JP2003521341A - 医療用超音波イメージングにおける位相面収差およびパルス残響の補正 - Google Patents

医療用超音波イメージングにおける位相面収差およびパルス残響の補正

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アー.ヤー. アンゲルセン、ビョルン
エフ. ヨハンセン、トニ
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、位相面収差および残響によって医療用超音波画像に生じる画像劣化の補正を推定する方法に関する。したがって、方法は、医療に超音波イメージングを使用する全ての状況、および超音波イメージングする他の同様の状況に用途を有する。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 (発明の背景) 1.発明の属する技術分野 本発明は、位相面収差および残響によって医療用超音波画像に生じる画像劣化
の補正を推定する方法に関する。したがって、本発明は、医療に超音波イメージ
ングを使用する全ての状況、および超音波イメージングの他の同様の状況にも用
途を有する。 【0002】 2.関連技術の説明 複雑な組織構造の対象の超音波イメージングでは、以下の効果により画像が劣
化する。 【0003】 i)複雑な組織構造の音速の変動が音波面の収差を生成し、ビームのメインロ
ーブの集束を破壊し、ビームのサイドローブを増大させる。 ii)音響特性が大きく異なる物質間の境界面は、多重反射が大きい振幅を得
る超音波パルスの非常に強い反射を生成することがある。このような多重反射は
パルス残響と呼ばれ、伝搬する超音波パルスにテールを追加し、これは超音波画
像においてノイズとして現れる。 【0004】 ビームのメインローブの集束が低下すると、超音波イメージングシステムの空
間分解能が低下する。ビームのサイドローブおよびパルス残響の増加は、画像に
追加のノイズを導入する。このノイズは、これは伝送される超音波パルス自体に
よって生成されるため、音響雑音と呼ばれている。したがって、伝送されるパル
ス・パワーの増加は、電子受信機の雑音で見られるものとは異なり、このタイプ
の信号対雑音のパワー比を改善しない。 【0005】 音響特性が最も異なる物質は、筋肉、脂肪、結合組織、軟骨、骨、空気、およ
び超音波変換器自体である。したがって、体内の脂肪、筋肉、結合組織および軟
骨の混合物は、非常に大きい位相面収差と残響を生成することがある。特に、体
壁内のこのような組織の境界面から戻る信号の変換器反射に、強力な残響がある
。したがって、体壁のこのような組織の混合物は、多くの患者で、非侵襲的超音
波イメージングで見られる劣化の主な原因である。したがって、医療用超音波イ
メージングの多くの用途で、体壁内の残響および位相面収差の効果を減少させる
ことが切に必要とされている。 【0006】 2次元変換器アレイでは、位相面収差の効果は、多くの場合、個々のアレイ・
エレメントの信号に補正遅延および利得係数を追加することによって減少させる
ことができる。これは多くの論文で提言されている。組織の混合物がより複雑な
状況では、位相面収差およびパルス残響は、パルス形の変形を生じることがある
。このようなパルス変形が、各エレメント信号のフィルタによって補正できるこ
とはそれほど知られていない。このような補正フィルタは、最も一般的な補正方
法を与え、遅延/振幅の補正は特殊なケースまたは補正フィルタの類似と見なす
ことができる。 【0007】 第2の高調波イメージングは、体壁の残響および位相面収差を減少させる。こ
の方法のベースは、波の伝搬速度が圧力振幅とともに増加し、したがってプラス
の圧力の揺れはマイナスの圧力の揺れより伝搬速度が高くなるということである
。これは、前方に伝搬するパルスに非線形伝搬歪みを生じ、これは伝送されるパ
ルスの振幅とともに増大する。歪みは、最初に伝搬深さとともに増大し、より高
いパルス振動の高調波振動数帯を生成する。しかし、組織内の超音波のパワー吸
収は周波数とともに増大するので、歪みは最大になり、最終的に深部で減少する
。 【0008】 中心周波数f≒1.5MHzのパルスを伝送すると、3〜15cmの範囲で
心臓および他の器官をイメージングするため、第2の高調波帯約2f≒3MH
zで十分なパワーが得られる。第2の高調波より高い成分のパワーは非常に小さ
いので、イメージングには有用でない。 【0009】 第2の高調波イメージングは、同じ受信周波数の周囲で第1の高調波イメージ
ングに優る2つの利点を有する。 i)第2の高調波振幅は、外向きのパルスが体壁を通過するときに非常に小さ
いので、体壁残響の第2の高調波は小さい。 【0010】 ii)送信周波数fは低いので、第1の高調波の送信ビームは体壁のパルス
収差から受ける影響が小さい。第2の高調波ビームは、特定のボリュームでも生
成され、そのため第2の高調波ビームは位相収差に対する感受性が小さく、焦点
より先の場も、2fにおける第1の高調波ビームよりもより正確に視準される
【0011】 したがって、これら2つの効果は、同じ周波数における第1の高調波パルスと
比較して第2の高調波パルスの体壁残響および位相収差が小さくなる。 しかし、後方散乱信号が復路で体壁を通過すると、第2の高調波は第1の高調
波パルスと同じ量の位相面収差およびパルス残響を受ける。したがって受信ビー
ム形成器における位相面収差およびパルス残響の補正は、第1の高調波像と同じ
方法で受信機の分解能および音響雑音を改善する。また、送信された第2の高調
波パルスには多少の残留位相面収差および体壁残響があり、これは送信ビーム形
成器の補正によってさらに減少することができる。 【0012】 (発明の概要) 位相面収差およびパルス残響の補正の原理は明快に規定されているが、イメー
ジングの状況では、通常、補正フィルタにするか、単純化した遅延および振幅補
正にするかを決定するのは困難である。本発明は、この問題に対して2つの解決
策を考案する。 【0013】 i)体内に人工的に導入されたポイント散乱体からの後方散乱信号が、補正フ
ィルタを決定するビーコン(標識)として働く。このようなポイント散乱体は、
例えば、生検針などの体内に導入する介入ツールに接続するか、または個々の気
泡からの信号が相互から識別できるような低い濃度の超音波造影剤の気泡である
。ポイント散乱体は、異なる散乱体からの信号を互いに明確に識別できるほど隔
置され、組織の信号から識別できるほど強力でなければならない。気泡間で十分
な距離を維持するため、本発明は、選択された像領域で気泡を破壊する高い送信
パルス振幅を使用することを考案し、したがってこの気泡の破壊後、十分な時間
間隔の間、新しい流入気泡は相互に対して十分な距離を有する。像領域で、ポイ
ント散乱体気泡の連続的に変化するセットが得られるよう、気泡を繰り返し破壊
するため、領域への高振幅パルスの連続的送信を使用することができる。気泡の
信号を組織の信号から識別するため、通常は、送信周波数帯の第3または第4の
高調波、つまり低調波の周囲の帯域で後方散乱周波数成分を使用することができ
る。造影剤気泡から受信した信号の信号対雑音比を改善し、したがって信号の検
出を改善するため、受信した信号のパルスを圧縮したコード化シーケンスの送信
も使用することができる。隔置された造影剤気泡も、介入ツールのポイント散乱
体として使用することができる。 【0014】 ii)他の方法では、波長と比較して短い相関距離を有する分散散乱体からの
後方散乱信号の確率論的解析を使用する。このような解析の一つの一般的問題は
、後方散乱信号が、パルス残響および位相面収差からの音響雑音で確認されるこ
とであり、本発明は、補正フィルタを決定する前にこのような音響雑音を減少さ
せる2つの方法を考案する。 【0015】 a)音響雑音を減少させた後方散乱エレメント信号の第2の高調波を解析に使
用する。しかし、これにはエレメント信号毎に1つのフィルタが必要であり、し
たがって本発明は、後方散乱した信号の第2の高調波を使用する単純化した方法
も考案し、これは個々のエレメント信号をフィルタリングする必要がない。この
方法では、エレメント信号をエレメント信号から獲得した基準信号と比較するが
、基準信号は、基準信号の第1の高調波帯が、例えばフィルタリングまたは一般
的に知られているパルス反転技術によって、高度に減衰されるよう変更されてい
る。 【0016】 b)体壁パルス残響は、時間が非常に一定している。同じ焦点およびビーム方
向を有する複数の送信パルスから獲得した動作散乱体または経時変動する散乱体
からの後方散乱信号を使用することにより、一時的に一定した音響雑音は、パル
ス数座標に沿って後方散乱信号の各範囲を高域フィルタリングすることによって
抑制され、したがって主に移動する散乱体からの信号がフィルタを通過し、さら
に処理される。典型的な動作散乱体は、心筋層または動脈壁、または血液または
他の体液で見られる散乱体でよい。このような流体からの散乱を強化するため、
本発明は、体液に注入する超音波造影剤の使用も考案する。経時変化する散乱体
は超音波造影剤でよく、非常に高い送信パルスを使用するので、パルス間で造影
剤気泡の少なくとも一部が破壊する。 【0017】 確率論的解析は、普通、信号パラメータを平均化することを含み、異なる深さ
、場合によっては異なるビーム方向からの信号パラメータの平均化を、通常は使
用することができる。このような方法は、往々にして平均化するサンプルの数が
少なく、そのため推定に分散雑音がある。 【0018】 推定の強固さを改善し、推定の分散を減少させるため、本発明は、同じ焦点お
よびビーム方向を有する複数の送信パルスで取得した、動作散乱体または経時変
化散乱体からの後方散乱信号を使用する方法を考案する。次に、各送信パルスで
獲得した信号パラメータを、場合によっては深さおよびビーム方向の平均化と組
み合わせて多くの送信パルスについて平均化し、推定の分散を減少させる。 【0019】 これらの基本的原理に加えて、本発明は、補正フィルタを推定する幾つかの詳
細な方法を考案する。 ビーム軸線から外れた強力な散乱体は、補正の推定に干渉をもたらすことがあ
り、本発明は、変換器の表面で受信した信号の空間的低域フィルタリング、また
は変換器表面での推定された補正位相または遅延の高域フィルタリングを使用し
て、このような散乱体の効果を減少させる方法を考案する。このような高域フィ
ルタリングは、例えば、基底関数としてルジャンドル多項式を使用し、散乱体の
オフセット方向、および場合によってはオフセット集束に関連する最低係数を残
すなど、一般化フーリエ級数で補正遅延を拡張することによって実行できるので
都合がよい。 【0020】 変換器アレイ表面に沿った位相収差およびパルス残響の補正長さは、下限を有
する。したがって、一般化フーリエ級数を上端で切り捨て、級数の係数の総数を
減少させることもできる。このように、一般化フーリエ級数の係数を有する情報
は、補正フィルタを表す換算パラメータ・セットであり、パラメータ推定方式で
推定されるので都合がよい。 【0021】 変換器アレイ表面に沿った位相収差およびパルス残響の補正長さは、例えば、
ビームのセクタ・ステアリングのフェーズド・アレイと同様、アレイ・エレメン
トの寸法より大きいことが多い。この状況では、本発明は、補正フィルタの推定
の前に隣接するエレメントからのエレメント信号を組み合わせることを考案する
。この組合せによって、推定に使用する信号チャンネルの総数が減少し、したが
って処理が簡単になり、結果として生じるチャンネルの信号対雑音比が増大する
。 【0022】 本発明の他の目的および特徴は、以下の詳細な説明を添付の図面と組み合わせ
て考慮することにより明らかになるだろう。しかし、図面は単に例示としてのも
のに過ぎず、本発明の境界を定義するものではないことを理解されたい。また、
境界については特許請求の範囲を参照されたい。さらに、図面は必ずしも正確に
縮尺したものではなく、他に別段の指示がない限り、本明細書で説明する構造お
よび手順を概念的に図示するだけにすぎないことを理解されたい。 【0023】 (好ましい実施形態の詳細な説明) 図1は、送信ビーム形成器(102)によって駆動される超音波変換器アレイ
(101)が、体壁(103)を通してイメージングする対象(104)へとパ
ルス状かつ集束した超音波ビームを送信する典型的な測定状況を示す。体壁は、
音速および特徴的なインピーダンスに差がある脂肪、筋肉および結合組織の不均
質混合物である。体壁内や、体壁の構造と変換器間の多重反射は、送信されたパ
ルス(106)が壁を通過するときに、残響テール(105)を生成する。同様
に、音速の変動は、パルスが壁を通過するときに位相面(107)の収差を生成
する。 【0024】 パルスが対象内のポイント散乱体(108)から反射すると、球形の波面(1
09)を有する波が反射し、残響テールを有するパルスの一時的な変動が保存さ
れる(110)。変換器アレイへと戻る路で体壁を通過する際に、パルス位相面
の収差(111)が発生し、パルスのさらなる残響が見られる(112)。 【0025】 受信機ビームをポイント散乱体に集束するため、標準的な受信機ビーム形成器
は、ポイント散乱体から到着する波面が球の形状を有するという仮定から計算し
た時間間隔だけ、個々のアレイ信号を遅延させる。アレイ・エレメント信号の振
幅アポディゼーションも使用し、焦点面のサイドローブを減少させる。実際の位
相面(111)が収差のために理想的な球形でない場合、標準のビーム形成器は
理想的な受信機ビームの焦点を生成しない。これは、図2の焦点ビーム・プロフ
ァイル201で示される。エレメント信号に補正遅延を使用することにより、図
の202のような改善された焦点ビーム・プロファイルを生成することができる
。比較のために、図は、水中の波伝搬で得られる焦点ビーム・プロファイル20
3も示す。 【0026】 組織内での波伝搬の線形近似では、伝搬の全ての面がグリーン関数に含まれる
。この関数は、空間の全てのソース・ポイント に配置されたユニット・ポイ
ント・ソースからの波場を与える。一時的な周波数領域では、グリーン関数をg
;ω)と記述し、これはソース・ポイント に配置され、一時的な
角周波数ωで放射する連続的な時間調波を放射するユニット・ポイント・ソース
からの場ポイントにおける場を与える。以下の解析では、下式のように、不均
質組織混合物に関するグリーン関数を、均質物質の自由空間グリーン関数g ;ω)に関連付ける。 【0027】 【数1】 ここで 【0028】 【数2】 であり、cは均質組織内の波の伝搬速度である。s( ;ω)は、位置 における散乱体の周波数依存位相振幅スクリーンと呼ぶ。したがって、s( ;ω)は、波の伝搬における体壁の位相収差および残響歪みの両方を表す
ことが分かる。 【0029】 組織にパワー吸収がない場合は、M.Fink[1]によって、2次元アレイ
にあるポイント・ソースからの受信エレメント信号の時間反転は、送信ビームを
ポイント・ソースに集束するため、エレメント送信信号の最適補正を行うことが
分かっている。これは、波の速度が一定の状態の均質な組織を仮定する標準的な
方法で送信ビーム形成器を設定し、変換器表面のエレメント位置において下式
の時間反転フィルタで送信パルスをフィルタリングすることに等しい。 【0030】 【数3】 ここで、は複素共役を示す。送信および受信ビームの相互関係により、位置 においてHtr ;ω)でエレメント受信信号をフィルタリングするこ
とにより、 でポイント・ターゲットに受信ビームを最適に集束することがで
きる。 【0031】 体壁妨害を補正するために2次元アレイを使用しなければならないのは、体壁
が変換器アレイ上に2次元の妨害パターンを生成するからである。しかし、妨害
の補正長さは下限を有し、したがって補正に使用するエレメントの幅を、多くの
電子アレイ、例えば、フェーズド・アレイの典型的なエレメント幅より大きくす
ることができる。効率的に処理するため、このような状況では、隣接する細いエ
レメントからのエレメント信号を組み合わせて、アレイ上の妨害の相関長さより
もすでに小さいより大きいエレメントからの、減少したエレメント信号にするこ
とができる。 【0032】 組織内で音響出力吸収が均一の場合、sの利得および位相変動はなお、組織
内の伝搬速度の空間的変動について正しく、したがって位相収差およびパルス残
響の効果を減少させる。しかし、吸収はパルスを減衰させ、周波数とともに出力
吸収は増加するので、多少のパルス延長も生じる。これらの効果は、深さで変動
する利得およびフィルタによって補償される。非常に不均質な吸収は、グリーン
関数に空間的振幅の変動を生じ、これは式(3)のHtrで考慮されない特殊な
補償を必要とする。 【0033】 式(1)の定義から、 に配置されたポイント散乱体からの信号から、周囲
の組織の信号から明快に識別可能な受信信号で、s( ;ω)を決定でき
ることが分かる。しかし、組織内にこのようなポイント散乱体を見出すことは稀
であり、したがってs( ;ω)を決定するのは難題である。 【0034】 第1の態様では、本発明は、振幅または周波数の内容が組織の信号から明快に
識別可能な信号を有する人工的なポイント散乱体を導入することを考案し、した
がってg( fk;ω)=s( fk;ω)g fk;ω)を
決定することができ、ここで、 fkは、式(3)により全ての fkに送信お
よび受信ビームを適正に集束するために使用するポイント散乱体の位置である。
これで、s( fk;ω)=g( fk;ω)/g fk;ω
)を計算することができる。次に、ポイント散乱体間の距離は、ポイント散乱体
からの信号も相互から識別可能であるように大きくなければならない。 【0035】 本発明によると、針の周囲の組織、特に針先端の周囲にある生検標的のイメー
ジングを改善し、導入時には血管などの針先端の周囲にある重要な区域を回避す
るため、ポイント散乱体を生検針などの介入ツールに導入することができる。こ
のような状況の例が図3aおよび図3bに示され、ここで、301は組織302
に埋め込む介入ツールを示し、2つのポイント散乱体303および304がツー
ルに取り付けられる。ポイント散乱体は、リングまたはツール内のポイント凹部
として作成することもできる。体壁306の表面にある2次元変換器アレイ30
5は、図3bに示す送信ビーム形成器307によって駆動され、これは送信/受
信機スイッチ308を介してアレイに接続されて、組織内の方向を走査するパル
ス状の集束超音波ビームを放射する。この特定の図では、アレイは、ポイント散
乱体303に配向されたビーム309を送信するよう示され、散乱体は球面波3
10を後方散乱する。この球面波が体壁を通過するとき、これは311によって
例示された位相面収差およびパルス残響によって変形し、その後にアレイ305
によってピックアップされ、これはパルス送信の直後にスイッチ308を介して
受信機増幅器312および補正推定ユニット313に、受信補正ユニット314
と並列で接続され、その後に超音波画像処理および表示ユニット318に出力を
供給する受信機ビーム形成器316がある。 【0036】 補正推定ユニット313はs( fl;ω)を推定し、 flは、この特
定の例では、ポイント散乱体303の位置である。式(3)による補正フィルタ
の伝達関数は、315を介して受信補正ユニット314に伝達され、ここで受信
エレメント信号は補正フィルタリングされ、場合によっては以下で説明するよう
に、より少ないエレメント信号と結合してから、受信機ビーム形成器316に送
信される。このビーム形成器は標準のタイプでよく、場合によっては多数ある隣
接する平行受信方向のために、出力として標準の超音波受信RF線317を有す
る。受信されたRF線は超音波画像処理および表示ユニット318に供給され、
これは知られている原理により、完全な超音波の組織および速度像、さらに超音
波ドップラー・スペクトルを生成し、表示する。受信された超音波RF線317
は、以下の式(68〜74、90〜94)で説明する基準信号補正法のような何
らかの推定アルゴリズムに使用するため、補正推定ユニット313にも伝達され
るので都合がよい。このような基準信号は、補正推定ユニット自身でも生成でき
るので都合がよい。 【0037】 第1のポイント散乱体303はツール301の先端付近に配置されるので、ツ
ールの先端を組織に導入するにつれ、その周囲の正しい像が入手される。ビーム
方向走査時、補正推定ユニット313は他のポイント散乱体も検出し、それらの
ポイント散乱体の周囲にある領域の補正画像も生成する。 【0038】 受信エレメント信号の補正は、通常、図4aの401として単独の第nエレメ
ント信号について示したフィルタ・ユニットで実行することができる。このフィ
ルタの周波数応答は、式(3)によりH ;ω)=Htr
ω)として与えられた に集束することであり、インパルス応答h
τ)はH ;ω)の逆フーリエ変換である。このユニットは、入力として
、図で402と示された第nエレメントからの未修正信号x(t)を受け取り
、受信ビーム形成器でさらに処理するため、補正済み信号y(t)(403)
を生成する。補正フィルタの最も簡単な形態は、純粋な遅延関数、および場合に
よっては以下の、特に式(78〜94)に関する検討による振幅修正である。受
信補正ユニットは、幾つかのチャンネルを最小名目遅延と組合せ、例えば、アレ
イの仰角方向(図6のy方向)の方向ステアリングをせずに集束するので都合が
よい。次に、仰角方向(y方向)のエレメント信号を、各方位角位置(図6のx
方向)について補正ユニットに追加し、受信機ビーム形成器316で必要なチャ
ンネル数を減少させることができる。 【0039】 補正推定ユニットの出力315は、送信ビーム形成器307に伝達して、送信
パルスを修正し、位相収差および残響を補正したビームを獲得することもできる
ので都合がよい。ここで、最も簡単な補正は、送信パルスの遅延であり、場合に
よっては振幅修正である。式(3)の完全なフィルタによる複雑な補正は、例え
ば、図4bのユニットによってチャンネル毎に獲得することができ、ここでベー
ス・パルスのディジタル表示がユニット405に保存され、式(3)の逆フーリ
エ変換としての補正フィルタのインパルス応答が、遅延線フィルタ・ユニット4
07の係数406として設定される。このフィルタ・ユニットの出力はD/Aコ
ンバータ408および変換器駆動増幅器409に供給され、増幅器は場合によっ
てはケーブルを介して第n変換器エレメント410を駆動する。 【0040】 本発明によると、ポイント散乱体は、造影剤気泡の希釈濃縮物として導入する
こともでき、したがって組織内の気泡は、図5に示すように信号を相互から区別
できるよう隔置される。この図は、図3と同様に同じ2次元変換器アレイ305
、体壁306、組織302、および送信ビーム309を示し、これは同じ数字が
与えられ、介入ツールは除去され、例示のために造影剤気泡501〜505のセ
ットで置換されている。十分に隔置された造影気泡を獲得するため、最初に高振
幅の圧力パルスを送信することにより、選択された像領域で全ての造影気泡を破
壊することができる。次に、流入動脈内の低濃度の造影気泡は、組織内の任意の
位置に新しい気泡を導入し、したがって破壊後に十分な時間間隔で新しい気泡は
相互から十分な距離を有する。穏当な送信振幅で、パルスごとに造影剤気泡の一
部を破壊することができ、これは組織の血液灌流による連続流入とともに経時変
化可能なポイント散乱体のセットを生成する。 【0041】 各造影気泡は、入射超音波パルスに衝突すると、球面波として伝搬する、非線
形に歪んだパルスのセットを反射し、例の1つは造影気泡505から反射した波
506を示す。体壁を通して伝搬すると、波は図3の311と同様、図の507
で示すように、位相収差およびパルス残響によって歪む。 【0042】 造影気泡の信号を周囲の組織の信号と識別するために、後方散乱する信号の低
調波、第2、第3または第4の高調波を使用することができ、これは組織の信号
では弱いが、それでも造影気泡信号では強力である。次に、補正フィルタ推定ユ
ニット313は、各エレメント信号において後方散乱信号の選択された高調波を
選択する特別なフィルタ・ユニットを含む。 【0043】 造影剤気泡の望ましくない破壊を回避するため、組織の入射パルスの振幅を制
限しておかなければならない。この限界を入射パルス内に維持すると、コード化
パルス・シーケンスを送信し、その後に受信機でパルスを圧縮することにより、
受信エレメント信号の信号対雑音比を改善することができ、したがって推定され
たs( ;ω)の雑音を減少させることができる。 【0044】 このような造影気泡は、介入ツールの局所化された部位に取り付けるポイント
散乱体の優れた候補でもある。 本発明の第2の態様では、本特許は、散乱体のδ相関が十分な近似であるよう
に、相関距離が短い確率集合によってモデル化できる散乱体の分布からの後方散
乱信号からs( ;ω)を推定する方法を考案する。信号の音響雑音は、
動作または経時変化する散乱体からの第2の調波処理または信号を使用すること
により、sを推定する前に高度に減衰される。このような散乱体からの信号は、
推定の変動および雑音の軽減にも使用することができる。超音波造影剤をこれら
の物質に使用して、物質からの散乱を強化することもできる。入射パルスによる
造影剤の破壊も、領域内で経時変化する散乱体を生成するために使用することが
できる。特に設計したアルゴリズムを使用し、s( ;ω)のパラメータ
表現を推定することができる。 【0045】 前提となるのは、s( ;ω)の推定に使用する散乱体が、散乱体のδ
相関した集合としてモデル化できるということである。つまり、集合の各結果が
、散乱体の空間的分布υ()を表し、したがって集合を平均することにより、
下式の散乱体分布のδ相関が得られる。 【0046】 【数4】 <>は、以下でさらに検討する数学的に定義された結果の集合の集合平均を示し
、συ )は位置 における分布の変数パラメータである。δ相関は、
散乱体分布の相関距離が式(14)から式(15、35、70)などの近似を実
行するために十分短い場合の近似である。 【0047】 結果の集合は、散乱分布関数の選択されたセットであり、実験で発見された特
定の散乱体分布が、集合の結果または実現と見なされる。実験の場にいると集合
の全ての結果を観察できないので、実際の実験では、概ね、上記で規定したよう
に集合の平均化を達成する問題がある。空間的に静止した散乱体の分布では、制
限された範囲で、集合の平均化の代わりに、散乱体の位置 の領域における空
間的平均化を実行することができ、ここで、s( ;ω)は実際に
ら独立している。 【0048】 本発明は、信号パラメータの集合平均化を推定する追加の方法も考案し、ここ
では同じ焦点および振幅を有する連続的な送信パルスで観察された動作散乱体か
らの信号を使用し、これは各送信パルスの実際の領域で散乱体が交換されるほど
大きい時間間隔で分離される。したがって、各送信パルスからの信号は、集合の
結果と見なすことができ、特定の領域における信号パラメータの平均化は、連続
的な送信パルスからの信号を平均化することによって実行することができ、これ
については以下でさらに説明する。 【0049】 動作が制限された組織領域内で経時変化する散乱体を獲得するため、移動する
散乱体として血液を使用することができる十分に大きい血管がない場合には、超
音波造影剤を血管に挿入することができ、これがその後、組織領域の毛管に流入
する。入射イメージングパルスの高い振幅で、ビーム内の造影剤気泡の一部また
は全部を破壊することができる。この破壊を、組織領域に新たに流入する造影剤
気泡と組み合わせて、パルス間でイメージング領域における造影剤気泡の変動を
生成することができる。送信したパルスのセットについて、造影剤からの後方散
乱信号の信号パラメータを一時的に平均化し、これを集合平均値の推定として使
用することができる。 【0050】 式(1)のグリーン関数の式を使用して、ビームが で集束した場合に、 における送信ビームの空間的周波数応答に関する下式が得られる。 【0051】 【数5】 ここで、Sは変換器表面であり、τsf )は、波の伝搬速度がc
=ω/kの状態で均質な媒体内の でビームを集束するための、 における
エレメントのステアリングおよび集束遅延である。 【0052】 図6に座標が示される。ここで変換器表面Sは601として示され、変換器
のソース座標 は602で示される。焦点のベクトル座標 は603として
示され、焦点面Sは、変換器の中心を中心とする半径rの球面604として
示される。場のベクトル によって決定される場のポイントは、605として
示される。以下の式では、 を、606として示される に沿った成分 と607として示される に直交する成分 l⊥とに分解し、したがって l‖ l⊥にすると都合がよい。集束したビームは608として示され
、焦点の周囲の選択領域Vは609で示される。 【0053】 焦点 の周囲で、下式を与える式(5)の指数の近軸近似を使用することが
できる。 【0054】 【数6】 ここで、 /rおよび /rは、それぞれ および の方向の単位ベクトルである。この式によって、式(5)で送信された場を下式
のように近似することができる。 【0055】 【数7】 図6の604で示された焦点面Sでは、r=rであり、下式が得られる。 【0056】 【数8】 したがって、焦点ビーム・プロファイルHetは、位相・振幅スクリーンのフー
リエ変換である。焦点面の近傍では、上から見てHを下式のように近似できる
ことが分かる。 【0057】 【数9】 これは以下の解析で使用される。 図6の610として示される受信変換器アレイ上の位置で、焦点の周囲で6
09として示された領域Vから受信した信号の一時的フーリエ変換は、下式の
通りである。 【0058】 【数10】 ここで、P(ω)は、ポイント散乱体から受信したパルスの一時的フーリエ変換
であり、σ( ;ω)は、下式のように送信ビームと散乱密度の積として与え
られるソース密度である。 【0059】 【数11】 式(4、11)から、σは空間でδ相関される、つまり下式の通りであること
が分かる。 【0060】 【数12】 受信ビームをステアリングし、f上に集束するには、yを下式のように補正す
る。 【0061】 【数13】 ここで、τsf )は、式(5)と同様な、均質な媒体で に受信ビ
ームを集束するステアリングおよび集束遅延である。 【0062】 次に、位相・振幅スクリーンの散乱体位置 ∈Vによる変化が非常に遅い
ので、s( ;ω)≒s( ;ω)と近似することができ、したが
ってsを式(10)の積分外とすることができる状況を分析する。ここで、式(
13)を下式のように書き直すことができる。 【0063】 【数14】 σはゼロ平均でδ相関されるプロセスであるので、yおよびfは中心極限定
理によってゼロ平均のガウス過程となる。したがって、全ての情報は2次モーメ
ントに含まれる。つまり下式のように式(12、14)から得られるy
ω)の空間における自己相関関数に含まれる。 【0064】 【数15】ここで平均化は、散乱体分布の有限数の異なる結果で実行される。つまり集合平
均化である。式(14)から、以下の近似を使用できることが分かる。 【0065】 【数16】 式(8)で与えられたような焦点面に近いHの近似を挿入すると、下式が得ら
れる。 【0066】 【数17】 積分の2次元横方向部分は、|Hetの逆フーリエ変換であり、積分の1
次元の縦方向部分は定数を与えることが分かる。式(8)により、Hetはs( ;ω)のフーリエ変換であるので、上記の積分は下式のように表現す
ることができる。 【0067】 【数18】ここで、Aは定数である。特に、遅延がゼロの場合は下式になることが分かる。 【0068】 【数19】 さらに、式(18)を使用して、下式が得られる。 【0069】 【数20】 振幅・位相スクリーンを求めるため、これをその振幅aおよび位相θによ
り下式のように表す。 【0070】 【数21】 スクリーンの振幅は、空間変位ζがゼロの式(15)から得られる。 【0071】 【数22】yf;ω)は受信したエレメント信号の平均出力であることが分か
る。式(15、20)から、下式が得られる。 【0072】 【数23】 |s|の積分を解き、式(20)に挿入すると、下式が得られる。 【0073】 【数24】 これを式(22)に挿入すると、下式になる。 【0074】 【数25】 ガウス変数では、下式が得られる。 【0075】 【数26】 これによって、下記のように式(25)のスクリーン振幅の修正推定が与えら
れる。 【0076】 【数27】 スクリーンの位相を求めるため、下式を示す。 【0077】 【数28】 下式のような自己相関関数の空間勾配を使用する。 【0078】 【数29】 ζs=▽sであると、ゼロ変位ζで下式が得られる。 【0079】 【数30】 これによって下式を計算することができる。 【0080】 【数31】 自己相関関数をその振幅および位相により、下式のように表現する。 【0081】 【数32】 式(28)と同様に、下式が得られる。 【0082】 【数33】 したがって、式(31)と比較して下式が得られる。 【0083】 【数34】 したがって、この式をに関して積分すると、スクリーンの位相が与えられる
。式(20)からR;ω)が実数であり、したがって▽ζθRf;ω)の分数の虚数部分は▽ζ;ω)の虚数部分から与えられ
る。式(15)から下式が分かる。 【0084】 【数35】 式(15、33)から、下式が得られる。 【0085】 【数36】 ここで、θgfはgの位相であり、gには式(28)の関係を使用した。式
(14)から、V 部分について|g=(r/|r−r|) ≒1を近似した。式(14b)から、下式が分かる。 【0086】 【数37】 ここで、 rl−r=( )/| |および rf−r=( )/| |は、それぞれから およびから を指す単位ベクト
ルである。この式を式(36)に挿入すると、下式が得られる。 【0087】 【数38】 ここでは最後の式で式(12)を定数συ と置換し、図6の606として定義
された l‖に沿って の積分を実行した。 【0088】 上式は下式のように短い形式で書くことができる。 【0089】 【数39】 ここで、 rc−r=( )/| |はVに渡るσ ;ω
)のから重心 を指す単位ベクトルである。式(38、39)の最後の式で
、積分は焦点面Sで横方向に実行される。式(39)を式(34)に挿入する
と下式が得られる。 【0090】 【数40】 この式は下式のように積分することができる。 【0091】 【数41】 項−k(| |−| |)は、図7aに示すように、正味屈折お
よび焦点の範囲の起こり得る変化を生成することが分かり、この図では701は
皮膚702における変換器アレイを示す。送信ビームの焦点遅延は、均質な組織
という仮定を用いて (703)で集束するよう設定される。体壁の楔形の脂
肪層704は、厚さが変化するので、焦点のプリズム様の屈折を生じ、層表面の
湾曲によって焦点距離も変化させる。これらの効果は、送信ビームの重心を70
5の へと動作させる。これで、変換器表面の706にある受信機ポイント から および への方向単位ベクトル rf−rおよび re−rが、70
7および708として見られる。 【0092】 均質散乱体が分布した状態で、V上のσ ;ω)の重心が に見ら
れる。均質散乱体が分布した状態で、例えば、図7bの709として示された強
力な散乱体を含む散乱体が、予想されるビーム軸線711からある距離に分布し
た状態で、V上のσ ;ω)の重心は、さらに710の へと動作す
る。 【0093】 したがって、 からの偏差は、体壁のプリズム様効果とビーム軸線か
ら離れた強力な散乱体との両方によって生成することができる。したがって、θ の最後の成分は、方向屈折を生じ、未補償ビームの集束を変化させるが、ビー
ム幅およびサイドローブは増加させない。このような成分は、未補償画像に歪み
を生成する。この項をさらに分析するため、以下の近似式を作成する。 【0094】 【数42】 ここで、 rcおよび rfは、変換器アレイの中心からそれぞれ および を指す単位ベクトルである。Hetについて式(8)を挿入すると、下式が得
られる。 【0095】 【数43】 の積分は、分子にi4▽δ( )を与えて、分母に4δ( )を与え、これは下式を与える。 【0096】 【数44】 式(28)からの▽sを挿入すると、下式が得られる。 【0097】 【数45】 最後の項の分子は、ガウスの定理によって下式のように展開することができる
。 【0098】 【数46】 ここで、最後の積分はSの境界に沿って求め、Sの積分は、励振、したがっ
てsがゼロである変換器の外側のε域に拡張される。最初の式、つまり式(42
)に戻ると、下式のようになることが分かる。 【0099】 【数47】 式(40)を挿入すると、下式のことが分かる。 【0100】 【数48】 一般に は分からず、したがって式(40、41)の最終項は不明である。
測定によって▽ζθがわかり、ビームの拡張およびスクリーンによるサイドロ
ーブの増加を補償するため、式(40、41)の第1項に基づいてθの推定を
使用する。測定は雑音に影響されるので、▽ζθにわたってDC成分を引
き、▽θに関する以下の推定を使用する。 【0101】 【数49】 ここで、⌒の記号は、前述したようにDCバイアスが除去されていることを示す
。式は下式のように積分することができる。 【0102】 【数50】 この位相推定は、θ を有する面/球成分のため、屈折および集
束のオフセットを補正せず、したがって未補正画像と同じ超音波画像の幾何学的
歪みを生じるが、分解能が改善され、音響雑音が減少する。ビーム軸線を外れた
強力な散乱体の効果は、例えば、式(59)で与えられた方法によって、または
式(95)に関連して検討するように、フーリエ級数の下位次元項を削除するこ
とによって補償することができる。しかし、体壁のプリズム様効果によるビーム
の屈折は、ポイント散乱体が にある場合のみ補償することができる。このビ
ーム屈折は、光学系のプリズム/レンズに似ている。既知の位置でポイント・ソ
ースを使用するか、プリズム/レンズの屈折特性を演繹的に知っていない限り、
この変位を除去することは不可能である。 【0103】 ▽θにDCオフセットがある場合、これは式(41)で積分した後、積分か
ら面成分を引く、つまり最初に例えば 【0104】 【数51】 のように未変更のθを推定し、次に 【0105】 【数52】 のように面成分を引くことによって推定を変更することによっても除去すること
ができる。ここで、kおよびkは、例えば、下式の関数を最小にすることに
よって決定することができる。 【0106】 【数53】これで下式が得られる。 【0107】 【数54】 この方法は、θが上述の方法以外の方法、例えば、最尤法または以下で述べ
る基準信号法を使用して推定された場合にも有用である。 【0108】 未補正の送信ビームは、メインローブおよび高いサイドローブで幅が増加する
。したがって、s( ;ω)≒s( ;ω)である式(14a)の
近似はそれほど良好ではなく、これは の平均であるsの位相推定を生成する
。イメージングするために送信パルスの2次高調波を使用すると、導入部で述べ
たように、位相収差からの影響が少ない送信ビームが得られる。しかし、送信ビ
ーム形成器で位相収差およびパルス残響を補正することにより、2次高調波送信
ビームのさらなる改善を獲得することができる。2次高調波イメージングのため
に受信機ビーム形成器で補正すると、第1の高調波イメージングと同様の受信機
ビームの改善が得られる。 【0109】 したがって、位相・振幅画面の第1の推定、つまりs( ;ω)を未補
正送信ビームで獲得し、s( ;ω)のこの第1の推定を、式(3)によ
る第2の送信パルスの補正に使用し、これでs( ;ω)の第2の推定に
使用する受信エレメント信号の第2のセットを得、以下同様に繰り返される、反
復法を使用することができる。この反復式の推定は、送信ビームの収差を減少さ
せ、したがって、s( ;ω)≒s( ;ω)という式(14a)
の近似を改善する。送信ビームが細くなるにつれ、軸線から離れた強力な散乱体
の効果が減少する。したがって、このような強力な散乱体の効果が、例えば、式
(59)の方法を使用し、式(95)に関連して検討するように、第1の推定で
除去されると、補正された送信ビームを屈折し、したがって、最終推定に屈折を
生じる。 【0110】 式(4)に関連して述べたように、上記の集合平均は、測定に実際的な問題を
引き起こし、組織の画定された画像について、散乱体分布の1つの結果が観察さ
れる。第1の近似は、信号パラメータの集合平均を、固定されたビーム方向に沿
った幾つかの深さにわたる空間的平均と置換し、場合によっては隣接するビーム
方向にわたる信号パラメータの平均が追加される。 【0111】 この平均法には2つの問題がある。 i)体壁内の構造間の残響、およびこの構造と変換器間の残響が、測定値y;ω)に追加の残響雑音n;ω)を生成する。つまり、下式となる。 【0112】 【数55】 この雑音は、yの相関関数の推定を確証し、したがって除去するか、実質的
に抑制しないと、相関推定で有用な結果が得られない。 【0113】 ii)位相収差および残響の散乱体位置による変動が、平均する領域のサイズ
を制限し、相関関数の推定における基本的分散雑音が残る。 問題i)については、かなりの量の音響雑音が残っているが、2次高調波イメ
ージングが体壁残響による音響雑音を減少させることが分かっている。移動する
散乱体または経時変化する散乱体からの信号を使用して、本発明によると、同じ
焦点および振幅を有する複数の送信パルスの時間座標に沿って、移動する散乱体
または経時変化する散乱体から受信したエレメント信号を高域フィルタリングす
ることにより、音響雑音をさらに減少させることができる。体壁の構造間、およ
び変換器とこのような構造間の残響による音響雑音は、時間的に非常に固定して
いるので、このような高域フィルタリングは、1次および2次双方の高調波画像
について、この雑音を大幅に減衰する。使用することができる典型的な動作散乱
体は、動作する動脈壁、動作する心筋、動作する血液または他の体液、およびこ
れらの物質に含まれる超音波造影剤である。必ずしも動作しない経時変化可能な
散乱体は、組織内の造影剤気泡に非常に高い入射パルスを使用することによって
獲得することができ、これはビーム内にある造影剤気泡の少なくとも一部を破壊
し、これは組織の血液灌流への新しい造影剤気泡の流入と組み合わされて、送信
パルスごとに変化する造影剤の散乱分布を与える。 【0114】 {zfk;ω),k=1,...,K}を、送信パルスのシーケンスから
の受信信号シーケンスとし、下付き文字kが送信パルス数を示すものとする。こ
れで、体壁残響雑音を、下式のように推定することができる。 【0115】 【数56】 これによって、受信信号が下式のように推定される。 【0116】 【数57】 このようなフィルタリングは、V内の静止散乱体からの信号も除去し、した
がって送信パルス間で交換される散乱体からの信号が残り、これは、例えば、式
(4、12、15、26、27)の集合平均に使用される。代替の推定は、非因
果的高域フィルタで、kの関数としてzfkをフィルタリングすることであり、
これによって下式が得られる。 【0117】 【数58】 は送信ビームによって境界が区切られ、したがって、送信ビームのサイド
ローブにより、厳密には空間的には境界が区切られていない。したがって、送信
ビームのサイドローブにある強力な動作散乱体は、干渉信号を提供することがあ
る。この信号は、変換器に対してメインローブ内の信号より傾斜角度が大きく、
したがって、座標に沿った低域フィルタリングyfk;ω)によって減衰
することができるので、相関分析前の受信信号の最終的フィルタリングは下式の
通りである。 【0118】 【数59】 この低域フィルタの帯域は、座標のy;ω)の帯域と同じである。 問題ii)については、本特許は、移動する散乱体または経時変化する散乱体
からの信号を使用して、推定の分布を減少させる方法を提示する。そのベースと
なるのは、体壁収差および残響は経時変化が比較的少なく、したがって、補正フ
ィルタの推定に多くの送信パルスを使用できることである。連続する送信パルス
間に十分な遅延があれば、散乱体の対流または経時変化が、送信パルス間で実際
の領域にある散乱体を変化させる。ここで、異なる散乱体を有する多くの送信パ
ルスからの受信エレメント信号で、統計分析における追加の平均を実行すること
ができる。これにより、推定に使用する信号の小さい空間的範囲も選択し、散乱
体の位置 によるs( ;ω)の変動を最小にすることができ、したが
って、近似s( ;ω)≒s( ;ω)が可能な限り最善となる。 【0119】 一時的領域で信号を処理することにより、以下で述べるように、エレメント信
号の統計パラメータの計算に、固定された1つの深さのサンプルまでの信号範囲
を使用することもできる。それには、位相収差と残響とが実際的に範囲セルにわ
たって散乱体の位置から独立していればよく、これは横方向は送信ビームの幅で
、半径方向は送信パルスの長さによって決定される。したがって、この方法は、
散乱体の位置による位相収差および残響の不変性に対する最低要件を設定する。 【0120】 相関推定は、制限された空間的領域および制限された数Kの送信パルスの測定
値を平均することによって実行しなければならないので、相関推定には誤差があ
る。その誤差は、変位座標ζに相関距離を有し、上述したようにスクリーンの位
相の勾配を積分することによって位相を獲得すると、位相推定に累積誤差を生じ
る。 【0121】 図8は、▽θを積分する階層的方法のブロック図を示し、これは式(50)
を使用する場合と比較して累積誤差を減少させる。最初に、スクリーンの振幅を
式(25、27)により推定し、式(3)による振幅補正のために、全てのアレ
イ・エレメント信号の振幅にa;ω)を乗算する。次に、式(40、49
)によって位相勾配を推定して、隣接するエレメント信号のサブグループで積分
し、ここで、図は、4つのエレメント信号802〜805を有するこのような1
つのサブグループ801を詳細に示し、推定された位相勾配が積分され、ブロッ
ク806〜809でエレメント信号の位相補正に使用されて、ブロック810で
合計され、これは全エレメント信号のサブグループのセットに対する第1のレベ
ルの補正の一部である。図は、第1のレベルにある3つの追加サブグループに対
する加算ブロック811〜813を示し、ここでは、より高レベルのサブグルー
プで新しいエレメント信号間の位相勾配が推定され、各新規サブグループ内で積
分され、新しいエレメント信号は、さらにブロック814〜817で補正されて
、ブロック818で加算され、これはエレメント信号の第2のレベル・サブグル
ープの第2のレベルの補正の一部である。次に、この加算は、第2のレベルの他
のサブグループからの補正済み合計とともに、新しい第3のレベルのサブグルー
プに分類され、ここで位相勾配推定および積分が、エレメント信号の補正および
加算とともに、第1および第2のレベルのサブグループと同様に実行され、これ
によってユニット819でこの合計を補正することができる。次に全エレメント
信号が1つの補正済みビーム信号に統合されるまで、このレベルのグループ化が
繰り返される。 【0122】 位相勾配は、制限された数の隣接エレメントでしか積分されないので、積分の
ドリフトは最小に維持される。 位相スクリーンを推定する推定するには、他の方法も有用であり、フーリエ領
域の最尤法を使用する方法、および相関の基準信号を使用する方法を提示しなけ
ればならない。 【0123】 最尤法については、mおよびnラベルを補正推定に使用するエレメント信号と
する。アレイでの体壁妨害の相関距離と比較すると小さい隣接エレメントからの
信号の可能な結合を推定の前に実行することができ、したがって推定に使用する
エレメント信号は、アレイ・エレメント信号とは異なることがあると仮定する。
kは、平均化に使用する信号セグメントのラベルであり、これは同じビーム方向
について、幾つかの送信パルスの各送信パルスの深さ範囲として選択することが
できる。幾つかの隣接するビーム方向からの信号の追加も実行できる可能性があ
る。次に、下式のように測定ベクトルを定義する。 【0124】 【数60】 ここで、ベクトルおよびマトリクスの表記では、簡単にするためにωを省略し、
下式のように定義する。 【0125】 【数61】 次のような簡単な表記も使用する。 【0126】 【数62】 次に、位相スクリーン・マトリクスSとすると、測定値 を取得する条件付
き確率は下式の通りである。 【0127】 【数63】 ここで、下式のように定義する。 【0128】 【数64】 次に、p( |S)を最大にするSを決定する。これは、asnおよびθ に関して、尤度関数を最大にするのと等しい。 【0129】 【数65】 次に、asnは式(25、27)の公式から決定されるものとし、θsnに関し
てLを最大にしてみる。すると、下式のように書ける。 【0130】 【数66】 θspに関してLを区別すると、下式が得られる。 【0131】 【数67】 ここで、Rmnは、アレイ・ポイントmおよびnにおけるエレメント信号の相関
関数推定であり、K個の平均化要素について推定される。式(64)は下式のよ
うにコンパクトな形式で書くことができる。 【0132】 【数68】 カッコ内の式は実数でなければならず、下式であることが必要である。 【0133】 【数69】 これは非線形方程式であり、例えば、下式のように幾つかの数値反復法で解く
ことができる。 【0134】 【数70】 ここで、qは反復ステップのラベルである。反復の開始値はθsp,0=0でよ
いか、あるいは式(50)から隣接相関の積分結果を使用することができる。次
に、反復法を十分に収束させるため、パラメータμを選択する。 【0135】 基準信号は、例えば、ビーム合計基準と呼ばれる全受信エレメント信号の総計
として獲得するか、サブグループ基準と呼ばれる受信エレメント信号のサブグル
ープの和として獲得することができる。サブグループ基準は、例えば、図8で述
べたような階層的方法で有用であり、各サブグループは、サブグループの信号の
和として形成されたサブグループ基準を使用することができる。 【0136】 基準信号を使用する利点は、スクリーンの振幅および位相を、受信機チャンネ
ルごとに、そのチャンネルのエレメント信号と基準信号との相関によって決定す
ることができ、したがって、ドリフトの問題がある式(50)の積分が回避され
ることである。 【0137】 次に、前述したタイプの基準信号は、下式のように表すことができる。 【0138】 【数71】 ここで、ラベルkは送信パルス数を示し、Sは、基準信号に寄与するエレメン
トのサブグループを定義し、これは1つのエレメント信号、エレメント信号のサ
ブグループ、またはビームの合計を与える全エレメント信号でよい。w(;ω
)は、周波数変動を有することができる。つまり収差補正を実行することができ
る。sの反復推定では、上述したように、w(;ω)=s ;ω
)を使用することができ、ここで、qは、基準信号の収差を補正する第q反復ス
テップにおけるsの推定値を示す。の関数として、等しい重量にするために1
に設定することができる、またはサブグループのアポディゼーション関数として
使用することができるのは、重み付け関数である。 【0139】 したがって、基準信号とエレメント信号との相関は下式のようになる。 【0140】 【数72】ここで、ラベルkは、集合平均を計算しているので削除される。次に、式(12
)からσのδ相関を挿入すると、下式が得られる。 【0141】 【数73】 式(16b)からRの方程式を挿入すると、下式が得られる。 【0142】 【数74】 式(8)と比較すると、式(71)の最後の積分は、Sのエレメントで構成
された変換器の焦点ビーム・プロファイルの複素共役を表すことが分かり、これ
をHwt とする。これによって、下式を書くことができる。 【0143】 【数75】 式(12、9)を挿入して、下式が得られる。 【0144】 【数76】 積分は、式(8)に関して逆フーリエ変換の形態を有することが分かり、さら
なる評価によって下式が得られる。 【0145】 【数77】 したがって、基準信号相関の位相は、sの位相に自身を3回畳み込んだsを加
え、断続的な複素共役を有し、w( ;ω)で重み付けした値である。この最
後の畳み込みは、一般に、1つの位相を有し、したがって基準信号相関の位相は
θとは異なる。 【0146】 しかし、興味深い方式は、送信ビームをθの新しい各位相推定で補正する反
復的手順を使用することである。このような手順が収束すると、VZ()の位
相が最小になり、基準信号相関は、sの補正位相推定に近づく。 【0147】 上記の計算では、相関分析のベースとして受信信号のフーリエ変換を使用する
。次に、この推定は、受信信号の周波数の全範囲にわたって位相振幅スクリーン
を生成する。つまり組織信号、および造影剤信号の送信された周波数帯の第1お
よび第2高調波、さらに低調波帯、第3および第4高調波帯である。式(3)と
同様に補正を使用して、原理的に送信ビーム形成器の第1の調波帯を補正し、受
信ビーム形成器では、式(3)が送信帯の高調波を補正する。しかし、第1の調
波帯と比較して、音響雑音が低下し、送信ビームは、周波数の調波帯の位相収差
による悪影響が少ない。したがって、スクリーン振幅および位相の推定は、調波
帯でさらに頑強になる。 【0148】 受信信号は雑音を含むので、実際には、受信信号が雑音レベルより高い十分な
出力を有する場合に、周波数のスクリーンを推定できるだけである。スクリーン
振幅を推定する式(25、27)は、下式のように、周波数の推定振幅を低信号
で制限するよう修正すると都合がよい。 【0149】 【数78】 ここで、SNは信号対雑音比パラメータであり、下付き文字のWは、制限がウィ
ーナー・タイプのフィルタの近似であることを示す。この公式は、推定の誤差が
フィルタ・インパルス応答のリンギングを生成するという問題を有し、これは式
(3)を通して補正信号まで伝搬する。下付き文字Mで示す整合フィルタ・タイ
プの近似で、下式のようにリンギングが低下する。 【0150】 【数79】 次に、|s|が雑音より実質的に大きいωの領域が、sの位相の推定を試みる
ことができる周波数帯を定義し、補正フィルタの振幅が帯の縁で穏やかにゼロと
設定される。 【0151】 逆フーリエ変換により、よく知られている変形にしたがって経時変化する受信
エレメント信号で直接計算を実行できることに留意されたい。この点で、式(1
4)から、受信し、ステアリングして集束した補正済み信号を下式のように書く
ことができる。 【0152】 【数80】 ここで、f( ;t)は、位相収差をせずに受信した信号である。時間領
域の計算は、位相・振幅スクリーンを純粋遅延および振幅歪みによって下式のよ
うに近似できる場合に、特に簡単になる。 【0153】 【数81】 これで、sの逆フーリエ変換は下式のようになる。 【0154】 【数82】 式(3)の補償フィルタのインパルス応答は、この近似では下式のようになる
ことが分かる。 【0155】 【数83】 式(77)から、一時的領域で受信信号の以下の形態を取得することが分かる
。 【0156】 【数84】 これで、時間信号yの相関関数は下式の形をとる。 【0157】 【数85】 次に、式(22)の周波数が独立した形から振幅を下式のように推定すること
ができる。 【0158】 【数86】 ガウス変数に関する式(26)の結果を使用して、下式のような修正式を使用
することができる。 【0159】 【数87】 遅延補正τを決定するため、yのヒルベルト変換を使用することができる
。 【0160】 【数88】 ここで、fはfのヒルベルト変換である。yとyfhとの相互相関関数は下
式の通りである。 【0161】 【数89】 ζが小さい場合はRfhζ;0)≒0となる。したがって、Ryh=0
となるτを求めると、下式が与えられる。 【0162】 【数90】 したがって、十分に開発された相関方法により、エレメント信号の時間関数に
基づいて遅延を推定することができる。 【0163】 式(78〜82)での遅延近似は、往々にして制限された周波数帯にしか見ら
れず、それには雑音および受信信号中の他の調波帯を排除するよう受信エレメン
ト信号を帯域フィルタにかけなければならない。特に、受信信号の調波帯を分析
したい場合は、この帯域の信号を帯域フィルタにかけ、他の高調波および雑音を
排除しなければならない。これは、上記のフーリエ成分の分析に類似し、ここで
はフーリエ変換が実際には各フーリエ周波数成分の帯域フィルタのセットである
ことが分かる。 【0164】 送信された中心周波数f=f、または送信された中心周波数の第2の高調
波f=2fでもよい中心周波数fの周囲に受信エレメント信号を制限する
適切な帯域により、例えば、τを計算することができ、したがって隣接するエ
レメント信号間の遅延の空間的勾配は下式のように計算することができる。 【0165】 【数91】 ここで、ζは、隣接する変換器エレメント間のベクトル距離を与え、は上述し
たように変換器エレメントの位置を与える。このような帯域に制限された信号で
は、1/4fの信号の遅延によってヒルベルト変換を近似することができ、し
たがって、下式が得られる。 【0166】 【数92】 相関プロセスでは、信号の1つのみをフィルタリングすれば十分である。とい
うのは、フィルタは相関プロセスの他の信号にも適用されるからである。これは
、式(68〜74)のように基準信号との相関の場合に特に興味深い。というの
は、はるかに多くのエレメント信号もフィルタリングするのではなく、基準信号
のみを帯域フィルタにかけ、場合によってはヒルベルト変換することができるか
らである。特に、一時的領域で下式のように式(68)の基準信号が得られる。 【0167】 【数93】 ここでは、簡単にするために式(68)のwであり得るωの依存性を無視した。
このようなwのω変動は、上記の式の時間に多々見込みを追加することによって
も、この分析に含めることができる。式(79)を挿入して、純粋な振幅・遅延
スクリーンで下式が得られる。 【0168】 【数94】 例えば、調波帯を洗濯するためにこの信号をヒルベルト変換し、帯域フィルタに
かけると、以下の相関関数を計算することができる。 【0169】 【数95】 ここで、下付き文字mrhおよびmfhは、m番目の調波帯およびヒルベルト変
換の周囲の帯域フィルタリングを示す。つまり下式である。 【0170】 【数96】 ここで、下付き文字mhは、m番目の調波帯およびヒルベルト変換の周囲の帯域
フィルタリングを示す。 【0171】 多くの実践的な状況で、下式が判明する。 【0172】 【数97】 これは、サブグループの重み付け関数が、各ステップqに式(80)による推
定補正値を適用するフィルタw()〜w,τ)に拡張される反復推定方
式で、特に真である。 【0173】 したがって、基準信号相関法は、任意のオーダーの調波フィルタリングとヒル
ベルト変換などの両方について簡単に処理することができる。というのは、この
フィルタリングは基準信号のみで実行することができ、必ずしも全てのエレメン
ト信号では実行されないからである。これは、エレメント信号が、フィルタリン
グされた信号に相関されていないフィルタリング未処理の成分を含むようにも公
式化することができ、したがって、この成分は相関プロセスで減衰される。した
がって、静止残響に対する感度を低下させるのは、送信パルス数の座標に沿った
調波帯の帯域フィルタリングまたは高域フィルタリングによって、基準信号での
み実行することができる。しかし、制限された数のサンプルを平均する実際の相
関プロセスでは、平均化に使用可能なサンプルの総数に応じて、残りの信号成分
を最終的な推定の分散とする。したがって、この分散は、相関プロセスの前に両
方の信号をフィルタリングすることによって減少させることができる。 【0174】 基準信号を形成すると、アレイ・エレメント座標に沿ってエレメント信号の空
間的低域フィルタリングが生成されることも分かり、これは式(59)による軸
線を外れた強力な散乱体の効果を減少させる。 【0175】 平均化の推定分散を減少させるために、散乱体が送信パルスごとに交換される
よう時間的に隔置された多くの連続的送信パルスについて、移動する散乱体また
は経時変化する散乱体からの受信信号を追加的に平均することが、なお都合がよ
い。 【0176】 振幅補正の推定は、式(22、25、27、75、83、84)のように簡単
な式をベースにする。最大量の処理は、sの位相またはsの近似遅延の推定であ
り、この推定は、最大の推定誤差も招く。変換器表面にわたるsの位相の空間的
相関距離は、大部分の状況で下限を有し、これを使用してaおよびθ両方の
推定の分散および強固さを改善することができる。aについては、変換器表面
に沿って制限された相関距離により、変換器表面におけるaの対邸を空間的に
低域フィルタにかけることができ、推定雑音が減少する。 【0177】 スクリーン位相θでは、制限された相関距離を使用して、例えば、切断一般
化フーリエ級数によりθの演繹的仕様が得られる。 【0178】 【数98】 ここで、受信機アレイ上の座標は、=x +y として与えられ、P
・)は一般化したフーリエ基底関数、例えば複素調波関数またはルジャンドル多
項式であり、加重セットSIJは通常、i=0,1,...,I、およびj=0
,1,...,Jである。x方向でm=0,1,...,M、y方向でn=0,
1,...,Nとラベルされた有限数の変換器エレメントについて、例えば複素
調波基底関数の離散的フーリエ変換の場合のように、I=MおよびJ=Nでサン
プリングした位相関数を完全に表すことができる。しかし、θで予想される相
関特性を実施すると、使用する基底関数をはるかに少なくし、SIJを(0,1
,...,M)×(0,1,...,M)のサブグループにすることができる。
式(41)および図7に関連する検討によると、例えば、基底関数としてルジャ
ンドル多項式がPおよびPを除外するのは普通である。というのは、これが
回避したい位相の面傾斜を表すからである。式(95)がθで予想される空間
的相関特性を満足させるよう、IおよびJの上限も与えられる。 【0179】 基底関数の番号を変更することにより、式(95)を下式のように書くことが
できる。 【0180】 【数99】 ここで、Dθは、θで予想される空間的相関特性を十分に表すサブスペースを
画定する。 【0181】 次に、例えば、式(60〜67)の場合のように最尤法を使用して、係数ベク
トルθを推定することができる。次に、位置 における位相θsn=θ ;ω)が下式のように書けることが分かる。 【0182】 【数100】 このθの形を式(63)の尤度関数に挿入すると、下式のように修正さた尤度
関数として得られる。 【0183】 【数101】 これは、下式の場合に最大となる。 【0184】 【数102】 これは、例えば、反復法で解くことができるθの非線形方程式である。 式(79)のようなスクリーンの近似では、式(96)のように遅延関数を近
似することが当然である。つまり下式となる。 【0185】 【数103】 ここで、Dτはτで予想される空間的相関特性を十分に表すサブスペースを定
義する。これで、換算パラメータ・セットτを推定するだけでよい。 【0186】 超音波イメージングシステムの相関距離が短い分布散乱体で本発明を実施する
ことができるブロック図は、人工ポイント散乱体の状況に関して図3bに示した
ものと同様でよい。 【0187】 したがって、好ましい実施形態に適用した本発明の新規の基本的特徴について
図示し、説明して指摘してきたが、本発明の精神から逸脱することなく、当業者
には図示した装置の形態および詳細、およびその操作に様々な削除、置換および
変更ができることを理解することができるだろう。例えば、同じ結果を達成する
ためにほぼ同じ方法でほぼ同じ機能を実施するエレメントおよび/または方法の
ステップの組合せは、全て本発明の範囲に入ることは明らかである。さらに、本
発明の開示された形態または実施形態に関連して図示および/または説明した構
造および/またはエレメントおよび/または方法は、通常の設計選択として他の
開示または説明または示唆された形態または実施形態に組み込めることを認識さ
れたい。したがって、特許請求の範囲に示されたものにのみ制限される。 【図面の簡単な説明】 【図1】 皮膚に接触する超音波アレイが、脂肪、筋肉および結合組織の混合物である体
壁を通して超音波パルスを送信する一般的な測定状況を示す。外向きのパルスは
、体壁を通過するときに、位相収差およびパルス残響によって変形する。ポイン
ト散乱体は球形の波を散乱し、これは体壁を通って戻る時に、残響および位相面
収差によって変形する。 【図2】 位相収差パルスで得られる実際的な焦点面ビームのプロファイルの例を、補正
したビームのプロファイルおよび位相収差なしに獲得した理想的なビーム・プロ
ファイルとともに示す。 【図3a】 補正フィルタの推定のために介入ツールに人工的に導入したポイント散乱体の
使用を示す。 【図3b】 ポイント散乱体と分散した散乱体双方からの補正フィルタを推定するユニット
の例示としてのブロック図、および受信機と送信ビームの両方で位相収差および
パルス残響の補正に補正フィルタを使用する方法を示す。 【図4a】 受信機ビーム形成器で第nエレメント信号を補正するFIRフィルタのブロッ
ク図を示す。 【図4b】 送信ビーム形成器の第nエレメントで送信された信号を補正するユニットを示
す。 【図5】 血液または他の体液に低濃度で導入する造影剤気泡の形態で人工的に導入する
ポイント散乱体の使用を示す。 【図6】 エレメント信号の式の計算に使用する座標系を示す。 【図7a】 体壁の楔形の脂肪層で生成される超音波ビームのプリズム・タイプの屈折効果
を示す。 【図7b】 ビームのサイドローブにある強力な散乱体によって散乱体分布の重心の位置を
推定し損なう追加の効果を示す。 【図8】 推定エラーによって生じる積分プロセスのドリフトの効果を減少させるため、
位相または遅延補正の隣接差の階層的積分方法を示す。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書 【提出日】平成14年3月1日(2002.3.1) 【手続補正1】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0001 【補正方法】変更 【補正の内容】 【0001】 (発明の背景) 1.発明の属する技術分野 本発明は、位相面収差およびパルス残響によって医療用超音波画像に生じる画
像劣化の補正を推定する方法に関する。したがって、本発明は、医療に超音波イ
メージングを使用する全ての状況、および超音波イメージングの他の同様の状況
にも用途を有する。 【手続補正2】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0006 【補正方法】変更 【補正の内容】 【0006】 2次元変換器アレイでは、位相面収差の効果は、多くの場合、個々のアレイ・
エレメントの信号に補正遅延および利得係数を追加することによって減少させる
ことができる。これは多くの論文で提言されている。組織の混合物がより複雑な
状況では、位相面収差およびパルス残響は、パルス形の変形を生じることがある
。このようなパルス変形が、各エレメント信号のフィルタによって補正できるこ
とはそれほど知られていない。このような補正フィルタは、最も一般的な補正方
法を与え、遅延/振幅の補正は特殊なケースまたは補正フィルタの類似と見なす
ことができる。 上述の先行技術文献は、本明細書最後(34条補正英文ページP42a)に列 挙した参考文献により広く表される。 列挙した参考文献の中でも、米国特許5,524,623号は非常に関連性が 高いと考えられる。故に、1または複数の本発明の方法は、2次元分布のエレメ ントを有する超音波変換器アレイで送信および/または受信の超音波ビームを形 成する、医療用超音波イメージングにおける位相面収差の補正を出発点とする。 【手続補正3】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0011 【補正方法】変更 【補正の内容】 【0011】 しかし、後方散乱信号が復路で体壁を通過すると、第2の高調波は同じ周波数 第1の高調波パルスと同じ量の位相面収差およびパルス残響を受ける。したが
って受信ビーム形成器における位相面収差およびパルス残響の補正は、第1の高
調波像と同じ方法で受信機の分解能および音響雑音を改善する。また、送信され
た第2の高調波パルスには多少の残留位相面収差および体壁残響があり、これは
送信ビーム形成器の補正によってさらに減少することができる。 【手続補正4】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0012 【補正方法】変更 【補正の内容】 【0012】 (発明の概要) 位相面収差およびパルス残響の補正の原理は明快に規定されているが、イメー
ジングの状況では、通常、補正フィルタにするか、単純化した遅延および振幅補
正にするかを決定するのは困難である。この問題は請求項1,15,25に定義 された新規で特異的な方法の工程を組み合わせることで、本発明によって解決さ れる。より詳しくは、そのような解決策は以下の通りである。 【手続補正5】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0031 【補正方法】変更 【補正の内容】 【0031】 体壁妨害を補正するために2次元アレイを使用しなければならないのは、体壁
が変換器アレイ上に位相振幅スクリーンs(r,rf;ω)によって示される
次元の妨害パターンを生成するからである。しかし、妨害の補正長さと、それゆ え変換器表面にわたる位相振幅スクリーンの相関長さと は下限を有する。相関に 使用するエレメントの上限線形幅は上記補正長さによって決定されるため、この 幅を、多くの電子アレイ、例えば、フェーズド・アレイの典型的なエレメント幅
より大きくすることができる。効率的にs(r,rf;ω)を推算して位相面収
差とパルス残響を補正するため、このような状況では、隣接する細いエレメント
からのエレメント信号を組み合わせて、アレイ上の妨害の相関長さよりもすでに
小さいより大きいエレメントからの、減少したエレメント信号にすることができ 、また、そのように組み合わせたエレメント信号を推算と補正に使用することが できる。 【手続補正6】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0187 【補正方法】変更 【補正の内容】 【0187】 【表1】【手続補正7】 【補正対象書類名】図面 【補正対象項目名】図3b 【補正方法】変更 【補正の内容】 【図3b】 【手続補正8】 【補正対象書類名】図面 【補正対象項目名】図4a 【補正方法】変更 【補正の内容】 【図4a】 【手続補正9】 【補正対象書類名】図面 【補正対象項目名】図5 【補正方法】変更 【補正の内容】 【図5】 【手続補正10】 【補正対象書類名】図面 【補正対象項目名】図7a 【補正方法】変更 【補正の内容】 【図7a】 【手続補正11】 【補正対象書類名】図面 【補正対象項目名】図7b 【補正方法】変更 【補正の内容】 【図7b】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ヨハンセン、トニ エフ. ノルウェー国 N−7018 トロンドヘイム ウスロヴェイエン 6 Fターム(参考) 4C301 BB23 BB24 CC02 EE01 EE07 EE11 GB09 HH01 HH02 HH13 HH25 HH37 HH38 HH43 JB11 JB17 JB23 JB24 JB28 JB34 JB35 JC06 JC14

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 医療用超音波イメージングにおける位相面収差およびパルス
    残響を補正するための方法であって、 −送信および/または受信の超音波ビームを、2次元で分布したエレメントを
    有する超音波変換器アレイで形成する工程であって、前記エレメントの最大長さ
    寸法が、アレイ表面の位相振幅スクリーンの空間的相関距離より小さい工程と、 −個々のアレイ・エレメント信号を、前記送信および/または受信ビームの両
    方で、標準ビーム形成を実行する前に補正フィルタでフィルタリングする工程と
    、 −前記補正フィルタを推定する工程とから成り、該補正フィルタの推定が、 −軟組織の画像フィールドに1つまたは複数の人工超音波ポイント散乱体を導
    入する工程と、 −前記変換器アレイで前記ポイント散乱体からの後方散乱信号を受信する工程
    と、 −前記ポイント散乱体を、前記個々の散乱体からの信号が相互から明白に識別
    できる程度に隔置する工程と、 −前記ポイント散乱体からの信号は、前記組織の信号から明白に区別できるよ
    うな、振幅または周波数の内容、あるいはその両方の特徴を有することと、 −前記個々のポイント散乱体からの信号を、前記受信および送信ビームの両方
    で位相収差およびパルス残響を補正するよう補正フィルタを導くために使用する
    工程とによって行われる、方法。 【請求項2】 請求項1に記載の方法において、前記送信および/または受
    信ビームをポイント散乱体の位置に集束させる前記エレメント信号補正フィルタ
    の周波数応答が、 −前記ポイント散乱体から受信したエレメント信号を時間座標に沿ってフーリ
    エ変換し、該フーリエ変換の振幅が雑音レベルよりはるかに大きい周波数成分を
    使用する工程と、 −前記ポイント散乱体から前記アレイ・エレメントへの伝搬遅延の球近似によ
    って前記エレメント信号のフーリエ変換の位相を補正する工程であって、基本的
    にヘルムホルツ方程式のグリーン関数でフーリエ変換を分割である工程と、 −前記エレメント信号の補正済みフーリエ変換の複素共役を、前記受信および
    /または送信ビームのエレメント信号補正フィルタの伝達関数として使用する工
    程とによって得られる方法。 【請求項3】 請求項1に記載の方法において、前記送信および/または受
    信ビームをポイント散乱体の位置に集束するためのエレメント信号補正フィルタ
    のインパルス応答が、 −前記ポイント散乱体からの後方散乱エレメント信号を記録し、前記ポイント
    散乱体から個々のアレイ・エレメントへの伝搬遅延の球近似によってこのエレメ
    ント信号を遅延補正する工程と、 −前記受信および/または送信ビームの前記エレメント信号補正フィルタのイ
    ンパルス応答として、前記遅延を補正したエレメント信号の時間が逆転したバー
    ジョンを使用する工程とことによって得られる方法。 【請求項4】 請求項2に記載の方法において、前記補正フィルタが、遅延
    および振幅補正によって近似される方法。 【請求項5】 請求項4に記載の方法において、ポイント散乱体の位置へビ
    ームを集束するために、 −各エレメント信号の振幅補正を、前記受信したエレメント・ポイント散乱体
    信号の振幅として獲得し、 −前記時間遅延補正を、前記ポイント散乱体からのパルスの各エレメント信号
    チャンネルの到着時間を比較することによって獲得する、方法。 【請求項6】 請求項1に記載の方法において、前記後方散乱エレメント信
    号の第2の高調波帯が、前記補正フィルタの推定で前記後方散乱信号のパルス収
    差を減少させるか、または振幅および遅延補正を近似させるために使用される方
    法。 【請求項7】 請求項1に記載の方法において、前記人工的に導入するポイ
    ント散乱体を、体内に挿入する介入ツールに取り付ける方法。 【請求項8】 請求項7に記載の方法において、前記ポイント散乱体が、滑
    らかなツール表面の窪み、または滑らかなツール表面に取り付けた散乱体、また
    は滑らかなツール表面の窪みに埋め込んだ散乱体として作成される方法。 【請求項9】 請求項1に記載の方法において、前記人工的に導入するポイ
    ント散乱体が、血液または他の体液中の造影剤気泡の希釈濃縮物で得られる方法
    。 【請求項10】 請求項9に記載の方法において、前記造影剤気泡間の十分
    な距離が、最初に、選択されたイメージング領域内で前記造影剤気泡を破壊し、
    新しい造影剤気泡が前記領域に十分流入するその後の時間間隔で補正推定を実行
    することによって得られる方法。 【請求項11】 請求項9に記載の方法において、位置が変化すると共に十
    分な距離がある安定した新しいポイント散乱体が、少なくとも一部の造影剤気泡
    が連続的に破壊される一方で新しい造影剤気泡が血液または他の体液が存在する
    領域に入る程度に高い振幅の送信パルスによって得られる方法。 【請求項12】 請求項7に記載の方法において、前記介入ツール上のポイ
    ント散乱体が造影剤気泡によって作成される方法。 【請求項13】 請求項9に記載の方法において、前記ポイント散乱体から
    の信号が、送信パルスの基本周波数帯の低調波、第2、第3または第4の調波帯
    の周波数成分を使用することにより前記組織信号から識別される方法。 【請求項14】 請求項9に記載の方法において、コード化されたシーケン
    スを前記造影剤気泡に送信し、受信機でパルス圧縮を使用して、前記造影剤気泡
    から受信した信号の信号対雑音比を向上させ、前記造影剤気泡の検出を改善する
    方法。 【請求項15】 医療用超音波イメージングの位相面収差およびパルス残響
    を補正する方法であって、 −送信および/または受信の超音波ビームを、2次元で分布したエレメントを
    有する超音波変換器アレイで形成する工程であって、エレメントの最大長さ寸法
    が、アレイ表面の位相振幅スクリーンの空間的相関距離より小さい工程と、 −前記個々のアレイ・エレメント信号を、前記送信および/または受信ビーム
    の両方で、周知の原理により標準ビーム形成を実行する前に補正フィルタでフィ
    ルタリングする工程と、 −相関距離が短い散乱体の分布から後方散乱した前記アレイ・エレメントから
    受信したエレメント信号から、補正フィルタを推定する工程と、 −補正フィルタの最終推定における後方散乱信号のパルス残響の効果を大幅に
    減少させる補正フィルタの推定アルゴリズムを使用する工程と、から成る方法。 【請求項16】 請求項15に記載の方法において、前記エレメント信号の
    第2の調波帯を使用して、前記エレメント信号のパルス残響を抑制する方法。 【請求項17】 請求項15に記載の方法において、同じビーム方向および
    焦点を有する複数の送信パルスを使用し、移動する散乱体または経時変化する散
    乱体からの複数の送信パルスの後方散乱エレメント信号を、補正フィルタ応答の
    推定を改善するために使用する方法。 【請求項18】 請求項17に記載の方法において、移動する散乱体が血液
    または他の体液、心筋、もしくは血管壁中の散乱体である方法。 【請求項19】 請求項18に記載の方法において、散乱が、移動する流体
    または組織中の造影剤気泡によって強化される方法。 【請求項20】 請求項17に記載の方法において、前記送信パルスの振幅
    が、少なくとも一部の気泡が破壊されるほど高く、血液または他の体液を通して
    新しい気泡が組織に入る場合に、超音波造影剤気泡を経時変化する散乱体に使用
    する方法。 【請求項21】 請求項19に記載の方法において、前記造影剤気泡からの
    信号が、前記造影剤気泡からの後方散乱信号の低調波、第2、第3または第4の
    高調波によって、組織信号およびパルス残響からの信号に対して強化される方法
    。 【請求項22】 請求項21に記載の方法において、前記造影剤気泡からの
    信号が、コード化パルス・シーケンスを送信し、受信機でパルス圧縮を使用して
    、前記造影剤から受信した信号の信号対雑音比を向上させることによってさらに
    強化される方法。 【請求項24】 請求項17に記載の方法において、前記推定におけるパル
    ス残響の効果が、各深さサンプルのパルス数座標に沿って受信エレメント信号を
    高域フィルタリングすることによって抑制される方法。 【請求項25】 請求項17に記載の方法において、前記パルス数座標に沿
    った補正フィルタ・パラメータの一時的平均化が、前記パラメータの推定分布を
    減少させるために使用される方法。 【請求項26】 請求項15に記載の方法において、軸線から外れた強力な
    散乱体によって前記補正フィルタの推定に導入される誤差が、エレメント位置座
    標に沿って受信したエレメント信号を低域フィルタリングすることによって減少
    する方法。 【請求項27】 請求項26に記載の方法において、各周波数の補正フィル
    タの位相が、相関法に基づいて推定される方法。 【請求項28】 請求項27に記載の方法において、各周波数の補正フィル
    タの位相が、隣接するエレメント信号間の相関関数の位相の積分によって推定さ
    れる方法。 【請求項29】 請求項28に記載の方法において、前記アレイにおける前
    記補正フィルタの位相の面傾斜が、積分後に、または積分前に隣接する相関のD
    C成分を除去することによって除去される方法。 【請求項30】 請求項28に記載の方法において、前記隣接する位相相関
    の積分を幾つかの階層レベルに分割し、第1のレベルでは、前記エレメント信号
    を、制限された数の隣接エレメントのサブグループにグループ化し、前記隣接位
    相の積分を各サブグループで実行し、各サブグループ内の前記エレメント信号を
    補正、合計して、より高いレベルでエレメント信号の新しいセットを形成し、こ
    こで前記新しいレベルにある隣接位相をサブグループにグループ化して、前記新
    しいレベルにおける隣接位相間の位相推定を前記新しいサブグループで積分し、
    前記新しいサブグループのエレメント信号を補正、合計して、補正したエレメン
    ト信号の新しい第2のレベルを形成し、元の全エレメント信号が1つの補正され
    たビーム信号に統合されるまで、グループ化、位相勾配の推定および積分、なら
    びに隣接エレメント信号の補正および合計を、各新レベルについて同様に実行す
    ることにより、このレベル化プロセスを継続し、最終的な元のエレメント補正フ
    ィルタが、その特定のエレメント信号のパスについて、全レベルでの全ての関与
    する補正伝達関数の積として得られる方法。 【請求項31】 請求項26に記載の方法において、各周波数の前記補正フ
    ィルタの位相が、例えば、最尤法などのパラメータ推定方式により推定される方
    法。 【請求項32】 請求項15に記載の方法において、前記補正フィルタが、
    遅延および振幅の補正によって近似され、エレメント信号の振幅補正は、動作す
    る信号または経時変化する信号の送信パルス間の深さおよび時間にわたって前記
    エレメント信号の振幅を平均することによって決定される方法。 【請求項33】 請求項32に記載の方法において、前記遅延補正が相関法
    によって推定される方法。 【請求項34】 請求項33に記載の方法において、前記遅延補正が、相関
    分析によって獲得された隣接エレメント信号間の遅延を積分することによって推
    定される方法。 【請求項35】 請求項34に記載の方法において、前記アレイの補正フィ
    ルタの遅延における面傾斜が、積分後に、または積分前に隣接遅延のDC成分を
    除去することによって除去される方法。 【請求項36】 請求項34に記載の方法において、前記隣接遅延の積分を
    幾つかの階層的レベルに分割し、第1のレベルでは、前記エレメント信号が、制
    限された数の隣接エレメントのサブグループにグループ化し、前記隣接遅延の積
    分を各サブグループで実行し、各サブグループ内のエレメント信号を補正、合計
    して、より高いレベルでエレメント信号の新しいセットを形成し、ここで前記新
    しいレベルにある隣接遅延をサブグループにグループ化して、前記新しいレベル
    における隣接遅延間の遅延推定を前記新しいサブグループで積分し、前記新しい
    サブグループのエレメント信号を補正、合計して、補正したエレメント信号の第
    2のレベルを形成し、元の全エレメント信号が1つの補正されたビーム信号に統
    合されるまで、グループ化、遅延勾配の推定および積分、ならびに隣接エレメン
    ト信号の補正および合計を、各レベルについて同様に実行し、最終的な元の遅延
    が、その特定のエレメント信号のパスについて、全レベルでの遅延の合計として
    得られる方法。 【請求項37】 請求項33に記載の方法において、前記遅延補正が、エレ
    メント信号とエレメント信号のヒルベルト変換間の相関によって推定される方法
    。 【請求項38】 請求項32に記載の方法において、前記補正遅延が、例え
    ば、最尤法などのパラメータ推定方式により推定される方法。 【請求項39】 請求項15に記載の方法において、前記補正フィルタの推
    定に使用するエレメント信号の数が、隣接エレメントからのエレメント信号を組
    み合わせて小さいアレイ・エレメントをグループにすることによって減少し、各
    グループの組み合わせたアレイ・エレメントの合計寸法が、位相収差およびパル
    ス残響の相関距離より小さい方法。 【請求項40】 請求項15に記載の方法において、前記位相または遅延補
    正の最小パラメータ表示が、前記エレメント位置座標上で切り捨てた一般化フー
    リエ級数によって表され、前記級数のエレメント数は、前記位相または遅延補正
    の相関特性が十分に表され、前記級数の係数が推定されるパラメータを形成する
    ように選択される方法。 【請求項41】 請求項15に記載の方法において、前記位相または遅延補
    正が、前記エレメント信号または前記エレメント信号の一部の組合せによって得
    られる基準信号とエレメント信号を相関分析することによって推定される方法。 【請求項42】 請求項41に記載の方法において、前記基準信号のみを、
    任意の調波帯でのフィルタリング、ヒルベルト変換、またはパルス間の広域フィ
    ルタリングし、前記相関分析の前に静止残響成分を除去する方法。 【請求項43】 請求項15に記載の方法において、前記補正フィルタの推
    定を使用して、反復法で前記補正フィルタを新たに推定するために使用する新し
    い後方散乱エレメント信号を生成する新しい送信ビームを補正する方法。
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