JP3833597B2 - 超音波撮像装置及び超音波撮像方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波を用いて検査対象内の画像を撮像する超音波撮像装置及び超音波撮像方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
医療画像診断に用いられる超音波撮像装置は、超音波パルス反射法を用いて、生体の軟部組織の断層像や生体内を流れる血流像等をほぼリアルタイムでモニタに表示して観察でき、また、放射線を用いる画像診断装置のような放射線被爆を検査対象に与えないことから安全性も高いとされ、更に小型で安価なことも加わり、広く医療の分野で用いられている。
【0003】
従来の超音波撮像装置の撮像メカニズムは、以下のように説明される。超音波撮像装置においては、圧電体をアレイ化した超音波探触子から超音波を検査対象に送波する。アレイの各素子から超音波を送波するタイミングをコントロールすることで、超音波が検査対象内で焦点を結ぶ位置をコントロールし、アレイの各素子が受波した信号を所望の位置と各素子位置の距離の差に応じた時間をずらして加算することで、所望の位置からの信号を増強する。超音波パルスを撮像領域全域に渡り走査することで、断層像が得られる。従来、このような超音波のパルスエコー法は、検査対象中の音響インピーダンスが変化する界面からのエコー(受信信号)を受信し、受信信号を包絡線検波することで、そのエコーの絶対値を断層像の画像化に用いてきた。
【0004】
一方、エコーの符号を残したまま、もしくは位相情報を用いて画像化を行う試みに関する従来技術が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開昭55−136043号公報
【特許文献2】
特開平11−137546号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記の従来技術の方法で、エコー(受信信号)の符号情報を利用しようとすると、音響インピーダンスが変化したことによる反射信号の位相変化と、その他の要因による反射信号の位相変化が区別出来ないため、実際の検査対象の音響インピーダンス分布を画像化することは困難であった。
【0007】
上述した、その他の要因とは、以下の(1)、(2)の2つの要因による。
【0008】
まず、(1)生体中の減衰によって、超音波パルスの中心周波数が変化するため、見かけ位相が回っている。もう1つは、(2)超音波超音波ビームの方位方向への位相まわりのために、注目する超音波ビーム近傍の反射体からの信号が位相が回った信号として受信される。
【0009】
このような従来技術の方法における第1の課題は、上記(1)、(2)による受信信号の位相回転効果を補正し、真の生体内音響インピーダンス変化のイメージングとを可能とすることである。
【0010】
また、第2の課題としては、以下に述べる加熱凝固治療の治療効果のモニタリングに関する課題である。加熱凝固治療とは、強力収束超音波照射もしくはRF波やマイクロ波などの電磁波の照射によって、熱的に前立腺肥大、前立腺がんや肝臓がんなどの患部を治療する方法である。前述の位相情報の画像化は、近年発達して来た、加熱凝固を用いた低侵襲治療の発達を益々加速するものとして期待される。
【0011】
これらの治療法は、体表の大きな切開を伴わずに治療出来るので、臨床での使用が拡大してきているが、この場合に効果判定方法が重要と成る。がんの治療もれがあると、結局そこから再びがんが増殖してしまうため、治療目的部位を完全に治療しきったかどうか判定することが重要である。現在は、造影CT、造影MRI、造影超音波などの方法を用いているが、CTやMRIなど治療中に撮像することが困難であったり、造影剤を用いているため、一度治療をやめて効果判定をして、だめであれば再び治療をするという処理になっている。
【0012】
これに対し、より効果的な治療を行なうために、治療しながら効果判定が出来ることが望まれていた。加圧法を用いた歪イメージングなどが超音波で造影剤を用いない、組織性状の画像化方法として検討されているが、これも、加圧が効果的に行なえる場所にしか適用出来ないと考えられる。上記の理由から簡便な組織の硬さのイメージング法が必要とされていた。
【0013】
さらに、第3の課題としては、造影超音波に関する課題である。造影超音波は造影剤を注入するという行為をトリガとして、生体の機能の時間差を観測する方法である。これによって、例えば、肝臓の組織毎の血管系の違い(即ち、肝臓がんの場合は動脈支配であるのに対し、それ以外の正常組織部分は門脈支配)のコントラストが画像化可能となる。
【0014】
この場合、造影剤からの信号と、生体組織からの信号を区別して画像化することが重要となる。従来は、造影剤の応答の非線形性を用いて、第2高調波を使う等反射信号の周波数変化を使う方法によって造影剤と生体組織からのエコー信号のコントラストをつけてきたが、生体組織も非線形性を持つため、このコントラストがつきにくく、このコントラストをさらに改善したいという要求があった。
【0015】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、位相回転効果を補正し、真の生体内音響インピーダンス変化のイメージングを可能とする超音波撮像装置及び超音波撮像方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
従来、音響インピーダンス撮像において、検査対象内の音響インピーダンス変化に起因するエコーの位相回転と、超音波ビームの方位方向の位相回転及び周波数シフトに起因する位相回転が混ざり真の検査対象内の音響インピーダンス変化を撮像することが困難であったが、本発明の超音波撮像装置では、超音波ビームの方位方向の位相回転及び周波数シフトに起因する位相回転を仮想的な第2高調波法又は偶数次の高調波法と、マトリックスフィルタによって補正することで、検査対象内の音響インピーダンス変化のみを抽出してイメージングすることが可能となる。
【0017】
本発明の超音波撮像装置では、対象に超音波を送信し、該送信によって該対象から返ってきた受信波形について、送信波形を基準とした該受信波形の位相変化から、観測対象の音響インピーダンスの空間変化(あるいは、分布)に起因するエコーの位相のずれと、それ以外の要因に起因するエコーの位相ずれを区別する手段を備え、該対象の音響インピーダンスの空間変化を推定する手段を備えたことを特徴とする。なお、上述した、それ以外の要因とは、周波数依存減衰、及び/もしくは、回折効果による位相回転を扱うことが望ましい。
【0018】
周波数依存減衰に起因する位相回転の除去方法の一つの手段としては、前記受信波形を直交検波して複素信号表現する手段を備え、これを二乗する手段を備え、音響インピーダンスの空間変化に起因する位相回転以外の効果を抽出する手段を備え、逆に周波数依存減衰に起因する位相回転を推定する手段を備え、これを除去する手段を備えることである。
【0019】
周波数依存減衰に起因する位相回転の除去方法の別の一つの手段としては、前記送信波形として、基本波に対しその第二高調波もしくは偶数次高調波を重畳した波形を送波する手段を備え、受信第二高調波の直交成分を利用することにより伝播の過程で生じる位相補正する手段を備えることである。これらいずれかの方法によって、周波数依存減衰に起因する位相回転の効果を補正する手段を備えることが可能となる。
【0020】
回折効果による位相回転に起因する位相のずれに対しては、送受信の条件によって定まる点応答関数の方位方向の位相回転を算出する手段を備え、この位相回転が最小となるフィルタリング処理手段を備えることで、除去することが可能となる。
【0021】
本発明によれば、反射信号の位相回転を、観測対象の空間分布に起因するものと、伝播の過程で蓄積する位相回転や、回折効果に起因するものを分離し、反射信号のなかから特定の位相成分を抽出する手段を備えることで、観測対象の音響インピーダンスの変化や、音響インピーダンスの微分の空間変化や、もしくは共鳴状態、造影剤の分布などをイメージングする手段を備えることが可能となる。
【0022】
また、本発明は、治療に用いることも可能である。超音波により観測対象の状態を画像化する超音波モニタリング機構を備えた治療装置において、対象に超音波を送信し、該送信によって該対象から返ってきた受信波形について、前記の周波数依存減衰に起因する位相回転、及び/もしくは、回折効果を補正して送信波形を基準とした該受信波形の位相変化から、観測対象の音響インピーダンスの時間変化を推定する手段を備え、表示する手段を備え、この結果を治療状態にフィードバックする手段を備えることが可能となる。
【0023】
本発明の超音波撮像方法では、対象に超音波を送信し、該送信によって該対象から返ってきた受信波形について、送信波形を基準とした該受信波形の位相変化から、観測対象の音響インピーダンスの空間変化に起因するエコーの位相のずれと、それ以外の要因に起因するエコーの位相ずれを区別する方法であり、該対象の音響インピーダンスの空間変化(あるいは、分布)を推定することを特徴とする。なお、上述した、それ以外の要因とは、周波数依存減衰、及び/もしくは、回折効果による位相回転を扱うことが望ましい。
【0024】
周波数依存減衰に起因する位相回転の除去方法の一つとしては、前記受信波形を直交検波して複素信号表現し、これを二乗し、音響インピーダンスの空間変化に起因する位相回転以外の効果を抽出し、逆に周波数依存減衰に起因する位相回転を推定し、これを除去する。
【0025】
周波数依存減衰に起因する位相回転の除去方法の別の一つ方法としては、前記送信波形として、基本波に対しその第二高調波もしくは偶数次高調波を重畳した波形を送波し、受信第二高調波の直交成分を利用することにより伝播の過程で生じる位相補正することである。これらいずれかの方法によって、周波数依存減衰に起因する位相回転の効果を補正することが可能となる。
【0026】
回折効果による位相回転に起因する位相のずれに対しては、送受信の条件によって定まる点応答関数の方位方向の位相回転を算出し、この位相回転が最小となるフィルタリング処理を行ない、回折効果に起因する位相回転の効果を除去することが可能となる。
【0027】
本発明によれば、反射信号の位相回転を、観測対象の空間分布に起因するものと、伝播の過程で蓄積する位相回転や、回折効果に起因するものを分離し、反射信号のなかから特定の位相成分を抽出することで、観測対象の音響インピーダンスの変化や、音響インピーダンスの微分の空間変化や、もしくは共鳴状態、造影剤の分布などをイメージングすることが可能となる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を、図面を用いて詳細に説明する。
【0029】
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1において音響インピーダンスの微分画像を得る超音波撮像装置の構成例を示す図である。
【0030】
図2は、本発明の実施例1において音響インピーダンス画像を得る超音波撮像装置の構成例を示す図である。
【0031】
超音波探触子1は、検査対象(図示してない)に対し、超音波ビームを送信し、検査対象からのエコーを受信する。送波信号は、送波ビームフォーマ3により、制御系4の制御下で、信号に応じた送波焦点に合わせた遅延時間で、送受切り替えSW(スイッチ)群5を介して超音波探触子1に送られる。送受切り替えSW群5は制御系4の制御下にある。検査対象内で反射もしくは散乱されて超音波探触子1に戻った超音波信号は、超音波探触子1によって電気信号に変換され、再び送受切り替えスイッチ群5を介し複素受波ビームフォーマ20に送られる。ここで、複素受波ビームフォーマ20は、制御系4の制御の下で、受信のタイミングに応じて遅延時間を調整するダイナミックフォーカスを行う。複素受波ビームフォーマ20で、90度位相がずれた2つの信号のミキシングを行っており、実部と虚部のビームを出力する。複素受波ビームフォーマ20の出力信号を用いて、位相回転補正部21で、周波数に依存する減衰に起因する位相回転の補正、または、ビームの方位方向の位相回転分の補正、もしくはこれらの両方の補正を行なう。
【0032】
位相回転補正部21での位相回転の補正の後、図2に示す構成では、音響インピーダンス演算部25で音響インピーダンスを計算する、また、図1に示す構成では、音響インピーダンス変化量演算部22で、音響インピーダンスの空間位置に関する微分を計算する。音響インピーダンス変化量演算部22(図1)、音響インピーダンス演算部25(図2)の出力信号に対して、従来公知である図示しないフィルタ処理がなされた信号は、スキャンコンバータ23を経て表示部24に結果として画像表示される。
【0033】
この画像表示は、従来のBモード画像、図1で得られる音響インピーダンスの微分画像、図2で得られる音響インピーダンス画像の何れか、もしくはこれらから選択された複数の画像が重畳して表示可能なように構成される。音響インピーダンス画像の表示に関しては、平均的な硬さのところに対してより硬いところは赤、柔らかいところは青などのように硬さをカラーで表示する方法などが考えられる。
【0034】
次に、生体中からのエコーの位相について詳細に説明する。
【0035】
図3は、本発明の実施例1においてエコーの中心周波数の移動を説明する図である。
【0036】
図4は、本発明の実施例1においてエコーの位相に対する中心周波数の移動の影響を説明する図である。
【0037】
図4(a)は、音響インピーダンスの変化を模試的に示す図、図4(b)は、位相回転が無い場合の、図4(a)に示す音響インピーダンスの変化に対する受波RF波形(エコー)を示す。
【0038】
図4(b)に示すように、エコーの位相は、硬い(音響インピーダンズが大きい)ものに変る界面では変化しないが、柔らか(音響インピーダンズが小さい)いものに変る界面では180度回転する。しかし、実際には、図3(a)に示すように、生体減衰は周波数が高くなるほど大きくなるので、より長い距離を伝播して来た生体深部からの反射信号ほど、高周波成分が失われる。よって、図3(b)(送信帯域、探触子に対する3通りのエコーの伝播長に対するエコーの中心周波数の変化を示す。)に示すように、反射信号の中心周波数はエコーの反射してくる深さによって低周波数側へ変化してしまう。
【0039】
このため、図4(c)に示すように、生体減衰に起因する位相回転のために受波RF波形は位相回転を受ける。反射信号の生体による減衰に起因する中心周波数の変化は見せかけの位相回転を与えるので、このままでは硬さの変化に起因する位相回転なのか、中心周波数移動に起因するものか区別する事が出来ない。もし生体が完全に均質な媒体であれば、中心周波数の移動は補正が可能であるが、実際には音速も減衰係数も場所によって異なるため、これを補正するのは容易ではない。
【0040】
そこで、本発明では、まず、この中心周波数移動を第2高調波を考えることで補正する。図4(d)は、位相回転が無い場合の、図4(a)に示す音響インピーダンスの変化に対する第2高調波による受波RF波形を示す。図4(e)は、位相回転がある場合の、図4(a)に示す音響インピーダンスの変化に対する第2高調波による受波RF波形を示す。図4(d)と図4(e)の比較から明らかなように、図4(e)に示す受波RF波形は、硬さに起因する位相回転の影響を受けない。即ち、基本波にとっての180度の位相回転は、第2高調波にとっては、360度の位相回転になるので、0度の位相回転と区別されないので、中心周波数移動による位相回転の効果のみを見ることが出来る。
【0041】
図5は、本発明の実施例1において仮想的な高調波を想定して音響インピーダンス像を求める信号処理プロセス(仮想高調波位相法信号処理プロセス)を説明する図である。
【0042】
図5に示す処理は、第2高調波を用いた中心周波数の移動補正の例である。これは、受信後に仮想的な第2高調波を考えた処理によって生体減衰に起因する受信信号の中心周波数の変化によって引き起こされる位相変化をトラッキングする方法である。
【0043】
複素ビームフォーマ20による直交検波処理100により、受信信号はc(t)cos(ω0t)+s(t)sin(ω0t)と展開される。
【0044】
次に、位相成分演算処理101により位相変化に対する成分を求める。a(t)=sqrt(c2(t)+s2(t))を求め、C(t)=c(t)/a(t)、S(t)=s(t)/a(t)を求める。
【0045】
次に、仮想2乗成分演算処理102により、検波信号の実部C(t)と虚部S(t)に対する複素信号C(t)+jS(t)の2乗信号C2(t)+jS2(t)を求める。ここで、jは虚数単位である。C2(t)はC2(t)=C2(t)−S2(t)から、S2(t)はS2(t)=2C(t)S(t)から導かれる。
【0046】
この複素2乗信号C2(t)+jS2(t)に対し、ローパスフィルタ処理103でローパスフィルタ(LPF)を通し、急峻な変化を取り除くことが好ましい。ローパスフィルタ処理103により、ローパスフィルタの出力信号として、C3(t)+jS3(t)=LPF〈C2(t)+jS2(t)〉を求める。
【0047】
複素共役演算処理104により、C3(t)−jS3(t)を求める(省略可能)。
【0048】
次に、開平処理105により、C4(t)=±sqrt((1+C3(t))/2)、S4(t)=sgn(−S3C4)sqrt((1−C3(t))/2)を求め、C4(t)、S4(t)を用いて、エコー位相回転補正処理106により、C5(t)+jS5(t)=(C(t)+jS(t))(C4(t)+jS4(t))を求め、エコーの位相を補正する。
【0049】
符号の決定処理107により、例えば、レンズと生体界面での反射信号など、符号の既知なエコー信号に着目し、C4の符号を決定する。音響インピーダンス決定処理108により、C5(t)をもとに音響インピーダンス像を求める。
【0050】
超音波の生体の伝播中の減衰に起因する位相回転補正に関しては、以下のような方法も有力である。
【0051】
図6は、本発明の実施例1において高調波を重畳して送信する超音波撮像装置の構成例を示す図である。
【0052】
図7は、本発明の実施例1において高調波を重畳して送信して音響インピーダンス像を求める信号処理プロセス(実高調波位相法によるインピーダンス撮像信号処理プロセス)を説明する図である。
【0053】
図6に示す超音波撮像装置の構成は、図1に示す超音波撮像装置の構成に送波波形(第2高調波重畳波形)メモリ26を付加した構成である。図6に示す超音波撮像装置の構成において、音響インピーダンス変化量演算部22を音響インピーダンス演算部25に代えることもできる。図6に示す超音波撮像装置は、実際に高調波を重畳して送信する構成である。この場合、送信信号は基本波に対する第2高調波の位相に任意性があるが、以下ではこの位相差が無い場合を例にとって説明する(実際はこの位相差が定まっていれば、どのような位相差を用いても良い。)。
【0054】
第2高調波重畳送信処理110により、第2高調波を重畳して送信する、即ち、送信パルス信号として、s1(t)sin(ωt)+s2(t)sin(2ωt)を送信する。
【0055】
次に、直交検波処理111により受信信号を直交検波して、受信信号をC1(t)cos(ωt)+S1(t)sin(ωt)+C2(t)cos(2ωt)+S2(t)sin(2ωt)と展開する。
【0056】
2乗処理112により、C1(t)+jS1(t)を2乗して、実部としてC3=C1 2(t)−S1 2(t)、虚部としてS3=2C1(t)S1(t)を求める。
【0057】
次に、直交成分抽出処理113により、受信した第2高調波C2(t)+jS2(t)から、C3(t)+jS3(t)に直交する成分R(t)=(C2(t)S3(t)+S2(t)C3(t))/sqrt(C3 2(t)+S3 2(t))を求める。音響インピーダンス決定処理114により、R(t)をもとに音響インピーダンス像を作る。
【0058】
高周波を重畳して送信する場合、前記のように周波数空間での処理法以外にも、時間軸上での処理、すなわち送波波形と受波信号の相関をとって位相反転を検出する方法も有効である。もちろん、減衰に対応して、受波信号に対して相関をとる波形を徐々に変形してもよい。
【0059】
次に、ビームの回折効果の補正方法について述べる。
【0060】
図8は、本発明の実施例1において超音波パルス波形、点応答関数を説明する図である。
【0061】
まず、現状の装置の超音波ビームの回折パターンと、それが超音波エコーの位相にどのような影響を与えているか説明する。現状のほとんどの超音波診断機において、電気信号の超音波への変換、超音波の電気信号への変換には、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を用いている。これは、感度、即ち、電気信号を超音波信号に変換する効率(これは超音波信号を電気信号に変換する効率とも等しい)の良さと、均質な材料を安定して生産できること、比較的機械加工がし易いなどの理由による。
【0062】
しかし、感度が良いといっても、電気信号を超音波信号に変換する効率は60から80%程度である。本来はパルスエコー法を用いるには、デルタ関数的なパルスを送波することが好ましいが、なるべく送信エネルギーを稼ぐために、共振現象を使って、PZTの共振周波数で電気的に励起するということを使っているため、そこから出ていく超音波は、図8(a)に示す様にsin波的なパルスとなる。
【0063】
このような波形をアレイの各素子から送信すると、焦点近傍の音場は、図8(b)に示す様になる。超音波断層像は、この音場を点応答関数とみなして、この点応答関数と、生体中の反射源との2次元コンボリューションを取ったものと見なすことができる。図8(b)に示す点応答関数の形状を見てみると、深さ方向にキャリアの位相が回転しているのと、同時に方位方向にも位相が回転しているのがわかる。このキャリアによる局所的な深さ方向の位相回転に関しては、複素ビームフォーマ出力では除去されているが、方位方向の位相回転も位相イメージングにおいて誤った情報を与えることになる。反射体が送受信口径の焦点位置
から方位方向にはずれた位置にある場合、ずれの量に応じて位相が回転して、エコーが受信されてしまう。
【0064】
この効果を補正するために、本発明においては、以下に説明する最小2乗法を使ったマトリックスフィルタを用いる。送波波形をB、マトリックスフィルタをf、マトリックスフィルタの出力信号をcとすると、マトリックスフィルタ出力後の信号cは、(数1)で与えられる。
【0065】
以下の説明で、記号Bは行列を示しc、f、dはベクトル、記号「T」は転置を示す。dはマトリックスフィルタの出力として望まれる形を示すベクトルである。
【0066】
(数1)でf=(f1,f2,…,fm)であり、Bは、第1行を(b1,b2,…,bn,0,…,0)、第2行を(0,b1,b2,…,bn,0,…,0)、…、第n行を(0,…,0,b1,b2,,…,bn)とするm行(m+n−1)列の行列である。mはマトリックスフィルタのタップ数(要素数)であり、nは送波波形をサンプリングしてベクトル化した時のタップ数である。
c=fB ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(数1)
マトリックスフィルタ透過後の信号cとし、望ましい波形をdとすると、cとdの2乗誤差和Iは、(数2)となる。2乗誤差和Iを最小にするfがマトリックスフィルタである。加算Σは、i=1,2,…,m+n−1について行なう。
(数3)の条件から(数4)を全てのi(i=1,2,…,m)について求めると(数5)となるので、fは(数6)のように求まる。
このような最小2乗法に基づいたフィルタ(最小2乗フィルタ)を設計することで、受信信号の周波数帯域を保ったまま、波形を変更することが出来る。このことによって、ビームの方位方向の位相回転を補正することが出来る。信号の帯域を変更しないのは、帯域を変えて、元々信号の無い帯域にまで信号を作り出す操作を行なうと、ノイズが入ったときに、このノイズを増強してしまうことがあり、実際のノイズがある系では使えなくなってしまうからである。
【0067】
図9は、本発明の実施例1において最小2乗フイルタ透過後の超音波パルス波形、方位方向の位相回転補正後の点応答関数を説明する図である。ここでは、図9(a)に示す様に、送波パルスの帯域の上限と下限に近い帯域を持つガウシアンパルスの差分波形を、マトリックスフィルタの出力信号として望ましい波形Dに用いる。これを用いて設計したフィルタを、図8(b)に示す点応答関数に対して用いた結果が図9の(b)であり、方位方向の位相回転が無くなっていることが解る。この方式を用いた装置構成例を、図10に示す。
【0068】
図10は、本発明の実施例1において方位方向の位相回転補正を行なう超音波撮像装置の構成例を示す図である。複素受波ビームフォーマ20の出力信号がマトリックスフィルタ27に入力され、反射体が送受信口径の焦点位置から方位方向にはずれた位置にあり、ずれの量に応じて位相が回転してエコーが受信された場合、点応答関数の方位方向の位相回転補正がなされ、位相回転補正がなされた信号が音響インピーダンス変化量演算部22に入力される。
【0069】
図10に示す超音波撮像装置の構成において、音響インピーダンス変化量演算部22を音響インピーダンス演算部25に代えることもできる。点応答関数の方位方向の位相回転補正は、点応答関数が対象域の探触子からの距離に応じて変ることから、マトリックスフィルタ27もエコーの受信時間の関数として変える様に構成されることが好ましい。
【0070】
実施例1では、周波数減衰起因の位相回転補正、方位方向の位相回転の補正に関して説明したが、実際には、これら補正を同時に使うことはより精確な位相補正を行なう上ではより好ましい。
【0071】
(実施例2)
次に、本発明による位相補正を応用して、共振物を強調して画像化する方法に関して述べる。進行波に対する厚みが波長の半分もしくは、この奇数倍の厚みを持つ対象物が生体中に有る場合、対象物に超音波が到達すると、この対象物は共振を起こす。対象物が共振を起こすと、対象物からの信号は位相が回転することが知られている。よって、本発明の方法によって、位相回転の補正が行なわれると、この共振状態を抽出してイメージングすることが可能になる。この場合は、超音波スペクトロスコピー的に入力超音波周波数を掃引することで、系の周波数応答をイメージングすることが可能となる。
【0072】
図12は、本発明の実施例2において造影剤からの信号を抽出する超音波撮像装置の構成例を示す図である。図12に示す超音波撮像装置の構成は、図1の超音波撮像装置の構成において、音響インピーダンス変化量演算部22を、位相の空間変化を抽出する位相変化抽出部28に置き換えた構成である。位相変化抽出部28は、位相回転補正部21の出力信号を使用して位相の空間変化を抽出する。特に共鳴系として、最近は以下に述べる超音波造影剤の画像化が重要である。
【0073】
本発明によって、生体からの反射信号の位相変化が意味ある情報として取得出来るようになると、造影剤からの信号と生体組織からの信号を区別する事にも使うことが出来るようになる。即ち、生体からの反射信号は前述のように、柔らかいところから硬いところに変る界面もしくはその逆の界面で、反射信号の位相が0度もしくは180度となるが、造影剤の場合、より複雑な応答をして全位相成分を含んでいる。
【0074】
図11は、本発明の実施例2において、例えば、Rayleigh−Plesset方程式を解いて、造影剤の応答(造影剤からの受波信号)のシミュレーション計算結果例を示す図である。図11に示すように、点線で示す励起波に対して、実線で示す泡の応答の様子は、周波数もずれているが、位相もずれた形であることが解る。つまり周波数変化を用いなくても、同じ周波数の信号に対しても造影剤とそうでない信号に対してコントラストをつけることが可能となる。即ち、0度と180度以外の位相の信号を抽出することで、造影剤からの信号のみを抽出することが可能となる。
【0075】
図13は、本発明の実施例2において仮想的な高調波を想定して造影剤分布像を求める信号処理プロセス(仮想高調波位相法信号処理プロセス)を説明する図である。図13の信号処理プロセスの各処理のうち、直交検波処理100、位相成分演算処理101、仮想2乗成分演算処理102、ローパスフィルタ処理103、複素共役演算処理104、開平処理105、エコー位相回転補正処理106、符号の決定処理107は、図5に示す信号処理プロセスの各処理と同じである。
【0076】
図13の信号処理プロセスでは、図5に示す音響インピーダンス決定処理108に代えて、造影剤信号抽出処理109により、S5(t)をもとに造影剤像を求める。
【0077】
図14は、本発明の実施例2において高調波を重畳して送信して造影剤分布像を求める信号処理プロセスを説明する図である。図14の信号処理プロセスの各処理のうち、第2高調波重畳送信処理110(図14に図示せず)、直交検波処理111、2乗処理112は、図7に示す信号処理プロセスの各処理と同じである。
【0078】
図14の信号処理プロセスでは、図7に示す直交成分抽出処理113に代えて同相成分抽出処理115を行ない、音響インピーダンス決定処理114に代えて造影剤信号抽出処理116を行なう。同相成分抽出処理115では、受信した第2高調波C2(t)+jS2(t)からC3(t)+jS3(t)に同相な成分R(t)=(C2(t)C3(t)−S2(t)S3(t))/sqrt(C3 2(t)+S3 2(t))を求める。造影剤信号抽出処理116により、R(t)をもとに造影剤分布像を作る。
【0079】
本発明の方法によれば、周波数変化していない信号をも造影剤イメージングに用いる事が出来る。これまでは造影剤イメージングにおいては、周波数変化した分のみを用いて、周波数変化していない信号は切り捨ててきたが、これは一番信号の多い分を無駄にして来た事に相当するので、本方法を用いることによって、信号対ノイズの比が改善することが期待される。
【0080】
(実施例3)
更に、本発明は、以下に示す様に、超音波による加熱凝固治療法のモニタリングに用いる事も可能である。
【0081】
図15、図16、図17は、本発明の実施例3において加熱凝固治療法のモニタに使用する超音波撮像装置の構成例を示す図である。
【0082】
図15に示す超音波撮像装置の構成では、画像1フレーム分、もしくは関心領域分の治療前の複素ビームフォーマ20の出力信号を蓄えるメモリ29と、複素ビームフォーマ20の出力信号が入力され、位相の時間変化を演算する位相の時間変化演算部30を具備しており、図15に示す他の構成要素は図1と同じである。
【0083】
図16に示す超音波撮像装置の構成では、図1に示す超音波撮像装置の構成のうち音響インピーダンス変化量演算部22に代えて、メモリ29と位相の時間変化演算部30を使用する。位相回転補正部21の出力信号は、位相の時間変化演算部30に入力されると共に、メモリ29に蓄えられる。メモリ29に蓄えられた信号は位相の時間変化演算部30に読み出される。
【0084】
図17に示す超音波撮像装置の構成では、音響インピーダンス演算部25、メモリ29、音響インピーダンスの時間変化を演算する音響インピーダンス時間変化演算部31を具備しており、図17に示す他の構成要素は、図1と同じである。位相回転補正部21の出力信号は、音響インピーダンス演算部25に入力され、音響インピーダンス演算部25の出力信号は、音響インピーダンス時間変化演算部31に入力されると共に、メモリ29に蓄えられる。メモリ29に蓄えられた信号は音響インピーダンス時間変化演算部31に読み出される。
【0085】
図15、図16、図17に示すように、画像1フレーム分、もしくは関心領域分の治療前の複素ビームフォーマ出力をメモリに蓄えておき、これと治療中の複素ビームフォーマ出力と比較することで治療部位の位相変化を画像化出来る。
【0086】
この治療による変化の検出は、図16に示す様に位相回転補正後に行なっても良いし、図17に示す様に位相回転補正後、音響インピーダンスの時間変化として画像化することでも良い。また、治療前後で比較するのでなく、治療中の適切な画面と比較することで、治療中の体動もしくは超音波探触子の動きによるアーチファクトの影響を最小限に押さえることも可能となる。
【0087】
図18は、本発明の実施例3において加熱凝固治療装置と超音波撮像装置の組合せ例を示す図である。図18に示す例では、図5に示す超音波撮像装置と超音波治療装置(システム)40と一体化している。この一体化により、位相の時間変化演算部30で求められた信号を治療装置40の制御信号としてフイードバックして使用する。この結果、この治療効果領域が治療前に定めた予定の大きさになったら、自動的に治療を終了する機能を持たせる事も可能となる。
【0088】
(実施例4)
本発明においては、位相補正された複素受波信号から、任意の位相成分を表示することで、実部から虚部へ連続的に画質を変化させることが可能である。
【0089】
図19は、図1の構成にて音響インピーダンス変化量演算部22を特定位相成分抽出部32に置き換えて、位相成分選択入力部33を付加した構成を示す。図19に示す様に、位相選択範囲を入力するための入力部を本体に備えることで、造影剤を強調して表示したり、音響インピーダンス等の組織特性の空間変化を強調して表示したりすることが可能となる。
【0090】
この方法には、これまでに述べてきた第二高調波を重畳して送波することは有効であり、構成としては、図20に示すような形態となる。図20は、図6の構成にて音響インピーダンス変化量演算部22を特定位相成分抽出部32に置き換え、位相成分選択入力部33を付加した構成を示す。
【0091】
以上、上述した実施例で説明したように、本発明は、位相回転効果を補正し、真の生体内音響インピーダンス変化のイメージングを可能とする超音波撮像装置及び超音波撮像方法を実現することができる。
【0092】
また、音響インピーダンスイメージングにおいて、エコーの周波数帯域移動による位相回転及びビームの方位方向の位相回転を補正することによって、検査対象内の音響インピーダンスの変化による、エコー信号の位相回転分を表示する超音波撮像装置の実現が可能となる。
【0093】
さらに、上記した位相回転の計算から、組織の硬さの変化の表示や、共振部位の表示、造影剤からの信号の表示、凝固治療による組織の硬さの変化を表示することが可能となる。
【0094】
なお、本発明は、上述した特定の実施の形態に限定されるものでなく、その技術思想の範囲を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0095】
【発明の効果】
本発明によれば、位相回転効果を補正し、真の生体内音響インピーダンス変化のイメージングを可能とする超音波撮像装置及び超音波撮像方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1において音響インピーダンスの微分画像を得る超音波撮像装置の構成例を示す図。
【図2】本発明の実施例1において音響インピーダンス画像を得る超音波撮像装置の構成例を示す図。
【図3】本発明の実施例1においてエコーの中心周波数の移動を説明する図。
【図4】本発明の実施例1においてエコーの位相に対する中心周波数の移動の影響を説明する図。
【図5】本発明の実施例1において仮想的な高調波を想定して音響インピーダンス像を求める信号処理プロセスを説明する図。
【図6】本発明の実施例1において高調波を重畳して送信する超音波撮像装置の構成例を示す図。
【図7】本発明の実施例1において高調波を重畳して送信して音響インピーダンス像を求める信号処理プロセスを説明する図。
【図8】本発明の実施例1において超音波パルス波形、点応答関数を説明する図。
【図9】本発明の実施例1において最小2乗フイルタ透過後の超音波パルス波形、方位方向の位相回転補正後の点応答関数を説明する図。
【図10】本発明の実施例1において方位方向の位相回転補正を行なう超音波撮像装置の構成例を示す図。
【図11】本発明の実施例2において造影剤の応答を計算した結果例を示す図。
【図12】本発明の実施例2において造影剤からの信号を抽出する超音波撮像装置の構成例を示す図。
【図13】本発明の実施例2において仮想的な高調波を想定して造影剤分布像を求める信号処理プロセスを説明する図。
【図14】本発明の実施例2において高調波を重畳して送信して造影剤分布像を求める信号処理プロセスを説明する図。
【図15】本発明の実施例3において加熱凝固治療法のモニタに使用する超音波撮像装置の構成例を示す図。
【図16】本発明の実施例3において加熱凝固治療法のモニタに使用する超音波撮像装置の構成例を示す図。
【図17】本発明の実施例3において加熱凝固治療法のモニタに使用する超音波撮像装置の構成例を示す図。
【図18】本発明の実施例3において加熱凝固治療装置と超音波撮像装置の組合せ例を示す図。
【図19】本発明の実施例4の一例を説明する図。
【図20】本発明の実施例4の別の例を説明する図。
【符号の説明】
1…超音波探触子、3…送波ビームフォーマ、4…制御系、5…送受切り替えスイッチ郡、20…複素受波ビームフォーマ、21…位相回転補正部、22…音響インピーダンス変化量演算部、23…スキャンコンバータ、24…表示部、25…音響インピーダンス演算部、26…送波波形メモリ、27…マトリックスフィルタ、28…位相変化抽出部、29…メモリ、30…位相の時間変化演算部、31…音響インピーダンス時間変化演算部、40…治療装置、100…直交検波処理、101…位相成分演算処理、102…仮想2乗成分演算処理、103…ローパスフィルタ処理、104…複素共役演算処理、105…開平処理、106…エコー位相回転補正処理、107…符号の決定処理、108…音響インピーダンス決定処理、109…造影剤信号抽出処理、110…第2高調波重畳送信処理、111…直交検波処理、112…2乗処理、113…直交成分抽出処理、114…音響インピーダンス決定処理、115…同相成分抽出処理、116…造影剤信号抽出処理。
Claims (10)
- 超音波探触子を用いて検査対象に超音波を送受波して、前記検査対象を画像化する超音波撮像装置において、
前記検査対象に送波信号を送信し、前記検査対象から返ってきた受波信号の前記送波信号を基準とした位相変化から、前記検査対象内の音響インピーダンスの分布に起因する前記受波信号の位相のずれと、それ以外の要因に起因する前記受波信号の位相ずれを区別して検出する手段と、
前記検出された前記位相ずれを前記受波信号に対して補正する手段と、
前記補正された受波信号から、前記検査対象の音響インピーダンス又は音響インピーダンスの変化量を求める手段と、
前記音響インピーダンス又は前記音響インピーダンスの変化量を求める手段に基づいて、前記音響インピーダンスの分布又は前記音響インピーダンスの微分を表示する手段と、を有することを特徴とする超音波撮像装置。 - 請求項1に記載の超音波撮像装置において、前記補正する手段は、前記受波信号を直交検波して複素信号で表現する手段と、前記複素信号を2乗する手段と、ローパスフィルタと、周波数に依存する減衰に起因する位相回転を前記ローパスフィルタにかけた前記複素信号に基づいて補正することを特徴とする超音波撮像装置。
- 請求項1に記載の超音波撮像装置において、前記補正する手段は、基本波の偶数次の高調波を重畳した送波信号を送信する手段と、受信された前記第2高調波の直交成分を利用することにより、前記受波信号に対して前記超音波の伝播の過程で生じる周波数に依存する減衰による位相回転による位相ずれを前記受波信号に対して補正し、
前記音響インピーダンス又は音響インピーダンスの変化量を求める手段は、前記位相回転が補正された複素信号から前記検査対象の音響インピーダンス又は音響インピーダンスの微分を求めることを特徴とする超音波撮像装置。 - 請求項3に記載の超音波撮像装置において、さらに、前記受信された前記直交成分から前記偶数次の高調波に対する特定の位相成分を入力する手段と、前記入力手段によって選ばれた範囲の位相の信号を抽出もしくは強調する手段と、を有することを特徴とする超音波撮像装置。
- 請求項1に記載の超音波撮像装置において、
前記補正する手段は、前記超音波の送受信の条件によって定まる点応答関数の方位方向の位相回転を算出する手段と、前記位相回転が最小となるフィルタリング処理手段と、回折効果による位相回転に起因して生じる前記超音波のビームの方位方向の位相ずれを前記受波信号に対して補正し、
前記音響インピーダンス又は音響インピーダンスの変化量を求める手段は、前記位相ずれが補正された複素信号から前記検査対象の音響インピーダンスを求めることを特徴とする超音波撮像装置。 - 請求項5に記載の超音波撮像装置において、前記補正する手段は、前記点応答関数の方位方向の位相回転を最小とするために最小2乗法に基づいたフィルタリング処理手段を有することを特徴とする超音波撮像装置。
- 請求項1に記載の超音波撮像装置において、前記検査対象中の共振物体による位相変化を抽出又は強調する手段とをさらに有し、前記超音波の送信周波数を変化させることにより、共振状態のスペクトロスコピーを反映して表示することを特徴とする超音波撮像装置。
- 請求項7に記載の超音波撮像装置において、前記位相変化を抽出又は強調する手段は、前記検査対象中の超音波造影剤による位相変化を抽出又は強調することを特徴とする超音波撮像装置。
- 請求項8に記載の超音波撮像装置において、送受信の条件によって定まる点応答関数の方位方向の位相回転を算出し、前記位相回転が最小となるフィルタリング処理によって、回折効果による位相回転に起因して生じる前記超音波のビームの方位方向の位相ずれの補正を行い、前記超音波のビームの回折で生じる位相回転と造影剤の存在による位相変化を分離する手段と、前記検査対象の超音波造影剤の位置、量、移動速度を求める手段とを有し、前記点応答関数の方位方向の位相回転を最小とするために最小2乗法に基づいたフィルタリング処理を行なうことを特徴とする超音波撮像装置。
- 請求項1に記載の超音波撮像装置と、前記超音波撮像装置により得られた前記音響インピーダンスの不連続性の時間変化を、超音波を用いた治療装置による治療状態として、前記治療装置にフィードバックする手段を有することを特徴とする治療装置。
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