JP2004504813A - 炎症性肺障害を検出する方法 - Google Patents
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Abstract
試験細胞集団の抗ロイコプロテアーゼポリペプチドをコードする核酸の発現を測定し、そしてこの核酸の発現を参照プロフィールの抗ロイコプロテアーゼポリペプチドをコードする核酸の発現と比較することによって、気腫、ぜん息、気管支炎、またはアレルギーのような炎症性肺障害を検出し、そして処置する方法が開示される。抗ロイコプロテアーゼを阻害する化合物を投与することによって、炎症性肺障害を処置または予防するための薬剤を同定する方法もまた、開示される。
Description
【0001】
(発明の分野)
本発明は炎症性肺障害を検出する方法に関する。
【0002】
(発明の背景)
分泌性白血球プロテアーゼインヒビターとしてもまた公知である抗ロイコプロテアーゼは、トリプシンおよびキモトリプシンに対して、ならびに好中球リソソームエラスターゼおよびカテプシンGに対して強い親和性を有する酸安定性プロテイナーゼの一種である。抗ロイコプロテアーゼは、精液の血漿、子宮頸部の粘液、気管支および鼻の分泌物、ならびに涙液のような粘液性液体に存在する。
【0003】
(発明の要旨)
種々の局面において、本発明は、試験細胞集団の抗ロイコプロテアーゼポリペプチドをコードする核酸の発現を測定し、そしてこの核酸の発現を参照プロフィールの抗ロイコプロテアーゼポリペプチドをコードする核酸の発現と比較することによって、気腫、ぜん息、気管支炎およびアレルギーのような炎症性肺障害を診断する方法を含む。抗ロイコプロテアーゼ核酸およびポリヌクレオチドの例示は、配列番号1〜2において示される。参照プロフィールは、炎症陽性参照プルフィールまたは炎症陰性参照プロフィールであり得る。炎症陽性プロフィールは、主に炎症性肺障害を伴う細胞を含むプロフィールである。対照的に、炎症陰性参照プロフィールは、主に炎症性肺障害を伴わない細胞を含むプロフィールである。試験細胞集団と炎症陽性参照プロフィールとの間の核酸の発現の類似性は、哺乳動物における肺炎症性障害の存在を示す。試験細胞集団および炎症陰性参照プロフィールにおける核酸の発現の増強は、哺乳動物における肺炎症性障害の存在を示す。
【0004】
さらなる局面において、本発明は、抗ロイコプロテアーゼを阻害する化合物を哺乳動物に投与することによって、被験体の炎症性肺障害を処置または予防する方法を提供する。抗ロイコプロテアーゼを阻害する化合物は、抗ロイコプロテアーゼ核酸またはポリヌクレオチドに結合する化合物を含む。抗ロイコプロテアーゼ核酸またはポリヌクレオチドに結合する化合物の例としては、抗ロイコプロテアーゼアンチセンス核酸、リボザイム、および抗体が挙げられる。
【0005】
抗ロイコプロテアーゼ発現細胞を提供し、この細胞と試験化合物とを接触させ、そして抗ロイコプロテアーゼの発現を測定することによって、肺の炎症を阻害する化合物を同定する方法もまた、提供される。試験化合物の非存在下と比較してこの試験化合物の存在下での発現の減少は、試験化合物が肺の炎症を阻害することを示す。本発明はまた、この方法によって同定される化合物を含む。
【0006】
なお、さらなる局面において、本発明は、甲状腺癌腫、卵巣癌腫、および腎細胞癌腫のような癌を有する被験体の予後を、試験細胞集団において抗ロイコプロテアーゼポリペプチドをコードする核酸の発現を測定し、そしてその核酸の発現を、癌参照プロフィールにおける抗ロイコプロテアーゼポリペプチドをコードする核酸の発現と比較することによって、評価する方法を提供する。癌参照プロフィールは、主に癌性細胞を含む。試験細胞集団と癌参照プロフィールとの間の核酸配列の発現の実質的な類似性は、被験体における有害な予後を示す。
【0007】
なお、さらなる局面において、本発明は、甲状腺腫瘍のような腫瘍の転移の可能性を、被験体由来の細胞集団における抗ロイコプロテアーゼポリペプチドをコードする核酸の発現を測定し、そしてその核酸の発現を、転移性癌参照プロフィールにおける抗ロイコプロテアーゼポリペプチドをコードする核酸の発現と比較することによって、評価する方法を提供する。転移性癌参照プロフィールは、転移の可能性が既知の細胞を含む。被験体由来の細胞集団と転移性参照プロフィールとの間の核酸配列の発現の実質的な類似性は、その腫瘍が転移性であることを示す。
【0008】
別に定義がない限り、本明細書中で使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されるのと同様の意味を有する。本明細書中に記載の方法および材料に対して、類似かまたは等価の方法および材料は、本発明の実行または試験に使用され得るが、適切な方法および材料は下に記載される。本明細書中に言及された全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、その全体が参考として援用される。矛盾する場合、本明細書(定義を含む)が、制御する。さらに、これらの材料、方法、および実施例は、一例に過ぎず、かつ制限することを意図していない。
【0009】
本発明の他の特徴および利点は、特許請求の範囲および以下の詳細な説明から明らかである。
【0010】
(詳細な説明)
本発明は、特定の癌細胞および肺細胞中でアップレギュレートされる抗ロイコプロテアーゼ核酸の発現パターンにおける変化の発見の一部に基づいている。
【0011】
この発現のパターンの変化は、GeneCallingTM分析(米国特許第5,871,697号;Shimketsら,1999 Nature Biotechnology 17:198−803、その全体は参考として本明細書中に援用される)、TaqManTM分析およびSAGE分析によって同定された。多数の正常および腫瘍サンプルの分析は、抗ロイコプロテアーゼが、転移性甲状腺癌 対 非転移性甲状腺癌においてアップレギュレートされ、卵巣癌性腫瘍および腫瘍由来細胞株において正常な卵巣と比較して過剰発現され、そして腎臓および甲状腺の癌腫組織において、手術中に得た正常な隣接組織(NAT)および正常組織と比較して過剰発現されたことを示した。
【0012】
本発明の種々の局面および実施形態において、本発明は、抗ロイコプロテアーゼを発現し得る少なくとも1つの細胞を含む試験細胞集団を提供することを含む。「発現し得る」とは、遺伝子が細胞内で完全な形態で存在し、かつ発現し得ることを意味する。存在する場合は、次いで、抗ロイコプロテアーゼ配列の発現が検出され、そして好ましくは測定される。公知の抗ロイコプロテアーゼ配列についてのデータベースエントリーによって供給された配列情報または本明細書中に開示した配列情報(例えば、配列番号1および2)を使用することによって、抗ロイコプロテアーゼ配列の発現が、当該分野の当業者に周知の技術を用いて検出され得(存在する場合)、そして測定され得る。例えば、抗ロイコプロテアーゼ配列に一致する配列データベースエントリー内の配列、または本明細書中に開示の配列内の配列は、抗ロイコプロテアーゼRNA配列を検出するための、例えば、ノザンブロットハイブリダイゼーション分析または特異的、かつ好ましくは、特定の核酸配列を定量的に増幅する方法におけるプローブを構築するために使用され得る。別の例としては、配列は、抗ロイコプロテアーゼ配列を特異的に増幅するための、例えば、逆転写に基づくポリメラーゼ連鎖反応のような増幅に基づく検出方法におけるプライマーを構築するために使用され得る。遺伝子発現の変化が遺伝子の増幅または欠失に関連する場合、試験集団または参照集団の配列比較は、試験細胞集団および参照細胞集団において試験したDNA配列の相対量を比較することによってなされ得る。
【0013】
発現はまた、タンパク質レベル、すなわち本明細書に記載の遺伝子産物によってコードされたポリペプチドのレベルを測定することによって測定され得る。このような方法は当業者に周知であり、そして例えば、遺伝子によってコードされるタンパク質に対する抗体に基づく免疫アッセイを含む。
【0014】
次いで、試験細胞集団における抗ロイコプロテアーゼ配列の発現のレベルは、参照のプロフィール由来の1つ以上の細胞における配列の発現レベルと比較される。試験細胞集団およびコントロール細胞集団内の配列の発現は、核酸配列の発現を比較するための当該分野で認められた任意の方法を用いて比較され得る。例えば、発現は米国特許第5,871,697号およびShimketsら,Nat.Biotechnol.17:798−803に記載のGENECALLING(登録商標)方法を用いて比較され得る。
【0015】
参照のプロフィールは、単一の参照集団または複数の発現パターンから誘導された発現パターンである。参照プロフィールは、本明細書中に記載の条件(例えば、炎症性肺障害、転移性状態または癌)のうちの1つが公知である、先に試験された細胞に由来する発現パターンのデータベースであり得る。
【0016】
いくつかの実施形態において、試験細胞は、炎症性の肺細胞または腫瘍細胞を含むことが公知であるか、または含むと疑われる被験体からの細胞サンプルに含まれ得る。他の実施形態において、細胞サンプルは、甲状腺癌腫のような原発性腫瘍の転移を含むことが公知であるか、または含むと疑われる領域から、被験体より誘導され得る。
【0017】
試験細胞は、例えば、生物学的流体(血液、血清、尿、唾液、乳汁、管液(ductal fluid)、または涙液など)である体液から得られる。例えば、試験細胞は血液または別の組織から精製される。
【0018】
好ましくは、参照プロフィールの細胞は、試験細胞(例えば、肺組織)にできるだけ類似した組織型から誘導される。いくつかの実施形態において、コントロール細胞は、試験細胞と同じ被験者から(例えば、試験細胞の近位領域から試験細胞が由来する領域まで)誘導される。
【0019】
いくつかの実施形態において、試験細胞集団は、複数の参照プロフィールと比較される。複数の参照プロフィールそれぞれは、公知のパラメーターまたは条件が異なり得る。従って、試験細胞集団は、炎症性肺障害を有することが公知の第一の参照プロフィールと比較され得、そして炎症性障害を有さないことが公知の第二の参照集団と比較され得る。
【0020】
参照プロフィールに対する試験細胞集団の遺伝子発現のプロフィールの比較が、測定条件の存在、または程度を示すかどうかは、参照プロフィールの組成に依存する。例えば、このプロフィールが炎症性肺障害を有する細胞から構成される場合、試験細胞集団および参照プロフィールにおける類似の遺伝子発現レベルは、試験細胞集団における炎症性障害の存在を示す。逆に、炎症性肺障害を有さない細胞から構成される参照プロフィールの場合、試験細胞集団と参照プロフィールとの間の類似の遺伝子発現プロフィールは、試験細胞集団において炎症性障害がないことを示す。
【0021】
種々の実施形態において、試験細胞集団の抗ロイコプロテアーゼ配列は、その発現レベルが参照プロフィールにおける抗ロイコプロテアーゼ転写物のレベルの2.0、1.5、または1.0倍の内で変化する場合、その発現レベルは、抗ロイコプロテアーゼ配列の発現レベルに匹敵すると考えられる。種々の実施形態において、試験細胞集団の抗ロイコプロテアーゼ配列は、その発現レベルが、参照細胞集団における対応する抗ロイコプロテアーゼ配列の1.0、1.5、または2.0倍より高くあるいはより高い倍率で参照細胞集団から変化する場合、発現レベルが変化されたと考えられ得る。
【0022】
所望する場合、試験細胞集団と参照プロフィールとの間の差次的に発現される配列の比較は、その発現が、パラメーターまたは測定条件から独立しているコントロール核酸に対して行われ得る。試験核酸および参照核酸におけるコントロール核酸の発現レベルは、比較集団での標準化シグナルレベルのために用いられ得る。
【0023】
被験体は好ましくは哺乳動物である。この哺乳動物は、例えば、ヒト、ヒト以外の霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマ、またはウシであり得る。
【0024】
(炎症性肺障害の診断)
本発明は、被験体に炎症性肺障害(例えば、気腫、ぜん息、気管支炎、または小さな気道上皮の炎症)を診断する方法を提供する。炎症性肺障害は、炎症性肺障害を有する疑いのある被験体に由来する試験細胞集団から抗ロイコプロテアーゼをコードする核酸の発現を試験することによって、診断される。細胞集団は、肺細胞を含み得るか、または代わりに気道上皮細胞のような呼吸器系の細胞を含み得る。
【0025】
抗ロイコプロテアーゼをコードする核酸の発現は、試験細胞において測定され、そして参照プロフィールの配列の発現と比較される。参照プロフィールは、炎症陽性参照プロフィールであり得る。「炎症陽性参照プロフィール」は、参照プロフィールが、炎症性肺障害を伴う組織に由来する細胞を含むことを意味している。あるいは、参照プロフィールは炎症陰性参照プロフィールであり得る。「炎症陰性参照プロフィール」は、参照プロフィールが、炎症性肺障害を伴わない組織に由来する細胞を含むことを意味する。
【0026】
参照プロフィールが炎症陽性参照プロフィールである場合、試験集団と参照プロフィールとの間の抗ロイコプロテアーゼ配列における発現の類似性は、被験体の炎症性障害の存在を示す。逆に、試験集団と炎症性陽性参照プロフィールとの間の抗ロイコプロテアーゼ配列の発現における試験細胞集団での減少は、被験体における炎症性障害の非存在を示す。
【0027】
参照プロフィールが炎症陰性参照プロフィールである場合、試験細胞集団と炎症陰性参照プロフィールとの間の発現パターンの増強は、炎症性肺障害の存在を示す。逆に、試験集団と炎症陰性参照プロフィールとの間の抗ロイコプロテアーゼ配列における発現の類似性は、被験体において炎症性障害がないことを示す。
【0028】
(異常型抗ロイコプロテアーゼの発現に関連する障害を処置する方法)
本発明は、被験体における異常な抗ロイコプロテアーゼの発現に関連する障害を処置する方法を提供する。投与は、炎症性肺障害の危険性(または感受性)を有する被験体に対して、予防的または治療的であり得る。この炎症性肺障害は、例えば、気腫、ぜん息、気管支炎、または小さな気道上皮の炎症であり得る。あるいは、投与は、異常な発現または活性の抗ロイコプロテアーゼに関連する障害(例えば、甲状腺癌腫、卵巣癌腫、または腎細胞癌腫のような癌)の危険性(または感受性)を有する被験体に行われ得る。
【0029】
この治療的方法は、疾患細胞が誘導された組織型の正常細胞と比較して、疾患細胞における抗ロイコプリテアーゼの発現、または機能を減少または阻害することを包む。これらの方法において、被験体は、この被験体中で抗ロイコプロテアーゼの量を減少させる有効量の化合物を用いて処置される。投与は、全身的または局所的(例えば、被験体の疾患細胞のすぐ近位)であり得る。発現は、当該分野で公知の任意のいくつかの方法のうちのいずれかで阻害され得る。例えば、発現は、抗ロイコプロテアーゼの発現を阻害するか、または打ち消す核酸を被験体に投与することによって阻害され得る。1つの実施形態において、抗ロイコプロテアーゼの発現を混乱させるアンチセンスオリゴヌクレオチドが投与され得る。
【0030】
あるいは、抗ロイコプロテアーゼの機能は、その遺伝子産物に結合するか、さもなければ遺伝子産物の機能を阻害する化合物を投与することによって阻害され得る。この化合物は、例えば、抗ロイコプロテアーゼに対する抗体であり得る。
【0031】
これらの調節的な方法は、エキソビボまたはインビトロ(例えば、薬剤とともに細胞を培養することによって)行われ得るか、あるいはインビボ(例えば、被験体に薬剤を投与することによって)行われ得る。このように、本発明は、抗ロイコプロテアーゼタンパク質または核酸分子の、異常な発現または活性によって特徴付けられる疾患または障害に罹患した個体を処置する方法を提供する。1つの実施形態において、この方法は、薬剤(例えば、本明細書中に記載のスクリーニングアッセイによって同定された薬剤)を投与すること、あるいは抗ロイコプロテアーゼの発現または活性を調節する薬剤(例えば、アップレギュレートまたはダウンレギュレートする)の組み合わせを包む。別の実施形態において、この方法は、抗ロイコプロテアーゼ核酸の異常な発現または活性を補償するための治療として、タンパク質またはそのようなタンパク質の組み合わせ、あるいは核酸分子またはそのような核酸分子の組合せを投与することを含む。
【0032】
利用され得る治療剤としては、例えば、以下、(i)過剰発現した配列のペプチド、またはそのアナログ、誘導体、フラグメントもしくはホモログ;(ii)過剰発現した配列に対する抗体;(iii)アンチセンス核酸または「機能不全性」である(すなわち、1つ以上の過剰発現配列もしくは過少発現配列に対するコード配列のコード配列内の異種挿入に起因する)核酸;あるいは(v)過剰発現したポリペプチドとその結合パートナーとの間の相互作用を変化させる、調節因子(すなわち、インヒビター、アゴニストおよびアンタゴニスト)が挙げられる。機能不全性アンチセンス分子は、相同組換えによってポリペプチドの内因性機能を「ノックアウトする」ために利用される(例えば、Capecchi,Science 244:1288〜1292 1989を参照のこと)。
【0033】
増加したレベルまたは減少したレベルは、ペプチドおよび/またはRNAを定量することによって、容易に検出され得る。この定量は、患者の組織サンプルを(例えば、生検組織から)入手し、そしてそのサンプルを、RNAレベルまたはペプチドレベル、その発現したペプチドの構造および/または活性(またはその発現が変更された遺伝子のmRNA)をインビトロでアッセイすることによって行われる。当該分野において周知の方法としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:イムノアッセイ(例えば、ウェスタンブロット分析、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ポリアクリルアミドゲル電気泳動が後に続く免疫沈降、免疫細胞化学などによる)および/またはmRNAの発現を検出するためのハイブリダイゼーションアッセイ(例えば、ノーザンアッセイ、ドットブロット、インサイチュハイブリダイゼーションなど)。
【0034】
予防薬剤の投与は、疾患または障害が予防されるか、あるいはその進行を遅らせられるように、異常な遺伝子発現が特徴である症状の発現の前に行い得る。薬剤は、検出されるこの異常な発現の型に依存して、その被験体を処置するために使用され得る。その適切な薬剤は、本明細書中に記載のスクリーニングアッセイに基づいて決定され得る。
【0035】
(肺の炎症を阻害する化合物を同定するためのスクリーニングアッセイ)
1つの局面において、本発明は、肺の炎症を阻害する化合物を同定する方法を提供する。この化合物は、抗ロイコプロテアーゼを発現し得る細胞を含む細胞集団を提供することによって同定され得る。次いで、試験細胞集団の核酸配列の発現は、参照細胞集団の核酸配列の発現と比較され、この参照細胞集団は、試験薬剤に曝露されていない細胞集団であるか、またはいくつかの実施形態において、試験薬剤に曝露された細胞集団である。比較は、同時または時間的に異なる時間に測定した試験サンプルおよび参照サンプルにおいて行われ得る。後の実施例は、種々の薬剤投与に続いて公知の配列の発現レベルについての情報を集合させた編集発現情報(例えば、配列データベース)の使用法である。例えば、試験薬剤投与に続く発現レベルの変化は、コントロール薬剤投与に続く核酸配列において観察される発現の変化と比較され得る。
【0036】
試験薬剤に曝露されていない参照細胞集団の核酸配列の発現と比較して、試験細胞集団における核酸配列の発現の減少は、試験薬剤が炎症を阻害することを示す。
【0037】
この試験薬剤は、先に記載されていない化合物であり得るか、または先に既知の化合物であるが抗炎症性薬剤として公知でない化合物であり得る。
【0038】
本発明はまた、このスクリーニング方法に従って同定される化合物を含む。
【0039】
(癌を有する被験体の予後の評価)
試験細胞集団の抗ロイコプロテアーゼの発現を疾患段階の範囲を超えた患者に由来する参照プロフィールにおける配列の発現と比較することによって、癌(例えば、甲状腺腫瘍、卵巣癌腫、および腎細胞癌腫)を有する被験体の予後を評価する方法もまた、提供される。試験細胞集団および参照プロフィールにおける抗ロイコプロテアーゼの遺伝子発現を比較することによって、または被験体に由来する試験細胞集団における遺伝子発現の超過した時間にわたる(overtime)パターンを比較することによって、被験体の予後を評価し得る。
【0040】
参照プロフィールは、主に非癌性細胞または癌性細胞を含む。主に非癌性細胞を含む参照プロフィールは、非癌参照プロフィールである。主に癌性細胞を含む参照プロフィールは、癌参照プロフィールである。いくつかの実施形態において、癌参照プロフィールは、主に播種性癌性細胞を含む。参照プロフィールが主に非癌性細胞を含む場合、試験細胞集団における抗ロイコプロテアーゼの発現の増加は、あまり好ましくない予後を示す。逆に、参照プロフィールが主に癌性細胞を含む場合、試験細胞集団における抗ロイコプロテアーゼの発現の減少は、より好ましい予後を示す。
【0041】
(腫瘍の転移可能性の評価)
別の局面において、本発明は、被験体において試験プロフィールおよび参照プロフィールにおける抗ロイコプロテアーゼ配列のレベルを比較することによって、腫瘍(例えば、甲状腺腫瘍、卵巣腫瘍、および腎細胞腫瘍)の転移の可能性を評価する方法を提供する。
【0042】
転移の可能性を評価するために、試験細胞集団は、以前に腫瘍を有すると診断された被験体より得られ、そして抗ロイコプロテアーゼの発現が測定される。試験細胞集団および参照プロフィールにおける抗ロイコプロテアーゼの遺伝子発現を比較することによって、転移の可能性が評価され得る。
【0043】
参照プロフィールは、主に転移の可能性が既知の癌性細胞を含む。従って、主に転移性癌性細胞を含む参照プロフィールに対する試験細胞における抗ロイコプロテアーゼ発現の類似性は、腫瘍が転移性であることを示す。逆に、参照プロフィールが主に非転移性癌性細胞を含む場合、参照プロフィールに対する試験細胞における抗ロイコプロテアーゼ発現の類似性は、腫瘍が転移性でないことを示す。
【0044】
所望の場合、抗ロイコプロテアーゼの発現は、その発現が転移の可能性によって変動し得ることが既知である他の配列の発現レベルと共に、測定され得る。
【0045】
(薬学的組成物)
別の局面において、本発明は、本明細書中に記載の1つ以上の治療用化合物を含む薬学的または治療的な組成物を含む。薬学的処方物としては、経口投与、直腸投与、経鼻投与、局所投与(頬投与および舌下投与を含む)、腟投与または腸管外投与(筋内投与、皮下投与および静脈内投与を含む)、あるいは吸入または吹送による投与に適するものが挙げられる。この処方物は、適切な場合、個々の投薬量単位で好都合に呈され得、そして薬学の分野において周知の任意の方法によって調製され得る。全てのこのような薬学的方法は、活性化合物を液体キャリアもしくは微細に分離した固体のキャリア、またはその両方と会合させる工程、次いで必要とされる場合、所望の処方物に生成物を形成する工程を含む。
【0046】
経口投与に適切な薬学的処方物は、カプセル、カシェ剤、または錠剤のような個々の単位として好都合に呈され得、それぞれは活性成分の規定量を含み;粉末または顆粒;あるいは溶液、懸濁液、または乳濁液である。この活性成分はまた、ボーラス舐剤またはペースト剤として提示され得、そして純粋な形態(すなわちキャリアを伴わない)である。経口投与のための錠剤およびカプセルは、結合薬剤、賦形剤(filler)、滑沢剤、崩壊剤、または湿潤剤のような従来の賦形剤(excipient)を含み得る。錠剤は、随意的に1つ以上の処方成分を有して、圧縮または成形によって作られ得る。圧縮錠剤は、自由に流動する形態の活性成分(例えば、粉末または顆粒(必要に応じて、結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、滑剤、界面活性剤または分散剤と混合される))を適切な機械で圧縮することによって調製され得る。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合を適切な機械で成形することによって作製され得る。錠剤は当該分野で周知の方法によってコーティングされ得る。経口の流体調製物は、例えば、水性または油性の懸濁液、溶液、乳濁液、シロップまたはエリキシル剤の形態で有り得、あるいは使用前に、水または他の適切なビヒクルをともなって構成されるために乾燥した生成物として呈され得る。このような液体調製物は、懸濁化剤、乳化剤、非水性ビヒクル(食用油を含み得る)、または保存料のような従来の添加物を含み得る。錠剤は、必要に応じてゆっくりと提供されるように処方され得るか、または錠剤内の活性成分の放出が制御され得る。
【0047】
非経口投与用の処方物は、水性および非水性の滅菌注入溶液(抗酸化剤、緩衝液、静菌薬、および処方物を意図したレシピエントの血液と等張にする溶質を含み得る);ならびに水性および非水性の滅菌懸濁液(懸濁化剤および濃化剤を含み得る)を含む。この処方物は、単位用量または複数用量の容器(例えば、密封したアンプルおよびバイアル)、そして使用の直前に滅菌液体キャリア(例えば、生理食塩水、注射用水)の添加のみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)条件下で保存され得る。あるいは、注入用の処方物が、提示され得る。即座の注射溶液および懸濁液は、先に記載の種類の滅菌粉末、顆粒、および錠剤から調製され得る。
【0048】
直腸投与用の処方物は、坐剤(ココアバターおよびポリエチレングリコールのような通常のキャリアと共に)として提示され得る。口内(例えば、頬または舌下)の局所投与用の処方物としては、ショ糖およびアカシアまたはトラガカントのような風味付けした基剤中に活性成分を含む舐剤、ならびにゼラチンおよびグリセリン、またはショ糖およびアカシアのような基剤中に活性成分を含む香錠が挙げられる。経鼻投与用の本発明の化合物は、液体噴霧または分散可能な粉末として、あるいは滴下の形態で使用され得る。滴下は、1つ以上の分散剤、可溶化剤、または懸濁化剤もまた含む水性または非水性基剤を伴って処方され得る。液体噴霧は加圧容器から都合よく送達される。
【0049】
吸入による投与用の化合物は、吸入器、噴霧器、加圧容器、または他のエアロゾル噴霧を送達するのに便利な手段から都合よく送達される。加圧容器は、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切なガスのような適切な高圧ガスを含み得る。加圧エアロゾルの場合、単位投薬量は、計測した量を送達するためのバルブを提供することによって決定され得る。
【0050】
あるいは、吸入または吹送による投与のために、この化合物は乾燥粉末組成物の形態を取り得、例えば、この化合物とラクトースまたはデンプンのような適切な粉末基剤とを混合した粉末である。粉末組成物は、例えば、カプセル、薬包、ゼラチン、あるいはブリスターパック(粉末が吸入または吹送の補助によって投与され得る)などの投薬単位形態で提示され得る。
【0051】
所望であれば、活性成分の持続した放出を与えるのに適した、上に記載の処方物が用いられ得る。薬学的組成物はまた、抗菌剤、免疫抑制剤、または防腐剤のような他の活性成分を含み得る。
【0052】
上記の特に言及した成分に加えて、本発明の処方物は、当の処方物の型に関して当該分野において慣習的な他の薬剤を含み得ること(例えば、経口投与に適切な処方物は香味剤を含み得る)が理解されるべきである。
【0053】
好ましい処方物の単位投薬量は、下に列挙するように活性成分の有効用量を含むか、またはその適当な割合を含む量である。
【0054】
それぞれの前述の条件にとって、この組成物は、経口または注射によって1日あたり約0.1〜約250mg/kgの用量で投与され得る。成人に対する用量範囲は、一般的に1日あたり約5mg〜約17.5gであり、好ましくは1日あたり約5mg〜約10gであり、そして最も好ましくは1日あたり約100mg〜約3gである。錠剤または個々の単位で提供される提示の他の投薬単位形態は、このような投薬量またはその複数用量として有効である量を都合よく含み得る。例えば、単位は約5mg〜約500mgを含み、通常、約100mg〜約500mgである。
【0055】
薬学的組成物は、好ましくは経口または注射(静脈内または皮下)によって投与され、そして被験体に対して投与させる正確な量は、所属医師の責任である。しかし、用いる用量は、被験体の年齢および性別、治療される正確な障害およびその重症度を含む多くの要因に依存する。投与経路もまた、その条件および重症度に依存して変化し得る。
【0056】
(実施例)
(実施例1:種々の組織における抗ロイコプロテアーゼの発現分析)
抗ロイコプロテアーゼ(GenBank登録番号X04470;表1;配列番号1〜2)の定量的発現を、種々の正常および病理由来の細胞、細胞株および組織由来のRNAサンプルを含むマイクロタイタープレートを使用して、リアルタイム定量的PCR(RTQ PCR;TAQMAN(登録商標))を使用して評価した。RTQ PCRを、Perkin−Elmer Biosystems ABI PRISM(登録商標)7700 Sequence Detection Systemで実行した。サンプルの種々の収集がプレート上で組み立てられ、そして、パネル1(正常供給源および癌供給源由来の細胞および細胞株を含む)、パネル2(正常供給源および癌供給源由来の組織、特に外科的サンプルに由来するサンプルを含む)、およびパネル4(正常細胞および炎症性状態に関連する細胞由来の細胞および細胞株を含む)と称される。
【0057】
最初に、RNAサンプルを、構成的に発現される遺伝子(例えば、β−アクチンおよびGAPDH)に対して正規化した。RNA(合計約50ngまたは1ngのポリA+)を、TAQMAN(登録商標)Reverse Transcription Reagebts Kit(PE Biosystems、Foster City、CA;カタログ番号N808−0234)および製造業者のプロトコールに従うランダムヘキサマーを使用して、cDNAに変換した。反応を、20μlで実施し、そして48℃で30分インキュベートした。次いで、cDNA(5μl)を、製造業者のプロトコールに従って、β−アクチンおよびGAPDH TAQMAN(登録商標)Assay Reagents(PE Biosystems;それぞれ、カタログ番号4310881Eおよび4310884E)ならびにTAQMAN(登録商標)ユニバーサルPCR Master Mix(PE Biosystems;カタログ番号4304447)を使用するTAQMAN(登録商標)反応のために、別々のプレートに移した。反応を、以下のパラメーターを使用して、25μlで実施した:50℃で2分;95℃で10分;95℃で15秒/60℃で1分(40サイクル)。結果をCT値(所定のサンプルが蛍光の閾値レベルに交わった時点のサイクル)として、所定のサンプルとΔCTの二乗として示される最低のCT値を有するサンプルとの間のRNA濃度における差異と共に、ログ目盛で記録した。次いで、相対的発現パーセントを、このRNA差異の逆数を取り、100倍することによって得る。β−アクチンおよびGAPDHについて得られる平均CT値を使用して、RNAサンプルを正規化した。最高のCT値を生成するRNAサンプルは、さらなる希釈を必要としなかったが、全ての他のサンプルを、そのβ−アクチン/GAPDH平均CT値に従って、このサンプルに対して希釈した。
【0058】
正規化されたRNA(5μl)をcDNAに変換し、そしてOne Step RT−PCR Master Mix Reagents(PE Biosystems;カタログ番号4309169)および遺伝子特異的プライマーを、製造業者のプロトコールに従って使用して、TAQMAN(登録商標)によって分析した。プローブおよびプライマーを、Perkin Elmer Biosystem’s Primer Express Softwareパッケージ(Apple ComputerのMacintosh Power PC用バージョンI)または類似のアルゴリズムに従って、入力として標的配列を使用して、各アッセイのために設計した。反応条件のためにデフォルト設定を使用し、そして以下のパラメーターをプライマーを選択する前に設定した:プライマー濃度=250nM、プライマー融点(Tm)範囲=58℃〜60℃、プライマー最適Tm=59℃、最大プライマー差=2℃、プローブは5’Gを有さない、プローブTmはプライマーTmより10℃高くなければならない、アンプリコンの大きさは、75bp〜100bpである。選択されるプローブおよびプライマー(以下を参照のこと)を、Synthegen(Houston、TX、USA)によって合成した。プローブを、HPLCによって2回精製して、非結合色素を除去し、そして、質量分析法によって評価して、プローブの5’末端および3’末端に対するレポーターおよび消光(quencher)色素の結合をそれぞれ確認した。これらの最終濃度は:順方向および逆方向プライマーについては、各900nM、そしてプローブについては、200nMであった。
【0059】
PCR条件:各組織および各細胞株由来の正規化されたRNAを、96ウェルのPCRプレート(Perkin Elmer Biosystems)の各ウェルにスポットした。2つのプローブ(標的クローンに特異的なプローブおよび標的プローブで多重化される別の遺伝子特異的プローブ)を含むPCRカクテルを、5mM MgCl2、dNTP(1:1:1:2の比でdA、G、C、U)、0.25U/ml AmpliTaq GoldTM(PE Biosystems)および0.4U/μl RNaseインヒビターを有する、PE Biosystems 7700のための1×TaqManTMPCR Master Mix、ならびに0.25U/μlの逆転写酵素を使用して調製した。逆転写を、48℃で30分、次いで以下のような増幅/PCRサイクルで実行した:95℃で10分、次いで、95℃で15秒および60℃で1分の40サイクル。
【0060】
パネル1の結果において、以下の略号を使用する:
ca.=癌腫、
*=転移から確立された、
met=転移、
s cell var=小細胞改変体、
non−s=non−sm=非小(non−small)、
squam=鱗状、
pl.eff=pl effusion=胸水、
glio=グリオーム、
astro=星状細胞腫、および
neuro=神経芽細胞腫。
【0061】
(パネル2)
パネル2のためのプレートは一般に、2個のコントロールウェルおよび、National Cancer Institute’s Cooperative Human Tissue Network(CHTN)またはNational Disease Research Initiative(NDHRI)との密接な協力関係での外科医の研究によって得られたヒト組織から単離されたRNAまたはcDNAからなる96個の試験サンプルを含む。これらの組織はヒト悪性疾患から誘導され、そして、示された多くの悪性組織が「一致した縁(matched margins)」を有する場合には、腫瘍に隣接する非腫瘍組織から獲得される。これらは、正常隣接組織と命名され、そして以下の結果において「NAT」で示される。腫瘍組織および「一致した縁」は、2つの独立した病理学者(外科的病理学者、およびNDRIまたはCHTNの病理学者によって再び)によって評価される。この分析は、腫瘍分化グレードの全体的な組織病理学的な評価を提供する。さらに、ほとんどのサンプルは、患者の臨床的状態に関する情報を提供する元々の外科的病理学的報告を含む。これらの一致した縁は、外科的処置の領域の周辺(すなわち、直接近接する)組織(表4において、正常隣接組織について、「NAT」と称される)から採取される。さらに、RNAおよびcDNAサンプルを、年配のヒトまたは突然死の犠牲者(事故など)において実施された剖検に由来する種々のヒト組織から獲得した。これらの組織は、疾患を有さないことを確認され、そして種々の商業的供給源(例えば、Clontech(Palo Alto、CA)、Research GeneticsおよびInvitrogen)から購入された。
【0062】
全てのサンプル由来の全RNAを、28Sおよび18SリボソームRNAの染色強度の比(28S:18Sが、2:1〜2.5:1)を指針として使用し、そして分解産物を示す低分子量のRNAの非存在を使用して、アガロースゲル電気泳動の可視的評価によって、質について制御する。サンプルを、単一のエキソンの範囲をまたがって増幅するように設計されたプローブおよびプライマーセットを使用して、逆転酵素の非存在下でRTQ PCR反応を行うことによって、ゲノムDNAの混入に対して制御する。
【0063】
(パネル4)
パネル4は、種々のヒト細胞株または炎症性状態に関連する組織から単離されたRNA(パネル4r)およびcDNA(パネル4d)からなる、96ウェルのプレート(2個のコントロールおよび94個の試験サンプル)上のサンプルを含む。結腸および肺(Stratagene、La Jolla、CA)ならびに胸腺および腎臓(Clontech)のようなコントロール正常組織由来の総RNAを、使用した。肝硬変患者由来の肝臓組織および狼瘡患者由来の腎臓に由来する総RNAを、BioChain(Biochain Institute,Inc.、Hayward、CA)から獲得した。クローン病および潰瘍性大腸炎を有すると診断された患者由来の、RNA調製のための腸管組織を、National Disease Research Interchange(NDRI)(Philadelphia、PA)から獲得した。
【0064】
星状細胞、肺繊維芽細胞、皮膚繊維芽細胞、冠状動脈平滑筋細胞、小気道上皮、気管支上皮、微小血管皮膚内皮細胞、微小血管肺内皮細胞、ヒト肺動脈内皮細胞、ヒト臍静脈内皮細胞を、全てClonetics(Walkersville、MD)から購入し、そして、これらの細胞型のためにCloneticsによって補充された培地中で増殖させた。これらの初代細胞型を、示されるように、種々のサイトカインまたはサイトカインの組み合わせを用いて、6時間および/または12〜14時間活性化した。以下のサイトカインを使用した:約1〜5ng/mlのIL−1β、約5〜10ng/mlのTNFα、約20〜50ng/mlのINFγ、約5〜10ng/mlのIL−4、約5〜10ng/mlのIL−9、約5〜10ng/mlのIL−13。内皮細胞を、時々、0.1%血清を含むCloneticsからの基本培地中で培養することによって、種々の時間にわたって飢餓させた。
【0065】
単核細胞を、Ficollを使用して、CuraGen Corporationの被雇用者の血液から調製した。LAK細胞を、DMEM 5% FCS(Hyclone)、100μM 非必須アミノ酸(Gibco/Life Technologies、Rockville、MD)、1mM ピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール5.5×10−5M(Gibco)、および10mM Hepes(Gibco)、ならびにインターロイキン2で4〜6日間培養することによって、これらの細胞から調製した。次いで、細胞を、10〜20ng/mlのPMAおよび1〜2ng/mlのイオノマイシン、5〜10ng/mlのIL−12、20〜50ng/mlのINFγ、ならびに5〜10ng/mlのIL−18のいずれかで6時間活性化した。いくつかの場合、単核細胞を、約5μg/mlのPHA(植物性赤血球凝集素)またはPWM(ヤマゴボウマイトジェン)を含む、DMEM 5% FCS(Hyclone)、100μM 非必須アミノ酸(Gibco)、1mM ピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール5.5×10−5M(Gibco)、および10mM Hepes(Gibco)中で、4〜5日間培養した。サンプルを、RNA調製のために24、48および72時間で採取した。MLR(混合リンパ球反応)サンプルを、2人のドナーから血液を採取し、Ficollを使用して単核細胞を単離し、そして単離された単核細胞をDMEM 5% FCS(Hyclone)、100μM 非必須アミノ酸(Gibco)、1mM ピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール5.5×10−5M(Gibco)、および10mM Hepes(Gibco)中に、約2×106細胞/mlの最終濃度で、1:1の比で混合することによって獲得した。MLRを培養し、そしてサンプルを、RNA調製のために1〜7日の範囲の種々の時点で採取した。
【0066】
単球を、製造業者の指示に従って、CD14 Miltenyi Beads、+ve VS選択カラムおよびVario Magnetを使用して、単核細胞から単離した。単球を、DMEM 5% ウシ胎仔血清(FCS)(Hyclone、Logan、UT)、100μM 非必須アミノ酸(Gibco)、1mM ピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール5.5×10−5M(Gibco)、および10mM Hepes(Gibco)、50ng/ml GMCSFおよび5ng/ml IL−4中で、5〜7日間培養することによって、樹状細胞に分化させた。マクロファージを、DMEM 5% FCS(Hyclone)、100μM 非必須アミノ酸(Gibco)、1mM ピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール5.5×10−5M(Gibco)、10mM Hepes(Gibco)、および10% AB Human Serumまたは約50ng/mlの濃度のMCSF中での、5〜7日間の単球の培養によって調製した。単球、マクロファージおよび樹状細胞を、100ng/mlのリポ多糖類(LPS)を用いて、6時間および12〜14時間刺激した。樹状細胞をまた、10μg/mlの抗CD40モノクローナル抗体(Pharmingen)を用いて、6時間および12〜14時間刺激した。
【0067】
CD4リンパ球、CD8リンパ球およびNK細胞をまた、CD4、CD8およびCD56 Miltenyiビーズ、陽性SV選択カラムならびにVario Magnetを製造業者の指示に従って使用して、単核細胞から単離した。CD45RA CD4リンパ球およびCD45RO CD4リンパ球を、CD8、CD56、CD14およびCD19 Miltenyiビーズならびに+ve選択を使用して、CD8、CD56、CD14およびCD19細胞の単核細胞を涸渇させることによって単離した。次いで、CD45ROビーズを使用して、CD45RA CD4リンパ球である残りの細胞と共に、CD45RO CD4リンパ球を単離した。CD45RA CD4リンパ球、CD45RO CD4リンパ球およびCD8リンパ球を、DMEM 5% FCS(Hyclone)、100μM 非必須アミノ酸(Gibco)、1mM ピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール5.5×10−5M(Gibco)、および10mM Hepes(Gibco)中に配置し、そして、0.5μg/mlの抗CD28(Pharmingen)および3μg/mlの抗CD3(OKT3、ATCC)含有PBSを用いて一晩被覆したFalconの6ウェルの組織培養プレート上に、106細胞/mlでプレートした。6時間および24時間後、細胞を、RNA調製のために回収した。慢性的に活性化されたCD8リンパ球を調製するため、本発明者らは、単離されたCD8リンパ球を、抗CD28および抗CD3被覆プレート上で4日間活性化し、次いで、細胞を回収し、そしてその細胞を、DMEM 5% FCS(Hyclone)、100μM 非必須アミノ酸(Gibco)、1mM ピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール5.5×10−5M(Gibco)、10mM Hepes(Gibco)およびIL−2中で増殖させた。次いで、増殖させたCD8細胞を、抗CD3および抗CD28が結合したプレートを用いて再び4日間活性化し、そして前と同様に増殖させた。RNAを、2回目の活性化の6時間および24時間後、および2回目の増殖培養の4日後に単離した。単離されたNK細胞を、RNAを調製する前に、DMEM 5% FCS(Hyclone)、100μM 非必須アミノ酸(Gibco)、1mM ピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール5.5×10−5M(Gibco)、および10mM Hepes(Gibco)、ならびにIL−2中で、4〜6日間培養した。
【0068】
B細胞を獲得するため、扁桃をNDRIから獲得した。扁桃を、滅菌解剖鋏で切断し、次いで、ふるいにかけた。次いで、扁桃細胞をスピンダウンし、そして、DMEM 5% FCS(Hyclone)、100μM 非必須アミノ酸(Gibco)、1mM ピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール5.5×10−5M(Gibco)、10mM Hepes(Gibco)中に、106細胞/mlで再懸濁した。細胞を活性化するため、本発明者らは、5μg/mlのPWMまたは約10μg/mlの抗CD40(Pharmingen)および5〜10ng/mlのIL−4を使用した。細胞を、24、48および72時間でRNA調製のために回収した。
【0069】
初代および二次Th1/Th2細胞およびTr1細胞を調製するため、6ウェルのFalconプレートを、10μg/mlの抗CD28(Pharmingen)および2μg/mlのOKT3(ATCC)で一晩被覆し、次いで、PBSで2回洗浄した。臍帯血CD4リンパ球(Poietic Systems、German Town、MD)を、DMEM 5% FCS(Hyclone)、100μM 非必須アミノ酸(Gibco)、1mM ピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール5.5×10−5M(Gibco)、10mM Hepes(Gibco)およびIL−2(4ng/ml)中で、105〜106細胞/mlで培養した。IL−12(5ng/ml)および抗IL−4(1μg/ml)を使用してTh1を指向し、一方、IL−4(5ng/ml)および抗IFNγ(1μg/ml)を使用してTh2を指向し、そして5ng/mlのIL−10を使用してTr1を指向した。4〜5日後、活性化されたTh1、Th2およびTr1リンパ球を、DMEMで一回洗浄し、そしてDMEM 5% FCS(Hyclone)、100μM 非必須アミノ酸(Gibco)、1mM ピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール5.5×10−5M(Gibco)、10mM Hepes(Gibco)、およびIL−2(1ng/ml)中で4〜7日間増殖させた。その後、活性化されたTh1、Th2およびTr1リンパ球を、抗CD28/OKT3およびサイトカインを用いて上記のように5日間再刺激したが、抗CD95L(1μg/ml)の添加によってアポトーシスを予防した。4〜5日後、Th1、Th2およびTr1リンパ球を洗浄し、次いで、IL−2を用いて4〜7日間再び増殖させた。活性化されたTh1リンパ球およびTh2リンパ球を、この方法で、最大3サイクル維持した。RNAを、抗CD3mAbおよび抗CD28mAbが結合したプレートを用いた2回目および3回目の活性化、ならびにインターロイキン2における培養物の2回目および3回目の4日間の増殖の6時間および24時間後に、初代ならびに二次のTh1、Th2およびTr1リンパ球から調製した。
【0070】
以下の白血球細胞株を、ATCCから獲得した:Ramos、EOL−1、KU−812。EOL細胞を、0.1mM dbcAMP中で、5×105細胞/mlで8日間培養し、培地を3日毎に交換し、そして細胞濃度を5×105細胞/mlに調節することによって、さらに分化させた。これらの細胞の培養のために、本発明者らは、5% FCS(Hyclone)、100μM 非必須アミノ酸(Gibco)、1mM ピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール5.5×10−5M(Gibco)、10mM Hepes(Gibco)が添加されたDMEMまたはRPMI(ATCCによって推奨されるように)を使用した。RNAを、残りの細胞、または10ng/mlのPMAおよび1μg/mlのイオノマイシンで6時間および14時間活性化された細胞のいずれかから調製した。ケラチノサイト株CCD106および気道上皮腫瘍株NCI−H292をまた、ATCCから獲得した。これら両方を、DMEM 5% FCS(Hyclone)、100μM 非必須アミノ酸(Gibco)、1mM ピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール5.5×10−5M(Gibco)、および10mM Hepes(Gibco)中で培養した。CD1106細胞を、約5ng/mlのTNFαおよび1ng/mlのIL−1βを用いて6時間および14時間活性化し、一方、NCI−H292細胞を、以下のサイトカインで6時間および14時間活性化した:5ng/mlのIL−4、5ng/mlのIL−9、5ng/mlのIL−13および25ng/mlのIFNγ。
【0071】
これらの細胞株および血液細胞について、RNAをTrizol(Gibco BRL)を使用して、約107細胞/mlを溶解させることによって調製した。簡潔には、1/10容積のブロモクロロプロパン(Molecural Research Corporation)をRNAサンプルに添加し、ボルテックスし、そして室温での10分間の後、チューブをSorvall SS34ローターで14,000rpmで遠心した。水相を取り出し、そして15mlのFalconチューブに配置した。等容積のイソプロパノールを添加し、そして−20℃で一晩放置した。沈殿したRNAを、Sorvall SS34ローターで9,000rpmで15分スピンダウンし、そして70%エタノールで洗浄した。ペレットを、RNAseを含まない水300μlに再溶解させ、そして35μlの緩衝液(Promega)5μlのDTT、7μlのRNAsinおよび8μlのDNAseを添加した。チューブを、37℃で30分間インキュベートして混入しているゲノムDNAを除去し、フェノールクロロホルムで1回抽出し、そして1/10容積の3M 酢酸ナトリウムおよび2容積の100%エタノールを用いて再沈殿させた。RNAをスピンダウンし、RNaseを含まない水中に配置した。RNAを、−80℃で貯蔵した。パネル4の結果は、抗ロイコプロテアーゼ核酸およびポリペプチドが、炎症性肺障害の診断において有用であることを示唆する。この結果はさらに、抗ロイコプロテアーゼの阻害が炎症性肺障害の処置において有用であることを示唆する。
【0072】
抗ロイコプロテアーゼ転写物のTaqmanTM発現プロフィールを、順方向(F)プライマーおよび逆方向(R)プライマーのX04470特異的なAg588セット、およびプローブ(P)を使用して、表2に示すように生成した。
【0073】
(表1 抗ロイコプロテアーゼのヒトmRNAの核酸配列およびポリペプチド配列)
【0074】
【表1】
図1に示される結果は、41の正常ヒト組織および55のヒト癌細胞株に関し、そして正常卵巣と比較して、卵巣腫瘍細胞株におけるX04470の過剰発現を実証する。
【0075】
図2に示される結果は、さらなる腫瘍組織に関し、これらの多くは、サンプルを得た、実施者の外科医によって規定されるように、正常隣接組織(NAT)に一致されている。図3は、抗ロイコプロテアーゼX04470が、正常甲状腺またはNATのいずれかと比較して、甲状腺腫瘍で過剰発現されることを例示する。この分析は、X04470の発現を元々同定したGeneCallingTMの結果を確認する。抗ロイコプロテアーゼはまた、対応するNATと比較して、いくつかの腎臓癌腫組織において、そして正常卵巣と比較して2つの卵巣癌種のうち1つにおいて過剰発現され、これは、抗ロイコプロテアーゼが、種々の癌腫(卵巣癌腫を含む)の腫瘍形成において重要な役割を果たすことを示唆する。
【0076】
【表2】
(表4 パネル2のTaqMan結果)
【0077】
【表3】
(表5 パネル4のTaqMan結果)
【0078】
【表4】
(他の実施形態)
本発明を、その詳細な説明と共に記載してきたが、先の説明は、例示を意図し、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲を限定しないことが理解されるべきである。他の局面、利点および改変は、上記の特許請求の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、卵巣癌種の細胞株と正常卵巣との比較における抗ロイコプロテアーゼの過剰発現を図解した棒グラフである。
【図2】
図2は、甲状腺腫瘍と正常甲状腺または正常な近位組織との比較における抗ロイコプロテアーゼの過剰発現を図解した棒グラフである。
【図3】
図3は、卵巣腫瘍と正常卵巣との比較における抗ロイコプロテアーゼの過剰発現を図解したSAGEライブラリーデータの結果を説明した表である。
(発明の分野)
本発明は炎症性肺障害を検出する方法に関する。
【0002】
(発明の背景)
分泌性白血球プロテアーゼインヒビターとしてもまた公知である抗ロイコプロテアーゼは、トリプシンおよびキモトリプシンに対して、ならびに好中球リソソームエラスターゼおよびカテプシンGに対して強い親和性を有する酸安定性プロテイナーゼの一種である。抗ロイコプロテアーゼは、精液の血漿、子宮頸部の粘液、気管支および鼻の分泌物、ならびに涙液のような粘液性液体に存在する。
【0003】
(発明の要旨)
種々の局面において、本発明は、試験細胞集団の抗ロイコプロテアーゼポリペプチドをコードする核酸の発現を測定し、そしてこの核酸の発現を参照プロフィールの抗ロイコプロテアーゼポリペプチドをコードする核酸の発現と比較することによって、気腫、ぜん息、気管支炎およびアレルギーのような炎症性肺障害を診断する方法を含む。抗ロイコプロテアーゼ核酸およびポリヌクレオチドの例示は、配列番号1〜2において示される。参照プロフィールは、炎症陽性参照プルフィールまたは炎症陰性参照プロフィールであり得る。炎症陽性プロフィールは、主に炎症性肺障害を伴う細胞を含むプロフィールである。対照的に、炎症陰性参照プロフィールは、主に炎症性肺障害を伴わない細胞を含むプロフィールである。試験細胞集団と炎症陽性参照プロフィールとの間の核酸の発現の類似性は、哺乳動物における肺炎症性障害の存在を示す。試験細胞集団および炎症陰性参照プロフィールにおける核酸の発現の増強は、哺乳動物における肺炎症性障害の存在を示す。
【0004】
さらなる局面において、本発明は、抗ロイコプロテアーゼを阻害する化合物を哺乳動物に投与することによって、被験体の炎症性肺障害を処置または予防する方法を提供する。抗ロイコプロテアーゼを阻害する化合物は、抗ロイコプロテアーゼ核酸またはポリヌクレオチドに結合する化合物を含む。抗ロイコプロテアーゼ核酸またはポリヌクレオチドに結合する化合物の例としては、抗ロイコプロテアーゼアンチセンス核酸、リボザイム、および抗体が挙げられる。
【0005】
抗ロイコプロテアーゼ発現細胞を提供し、この細胞と試験化合物とを接触させ、そして抗ロイコプロテアーゼの発現を測定することによって、肺の炎症を阻害する化合物を同定する方法もまた、提供される。試験化合物の非存在下と比較してこの試験化合物の存在下での発現の減少は、試験化合物が肺の炎症を阻害することを示す。本発明はまた、この方法によって同定される化合物を含む。
【0006】
なお、さらなる局面において、本発明は、甲状腺癌腫、卵巣癌腫、および腎細胞癌腫のような癌を有する被験体の予後を、試験細胞集団において抗ロイコプロテアーゼポリペプチドをコードする核酸の発現を測定し、そしてその核酸の発現を、癌参照プロフィールにおける抗ロイコプロテアーゼポリペプチドをコードする核酸の発現と比較することによって、評価する方法を提供する。癌参照プロフィールは、主に癌性細胞を含む。試験細胞集団と癌参照プロフィールとの間の核酸配列の発現の実質的な類似性は、被験体における有害な予後を示す。
【0007】
なお、さらなる局面において、本発明は、甲状腺腫瘍のような腫瘍の転移の可能性を、被験体由来の細胞集団における抗ロイコプロテアーゼポリペプチドをコードする核酸の発現を測定し、そしてその核酸の発現を、転移性癌参照プロフィールにおける抗ロイコプロテアーゼポリペプチドをコードする核酸の発現と比較することによって、評価する方法を提供する。転移性癌参照プロフィールは、転移の可能性が既知の細胞を含む。被験体由来の細胞集団と転移性参照プロフィールとの間の核酸配列の発現の実質的な類似性は、その腫瘍が転移性であることを示す。
【0008】
別に定義がない限り、本明細書中で使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されるのと同様の意味を有する。本明細書中に記載の方法および材料に対して、類似かまたは等価の方法および材料は、本発明の実行または試験に使用され得るが、適切な方法および材料は下に記載される。本明細書中に言及された全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、その全体が参考として援用される。矛盾する場合、本明細書(定義を含む)が、制御する。さらに、これらの材料、方法、および実施例は、一例に過ぎず、かつ制限することを意図していない。
【0009】
本発明の他の特徴および利点は、特許請求の範囲および以下の詳細な説明から明らかである。
【0010】
(詳細な説明)
本発明は、特定の癌細胞および肺細胞中でアップレギュレートされる抗ロイコプロテアーゼ核酸の発現パターンにおける変化の発見の一部に基づいている。
【0011】
この発現のパターンの変化は、GeneCallingTM分析(米国特許第5,871,697号;Shimketsら,1999 Nature Biotechnology 17:198−803、その全体は参考として本明細書中に援用される)、TaqManTM分析およびSAGE分析によって同定された。多数の正常および腫瘍サンプルの分析は、抗ロイコプロテアーゼが、転移性甲状腺癌 対 非転移性甲状腺癌においてアップレギュレートされ、卵巣癌性腫瘍および腫瘍由来細胞株において正常な卵巣と比較して過剰発現され、そして腎臓および甲状腺の癌腫組織において、手術中に得た正常な隣接組織(NAT)および正常組織と比較して過剰発現されたことを示した。
【0012】
本発明の種々の局面および実施形態において、本発明は、抗ロイコプロテアーゼを発現し得る少なくとも1つの細胞を含む試験細胞集団を提供することを含む。「発現し得る」とは、遺伝子が細胞内で完全な形態で存在し、かつ発現し得ることを意味する。存在する場合は、次いで、抗ロイコプロテアーゼ配列の発現が検出され、そして好ましくは測定される。公知の抗ロイコプロテアーゼ配列についてのデータベースエントリーによって供給された配列情報または本明細書中に開示した配列情報(例えば、配列番号1および2)を使用することによって、抗ロイコプロテアーゼ配列の発現が、当該分野の当業者に周知の技術を用いて検出され得(存在する場合)、そして測定され得る。例えば、抗ロイコプロテアーゼ配列に一致する配列データベースエントリー内の配列、または本明細書中に開示の配列内の配列は、抗ロイコプロテアーゼRNA配列を検出するための、例えば、ノザンブロットハイブリダイゼーション分析または特異的、かつ好ましくは、特定の核酸配列を定量的に増幅する方法におけるプローブを構築するために使用され得る。別の例としては、配列は、抗ロイコプロテアーゼ配列を特異的に増幅するための、例えば、逆転写に基づくポリメラーゼ連鎖反応のような増幅に基づく検出方法におけるプライマーを構築するために使用され得る。遺伝子発現の変化が遺伝子の増幅または欠失に関連する場合、試験集団または参照集団の配列比較は、試験細胞集団および参照細胞集団において試験したDNA配列の相対量を比較することによってなされ得る。
【0013】
発現はまた、タンパク質レベル、すなわち本明細書に記載の遺伝子産物によってコードされたポリペプチドのレベルを測定することによって測定され得る。このような方法は当業者に周知であり、そして例えば、遺伝子によってコードされるタンパク質に対する抗体に基づく免疫アッセイを含む。
【0014】
次いで、試験細胞集団における抗ロイコプロテアーゼ配列の発現のレベルは、参照のプロフィール由来の1つ以上の細胞における配列の発現レベルと比較される。試験細胞集団およびコントロール細胞集団内の配列の発現は、核酸配列の発現を比較するための当該分野で認められた任意の方法を用いて比較され得る。例えば、発現は米国特許第5,871,697号およびShimketsら,Nat.Biotechnol.17:798−803に記載のGENECALLING(登録商標)方法を用いて比較され得る。
【0015】
参照のプロフィールは、単一の参照集団または複数の発現パターンから誘導された発現パターンである。参照プロフィールは、本明細書中に記載の条件(例えば、炎症性肺障害、転移性状態または癌)のうちの1つが公知である、先に試験された細胞に由来する発現パターンのデータベースであり得る。
【0016】
いくつかの実施形態において、試験細胞は、炎症性の肺細胞または腫瘍細胞を含むことが公知であるか、または含むと疑われる被験体からの細胞サンプルに含まれ得る。他の実施形態において、細胞サンプルは、甲状腺癌腫のような原発性腫瘍の転移を含むことが公知であるか、または含むと疑われる領域から、被験体より誘導され得る。
【0017】
試験細胞は、例えば、生物学的流体(血液、血清、尿、唾液、乳汁、管液(ductal fluid)、または涙液など)である体液から得られる。例えば、試験細胞は血液または別の組織から精製される。
【0018】
好ましくは、参照プロフィールの細胞は、試験細胞(例えば、肺組織)にできるだけ類似した組織型から誘導される。いくつかの実施形態において、コントロール細胞は、試験細胞と同じ被験者から(例えば、試験細胞の近位領域から試験細胞が由来する領域まで)誘導される。
【0019】
いくつかの実施形態において、試験細胞集団は、複数の参照プロフィールと比較される。複数の参照プロフィールそれぞれは、公知のパラメーターまたは条件が異なり得る。従って、試験細胞集団は、炎症性肺障害を有することが公知の第一の参照プロフィールと比較され得、そして炎症性障害を有さないことが公知の第二の参照集団と比較され得る。
【0020】
参照プロフィールに対する試験細胞集団の遺伝子発現のプロフィールの比較が、測定条件の存在、または程度を示すかどうかは、参照プロフィールの組成に依存する。例えば、このプロフィールが炎症性肺障害を有する細胞から構成される場合、試験細胞集団および参照プロフィールにおける類似の遺伝子発現レベルは、試験細胞集団における炎症性障害の存在を示す。逆に、炎症性肺障害を有さない細胞から構成される参照プロフィールの場合、試験細胞集団と参照プロフィールとの間の類似の遺伝子発現プロフィールは、試験細胞集団において炎症性障害がないことを示す。
【0021】
種々の実施形態において、試験細胞集団の抗ロイコプロテアーゼ配列は、その発現レベルが参照プロフィールにおける抗ロイコプロテアーゼ転写物のレベルの2.0、1.5、または1.0倍の内で変化する場合、その発現レベルは、抗ロイコプロテアーゼ配列の発現レベルに匹敵すると考えられる。種々の実施形態において、試験細胞集団の抗ロイコプロテアーゼ配列は、その発現レベルが、参照細胞集団における対応する抗ロイコプロテアーゼ配列の1.0、1.5、または2.0倍より高くあるいはより高い倍率で参照細胞集団から変化する場合、発現レベルが変化されたと考えられ得る。
【0022】
所望する場合、試験細胞集団と参照プロフィールとの間の差次的に発現される配列の比較は、その発現が、パラメーターまたは測定条件から独立しているコントロール核酸に対して行われ得る。試験核酸および参照核酸におけるコントロール核酸の発現レベルは、比較集団での標準化シグナルレベルのために用いられ得る。
【0023】
被験体は好ましくは哺乳動物である。この哺乳動物は、例えば、ヒト、ヒト以外の霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマ、またはウシであり得る。
【0024】
(炎症性肺障害の診断)
本発明は、被験体に炎症性肺障害(例えば、気腫、ぜん息、気管支炎、または小さな気道上皮の炎症)を診断する方法を提供する。炎症性肺障害は、炎症性肺障害を有する疑いのある被験体に由来する試験細胞集団から抗ロイコプロテアーゼをコードする核酸の発現を試験することによって、診断される。細胞集団は、肺細胞を含み得るか、または代わりに気道上皮細胞のような呼吸器系の細胞を含み得る。
【0025】
抗ロイコプロテアーゼをコードする核酸の発現は、試験細胞において測定され、そして参照プロフィールの配列の発現と比較される。参照プロフィールは、炎症陽性参照プロフィールであり得る。「炎症陽性参照プロフィール」は、参照プロフィールが、炎症性肺障害を伴う組織に由来する細胞を含むことを意味している。あるいは、参照プロフィールは炎症陰性参照プロフィールであり得る。「炎症陰性参照プロフィール」は、参照プロフィールが、炎症性肺障害を伴わない組織に由来する細胞を含むことを意味する。
【0026】
参照プロフィールが炎症陽性参照プロフィールである場合、試験集団と参照プロフィールとの間の抗ロイコプロテアーゼ配列における発現の類似性は、被験体の炎症性障害の存在を示す。逆に、試験集団と炎症性陽性参照プロフィールとの間の抗ロイコプロテアーゼ配列の発現における試験細胞集団での減少は、被験体における炎症性障害の非存在を示す。
【0027】
参照プロフィールが炎症陰性参照プロフィールである場合、試験細胞集団と炎症陰性参照プロフィールとの間の発現パターンの増強は、炎症性肺障害の存在を示す。逆に、試験集団と炎症陰性参照プロフィールとの間の抗ロイコプロテアーゼ配列における発現の類似性は、被験体において炎症性障害がないことを示す。
【0028】
(異常型抗ロイコプロテアーゼの発現に関連する障害を処置する方法)
本発明は、被験体における異常な抗ロイコプロテアーゼの発現に関連する障害を処置する方法を提供する。投与は、炎症性肺障害の危険性(または感受性)を有する被験体に対して、予防的または治療的であり得る。この炎症性肺障害は、例えば、気腫、ぜん息、気管支炎、または小さな気道上皮の炎症であり得る。あるいは、投与は、異常な発現または活性の抗ロイコプロテアーゼに関連する障害(例えば、甲状腺癌腫、卵巣癌腫、または腎細胞癌腫のような癌)の危険性(または感受性)を有する被験体に行われ得る。
【0029】
この治療的方法は、疾患細胞が誘導された組織型の正常細胞と比較して、疾患細胞における抗ロイコプリテアーゼの発現、または機能を減少または阻害することを包む。これらの方法において、被験体は、この被験体中で抗ロイコプロテアーゼの量を減少させる有効量の化合物を用いて処置される。投与は、全身的または局所的(例えば、被験体の疾患細胞のすぐ近位)であり得る。発現は、当該分野で公知の任意のいくつかの方法のうちのいずれかで阻害され得る。例えば、発現は、抗ロイコプロテアーゼの発現を阻害するか、または打ち消す核酸を被験体に投与することによって阻害され得る。1つの実施形態において、抗ロイコプロテアーゼの発現を混乱させるアンチセンスオリゴヌクレオチドが投与され得る。
【0030】
あるいは、抗ロイコプロテアーゼの機能は、その遺伝子産物に結合するか、さもなければ遺伝子産物の機能を阻害する化合物を投与することによって阻害され得る。この化合物は、例えば、抗ロイコプロテアーゼに対する抗体であり得る。
【0031】
これらの調節的な方法は、エキソビボまたはインビトロ(例えば、薬剤とともに細胞を培養することによって)行われ得るか、あるいはインビボ(例えば、被験体に薬剤を投与することによって)行われ得る。このように、本発明は、抗ロイコプロテアーゼタンパク質または核酸分子の、異常な発現または活性によって特徴付けられる疾患または障害に罹患した個体を処置する方法を提供する。1つの実施形態において、この方法は、薬剤(例えば、本明細書中に記載のスクリーニングアッセイによって同定された薬剤)を投与すること、あるいは抗ロイコプロテアーゼの発現または活性を調節する薬剤(例えば、アップレギュレートまたはダウンレギュレートする)の組み合わせを包む。別の実施形態において、この方法は、抗ロイコプロテアーゼ核酸の異常な発現または活性を補償するための治療として、タンパク質またはそのようなタンパク質の組み合わせ、あるいは核酸分子またはそのような核酸分子の組合せを投与することを含む。
【0032】
利用され得る治療剤としては、例えば、以下、(i)過剰発現した配列のペプチド、またはそのアナログ、誘導体、フラグメントもしくはホモログ;(ii)過剰発現した配列に対する抗体;(iii)アンチセンス核酸または「機能不全性」である(すなわち、1つ以上の過剰発現配列もしくは過少発現配列に対するコード配列のコード配列内の異種挿入に起因する)核酸;あるいは(v)過剰発現したポリペプチドとその結合パートナーとの間の相互作用を変化させる、調節因子(すなわち、インヒビター、アゴニストおよびアンタゴニスト)が挙げられる。機能不全性アンチセンス分子は、相同組換えによってポリペプチドの内因性機能を「ノックアウトする」ために利用される(例えば、Capecchi,Science 244:1288〜1292 1989を参照のこと)。
【0033】
増加したレベルまたは減少したレベルは、ペプチドおよび/またはRNAを定量することによって、容易に検出され得る。この定量は、患者の組織サンプルを(例えば、生検組織から)入手し、そしてそのサンプルを、RNAレベルまたはペプチドレベル、その発現したペプチドの構造および/または活性(またはその発現が変更された遺伝子のmRNA)をインビトロでアッセイすることによって行われる。当該分野において周知の方法としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:イムノアッセイ(例えば、ウェスタンブロット分析、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ポリアクリルアミドゲル電気泳動が後に続く免疫沈降、免疫細胞化学などによる)および/またはmRNAの発現を検出するためのハイブリダイゼーションアッセイ(例えば、ノーザンアッセイ、ドットブロット、インサイチュハイブリダイゼーションなど)。
【0034】
予防薬剤の投与は、疾患または障害が予防されるか、あるいはその進行を遅らせられるように、異常な遺伝子発現が特徴である症状の発現の前に行い得る。薬剤は、検出されるこの異常な発現の型に依存して、その被験体を処置するために使用され得る。その適切な薬剤は、本明細書中に記載のスクリーニングアッセイに基づいて決定され得る。
【0035】
(肺の炎症を阻害する化合物を同定するためのスクリーニングアッセイ)
1つの局面において、本発明は、肺の炎症を阻害する化合物を同定する方法を提供する。この化合物は、抗ロイコプロテアーゼを発現し得る細胞を含む細胞集団を提供することによって同定され得る。次いで、試験細胞集団の核酸配列の発現は、参照細胞集団の核酸配列の発現と比較され、この参照細胞集団は、試験薬剤に曝露されていない細胞集団であるか、またはいくつかの実施形態において、試験薬剤に曝露された細胞集団である。比較は、同時または時間的に異なる時間に測定した試験サンプルおよび参照サンプルにおいて行われ得る。後の実施例は、種々の薬剤投与に続いて公知の配列の発現レベルについての情報を集合させた編集発現情報(例えば、配列データベース)の使用法である。例えば、試験薬剤投与に続く発現レベルの変化は、コントロール薬剤投与に続く核酸配列において観察される発現の変化と比較され得る。
【0036】
試験薬剤に曝露されていない参照細胞集団の核酸配列の発現と比較して、試験細胞集団における核酸配列の発現の減少は、試験薬剤が炎症を阻害することを示す。
【0037】
この試験薬剤は、先に記載されていない化合物であり得るか、または先に既知の化合物であるが抗炎症性薬剤として公知でない化合物であり得る。
【0038】
本発明はまた、このスクリーニング方法に従って同定される化合物を含む。
【0039】
(癌を有する被験体の予後の評価)
試験細胞集団の抗ロイコプロテアーゼの発現を疾患段階の範囲を超えた患者に由来する参照プロフィールにおける配列の発現と比較することによって、癌(例えば、甲状腺腫瘍、卵巣癌腫、および腎細胞癌腫)を有する被験体の予後を評価する方法もまた、提供される。試験細胞集団および参照プロフィールにおける抗ロイコプロテアーゼの遺伝子発現を比較することによって、または被験体に由来する試験細胞集団における遺伝子発現の超過した時間にわたる(overtime)パターンを比較することによって、被験体の予後を評価し得る。
【0040】
参照プロフィールは、主に非癌性細胞または癌性細胞を含む。主に非癌性細胞を含む参照プロフィールは、非癌参照プロフィールである。主に癌性細胞を含む参照プロフィールは、癌参照プロフィールである。いくつかの実施形態において、癌参照プロフィールは、主に播種性癌性細胞を含む。参照プロフィールが主に非癌性細胞を含む場合、試験細胞集団における抗ロイコプロテアーゼの発現の増加は、あまり好ましくない予後を示す。逆に、参照プロフィールが主に癌性細胞を含む場合、試験細胞集団における抗ロイコプロテアーゼの発現の減少は、より好ましい予後を示す。
【0041】
(腫瘍の転移可能性の評価)
別の局面において、本発明は、被験体において試験プロフィールおよび参照プロフィールにおける抗ロイコプロテアーゼ配列のレベルを比較することによって、腫瘍(例えば、甲状腺腫瘍、卵巣腫瘍、および腎細胞腫瘍)の転移の可能性を評価する方法を提供する。
【0042】
転移の可能性を評価するために、試験細胞集団は、以前に腫瘍を有すると診断された被験体より得られ、そして抗ロイコプロテアーゼの発現が測定される。試験細胞集団および参照プロフィールにおける抗ロイコプロテアーゼの遺伝子発現を比較することによって、転移の可能性が評価され得る。
【0043】
参照プロフィールは、主に転移の可能性が既知の癌性細胞を含む。従って、主に転移性癌性細胞を含む参照プロフィールに対する試験細胞における抗ロイコプロテアーゼ発現の類似性は、腫瘍が転移性であることを示す。逆に、参照プロフィールが主に非転移性癌性細胞を含む場合、参照プロフィールに対する試験細胞における抗ロイコプロテアーゼ発現の類似性は、腫瘍が転移性でないことを示す。
【0044】
所望の場合、抗ロイコプロテアーゼの発現は、その発現が転移の可能性によって変動し得ることが既知である他の配列の発現レベルと共に、測定され得る。
【0045】
(薬学的組成物)
別の局面において、本発明は、本明細書中に記載の1つ以上の治療用化合物を含む薬学的または治療的な組成物を含む。薬学的処方物としては、経口投与、直腸投与、経鼻投与、局所投与(頬投与および舌下投与を含む)、腟投与または腸管外投与(筋内投与、皮下投与および静脈内投与を含む)、あるいは吸入または吹送による投与に適するものが挙げられる。この処方物は、適切な場合、個々の投薬量単位で好都合に呈され得、そして薬学の分野において周知の任意の方法によって調製され得る。全てのこのような薬学的方法は、活性化合物を液体キャリアもしくは微細に分離した固体のキャリア、またはその両方と会合させる工程、次いで必要とされる場合、所望の処方物に生成物を形成する工程を含む。
【0046】
経口投与に適切な薬学的処方物は、カプセル、カシェ剤、または錠剤のような個々の単位として好都合に呈され得、それぞれは活性成分の規定量を含み;粉末または顆粒;あるいは溶液、懸濁液、または乳濁液である。この活性成分はまた、ボーラス舐剤またはペースト剤として提示され得、そして純粋な形態(すなわちキャリアを伴わない)である。経口投与のための錠剤およびカプセルは、結合薬剤、賦形剤(filler)、滑沢剤、崩壊剤、または湿潤剤のような従来の賦形剤(excipient)を含み得る。錠剤は、随意的に1つ以上の処方成分を有して、圧縮または成形によって作られ得る。圧縮錠剤は、自由に流動する形態の活性成分(例えば、粉末または顆粒(必要に応じて、結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、滑剤、界面活性剤または分散剤と混合される))を適切な機械で圧縮することによって調製され得る。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合を適切な機械で成形することによって作製され得る。錠剤は当該分野で周知の方法によってコーティングされ得る。経口の流体調製物は、例えば、水性または油性の懸濁液、溶液、乳濁液、シロップまたはエリキシル剤の形態で有り得、あるいは使用前に、水または他の適切なビヒクルをともなって構成されるために乾燥した生成物として呈され得る。このような液体調製物は、懸濁化剤、乳化剤、非水性ビヒクル(食用油を含み得る)、または保存料のような従来の添加物を含み得る。錠剤は、必要に応じてゆっくりと提供されるように処方され得るか、または錠剤内の活性成分の放出が制御され得る。
【0047】
非経口投与用の処方物は、水性および非水性の滅菌注入溶液(抗酸化剤、緩衝液、静菌薬、および処方物を意図したレシピエントの血液と等張にする溶質を含み得る);ならびに水性および非水性の滅菌懸濁液(懸濁化剤および濃化剤を含み得る)を含む。この処方物は、単位用量または複数用量の容器(例えば、密封したアンプルおよびバイアル)、そして使用の直前に滅菌液体キャリア(例えば、生理食塩水、注射用水)の添加のみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)条件下で保存され得る。あるいは、注入用の処方物が、提示され得る。即座の注射溶液および懸濁液は、先に記載の種類の滅菌粉末、顆粒、および錠剤から調製され得る。
【0048】
直腸投与用の処方物は、坐剤(ココアバターおよびポリエチレングリコールのような通常のキャリアと共に)として提示され得る。口内(例えば、頬または舌下)の局所投与用の処方物としては、ショ糖およびアカシアまたはトラガカントのような風味付けした基剤中に活性成分を含む舐剤、ならびにゼラチンおよびグリセリン、またはショ糖およびアカシアのような基剤中に活性成分を含む香錠が挙げられる。経鼻投与用の本発明の化合物は、液体噴霧または分散可能な粉末として、あるいは滴下の形態で使用され得る。滴下は、1つ以上の分散剤、可溶化剤、または懸濁化剤もまた含む水性または非水性基剤を伴って処方され得る。液体噴霧は加圧容器から都合よく送達される。
【0049】
吸入による投与用の化合物は、吸入器、噴霧器、加圧容器、または他のエアロゾル噴霧を送達するのに便利な手段から都合よく送達される。加圧容器は、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切なガスのような適切な高圧ガスを含み得る。加圧エアロゾルの場合、単位投薬量は、計測した量を送達するためのバルブを提供することによって決定され得る。
【0050】
あるいは、吸入または吹送による投与のために、この化合物は乾燥粉末組成物の形態を取り得、例えば、この化合物とラクトースまたはデンプンのような適切な粉末基剤とを混合した粉末である。粉末組成物は、例えば、カプセル、薬包、ゼラチン、あるいはブリスターパック(粉末が吸入または吹送の補助によって投与され得る)などの投薬単位形態で提示され得る。
【0051】
所望であれば、活性成分の持続した放出を与えるのに適した、上に記載の処方物が用いられ得る。薬学的組成物はまた、抗菌剤、免疫抑制剤、または防腐剤のような他の活性成分を含み得る。
【0052】
上記の特に言及した成分に加えて、本発明の処方物は、当の処方物の型に関して当該分野において慣習的な他の薬剤を含み得ること(例えば、経口投与に適切な処方物は香味剤を含み得る)が理解されるべきである。
【0053】
好ましい処方物の単位投薬量は、下に列挙するように活性成分の有効用量を含むか、またはその適当な割合を含む量である。
【0054】
それぞれの前述の条件にとって、この組成物は、経口または注射によって1日あたり約0.1〜約250mg/kgの用量で投与され得る。成人に対する用量範囲は、一般的に1日あたり約5mg〜約17.5gであり、好ましくは1日あたり約5mg〜約10gであり、そして最も好ましくは1日あたり約100mg〜約3gである。錠剤または個々の単位で提供される提示の他の投薬単位形態は、このような投薬量またはその複数用量として有効である量を都合よく含み得る。例えば、単位は約5mg〜約500mgを含み、通常、約100mg〜約500mgである。
【0055】
薬学的組成物は、好ましくは経口または注射(静脈内または皮下)によって投与され、そして被験体に対して投与させる正確な量は、所属医師の責任である。しかし、用いる用量は、被験体の年齢および性別、治療される正確な障害およびその重症度を含む多くの要因に依存する。投与経路もまた、その条件および重症度に依存して変化し得る。
【0056】
(実施例)
(実施例1:種々の組織における抗ロイコプロテアーゼの発現分析)
抗ロイコプロテアーゼ(GenBank登録番号X04470;表1;配列番号1〜2)の定量的発現を、種々の正常および病理由来の細胞、細胞株および組織由来のRNAサンプルを含むマイクロタイタープレートを使用して、リアルタイム定量的PCR(RTQ PCR;TAQMAN(登録商標))を使用して評価した。RTQ PCRを、Perkin−Elmer Biosystems ABI PRISM(登録商標)7700 Sequence Detection Systemで実行した。サンプルの種々の収集がプレート上で組み立てられ、そして、パネル1(正常供給源および癌供給源由来の細胞および細胞株を含む)、パネル2(正常供給源および癌供給源由来の組織、特に外科的サンプルに由来するサンプルを含む)、およびパネル4(正常細胞および炎症性状態に関連する細胞由来の細胞および細胞株を含む)と称される。
【0057】
最初に、RNAサンプルを、構成的に発現される遺伝子(例えば、β−アクチンおよびGAPDH)に対して正規化した。RNA(合計約50ngまたは1ngのポリA+)を、TAQMAN(登録商標)Reverse Transcription Reagebts Kit(PE Biosystems、Foster City、CA;カタログ番号N808−0234)および製造業者のプロトコールに従うランダムヘキサマーを使用して、cDNAに変換した。反応を、20μlで実施し、そして48℃で30分インキュベートした。次いで、cDNA(5μl)を、製造業者のプロトコールに従って、β−アクチンおよびGAPDH TAQMAN(登録商標)Assay Reagents(PE Biosystems;それぞれ、カタログ番号4310881Eおよび4310884E)ならびにTAQMAN(登録商標)ユニバーサルPCR Master Mix(PE Biosystems;カタログ番号4304447)を使用するTAQMAN(登録商標)反応のために、別々のプレートに移した。反応を、以下のパラメーターを使用して、25μlで実施した:50℃で2分;95℃で10分;95℃で15秒/60℃で1分(40サイクル)。結果をCT値(所定のサンプルが蛍光の閾値レベルに交わった時点のサイクル)として、所定のサンプルとΔCTの二乗として示される最低のCT値を有するサンプルとの間のRNA濃度における差異と共に、ログ目盛で記録した。次いで、相対的発現パーセントを、このRNA差異の逆数を取り、100倍することによって得る。β−アクチンおよびGAPDHについて得られる平均CT値を使用して、RNAサンプルを正規化した。最高のCT値を生成するRNAサンプルは、さらなる希釈を必要としなかったが、全ての他のサンプルを、そのβ−アクチン/GAPDH平均CT値に従って、このサンプルに対して希釈した。
【0058】
正規化されたRNA(5μl)をcDNAに変換し、そしてOne Step RT−PCR Master Mix Reagents(PE Biosystems;カタログ番号4309169)および遺伝子特異的プライマーを、製造業者のプロトコールに従って使用して、TAQMAN(登録商標)によって分析した。プローブおよびプライマーを、Perkin Elmer Biosystem’s Primer Express Softwareパッケージ(Apple ComputerのMacintosh Power PC用バージョンI)または類似のアルゴリズムに従って、入力として標的配列を使用して、各アッセイのために設計した。反応条件のためにデフォルト設定を使用し、そして以下のパラメーターをプライマーを選択する前に設定した:プライマー濃度=250nM、プライマー融点(Tm)範囲=58℃〜60℃、プライマー最適Tm=59℃、最大プライマー差=2℃、プローブは5’Gを有さない、プローブTmはプライマーTmより10℃高くなければならない、アンプリコンの大きさは、75bp〜100bpである。選択されるプローブおよびプライマー(以下を参照のこと)を、Synthegen(Houston、TX、USA)によって合成した。プローブを、HPLCによって2回精製して、非結合色素を除去し、そして、質量分析法によって評価して、プローブの5’末端および3’末端に対するレポーターおよび消光(quencher)色素の結合をそれぞれ確認した。これらの最終濃度は:順方向および逆方向プライマーについては、各900nM、そしてプローブについては、200nMであった。
【0059】
PCR条件:各組織および各細胞株由来の正規化されたRNAを、96ウェルのPCRプレート(Perkin Elmer Biosystems)の各ウェルにスポットした。2つのプローブ(標的クローンに特異的なプローブおよび標的プローブで多重化される別の遺伝子特異的プローブ)を含むPCRカクテルを、5mM MgCl2、dNTP(1:1:1:2の比でdA、G、C、U)、0.25U/ml AmpliTaq GoldTM(PE Biosystems)および0.4U/μl RNaseインヒビターを有する、PE Biosystems 7700のための1×TaqManTMPCR Master Mix、ならびに0.25U/μlの逆転写酵素を使用して調製した。逆転写を、48℃で30分、次いで以下のような増幅/PCRサイクルで実行した:95℃で10分、次いで、95℃で15秒および60℃で1分の40サイクル。
【0060】
パネル1の結果において、以下の略号を使用する:
ca.=癌腫、
*=転移から確立された、
met=転移、
s cell var=小細胞改変体、
non−s=non−sm=非小(non−small)、
squam=鱗状、
pl.eff=pl effusion=胸水、
glio=グリオーム、
astro=星状細胞腫、および
neuro=神経芽細胞腫。
【0061】
(パネル2)
パネル2のためのプレートは一般に、2個のコントロールウェルおよび、National Cancer Institute’s Cooperative Human Tissue Network(CHTN)またはNational Disease Research Initiative(NDHRI)との密接な協力関係での外科医の研究によって得られたヒト組織から単離されたRNAまたはcDNAからなる96個の試験サンプルを含む。これらの組織はヒト悪性疾患から誘導され、そして、示された多くの悪性組織が「一致した縁(matched margins)」を有する場合には、腫瘍に隣接する非腫瘍組織から獲得される。これらは、正常隣接組織と命名され、そして以下の結果において「NAT」で示される。腫瘍組織および「一致した縁」は、2つの独立した病理学者(外科的病理学者、およびNDRIまたはCHTNの病理学者によって再び)によって評価される。この分析は、腫瘍分化グレードの全体的な組織病理学的な評価を提供する。さらに、ほとんどのサンプルは、患者の臨床的状態に関する情報を提供する元々の外科的病理学的報告を含む。これらの一致した縁は、外科的処置の領域の周辺(すなわち、直接近接する)組織(表4において、正常隣接組織について、「NAT」と称される)から採取される。さらに、RNAおよびcDNAサンプルを、年配のヒトまたは突然死の犠牲者(事故など)において実施された剖検に由来する種々のヒト組織から獲得した。これらの組織は、疾患を有さないことを確認され、そして種々の商業的供給源(例えば、Clontech(Palo Alto、CA)、Research GeneticsおよびInvitrogen)から購入された。
【0062】
全てのサンプル由来の全RNAを、28Sおよび18SリボソームRNAの染色強度の比(28S:18Sが、2:1〜2.5:1)を指針として使用し、そして分解産物を示す低分子量のRNAの非存在を使用して、アガロースゲル電気泳動の可視的評価によって、質について制御する。サンプルを、単一のエキソンの範囲をまたがって増幅するように設計されたプローブおよびプライマーセットを使用して、逆転酵素の非存在下でRTQ PCR反応を行うことによって、ゲノムDNAの混入に対して制御する。
【0063】
(パネル4)
パネル4は、種々のヒト細胞株または炎症性状態に関連する組織から単離されたRNA(パネル4r)およびcDNA(パネル4d)からなる、96ウェルのプレート(2個のコントロールおよび94個の試験サンプル)上のサンプルを含む。結腸および肺(Stratagene、La Jolla、CA)ならびに胸腺および腎臓(Clontech)のようなコントロール正常組織由来の総RNAを、使用した。肝硬変患者由来の肝臓組織および狼瘡患者由来の腎臓に由来する総RNAを、BioChain(Biochain Institute,Inc.、Hayward、CA)から獲得した。クローン病および潰瘍性大腸炎を有すると診断された患者由来の、RNA調製のための腸管組織を、National Disease Research Interchange(NDRI)(Philadelphia、PA)から獲得した。
【0064】
星状細胞、肺繊維芽細胞、皮膚繊維芽細胞、冠状動脈平滑筋細胞、小気道上皮、気管支上皮、微小血管皮膚内皮細胞、微小血管肺内皮細胞、ヒト肺動脈内皮細胞、ヒト臍静脈内皮細胞を、全てClonetics(Walkersville、MD)から購入し、そして、これらの細胞型のためにCloneticsによって補充された培地中で増殖させた。これらの初代細胞型を、示されるように、種々のサイトカインまたはサイトカインの組み合わせを用いて、6時間および/または12〜14時間活性化した。以下のサイトカインを使用した:約1〜5ng/mlのIL−1β、約5〜10ng/mlのTNFα、約20〜50ng/mlのINFγ、約5〜10ng/mlのIL−4、約5〜10ng/mlのIL−9、約5〜10ng/mlのIL−13。内皮細胞を、時々、0.1%血清を含むCloneticsからの基本培地中で培養することによって、種々の時間にわたって飢餓させた。
【0065】
単核細胞を、Ficollを使用して、CuraGen Corporationの被雇用者の血液から調製した。LAK細胞を、DMEM 5% FCS(Hyclone)、100μM 非必須アミノ酸(Gibco/Life Technologies、Rockville、MD)、1mM ピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール5.5×10−5M(Gibco)、および10mM Hepes(Gibco)、ならびにインターロイキン2で4〜6日間培養することによって、これらの細胞から調製した。次いで、細胞を、10〜20ng/mlのPMAおよび1〜2ng/mlのイオノマイシン、5〜10ng/mlのIL−12、20〜50ng/mlのINFγ、ならびに5〜10ng/mlのIL−18のいずれかで6時間活性化した。いくつかの場合、単核細胞を、約5μg/mlのPHA(植物性赤血球凝集素)またはPWM(ヤマゴボウマイトジェン)を含む、DMEM 5% FCS(Hyclone)、100μM 非必須アミノ酸(Gibco)、1mM ピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール5.5×10−5M(Gibco)、および10mM Hepes(Gibco)中で、4〜5日間培養した。サンプルを、RNA調製のために24、48および72時間で採取した。MLR(混合リンパ球反応)サンプルを、2人のドナーから血液を採取し、Ficollを使用して単核細胞を単離し、そして単離された単核細胞をDMEM 5% FCS(Hyclone)、100μM 非必須アミノ酸(Gibco)、1mM ピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール5.5×10−5M(Gibco)、および10mM Hepes(Gibco)中に、約2×106細胞/mlの最終濃度で、1:1の比で混合することによって獲得した。MLRを培養し、そしてサンプルを、RNA調製のために1〜7日の範囲の種々の時点で採取した。
【0066】
単球を、製造業者の指示に従って、CD14 Miltenyi Beads、+ve VS選択カラムおよびVario Magnetを使用して、単核細胞から単離した。単球を、DMEM 5% ウシ胎仔血清(FCS)(Hyclone、Logan、UT)、100μM 非必須アミノ酸(Gibco)、1mM ピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール5.5×10−5M(Gibco)、および10mM Hepes(Gibco)、50ng/ml GMCSFおよび5ng/ml IL−4中で、5〜7日間培養することによって、樹状細胞に分化させた。マクロファージを、DMEM 5% FCS(Hyclone)、100μM 非必須アミノ酸(Gibco)、1mM ピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール5.5×10−5M(Gibco)、10mM Hepes(Gibco)、および10% AB Human Serumまたは約50ng/mlの濃度のMCSF中での、5〜7日間の単球の培養によって調製した。単球、マクロファージおよび樹状細胞を、100ng/mlのリポ多糖類(LPS)を用いて、6時間および12〜14時間刺激した。樹状細胞をまた、10μg/mlの抗CD40モノクローナル抗体(Pharmingen)を用いて、6時間および12〜14時間刺激した。
【0067】
CD4リンパ球、CD8リンパ球およびNK細胞をまた、CD4、CD8およびCD56 Miltenyiビーズ、陽性SV選択カラムならびにVario Magnetを製造業者の指示に従って使用して、単核細胞から単離した。CD45RA CD4リンパ球およびCD45RO CD4リンパ球を、CD8、CD56、CD14およびCD19 Miltenyiビーズならびに+ve選択を使用して、CD8、CD56、CD14およびCD19細胞の単核細胞を涸渇させることによって単離した。次いで、CD45ROビーズを使用して、CD45RA CD4リンパ球である残りの細胞と共に、CD45RO CD4リンパ球を単離した。CD45RA CD4リンパ球、CD45RO CD4リンパ球およびCD8リンパ球を、DMEM 5% FCS(Hyclone)、100μM 非必須アミノ酸(Gibco)、1mM ピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール5.5×10−5M(Gibco)、および10mM Hepes(Gibco)中に配置し、そして、0.5μg/mlの抗CD28(Pharmingen)および3μg/mlの抗CD3(OKT3、ATCC)含有PBSを用いて一晩被覆したFalconの6ウェルの組織培養プレート上に、106細胞/mlでプレートした。6時間および24時間後、細胞を、RNA調製のために回収した。慢性的に活性化されたCD8リンパ球を調製するため、本発明者らは、単離されたCD8リンパ球を、抗CD28および抗CD3被覆プレート上で4日間活性化し、次いで、細胞を回収し、そしてその細胞を、DMEM 5% FCS(Hyclone)、100μM 非必須アミノ酸(Gibco)、1mM ピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール5.5×10−5M(Gibco)、10mM Hepes(Gibco)およびIL−2中で増殖させた。次いで、増殖させたCD8細胞を、抗CD3および抗CD28が結合したプレートを用いて再び4日間活性化し、そして前と同様に増殖させた。RNAを、2回目の活性化の6時間および24時間後、および2回目の増殖培養の4日後に単離した。単離されたNK細胞を、RNAを調製する前に、DMEM 5% FCS(Hyclone)、100μM 非必須アミノ酸(Gibco)、1mM ピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール5.5×10−5M(Gibco)、および10mM Hepes(Gibco)、ならびにIL−2中で、4〜6日間培養した。
【0068】
B細胞を獲得するため、扁桃をNDRIから獲得した。扁桃を、滅菌解剖鋏で切断し、次いで、ふるいにかけた。次いで、扁桃細胞をスピンダウンし、そして、DMEM 5% FCS(Hyclone)、100μM 非必須アミノ酸(Gibco)、1mM ピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール5.5×10−5M(Gibco)、10mM Hepes(Gibco)中に、106細胞/mlで再懸濁した。細胞を活性化するため、本発明者らは、5μg/mlのPWMまたは約10μg/mlの抗CD40(Pharmingen)および5〜10ng/mlのIL−4を使用した。細胞を、24、48および72時間でRNA調製のために回収した。
【0069】
初代および二次Th1/Th2細胞およびTr1細胞を調製するため、6ウェルのFalconプレートを、10μg/mlの抗CD28(Pharmingen)および2μg/mlのOKT3(ATCC)で一晩被覆し、次いで、PBSで2回洗浄した。臍帯血CD4リンパ球(Poietic Systems、German Town、MD)を、DMEM 5% FCS(Hyclone)、100μM 非必須アミノ酸(Gibco)、1mM ピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール5.5×10−5M(Gibco)、10mM Hepes(Gibco)およびIL−2(4ng/ml)中で、105〜106細胞/mlで培養した。IL−12(5ng/ml)および抗IL−4(1μg/ml)を使用してTh1を指向し、一方、IL−4(5ng/ml)および抗IFNγ(1μg/ml)を使用してTh2を指向し、そして5ng/mlのIL−10を使用してTr1を指向した。4〜5日後、活性化されたTh1、Th2およびTr1リンパ球を、DMEMで一回洗浄し、そしてDMEM 5% FCS(Hyclone)、100μM 非必須アミノ酸(Gibco)、1mM ピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール5.5×10−5M(Gibco)、10mM Hepes(Gibco)、およびIL−2(1ng/ml)中で4〜7日間増殖させた。その後、活性化されたTh1、Th2およびTr1リンパ球を、抗CD28/OKT3およびサイトカインを用いて上記のように5日間再刺激したが、抗CD95L(1μg/ml)の添加によってアポトーシスを予防した。4〜5日後、Th1、Th2およびTr1リンパ球を洗浄し、次いで、IL−2を用いて4〜7日間再び増殖させた。活性化されたTh1リンパ球およびTh2リンパ球を、この方法で、最大3サイクル維持した。RNAを、抗CD3mAbおよび抗CD28mAbが結合したプレートを用いた2回目および3回目の活性化、ならびにインターロイキン2における培養物の2回目および3回目の4日間の増殖の6時間および24時間後に、初代ならびに二次のTh1、Th2およびTr1リンパ球から調製した。
【0070】
以下の白血球細胞株を、ATCCから獲得した:Ramos、EOL−1、KU−812。EOL細胞を、0.1mM dbcAMP中で、5×105細胞/mlで8日間培養し、培地を3日毎に交換し、そして細胞濃度を5×105細胞/mlに調節することによって、さらに分化させた。これらの細胞の培養のために、本発明者らは、5% FCS(Hyclone)、100μM 非必須アミノ酸(Gibco)、1mM ピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール5.5×10−5M(Gibco)、10mM Hepes(Gibco)が添加されたDMEMまたはRPMI(ATCCによって推奨されるように)を使用した。RNAを、残りの細胞、または10ng/mlのPMAおよび1μg/mlのイオノマイシンで6時間および14時間活性化された細胞のいずれかから調製した。ケラチノサイト株CCD106および気道上皮腫瘍株NCI−H292をまた、ATCCから獲得した。これら両方を、DMEM 5% FCS(Hyclone)、100μM 非必須アミノ酸(Gibco)、1mM ピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール5.5×10−5M(Gibco)、および10mM Hepes(Gibco)中で培養した。CD1106細胞を、約5ng/mlのTNFαおよび1ng/mlのIL−1βを用いて6時間および14時間活性化し、一方、NCI−H292細胞を、以下のサイトカインで6時間および14時間活性化した:5ng/mlのIL−4、5ng/mlのIL−9、5ng/mlのIL−13および25ng/mlのIFNγ。
【0071】
これらの細胞株および血液細胞について、RNAをTrizol(Gibco BRL)を使用して、約107細胞/mlを溶解させることによって調製した。簡潔には、1/10容積のブロモクロロプロパン(Molecural Research Corporation)をRNAサンプルに添加し、ボルテックスし、そして室温での10分間の後、チューブをSorvall SS34ローターで14,000rpmで遠心した。水相を取り出し、そして15mlのFalconチューブに配置した。等容積のイソプロパノールを添加し、そして−20℃で一晩放置した。沈殿したRNAを、Sorvall SS34ローターで9,000rpmで15分スピンダウンし、そして70%エタノールで洗浄した。ペレットを、RNAseを含まない水300μlに再溶解させ、そして35μlの緩衝液(Promega)5μlのDTT、7μlのRNAsinおよび8μlのDNAseを添加した。チューブを、37℃で30分間インキュベートして混入しているゲノムDNAを除去し、フェノールクロロホルムで1回抽出し、そして1/10容積の3M 酢酸ナトリウムおよび2容積の100%エタノールを用いて再沈殿させた。RNAをスピンダウンし、RNaseを含まない水中に配置した。RNAを、−80℃で貯蔵した。パネル4の結果は、抗ロイコプロテアーゼ核酸およびポリペプチドが、炎症性肺障害の診断において有用であることを示唆する。この結果はさらに、抗ロイコプロテアーゼの阻害が炎症性肺障害の処置において有用であることを示唆する。
【0072】
抗ロイコプロテアーゼ転写物のTaqmanTM発現プロフィールを、順方向(F)プライマーおよび逆方向(R)プライマーのX04470特異的なAg588セット、およびプローブ(P)を使用して、表2に示すように生成した。
【0073】
(表1 抗ロイコプロテアーゼのヒトmRNAの核酸配列およびポリペプチド配列)
【0074】
【表1】
図1に示される結果は、41の正常ヒト組織および55のヒト癌細胞株に関し、そして正常卵巣と比較して、卵巣腫瘍細胞株におけるX04470の過剰発現を実証する。
【0075】
図2に示される結果は、さらなる腫瘍組織に関し、これらの多くは、サンプルを得た、実施者の外科医によって規定されるように、正常隣接組織(NAT)に一致されている。図3は、抗ロイコプロテアーゼX04470が、正常甲状腺またはNATのいずれかと比較して、甲状腺腫瘍で過剰発現されることを例示する。この分析は、X04470の発現を元々同定したGeneCallingTMの結果を確認する。抗ロイコプロテアーゼはまた、対応するNATと比較して、いくつかの腎臓癌腫組織において、そして正常卵巣と比較して2つの卵巣癌種のうち1つにおいて過剰発現され、これは、抗ロイコプロテアーゼが、種々の癌腫(卵巣癌腫を含む)の腫瘍形成において重要な役割を果たすことを示唆する。
【0076】
【表2】
(表4 パネル2のTaqMan結果)
【0077】
【表3】
(表5 パネル4のTaqMan結果)
【0078】
【表4】
(他の実施形態)
本発明を、その詳細な説明と共に記載してきたが、先の説明は、例示を意図し、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲を限定しないことが理解されるべきである。他の局面、利点および改変は、上記の特許請求の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、卵巣癌種の細胞株と正常卵巣との比較における抗ロイコプロテアーゼの過剰発現を図解した棒グラフである。
【図2】
図2は、甲状腺腫瘍と正常甲状腺または正常な近位組織との比較における抗ロイコプロテアーゼの過剰発現を図解した棒グラフである。
【図3】
図3は、卵巣腫瘍と正常卵巣との比較における抗ロイコプロテアーゼの過剰発現を図解したSAGEライブラリーデータの結果を説明した表である。
Claims (24)
- 哺乳動物において炎症性肺障害を診断する方法であって、該方法は、以下の工程:
a)哺乳動物由来の細胞集団において抗ロイコプロテアーゼポリペプチドをコードする核酸の発現を測定する工程;および
b)該核酸の発現を、炎症陽性参照プロフィールの抗ロイコプロテアーゼポリペプチドをコードする核酸の発現と比較する工程であって、哺乳動物由来の細胞集団と該参照プロフィールとの間の該核酸の発現の類似性が、哺乳動物における肺炎症性障害の存在を示す、工程、
を包含する、方法。 - 前記哺乳動物が哺乳動物である、請求項1に記載の方法。
- 炎症性肺障害が、気腫、ぜん息、気管支炎およびアレルギーからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
- 哺乳動物において炎症性肺障害を診断する方法であって、該方法は、以下の工程:
a)哺乳動物由来の細胞集団において抗ロイコプロテアーゼポリペプチドをコードする核酸の発現を測定する工程;および
b)該核酸の発現を、炎症陰性参照プロフィールの抗ロイコプロテアーゼポリペプチドをコードする核酸の発現と比較する工程であって、該参照プロフィールと比較して該哺乳動物由来の細胞集団における該核酸配列の発現の増強が、該哺乳動物における肺炎症性障害の存在を示す、工程、
を包含する、方法。 - 前記炎症陰性参照プロフィールが前記哺乳動物に由来する、請求項4の方法。
- 前記哺乳動物がヒトである、請求項4の方法。
- 前記炎症性肺障害が、気腫、ぜん息、気管支炎およびアレルギーからなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
- 哺乳動物において炎症性肺障害を診断する方法であって、該方法は、以下の工程:
a)哺乳動物由来の細胞集団において配列番号1の核酸の発現を測定する工程;および
b)該核酸の発現を、炎症陽性参照プロフィールの抗ロイコプロテアーゼポリペプチドをコードする核酸の発現と比較する工程であって、該哺乳動物由来の細胞集団と該参照プロフィールとの間の該核酸の発現の類似性が、該哺乳動物における炎症性肺障害の存在を示す、工程、
を包含する、方法。 - 哺乳動物において炎症性肺障害を診断する方法であって、該方法は、以下の工程:
a)哺乳動物由来の細胞集団において配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸の発現を測定する工程;および
b)該核酸の発現を、炎症陽性参照プロフィールの抗ロイコプロテアーゼポリペプチドをコードする核酸の発現と比較する工程であって、該哺乳動物由来の細胞集団と該参照プロフィールとの間の該核酸の発現の類似性が、該哺乳動物における炎症性肺障害の存在を示す、工程、
を包含する、方法。 - 哺乳動物における炎症性肺障害を処置する方法であって、該方法は、抗ロイコプロテアーゼを阻害する化合物を該哺乳動物に投与する工程を包含する、方法。
- 前記化合物が抗ロイコプロテアーゼアンチセンス核酸である、請求項10に記載の方法。
- 前記化合物が、抗ロイコプロテアーゼポリペプチドまたは抗ロイコプロテアーゼ核酸に結合する、請求項10に記載の方法。
- 前記化合物が抗ロイコプロテアーゼ抗体である、請求項10に記載の方法。
- 前記哺乳類がヒトである、請求項10に記載の方法。
- 哺乳動物における炎症性肺障害を予防する方法であって、該方法は、抗ロイコプロテアーゼを阻害する化合物を該哺乳動物に投与する工程を包含する、方法。
- 前記化合物が、抗ロイコプロテアーゼアンチセンス核酸である、請求項15に記載の方法。
- 前記化合物が、抗ロイコプロテアーゼポリペプチドまたは抗ロイコプロテアーゼ核酸に結合する、請求項15に記載の方法。
- 前記化合物が抗ロイコプロテアーゼ抗体である、請求項15に記載の方法。
- 前記哺乳類がヒトである、請求項15に記載の方法。
- 肺の炎症を阻害する化合物を同定する方法であって、該方法は、以下の工程、
(a)抗ロイコプロテアーゼ発現細胞を提供する工程;
(b)該細胞と試験化合物とを接触させる工程;および
(c)該抗ロイコプロテアーゼの発現を測定する工程であって、該試験化合物の非存在下と比較して該試験化合物の存在下での発現の減少が、試験化合物が肺の炎症を阻害することを示す、工程、
を包含する、方法。 - 請求項20に記載の方法において同定された、化合物。
- 癌を有する哺乳動物の予後を評価する方法であって、該方法は、以下の工程:
a)哺乳動物由来の細胞集団において抗ロイコプロテアーゼポリペプチドをコードする核酸の発現を測定する工程;および
b)該核酸の発現を、癌参照プロフィールの抗ロイコプロテアーゼポリペプチドをコードする核酸の発現と比較する工程であって、該哺乳動物由来の細胞集団と該癌参照プロフィールとの間の該核酸配列の発現の実質的な類似性が、該哺乳動物における有害な予後を示す、工程、
を包含する、方法。 - 前記癌が、甲状腺癌腫、卵巣癌腫、および腎細胞癌腫からなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
- 甲状腺腫瘍の転移の可能性を評価する方法であって、該方法は、以下の工程:
a)哺乳動物由来の細胞集団において抗ロイコプロテアーゼポリペプチドをコードする核酸の発現を測定する工程;および
b)該核酸の発現を、転移性癌参照プロフィールの抗ロイコプロテアーゼポリペプチドをコードする核酸の発現と比較する工程であって、該哺乳動物由来の細胞集団と該転移性癌参照プロフィールとの間の該核酸配列の発現の実質的な類似性は、該甲状腺腫瘍が転移性であることを示す、工程、
を包含する、方法。
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