いに少なくとも約65%、70%、75
%、80%、85%、90%、95%、98%または99%相同な配列が代表的
に互いにハイブリダイズしたままである。ストリンジェントなハイブリダイゼー
ション条件の非限定的な例は、6×SSC、50mM Tris−HCl(pH
7.5)、1mM EDTA、0.02% PVP、0.02% Ficoll
、0.02% BSA、および500mg/ml変性サケ精子DNAを含む高塩
緩衝液中での65℃でのハイブリダイゼーションである。このハイブリダイゼー
ションに続いて、0.2×SSC、0.01% BSA中での50℃での1回以
上の洗浄を行う。ストリンジェント条件下でMTC:48〜51の配列にハイブ
リダイズする、本発明の単離された核酸分子は、天然に存在する核酸分子に対応
する。本明細書中で使用される場合、「天然に存在する」核酸分子とは、天然に
存在する(例えば、天然のタンパク質をコードする)ヌクレオチド配列を有する
、RNA分子またはDNA分子をいう。
【0194】 第2の実施形態では、MTC:48〜51またはそれらのフラグメント、アナ
ログもしくは誘導体のヌクレオチド配列を含む核酸分子に、中程度のストリンジ
ェンシー条件下でハイブリダイズし得る核酸配列が提供される。中程度のストリ
ンジェンシーハイブリダイゼーション条件の非限定的な例は、55℃での6×S
SC、5×デンハルト溶液、0.5% SDSおよび100mg/ml変性サケ
精子DNA中でのハイブリダイゼーション、続いて1×SSC、0.1% SD
S中での37℃での1回以上の洗浄である。用いられ得る中程度のストリンジェ
ンシーの他の条件は、当該分野で周知である。例えば、Ausubelら(編)
,1993,CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR
BIOLOGY,John Wiley & Sons,NYおよびKrie
gler,1990,GENE TRANSFER AND EXPRESSI
ON,A LABORATORY MANUAL,Stockton Pres
s,NYを参照のこと。
【0195】 第3の実施形態では、MTC:48〜51、またはそれらのフラグメント、ア
ナログもしくは誘導体のヌクレオチド配列を含む核酸分子に、低ストリンジェン
シー条件下でハイブリダイズし得る核酸が提供される。低ストリンジェンシーハ
イブリダイゼーション条件の非限定的な例は、35%ホルムアミド、5×SSC
、50 mM Tris−HCl(pH7.5)、5mM EDTA、0.02
% PVP、0.02% Ficoll、0.2% BSA、100mg/ml
の変性サケ精子DNA、10%(重量/容量)デキストラン硫酸中での40℃で
のハイブリダイゼーション、続いて2×SSC、25mM Tris−HCl(
pH7.4)、5mM EDTAおよび0.1% SDS中での50℃での1回
以上の洗浄である。用いられ得る低ストリンジェンシーの他の条件は、当該分野
で周知である(例えば、種交差ハイブリダイゼーションについて用いられるよう
に)。例えば、Ausubelら(編),1993,CURRENT PROT
OCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,John Wile
y & Sons,NYならびにKriegler,1990,GENE TR
ANSFER AND EXPRESSION,A LABORATORY M
ANUAL,Stockton Press,NY;Shiloら,1981,
Proc Natl Acad Sci USA 78:6789−6792を
参照のこと。
【0196】 (保存的変異) 集団中に存在し得る、MTC配列の天然に存在する対立遺伝子改変体に加えて
、MTCタンパク質の機能的能力を変更することなく、MTC核酸へかまたはM
TCポリペプチド配列へ直接、変化が導入され得ることを、当業者はさらに理解
する。いくつかの実施形態において、MTC:48〜51のヌクレオチド配列は
、それによりコードされるMTCタンパク質のアミノ酸配列に変化をもたらすこ
となく、変更され得る。例えば、種々の「非必須」アミノ酸残基にてアミノ酸置
換をもたらすヌクレオチド置換が、MTC:48〜51の配列において行われ得
る。「非必須」アミノ酸残基は、生物学的活性をs変更することなく、MTCの
野生型配列から、変更され得る残基であり、一方、「必須」アミノ酸残基は、生
物学的活性に必要とされる。例えば、本発明のMTCタンパク質の間で保存され
ているアミノ酸残基は、特に変更を受け入れられないと予測される。
【0197】 さらに、本発明のMTCタンパク質のファミリーのメンバー間で保存されるア
ミノ酸残基もまた、特に変更を受け入れないと予測される。このように、これら
の保存されたドメインは、変異を受け入れないようである。しかし、他のアミノ
酸残基(例えば、MTCタンパク質の保存されていない残基または半保存された
残基)は、活性に必須ではないかもしれず、従って変更を受け入れるかもしれな
い。
【0198】 本発明の別の局面は、活性に必須ではないアミノ酸残基における変化を含む、
MTCタンパク質をコードする核酸分子に関する。このようなMTCタンパク質
は、アミノ酸配列が、MTC:48〜51を含む核酸によりコードされるポリペ
プチドのアミノ酸配列とは異なるが、生物学的活性をなお保持する。1つの実施
形態では、この単離された核酸分子は、タンパク質をコードするヌクレオチド配
列を含み、ここで、このタンパク質は、MTC:48〜51を含む核酸によりコ
ードされるポリペプチドのアミノ酸配列のアミノ酸配列にその残基の少なくとも
約45%相同、より好ましくは約60%相同、そしてなおより好ましくは少なく
とも約70%、80%、90%、95%、98%、そして最も好ましくは少なく
とも約99%相同である、アミノ酸配列を含む。
【0199】 相同なMTCタンパク質をコードする単離された核酸分子は、MTC:48〜
51を含む核酸のヌクレオチド配列に1以上のヌクレオチドの置換、付加または
欠失を導入することにより、1以上のアミノ酸の置換,付加または欠失が、コー
ドされるタンパク質に導入されるように、作製され得る。
【0200】 変異は、標準技術(例えば、部位特異的変異誘発およびPCR媒介変異誘発)
によってMTC:48〜51を含む核酸に導入され得る。好ましくは、保存的ア
ミノ酸置換が、1以上の推定非必須アミノ酸残基にて作製される。「保存的アミ
ノ酸置換」は、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換される、
アミノ酸置換である。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該分
野で定義されている。これらのファミリーとしては、以下が挙げられる:塩基性
側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖
を有するアミノ酸(例えば、アルパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖
を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、ト
レオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、ア
ラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチ
オニン、トリプトファン)、β分枝側鎖を有するアミノ酸(例えば、トレオニン
、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシ
ン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)。従って、MTC中の推
定非必須アミノ酸残基は、同じ側鎖のファミリー由来の別のアミノ酸残基で置換
される。あるいは、別の実施形態では、変異が、MTCコード配列の全てまたは
一部に沿って(例えば、飽和変異誘発によって)ランダムに導入され得、そして
得られる変異は、MTCの生物学的活性についてスクリーニングされ得、活性を
維持する変異体が同定され得る。その核酸の変異誘発に続いて、コードされるタ
ンパク質が、当該分野で公知の任意の組換え技術によって発現され得、そしてこ
のタンパク質の活性が決定され得る。
【0201】 1つの実施形態では、変異MTCタンパク質は、以下についてアッセイされ得
る:(1)他のMTCタンパク質、他の細胞表面タンパク質、またはそれらの生
物学的に活性な部分と、タンパク質:タンパク質相互作用を形成する能力、(2
)変異MTCタンパク質とMTCのリガンドとの間の複合体形成;(3)変異M
TCタンパク質が細胞内標的タンパク質またはその生物学的に活性な部分に結合
する能力;(例えば、アビジンタンパク質);(4)ATPに結合する能力;あ
るいは(5)MTCタンパク質抗体に特異的に結合する能力。
【0202】 他の特定の実施形態において、その核酸は、RNAまたはDNAである。
【0203】 (アンチセンス) 本発明の別の局面は、MTC配列またはそのフラグメント、アナログもしくは
誘導体のヌクレオチド配列を含む核酸分子にハイブリダイズし得るかまたは相補
的である、単離されたアンチセンス核酸分子に関する。「アンチセンス」核酸は
、タンパク質をコードする「センス」核酸に相補的である(例えば、二本鎖cD
NA分子のコード鎖に相補的であるかまたはmRNA配列に相補的である)ヌク
レオチド配列を含む。特定の局面では、少なくとも約10、約25、約50、約
100、約250もしくは約500ヌクレオチドに相補的な配列またはMTCコ
ード鎖全体に相補的な配列、またはそれらの一部のみに相補的な配列を含む、ア
ンチセンス核酸分子が提供される。MTCタンパク質のフラグメント、ホモログ
、誘導体およびアナログをコードする核酸分子、またはMTC核酸配列を含む核
酸に相補的なアンチセンス核酸がさらに提供される。
【0204】 1つの実施形態では、アンチセンス核酸分子は、MTCをコードするヌクレオ
チド配列のコード鎖の「コード領域」に対してアンチセンスである。用語「コー
ド領域」とは、アミノ酸残基へと翻訳されるコドンを含む、ヌクレオチド配列の
領域をいう。別の実施形態では、このアンチセンス核酸分子は、MTCをコード
するヌクレオチド配列のコード鎖の「非コード領域」に対してアンチセンスであ
る。用語「非コード領域」とは、コード領域に隣接する、アミノ酸へと翻訳され
ない、5’配列および3’配列をいう(すなわち、5’非翻訳領域および3’非
翻訳領域ともいわれる)。
【0205】 本明細書中に開示されるMTCをコードするコード鎖配列を考慮すれば、本発
明のアンチセンス核酸は、WatsonおよびCrick塩基対形成またはHo
ogsteen塩基対形成の規則に従って設計され得る。そのアンチセンス核酸
分子は、MTC mRNAのコード領域全体に相補的であり得るが、より好まし
くは、MTC mRNAのコード領域または非コード領域の一部にのみアンチセ
ンスであるオリゴヌクレオチドである。例えば、そのアンチセンスオリゴヌクレ
オチドは、MTC mRNAの翻訳開始部位を取り囲む領域に相補的であり得る
。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、長さが約5、約10、約15、
約20、約25、約30、約35、約40、約45または約50ヌクレオチドで
あり得る。本発明のアンチセンス核酸は、当該分野で公知の手順を用いて、化学
合成または酵素連結反応を用いて、構築され得る。例えば、アンチセンス核酸(
例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)は、天然に存在するヌクレオチド、
またはこの分子の生物学的安定性を増大させるように設計された種々に改変され
たヌクレオチド、もしくはそのアンチセンス核酸とセンス核酸との間で形成され
る二重鎖の物理的安定性を増大させるように設計された種々に改変されたヌクレ
オチドを用いて、化学的に合成され得る(例えば、ホスホロチオエート誘導体お
よびアクリジン置換ヌクレオチドが用いられ得る)。
【0206】 アンチセンス核酸を作製するために用いられ得る改変されたヌクレオチドの例
としては以下が挙げられる:5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−
クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセ
チルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5−カルボキシ
メチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウ
ラシル、ジヒドロウラシル、β−D−ガラクトシルキューオシン、イノシン、N
6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,
2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチル
シトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メ
チルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、β
−D−マンノシルキューオシン、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5
−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシ
ル−5−オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン、シュードウラシル、キューオシ
ン(queosine)、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、
2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オ
キシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−
チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル
、(acp3)w、および2,6−ジアミノプリン。あるいは、このアンチセン
ス核酸は、核酸がアンチセンス方向でサブクローニングされた発現ベクターを用
いて生物学的に生成され得る(すなわち、挿入された核酸から転写されたRNA
は、以下の小節にてさらに記載される、目的の標的核酸に対してアンチセンス方
向である)。
【0207】 本発明のアンチセンス核酸分子は、代表的には被験体に投与されるか、または
インサイチュで生成され、その結果それらは、MTCタンパク質をコードする細
胞性mRNAおよび/またはゲノムDNAとハイブリダイズするかまたはそれに
結合し、それによってこのタンパク質の発現を、例えば転写および/または翻訳
を阻害することによって阻害する。そのハイブリダイゼーションは、安定な二重
鎖を形成する従来のヌクレオチド相補性によってか、または例えばDNA二重鎖
に結合するアンチセンス核酸分子の場合には、二重らせんの深いほうの溝におけ
る特異的相互作用を介してであり得る。本発明のアンチセンス核酸分子の投与経
路の例としては、組織部位での直接的注射が挙げられる。あるいは、アンチセン
ス核酸分子は、選択された細胞を標的化するように改変され得、次いで全身に投
与される。例えば、全身投与のために、アンチセンス分子は、それらが選択され
た細胞表面上に発現されたレセプターまたは抗原に特異的に結合するように改変
され得、これは、例えば、そのアンチセンス核酸分子を細胞表面レセプターまた
は抗原に結合するペプチドまたは抗体に連結することによる。このアンチセンス
核酸分子はまた、本明細書中に記載されるベクターを用いて細胞に送達され得る
。アンチセンス分子の十分な細胞内濃度を達成するために、そのアンチセンス核
酸分子が強力なpol IIプロモーターまたはpol IIIプロモーターの
制御下に置かれているベクター構築物が、好ましい。
【0208】 なお別の実施形態において、本発明のアンチセンス核酸分子は、α−アノマー
核酸分子である。α−アノマー核酸分子は、相補的RNAと特異的な二本鎖ハイ
ブリッドを形成し、ここで、通常のβ−ユニットとは対照的に、その鎖が互いに
平行である(Gaultierら(1987)Nucleic Acids R
es 15:6625〜6641)。このアンチセンス核酸分子はまた、2’−
o−メチルリボヌクレオチド(Inoueら、(1987)Nucleic A
cids Res 15:6131〜6148)またはキメラRNA−DNAア
ナログ(Inoueら(1987)FEBS Lett 215:327〜33
0)を含み得る。
【0209】 (リボザイムおよびPNA部分) なお別の実施形態において、本発明のアンチセンス核酸はリボザイムである。
リボザイムは、一本鎖核酸(例えば、mRNA)を切断し得るリボヌクレアーゼ
活性を有する触媒性RNA分子であり、これらは、その一本鎖核酸に対して相補
領域を有する。従って、リボザイム(例えば、ハンマーヘッドリボザイム(Ha
selhoffおよびGerlach(1988)Nature 334:58
5〜591に記載される))を使用して、MTC mRNA転写物を触媒的に切
断し、それによってMTC mRNAの翻訳を阻害し得る。MTCをコードする
核酸に特異性を有するリボザイムが、本明細書中に開示されるMTC cDNA
のヌクレオチド配列に基づいて設計され得る。例えば、活性部位のヌクレオチド
配列が、MTCをコードするmRNA内で切断されるヌクレオチド配列に相補的
である、テトラヒメナL−19 IVS RNAの誘導体が構築され得る。例え
ば、Cechら、米国特許第4,987,071号;およびCechら、米国特
許第5,116,742号を参照のこと。あるいは、MTC mRNAを使用し
て、RNA分子のプールから、特異的リボヌクレアーゼ活性を有する触媒性RN
Aを選択し得る。例えば、Bartelら(1993)Science 261
:1411〜1418を参照のこと。
【0210】 あるいは、MTC遺伝子発現は、MTC核酸の調節領域(例えば、MTCのプ
ロモーターおよび/またはエンハンサー)に相補的なヌクレオチド配列を標的化
し、標的細胞中でMTC遺伝子の転写を妨害する三重らせん構造を形成すること
によって阻害され得る。一般には、Helene.(1991)Antican
cer Drug Des.6:569〜84;Heleneら(1992)A
nn.N.Y.Acad.Sci.660:27〜36;およびMaher(1
992)Bioassays 14:807〜15を参照のこと。
【0211】 種々の実施形態において、MTCの核酸は、塩基部分、糖部分またはリン酸骨
格で改変され、例えば、その分子の安定性、ハイブリダイゼーションまたは可溶
性が改善され得る。例えば、その核酸のデオキシリボースリン酸骨格を改変して
、ペプチド核酸を生成し得る(Hyrupら(1996)Bioorg Med
Chem 4:5〜23を参照のこと)。本明細書中で使用される用語「ペプ
チド核酸」または「PNA」は、デオキシリボースリン酸骨格が偽ペプチド(p
esudopeptide)骨格によって置換され、そして4つの天然の核塩基
(nucleobase)のみが保持されている核酸模倣物(例えば、DNA模
倣物)をいう。PNAの中性の骨格は、低いイオン強度の条件下でDNAおよび
RNAに対する特異的ハイブリダイゼーションを可能にすることが示されている
。PNAオリゴマーの合成は、上記のHyrupら(1996);Perry−
O’Keefeら(1996)PNAS 93:14670〜675において記
載されるような標準的固相ペプチド合成プロトコルを用いて行われ得る。
【0212】 MTCのPNAは、治療的適用および診断的適用において使用され得る。例え
ば、PNAは、例えば、転写または翻訳の停止を誘導、あるいは複製を阻害する
ことにより、遺伝子発現の配列特異的調節のためのアンチセンス薬剤またはアン
チ遺伝子(antigene)薬剤として使用され得る。MTCのPNAはまた
、例えば、PCRクランピング(clamping)に指向されたPNAにより
、遺伝子の単一の塩基対変異の分析において;他の酵素(例えば、S1ヌクレア
ーゼ)と組み合わせて使用される場合の人工的な制限酵素として(Hyrup
B.(1996)上記);あるいはDNA配列およびハイブリダイゼーションの
ためのプローブまたはプライマーとして(Hyrupら(1996)上記;Pe
rry−O’Keefe(1996)上記)使用され得る。
【0213】 別の実施形態において、MTCのPNAは、親油性基または他のヘルパー基(
helper group)をPNAに結合することにより、PNA−DNAキ
メラの形成により、または当該分野で公知の薬物送達のリポソームまたは他の技
術の使用により、例えば、PNAの安定性または細胞の取り込みを増強するため
に改変され得る。例えば、PNAおよびDNAの有利な特性を組み合わされ得る
MTCのPNA−DNAキメラが、生成され得る。このようなキメラは、DNA
制限酵素(例えば、RNase HおよびDNAポリメラーゼ)が、DNA部分
と相互作用することを可能にし、一方PNA部分は、高い結合親和性および特異
性を提供する。PNA−DNAキメラは、塩基スタッキング、核酸塩基との結合
の数、および配向の点で選択された、適切な長さのリンカーを使用して連結され
得る(Hyrup(1996)上記)。PNA−DNAキメラの合成は、Hyr
up(1996)上記およびFinnら(1996)Nucl Acids R
es 24:3357−63に記載されるように実施され得る。例えば、DNA
鎖は、標準的なホスホロアミダイト共役化学を使用して固体支持体上に合成され
得、そして改変されたヌクレオシドアナログ(例えば、5’−(4−メトキシト
リチル)アミノ−5’−デオキシ−チミジンホスホロアミダイト)が、PNAと
DNAの5’末端との間に使用され得る(Magら(1989)Nucl Ac
id Res 17:5973−88)。次いで、PNAモノマーが、段階的な
様式で共役され、5’PNAセグメントおよび3’DNAセグメントを有するキ
メラ分子を産生する(Finnら(1996)上記)。あるいは、キメラ分子は
、5’DNAセグメントおよび3’PNAセグメントを用いて合成され得る。P
etersenら(1975)Bioorg Med Chem Lett 5
:1119−11124を参照のこと。
【0214】 他の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、他の付加される基(例えば、
ペプチド(例えば、インビボで宿主細胞レセプターを標的化するため))、ある
いは細胞膜(例えば、Letsingerら、1989,Proc.Natl.
Acad.Ci.U.S.A.86:6553−6556;Lemaitreら
1987、Proc.Natl.Acad.Sci.84:648−652;P
CT公開番号WO88/09810を参照のこと)または血液脳関門(例えば、
PCT公開番号WO89/10134を参照のこと)を越える輸送を促進する薬
剤を含む。さらに、オリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション駆動(tr
iggerd)切断因子(例えば、Krolら、1988、BioTechni
ques 6:958−976を参照のこと)または介在因子(例えば、Zon
、1988、Pharm.Res.5:539−549を参照のこと)を用いて
改変され得る。この末端に、オリゴヌクレオチドが別の分子(例えば、ペプチド
、ハイブリダイゼーション駆動架橋剤、輸送因子、ハイブリダイゼーション駆動
切断因子など)に結合体化され得る。
【0215】 (MTCポリペプチド) 本発明の1つの局面は、単離されたMTCポリペプチドまたはタンパク質(こ
れらの用語が、本明細書中で交換可能に使用される)、およびその生物学的に活
性な部分、またはその誘導体、フラグメント、アナログまたはホモログに関する
。抗MTC抗体を惹起する免疫原としての使用のための、適切なポリペプチドフ
ラグメントもまた提供される。1つの実施形態において、ネイティブなMTCタ
ンパク質が、標準的なタンパク質精製技術を用いて適切な精製スキームにより、
細胞ソースまたは組織ソースから単離され得る。別の実施形態において、MTC
タンパク質は、組換えDNA技術により産生される。組換え発現の代替で、MT
Cタンパク質またはポリペプチドが、標準的なペプチド合成技術を使用して化学
的に合成され得る。
【0216】 「単離された」または「精製された」タンパク質あるいはそのタンパク質の生
物学的に活性な部分は、MTCタンパク質に由来する細胞ソースまたは組織ソー
ス由来の細胞性物質または他の夾雑タンパク質が実質的にないか、または化学的
に合成された場合、化学的前駆体または他の化学物質が実質的にない。言語「細
胞性物質が実質的にない」は、MTCタンパク質の調製物を含み、この調製物に
おいて、MTCタンパク質が単離または組換え的に産生される細胞の細胞成分か
らMTCタンパク質が分離される。1つの実施形態において、言語「細胞性物質
が実質的にない」は、約30%より少ない(乾燥重量で)非MTCタンパク質(
また本明細書中で「夾雑タンパク質」という)、より好ましくは非MTCタンパ
ク質の約20%より少ない非MTCタンパク質、さらにより好ましくは約10%
より少ない非MTCタンパク質、および最も好ましくは約5%より少ない非MT
Cタンパク質を有するMTCタンパク質の調製物を含む。MTCタンパク質また
はその生物学的に活性なタンパク質が、組換え的に産生される場合、好ましくは
、実質的に、培養培地もまたない(すなわち、培養培地は、タンパク質調製物の
容量の、約20%より少ない、より好ましくは約10%より少ない、および最も
好ましくは約5%より少ない、容量を示す)。
【0217】 言語「化学的前駆体または他の化学物質が実質的にない」は、MTPタンパク
質の調製物を含み、この調製物において、MTPタンパク質が、タンパク質の合
成に関係する化学的前駆体または他の化学物質から分離される。1つの実施形態
において、言語「化学的前駆体または他の化学物質が実質的にない」は、化学的
前駆体または非MTC化学物質の約30%(乾燥重量で)より少ない、より好ま
しくは、約20%より少ない化学的前駆体または非MTC化学物質、さらにより
好ましくは、約10%より少ないの化学的前駆体または非MTC化学物質、およ
び最も好ましくは約5%より少ない化学的前駆体または非MTC化学物質を有す
るMTCタンパク質の前駆体を含む。
【0218】 MTCタンパク質の生物学的に活性な部分としては、MTCタンパク質のアミ
ノ酸配列に十分に相同か、またはそれに由来するアミノ酸配列(例えば、全長M
TCタンパク質より少ないアミノ酸を含み、そしてMTCの少なくとも1つ活性
を示す、MTC1〜20を含む核酸によりコードされるアミノ酸配列)を含むペ
プチドが挙げられる。代表的には、生物学的に活性な部分は、MTCの少なくと
も1つの活性を有するドメインまたはモチーフを含む。MTCタンパク質の生物
学的に活性な部分が、長さが例えば、10、25、50、100以上のアミノ酸
であるポリペプチドであり得る。
【0219】 本発明のMTCタンパク質の生物学的に活性な部分が、MTCとの間に保存さ
れる少なくとも1つの上記に同定されたドメインを含み得る。MTCタンパク質
の代替の生物学的に活性な部分は、上記に同定されたドメインの少なくとも2つ
を含み得る。MTCタンパク質の別の生物学的に活性な部分は、上記に同定され
たドメインの少なくとも3つを含み得る。本発明のMTCタンパク質のさらに別
の生物学的に活性な部分が、上記に同定されたドメインの少なくとも4つを含み
得る。
【0220】 さらに、このタンパク質の他の領域が欠失される、他の生物学的に活性な部分
は、組換え技術により調製され得、そしてネイティブなMTCタンパク質の1つ
以上の機能的活性について評価され得る。
【0221】 いくつかの実施形態において、MTCタンパク質は、以下で詳細に記載される
ように、これらのMTCタンパク質の1つと実質的に相同であり、そしてその機
能的な活性を保持し、天然の対立バリエーション(variation)または
変異誘発に起因して、アミノ酸配列においてさらに異なる。
【0222】 特定の実施形態において、本発明は、発現がPPARγリガンドが投与される
哺乳動物において調節されるポリペプチドの配列と、80%以上同一であるアミ
ノ酸配列を含む単離されたポリペプチドを含む。
【0223】 (2つ以上の配列との間の相同性の決定) 2つのアミノ酸または2つの核酸の百分率相同性を決定するために、配列が、
最適な比較の目的のために配列される(例えば、間隙が、第2のアミノ酸または
核酸配列と共に、適切な配列のために、第1のアミノ酸または核酸配列の配列中
に導入され得る)。次いで、アミノ酸位置またはヌクレオチド位置に対応するア
ミノ酸残基またはヌクレオチドが比較される。第1の配列の位置が、第2の配列
における対応する位置として同じアミノ酸残基またはヌクレオチドにより占めら
れる場合、次いでその分子は、その位置で相同である(すなわち、本明細書中で
使用される場合、アミノ酸または核酸「相同性」は、アミノ酸または核酸「同一
性」と同等である)。
【0224】 核酸配列相同性は、2つの配列との間の同一性の程度として決定され得る。相
同性は、当該分野で公知のコンピュータープログラム(例えば、GCGプログラ
ムパッケージにおいて提供されるGAPソフトウェア)を使用して決定され得る
。NeedlemanおよびWunsch 1970 J Mol Biol
48:443−453を参照のこと。核酸配列比較のための以下のセッティング
(5.0のGAP作製ペナルティーおよび0.3のGAP伸長ペナルティー)を
用いたGCG GAPソフトウェアを使用して、上記のアナログ核酸配列のコー
ド領域は、MTCS:48−51を含むDNA配列のCDS(コード)部分と、
好ましくは少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98
%、または99%の同一性の程度を示す。
【0225】 用語「配列同一性」は、2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列が、
比較の特定の領域について、残基ごとを基準に同一である程度をいう。用語「配
列同一性の百分率」は、その比較領域上の、2つの最適に配列された配列を比較
し、同一の核酸塩基(例えば、核酸の場合において、A、T、C、G、Uまたは
I)が、両方の配列において存在する位置の数を決定して、一致した位置の数を
得て、比較の領域における位置の総数(すなわち、ウィンドウの大きさ)によっ
て一致した位置の数を割り、そして100でその結果を掛けることにより算出さ
れ、配列同一性の百分率を得る。本明細書中で使用される場合、用語「実質的に
同一」は、ポリヌクレオチド配列の特徴を示し、ここでポリヌクレオチドは、比
較領域に関する参照配列と比較した場合、少なくとも80%の配列同一性、好ま
しくは少なくとも85%の同一性およびしばしば90〜95%配列同一性、より
通常は少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む。
【0226】 (キメラタンパク質および融合タンパク質) 本発明はまた、MTCキメラタンパク質または融合タンパク質を提供する。本
明細書中で使用される場合、MTC「キメラタンパク質」または「融合タンパク
質」は、非MTCポリペプチドに作動可能に連結されたMTCポリペプチドを含
む。「MTCポリペプチド」は、MTCに対応するアミノ酸配列を有するポリペ
プチドをいうが、一方、「非MTCポリペプチド」は、MTCタンパク質に実質
的に相同でないタンパク質に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドをいう
(例えば、MTCタンパク質とは異なり、そして同じまたは異なる生物体に由来
するタンパク質)。MTC融合タンパク質において、MTCポリペプチドは、M
TCタンパク質の全てまたは一部分に対応し得る。1つの実施形態において、M
TC融合タンパク質は、MTCタンパク質の少なくとも1つの生物学的に活性な
部分を含む。別の実施形態において、MTC融合タンパク質は、MTCタンパク
質の少なくとも2つの生物学的に活性な部分を含む。さらに別の実施形態におい
て、MTC融合タンパク質は、MTCタンパク質の少なくとも3つの生物学的に
活性な部分を含む。融合タンパク質において、用語「作動可能に連結される」は
、MTCポリペプチドおよび非MTCポリペプチドが、互いにインフレームで融
合されることを示すことが意図される。非MTCポリペプチドが、MTCポリペ
プチドのN末端またはC末端に融合され得る。
【0227】 例えば、1つの実施形態において、MTC融合タンパク質は、第二のタンパク
質の細胞外ドメインに作動可能に連結されるMTCドメインを含む。このような
融合タンパク質は、MTC活性を調節する化合物のためのスクリーニングアッセ
イ(このようなアッセイは、以下に詳細に記載される)においてさらに利用され
得る。
【0228】 さらなる実施形態において、融合タンパク質は、MTC配列が上記に同定され
たドメインのGST(すなわちグルタチオンSトランスフェラーゼ)配列のC末
端に融合された、GST−MTC融合タンパク質である。このような融合タンパ
ク質は、組換えMTCの精製を容易にし得る。
【0229】 別の実施形態において、融合タンパク質は、N末端において、異種シグナル配
列を含むMTCタンパク質である。例えば、ネイティブなMTCシグナル配列は
除去され、別のタンパク質由来のシグナル配列と置換され得る。特定の宿主細胞
(哺乳動物宿主細胞)において、MTCの発現および/または分泌が、異種シグ
ナル配列の使用を介して増大され得る。
【0230】 さらなる別の実施形態において、融合タンパク質は、MTC免疫グロブリン融
合タンパク質であり、このタンパク質において、1つ以上のドメインを含むMT
C配列が、免疫グロブリンタンパク質ファミリーのメンバーに由来する配列に融
合される。本発明のMTC免疫グロブリン融合タンパク質は、薬学的組成物中に
取り込まれ得、そしてMTCリガンドとMTCタンパク質との間の相互作用を阻
害するために被験体に投与され、それにより、インビボでMTC媒介シグナルト
ランスダクションを抑制し得る。MTC免疫グロブリン融合タンパク質は、MT
C同源(cognate)リガンドのバイオアベイラビリティに影響するために
使用され得る。MTCリガンド/MTC相互作用の阻害は、増殖障害および分化
障害の両方の処置のために、ならびに細胞生存を調節(例えば、促進または阻害
)するために、治療的に有用であり得る。さらに、本発明のMTC免疫グロブリ
ン融合タンパク質は、免疫原として使用され、被験体において、抗MTC抗体を
産生し、MTCリガンドを精製し、そしてスクリーニングアッセイにおいて、M
TCリガンドとのMTCの相互作用を阻害する分子を同定し得る。
【0231】 本発明のMTCキメラタンパク質または融合タンパク質は、標準的な組換えD
NA技術により産生され得る。例えば、異なるポリペプチド配列をコードするD
NAフラグメントが、従来の技術(例えば、連結のための平滑末端終末または付
着末端終末の利用、適切な終末を提供するための制限酵素消化、適切な粘着末端
のフィリング−イン、望まない連結を避けるためのアルカリホスファターゼ処理
、および酵素連結)に従って、インフレームで共に連結される。別の実施形態に
おいて、融合遺伝子は、自動化されたDNA合成機を含む従来の技術により、合
成され得る。あるいは、遺伝子フラグメントのPCR増幅が、2つの連続(co
nsecutive)遺伝子フラグメントとの間に相補的な突出を生じるアンカ
ープライマーを使用して行われ得、連続遺伝子フラグメントは、実質的にアニー
ル化され、そして再増幅されてキメラ遺伝子配列を生成し得る(例えば、Aus
ubelら(編)、CURRENT PROTOCOLS IN MOLECU
LAR BIOLOGY、Jhon Wiley & Sons、1992を参
照のこと)。さらに、融合部分(例えば、GSTポリペプチド)をすでにコード
する多くの発現ベクターが、市販される。MTCコード核酸が、このような発現
ベクター中にクローン化され得、その結果、融合部分がMTCタンパク質にイン
フレームで連結される。
【0232】 (MTCアゴニストおよびアンタゴニスト) 本発明はまた、MTCアゴニスト(模倣物)またはMTCアンタゴニストのい
ずれかとして機能する、MTCタンパク質(例えば、MTC1−51)の改変体
に関する。MTCタンパク質の改変体は、変異誘発(例えば、分散した点変異ま
たはMTCタンパク質の短縮を)により生成され得る。MTCタンパク質のアゴ
ニストは、MTCタンパク質の天然に存在する形態の生物学的活性の、実質的に
同じか、または1つのサブセットを保持し得る。MTCタンパク質のアンタゴニ
ストは、例えば、MTCタンパク質を含む細胞性シグナルカスケードの下流また
は上流メンバーに競合的に結合することにより、MTCタンパク質の天然に存在
する1つ以上の活性を阻害し得る。従って、特異的な生物学的効果が、制限され
た機能をもつ改変体を用いた処理により誘発され得る。1つの実施形態において
、タンパク質の天然に存在する形態の生物学的活性のサブセットを有する改変体
を用いた被験体の処置は、MTCタンパク質の天然に存在する形態を用いた処置
と比較して、被験体における副作用をほとんど有さない。
【0233】 MTCアゴニスト(類似物)またはMTCアンタゴニストとしてのいずれかと
して機能するMTCタンパク質の改変体(例えば、MTCタンパク質アゴニスト
活性またはMTCタンパク質アンタゴニスト活性についてのMTCタンパク質の
短縮型変異体)は、変異体のコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングす
ることによって同定され得る。1つの実施形態において、変化に富むMTC改変
体のライブラリーが核酸レベルでのコンビナトリアル変異誘発によって生成され
、そして変化に富む遺伝子ライブラリーによってコードされる。変化に富むMT
C改変体のライブラリーは、例えば、合成ヌクレオチドの混合物を遺伝子配列に
酵素的に連結することによって生成され得、その結果、潜在的なMTC配列の縮
重セットが個々のポリペプチドとして、または代替的に、そこにMTC配列のセ
ットを含む、より大きな融合タンパク質(例えば、ファージディスプレイのため
の)のセットとして発現可能である。縮重オリゴヌクレオチド配列から潜在的な
MTC改変体を生成するために使用され得る種々の方法が存在する。縮重遺伝子
配列の化学合成は、自動化DNA合成機において実行され得、次いで、適切な発
現ベクターに連結され得る。遺伝子の縮重セットの使用は、潜在的なMTC配列
の所望のセットをコードする配列のすべての供給を、1つの混合物中で可能にす
る。縮重オリゴヌクレオチドを合成するための方法は、当該分野で公知である(
例えば、Narang(1983)Tetrahedron 39:3;Ita
kuraら(1984)Annu Rev Biochem 53:323;I
takuraら(1984)Science 198:1056;Ikeら(1
983)Nucl Acid Res 11:477を参照のこと)。
【0234】 1つの実施形態において、酵素活性を有するタンパク質が、低分子のスクリー
ニングおよび低分子の薬物治療のために使用される。これらのタンパク質には、
例えば、DUP6二重特異性MAPキナーゼホスファターゼ、rasGTPas
e活性化様タンパク質(IQGAP1)、Ca2−活性化中性プロテアーゼラー
ジサブユニットカルパイン、カテプシンE、5−リポキシゲナーゼ、スペルミジ
ン/スペルミンN1−アセチルトランスフェラーゼ(SSAT)、およびSTE
20−様タンパク質キナーゼ3(STK3)タンパク質ホスファターゼ−1γ1
が含まれる。
【0235】 (ポリペプチドライブラリー) さらに、MTCタンパク質コード配列のフラグメントのライブラリーは、MT
Cタンパク質の改変体のスクリーニングおよび引き続く選択のためにMTCフラ
グメントの変化に富む集団を生成するために使用され得る。1つの実施形態にお
いて、コード配列のフラグメントのライブラリーは、MTCコード配列の二本鎖
PCRフラグメントを、ニックが1分子あたり約1箇所でのみ生じる条件下で、
ヌクレアーゼで処理すること、二本鎖DNAを変性させること、異なるニックを
有する生成物からセンス/アンチセンス対を含み得る二本鎖DNAを形成するよ
うに再生すること、S1ヌクレアーゼを用いる処理によって再形成された二重鎖
から一本鎖部分を取り除くこと、および得られるフラグメントライブラリーを発
現ベクターに連結することによって生成され得る。この方法によって、MTCタ
ンパク質の種々のサイズのN末端フラグメントおよび内部フラグメントをコード
する発現ライブラリーが誘導され得る。
【0236】 点変異および短縮化によって作製されるコンビナトリアルライブラリーの遺伝
子産物をスクリーニングするための、および選択された特性を有する遺伝子産物
についてのcDNAライブラリーをスクリーニングするためのいくつかの方法は
、当該分野で公知である。このような技術は、MTCタンパク質のコンビナトリ
アル変異誘発によって生成される遺伝子ライブラリーの迅速なスクリーニングの
ために適用可能である。大きな遺伝子ライブラリーをスクリーニングするための
高処理能力分析に従う最も広範に使用されている技術には、代表的には、複製可
能発現ベクターへの遺伝子ライブラリーのクローニング、得られたベクターのラ
イブラリーを用いる適切な細胞の形質転換、および、所望の活性の検出が、活性
が検出された遺伝子をコードするベクターの単離を容易にするような条件下での
コンビナトリアル遺伝子の発現が含まれる。ライブラリー中で機能的変異誘発の
頻度を増強する新規な技術である再帰的アンサンブル変異誘発(REM)は、M
TC改変体を同定するためのスクリーニングアッセイと組み合わせて使用され得
る(ArkinおよびYourvan(1992)PNAS 89:7811−
7815;Delgraveら(1993)Protein Engineer
ing 6:327−331)。
【0237】 (抗MTC抗体) 単離されたMTCタンパク質またはその一部もしくはフラグメントは、ポリク
ローナル抗体およびモノクローナル抗体の調製のための標準的な技術を用いて、
MTCに結合する抗体を生成するための免疫原として使用され得る。全長MTC
タンパク質が使用され得るか、または代替的には、本発明は、MTCの抗原性ペ
プチドフラグメントの免疫源としての用途を提供する。MTCの抗原性ペプチド
は、MTC:1−51(例えば、MTC48−51)において示される核酸配列
を含む核酸によってコードされるアミノ酸の少なくとも8アミノ酸残基を含み、
そしてそのペプチドに対して惹起された抗体がMTCと特異的な免疫複合体を形
成するようなMTCのエピトープを含む。好ましくは、その抗原性ペプチドは、
少なくとも10アミノ酸残基、より好ましくは15アミノ酸残基、さらにより好
ましくは少なくとも20アミノ酸残基、そして最も好ましくは、少なくとも30
アミノ酸残基を含む。抗原性ペプチドによって含まれる好ましいエピトープは、
タンパク質の表面(例えば、親水性領域)に位置する領域である。抗体産生を標
的化するための手段として、親水性および疎水性を示すハイドロパシープロット
は、当該分野で周知の任意の方法によって生成され得、これらには、例えば、フ
ーリエ変換ありまたはなしでの、Kyte Doolittle法またはHoo
p Woods法が含まれる。例えば、HoppおよびWoods(1981)
、Proc.Nat.Acad.Sci.USA 78:3824−3828;
KyteおよびDoolittle 1982、J.Mol.Biol.157
:105−142、を参照のこと。これらのそれぞれは、その全体が参考として
本明細書中に援用される。
【0238】 MTCポリペプチドまたはその誘導体、フラグメント、アナログ、もしくはホ
モログが、これらのタンパク質成分に免疫特異的に結合する抗体の生成において
、免疫原として使用され得る。本明細書中で使用される場合、用語「抗体」とは
、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分(すな
わち、抗原に特異的に結合する(抗原と免疫反応する)抗原結合部位を含む分子
)をいう。このような抗体には、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、単
鎖、FabおよびF(ab')2フラグメント、ならびにFab発現ライブラリーが含まれ
るがこれらに限定されない。当該分野で公知である種々の手順が、MTCタンパ
ク質配列、またはその誘導体、フラグメント、アナログ、もしくはホモログに対
するポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体の産生のために使用され得る
。これらのタンパク質のいくつかは、以下に議論される。
【0239】 ポリクローナル抗体の産生のために、種々の適切な宿主動物(例えば、ウサギ
、ヤギ、マウス、または他の哺乳動物)が、ネイティブなタンパク質またはその
合成改変体、または上記の誘導体を用いる注射によって免疫され得る。適切な免
疫原性調製物は、例えば、組換え的に発現されたMTCタンパク質または化学合
成されたMTCポリペプチドを含み得る。この調製物は、アジュバントをさらに
含み得る。免疫学的応答を増大するために使用され得る種々のアジュバントには
、Freund(完全および不完全)、ミネラルゲル(例えば、水酸化アルミニ
ウム)、界面活性物質(例えば、リゾレシチン、プルロニックポリオール、ポリ
アニオン、ペプチド、油エマルジョン、ジニトロフェノールなど)、ヒトアジュ
バント(例えば、Bacille Calmette−GuerinおよびCo
rynebacterium parvum)、または同様な免疫刺激剤が含ま
れるがこれらに限定されない。所望される場合、MTCに対する抗体分子は、哺
乳動物から単離され得る(例えば、血液から)、そして周知の技術(例えば、I
gG画分を得るためのプロテインAクロマトグラフィー)によってさらに精製さ
れ得る。
【0240】 用語「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」とは、本明
細書中で使用される場合、MTCの特定のエピトープと免疫反応し得る抗原結合
部位の1つの種のみを含む抗体分子の集団をいう。従って、モノクローナル抗体
組成物は、代表的には、それが免疫反応する特定のMTCタンパク質についての
単一の結合親和性を示す。特定のMTCタンパク質、またはその誘導体、フラグ
メント、アナログ、もしくはホモログを指向するモノクローナル抗体の調製のた
めに、連続的な細胞株培養による抗体分子の産生を提供する任意の技術が利用さ
れ得る。このような技術には、ハイブリドーマ技術(KohlerおよびMil
stein、1975 Nature 256:495−497);トリオーマ
技術;ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら、1983 Immun
ol Today 4:72)およびヒトモノクローナル抗体を産生するための
EBVハイブリドーマ技術(Coleら、1985 MONOCLONAL A
NTIBODIES AND CANCER THERAPY、Alan R.
Liss、Inc.、77〜96頁を参照のこと)が含まれる。ヒトモノクロー
ナル抗体は、本発明の実施において利用され得、そしてヒトハイブリドーマを使
用すること(Coteら、1983.Proc Natl Acad Sci
USA 80:2026−2030を参照のこと)によって、またはヒトB細胞
をEpstein Barrウイルスで、インビトロで形質転換すること(Co
leら、1985 MONOCLONAL ANTIBODIES AND C
ANCER THERAPY、Alan R.Liss、Inc.、77〜96
頁を参照のこと)によって産生され得る。
【0241】 本発明に従って、技術がMTCタンパク質に特異的な単鎖抗体の産生のために
適用され得る(例えば、米国特許第4,946,778号を参照のこと)。さら
に、MTCタンパク質、またはその誘導体、フラグメント、アナログ、もしくは
ホモログについての所望の特異性を有するモノクローナルFabフラグメントの迅
速かつ有効な同定を可能にするための方法が、Fab発現ライブラリー(例えば、
Huseら、1989 Science 246:1275−1281を参照の
こと)の構築のために適用され得る。非ヒト抗体は、当該分野において周知の方
法によって「ヒト化」され得る。例えば、米国特許第5,225,539号を参
照のこと。MTCタンパク質に対するイディオタイプを含む抗体フラグメントは
、当該分野で公知の技術によって産生され得る。これらの抗体フラグメントには
、(i)抗体分子のペプシン消化によって産生されるF(ab')2フラグメント;(
ii)F(ab')2フラグメントのジスルフィド架橋を還元することによって生成さ
れるFabフラグメント;(iii)パパインおよび還元剤を用いる抗体分子の処
理によって生成されるFabフラグメント、ならびに(iv)Fvフラグメントが
含まれるがこれらに限定されない。
【0242】 さらに、標準的な組換えDNA技術を使用して作製され得る組換え抗MTC抗
体(例えば、ヒトおよび非ヒト部分の両方を含む、キメラ抗体およびヒト化抗体
)は、本発明の範囲内に含まれる。このようなキメラ抗体およびヒト化モノクロ
ーナル抗体は、例えば、以下に記載される方法を用いて、当該分野で公知の組換
えDNA技術によって産生され得る:PCT国際出願番号PCT/US86/0
2269;欧州特許出願第184,187号;欧州特許出願第171,496号
;欧州特許出願第173,494号;PCT国際出願番号WO 86/0153
3;米国特許出願第4,816,567号;欧州特許出願第125,023号;
Betterら(1988)Science 240:1041−1043;L
iuら(1987)PNAS 84:3439−3443;Liuら(1987
)J Immunol.139:3521−3526;Sunら(1987)P
NAS 84:214−218;Nishimuraら(1987)Cance
r Res 47:999−1005;Woodら(1985)Nature
314:446−449;Shawら(1988)J Natl Cancer
Inst.80:1553−1559;Morrison(1985)Sci
ence 229:1202−1207;Oiら(1986)BioTechn
iques 4:214;米国特許第5,225,539号;Jonesら(1
986)Nature 321:552−525;Verhoeyanら(19
88)Science 239:1534;およびBeidlerら(1988
)J Immunol 141:4053−4060。
【0243】 1つの実施形態において、所望の特異性を有する抗体のスクリーニングのため
の方法には、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)および当該分野で公知の
他の免疫学的に媒介される技術が含まれる。特定の実施形態において、MTCタ
ンパク質の特定のドメインに対して特異的な抗体の選択は、このようなドメイン
を有するMTCタンパク質のフラグメントに結合するハイブリドーマの生成によ
って容易にされる。MTCタンパク質中の1以上のドメインに特異的な抗体は、
例えば、MTCファミリータンパク質の上記に定義された保存性領域にわたるド
メイン、またはその誘導体、フラグメント、アナログ、もしくはホモログもまた
、本明細書中で提供され得る。
【0244】 抗MTC抗体は、MTCタンパク質の位置決定および/または定量に関連する
当該分野で公知の方法において使用され得る(例えば、適切な生理学的サンプル
中のMTCタンパク質のレベルを測定することにおける使用のため、診断的方法
における使用のため、タンパク質を画像化する際の使用のためなど)。所定の実
施形態において、抗体由来の結合ドメインを含む、MTCタンパク質に対する抗
体、またはその誘導体、フラグメント、アナログ、もしくはホモログは、薬学的
に活性な化合物として利用される(本明細書中以下「治療剤」)。
【0245】 抗MTC抗体(例えば、モノクローナル抗体)は、標準的な技術(例えば、ア
フィニティークロマトグラフィーまたは免疫沈降)によってMTCを単離するた
めに使用され得る。抗ATC抗体は、細胞から天然のMTCの精製を、および宿
主細胞中で組換え的に発現されたMTCの精製を容易にし得る。さらに、抗MT
C抗体は、MTCタンパク質の量および発現パターンを評価するためにMTCタ
ンパク質を(例えば、細胞溶解物または細胞上清中で)検出するために使用され
得る。抗MTC−抗体は、例えば、所定の投与レジメンの効力を決定するために
、臨床試験手順の一部として、組織中でタンパク質レベルを診断的にモニターす
るために使用され得る。検出は、検出可能な物質と抗体をカップリング(すなわ
ち、物理的な結合)させることによって容易にされ得る。検出可能な物質の例に
は、種々の酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、および放射
活性物質が含まれる。適切な酵素の例には、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アル
カリホスファターゼ、βガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼ
が含まれ;適切な補欠分子族複合体の例には、ストレプトアビジン/ビオチンお
よびアビジン/ビオチンが含まれ;適切な蛍光物質の例には、ウンベリフェロン
(umbelliferone)、フルオロレセイン、フルオレセインイソチオ
シアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシ
ルクロライド、またはフィコエリトリンが含まれ;発光物質の例には、ルミノー
ルが含まれ;生物発光物質の例には、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエ
クオリンが含まれ、そして適切な放射性物質の例には、125I、131I、35S、ま
たは3Hが含まれる。
【0246】 (MTC組換え発現ベクターおよび宿主細胞) 本発明の別の局面は、MTCタンパク質、またはその誘導体、フラグメント、
アナログ、もしくはホモログをコードする核酸を含むベクター(好ましくは発現
ベクター)に関する。本明細書中で使用される場合、用語「ベクター」とは、そ
れが連結された別の核酸を輸送し得る核酸分子をいう。1つの型のベクターは、
「プラスミド」であり、これは、さらなるDNA配列が連結され得る、線状また
は環状の二本鎖DNAのループをいう。別の型のベクターはウイルスベクターで
あり、ここでさらなるDNAセグメントは、ウイルスゲノムに連結され得る。特
定のベクターは、それが導入される宿主細胞(例えば、細菌の複製起点を有する
細菌ベクターおよびエピソーム性哺乳動物ベクター)中での自律的複製をし得る
。他のベクター(例えば、非エピソーム性哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への
導入に際して宿主細胞のゲノムに組み込まれ、それによって宿主のゲノムととも
に複製される。さらに、特定のベクターは、それが作動可能に連結される遺伝子
の発現を指向し得る。このようなベクターは、本明細書中では「発現ベクター」
と呼ばれる。一般的に、組換えDNA技術において有用である発現ベクターは、
しばしば、プラスミドの形態である。本明細書において、「プラスミド」および
「ベクター」は、交換可能に使用され得る。なぜなら、プラスミドが最も一般的
に使用されるベクターの形態であるからである。しかし、本発明は、ウイルスベ
クター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴
ウイルス)のような、等価な機能を作用させる他の形態のベクターを含むことを
意図する。
【0247】 本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞における核酸の発現のために適切な
形態である本発明の核酸を含む。このことは、組換え発現ベクターが、発現のた
めに使用される宿主細胞に基づいて選択される、1以上の調節配列を含むことを
意味する。この調節配列は、発現される核酸配列に作動可能に連結される。組換
え発現ベクター中に「作動可能に連結される」とは、目的のヌクレオチド配列が
そのヌクレオチド配列の発現を可能にするような様式で調節配列と連結される(
例えば、インビトロ転写/翻訳系において、またはベクターが宿主細胞中に導入
された場合には、宿主細胞において)ことを意味することを意図する。用語「調
節配列」は、プロモーター、エンハンサー、および他の発現制御エレメント(例
えば、ポリアデニル化シグナル)を含むことを意図する。このような調節配列は
、例えば、Goeddel;GENE EXPRESSION TECHNOL
OGY:METHODS IN ENZYMOLOGY 185、Academ
ic Press、San Diego、Calif.(1990)において記
載されている。調節配列には、宿主細胞の多くの型におけるヌクレオチド配列の
構成的発現を指向する配列、および特定の宿主細胞中でのみのヌクレオチド配列
の発現を指向する配列(例えば、組織特異的調節配列)が含まれる。発現ベクタ
ーの設計が、形質転換される宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベルな
どのような因子に依存し得ることは、当業者によって理解される。本発明の発現
ベクターは宿主細胞に導入され、それによって、タンパク質またはペプチド(本
明細書中に記載されるような核酸によってコードされる融合タンパク質またはペ
プチド(例えば、MTCタンパク質、MTCの変異型、融合タンパク質など)を
含む)を産生し得る。
【0248】 本発明の組換え発現ベクターは、原核生物細胞または真核生物細胞中でMTC
の発現のために設計され得る。例えば、MTCは、細菌細胞(例えば、E.co
li)、昆虫細胞(バキュロウイルス発現ベクターを使用する)、酵母細胞、ま
たは哺乳動物細胞中で発現され得る。適切な宿主細胞は、Goeddel、GE
NE EXPRESSION TECHNOLOGY:METHODS IN
ENZYMOLOGY 185、Academic Press、San Di
ego、Calif.(1990)にさらに記載される。あるいは、組換え発現
ベクターは、例えば、T7プロモーター調節配列およびT7ポリメラーゼを使用
して、インビトロで転写および翻訳され得る。
【0249】 原核生物におけるタンパク質の発現は、最も頻繁には、融合タンパク質または
非融合タンパク質のいずれかの発現を指向する構成的プロモーターまたは誘導性
プロモーターを含むベクターを用いて、E.coli中で実行される。融合ベク
ターは、そこにコードされるタンパク質に(通常組換えタンパク質のアミノ末端
に)多くのアミノ酸を付加する。このような融合ベクターは、代表的には、以下
の3つの役割を果たす:(1)組換えタンパク質の発現を増加させること;(2
)その組換えタンパク質の可溶性を増加させること;および(3)アフィニティ
ー精製におけるリガンドとして作用することによって、組換えタンパク質の精製
の際に補助を行うこと。しばしば、融合発現ベクターにおいて、タンパク質分解
性切断が、融合部分の接合部において導入され、そして組換えタンパク質は、融
合タンパク質の精製に引き続いて融合部分からの組換えタンパク質の分離を可能
にする。このような酵素およびそれらのコグネイト認識配列には、第Xa因子、
トロンビン、およびエンテロキナーゼが含まれる。代表的な融合発現ベクターに
は、標的組換えタンパク質に対して、グルタチオン S−トランスフェラーゼ(
GST)、マルトース E−結合タンパク質、またはプロテインAをそれぞれ融
合させる、pGEX(Pharmacia Biotech Inc;Smit
hおよびJohnson(1988)Gene 67:31−40)、pMAL
(New England Biolabs,Beverly,Mass)およ
びpRIT5(Pharmacia,Piscataway,N.J.)が含ま
れる。 適切な誘導性非融合E.coli発現ベクターの例には、pTrc(A
mrannら(1988)Gene 69:301−315)およびpET 1
1d(Studierら、GENE EXPRESSION TECHNOLO
GY:METHODS IN ENZYMOLOGY 185、Academi
c Press,San Diego,Calif.(1990)60−89)
が含まれる。
【0250】 E.coli中で組換えタンパク質発現を最大化するための1つのストラテジ
ーは、組換えタンパク質をタンパク質切断する能力を弱めて、宿主細胞中で発現
させることである。Gottesman、GENE EXPRESSION T
ECHNOLOGY:METHODS IN ENZYMOLOGY 185、
Academic Press、San Diego、Calif.(1990
)119−128を参照のこと。別のストラテジーは、各アミノ酸についての個
々のコドンがE.coliにおいて優先的に利用されるように、発現ベクターに
挿入される核酸の核酸配列を変化させることである(Wadaら(1992)N
ucleic Acids Res.20:2111−2118)。本発明の核
酸配列のこのような変化は、標準的なDNA合成技術によって実行され得る。
【0251】 別の実施形態において、MTC発現ベクターは、酵母発現ベクターである。酵
母S,cerevisiae中での発現のためのベクターの例には、pYepS
ec1(Baldariら(1987)EMBO J 6:220−234)、
pMfa(KurjanおよびHerskowits(1982)Cell 3
0:933−943)、pJRY88(Schltzら(1987)Gene
54:113−123)、pYES2(Invitrogen Corpora
tion,San Diego,Calif.)、およびpicZ(InVit
rogen Corp,San Diego,Calif.)が含まれる。
【0252】 あるいは、MTCは、バキュロウイルス発現ベクターを用いて昆虫細胞中で発
現され得る。培養昆虫細胞(例えば、SF9細胞)中でのタンパク質の発現のた
めに使用可能なバキュロウイルスベクターには、pAcシリーズ(Smithら
(Smithら、(1983)Mol Cell Biol 3:2156−2
165)およびpVLシリーズ(LucklowおよびSummers(198
9)Virology 170:31−39)が含まれる。
【0253】 なお別の実施形態において、本発明の核酸が、哺乳動物発現ベクターを用いて
哺乳動物細胞において発現される。哺乳動物発現ベクターの例としては、pCD
M8(Seed(1987)Nature 329:840)およびpMT2P
C(Kaufmanら、(1987)EMBO J 6:187−195)が挙
げられる。哺乳動物細胞において用いられた場合、この発現ベクター制御機能は
、しばしば、ウイルス調節エレメントによって提供される。例えば、ポリオーマ
、アデノウイルス2、サイトメガロウイルスおよびシミアンウイルス40由来の
プロモーターが、一般的に用いられる。原核生物細胞および真核生物細胞の両方
についてのその他の適切な発現系に関しては、例えば、Sambrookら、M
OLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL
第2版 第16章および17章、Cold Spring Harbor L
aboratory,Cold Spring Harbor Laborat
ory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,19
89を参照のこと。
【0254】 別の実施形態において、組換え哺乳動物発現ベクターは、特定の細胞型におい
て優位に核酸の発現を指向し得る(例えば、組織特異的調節エレメントを用いて
、核酸を発現する)。組織特異的調節エレメントは、当該分野で公知である。適
切な組織特異的プロモーターの非限定的な例としては、アルブミンプロモーター
(肝臓特異的プロモーター;(Pinkertら(1987)Genes De
v 1:268−277))、リンパ系特異的プロモーター(Calameおよ
びEaton(1988)Adv Immunol 43:235−275)、
特にT細胞レセプター(WinotoおよびBaltimore(1989)E
MBO J 8:729−733)およびイムノグロブリン(Banerjiら
(1983)Cell 33:729−740;QueenおよびBaltim
ore(1983)Cell 33:741−748)のプロモーター、ニュー
ロン特異的プロモーター(例えば、神経系プロモーター、ByrneおよびRu
ddle(1989)PNAS 86:5473−5477)、膵臓特異的プロ
モーター(Edlundら(1985)Science 230:912−91
6)、および乳腺特異的プロモーター(例えば、乳清プロモーター(米国特許第
4,873,316号および欧州特許出願公開第264,166号))が挙げら
れる。発育調節プロモーターはまた包含される(例えば、マウスhoxプロモー
ター(KesselおよびGruss(1990)Science 249:3
74−379)およびαフェトプロテインプロモーター(CampesおよびT
ilghman(1989)Gene Dev 3:537−546))。
【0255】 本発明は、さらに、アンチセンス配向で発現ベクターにクローン化された本発
明のDNA分子を含む組換え発現ベクターを提供する。すなわち、このDNA分
子は、MTC mRNAに対してアンチセンスである、RNA分子の発現(DN
A分子の転写によって)を可能にする、様式で調節配列に作動可能に連結される
。種々の細胞型におけるアンチセンスRNA分子の連続的な発現を指向する、ア
ンチセンス配向でクローン化される核酸に作動可能に連結される調節配列が選択
され得る。例えば、アンチセンスmRNAの構成的、組織特異的または細胞型特
異的な発現を指向する、ウイルスプロモーター配列および/またはエンハンサー
配列、あるいは調節配列が選択され得る。アンチセンス発現ベクターは、組換え
プラスミド、ファージミドまたは無毒化ウイルスの形態であり得る。これらの組
換えプラスミド、ファージミドまたは無毒化ウイルスにおいて、アンチセンス核
酸は、高効率調節領域の制御下で産生され、この領域の活性は、このベクターが
導入される、細胞型によって決定され得る。アンチセンス遺伝子を用いる遺伝子
発現の調節の議論については、Weintraubら「Antisense R
NA as a molecular tool for genetic a
nalysis」Reviews−Trends in Genetics、第
1巻(1)1986を参照のこと。
【0256】 本発明の別の局面は、本発明の組換え発現ベクターが導入される、宿主細胞に
関する。用語「宿主細胞」および「組換え宿主細胞」は、本明細書中で交互に用
いられる。このような用語は、特定の被験細胞だけでなく、このような細胞の子
孫または潜在的な子孫もいうことが理解される。世代の後に起こり得る特定の改
変は、変異または環境の影響のいずれかに起因するので、このような子孫は、実
際には、親細胞と同一ではあり得ないが、本明細書中で使用される用語の範囲内
になお含まれる。
【0257】 宿主細胞は、任意の原核生物細胞または真核生物細胞であり得る。例えば、M
TCタンパク質は、細菌細胞(例えば、E.coli)、昆虫細胞、酵母細胞ま
たは哺乳動物細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)または
COS細胞)において発現され得る。他の適切な宿主細胞は、当業者に公知であ
る。
【0258】 ベクターDNAは、従来の形質転換技術またはトランスフェクション技術を介
して原核生物細胞または真核生物細胞に導入され得る。本明細書中で使用される
場合、用語「形質転換」および「トランスフェクション」は、外来核酸(例えば
、DNA)を、宿主細胞に導入するための種々の当該分野で認識されている技術
(リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈殿、DEAEデキストラン媒介ト
ランスフェクション、リポフェクション、またはエレクトロポレーションを含む
)を言及することを意図する。宿主細胞を形質転換またはトランスフェクション
するための適切な方法は、Sambrookら(MOLECULAR CLON
ING:A LABORATORY MANUAL,第2版、Cold Spr
ing Harbor Laboratory、Cold Soring Ha
rbor Laboratory Press、Cold Spring Ha
rbor、N.Y.、1989)、およびその他の実験マニュアルにおいて見出
され得る。
【0259】 哺乳動物細胞の安定なトランスフェクションに関して、使用される発現ベクタ
ーおよびトランスフェクション技術に依存して、細胞の小画分のみが、外来DN
Aをその細胞のゲノムに組み込み得ることが公知である。これらの組み込み体を
同定および選択するために、一般的には、選択マーカー(例えば、抗生物質耐性
)をコードする遺伝子が、目的の遺伝子とともにこの宿主細胞に導入される。種
々の選択マーカーとしては、薬物(例えば、G418、ハイグロマイシンおよび
メトトレキサート)に対する耐性を付与する、選択マーカーが挙げられる。選択
マーカーをコードする核酸は、MTCをコードする同一のベクターで宿主細胞に
導入され得るか、または別個のベクターで導入され得る。導入された核酸で安定
にトランスフェクトされた細胞は、薬物選択によって同定され得る(例えば、選
択マーカー遺伝子を組み込んだ細胞は生存するが、その他の細胞は死ぬ)。
【0260】 培養において本発明の宿主細胞(例えば、原核生物宿主細胞または真核生物宿
主細胞)を用いて、MTCタンパク質を産生(すなわち、発現)し得る。従って
、本発明は、さらに本発明の宿主細胞を用いるMTCタンパク質を産生する方法
を提供する。1つの実施形態において、この発明は、MTCタンパク質を産生す
るように適切な培地において(MTCをコードする組換え発現ベクターが導入さ
れている)本発明の宿主細胞を培養する工程を包含する。別の実施形態において
、この方法は、さらにこの培地またはこの宿主細胞からMTCを単離する工程を
包含する。
【0261】 (キット、アレイ、および複数性(plurality)) 本発明は、MTC:1〜51からなる群より選択される2以上の核酸配列を検
出するために1つ以上の試薬を含むキットを提供する。種々の実施形態において
、MTC:1〜51によって示される2、3、4、5、6、7、8、9、10、
15、20、25、30、35、40、45、50または51あるいはそれ以上の
配列の発現が、測定される。このキットは、例えば、相同核酸配列(例えば、オ
リゴヌクレオチド配列)、示された核酸の一部に対する相補鎖、またはこの遺伝
子によってコードされるタンパク質に対する抗体を有することによって列挙され
た核酸を同定し得る。
【0262】 本発明はまた、プローブ核酸のアレイを含む。これらのプローブ核酸配列は、
MTC:1〜51からなる群より選択される2以上の核酸配列を検出する。種々
の実施形態において、MTC:1〜51によって示される2、3、4、5、6、
7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50または51
あるいはそれ以上の配列の発現が、同定される。
【0263】 このアレイにおけるプローブ核酸は、相同核酸配列(例えば、オリゴヌクレオ
チド配列)、示された核酸の一部に対する相補鎖を有することによって列挙され
た核酸を検出し得る。この基板アレイは、例えば、固体基板(例えば、米国特許
第5,744,305号に記載される「チップ」)であり得る。
【0264】 本発明としてはまた、単離された複数の核酸配列が挙げられる。この複数性は
、代表的には、MTC:1〜51によって示される2以上の核酸配列が挙げられ
る。種々の実施形態において、この複数性としては、MTC:1〜51によって
示される2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35
、40、45、50または51あるいはそれ以上の配列が挙げられる。
【0265】 「単離された」核酸分子は、他の核酸分子から分離された核酸分子であり、こ
の他の核酸分子は、この核酸の天然の供給源において存在する。単離された核酸
分子の例としては、ベクターに含まれる組換えDNA分子、異種宿主細胞におい
て保持される組換えDNA分子、部分的に精製された核酸分子もしくは実質的に
精製された核酸分子、および合成DNA分子もしくは合成RNA分子が挙げられ
るが、これらに限定されない。好ましくは、「単離された」核酸分子は、この核
酸が導かれる生物のゲノムDNAにおけるこの核酸に自然に隣接する配列(すな
わち、この核酸の5’末端および3’末端に位置する配列)はない。種々の実施
形態において、この単離された核酸分子は、この核酸が導かれる細胞のゲノムD
NAにおけるこの核酸分子に自然に隣接する約50kb、25kb、5kb、4
kb、3kb、2kb、1kb、0.5kb、または0.1kb未満のヌクレオ
チド配列を含み得る。さらに、「単離された」核酸分子(例えば、cDNA分子
)は、組換え技術によって産生される場合、その他の細胞の物質または培養培地
が実質的に存在し得ない、または化学的に合成される場合、化学物質前駆物質ま
たはその他の化学物質が実質的に存在し得ない。
【0266】 (転移性癌または非転移性癌において示差的に発現される、新規な核酸を含む
組成物) 本発明はまた、転移性または非転移性の甲状腺癌において示差的に発現される
、新規な核酸配列の組成物を提供する。従って、本発明としては、MTC:48
〜51からなる群より選択されるヌクレオチド配列、またはそのフラグメントを
含む単離された核酸分子が挙げられる。
【0267】 (MTCX遺伝子における一塩基多型) MTCX遺伝子における多型に対応する核酸がまた本発明において提供される
。本発明に従うMTCX一塩基多型(「SNP」)は、表2において示されるS
NPを含む。
【0268】
【表2】 表2列1および2は、それぞれ遺伝子名および対応するMTC参照番号を規定
する。列3〜5は、多型が起こるヌクレオチドの位置を示し、数字の後が多型対
立遺伝子に存在するヌクレオチド、および数字の前がそのヌクレオチドと置換し
ているヌクレオチドである。列3は、遺伝子の5’非翻訳領域または3’非翻訳
領域において起こる、多型を列挙するが、列4は、コード領域において起こるが
、改変されたコードポリペプチドを生じない、多型を列挙する。列5は、コード
されるアミノ酸配列の変化を生じる多型を列挙する。
【0269】 一般的には、本発明に従う多型は、多型対立遺伝子を特異的に同定する、任意
の核酸プローブを用いて同定され得る。
【0270】 本発明に従うSNPを認識する核酸プローブの例は以下に提供される。「>」
で示した多型部位とともに、このSNPが同定される、遺伝子が列挙される。サ
ンプリングされた集団において見られる、多型ヌクレオチドの頻度は、丸括弧中
に与えられる。
【0271】
【化14】 本発明はまた、1つ以上の多型MTC配列を含む核酸配列を含む。MTC配列に
おける多型を占有する塩基を同定する方法、ならびにMTC配列多型に基づいて
病状(例えば、転移性甲状腺癌腫のような転移性癌腫を含む癌腫)を標的化する
ための個々に配慮した治療薬剤を同定する方法もまた含まれる。
【0272】 ヌクレオチド多型は、単一ヌクレオチド多型(SNP)であり得る。SNPは
、単一ヌクレオチドにより占有された多型部位で生じる。この多型部位は、対立
遺伝子配列の間での変動の部位である。この部位は、通常、対立遺伝子の高度に
保存された配列の前およびこの配列の後ろに存在する(例えば、集団の1/10
0または1/1000未満のメンバーで変化する配列)。単一ヌクレオチド多型
は、通常、多型部位における1つのヌクレオチドを別のヌクレオチドで置換する
ことに起因して生じる。変化(transition)は、1つのプリン塩基を
別のプリン塩基で置換すること、または1つのピリミジン塩基を別のピリミジン
塩基で置換することである。変異(transversion)は、プリンのピ
リミジンでの置換またはその逆である。単一ヌクレオチド多型はまた、参照対立
遺伝子に対するヌクレオチドの欠失またはヌクレオチドの挿入から生じ得る。
【0273】 本発明に従う多型配列は、表2に示される多型配列を含み得る。表2は、多型
が同定された9つのMTC配列を記載する。表の第1列は、多型が生じる配列に
割り当てられた名称を列挙する。第2列および第3列は、それぞれの配列につい
てのラットおよびヒトのGenBank登録番号を列挙する。第4列は、多型部
位が見出された配列における位置を列挙する。第5列は、データベースにおける
配列(すなわち、野生型)中の多型部位を占有する塩基を列挙する。第6列は、
多型部位における別の塩基を列挙する。第7列は、多型に起因して生じる任意の
アミノ酸変化を列挙する。
【0274】 多型配列は、以下の配列の1つ以上を含み得る:(1)多型配列における多型
部位で、表2の第5列に示されるヌクレオチドを有する配列、および(2)表2
の第5列に示されるヌクレオチド以外のヌクレオチドを有する配列。後者の配列
の例は、多型配列における多型部位で、表2の第6列に示されるヌクレオチドを
有する多型配列である。
【0275】 例えば、本発明に従う多型としては、GenBank登録番号x64330の
ヌクレオチド配列を有するATPシトレートリアーゼ遺伝子における配列多型が
挙げられる。ここでヌクレオチド609におけるシトシンは、アデニンで置換さ
れている。いくつかの実施形態において、この多型配列は、GenBank登録
番号x64330を有するATPシトレートリアーゼ遺伝子のヌクレオチド配列
を含む。ここで、609位のヌクレオチドは、シトシン以外の任意のヌクレオチ
ドである。
【0276】 いくつかの実施形態において、多型配列は、表2における9つの遺伝子のうち
、いずれか1つの全長を含み得る。他の実施形態において、多型配列は、10ヌ
クレオチドと100ヌクレオチドとの間、10ヌクレオチドと75ヌクレオチド
との間、10ヌクレオチドと50ヌクレオチドとの間、または10ヌクレオチド
と25ヌクレオチドとの間の長さのポリヌクレオチドを含む。
【0277】 本発明は、以下の実施例においてさらに記載されるが、この実施例は、特許請
求の範囲に記載される発明の範囲を限定しない。以下の実施例は、甲状腺小胞状
腺腫および転移性乳頭状癌において差次的に発現された遺伝子の同定および特徴
を示す。
【0278】 (実施例1:RNA調製) 処理後に、相分離のために、1/10容量のブロモクロロプロパン(Mole
cular Research Corp.,Cincinnati OH)を
用いて、総細胞RNAをTrizol(GIBCO−BRL,Baltimor
e MD)単離した。0.01M DTT(GIBCO−BRL,Baltim
ore MD)および1ユニット/μl Rnasin(Promega,Mi
lwaukee WI)の存在下でDNaseI(Promega,Milwa
ukee WI)での処理により夾雑DNAを除去した。フェノール/クロロホ
ルム抽出後に、RNA品質を、分光法およびホルムアミドアガロースゲル電気泳
動により推定し、そしてRNA収量をオイルグリーン(Molecular P
robes,Eugene OR)を用いて蛍光定量法により評価した。オリゴ
(dT)常磁性ビーズ(PerSeptive Biosynthesis,B
oston,MA)を用いて、100μgの総RNAからポリ(A)+RNAを
調製し、そして蛍光定量法で定量した。
【0279】 (実施例2:cDNA合成) 第1鎖cDNAを、200ピコモルのオリゴ(dT)25V(V=A、Cまた
はG)(PerSeptive Biosynthesis,Boston,M
A)とともに40ユニットのSuperscriptII(GIBCO−BRL
,Baltimore MD)を使用して、1.0μgのポリ(A)+RNAか
ら調製した。10ユニットのE.coli DNAリガーゼ(GIBCO−BR
L,Baltimore MD)、40ユニットのE.coli DNAポリメ
ラーゼ(GIBCO−BRL,Baltimore MD)、および3.5ユニ
ットのE.coli RNase H(GIBCO−BRL,Baltimor
e MD)を添加した後に、16℃で2時間、第2鎖合成を行った。次いで、1
μlのT4 DNAポリメラーゼ(GIBCO−BRL,Baltimore
MD)を添加し、そして16℃でのインキュベーションを5分間続けた。次いで
、反応物を5ユニットの北極エビ(arctic shrimp)アルカリホス
ファターゼ(USB,Chicago IL)を用いて37℃で30分間処理し
、そしてcDNAをフェノール/クロロホルム抽出により精製した。cDNAの
収量を、蛍光定量法で予測した。
【0280】 (実施例3:GENECALLINGTM化学) 全てのサンプルについて、96の部分配列の対の各々について、並行して三連
のGeneCalling化学反応を行った。制限エンドヌクレアーゼ消化を、
2.6μlのH2O、2μlの5M ベタイン(Sigma,St.Louis MO)、1μlの10×制限エンドヌクレアーゼ緩衝液、0.8μlの10m
M ATP(Pharmacia,Newark NJ)、1μlの25% P
EG(Fluka,St.Louis MO)、0.2μlの制限酵素1(NE
B,Beverly MAまたはFermentas,Amherst NJ)
、0.2μlの制限酵素2、1μlのcDNA(1ng/μl)を含む反応混合
物中で行った。
【0281】 以下のサーモサイクラープログラムを用いてcDNAの消化を行う:37℃で
30分、16℃まで22分かけて低下、16℃で1時間、37℃で15分、およ
び72℃で20分。消化後に、0.2μlのリガーゼ(BRL,Baltimo
re MD)とともに1μl プライマーセット1(Genosys,The
Woodlands TXまたはAmitof,Boston MA)、1μl プライマーセット2を混合物に添加する。次いで、反応物をPCRプライマー
の連結のために16℃で維持する。PCRについては、以下の試薬を添加する:
2μlの10mM dNTP(USB,Chicago IL)、5μlの10
×TB緩衝液(500mM Tris(pH9.15)、160mM (NH4
2SO4、20mM MgCl2)、0.25μlのKlentaq(Invi
trogen,Carlsbad CA):PFU(Stratagene,L
os Angels CA):PFU(Stratagene,Los Ang
els CA)(16:1)、32.75μlのH2O。20サイクルの増幅(
96℃で30秒、57℃で1秒、72℃で2分)を行った後、72℃で10分間
を行った。PCR産物の精製をMPGストレプトアビジンビーズ(CPG,Li
ncoln Park MJ)を用いて行った。ビーズを緩衝液I(3M Na
Cl、10mM TRIS、pH7.5、1mM EDTA)で2回洗浄した後
、20μlをPCR産物と室温で10分間混合し、磁石で分離し、そして緩衝液
2(10mM TRIS、pH8.0、1mM EDTA)で1回洗浄した。次
いで、ビーズを乾燥させ、そして3μlの緩衝液3(80% ホルムアミド、4
mM EDTA、5% ROXタグ化分子サイズ標準(ABI,San Fra
nsisco CA))中に再懸濁した。さらに、1レーン毎にレーン間流出(
bleed)コントロールとして5% TAMRA(ABI,San Fran
sisco CA)を与えた。変性後(96℃で3分)、サンプルを5%ポリア
クリルアミド、6M 尿素、1×TBE超薄ゲル(Long−Ranger,F
MC,Philadelphia PA)にロードし、そしてNiagaraTM 機器で3500Vで60分間泳動した。
【0282】 (実施例4:OPEN GENOME INITIATIVETMソフトウェア
解釈) インターネットベースのOpen Genome InitiativeTM
OGITM)ソフトウェア統合パッケージを用いて、電気泳動機器の出力を処理す
る。品質全体についてゲル画像を視覚的に調べ、そして最良の適合の経路をたど
るように各レーンを追跡した。各レーンは、GeneCallingサンプルお
よび50〜500bpの範囲にわたる2つのサイズ分類ラダー(ROXおよびT
AMRA蛍光色素で標識した)を含む。ラダーピークは、カメラフレーム(代表
的には、1Hzで収集される)と塩基対との間の関係を提供する。追跡の後に、
レーンを抽出し、そしてサイズラダーにおけるピークを分離する。ラダーピーク
間の線形補完法(interpolation)を、GeneCallingサ
ンプル形跡をフレームから塩基対まで変換する。各形跡を評価し、そして低いシ
グナル 対 ノイズ、低ピーク分離、ラダーピークなし、およびレーン間流出に
ついて除外する。全ての基準を満たしたレーンを、GeneScape Ora
cle 8データベースに対して逐一の長さ 対 幅位置(amplitude
address)として提示する。次いで、提示した形跡を、処理群およびフ
ラグメント化プライマーにより組織化する。各処理群/フラグメント化パターン
に対応する9つの形跡を重ね合わせ、そして手動で形跡間整列忠実度について評
価する。整列不良の(misaligned)形跡を拒否し、そしてその後の分
析から排除する。
【0283】 (実施例5:遺伝子単離) 目的のピークを含む1μlのGENECALLINGTM化学反応物を、3μl
の1×TAE緩衝液(Sigma,St.Louis MO)および1μlのゲ
ルローディング色素(Elchrom Scientific,Lake Pa
rk FL)に添加し、そして選択したフラグメントのサイズに応じてElch
rom Mini Gel(Elchrom Scientific,Lake
Park FL)で55℃、120Vで30分〜150分電気泳動する。15
分のエチジウムブロミド染色の後に、所望のバンド長をゲルレーンから切り出し
、10mM MgCl2に入れ、3000RPMで5分遠心分離し、そして65
℃で30分間加熱する。溶出したフラグメントを、J23&R23 PCRプラ
イマー(Amitof,Boston MA)およびcDNAポリメラーゼ(C
lontech,Palo Alto CA)を用いてPCR増幅した(96℃
で30秒、57℃で60秒、72℃で2分を25サイクル)。3μlのアリコー
トを、Fast−Link DNA連結キット(Epicenter,Madi
son WI)を用いてpCR2.1クローニングベクター(Invitrog
en,Carlsbad CA)に連結する。1.8mVパルスでベクターをD
H10B E.coliにエレクトロポレーションし、次いで、細胞をアンピシ
リン、カナマイシンおよびx−gal(Northeast Laborato
ries,Waterville MA)を含有するLB培地にプレートする。
5M ベタイン(Sigma,St.Louis MO)、DYN−A&DYN
−REプライマー(Amitof,Boston MA)およびポリメラーゼ(
Clontech,Palo Alto CA)を用いるPCR増幅(96℃で
1分、72℃で1分を29サイクル)のために、挿入物を有するコロニーを選択
する。PCR産物を、クローン同定についての配列決定に供する。
【0284】 (実施例6:クローン配列決定) 30μlのクローンテンプレートを、0.5M EDTA(pH8.0)(A
mresco,Solon OH)および30μのハイブリダイゼーション緩衝
液(2.5M NaCl,20% PEG8000(Sigma,St.Lou
is MO))中のSPRIビーズ(Bangs Laboratories,
Inc.,Fishers IN)6μlに96ウェルプレート形式で添加する
。プレートを600rpmで5分間振盪し、そして磁石で2分間沈澱させる。ビ
ーズを200μlの70% EtOH(AAPER,Louisville K
Y)で4回洗浄し、そして2分間風乾する。36μlのNanopure H2
0をビーズに添加する。プレートを再び600rpmで5分間振盪し、そして上
清を配列決定のために収集する。
【0285】 3μlの精製産物をA(JOE−蛍光(fluor))、G(TAMRA蛍光
)、C(FAM蛍光)およびT(ROX蛍光)反応混合物(2μlのDYEna
mic Direct Cycle配列決定キット:DYEnamic−M13
−40ET プライマー、予め混合したdGTP、Taqポリメラーゼ(Ame
rsham Life Sciences,Piscataway NJ)およ
び1.8mlのdNTP(Amersham Life Sciences,P
iscataway NJ))の各々に384ウェル形式で移す。96℃で5秒
、52℃で10秒、72℃で60秒を15サイクルで、プレートをサーモサイク
ラーに15分間配置する。反応系を4℃でクエンチする。各テンプレートについ
て、4つの反応物を96ウェルプレートの1つのウェルにプールし、そして65
μlの100% EtOH(AAPER,Louisville KY)を添加
する。プレートを4℃で60分間冷却し、そして2000rpmで30分間、4
℃で遠心分離する。上清を取り出し、そしてプレートを25℃で完全に風乾させ
る。3μlのホルムアミドローディング色素(Amersham,Piscat
away NJ)を各ウェルに添加する。さらに、TAMRAでスパイクしたロ
ーディング色素(10:1ホルムアミド(Amersham,Piscataw
ay NJ):55マーTAMRA(Amitof,Boston MA))9
60μlを添加して、電気泳動品質コントロールに対してウェルを選択する。サ
ンプルを1×TBE Long Ranger(FMC,Philadelph
ia PA)ポリアクリルアミドゲルにおいてAB1377(ABI,San
Fransisco CA)プラットホームで、3000ボルトで2.5時間電
気泳動する。
【0286】 ゲル画像を分離し、そしてOGIソフトウェアインターフェースにより解釈す
る。個々のレーンの画像忠実度が貧弱な配列品質全体について画像を量制御する
。1つ以上のチャネルにおいてシグナルがない、短縮化した配列を有するレーン
を流出させ、そしてプライマーダイマーはできず、そしてさらなる分析からはず
す。配列のBaseCallを行い、そして配列に対応する異なるピークに割り
当てたGeneScapeに導入する。
【0287】 (実施例7:オリゴヌクレオチド汚染(oligonucleotide p
oisoning)) 公知のラット遺伝子に対して末端配列および長さにおいてマッピングする制限
フラグメントを、非標識オリゴヌクレオチドプライマーの設計のためにテンプレ
ートとして使用する。制限フラグメントの一方の末端に対して設計された非標識
オリゴヌクレオチドを最初の反応に対して過剰に添加し、そしてさらに15サイ
クル再増幅する。次いで、この反応物を電気泳動し、そして非標識オリゴヌクレ
オチドなしで再増幅したコントロール反応物と比較して、目的のピークの選択的
減少を評価する。
【0288】 (実施例8:ノザンブロット分析) 上記のように調製した1μgのポリ−A+RNAをHybond plusメ
ンブレン(Amersham,Piscataway NJ)に転写し、そして
標準的技術を用いてハイブリダイズした。クローニングされたフラグメントに対
するプローブを、上記のように、適切な挿入物を含有する単離したE.coli
コロニーから再増幅し、そしてpCR2.1ベクター(Invitrogen)
にサブクローニングした。推定データベース配列(GeneCallを行った遺
伝子フラグメントの制限酵素部位が重複し、そしてpCR2.1ベクターへのサ
ブクローニングを可能にするように設計した)から設計したプライマーを用いて
、上記のように調製したサンプルcDNAからフラグメントのPCR増幅後に、
GeneCallを行ったフラグメントに対するプローブを得た。1ngのプラ
スミドを、0.2μMのM13FSP6正方向プライマーおよびM13RT3逆
方向プライマー、ならびに200μMの各dNTP(0.5μl cDNA T
aqポリメラーゼ(Clontech)を含有する1×PCR緩衝液中)と合わ
せた。混合物を94℃で5分、続いて94℃で5秒/72℃で3分を5回、94
℃で5秒/70℃で3分を5回、および94℃で5秒/68℃で3分を15回に
供した。PCR産物を1% 低融解アガロースゲルで電気泳動し、そしてQia
ex IIゲル抽出キット(Qiagen)を用いて精製した。RNAプローブ
をStip−EZ RNAプローブ合成キット(Ambion)を用いて転写し
た。プローブの非コード鎖を捕捉するために、SP6またはT3いずれかのポリ
メラーゼを使用し、25μCiの33P−UTP(Amersham)を用いて
、100ngの精製プローブを標識した。転写の後、1μlのDNAseIを添
加し、37℃で15分間インキュベートした。取り込まれなかったヌクレオチド
をProbeQuant G−50ミクロカラム(Pharmacia Bio
tech)を用いて除去し、そしてプローブをBioscan QC−4000
(Bioscan)を用いて定量した。
【0289】 RNAプローブを、Robbins Scientific Model 4
0ハイブリダイゼーションインキュベーター中、ノザンブロットに65℃で30
分間ハイブリダイズさせた。次いで、Zip−Hyb(Ambion)1ml中
の106dpm/mlのRNAプローブを、2時間のインキュベーションの間ノ
ザンブロットに添加した。ハイブリダイゼーションの後、緩衝液を除去し、そし
てブロットを最初に2×SSC、0.1% SDS(65℃で15分)で洗浄し
、次いで、0.1×SSC、0.1% SDS(65℃で15分)で洗浄した。
ブロットをSaran Wrap(DOW)で覆い、そして蛍光スクリーン(p
hosphor screen)(Molecular Dynamics)に
一晩曝した。スクリーンを、Storm 840(Molecular Dyn
amics)で、50μmの解像度でスキャンする。
【0290】 (実施例9:SAGE発現分析についてのデータベース問い合わせ) 遺伝子発現の連続分析(Serial Analysis of Gene
Expression)、すなわちSAGEは、遺伝子発現の定量的尺度を得る
ために設計された実験技術である。SAGE技術それ自体は、分子生物学的技術
、DNA配列決定技術、および生物情報科学(bioinformatics)
技術を利用するいくつかの工程を含む。これらの工程(Adams MD「Se
rial analysis of gene expression:EST
s get smaller」Bioessays,18(4):261−2(
1996)で総説される)は、ある様式で遺伝子説明を割り当てた9または10
塩基の「タグ」を生成するために使用された。実験的理由により、これらのタグ
を、cDNA配列における3’末端のほぼ3’NlaIII制限部位に直に隣接
させる。Cancer Genome Anatomy Project(CG
AP)は、NCIが開始して後援しているプロジェクトであり、これは、ガン細
胞の分子的フィンガープリントを示すことが期待されている。人体における癌の
開始および発生の知見を得るために、SAGE分析を使用したその癌関連プロジ
ェクトのデータベースを作製した。本発明において報告したSAGE発現プロフ
ィールを、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Uni
Gene/におけるUnigeneデータベースを問い合わせすることによって
、所定のMTC遺伝子と関連したUnigene登録IDを最初に同定すること
により作製する。次いで、このページは、SAGE:Gene to Tagマ
ッピング(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/SAG
E/SAGEcid.cgi?cid=“unigeneID”)へリンクして
いる。
【0291】 このことにより、この適用に含まれる報告が作製された。この報告は、相対的
発現とともに、所定のサンプル中の所定の遺伝子について見いだされたタグの数
を列挙する。次いで、この情報を使用して、遺伝子が腫瘍形成および/または腫
瘍進行においてより一般的な役割を有するか否かを理解する。CGAPにより生
成され、そしてこの分析において使用したSAGEライブラリーのリストは、h
ttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/SAGE/sage
lb.cgiで見いだされ得る。
【0292】 (他の実施形態) 本発明は、その詳細な説明とともに記載されてきたが、前述の説明は、発明の
範囲の例示であって、限定を意図しないことが理解されるべきであり、発明の範
囲は、添付の特許請求の範囲により規定される。他の局面、利点および改変は、
上記の特許請求の範囲の範囲内である。例えば、本明細書中に記載の新生物は、
甲状腺癌腫、胸部癌腫、結腸直腸癌腫、および/または卵巣癌腫であり得る。同
様に、本明細書中に記載の方法はまた、非甲状腺腫瘍(例えば、卵巣、胸部、お
よび結腸直腸の癌腫のような癌腫)由来の転移性新生物について使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明に従うマウスMTC48アミノ酸配列と本発明に従うヒトMT
C48アミノ酸配列との間の配列相同性の図である。
【図2】 図2は、本発明に従うMTC48核酸についての疎水性プロットの図である。
【図3】 図3は、本発明に従うマウスMTC49アミノ酸配列と本発明に従うヒトMT
C49アミノ酸配列との間の配列相同性の図である。
【図4】 図4は、タンパク質Q9Y3Z0をコードする核酸と本発明に従うMTC50
核酸との間の配列相同性の図である。
【図5】 図5は、ラット遺伝子E3−3(AAB54063)と本発明に従うMTC核
酸との間の配列相同性の図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 5/14 A61P 35/00 4H045 35/00 35/04 35/04 C07K 14/82 C07K 14/82 16/32 16/32 C12N 1/15 C12N 1/15 1/19 1/19 1/21 1/21 C12Q 1/02 5/10 1/68 A C12Q 1/02 C12N 15/00 ZNAA 1/68 5/00 A (31)優先権主張番号 09/552,322 (32)優先日 平成12年4月19日(2000.4.19) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT,AU, AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C N,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EE ,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR, HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,K P,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU ,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX, NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,S G,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ ,UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 CA04 DA02 EA04 GA11 HA11 4B063 QA12 QA13 QA19 QQ08 QQ43 QR38 QR55 QS34 4B065 AA90X AA99Y AB01 BA02 CA46 4C084 AA13 AA17 NA14 ZB26 ZC06 4C085 AA13 AA14 BB01 BB11 CC03 CC21 DD62 EE01 4H045 AA10 AA11 BA10 DA75 DA86 EA51 FA74

Claims (51)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被験体における甲状腺癌を分類する方法であって、該方法は
    、以下: a)該被験体から試験細胞集団を提供する工程であって、ここで、該試験細胞集
    団における少なくとも1つの細胞は、MTC:8〜51からなる群より選択され
    る1以上の核酸配列を発現し得る、工程; b)該試験細胞集団における1以上の該核酸配列の発現を測定する工程; c)該核酸配列の発現を、参照細胞集団における該核酸配列の発現と比較する工
    程であって、該参照細胞集団は、その甲状腺癌病期が既知である、少なくとも1
    つの細胞を含む、工程;および d)該試験細胞集団および参照細胞集団におけるMTC配列の発現レベルにおけ
    る差異を、もし存在する場合に、同定する工程、 を包含し、これによって、該被験体における該甲状腺癌を分類する、方法。
  2. 【請求項2】 前記方法が、MTC:8〜18からなる群より選択される1
    以上の核酸配列の発現を測定する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記方法が、MTC:19〜47からなる群より選択される
    1以上の核酸配列の発現を測定する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記方法が、MTC:48〜51からなる群より選択される
    1以上の核酸配列の発現を測定する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記方法が、MTC:1〜7からなる群より選択される1以
    上の核酸配列の発現を測定する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記方法が、MTC:19〜47からなる群より選択される
    1以上の核酸配列の発現を測定する工程をさらに包含する、請求項2に記載の方
    法。
  7. 【請求項7】 前記方法が、MTC:48〜51からなる群より選択される
    1以上の核酸配列の発現を測定する工程をさらに包含する、請求項6に記載の方
    法。
  8. 【請求項8】 前記方法が、MTC:48〜51からなる群より選択される
    1以上の核酸配列の発現を測定する工程をさらに包含する、請求項3に記載の方
    法。
  9. 【請求項9】 前記癌が、転移性の乳頭状甲状腺癌である、請求項1に記載
    の方法。
  10. 【請求項10】 請求項1に記載の方法であって、前記参照細胞集団と比較
    した場合の、前記試験細胞集団における前記核酸の発現の変化が、該試験細胞集
    団が、該参照細胞集団中の細胞とは異なる甲状腺癌病期を有することを示す、方
    法。
  11. 【請求項11】 請求項1に記載の方法であって、前記参照細胞集団と比較
    した場合の、前記試験細胞集団における前記核酸の類似する発現パターンが、該
    試験細胞集団が、該参照細胞集団中の細胞と同じ甲状腺癌病期を有することを示
    す、方法。
  12. 【請求項12】 前記被験体がヒトである、請求項1に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記参照細胞集団が、複数の細胞またはデータベースを含
    む、請求項1に記載の方法。
  14. 【請求項14】 被験体における甲状腺癌を診断する方法であって、該方法
    は、以下: a)該被験体から試験細胞集団を提供する工程であって、ここで、該試験細胞集
    団における少なくとも1つの細胞は、MTC:8〜51からなる群より選択され
    る1以上の核酸配列を発現し得る、工程; b)該試験細胞集団における1以上の該核酸配列の発現を測定する工程; c)該核酸配列の発現を、参照細胞集団の該核酸配列の発現と比較する工程であ
    って、該参照細胞集団は、その甲状腺癌病期が既知である、少なくとも1つの細
    胞を含む、工程;および d)該試験細胞集団および参照細胞集団におけるMTC配列の発現レベルにおけ
    る差異を、もし存在する場合に、同定する工程、 を包含し、これによって、該被験体における甲状腺癌を、もし存在する場合に、
    診断する、方法。
  15. 【請求項15】 前記甲状腺癌が、転移性の甲状腺癌である、請求項2に記
    載の方法。
  16. 【請求項16】 被験体における甲状腺癌の処置の効力を評価する方法であ
    って、該方法は、以下: a)該被験体から試験細胞集団を提供する工程であって、ここで、該試験細胞集
    団における少なくとも1つの細胞は、MTC:8〜51からなる群より選択され
    る1以上の核酸配列を発現し得る、工程; b)該試験細胞集団における1以上の該核酸配列の発現を検出する工程; c)該核酸配列の発現を、参照細胞集団の該核酸配列の発現と比較する工程であ
    って、該参照細胞集団は、その甲状腺癌病期が既知である、少なくとも1つの細
    胞を含む、工程;および d)該試験細胞集団および参照細胞集団におけるMTC配列の発現レベルにおけ
    る差異を、もし存在する場合に、同定する工程、 を包含し、これによって、該被験体における該甲状腺癌の処置の効力を評価する
    、方法。
  17. 【請求項17】 被験体における甲状腺癌の処置のための、個別化された治
    療薬剤を同定するための方法であって、該方法は、以下: a)該被験体から試験細胞集団を提供する工程であって、ここで、該試験細胞集
    団における少なくとも1つの細胞は、MTC:8〜51からなる群より選択され
    る1以上の核酸配列を発現し得る、工程; b)該試験細胞集団に、治療薬剤を接触させる工程; c)該試験細胞集団における該核酸配列の発現を測定する工程; d)該核酸配列の発現を、参照細胞集団における該核酸配列の発現と比較する工
    程であって、該参照細胞集団は、その甲状腺癌病期が既知である、少なくとも1
    つの細胞を含む、工程;および e)該試験細胞集団および参照細胞集団におけるMTC配列の発現レベルにおけ
    る差異を、もし存在する場合に、同定する工程、 を包含し、これによって、該被験体について個別化された治療薬剤を同定する、
    方法。
  18. 【請求項18】 前記甲状腺癌が、転移性の甲状腺癌である、請求項17に
    記載の方法。
  19. 【請求項19】 甲状腺癌を処置するための候補治療薬剤を同定する方法で
    あって、該方法は、以下: a)試験細胞集団を提供する工程であって、ここで、該試験細胞集団における少
    なくとも1つの細胞は、MTC:8〜51からなる群より選択される1以上の核
    酸配列を発現し得る、工程; b)該試験細胞集団に、該候補治療薬剤を接触させる工程; c)該試験細胞集団における該核酸配列の発現を測定する工程; d)該核酸配列の発現を、参照細胞集団における該核酸配列の発現と比較する工
    程であって、該参照細胞集団は、その甲状腺癌病期が既知である、少なくとも1
    つの細胞を含む、工程;および e)該試験細胞集団および参照細胞集団におけるMTC配列の発現レベルにおけ
    る差異を、もし存在する場合に、同定する工程、 を包含し、これによって、甲状腺癌を処置するための治療薬剤を同定する、方法
  20. 【請求項20】 甲状腺癌を有する被験体の予後を評価する方法であって、
    該方法は、以下: a)該被験体から試験細胞集団を提供する工程であって、ここで、該試験細胞集
    団における少なくとも1つの細胞は、MTC:8〜51からなる群より選択され
    る1以上の核酸配列を発現し得る、工程; b)該細胞における1以上の該核酸配列の発現を測定する工程; c)該核酸配列の発現を、参照細胞集団における該核酸配列の発現と比較する工
    程であって、該参照細胞集団は、その甲状腺癌病期が既知である、少なくとも1
    つの細胞を含む、工程;および d)該試験細胞集団および参照細胞集団におけるMTC配列の発現レベルにおけ
    る差異を、もし存在する場合に、同定する工程、 を包含し、これによって、該被験体の予後を評価する、方法。
  21. 【請求項21】 転移性の癌を処置する方法であって、該方法は、転移性の
    癌に罹患しているか、または転移性の癌を発症する危険性を有する患者に、MT
    C:17、24、28、32、36、38、40、43および46からなる群よ
    り選択される1以上の核酸配列の発現または活性を増加させる薬剤を投与する工
    程を包含する、方法。
  22. 【請求項22】 前記癌が、甲状腺癌である、請求項21に記載の方法。
  23. 【請求項23】 転移性の癌を処置する方法であって、該方法は、転移性の
    癌に罹患するか、または転移性の癌を発症する危険性を有する患者に、MTC:
    8〜16、18〜23、25〜27、29〜31、33〜35、37、39、4
    1〜42、44〜45、48および50からなる群より選択される1以上の核酸
    配列の発現または活性を減少させる薬剤を投与する工程を包含する、方法。
  24. 【請求項24】 前記癌が、甲状腺癌である、請求項23に記載の方法。
  25. 【請求項25】 前記薬剤が、前記MTC核酸配列によってコードされるポ
    リペプチドに対する抗体である、請求項23に記載の方法。
  26. 【請求項26】 単離されたポリヌクレオチドであって、以下: a)表2の1以上の多型配列を含む、ヌクレオチド配列; b)該ヌクレオチド配列のフラグメントであって、ただし、該フラグメントは
    、該多型配列における多型部位を含む、フラグメント; c)1以上の該多型配列に相補的である配列を含む、相補的ヌクレオチド配列
    ;および d)該相補的ヌクレオチド配列のフラグメントであって、ただし、該フラグメ
    ントは、該多型配列における多型部位を含む、フラグメント からなる群より選択される、ポリヌクレオチド。
  27. 【請求項27】 前記ポリヌクレオチド配列が、DNAである、請求項26
    に記載のポリヌクレオチド。
  28. 【請求項28】 前記ポリヌクレオチド配列が、RNAである、請求項26
    に記載のポリヌクレオチド。
  29. 【請求項29】 前記ポリヌクレオチド配列が、約10ヌクレオチドと約1
    00ヌクレオチドとの間の長さである、請求項26に記載のポリヌクレオチド。
  30. 【請求項30】 前記ポリヌクレオチド配列が、約10ヌクレオチドと約9
    0ヌクレオチドとの間の長さである、請求項26に記載のポリヌクレオチド。
  31. 【請求項31】 前記ポリヌクレオチド配列が、約10ヌクレオチドと約7
    5ヌクレオチドとの間の長さである、請求項26に記載のポリヌクレオチド。
  32. 【請求項32】 前記ポリヌクレオチドが、約10塩基と約50塩基との間
    の長さである、請求項26に記載のポリヌクレオチド。
  33. 【請求項33】 前記ポリヌクレオチドが、約10塩基と約40塩基との間
    の長さである、請求項26に記載のポリヌクレオチド。
  34. 【請求項34】 単離された対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドであって
    、該オリゴヌクレオチドは、第1のポリヌクレオチドに、該第1のポリヌクレオ
    チドに含まれる多型部位でハイブリダイズし、ここで、該第1のポリヌクレオチ
    ドは、以下: a)1以上の多型配列を含むヌクレオチド配列であって、ただし、該多型配列
    は、該多型配列について表2に列挙されたヌクレオチド以外のヌクレオチドを含
    む、ヌクレオチド配列; b)該多型配列のフラグメントであるヌクレオチド配列であって、ただし、該
    フラグメントは、該多型配列における多型部位を含む、ヌクレオチド配列; c)表2に列挙された1以上の多型配列に相補的な配列を含む、相補的ヌクレ
    オチド配列であって、ただし、該相補的ヌクレオチド配列は、表2に列挙された
    非多型配列のヌクレオチドの相補体以外のヌクレオチドを含む、相補的ヌクレオ
    チド配列;および d)該相補的ヌクレオチド配列のフラグメントであるヌクレオチド配列であっ
    て、ただし、該フラグメントは、該多型配列における多型部位を含む、ヌクレオ
    チド配列 からなる群より選択される、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド。
  35. 【請求項35】 前記核酸分子が、配列番号15〜63からなる群より選択
    される、請求項34に記載の核酸分子。
  36. 【請求項36】 核酸分子における多型部位を占有する塩基を同定する方法
    であって、該方法は、以下: (a)被験体から核酸分子を得る工程; (b)該核酸分子に、配列番号15〜63からなる群より選択される1以上の
    配列を接触させる工程; (c)ハイブリダイゼーションを検出する工程;および (d)該核酸分子とハイブリダイズする配列を同定する工程 を包含し、 ここで、該ハイブリダイズする配列の核酸配列が、該核酸分子における多型部
    位を示す、方法。
  37. 【請求項37】 前記被験体が、転移性の甲状腺癌に罹患しているか、また
    は転移性の甲状腺癌の危険性がある、請求項36に記載の方法。
  38. 【請求項38】 前記多型部位の存在が、転移性の甲状腺癌の存在に相関す
    る、請求項36に記載の方法。
  39. 【請求項39】 前記核酸分子が、ゲノムDNAである、請求項36に記載
    の方法。
  40. 【請求項40】 前記核酸分子が、cDNAである、請求項36に記載の方
    法。
  41. 【請求項41】 請求項36に記載の方法で同定された多型部位を含む、2
    0〜100ヌクレオチド長の核酸配列。
  42. 【請求項42】 請求項36に記載の方法であって、前記核酸分子が、複数
    の被験体から得られ、そして前記多型部位の1つを占有する塩基が、各々の該被
    験体において決定される、方法。
  43. 【請求項43】 前記被験体が、ヒトまたは齧歯類である、請求項36に記
    載の方法。
  44. 【請求項44】 MTC:8〜51からなる群より選択される2以上の核酸
    配列を検出するための1以上の試薬を備える、キット。
  45. 【請求項45】 プローブ核酸のアレイであって、該プローブ核酸は、MT
    C:8〜51からなる群より選択される2以上の核酸配列を検出する、アレイ。
  46. 【請求項46】 MTC:48〜51からなる群より選択される核酸配列ま
    たはそのフラグメントを含む、単離された核酸分子。
  47. 【請求項47】 請求項46に記載の核酸を含む、ベクター。
  48. 【請求項48】 請求項47に記載のベクターを含む、細胞。
  49. 【請求項49】 請求項46に記載の核酸を含む、薬学的組成物。
  50. 【請求項50】 請求項46に記載の核酸によってコードされる、ポリペプ
    チド。
  51. 【請求項51】 請求項50に記載のポリペプチドに特異的に結合する、抗
    体。
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