JP2005295948A - 骨髄異形成症候群特異的遺伝子同定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 骨髄異形成症候群(MDS)は、比較的高い発生率を示すにもかかわらず、進行期にあるMDS患者を処置するための効果的な手段はほとんど存在しない。DNAマイクロアレイは、MDSの分子的病因を明らかにし、MDSに対する新規な処置法を開発するための有用なツールと考えられる。しかしながら、MDSの異なる病期にある個体からの骨髄単核細胞についてのDNAマイクロアレイを用いた単純な比較では、主として、その発現の変化が骨髄中のMDS芽球の割合のみを反映する「偽陽性」遺伝子の単離に終わってしまう。
【解決手段】 健康な有志者及び30人のMDS患者の骨髄よりAC133細胞表面マーカー陽性造血幹細胞を精製し、本発明者が作成したマイクロアレイにより2304遺伝子について発現プロファイルを比較するのに使用した。その結果、緩徐進行期または進行期の一方で特異的に発現する遺伝子群の単離に成功した。
【選択図】 なし

Description

本発明は、骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome;MDS)特異的遺伝子を同定する方法に関する。また、本発明はそれらの遺伝子を用いてMDSを診断する方法、及び該遺伝子の発現を検出するMDS診断剤に関する。さらに、本発明はMDSを治療及び/または予防するための化合物の同定方法、及び同定された化合物を活性成分として含む薬剤に関する。
骨髄異形成症候群(MDS)は、主として年配の者を患者とするクローン性の血液疾患である(Lowenthal,R.M.&Marsden,K.A.,Int.J.Hematol.(1997)65:319-38)。MDSの特徴として、骨髄系、赤血球系、及び巨核球/血小板系等の複数の血液細胞系統における形成異常の存在が挙げられる。そのため、MDSは、多分化能造血幹細胞のレベルで起こる悪性転換の結果であると考えられている。その他のMDSの重要な特徴としては、いわゆる「無効造血」と呼ばれる状態、即ち、骨髄中における細胞質の増加、及び末梢血における血球減少がある。MDS患者の未成熟骨髄細胞は、分化プログラムに欠損があるか、または十分な数まで増殖する前にアポトーシスを起こしている可能性がある。
MDSの臨床的経過は幾つかの独特な局面に分かれている(Harris,N.L.,et al., J.Clin.Oncol.(1999)17:3835-49)。初期の不活性(indolent)期には、患者は血球減少症を患うのみで、特別な治療を必要としない場合もある。このような患者は、骨髄中の環状鉄芽球の存在の有無により、「不応性貧血(refractory anemia;RA)」または「環状鉄芽球を伴うRA(RA with ringed sideroblasts;RARS)」の病期に分類される。数年、または場合によっては数十年間この不活性期が続いた後、患者の一部は白血病の状態へと移行していく。より詳細には、骨髄中の白血病性芽球が増加し、患者は骨髄中の芽球が5〜20%の状態で「芽球増加を伴うRA(RA with excess of blasts;RAEB)」の病期にあると診断され、最終的にはMDS関連「急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia;AML)(骨髄中の芽球が>20%)」となる。このようなMDS関連白血病の悪性細胞は化学療法薬に対して抵抗性であり、患者の平均寿命は1年に満たない。
そこで、MDSに対する効果的な治療法開発には、MDSの病期進行の根源的な分子機構を解明することが必須であると思われる。残念なことに、この点については現在わずかな情報しかない。MDS細胞におけるRAS遺伝子の点変異が発見されているが、その変異の予後評価における意義についてはいまだ異論もある(Horiike S. et al.,Leukemia(1994) 8:1331-6; Neubauer A. et al.,Leukemia(1994)8:638-41)。他の研究者により、MDS細胞における腫瘍抑制遺伝子発現の減少も報告されている。例えば、高い頻度ではないが、p53遺伝子の対立遺伝子欠失、及び残る対立遺伝子における点変異が、進行期にあるMDSで報告されている(Fenaux P. et al., Semin.Hematol.(1996)33:127-138)。また、別の腫瘍抑制遺伝子p15INK4bのプロモーターサイレンシングによる転写抑制の報告もある(Quesnel B. et al.,Blood (1998)91: 2985-90)。しかしながら、これらの発現変化のMDSの病期進行への関与は未だ証明されていない。
DNAマイクロアレイにより、ある細胞型または組織の「トランスクリプトーム」をモニターすることが可能となる。この技術により、数千もの遺伝子の発現プロファイルを同時に定量することができる(Duggan D.J. et al.,Nat.Genet.(1999)21:10-4)。このような大規模スクリーニングにより、MDSの臨床的経過に伴って病期依存的にその発現が変化する遺伝子を同定できる可能性がある。このような病期特異的遺伝子の抽出により、MDSの分子診断のみならずMDSの病期進行の予測も容易となり、MDSにおける白血病性芽球の増加を制御する分子的事象を明らかにする手助けとなることが期待される。
しかしながら、異なる患者の骨髄単核球細胞を試料としたマイクロアレイ上での単純な比較では、MDSの異なる病期にある患者間で白血病性芽球の割合は大きく異なることを考えると、偽陽性結果が多数混じる可能性がある。例えば、RAの患者とMDS関連白血病の患者との間で、骨髄単核球細胞のトランスクリプトームを比較すると、MDS関連白血病では未成熟血液細胞に特異的なあらゆる遺伝子が誘導されると誤って結論付けてしまう可能性がある。この「見かけ」の誘導は、MDS関連白血病患者の骨髄中の未成熟白血球数の増大を反映するのみであると考えられ、このような試験では、二人の患者の間で細胞当たりのmRNAコピー数が本当に変化したかどうかを正確に検討することはできない。
このような「母集団シフト効果」を排除するため、マイクロアレイ分析の前に、両標本からバックグラウンドを一致させた集団を精製し、精製した画分の間でトランスクリプトームを比較するのが効果的と考えられる。MDSでは造血幹細胞において悪性転換が起こるという事実を考慮し、本発明者は、造血幹細胞がこのようなMDSのバックグラウンドを一致させた集団(background-matched population;BAMP)スクリーニングの良い標的となると判断した(非特許文献1)。造血幹細胞を用いた分析により、骨髄中の芽球数、または芽球の分化能に拘りなくMDS芽球のトランスクリプトームを直接比較できると期待される。この目的のため、本発明者は造血幹細胞特異的細胞表面マーカーAC133(Hin A.H. et al.,Blood(1997)90:5002-12)を利用することとした。そこで、白血病、または、MDSを含む白血病関連疾患の個体よりAC133陽性造血幹細胞様画分を精製し、貯蔵することにした。この保管物を「芽球バンク」と名付けた(非特許文献1)。この芽球バンクの細胞を利用することにより、本発明者はMDS関連白血病と新規AMLを区別する診断において、有用な発現差を示す遺伝子群を同定した(非特許文献1)。さらに、慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia;CML)の病期依存的な発現を示す遺伝子集団も明らかにした(非特許文献2)。
Miyazato A. et al.,Blood(2001)98:422-7 Ohmine K. et al.,Oncogene(2001)20:8249-57
本発明は、骨髄異形成症候群(MDS)の診断に有効な、MDS特異的遺伝子を同定する方法を提供することを目的とする。
本発明者により以前示されたように、精製した芽球を用いたBAMPスクリーニングにより得られる結果は、単核球細胞比較の場合よりも偽陽性データが少ない(非特許文献1及び2)。そこで、本発明はBAMPスクリーニング方法を利用した骨髄異形成症候群(MDS)関連遺伝子を同定するための方法、並びに同定された遺伝子を用いたMDSの診断方法、及び診断に用いられる診断薬に関する。さらに、本発明は、MDSを治療または予防するための化合物を同定する方法、及び同定された化合物を含むMDS治療剤または予防剤に関する。
第一の態様として、本発明は、MDS特異的遺伝子を同定するための方法に関する。より詳細には、(a)予後不良病期にあるMDSの患者、及び正常な被験者または予後良好病期の患者から調製された造血幹細胞における遺伝子発現を検出する工程、(b)予後不良病期にある骨髄異形成症候群の患者、及び正常な被験者または予後良好病期の患者の間で、造血幹細胞における遺伝子発現を比較する工程、並びに(c)予後不良病期にある骨髄異形成症候群の患者において特異的に過剰発現または過少発現される遺伝子を同定する工程を含むMDS特異的遺伝子の同定方法に関する。本方法において遺伝子発現を検出する造血幹細胞は、骨髄吸引液より調製することができる。また、造血幹細胞の調製は、造血幹細胞特異的細胞表面マーカーを指標として行うことができる。
本発明の別の態様として、MDSの診断方法が挙げられる。本発明の診断方法は、(a)採取された被験者の組織または細胞中におけるMDS特異的遺伝子の発現を検出する工程、及び(b)工程(a)において検出された発現を、コントロール組織またはコントロール細胞における発現と比較する工程から成る。ここで、本方法において発現を検出する遺伝子がMDS患者において特異的にものであり、工程(a)において検出された発現が、コントロール組織またはコントロール細胞における該遺伝子の発現よりも有意に高い場合に、該被験者はMDS罹患の危険性があると判断される。または、該遺伝子がMDSではない個体において特異的に発現されており、工程(a)において検出された発現が、コントロール組織またはコントロール細胞における該遺伝子の発現よりも有意に低い場合に、該被験者はMDS罹患の危険性があると判断される。本方法において発現を検出するMDS特異的遺伝子は、本発明のMDS特異的遺伝子を同定する方法により同定され得るものであればよい。例えば、実施例において同定された、PIASy遺伝子、LH2遺伝子、NDUFV1遺伝子及びPNMA2遺伝子等の遺伝子の発現を本発明の診断方法において検出することができる。被験者の組織または細胞中におけるMDS特異的遺伝子の発現を検出するために、例えば、被験者より調製された造血幹細胞が試料として使用可能である。造血幹細胞は、例えば、被験者の骨髄吸引液より造血幹細胞特異的細胞表面マーカーを指標として調製することができる。
本発明はさらに、MDSの診断剤に関する。本発明の診断剤は、MDS特異的遺伝子によりコードされる蛋白質に結合する抗体、またはMDS特異的遺伝子の転写産物に対して特異的にハイブリダイズするポリヌクレオチドを活性成分として含むことができる。このような診断剤を用いて、被験者の組織または細胞中のMDS特異的遺伝子の発現産物(転写または翻訳産物;mRNA、蛋白質等)を検出することにより、被験者をMDSについて診断することができる。ここで、発現を検出されるMDS特異的遺伝子は、本発明のMDS特異的遺伝子を同定する方法により同定され得るものであればよく、例えば、PIASy遺伝子、LH2遺伝子、NDUFV1遺伝子及びPNMA2遺伝子等が含まれる。
また、本発明の別の態様として、生体試料中のMDS特異的遺伝子の発現異常を起こす遺伝子多型または変異、または該遺伝子によりコードされる蛋白質の活性異常を検出する工程を含む、MDSを診断する方法が提供される。ここで、MDS特異的遺伝子の発現異常を起こす遺伝子多型若しくは変異、または活性異常が、生体試料中に検出された場合に、該生体試料を採取した被験者はMDS罹患の危険性があると判断される。発現を検出されるMDS特異的遺伝子は、本発明のMDS特異的遺伝子を同定する方法により同定され得るものであればよく、例えば、PIASy遺伝子、LH2遺伝子、NDUFV1遺伝子及びPNMA2遺伝子等が含まれる。
本発明はさらに、MDSを治療及び/または予防するための化合物を同定する方法に関する。MDSを治療及び/または予防するための化合物とは、MDSを治療または予防するための薬剤候補となり得る化合物を意味する。具体的には、(a)試験動物または試験細胞に被験物質を投与または接触させ、(b)該試験動物または試験動物中における、MDS特異的遺伝子の発現を検出することにより、このような化合物を同定することができる。ここで、MDS特異的遺伝子がMDS患者において特異的に発現されており、前記(b)において検出された発現が、被験物質不在下における該遺伝子の発現よりも減少している場合に、該被験物質をMDSを治療または予防するための薬剤候補化合物であると判断することができる。または、該遺伝子がMDSではない個体において特異的に発現されており、前記(b)において検出された発現が、被験物質不在下における該遺伝子の発現よりも増加している場合に、該被験物質をMDSを治療または予防するための薬剤候補化合物であると判断することができる。化合物の同定はまた、(a)MDS特異的遺伝子の発現制御領域に作動可能に連結されたレポーター遺伝子を有する試験動物または試験細胞に、被験物質を投与または接触させる工程、及び(b)該試験動物または試験動物中における、レポーター遺伝子の発現を検出する工程、により行うこともできる。この場合、MDS特異的遺伝子がMDS患者において特異的に発現されており、工程(b)において検出されたレポーター遺伝子発現が、被験物質不在下におけるレポーター遺伝子の発現よりも減少している場合に、該被験物質はMDSを治療または予防するための薬剤候補化合物であると判断される。または、該遺伝子がMDSではない個体において特異的に発現されており、工程(b)において検出されたレポーター遺伝子発現が、被験物質不在下における該レポーター遺伝子の発現よりも増加している場合に、該被験物質はMDSを治療または予防するための薬剤候補化合物であると判断される。さらに別の薬剤候補化合物の同定方法として、(a)MDS特異的遺伝子によりコードされる蛋白質に被験物質を接触させる工程、及び(b)該蛋白質の活性を検出する工程を含む方法を挙げることができる。この場合には、MDS特異的遺伝子がMDS患者において特異的に発現されており、工程(b)において検出された活性が、被験物質不在下における活性よりも減少している場合に、該被験物質はMDSを治療または予防するための薬剤候補化合物であると判断される。または、該遺伝子がMDSではない個体において特異的に発現されており、工程(b)において検出された活性が、被験物質不在下における活性よりも増加している場合に、該被験物質はMDSを治療または予防するための薬剤候補化合物であると判断される。これらの薬剤候補化合物の同定方法におけるMDS特異的遺伝子は、本発明のMDS特異的遺伝子の同定方法により同定され得る遺伝子であればよく、例えば、PIASy遺伝子、LH2遺伝子、NDUFV1遺伝子及びPNMA2遺伝子が含まれる。
本発明はさらに、上記薬剤候補化合物の同定方法により同定された化合物を活性成分として含む、MDSの治療薬または予防薬に関する。
出願人が認識している範囲で、新鮮なMDS試料、特に分画したMDS芽球を用いた大規模発現プロファイリングについての報告はこれが初めてである。精製芽球バンク試料を用いたマイクロアレイ分析は、MDSの様々な病期の分子マーカーを同定に非常に有用な系であるのみならず、形質転換の分子機構についての手がかりを与えるものであることが証明された。本発明の方法により、効率的にMDS特異的遺伝子を同定することができる。本方法により同定されたMDS特異的遺伝子の異常、またはその発現を指標として、MDSの診断を行うことができる。本発明のMDS特異的遺伝子の同定方法によると、各MDSの病期に特異的なMDS特異的遺伝子が同定されるため、該遺伝子を用いた診断では、MDSの病期進行の予測をすることも可能となる。さらに、本方法により同定された遺伝子は、MDSを治療または予防するための薬剤候補化合物の選択に利用することもできる。
本明細書中に記載される全ての文献は、本発明が属する技術分野の従来技術をより完全に説明するために、本明細書の一部を構成する。
本出願において、本発明者は、細胞表面蛋白質、シグナリング構成要素、及び転写因子をコードする遺伝子を含む2304遺伝子の発現プロファイルを、30人のMDS患者(RA患者11人、RAEB患者5人、及びMDS関連白血病患者14人)、及び健康な有志者から得られた芽球バンク試料において比較した。BAMPスクリーニングの結果、コントロールまたはRA試料で高発現を示すが、進行期で減少する遺伝子の一つとして、STAT1の潜在的な阻害剤であるPIASy(Liu B. et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(2001)98:3203-7)が選択された。さらなる研究により、PIASyの発現によりマウス骨髄セルライン32Dのアポトーシスが誘導されることが明らかになった。即ち、PIASy発現の減少は、白血病性芽球の生長に関わり、MDSの病期を進行させる可能性がある。この結果は、PIASyが「腫瘍サプレッサー」として機能し、MDSの病期進行を妨げることを示唆している。これは、BAMPスクリーニングを利用した遺伝子の同定方法が、MDS特異的遺伝子の同定に適していることを示している。
そこで、本発明はBAMPスクリーニング方法を利用したMDS特異的遺伝子を同定する方法に関する。具体的には、本方法は次の工程を含むものである:(a)予後不良病期にあるMDS患者、及び正常な個体または予後良好病期のMDS患者から調製された造血幹細胞における遺伝子発現を検出する工程、(b) 予後不良病期のMDS患者、及び正常な個体または予後良好病期のMDS患者の間で、造血幹細胞中の遺伝子発現を比較する工程、並びに(c) 予後不良病期のMDS患者において特異的に発現または抑制(過剰発現または過少発現)されている遺伝子を同定する工程。
ここで、造血幹細胞は好ましくは、骨髄吸引物から集めた骨髄単核細胞から、造血幹細胞特異的細胞表面マーカーを指標として調製される。「造血幹細胞特異的細胞表面マーカー」は特に限定されず、造血幹細胞に特異的な表面蛋白質であれば良い。造血幹細胞特異的表面マーカーには、AC133の他にKDR(GenBank accession number:NM_002253)およびKIT(NM_000222)が含まれる。例えば、造血幹細胞は、造血幹細胞特異的細胞表面マーカーに対する抗体を用いて、骨髄単核細胞から回収することができる。「予後不良病期のMDS患者」とは、「過剰の芽球を伴う不応性貧血(refractory anemia with excess of blasts;RAEB)」、またはMDS関連「急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia;AML)」と診断された患者を指す。患者は、骨髄中の芽球がそれぞれ5〜20%、及び20%以上となったときにRAEB、及びMDS関連AMLの病期にあると判定される。一方、「正常な個体または予後良好病期のMDS患者」とは、健康である(MDSではない)か、または「不応性貧血(refractory anemia;RA)」の病期にある個体を意味する。本方法において遺伝子発現を検出する患者または個体は、好ましくはヒトであるが、その他の哺乳動物を対象として用いてもよい。
本発明によると、造血幹細胞中での遺伝子発現は、好ましくは転写因子、膜蛋白質、細胞シグナリング及び酸化還元制御に関わる蛋白質等をコードする遺伝子に基づくオリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドマイクロアレイを用いて検出される。具体的には、まず、総RNAを造血幹細胞より、例えば、酸グアニジン法により抽出し、増幅により二本鎖cDNAに変換する。cDNAは、ポリ(A)+RNAよりオリゴキャップ法(Maruyama M. and Sugano S.,Gene(1994)138:171-4)により、またはcDNA合成系(GIBCO BRL)を用いて調製することができる。次に、cDNAをマイクロアレイとのハイブリダイゼーションのために標識cRNAに変換する。cRNAは、酵素(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ等のペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-D-ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ペニシリナーゼ、カタラーゼ、アポグルコースオキシダーゼ、ウレアーゼ、ルシフェラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ等)、蛍光物質(例えば、フルオレセインイソチオシアネート、フィコビリ蛋白質、希土類金属キレート、ダンシルクロリド、テトラメチルローダミンイソシアネート等)、化学発光物質、ビオチン、アビジン、アイソトープ(例えば、3H、14C、125I、131I等)等々を含むいかなるマーカーにより標識しても良い。アイソトープ及び蛍光物質は単独で検出することができる。それに対して酵素、化学発光物質、ビオチン及びアビジンは、他の物質の助けなしにはいかなる検出可能なシグナルも放出しない。そこで酵素標識は、例えば、検出可能な基質と反応させることにより検出する。酵素標識の活性は、比色定量、蛍光法、生物発光法、化学発光法等により測定できる。一方、ビオチンを標識として用いる場合には、アビジン、ストレプトアビジン等の補助により測定を行うことができる。
本発明の方法により単離される遺伝子は、MDSの診断に用いることができる。具体的には、本発明は、次の工程を含むMDSを診断する方法に関する:(a)採取された被験者の組織または細胞中におけるMDS特異的遺伝子の発現を検出する工程、及び(b)工程(a)において検出された発現を、コントロール組織またはコントロール細胞中の該遺伝子の発現と比較し、(1)該遺伝子がMDS患者特異的に発現される場合に、工程(a)において検出された発現がコントロール組織若しくはコントロール細胞における発現よりも有意に高い場合、または(2)該遺伝子がMDSではない個体特異的に発現される場合に、工程(a)において検出された発現がコントロール組織若しくはコントロール細胞における発現よりも有意に低い場合に、被験者をMDSを患う危険があると判定する工程。
本診断方法においては、骨髄吸引物より、上述のMDS特異的遺伝子の同定方法の場合と同様に造血幹細胞特異的細胞表面マーカーを用いて調製した造血幹細胞を、被験試料として用いることが好ましい。さらに、MDS特異的遺伝子は、本発明のMDS特異的遺伝子を同定する方法により同定することができるいかなる遺伝子であってもよく、実施例においてMDS特異的遺伝子として同定されたPIASy遺伝子、LIM-Hox2(LH2)遺伝子、NADH-ユビキノンオキシドレダクターゼフラビン蛋白質(NDUFV1)遺伝子、及び腫瘍随伴性抗原MA2(PNMA2)遺伝子が含まれる。本診断方法においては、複数のMDS特異的遺伝子の発現についての検出を行ってもよい。複数のMDS特異的遺伝子の発現を検出することにより、より信頼性の高い診断を行い得ると期待される。また、さらにMDS特異的遺伝子の発現と共に、コントロールとなる遺伝子の発現を検出することもできる。コントロールとする遺伝子は特に限定されないが、MDSに依存せず、普遍的に発現されている遺伝子を選択することが好ましい。例えば、β-アクチンをコードする遺伝子をコントロールとすることができる。
PIASyはSTAT1に結合し、その活性を抑制する蛋白質として同定された(Liu B. et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA(2001)98:3203-7)。STAT蛋白質に対するこのような制御的な役割の他、最近の報告では、アンドロジェン受容体(Gross M. et al.,Oncogene(2001)20:3880-7)若しくはp53(Nelson V. et al.,Apoptosis(2001)6:221-34)の活性の改変、または転写因子LEF1のSUMO-1化(sumoylation)(Sachdev S. et al.,Genes Dev.(2001)15:3088-103)等、従来予測されていたよりも広範囲にわたるPIAS機能が示唆されている。興味深いことに、Liuらは、ヒト腎臓293T細胞中のPIASyの強制発現がアポトーシスの誘導を伴うことを示し(Liu B.&Shuai K.,J.Biol.Chem.(2001)276:36624-31)、これによりPIASyのプロアポトーシス活性が示唆された。コードされるアミノ酸配列、及びPIASyのヌクレオチド配列はデータベース上、各々、NP057233及びBQ263140のアクセッション番号で登録されている。
LH2は、ホメオボックス含有転写因子である。LH2の標的遺伝子も、該因子の生体における機能も同定されていないが、慢性骨髄性白血病におけるLH2遺伝子の異常発現(Wu H.K. et al., Oncogene(1996)12:1205-12)、及び、生体内において未成熟B細胞では発現されるが成熟B細胞では発現されていないこと(Xu Y. et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1993)90: 227-31)から、LH2の有糸分裂シグナリングへの関与が示唆されている。コードされるアミノ酸配列、及びLH2のヌクレオチド配列はデータベース上、各々、P50458及びAI885630のアクセッション番号で登録されている。
NDUFV1は、ミトコンドリアの電子伝達に関わるNADH:ユビキノンオキシドレダクターゼの構成要素である(Ali S.T. et al.,Genomics(1993)18:435-9)。そのため、NDUFV1発現の増加は、形質転換された芽球細胞中のミトコンドリア呼吸率の増加を反映すると考えられる。コードされるアミノ酸配列、及びNDUFV1のヌクレオチド配列はデータベース上、各々、AF053069及びNM_007103のアクセッション番号で登録されている(Biochem.Biophys.Res.Commun. (1998)245(2):599-606)。
腫瘍随伴抗原MA2(PNMA2)は元来、精巣癌細胞から産生される血清マーカーとして同定され(Voltz R. et al., N.Engl.J.Med.(1999)340:1788-95)、新生物随伴症候群を起こす抗原となると考えられている。コードされるアミノ酸配列、及びPNMA2のヌクレオチド配列はデータベース上、各々、NP_009188及びNM_007257のアクセッション番号で登録されている。
MDS特異的遺伝子の発現は、本発明のMDS特異的遺伝子を同定する方法により同定されたMDS特異的遺伝子によりコードされる蛋白質に結合する抗体を用い、蛋白質を組織及び細胞より抽出して、ウェスタンブロット、免疫沈降、ELISA等により検出することができる。ここで、「抗体」とはキメラ抗体を含むモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、二特異性抗体及びダイアボディを含む多特異性抗体(EP404097、WO93/11161、Hollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1993)90:6444-8)、並びに、Fab、Fab’、F(ab’)2及びFv(例えば、sFv(Pluckthun "The Pharmacology of Monoclonal Antibodies"第113巻,Rosenburg及びMoore編(1994)Springer-Verlag,New York,269-315))を含む抗原結合活性を保持した抗体断片を意味し、MDS特異的遺伝子によりコードされる蛋白質を特異的に検出できるものであれば特に制限されない。
ポリクローナル抗体は、本発明のMDS特異的遺伝子によりコードされる蛋白質またはその断片を、ウサギまたはマウス等の非ヒト哺乳動物の皮下または腹膜内に免疫化することにより製造することができる(Current protocols in Molecular Biology,Ausubelら編,(1987)John Wiley&Sons,第11.12-11.13章)。免疫化に用いる蛋白質は、必要に応じ、マレイミドベンゾイルスルホコハク酸イミドエステル(システイン残基を介した結合)、N-ヒドロスクシンイミド(リシン残基を介した結合)、グルタルアルデヒド、コハク酸無水物、塩化チオニル等を含む二価物質及び誘導物質を介してキーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシチログロブリン、大豆トリプシン阻害剤等に結合してもよい。
一方、モノクローナル抗体は、本発明のMDS特異的遺伝子によりコードされる蛋白質またはその断片により免疫化した動物から得られる脾臓細胞をミエローマ細胞と融合してハイブリドーマ細胞を作ることにより産生することができる(Current protocols in Molecular Biology,Ausubelら編,(1987)John Wiley&Sons,第11.4-11.11章)。または、モノクローナル抗体は試験管内において、ファージディスプレイ法により製造することもできる(Hawkins et al.,J.Mol.Biol.(1992)254:889-96;Lowman et al.,Biochemistry(1991)30(45):10832-8)。さらに、抗体を改変する方法も周知であり(例えば、US5994511号参照)、改変された抗体を用いてMDS特異的遺伝子の発現を検出してもよい。
また、MDS特異的遺伝子の発現は、本発明のMDS特異的遺伝子を同定するための方法により同定されたMDS特異的遺伝子の転写産物(例えば、mRNA)に特異的にハイブリダイズするポリヌクレオチドを用いて検出することもできる。この方法に用いられるポリヌクレオチドの形体は特に制限されず、本方法により同定されたMDS特異的遺伝子に特異的にハイブリダイズすることができればよい。例えば、PIASyLH2NDUFV1PNMA2等の遺伝子、及びその断片が含まれる。該ポリヌクレオチドは、好ましくは少なくとも15bpの長さを有し、より好ましくは100bpよりも長く、さらに好ましくは500bpよりも長い。一般に、このようなポリヌクレオチドは3000bp以内、より好ましくは2000bpより短い鎖長を有する。さらに、MDS特異的遺伝子のmRNAを消化するアンチセンス核酸、リボザイム及びsiRNAもこのようなポリヌクレオチドに含まれる。アンチセンス核酸、リボザイム及びsiRNA等のポリヌクレオチドは、MDS特異的遺伝子の発現を抑制するために使用することもできる。このような遺伝子発現を抑制するポリヌクレオチドは公知の方法に従って作成することができる。
本発明の検出に利用されるこのようなポリヌクレオチドは、本発明のMDS特異的遺伝子を同定する方法によって調製することができる。さらに、同定された遺伝子を慣用の方法により配列決定することにより、ポリヌクレオチドをプローブ及び/またはプライマーを用いたハイブリダイゼーション(Current protocols in Molecular Biology,Ausubelら編,(1987)John Wiley&Sons,第6.3-6.4章)、またはさらに増幅を行うためPCRにより、MDS特異的遺伝子を適当な供給源(例えば、造血幹細胞)から調製することができる。該遺伝子及びその断片はまた、化学的にヌクレオチドを連結することにより製造することもできる。
本発明に利用されるポリヌクレオチドは、本発明のMDS特異的遺伝子に対して特異的にハイブリダイズすればよく、遺伝子に対して完全に相補的である必要はない。このような多少変異したポリヌクレオチドは、部位特異的変異(Current protocols in Molecular Biology,Ausubelら編,(1987)John Wiley&Sons,第8.1-8.5章)、PCR(Current protocols in Molecular Biology,Ausubelら編,(1987)John Wiley&Sons,第6.1-6.4章)、通常のハイブリダイゼーション(Current protocols in Molecular Biology,Ausubelら編,(1987)John Wiley&Sons,第6.3-6.4章)等により得ることができる。
ハイブリダイゼーションのためのストリンジェントな条件には、通常、「1×SSC、37℃」の洗浄条件が含まれる。よりストリンジェントな条件での洗浄条件は「0.5×SSC、0.1%SDS、42℃」であり、さらにストリンジェントな条件は「0.1×SSC、0.1%SDS、65℃」である。よりストリンジェントな条件を取ることにより、プローブ配列に対してより高いホモロジーを示すポリヌクレオチドを得ることができる。しかしながら、上記のハイブリダイゼーション条件は単なる例示であり、当業者であれば、プローブのヌクレオチド配列、濃度、及び長さ、反応時間、反応温度、試薬濃度等の条件を考慮して、適当なハイブリダイゼーション条件を設定することができる。本発明のポリヌクレオチドを用いた検出は、ハイブリダイゼーション(Current protocols in Molecular Biology,Ausubelら編,(1987)John Wiley&Sons,第6.3-6.4章)、またはPCR-SSCP等を含むPCRの方法により行うことができる。
本発明はMDSについて診断するための薬剤を提供する。該薬剤は活性成分として次の群から選択される分子を含む:(a)上述のMDS特異的遺伝子を同定する方法により同定されたMDS特異的遺伝子によりコードされる蛋白質に結合する抗体、及び(b)上述のMDS特異的遺伝子を同定する方法により同定されたMDS特異的遺伝子の転写産物に特異的にハイブリダイズするポリヌクレオチド。本発明のMDSの診断剤は、1種類の上記抗体またはポリヌクレオチドを含んでいてもよいし、複数の上記抗体またはポリヌクレオチドを含んでもよく、上記抗体及び上記ポリヌクレオチドを組み合せて含んでいてもよい。複数のMDS特異的遺伝子の発現について検出することにより、より信頼性の高い診断結果が得られることが期待される。このような本発明の薬剤は、上述のMDSを診断する方法において利用することができる。
さらに、次の工程を含むMDSを診断する方法が提供される:(a)生体試料中の、上記MDS特異的遺伝子の同定方法により同定されたMDS特異的遺伝子の異常発現を起こす遺伝的多型若しくは変異、または、該遺伝子によりコードされる蛋白質の異常な活性を検出する工程。このような遺伝的多型若しくは変異、または該蛋白質の異常活性がみられたときに、該生体試料が採取された被験者はMDS罹患の危険性があると判断される。
多型には、ミニサテライトDNA、マイクロサテライトDNA、一塩基多型(SNP)等が含まれる。このようなMDS特異的遺伝子の多型は、健康な個体及びMDS患者のMDS特異的遺伝子領域、及びその発現に拘る領域(例えば、プロモーター領域、オペレーター領域)の配列を決定した後、その配列を比較することにより決定することができる。さらに、検出された多型部位のアレル頻度を計算する。患者において有意にその存在が増加している多型部位は、MDSに関連していると結論付けることができる。
MDS特異的遺伝子の異常発現は、例えば、ストップコドンの挿入、機能領域内のアミノ酸残基変異、及び該遺伝子によりコードされる蛋白質の構造を変化させるようなアミノ酸残基の変異によって引き起こされる可能性がある。従って、本方法において使用される生体試料は、好ましくは、被験者のゲノムDNAを含むDNA試料である。このようなDNA試料は、血液、尿、精液、骨髄液、内臓液、肝臓等の組織、髪等により例示される。例えば、DNA試料は、QIAapDNA blood kit(QIAGEN)により血液中の白血球より調製される。次に、調製されたDNA試料を鋳型とし、標的部位を増幅するために設計したプライマーを用いてPCRを行う。最後に、得られたPCR産物のヌクレオチド配列を決定する。上記PCRにおいて用いたプライマーの一つを、ヌクレオチド配列を決定するための配列決定用プライマーとして使用することが好ましい。本方法により増幅される標的部位は、MDS特異的遺伝子中の多型部位、全MDS特異的遺伝子、または、MDS特異的遺伝子の一部であり得る。
MDS特異的遺伝子の異常発現を起こす遺伝的多型または変異の検出は、PCR-SSCP(一本鎖高次構造多型)(Genomics(1992)12(1):139-46;Oncogene(1991)6(8):1313-8、PCR Methods Appl.(1995)4(5):275-82)によって行ってもよい。PCR-SSCPでは、一塩基の変異、欠失、挿入等によるDNA断片中の変異の存在も、標的一本鎖DNAの電気泳動による移動度の変化をポリアクリルアミドゲル上で検出することにより決定することができる。本方法は、二本鎖DNAより解離した一本鎖DNAが、そのヌクレオチド配列に依存した独特な高次構造を形成するという事実に基づく。DNA鎖より解離した、同じ鎖長の相補的な一本鎖DNA同士は、変性剤を含まないポリアクリルアミドゲル上で電気泳動すると、それぞれの高次構造の違いに応じ、異なる位置へ移動する。さらに、制限断片長多型(RFLP)法、及びPCR-RFLP法のようなゲノムDNAのヌクレオチド配列の違いによって生じる制限断片長の相違を利用した方法により検出を行うこともできる。
また、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)を遺伝子の多型を検出するのに用いてもよい。この方法においては、最初に、MDS特異的遺伝子の標的部位をPCRにより増幅し、勾配をつけた濃度の尿素等の変性剤を含むポリアクリルアミドゲル上で電気泳動を行い、その結果を健康な個体からのDNA試料を用いた場合と比較する。DNA断片は、より低い変性剤濃度のゲル部分で一本鎖DNAへと分離するため、変異を含む断片の移動速度は非常に遅くなる。その結果、DNA断片の移動度の差を検出することにより多型を同定することができる。
さらに、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)ハイブリダイゼーションの方法により検出を行うこともできる。この方法では、まず、多型を含むと予測されるヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドを調製し、次にDNA試料とハイブリダイズさせる。ハイブリダイゼーションに使用されるDNA試料中のオリゴヌクレオチドと異なる多型ヌクレオチドを有する場合、ハイブリダイゼーションの効率は下がる。ハイブリダイゼーション効率の低下はサザンブロット法、及びハイブリッドのギャップに挿入されることにより消光する性質の特異的な蛍光試薬を利用した方法等により検出することができる。
また、検出をリボクリレアーゼAミスマッチトランケーション法によって行ってもよい。具体的には、MDS特異的遺伝子の標的部位を含む領域をPCR等により増幅し、増幅した断片を標識RNAとハイブリダイズさせる。ここで、RNAは健康個体のcDNA(健康型cDNA)より調製する。健康型とは異なるヌクレオチドの存在により形成されるハイブリッドの一本鎖構造部位をリボヌクレアーゼAで切断し、多型をオートラジオグラフィー等により検出することができる。
本発明のMDS診断方法の別の態様には、MDS特異的遺伝子によりコードされる蛋白質の異常活性を検出する工程が含まれる。異常活性が該蛋白質の構造の違いにより生じる場合、このような異常活性は、SDSポリアクリルアミド電気泳動法、並びに、該蛋白質に結合する抗体を利用したウェスタンブロット法、ドットブロット法、免疫沈降法、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)及び免疫蛍光等を含む方法により測定することができる。また、蛋白質の活性を直接検出することにより、MDS特異的遺伝子によりコードされる蛋白質の異常活性を検出してもよい。例えば、本発明において同定されたMDS特異的遺伝子にコードされる蛋白質の一つであるPIASyはSTAT1に結合し、その活性を抑制することが知られている。そこで、PIASyのSTAT1への結合能、またはSTAT1活性抑制能を調べることにより、該遺伝子の異常活性を検出することができる。その他、PIASyには、アンドロジェン受容体及びp53の活性改変、LEF1のSUMO-1化、293T細胞におけるアポトーシス誘導等の活性が知られている。そこで、このような活性を指標として、PIASyの異常活性を検出することもできる。
さらに、本発明はMDSを治療または予防するための化合物を同定する方法に関する。MDSを治療または予防するための薬剤候補となる化合物は、例えば、次の工程により同定することができる:(a)試験動物または試験細胞に試験化合物を投与、または接触させる工程、及び(b)該試験動物または試験細胞において、本発明のMDS特異的遺伝子を同定する方法により同定されたMDS特異的遺伝子の発現を検出する工程。ここで、該遺伝子がMDS患者特異的に発現される場合、工程(b)において検出される発現を減少させる試験化合物が、MDSを治療または予防するための薬剤候補と判定される。または、該遺伝子がMDSではない個体特異的に発現される場合、工程(b)において検出される発現を増加させる試験化合物が、MDSを治療または予防するための薬剤候補と判定される。
本発明において、「試験化合物」とは、微生物の培養上清、細胞及び組織の抽出物、遺伝子ライブラリー発現産物、合成低分子化合物、合成ペプチド、植物及び海洋生物由来天然化合物、ファージディスプレイ法により産生される任意のペプチド群(J.Mol.Biol.(1991)222:301-10)等を含むいかなる化合物であってもよい。このような化合物には、上述のMDS特異的遺伝子によりコードされる蛋白質に対する抗体、該遺伝子に対するアンチセンス、リボザイム及びsiRNA等のポリヌクレオチドも含まれる。試験動物または試験細胞も、MDS患者において特異的に発現されるMDS特異的遺伝子を発現するか、または、MDSではない個体において特異的に発現されるMDS特異的遺伝子の発現が抑制されていればよく、どのような種類の動物または細胞であってもよい。該動物への投与は、経口または非経口により本技術分野において確立された方法により行うことができる。試験細胞と試験化合物を接触させる場合には、細胞を担体上に固定してもよい。
本発明の薬剤候補となる化合物の同定方法における工程(b)は、上述のMDSを診断する方法におけるMDS特異的遺伝子を検出するのと同じ手法により行うことができる。
また、MDSを治療または予防するための化合物の同定方法は、次の工程によって進めることもできる:(a)本発明のMDS遺伝子を同定する方法により同定されたMDS特異的遺伝子の発現制御領域に作動可能に連結したレポーター遺伝子を持つ試験動物または試験細胞に試験化合物を投与する工程、及び(b)該試験動物または試験細胞において、該レポーター遺伝子の発現を検出する工程。ここで、該遺伝子がMDS患者特異的に発現される場合、工程(b)において検出される発現を減少させる試験化合物が、MDSを治療または予防するための薬剤候補と判定される。または、該遺伝子がMDSではない個体特異的に発現される場合、工程(b)において検出される発現を増加させる試験化合物が、MDSを治療または予防するための薬剤候補と判定される。
本発明におけるレポーター遺伝子には、例えば、ルシフェラーゼ、カタラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、グリーン蛍光蛋白質(GFP)等をコードする遺伝子が含まれる。MDS特異的遺伝子の発現制御領域は、該遺伝子をプローブとして用いてゲノムDNAライブラリーより得ることができる。このような発現制御領域には通常、プロモーター配列、リボソーム結合部位等が含まれる。本方法において利用される試験動物及び試験細胞は特に限定されず、MDS特異的遺伝子の発現制御領域を認識するものであればよい。しかしながら、特に、COS細胞、CHO細胞及びHEK293細胞等の哺乳動物細胞を好ましい例として挙げることができる。
具体的に、本発明を実施するためには、まず、MDS特異的遺伝子の発現制御領域に作動可能に連結したレポーター遺伝子を含むベクターを構築する。次に、試験動物または試験細胞を該ベクターで形質転換し、上述のものを含む好ましい試験化合物を該動物または細胞に、投与または接触させる。そして、公知の手法によりレポーター遺伝子の発現を測定する。
さらに、MDSを治療または予防するための化合物の同定方法は、(a)上記MDS特異的遺伝子を同定する方法により同定されるMDS特異的遺伝子によりコードされる蛋白質と試験化合物を接触させる工程、及び(b)蛋白質の活性を検出する工程により行うこともできる。ここで、該遺伝子がMDS患者特異的に発現される場合、工程(b)において検出される活性を減少させる試験化合物を、MDSを治療または予防するための薬剤候補と判定する。または、該遺伝子がMDSではない個体特異的に発現される場合、工程(b)において検出される活性を増加させる試験化合物を、MDSを治療または予防するための薬剤候補と判定する。
また、本発明はMDSを治療または予防するための薬剤であり、活性成分として、上記MDSを治療または予防する化合物を同定する方法により同定された化合物を含む薬剤に関する。
このようなMDSを治療または予防するための薬剤は、化合物自体を直接患者に投与する他、慣用の製薬方法により調製される製薬組成物として投与することもできる。例えば、錠剤、丸剤、粉剤、顆粒剤、カプセル剤、トローチ剤、シロップ剤、液剤、乳剤、懸濁剤、液剤注射及び懸濁剤注射を含む注射剤、坐剤、吸入剤、経皮吸収剤、点眼剤、点眼軟膏等の、活性成分を薬理学的に許容される担体と混合して得ることができる経口、または非経口投与に適した形体に製剤することができる。薬理学的に許容される担体としては、賦形剤、結合剤、崩壊剤、香料、矯正剤、乳化剤、希釈剤、溶解剤等が例示される。
患者への投与は、典型的には、動脈内注射、静脈内注射、経皮注射等を含む公知の方法により行うことができる。患者の体重、年齢、性別及び症状、投与方法等により投与量は変化するが、当業者であれば、適当な用量を適宜選択することができる。また、該化合物がDNAによりコードされ得るものであれば、遺伝子治療を行うこともできる。
遺伝子治療は、例えば、該DNAを、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ関連ウイルスベクター等のウイルスベクター、またはリポソーム等の非ウイルスベクターを含むベクターに挿入することにより行うことができる。目的とするDNAは、これらのベクターを利用して、ex vivo法及びin vivo法により患者に投与することができる。
以上、本発明について一般的な説明を行った。以下、開示された方法、及び請求の範囲に記載された方法の実施可能性を説明するために実施例を示すが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではなく、本発明の範囲は、請求の範囲の記載された内容に基づき、その均等物も含むより包括的なものとして判断される。
実施例1:MDS試料のトランスクリプトーム
11人の不応性貧血(RA)患者、5人の過剰芽球を伴うRA患者、及び14人の骨髄異形成症候群(MDS)関連白血病患者より精製した芽球バンク試料を用い、2304個のヒト遺伝子についての発現プロファイルを得た。まず、書面によりインフォームドコンセントを得た患者より骨髄吸入物を取得し、単核細胞の調製に用いた。次に細胞を抗AC133(造血幹細胞特異的細胞表面マーカー)MicroBeads(Miltenyi Biotec,Auburn,CA)で標識し、製造者の薦めるプロトコルに従ってminiMACS magnetic cell separation column(Miltenyi Biotec)に載せた。得られたAC133+細胞画分を分配し、-80℃で芽球バンク試料として保存した。さらに二人の健康な有志者の骨髄単核細胞よりAC133+細胞を精製し、二人分の試料を混ぜ、「健康コントロール」試料として用いた。各試料の精製度は、ライト-ギムザ染色により確認した。十分量のAC133+細胞が得られた場合には、さらに、AC133、CD34及びCD38に対する抗体(BD Biosciences,San Jose,CA)を用いてフローサイトメトリー分析により評価した。総数31種類の試料を、以下のマイクロアレイ実験に付した。芽球バンク試料から酸グアニジニウム法により総RNAを抽出した。次に、RNAに対して2ラウンドの増幅を行い(Van Gelder et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1990)87: 1663-7)、RNA増幅の忠実度を公知の手法により確認した(Ohmine K., et al.,Oncogene(2001) 20:8249-57)。続いて、増幅されたcRNA 1μgを二本鎖cDNAに変換し、ExpressChip labeling system(Mergen,San Leandro,CA)を用いてビオチン標識cRNAを製造した。標識したcRNAは、主として転写因子をコードする遺伝子に基づくオリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドマイクロアレイ(HO-3)、並びに、膜蛋白質、及び細胞シグナリングまたは酸化還元に関わる蛋白質のオリゴヌクレオチド(どちらもMergenより入手)を含む発明者により作成されたアレイに対してハイブリダイズさせた。全部で、2304個の遺伝子についての発現プロファイリングを行った。
続いて、ストレプトアビジン、抗ストレプトアビジン一次抗体、及び最後にCy3連結二次抗体(全てMergenより)とマイクロアレイを連続的に製造者の指示に従ってインキュベートした。シグナルの検出は418 array scanner(Affymetrix,Santa Clara,CA)で行い、デジタル化されたデータの分析はGeneSpring 4.1.0 software(Silicon Genetics,Redwood,CA)によって行った。階層制クラスタリング分析において、類似度(similarity)は、0.5の解離度で標準相関により測定した。
遺伝子の発現強度データは、全ハイブリダイゼーションにおいて、全遺伝子の平均発現値に対して標準化した。その後、得られたデータを、類似した発現プロファイルを示す遺伝子が互いに近くにまとめられる樹状図「遺伝子樹(gene tree)」を作成するために用いた。図1Aに示すように、MDSの臨床病期の間、アレイ上の50%までの遺伝子が、転写されていなかった。しかしながら、特異的なMDSの病期依存的に発現される遺伝子の集団が存在することは明らかであった。例えば、クラスター#1の遺伝子は#3及び#7のRA患者でのみ高度に発現されており、クラスター#2の遺伝子は、健康コントロール及びRA患者の試料と比べて、RAEB及びMDS関連白血病患者の試料において多量に発現されていた。これらの遺伝子は、各MDS病期の潜在的な分子マーカーとなり得る。
しかしながら、図1Aから明らかなように、病期依存的発現プロファイルを示す遺伝子を正確に抽出することは依然として困難であった。そこで、この目的を達成するため、RA、RAEBまたはMDS関連白血病群の平均発現値を、アレイ上の各遺伝子について計算し、別の樹状図「平均樹(average tree)」を作成するために用いた。図1Bでは、病期特異的発現プロファイルを示す遺伝子クラスターが容易に同定された。次に、発明者は、これらの遺伝子のWelch ANOVA分析による抽出を試みた。しかしながら、このようにして統計的に「病期特異的」(P<0.001)と同定された遺伝子のほとんどが適切な病期特異的マーカーでないことが判明した。このような分析では、各MDS病期内において偏差が小さい発現レベルを示す遺伝子が選択される傾向にあった。残念なことに、これらの遺伝子の発現強度は、ほとんど病期特異的に変化しなかった。
実施例2:病期進行に伴い誘導される遺伝子
本研究の主な目的の一つは、緩徐進行性RAから抗療性RAEB/MDS関連白血病へ病期を進展させる分子機構を解明することであった。そこで本発明者は、予後良好病期(健康コントロール及びRA)並びに予後不良病期(RAEB及びMDS関連白血病)の間のトランスクリプトームの変化を明らかにすることに着目した。各遺伝子の平均発現強度を、予後良好群及び予後不良群の中でそれぞれ計算し、これら2つの群の間における各遺伝子の発現レベル変化を示すため図1Cを描くのに用いた。
まず発明者は、予後良好群に比べて、予後不良群のAC133+細胞において発現が誘導されている遺伝子の単離を試みた。このために、GeneSpring software(Silicon Genetics)の助けを借り、発明者は、予後良好病期において0.0恣意的単位(U)の平均発現レベルを有し、予後不良病期において100.0Uを有する仮定の「予後不良特異的遺伝子」(図1C中、青い線で示す)に対して、0.99の最小相関で、統計的に類似した発現プロファイルを示す遺伝子を捜した。このような総数96個にのぼる遺伝子から、予後良好群の全ての試料において発現値が20.0U以下に保たれているが、予後不良群における少なくとも1つの試料において発現値が50.0Uを超えるものを選択した。
最終的に、これを満たす11個の遺伝子が同定された(図2Aにおいて紫色の遺伝子樹)。この遺伝子には、NADH-ユビキノンオキシドレダクターゼフラビン蛋白質1(NDUFV1)、LIM-Hox2(LH2)、及び腫瘍随伴性抗原MA2(PNMA2)をコードするものが含まれた。例えば、NDUFV1遺伝子の発現は予後不良群に高度に特異的であった。その発現レベルはコントロール試料において4.60Uで、RA試料で1.50U±0.92(平均±SD)であった。しかしながら、RAEB試料及びMDS関連白血病試料ではそのシグナル強度は、各々、26.29U±11.30及び10.36U±9.04にまで上昇した。NDUFV1遺伝子の発現レベルの予後良好群及び予後不良群の間の差異は、統計的に有意であった(P=0.0061)。
これらの遺伝子の、MDSの進行期のみにおける発現から、これらの遺伝子は、MDSの病期を区別する診断のための新規で有用な分子マーカーとなり得ると期待される。
実施例3:病期進行に伴い抑制される遺伝子
種々の腫瘍抑制因子の機能欠損の悪性形質転換過程における絶対的な役割を考慮すると、MDSにおいても同様に、或る遺伝子の発現の減少が直接的に病期進行の一因となっているかもしれない。そこで本発明者は、予後良好病期において100.0Uの平均発現レベルを有し、予後不良病期において0.0Uを有する仮定の「予後良好特異的遺伝子」に対して統計的に類似した発現プロファイルを示す遺伝子を探索した。このような遺伝子として、182個の遺伝子が同定され、その中から、予後良好群の少なくとも1つの試料の発現値が70.0Uを超え、予後不良群において発現値が30.0U以下に保たれているものを選択した。最終的に7個の遺伝子が同定された(図2Aの青色遺伝子樹)。
これらのコントロール/RA特異的遺伝子のうち、特に興味深いのは、シグナル蛋白質のPIASファミリーに属するPIASy及びPIASx-β(Shuai K.,Oncogene(2000)19:2638-44)をコードするものであった。今回のデータにより、PIASy遺伝子が、MDSの緩徐進行期の正常な造血幹細胞または多分化能幹細胞で活性化されるが、進行期への移行により抑制されることが示された。もし、PIASyの発現が正常またはRAの個体の生体内における脱-制御生長の抑制に必須であるならば、その発現が消失することにより、RAEB及びMDS関連白血病の証拠である骨髄内での芽球細胞の生育が促進される可能性がある。そのため、PIASyの発現レベルは病期診断または予後評価の分子マーカーとして有用なだけではなく、MDSの進行期における形質転換機構に直接関与しているかもしれない。
そこで、本発明者は、PIASy遺伝子の病期依存的発現を、以下のようにして定量的リアルタイムPCRにより確認した。まず、増幅していないcDNAを、SYBR Green PCR Core Reagents(PE Applied Biosystems,Foster City,CA)を用いたPCRに付した。PCR産物へのSYBR Green染料の取り込みを即時、ABI PRISM 7700 sequence detection system(PE Applied Biosystems)でモニターし、PCR産物の指数関数的増幅がどのサイクル閾(threshold cycle;CT)で始まるのかを決定した。βアクチン遺伝子及びPIASyの対応するcDNAのCT値を、βアクチンmRNAに対するPIASy転写物量を計算するのに使用した。PCRは次のポリヌクレオチドプライマーを用いた:βアクチンcDNAについて(5’-CCATCATGAAGTGTGACGTGG-3’(配列番号:1)及び5’-GTCCGCCTAGAAGCATTTGCG-3’(配列番号:2))、PIASycDNAについて(5’-AACTACGGCAAGAGCTACTCGGTG-3’(配列番号:3)及び5’-GTTCATCTGCAGGTAGAAGACGGC-3’(配列番号:4))。
PIASy転写物量は、2人の健康有志者、13人のRA患者、9人のRAEB患者、及び13人のMDS関連白血病患者を含む37人の個体のAC133+芽球中のβアクチンmRNAに対して決定された。マイクロアレイ分析の結果と同じく、PIASy遺伝子の発現は、コントロール及びRA患者の芽球で高く、その他の個体では顕著に抑制されていた(P=0.043)(図2B)。以上のように、PIASy遺伝子はMDSの病期依存的分子マーカーの良い候補であることが示された。
実施例4:PIASy発現32D細胞における細胞生長抑制
PIASyがプロアポトーシス活性(腫瘍抑制因子としての機能)を有する可能性を考慮すると、この遺伝子の発現維持は、未成熟血液細胞の生長及び分化特性に影響することが考えられた。そこで、血液細胞系におけるPIASy発現の効果を評価するために、本発明者は外来遺伝子の発現をテトラサイクリン及びβ-エストラジオールで二重制御することができ、選択マーカー薬剤ブラストシジンSに対する耐性を付与する遺伝子を構成的に発現するpMX-tetOFFレトロウイルスベクター(Iida A. et al.,J.Virol.(1996)70:60545-659;Ohmine K. et al.,Oncogene(2001)20: 8249-57)を利用した。
マウス骨髄セルライン32D(Greenberger J.S. et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1983)80: 2931-5)は、IL-3の添加により分化せずに生長するが、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)刺激により好中球へと最終分化を遂げる。このサイトカイン依存的特性により、生長及び分化の両過程を一つのセルラインで分析することができるので、32D細胞を以下の感染実験の宿主として選択した。まず、32D細胞は10%仔ウシ血清(FBS)及び25U/mlのインターロイキン(IL)-3を補ったRPMI1640培地(Life Technologies,Rockville,MD)中に維持した。次に、顆粒球分化を誘導するため、細胞を1ng/mlのG-CSFを含むRPMI1640/FBS中で培養した。COOH-末端FLAGエピトープを付加したヒトPIASyをコードするcDNA(Helix Institute,Chiba,Japan)を、pMX-tetOFFレトロウイルスベクタープラスミド(Ohmine K. et al.,Oncogene(2001)20: 8249-57)に挿入し、pMX-tetOFF/PIASy-Fを作成した。pMX-tetOFF/PIASy-Fを用いることにより、全てのポリクローナルブラストシジン-S耐性細胞は、テトラサイクリン不在下のβ-エストラジオールによる誘導によりFLAGタグPIASyを発現する。一方、PIASy-Fの発現は、テトラサイクリンの存在、またはβ-エストラジオールの不在により抑制することができる。一回の感染により、MX-tetOFF/PIASy-Fウイルスは標的細胞における条件的PIASy-F発現を可能にする。次に、pMX-tetOFFまたはpMX-tetOFF/PIASy-FをパッケージングセルラインBOSC23(Pear W.S. et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1993)90:8392-6)に一過性に導入し、各々、エクトロピックレトロウイルスMX-tetOFFまたはMX-tetOFF/PIASy-Fを製造した。
続いて、BOSC23細胞の上清で32D細胞をレトロネクチン(Takara,Shiga,Japan)存在下、24時間感染させた。MX-tetOFFまたはMX-tetOFF/PIASy-Fで感染させた32D細胞の薬剤耐性選択した大量培養を、非誘導[テトラサイクリン(+)、β-エストラジオール(-)]または誘導[テトラサイクリン(-)、β-エストラジオール(+)]条件下のどちらかで培養した。細胞を集め、5μg/mlブラストシジン-S(Funakoshi,Tokyo,Japan)及び1μg/mlテトラサイクリン(Boehringer Mannheim,Mannheim,Germany)を補ったRPMI1640/FBS/IL-3中で培養した。PIASy-F発現を誘導するため、2μM17β-エストラジオール(Sigma,ST.Louis,MO)及び適当なサイトカインを含むRPMI1640/FBSに培地を変えた。蛋白質分析は、Ohmine K. et al.,Oncogene(2001)20:8249-57記載の方法に従って行った。即ち、まず総細胞溶解物(10μg/レーン)を7.5%SDS-PAGEにより分離し、FLAGに対する抗体(Eastman Kodak,New Haven,CT)を用いたイムノブロット分析を行った。
図3Aに示すように、FLAG抗体を用いたイムノブロット分析により、PIASyが、誘導条件下、MX-tetOFF/PIASy-Fにより感染された32D細胞からのみ豊富に発現されることが示された。しかしながら、予期されたように、偽感染32D細胞から、または非誘導条件下ではMX-tetOFF-PIASy-F感染32D細胞からは、検出可能な量のPIASy-Fは発現されなかった。
PIASy発現の細胞生長に対する影響を研究するために、IL-3存在下、ウイルス感染した32D細胞を培養した。しかしながら、誘導条件及び非誘導条件の間で、生長特性、細胞生存率、細胞表面マーカー発現及び細胞型について何等の相違も検出されなかった(データ示さず)。IL-3により刺激した場合、PIASy発現とは無関係に、32D細胞は健康に生長した。
IL-3不在下、G-CSF存在下では、32D細胞はゆっくりと生長しながら、最終的に顆粒球へと分化した。非誘導条件下では、偽感染細胞及びMX-tetOFF/PIASy-F感染細胞の両方が類似した生育を示した(図3B、左図)。しかしながら、驚くべきことに、PIASy-F発現の誘導は明らかに32D細胞の生長を抑制した。β-エストラジオール自身は偽感染細胞の生長に対して弱い抑制効果しか有していないが(白丸と黒丸とを比較)、MX-tetOFF/PIASy-F感染細胞への効果はより明白であった。このような生長抑制に加えて、32D細胞の生存率もPIASy誘導により減少した(図3B、右図)。
Liuらは、PIASファミリーの蛋白質が、c-Jun NH2-末端キナーゼ(JNK)1の活性化を介してアポトーシスを誘導することを示した(Liu B.&Shuai K.,J.Biol.Chem.(2001)276:36624-31)。しかしながら、32D細胞の場合、PIASy発現には、JNK1活性に対する何の効果も検出されなかった。さらに、PIASy媒介アポトーシスは、優性ネガティブ型JNK1の強制発現により阻止することができなかった(データ示さず)。よって、この系では、JNK1はPIASyによるアポトーシスの主要なメディエーターではないことが示唆された。
実施例5:PIASyは32D細胞アポトーシスを誘導する
図3において観察される、細胞死の誘導及び細胞生長の遅延は、アポトーシスの誘導または分化過程の促進の結果と考えられる。32D細胞における生長抑制の機構を解明するために、誘導条件下に8日間置かれた細胞の形態を次のようなライト-ギムザ溶液による染色により分析した。まず、MX-tetOFFまたはMX-tetOFF/PIASy-Fで感染した32D細胞を、17β-エストラジオール存在下、G-CSFと共に8日間培養した。次に、各細胞画分のサイトスピン調製物を、ライト-ギムザ溶液で染色した。IL-3存在下の偽感染細胞は、細胞質に対する核の割合が高い、中から大の大きさの形体であった(図4A)。G-CSFと共に8日間培養した場合、50%より多くの細胞が分化した表現型を示した。即ち、細胞質に対する核の割合が低目、且つ好中球型の細胞質を有する細胞であるか、または核が分裂した細胞であった。
IL-3を含む生長条件下では、MX-tetOFF/PIASy-F感染した細胞は、偽感染細胞と類似した表現型を示した。しかしながら、G-CSFと共に培養すると、核の凝縮及び断片化、並びに細胞の収縮といったアポトーシスの特徴的な形態を持つ細胞の数が顕著に増加した。
分化条件下での32D細胞のアポトーシスの割合を直接評価するため、G-CSFと共に8日間培養した細胞をアネキシンV(BD Biosciences)及びヨウ化プロピジウム(PI)で染色し、FACScan processor(BD Biosciences)を用いてサイトフローメトリー分析を行い、アポトーシスの特徴である、ホスファチジルセリン(PS)の細胞膜内側から外層への転移を検出した。さらに、顆粒球特異的マーカーGr-1に対する抗体(BD Biosciences)とFACScan processorを用いて32D細胞の分化を評価した。図4Bに示すよう、非誘導条件及び誘導条件の偽感染32D細胞において、G-CSFと一緒に培養することにより、各々、10.4%及び16.9%のアポトーシス細胞(PS陽性、及びPI陰性)が誘導された。興味深いことに、PIASy発現によりG-CSFと共に培養された32D細胞におけるアポトーシス細胞の割合が10.8から37.5%増加した。全死滅細胞(PS陽性/PI陰性、及びPS陽性/PI陽性)は、非誘導偽感染細胞で15.5%、誘導偽感染細胞で23.8%、非誘導MX-tetOFF/PIASy-F感染細胞で18.4%、誘導MX-tetOFF/PIASy-F感染細胞で49.8%であった。これらのデータは、PIASyが分化過程においてアポトーシスを誘導することにより32D細胞生長を抑制するという仮説をサポートするものである。
PIASyが顆粒球分化を同じように促進するかどうかを調べるため、本発明者は、誘導条件化の分化細胞の割合を顆粒球特異的細胞表面蛋白質Gr-1に対する抗体(BD Biosciences)を用いたフローサイトメトリーにより測定した。IL-3存在下で培養した場合、偽感染及びMX-tetOFF/PIASy-F感染細胞の両方において、Gr-1+細胞の割合は3.0%より少なかった(図4C)。それに対してG-CSFとの培養により、偽感染(40.8%)、及びMX-tetOFF/PIASy-F感染(72.5%)細胞の両方でGr-1+の個体数が増えた。PIASy発現集団におけるGr-1+細胞の増加は、PIASyが顆粒球分化を増大させることを示唆しているのかもしれない。しかしながら、図4Cを詳細に調べると、最大細胞数における蛍光強度が偽感染細胞及びMX-tetOFF/PIASy-F感染細胞の間で似通っていることが明らかである。どちらかといえば、PIASy陽性細胞におけるGr-1-細胞分画の減少が、Gr-1+集団の全体的な増加につながっているようである(図4C右側上下のグラフを比較)。時間軸に沿って細胞形態をライト-ギムザ染色により調べた結果、G-CSFと一緒に同じ時間培養した後に、これら二つのグループの間で分裂した核を有する最終的な顆粒球の出現することが確認された(データ示さず)。このグループ間の唯一の違いは、アポトーシス細胞が多数存在するかしないかにあった。よって、本発明者は、PIASyによる細胞生長抑制の原理となる機構は、細胞分化ではなくアポトーシスの誘導であると推測した。
STAT蛋白質の潜在的抑制性活性を考慮すると、PIASyはSTATを介して細胞の生存力を制御していると考えられる。32D細胞では、PIASy発現によるいかなるSTAT1活性抑制もゲルシフト分析により見出されなった(データ示さず)。より重要なことに、G-CSF媒介細胞分化が32D細胞ではPIASyにより阻害されなかったという事実(図4C)は、32D細胞のG-CSF媒介細胞分化がG-CSF/STAT1を介した細胞内シグナリング経路が無関係であることを示唆している。
最近、SUMO結合におけるPIAS蛋白質の触媒活性が幾つかのグループにより解明されている。PIASy及びPIAS1の両方がSUMO E3リガーゼとして働くことが示された(Sachdev S. et al., Genes Dev.(2001)15:3088-103;Kahyo T. et al.,Mol.Cell(2001)8:713-8)。また、酵母PIAS関連蛋白質も同様であった(Johnson E.S.&Gupta A.A.,Cell(2001)106:735-44; Takahashi Y. et al.,J.BiolChem.(2001)276:48973-7)。SUMOは、RanGAP1、PML、IκBα及びp53等の種々の蛋白質に結合するユビキチン様分子である(Hay R.T.,Trends Biochem.Sci.(2001) 26:332-3)。SUMO結合はユビキチン系の場合のように、標的の蛋白質分解を促進するように見えるが、SUMO化もまた標的蛋白質に対して直接的制御の役割を果たしているのかもしれない。SUMO化される広範囲にわたる蛋白質を考えると、PIASyに関連付けられた表現型及び分子的事象は、PIASy媒介SUMO化反応の結果と考えられる。従って、PIASy発現による最終的な結果及び表現型は、PIASy基質の特性に依存しているはずである。そのため、32D細胞におけるPIASyの結合相手を同定することは、PIASy媒介アポトーシスの分子機構を明らかにする上で不可欠である。
(A)貯蔵した健常者試料(CTRL)、並びに、11人のRA、5人のRAEB及び14人のMDS関連白血病(Leukemia)患者からなる30人のMDS患者由来の芽球バンク試料中の発現プロファイルに基づく、2304個の遺伝子の階層的クラスタリング。各縦の列がマイクロアレイ上の一個の遺伝子に対応し、各横の列が各患者試料に対応する。各遺伝子の蛍光強度は、各ハイブリダイゼーションにおける全スポットの平均蛍光値に対して標準化した。標準値を色分けして左側に示す。RA特異的遺伝子群(クラスター#1)及びMDS白血病特異的遺伝子群(クラスター#2)の位置を示す。(B)RA、RAEB及びMDS関連白血病の各病期について、各遺伝子の平均発現値を計算し、樹状図(平均値樹)を作成するために用いた。サブグループ特異的な発現を示す遺伝子群の存在が明らかとなった。(C)予後良好(健康コントロール及びRA)群、及び予後不良(RAEB及びMDS関連白血病)群の間での遺伝子発現の比較。予後良好群、及び予後不良群で各々、各遺伝子の平均発現値を計算し、両群間の遺伝子発現レベルの変化を表すのに用いた。各線は一個の遺伝子に対応し、予後良好群における該遺伝子の平均発現レベルに基づき色分けされている。「予後不良特異的遺伝子」と仮定されたものを青で示す。 (A)予後関連遺伝子の同定。11個の予後不良特異的遺伝子(上)及び7個の予後良好特異的遺伝子(下)の発現プロファイルを一番下に示される様に色分けして示す。各横の列が一個の遺伝子に対応し、各縦の列は、健康なコントロール(CTRL)、RA、RAEB及びMDS関連白血病(Leukemia)試料から得た異なるAC133細胞における対応する発現レベルを示す。予後不良特異的遺伝子間、または予後良好特異的遺伝子間における同じ発現プロファイルは、各々、紫色または青色に色分けした樹状図で左側に示す。遺伝子の名前、及びアクセッション番号は、補充情報としてPNASのウェブサイトを通して得ることができる。(B)MDS芽球中のPIASy転写物の定量。2人の健康な有志者(CTRL)、並びに、13人のRA、9人のRAEB及び13人のMDS関連白血病(Leukemia)患者を含む37人の芽球より相補的DNAを調製し、PIASyまたはβ-アクチン遺伝子に特異的なプライマーを用いたリアルタイムPCRに付した。β-アクチンmRNAに対するPIASy転写物の量比を2nとして計算した。ここで、nは、β-アクチンcDNAのCT値よりPIASycDNAのCT値を差し引いた値である。 (A)PIASyの条件的発現。32D細胞をMX-tetOFF(Mock)またはMX-tetOFF/PIASy-F(PIASy)レトロウイルスで感染させ、IL-3、ブラストシジン-S及びテトラサイクリン存在下で培養した。ブラストシジン-S耐性大量培養は、同条件に置くか(−)、またはテトラサイクリンに代えてβ-エストラジオールを含む培地で培養した(+)。一晩培養した後、細胞を収穫し、FLAGタグに対する抗体を用いたイムノブロット分析に付した。右側に示すように、PIASy-F発現はβ-エストラジオール存在下で培養したMX-tetOFF感染細胞中でのみ検出された。(B)MX-tetOFF(白丸、及び、黒丸)またはMX-tetOFF/PIASy-F(白三角、及び、黒三角)を感染させた32D細胞を、G-CSFを補ったRPMI1640/FBS中で、非誘導(白丸、及び、白三角)または誘導(黒丸、及び、黒三角)条件で培養した。各画分の総細胞数(左グラフ)、及びトリパンブルー色素排除試験法により判定された生存率(右グラフ)を一日置きに計測し、グラフに示す。 (A)MX-tetOFF(Mock)またはMX-tetOFF/PIASy-F(PIASy)を感染させた32D細胞を、IL-3またはG-CSFを用い、誘導条件下で8日間培養した。各画分のサイトスピン調製物をライト-ギムザ溶液で染色した。原倍率×200。(B)MX-tetOFF(Mock)またはMX-tetOFF/PIASy-F(PIASy)を感染させた32D細胞をG-CSFを用いて、非誘導[tet(+),β-est(−)]または誘導[tet(−),β-est(+)]条件下で8日間培養した。その後、細胞をアネキシンV-FITS及びPIで染色し、フローサイトメトリーに付した。アポトーシス性細胞(アネキシンV陽性、及びPI陰性)の割合を示す。(C)MX-tetOFF(Mock)またはMX-tetOFF/PIASy-F(PIASy)を感染させた32D細胞を、IL-3またはG-CSFを用い、誘導条件下で培養した。その後、分化した細胞の割合を、顆粒球特異的マーカーGr-1に対する抗体を用いたフローサイトメトリーにより評価した。各画分中のGr-1陽性細胞の割合を示す。

Claims (17)

  1. 以下の工程を含む、骨髄異形成症候群特異的遺伝子を同定するための方法。
    (a)予後不良病期にある骨髄異形成症候群の患者、及び正常な個体または予後良好病期の患者から調製された造血幹細胞における遺伝子発現を検出する工程
    (b)予後不良病期にある骨髄異形成症候群の患者、及び正常な個体または予後良好病期の患者の間で、造血幹細胞における遺伝子発現を比較する工程、並びに
    (c)予後不良病期にある骨髄異形成症候群の患者において特異的に過剰発現または過少発現される遺伝子を同定する工程
  2. 造血幹細胞を骨髄吸引液より調製する工程を含む、請求項1記載の方法。
  3. 造血幹細胞が造血幹細胞特異的細胞表面マーカーを指標として調製されたものである、請求項1記載の方法。
  4. (a)採取された被験者の組織または細胞中における、請求項1の方法により同定された骨髄異形成症候群特異的遺伝子の発現を検出する工程、及び
    (b)工程(a)において検出された発現を、コントロール組織またはコントロール細胞における発現と比較する工程
    を含む、骨髄異形成症候群を診断する方法であって、(1)該遺伝子が骨髄異形成症候群患者において特異的に発現されており、工程(a)において検出された発現が、コントロール組織またはコントロール細胞における該遺伝子の発現よりも有意に高い場合に、または、(2)該遺伝子が骨髄異形成症候群ではない個体において特異的に発現されており、工程(a)において検出された発現が、コントロール組織またはコントロール細胞における該遺伝子の発現よりも有意に低い場合に、該被験者は骨髄異形成症候群罹患の危険性があると判断される方法。
  5. 骨髄異形成症候群特異的遺伝子が、PIASy遺伝子、LH2遺伝子、NDUFV1遺伝子及びPNMA2遺伝子からなる群より選択される、請求項4記載の方法。
  6. 被験者より採取された細胞が造血幹細胞である、請求項4または5記載の方法。
  7. 造血幹細胞が被験者の骨髄吸引液より調製される工程を含む、請求項6記載の方法。
  8. 造血幹細胞が造血幹細胞特異的細胞表面マーカーを指標として調製されたものである、請求項6記載の方法。
  9. 骨髄異形成症候群の診断剤であって、以下の群から選択される分子を活性成分として含む診断剤。
    (a)請求項1の方法により同定される骨髄異形成症候群特異的遺伝子によりコードされる蛋白質に結合する抗体
    (b)請求項1の方法により同定される骨髄異形成症候群特異的遺伝子の転写産物に対して特異的にハイブリダイズするポリヌクレオチド
  10. 骨髄異形成症候群特異的遺伝子が、PIASy遺伝子、LH2遺伝子、NDUFV1遺伝子及びPNMA2遺伝子からなる群より選択される、請求項9記載の診断剤。
  11. (a)生体試料中の、請求項1の方法により同定された骨髄異形成症候群特異的遺伝子の発現異常を起こす遺伝子多型または変異、または該遺伝子によりコードされる蛋白質の活性異常を検出する工程を含む、骨髄異形成症候群を診断する方法であって、このような遺伝子多型若しくは変異、または活性異常が検出された場合に、該生体試料を採取した被験者を骨髄異形成症候群罹患の危険性があると判断する方法。
  12. 骨髄異形成症候群特異的遺伝子が、PIASy遺伝子、LH2遺伝子、NDUFV1遺伝子及びPNMA2遺伝子からなる群より選択される、請求項11記載の方法。
  13. (a)試験動物または試験細胞に被験物質を投与または接触させる工程、及び
    (b)該試験動物または試験動物中における、請求項1の方法により同定された骨髄異形成症候群特異的遺伝子の発現を検出する工程
    を含む、骨髄異形成症候群を治療または予防するための化合物を同定する方法であって、(1)該遺伝子が骨髄異形成症候群患者において特異的に発現されており、工程(b)において検出された発現が、被験物質不在下における該遺伝子の発現よりも減少している場合に、または、(2)該遺伝子が骨髄異形成症候群ではない個体において特異的に発現されており、工程(b)において検出された発現が、被験物質不在下における該遺伝子の発現よりも増加している場合に、該被験物質が骨髄異形成症候群を治療または予防するための薬剤候補化合物であると判断される方法。
  14. (a)請求項1の方法により同定された骨髄異形成症候群特異的遺伝子の発現制御領域に作動可能に連結されたレポーター遺伝子を有する試験動物または試験細胞に、被験物質を投与または接触させる工程、及び
    (b)該試験動物または試験動物中における、レポーター遺伝子の発現を検出する工程
    を含む、骨髄異形成症候群を治療または予防するための化合物を同定する方法であって、(1)該骨髄異形成症候群特異的遺伝子が骨髄異形成症候群患者において特異的に発現されており、工程(b)において検出されたレポーター遺伝子発現が、被験物質不在下におけるレポーター遺伝子の発現よりも減少している場合に、または、(2)該骨髄異形成症候群特異的遺伝子が骨髄異形成症候群ではない個体において特異的に発現されており、工程(b)において検出されたレポーター遺伝子発現が、被験物質不在下における該レポーター遺伝子の発現よりも増加している場合に、該被験物質が骨髄異形成症候群を治療または予防するための薬剤候補化合物であると判断される方法。
  15. (a)請求項1の方法により同定された骨髄異形成症候群特異的遺伝子によりコードされる蛋白質に被験物質を接触させる工程、及び
    (b)該蛋白質の活性を検出する工程
    を含む、骨髄異形成症候群を治療または予防するための化合物を同定する方法であって、(1)該遺伝子が骨髄異形成症候群患者において特異的に発現されており、工程(b)において検出された活性が、被験物質不在下における活性よりも減少している場合に、または、(2)該遺伝子が骨髄異形成症候群ではない個体において特異的に発現されており、工程(b)において検出された活性が、被験物質不在下における活性よりも増加している場合に、該被験物質が骨髄異形成症候群を治療または予防するための薬剤候補化合物であると判断される方法。
  16. 骨髄異形成症候群特異的遺伝子が、PIASy遺伝子、LH2遺伝子、NDUFV1遺伝子及びPNMA2遺伝子からなる群より選択される、請求項13乃至15いずれか一項に記載の方法。
  17. 請求項13乃至15いずれか一項に記載の方法により同定された化合物を活性成分として含む、骨髄異形成症候群の治療薬または予防薬。
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